JP2022121439A - 塩を電気分解して得られたものを原材料に用いた亜塩素酸水の製造方法 - Google Patents

塩を電気分解して得られたものを原材料に用いた亜塩素酸水の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塩を電気分解して得られたものを原材料に用いた亜塩素酸水の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明は、塩を原材料に用いた亜塩素酸水の製造方法を提供する。本発明は、1)塩を電気分解して塩素酸塩またはその水溶液を得る工程、および2)該塩素酸塩またはその水溶液を還元して亜塩素酸を含む水溶液を製造する工程を包含する、亜塩素酸水の製造方法を提供する。亜塩素酸水の製造方法は、前記亜塩素酸を含む水溶液に無機酸もしくは無機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合した後、無機酸、無機酸塩、有機酸もしくは有機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合する工程を包含する。【選択図】なし

Description

本発明は、塩を電気分解して得られたものを原材料に用いた亜塩素酸水の製造方法に関する。
亜塩素酸水は、抗菌剤、殺菌剤、除菌剤、消毒剤、更には抗ウイルス剤および食品添加物:殺菌料として注目されている。
本発明者らは、亜塩素酸水およびその製法を見出し、大腸菌に対する殺菌効果を確認した上で出願している(特許文献1)。特許文献1では、亜塩素酸水の原料として、塩素酸ナトリウムを用いることを開示している。
国際公開第2008/026607号
本発明者らは、塩素酸ナトリウム等の塩素酸塩を原料とする従来の方法に代わる亜塩素酸水の新規製造法について鋭意検討をした結果、塩素酸塩よりも安価で安定な塩を電気分解することにより得た塩素酸塩を原材料に用いた亜塩素酸水の製造方法に関する技術を見出した。従来の方法と比較して、電気分解の工程が1工程増えたものの、従来の機能を有する抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を持つ亜塩素酸水だけでなく、高い抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力を持ち合わせた亜塩素酸水を製造することが可能になった。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
1)塩を電気分解して塩素酸塩またはその水溶液を得る工程、2)該塩素酸塩またはその水溶液を還元して、亜塩素酸を含む水溶液を得る工程を包含する、亜塩素酸水の製造方法。
(項目2)
前記塩は、塩化ナトリウムである、上記項目に記載の方法。
(項目3)
前記塩化ナトリウムは日本薬局方塩化ナトリウムの規格またはそれと同等の規格に合致したものである、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目4)
前記塩素酸塩またはその水溶液は、少なくとも約45%(w/v)塩素酸ナトリウムを含み、次亜塩素酸ナトリウムや未反応物が含まれていてもよい、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目5)
前記電気分解は、無隔膜電気分解槽に飽和塩化ナトリウム水溶液を流し、電圧約2.75~約3.5V、電流密度約600~約5000A/m、液温約70℃~約90℃の条件で、約15時間以上通電しつつ、電解質溶液のpHを約5.9~約7.5に調整する、上記項目のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目6)
前記電圧は、約3Vである、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目7)
前記電流密度は、約2500A/mである、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目8)
前記電解質溶液のpHは、約5.9~約7.0に調整される、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目9)
前記電解質溶液のpHは、約6.0に調整される、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記還元工程において、硫酸、燐酸および硝酸からなる群より選択される少なくとも1つの酸が使用される、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目11)
前記硫酸、燐酸または硝酸の濃度は、約60%(w/w)~約90%(w/w)である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目12)
前記硫酸、燐酸または硝酸の濃度は、約70%(w/w)である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
前記酸は、酸性チオ硫酸またはその塩を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
前記酸性チオ硫酸の濃度は、約0%(w/v)~約1.3%(w/v)である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
前記酸性チオ硫酸の濃度は、約0.5%(w/v)~約0.7%(w/v)である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
亜塩素酸を含むガス化物を得る工程を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記還元工程において、還元作用のあるオキソ酸が併用される、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目18)
前記還元作用のあるオキソ酸は、酸性チオ硫酸、亜ジチオン酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ燐酸、ペルオキソクロム酸または酸化マンガンである、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目19)
前記還元作用のあるオキソ酸は、酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目20)
前記還元作用のあるオキソ酸は、前記還元工程において、前記還元作用のあるオキソ酸の塩から発生する、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目21)
前記還元作用のあるオキソ酸の塩は、酸性チオ硫酸塩、亜ジチオン酸塩、ペルオキソ一硫酸塩、ペルオキソ二硫酸塩、ペルオキソ燐酸塩、ペルオキソクロム酸塩、または過マンガン酸塩である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目22)
前記還元作用のあるオキソ酸の塩は、亜ジチオン酸ナトリウムまたはチオ硫酸ナトリウムである、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目23)
前記還元作用のあるオキソ酸は、過酸化水素と併用して使用される、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目24)
前記還元作用のあるオキソ酸が酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸であり、該酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸が、過酸化水素と併用される場合、該酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸の濃度は約0.5%~約1.5%である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
前記酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸の濃度は約0.5%~約1.0%である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目26)
工程2)において前記酸と前記還元作用のあるオキソ酸とを用いて第一反応ガスを発生させる工程を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目27)
工程2)において過酸化水素と前記還元作用のあるオキソ酸とを用いて第二反応ガスを発生させる工程を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目28)
工程2)において中和剤を使用して亜塩素酸を含む水溶液に前記第一反応ガスを捕捉する工程を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目29)
工程2)において中和剤を使用して亜塩素酸を含む水溶液に前記第二反応ガスを捕捉する工程を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目30)
前記中和剤のpHは、約6.0以上である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目31)
前記中和剤のpHは、約10.3~約10.7である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目32)
前記中和剤のTALは、約20以上である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目33)
前記中和剤のTALは約2000である、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目34)
前記中和剤は、pH約4.5以上約7.5以下の範囲で高い緩衝力を保持している、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目35)
前記中和剤は、無機酸、無機酸塩、有機酸および有機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を含む、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目36)
前記亜塩素酸を含む水溶液に無機酸、無機酸塩、有機酸もしくは有機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合する工程を包含する、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目37)
前記亜塩素酸を含む水溶液に無機酸もしくは無機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合する工程を包含する、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目38)
前記亜塩素酸を含む水溶液に無機酸もしくは無機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合した後、無機酸、無機酸塩、有機酸もしくは有機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合する工程を包含する、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目39)
前記無機酸は、炭酸、リン酸、ホウ酸または硫酸であることを特徴とする、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目40)
前記無機酸塩は、炭酸塩、水酸化塩、リン酸塩またはホウ酸塩であることを特徴とする、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムであることを特徴とする、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
前記水酸化塩は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムであることを特徴とする、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記リン酸塩は、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウムまたはリン酸二水素カリウムであることを特徴とする、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記ホウ酸塩は、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムであることを特徴とする、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記有機酸は、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸または乳酸であることを特徴とする、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記有機酸塩は、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウムまたは乳酸カルシウムであることを特徴とする、上記項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目47)
上記項目のいずれか1項に記載の方法によって生産される、亜塩素酸水。
(項目48)
1)塩を電気分解して塩素酸塩またはその水溶液を得るための電気分解槽、2)該塩素酸塩またはその水溶液を還元して、亜塩素酸を含む水溶液を得るための反応槽を包含する、亜塩素酸水の製造装置。
(項目49)
還元作用のあるオキソ酸を含む亜塩素酸水の反応性を調整するための薬剤。
本発明において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得ることが意図される。本発明のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
本発明によれば、有用な薬剤である亜塩素酸水を、塩を電気分解して得られたもの、いわゆる塩素酸塩を用いての新規製造法が提供され、食品産業、医療現場や介護並びに保育、教育現場、その他日用品等の抗菌、殺菌、除菌、消毒、更には抗ウイルスで幅広く活用できる可能性がさらに高まった。
本発明の亜塩素酸水の製造法は、従来の特許文献1に記載の製造法と比較して、
(1)塩素酸塩を原料として直接扱うことがないため、より安全であり、
(2)原料として、より安価な食塩を使用し、
(3)電気分解反応で得られた反応液を直接次の工程で使用することで、これまで、亜塩素酸を主たる有効成分とする亜塩素酸水だけでなく様々な機能を持つ亜塩素酸水を製造することが可能になった。
(1)について、塩素酸ナトリウム等の塩素酸塩は、消防法に基づく危険物第1類および毒物及び劇物取締法に基づく劇物に指定されており、また強力な酸化剤であるため、有機化合物や酸化されやすい物質からは離して保管しなければならないため、容易に取り扱うことができない物質であり、取り扱う際に注意を要する必要があったが、本発明の製造法では、塩素酸塩を電気分解反応系の中で発生させ、そのまま、次の工程へと移相するために、従来の製造法と比較すると安全に亜塩素酸水を製造することが可能になった。
(2)について、本発明の製造法では、日本薬局方塩化ナトリウムの規格に合致したものを用いる。これは、塩を原材料に用いるために、発がん性物質である臭素酸(BrO )の臭化物(Br)からの発生を防ぐためである。理論に束縛されることを望まないが、日本薬局方塩化ナトリウムの規格(臭化物(Br)濃度:100μg/g以下)に合致した塩化ナトリウムを用いることにより臭素酸(BrO )の生成量を水道水質基準以下に抑えることが可能になった。
(3)について、日本薬局方塩化ナトリウムの規格に合致した塩化ナトリウムを原料に電気分解反応系で生成された塩素酸含有水溶液をそのまま次の製造工程に用いることから、従来の製造特許で製造可能となっていた遅効性を主体にした亜塩素酸水を製造することができるだけでなく、これまで還元剤として過酸化水素に限定していたが、酸性チオ硫酸や亜ジチオン酸などの還元作用のあるオキソ酸と併用することにより、顕著に改善した高反応性などの様々な機能を持つ亜塩素酸水を製造することができるようになった。
図1は、無隔膜電気分解槽と各溶液の配合槽が分離している製造プラントの模式図を示す。それぞれの符号は以下のとおりである。1:塩溶解槽、2:飽和塩水ろ過装置、3:ポンプ1、4:制御盤、5:整流器・電源、6:電気分解槽、7:貯蔵槽、8:測定器、9:ポンプ2、10:冷却装置、11:塩酸滴定装置、12:反応槽、13:攪拌機、14:酸投入器、15:過酸化水素投入器、16:ポンプ3、17:中和槽、18:ガス洗浄槽、19:廃液処理槽、20:コンデンサ、21:ジャケット、A:飽和食塩水排出弁、B:電気分解槽排出弁、C:空気弁、D:循環用開閉コック、E:リッカー輩出弁、F:硫酸投入口弁、G:過酸化水素投入口弁、H:エアーポンプ用コック、I:三椏コック、J:反応液排出用弁、K:空気弁、L:サンプル弁。 図2は、亜塩素酸水AのUVスペクトルである。縦軸は吸光度を示し、横軸は波長(nm)を示す。 図3は、亜塩素酸水BのUVスペクトルである。縦軸は吸光度を示し、横軸は波長(nm)を示す。 図4は、実施例4において測定された各塩素酸化物の石炭酸係数と酸化力の関係を表すグラフである。縦軸は酸化力を示し、横軸は石炭酸係数を示す。 図5は、実施例4において測定された亜塩素酸水AとASCに対する酸化力と石炭酸係数の経時変化を表すグラフである。縦軸は酸化力を示し、横軸は石炭酸係数を示す。
以下、本発明を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(用語の定義)
本明細書における用語について以下に説明する。
本明細書において、「亜塩素酸水」とは、抗菌剤、殺菌剤、除菌剤、消毒剤、更には抗ウイルス剤、更には食品添加物:殺菌料として使用される亜塩素酸(HClO)を含む水溶液のことをいう。本発明の亜塩素酸水は、遷移状態を作り出し、分解反応を遅らせることで長時間にわたって亜塩素酸(HClO)を安定的に維持することができる。亜塩素酸水の検体を分光光度計により測定すると、UVスペクトルにおいて波長240~420nmの間に260nm付近でピークを表す解離状態の亜塩素酸(H・ClO )を含む吸収部と350nm付近にピークを表す水性二酸化塩素(ClO in water phase)を含む吸収部を2つ同時に確認できる場合、すなわち、双瘤を示す場合、亜塩素酸の存在を間接的に認めることができる。この際に亜塩素酸(HClO)と解離状態の亜塩素酸(H・ClO )の平衡関係(HClO⇔H・ClO )を主体として、水性二酸化塩素(ClO in water phase)を経由して、酸性水溶液の電子を受け取り、および解離状態の亜塩素酸(H・ClO )へ戻るというサイクル反応が同時進行していると考える。
本明細書において、用語「亜塩素酸水」は「亜塩素酸水製剤」を包含し得る。本発明の製法で製造した亜塩素酸水を用いて、特定の緩衝剤を配合することによって亜塩素酸水製剤を製造することができる。亜塩素酸水製剤の代表的な組成として、これに限定されることはないが、例えば、亜塩素酸水(4%品)14.500%(w/v)、リン酸二水素カリウム1.000%(w/v)、水酸化ナトリウム0.014%(w/v)および精製水86.500%(w/v)のものを配合し、使用することができる(出願人より「ケアフォルピス」という名称で販売されている。)が、この配合組成の場合は、亜塩素酸水は、0.25%(w/v)~75%(w/v)、リン酸二水素カリウムは、0.70%(w/v)~13.90%(w/v)、水酸化ナトリウムは、0.01%(w/v)~5.60%(w/v)であっても良い。リン酸二水素カリウムの代わりにリン酸二水素ナトリウムを、水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを使用しても良い。
本明細書において亜塩素酸水の「安定」とは、亜塩素酸(HClO)が維持されている状態のことをいう。
本明細書において「抗菌(作用)」とは病原性や有害性や感染性を有する糸状菌、細菌等の微生物の増殖を抑制することをいう。抗菌作用を有するものを抗菌剤という。
本明細書において「殺菌(作用)」とは病原性や有害性や感染性を有する糸状菌、細菌等の微生物を死滅させることをいう。殺菌作用を有するものを殺菌剤という。
本明細書において「除菌(作用)」とは病原性や有害性や感染性を有する糸状菌、細菌等の微生物を除去することをいう。除菌作用を有するものを除菌剤という。
本明細書において「消毒(作用)」とは病原性や有害性や感染性を有する糸状菌、細菌等の微生物を消毒することをいう。消毒作用を有するものを消毒剤という。
本明細書において「抗ウイルス(作用)」とは、ウイルス等を不活化させることをいう。不活化効果(作用)を有するものを抗ウイルス剤という。
抗菌作用を持つものを抗菌剤と呼び、殺菌作用を持つものを殺菌剤と呼び、除菌作用を持つものを除菌剤と呼び、消毒作用を持つものを消毒剤と呼び、抗ウイルス作用を持つものを抗ウイルス剤と呼び、本明細書では必ずこれらは分離して表現しなければならない。これに書かれていないものは、それに該当しない。本明細書において、通常これらの用語を使用する場合は、抗菌作用や、殺菌作用や、除菌作用や、消毒作用、ウイルスの不活化作用に該当する内容をも有する薬剤と理解される。
本明細書において、製造される亜塩素酸水とともに用いられる物品は、亜塩素酸水を含浸させて抗菌作用、殺菌作用、除菌作用、消毒作用、更には抗ウイルス作用の目的に使用されうる任意の物品であり、医療デバイス等も含まれ、シート、フィルム、パッチ、ブラシ、不織布、ペーパー、布、脱脂綿、スポンジ等をあげることができるが、あくまでもそれらに限定されない。また、亜塩素酸水を含浸させることができる限りどのような材料を用いてもよい。
本明細書において「TAL」とは試料中のアルカリ度を測定する為に、試料をpH4.0になるまで0.1mol/L塩酸-酸標準液を滴定し、試料100gのpHを4.0にする為に必要な0.1mol/L塩酸が1mLの時、アルカリ度(TAL)を1とする。pH4.0は炭酸ナトリウムの第二中和点である。なお、高度サラシ粉は、規格が広く、各社でpH調整剤などの配合で異なることから、通常は、TALは規格に記載されないことが多い。
本明細書において、「還元作用のあるオキソ酸」とは、プロトンとして解離し得る水素が酸素原子に結合した酸で、一般式XO(OH)(Xは、金属原子または酸素以外の非金属原子、nおよびmは、1以上の整数である。)で表される酸を指す。代表的な還元作用のあるオキソ酸として、チオ硫酸、亜ジチオン酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸等が挙げられる。
本明細書において、「リッカー液」(Liquor)とは、電気分解をした後の液を指す。(John J.McKetta、Guy E.Weismantel.編「Encyclopedia of Chemical Processing and Design」51、148~151ページを参照のこと。)
本明細書において、「酸性チオ硫酸」とは、チオ硫酸塩を硫酸などの強酸性物質に配合することによって、チオ硫酸とすることによって得た、「酸性状態にしたチオ硫酸塩」を指す。
本明細書において数値が「約」という言葉で修飾されるときは、その数値は記載された数値の一桁下の桁を四捨五入してその数値となる範囲を示す。たとえば、約5とは、4.5から5.5未満を意味し、約0.5とは、0.45から0.55未満を意味することが理解される。
(亜塩素酸水およびその製造例)
本発明で使用される亜塩素酸水は、本発明者らが見出した特徴や機能を有するものである。
本発明は、特許文献1に記載されるような既知の製法等とは異なる方法に関するものである。
すなわち、従来亜塩素酸水の製法では、強い酸化作用をもち、有機物、硫黄、金属粉などが混ざると、加熱、摩擦又は衝撃で爆発する性質を有する塩素酸ナトリウムの水溶液に、該水溶液のpH値を2.3から3.4内に維持させることができる量及び濃度の硫酸またはその水溶液を加えて反応させることにより、塩素酸を発生させ、次いで該塩素酸の還元反応に必要とされる量と同等、もしくはそれ以上の量の過酸化水素を加えていた。この製法によって得られた亜塩素酸水は、不安定な亜塩素酸を間接的に維持させることができる「サイクル反応」を形成しており、有機物や微生物と接触して消失した酸化力を補い、いつまでも同じ抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力を維持することができる機能を持ち合わせており、次亜塩素酸ナトリウムが有する、強い効果ではあるものの有機物や微生物と接触すると直ちに消失してしまうような抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果とは、明らかに異なる特徴を有していることが分かっている。
これに対し、本発明では、原料として塩素酸塩ではなく安価で取り扱いやすい塩を電気分解して塩素酸塩またはそれを含む水溶液を得、その後、この水溶液に硫酸で酸性化した酸性チオ硫酸若しくは亜ジチオン酸などを加え、第一反応を行う。この際に、亜塩素酸を含む塩素ガスを発生させた後に、更に、酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸などを配合した過酸化水素を加え、第二反応を行う。その際に、亜塩素酸を含む二酸化塩素ガスを発生させ、それぞれのガスをTALが高く、中性域に緩衝力のある中和剤に吸着させる。場合によっては、第一反応で発生してくるガスと第二反応で発生してくるガスは別の中和剤に吸着させ、その後、配合してもよい。第一反応ガスと第二反応ガスを吸着させて出来上がった亜塩素酸水に対して、必要に応じて緩衝剤を含めpHを維持させる(pH3.2~pH8.5)ことによって、従来の製造法と比べ、高反応性のような様々な機能を持つ亜塩素酸水の製造法の開発を達成したものである。
(好ましい実施形態の説明)
以下に本発明の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきではないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本発明の以下の実施形態は単独でも使用され、あるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
1つの局面において、本発明は、1)塩を電気分解して塩素酸塩またはその水溶液を得る工程、および2)該塩素酸塩またはその水溶液を還元し、亜塩素酸を含む水溶液を製造する工程を包含する、亜塩素酸水の製造方法を提供する。好ましくは本発明は、1)塩を電気分解して塩素酸塩またはその水溶液を得る工程、および2)該塩素酸塩またはその水溶液を1種類または数種類の還元作用のあるオキソ酸を併用して還元し、亜塩素酸を含む水溶液を製造する工程を包含する、亜塩素酸水の製造方法を提供する。理論に束縛されることを望まないが、塩素酸ナトリウム等の塩素酸塩を原料とする従来の方法に比較して、より汎用性に富んだ亜塩素酸水を製造することが可能になるからである。
抗菌剤、殺菌剤、除菌剤、消毒剤、更には抗ウイルス剤として使用されうる亜塩素酸(HClO)を含む水溶液(亜塩素酸水)の製造方法では、従来、塩素酸ナトリウム(NaClO)の水溶液に、硫酸(HSO)またはその水溶液を加えて酸性条件にすることで得られた塩素酸(HClO)を、還元反応により亜塩素酸とするために必要な量の過酸化水素(H)を加えることにより、亜塩素酸(HClO)を生成するようなことが行われている。この製造方法の基本的な化学反応は、下記のA式、B式で表わされる。
Figure 2022121439000001
A式では塩素酸ナトリウム(NaClO)水溶液のpH値が酸性内に維持できる量および濃度の硫酸(HSO)またはその水溶液を加えることで塩素酸を得ると同時にナトリウムイオンを除去することを示している。次いで、B式では、塩素酸(HClO)は、過酸化水素(H)で還元され、亜塩素酸(HClO)が生成されることを示している。
Figure 2022121439000002
その際に、二酸化塩素ガス(ClO)が発生するが(C式)、過酸化水素(H)と共存させることにより、D~F式の反応を経て、亜塩素酸(HClO)を生成する。従来の発明では、この二酸化塩素ガス(ClO)以降の反応を利用するものである。
そこで、本発明における亜塩素酸水の製造方法は、塩を原材料に電気分解することから始まる。この反応は、既知の方法であり、G式によって行われる。
NaCl+3HO→NaClO+3H (G式)
ただし、pHの条件が最適でない場合や、通電する際の電流密度が十分供給できない場合、副反応としてH式のような反応も起こり得る。
NaCl+HO→NaClO+H (H式)
1つの好ましい実施形態では、前記塩は、塩化ナトリウムである。理論に束縛されることを望まないが、塩化ナトリウムを原料に用いることにより、安全に亜塩素酸水を製造することが可能になるからである。
さらなる好ましい実施形態では、前記塩化ナトリウムは日本薬局方塩化ナトリウムの規格に合致したものである。理論に束縛されることを望まないが、日本薬局方塩化ナトリウムの規格(臭化物(Br)濃度:100μg/g以下)に合致した塩化ナトリウムに限定して用いることにより臭素酸(BrO )の生成量を水道水質基準以下に抑えることが可能であるからである。
1つの好ましい実施形態では、前記電気分解は、無隔膜電気分解槽に飽和塩化ナトリウム水溶液を流し、約0.3%塩酸(およそ0.1N-HCl)を加え、pH約5.9~約7.5域を維持するように通電を行う。
電気分解の際のpHについて、好ましくは、pH約5.9~約7.5域、pH約6.0~約7.5域、pH約6.1~約7.5域、pH約6.2~約7.5域、pH約6.3~約7.5域、pH約6.4~約7.5域、pH約6.5~約7.5域、pH約6.6~約7.5域、pH約6.7~約7.5域、pH約6.8~約7.5域、pH約6.9~約7.5域、pH約7.0~約7.5域、pH約7.1~約7.5域、pH約7.2~約7.5域、pH約7.3~約7.5域、pH約7.4~約7.5域が挙げられるが、あくまでもこれらに限定されない。より好ましくはpH約5.9~約7.5域が挙げられるが、あくまでもこれに限定されない。さらに好ましくは、pH約5.9~約7.0域が挙げられるが、あくまでもこれらに限定されない。最も好ましくはpH約6.0が挙げられるが、あくまでもこれに限定されない。
電気分解は、電圧約2.75~約3.5Vであり、電流密度は、約600~約5000A/mであり、液温は約70℃~約90℃の条件で、通電を行うことが条件である。理論に束縛されることを望まないが、比較的純度の高い塩素酸ナトリウムが得られ、その結果、特許文献1のような従来の製法で得られる亜塩素酸水と同等のものを得ることが可能となる。
好ましくは、電圧について、約2.8~約3.5V、約2.9~約3.5V、約3.0~約3.5V、約3.1~約3.5V、約3.2~約3.5V、約3.3~約3.5V、約3.4~約3.5Vが挙げられるが、あくまでもこれらに限定されない。その最適な電圧としては、約3Vを挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。
好ましくは、電流密度について、約600~約5000A/m、約700~約5000A/m、約800~約5000A/m、約900~約5000A/m、約1000~約5000A/m、約1100~約5000A/m、約1200~約5000A/m、約1300~約5000A/m、約1400~約5000A/m、約1500~約5000A/m、約1600~約5000A/m、約1700~約5000A/m、約1800~約5000A/m、約1900~約5000A/m、約2000~約5000A/m、約2100~約5000A/m、約2200~約5000A/m、約2300~約5000A/m、約2400~約5000A/m、約2500~約5000A/m、約600~約5000A/m、約600~約4900A/m、約600~約4800A/m、約600~約4700A/m、約600~約4600A/m、約600~約4500A/m、約600~約4400A/m、約600~約4300A/m、約600~約4200A/m、約600~約4100A/m、約600~約4000A/m、約600~約3900A/m、約600~約3800A/m、約600~約3700A/m、約600~約3600A/m、約600~約3500A/m、約600~約3400A/m、約600~約3300A/m、約600~約3200A/m、約600~約3100A/m、約600~約3000A/m、約600~約2900A/m、約600~約2800A/m、約600~約2700A/m、約600~約2600A/m、約600~約2500A/mを挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。その最適な電流密度は約2500A/mであり、あくまでもこれらに限定されない。
液温は約70℃~約90℃の条件で、好ましくは、約75℃~約90℃、約80℃~約90℃、約85℃~約90℃、約70℃~約85℃、約70℃~約80℃、約70℃~約75℃を挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。
前記硫酸、燐酸または硝酸の濃度は、約60%(w/w)~約90%(w/w)、よりこのましくは、約65%(w/w)~約90%(w/w)、約70%(w/w)~約90%(w/w)、約60%(w/w)~約85%(w/w)、約60%(w/w)~約80%(w/w)、約60%(w/w)~約75%(w/w)であり、さらに好ましくは約70%(w/w)であるがあくまでもこれに限定されない。
前記酸溶液は、酸性チオ硫酸を含む。理論に束縛されることを望まないが、酸溶液は、酸性チオ硫酸を含むことにより、従来のものと比べて顕著に改善した高反応性を有する亜塩素酸水を製造することができるからである。
前記酸性チオ硫酸の濃度は、好ましくは約0%(w/v)~約1.3%(w/v)であり、より好ましくは、約0.1%(w/v)~約1.3%(w/v)、約0.2%(w/v)~約1.3%(w/v)、約0.3%(w/v)~約1.3%(w/v)、約0.4%(w/v)~約1.3%(w/v)、約0.5%(w/v)~約1.3%(w/v)、約0%(w/v)~約1.2%(w/v)、約0%(w/v)~約1.1%(w/v)、約0%(w/v)~約1.0%(w/v)、約0%(w/v)~約0.9%(w/v)、約0%(w/v)~約0.8%(w/v)、約0%(w/v)~約0.7%(w/v)であり、さらに好ましくは、約0.5%(w/v)~約0.7%(w/v)であるがあくまでもこれに限定されない。
1つの好ましい実施形態では、還元工程において、還元作用のあるオキソ酸またはその塩が併用される。理論に束縛されるわけではないが、還元工程において、還元作用のあるオキソ酸またはその塩が併用されることにより、従来の遅効性を主体にした亜塩素酸水を製造することができるだけでなく、顕著に改善した速効性高反応性などの様々な機能を持つ亜塩素酸水を製造することができるようになるからである。還元工程で用いられる還元剤としては、一般的に過酸化水素が使用され、還元作用のあるオキソ酸も使用または併用される。
1つの好ましい実施形態では、過酸化水素を含むオキソ酸は、過酸化水素の他に、還元作用のあるオキソ酸として、亜ジチオン酸、酸性チオ硫酸、ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ燐酸、ペルオキソクロム酸、酸化マンガン酸を含む。理論的に拘束されることを望まないが、過酸化水素を用いた従来の還元反応では二酸化塩素ガスしか発生しないが、過酸化水素にこれらの還元作用のあるオキソ酸と併用することにより、亜塩素酸を発生させ、これらを含むガスを得ることができるからである。好ましくは、前記還元作用のあるオキソ酸は、酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸が挙げられるが、あくまでもこれらに限定されない。
前記還元作用のあるオキソ酸が酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸であり、該酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸が、過酸化水素と併用される場合、該酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸の濃度は約0.5%~約1.5%であり、好ましくは、約0.5%~約1.4%、約0.5%~約1.3%、約0.5%~約1.2%、約0.5%~約1.1%、約0.5%~約1.0%であり、さらに好ましくは、約0.5%~約1.0%であるが、あくまでもこれらに限定されない。
本製法では二種類のガスが発生し、第一反応のガスは、塩素と亜塩素酸を含むガス(以下、第一反応ガス)、第二反応のガスは、亜塩素酸と二酸化塩素を含むガス(以下、第二反応ガス)が得られる。
1つの好ましい実施形態では、第一反応ガスと第二反応ガスを吸着させる中和剤のpHは好ましくは、約6.0以上、約6.5以上、約7.0以上、約7.5以上、約8.0以上、約8.5以上、約9.0以上、約9.5以上、約10.0以上、約11.0以上、約12.0以上、約13.0以上、を挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。可能であれば、約6.0以上約11.0以下、より好ましくは約6.5以上約11.0以下、約7.0以上約11.0以下、約7.5以上約11.0以下、約8.0以上約11.0以下、約8.5以上約11.0以下、約9.0以上約11.0以下、約9.5以上約11.0以下、約10.0以上約11.0以下、約10.5以上約11.0以下を挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。最適のpHは約10.3~約10.7を挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。TALは約20以上、約30以上、約40以上、約50以上、約60以上、約70以上、約80以上、約90以上、約100以上、約200以上、約300以上、約400以上、約500以上、約600以上、約700以上、約800以上、約900以上、約1000以上、約1100以上、約1200以上、約1300以上、約1400以上、約1500以上、約1600以上、約1700以上、約1800以上、約1900以上であることを挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。最適のTALは2000を挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。また、pH約4.5以上約7.5以下、pH約4.6以上約7.5以下、pH約4.7以上約7.5以下、pH約4.8以上約7.5以下、pH約4.9以上約7.5以下、pH約5.0以上約7.5以下、pH約5.1以上約7.5以下、pH約5.2以上約7.5以下、pH約5.3以上約7.5以下、pH約5.4以上約7.5以下、pH約5.5以上約7.5以下、pH約5.6以上約7.5以下、pH約5.7以上約7.5以下、pH約5.8以上約7.5以下、pH約5.9以上約7.5以下、pH約6.0以上約7.5以下、pH約6.1以上約7.5以下、pH約6.2以上約7.5以下、pH約6.3以上約7.5以下、pH約6.4以上約7.5以下、pH約6.5以上約7.5以下、pH約6.6以上約7.5以下、pH約6.7以上約7.5以下、pH約6.8以上約7.5以下、pH約6.9以上約7.5以下の、pH約7.0以上約7.5以下、pH約7.1以上約7.5以下pH約7.2以上約7.5以下pH約7.3以上約7.5以下pH約7.4以上約7.5以下、pH約4.5以上約7.4以下、pH約4.5以上約7.3以下、pH約4.5以上約7.2以下、pH約4.5以上約7.1以下、pH約4.5以上約7.0以下、pH約4.5以上約6.9以下、pH約4.5以上約6.8以下、pH約4.5以上約6.7以下、pH約4.5以上約6.6以下、pH約4.5以上約6.5以下、pH約4.5以上約6.4以下、pH約4.5以上約6.3以下、pH約4.5以上約6.2以下、pH約4.5以上約6.1以下、pH約4.5以上約6.0以下、pH約4.5以上約5.9以下、pH約4.5以上約5.8以下、pH約4.5以上約5.7以下、pH約4.5以上約5.6以下、pH約4.5以上約5.5以下、pH約4.5以上約5.4以下、pH約4.5以上約5.3以下、pH約4.5以上約5.2以下、pH約4.5以上約5.1以下、pH約4.5以上約5.0以下、pH約4.5以上約4.9以下、pH約4.5以上約4.8以下、pH約4.5以上約4.7以下、pH約4.5以上約4.6以下の範囲で高い緩衝力を保持している中和剤、すなわち酸解離定数が約4.5以上約7.5以下、pH約4.6以上約7.5以下、pH約4.7以上約7.5以下、pH約4.8以上約7.5以下、pH約4.9以上約7.5以下、pH約5.0以上約7.5以下、pH約5.1以上約7.5以下、pH約5.2以上約7.5以下、pH約5.3以上約7.5以下、pH約5.4以上約7.5以下、pH約5.5以上約7.5以下、pH約5.6以上約7.5以下、pH約5.7以上約7.5以下、pH約5.8以上約7.5以下、pH約5.9以上約7.5以下、pH約6.0以上約7.5以下、pH約6.1以上約7.5以下、pH約6.2以上約7.5以下、pH約6.3以上約7.5以下、pH約6.4以上約7.5以下、pH約6.5以上約7.5以下、pH約6.6以上約7.5以下、pH約6.7以上約7.5以下、pH約6.8以上約7.5以下、pH約6.9以上約7.5以下の、pH約7.0以上約7.5以下、pH約7.1以上約7.5以下pH約7.2以上約7.5以下pH約7.3以上約7.5以下pH約7.4以上約7.5以下、pH約4.5以上約7.4以下、pH約4.5以上約7.3以下、pH約4.5以上約7.2以下、pH約4.5以上約7.1以下、pH約4.5以上約7.0以下、pH約4.5以上約6.9以下、pH約4.5以上約6.8以下、pH約4.5以上約6.7以下、pH約4.5以上約6.6以下、pH約4.5以上約6.5以下、pH約4.5以上約6.4以下、pH約4.5以上約6.3以下、pH約4.5以上約6.2以下、pH約4.5以上約6.1以下、pH約4.5以上約6.0以下、pH約4.5以上約5.9以下、pH約4.5以上約5.8以下、pH約4.5以上約5.7以下、pH約4.5以上約5.6以下、pH約4.5以上約5.5以下、pH約4.5以上約5.4以下、pH約4.5以上約5.3以下、pH約4.5以上約5.2以下、pH約4.5以上約5.1以下、pH約4.5以上約5.0以下、pH約4.5以上約4.9以下、pH約4.5以上約4.8以下、pH約4.5以上約4.7以下、pH約4.5以上約4.6以下の範囲にある中和剤が望ましい。
基本的には国際出願番号PCT/JP2014/006379の内容に準じるが、中和剤の条件は、pH
は6.0以上であり、出来れば、pHは6.0以上11.0以下が望ましく、最適のpHは10.3~10.7であり、TALは20以上あることが望ましく、最適のTALは2000である。これらの条件よりも重要なことは、pH4.5以上7.5の範囲で高い緩衝力を保持している中和剤でなくてはならない。
前記、中和剤は、理論的に拘束されることを望まないが、無機酸、無機酸塩、有機酸、有機酸塩、水酸化塩などを使用することができるが、上記条件を満たすことがなによりも優先される。
その理由は、国際出願番号PCT/JP2014/006379で指定されているpH以上の中和剤を用い
ると、吸着した二酸化塩素ガスや亜塩素酸は、全て亜塩素酸ナトリウムになってしまうことがあり、これを防ぐ必要がある。以上の理由から、不適切な中和剤を用いると本発明による特徴のある製造方法を実施する意味が無くなる可能性があり、注意が必要であるが、二酸化塩素ガスや亜塩素酸の完全な亜塩素酸ナトリウム化を防ぐことができれば、その限りではない。
電気分解で得られた塩素酸塩を含む水溶液には、場合によって、副生成物である次亜塩素酸塩も含まれているため、硫酸にチオ硫酸塩を配合した酸を少しずつ加える。このとき、次亜塩素酸塩は、硫酸と反応し、塩素ガスが得られる(I式)が得られるが、酸性状態で脱塩した酸性チオ硫酸は、塩素酸塩の一部を亜塩素酸に変換(J式)し、同時にガス化するので、これを中和液にトラップする。
2NaClO+HSO→Cl+NaSO+O (I式)
+4HClO+HO→4HClO+2HSO (J式)
前記酸は、硫酸を使用することが最も望ましいが、燐酸、硝酸を使用してもよい。
前記酸と酸性チオ硫酸の配合量は、添加する酸約70%(w/w)水溶液に対して、約0%(w/v)~約1.3%(w/v)の配合が適切であり、酸性チオ硫酸の最適濃度は、約0.5%~約0.7%が望ましい。
次に、チオ硫酸塩を配合した硫酸を投入した結果、激しい反応が起こらなくなり、かつ、気泡が無くなり、その上で、第一反応ガスの発生も無くなったことを確認したら、次に、酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸を配合した過酸化水素を少しずつ投入する。その際、第二反応ガス(C式、J式又はK式)が発生するので、これを中和液にトラップする。
+3HClO+HO→3HClO+2HSO (K式)
酸性チオ硫酸か亜ジチオン酸以外にペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ燐酸、ペルオキソクロム酸、酸化マンガンを使用してもよい。
過酸化水素は35%品のものを使用し、これに、酸性チオ硫酸または亜ジチオン酸を約0%~約1.5%配合する。約0.5%~約1.0%程度が望ましい。この混合液を全配合量に対して、約3~約5%(w/w)になるように前記、反応液に加えることで第二反応を開始する。
二段階による反応で発生した2種類の亜塩素酸を含むガス(第一反応ガスと第二反応ガス)は、中和剤にトラップする。
前記中和剤で得られた水溶液を亜塩素酸水とする。
その際に、第一反応ガスを多く吸着させれば、反応性の高い亜塩素酸水を得ることができる。また、第二反応ガスを主体に吸着させれば、特許文献1のような製造方法で得られる従来の特長を持つ亜塩素酸水を得ることができる。
別々の中和剤に第一反応ガスと第二反応ガスを吸着させた溶液を配合して、一つの亜塩素酸水とすることができる。
中和剤は、同じ成分であっても良いし、上記の条件に合致していれば、違う成分の中和剤を用いても良い。
ところで、生成された亜塩素酸(HClO)は、複数の亜塩素酸分子同士が互いに分解反応を起こしたり、塩化物イオン(Cl)や次亜塩素酸(HClO)およびその他の還元物の存在により、早期に二酸化塩素ガスや塩素ガスへと分解してしまうという性質を有している。そのため、抗菌剤、殺菌剤、除菌剤、消毒剤、更には抗ウイルス剤として有用なものにするためには、亜塩素酸(HClO)の状態を長く維持できるように調製する必要がある。
好ましい実施形態では、サイクル反応を維持するために、製造が完了した前記亜塩素酸を含む水溶液に緩衝剤を加える工程を包含する。無機酸、無機酸塩、有機酸もしくは有機酸塩のうちのいずれか単体もしくは2種類以上の単体を混合する。このように、さらなる工程を加えることにより、pH等を調整し遷移状態を作り出し、分解反応を遅らせることで長時間にわたって亜塩素酸(HClO)を安定して維持することができるからである。
更に、好ましい実施形態では、サイクル反応を維持するために、前記亜塩素酸を含む水溶液に無機酸もしくは無機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合する工程を包含する。このように、さらなる工程を加えることにより、pH等を調整し遷移状態を調整することができるからである。
又更に、好ましい実施形態では、サイクル反応を維持するために、前記亜塩素酸を含む水溶液に無機酸もしくは無機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合した後、無機酸、無機酸塩、有機酸もしくは有機酸塩のうちのいずれか単体または2種類以上の単体を混合する工程を包含する。このように、さらなる工程を加えることにより、pH等を調整し遷移状態を調整することができるからである。
また、別の実施形態では、上記方法において無機酸は、炭酸、リン酸、ホウ酸または硫酸を用いることができるが、リン酸が好ましい。理論に束縛されることを望まないが、本発明では、特にリン酸を用いることで、適切なpHの範囲内で、緩衝効果が高く、亜塩素酸の状態で、しかも、抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を保ったまま維持することができると示されている。
さらにまた、別の実施形態では、無機酸塩が、炭酸塩、水酸化塩、リン酸塩またはホウ酸塩を用いることができるが、リン酸塩が好ましい。なお、本明細書において、水酸化塩は、無機酸塩の範疇に含まれる。理論に束縛されることを望まないが、本発明では、特にリン酸塩を用いることで、適切なpHの範囲内で、緩衝効果が高く、亜塩素酸の状態で、しかも、抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を保ったまま維持することができると示されている。
また、別の実施形態では、炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムを用いることができる。好ましくは、炭酸ナトリウムを用いることができる。pHが弱アルカリ域および弱酸性域の2箇所で緩衝力をもつため、この領域で亜塩素酸をより有利に安定させることができるからである。
さらに、別の実施形態では、水酸化塩としては、無機水酸化物が挙げられ、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムを用いることができる。水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが好ましい。理論に束縛されることを望まないが、これらの水酸化塩は亜塩素酸含量を上げる際に用いることができる。他方、二価の塩を用いれば、リン酸と併用することで、脱塩することができ、亜塩素酸及び亜塩素酸イオンに対する塩量を低減させることができるため、有利であり得る。
好ましい実施形態では、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムは、0.1N~1.0Nであり、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムの緩衝pHは5.0~7.5、特にpH5.0~7.0である。これらの組成およびpHにおいて、従前予想されていた範囲より予想外に長期間安定して、その効果が改善されているからである。
さらなる実施形態では、リン酸塩としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウムまたはリン酸二水素カリウムを用いることができる。理論に束縛されることを望まないが、これらのリン酸塩は最も抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力を発揮する有用なpH域であるpH5台~pH6台の間で緩衝力を持たせることができるからである。このpH域で亜塩素酸を安定して存在させることができるため有利であり得る。さらにまた、理論に束縛されることを望まないが、本発明では、金属としてカリウム塩(水酸化カリウム、リン酸カリウム塩(例えば、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウムまたはリン酸二水素カリウム))を用いる方が、金属としてナトリウム塩(例えば、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム))を用いるよりも、長く安定した遷移状態を作り出すことができ、しかも、分解反応を遅らせることで長時間にわたって亜塩素酸(HClO)を維持することができるということが示された。好ましくは、リン酸水素二カリウムを用いることができる。
また、別の実施形態では、ホウ酸塩としては、ホウ酸ナトリウムまたはホウ酸カリウムを用いることができる。カリウム塩が好ましいが、あくまでもこれに限定されない。
さらに、別の実施形態では、有機酸としては、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、酢酸または乳酸を用いることができる。好ましくは、コハク酸を用いることができる。理論に束縛されることを望まないが、コハク酸は、pH5台からpH4台の間で緩衝力を持たせることができる。このpHの範囲内であれば二酸化塩素の急速なガス化を押さえることができる。ただし、pH5台よりも下回ると、急激にpHが低下する傾向にあり、その場合は、クエン酸などのpH3台で緩衝力のある有機酸を利用することが望ましい。
さらにまた、別の実施形態では、有機酸塩としては、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウムまたは乳酸カルシウムを用いることができる。
酸および/またはその塩を加えた場合においては、一時的にNa+ClO ⇔Na-ClOやK+ClO ⇔K-ClOやH+ClO ⇔H-ClOといった遷移の状態が作り出され、亜塩素酸(HClO)の二酸化塩素(ClO)への進行を遅らせることができる。これにより、亜塩素酸(HClO)を長時間維持し、二酸化塩素(ClO)の発生が少ない亜塩素酸を含む水溶液を製造することが可能となる。理論に束縛されることを望まないが、本発明では、リン酸緩衝剤を用いることで、このような維持の効果が増強されることが示された。理論に束縛されることを望まないが、本発明ではさらに、カリウム塩を用いることで、ナトリウム塩等を使用した場合に比べてこのような維持の効果をさらに増強することが示された。
以下に、上記化学式2での亜塩素酸塩の酸性溶液中の分解を表わす。
Figure 2022121439000003
この式で表されるように、亜塩素酸塩水溶液のpHにおける分解率は、そのpHが低くなるほど、すなわち酸が強くなるほど、亜塩素酸塩水溶液の分解率が大きくなる。すなわち、上記式中の反応(a)(b)(c)の絶対速度が増大することになる。例えば、反応(a)の占める割合はpHが低くなるほど小さくなるが、全分解率は大きく変動し、すなわち大となるため、二酸化塩素(ClO)の発生量もpHの低下とともに増大する。このため、pH値が低ければ低いほど、漂白力を始め、抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力は早まるが、刺激性の有害な二酸化塩素ガス(ClO)によって作業が困難になったり、人の健康に対しても悪い影響を与えることになる。また、亜塩素酸の二酸化塩素への反応が早く進行し、亜塩素酸は不安定な状態になり、抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力を維持している時間も極めて短い。
そこで、亜塩素酸(HClO)を含む水溶液に上記無機酸、無機酸塩、有機酸もしくは有機酸塩を加える場合には、二酸化塩素の発生の抑制や殺菌力とのバランスの観点から、pH値を約3.2~約8.5の範囲内、目的に応じpH約3.2~約7.0、pH約5.0~約7.0等の好ましい範囲内で調整する。
検体を分光光度計により測定すると、波長約240~約420nmの間に260nm付近でピークを表す酸性亜塩素酸イオン(H+ClO )を含む吸収部と350nm付近にピ-クを表す二酸化塩素(ClO)を含む吸収部を2つ同時に確認できる場合、本発明の亜塩素酸水が存在していると認識できる。すなわち、亜塩素酸(HClO)の存在を認めることができる。なぜならば、下記化学式4に示したように、亜塩素酸(HClO)を主体として、二酸化塩素(ClO)、および酸性亜塩素酸イオン(H+ClO )のサイクル反応が同時に進行しているからである。
Figure 2022121439000004
亜塩素酸(HClO)が二酸化塩素(ClO)へと変化してしまうと、ほぼ350nmのみの単一ピークになる。
この際に、直接緩衝剤を加えるか、もしくは炭酸ナトリウム等で一度pHを調製したあとに他の緩衝剤を加えることで、よりpHを安定化させることができるということも従前に判明している。
理論に束縛されることを望まないが、本発明では、亜塩素酸(HClO)、二酸化塩素ガス(ClO)またはこれらを含む水溶液と、無機酸、無機酸塩、有機酸もしくは有機酸塩のうちのいずれか単体もしくは2種類以上の単体、またはこれらを併用したものとを組み合わせることで、遷移状態を作り出し、分解反応を遅らせることで長時間にわたって亜塩素酸(HClO)を安定させ、かつ、維持することができる。そのため、予想外に、抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を維持しつつ長期間安定して、その効果を奏することが見出された。好ましいpHの範囲は、3.2以上7.0未満、約5.0~約7.5、約5.0~約7.0、約5.5~約7.0、約5.0~約6.0等を挙げることができ、下限としては、約5.0、約5.1、約5.2、約5.3、約5.4、約5.5等を挙げることができ、上限としては、約7.5、約7.4、約7.3、約7.2、約7.1、約7.0、約6.9、約6.8、約6.7、約6.5、約6.4、約6.3、約6.2、約6.1、約6.0、約5.9、約5.8、約5.7、約5.6、約5.5等を挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。最適なpHとしては、約5.5を挙げることができるが、あくまでもこれらに限定されない。本明細書においてpHの値について「約」というときは、小数点一桁を有効数字とするときは、前後0.05の範囲にわたることを意味する。たとえば、約5.5とは、5.45~5.55を意味することが理解される。亜塩素酸ナトリウムとの峻別という意味では本発明はpH7.0未満とすることが好ましいが、あくまでもこれに限定されない。
好ましい水酸化金属は、水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを含むものであり、好ましいリン酸金属はリン酸ナトリウム(例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム)および/またはリン酸カリウム(例えば、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム;特にリン酸二水素カリウム)を含むものであり、さらに好ましくは、水酸化カリウムおよびリン酸カリウム(例えば、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム;特にリン酸二水素カリウム)を含むものであるが、あくまでもこれらに限定されない。
1つの局面において、本発明は、1)塩を電気分解して塩素酸塩またはその水溶液を得るための電気分解槽、2)該塩素酸塩またはその水溶液を還元して、亜塩素酸を含む水溶液を得るための反応槽を包含する、亜塩素酸水の製造装置を提供する。
1つの局面では、本発明は、本発明の抗菌剤、殺菌剤、除菌剤、消毒剤、更には抗ウイルス剤を含浸させた物品を提供する。本発明の物品として使用されうる物品は、亜塩素酸水を含浸させて抗菌、殺菌、除菌、消毒、更には抗ウイルス等の目的に使用されうる任意の物品であり、医療デバイス等も含まれ、シート、フィルム、パッチ、ブラシ、不織布、ペーパー、布、脱脂綿、スポンジ等をあげることができるが、あくまでもそれらに限定されない。
(電気分解による亜塩素酸水の一般製造例)
水道水の入った塩溶解槽に塩が溶解しなくなるまで入れ塩溶液を得る。電気分解槽と貯蔵槽にこの塩溶液を移送し、満たす。その際に、ろ過を行い溶解していない塩を取り除いておく。約0.3%濃度の塩酸希釈液を塩酸滴定装置にセットし、滴定を開始する。塩溶液を循環させながら、pHの値を調整する。冷却装置を稼動させ、冷却水を循環させる。制御盤を操作し、電気を発生させ整流器を通して、通電を開始する。通電後の溶液を反応槽へ移送する。予め、中和槽に中和液、ガス洗浄装置にガス洗浄液を充填しておき、その上で、反応槽の攪拌装置を稼働させて、その中の通電後の溶液に対し、酸溶液を少しずつ入れる。その際に、反応槽内に第一反応ガスが発生していないことを確認してから、残りの酸溶液を入れる。さらに、過酸化水素溶液をゆっくり入れ、少しずつ第二反応ガスを発生させ、中和槽内の中和液にこのガスを吸着させる。この作業を必要な回数だけ行い、規格に合致した時点で製造を終了する。
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願などの参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
以上、本発明を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本発明を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本発明を限定する目的で提供したものではない。したがって、本発明の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
以下の実施例・比較例に従って本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も、本発明の範囲に含まれるものとする。
必要な場合、以下の実施例で用いる動物の取り扱いは、ヘルシンキ宣言に基づいて行った。試薬類は具体的には実施例中に記載した製品を使用したが、他メーカー(Sigma、和光純薬、ナカライ等)の同等品でも代用可能である。本明細書中亜塩素酸水は「亜水」と省略して表示することがあるが、これは同義である。
(亜塩素酸水の評価方法)
亜塩素酸水の主たる有効成分は、亜塩素酸であるが、この亜塩素酸は、その性質上、二酸化塩素や、亜塩素酸ナトリウムと同じものであると誤解されることが多い。むろん、酸性化亜塩素酸ナトリウム(ASC)とも異なるものである。
そこで、このような類似した塩素酸化物と区別して、亜塩素酸水の効果を担保し、管理するために、以下の測定方法を提案する。
(亜塩素酸濃度)
亜塩素酸濃度は、公知のヨード滴定法で求めることができ、亜塩素酸水に含まれる総塩素量を亜塩素酸濃度として換算し、表記した値であり、これを特許化するものではないが、原理としては以下のものである。
亜塩素酸の酸化力を利用し、硫酸酸性下で、よう化カリウムからよう素を遊離させる。
HClO+2HSO+4KI→HCl+2KSO+2HO+2I
次に、遊離させたよう素分子を、チオ硫酸ナトリウム溶液により還元し、脱色する点を滴定の終点とする。
2I+4Na→2Na+4NaI
適定終点近くでは、指示薬としてでんぷんを加えて青色(よう素でんぷん反応)にし、この青色が無色になった点を適定終点としている。遊離したよう素分子を還元するのに要したチオ硫酸ナトリウム溶液の使用量から亜塩素酸の濃度を求める。
(試薬の調整)
約10w/w%よう化カリウム溶液;よう化カリウム約20gに水約180g加える。
※要時調整とし、当日使用残液は廃棄し、決して翌日に持ち越さない事。
約10w/w%硫酸;水約900gに硫酸約100g加える。
※ガラス棒を伝わらせながら必ず水に硫酸を少しずつ入れる事。
1w/w%でんぷん溶液;でんぷん(溶性)約5.0g及びアジ化ナトリウム約0.5gに水約494.5g加えて、電子レンジ(又は電熱器)で加熱し、時々ガラス棒でかき混ぜながらでんぷん(溶性)を溶解させ、溶液が透明になったら加熱をやめ冷却し、冷蔵保存する。
約0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液;チオ硫酸ナトリウム・5水和物24.82gを水に溶かして約1000mLとする。
標定 約1/60mol/Lよう素酸カリウムを正確に10mL採り、約10w/w%よう化カリウム溶液10mL及び約10w/w%硫酸10mLを加えて約10分間暗所に放置し、約0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液を溶液の色が薄い黄色になるまで滴定する。次いで1w/w%でんぷん溶液を約1mL加え、約0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液を溶液の色が無色になるまで滴定し、次式より0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(f)を求める。
ファクター(f)=10/v
v;0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(mL)
1/60mol/Lよう素酸カリウム溶液;予め約120℃で約2時間加熱乾燥したよう素酸カリウム1.783gを水に溶かして500mLとする。
(操作方法)
(1)300mL摺り合わせ栓付き三角フラスコに、検体溶液をおよそ20g採り、水を加えて約200mLとする。
(2)約10w/w%よう化カリウム溶液約10mL及び約10w/w%硫酸約10mLを加えて15分間暗所に放置する。
(3)約0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液を溶液の色が薄い黄色になるまで加える。次いで、1w/w%でんぷん溶液を約1mL加え、約0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液を溶液の色が無色になるまで加える。 但し、約0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液は100mLガラスビーカーに採り、スポイト(大・小)を用いて加えて行き、加えた重量(g)を記録するものとする。
(CAW)=(1.7115×10-3×V×f/w)×1000000×k
(CAW);亜塩素酸の濃度(ppm)
V;0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量(mL)
f;0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
w;操作(1)で量り採った検体溶液の重量(g)
k;希釈倍数
1.7115×10-3 ;0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1mLに相当する亜塩素酸の重量(g)
(酸化力:次亜塩素酸ナトリウム換算濃度)
次亜塩素酸ナトリウムの塩素量は、ヨード滴定法によって導き出された有効塩素濃度だけでなく、次亜塩素酸ナトリウムに含まれる殺菌効果に関与する活性化された塩素量、すなわち酸化力を遊離塩素として表記する。そして、次亜塩素酸ナトリウムの有効塩素濃度と遊離塩素は同じ値を示すことはよく知られている。しかしながら、亜塩素酸水の場合は、亜塩素酸水中に含まれる抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果に関与する活性化された塩素量と、前記、測定方法で得られた亜塩素酸濃度の値は一致しない。そこで、次亜塩素酸ナトリウムの遊離塩素と同じ手法で、亜塩素酸水の酸化力を確認しておく必要があり、以下の方法で数値化することができる。
亜塩素酸水の酸化力:次亜塩素酸ナトリウム換算濃度の測定に関する根拠と原理は「水道法施工規則 別表第3 吸光光度法」および日本薬局方〔一般試験法〕2.24に記載のものに基づく。
亜塩素酸水の酸化力:次亜塩素酸ナトリウム換算濃度は以下の方法で求める。
1.装置および調整法
測定装置としては、分光光度計を用いる。あらかじめ、分光光度計に添付されている操作方法により装置を調整した後、波長及び透過率等を試験に適合することを前提として確認する。尚、波長は、波長校正用光学フィルターを用いて、それぞれのフィルターに添付されている試験成績書の試験条件で、試験成績書に示されている基準値の波長付近における透過率を測定し、この透過率が、極小値を示す波長を読み取る。但し、試験を行うとき、その測定波長と基準値の波長のずれは±0.5nm以内とし、測定は3回繰り返して行うこととし、その測定値はいずれも平均値±0.2nm以内であることとし、透過率又は吸光度は、透過率校正用光学フィルターを用いて、それぞれのフィルターに添付されている試験成績書の試験条件で、試験成績書に示されている基準値の波長における透過率を読み取る。又、試験を行うとき、その測定透過率と、基準透過率のずれは試験成績書に示されている相対精度の上限値及び下限値に、それぞれ1%を加えた値以内であることとし、測定は3回繰り返して行い、吸光度の測定値(あるいは透過率の測定値を吸光度に換算した値)は、吸光度が0.500以下のときは、いずれも平均値±0.002以内にあり、吸光度が0.500を超えるときは、いずれも平均値±0.004以内にあることを確認する。尚、同一波長において透過率の異なる透過率校正用光学フィルターの複数枚を用いて、透過率が直線を描くことを確認しておくことが望ましい。
2.操作法
あらかじめ調整した装置を用い、光源、検出器、装置の測定モード、測定波長又は測定波長範囲、スペクトル幅及び波長走査速度などを選択し、設定する。次に、装置を起動させ一定時間放置し、装置が安定に作動することを確認する。又、試料光路にシャッターを入れて光を遮切り、測定波長又は測定波長範囲での透過率の指示値が、ゼロ%になるように調整する。更に又、シャッターを除き、測定波長又は測定波長範囲での透過率の指示値が100%(又は吸光度が、ゼロ%)になるように調整し、対照液などを入れたセルを光路に入れる。対照液などを入れたセルを、試料光路及び対照光路に置き、透過率の指示値を100%(又は吸光度を、ゼロ%)に調整し、対照液には、規定するもののほか、試験に用いた溶媒を用いる。
3.検量線の作成方法
《DPD法(三慶法)》
N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン硫酸塩1.0gを乳鉢で粉砕し、これに無水硫酸ナトリウム24gを加え、結晶粒を粉砕しない程度に均一に混和したものを“指示薬”とする。リン酸二水素カリウムを1.6Mになる様にイオン交換水(又は蒸留水)に溶解させ、“リン酸二水素カリウム溶液”とする。リン酸水素二カリウムを1.6Mになる様にイオン交換水(又は蒸留水)に溶解させ、“リン酸水素二カリウム溶液“とする。リン酸二水素カリウム溶液と、リン酸水素二カリウム溶液を混合し、pHメーターを用いて、pH6.5になる様に、リン酸二水素カリウム溶液、又は、リン酸水素二カリウム溶液で調整した液を“リン酸緩衝液”とする。次亜塩素酸ナトリウムに硫酸(1+4)を滴下して発生した塩素ガスを精製水に吸収させて塩素水を調整し、この塩素水を用いて、遊離塩素濃度として100ppmに調製し、“基準液”とする。(この時、希釈した液が100ppmであることは必ず確認しておくこととする。)尚、この基準液を正確に量り取り、これにイオン交換水(又は蒸留水)を加えて、1mL中に0.01mL,0.02mL,0.05mL,0.10mLを含む液を作成し、“標準液”とする。又、この標準液9.5mLを量り取り、これにリン酸緩衝液0.5mLを加え、均一に混合し、指示薬0.1gを加え混合し、紫外可視吸光度測定法〔日本薬局方〔一般試験法〕2.24〕により試験を行い、波長510nmにおける吸光度を測定し、イオン交換水(又は蒸留水)9.5mLを量り、リン酸緩衝液0.5mLを加え、均一に混合した液を、“ブランク液”とする。次に、このブランク液を紫外可視吸光度測定法〔日本薬局方〔一般試験法〕2.24〕により試験を行い、波長510nmにおける吸光度を測定し、上述の操作を3回繰り返し、標準液の吸光度の値からブランク液の吸光度を差し引いた値を用いて各濃度の吸光度の平均値を算出し、算出した値を用いて、横(X)軸に酸化力(≒遊離塩素濃度)、縦(Y)軸に吸光度をグラフ上にとり、基準液作成後1時間以内に、“検量線”を作成する。
4.検量線を用いた測定方法
《DPD法(三慶法)》:検量線を利用した酸化力:遊離塩素濃度(次亜塩素酸Na換算濃度)の算出方法
N,N-ジエチル-p-フェニレンジアミン硫酸塩1.0gを乳鉢で粉砕し、これに無水硫酸ナトリウム24gを加え、結晶粒を粉砕しない程度に均一に混和したものを“指示薬”とする。リン酸二水素カリウムを1.6Mになる様にイオン交換水(又は蒸留水)に溶解させ、“リン酸二水素カリウム溶液”とする。リン酸水素二カリウムを1.6Mになる様にイオン交換水(又は蒸留水)に溶解させ、“リン酸水素二カリウム溶液“とする。リン酸二水素カリウム溶液と、リン酸水素二カリウム溶液を混合し、pHメーターを用いて、pH6.5になる様に、リン酸二水素カリウム溶液、又は、リン酸水素二カリウム溶液で調整した液を“リン酸緩衝液”とする。その後、亜塩素酸水をイオン交換水(又は蒸留水)を用いて、亜塩素酸濃度として300ppmに調製し、“検液”とする。その上で、この検液9.5mLを量り取り、これにリン酸緩衝液0.5mLを添加し混合した後、指示薬0.1gを加え混合し、直ちに分光光度計を用いて、波長510nmの吸光度を測定し、測定した吸光度値を、《DPD法》で作成した検量線を用いて、その関係式(Y=aX a:係数)から、“次亜塩素酸Na換算濃度”を求める。
(石炭酸係数法)
亜塩素酸水の抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果は、大腸菌に対するフェノールの抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果と比較して評価して初めて、亜塩素酸水の正確な抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を担保することができる。その操作方法は以下のとおりである。
・必要な試薬
フェノール、普通ブイヨン培地、デゾキシコレート培地、塩化ナトリウム、滅菌水
・必要な器具類
キッチンタイマー、ガスコンロ、なべ、各種試験管及びガラス器具類、ピペッター(10ml)、ピペッター(1ml)、試験管(乾熱滅菌済)、ガスバーナー、ピペッターのチップ(乾熱滅菌済)、白金耳、綿棒
・試薬の調整
5%フェノール溶液:約70℃の湯でフェノールを融解させ、25mL量り取り、水(40℃)で正確に500mLにメスアップする。20℃の比重が1.000±0.005の範囲内であることを確認する。※白濁しても問題はない。
液体培地(1L容量):1000mL栓つき三角フラスコに、水1Lに普通ブイヨン培地18.0gを入れ、常温で約30分間混合溶解させ、十分に溶解したことを確認した後に、オートクレーブ(121℃、15分間)にかける。
液体培地(200mL容量):水1Lに普通ブイヨン培地約18.0gを入れ、常温で約30分間混合溶解させ、十分に溶解したことを確認した後に、300mL栓つき三角フラスコに200mL分注し、オートクレーブ(約121℃、約15分間)にかける。
液体培地(試験管):水1Lに普通ブイヨン培地約18.0gを入れ、常温で約30分間混合溶解させ、十分に溶解したことを確認した後に、試験管に10mLずつ分注し、アルミキャップをして、オートクレーブ(約121℃、約15分間)にかける。
生理食塩水:塩化ナトリウム約8.5gを約500mlに水に溶解し、1Lに水でメスアップしたものをオートクレーブ(約121℃、約15分間)にかける。
菌液(大腸菌):
i) 大腸菌は、新しく作成したデゾキシコレート培地(平板)に塗抹し、約37℃、約24時間培養する。
ii) 培地上に発生したシングルコロニーを生理食塩水10mlに懸濁する。その一白金耳を液体培地(200mL容量)に接種し、約37℃、約24時間培養する。
iii) 大腸菌は増殖し液体培地(試験管)は白く濁るが、このときの液に含まれる大腸菌の数は約10^8菌とする。
iv) iii)で調整した菌液を使用する際には、生理食塩水で10倍希釈し、ボルテックスミキサーで攪拌した後に使用する。このときの液に含まれる大腸菌の数は、約10^7菌とする。
デゾキシコレート培地(平板):水1Lにデゾキシコレート培地約45gを入れ、オートクレーブ(105℃、5分間)加温し、その後約50℃まで冷却した後に、約20mLを一枚のシャーレに撒き、固化し平板培地とする。
滅菌水:ガロン瓶に蒸留水を適量入れ、オートクレーブ(約121℃、約15分間)にかける。
・操作方法
Figure 2022121439000005
Figure 2022121439000006
各検体において、以下の酸化力の値になるように調整し、各検体の必要容量を作成する。
Figure 2022121439000007
上記配合に従い、作成した検体を乾熱滅菌した試験管に分注する。
各検体に菌液を約1mL加え、接触0分とし、このときの菌液に含まれる大腸菌の数を約10^6菌とする。
検体と菌液が接触した後、5分経過した時と10分経過した時の液体培地(試験管)に、滅菌処理した白菌耳を浸し、白金耳の先端の輪に水膜を作り、この状態で液体培地(試験管)に接種する。
接種した試験管をボルテックスミキサーにかけ、密栓して、37℃、24時間静置し、静置後、濁りが見られた試験区を“+”とし、濁りが見られなかった試験区を“-”と記録する。但し、“+”と評価された試験区は、その液体培地に綿棒を浸し、デゾキシコレート培地(平板)に中心部分から外側に向けて、直線のラインを描くように塗沫し、塗沫部分のシャーレ裏面に検体名を記載し、37℃、24時間培養する。
所定時間培養後、塗沫部分に定型的な赤いコロニーが確認された検体は、“+”と評価し、赤いコロニーを確認できない場合、“-”と評価し、記録を修正する。
接触時間5分と接触時間10分のそれぞれの評価が、“+” “+”もしくは、“+” “-”もしくは、“-” “-”であることを確認し、 “+” “-”の場合は、その範囲の平均値を求める。
尚、“+” “-”となる試験区が無ければ、“+” “+”から“-” “-”となる間の中間値を採用する。
亜塩素酸水の原液およびフェノールの原液から、採用された値の希釈倍率を求め、これを各々“検体溶液の希釈倍率”及び“フェノールの希釈倍率”とし、以下の式にあてはめ、石炭酸係数(PC)を求める。
Figure 2022121439000008
Figure 2022121439000009
この場合、採用される設定濃度は0.75%と判断し、その希釈倍率は、133となる。
尚、亜塩素酸水の場合は、以下の結果表のようにして石炭酸係数を評価する。
Figure 2022121439000010
(亜塩素酸水の指標)
塩素酸化物の抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には、抗ウイルス効果は、主たる有効成分の種類によって、酸化力1に対して発揮することができる抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果が異なることがわかっている。これを、“酸化力(100)あたりの石炭酸係数”を用いて数値化すれば、亜塩素酸水に含まれる亜
塩素酸や二酸化塩素や亜塩素酸ナトリウム、更にはASCと区分けして、その抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を取り扱うことができる。
(実施例1:亜塩素酸水と亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素の酸化力と石炭酸係数の関係の違い)
以下の検体を用意し、それぞれの塩素酸化物について、酸化力:次亜塩素酸ナトリウム換算濃度と石炭酸係数を測定した。
Figure 2022121439000011
これらの検体を用い、適宜、イオン交換水で希釈しながら、酸化力:次亜塩素酸ナトリウム換算濃度と石炭酸係数を測定した。
その結果を以下に示す。この表と図4は、各々の石炭酸係数の時の酸化力:次亜塩素酸ナトリウム換算濃度を記載している。
Figure 2022121439000012
亜塩素酸ナトリウムは、飽和濃度に相当する25%(w/v)という有効塩素濃度を保持し
ているのにも関わらず、酸化力の値も石炭酸係数の値も“0”であった。
二酸化塩素と溶存二酸化塩素の酸化力と石炭酸係数の関係は一致していたが、亜塩素酸水Aのみが、少ない酸化力で高い石炭酸係数を示しており、亜塩素酸ナトリウムや二酸化塩素の酸化力と石炭酸係数の関係とは明らかに異なる傾向を示していた。このことから、亜塩素酸水Aの酸化力は、二酸化塩素や亜塩素酸ナトリウムの酸化力よりも高い抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を保持しているということが証明された。
また、亜塩素酸水とASCは同じ殺菌成分である亜塩素酸を持つということから両者は全く同じものであると考え、両者を混同して評価する専門家も多く見られる。そこで、Kross著のWO99/18805を忠実に再現したASCを作成し、実施例2で製造される亜塩素酸水Aと比較してみることにした。
以下の検体を作成し、製造直後と5日目の酸化力と石炭酸係数を測定した。
Figure 2022121439000013
コントロールとして溶存二酸化塩素を基準に比較した。
Figure 2022121439000014
亜塩素酸水Aは5日目を経過しても酸化力と石炭酸係数の関係は変わらなかった。その
一方で、ASCは調整直後こそ、亜塩素酸水と近い酸化力と石炭酸係数の関係を示していた
が、5日経過した後では、コントロールである溶存二酸化塩素の酸化力と石炭酸係数と完全に一致していることが分かった。このことから、ASCは、亜塩素酸水よりも二酸化塩素
に近い性質をもつ抗菌剤、殺菌剤、除菌剤、消毒剤、更には抗ウイルス剤であるということが分かった。(図5)
以上の結果で得られた実測値を用いて、溶存二酸化塩素と二酸化塩素の石炭酸係数を酸化力で割り、その上で、比率100をかけてみる(酸化力(100)あたりの石炭酸係数)とその値は、0.71~0.72と狭い範囲でその値を維持していた。又、亜塩素酸ナトリウムの酸化力(100)あたりの石炭酸係数の値は、0であった。その一方で、亜塩素酸水Aの酸化力(100)あたりの石炭酸係数の値は、1.37~1.87程度と高い値が得られているものの、指し
示す値の範囲が広いことから、広義の意味で、酸化力(100)あたりの石炭酸係数の値が0.72以上あれば、二酸化塩素ではないと言うことができ、この指標を持って、塩素酸化物
が持つ抗菌成分、殺菌成分、除菌成分、消毒成分、更には抗ウイルス成分は、亜塩素酸イオンなのか、亜塩素酸なのか二酸化塩素なのかを判断することができる。尚、亜塩素酸水の酸化力(100)あたりの石炭酸係数の値は、可能であれば1.0以上維持していることが望ましい。
また、亜塩素酸水を抗菌剤、殺菌剤、除菌剤、消毒剤、更には抗ウイルス剤として使用する場合、亜塩素酸水が保持する総塩素量に対して、抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果に関与する活性化された塩素量、すなわち、酸化力がどの程度含まれているのかを把握しておくことが望ましい。その値は、亜塩素酸濃度100ppmあたりの酸化力の値で管理することができる。
又更に、亜塩素酸水に含まれる亜塩素酸の真の抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を管理するために、亜塩素酸濃度10000ppmあたりの石炭酸係数の値を管理しておくことが望ましい。
従って、亜塩素酸水の抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果は、次亜塩素酸ナトリウムとは異なり、“亜塩素酸濃度100ppmあたりの酸化力”、“酸化力(100)あたりの石炭酸係数”、“亜塩素酸濃度10000ppmあたりの石炭酸係数”の3
つの項目を管理することで、その抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力を担保することができる。
(実施例2:無隔膜電気分解槽-反応槽一体型製造プラントによる特許文献1で製造される従来の殺菌効果の機能を有する亜塩素酸水の製造)
(製造プラント例)
使用した一体型の製造用のプラントの例を図1に示す。図1において、各番号は、以下の表に示す部材である。
Figure 2022121439000015
Figure 2022121439000016
使用する原材料とその配合は以下の通りである。
Figure 2022121439000017
Figure 2022121439000018
Figure 2022121439000019
Figure 2022121439000020
Figure 2022121439000021
Figure 2022121439000022
Figure 2022121439000023
Figure 2022121439000024
(電気分解による亜塩素酸水の製造概要)
水道水の入った塩溶解槽に日本薬局方塩化ナトリウムの規格に合致した食塩を溶解しなくなるまで入れ、これを飽和食塩水とする。ポンプ1を稼動させ、電気分解槽と貯蔵槽にこの飽和食塩水を移送し、満たす。その際に、飽和塩水ろ過装置に通すことで溶解していない塩化ナトリウム結晶を取り除いておく。0.3%濃度の塩酸希釈液を塩酸滴定装置にセ
ットし、滴定を開始する。ポンプ2を稼動し、飽和食塩水を循環させながら、pHの値を6.0になるように調整する。pHと液温のモニターを稼動させ、その時の値を記録する。冷却
装置を稼動させ、冷却水を循環させる。制御盤を操作し、電気を発生させ整流器を通して、通電を開始する(電圧3V、電流100A、電流密度2500A/m2、80℃±5℃、78時間30分)。尚、電機分解槽に接続している電極の素材は、陽極(白金・イリジウムコートチタン)、陰極(高純度スチール)であり、これらの電極は無隔膜で5mm幅間隔でパラレルに配置し
ており、そのすき間を飽和食塩水が通り、電気分解槽と貯蔵槽を循環する。この時に得られたリッカー液の塩素酸ナトリウムの濃度は、50%(w/v)であり、有効塩素濃度は0ppm
であった。ポンプ2を止め、リッカー液を反応槽へ移送する。予め、中和槽に中和液、ガス洗浄装置にガス洗浄液を充填しておき、その上で、反応槽の攪拌装置を稼働させて、その中のリッカー液約1kgに対し、酸溶液を少しづつ入れる。その際に、反応槽内に第一反
応ガスが発生していないことを確認してから、残りの酸溶液を入れる。さらに過酸化水素溶液をゆっくり入れ、少しづつ第二反応ガスを発生させ、中和槽内の中和液にこのガスを吸着させる。この作業を2回行い、規格に合致した時点で製造を終了する。
亜塩素酸水は、以下に説明するように製造した。
(1.設定)
設定は以下のとおりに行った。
1 Aが密栓していることを確認した
2 1に配合表aを入れた
3 11に配合表bを入れた
4 BとDは開放され、Eが密栓していることを確認した
5 Aを開放し、3を稼動させた
6 6と7が満水になるまで、1の液を移送した
7 9を稼動させ、各配管に1の液を満たした
8 Aを密栓し、3を止めた
9 8を稼動させ、pHと液温の測定を開始した
10 11を稼動させ、流動している1の液をpH6.0に調整した
11 10を立ち上げ、21に冷却水を循環させた
12 4と6を稼動させ、通電を開始した
13 4と5を止めた
14 Lを開放し、サンプリングをした
15 Lを閉じた
16 液温が25℃を下回るまで循環させた
17 品質検査を行い、規格に合致していれば、9を止めた
18 11を止めた
19 BとDを閉じた
20 14に配合表cを入れた
21 15に配合表dを入れた
22 17に配合表fを入れた
23 18に配合表gを入れた
24 F、G、K、H、J、Iが閉じていることを確認した
25 CとKを開放した
26 Eを開放し、7のリッカー液を移送した
27 Eを閉じた
28 リッカー液の移送量をチェックした
29 CとKを閉じた
30 Iを12→I→17方向に開放した
31 13を稼動させた
32 Fを開放し、14のシリンジを押し、12に配合表cを少しづつ入れた
33 第一の亜塩素酸ガスが発生しないことを確認したら、配合表cをすべて12に投入した
34 Fを閉じた
35 Gを開放した
36 15のシリンジを押し、12に配合表dを少しづつ入れた
37 激しい反応が起き、泡の発生が収まったら、16を稼動させ、Hを開放した
38 15のシリンジを押し、12に配合表dをすべて入れた
39 Gを閉じた
40 反応終了後、 Hを閉じ、16を止めた
41 13を止めた
42 Iを19→I→17方向に開放した
43 Kを開放した
44 Jを開放し、19へ移送した
45 25から44までの作業を2回行った
46 19に配合表hを入れて中和し、廃棄した
47 18を常圧にした
48 17を常圧にし、17のものを取り出し、これを亜塩素酸水Aとして、品質検査を行った
上記、製造時の品質検査の結果を記載する。
Figure 2022121439000025
Figure 2022121439000026
Figure 2022121439000027
亜塩素酸水Aの成分分析表
Figure 2022121439000028
上記、亜塩素酸水Aを原料に、サイクル反応を維持させるために以下の配合を加え、亜塩素酸水製剤Aとした。
Figure 2022121439000029
Figure 2022121439000030
(実施例3:無隔膜電気分解槽-反応槽一体型製造プラントによる高反応性型亜塩素酸
水の製造)
使用する原材料とその配合は以下の通りである。
Figure 2022121439000031
Figure 2022121439000032
Figure 2022121439000033
Figure 2022121439000034
Figure 2022121439000035
Figure 2022121439000036
Figure 2022121439000037
Figure 2022121439000038
(電気分解による亜塩素酸水の製造概要)
水道水の入った塩溶解槽に日本薬局方塩化ナトリウムの規格に合致した食塩を溶解しなくなるまで入れ、これを飽和食塩水とする。ポンプ1を稼動させ、電気分解槽と貯蔵槽にこの飽和食塩水を移送し、満たす。その際に、飽和塩水ろ過装置に通すことで溶解していない塩化ナトリウム結晶を取り除いておく。0.3%濃度の塩酸希釈液を塩酸滴定装置にセ
ットし、滴定を開始する。ポンプ2を稼動し、飽和食塩水を循環させながら、pHの値を6.5になるように調整する。pHと液温のモニターを稼動させ、その時の値を記録する。冷却
装置を稼動させ、冷却水を循環させる。制御盤を操作し、電気を発生させ整流器を通して、通電を開始する(電圧3V、電流100A、電流密度2500A/m2、85℃±5℃、78時間30分)。尚、電機分解槽に接続している電極の素材は、陽極(白金・イリジウムコートチタン)、陰極(高純度スチール)であり、これらの電極は無隔膜で5mm幅間隔でパラレルに配置し
ており、そのすき間を飽和食塩水が通り、電気分解槽と貯蔵槽を循環する。この時に得られたリッカー液の塩素酸ナトリウムの濃度は、49%(w/v)であり、有効塩素濃度は9889ppmであった。ポンプ2を止め、リッカー液を反応槽へ移送する。予め、中和槽に中和液、ガス洗浄装置にガス洗浄液を充填しておき、その上で、反応槽の攪拌装置を稼働させる。リッカー液約1kgに対し、酸溶液を少しづつ入れ、反応槽内に第一反応ガスを発生させ、
中和槽内の中和液に吸着させる。残りの酸溶液を入れて、第一反応ガスや気泡が発生しないことを確認したら、次に、過酸化水素溶液をゆっくり入れ、第二反応ガスを少しづつ発生させて、中和槽内の中和液にこのガスを吸着させる。この作業を2回行い、規格に合致した時点で製造を終了する。
亜塩素酸水は、以下に説明するように生産した。
(1.設定)
設定は以下のとおりに行った。
1 Aが密栓していることを確認した
2 1に配合表aを入れた
3 11に配合表bを入れた
4 BとDは開放され、Eが密栓していることを確認した
5 Aを開放し、3を稼動させた
6 6と7が満水になるまで、1の液を移送した
7 9を稼動させ、各配管に1の液を満たした
8 Aを密栓し、3を止めた
9 8を稼動させ、pHと液温の測定を開始した
10 11を稼動させ、流動している1の液をpH6.5に調整した
11 10を立ち上げ、21に冷却水を循環させた
12 4と6を稼動させ、通電を開始した
13 4と5を止めた
14 Lを開放し、サンプリングをした
15 Lを閉じた
16 液温が25℃を下回るまで循環させた
17 品質検査を行い、規格に合致していれば、9を止めた
18 11を止めた
19 BとDを閉じた
20 14に配合表jを入れた
21 15に配合表dを入れた
22 17に配合表fを入れた
23 18に配合表gを入れた
24 F、G、K、H、J、Iが閉じていることを確認した
25 CとKを開放した
26 Eを開放し、7のリッカー液を移送した
27 Eを閉じた
28 リッカー液の移送量をチェックした
29 CとKを閉じた
30 Iを12→I→17方向に開放した
31 13を稼動させた
32 Fを開放し、14のシリンジを押し、12に配合表jを少しづつ入れた
33 発生した第一反応ガスを17にある配合表fに吸着させた
34 16を稼動させ、Hを開放した
35 第一反応ガスが発生しないことを確認したらHを閉じ、16を止めた
36 14のシリンジを押し、配合表jをすべて12の中に投入した
37 Fを閉じた
38 Gを開放した
39 15のシリンジを押し、12に配合表dを少しづつ入れた
40 激しい反応が起き、泡の発生が収まったら、16を稼動させ、Hを開放した
41 15のシリンジを押し、12に配合表dをすべて入れた
42 Gを閉じた
43 反応終了後、 Hを閉じ、16を止めた
44 13を止めた
45 Iを19→I→17方向に開放した
46 Kを開放した
47 Jを開放し、19へ移送した
48 25から44までの作業を2回行った
49 19に配合表hを入れて中和し、廃棄した
50 18を常圧にした
51 17を常圧にし、17のものを取り出し、これを亜塩素酸水Bとして、品質検査を行った
上記、製造時の品質検査の結果を記載する。
Figure 2022121439000039
Figure 2022121439000040
Figure 2022121439000041
亜塩素酸水Bの成分分析表
Figure 2022121439000042
上記、亜塩素酸水Bを原料に、サイクル反応を維持させるために以下の配合を加え、亜塩素酸水製剤Bとした。
Figure 2022121439000043
Figure 2022121439000044
(実施例4:反応性保持型亜塩素酸水の高反応性検証試験)
実施例2で製造した亜塩素酸水A及びその製剤である亜塩素酸水製剤A、更には実施例
3で製造した亜塩素酸水B及びその製剤である亜塩素酸水製剤Bの有機物非存在下における比較試験を行った。コントロールとして、特許文献1の製法特許で製造された亜塩素酸水を用いた。
特許文献1の亜塩素酸水、亜塩素酸水A、亜塩素酸水製剤A、亜塩素酸水B、亜塩素酸水製剤Bの亜塩素酸濃度、酸化力、石炭酸係数を求めた。さらに、生理食塩水8mlに対し、大腸菌液(10^7菌)を1ml加え、よく攪拌し、それぞれの亜塩素酸水もしくは亜塩素酸水製剤を亜塩素酸濃度として200ppmに調整した液を1ml加え、15秒間、30秒間、1分間、5
分間、10分間接触させたあとに、0.1Nチオ硫酸ナトリウムを加えて反応を停止させ、ブイヨン平板培地に1mlのせて植菌し、35℃、1日間培養した。これを製造直後、10日目、30日目に実施した。亜塩素酸水及び亜塩素酸水製剤は、室温25℃、遮光状態で保管した。
製造直後の結果を示す。
Figure 2022121439000045
Figure 2022121439000046
10日目の結果を示す。
Figure 2022121439000047
Figure 2022121439000048
30日目の結果を示す。
Figure 2022121439000049
Figure 2022121439000050
本製法で製造された亜塩素酸水Aは、塩を原材料に電気分解を行うことによって、様々な濃度の塩素酸塩を含む水溶液をリッカー液として得ることができるため、従来の製法で作られる亜塩素酸水と比較して多様な亜塩素酸濃度や酸化力を保持する亜塩素酸水を製造することが可能となった。
亜塩素酸水の主たる有効成分は亜塩素酸であるため、特許文献1の製法特許で製造された亜塩素酸水は従来の機能を有する抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を保持することを特徴とする。本特許製法で製造された亜塩素酸水Aも、更には、この亜塩素酸水Aを原材料に緩衝剤を利用することによって、サイクル反応を維持させた亜塩素酸水Aも、特許文献1の製法特許で製造された亜塩素酸水と同様に、この従来の特徴を有する抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果を発揮していることが分かった。
その一方で、亜塩素酸水B及び亜塩素酸水製剤Bは、亜塩素酸水Aと比較して、非常に反応性の高い抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力を保持しており、これまでの亜塩素酸水では不可能であった、接触時間15秒間での大腸菌に対する高い反応性を可能にした。
今後の研究が待たれるが、この現象は、第一反応ガスに含まれる塩化物イオンが非解離状態の亜塩素酸から、水性二酸化塩素への反応速度が加速したからではないかと考えられる。その結果、緩慢なサイクル反応に起因する緩やかにかつ持続的な抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果に、高反応性が付与された。
その理由に、次亜塩素酸ナトリウムと亜塩素酸ナトリウムを酸性条件下で混合すると、直ちに、塩素酸イオンと塩化物イオンへと分解してしまい、急速に抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果が失われる。つまり、流通可能になるほど長期間、この状態で保管することはできない。このことから、次亜塩素酸ナトリウムと亜塩素酸ナトリウムの混合物を長期保存するためには強アルカリ性に調整する必要がある。つまり、このような混合液を安定化させる要因は、pHに依存していると言える。よって、亜塩素酸水Bの高反応性は、弱酸性域でその抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力を維持できているので、次亜塩素酸ナトリウムによる効果ではないということは明白である。
又、10日間経過した結果では、亜塩素酸水Bの抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力は著しく低下し、従来の亜塩素酸水と同じ特徴を持つ抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果しか示さなくなってしまった。
その一方で、30日間経過しても、亜塩素酸水製剤Bは、反応性の高い抗菌力、殺菌力、除菌力、消毒力、更には抗ウイルス力を保持しているということが分かった。以上の内容から、サイクル反応を維持させることによって、従来の特徴を持つ亜塩素酸水の抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果だけでなく、高反応性に該当する抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス降下をも長期間維持させることが可能になるということが分かった。この結果からも、高反応性の抗菌効果、殺菌効果、除菌効果、消毒効果、更には抗ウイルス効果が次亜塩素酸ナトリウムに由来しないと言える。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本願は、日本国出願特許2016-70264(2016年3月31日出願)に対して優先権を主張するものであり、その内容はその全体が本明細書において参考として援用される。本明細書において引用した特許、特許出願および他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
以上の内容から、本発明によって得られた亜塩素酸水を含む水溶液は、抗菌剤、殺菌剤、除菌剤、消毒剤、更には抗ウイルス剤、漂白剤、血ぬき剤等の用途にも利用できる。

Claims (1)

  1. 電気分解反応。
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