JP2017025170A - 抗ウイルス用塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】汎用的な抗菌剤を利用して、抗ウイルス機能を発現させるようにする。【解決手段】抗ウイルス用塗料組成物は、抗菌剤が添加されている組成物であって、組成物に対する抗菌剤の添加量を、抗菌性が発現する範囲における抗菌剤の下限添加量よりも多くして、抗ウイルス機能を発現させる。【選択図】なし

Description

本発明は、抗ウイルス用塗料組成物に関する。
従来から、建材製品や家電製品などの人の手が触れやすい部分に細菌の繁殖抑制やウイルスを抑制する目的で、抗菌性または抗ウイルス性を発現させるための材料が添加された塗料や化粧シートが開発されている。
例えば、特許文献1には、クリア樹脂塗料に、その固形分に対して、無機系抗菌剤およびシリカ微粒子が添加されている抗菌性クリア樹脂塗料が開示されている。
また、特許文献2には、耐水性に優れた抗菌・抗ウイルス性塗膜を形成することができる抗菌・抗ウイルス性塗料として、アクリル系塗料に4級アンモニウム塩と、炭素数6以上の炭化水素基及び2以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸とを配合してなる抗菌・抗ウイルス性塗料が開示されている。
特開平10−204334号公報 国際公開2015/046372号公報
ところで、特許文献1の抗菌性クリア樹脂塗料では、汎用的な抗菌剤を樹脂塗料に添加することにより、抗菌性が得られるように構成されているが、抗菌剤の添加量を多くすると抗菌機能が向上する反面、塗膜表面の物性が低下してしまうという問題が生じることから、抗菌性が発現する範囲で樹脂塗料に対する抗菌剤の添加量が低めに抑えられていた。すなわち、特許文献1の抗菌性クリア樹脂塗料では、抗菌性をより安定的に発現させるために、抗菌性が発現する範囲の下限付近で抗菌剤の添加量が調整されていた。
一方、特許文献1の抗菌性クリア樹脂塗料では、抗菌性以外の用途、すなわち抗ウイルス性を目的として抗菌剤が添加されるという認識が存在しておらず、建材製品や家電製品などに抗ウイルス機能を付与するためには、上記特許文献2のような特殊な材料を用いることになる。しかしながら、特許文献2の塗料では、抗菌性と抗ウイルス性といった両方の機能を発現させるために特殊な専用材料を用いなければならない。このため、特許文献2の塗料は自ずとコストが高くなり、その結果として、建材製品や家電製品などに特許文献2の塗料を用いることがコスト面で難しくなってしまうという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、汎用的な抗菌剤を利用することで、抗ウイルス機能を発現させるようにすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、汎用的な抗菌剤の添加量に着目し、塗料に添加する抗菌剤の添加量を大幅に変えることにより、抗ウイルス機能を発現させるようにした。
具体的には、本発明の第1の形態による抗ウイルス用塗料組成物は、抗菌剤が添加されている組成物であって、組成物に対する抗菌剤の添加量を、抗菌性が発現する範囲における抗菌剤の下限添加量よりも多くして、抗ウイルス機能を発現させたことを特徴とする。
この第1の形態によれば、汎用的な抗菌剤を利用しつつその添加量を大幅に変えることで、抗ウイルス機能を発現させるようにすることができる。より詳細に説明すると、上述のように、通常の抗菌性が発現する範囲における抗菌剤の下限添加量に近い添加量で抗菌機能が調整されていたため、従前では、抗菌性が発現する範囲を越える量の抗菌剤を添加することは一般的に行われていないのが現状である。このような認識下、本発明は、汎用的な抗菌剤の添加量に着目し、抗菌剤の添加量を調整することによって、抗ウイルス機能を発現させたものである。すなわち、本発明は、抗菌剤と抗ウイルス剤とではそれぞれの用途および添加量が大きく異なるということに着目した上で、汎用的な抗菌剤を利用しつつ、塗料などの組成物に対する抗菌剤の添加量を、通常の抗菌性が発現する範囲における抗菌剤の下限添加量よりも大幅に増やすことにより、今までに見られなかった抗ウイルス機能を発現させることができるという知見に基づくものである。
第2の形態は、第1の形態において、抗菌剤の下限添加量の少なくとも10倍に相当する添加量の抗菌剤を組成物に添加して、抗ウイルス機能を発現させたことを特徴とする。
この第2の形態によれば、抗菌剤の下限添加量の少なくとも10倍に相当する添加量の抗菌剤を組成物に添加することにより、少なくともA型インフルエンザウイルスのような、エンベロープを有し、生存性が比較的低いといわれているウイルスに対する抗ウイルス機能を発現させることができる。
第3の形態は、第1または第2の形態において、組成物に対する抗菌剤の添加率を重量比で0.2%以上としたことを特徴とする。
この第3の形態によれば、抗菌剤の添加率を重量比で0.2%以上とすることにより、A型インフルエンザウイルスのような生存性が比較的低いウイルスだけでなく、エンベロープを持たない、生存性が比較的高いといわれているノロウイルス(ネコカリシウイルス)に対しても抗ウイルス機能を発現させることができる。
第4の形態は、第1または第2の形態において、組成物に対する抗菌剤の添加率を重量比で0.3%以上としたことを特徴とする。
この第4の形態によれば、抗菌剤の添加率を重量比で0.3%以上とすることにより、A型インフルエンザウイルスおよびノロウイルスなどを含めた各ウイルスに対して抗ウイルス機能を発現させることができるとともに、抗菌剤の組成物内での安定性が向上して塗料などの量産仕様に適する形態とすることができる。
第5の形態は、第1〜第4の形態のいずれかにおいて、抗菌剤の粒子径は、組成物が被塗物に塗布されたときに抗菌剤以外の成分からなる塗膜の厚さ以下になるように構成されていることを特徴とする。
この第5の形態によれば、抗ウイルス機能を発現させることができるとともに、化粧シートのような薄い建材(被塗物)の表面に上塗りされる塗料に抗菌剤を添加しやすくなり、塗膜の表面粗さへの影響を抑えることができる。
第6の形態は、第1〜第4の形態のいずれかにおいて、抗菌剤の平均粒子径は、組成物が被塗物に塗布されたときに該抗菌剤以外の成分からなる塗膜の厚さの半分以下になるように構成されていることを特徴とする。
この第6の形態によれば、抗菌剤の平均粒子径を塗膜の厚さの半分以下の大きさにすることにより、第5の形態と同様、化粧シートのような薄い建材(被塗物)の表面に上塗りされる塗料に抗菌剤を添加しやすくなり、塗膜の表面粗さへの影響を抑えることができる。
第7の形態は、第1〜第6の形態のいずれかにおいて、抗菌剤を担持体とともに組成物に添加したことを特徴とする。
この第7の形態によれば、組成物を化学的に安定させた状態で、抗ウイルス機能を発現させることができる。
本発明による抗ウイルス用塗料組成物によると、汎用的な抗菌剤を利用して、抗ウイルス機能を発現させるようにすることができる。
図1は、表1の抗菌剤添加率と感染価との関係を示したグラフである。 図2は、表1の抗菌剤添加率とウイルス低減率との関係を示したグラフである。 図3は、表2の抗菌剤添加率と感染価との関係を示したグラフである。 図4は、表2の抗菌剤添加率とウイルス低減率との関係を示したグラフである。 図5は、表3の抗菌剤添加率と感染価との関係を示したグラフである。 図6は、表3の抗菌剤添加率とウイルス低減率との関係を示したグラフである。 図7は、表4の抗菌剤添加率と感染価との関係を示したグラフである。 図8は、表4の抗菌剤添加率とウイルス低減率との関係を示したグラフである。 図9は、表5の抗菌剤添加率と感染価との関係を示したグラフである。 図10は、表5の抗菌剤添加率とウイルス低減率との関係を示したグラフである。 図11は、表6の抗菌剤添加率と感染価との関係を示したグラフである。 図12は、表6の抗菌剤添加率とウイルス低減率との関係を示したグラフである。 図13は、表10における抗菌剤の粒度分布を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明の実施形態に係る抗ウイルス用塗料組成物としては、手摺り、ドアノブ、カウンタ、化粧シート等のような建材製品または家電製品などの基材(被塗物)表面に対して上塗りされる塗料やコーティング材などの組成物に汎用的な抗菌剤を一定量添加させたものである。本実施形態では、組成物としての塗料に汎用的な抗菌剤を一定量添加させたものについて詳細に説明する。
ここで、塗料としては、水性塗料、アミノアルキッド樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、紫外線硬化不飽和ポリエステル樹脂塗料、紫外線硬化ウレタンアクリレート樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂焼付塗料などが挙げられる。
また、本発明の実施形態に用いられる抗菌剤としては、銀化合物や亜鉛化合物を主成分とする無機系抗菌剤が適している。ここで、銀化合物を主成分とする無機系抗菌剤としては、例えば、銀系、銀−ゼオライト系、銀−リン酸ジルコニウム系、銀−リン酸カルシウム系、銀−カルシウムアパタイト系、銀−シリカゲル系、銀−ケイ酸カルシウム系、銀−ケイ酸アルミン酸マグネシウム系、銀−酸化チタン系、銀−チタン酸カリウム系、酸−シリカ系、銀−アルミナ系、銀−溶解性ガラス系、銀−チオサルファイト系などが挙げられる。このような抗菌剤は、塗料などの添加時における変色が少なく、耐熱性および耐候性に優れており、比較的安価で従前から汎用的に用いられている。なお、抗菌剤としては、無機系抗菌剤に限定されず、例えば有機系抗菌剤であってもよい。
このような抗菌剤の市販品として、銀化合物を主成分とする無機系抗菌剤としては、「C6−731X」(住化エンバイロメンタルサイエンス社製)、「AJ10N」(シナネン社製)、「IM10D」(シナネン社製)などが挙げられる。ここで、「C6−731X」では、プラスチック、塗料、ゴム、その他材料に対して重量比で0.01〜0.2%の上記抗菌剤を添加することにより、抗菌性を発現させることができる。また、亜鉛を主成分とする無機系抗菌剤としては、「BM−102VT」(富士ケミカル社製)、「KD−211」(ラサ工業社製)などが挙げられる。有機系抗菌剤としては、「パシフィックビームモールド」(エム・アイ・シー社製)、「ヴァイアブロック」(東洋紡社製)などが挙げられる。
次に、塗料に対する抗菌剤の添加率としては、重量比で0.1%以上であることが好ましい。言い換えると、塗料に対する抗菌剤の添加量は、上記「C6−731X」の下限添加量に相当する0.01%(以下「抗菌性の下限添加量」という)の10倍に相当する添加量以上であることが好ましい。この添加率(添加量)であれば、後述する実施例に示すように、少なくともA型インフルエンザウイルスのような、エンベロープを有して生存性が比較的低いといわれているウイルスに対して抗ウイルス機能を発現させることができる。
また、塗料に対する抗菌剤の添加率は、重量比で0.2%以上(すなわち抗菌性の下限添加量の20倍に相当する添加量以上)であることが好ましい。添加率が0.2%以上であれば、後述する実施例に示すように、A型インフルエンザウイルスのような生存性が比較的低いウイルスだけでなく、エンベロープを持たない、生存性が比較的高いといわれているノロウイルス(ネコカリシウイルス)に対しても抗ウイルス機能を発現させることができる。
さらに、抗菌剤の塗料内での安定性を考慮すると、塗料における量産仕様として、塗料に対する抗菌剤の添加率を重量比で0.3%以上(すなわち抗菌性の下限添加量の30倍に相当する添加量以上)とすることが好ましい。より好ましくは、塗料に対する抗菌剤の添加率は重量比で0.4%以上(すなわち抗菌性の下限添加量の40倍に相当する添加量以上)である。このように、塗料に対する抗菌剤の添加率を上げることにより、抗ウイルス機能を有利に発現させることができる。なお、湿熱試験後の塗料における塗膜外観が低下する場合があり得ることを考慮すると、塗料に対する抗菌剤の添加率は重量比で1.0%未満であることが好ましい。
また、例えば化粧シートのような薄い建材の表面に塗料組成物を上塗りする場合、一般的に化粧シートの厚みが概ね10μm前後であることに鑑みると、塗料組成物が被塗物に塗布されたときの塗膜の厚さは、被塗物の厚みと同じかそれ以下になるように調整される。すなわち、塗料組成物が被塗物に塗布されたときの塗膜の厚さは、約10μmに調整されることになる。したがって、抗菌剤の粒子径は、塗料組成物が被塗物に塗布されたときに抗菌剤以外の成分からなる塗膜の厚さ以下になるように構成されていることが好ましい。具体的には、塗料に添加する抗菌剤の粒子径は7.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは6.3μm以下であり、さらに好ましくは5.9μm以下である。このように、抗菌剤の粒子径が小さくなるように調整されることによって、抗ウイルス機能を発現させることができるとともに、化粧シートのような薄い建材(被塗物)の表面に上塗りされる塗料に抗菌剤を添加しやすくなり、塗膜の表面粗さへの影響を抑えることができる。さらに、この効果をより得やすくするために、抗菌剤の平均粒子径は、塗料組成物が被塗物に塗布されたときに抗菌剤以外の成分からなる塗膜の厚さの半分以下になるように構成されているのが好ましい。具体的には、抗菌剤の平均粒子径(JIS Z 8901:2006「試験用粉体及び試験用粒子」で定義されている平均粒子径)が4.6μmであるのが好ましい。
また、ゼオライト等の担持体に上記抗菌剤を染み込ませたものを塗料に添加してもよい。このような担持体に抗菌剤を染み込ませたものを用いた場合、担持体の成分によっては、熱や湿気によって乾燥後の塗膜に白化現象が生じやすくなる反面、塗料の組成物を化学的に安定させた状態で抗ウイルス機能を発現させることができる。
このように、本発明の実施形態では、塗料などの組成物に対して、比較的安価で汎用的な抗菌剤の添加量を増やすだけで抗ウイルス機能を発現させることができる。
また、本発明の実施形態に係る抗ウイルス用塗料組成物を例えば化粧シート表面に積層させたような場合では、化粧シートを連続的に作製するとき、抗菌仕様のシートと抗ウイルス仕様のシートとを作製するための塗装設備を変更せずに、あるいは設備内の機械類を洗浄せずにそのまま流用することができるという利点もある。
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
以下に本発明に係る実施例を示す。この実施例では、所定の抗菌剤を塗料に添加した塗料をゴム集成材からなる基材表面に上塗りしたサンプルを用いて、A型インフルエンザウイルスおよびノロウイルスの代替ウイルスであるネコカリシウイルスの2種類に対するウイルス低減率(すなわち抗ウイルス機能の発現率)を確認した。
ここで、本サンプルに使用した塗料としては、2液型ポリウレタン樹脂塗料を用いた。この塗料について、主剤100部硬化剤25部、シンナー75部に対して抗菌剤の添加率が0.3w%になるように調整した。抗菌剤としては、銀化合物を主成分とする「C6−731X」(住化エンバイロメンタルサイエンス社製)を用いた。
また、ウイルス低減率を判定するための試験方法としては、上述のサンプルに対して以下のようなウイルス低減性能試験を行った。
具体的には、ウイルス低減性能試験として、JIS規格の「JIS R 1706」に示されているファインセラミックス−光触媒材料の抗ウイルス性試験方法を参考にした。すなわち、上記サンプル品を5cm角に切り出し、吸水を防止するために小口および裏面をアルミテープで被覆して試験サンプルとした。このサンプル品を保湿した滅菌シャーレに投入し、A型インフルエンザウイルスまたはネコカリシウイルス液200μLを滴下し、4cm角のポリプロピレン製のフィルムで被覆して、室温にて24時間反応させた。反応後、サンプルと接触したウイルス液をリン酸緩衝生理食塩水10mlで洗い出した。洗い出し液をMEM液体培地で10倍階段希釈し、インフルエンザウイルス感染用のMDCK細胞またはネコカリシウイルス感染用のCRFK細胞に接種し、COインキュベータで3〜4日間培養した。培養開始後、顕微鏡にてウイルスによる感染を確認し、感染が止まった時点をエンドポイントとしてTCID50法にて感染価を算出した。ウイルスの抑制効果は、ウイルス加工無しサンプルの感染価と抗ウイルス加工を施したサンプルの感染価を比較して算出した。なお、本サンプルにおける塗料の色柄としては、WH色(ホワイト系)とMK色(ブラック系)を用いた。
以上のようなウイルス低減性能試験による結果の詳細を表1〜表6および図1〜図12に示す。なお、表3および表6は、各ウイルスを対象とした感染価およびウイルス低減率におけるMK色およびWH色の各算出値の平均値を表したものである。
Figure 2017025170
Figure 2017025170
Figure 2017025170
Figure 2017025170
Figure 2017025170
Figure 2017025170
上記の表1〜表6の試験結果に基づき、抗菌剤の各添加率に対するA型インフルエンザウイルスおよびネコカリシウイルスの各ウイルス低減率の関係をまとめたものを表7に示す。
Figure 2017025170
表7に示すとおり、塗料に対する抗菌剤の添加率が重量比で0.2%以上(すなわち抗菌性の下限添加量の20倍に相当する添加量以上)であれば、A型インフルエンザウイルスおよびネコカリシウイルスの両方に対して、ウイルス低減率99%以上を確認することができた。すなわち、塗料に対する抗菌剤の添加率が0.2%以上であれば、抗ウイルス機能を発現させることがわかった。
一方、塗料に対する抗菌剤の添加率が重量比で0.1%(すなわち抗菌性の下限添加量の10倍に相当する添加量)であると、A型インフルエンザウイルスに対するウイルス低減率が99%以上の発現を確認できた一方、ネコカリシウイルスに対するウイルス低減が見られなかった。すなわち、塗料に対する抗菌剤の添加率が重量比で0.2%を下回ると、A型インフルエンザウイルスよりも生存率が高いネコカリシウイルスに対して、抗ウイルス機能が発現しないということがわかった。
次に、抗菌剤の添加率が重量比で0.3%である塗料において、各色に塗装したサンプルを用意して、ウイルス低減率における確認試験を行った。以下に、各色柄(WH色(ホワイト系)、ML色(ベージュ系)、MT色(茶系)、MW色(こげ茶系)、MK色(ブラック系)の計5色)に対するウイルス低減率の関係を表8に示す。なお、試験方法としては、上記ウイルス低減性能試験と同様である。
Figure 2017025170
表8に示すとおり、抗菌剤の添加率が0.3%である塗料では、どの色柄であっても、インフルエンザウイルスおよびネコカリシウイルスの両方に対してウイルス低減率99%以上の発現を確認することができた。すなわち、塗料に添加されている抗菌剤が抗ウイルス機能を発現しうる範囲の添加率であれば、塗料の色柄に関わらず、抗ウイルス機能が発現することがわかった。
次に、実施例1で用いた塗料(主剤100部硬化剤25部、シンナー75部に対して抗菌剤の添加率が0.3w%になるように調整した2液型ポリウレタン樹脂塗料)および抗菌剤(C6−731X)に関し、この塗料に対する抗菌剤の添加率が重量比で0.3%の抗ウイルス用塗料について、その抗菌剤における粒子径および粒子数を測定した。
具体的には、通常仕様のカウンタテーブル(静電なし)、通常仕様のカウンタテーブル(静電あり)、および耐水仕様のカウンタテーブルの3種類のカウンタテーブルをそれぞれ5枚ずつ用意し、それらのカウンタテーブル表面に上記抗ウイルス用塗料を塗布して、各カウンタテーブル表面の塗膜を200倍の倍率によるマイクロハイスコープで観察することにより、観察視野にて確認することができる抗菌剤の粒子径および粒子数を測定した。なお、通常仕様のカウンタテーブル(静電なし)および耐水仕様のカウンタテーブルにおける抗ウイルス用塗料の塗布回数は1往復半とし、通常仕様のカウンタテーブル(静電あり)における抗ウイルス用塗料の塗布回数は1往復とした。以下、塗料に添加した抗菌剤の粒子数[個/mm]および粒子径[μm]に関する測定結果を表9に示す。なお、表9に示す粒子径の値は、各種カウンタテーブルの塗膜表面を測定した測定母数(72個)に基づいて算術的に得られた平均値を示すものである。
Figure 2017025170
表9に示すように、抗菌剤の粒子数に関しては、200〜400個/mm程度の粒子数を確認することができた。また、通常仕様のカウンタテーブル(静電なし)では抗菌剤の粒子径(平均値)が6.3μmであり、通常仕様のカウンタテーブル(静電あり)では抗菌剤の粒子径(平均値)が5.9μmであり、耐水仕様のカウンタテーブルでは抗菌剤の粒子径(平均値)が7.0μmであった。そして、これら3種のカウンタテーブルに塗布された抗ウイルス用塗料における抗菌剤の粒子径の平均値は6.4μmであった。
このように、塗料組成物に添加する抗菌剤の粒子径が7.0μm以下であれば、抗ウイルス機能を発現させることができることがわかった。そして、抗菌剤の粒子径が小さくなるように調整することによって、化粧シートのような薄い建材(被塗物)の表面に上塗りされる塗料に抗菌剤を添加しやすくやすくなり、塗膜の表面粗さへの影響を抑えることができる。
次に、実施例1で用いた抗菌剤における粒度分布および平均粒子径の測定を行った。具体的には、粉体の状態における上記C6−731Xからなる抗菌剤の粒度分布および平均粒子径をレーザ回折式粒度分布測定装置により測定した。ここで、上記レーザ回折式粒度分布測定装置により測定される抗菌剤の平均粒子径は、JIS Z 8901:2006「試験用粉体及び試験用粒子」で定義されている「光学顕微鏡法又は透過形電子顕微鏡によって撮影した粒子の直径の算術平均値」である。以下、この測定結果を表10および図13に示す。また、表9の結果から導き出された標準偏差および平均粒子径の値を表11に示す。
Figure 2017025170
Figure 2017025170
表11に示すように、本測定において、標準偏差は0.307であり、抗菌剤の平均粒子径は約4.6μmであった。すなわち、この実施例で用いた抗菌剤の平均粒子径は、塗料組成物が一般的な厚みが概ね10μm前後である化粧シートのような薄い建材(被塗物)の表面に塗布されたときに、この抗菌剤以外の成分からなる塗膜の厚さ(約10μm)の半分以下になっていることがわかった。
本発明は、建材などに塗布される抗ウイルス用塗料組成物として産業上の利用が可能である。

Claims (7)

  1. 抗菌剤が添加されている組成物であって、
    前記組成物に対する前記抗菌剤の添加量を、抗菌性が発現する範囲における該抗菌剤の下限添加量よりも多くして、抗ウイルス機能を発現させた、抗ウイルス用塗料組成物。
  2. 請求項1に記載の抗ウイルス用塗料組成物において、
    前記抗菌剤の下限添加量の少なくとも10倍に相当する添加量の該抗菌剤を前記組成物に添加して、抗ウイルス機能を発現させた、抗ウイルス用塗料組成物。
  3. 請求項1または2に記載の抗ウイルス用塗料組成物において、
    前記組成物に対する前記抗菌剤の添加率を重量比で0.2%以上とした、抗ウイルス用塗料組成物。
  4. 請求項1または2に記載の抗ウイルス用塗料組成物において、
    前記組成物に対する前記抗菌剤の添加率を重量比で0.3%以上とした、抗ウイルス用塗料組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗ウイルス用塗料組成物において、
    前記抗菌剤の粒子径は、前記組成物が被塗物に塗布されたときに該抗菌剤以外の成分からなる塗膜の厚さ以下になるように構成されている、抗ウイルス用塗料組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗ウイルス用塗料組成物において、
    前記抗菌剤の平均粒子径は、前記組成物が被塗物に塗布されたときに該抗菌剤以外の成分からなる塗膜の厚さの半分以下になるように構成されている、抗ウイルス用塗料組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗ウイルス用塗料組成物において、
    前記抗菌剤を担持体とともに前記組成物に添加した、抗ウイルス用塗料組成物。
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