JP2011171290A - 蓄電デバイス用セパレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオレフィン系多孔フィルムに粒子含有層を設けることにより、透気抵抗の悪化を抑制し、優れた電池性能と安全性を高いレベルで両立した蓄電デバイス用セパレータ用として好適な多孔質フィルムを提供すること。
【解決手段】ポリオレフィン系多孔フィルムの少なくとも片面に、無機粒子を含む粒子含有層が形成されてなり、以下で定義される透気抵抗変化率(Gd)が10%以下であり、かつ透気抵抗(Ga)が50〜500秒/100mlである多孔質フィルムとする。
Gd={(Ga−Gb)/Gb}×100
Gd:透気抵抗変化率(%)
Ga:多孔質フィルムの透気抵抗(秒/100ml)
Gb:ポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗(秒/100ml)
【選択図】 なし

Description

本発明は、電気特性、安全性に優れる蓄電デバイス用セパレータに関する。詳しくは、ポリオレフィン系多孔フィルムに無機粒子や熱可塑性樹脂粒子を含む粒子含有層を設けることで、耐熱寸法安定性に優れるだけでなく、ポリオレフィン系多孔フィルムの優れた電気特性を併せ持ち、さらには、蓄電デバイスの異常発熱時にはシャットダウン機能により、イオン電導性を喪失せしめることが可能な、高出力用リチウムイオン二次電池に好適に用いることができる高安全な蓄電デバイス用セパレータに関する。
ポリオレフィン系多孔フィルムは、電気絶縁性やイオン透過性に加えて、力学特性にも優れることから、特にリチウムイオン二次電池のセパレータ用途に広く用いられており、なおかつ、電池の高出力密度、高エネルギー密度化に伴い、フィルムの大孔径化、薄膜化、高空孔率化などが検討されている(例えば、特許文献1、2参照)。また、これらのフィルムを使用する際に安全性を確保するために結着剤および低融点樹脂粒子や無機粒子からなる層をフィルムの最表層に設ける提案がなされている(例えば、特許文献3〜5)。しかし、上記の層をフィルムに設けた場合、基材に用いたフィルムと比較して透気抵抗が低下し、セパレータとして用いた際の電池特性に悪影響を及ぼすという問題があった。また、上記の層を低融点樹脂粒子のみで構成することにより透気抵抗を保持する提案がなされているが(例えば、特許文献6)、セパレータとして用いた際の耐熱性が低く、安全性を確保できないといった問題があった。粒子含有層の積層方法に関しては、ポリオレフィン系多孔フィルムに定着剤を塗布する方法(例えば、特許文献7)が提案されているが、ポリオレフィン系多孔フィルムの開孔表面から塗液がフィルム内部に浸透し、透気抵抗が高くなるといった問題があった。
特開平11−302434号公報 国際公開WO2005/61599号パンフレット 特開2005−285385号公報 特開2007−95575号公報 特開2009−091118号公報 特開2007−324073号公報 特開2002−166218号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、本発明の目的は、ポリオレフィン系多孔フィルムに粒子含有層を設けることにより、透気抵抗の悪化を抑制し、優れた電池性能と安全性を高いレベルで両立した蓄電デバイス用セパレータ用として好適な多孔質フィルムを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、以下の特徴を有する。
ポリオレフィン系多孔フィルムの少なくとも片面に、無機粒子を含む粒子含有層が形成されてなり、以下で定義される透気抵抗変化率(Gd)が10%以下であり、かつ透気抵抗(Ga)が50〜500秒/100mlである多孔質フィルム。
Gd={(Ga−Gb)/Gb}×100
Gd:透気抵抗変化率(%)
Ga:多孔質フィルムの透気抵抗(秒/100ml)
Gb:ポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗(秒/100ml)
本発明のポリオレフィン系多孔質フィルムは、耐熱性、高い透気度、シャットダウン性が良好であり、セパレータとして用いた際に優れた特性を示す多孔質フィルムとして提供することができる。
本発明において用いるポリオレフィン系多孔フィルムは、フィルムの両表面を貫通し、透気性を有する微細な貫通孔を多数有している。フィルムに貫通孔を形成する方法としては、湿式法、乾式法どちらでも構わないが、工程を簡略化できることから乾式法が望ましい。
ポリオレフィン系多孔フィルムを構成するポリオレフィンとしては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などの単一ポリオレフィン樹脂や、これら樹脂の混合物、さらには、単量体同士をランダム共重合やブロック共重合した樹脂を用いることができる。
ポリオレフィン系多孔フィルムは、耐熱性の観点で融点が155〜180℃であることが好ましい。融点が155℃未満であると粒子含有層をポリオレフィン系多孔フィルム上に積層する際に多孔フィルムが寸法変化してしまう場合がある。一方、ポリオレフィン系多孔フィルムの融点が180℃を超える温度にするためには、ポリオレフィン樹脂以外の耐熱性樹脂を多量に添加する必要があり、その場合、セパレータとしての基本特性であるイオン電導性が著しく低下してしまう場合ある。なお、ポリオレフィン系多孔フィルムの融点は、単一の融点を示す場合はもちろんその融点をいうが、例えばポリオレフィン系多孔フィルムがポリオレフィンの混合物から構成されるなど、複数の融点を有している場合は、そのうち最も高温側に現れる融点をポリオレフィン系多孔フィルムの融点とする。ポリオレフィン系多孔フィルムの融点は、より好ましくは耐熱性の観点から160〜180℃、さらに好ましくは165〜180℃である。また、上記したように、ポリオレフィン系多孔フィルムが複数の融点を示す場合は、それら全てが上記範囲内にあることが好ましい。
ポリオレフィン系多孔フィルムは、優れた電池特性を実現するために、ポリプロピレン樹脂からなることが好ましく、特にβ晶法と呼ばれる多孔化法を用いて製造された多孔フィルムであることが好ましい。β晶法を用いてフィルムに貫通孔を形成するためには、ポリプロピレン樹脂中にβ晶を多量に生成させることが重要となるが、そのためにはβ晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に生成させる結晶化核剤を添加剤として用いることが好ましい。β晶核剤としては種々の顔料系化合物やアミド系化合物などを挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の含有量としては、ポリプロピレン樹脂全体を100質量部とした場合、0.05〜0.5質量部であることが好ましく、0.1〜0.3質量部であればより好ましい。
ポリオレフィン系多孔フィルムを構成するポリプロピレン樹脂はメルトフローレート(以下、MFRと表記する、測定条件は230℃、2.16kg)が2〜30g/10分の範囲のアイソタクチックポリプロピレン樹脂であることが好ましい。MFRが上記した好ましい範囲を外れると延伸フィルムを得ることが困難となる場合がある。より好ましくは、MFRが3〜20g/10分である。また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチックインデックスは90〜99.9%であれば好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると、樹脂の結晶性が低く、高い透気性を達成するのが困難な場合がある。アイソタクチックポリプロピレン樹脂は市販されている樹脂を用いることができる。
ポリオレフィン系多孔フィルムにはホモポリプロピレン樹脂を用いることができるのはもちろんのこと、製膜工程での安定性や造膜性、物性の均一性の観点から、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を5質量%以下の範囲で共重合してもよい。なお、ポリプロピレンへのコモノマーの導入形態としては、ランダム共重合でもブロック共重合でもいずれでも構わない。また、上記のポリプロピレン樹脂は0.5〜5質量%の範囲で高溶融張力ポリプロピレンを含有させることが製膜性向上の点で好ましい。高溶融張力ポリプロピレンとは高分子量成分や分岐構造を有する成分をポリプロピレン樹脂中に混合したり、ポリプロピレンに長鎖分岐成分を共重合させたりすることで溶融状態での張力を高めたポリプロピレン樹脂であるが、中でも長鎖分岐成分を共重合させたポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。この高溶融張力ポリプロピレンは市販されており、たとえば、Basell社製ポリプロピレン樹脂PF814、PF633、PF611やBorealis社製ポリプロピレン樹脂WB130HMS、Dow社製ポリプロピレン樹脂D114、D206を用いることができる。
ポリオレフィン系多孔フィルムを構成するポリプロピレン樹脂には、延伸時の空隙形成効率を高め、孔径が拡大することで透気性が向上することから、ポリプロピレン樹脂にエチレン・α−オレフィン共重合体を1〜10質量%添加することが好ましい。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体としては直鎖状低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレンを挙げることができ、中でも、オクテン−1を共重合したエチレン・オクテン−1共重合体を好ましく用いることができる。このエチレン・オクテン−1共重合体は市販されている樹脂を用いることができる。
ポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗は50〜500秒/100mlであることが好ましい。透気抵抗が50秒/100ml未満では粒子が軟化しても孔を完全に塞ぐことが困難であり、シャットダウン性が不十分となる。また、500秒/100mlを超えると多孔質フィルムをセパレータとして用いた際の電池特性が悪化する傾向にある。
ポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗は、用途にもよるが、好ましくは80〜400秒/100ml、より好ましくは100〜300秒/100ml、さらに好ましくは150〜250秒/100mlである。
ポリオレフィン系多孔フィルムはβ晶法により多孔化することが好ましいため、フィルムを構成する(含まれる)ポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が40〜90%であることが好ましい。
ここで、β晶形成能とは以下の条件で測定される、一定条件下におけるポリプロピレン樹脂中のβ晶の存在比率を示しており、β晶をどれだけ形成する能力があるのかを示す値である。β晶形成能の測定は、ポリプロピレン樹脂あるいはポリプロピレンフィルム5mgを示差走査熱量計を用いて窒素雰囲気下で室温から240℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、30℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観察される融解ピークについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、それぞれ融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。
β晶形成能(%)=〔ΔHβ/(ΔHα+ΔHββ〕×100
β晶形成能が40%未満ではフィルム製造時にβ晶量が少ないためにα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果透過性の低いフィルムしか得られない場合がある。また、β晶形成能が90%を超える場合は、粗大孔が形成され、蓄電デバイス用セパレータとしての機能を有さなくなる場合がある。β晶形成能を40〜90%の範囲内にするためには、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用し、かつ、上述のβ晶核剤を添加することが好ましい。β晶形成能としては45〜80%であればより好ましい。
また、上記β晶法以外にポリオレフィン系多孔フィルムを製造する方法としては、ポリプロピレンをマトリックス樹脂として、シート化する際、抽出する被抽出物を添加、混合し、被抽出物の良溶媒を使用して添加物のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を形成する抽出法と呼ばれる方法や、溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前フィルム中のラメラ構造を制御し、これを一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成するラメラ延伸法と呼ばれる方法などがあり、いずれも用いることができる。
本発明において用いるポリオレフィン系多孔フィルムは空孔率が60〜90%であることが好ましい。60%未満ではポリオレフィン系多孔フィルムをセパレータとして用いた際の特性が不十分となる場合がある。90%を超えるとセパレータ特性、および強度の観点から不十分となる場合がある。 ポリオレフィン系多孔フィルムの空孔率はポリオレフィン系多孔フィルムの比重(ρ)とポリオレフィン系樹脂の比重(d)より下記式より求めることができる。
空孔率(%)=〔(d−ρ)/d〕×100
本発明において用いるポリオレフィン系多孔フィルムは少なくとも一軸方向に延伸されていることが好ましい。未延伸のフィルムを用いた場合、フィルムの空孔率や機械強度が不十分となる場合がある。ポリオレフィン系多孔フィルムを少なくとも一軸方向に延伸する方法としては、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸及び多段延伸(例えば同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよいが、逐次二軸延伸が好ましい。
ポリオレフィン系多孔フィルムは、貫通孔の平均孔径が40〜400nmであることが好ましい。40nm未満ではセパレータとして用いた際の特性が不十分となり、400nmを超えると粒子の脱落や微短絡が起こりやすくなり電池の寿命に対して悪影響を及ぼすなどの問題が起こるおそれがある。
本発明の多孔質フィルムは、上記したポリオレフィン系多孔フィルムの少なくとも片面に、無機粒子と熱可塑性樹脂粒子とを含む粒子含有層が設けられている。当該粒子含有層を設けることで、ポリオレフィン系多孔フィルムに優れた耐熱性、力学特性を具備させることができる。以下に当該粒子含有層について、詳しく説明する。
本発明の多孔質フィルムの粒子含有層には無機粒子が含まれている。
無機粒子の種類は、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、酸化鉄などの酸化物系セラミックスや窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウム、チタン酸カリウム、タルク、カオリンクレー、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂等のセラミックス、ガラス繊維等のセラミックスなどが挙げられるが、電気化学的な安定性の観点から、酸化物系セラミックスを用いることが好ましく、これらを単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
さらに、リチウムイオン電池内での安定性の観点から、含水量が1質量%以下の無機粒子が好ましい。より好ましくは、含水量が0.5質量%以下であることが好ましい。
本発明において、含水量が1質量%以下の無機粒子としては、内部に細孔を持たないような緻密な構造を有する無機粒子が好ましい。例えば、アルミナ、乾式法で製造されたシリカ、乾式法で製造されたジルコニアなどの酸化物系セラミックスや窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の窒化物系セラミックス、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウムケイ砂等のセラミックス、ガラス繊維等のセラミックスなどが挙げられるが、電気化学的な安定性の観点から、アルミナ、乾式法で製造されたシリカ、乾式法で製造されたジルコニアを用いることが好ましく、これらを単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、アルミナ、乾式法で製造されたシリカ、乾式法で製造されたジルコニアはシランカップリング処理を行っても構わない。
これらの無機粒子については、粒子含有層の透気性と力学特性の両立の観点から、平均粒子径が0.05〜2μmであることが好ましく、0.05〜1μmであればより好ましい。特に好ましくは0.1〜0.6μmである。平均粒子径が0.05μm未満では、粒子がポリオレフィン系多孔フィルムの開孔表面からフィルム内部に浸透し、ポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗が高くなる場合がある。一方、平均粒子径が2μmを超えると、粒子同士の間隙が大きくなってしまい、粒子含有層の力学特性が低くなってしまう場合がある。ここで、無機粒子の平均粒子径の測定方法は、詳細は後述するが、粒子の透過型電子顕微鏡写真から画像処理により得られる円相当径を用い、質量平均径を算出して採用する。
本発明の多孔質フィルムの粒子含有層にはフィルムにシャットダウン性を付与する観点から、融点が100〜140℃の熱可塑性樹脂粒子を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂粒子の融点が100℃未満であると、使用環境が蓄電デバイスの他の素材には問題のない100℃程度の低温でフィルムの貫通孔を遮蔽してしまい、シャットダウンしてしまう誤作動が発生してしまう。一方、融点が140℃を超えるとシャットダウンする前に蓄電デバイス内で自己発熱反応が開始してしまうことがある。シャットダウンはリチウムイオン電池で多く使用されているコバルト系正極の場合、正極の熱安定性の観点から125〜140℃で機能することが好ましいので、熱可塑性樹脂粒子の融点は120〜140℃であることがより好ましく、正極の熱安定性を考慮して融点を変更することが好ましい。なお、熱可塑性樹脂粒子が複数の融点を有する場合には、最も高温の融点が上記範囲内であればよい。
本発明で用いる熱可塑性樹脂粒子としては、融点が上記範囲に入る熱可塑性樹脂から構成されていれば特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂からなる粒子が好ましく、特に、ポリエチレン、ポリエチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂からなる熱可塑性樹脂粒子が好ましい。また、熱可塑性樹脂粒子の平均粒子径としては0.5〜5μmであれば好ましく、0.8〜3μmであればより好ましい。
本発明において、多孔フィルムと粒子含有層との接着性向上のためにオキシラン環含有化合物が粒子含有層に存在することが好ましい。オキシラン環含有化合物としては、各種エポキシ樹脂、グリシジル(メタ)クリレート等のエポキシ基含有(メタ)クリレート、Y−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有有機ケイ素化合物挙げられるが、耐電解液性の観点からエポキシ樹脂が好ましく使用される。エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリエチレンオキシド型エポキシ樹脂、ポリプロピレンオキシド型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上の混合物として使用できる。また、耐電解液性の観点から、2官能以上のエポキシ樹脂を用いるのが好ましく、可撓性の観点からは、エポキシ当量100以上がよく、300以上がさらに好ましい。また、環境、作業性の観点から、水溶性エポキシ樹脂の使用が好ましく、ソルビトールポリグリシドキシエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の2官能以上の脂肪族エポキシ樹脂が挙げられ、1種あるいは2種以上の混合物として使用できる。
具体的には、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等の水溶性エポキシ樹脂が特に好ましい。また、可撓性付与の目的で、フェノールエチレンオキシドグリシジルエーテル(エチレンオキシド鎖の繰り返し単位が、5〜10程度のものが特に好ましい)、ラウリルアルコールエチレンオキシドグリシジルエーテル(エチレンオキシド鎖の繰り返し単位が、10〜18程度のものが特に好ましい)等のモノエポキシ化合物、エポキシ化植物油等を使用してもさしつかえなく、クレゾールノボラック型エポキシ等のエポキシエマルジョンも使用できる。
さらに、これらオキシラン環含有化合物の硬化促進、低温硬化を目的として、各種硬化触媒を併用してもよい。硬化剤としては、ルイス酸等の酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等の酸無水物、アルウミニウムアセチルアセトネート等の各種金属錯体化合物、金属アルコキシド、アルカリ金属の有機カルボン酸塩および炭酸塩、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族アミン、変性脂肪族ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリブチルアミン、トリス(ジメチルアミノ)メチルフェノール等の第三級アミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等の芳香族アミン、アミノエチルピペラジン等の環状アミン、2−メチル−4−エチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩、三フッ化硼素、三フッ化硼素−モノエチルアミンコンプレックスなどが挙げられ、単独あるいは2種以上の混合物として使用できる。
本発明において粒子含有層を形成する方法として、無機粒子や熱可塑性樹脂粒子、オキシラン環含有化合物などを含有する塗液を塗布する方法が好ましく採用される。塗布する方法としては、一般に行われるどのような方法を用いてもよいが、例えば、オキシラン環含有化合物をイオン交換水などに分散させて作成した粒子懸濁液をリバースコート法、バーコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などの塗布方法によりフィルム上に塗布し、乾燥してコーティング層(粒子含有層)とすればよい。また、懸濁液を調製する際にはコーティング層における粒子の偏在を防止するために分散剤などを適宜添加してもよい。
本発明において多孔質フィルムの透気抵抗は50〜500秒/100mlであることが好ましい。透気抵抗が50秒/100ml未満では粒子が軟化しても孔を完全に塞ぐことが困難であり、シャットダウン性が不十分となる。また、500秒/100mlを超えると多孔質フィルムをセパレータとして用いた際の電池特性が悪化する傾向にある。
多孔質フィルムの透気抵抗は、用途にもよるが、好ましくは80〜400秒/100ml、より好ましくは100〜300秒/100ml、さらに好ましくは150〜250秒/100mlである。
本発明においてポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗と多孔質フィルムの透気抵抗から算出される透気抵変化率(Gd)は10%以下であることがこのましい。透気抵抗変化率(Gd)は下記式で定義される。
Gd={(Ga−Gb)/Gb}×100
ここで、Gdは透気抵抗変化率(%)、Gaは多孔質フィルムの透気抵抗(秒/100ml)、Gbはポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗(秒/100ml)を意味する。Gdが10%を超えるとポリオレフィン系多孔フィルム上に粒子含有層を形成する際に使用した塗液がポリオレフィン系多孔フィルムの開孔表面からフィルム内部に浸透し、開孔部を閉塞する場合があり、ポリオレフィン系多孔フィルムにくらべ電池特性が悪くなる場合がある。上記の観点からGdは10%以下が好ましく、5%以下であればより好ましい。
本発明において粒子含有層は、少なくとも2層の層構成を有していることが好ましい。粒子含有層を少なくとも2層の積層構成とするには、ポリオレフィン系多孔フィルムの少なくとも片面に粒子含有層を1層設けた後、その粒子含有層上にさらに粒子含有層を積層させる。2層以上の積層構成を有していることにより、後述するように粒子含有層を塗布により形成する場合に発生する塗布抜けを抑制でき、電池のセパレータとして用いた際の安全性を高めることができる。粒子含有層が1層のみの単層構成である場合、塗布工程で生じた塗布抜け部分を補修することができない場合がある。
上記において、粒子含有層のポリオレフィン系多孔フィルム側の層をA層、最表層側をB層とした場合、A層を形成するための塗液の粘度を25℃において20Pa・s以上50Pa・s以下とし、B層を形成するための塗液の粘度を25℃において0.001Pa・s以上20Pa・s以下として、それぞれ塗液を用いて粒子含有層を形成することが好ましい。上記の方法を用いることでポリオレフィン系多孔フィルムと塗液との馴染みを向上させポリオレフィン系多孔フィルムと粒子含有層との接着性を高めると共に、塗液粘度を制御することで、塗液の塗布によるポリオレフィン系多孔フィルムの開孔部の閉塞を抑制することができる。A層を形成する塗液について粘度が20Pa・sを下回る塗液を用いると塗液の流動性がよくなりポリオレフィン系多孔フィルムの開口部に目詰まりを起こす場合がある。また、粘度が50Pa・sを超えるものを用いると、塗液の流動性が悪化するため、厚み斑や塗り斑、塗液による開孔部の閉塞がおこり透気抵抗の高い部分が発生する。B層を形成する塗液について20Pa・sを超えるものを用いると、塗液の流動性が低くなり、塗布工程で生じた塗布抜け部分を補修する効果が薄れる場合がある。上記の観点からA層を形成するための塗液の粘度を25℃において20Pa・s以上50Pa・s以下とし、B層を形成するための塗液の粘度を25℃において0.001Pa・s以上20Pa・s以下とすることが好ましく、A層を形成するための塗液の粘度を25℃において30Pa・s以上40Pa・s以下とし、B層を形成するための塗液の粘度を25℃において0.001Pa・s以上15Pa・s以下とすることがより好ましい。
本発明において粒子含有層を形成するA層およびB層を形成するための塗液粘度の比(A層用の塗剤粘度/B層用の塗剤粘度)が1.5〜10であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。A層およびB層を形成するための塗液粘度の比が上記の範囲外であると、粒子含有層を積層する塗布によるポリオレフィン系多孔フィルムの開孔部の閉塞を抑制する効果や塗布抜けを抑制する効果が低下する場合がある。
上記した塗剤の粘度は、塗液中の固形成分含量を変えたり、塗液に公知の増粘剤を加えたりすることで調節できる。また、増粘剤の使用により、塗液の乾燥性も調節することができる。
本発明において粒子含有層を形成する塗液には、多孔化の観点から水に分散または溶融可能な化合物を添加することが好ましい。水に分散または溶融可能な化合物としては、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、アクリル、セルロースおよび/またはセルロース塩、アクリル系樹脂、エチレンビニルアルコール(EVA:酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、ポリアミド、ポリサルファイド、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、メラミン樹脂、ポリビニルピリジン、高級アルコール類等の樹脂およびこれらの塩が挙げられる。これらの化合物は他の材料間(粒子間、粒子−基材間など)を結着させることができる。水に分散または溶融可能な化合物は例示のものを1種で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの樹脂の中でも、セルロースおよび/またはセルロース塩よりなる群から選択される少なくとも1種とセルロースおよび/またはセルロース塩以外の水に分散または溶融可能な化合物を併用することが好ましい。セルロースおよび/またはセルロース塩はセルロースの分子量を調整することで、塗剤の粘度を調整できる。セルロースおよび/またはセルロース塩は、特に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびこれらのナトリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、カルボキシメチルセルロースまたはその塩およびヒドロキシエチルセルロースまたはその塩よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが特に好ましい。
本発明において塗布後の乾燥条件として、乾燥温度は、80〜120℃、乾燥時間は、1〜10分間が好ましい。乾燥温度は、80℃未満の場合、粒子含有層が未乾燥となり、粒子含有層内に水分を多量に含む場合があり、120℃より高い場合、熱可塑性樹脂粒子が溶融し、多孔質フィルムの透気性が悪化する場合がある。乾燥時間が1分間未満の場合、粒子含有層が未乾燥となり、粒子含有層内に水分を多量に含む場合があり、10分より長い場合、熱可塑性樹脂粒子が溶融し、多孔質フィルムの透気性が悪化する場合がある。さらに好ましくは、多孔質フィルムの透気性の観点から、乾燥温度は、90〜110℃、乾燥時間は、2〜5分間が好ましい。
本発明の多孔質フィルムは全体の総厚みが15〜40μmであることが好ましく、18〜35μmであればより好ましい。その中でも、ポリオレフィン系多孔フィルムの厚みは、セパレータとしての電気特性の点で12〜35μmであればより好ましく、15〜30μmであればより好ましい。また、粒子含有層の積層厚みは耐熱性、力学特性の観点から、1〜9μmであることが好ましく、3〜7μmであればより好ましい。
本発明において、粒子含有層中のA層の積層厚みは1〜3μmであることが好ましい。この範囲を超えると乾燥後の多孔質フィルムが脆くなり、ひび割れが発生する場合や透気抵抗が悪化する場合がある。またB層の積層厚みは2〜4μmであることが多孔質フィルムの均質化の観点から好ましい。
本発明の多孔質フィルムは、ポリオレフィン系多孔フィルムの両面に粒子含有層を設けることが好ましい。粒子含有層が片面だけであると、セパレータ(多孔質フィルム)がカールしてしまい、取扱性に劣る場合がある。
本発明の多孔質フィルムを構成するポリオレフィン系多孔フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化防止剤を0.01〜0.5質量部含有せしめることは好ましいことである。
以下に本発明の多孔質フィルムを構成するポリオレフィン系多孔フィルムの製造方法、および、多孔質フィルムの製造方法を具体的に説明する。なお、本発明のポリオレフィン系多孔フィルムの製造方法はこれに限定されるものではないが、β晶法によるポリプロピレン多孔フィルムを例として説明する。
ポリプロピレン樹脂として、MFR8g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂94質量部、同じく市販のMFR2.5g/10分高溶融張力ポリプロピレン樹脂1質量部、さらにメルトインデックス18g/10分の超低密度ポリエチレン樹脂5質量部にN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.2質量部を混合し、二軸押出機を使用して予め所定の割合で混合した原料を準備する。この際、溶融温度は270〜300℃とすることが好ましい。
次に、上記の混合原料を単軸の溶融押出機に供給し、200〜230℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸シートを得る。この際、キャストドラムは表面温度が105〜130℃であることが、キャストフィルムのβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。また、特にシートの端部の成形が後の延伸性に影響するので、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。なお、シート全体のドラム上への密着状態から必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付ける方法や、静電印加法を用いてキャストドラムにポリマーを密着させてもよい。
次に得られた未延伸シートを二軸配向させ、フィルム中に空孔を形成する。二軸配向させる方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、高透気性フィルムを得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず未延伸シートを長手方向に延伸する温度に制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としては110〜140℃、より好ましくは120〜135℃、さらに好ましくは123〜130℃の温度を採用することが好ましい。延伸倍率としては3〜6倍、より好ましくは4〜5.5倍である。次に、いったん冷却後、ステンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入する。そして、130〜155℃、より好ましくは145〜153℃に加熱して幅方向に4〜12倍、より好ましくは6〜11倍、さらに好ましくは6.5〜10倍に延伸を行う。なお、このときの横延伸速度としては300〜5,000%/分で行うことが好ましく、500〜3,000%/分であればより好ましい。ついで、そのままステンター内で熱固定を行うが、その温度は横延伸温度以上160℃以下が好ましい。さらに、熱固定時にはフィルムの長手方向および/もしくは幅方向に弛緩させながら行ってもよく、特に幅方向の弛緩率を5〜20%とすることが、熱寸法安定性の観点から好ましい。
上記製造方法によって作製した多孔フィルムに無機粒子として乾式法で作製したシリカ粒子15質量部と、熱可塑性樹脂粒子としてポリエチレン粒子10質量部と、オキシラン環含有化合物2.0質量部と、カルボキシメチルセルロース2.0質量部と、イオン交換水71質量部とを混合し、粘度が35Pa・sとなるよう調整する。この塗液を4時間攪拌した後にダイコーターを用いた塗布方法により多孔フィルム上に塗布し、100℃で1分間乾燥させて、積層厚みが1〜3μmの粒子含有層のA層とする。さらに、このフィルムにシリカ粒子15質量部と、熱可塑性樹脂粒子としてポリエチレン粒子の10質量部と、オキシラン環含有化合物2.0質量部と、カルボキシメチルセルロース1.0質量部と、イオン交換水71質量部とを混合し、粘度が10Pa・sとなるよう調整した塗液を4時間攪拌した後にダイコーターを用いた塗布方法により多孔フィルム上に塗布し、100℃で1分間乾燥させて積層厚みが2〜4μmの粒子含有層のB層とする。
本発明の多孔質フィルムは、優れた透気性、力学特性を有するだけでなく、シャットダウン性、耐メルトダウン性を有していることから、特にリチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池のセパレータとして好ましく用いることができる。
本発明の多孔質フィルムは優れた透気性と力学特性を併せ持ち、なおかつ耐メルトダウン性をも有していることから、蓄電デバイスのセパレータとして好適に使用することができる。
ここで、蓄電デバイスとしては、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタなどの電気二重層キャパシタなどを挙げることができる。このような蓄電デバイスは充放電することで繰り返し使用することができるので、産業装置や生活機器、電気自動車やハイブリッド電気自動車などの電源装置として使用することができる。本発明のセパレータとして使用した蓄電デバイスは、セパレータの優れた特性から産業機器や自動車の電源装置に好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)β晶形成能
ポリオレフィン系多孔フィルムを構成する樹脂またはポリオレフィン系多孔フィルムそのもの5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から280℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、30℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピークにについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
(2)熱可塑性樹脂粒子の融点
熱可塑性樹脂粒子の融点は、粒子含有層用の塗剤に調整する前の粒子が分散した分散液を適量採取し、熱風オーブンにて70℃で乾燥させ、固形分のみを採取する。固形分5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。窒素雰囲気下で室温から200℃まで20℃/分で昇温したときに観察される融解ピークについて、最も高温側のピーク温度を熱可塑性樹脂粒子の融点とした。
また、熱可塑性樹脂粒子が粒子含有層用の塗剤に調整された後や多孔フィルム上に塗布された後であっても、上記方法と同様にして、示差走査熱量計で測定を行い、熱可塑性樹脂粒子の融点を決定できる。なお、多孔フィルム上に塗布された後の場合、フィルム表面から粒子含有層のみを削り取ることで試料を採取し、同様の条件で測定することで熱可塑性樹脂粒子の融点を決定することができる。
(3)透気抵抗、透気抵抗変化率
ポリオレフィン系多孔フィルムまたは多孔質フィルムから1辺の長さ100mmの正方形を切取り試料とし、JIS P 8117(2009)のB形のガーレー試験機を用いて、23℃、相対湿度65%にて、100mlの空気の透過時間の測定を3回行った。透過時間の平均値をポリオレフィン系多孔フィルムまたは多孔質フィルムの透気抵抗とした。
また、下記に定義する透気抵抗変化率(Gd)を算出し、下記基準にて評価した。
Gd={(Ga−Gb)/Gb}×100
ここで、Gdは透気抵抗変化率(%)、Gaは多孔質フィルムの透気抵抗(秒/100ml)、Gbはポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗(秒/100ml)を意味する。
◎:Gdが2%以下
○:Gdが2%より大きく、5%以下
△:Gdが5%より大きく、10%以下
×:Gdが10%より大きい
(4)貫通孔の平均孔径
水銀圧入法によるポロシメーター(島津製作所社製9220型)にてポリオレフィン系多孔フィルムの平均孔径を測定した。試料は25mm角程度切り取り、標準セルに採り初期圧力約20kPaの条件で測定した。上記測定を任意の5箇所について実施し、平均孔径の平均値を当該サンプルにおける貫通孔の平均孔径とした。
(5)塗液粘度
B型粘度計(東京計器社製)を用いて、JISK7117(1999)に準拠し、スピンドルNo.4を用い、25℃にて回転数60rpmで測定をおこない粘度を求めた。
(6)粒子含有層の積層厚み
粒子含有層を塗布する前のフィルムの幅方向の中央部について、長手方向には少なくとも5cm感覚で任意の場所の合計10箇所をダイアルゲージ式厚み計(PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(No.25))にて測定し、その平均値をオレフィン系多孔フィルムの厚み(la)とする。
次に粒子含有層を塗布した後に乾燥したフィルムの粒子含有層側を上面にして、フィルムの幅方向の中央部について、長手方向には任意の場所の合計10箇所をダイアルゲージ式厚み計にて厚みを測定し、その平均値を多孔質フィルムの厚み(lb)とした。
粒子含有層の積層厚みは、laとlbとから、以下の式より算出した。
粒子含有層の積層厚み=lb−la
粒子含有層の各層の積層厚みは、各層を積層するごとに上記の方法を用いて測定した。
使用定子:10mmφの平型標準測定子(No101117)
荷重:50g
(7)塗布抜け
巻出機と巻取機を備えた欠点検出器で、得られた多孔質フィルムの幅方向の中央部について幅50mm分の透過光量を測定した。光源には、長さ750mm、直径φ10mmの円柱状のロッドレンズを用い、ロッドレンズの端面から250Wのメタルハライド光源の光を入射した。フィルムの一方の面から光源を250mm離して設置し、照射した光の光量をもう一方の面から検出した。検出器とフィルムの距離は15mmとした。検出器としてはエレクトロセンサリデバイス(株)社製CCDラインセンサカメラE7450Dとニコン社製カメラレンズAiMicro−Nikkor55mmF2.8Sを用い、以下の条件で検査した。多孔質フィルムを6m/分で走行させ、フィルムの透過光量を長さ40m×幅50mmを測定した。表には平均透過光量に比べ、透過光量が2.5倍以上となる部分の個数を計測した。ここで、平均透過光量はフィルムの巻き芯部分と巻き外部分についてそれぞれ長さ1m分の透過光量を測定し、その平均値を用いた。
幅方向分解能 :20μm/pixel
長さ方向分解能:20μm/pixel
視野幅 :中央部200mm幅
スキャンレート:9,500
絞り :8F
○:塗布抜けなし。
×:塗布抜け1個以上あり。
(8)耐熱性試験
多孔質フィルムを3×3cmの正方形に切り取り、テスター産業(株)製ヒートシールテスターを用いて、加熱温度200℃、加熱時間10秒間、荷重0.1MPaの条件で1×3cmの面積を加熱した。
上記処理を行った多孔質フィルムを以下の基準で評価した。
○:多孔質フィルムの形状を保っている。目視にて孔の形成なし。
×:多孔質フィルムの平面性が悪い。溶融による孔の形成あり。
(実施例1)
ポリオレフィン系多孔フィルムの原料樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4(以下、PP−1と表記)を94質量部、高溶融張力ポリプロピレン樹脂であるBasell製ポリプロピレンPF−814(以下、HMS−PP−1と表記)を1質量部、エチレン−オクテン−1共重合体であるダウ・ケミカル製 Engage8411(メルトインデックス:18g/10分、以下、単にPE−1と表記)を5質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100、以下、単にβ晶核剤と表記)を0.2質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.15、0.1質量部(以下、単に酸防剤と表記し、特に記載のない限り3:2の質量比で使用)を、この比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
このチップを単軸押出機に供給して220℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。ついで、120℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に4.5倍延伸を行った。一旦冷却後、次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、145℃で6倍に延伸した。そのまま、幅方向に8%のリラックスを掛けながら155℃で6秒間の熱処理を行い、厚み23μmのポリオレフィン系多孔フィルムを得た。
上記多孔フィルムの片面(溶融押出時にドラムに接触した面、以下D面と表記)に、ダイコーターを用いて乾燥後の積層厚みが2μmになるようにA層の塗液を塗布し、100℃で1分間乾燥させた。次いでA層を積層させた面に、ダイコーターを用いて乾燥後の積層厚みが4μmになるようにB層の塗液を塗布し、100℃で1分間乾燥させ、A/Bの2層構成の粒子含有層を形成して多孔質フィルムを作製した。
〈粒子含有層の塗液の組成〉
(1)A層用塗液(塗液粘度 35Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
2.0質量部
イオン交換水 71質量部
(2)B層用塗液(塗液粘度 10Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
1.0質量部
イオン交換水 71質量部
(実施例2)
実施例1において、粒子含有層のA層用として、塗液粘度が45Pa・sになるように以下の組成の塗液を調合し、実施例1と同様の手法で多孔質フィルムを作製した。
〈粒子含有層の塗液の組成〉
・A層用塗液(塗液粘度 45Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
2.5質量部
イオン交換水 71質量部
(実施例3)
実施例1において、粒子含有層のA層用として、塗液粘度が25Pa・sになるように以下の組成の塗液を調合し、実施例1と同様の手法で多孔質フィルムを作製した。
〈粒子含有層の塗液の組成〉
・A層用塗液(塗液粘度 25Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
1.5質量部
イオン交換水 71質量部
(実施例4)
実施例1において、粒子含有層のB層用として、塗液粘度が17Pa・sになるように以下の組成の塗液を調合し、実施例1と同様の手法で多孔質フィルムを作製した。
〈粒子含有層の塗液の組成〉
・B層用塗液(塗液粘度 17Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
1.3質量部
イオン交換水 71質量部
(実施例5)
実施例1において、粒子含有層のA層用として、塗液粘度が36Pa・sになるように以下の組成の塗液を調合し、実施例1と同様の手法で多孔質フィルムを作製した。
〈粒子含有層の塗液の組成〉
・A層用塗液(塗液粘度 36Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
1.5質量部
PVDF/アクリル水分散体(アルケマ社製“カイナーアクアテック” 固形分濃度40%)2.5質量部
イオン交換水 69質量部
(実施例6)
実施例1において、粒子含有層のA層用として、塗液粘度が36Pa・s、B層用として塗液粘度が12Pa・sになるように以下の組成の塗液を調合し、実施例1と同様の手法で多孔質フィルムを作製した。
〈粒子含有層の塗液の組成〉
・A層用塗液(塗液粘度 36Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
1.5質量部
PVDF/アクリル水分散体(アルケマ社 “カイナーアクアテック” 固形分濃度40%)2.5質量部
イオン交換水 69質量部
・B層用塗液(塗液粘度 12Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
0.5質量部
PVDF/アクリル水分散体(アルケマ社製“カイナーアクアテック” 固形分濃度40%)1.25質量部
イオン交換水 71.25質量部
(比較例1)
実施例1において、粒子含有層のA層用として、塗液粘度が10Pa・sになるように以下の組成の塗液を調合し、実施例1と同様の手法で多孔質フィルムを作製した。
〈粒子含有層の塗液の組成〉
・A層用塗液(塗液粘度 10Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
1.0質量部
イオン交換水 71質量部
(比較例2)
実施例1において、粒子含有層のA層用として、塗液粘度が10Pa・sとなるように、またB層用として、塗液粘度が35Pa・sとなるようにそれぞれ以下の組成の塗液を調合し、実施例1と同様の手法で多孔質フィルムを作製した。
〈粒子含有層の塗液の組成〉
(1)A層用塗液(塗液粘度 10Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
1.0質量部
イオン交換水 71質量部
(2)B層用塗液(塗液粘度 35Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
2.0質量部
イオン交換水 71質量部
(比較例3)
実施例1の多孔フィルムの片面(溶融押出時にドラムに接触した面、以下D面と表記)に、ダイコーターを用いて乾燥後の積層厚みが6μmになるように以下の組成の塗液を塗布し、100℃で1分間乾燥させ、単層構成の粒子含有層を形成し、多孔質フィルムを作製した。
・粒子含有層用塗液(塗液粘度 35Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
2.0質量部
イオン交換水 71質量部
(比較例4)
実施例1の多孔フィルムの片面(溶融押出時にドラムに接触した面、以下D面と表記)に、ダイコーターを用いて乾燥後の積層厚みが6μmになるように以下の組成の塗液を塗布し、100℃で1分間乾燥させ、単層構成の粒子含有層を形成し、多孔質フィルムを作製した。
・粒子含有層用塗液(塗液粘度 10Pa・s)
シリカ粒子(電気化学工業(株)製“SFP20”) 15質量部
ポリエチレン粒子(三井化学(株)製ケミパール“W100”) 10質量部
オキシラン環含有化合物(ナガセ化成工業(株)製デナコール“EX−861”)2.0質量部
カルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業(株)製“CMCダイセル2240”
1.0質量部
イオン交換水 71質量部
(比較例5)
実施例1の粒子含有層を塗布する前の多孔フィルムをそのまま評価した。
Figure 2011171290
本発明の多孔質フィルムは耐熱性と、ポリオレフィン系多孔フィルムに粒子含有層を設けることによる透気抵抗の悪化を抑制し、優れた電池性能と安全性を高いレベルで両立していることから、蓄電デバイス、特に非水電解質二次電池であるリチウムイオン電池のセパレータとして好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. ポリオレフィン系多孔フィルムの少なくとも片面に、無機粒子を含む粒子含有層が形成されてなり、以下で定義される透気抵抗変化率(Gd)が10%以下であり、かつ透気抵抗(Ga)が50〜500秒/100mlである多孔質フィルム。
    Gd={(Ga−Gb)/Gb}×100
    Gd:透気抵抗変化率(%)
    Ga:多孔質フィルムの透気抵抗(秒/100ml)
    Gb:ポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗(秒/100ml)
  2. 粒子含有層に熱可塑性樹脂粒子を含み、その融点が100〜140℃である、請求項1に記載の多孔質フィルム。
  3. ポリオレフィン系多孔フィルムの平均孔径が40〜400nmである、請求項1または2に記載の多孔質フィルム。
  4. ポリオレフィン系多孔フィルムの透気抵抗が50〜500秒/100mlである、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質フィルム。
  5. ポリオレフィン系多孔フィルムが少なくとも一軸方向に延伸されたフィルムである、請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質フィルム。
  6. ポリオレフィン系多孔フィルムがポリプロピレン樹脂からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質フィルム。
  7. ポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が40〜90%である、請求項6に記載の多孔質フィルム。
  8. 粒子含有層がオキシラン環化合物を含んでいる、請求項1〜7のいずれかに記載の多孔質フィルム。
  9. 粒子含有層が少なくとも2層の積層構成を有している、請求項1〜8のいずれかに記載の多孔質フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の多孔質フィルムを用いてなる蓄電デバイス用セパレータ。
  11. 請求項10に記載の蓄電デバイス用セパレータを用いた蓄電デバイス。
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