JP2011168631A - 金属被覆粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材粒子としての高分子粒子と表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法であって、均一な厚みの金属被覆層を有する金属被覆粒子を簡便かつ安全に製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明の金属被覆粒子の製造方法は、基材粒子としてのビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法であって、水および/または有機溶媒に該基材粒子、金化合物、還元剤、および添加剤としての高分子化合物を添加して該基材粒子の分散液を調製し、該金化合物を還元させて金微粒子を該基材粒子の表面に付着させる工程(I)と、該工程(I)で得られる金付着基材粒子の表面に無電解めっき法により金属被覆層を形成させる工程(II)とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属被覆粒子の製造方法に関する。より詳細には、金属被覆層を表面に有する粒子の製造方法に関する。
基材粒子としての高分子粒子の表面に金属層を有する金属被覆粒子は、液晶表示板、LSI、プリント配線基板等の電気的接続材料として有用である。このような金属被覆粒子は、従来、基材粒子としての高分子粒子の表面に、化学めっき法によって金属被覆層を形成して製造している。
従来の金属被覆粒子を製造する際に用いる化学めっき法は、通常、無電解めっき法を用いて行われているが、基材粒子としての高分子粒子の表面はめっき反応の触媒となる貴金属(パラジウム等)の捕捉能が低く、また該粒子表面の疎水性が強い傾向があることから、まずクロム酸等を用いたエッチング工程により高分子粒子の表面を化学的に親水化させ、続いて、触媒化反応によってめっき反応の触媒核を形成させ、その後に無電解めっき処理を行っている(特許文献1)。
しかし、上記エッチング工程で用いるクロム酸等の重金属は、該重金属を含有する廃水が発生することから、環境に対する負荷の低減の面でできるだけ使用しないことが望まれている。また、エッチングの際に高分子粒子の表面が酸化剤等に曝されるために、該粒子が脆化し、必要な耐圧性能が低下してしまうという問題がある。
上記のような問題を解決するために、エッチング工程を行うことなくめっき処理を行うことが検討されている。例えば、芯材微粒子の表面に金属イオンとの結合能を有する官能基を含有する樹脂被覆層を形成させて得られる樹脂微粒子の表面に金属被覆層を設ける技術が報告されている(特許文献2)。この技術は、スルホン基、カルボキシル基、アミノ基、アンモニウム基、およびリン酸基などの官能基を有するラジカル重合性単量体を重合させた樹脂層を芯材微粒子の表面に形成させ、該官能基をめっき触媒の吸着点として作用させ、エッチング工程を行わなくても触媒化反応およびめっき処理が行えるというものである。しかしながら、このような技術では、高分子粒子の表面を均一にめっき処理することが困難であり、均一な厚みの金属被覆層で被覆された金属被覆粒子を得ることができない。
特開平9−185069号公報 特開2003−208813号公報
本発明の課題は、基材粒子としての高分子粒子と表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法であって、均一な厚みの金属被覆層を有する金属被覆粒子を簡便かつ安全に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、基材粒子としてのビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層との間に特定の手法によって金微粒子を配置させるようにすれば、エッチング工程を行うことなく、均一な厚みの金属被覆層を有する金属被覆粒子を簡便かつ安全に製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の金属被覆粒子の製造方法は、基材粒子としてのビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法であって、水および/または有機溶媒に該基材粒子、金化合物、還元剤、および添加剤としての高分子化合物を添加して該基材粒子の分散液を調製し、該金化合物を還元させて金微粒子を該基材粒子の表面に付着させる工程(I)と、該工程(I)で得られる金付着基材粒子の表面に無電解めっき法により金属被覆層を形成させる工程(II)とを含む。
好ましい実施形態においては、上記無電解めっき法がエッチング工程を含まない。
好ましい実施形態においては、上記添加剤としての高分子化合物がポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールである。
好ましい実施形態においては、上記基材粒子の平均粒子径が0.5μm〜30μm、平均粒子径の変動係数が10%以下である。
好ましい実施形態においては、上記金微粒子の平均粒子径が1nm〜100nmである。
本発明によれば、基材粒子としての高分子粒子と、表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法であって、均一な厚みの金属被覆層を有する金属被覆粒子を簡便かつ安全に製造する方法を提供することができる。
このような効果は、基材粒子としてのビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法において、該基材粒子としてのビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層との間に、水および/または有機溶媒に該基材粒子、金化合物、還元剤、および添加剤としての高分子化合物を添加して該基材粒子の分散液を調製して該金化合物を還元させて得られる金微粒子を配置させることにより、発現することができる。
特に、該ビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層との間に上記金微粒子を配置することで得られる金付着基材粒子の表面に、無電解めっき法により金属被覆層を形成することで、均一な厚みの金属被覆層を有する金属被覆粒子を簡便かつ安全に製造できる。
実施例1で得られる金属被覆粒子の電子顕微鏡(SEM)による表面観察結果を示す図である。 比較例1で得られる金属被覆粒子の電子顕微鏡(SEM)による表面観察結果を示す図である。
〔基材粒子〕
本発明における基材粒子は、ビニル系重合体粒子である。基材粒子としてビニル系重合体粒子を採用することによって、基材粒子への金微粒子の付着、および、該金微粒子を介しての基材粒子表面への無電解めっき法による金属被覆層の形成が可能となる。
ビニル系重合体微粒子は、ビニル重合体のみからなる有機質重合体微粒子や、有機質と無機質とが複合された材料からなる有機無機複合粒子のいずれであってもよい。
なお、本発明の説明における「ビニル」なる文言には、(メタ)アクリロイルも含まれる。また、本発明の説明で「ビニル重合体」なる文言は、ビニル系モノマーが重合した有機質のみの重合体を意味する。また、本発明の説明で「ビニル系重合体」なる文言は、「ビニル重合体」からなる成分や骨格を含むことを意味する。
また、本発明において各種微粒子の組成は、GC−MS等で確認することができる。
ビニル系重合体微粒子としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル系(共)重合体、(メタ)アクリル系−スチレン系共重合体等のビニル系重合体のみからなる粒子や、重合性(ビニル基含有の意味:以下同様)アルコキシシランのラジカル重合体および/または縮重合体、重合性アルコキシシランとビニル系モノマーとの共重合体等の有機無機複合粒子、などが挙げられる。
ビニル系重合体微粒子の製造方法としては、例えば、乳化重合、懸濁重合、分散重合、シード重合、ゾルゲルシード重合法等が採用できる。これらの中でも、シード重合やゾルゲルシード重合法は、粒度分布を小さくすることができるため好ましい。
ゾルゲルシード重合法とは、シード重合の一態様であって、特に、シード粒子がゾルゲル法により合成される場合を意味する。例えば、アルコキシシランの加水分解縮合反応により得られたポリシロキサンをシード粒子とする場合などが挙げられる。したがって、シード重合には、シード粒子が、有機質重合体からなる場合と、有機質と無機質とが複合された材料からなる場合(ゾルゲルシード重合法の場合)とが存在する。
[有機質重合体微粒子及びその製造方法]
有機質重合体微粒子は、ビニル系単量体を含有する単量体混合物を含む単量体組成物を重合して得られる。単量体混合物に含有させるビニル系単量体としては、1分子中に1個のビニル基を有する非架橋性単量体、1分子中に2個以上のビニル基を有する架橋性単量体のいずれも使用することができる。
非架橋性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有アルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、パラヒドロキシスチレン等のスチレン系単量体;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等の水酸基含有ビニルエーテル類;2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、4−ヒドロキシブチルアリルエーテル等の水酸基含有アリルエーテル類;(メタ)アクリルアミド;等が挙げられる。なお、非架橋性単量体として(メタ)アクリル酸を用いる場合は、部分的にアルカリ金属で中和してもよい。非架橋性単量体は、単独で使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。これらの非架橋性単量体の中でも、基材粒子表面への金微粒子の付着を効率よく行うために、アミノ基、アミド基、及び水酸基を含有する非架橋性単量体を用いることが好ましい。
架橋性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、デカエチレングリコールジメタクリレート、ペンタデカエチレングリコールジメタクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、および、これらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等の架橋剤;ポリブタジエン;ポリイソプレン不飽和ポリエステル;等が挙げられる。これらの架橋性単量体は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物中の架橋性単量体の含有率は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。単量体混合物中の架橋性単量体の含有率を1質量%以上とすることにより、ビニル系重合体微粒子の機械的特性を適正に制御することができる。
単量体組成物を重合する際には、必要に応じて、重合開始剤や分散安定剤を用いてもよい。
重合開始剤としては、通常、重合に用いられるものはいずれも使用可能であり、例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等が使用可能である。
過酸化物系開始剤としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾイル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、キュメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系開始剤としては、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカルボニトリル、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,3,3−トリメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−イソプロピルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。
重合開始剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の添加量は、下限値としては、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.5質量部以上である。重合開始剤の添加量は、重合開始剤の添加量は、上限値としては、単量体混合物100質量部に対して、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは3質量部以下である。
分散安定剤は、重合反応前における単量体組成物の液滴の安定化、また、重合反応段階においては、生成した粒子の安定化を図るために使用されるものである。
分散安定剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤のいずれを用いても良い。分散安定剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散安定剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油カリ等の脂肪酸油;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム塩等のポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルカンスルホン酸塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アルキルリン酸エステル塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩;等のアニオン性界面活性剤が好適に挙げられる。
分散安定剤の使用量は、下限値としては、単量体成分総量(シード重合においては、シード粒子の合成に用いた単量体成分も含む)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1質量部以上である。分散安定剤の使用量は、上限値としては、単量体成分総量(シード重合においては、シード粒子の合成に用いた単量体成分も含む)100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
単量体組成物には、顔料、可塑剤、重合安定剤、蛍光増白剤、磁性粉、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤等を添加しても良い。これらの添加剤の使用量は、単量体混合物100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部とすることが好ましい。
有機質重合体微粒子の製造方法は、上記単量体混合物を含む単量体組成物を重合させるものである。なお、重合方法としては、懸濁重合、シード重合、乳化重合、分散重合等の、任意の適切な重合方法を採用することができる。これらの重合方法の中でも、懸濁重合、シード重合が好ましく、粒度分布の狭い重合体微粒子が合成できる点で、シード重合が特に好ましい。
有機質重合体微粒子の製造方法として懸濁重合法を採用する場合、用いられる溶媒としては、単量体組成物を完全に溶解しないものであれば、任意の適切な溶媒を採用し得る。好ましくは水系媒体が用いられる。溶媒は、単量体組成物100質量部に対して、通常、好ましくは、300質量部以上10000質量部以下の範囲内で使用することができる。
懸濁重合法による有機質重合体微粒子の製造方法としては、重合開始剤を溶解させた単量体混合物を、分散安定剤を溶解させた水系溶媒中に懸濁させた後、重合させる方法が好ましい。
懸濁重合法における重合温度は、下限値としては、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上であり、さらに好ましくは60℃以上である。懸濁重合法における重合温度は、上限値としては、好ましくは95℃以下であり、より好ましくは90℃以下であり、さらに好ましくは85℃以下である。
懸濁重合法における重合反応時間は、下限値としては、好ましくは1時間以上であり、より好ましくは2時間以上である。上記懸濁重合法における重合反応時間は、上限値としては、好ましくは10時間以下であり、より好ましくは8時間以下であり、さらに好ましくは5時間以下である。
生成するビニル重合体の粒子径をコントロールするため、重合反応は単量体組成物の液滴径の規制を行った後あるいは液滴径の規制を行いながら反応を行うことが好ましい。この単量体組成物の液滴径の規制は、例えば、単量体組成物を水性媒体に分散させた懸濁液を、T.K.ホモミキサー、ラインミキサー等の高速撹拌機によって撹拌することにより行うことができる。
重合反応により生成した有機質重合体微粒子は、乾燥、さらに必要により分級等の工程に供してもよい。なお、乾燥温度は、好ましくは150℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらに好ましくは100℃以下である。
シード重合は、シード粒子の存在下、シード粒子に単量体混合物を吸収させ、シード粒子を膨張させて、シード粒子内で単量体混合物のラジカル重合を行う方法である。本発明においては、酸化防止剤の存在下でシード粒子を合成する工程、あるいは、ビニル系単量体と酸化防止剤とを溶解、分散させた単量体組成物をシード粒子に吸収させる工程を含むことが好ましい。
有機質重合体微粒子の製造方法としてシード重合法を採用する場合、シード粒子としては、スチレン系、(メタ)アクリレート系の重合体を用いることが好ましく、非架橋型または架橋度の小さい微粒子であることがより好ましい。また、シード粒子の個数平均粒子径は0.1μm〜10μmであることが好ましく、且つ、重合体微粒子の粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。また、シード粒子を合成する際には、後述の好ましい分子量、分子量分布にするため、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤としては、炭素数が1〜10のアルキルメルカプタン系連鎖移動剤や、α−メチルスチレンダイマーなどが好ましく用いられる。このようなシード粒子の製造方法は、任意の適切な方法を採用することができ、例えば、ソープフリー乳化重合、分散重合等が挙げられる。
得られるシード粒子は、単量体組成物をシード粒子に吸収させる工程へと供される。この際、合成されたシード粒子は、該シード粒子を溶媒に分散させたシード粒子分散液として続く吸収工程へと供してもよく、また、シード粒子を合成し、反応系内から該シード粒子を単離した後、改めて吸収工程用の溶媒に分散させた上で吸収工程へと供しても良い。
シード重合における単量体組成物の仕込み量は、シード粒子1質量部に対して0.5質量部〜50質量部とすることが好ましい。単量体組成物の仕込み量が、少なすぎると重合による粒子径の増加が小さくなり、また、多すぎると単量体組成物が完全にシード粒子に吸収されず、媒体中で独自に重合して異常粒子を生成するおそれがある。
シード重合における酸化防止剤の配合量は、単量体成分総量(シード粒子合成に用いた単量体成分も含む)を100質量%とした場合に、好ましくは0.05質量%〜5質量%であり、より好ましくは0.1質量%〜4質量%であり、さらに好ましくは0.5質量%〜3質量%である。
吸収工程は、0℃以上60℃以下の温度範囲で、5分間以上720分間以下、撹拌しながら行うのが好ましい。これらの条件は、用いるシード粒子や単量体の種類等によって、適宜設定すればよく、これらの条件は、1種のみを採用しても良いし、2種以上を合わせて採用しても良い。
吸収工程において、単量体組成物がシード粒子に吸収されたかどうかの判断については、例えば、単量体組成物を加える前および吸収段階終了後に、顕微鏡により粒子を観察し、単量体組成物の吸収により粒子径が大きくなっていることを確認することで容易に判断できる。
シード重合において、重合工程における重合開始剤の種類や量、分散安定剤やその他添加剤の種類や量、重合温度や重合時間などの諸条件は、前述の懸濁重合法と同様の条件が適用できる。
[有機無機複合粒子及びその製造方法]
有機無機複合粒子は、ビニル重合体に由来する有機質部分と、無機質部分とを含んでなる粒子である。
有機無機複合粒子の態様としては、シリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属炭化物等の無機質微粒子が、ビニル重合体中に分散含有されてなる態様;(オルガノ)ポリシロキサン、ポリチタノキサン等のメタロキサン鎖(「金属−酸素−金属」結合を含む分子鎖)と有機分子が分子レベルで複合してなる態様;ビニルトリメトキシシラン等のビニル系重合体を形成し得るビニル基を有するオルガノアルコキシシランが加水分解縮合反応やビニル基の重合反応を起こすことで得られる粒子や、加水分解性シリル基を有するシラン化合物を原料とするポリシロキサンとビニル基を有する重合性単量体等と反応させて得られる粒子のように、ビニル重合体骨格とポリシロキサン骨格とを含む有機無機複合粒子からなる態様;等が挙げられる。これらの中でも、シード重合、特に、ゾルゲルシード重合法により得られるビニル重合体骨格とポリシロキサン骨格とを含む有機無機複合粒子からなる態様が好ましい。
以下、ゾルゲルシード重合法により得られるビニル重合体骨格とポリシロキサン骨格とを含む有機無機複合粒子について詳述する。
ビニル重合体骨格は、下記一般式(5)で表される繰り返し単位により構成される主鎖を有するビニル重合体であり、側鎖を有するもの、分岐構造を有するもの、さらには架橋構造を有するものであってもよい。このように側鎖や分岐構造や架橋構造を導入することにより、有機無機複合粒子の機械的特性を適正に制御できる。
ポリシロキサン骨格は、下記一般式(6)で表されるシロキサン単位が連続的に化学結合して、網目構造のネットワークを構成した部分と定義される。
ポリシロキサン骨格を構成するSiO2の量は、有機無機複合粒子の質量に対して、下限値として、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは1質量%以上である。ポリシロキサン骨格を構成するSiO2の量は、有機無機複合粒子の質量に対して、上限値として、好ましくは80質量%以下であり、より好ましくは60質量%以下である。ポリシロキサン骨格中のSiO2の量が上記範囲であれば、有機無機複合粒子の機械的特性の制御が容易となる。なお、ポリシロキサン骨格を構成するSiO2の量は、粒子を空気等の酸化性雰囲気中で800℃以上の温度で焼成した前後の質量を測定することにより求められる質量百分率である。
シード重合において、重合工程における重合開始剤の種類や量、分散安定剤やその他添加剤の種類や量、重合温度や重合時間などの諸条件は、前述の懸濁重合法と同様の条件が適用できる。
加水分解性を有するシラン化合物としては、任意の適切なシラン化合物を採用し得る。例えば、下記一般式(7)で表されるシラン化合物およびその誘導体等が挙げられる。
一般式(7)中、R’は置換基を有していてもよく、アルキル基、アリール基、アラルキル基および不飽和脂肪族基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、Xは水酸基、アルコキシ基およびアシロキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、mは0から3までの整数である。
一般式(7)で表されるシラン化合物としては、特に限定はされないが、例えば、m=0のものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性シラン;m=1のものとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等の3官能性シラン;m=2のものとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジフェニルシランジオール等の2官能性シラン;m=3のものとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルシラノール等の1官能性シラン等;が挙げられる。
一般式(7)で表されるシラン化合物の誘導体としては、任意の適切な誘導体を採用し得る。例えば、Xの一部がカルボキシル基、β−ジカルボニル基等のキレート化合物を形成し得る基で置換された化合物や、前記シラン化合物を部分的に加水分解して得られる低縮合物等が挙げられる。
加水分解性を有するシラン化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を適宜組み合わせて使用しても良い。なお、一般式(7)において、m=3であるシラン化合物およびその誘導体のみを原料として使用する場合は、有機無機複合粒子は得られない。
有機無機複合粒子のポリシロキサン骨格が、ビニル系重合体骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接結合した有機ケイ素原子を分子内に有する形態の場合は、加水分解性を有するシラン化合物としては、ビニル結合を含有する有機基を有するものを用いる必要がある。
ビニル結合を含有する有機基としては、例えば、下記一般式(8)、(9)および(10)で表される有機基等を挙げることができる。
一般式(8)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を表す。
一般式(9)中、Rは水素原子またはメチル基を表す。
一般式(10)中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは置換基を有していても良い炭素数1〜20の2価の有機基を表す。
一般式(8)の有機基としては、例えば、(メタ)アクリロキシ基等が挙げられ、(メタ)アクリロキシ基を有する一般式(7)のシラン化合物としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン(または、γ−トリメトキシシリルプロピル−β−メタクリロキシエチルエーテルともいう)、γ−(メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
一般式(9)の有機基としては、例えば、ビニル基、イソプロペニル基等が挙げられ、これらの有機基を有する一般式(7)のシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
一般式(10)の有機基としては、例えば、1−アルケニル基もしくはビニルフェニル基、イソアルケニル基もしくはイソプロペニルフェニル基等が挙げられ、これらの有機基を有する一般式(7)のシラン化合物としては、例えば、1−ヘキセニルトリメトキシシラン、1−ヘキセニルトリエトキシシラン、1−オクテニルトリメトキシシラン、1−デセニルトリメトキシシラン、γ−トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、ω−トリメトキシシリルウンデカン酸ビニルエステル、p−トリメトキシシリルスチレン、1−ヘキセニルメチルジメトキシシラン、1−ヘキセニルメチルジエトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
有機無機複合粒子に含まれるビニル重合体骨格は、シラン化合物の加水分解縮合反応により得られたポリシロキサン骨格を有する粒子(シード粒子)に、ビニル系単量体成分を吸収させた後、重合させることで得ることができる。
有機無機複合粒子は、(i)ポリシロキサン骨格がビニル系重合体骨格中の少なくとも1個の炭素原子にケイ素原子が直接化学結合した有機ケイ素原子を分子内に有している形態(化学結合タイプ)であっても良いし、(ii)このような有機ケイ素原子を分子内に有していない形態(IPNタイプ)であっても良い。好ましくは(i)の形態である。
ポリシロキサン骨格を有するシード粒子に吸収させることのできる単量体としては、上述したビニル系単量体が挙げられ、所望する有機無機複合粒子の物性に応じて適宜選択することができる。これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
例えば、疎水性のビニル系単量体は、ポリシロキサン骨格を有する粒子に単量体成分を吸収させる際に、単量体成分を乳化分散させた安定なエマルションを生成させ得るので、好ましい。また、架橋性単量体を使用すれば、得られる有機無機複合粒子の機械的特性の調節が容易にでき、また、有機無機複合粒子の耐溶剤性を向上させることもできるので、好ましい。架橋性単量体としては、有機質重合体微粒子に用いられるものとして例示したものを用いることができる。
有機無機複合粒子の製造方法は、加水分解縮合工程と、重合工程とを含むことが好ましい。本発明においては、加水分解、縮合工程後、重合工程前に、重合性単量体を含む単量体組成物を吸収させる吸収工程が含まれ得る。吸収工程を含めることにより、有機無機複合粒子中のビニル重合体骨格成分の含有量を調整できる。
加水分解縮合工程とは、シラン化合物を、水を含む溶媒中で加水分解して縮重合させる反応を行う工程である。加水分解縮合工程により、ポリシロキサン骨格を有する粒子(ポリシロキサン粒子)を得ることができる。
加水分解と縮重合は、一括、分割、連続等、任意の方法を採用できる。
加水分解し、縮重合させるにあたっては、触媒としてアンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の塩基性触媒を好ましく用いることができる。
水を含む溶媒中には、水や触媒以外に有機溶剤を含めることができる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;イソオクタン、シクロへキサン等の(シクロ)パラフィン類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;等を挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
加水分解縮合工程では、アニオン性、カチオン性、非イオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤を併用することもできる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
加水分解縮合は、原料となるシラン化合物と、触媒や水および有機溶剤を含む溶媒を混合した後、好ましくは0℃以上100℃以下、より好ましくは0℃以上70℃以下で、好ましくは30分以上100時間以下撹拌することにより行うことができる。これによりポリシロキサン粒子が得られる。
また、所望の程度まで加水分解縮合反応を行って粒子を製造した後、これを種粒子として、反応系にさらにシラン化合物を添加して種粒子を成長させてもよい。
吸収工程は、ポリシロキサン粒子(シード粒子)の存在下に、単量体組成物を存在させた状態で進行するものであれば、任意の適切な方法を採用し得る。したがって、ポリシロキサン粒子を分散させた溶媒中に単量体組成物を加えても良いし、単量体組成物を含む溶媒中にポリシロキサン粒子を加えても良い。
中でも、予めポリシロキサン粒子を分散させた溶媒中に、単量体組成物を乳化分散させた状態で加えることが好ましい。
乳化分散の際に用いる乳化剤としては、任意の適切な乳化剤が使用可能であるが、中でも、アニオン性乳化剤が好ましく用いられる。
吸収工程における、単量体成分の添加量は、ポリシロキサン粒子の原料として使用したシラン化合物の質量に対して、0.5質量部〜50質量部とするのが好ましい。単量体組成物の仕込み量が少なすぎると、重合による粒子径の増加が小さくなり、一方、多すぎると、単量体組成物が完全にシード粒子に吸収されず、媒体中で独自に重合して異常粒子を生成するおそれがある。
吸収工程の反応条件(温度、時間など)は、有機質重合体微粒子におけるシード重合と同様の条件を採用できる。
また、吸収工程において、単量体組成物がポリシロキサン粒子に吸収されたかどうかの判断についても、有機質重合体微粒子の場合と同様の方法で確認すればよい。
重合工程は、単量体成分を重合反応させて、ビニル重合体骨格を有する粒子を得る工程である。
具体的には、シラン化合物としてビニル結合を有する有機基を持つものを用いた場合は、該有機基のビニル結合を重合させてビニル重合体骨格を形成する工程であり、吸収工程を経た場合は、吸収させた単量体成分、または吸収させた単量体成分とポリシロキサン骨格が有するビニル結合とを重合させてビニル(系)重合体骨格を形成する工程であるが、両方に該当する場合はどちらの反応によってもビニル(系)重合体骨格を形成する工程となり得る。
重合工程における重合開始剤の種類や量、分散安定剤やその他添加剤の種類や量、重合温度や重合時間などの諸条件は、前述の懸濁重合法と同様の条件が適用できる。
上述した製法によれば、上述した好ましい特性(機械的特性や粒度分布特性等)を有するビニル系重合体微粒子が得られる。
本発明における基材粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm〜30μm、より好ましくは1.0μm〜20μm、さらに好ましくは1.5μm〜10μm、特に好ましくは2.0μm〜5.0μmである。
本発明における基材粒子の平均粒子径が上記範囲内にあることにより、基材粒子への金微粒子の付着、および、該金微粒子を介しての基材粒子表面への無電解めっき法による金属被覆層の形成がより一層効果的に可能となる。
本発明における基材粒子の平均粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは6%以下、特に好ましくは5%以下である。
本発明における基材粒子の平均粒子径の変動係数(CV値)が上記範囲内にあることにより、基材粒子への金微粒子の付着、および、該金微粒子を介しての基材粒子表面への無電解めっき法による金属被覆層の形成がより一層効果的に可能となる。
〔基材粒子の表面への金微粒子の付着〕
本発明の金属被覆粒子の製造方法は、基材粒子としてのビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法であって、水および/または有機溶媒に該基材粒子、金化合物、還元剤、および添加剤としての高分子化合物を添加して該基材粒子の分散液を調製し、該金化合物を還元させて金微粒子を該基材粒子の表面に付着させる工程(I)を含む。
表面に金微粒子を付着させた基材粒子(金付着基材粒子)は、水および/または有機溶媒に該基材粒子、金化合物、還元剤、および添加剤としての高分子化合物を添加して該基材粒子の分散液を調製し、水溶液の濃度(金化合物および還元剤等)や、pHと温度を調整して、攪拌を1時間以上(通常は1時間程度)続けることにより得られる。
このときに用いる添加剤としての高分子化合物は、金微粒子と基材粒子との付着力を高める効果を発揮している。
金化合物としては、三塩化金(AuCl)、四塩化金酸(HAuCl)、四塩化金酸塩(例えばNaAuCl)、シアン化金(AuCN)、シアン化金カリウム(K[Au(CN)])、三塩化ジエチルアミン金酸((CNH・AuCl)、エチレンジアミン金錯体(例えば、塩化物錯体(Au[C(NHCl))、ジメチル金β‐ジケトン誘導体錯体(例えば、ジメチル金アセチルアセトナート((CHAu[CHCOCHCOCH]))、水や有機溶媒に溶解できる金の塩や錯体、などを用いることができる。これらの金化合物は、1種のみで用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
金化合物の溶液中の濃度は、好ましくは0.005〜10mmol/L、より好ましくは0.01〜2.0mmol/L、さらに好ましくは0.02〜1.0mmol/Lである。上記金化合物の溶液中の濃度が希薄すぎると金が基材粒子上に還元析出できなくなるおそれがあり、上記金化合物の溶液中の濃度が濃厚すぎると基材粒子上だけでなく溶液中でも金の還元析出が起こってしまうおそれがある。
基材粒子に付着する金微粒子の担持量は、上記溶液の濃度と量によって、好ましくは0.01〜50重量%の範囲で調整することができる。
還元剤としては、重量分析で用いる金属イオンの還元剤を用いることができる。このような還元剤は、無機系であっても良いし、有機系であっても良い。無機系還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、二酸化硫黄(SO)、亜硝酸ナトリウム(NaNO)などが挙げられる。有機系還元剤としては、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、メタノール、クエン酸およびその塩、シュウ酸およびその塩、グルコース、エチレングリコールなどが挙げられる。また、水素や一酸化炭素などの易酸化性ガスを用いることができる。通常、用いられる還元剤としては、還元力の強い順に、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、ホルムアルデヒド(HCHO)、クエン酸およびその塩(クエン酸ナトリウム塩、クエン酸マグネシウム塩など)、グルコース(nC12)などがあり、また、エチレングリコールも挙げられる。上記還元剤の使用量は、還元剤分子/Au原子が、好ましくは1〜1000、より好ましくは2〜200、さらに好ましくは5〜100である。
上記溶液のpHは、還元剤によって適正な範囲が決まり、好ましくは2〜13、より好ましくは5〜11である。
上記溶液の温度は、好ましくは0〜90℃であるが、水素化ホウ素ナトリウムを用いる場合は、好ましくは0〜30℃であり、クエン酸またはその塩を用いる場合は、好ましくは30〜70℃である。
金を還元析出させる際に用いる添加剤である高分子化合物はPVP(ポリビニルピロリドン)および/またはPVA(ポリビニルアルコール)であることが好ましい。このような添加剤の使用量は、組み合わせる金化合物等により異なるが、基材粒子に対して、好ましくは5〜90重量%である。
PVP(ポリビニルピロリドン)やPVA(ポリビニルアルコール)などの添加剤を加えると、基材粒子と金微粒子との付着性が高くなる。これは、基材粒子の表面と金微粒子との間に該添加剤が介在し、基材粒子の表面と金微粒子との密着性を高めているからと考えられる。
また、PVP(ポリビニルピロリドン)やPVA(ポリビニルアルコール)などの添加剤を加えると、表面に金微粒子が付着した基材粒子に無電解めっき法でめっき処理を行い、金属被覆層を形成する場合に、均一な厚みのめっき層が形成するとともに、該金属被覆層の基材粒子との密着性が高くなる。
基材粒子の表面に金微粒子を付着させる方法としては、好ましくは、水および/または有機溶媒に該基材粒子、金化合物、還元剤、および添加剤としての高分子化合物を添加して該基材粒子の分散液を調製し、溶液中では金化合物の還元が起こらない条件を設定して、基材粒子の表面に選択的に金の微粒子を付着する方法が挙げられる。上記の条件としては、金化合物の種類と濃度、溶液の種類とpH、還元剤の種類と濃度、還元反応の温度、および溶液に添加する有機化合物や高分子化合物の種類と濃度を適切に選べば良い。その選定方法としては、例えば、表面に金の微粒子が付着した基材粒子を分離した上澄み液において、金コロイドの生成(赤から紫色に発色)が見られないことを判定基準とすれば良い。また、基材粒子の表面に金微粒子を付着させる際、上記溶液中で金化合物の還元が起こらない条件下において、用いる金化合物、および還元剤の全量を一括で反応系に加えて金微粒子の析出を行っても良いし(一括添加法)、金化合物、および還元剤を逐次的に添加しても良く(逐次添加法)、さらに金化合物、還元剤の一部を一括添加した後、残りを逐次的に添加しても良い。
表面に金微粒子が付着した基材粒子における金微粒子の平均粒子径は、好ましくは1nm〜100nmである。また、触媒として用いるときは、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。また、顔料等の用途として、比較的大きな粒子径で用いるときは、より好ましくは5nm〜20nmである。
金微粒子の平均粒子径は、球状粒子の場合は直径、楕円形粒子の場合は長径であり、走査型電子顕微鏡(SEM)観察あるいは透過型電子顕微鏡(TEM)観察から、粒子径分布を作り、平均値を求めたものである。
金微粒子の粒度分布は比較的狭く、粒子径の揃ったものとなる。このように、粒度分布の狭い金微粒子を基材粒子の表面に付着させることによって、エッチング工程を行うことなく基材粒子の表面に金属被覆層を無電解めっき法で形成させることができ、均一な厚みの金属被覆層を有する金属被覆粒子を簡便かつ安全に製造することができる。
なお、金微粒子が付着した状態の基材粒子は導電性(電気を流す性質)を示すものではないが、後述の無電解めっき法による金属被覆を行うことによって得られる金属被覆粒子は導電性を示す。
〔金属被覆粒子〕
本発明の金属被覆粒子の製造方法は、基材粒子としてのビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法であって、水および/または有機溶媒に該基材粒子、金化合物、還元剤、および添加剤としての高分子化合物を添加して該基材粒子の分散液を調製し、該金化合物を還元させて金微粒子を該基材粒子の表面に付着させる工程(I)と、該工程(I)で得られる金付着基材粒子の表面に無電解めっき法により金属被覆層を形成させる工程(II)とを含む。
金属被覆層に用いる金属としては、任意の適切な金属を採用し得る。例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウムなどの金属や、ニッケル−リン、ニッケル−ホウ素などの合金が挙げられる。
通常、高分子粒子の無電解めっき法は、大きく分けて、1)エッチング工程、2)触媒化工程、3)無電解めっき工程の3工程からなる。
エッチング工程は、基材微粒子の表面に凹凸を形成させることによりメッキ層の密着性を付与するための工程であり、エッチング液としては、例えば、カセイソーダ水溶液、濃塩酸、濃硫酸、無水クロム酸が用いられる。
触媒化工程とは、基材粒子の表面にめっきの触媒核であるパラジウム等を配置させる工程であり、触媒付与を行う方法としては、例えば、アルカリ溶液でエッチングされた基材微粒子に酸中和、及び、二塩化スズ(SnCl)溶液におけるセンシタイジングを行い、二塩化パラジウム(PdCl)溶液におけるアクチベ−ティングを行う無電解めっき前処理工程を行う方法等が挙げられる。なお、センシタイジングとは、絶縁物質の表面にSn2+イオンを吸着させる工程であり、アクチベ−ティングとは、絶縁性物質表面にSn2++Pd2+→Sn4++Pdで示される反応を起こしてパラジウムを無電解めっきの触媒核とする工程である。触媒化工程に用いる試薬は市販の試薬を用いることができ、例えば、ピンクシューマー(日本カニゼン株式会社製)、レッドシューマー(日本カニゼン株式会社製)などが挙げられる。
無電解めっき工程とは、触媒化処理された基材粒子の表面に、さらに金属被覆層(金属めっき層)を形成させる工程であり、例えば、ニッケルめっきの場合は、塩化ニッケルを次亜リン酸ナトリウムによって還元し、ニッケルを基材粒子の表面に析出させる。金微粒子を付着させた基材粒子は、エッチング工程を行わなくても、容易に触媒化によりパラジウム等の触媒核を基材粒子表面上に配置させることができるため、エッチング工程で生じる廃液の処理が不要になり、工程が簡略化され、コスト的にも有利である。また、エッチング処理により粒子の耐圧特性を低下させるおそれが無い。また、金微粒子を付着させた基材粒子は、触媒化工程を行うことなく無電解めっきを行っても金属被覆層の形成が可能ではあるが、基材粒子表面に均一な厚みの金属層を被覆するためには触媒化工程を行うことが好ましい。
無電解めっき工程においては、好ましくは、基材粒子を水性媒体に十分に分散させ、水性スラリーを調製する。ここで、基材粒子は水性媒体に十分に分散させておくことが重要である。基材粒子が凝集した状態で金属被覆層が形成すると、未処理面が露出するおそれがある。基材粒子の分散は、任意の適切な分散方法を採用し得る。例えば、通常撹拌、高速撹拌、コロイドミルやホモジナイザーのようなせん断分散装置を用いた分散、などが挙げられる。分散の際に、超音波照射を併用しても良い。また、分散の際に、界面活性剤などの分散剤を用いても良い。次いで、金属塩、還元剤、錯化剤などを含んだ無電解めっき浴に、上記分散処理した基材粒子スラリーを添加し、無電解めっきを行う。
上記金属塩としては、例えば、ニッケル塩を用いる場合、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
上記還元剤としては、次亜燐酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ヒドラジンなどが挙げられる。
上記錯化剤としては、例えば、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸、またはそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのカルボン酸塩、グリシンなどのアミノ酸、エチレンジアミン、アルキルアミンなどのアミン酸、アンモニウム化合物、EDTA、ピロリン酸(塩)などが挙げられる。上記錯化剤は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
無電解めっきにおけるめっき浴のpHは、好ましくは4〜14である。
無電解めっき法においては、基材粒子スラリーを添加すると、速やかに反応が始まり、水素ガスの発生を伴う。無電解めっき法における、無電解めっき工程の終了は、その水素ガスの発生が完全に認められなくなった時点をもって終了とする。
このようにして本発明の製造方法によって得られる金属被覆粒子は、基材粒子としてのビニル系重合体粒子と、表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子であって、該ビニル系重合体粒子と該金属被覆層との間に金微粒子を有する。本発明によれば、均一な厚みの金属被覆層を有する金属被覆粒子を簡便かつ安全に製造することができる。
本発明の製造方法によって得られる金属被覆粒子は、さらにその表面上に、異種金属または同種金属を、幾層にも被覆することが可能である。例えば、ニッケルめっきされた基材粒子を無電解金めっき液に投入して金置換めっきを行うことにより、最外層部に金のめっき被膜層を形成することが可能である。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
〔実施例1〕
(基材粒子の合成)
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水526部、25%アンモニア水1.6部、メタノール118部を入れ、攪拌しながらこの溶液に3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン30部を滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解・縮合を行って、オルガノポリシロキサン粒子を調製した。反応開始から2時間後、得られたオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液をサンプリングし、コールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)により粒子径を測定したところ、平均粒子径は1.95μmであった。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)2.5部をイオン交換水175部で溶解した溶液に、エチレングリコールジメタクリレート70部、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製、V−65)2部を溶解した溶液を加え、ホモミキサーで乳化分散させてモノマーエマルションを調製し、得られたモノマーエマルションをオルガノポリシロキサン粒子の乳濁液中に添加して、さらに撹拌を行った。次いで、反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、65℃で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに80℃で12時間真空乾燥させて、基材粒子(1)を得た。基材粒子(1)の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)によって任意の20個の粒子径を計測し、その平均値から、4.2μmであった。また、平均粒子径の変動係数(CV値)は3.5%であった。
(金付着基材粒子の合成)
3Lの三角フラスコに、基材粒子(1)5部、蒸留水750ml、メタノール75mlを加え、超音波分散を1分間行い、基材粒子(1)を分散させた。さらに、ポリビニルピロリドン(関東化学製、MW=8000)1.14部を加え、スターラーで電磁撹拌を10分間行い、ポリビニルピロリドンを溶解させた。次いで、温浴で40℃に加熱後、0.02M塩化金酸四水和物(キシダ化学製)1.25ml、0.1Mクエン酸水溶液(和光純薬工業社製)5mlを加え、40℃で1時間撹拌した。塩化金酸四水和物とクエン酸を加えて撹拌開始から約30分で、反応液の色が徐々に紫色に着色してきた。撹拌開始から1時間後、0.02M塩化金酸四水和物5ml、0.1Mクエン酸水溶液20mlを徐々に加え、さらに1時間撹拌した。以後、1時間おきに、0.02M塩化金酸四水和物6.25ml、0.1Mクエン酸水溶液25mlを加え、合計で、0.02M塩化金酸四水和物37.5ml、0.1Mクエン酸水溶液150mlとなるようにした。0.02M塩化金酸四水和物と0.1Mクエン酸水溶液を全量添加後、40℃でさらに1時間撹拌した後、冷却し、吸引濾過により固液分離を行い、さらに80℃で12時間真空乾燥させて、金付着基材粒子(1)を得た。金付着基材粒子(1)の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)によって任意の20個の粒子径を計測し、その平均値から、4.3μmであった。
(金属被覆粒子の合成)
ビーカーに「ピンクシューマー(日本カニゼン株式会社製)」10部と、イオン交換水70部を入れ混合して、混合液を調製した。別途、イオン交換水10部に金付着基材粒子(1)2部を超音波分散させたものを準備し、これを上記混合液に投入し、30℃で10分間攪拌して懸濁液とし、これを固液分離して得られたケーキを、イオン交換水、メタノールの順で洗浄し、窒素雰囲気下100℃で2時間真空乾燥を行い、乾燥粒子とした。
次に、イオン交換水10部に、上記乾燥粒子2部を超音波分散させ、これを、「レッドシューマー(日本カニゼン株式会社製)」20部とイオン交換水70部とを混合した溶液に投入し、30℃で10分間攪拌して懸濁液とした。この懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールの順で洗浄し、窒素雰囲気下100℃で2時間真空乾燥を行い、金付着基材粒子(1)の表面にパラジウムを吸着させた。
ビーカーに、上記パラジウムで触媒化された金付着基材粒子(1)2部とイオン交換水80部を入れ、70℃に調温した。また、別途、無電解めっき液「シューマーS680(日本カニゼン株式会社製)」60部を別のビーカーに入れて70℃に調温した。上記金付着基材粒子(1)を懸濁させて70℃に調温した液を、攪拌子で300rpmで攪拌させながら、70℃に調温した無電解めっき液を投入した。めっき液投入から10秒後、水素ガスの発泡が始まり、溶液の色が緑色から黒褐色に変化した。水素ガスの発生が終了した時点を反応終点と判断しそこから30分間、70℃で攪拌を行った。室温まで冷却後、この懸濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、メタノールの順で洗浄し、窒素雰囲気下100℃で2時間真空乾燥を行い、金属被覆粒子(1)を得た。得られた金属被覆粒子(1)を電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、金属ニッケルが均一に基材粒子周囲に被覆されていることがわかった(図1)。
〔実施例2〕
(金付着基材粒子の合成)
実施例1において、ポリビニルピロリドン溶解後の反応液を40℃に加温後、0.02M塩化金酸四水和物(キシダ化学製)6.25mlを添加し、次いで、0.1Mクエン酸水溶液(和光純薬工業社製)25mlを添加し(一括添加法)、さらに40℃で1時間撹拌後、冷却し、吸引濾過により固液分離を行い、さらに80℃で12時間真空乾燥させて、金付着基材粒子(2)を得た。金付着基材粒子(2)の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)によって任意の20個の粒子径を計測し、その平均値から、4.2μmであった。
(金属被覆粒子の合成)
実施例1において、金付着基材粒子(1)に代えて金付着基材粒子(2)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属被覆粒子(2)を得た。得られた金属被覆粒子(2)を電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、金属ニッケルが均一に基材粒子周囲に被覆されていることがわかった。
〔実施例3〕
(基材粒子の合成)
ポリビニルピロリドン(重量平均分子量3万)6.0部、エアロゾルOT(和光純薬工業社製、アニオン界面活性剤)4.0部、およびアゾビスイソブチロニトリル7.15部を、エタノール420部に溶解させた溶液に、撹拌しながら窒素気流下で、スチレン100部を投入した後、70℃に昇温して24時間重合反応を行い、シード粒子を得た。このシード粒子の平均粒子径は1.8μmであった。このシード粒子25部にイオン交換水1000部とラウリル硫酸ナトリウム0.7部を加えて均一に分散させた。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNF−08)3部をイオン交換水200部で溶解した溶液に、ジビニルベンゼン120部、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部、過酸化ベンゾイル15部を溶解した溶液を加え、ホモミキサーで乳化分散させてモノマーエマルションを調製し、得られたモノマーエマルションを上記シード龍氏分散液に加え、25℃で3時間撹拌して、シード粒子にモノマーを吸収させた。次いで、反応液にポリビニルピロリドン(重量平均分子量3万)の3重量%水溶液100部を加えた後、窒素雰囲気下で70℃に昇温させて、70℃で12時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに80℃で12時間真空乾燥させて、基材粒子(2)を得た。基材粒子(2)の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)によって任意の20個の粒子径を計測し、その平均値から、3.4μmであった。
(金付着基材粒子の合成)
実施例1において、基材粒子(1)に代えて基材粒子(2)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金付着基材粒子(3)を得た。金付着基材粒子(3)の平均粒子径は、電子顕微鏡(SEM)によって任意の20個の粒子径を計測し、その平均値から、3.5μmであった。また、平均粒子径の変動係数(CV値)は3.8%であった。
(金属被覆粒子の合成)
実施例1において、金付着基材粒子(1)に代えて金付着基材粒子(3)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属被覆粒子(3)を得た。得られた金属被覆粒子(3)を電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、金属ニッケルが均一に基材粒子周囲に被覆されていることがわかった。
〔比較例1〕
実施例1の金属被覆粒子の合成において、金付着基材粒子(1)に代えて、基材粒子(1)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属被覆粒子(C1)を得た。得られた金属被覆粒子(C1)を電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、金属ニッケルの析出状態のばらつきが大きく、金属ニッケルが均一に基材粒子周囲に被覆されていないことがわかった(図2)。
〔比較例2〕
実施例1において、金付着基材粒子(1)に代えて基材粒子(2)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属被覆粒子(C2)を得た。得られた金属被覆粒子(C2)を電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、金属ニッケルの析出状態のばらつきが大きく、金属ニッケルが均一に基材粒子周囲に被覆されていないことがわかった。
本発明の製造方法で得られる金属被覆粒子は、液晶表示板、LSI、プリント配線基板等の電気的接続材料として有用である。

Claims (5)

  1. 基材粒子としてのビニル系重合体粒子と表面層としての金属被覆層とを有する金属被覆粒子の製造方法であって、
    水および/または有機溶媒に該基材粒子、金化合物、還元剤、および添加剤としての高分子化合物を添加して該基材粒子の分散液を調製し、該金化合物を還元させて金微粒子を該基材粒子の表面に付着させる工程(I)と、該工程(I)で得られる金付着基材粒子の表面に無電解めっき法により金属被覆層を形成させる工程(II)とを含む、
    金属被覆粒子の製造方法。
  2. 前記無電解めっき法がエッチング工程を含まない、請求項1に記載の金属被覆粒子の製造方法。
  3. 前記添加剤としての高分子化合物がポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールである、請求項1または2に記載の金属被覆粒子の製造方法。
  4. 前記基材粒子の平均粒子径が0.5μm〜30μm、平均粒子径の変動係数が10%以下である、請求項1から3までのいずれかに記載の金属被覆粒子の製造方法。
  5. 前記金微粒子の平均粒子径が1nm〜100nmである、請求項1から4までのいずれかに記載の金属被覆粒子の製造方法。
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