JP2005200507A - 金属樹脂複合微粒子の製造方法及び金属樹脂複合微粒子 - Google Patents

金属樹脂複合微粒子の製造方法及び金属樹脂複合微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】 樹脂微粒子に簡便にかつ均一にメッキを施すことができ、しかも樹脂微粒子の
粒子径が3μm程度以下であっても凝集することなく製造することができる金属樹脂複合
微粒子の製造方法、及び、金属樹脂複合微粒子を提供する。
【解決手段】 樹脂微粒子と金属錯体とを流体中で加圧して金属錯体−樹脂微粒子複合体
を作製する工程と、前期金属錯体−樹脂微粒子複合体を還元処理して、金属を析出させる
工程とを有する金属樹脂複合微粒子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂微粒子に簡便にかつ均一にメッキを施すことができ、しかも樹脂微粒子の
粒子径が3μm程度以下であっても凝集することなく製造することができる金属樹脂複合
微粒子の製造方法、及び、金属樹脂複合微粒子に関する。
金属樹脂複合微粒子は、導電性微粒子や磁性微粒子等の広い用途に応用されている。とり
わけ、近年では電子部品を基板等に導電接続する際の導電性ペースト、導電性接着剤、異
方導電性フィルム等に用いる導電性微粒子としての用途が拡大しており、電子部品の小型
化にあわせて、より粒子径が小さく、より均一にメッキされたものが求められている。
各種の基材に金属を被覆する方法としては、例えば、外部電力により電解析出させる電気
メッキ法や、溶液中の金属イオンを化学薬品によって還元析出させる無電解メッキ法等が
知られている。なかでも樹脂微粒子のメッキ方法としては、電気特性に関係なくメッキを
施せることから、無電解メッキ法が用いられることが多い。
無電解メッキ法により樹脂微粒子にメッキを施すためには、無電解メッキの初期の析出に
必要な触媒層を樹脂微粒子の表面に付与する処理が必要である。この触媒付与処理の方法
としては、例えば、塩化第一スズ溶液で官能基を付与した後塩化パラジウム溶液で処理す
る方法、塩化第一スズと塩化パラジウムを混合したコロイド溶液で処理する方法、パラジ
ウム錯体溶液に浸漬させて還元剤でパラジウム金属層を付与する方法等が挙げられる。ま
た、通常のメッキ工程では、抵抗値を下げる目的やマイグレーションを抑える目的で、金
属層上に更に無電解めっきを行うこともあり、樹脂微粒子の表面に金属層が何層も積層さ
れることが一般的であった。このように樹脂微粒子の表面に多層の金属層を形成する場合
、表面に形成することのできる金属層の厚さの下限は決まっており、事実上粒子径が3μ
m以下の極端に粒子径の小さな微粒子にはメッキを行うことはできないという問題があっ
た。また、このようなメッキ処理工程は極めて複雑、煩雑であることから、コストアップ
の原因ともなっていた。更に、上記触媒付与処理工程においては、樹脂微粒子同士が凝集
しやすく、特に樹脂微粒子の粒子径が小さい場合には、樹脂微粒子の比表面積が増大する
ことから更に凝集しやすくなり、均一なメッキ処理を施すことが極めて困難であるという
問題もあった。
これに対して、特許文献1には、樹脂微粒子に超音波を照射することにより分散させてか
ら、樹脂微粒子の表面に金属を吸着させて、その吸着した金属を核として無電解メッキを
行う方法が開示されている。このなかでは、樹脂微粒子の分散安定化に超音波照射が有効
であるとされている。しかしながら、超音波照射による樹脂微粒子の分散にも限界があり
、粒子径が小さくなると、ほとんど凝集を阻止することはできなかった。また、樹脂微粒
子を充分に分散させるために超音波の強度を上げると、表面に付着した触媒が剥がれたり
、形成されたメッキ層が破壊されたりすることがあるという問題もあった。
特許文献2には、外周部に陰極を有し、メッキ液を通過させて排出するフィルター部を有
する回転可能なドームと、該ドームの中に該陰極と接触しないように設置された陽極とを
有しており、ドームの回転による遠心力の効果で微粒子を陰極に接触させて通電、撹拌を
繰り返す回転型メッキ装置を用いた微粒子のメッキ方法が開示されている。この方法によ
れば、通常のバレルメッキ装置を用いた場合に比べて、樹脂微粒子の凝集が少なく、均一
にメッキできるとされる。しかしながら、この方法でも、樹脂微粒子の粒子径が3μm程
度以下になると、やはり凝集を防ぐことはできなかった。
また、メッキ装置にステンレスやジルコニア等の硬くて、粒子径の大きなダミー粒子を加
えて、解砕効果を与えながらメッキを行う方法も提案されている。しかしながら、このよ
うなダミー粒子を用いた場合にはある程度凝集を抑えられるものの、解砕の際に粒子と激
しく衝突するため、メッキ剥がれや割れなどが発生し、表面状態が大きく劣化するという
問題があった。
そこで、樹脂微粒子に簡便にかつ均一にメッキを施すことができ、しかも樹脂微粒子の粒
子径が3μm程度以下であっても凝集することなく製造することができる金属樹脂複合微
粒子の製造方法が求められていた。
特開2002−121679号公報 特開平9−137289号公報
本発明は、上記現状に鑑み、樹脂微粒子に簡便にかつ均一にメッキを施すことができ、し
かも樹脂微粒子の粒子径が3μm程度以下であっても凝集することなく製造することがで
きる金属樹脂複合微粒子の製造方法、及び、金属樹脂複合微粒子を提供することを目的と
する。
本発明は、樹脂微粒子と金属錯体とを流体中で加圧して金属錯体−樹脂微粒子複合体を作
製する工程と、前期金属錯体−樹脂微粒子複合体を還元処理して、金属を析出させる工程
とを有する金属樹脂複合微粒子の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の金属樹脂複合微粒子の製造方法は、樹脂微粒子と金属錯体とを流体中で加圧して
金属錯体−樹脂微粒子複合体を作製する工程を有する。驚くべきことに、樹脂微粒子と金
属錯体とを流体中で加圧するだけで、樹脂微粒子と金属錯体とが複合化した金属錯体−樹
脂微粒子複合体が得られる。
これは、加圧により樹脂微粒子が膨潤する一方、極めて運動エネルギーの高い状態にある
樹脂微粒子と金属錯体とが活発に動き回り互いに衝突を繰り返す結果、膨潤した樹脂微粒
子に衝突した金属錯体の一部がそのまま樹脂微粒子の内部にまで浸入して複合化するもの
と考えられる。
上記樹脂微粒子としては特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−
クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、
プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(
メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプ
ロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリ
ル酸エステル誘導体等を重合したもの等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂微粒子は、架橋された樹脂を含有することが好ましい。架橋された樹脂を含有す
ることにより、加圧の際に上記樹脂微粒子の一部が溶解して、その形状や粒子径が大きく
変化してしまうのを防止することができる。
上記架橋された樹脂を含有するためには、上記樹脂微粒子を構成する樹脂を合成する際に
は、例えばジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジビニルナフタレン、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート
、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ
)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロール
プロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリアリル
イソシアヌレート及びその誘導体等の架橋性単量体を加えることが好ましい。これらの架
橋性単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記樹脂微粒子は、疎水性であることが好ましく、カルボニル基、炭素数17以下の直鎖
、分岐又は環状アルキル基、フルオロ基、及び、ベンゼン環からなる群より選択される少
なくとも一種を有する樹脂を含有することが好ましい。これらの官能基を有する樹脂を含
有することにより、加圧の際に上記樹脂微粒子が膨潤しやすくなり、より容易に金属錯体
を複合化することができる。なかでも、樹脂微粒子の表面にカルボニル基及び/又はフル
オロ基を有する樹脂がある場合には、より高い膨潤促進効果が得られる。
上記カルボニル基及び/又はフルオロ基を有する樹脂は、上記樹脂微粒子を構成する樹脂
を合成する際に予めこれらの基を有する単量体を用いることにより含有してもよいし、樹
脂微粒子を製造後にその表面を化学的に修飾することにより導入してもよい。
上記樹脂微粒子を作製する方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合、シード重合
、乳化重合、分散重合等の一般的な重合方法により得ることができる。
上記樹脂微粒子の粒子径としては特に限定されず、目的とする金属樹脂複合微粒子の製造
方法の用途に応じて適宜選択することができが、3μm以下のものを用いる場合には、従
来の方法では製造することができなかった粒子径3μm以下の金属樹脂複合微粒子を得る
ことができる。
上記金属錯体としては、金、銀、銅、白金、パラジウム、コバルト、イリジウム、鉄、錫
、鉛、亜鉛、ルテニウム、オスミウム、マンガン、クロム、ネオジム、サマリウム、及び
、ニッケルからなる群より選択される少なくとも1種の金属の錯体であることが好ましい
。ただし、ケイ素、炭素、バリウム、アルミニウム、ホウ素等の不純物を含有していても
かまわない。これらのなかには、還元後に磁性を示す原子もまれる。
上記金属錯体として、金、銀、銅、パラジウム、白金、ニッケル、コバルト、アルミニウ
ムの錯体を用いた場合には、得られる金属樹脂複合微粒子は、高い導電性を示し、電子部
品の導電接続等に好適な導電性微粒子として用いることができる。
上記金属錯体として、ニッケル、コバルト、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、
マンガン、クロム、ネオジム、サマリウム、アルミニウム等の錯体を用いた場合には、得
られる金属樹脂複合微粒子は、高い磁性を示し、各種センサー、診断薬、マーカー、記憶
媒体、整列媒体、閉塞媒体等に用いることができる。
上記金属錯体としては特に限定されないが、例えば、加熱又は還元剤を用いることで容易
に還元して金属を析出できることから、カルボニル錯体又は塩を含むカルボニル誘導体が
好ましい。このような金属錯体としては、例えば、酢酸塩、シュウ酸塩、アセトネート化
合物、アセトアセチネート化合物、ペンタンジオネート化合物、メトキサイド、エトキサ
イド、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオネート、ブトキサイド、イソプロポキ
サイド、オキサレート、シクロヘキサンブチレート、ホルメート等が挙げられる。これら
のカルボニル錯体又は塩は、他の官能基で修飾されていてもよい。このような官能基によ
り修飾された金属錯体としては、例えば、ヘキサフルオロペンタンジオネート化合物、ベ
ンゾイルアセトネート化合物等が挙げられる。
上記金属錯体としては、加熱又は還元剤を用いることで容易に還元して金属を析出できる
ものであれば、上述のカルボニル化合物又は塩以外のものも用いることができる。カルボ
ニル錯体以外で容易に還元できる錯体としては、例えば、直鎖、環状、芳香族を含むπ電
子を含む錯体が挙げられる。具体的には、例えば、ジシルクロ(1,5−シクロオクタジ
エン)白金、ジクロロ(ジシクロペンタジエニル)白金、テトラキス(トリフェニルホス
フィン)白金、2,4−ペンタンジオネート白金、クロロカルボニル金、bis−ジメチ
ルアセトネートパラジウム、(1,5−シクロブタジエン)(ヘキサフルオロアセチルア
セトネート)銀、ジメチルアセトアセトネート金、ビス(シクロペンタジエニル)クロム
、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロム等が挙げられる。
上記金属錯体は、一次粒子径が上記樹脂微粒子の粒子径の1/10以下であることが好ま
しく、上記流体に溶解するものであることがより好ましい。粒子径が樹脂微粒子の粒子径
の1/10を超えると、後述するように加圧により膨潤した樹脂微粒子に衝突しても、樹
脂微粒子中に浸入できず、複合化できないことがある。上記金属錯体が上記流体に溶解す
る場合には、金属錯体は極めて容易に樹脂微粒子中に浸入することができる。
上記流体としては、常温常圧で上記樹脂微粒子に対して貧溶媒である液状流体及び/又は
常温常圧で気体である気体状流体が好適である。液状流体を用いれば上記樹脂微粒子の分
散が極めて容易であり、また、常温常圧で樹脂微粒子に対して貧溶媒であれば、樹脂微粒
子を変形させたり変質させたりすることもない。また、常温常圧で気体である気体状流体
を用いれば、複合化後に得られた金属錯体−樹脂微粒子複合体を媒体から単離したり乾燥
させたりする必要がない。
上記常温常圧で樹脂微粒子に対して貧溶媒である液状流体としては特に限定されず、樹脂
微粒子を構成する樹脂に応じて適宜選択すればよいが、例えば、水やアルコール等の有機
溶剤が挙げられる。
上記常温常圧で気体である気体状流体としては特に限定されないが、例えば、二酸化炭素
、窒素、酸素、空気、水素、アルゴン、ヘリウム、ネオンからなる群より選択される少な
くとも1種が好適である。
これらの流体なかでも、水及び/又は二酸化炭素が特に好適である。
上記樹脂微粒子と金属錯体とを流体中で加圧して金属錯体−樹脂微粒子複合体を作製する
工程においては、特に限定されないが、上記樹脂微粒子を上記流体に分散させた分散体に
金属錯体を添加し、加圧することが好ましい。分散体とすることにより、これに金属錯体
を添加すれば、樹脂微粒子と金属錯体とが均一に混ざり合い、高い効率で金属錯体を樹脂
微粒子に導入することができる。
この場合、上記金属錯体は、流体中に溶解又は分散していてもよいし、適当な溶剤に溶解
させたうえで、該溶液を流体中に分散させてもよい。このように金属錯体が流体に溶解又
は分散している場合には、金属錯体の樹脂微粒子中への輸送能が向上し、金属錯体の樹脂
微粒子への複合化が促進される。
また、金属錯体の樹脂微粒子内への輸送能を向上するために、キャリアーを用いてもよい
。例えば、流体として二酸化炭素を用いる場合のキャリアーとしては、メチルアルコール
、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル
;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジメチルスルホキシド、アセトニトリル等
が挙げられる。
上記加圧における圧力の好ましい下限は0.5MPa、好ましい上限は100MPaであ
る。0.5MPa未満であると、樹脂微粒子が充分に膨潤しなかったり、運動エネルギー
が不足したりして複合化ができないことがあり、100MPaを超えると、樹脂微粒子が
溶解したり凝集してしまったりする恐れがある。より好ましい上限は50MPaである。
なお、上記樹脂微粒子の媒体として二酸化炭素を用いる場合、この圧力範囲では常に超臨
界状態又は亜臨界状態となる。
超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素は、一般に、樹脂微粒子に対して高い親和性を示
す。樹脂微粒子の良溶媒も超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素と同様に高い親和性を
示すが、良溶媒は密度が高いことから、金属錯体の導入に必要な樹脂微粒子の表面の膨潤
を引き起こすだけではなく、樹脂微粒子を完全に溶解してしまうか、又は、樹脂微粒子が
架橋しており完全には溶解しない場合であっても樹脂微粒子の凝集や合一を促進してしま
う。これに対して、超臨界状態又は亜臨界状態の二酸化炭素は、樹脂微粒子に対する親和
性は高いものの、樹脂微粒子を溶解できるほどには密度が高くないことから、樹脂微粒子
を溶解することなく適度に膨潤させることができる。
上記加圧時の温度は、上記樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度よりも5℃以上低
い温度であることが好ましい。これ以上の温度であると、樹脂微粒子の表面が溶解して凝
集してしまうことがある。より好ましくは樹脂微粒子を構成する樹脂のガラス転移温度よ
りも10℃以上低い温度である。
また、上記樹脂微粒子を構成する樹脂が結晶性樹脂である場合には、上記加圧時の温度は
、樹脂微粒子を構成する結晶性樹脂の融点よりも5℃以上低い温度であることが好ましい
。より好ましくは樹脂微粒子を構成する樹脂の融点よりも10℃以上低い温度である。
ただし、上記樹脂微粒子を構成する樹脂を架橋している場合にはこの限りでない。
上記樹脂微粒子と金属錯体とを流体中で加圧して金属錯体−樹脂微粒子複合体を作製する
工程においては、樹脂微粒子、金属錯体及び流体を混合してから加圧してもよいし、樹脂
微粒子と金属錯体との混合物に予め加圧した流体を加えてもよい。
このように樹脂微粒子と金属錯体とを加圧して複合化した後、常温常圧に戻して取り出せ
ば、金属錯体−樹脂微粒子複合体が得られる。
本発明の金属樹脂複合微粒子の製造方法は、上記金属錯体−樹脂微粒子複合体を還元処理
して、金属を析出させる工程を有する。このように還元処理をすることにより、樹脂微粒
子の表面及び樹脂微粒子の内部に浸入した金属錯体が金属に還元されて析出し、導電性や
磁性に優れた金属樹脂複合微粒子が得られる。
上記還元処理の方法としては特に限定されず、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化
シアノホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン等の従来公知
の還元剤を用いる方法等が挙げられる。また、熱安定性の悪い一部の貴金属錯体では、1
50℃に加熱するだけで還元することができる。また、上記樹脂微粒子を構成する樹脂よ
りもイオン化傾向の大きな金属溶液に浸漬することで還元を行うこともできる。更に、金
属錯体を還元、析出した後に酸化処理を行ってもよいし、錯体を複合化した後直接酸化し
てもよい。例えば、鉄を酸化第二鉄に酸化することで磁性粒子として機能させることもあ
る。
本発明の金属樹脂複合微粒子の製造方法では、極めて簡便な方法により樹脂微粒子に均一
にメッキを施すことができる。煩雑な触媒付与処理や、そのための大がかりが装置も不要
であることから、大幅なコストを削減することができる。更に、樹脂微粒子の凝集が起こ
りにくいことから、樹脂微粒子の粒子径が3μm程度以下であっても凝集することなくメ
ッキを施すことができ、従来の方法では製造することができなかった平均粒子径が3μm
以下の金属樹脂複合微粒子も製造することができる。
本発明の金属樹脂複合微粒子の製造方法により製造された金属樹脂複合微粒子では、金属
は樹脂微粒子の表面のみならず、その内部にまで浸透している。このため、従来の無電解
メッキ法等により製造された、表面にのみ金属層が形成されている金属メッキ樹脂微粒子
では得られなかった性能を発揮することができる。
樹脂微粒子と金属とが複合化した金属樹脂複合微粒子であって、上記金属が上記樹脂微粒
子の表面及び内部に存在する金属樹脂複合微粒子もまた、本発明の1つである。
従来の金属メッキ樹脂微粒子を導電性微粒子として用いた場合には、大電流を流したとき
に断線することがあった。導電性微粒子を用いて電極間を導電接続する場合、通常は、金
属メッキ樹脂微粒子と電極の間の接触面積を大きくするために、二つの電極の間に金属メ
ッキ樹脂微粒子を挟み込んだ状態で圧力をかけて変形させる。従来の金属メッキ樹脂微粒
子では、金属層と樹脂微粒子との接着力が不充分であることから、このような変形を行っ
たときに、いわゆるメッキ剥がれが生じて断線してしまうことがあると考えられる。
しかし、本発明の金属樹脂複合化微粒子では、金属は樹脂微粒子の表面から内部にまで広
がっており、明確な金属層と樹脂微粒子との境界もないことから、メッキ剥がれが極めて
起こりにくく、断線が起こりにくい。従って、従来の金属メッキ樹脂微粒子よりも大きな
変形を加えて、接触面積を高くすることが可能となる。
また、本発明の金属樹脂複合化微粒子は、耐溶剤性にも優れている。従来の金属メッキ樹
脂微粒子では、強酸又は強塩基の分散媒に分散させると表面のめっき層は溶出してしまい
、金属本来の性質を発現できなくなった。しかし、本発明の金属樹脂複合粒子では、樹脂
微粒子中にも金属が含浸していることから、表面の金属の一部が強酸又は強塩基により溶
出したとしても、樹脂微粒子の内部に含浸された金属まで完全に溶出してしまうことはな
く、金属の性質を失うことがない。
本発明の金属樹脂複合微粒子は、極めて均一にメッキが施されており、また、充分に小さ
い粒子径のものも可能であることから、電子部品の導電接続に用いる導電性微粒子や、磁
性微粒子として好適である。
また、パラジウムをメッキした本発明の金属樹脂複合微粒子は、このパラジウムが触媒層
となることから、従来の無電解メッキ法により、更にニッケルや金等のメッキを施すこと
もできる。
本発明の金属樹脂複合微粒子の表面に無電解メッキを施してなるメッキ樹脂微粒子もまた
、本発明の1つである。
本発明によれば、樹脂微粒子に簡便にかつ均一にメッキを施すことができ、しかも樹脂微
粒子の粒子径が3μm程度以下であっても凝集することなく製造することができる金属樹
脂複合微粒子の製造方法、及び、金属樹脂複合微粒子を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
(実施例1)
粒子径3μmのジビニルベンゼンとテトラメチレンプロパンテトラメタアクリレートとを
主成分とする樹脂微粒子(積水化学社製、ミクロパールSP203)10gと、ジメチル
シウロオクタジエン白金0.015gとを内容積100mLの圧力容器に入れ、500r
pmで撹拌しながら、90℃、20MPaに加熱・加圧した超臨界状態の二酸化炭素を導
入して、10分間処理を行い、金属錯体−樹脂微粒子複合体を得た。
得られた金属錯体−樹脂微粒子複合体を150℃、1時間加熱して還元処理をして、白金
メッキが施された金属樹脂複合粒子を得た。
得られた金属樹脂複合微粒子をエポキシ包埋し、ミクロトームを用いて薄膜切片標本を作
製した。この薄膜切片標本を反射型電子顕微鏡を用いて撮影した像を図1に示した。図1
より、微粒子の周辺部にほぼ均一に白金層が形成されていることが確認できた。
(実施例2)
粒子径3μmのジビニルベンゼンとテトラメチレンプロパンテトラメタアクリレートとを
主成分とする樹脂微粒子(積水化学社製、ミクロパールSP203)10gと、ジメチル
シウロオクタジエン白金0.015gを1mLのアセトンに溶解したものとを、内容積1
00mLの圧力容器に入れ、500rpmで撹拌しながら、90℃、20MPaに加熱・
加圧した超臨界状態の二酸化炭素を導入して、10分間処理を行い、金属錯体−樹脂微粒
子複合体を得た。
得られた金属錯体−樹脂微粒子複合体を150℃、1時間加熱して還元処理をして、白金
メッキが施された金属樹脂複合粒子を得た。
得られた金属樹脂複合微粒子をエポキシ包埋し、ミクロトームを用いて薄膜切片標本を作
製した。この薄膜切片標本を反射型電子顕微鏡を用いて撮影した像を図2に示した。図2
より、微粒子の周辺部にほぼ均一に白金層が形成されていることが確認できた。
更に、得られた金属樹脂複合微粒子について、無電解メッキ法により銅メッキを施したと
ころ、粒子が凝集することなく、均一に銅メッキされた微粒子が得られた。
(実施例3)
粒子径3μmのジビニルベンゼンとテトラメチレンプロパンテトラメタアクリレートとを
主成分とする樹脂微粒子(積水化学社製、ミクロパールSP203)10gと、ニッケロ
セン0.015gとを内容積100mLの圧力容器に入れ、500rpmで撹拌しながら
、90℃、20MPaに加熱・加圧した超臨界状態の二酸化炭素を導入して、10分間処
理を行い、金属錯体−樹脂微粒子複合体を得た。
得られた金属錯体−樹脂微粒子複合体を、水素化ホウ素ナトリウム水溶液中で150℃、
1時間加熱して還元処理をして、ニッケルメッキが施された金属樹脂複合粒子を得た。
得られた金属樹脂複合微粒子をエポキシ包埋し、ミクロトームを用いて薄膜切片標本を作
製した。この薄膜切片標本を反射型電子顕微鏡を用いて撮影した像を図3に示した。図3
より、微粒子の周辺部にほぼ均一にニッケル層が形成されていることが確認できた。
(実施例4)
粒子径3μmのジビニルベンゼンとテトラメチレンプロパンテトラメタアクリレートとを
主成分とする樹脂微粒子(積水化学社製、ミクロパールSP203)10gと、ニッケロ
セン0.015gを1mLのアセトンに溶解したものとを、内容積100mLの圧力容器
に入れ、500rpmで撹拌しながら、90℃、20MPaに加熱・加圧した超臨界状態
の二酸化炭素を導入して、10分間処理を行い、金属錯体−樹脂微粒子複合体を得た。
得られた金属錯体−樹脂微粒子複合体を、水素化ホウ素ナトリウム水溶液中で150℃、
1時間加熱して還元処理をして、ニッケルメッキが施された金属樹脂複合粒子を得た。
得られた金属樹脂複合微粒子をエポキシ包埋し、ミクロトームを用いて薄膜切片標本を作
製した。この薄膜切片標本を反射型電子顕微鏡を用いて撮影した像を図4に示した。図4
より、微粒子の周辺部にほぼ均一にニッケル層が形成されていることが確認できた。
本発明によれば、樹脂微粒子に簡便にかつ均一にメッキを施すことができ、しかも樹脂微
粒子の粒子径が3μm程度以下であっても凝集することなく製造することができる金属樹
脂複合微粒子の製造方法、及び、金属樹脂複合微粒子を提供できる。
実施例1で作製した金属樹脂複合微粒子の反射型電子顕微鏡像である。 実施例2で作製した金属樹脂複合微粒子の反射型電子顕微鏡像である。 実施例3で作製した金属樹脂複合微粒子の反射型電子顕微鏡像である。 実施例4で作製した金属樹脂複合微粒子の反射型電子顕微鏡像である。

Claims (11)

  1. 樹脂微粒子と金属錯体とを流体中で加圧して金属錯体−樹脂微粒子複合体を作製する工程
    と、前期金属錯体−樹脂微粒子複合体を還元処理して、金属を析出させる工程とを有する
    ことを特徴とする金属樹脂複合微粒子の製造方法。
  2. 樹脂微粒子と金属錯体とを流体中で加圧して金属錯体−樹脂微粒子複合体を作製する工程
    において、前記樹脂微粒子を常温常圧で前記樹脂微粒子に対して貧溶媒である液状流体及
    び/又は常温常圧で気体である気体状流体に分散させた分散体に、前記金属錯体を添加し
    、加圧することを特徴とする請求項1記載の金属樹脂複合微粒子の製造方法。
  3. 樹脂微粒子と金属錯体とを流体中で加圧して金属錯体−樹脂微粒子複合体を作製する工程
    において、0.5〜100MPaの圧力に加圧することを特徴とする請求項1又は2記載
    の金属樹脂複合微粒子の製造方法。
  4. 樹脂微粒子は、カルボニル基及び/又はフルオロ基を有する樹脂を含有することを特徴と
    する請求項1、2又は3記載の金属樹脂複合微粒子の製造方法。
  5. 樹脂微粒子は、架橋された樹脂を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載
    の金属樹脂複合微粒子の製造方法。
  6. 金属錯体は、金、銀、銅、白金、パラジウム、コバルト、イリジウム、鉄、錫、鉛、亜鉛
    、ルテニウム、オスミウム、マンガン、クロム、ネオジム、サマリウム、及び、ニッケル
    からなる群より選択される少なくとも1種の金属の錯体であることを特徴とする請求項1
    、2、3、4又は5記載の金属樹脂複合微粒子の製造方法
  7. 金属錯体は、流体に溶解するものであることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は
    6記載の金属樹脂複合微粒子の製造方法。
  8. 樹脂微粒子と金属とが複合化した金属樹脂複合微粒子であって、前記金属が前記樹脂微粒
    子の表面及び内部に存在することを特徴とする金属樹脂複合微粒子。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の金属樹脂複合微粒子の製造方法を用いてなる
    ことを特徴とする請求項8記載の金属樹脂複合微粒子。
  10. 平均粒子径が3μm以下であることを特徴とする請求項8又は9記載の金属樹脂複合微粒
    子。
  11. 請求項8、9又は10記載の金属樹脂複合微粒子の表面に無電解メッキを施してなること
    を特徴とするメッキ樹脂微粒子。
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