JP4700206B2 - 樹脂製品への金属被覆方法及び金属被覆微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製品への金属被覆方法、及び樹脂製微粒子に金属皮膜を形成する金属被覆微粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種基材に金属を被覆する方法として、外部電力により電解析出させる電気めっき、及び溶液中の金属イオンを化学薬品によって還元析出させる無電解めっきがある。電気を使用しない無電解めっきは基材の電気的特性に関係なく、樹脂等の表面に金属被膜を形成することができるという点で有用性が高い。
【0003】
一般に、導電性を有しない基材に無電解めっきを行うためには、無電解めっきの初期の析出に必要な触媒層を基材表面に付与する処理が必要である。触媒付与処理の方法としては、塩化第一スズ溶液で官能基を付与した後塩化パラジウム溶液で処理する方法、塩化第一スズと塩化パラジウムを混合したコロイド溶液で処理する方法、パラジウム錯体溶液に浸漬させて還元剤でパラジウム金属層を付与する方法等がある。適当な触媒付与処理を行えば、微粒子に対しても無電解めっきは可能である。
エレクトロニクス実装分野では、一対の微細電極を接続するために、金属被覆微粒子とバインダー樹脂とを混合して導電性ペーストを調整し、このペーストを一対の微細電極間に充填することにより微細電極間を接続させることが行われるが、触媒付与処理に塩化物を用いて製造した金属被覆微粒子を用いた場合、バインダー樹脂中に塩素イオンが溶出することにより電極腐食を起こし、接続抵抗値が変化するという不具合がある。
【0004】
一方、樹脂表面の金属化に対して、触媒付与を必要としない方法が提案されている(特開平8−209354号公報)。この方法は、例えばスルホン化等の方法によって樹脂製基材に陽イオン交換基を導入した後、これを金属イオン含有液で処理して金属イオンを化学的に吸着させ、その後、還元処理を行う方法である。
【0005】
上記方法では、水素化ホウ素ナトリウム、あるいは水素化ホウ素カリウム水溶液で還元処理した場合には、樹脂表面に対して金属がアイランド状(粒子状)に析出するため、還元処理のあと無電解めっきを行った場合、欠陥のない金属皮膜を形成することが困難であるという問題があった。
【0006】
また、上記方法を樹脂製微粒子に適用した場合、ジメチルアミンボランや次亜燐酸ナトリウム等の還元剤水溶液では吸着した金属イオンの還元が十分でなく、水素化ホウ素ナトリウム、あるいは水素化ホウ素カリウム水溶液で還元処理した場合には樹脂表面に対して金属がアイランド状(粒子状)に析出するため、還元処理のあと無電解めっきを行ったとしても金属皮膜を形成することはできなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑み、得られる金属皮膜の欠陥がない樹脂製品への金属被覆方法及び、触媒を用いることなく樹脂製微粒子に金属皮膜を形成することができる金属被覆微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の樹脂製品への金属被覆方法は、(1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製品を金属イオン含有液で処理することにより該陽イオン交換基に金属イオンを吸着させ、金属イオンを吸着した樹脂製品を得る工程と、(2)上記工程(1)を経た金属イオンを吸着した樹脂製品を水に浸漬して、金属イオンを吸着した樹脂製品と水とを含み、かつpHが1〜6である液を得、該液を用いて、該液中に水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムを添加して、水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムで還元処理を行う工程と、(3)上記工程(2)を経た樹脂製品に無電解めっきを行うことにより金属皮膜を形成させる工程とを備えるものである。
【0009】
上記樹脂製品としては、特に限定されず、使用目的に応じた適度な物性を有する樹脂製品であって、樹脂表面に陽イオン交換基を導入することができるものであればよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリアミド等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂、変性ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。樹脂製品は、単独の樹脂からなるものであってもよく、また複数の樹脂を混合して用いたものでもよい。
【0010】
上記陽イオン交換基としては、金属イオンを吸着できるものであれば、特に限定されるものではなく、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられ、好ましくはスルホン酸基、カルボキシル基である。
【0011】
上記陽イオン交換基を有する樹脂製品の製造方法としては、特に限定されず、樹脂製品に後から陽イオン交換基を導入する方法や、樹脂製品を製造する際に一緒に表面に陽イオン交換基を生成させる方法等が挙げられる。
【0012】
後から陽イオン交換基を導入する方法としては、樹脂製品の表面の化学構造と導入しようとする陽イオン交換基の種類に応じて、適宜、公知の導入方法を採用することができる。
例えば、表面にベンゼン環等の芳香族環や水酸基等を有する樹脂製品の場合には、公知のスルホン化反応によって容易に表面にスルホン酸基を導入することができる。上記スルホン化剤としては、公知の各種スルホン化剤を用いることができ、例えば、硫酸、発煙硫酸、三酸化イオウ、クロロ硫酸、塩化スルフリル等を挙げることができる。また、表面にエステル結合やアミド結合等を有する樹脂製品の場合には、加水分解剤によって容易に表面にカルボキシル基を導入することができる。上記加水分解剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、プラズマ等を利用して樹脂製品の表面に陽イオン交換基を生成させてもよい。
【0013】
また、一緒に表面に陽イオン交換基を生成させる方法としては、上記樹脂製品を重合する際同時に、および/または、重合した後さらにスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、フェノール性水酸基等の陽イオン交換基を含有する単量体を重合する方法等が挙げられる。
【0014】
上記金属イオンとしては、特に限定されるものではなく、好ましくは、ニッケル、金、白金、銀、パラジウム、銅、スズ、鉄、コバルト等のイオンが挙げられる。
【0015】
上記金属イオンは、一般に金属塩として金属イオン含有液に配合される。金属塩の種類については特に限定されるものではなく、金属の種類に応じて、適当な可溶性の金属塩を用いればよい。例えば、ニッケルの場合には、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等塩が挙げられる。
【0016】
上記金属イオン含有液における金属イオンの濃度としては、0.01〜1mol/Lが好ましく、0.03〜0.1mol/Lが特に好ましい。複数の金属イオンを配合する場合には、金属イオン合計の濃度が上記の範囲となるようにすればよい。
上記金属イオン含有液は、一般的には水溶液として使用される。但し、使用する金属イオンによってはメタノール等の有機溶媒による溶液であってもよい。なお、必要に応じて、金属イオン含有液には、界面活性剤や錯化剤等を配合することができる。
【0017】
上記金属イオン含有液で処理することにより、樹脂製品の表面の陽イオン交換基に金属イオンを吸着させる方法としては、特に限定されるものではなく、通常は、樹脂製品を金属イオン含有液に一定時間浸漬すればよい。浸漬は、必要であれば羽根撹拌、スターラー、ホモジナイザー等適宜所望の手段で撹拌しながら、通常、10〜40℃、好ましくは20〜30℃で、1〜30分、好ましくは3〜20分程度行えばよい。
【0018】
本発明の樹脂製品の金属皮膜形成方法では、工程(1)を経た後の樹脂製品を浸漬させた水溶液のpHを、還元処理を行う前に、1〜6に調整する。1未満では吸着した金属イオンが、水素イオンとの交換反応により、樹脂製品表面から解離してしまう。6を越えると、還元反応が緩慢になり金属がアイランド状に析出するため、還元処理の後無電解めっきを行っても欠陥のない金属皮膜を形成できなくなる。好ましくは、pH2〜5である。
なお、工程(1)を経た後の樹脂製品は、通常洗浄を行ってから工程(2)に移るのが好ましい。
【0019】
pH調整剤としては特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、ほう酸、炭酸等の無機酸、酢酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸が用いられる。さらに、ほう酸、炭酸、酢酸、クエン酸等の弱酸とそのアルカリ金属塩を組み合わせて緩衝作用を持たせても良い。
【0020】
水溶液のpHを1〜6に調整した後、水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムにより還元処理を行う。通常使用される還元剤であるジメチルアミンボランや次亜燐酸ナトリウム等では吸着した金属イオンを還元することができない。
還元処理を行う際の水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムは、固体状もしくは水溶液にしてpH調整済の水溶液に混合されるのが好ましい。水溶液にして用いる場合の濃度としては、0.01〜10mol/L、好ましくは0.02〜2mol/Lが適当である。
通常水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素カリウムは酸性溶液中では速やかに分解してしまうため、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム水溶液のpHを1〜6に調整し、該水溶液に樹脂製品を投入して還元処理することはできない。しかしながら、本発明はpH調整済の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムを混合することにより、還元剤の分解と同時にすばやく金属イオンを還元するので、樹脂製品表面に微細な金属核を生成させることができる。
【0021】
また、還元処理を行う際の水溶液中における水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムの濃度としては、0.005〜0.5mol/L、好ましくは0.01〜0.1mol/Lである。0.005mol/L未満では還元反応が不十分になる可能性がある。また、0.5mol/Lを越えると、析出した金属が脱離する可能性がある。
【0022】
上記還元処理において、反応促進剤としてフッ化ナトリウム等のフッ化物を添加しても良い。
【0023】
上記還元処理は、羽根撹拌、スターラー、ホモジナイザー、ミキサー、超音波分散、空気撹拌等適宜所望の手段で撹拌しながら、通常、10〜50℃、好ましくは20〜30℃において、20秒〜15分、好ましくは30秒〜10分行えば良い。
【0024】
上記工程(3)における無電解めっきの方法としては、特に限定されるものではなく、従来より公知の方法が用いられる。通常、金属塩、錯化剤、還元剤、安定剤、促進剤、光沢剤、界面活性剤、緩衝剤、pH調整剤等の成分からなるめっき液に、還元処理を行った樹脂製品を浸漬することにより行われる。めっき液は一般に市販されているものを用いることもできる。
無電解めっきを行う際の撹拌は、羽根撹拌、スターラー、ホモジナイザー、ミキサー、超音波分散、空気撹拌等適宜所望の手段で行う。
【0025】
上記金属塩としては、特に限定されるものではなく、金属の種類に応じて、適当な可溶性の金属塩を用いればよい。例えば、ニッケルの場合には、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等塩が挙げられ。金属の種類としては、上記金属イオンと同じものが好ましいが、異なっていても差し支えない。
【0026】
上記錯化剤としては、例えば乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、チオグリコール酸、アンモニア、グリシン、アスパラギン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、ロシェル塩、コハク酸イミド等金属イオンに対し錯化作用のある化合物が使用され、これらは1種または2種以上であっても良い。
上記還元剤としては、例えばホスフィン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン、イミダゾール等が用いられる。
上記緩衝剤としては、酢酸、クエン酸等のカルボン酸、ほう酸、炭酸等の無機酸、又はこれらのアルカリ金属塩が用いられる。
本発明の樹脂製品への金属被覆方法の後、従来より公知の方法に従って、種々の処理を施しても良い。例えば、各種のめっき処理の下地皮膜として本発明を用いることができ、ニッケル皮膜の場合には置換金めっきにより表層を金皮膜に変換することも可能である。
【0027】
金属被覆微粒子の製造方法もまた、本発明の一つである。
本発明の金属被覆微粒子の製造方法は、(1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子を金属イオン含有液で処理することにより該陽イオン交換基に金属イオンを吸着させ、金属イオンを吸着した樹脂製微粒子を得る工程と、(2)上記工程(1)を経た金属イオンを吸着した樹脂製微粒子を水に分散させて、金属イオンを吸着した樹脂製微粒子と水とを含み、かつpHが1〜6である水性懸濁液を得、該水性懸濁液を用いて、該水性懸濁液中に水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムを添加して、水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムで還元処理を行う工程と、(3)上記工程(2)を経た樹脂製微粒子を無電解めっきを行うことにより金属皮膜を形成させる工程とを備えるものである。
【0028】
上記樹脂製微粒子としては、特に限定されず、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール、ポリアミド等の線状重合体製の微粒子や、ジビニルベンゼン、ヘキサトリエン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジアリルカルビノール、アルキレンジアクリレート、アルキレンジメタクリレート、オリゴまたはポリ(アルキレングリコール)ジアクリレート、オリゴまたはポリ(アルキレングリコール)ジメタクリレート、アルキレントリアクリレート、アルキレントリメタクリレート、アルキレンテトラアクリレート、アルキレンテトラメタクリレート、アルキレンビスアクリルアミド、アルキレンビスメタクリルアミド、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート等の架橋反応性単量体を、単独でもしくは混合して、さらには他の重合性単量体と重合して得られる網状重合体製の樹脂製微粒子が挙げられる。
【0029】
上記陽イオン交換基としては、金属イオンを吸着できるものであれば、特に限定されるものではなく、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、フェノール性水酸基等が挙げられ、好ましくはスルホン酸基、カルボキシル基である。
【0030】
上記陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子の製造方法としては、特に限定されず、樹脂製微粒子に後から陽イオン交換基を導入する方法や、樹脂製微粒子を製造する際に一緒に表面に陽イオン交換基を生成させる方法等が挙げられる。
【0031】
後から陽イオン交換基を導入する方法としては、樹脂製微粒子の表面の化学構造と導入しようとする陽イオン交換基の種類に応じて、適宜、公知の導入方法を採用することができる。
例えば、表面にベンゼン環等の芳香族環や水酸基等を有する樹脂製微粒子の場合には、公知のスルホン化反応によって容易に表面にスルホン酸基を導入することができる。上記スルホン化剤としては、公知の各種スルホン化剤を用いることができ、例えば、硫酸、発煙硫酸、三酸化イオウ、クロロ硫酸、塩化スルフリル等を挙げることができる。また、表面にエステル結合やアミド結合等を有する樹脂製微粒子の場合には、加水分解剤によって容易に表面にカルボキシル基を導入することができる。上記加水分解剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。また、プラズマ等を利用して樹脂製微粒子の表面に陽イオン交換基を生成させてもよい。
【0032】
また、一緒に表面に陽イオン交換基を生成させる方法としては、上記樹脂製微粒子を重合する際同時に、および/または、重合した後さらにスルホン酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、フェノール性水酸基等の陽イオン交換基を含有する単量体を重合する方法等が挙げられる。
【0033】
上記金属イオンとしては、特に限定されるものではなく、好ましくは、ニッケル、金、白金、銀、パラジウム、銅、スズ、鉄、コバルト等のイオンが挙げられる。
【0034】
上記金属イオンは、一般に金属塩として金属イオン含有液に配合される。金属塩の種類については特に限定されるものではなく、金属の種類に応じて、適当な可溶性の金属塩を用いればよい。例えば、ニッケルの場合には、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等塩が挙げられる。
【0035】
上記金属イオン含有液における金属イオンの濃度としては、0.01〜1mol/Lが好ましく、0.03〜0.1mol/Lが特に好ましい。複数の金属イオンを配合する場合には、金属イオン合計の濃度が上記の範囲となるようにすればよい。
上記金属イオン含有液は、一般的には水溶液として使用される。但し、使用する金属イオンによってはメタノール等の有機溶媒による溶液であってもよい。なお、必要に応じて、金属イオン含有液には、界面活性剤や錯化剤等を配合することができる。
【0036】
上記金属イオン含有液で処理することにより、樹脂製微粒子の表面の陽イオン交換基に金属イオンを吸着させる方法としては、特に限定されるものではなく、通常は、樹脂製微粒子を金属イオン含有液に一定時間浸漬すればよい。浸漬は、羽根撹拌、スターラー、ホモジナイザー等適宜所望の手段で撹拌しながら、通常、10〜40℃、好ましくは20〜30℃で、5〜30分、好ましくは10〜20分程度行えばよい。金属イオン含有液に対する樹脂製微粒子の濃度としては、通常1〜500g/L、好ましくは3〜200g/Lである。
【0037】
本発明の樹脂製微粒子の金属皮膜形成方法では、工程(1)を経た後の樹脂製微粒子を分散させた水溶液のpHを、還元処理を行う前に、1〜6に調整する。1未満では吸着した金属イオンが、水素イオンとの交換反応により、樹脂製微粒子表面から解離してしまう。6を越えると、還元反応が緩慢になり金属がアイランド状に析出するため、還元処理の後無電解めっきを行っても金属皮膜を形成できなくなる。好ましくは、pH2〜5である。
なお、工程(1)を経た後の樹脂製微粒子は、通常ろ過・洗浄を行ってから工程(2)に移るのが好ましい。
【0038】
pH調整剤としては特に限定されず、硫酸、塩酸、硝酸、ほう酸、炭酸等の無機酸、酢酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸が用いられる。さらに、ほう酸、炭酸、酢酸、クエン酸等の弱酸とそのアルカリ金属塩を組み合わせて緩衝作用を持たせても良い。
【0039】
水性懸濁液のpHを1〜6に調整した後、水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムにより還元処理を行う。通常使用される還元剤であるジメチルアミンボランや次亜燐酸ナトリウム等では吸着した金属イオンを還元することができない。
還元処理を行う際の水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムは、固体状もしくは水溶液にしてpH調整済の水性懸濁液に混合されるのが好ましい。水溶液にして用いる場合の濃度としては、0.01〜10mol/L、好ましくは0.02〜2mol/Lが適当である。
通常水素化ホウ素ナトリウムや水素化ホウ素カリウムは酸性溶液中では速やかに分解してしまうため、水素化ホウ素ナトリウム及び水素化ホウ素カリウム水溶液のpHを1〜6に調整し、該水溶液に樹脂製微粒子を投入して還元処理することはできない。しかしながら、本発明はpH調整済の水性懸濁液に水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムを混合することにより、還元剤の分解と同時にすばやく金属イオンを還元するので、樹脂製品表面に微細な金属核を生成させることができる。
【0040】
また、還元処理を行う際の水性懸濁液中における水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムの濃度としては、0.005〜0.5mol/L、好ましくは0.01〜0.1mol/Lである。0.005mol/L未満では還元反応が不十分になる可能性がある。また、0.5mol/Lを越えると、析出した金属が脱離する可能性がある。
【0041】
上記還元処理において、反応促進剤としてフッ化ナトリウム等のフッ化物を添加しても良い。
【0042】
上記還元処理は、羽根撹拌、スターラー、ホモジナイザー、ミキサー、超音波分散、空気撹拌等適宜所望の手段で撹拌しながら、通常、10〜50℃、好ましくは20〜30℃において、20秒〜15分、好ましくは30秒〜10分行えば良い。
還元処理を行う際の水性懸濁液中における樹脂製微粒子の濃度は、通常、1〜200g/L、好ましくは2〜100g/Lが適当である。
【0043】
上記工程(3)における無電解めっきの方法としては、特に限定されるものではなく、従来より公知の方法が用いられる。通常、金属塩、錯化剤、還元剤、安定剤、促進剤、光沢剤、界面活性剤、緩衝剤、pH調整剤等の成分からなるめっき液に、還元処理を行った樹脂製微粒子を分散させることにより行われる。めっき液は一般に市販されているものを用いることもできる。
無電解めっきを行う際には、必要に応じて界面活性剤等の分散剤を添加してもよい。無電解めっきを行う際の撹拌は、羽根撹拌、スターラー、ホモジナイザー、ミキサー、超音波分散、空気撹拌等適宜所望の手段で行う。
【0044】
無電解めっきを行う際の樹脂製微粒子の濃度としては、めっき液1Lに対して1〜200g/L、好ましくは2〜100g/Lが適当である。
【0045】
上記金属塩としては、特に限定されるものではなく、金属の種類に応じて、適当な可溶性の金属塩を用いればよい。例えば、ニッケルの場合には、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等塩が挙げられ。金属の種類としては、上記金属イオンと同じものが好ましいが、異なっていても差し支えない。
【0046】
上記錯化剤としては、例えば乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、チオグリコール酸、アンモニア、グリシン、アスパラギン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、ロシェル塩、コハク酸イミド等金属イオンに対し錯化作用のある化合物が使用され、これらは1種または2種以上であっても良い。
上記還元剤としては、例えばホスフィン酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、ホルマリン、イミダゾール等が用いられる。
上記緩衝剤としては、酢酸、クエン酸等のカルボン酸、ほう酸、炭酸等の無機酸、又はこれらのアルカリ金属塩が用いられる。
【0047】
本発明の金属被覆微粒子の製造方法の後、従来より公知の方法に従って、種々の処理を施しても良い。例えば、各種のめっき処理の下地皮膜として本発明を用いることができ、ニッケル皮膜の場合には置換金めっきにより表層を金皮膜に変換することも可能である。
【0048】
樹脂製微粒子と金属皮膜の間に触媒層を有しない金属被覆微粒子を以下説明する。
【0049】
上記触媒層とは、金属皮膜を形成させる為に行う無電解めっきの際に通常用いられる触媒が、樹脂製微粒子の表面に残存したもののことをいう。上記通常用いられる触媒としては、パラジウムや、金、銀、白金等の貴金属が挙げられる。
【0050】
上記触媒層は、金属被覆微粒子をフィールドエミッション電子顕微鏡、エネルギー分散形X線分析装置等の分析装置によって存在の有無を確認することができる。
金属皮膜と使用された触媒が異なるものであれば上記分析によって触媒層の有無を容易に確認することができるが、金属皮膜と使用された触媒が同じものであるときは樹脂製微粒子の表面における存在形態によって確認することができる。例えば、触媒と金属皮膜が共にパラジウムであった場合には、得られた金属被覆微粒子の分析を行うと触媒層のパラジウムは樹脂製微粒子表面に粒子状に存在しており、金属皮膜と区別して確認することができる。
【0051】
上記金属被覆微粒子は、触媒層を有しないことにより、金属皮膜と樹脂製微粒子の密着性が向上し、触媒層を活性化する処理で通常使用される塩素を含有しないといった優れた効果を発揮する。
【0052】
上記樹脂製微粒子としては、特に限定されないが、樹脂製微粒子の製造方法の発明において用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0053】
上記金属皮膜の金属としては、特に限定されるものではなく、好ましくは、ニッケル、金、白金、銀、パラジウム、銅、スズ、鉄、コバルト等が挙げられる。
上記金属皮膜の厚みとしては、0.01〜5μmの範囲が好ましく、さらには0.05〜1μmが好ましい。0.01μm未満の場合には、連続性に乏しい皮膜となる可能性がある。5μmを超えると、樹脂製微粒子と金属皮膜の熱膨張率の差等から金属皮膜が剥離し易くなる可能性がある。
【0054】
上記金属被覆微粒子は、導電性ペースト、導電性接着剤、導電性粘着剤、異方導電性フィルム、電磁波シールド樹脂用のフィラー、磁性材料等の導電性材料として用いた場合に、金属皮膜と樹脂製微粒子の密着性が向上しているため優れた性能を発揮する。また、触媒層の付与を行う必要もないため、樹脂製微粒子と金属皮膜の間に塩素を含まないため、接合信頼性に優れるといった効果がある。
【0055】
上記触媒層を有しない金属被覆微粒子を得る方法としては特に限定されないが、好ましくは、上述の金属被覆微粒子の製造方法が挙げられる。上述の方法によると、触媒を使用することなく金属被覆微粒子を得ることができるので触媒層を有しない。また、金属皮膜と樹脂製微粒子との界面は、触媒を用いた場合と比較すると、金属が粒子状にはならず、金属皮膜と一体化しているので、金属皮膜と樹脂製微粒子の密着性が良好なものとなる。
【0056】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子の作製
重量比1:1のジビニルベンゼンとテトラメチロールメタンテトラアクリレートからなる網状重合体製の微粒子(平均粒径5μm)10gを、60℃の濃硫酸で6時間スルホン化処理し、その後水洗し、陽イオン交換基としてスルホン酸基を表面に有する樹脂製微粒子を作製した。表面にスルホン酸基を有することの確認はFT−IR拡散反射法により行った。
【0058】
2)金属イオンの吸着
上記のようにして得られた表面にスルホン酸基を有する樹脂製微粒子10gを、0.07mol/Lの硫酸ニッケル水溶液0.7Lに、スターラーで攪拌しながら25℃、15分間浸漬し、スルホン酸基にニッケルイオンを吸着させた。
【0059】
3)還元処理
上記のようにして得られたニッケルイオンを表面に有する樹脂製微粒子10gを、1.8Lの水に羽根撹拌を用いて分散させ、硫酸を用いてpHを1に調整した。その後0.5mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.1Lを混合して、撹拌しながら25℃で1分間還元処理を行った。
【0060】
4)無電解めっき
上記のようにして還元処理を行った樹脂製微粒子10gを、1.36リットルの水に奥野製薬株式会社製TMP化学ニッケルA液(ニッケルイオン含有)及びB液(還元剤含有)をそれぞれ0.32リットル混合して建浴した2リットルのアルカリ性無電解ニッケルめっき液に分散させて、羽根撹拌しながら35℃で30分間無電解ニッケルめっきを行った。
【0061】
5)得られた樹脂製微粒子の評価
得られた樹脂製微粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果、厚さが約0.1μmのニッケル皮膜が均一に形成されていた。
また、得られた樹脂製微粒子をスライドガラス上に1mg散布し、その上に別のスライドガラスを乗せ、さらに1kgの重りを乗せ、1cmの幅で上側スライドガラスを30往復させたのち、1500個以上の微粒子を走査型電子顕微鏡により1000倍で観察したが、皮膜剥離微粒子率(=皮膜剥離微粒子数/全観察微粒子数)は0%であり、ニッケル皮膜の密着性は良好であった。
【0062】
(実施例2)
1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子の作製
スルホン化処理の時間を6時間から3時間に変更したこと以外は実施例1と同様にして、陽イオン交換基としてスルホン酸基を表面に有する樹脂製微粒子を作製した。表面にスルホン酸基を有することの確認はFT−IR拡散反射法により行った。
【0063】
2)金属イオンの吸着
上記のようにして得られた表面にスルホン酸基を有する樹脂製微粒子10gを、0.05mol/Lの硫酸ニッケル水溶液0.4Lに、スターラーで攪拌しながら25℃、20分間浸漬し、スルホン酸基にニッケルイオンを吸着させた。
【0064】
3)還元処理
上記のようにして得られた表面にニッケルイオンを有する樹脂製微粒子10gを、0.9Lの水に羽根撹拌を用いて分散させ、硫酸を用いてpHを5に調整した。その後0.5mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.2Lを混合して、撹拌しながら25℃で5分間還元処理を行った。
【0065】
4)無電解めっき
上記のようにして還元処理を行った樹脂製微粒子10gを、実施例1と同様にして無電解ニッケルめっきを行った。
【0066】
5)得られた樹脂製微粒子の評価
得られた樹脂製微粒子を実施例1と同様に評価したところ、厚さが約0.1μmのニッケル皮膜が均一に形成されており、皮膜剥離微粒子率は0%であった。
【0067】
(実施例3)
1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子の作製
重量比1:1のジビニルベンゼンとテトラメチロールメタンテトラアクリレートからなる網状重合体製の微粒子(平均粒径10μm)10gを、80℃の300g/L水酸化ナトリウム水溶液で3時間加水分解処理し、その後水洗し、陽イオン交換基としてカルボキシル基を表面に有する樹脂製微粒子を作製した。表面にカルボキシル基を有することの確認はFT−IR拡散反射法により行った。
【0068】
2)金属イオンの吸着
上記のようにして得られた表面にカルボキシル基を有する樹脂製微粒子10gを、0.05mol/Lの硫酸ニッケル水溶液0.2Lに、スターラーで攪拌しながら25℃、10分間浸漬し、カルボキシル基にニッケルイオンを吸着させた。
【0069】
3)還元処理
上記のようにして得られた表面にニッケルイオンを有する樹脂製微粒子10gを、0.38Lの水に羽根撹拌を用いて分散させ、硫酸を用いてpHを4に調整した。その後1.6mol/Lの水素化ホウ素カリウム水溶液0.02Lを混合して、撹拌しながら25℃で8分間還元処理を行った。
【0070】
4)無電解めっき
上記のようにして還元処理を行った樹脂製微粒子10gを、0.68リットルの水に奥野製薬株式会社製TMP化学ニッケルA液(ニッケルイオン含有)及びB液(還元剤含有)をそれぞれ1リットル混合して建浴した2リットルのアルカリ性無電解ニッケルめっき液に分散させて、羽根撹拌しながら35℃で30分間無電解ニッケルめっきを行った。
【0071】
5)得られた樹脂製微粒子の評価
得られた樹脂製微粒子を実施例1と同様に評価したところ、厚さが約0.1μmのニッケル皮膜が均一に形成されており、皮膜剥離微粒子率は0%であった。
【0072】
(実施例4)
1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子の作製
2)金属イオンの吸着
実施例3と同様にして、表面にニッケルイオンを有する樹脂製微粒子を得た。
【0073】
3)還元処理
上記のようにして得られた表面にニッケルイオンを有する樹脂製微粒子10gを、0.5mol/Lの酢酸ナトリウム(緩衝剤)水容液0.38リットルに羽根撹拌を用いて分散させ、酢酸を用いてpHを6に調整した。その後1.6mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.02Lを混合して、撹拌しながら25℃で8分間還元処理を行った。
【0074】
4)無電解めっき
上記のようにして還元処理を行った樹脂製微粒子10gを、実施例3と同様にして無電解ニッケルめっきを行った。
【0075】
5)得られた樹脂製微粒子の評価
得られた樹脂製微粒子を実施例1と同様に評価したところ、厚さが約0.1μmのニッケル皮膜が均一に形成されており、皮膜剥離微粒子率は0%であった。
【0076】
(実施例5)
1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子の作製
実施例2と同様にして、表面にスルホン酸基を有する樹脂製微粒子を作製した。
【0077】
2)金属イオンの吸着
上記のようにして得られた表面にスルホン酸基を有する樹脂製微粒子10gを、0.05mol/Lの硝酸銀水溶液0.4Lに、スターラーで攪拌しながら25℃、20分間浸漬し、スルホン酸基に銀イオンを吸着させた。
【0078】
3)還元処理
上記のようにして得られた表面に銀イオンを有する樹脂製微粒子10gを実施例2と同様にして還元処理を行った。
【0079】
4)無電解めっき
上記のようにして還元処理を行った樹脂製微粒子10gを、0.07mol/Lの硝酸銀、0.35mol/Lのコハク酸イミド、及び0.35mol/Lのイミダゾールを溶解させたpH7の無電解銀めっき液2Lに分散させ、羽根撹拌しながら50℃で30分間無電解銀めっきを行った。
【0080】
5)得られた樹脂製微粒子の評価
得られた樹脂製微粒子を実施例1と同様に評価したところ、厚さが約0.1μmの銀皮膜が均一に形成されており、皮膜剥離微粒子率は0%であった。
【0081】
(実施例6)
1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製品の作製
ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトンフィルム200−H)を、5mol/Lの水酸化カリウム水溶液に50℃で3分間浸漬し、その後水洗し、陽イオン交換基としてカルボキシル基を表面に有する樹脂製品を作製した。表面にカルボキシル基を有することの確認はX線光電子分光分析装置により行った。
【0082】
2)金属イオンの吸着、
上記のようにして得られた表面にカルボキシル基を有する樹脂製品を、0.05mol/Lの硫酸ニッケル水溶液に、25℃で3分間浸漬し、カルボキシル基にニッケルイオンを吸着させた。
【0083】
3)還元処理
上記のようにして得られたニッケルイオンを表面に有する樹脂製品を、0.15Lの水に浸漬し、硫酸を用いてpHを5に調整した。その後0.04mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.05Lを混合して、撹拌しながら25℃で3分間還元処理を行った。
【0084】
4)無電解めっき
上記のようにして還元処理を行った樹脂製品を、0.1mol/Lの硫酸ニッケル、1mol/Lの酢酸、及び0.2mol/Lのホスフィン酸ナトリウムを溶解させたpH5の無電解ニッケルめっき液に浸漬し、スターラー撹拌しながら50℃で60分間無電解ニッケルめっきを行った。
【0085】
5)得られた樹脂製品の評価
得られた樹脂製品の表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、欠陥のないニッケル皮膜が均一に形成されていた。
【0086】
(比較例1)
硫酸を用いてpHを0に調整したこと以外は実施例1と同様にして無電解ニッケルめっきまでを行った。無電解ニッケルめっき後の樹脂製微粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果、ニッケルは全く析出していなかった。
【0087】
(比較例2)
硫酸を用いてpHを7に調整したこと以外は実施例4と同様にして無電解ニッケルめっきまでを行った。無電解ニッケルめっき後の樹脂製微粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果、未析出部が多く見られ、ニッケル皮膜は形成されていなかった。
【0088】
(比較例3)
還元処理において、pHの調整を行わず、水素化ホウ素ナトリウムの代わりに0.6mol/Lのジメチルアミンボラン水溶液を0.2Lを投入して、25℃で5分間還元処理を行ったこと以外は実施例1と同様にして無電解ニッケルめっきまでを行った。無電解ニッケルめっき後の樹脂製微粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察した結果、ニッケルは全く析出していなかった。
【0089】
(比較例4)
1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子の作製
実施例2と同様にして、表面にスルホン酸基を有する樹脂製微粒子を作製した。
【0090】
2)触媒付与
上記のようにして得られた表面にスルホン酸基を有する樹脂製微粒子10gを、0.02Lの塩化第一スズと塩化パラジウムを混合したコロイド触媒液(奥野製薬株式会社製OPC−80液)、及び0.07Lの37%塩酸を含む0.4リットルの水溶液にスターラーで攪拌しながら30℃で5分間浸漬し、パラジウム触媒を付与した。その後10%塩酸0.5Lにスターラーで攪拌しながら30℃で5分間浸漬してパラジウム触媒の活性化処理を行った。
【0091】
3)無電解めっき
上記のようにして得られた触媒付与活性化処理を行った樹脂製微粒子10gを1.36Lの水に分散させ、奥野製薬株式会社製TMP化学ニッケルA液(ニッケルイオン含有)及びB液(還元剤含有)それぞれ0.32Lをそれぞれ0.015L/minで滴下し、かつ羽根撹拌しながら35℃で30分間無電解ニッケルめっきを行った。
【0092】
4)得られた樹脂製微粒子の評価
得られた樹脂製微粒子を実施例1と同様に評価したところ、厚さが約0.1μmのニッケル皮膜が均一に形成されており、皮膜剥離微粒子率は5%であった。
【0093】
(比較例5)
1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製品の作製
2)金属イオンの吸着
実施例6と同様にして、表面にニッケルイオンを有する樹脂製品を得た。
3)還元処理
上記のようにして得られたニッケルイオンを表面に有する樹脂製品を、25℃で3分間、0.01mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液に浸漬して、還元処理を行った。
4)無電解めっき
上記のようにして還元処理を行った樹脂製品を、0.1mol/Lの硫酸ニッケル、1mol/Lの酢酸、及び0.2mol/Lのホスフィン酸ナトリウムを溶解させたpH5の無電解ニッケルめっき液に浸漬し、スターラー撹拌しながら50℃で60分間無電解ニッケルめっきを行った。
5)得られた樹脂製品の評価
得られた樹脂製品の表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果、欠陥(金属ニッケル未析出部)のあるニッケル皮膜が形成されていた。
【0094】
【発明の効果】
本発明の金属被覆微粒子の製造方法は、触媒を用いることなく金属被覆微粒子を得ることができるので、また本発明により得られた金属皮膜微粒子は、金属皮膜と樹脂製微粒子の密着性が良好である。
上記金属被覆微粒子は、樹脂製微粒子と金属皮膜との間に触媒層を有しないため、金属皮膜と樹脂製微粒子の密着性が向上し、樹脂製微粒子と金属皮膜との間に塩素を含まない。よって導電性ペースト、導電性接着剤、導電性粘着剤、異方導電性フィルム、電磁波シールド樹脂用のフィラー、磁性材料等の導電性材料として有用である。
Claims (2)
- (1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製品を金属イオン含有液で処理することにより該陽イオン交換基に金属イオンを吸着させ、金属イオンを吸着した樹脂製品を得る工程と、
(2)上記工程(1)を経た金属イオンを吸着した樹脂製品を水に浸漬して、金属イオンを吸着した樹脂製品と水とを含み、かつpHが1〜6である液を得、該液を用いて、該液中に水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムを添加して、水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムで還元処理を行う工程と、
(3)上記工程(2)を経た樹脂製品に無電解めっきを行うことにより金属皮膜を形成させる工程とを備えることを特徴とする樹脂製品への金属被覆方法。 - (1)表面に陽イオン交換基を有する樹脂製微粒子を金属イオン含有液で処理することにより該陽イオン交換基に金属イオンを吸着させ、金属イオンを吸着した樹脂製微粒子を得る工程と、
(2)上記工程(1)を経た金属イオンを吸着した樹脂製微粒子を水に分散させて、金属イオンを吸着した樹脂製微粒子と水とを含み、かつpHが1〜6である水性懸濁液を得、該水性懸濁液を用いて、該水性懸濁液中に水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムを添加して、水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水素化ホウ素カリウムで還元処理を行う工程と、
(3)上記工程(2)を経た樹脂製微粒子に無電解めっきを行うことにより金属皮膜を形成させる工程とを備えることを特徴とする金属被覆微粒子の製造方法。
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