JP5629641B2 - 導電性微粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

電気的接続を得るのに利用されている導電性微粒子の改良技術に関するものである。
従来、高分子樹脂微粒子の表面に導電性を付与するため、無電解めっき技術により導電性金属層を被覆することが行われている。この無電解めっきでは、高分子樹脂粒子表面に触媒(パラジウムなど)を吸着させてから金属をめっきしていく。しかし一般に、前記高分子樹脂微粒子は疎水性が高く、前記触媒が吸着し難い。そこで予め樹脂粒子をエッチング処理して、その表面を親水化及び粗面化することにより、触媒の吸着性を高めている。
前記エッチング処理としては、クロム酸と硫酸の混合溶液を用いて、樹脂微粒子表面を酸化処理する方法が一般的に用いられる。しかし近年では、六価クロムによる環境負荷を低減させる目的で、様々なエッチング方法が検討されている。例えば、ドライプロセスにおけるエッチング処理としては、プラズマ処理等の方法が用いられ(特許文献1)、ウェットプロセスにおいては、過酸化物及び金属イオン等を含む液中で、樹脂粒子の表面を親水化処理する方法が検討されている(特許文献2)。
特開2007−184278号公報 特開2009−102730号公報
これらはいずれも環境への負荷の大きい六価クロムを使用しないという点では優れたエッチング処理方法であるものの、プラズマ処理を用いたエッチングでは個々の樹脂微粒子にエッチングのムラが生じ、導電性金属層を樹脂微粒子に均一に被覆できないという問題がある。また、過酸化物及び金属イオンを含む溶液による親水化方法によれば、樹脂微粒子の表面を均一に親水化できるものの、導電性金属層と樹脂粒子表面の密着性が不足するという問題があった。さらに、樹脂微粒子を、従来のクロム酸処理によるエッチング処理すると、均一なめっき処理は可能なものの、めっき後の粒子の強度を維持することが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、クロム酸などの環境負荷物質を使用することなく、基材粒子表面が導電性金属層で均一に被覆され、基材粒子と導電性金属層との密着性に優れ、かつ導電性金属層被覆後の粒子強度の低下もない導電性微粒子を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂粒子を基材粒子として用い、この基材粒子をめっきして表面に導電性金属層を形成する際に、前記めっきに先立って基材粒子をオゾンで処理すると、めっき層の密着性が向上するだけでなく、めっき後の導電性微粒子の圧縮破壊強度も向上することを見出し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明に係る導電性微粒子は、樹脂から構成される基材粒子と、該基材の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、前記基材粒子表面がオゾンで処理されていることを特徴とする。前記基材粒子は、芳香環を有するビニル系単量体及び(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体の少なくとも一方の単独又は共重合体から構成されており、特に芳香環を有するビニル系単量体及び(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体を含む単量体成分の共重合体から構成されていることが好ましい。また、前記基材粒子の個数平均粒子径は1.0〜50μmであり、前記導電性金属層はニッケル又はニッケル合金から構成されている金属層であることが好ましい。前記基材粒子の圧縮破壊荷重値(A)と前記導電性微粒子の圧縮破壊荷重値(B)の値に基づき、圧縮破壊荷重値低下率(%)=100×(A−B)/Aから求められる圧縮破壊荷重値低下率が20%以下であることが好ましい。前記導電性微粒子0.2質量部を粒径1mmのジルコニアビーズ50質量部、トルエン5質量部と共に、ステンレス製の2枚攪拌羽根を用いて400rpmで10分間攪拌した後、走査電子顕微鏡を用いて観察される10,000個の導電性微粒子当たりの、表面が導電性金属層で完全に覆われることなく基材面の一部が露出している露出粒子が50個以下であることが好ましい。さらに表面の少なくとも一部に絶縁性樹脂層を有していることが好ましい。
本発明には、前記の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなる異方性導電材料も包含される。
また本発明には、樹脂から構成される基材粒子を親水化し、導電性金属層を被覆して導電性微粒子を製造する方法において、前記親水化工程で基材粒子をオゾン処理することを特徴とする導電性微粒子の製造方法も包含される。
本発明の導電性微粒子は、基材粒子表面がオゾン処理されているため、そこにめっきで導電性金属層を形成した時、基材粒子と導電性金属層との密着性を高めることができ、基材粒子表面に導電性金属層を均一に被覆することが可能である。まためっき後の粒子の圧縮破壊強度が基材粒子の圧縮破壊強度に対して低下しないため、本発明の導電性微粒子を電子機器に用いる時、その製造工程又は使用過程において、導電性微粒子が高い圧力で加圧されても、導電性を損なうことなく良好な電気接続が可能となる。
1.基材粒子(樹脂粒子)
本発明の導電性微粒子は、樹脂から構成される基材粒子と、該基材粒子の表面に形成された少なくとも一層の導電性金属層とから構成される。そして本発明では、前記基材粒子の最表面がオゾン処理されている点に特徴がある。オゾンで処理すると、基材粒子表面が酸化され、OH基、CHO基、COOH基などが生成するためか、導電性金属層の均一性、密着性などが高まるものと推測される。また酸化反応が主として表面で生じるためか、導電性金属層被覆後の粒子の圧縮破壊強度は低下しない。
上記導電性粒子を構成する基材粒子は、樹脂成分を含んでいればよく、有機材料のみから構成される粒子であってもよく、無機骨格を有する材料から構成される粒子であってもよく、有機無機複合材料から構成される粒子であってもよい。樹脂から構成される基材粒子を用いることで、弾性変形特性に優れた導電性微粒子となる。
前記基材粒子を構成する有機材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン類;非ポリオレフィン系ビニル重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリカーボネート類;ポリアミド類;ポリイミド類;フェノールホルムアルデヒド樹脂;メラミンホルムアルデヒド樹脂;メラミンベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂;尿素ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。無機骨格を有する材料には、シリコーン樹脂などのポリシロキサン骨格を有する材料が含まれる。また、有機無機複合材料としては、前記有機材料とポリシロキサン骨格とを含む材料(例えば、ポリシロキサン骨格とビニル重合体が複合化されてなる材料等)が挙げられる。これらの基材粒子を構成する材料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
前記基材粒子を構成する材料の中でも、非ポリオレフィン系ビニル重合体及び/又はポリシロキサン骨格を含むものが好ましい。非ポリオレフィン系ビニル重合体を含む材料で構成された基材粒子は、ビニル基が重合して形成された有機系骨格を有し、加圧接続時の弾性変形に優れる。また、ポリシロキサン骨格を含む材料で基材粒子を構成すると、加圧接続時において被接続体に対する接触圧に優れる。特に、ポリシロキサン骨格とビニル重合体を複合化した材料で構成された基材粒子は、弾性変形性及び接触圧に優れ、得られる導電性微粒子の接続信頼性がより優れたものとなるため好ましい。本発明では、非ポリオレフィン系ビニル重合体をポリシロキサン骨格と共に含む基材粒子が特に好ましい。
前記非ポリオレフィン系ビニル重合体は、ビニル系単量体(ビニル基含有単量体)を重合(ラジカル重合)することによって形成でき、このビニル系単量体はビニル系架橋性単量体とビニル系非架橋性単量体とに分けられる。また前記ポリシロキサン骨格は、加水分解性シリコン化合物を用いることによって形成できる。
なお前記「ビニル基」には、炭素−炭素二重結合のみならず、(メタ)アクリロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基のような官能基と重合性炭素−炭素二重結合から構成される置換基も含まれる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロキシ基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、「アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を示すものとする。
本発明では、基材粒子を構成する全単量体総量に占める架橋性単量体(ビニル系架橋性単量体及び加水分解性シリコン化合物のうち後述するラジカル重合性基を有する加水分解性シリコン化合物)総量の割合は、例えば、5質量%以上、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上とすることが推奨される。前記架橋性単量体の占める割合が高いほど、導電性微粒子の耐溶剤性が高くなることから、例えば前記割合を100質量%とすることも望ましい。
なお基材粒子が、非ポリオレフィン系ビニル重合体とポリシロキサン骨格を含む有機無機複合材料タイプの場合、ビニル系単量体と加水分解性シリコン化合物の質量比(前者/後者)は、例えば、30/70〜95/5程度、好ましくは45/55〜90/10程度、さらに好ましくは60/40〜80/20程度とすることが推奨される。
前記ビニル系架橋性単量体とは、ビニル基を有し架橋構造を形成しうるものであり、具体的には、1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体(単量体(1))、または、1分子中に1個のビニル基とビニル基以外の結合性官能基(カルボキシル基、ヒドロキシ基等のプロトン性水素含有基、アルコキシ基等の末端官能基等)を有する単量体(単量体(2))が挙げられる。ただし、単量体(2)によって架橋構造を形成させるには、当該単量体(2)の結合性官能基と反応(結合)可能な相手方単量体の存在が必要である。
前記ビニル系架橋性単量体のうち前記単量体(1)(1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体)の例として、例えば、アリル(メタ)アクリレート等のアリル(メタ)アクリレート類;アルカンジオールジ(メタ)アクリレート(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート等)、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート(例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)等のジ(メタ)アクリレート類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート類;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族炭化水素系架橋剤(好ましくはジビニルベンゼン等のスチレン系多官能モノマー);N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン酸等のヘテロ原子含有架橋剤;等が挙げられる。これらの中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート類(多官能(メタ)アクリレート)や、芳香族炭化水素系架橋剤(特にスチレン系多官能モノマー)が好ましい。前記1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート類の中でも、前記1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する2官能(メタ)アクリレート類が特に好ましい。前記スチレン系多官能モノマーの中では、ジビニルベンゼンのように1分子中に2個のビニル基を有する単量体好ましい。単量体(1)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系架橋性単量体のうち前記単量体(2)(1分子中に1個のビニル基とビニル基以外の結合性官能基を有する単量体)としては、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ基含有スチレン類等のヒドロキシ基を有する単量体;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリレート類、p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類等のアルコキシ基を有する単量体;等が挙げられる。単量体(2)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ビニル系非架橋性単量体としては、1分子中に1個のビニル基を有する単量体(単量体(3))か、もしくは相手方単量体が存在しない場合の前記単量体(2)(1分子中に1個のビニル基とビニル基以外の結合性官能基を有する単量体)が挙げられる。
前記ビニル系非架橋性単量体のうち前記単量体(3)(1分子中に1個のビニル基を有する単量体)には、(メタ)アクリレート系単官能モノマーやスチレン系単官能モノマーが含まれる。(メタ)アクリレート系単官能モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロウンデシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、4−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類が挙げられ、メチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。スチレン系単官能モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン等のアルキルスチレン類、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン等のハロゲン基含有スチレン類等が挙げられ、スチレンが好ましい。単量体(3)は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
基材粒子が非ポリオレフィン系ビニル重合体を含む場合、前記ビニル系単量体としては、少なくとも前記ビニル系架橋性単量体(1)を含む態様が好ましい。
また基材粒子が非ポリオレフィン系ビニル重合体を含む場合、この非ポリオレフィン系ビニル重合体は、芳香環を有するビニル系単量体(例えば、単量体(1)としては上述のスチレン系多官能モノマー(ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等)である芳香族炭化水素系架橋剤が含まれ、単量体(2)としてはp−ヒドロキシスチレン等のヒドロキシ基含有スチレン類が含まれ、単量体(3)としては芳香環含有(メタ)アクリレート類やスチレン系単官能モノマーが含まれる)及び(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体(例えば、単量体(1)としては多官能(メタ)アクリレートが含まれ、単量体(2)としては(メタ)アクリル酸、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート類、アルコキシ基含有(メタ)アクリレート類等が含まれ、単量体(3)としては(メタ)アクリレート系単官能モノマーが含まれる)の少なくとも一方の単独又は共重合体であることが好ましく、芳香環を有するビニル系単量体及び(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体を含む単量体成分の共重合体が特に好ましい。芳香環を有するビニル系単量体と(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体の共重合体で基材粒子を構成すると、導電性金属層をより均一に形成することができ、形成された導電性金属層の基材粒子からの剥離をより高度に抑制できる。
前記芳香環を有するビニル系単量体としては、スチレン系多官能モノマー、スチレン系単官能モノマーなどのビニル基を1分子中に1個以上(特に1〜2個)有するスチレン系モノマーが好ましい。前記(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル結合を有するビニル系単量体、特に(メタ)アクリレート系単官能モノマー、多官能(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル結合を分子中に1個以上(特に1〜3個)有する(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。
芳香環を有するビニル系単量体と(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体とで共重合体を形成する場合、前記好ましい具体例同士の共重合体が好ましく、スチレン系単官能モノマー又はスチレン系多官能モノマーと多官能(メタ)アクリレートの組み合わせが特に好ましい。
基材粒子を、芳香環を有するビニル系単量体と(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体との共重合体から構成する場合、芳香環を有するビニル系単量体の割合は、該芳香環を有するビニル系単量体と(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体の合計に対して、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
前記ポリシロキサン骨格は、加水分解性シリコン化合物を加水分解し縮合反応によりシロキサン結合を生じさせることで形成される。
ポリシロキサン骨格を形成し得る加水分解性シリコン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能性加水分解性シリコン化合物;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等の3官能性加水分解性シリコン化合物;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の2官能性加水分解性シリコン化合物;が挙げられる。これらの加水分解性シリコン化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に前記ポリシロキサン骨格は、ラジカル重合性基((メタ)アクリロイル基等のビニル基などの炭素−炭素二重結合など)を有する重合性ポリシロキサン由来の骨格であることが好ましく、より好ましくは3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのラジカル重合性基を有する加水分解性シリコン化合物を加水分解及び縮合することにより形成されたポリシロキサン骨格であることが好ましい。
前記基材粒子の平均粒子径は、個数基準の平均粒子径で、例えば、1.0μm以上、好ましくは1.5μm以上、より好ましくは1.7μm以上、さらに好ましくは1.9μm以上であり、50μm以下、好ましくは45μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは35μm以下である。基材粒子の個数平均粒子径が小さいほど、微細な導電性微粒子が得られ、微細化、狭小化された電極や配線の電気接続に対して、好適に使用できる。ところで個数平均粒子径が小さいほど、得られる導電性微粒子をバインダー樹脂に均一に分散するために、分散シェアを高くする必要がある。本発明によれば、後述するように、基材粒子表面がオゾンで処理されているために導電性金属層の密着性が高められているので、個数平均粒子径が小さくなり分散シェアが高くなっても、導電性金属層の剥離を防止できる。
また前記基材粒子の個数基準の粒子径の変動係数(CV値)は、10.0%以下であることが好ましく、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、一層好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4.0%以下、最も好ましくは3.5%以下である。このように上記粒子径の変動係数が小さい基材粒子は、単に一次粒子径の大きさが揃っているだけでなく、一次粒子径の単一分散性が極めて高い。そのため、このような基材粒子を用いることにより、粒子径が揃っており、かつ凝集が抑制された導電性微粒子が得られる。なおCV値の下限は特に制限されないが、例えば、1.0%以上(特に2.0%以上)であってもよい。
なお、本発明でいう基材粒子の個数基準の平均粒子径や粒子径の変動係数は、コールターカウンターにより測定した値であり、測定方法については実施例において後述する。
前記基材粒子は、その直径が10%変位したときの圧縮弾性率(10%K値)が35000N/mm2以下であることが、電極との接触面積を大きくできる観点から好ましい。より好ましくは30000N/mm2以下、さらに好ましくは25000N/mm2以下である。なお、基材粒子の10%K値が余りにも小さすぎると、導電性微粒子とするために導電性金属層を形成する際、もしくは異方性導電材料とするためにバインダー樹脂等に分散させる際など、電気接続に供するまでに基材粒子が変形し、従来の形状を維持できない虞があるので、基材粒子の10%K値の下限は、好ましくは500N/mm2、より好ましくは1000N/mm2であり、さらに好ましくは1500N/mm2である。
なお、基材粒子及び導電性微粒子の10%K値は、微小圧縮試験機(島津製作所製「MCT−W500」)を用い、室温で粒子の中心方向へ荷重負荷速度2.22mN/secで荷重をかける圧縮試験において、粒子の直径が10%変位するまで粒子を変形させたときの圧縮荷重(N)と圧縮変位(mm)を測定し、下記式に基づき求めることができる。
(ここで、E:圧縮弾性率(N/mm2)、F:圧縮荷重(N)、S:圧縮変位(mm)、R:粒子の半径(mm)である。)
基材粒子の圧縮破壊強度は、例えば、圧縮破壊荷重値が1mN以上、好ましくは2mN以上、さらに好ましくは3mN以上であり、70mN以下、好ましくは65mN以下、さらに好ましくは60mN以下である。測定方法については実施例において後述する。
前記基材粒子の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、回転楕円体状、金平糖状、薄板状、針状、まゆ状等のいずれでも良いが、球状が好ましく、特に真球状が好ましい。
2.導電性微粒子
本発明の導電性微粒子は、基材としてオゾンで基材表面を処理された粒子を用い、前記オゾン処理された基材粒子表面に少なくとも一層の導電性金属層が形成されている。
導電性金属層を構成する金属としては特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウム及びニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等の金属や金属化合物、及び、これらの合金等が挙げられる。これらの中でも、金、ニッケル、パラジウム、銀、銅、錫が導電性に優れた導電性微粒子となることから好ましい。また、安価な点で、ニッケル、ニッケル合金(Ni−Au、Ni−Pd、Ni−Pd−Au、Ni−Ag、Ni−P、Ni−B、Ni−Zn、Ni−Sn、Ni−W、Ni−Co、Ni−W、Ni−Ti);銅、銅合金(CuとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Ag、Au、Bi、Al、Mn、Mg,P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg、Ni、Sn、Znとの合金);銀、銀合金(AgとFe、Co、Ni、Zn、Sn、In、Ga、Tl、Zr、W、Mo、Rh、Ru、Ir、Ag、Au、Bi、Al、Mn、Mg、P、Bからなる群から選択される少なくとも1種の金属元素との合金、好ましくはAg−Ni,Ag−Sn,Ag−Zn);錫、錫合金(たとえばSn−Ag、Sn−Cu,Sn−Cu−Ag,Sn−Zn、Sn−Sb、Sn―Bi―Ag、Sn―Bi―In、Sn−Au、Sn―Pb等)等が好ましい。中でもニッケル、ニッケル合金が好ましい。また、導電性金属層は、単層でもよいし複層であってもよく、複層の場合には、例えば、ニッケル−金、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金、ニッケル−銀等の組合せが好ましく挙げられる。
前記導電性金属層の厚さは、0.005μm以上が好ましく、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.025μm以上であり、1.0μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.25μm以下である。
なお、前記導電性金属層は、基材粒子表面の少なくとも一部を被覆していればよいが、本発明のようにオゾン処理を施した基材粒子に導電性金属層を形成する場合には、導電性金属層で完全に覆われることなく基材面の一部が露出している粒子(以下、露出粒子という)が極めて少ない。本発明の導電性微粒子を、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察される前記露出粒子の数は、観察導電性微粒子10,000個当たり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、さらに好ましくは10個以下、もっとも好ましくは7個以下である。
また本発明の導電性微粒子は、基材粒子表面がオゾン処理されているため、導電性金属層の密着性にも優れている。実施例において後述する剥離試験の後、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察される10,000個の導電性微粒子当たりの、表面が導電性金属層で完全に覆われることなく基材面の一部が露出している露出粒子(試験前から基材面の一部が露出している粒子と剥離試験の結果、基材面の一部が露出することになった粒子)の合計数は好ましくは50個以下、より好ましくは40個以下、さらに好ましくは25個以下、もっとも好ましくは10個以下である。
前記導電性微粒子の平均粒子径は、個数基準の平均粒子径で、1.05μm以上、好ましくは1.55μm以上、より好ましくは1.75μm以上、さらに好ましくは1.95μm以上であり、50.5μm以下、好ましくは45.5μm以下、より好ましくは40.5μm以下、さらに好ましくは35.5μm以下である。
また前記導電性微粒子の個数基準の粒子径の変動係数(CV値)は、10.0%以下であることが好ましく、より好ましくは8.0%以下、さらに好ましくは5.0%以下、一層好ましくは4.5%以下、特に好ましくは4.0%以下、最も好ましくは3.5%以下である。
また本発明では、親水化処理(エッチング処理)をオゾンで行っているため、導電性微粒子の圧縮破壊強度が低下することなく高い値を維持している点にも特徴がある。導電性微粒子の圧縮破壊強度は、例えば、圧縮破壊荷重値が1mN以上、好ましくは2mN以上、さらに好ましくは3mN以上であり、70mN以下、好ましくは65mN以下、さらに好ましくは60mN以下である。また基材粒子の圧縮破壊荷重値(A)と導電性微粒子の圧縮破壊荷重値(B)の値を用いて求められる圧縮破壊荷重値低下率は、20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、もっとも好ましくは7%以下である。なお、測定方法については実施例において後述する。
導電性微粒子はその表面が平滑であっても凹凸状であっても良いが、バインダー樹脂を効果的に排除して電極との接続を行える点で複数の突起を有することが好ましい。突起を有することで導電性微粒子を電極間の接続に用いた際の接続信頼性を高めることができる。
導電性微粒子の表面に突起を形成させる方法としては、1)基材粒子表面に金属粒子、金属酸化物粒子などの無機粒子、或いは有機重合体からなる有機粒子を付着させた後、無電解めっきにより導電性金属層を形成させる方法、2)基材粒子表面に無電解めっきを行った後、金属粒子、金属酸化物粒子などの無機粒子、或いは有機重合体からなる有機粒子を付着させ、さらに無電解めっきを行う方法、3)無電解めっき反応時におけるめっき浴の自己分解を利用して基材粒子上に突起の核となる金属を析出させ、さらに無電解めっきを行うことによって、突起部を含む導電性金属層が連続皮膜となった導電性金属層を形成させる方法等が挙げられる。
3.絶縁性樹脂層
本発明の導電性微粒子は、表面の少なくとも一部に絶縁性樹脂層を有することもできる。つまり、前記導電性金属層の表面にさらに絶縁性樹脂層を設けた態様であってもよい。このように表面の導電性金属層にさらに絶縁性樹脂層が積層されていると、高密度回路の形成時や端子接続時などに生じやすい横導通を防ぐことができる。
前記絶縁性樹脂層としては、導電性微粒子の粒子間における絶縁性が確保でき、一定の圧力及び/又は加熱により容易にその絶縁性樹脂層が崩壊あるいは剥離するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンなどのポリオレフィン類;ポリメチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート重合体および共重合体;ポリスチレン;等の熱可塑性樹脂やその架橋物;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリビニルアルコール等の水溶性樹脂およびこれらの混合物;等が挙げられる。但し、基材粒子に比べて絶縁性樹脂層が硬過ぎる場合には、絶縁性樹脂層の破壊よりも先に基材粒子自体が破壊してしまうおそれがある。したがって、絶縁性樹脂層には、未架橋または比較的架橋度の低い樹脂を用いることが好ましい。
前記絶縁性樹脂層は、単層であっても、複数の層からなるものであってもよい。例えば、単一又は複数の皮膜状の層が形成されていてもよいし、絶縁性を有する粒状、球状、塊状、鱗片状その他の形状の粒子を導電性金属層の表面に付着させた層であってもよいし、さらには、導電性金属層の表面を化学修飾することにより形成された層であってもよく、または、これらが組み合わされたものであってもよい。絶縁性樹脂層の厚さは0.01μm以上、1μm以下が好ましく、より好ましくは0.02μm以上、0.5μm以下、さらに好ましくは0.03μm以上、0.4μm以下である。絶縁性樹脂層の厚さが前記範囲内であれば、導電性粒子による導通特性を良好に維持しつつ、粒子間の電気絶縁性が良好となる。
4.製造方法
4.1 基材粒子の製造方法
基材粒子の製造方法は、特に制限されず、乳化重合、懸濁重合、分散重合、シード重合、ゾルゲルシード重合法等が挙げられるが、基材粒子の粒子径を上述した所定の範囲にするには、例えば、シード重合法により基材粒子を合成する方法等が好ましく採用される。基材粒子の合成にシード重合法を採用することにより、粒度分布がシャープで変動係数(CV値)の小さい基材粒子が得られる。
前記シード重合法は、シード粒子調製工程、シード粒子に単量体成分を吸収させる吸収工程、シード粒子に吸収させた単量体成分を重合反応させる重合工程を経て基材粒子を得る方法である。各工程における手法や条件等は、公知のシード重合法の手法を適宜採用すればよく特に制限されないが、例えば以下の手法等が好ましく採用される。
前記シード粒子調製工程において、有機材料のみから構成される基材粒子を合成する場合には、前記ビニル系単量体を用いて、ソープフリー乳化重合、分散重合等の方法でシード粒子を調製すればよい。この場合、前記ビニル系単量体としてスチレン等のスチレン系単官能モノマーを用いることが好ましい。他方、有機材料とポリシロキサン骨格を有する材料から構成される粒子を合成する場合には、前記加水分解性シリコン化合物を用いて、水を含む溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、(シクロ)パラフィン類、芳香族炭化水素類等の有機溶剤と水との混合溶媒)中で加水分解して縮重合させる方法でシード粒子(ポリシロキサン粒子)を調製すればよい。この場合、前記加水分解性シリコン化合物として、ラジカル重合性基を有する加水分解性シリコン化合物を用いて重合性ポリシロキサン粒子とすることが好ましい。加水分解し、縮重合させるにあたっては、触媒として、アンモニア、尿素、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物等の塩基性触媒を好ましく用いることができ、さらに必要に応じて、アニオン性、カチオン性、非イオン性の界面活性剤や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子分散剤を併用することができる。
前記吸収工程においてシード粒子に単量体成分を吸収させる方法としては、特に制限はなく、例えば、予めシード粒子を溶媒中に分散させたシード粒子分散液に単量体成分を加えてもよいし、単量体成分を含む溶媒中にシード粒子を加えてもよいが、特に、前者の手法において、重合または加水分解、縮合により得られた反応液をそのままシード粒子分散液とすることが、工程の簡略化、生産性の観点から好ましい。単量体成分は、それ単独で添加してもよいし、溶媒に溶解させた溶液として添加してもよいが、シード粒子に効率よく吸収させるうえでは、乳化剤を用いて予め水又は水性媒体(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類等の水溶性有機溶剤またはこれらと水との混合溶媒)に乳化、分散させて乳化液としておき添加することが好ましい。
前記単量体成分を乳化剤で乳化分散させる際には、乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等のノニオン性界面活性剤が、シード粒子、単量体成分を吸収した後のシード粒子の分散状態を安定化させることもできる点で好ましく用いられる。また、乳化分散の際に用いる水又は水性媒体の量は、通常、単量体成分の質量に対して0.3倍以上10倍以下である。
前記重合工程において採用する重合方法は、特に限定されず、例えば、ラジカル重合開始剤(例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等)を用いる方法など公知の方法を用いることができる。ラジカル重合を行う際の反応温度は40℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上であり、100℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以下である。反応温度が低すぎると、重合度が十分に上がらず基材粒子の機械的特性が不充分となる傾向があり、一方、反応温度が高すぎると、重合中に粒子間の凝集が起こりやすくなる傾向がある。なお、ラジカル重合を行う際の反応時間は、用いる重合開始剤の種類に応じて適宜変更すればよいが、通常、5分以上が好ましく、より好ましくは10分以上であり、600分以下が好ましく、より好ましくは300分以下である。反応時間が短すぎると、重合度が十分に上がらない場合があり、反応時間が長すぎると、粒子間で凝集が起こり易くなる傾向がある。このような重合工程において、なお、シード粒子が重合性ポリシロキサン粒子である場合、該重合工程において、吸収させた単量体成分と重合性ポリシロキサン骨格が有するラジカル重合性基とが重合し、ポリシロキサン骨格とビニル重合体とが複合化する。
上記のようにして合成した基材粒子は、所定の粒子径となるように必要に応じて分級してもよい。分級方法は特に限定されず、例えば、電成ふるい等によるふるい分け;メンブランフィルター、プリーツフィルター、セラミック膜フィルター等のフィルターを使用した濾過;質量差及び流体抵抗差の相互作用によって分級する公知の装置(粒子の落下速度等の重力差が原理である重力分級機、自由渦又は半自由渦による遠心力と空気抗力の釣り合いを原理とする(半)自由渦遠心分級、回転する分級羽根(ローター)によってつくられる回転流によって生じる遠心力と空気による抗力の釣り合いを原理とする回転羽根付き遠心分級)を用いた分級;等が挙げられる。
合成後、必要に応じて分級された基材粒子は、通常、乾燥され、場合によっては焼成に付される。焼成については、例えば加水分解性シリコン化合物を多く使用すると、加水分解性シリコン化合物の加水分解により生成したシラノール基間の縮合反応が重合後の段階で充分に進行していないことがあり、そのような場合に重合後の基材粒子に施すことが推奨される。ここで、乾燥や焼成などの加熱処理の条件や方法は、常法に従い適宜設定すればよい。
4.2 基材粒子表面の親水化工程
本発明では、上記のようにして得られる基材粒子をオゾン溶液やオゾンガスで処理する。オゾン処理とは、基材粒子をオゾンガスの溶解した溶液に浸漬する方法、基材粒子をオゾンガスに接触させる方法、その他公知の方法を用いることができる。
例えば、オゾン溶液に基材粒子を浸漬する方法においては、前記オゾン溶液はオゾンガスを極性溶媒に溶解することで調製できる。極性溶媒にオゾンを溶解させると、オゾンの活性が高まり、親水化工程の処理時間を短縮できる。この極性溶媒としては水が特に好ましいが、必要に応じて、アルコール類、アミド類、ケトン類などの水溶性溶媒を水と混合して用いることもできる。
オゾン溶液におけるオゾンの濃度は、例えば、1mg/L以上が好ましく、より好ましくは10mg/L以上、さらに好ましくは20mg/L以上であり、300mg/L以下が好ましく、より好ましくは200mg/L以下、さらに好ましくは100mg/L以下である。
またオゾン処理の時間(オゾン溶液への基材粒子の浸漬時間)は、例えば1分以上、100分以下が好ましい。
なおオゾン溶液による処理温度を高くすると、反応速度は速くなるが、大気圧ではオゾンの溶解度が下がるため、加圧装置が必要となる。従って処理温度は、これらの関係を考慮して適宜設定できるが、例えば、10〜50℃程度の範囲から設定するのが簡便であり、特に室温程度が望ましい。オゾン処理時の圧力条件は、オゾンガスを所定濃度に維持するために設定され、通常、設定オゾン濃度と処理温度に応じて、加圧条件及び常圧条件の中から設定される。
オゾン処理を行う際には、オゾン溶液に基材粒子を浸漬した状態で紫外線照射、超音波照射を行う、あるいは基材粒子を浸漬するオゾン溶液にアルカリ水を添加する等の、溶存オゾンの分解を促進する手段を併用することが好ましい。これらの手段を併用することで、溶存オゾンの分解が促進され、オゾンの分解によって高い酸化力を有すると考えられるヒドロキシラジカルが生成し易くなるため、親水化の効果を更に高めることが可能になるためと考えられる。その結果、基材粒子の表面における親水基(OH基、CHO基、COOH等)の生成をさらに促進することが可能となる。
なお前記親水化工程(エッチング工程)の前に脱脂工程を加えてもよい。脱脂工程を行えば、基材粒子表面に付着している汚れを除去でき、エッチング液による試料の濡れ性を向上できる。脱脂工程では、公知の方法が使用でき、例えば水洗、湯洗、酸洗、アルカリ脱脂、研削、研磨等から必要に応じてこれらを単独又は組み合わせて行うとよい。ただし、前記オゾン処理は、それ自体に脱脂の効果があることから、脱脂工程を省略することも可能である。
オゾン処理した基材粒子は、必要に応じて洗浄(水洗、アルカリ洗浄など)を行なってもよい。また、該粒子に付着残存するオゾンを還元処理してもよい。
4.3 導電性微粒子の製造方法
以上のようにしてオゾンで処理した基材粒子に導電性金属層を形成し、必要に応じてさらに絶縁性樹脂層を形成することにより、導電性微粒子が得られる。
導電性金属層の形成方法および絶縁性樹脂層の形成方法は特に限定されないが、例えば導電性金属層は、基材表面に無電解めっき法、電解めっき法等によってめっきを施す方法;基材表面に真空蒸着、イオンプレーティング、イオンスパッタリング等の物理的蒸着方法により導電性金属層を形成する方法;等により形成できる。これらの中でも特に無電解めっき法が、大掛かりな装置を必要とせず容易に導電性金属層を形成できる点で好ましい。
無電解めっき法により導電性金属層を形成する際には、触媒化工程を経た後、無電解めっき工程を行うことが好ましい。前記触媒化工程では、基材粒子の表面にめっき析出の基点となる触媒層(パラジウム触媒などの層)を形成する。触媒層を形成する方法は特に限定されず、無電解めっき用として市販されている触媒化試薬を用いて行えばよい。例えば、二塩化パラジウムと二塩化スズとを含む溶液を触媒化試薬とし、これに基材粒子を浸漬することにより基材粒子表面に触媒金属を吸着させ、その後、硫酸や塩酸などの酸や水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液で前記パラジウムイオンを還元することにより、基材粒子表面にパラジウム核を析出させる方法(キャタリスト−アクセレレーション法)や、スズイオン(Sn2+)を含有する溶液(二塩化スズ溶液など)に基材粒子を接触させることによりスズイオンを基材粒子表面に吸着させた後、パラジウムイオン(Pd2+)を含有する溶液(二塩化パラジウム溶液など)に浸漬させることにより、基材粒子表面にパラジウム核を析出させる方法(センシタイジング−アクチベーティング法)等が好ましく採用される。なお、前記スズイオン含有溶液やパラジウムイオン含有溶液に基材粒子を浸漬する際の液温及び浸漬時間は、各イオンが基材粒子に充分に吸着できる範囲で適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、液温は10℃〜60℃が好ましく、浸漬時間は1分〜120分が好ましい。
前記無電解めっき工程では、触媒層(例えばパラジウム核)を形成した基材粒子(以下「触媒化基材粒子」と称する)表面に、無電解めっき処理を施して導電性金属層を形成する。無電解めっき処理は、還元剤と所望の金属塩を溶解しためっき液中に触媒化基材粒子を浸漬することにより、触媒を起点として、めっき液中の金属イオンを還元剤で還元し、基材粒子表面に所望の金属を析出させて、導電性金属層を形成するものである。
前記無電解めっき工程では、まず、触媒化基材粒子を水に十分に分散させ、触媒化基材粒子の水性スラリーを調製する。ここで、安定した導電特性を発現させるためには、めっき処理を行う水性媒体に触媒化基材粒子を十分に分散させておくことが好ましい。触媒化基材粒子が凝集した状態で無電解めっき処理を行うと、基材粒子同士の接触面に未処理面(導電性金属層が存在しない面)が生じるからである。触媒化基材粒子を水性媒体に分散させる手段としては、例えば、通常攪拌装置、高速攪拌装置、コロイドミル又はホモジナイザーのような剪断分散装置など従来公知の分散手段を採用すればよく、必要に応じて超音波や分散剤(界面活性剤等)を併用してもよい。
次に、所望の導電性金属の塩、還元剤、錯化剤及び各種添加剤等を含有する無電解めっき液に、上記で調製した触媒化基材粒子の水性スラリーを添加することにより、無電解めっき反応を生じさせる。無電解めっき反応は、触媒化基材粒子の水性スラリーを添加すると速やかに開始する。また、この反応には水素ガスの発生を伴うので、水素ガスの発生が認められなくなった時点をもって無電解めっき反応を終了すればよい。無電解めっき反応の終了後、反応系内から導電性金属層が形成された基材粒子を取り出し、必要に応じて洗浄、乾燥を施すことにより、導電性微粒子を得ることができる。
前記無電解めっき液に含有させる導電性金属塩としては、導電性金属層を構成する金属として例示した金属の塩化物、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。例えば、導電性金属層としてニッケル層を形成する場合には、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル等のニッケル塩等を無電解めっき液に含有させればよい。導電性金属塩は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。無電解めっき液中における導電性金属塩の濃度は、所望の膜厚の導電性金属層が形成されるように、基材粒子のサイズ(表面積)等を考慮して適宜決定すればよい。
前記無電解めっき液に含有させる還元剤としては、例えば、ホルムアルデヒド、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、テトラヒドロホウ酸カリウム、グリオキシル酸、ヒドラジン等が挙げられる。還元剤は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
前記無電解めっき液に含有させる錯化剤としては、導電性金属のイオンに対して錯化作用のある化合物が使用できる。例えば、ニッケルに対して錯化作用のある化合物としては、クエン酸、ヒドロキシ酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸またはそれらのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などのカルボン酸(塩);グリシン等のアミノ酸;エチレンジアミン、アルキルアミン等のアミン酸;その他のアンモニウム、EDTA、ピロリン酸(塩);などが挙げられる。錯化剤は1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。前記無電解めっき液のpHは、限定されないが、好ましくは4〜14である。
無電解めっき工程は、必要に応じて繰返し行ってもよい。例えば金属種の異なる無電解めっき液を用いて無電解めっき工程を繰返すことにより、基材粒子の表面に異種金属を幾層にも被覆できる。具体的には、基材粒子にニッケルめっきを施してニッケル被覆粒子を得た後、該ニッケル被覆粒子をさらに無電解金めっき液に投入して金置換めっきを行うことにより、最外層が金層で覆われ、その内側にニッケル層を有する導電性微粒子が得られる。
上記のようにして形成された導電性金属層の最表面には、防錆処理を施してもよい。防錆処理の方法は特に限定されず、例えば、導電性金属層を形成した後に防食剤で処理する方法が挙げられる。防食剤としては、例えば、リン酸アルミニウム、リン酸ナトリウム等のリン酸系防食剤;クロム酸カリウム、無水クロム酸等のクロム酸系防食剤;有機樹脂;等が挙げられる。また、前記導電性金属層の最表面を、酸化防止剤で処理してもよい。前記酸化防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物、イミダゾール化合物、チアゾール化合物、トリアジン、2−メルカプトピリミジン、インドール、ピロール、アデニン、チオバルビツル酸、チオウラシル、ロダニン、チオゾリジンチオン、1−フェニル−2−テトラゾリン−5−チオン、2−メルカプトピリジン等の窒素含有化合物等が挙げられる。これらの防食剤や酸化防止剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
5.異方性導電材料
本発明の異方性導電材料は、上記本発明の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなる。異方性導電材料の形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インクなど様々な形態が挙げられる。これらの異方性導電材料を相対向する基材同士や電極端子間に設けることにより、良好な電気的接続が可能になる。なお、本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサーおよびその組成物)も含まれる。
前記バインダー樹脂としては、絶縁性の樹脂であれば特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体などの熱可塑性樹脂;グリシジル基を有するモノマーやオリゴマーおよびイソシアネートなどの硬化剤との反応により硬化する硬化性樹脂組成物;光や熱により硬化する硬化性樹脂組成物;等が挙げられる。
なお、本発明の異方性導電材料は、前記バインダー樹脂中に本発明の導電性微粒子を分散させ、所望の形態とすることで得られるが、例えば、バインダー樹脂と導電性微粒子とを別々に使用し、接続しようとする基材間や電極端子間に導電性微粒子をバインダー樹脂とともに存在させることによって接続してもかまわない。
本発明の異方性導電材料において、導電性微粒子の含有量は、用途に応じて適宜決定すればよいが、例えば、異方性導電材料の全量に対して1体積%以上が好ましく、より好ましくは2体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、50体積%以下が好ましく、より好ましくは30体積%以下、さらに好ましくは20体積%以下である。導電性微粒子の含有量が少なすぎると、充分な電気的導通が得られ難い場合があり、一方、導電性微粒子の含有量が多すぎると、導電性微粒子同士が接触してしまい、異方性導電材料としての機能が発揮され難い場合がある。
本発明の異方性導電材料におけるフィルム膜厚、ペーストや接着剤の塗工膜厚、印刷膜厚等については、使用する本発明の導電性微粒子の粒子径と、接続すべき電極の仕様とを考慮し、接続すべき電極間に導電性微粒子が狭持され、且つ接続すべき電極が形成された接合基板同士の空隙がバインダー樹脂層により充分に満たされるように、適宜設定することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
1.物性測定方法
各種物性の測定は以下の方法で行った。
1−1.基材粒子の個数平均粒子径及び粒子径の変動係数(CV値)
基材粒子0.005部に、乳化剤であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬株式会社製「ハイテノール(登録商標)N−08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料として、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「コールターマルチサイザーIII型」)により30,000個の粒子の粒子径(μm)を測定し、個数基準の平均粒子径を求めた。また同装置により個数基準の粒子径の変動係数(CV値)を測定した。
なお、粒子径の変動係数(CV値)とは、コールター原理を利用した精密粒度分布測定装置により測定される粒子の個数平均粒子径と、粒子の粒子径の標準偏差とを下記式に当てはめて求められる値である。
粒子径の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数平均粒子径)
1−2.基材粒子及び導電性微粒子の圧縮破壊荷重値、圧縮破壊荷重値低下率
(圧縮破壊荷重値)
微小圧縮試験機(島津製作所社製「MCT−W500」)を用いて、室温(25℃)において、試料台(材質:SKS材平板)上に散布した粒子1個について、直径50μmの円形平板圧子(材質:ダイヤモンド)を用いて、「標準表面検出」モードで、粒子の中心方向へ一定の負荷速度(2.22mN/秒)で荷重をかけた。そして、粒子が変形により破壊したときの荷重値(mN)を測定した。なお、測定は各試料について、異なる10個の粒子に対して行い、その算術平均値を粒子の圧縮破壊荷重値とした。
(圧縮破壊荷重値低下率)
基材粒子の圧縮破壊荷重値(A)と導電性微粒子の圧縮破壊荷重値(B)の値から、下記式により圧縮破壊荷重値低下率を求めた。
圧縮破壊荷重値低下率(%)=100×(A−B)/A
1−3.導電性金属層の被覆状態の評価及び剥離試験
(剥離試験前の導電性金属層の被覆状態の評価)
走査電子顕微鏡(SEM、HITACHI社製「S−3500N」)を用いて観察される10,000個の導電性微粒子当たり、導電性金属層で完全に覆われることなく基材面の一部が露出している粒子の個数(露出粒子数)を計測した。
(剥離試験)
導電性微粒子0.2部を粒径1mmのジルコニアビーズ50部、トルエン5部と共に、ガラス容器(柏洋硝子社製、M−140)に入れ、ステンレス製の2枚攪拌羽根(翼長38mm:翼幅:7mm)を用いて400rpmで10分間攪拌した。
(剥離試験後の導電性金属層の被覆状態の評価)
前記剥離試験の後、走査電子顕微鏡(SEM、HITACHI社製「S−3500N」)を用いて観察される10,000個の導電性微粒子当たり、導電性金属層で完全に覆われることなく基材面の一部が露出している粒子の個数(剥離試験前の露出粒子数と剥離試験による剥離粒子の合計)を計測した。
2.導電性微粒子の製造
2−1.基材粒子の作製
合成例1
界面活性剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標)NF−08」)2部をイオン交換水148部に溶解し、冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、前記水溶液150部を仕込んだ。この四つ口フラスコへあらかじめ調整しておいたメチルメタクリレート(MMA)50部及びエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)50部の単量体混合物と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)2部を仕込み、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により乳化分散させて懸濁液を調製した。この懸濁液にイオン交換水250部を加え、窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、同温度で2時間保持し、モノマーのラジカル重合を行った。
ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄した。さらに分級操作を行った後、窒素雰囲気下80℃で12時間真空乾燥させ基材粒子(1)を得た。基材粒子(1)の個数平均粒子径は6.0μm、変動係数(CV値)は4.2%であった。
合成例2
合成例1において使用するモノマーを、MMA50部及びEGDMA50部から、スチレン50部及びジビニルベンゼン(DVB)50部に変更したこと以外は、合成例1と同様の手法により基材粒子(2)を得た。基材粒子(2)の粒子径を合成例1と同様に測定したところ、個数平均粒子径は6.1μm、変動係数(CV値)は4.1%であった。
合成例3
合成例1において使用するモノマーを、MMA50部及びEGDMA50部から、スチレン50部及びEGDMA50部に変更したこと以外は、合成例1と同様の手法により基材粒子(3)を得た。基材粒子(3)の粒子径を合成例1と同様に測定したところ、個数平均粒子径は6.1μm、変動係数(CV値)は4.5%であった。
合成例4
合成例1において使用するモノマーを、MMA50部及びEGDMA50部から、DVB50部及びEGDMA50部に変更したこと以外は、合成例1と同様の手法により基材粒子(4)を得た。基材粒子(4)の粒子径を合成例1と同様に測定したところ、個数平均粒子径は6.0μm、変動係数(CV値)は4.5%であった。
合成例5
冷却管、温度計、滴下口を備えた四つ口フラスコに、イオン交換水400部と25%アンモニア水6部、メタノール180部を入れた。3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製「KBM503」)50部をこの溶液に攪拌しながら滴下口から添加して、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの加水分解及び縮合を行ってオルガノポリシロキサン粒子の分散液を調製した。次いで、乳化剤としてポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標)NF−08」)0.75部をイオン交換水175部で溶解した溶液に、スチレン75部、EGDMA75部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製「V−65」)4部を溶解した溶液を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)により乳化分散させてモノマーエマルションを調製した。反応開始から2時間後、このモノマーエマルションを上記オルガノポリシロキサン粒子の分散液中に添加して、さらに攪拌を行った。モノマーエマルションの添加から2時間後、反応液をサンプリングして顕微鏡で観察を行ったところ、オルガノポリシロキサン粒子がモノマーを吸収して肥大化している事が確認された。次いで反応液を窒素雰囲気下で65℃に昇温させて、同温度で2時間保持しモノマーのラジカル重合を行った。ラジカル重合後、得られた乳濁液を固液分離し、得られたケーキをイオン交換水、次いでメタノールで洗浄し、さらに窒素雰囲気下80℃で12時間真空乾燥させ基材粒子(5)を得た。
基材粒子(5)の粒子径を合成例1と同様に測定したところ、個数平均粒子径は6.0μm、変動係数(CV値)は3.3%であった。
合成例6
合成例5において使用するモノマーを、DVB75部及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート75部に変更したこと以外は、合成例5と同様の手法により基材粒子(6)を得た。基材粒子(6)の粒子径を合成例1と同様に測定したところ、個数平均粒子径は5.9μm、変動係数(CV値)は3.5%であった。
2−2.導電性微粒子の作製(導電性金属層の形成)
実施例1
合成例1で得られた基材粒子(1)10部を、オゾン水処理装置(ERCテクノロジー社製「JOZ−01A」)を用いて製造されたオゾン濃度30mg/Lのオゾン水500部に5分間浸漬し、親水化処理を行った後、基材粒子を分離し乾燥させた。次に、親水化処理した基材粒子を二塩化スズ溶液に接触させることによりセンシタイジングを行った後、二塩化パラジウム溶液に浸漬させることによりアクチベーティングを行い、パラジウム核(めっき触媒)を形成した。
次いで、パラジウム核を形成した基材粒子を硫酸ニッケル(20g/L)、次亜リン酸ナトリウム(24g/L)、リンゴ酸(16g/L)、コハク酸(18g/L)を含む無電解ニッケルめっき浴に添加してpHを5.2に調整した後、80℃で30分浸漬し、無電解ニッケルめっきを行った。ニッケルめっき層を形成した後、イオン交換水で洗浄し、さらにアルコール置換を行ってから真空乾燥を行うことにより、導電性微粒子(1)を得た。導電性微粒子(1)の個数平均粒子径は6.2μm、変動係数(CV値)は4.2%であった。
実施例2
基材粒子(1)に代えて、合成例2で得られた基材粒子(2)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により、導電性微粒子(2)を得た。導電性微粒子(2)の個数平均粒子径は6.3μm、変動係数(CV値)は4.2%であった。
実施例3
基材粒子(1)に代えて、合成例3で得られた基材粒子(3)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により、導電性微粒子(3)を得た。導電性微粒子(3)の個数平均粒子径は6.3μm、変動係数(CV値)は4.6%であった。
実施例4
基材粒子(1)に代えて、合成例4で得られた基材粒子(4)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により、導電性微粒子(4)を得た。導電性微粒子(4)の個数平均粒子径は6.2μm、変動係数(CV値)は4.6%、であった。
実施例5
基材粒子(1)に代えて、合成例5で得られた基材粒子(5)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により、導電性微粒子(5)を得た。導電性微粒子(5)の個数平均粒子径は6.2μm、変動係数(CV値)は3.4%であった。
実施例6
基材粒子(1)に代えて、合成例6で得られた基材粒子(6)を用いたこと以外は実施例1と同様の手法により、導電性微粒子(6)を得た。導電性微粒子(6)の個数平均粒子径は6.1μm、変動係数(CV値)は3.5%であった。
比較例1
実施例1においてオゾン水処理に代えて、クロム酸と硫酸の混合溶液によるエッチングを行った以外は実施例1と同様の手法により導電性微粒子(1’)を得た。導電性微粒子(1’)の個数平均粒子径は6.2μm、変動係数(CV値)は4.2%であった。
比較例2
実施例1においてオゾン水処理に代えて、特開2007−184278号公報(特許文献1)実施例1に記載の方法に従い、流動層反応器を利用したプラズマ処理による親水化処理を行なったこと以外は実施例1と同様の手法により導電性微粒子(2’)を得た。導電性微粒子(2’)の個数平均粒子径は6.2μm、変動係数(CV値)は4.2%であった。
以上のようにして得られた基材粒子と導電性微粒子について圧縮破壊強度試験、さらに導電性微粒子について剥離試験前後での導電性金属層の被覆状態の評価を行なった。結果を表1に示す。
なお表1において剥離試験後露出粒子数とは、剥離試験前の露出粒子と、剥離試験後に観察される表面の一部が露出した粒子の合計数をいう。
表より明らかなように、従来のクロム酸と硫酸の混合液を用いて基材粒子をエッチングして製造された導電性微粒子に比べ、本発明の導電性微粒子は、圧縮破壊荷重値低下率が低く、容易に破損しないことが分かる。また、基材粒子をプラズマ処理した場合に比べ、本願発明の導電性微粒子は導電性金属層が均一に被覆される。さらに、芳香環を有する単量体と(メタ)アクリレート系単量体の共重合体から形成される基材粒子を用いた実施例3〜6の導電性微粒子は、特に導電性金属層が剥離し難く、導電性金属層が均一に被覆されている。

Claims (10)

  1. 樹脂から構成される基材粒子と、該基材の表面に直接形成された少なくとも一層の導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、前記基材粒子表面がオゾンで処理されていることを特徴とする導電性微粒子。
  2. 前記基材粒子は、芳香環を有するビニル系単量体及び(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体の少なくとも一方の単独又は共重合体から構成されている請求項1に記載の導電性微粒子。
  3. 前記基材粒子は、芳香環を有するビニル系単量体及び(メタ)アクリロイル基を有するビニル系単量体を含む単量体成分の共重合体から構成されている請求項1又は2に記載の導電性微粒子。
  4. 前記基材粒子の個数平均粒子径が1.0〜50μmである請求項1〜3のいずれかに記載の導電性微粒子。
  5. 前記導電性金属層がニッケル又はニッケル合金から構成されている請求項1〜4のいずれかに記載の導電性微粒子。
  6. 前記基材粒子の圧縮破壊荷重値(A)と前記導電性微粒子の圧縮破壊荷重値(B)の値に基づき、下記式から求められる圧縮破壊荷重値低下率が20%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の導電性微粒子。
    圧縮破壊荷重値低下率(%)=100×(A−B)/A
  7. 前記導電性微粒子0.2質量部を粒径1mmのジルコニアビーズ50質量部、トルエン5質量部と共に、ステンレス製の2枚攪拌羽根を用いて400rpmで10分間攪拌した後、走査電子顕微鏡を用いて観察される10,000個の導電性微粒子当たりの、表面が導電性金属層で完全に覆われることなく基材面の一部が露出している露出粒子が50個以下である請求項1〜6のいずれかに記載の導電性微粒子。
  8. 前記導電性金属層の表面の少なくとも一部に絶縁性樹脂層を有する請求項1〜7のいずれかに記載の導電性微粒子。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなることを特徴とする異方性導電材料。
  10. 樹脂から構成される基材粒子を親水化し、導電性金属層を被覆して導電性微粒子を製造する方法であって、前記親水化工程で基材粒子をオゾン処理することを特徴とする導電性微粒子の製造方法。
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