JP5667541B2 - 導電性微粒子及びそれを含む異方性導電材料 - Google Patents
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特許文献2のように結晶粒界が認められないものでは、クラックの起点となる結晶粒界が存在しないため、導電性微粒子を圧縮変形させた際、その変形量が小さければ金属層にクラックが生じにくい。しかしながら、このようにクラックを生じることなく変形した金属層には、応力が蓄積される。そのため、圧縮変形量が大きくなり、金属層にクラックが生じる際には、クラックが急激に伸長して、非常に大きなクラックとなり、充分な導通が得られない部分が発生するという問題がある。
特許文献3のように厚さ方向に特定の柱状構造が連続して配向する結晶粒界を有する場合、金属層は結晶粒界に沿って破断し易いため、導電性微粒子を圧縮変形させた際に、金属層には厚さ方向に延びるクラックが多数生じることとなる。この場合、全てのクラックが、金属層の導通を遮ることとなるため、充分な導通が得られない部分が発生するという問題がある。
本発明には、前記導電性微粒子の表面の少なくとも一部が絶縁被覆されてなる絶縁被覆導電性微粒子、前記導電性微粒子を含む異方性導電材料も含まれる。
本発明の導電性微粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する導電性金属層とを有している。そして、前記導電性金属層として、走査型電子顕微鏡を使用して100000倍の拡大倍率で、その厚さ方向断面を観測したとき、その断面に粒界が認められ、且つ、粒界構造が厚さ方向に配向する柱状構造でないニッケルメッキ層を含む。
このニッケルメッキ層は、走査型電子顕微鏡を使用した100000倍の拡大倍率で確認される粒界を有しており、導電性微粒子が圧縮変形した場合、この粒界を起点として容易にクラックが生じ、応力が蓄積することが抑制される。また、クラックが発生し、伸長した場合でも、クラックの先端が他の粒界に達したとき、この粒界でクラックの伸長が止められることとなる。そのため、各クラックはいずれも微細なものとなり、導電性金属層の導通を妨げる程の大きなクラックの生成が抑制される。
また、前記粒界が金属層の厚さ方向に配向する柱状構造でないため、ニッケル層に生じたクラックが金属層の厚さ方向へと伸長することが抑制される。つまり、クラックが生じた場合でも、ニッケル層の層方向の導通が遮られない。よって、本発明の導電性微粒子は、加圧接続において金属層にクラックが生じた場合でも、安定した接続抵抗値が得られるようになる。
前記ニッケルメッキ層の破断面には、走査型電子顕微鏡を使用した100000倍の拡大倍率で確認される粒界が認められる。なお、粒界とは、破断面に認められる線を意味する。
ニッケルメッキ層の破断面に認められる粒界構造としては、粒界によって区切られた各領域が平坦である形態(平面型領域)からなる粒界構造(「平面型粒界構造」ともいう);粒界によって区切られた各領域が平坦でない形態(非平面型領域)からなる粒界構造(「非平面型粒界構造」ともいう);粒界によって区切られた各領域に、平面型領域と非平面型領域とが混在する粒界構造(「混在型粒界構造」ともいう)が挙げられる。上記各態様の粒界構造において、各領域は、粒界によって囲まれた閉塞領域を形成する場合も、閉塞領域を形成しない場合もある。なお、粒界が閉塞領域を形成する場合においてその最小単位をセグメントと称する。
前記破断面は、大小のコブが形成されるようなものではなく、凹凸が少ないものが好ましい。すなわち、粒界構造は、平面型粒界構造、非平面型粒界構造、混在型粒界構造のいずれであってもよいが、これらの中でも、平面型領域が存在する粒界構造が好ましく、粒界構造における平面型領域が占める割合が高い粒界構造が好ましい。換言すると、平面型粒界構造、または、混在型粒界構造のうち平面型領域が占める面積が非平面型領域が占める面積より大きい粒界構造が好ましい。粒界構造の面積における平面型領域が占める面積が50%を超えることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、一層好ましくは95%以上である。特に、前記割合が80%以上であれば平面型粒界構造と効果、作用において同等とみなすことができる。
前記粒界が有配向時、複数の直線状の粒界が、平行に並んでいる。この場合、直線粒界の方向は、金属層の厚さ方向と異なっていることが好ましく、例えば、層方向、斜め方向が挙げられる。この場合、直線粒界の配向方向と金属層の厚さ方向とのなす角は、0°超、10°以上が好ましく、より好ましくは20°以上、さらに好ましくは30°以上であり、90°以下が好ましく、より好ましくは80°以下、さらに好ましくは70°以下である。
前記セグメントの形状は、四角形、五角形、六角形等の多角形状、円形状、略円形状、楕円形状、略楕円形状等が挙げられ、これらの形状の内、1種が単独で存在してもよいし、複数種が混在していてもよい。なお、四角形状が連続して存在する場合、これらの四角形の高さと幅との比(高さ/幅)は、5未満であり、2以下が好ましく、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.8以下である。
前記ニッケル合金としては、Ni−Au、Ni−Pd、Ni−Pd−Au、Ni−Ag、Ni−P、Ni−B、Ni−Zn、Ni−Sn、Ni−W、Ni−Co、Ni−W、Ni−Ti等が好ましく、これらの中でもNi−Pが好ましい。
他の導電性金属層を構成する金属としては特に限定されないが、例えば、金、銀、銅、白金、鉄、鉛、アルミニウム、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、スズ、コバルト、インジウム及びニッケル−リン、ニッケル−ホウ素等の金属や金属化合物、及び、これらの合金等が挙げられる。これらの中でも、金、パラジウム、銀が導電性に優れており好ましい。
前記ニッケル層は、基材粒子に直接形成してもよいし、下地として他の導電性金属層を基材粒子表面に形成し、その上にニッケル層を形成してもよいが、基材粒子に直接形成することが好ましい。また、導電性金属層は、例えば、ニッケル層−金層、ニッケル層−パラジウム層、ニッケル層−パラジウム層−金層、ニッケル層−銀層等の組合せが好ましく挙げられる。特に最外層として金層、又はパラジウム層を有することが好ましい。
導電性微粒子が小さくなると(具体的には、個数平均粒子径が10.0μm未満)、異方導電接続時の接触面積を十分とするために、導電性微粒子を高い圧縮変形率まで圧縮する必要がある。このように大きく変形した場合であっても、本発明の導電性微粒子はニッケル層の断面が所定の粒界構造を呈するため、低い接続抵抗値を達成できる。よって、本発明の効果が一層顕著となる理由から、個数平均粒子径は、10μm未満が好ましく、より好ましくは9.5μm以下、さらに好ましくは8μm以下、一層好ましくは5μm以下、より一層好ましくは3μm以下、さらに一層好ましくは2.8μm以下である。
前記基材粒子は、樹脂成分を含む樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子を用いることで、弾性変形特性に優れた導電性微粒子が得られる。前記樹脂粒子としては、例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂粒子;スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂等のビニル重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリカーボネート類;ポリアミド類;ポリイミド類;フェノールホルムアルデヒド樹脂;オルガノシロキサン等が挙げられる。これらの樹脂粒子を構成する材料は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。これらの中でも、ビニル重合体、アミノ樹脂、オルガノシロキサンが好ましく、ビニル重合体及びアミノ樹脂がより好ましく、特にビニル重合体が好ましい。ビニル重合体を含む材料は、ビニル基が重合して形成された有機系骨格を有し、加圧接続時の弾性変形に優れる。特に、ジビニルベンゼン及び/又はジ(メタ)アクリレートを重合成分として含むビニル重合体は、導電性金属被覆後の粒子強度の低下が少ない。
ビニル重合体粒子は、ビニル重合体により構成される。ビニル重合体は、ビニル系単量体(ビニル基含有単量体)を重合(ラジカル重合)することによって形成でき、このビニル系単量体はビニル系架橋性単量体とビニル系非架橋性単量体とに分けられる。なお、「ビニル基」には、炭素−炭素二重結合のみならず、(メタ)アクリロキシ基、アリル基、イソプロペニル基、ビニルフェニル基、イソプロペニルフェニル基のような官能基と重合性炭素−炭素二重結合から構成される置換基も含まれる。なお、本明細書において「(メタ)アクリロキシ基」、「(メタ)アクリレート」や「(メタ)アクリル」は、「アクリロキシ基及び/又はメタクリロキシ基」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」や「アクリル及び/又はメタクリル」を示すものとする。
前記他の成分としては、特に限定されないが、ポリシロキサン成分が好ましい。ビニル重合体粒子に、ポリシロキサン骨格を導入することで、加圧接続時の弾性変形に優れるものとなる。
ポリシロキサン粒子としては、前記第三の形態(ビニル重合体−ポリシロキサン間架橋)を形成し得るシラン系架橋性単量体を含む組成物を、(共)加水分解縮合して得られるポリシロキサン粒子が好ましく、特にビニル基含有ポリシロキサン粒子が好ましい。ポリシロキサン粒子がビニル基を有する場合、得られるビニル重合体粒子が、ビニル重合体とポリシロキサン骨格がポリシロキサンを構成するケイ素原子を介して結合するため、弾性変形性及び接触圧に特に優れたものとなる。ビニル基含有ポリシロキサン粒子は、例えば、ビニル基を有するジまたはトリアルコキシシランを含むシラン系単量体(混合物)を(共)加水分解縮合することによって製造できる。
アミノ樹脂粒子は、アミノ化合物とホルムアルデヒドとの縮合物により構成されるものが好ましい。
前記アミノ化合物としては、例えば、ベンゾグアナミン、シクロヘキサンカルボグアナミン、シクロヘキセンカルボグアナミン、アセトグアナミン、ノルボルネンカルボグアナミン、スピログアナミン等のグアナミン化合物、メラミン等のトリアジン環構造を有する化合物等の多官能アミノ化合物が挙げられる。これらの中でも、多官能アミノ化合物が好ましく、トリアジン環構造を有する化合物がより好ましく、特にメラミン、グアナミン化合物(特にベンゾグアナミン)が好ましい。前記アミノ化合物は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
アミノ樹脂粒子の製造方法としては、例えば、特開2000−256432号公報、特開2002−293854号公報、特開2002−293855号公報、特開2002−293856号公報、特開2002−293857号公報、特開2003−55422号公報、特開2003−82049号公報、特開2003−138023号公報、特開2003−147039号公報、特開2003−171432号公報、特開2003−176330号公報、特開2005−97575号公報、特開2007−186716号公報、特開2008−101040号公報、特開2010−248475号公報等に記載のアミノ樹脂架橋粒子及びその製造方法を適用することが好ましい。
オルガノポリシロキサン粒子は、ビニル基を含有しないシラン系単量体(シラン系架橋性単量体、シラン系非架橋性単量体)の1種または2種以上を(共)加水分解縮合することによって得られる。
前記ビニル基を含有しないシラン系単量体としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等の3官能性シラン系単量体;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ基を有するジ又はトリアルコキシシラン;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するジ又はトリアルコキシシラン等が挙げられる。
また、上述したように導電性微粒子が小さくなると(具体的には、個数平均粒子径が10.0μm未満)、本発明の効果が一層顕著となる。よって、基材粒子の個数平均粒子径は、10.0μm未満が好ましく、より好ましくは9.5μm以下、さらに好ましくは8μm以下、一層好ましくは5μm以下、より一層好ましくは3μm以下、さらに一層好ましくは2.8μm以下、特に好ましくは2.6μm以下である。
本発明の導電性微粒子は、無電解メッキ法により製造でき、ニッケルメッキ液中の錯化剤の種類や濃度、ニッケルメッキ液の液温等を制御することにより、ニッケル層の粒界構造を制御できる。製造方法の具体例としては、第1無電解メッキ工程及び第2無電解メッキ工程を有する製造方法が挙げられる。以下、製造方法について説明する。
エッチング処理工程では、クロム酸、無水クロム酸−硫酸混合液、過マンガン酸等の酸化剤;塩酸、硫酸、フッ酸、硝酸等の強酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強アルカリ溶液;その他市販の種々のエッチング剤等を用いて、基材粒子の表面に親水性付与し、その後の無電解メッキ液に対する濡れ性を高める。また、微小な凹凸を形成させ、その凹凸のアンカー効果によって、後述する無電解メッキ後の基材粒子と導電性金属層との密着性の向上を図る。
前記触媒化処理では、基材粒子表面に貴金属イオンを捕捉させた後、これを還元して前記貴金属を基材粒子表面に担持させ、基材粒子の表面に次工程の無電解メッキの起点となりうる触媒層を形成させる。基材粒子自体が貴金属イオンの捕捉能を有さない場合、触媒化を行う前に、表面改質処理を行うことも好ましい。表面改質処理は、表面処理剤を溶解した水又は有機溶媒に、基材粒子を接触させることで行うことができる。
第1無電解メッキ工程及び第2無電解メッキ工程では、上記のように貴金属を担持させた基材粒子に対して、ニッケル層を形成する。なお、第1無電解メッキ工程では、貴金属を担持された基材粒子の表面が平滑となる程度に、極薄くニッケル層を形成し、第2無電解メッキによりニッケル層の厚さを調整する。これらの無電解メッキ工程では、ニッケル塩、還元剤及び錯化剤を溶解したメッキ液中に基材粒子を浸漬することにより、貴金属触媒を起点として、メッキ液中のニッケルイオンを還元剤で還元し、基材粒子表面にニッケルを析出させて、ニッケル層を形成する。
第1無電解メッキ工程では、まず、基材粒子を水に十分に分散させ、基材粒子の水性スラリーを調製する。ここで、安定した導電特性を発現させるためには、基材粒子を、メッキ処理を行う水性媒体に十分分散させておくことが好ましい。基材粒子を水性媒体に分散させる手段としては、例えば、通常攪拌装置、高速攪拌装置、コロイドミル又はホモジナイザーのような剪断分散装置等従来公知の分散手段を採用すればよく、必要に応じて超音波や分散剤(界面活性剤等)を併用してもよい。なお、上記触媒化工程において、還元処理を行った基材粒子分散液をそのまま水性スラリーとして用いてもよい。
前記ニッケル塩としては、塩化ニッケル、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル等のニッケル塩等が挙げられる。前記還元剤としては、触媒化処理工程で例示したものが使用できる。
第1無電解メッキ工程において、メッキ液の使用量は、貴金属を担持した基材粒子100質量部に対して、200〜2,000,000質量部が好ましく、より好ましくは500〜1,000,000質量部である。前記メッキ液に基材粒子を浸漬する際の液温、浸漬時間は、適宜調整すればよいが、液温は50℃〜95℃が好ましい。
第2無電解メッキ工程では、前記第1無電解メッキ工程後の水性懸濁体にメッキ液を添加する。第2無電解メッキ工程に使用するメッキ液は、錯化剤を含むニッケルイオン含有液と、還元剤含有液の2液に分けて調整をする。ニッケルイオン含有液には、錯化剤として、グリシンを含有させておくことが重要である。また、第1無電解メッキ工程において使用する錯化剤に対して、グリシンを逐次添加することにより、メッキ液中に錯化剤の濃度勾配をつけることが重要である。前記グリシンの濃度は、0.001〜10mol/Lが好ましく、より好ましくは0.01〜10mol/Lである。第2無電解メッキ工程に使用するメッキ液中のニッケル塩濃度は、0.1〜2mol/Lが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5mol/Lである。また、還元剤の濃度は、0.1〜20mol/Lが好ましく、より好ましくは1〜10mol/Lである。メッキ液中での第1無電解メッキ工程で用いた錯化剤に対する、第2無電解メッキ工程で用いるグリシンの比率は、0.2〜2が好ましく、特に0.3〜1が好ましい。
前記メッキ液に基材粒子を浸漬する際の液温、浸漬時間は、適宜調整すればよいが、液温は50℃〜95℃が好ましい。第2無電解メッキ工程終了後、水性懸濁体から導電性金属層が形成された基材粒子を取り出し、必要に応じて洗浄、乾燥を施すことにより、導電性微粒子が得られる。
導電性微粒子は、その表面が平滑であっても凹凸状であっても良いが、バインダー樹脂を効果的に排除して電極との接続を行える点で、複数の突起を有することが好ましい。突起を有することで、導電性微粒子を電極間の接続に用いた際の接続信頼性を高めることができる。
本発明の導電性微粒子は、表面の少なくとも一部に絶縁層を有する態様(絶縁被覆導電性微粒子)であってもよい。このように表面の導電性金属層にさらに絶縁層が積層されていると、高密度回路の形成時や端子接続時などに生じやすい横導通を防ぐことができる。
絶縁粒子はその表面に導電性微粒子への付着性を高めるため官能基を有していても良い。前記官能基としては、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、リン酸基、シラノール基、アンモニウム基、スルホン酸基、チオール基、ニトロ基、ニトリル基、オキサゾリン基、ピロリドン基、スルホニル基、水酸基等が挙げられる。
本発明の導電性微粒子は、異方性導電材料として有用である。
前記異方性導電材料としては、前記導電性微粒子がバインダー樹脂に分散してなるものが挙げられる。異方性導電材料の形態は特に限定されず、例えば、異方性導電フィルム、異方性導電ペースト、異方性導電接着剤、異方性導電インク等様々な形態が挙げられる。これらの異方性導電材料を相対向する基材同士や電極端子間に設けることにより、良好な電気的接続が可能になる。なお、本発明の導電性微粒子を用いた異方性導電材料には、液晶表示素子用導通材料(導通スペーサー及びその組成物)も含まれる。
1−1.個数平均粒子径、変動係数(CV値)
<シード粒子、基材粒子(樹脂粒子)>
粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製、「コールターマルチサイザーIII型」)により30000個の粒子の粒子径を測定し、個数基準の平均粒子径、粒子径の標準偏差を求めるとともに、下記式に従って粒子径の個数基準のCV値(変動係数)を算出した。
粒子径の変動係数(%)=100×(粒子径の標準偏差/個数基準平均粒子径)
なお、基材粒子では、基材粒子0.005部に界面活性剤(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標) N−08」)の1%水溶液20部を加え、超音波で10分間分散させた分散液を測定試料とした。シード粒子では、加水分解、縮合反応で得られた分散液を、界面活性剤(第一工業製薬社製、「ハイテノール(登録商標) N−08」)の1%水溶液により希釈したものを測定試料とした。
導電性微粒子0.1gをメノウ鉢に取り、すり潰すことにより導電性金属層を破断させた。すり潰した導電性微粒子のニッケル層の厚さ方向断面を、走査型電子顕微鏡で100000倍の拡大倍率で観察した。また、断面において、ニッケル層の厚さを任意に10点測定し、これら10点の平均値をニッケル層の厚さとした。
導電性微粒子0.05gに王水4mlを加え、加熱下で攪拌することにより金属層を溶解しろ別した。その後、ろ液をICP発光分析装置を用いて、ニッケル及びリンの含有量を分析した。
導電性微粒子10質量部に、バインダー樹脂としてのエポキシ樹脂(三菱化学社製、「JER828」)100質量部、硬化剤(三新化学社製、「サンエイド(登録商標) SI−150」)2質量部及びトルエン100質量部を加えた。この混合物にさらに1mmのジルコニアビーズ50質量部を加えて、ステンレス製の2枚攪拌羽根を用いて300rpmで10分間分散を行い、ペースト状組成物を得た。得られたペースト状組成物をバーコーターで剥離処理PETフィルム上に塗布し、乾燥させ異方性導電フィルムを得た。
得られた異方性導電フィルムを、抵抗測定用の線を有する全面アルミ蒸着ガラス基板と100μmピッチに銅パターンを形成したポリイミドフィルム基板間に挟み込み、5MPa、200℃の圧着条件で熱圧着して測定試料を作製した。この試料について、電極間の抵抗値(初期抵抗値)を評価した。また、測定試料を、90℃で500時間放置した後の電極間の抵抗値(90℃、500時間後抵抗値)についても同様に測定した。下記式により抵抗値上昇率を求め、A、Bの2段階に分けて評価した。抵抗値上昇率が1%未満を「A」、1%以上を「B」とした。
抵抗上昇率(%)=[(90℃、500時間後抵抗値)−(初期抵抗値)]/(初期抵抗値)
アミノ樹脂粒子の合成
メラミン、ベンゾグアナミン、ホルマリン及び炭酸ナトリウム水溶液を含む水性媒体を攪拌しながら85℃に加熱して初期縮合物を得た。別に、ノニオン系界面活性剤(「エマルゲン(登録商標) 430」、花王社製)水溶液を攪拌しながら50℃に加熱した。この界面活性剤水溶液に、上記初期縮合物を投入し乳濁液を得た。これに硬化触媒としてドデシルベンゼンスルホン酸水溶液を加え、50〜60℃で3時間保持して縮合重合し、硬化樹脂の乳濁液を得た。この乳濁液から硬化樹脂を沈降分離して得られたペーストをエマルゲン430とドデシルベンゼンスルンホン酸水溶液に分散させ、90℃で1時間保持した後急冷した。この乳濁液から、沈降分離することにより硬化球状樹脂を得た(ここで、メラミン/ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒドの質量比率は31.5/31.5/37である。)。
上記の硬化球状樹脂に水及び硬化触媒(「キャタニットA」、日東理研社製)を加え、オートクレーブを用いて170℃で3時間加熱加圧処理した。この処理後、粒子をろ別し純水で数回洗浄した後、160℃で4時間乾燥し、アミノ樹脂粒子を得た。
得られたアミノ樹脂粒子の個数平均粒子径は14μm、粒子径の変動係数は4.5%であった。
前記アミノ樹脂粒子を基材粒子として用いた。基材粒子3gに水40mLを加え、超音波分散を行った。この分散液を、液温60℃で攪拌しながら、塩化パラジウム水溶液(濃度19.5g/L)0.2mLを添加し、5分間維持させ、基材粒子の表面にパラジウムイオンを捕捉させる活性化処理を行った。次いで、基材粒子をろ別し、70℃の温水70mLで洗浄した後、水20mLを加えて、スラリーを調製した。このスラリーに超音波を照射した状態で、ジメチルアミンボランとホウ酸との混合水溶液(ジメチルアミンボラン濃度1g/L、ホウ酸濃度9.9g/L)2mLを加えた。常温で超音波を併用しながら2分間照射して、パラジウムイオンの還元処理を行った。
触媒化処理工程で得られた還元処理後のスラリーを、75℃に加熱したメッキ液(酒石酸ナトリウム濃度16.9g/L、硫酸ニッケル濃度1.33g/L、次亜リン酸ナトリウム濃度1.85g/L)180mLに攪拌しながら添加した。スラリーを投入してから1分後、0.37gの次亜リン酸ナトリウムを投入し、さらに1分間攪拌を続けた。
第1無電解メッキ工程で得られたスラリーとメッキ液との混合液に、ニッケルイオン含有液(グリシン濃度40.5g/L、硫酸ニッケル濃度133.2g/L)、還元剤含有液(次亜リン酸ナトリウム濃度1.85g/L、水酸化ナトリウム濃度104g/L)の2液を、それぞれ3mL/分の添加速度で添加した。添加量はそれぞれ22.4mLとした。2液の添加後、液温を75℃に保持し、水素ガスの発生が終了してから60分間攪拌を続けた。その後、固液分離を行い、粒子をイオン交換水、メタノールで洗浄した後、100℃の真空乾燥機で乾燥させた。これにより、ニッケルメッキを施した導電性微粒子を得た。得られた導電性微粒子の導電性金属層の厚さ方向断面を観察した結果を図1に示す。図1に示すように、ニッケル層には粒界が認められ、ニッケル層の厚み方向に対して斜め方向に配向する粒界及びニッケル層の層方向に伸びる粒界を有する、いわゆる葉脈状に配向した構造を有するものであった。また、平面型の粒界構造断面を呈するものであった。断面を測長した結果、導電性金属層の厚さは0.12μmであった。また、ニッケル層中のリン濃度は8.9質量%であった。
第2無電解メッキ工程において、ニッケルイオン含有液の添加量を45mlにしたこと以外は、製造例1と同様にして導電性微粒子を作製した。
得られた導電性微粒子の導電性金属層の厚さ方向断面を観察したところ、粒界が認められ、製造例1と同様に、平面型の粒界構造断面を呈し、厚み方向に対して斜めに粒界を有する葉脈状の粒界断面構造を示した。断面を測長した結果、導電性金属層の厚さは0.20μmであった。また、ニッケル層中のリン濃度は8.8質量%であった。
製造例1で得られたニッケル−リン合金メッキ皮膜を有する導電性微粒子50部を200部のメタノールに超音波分散させた。得られた導電性微粒子の分散液に、ポリメタクリル酸メチル系架橋物の水分散体(日本触媒社製、エポスター(登録商標) MX100W)100部を加えて、さらに超音波を用いて均一に分散させた。次いで、エバポレーターでメタノール、水を留去し、導電性微粒子の表面をポリメタクリル酸メチル系架橋物で被覆して、絶縁被覆導電性微粒子を得た。
得られた導電性微粒子の導電性金属層の厚さ方向断面を観察したところ、粒界が認められ、製造例1と同様に、平面型の粒界構造断面を呈し、厚み方向に対して斜めに配向する粒界を有する葉脈状の粒界断面構造を示した。断面を測長した結果、導電性金属層の厚さは0.12μmであった。また、ニッケル層中のリン濃度は8.9質量%であった。
第2無電解メッキ工程において、ニッケルイオン含有液中のグリシンを、酒石酸ナトリウム(濃度48.5g/L)に変更し、ニッケル層の厚さを0.15μmにしたこと以外は、製造例1と同様にして導電性微粒子を作製した。
得られた導電性微粒子の導電性金属層の厚さ方向断面を観察したところ、粒界は認められなかった。
第1無電解メッキ工程において、めっき液中の酒石酸ナトリウムをグリシン(濃度20.3g/L)に変更し、ニッケル層の厚さを0.15μmにしたこと以外は、製造例1と同様にして導電性微粒子を作製した。
得られた導電性微粒子の導電性金属層の厚さ方向断面を観察したところ、粒界はニッケル膜の厚さ方向に配向し、粒界が形成するセグメントが柱状を成し、粒界断面構造は、高さがほぼ0.15μm、幅が0.01〜0.03μm、高さ/幅の比が5〜15の範囲にある柱状構造が多数隣接する構造であった。
これに対して、導電性金属層の厚さ方向断面に粒界が認められなかった製造例4、導電性金属層の厚さ方向断面に粒界が認められるが、該粒界構造が厚さ方向に配向する柱状構造からなる製造例5では、接続信頼性が劣っていた。
Claims (5)
- 基材粒子と、該基材粒子の表面を被覆する導電性金属層とを有する導電性微粒子であって、
前記導電性金属層が、ニッケルメッキ層を含み、
該ニッケルメッキ層は、走査型電子顕微鏡を使用して100000倍の拡大倍率で、その厚さ方向断面を観測したとき、その断面に粒界が認められ、粒界構造がニッケルメッキ層の厚さ方向に配向する柱状構造でなく、且つ、
前記粒界が、ニッケルメッキ層の層方向又は斜め方向に配向していることを特徴とする導電性微粒子。 - 前記粒界構造がニッケルメッキ層の厚さ方向に多層構造となっており、各層における粒界が互いに異なる方向に配向している請求項1に記載の導電性微粒子。
- 前記各層における粒界が、斜め方向に配向している請求項2に記載の導電性微粒子。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電性微粒子の表面の少なくとも一部が絶縁被覆されてなる絶縁被覆導電性微粒子。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性微粒子を含むことを特徴とする異方性導電材料。
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