JP2011165534A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐スパッタ性を有した2次電子放出特性に優れた保護膜を安定して生産することが可能となり、高品質のプラズマディスプレイパネルを安定して生産することが可能なプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することを目的としている。
【解決手段】保護膜14をガラス基板11に成膜するステップでは、成膜室32を真空にする真空排気の処理を施し、ガラス基板11を予備加熱するステップでは、クライオパネルの温度を50K以上80K以下に制御し、クライオパネルを用いた真空排気の処理を施しつつ、成膜室32内の圧力と同じ圧力になるまで、成膜室32に導入しているガスと同種のガスを予備過熱室31に導入する方法である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、基板上に保護膜を形成するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、良質な保護膜を形成するために好適なプラズマディスプレイパネルの製造方法に関する。
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)は、前面パネルと背面パネルとを対向配置してその周縁部を封着部材によって封着した構造を有し、前面パネルと背面パネルとの間に形成された放電空間には、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)などの放電ガスが封入されている。
前面パネルは、ガラス基板に形成されたストライプ状の走査電極と維持電極とからなる複数の表示電極対と、表示電極対を覆う誘電体層と、誘電体層を覆う保護膜とを備えている。表示電極対は、それぞれ透明電極とその透明電極上に形成された金属材料のバス電極とによって構成されている。
一方、背面パネルは、ガラス基板に形成されたストライプ状の複数のアドレス電極と、アドレス電極を覆う下地誘電体層と、下地誘電体層上に形成され放電空間をアドレス電極毎に区画するストライプ状の隔壁と、隔壁間の下地誘電体層上と隔壁側面に形成された赤色、緑色、青色の蛍光体層とを備えている。
前面パネルと背面パネルとは表示電極対とアドレス電極とが直交するように対向配置され、それらの電極が交差する交差部に放電セルを形成している。放電セルはマトリクス状に配列されて、表示電極対の方向に並ぶ赤色、緑色、青色の蛍光体層を有する3個の放電セルがカラー表示のための画素を形成している。PDPは、走査電極とアドレス電極間、および、走査電極と維持電極間に所定の電圧を印加してガス放電を発生させ、そのガス放電で生じる紫外線によって蛍光体層を励起して発光させることによりカラー画像を表示している。
このような構造のPDPにおいて、保護膜は耐スパッタ特性が大きいこと、かつ2次電子放出係数の大きいことなどが要求されて、例えば、酸化マグネシウム(MgO)の保護膜が一般的に用いられている。これらの特性によって、誘電体層のスパッタを防止し、かつ放電電圧を低くするようにしている。
保護膜は、電子ビーム蒸着法やプラズマガンによる成膜法などにより形成されるが、成膜方法、成膜条件によって膜特性に大きな差が生じる。保護膜としての酸化マグネシウム(MgO)を電子ビーム蒸着法で形成する際に、蒸着室内の酸素ガスを始めとする各種ガスの分圧を一定の範囲に制御することによって、膜特性の良好な保護膜を安定に製造しようとする例が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、蒸着室内の水素及び水蒸気分圧にも注目し、酸素ガスを含め、これらを一定にしようとする例も開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−50804号公報 特開2007−109539号公報
保護膜として一般的に用いられている酸化マグネシウム(MgO)は、耐スパッタ性が良好であり、一般的には真空製膜装置で形成されている。また、酸化マグネシウム(MgO)の製膜時の基板温度が膜の耐スパッタ特性や2次電子放出特性に大きく影響するため、成膜前に、成膜時の基板温度が一定になるように真空中で基板を250度〜350度に加熱している。
基板加熱を行う理由は、基板及び基板を搬送するためのトレイに吸着している水分や炭酸ガス等の不純ガスを脱離し、不純ガスが蒸着室へ混入することを低減するためである。
一般的に、酸化マグネシウム(MgO)は、大気中に放置すると、大気中の水分と結合して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)となったり、さらには炭酸ガスと結合して炭酸マグネシウム(MgCO3)となったりする傾向が強い。
一方で、これらのマグネシウム塩は、成膜時に加熱される、と基板加熱温度が250度〜350度でも、水蒸気或いは炭酸ガスとして放出されるため、蒸着室内の雰囲気を大きく変化させてしまう可能性が高い。特に、基板を搬送するために用いられるトレイは蒸着室内で酸化マグネシウム(MgO)膜が付着するために経時的にその膜厚が変化し、それに伴い、水蒸気や炭酸ガスの持ち込み量が変化してしまう課題があった。
水蒸気量の変化については、蒸着室内の水蒸気分圧を測定して分圧が一定になるように水蒸気を導入するなどの対応をしてきた。しかし、炭酸ガス量の変化については、課題が残存した。一般的にプロセスガスとして導入し、蒸着室内の圧力を一定にするための調圧ガスとしても用いられる酸素ガスの分圧が経時的に大きく変化し、炭酸ガスが増加するので、酸素ガスの導入量を極端に減少させる必要があった。
この解決策としては、一般的には、炭酸ガスの排気速度が大きいクライオポンプを真空中で基板加熱する真空容器にとりつけ、炭酸ガスも含めて排気するステップを設ける方法もある。しかし、通常の使用方法では水蒸気等の排気速度が非常に大きくなり、水素の溜め込み量が増加するので、酸素と化合して爆発する危険を避ける必要がある。このために、通常よりも早い頻度でクライオポンプの再生を行う必要ある。ポンプ台数を増加したり、交互に再生させて真空排気を行うなどの方法を用いたりする必要が生じ、設備コストやランニングコストについて不利になる。また、設備的にも真空容器に対するポンプ取り付けの面積が限られているため、一定台数以上のポンプの取り付けが不可能になるなどの課題もあり、根本的な解決策にはなっていなかった。
本発明は、以上の課題を考慮して、耐スパッタ性を有する2次電子放出特性に優れたPDP用の保護膜を安定して実現するプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明の製造方法は、基板に保護膜を成膜してプラズマディスプレイパネルを製造する製造方法であって、トレイに載せたガラス基板を予備加熱室に搬送して、前記基板を予備過熱するステップと、前記トレイに載せた前記基板を成膜室に搬送し、前記成膜室に配置した材料を加熱して蒸散させ、前記材料を成分とする保護膜を前記基板に成膜するステップを有し、前記保護膜を前記基板に成膜するステップでは、前記成膜室を真空にする真空排気の処理を施し、前記基板を予備加熱するステップでは、クライオパネルの温度を50K以上80K以下に制御し、前記クライオパネルを用いた真空排気の処理を施しつつ、前記成膜室内の圧力と同じ圧力になるまで、前記成膜室に導入しているガスと同種のガスを前記予備過熱室に導入する方法である。
また、上記目的を達成するために本発明の製造方法は、基板に保護膜を成膜してプラズマディスプレイパネルを製造する製造方法であって、トレイに載せた前記基板を予備加熱室に搬送して、前記基板を予備過熱するステップと、前記トレイに載せた前記基板を成膜室に搬送し、前記成膜室に配置した材料を加熱して蒸散させ、前記材料を成分とする保護膜を前記基板に成膜するステップを有し、前記保護膜を前記基板に成膜するステップでは、前記成膜室を真空にする真空排気の処理を施し、前記基板を予備加熱するステップでは、クライオパネルの温度を50K以上60K以下に制御し、前記クライオパネルを用いた真空排気の処理を施しつつ、前記成膜室内の圧力と同じ圧力になるまで、前記成膜室に導入しているガスと同種のガスを前記予備過熱室内に導入する方法である。
本発明によれば、PDP用の保護膜を常に同一条件で安定して製造することが可能となり、耐スパッタ性を有した2次電子放出特性に優れたPDP用の保護膜を安定して実現することができる。
本発明の一実施の形態における交流面放電型のプラズマディスプレイパネルの斜視図 同プラズマディスプレイパネルの保護膜を製造するための製造装置の側断面図 同製造装置の真空蒸着室における成膜室の平面図 同製造装置のクライオパネルの温度に対する電子放出能を示す特性図
以下、本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態における交流面放電型のプラズマディスプレイパネルの斜視図である。プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと記す)の前面パネル100は、前面ガラス基板11の一主面上に形成したN本の走査電極12aとN本の維持電極12bとからなる表示電極対12と、その表示電極対12を覆うように形成した誘電体層13と、さらにその誘電体層13を覆うように形成した酸化マグネシウム(MgO)薄膜からなる保護膜14とを有している。走査電極12aと維持電極12bとは、透明電極に金属のバス電極をそれぞれ積層した構造である。
背面パネル200は、背面ガラス基板16の一主面上に形成したM本のアドレス電極17と、そのアドレス電極17を覆うように形成した下地誘電体層18と、下地誘電体層18上のアドレス電極17間に形成した隔壁19と、隔壁19間に塗布された蛍光体層20とを有する構造である。
前面パネル100と背面パネル200とを隔壁19を挟んで、表示電極対12とアドレス電極17とが直交するように対向させ、画像表示領域の周囲を封止部材により封止している。前面パネル100と背面パネル200との間に形成された放電空間21には、例えばネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスの放電ガスが45kPa〜80kPaの圧力で封入されている。表示電極対12とアドレス電極17との交差部が放電セルとして動作する。
次に、前面パネル100の保護膜14を製造するため製造方法とその製造装置について説明する。図2は本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの保護膜を製造するための製造装置の側断面図、図3は同製造装置の真空蒸着室における成膜室の平面図である。
図2に示す保護膜の製造装置は、酸化マグネシウム(MgO)を成膜する基板搬送型の電子ビーム蒸着装置である。図2に示すように、蒸着装置は基板搬入室30、基板の予備加熱室31、真空蒸着室となる成膜室32、基板冷却室33、基板取出室34より構成されており、このような装置を用いてPDPの保護膜成膜の方法を以下に示す。
図1におけるPDPの誘電体層13までが形成された前面パネル100がトレイ35に載せられるステップと、基板搬入室30に搬入されステップがある。その後、予備加熱室31に搬送されて予備加熱されるステップと、成膜室32に搬送されて保護膜14としての酸化マグネシウム(MgO)膜が前面パネル100の誘電体層13上に成膜するステップがある。
ここで、予備加熱室31において排気するステップの排気ポンプ36は後述するように、排気するガスを吸着させるクライオパネルを含む排気系、ここではターボ分子ポンプとクライオパネルの組合せにて上記ステップを実施し、且つ、クライオパネルの温度は50K以上80K以下、望ましくは50K以上60K以下に制御しながら加熱するステップを有する。
成膜室32には蒸着材料40が収納された蒸着ハース41と電子銃42とが設置されていて、複数の排気ポンプ43により内部を高真空に排気している。また、成膜室32ではガス分析手段である四重極質量分析器(QMS)などのガス分析装置44で成膜中の各種のガス成分を測定している。成膜室32内にはガス導入口45を通じて流量バルブ46によって流量を成膜室32内の圧力が一定になるよう制御された少なくとも酸素ガスを含むガスを導入している。
成膜室32においては、排気ポンプ43によって成膜室32内を高真空状態とし、電子銃42から発射される電子ビーム47によって蒸着材料40を加熱して、その蒸気を前面ガラス基板11面に堆積させることによって酸化マグネシウム(MgO)膜の保護膜14が成膜される。なお、成膜室32内の前面ガラス基板11の下部のシャッター48により、蒸気の前面ガラス基板11への到達を制御している。
図3に示すように、成膜室32の側面には電子銃42および排気ポンプ43が成膜室32の隣接する側面に設置されている。装置の構成上、電子銃42と対向する側面に排気ポンプ43を設置してもよい。大面積パネルの製造装置の場合、図3に示すように蒸着ハース41と電子銃42は複数設けられるとともに、成膜室32内を高真空に排気するための排気手段としての排気ポンプ43も複数台設置される。なお、図3に示すように、電子ビーム47は蒸着ハース41において複数のビーム照射部49に照射されている。
また、図2に示すように、予備加熱室31も排気ポンプ36により減圧するとともに、酸素、窒素、水素、水蒸気、二酸化炭素のうちの少なくとも一つのガスを、第1のガス導入量可変手段となる流量バルブ51とにより成膜室32と予備加熱室31の圧力が同等になるよう調整して予備加熱室31に第1のガスをガス導入口50より導入する。
なお、基板冷却室33にも、内部を減圧状態にするための他の排気ポンプ(図示せず)が接続されているとともに、予備加熱室31に接続される流量バルブ51と成膜室32に接続される流量バルブ46とは、成膜室32に設けられたガス分析装置44のガス分析結果に基づき、所定の値になるようにその開度などにフィードバック制御がなされる。
次に、PDPの保護膜14である酸化マグネシウム(MgO)膜の成膜工程について説明する。誘電体層13まで形成された前面パネル100をトレイ35に載せて基板搬入室30に投入する。次に予備加熱室31に搬送し、そこで真空に排気しながら前面パネル100を加熱ヒータによって加熱した後、成膜室32に搬送する。成膜室32では一定の速度で搬送されながら誘電体層13上に保護膜14が形成される。この際に、成膜室32の圧力を一定にするために、成膜室32内に設置した真空計(図示せず)の値が一定になるようにプロセスガスである酸素ガスを流量バルブ46で調整を行った後ガス導入口45より導入する、或いは、排気ポンプ43の排気能力を調整する、或いはこれらの組合せなどの方法により、圧力一定になるように調整を行っている。保護膜14の形成が終了した後、前面パネル100はトレイ35とともに基板冷却室33に搬送され、真空中で所定の温度まで冷却した後、基板取出室34に搬送されて取り出され一連の作業が完了する。
成膜室32においては、電子銃42から出射された電子ビーム47を偏向させるとともに複数のビーム照射部49に集束させて、蒸着ハース41上に収納されたMgO粒塊の蒸着材料40に照射する。これにより蒸着材料40が加熱されて蒸発し、上方を移動する前面パネル100の誘電体層13上に保護膜14としての酸化マグネシウム(MgO)膜が堆積される。蒸着ハース41は低速度で回転して、電子ビーム47による蒸着材料40の加熱位置が常に移動するようにして局所的な蒸発消失を防いでいる。
このようにして形成される保護膜14である酸化マグネシウム(MgO)膜の物性は、その成膜過程での酸素欠損や不純物混入により変化する。その物性は成膜室32中の水および水から解離して発生する水素に対して敏感に変化することが確認されているが、もちろん、プロセスガスである酸素ガスや、炭酸ガスの量にも大きく影響することも確認されている。これは、炭酸ガスの量が増加することにより、圧力一定にするために導入している酸素ガスの量が結果的に変動し、酸化マグネシウム(MgO)膜の酸素が欠損することの影響が大きいと考えられるが、Cなどの不純物が混入したりすると、酸化マグネシウム(MgO)膜表面のMg原子とO原子との結合に乱れが生じて、結合に関与しない未結合手(ダングリングボンド)ができ2次電子放出係数を劣化させる。2次電子放出係数が劣化すると、放電開始電圧が高くなるとともに、PDP面内での電子放出特性のばらつきが面内の表示ばらつきや表示欠陥を発生させる。このような膜物性の変化によるPDPの表示品位の問題は、パネルサイズの大型化やパネルの高精細化などとともに特に大きな課題となる。
MgO膜の物性に大きな影響を及ぼす炭酸ガス及び水の発生源としては、前面パネル100とともに成膜室32に投入されるトレイ35などに付着した酸化マグネシウム(MgO)膜に吸着している炭酸ガス及び水が挙げられる。水に関しては、低減するために前述のように大気中で用いるトレイ35と真空中で用いるトレイ35を別のものとしたり、トレイ35が通過する大気の雰囲気を露点の低いドライな環境にしたりするという方法がとられている。しかしながら、水分を除去する方法としての効果は見られ、パネル特性の経時的変化も改善されているが、これだけではトレイ35の通過する大気雰囲気中の炭酸ガス濃度が低減されているわけではないため、炭酸ガスの成膜室32内への持込を防止することは不可能である。一方で、成膜室32はもちろんのこと、予備加熱室31の排気ポンプ36は一般的に、前述したような理由でターボ分子ポンプおよびクライオパネルを内蔵するクライオポンプの組合せで排気することが多いが、この方法では水分を排気するためには非常に有効であるが、炭酸ガスの排気速度は非常に小さく、予備加熱室31の段階で、炭酸ガスを除去することが困難である。結果的に、元々不純ガスの大部分を占めていた水分は、上記の対策によって大きく減少させることができたため、持ち込み不純ガスの大部分を占める炭酸ガスを排出することが必用となる。
発明者は、酸化マグネシウム(MgO)膜の特性を安定させるためには、成膜室32における酸素分圧に対する他のガスの分圧を一定範囲内とすることが重要であることを見出している。クライオパネルの温度を通常の90〜120Kという水分を除去するための温度領域から、80K以下の炭酸ガスの排気も可能な温度領域に設定するように、クライオパネルを冷却するためコンプレッサーの能力を高め、クライオパネルの温度を低温化する。この際、クライオパネルを50K以下まで低温化してしまうと、水素爆発の危険が伴う。そこで、クライオパネルの温度測定を行い、コンプレッサーの能力を向上させても温度が50K以下に下がらないようにフィードバック制御を実施する。
ここで、図4は、クライオパネルの温度に対する電子放出能を示す特性図である。図4では、基板をトレイに載せて成膜した場合において、100枚成膜した直後のトレイに基板を載せて成膜した場合と、5000枚成膜した後のトレイに基板を載せて成膜した場合とを比較している。すなわち、経時変化についても併せて検討した。
尚、5000枚成膜した場合について特に記載したのは次の理由からである。5000枚成膜した場合、トレイに堆積した膜厚が厚くなり、搬送中に膜剥がれを起こす可能性があるために、トレイの膜の除去を行う必用がある。5000枚はこのタイミングであるため、ここまで特性として満足していれば、連続して安定した生産を持続できると考えられるからである。
前者は、温度による依存性はそれほど大きくないが、後者に置いては温度の依存性が見られている。高品質なパネル特性を満足する範囲内の変化、即ち、ここでは、電子放出能が初期の80%以上の値を示すまでが高品質のパネル特性を満足することが、種々の実験より確認されているが、特に、80K以下にした際には電子放出能の変化が、初期の80%以内収まっているため、80K以下にする必用があることが判る。また、5000枚後のトレイでは、70K、60Kとクライオパネルの制御温度を低減すると共に経時変化が小さくなるが、60Kから50Kではほとんど変化がない。このため、クライオパネルによる炭酸ガス排気は、60K以下にすることによって安定して生産することが可能だと考える。逆に、50K以下にすることで、水はもちろんであるが、水素のわずかな吸着が始まるため、元々の目的である、水素をほとんど吸着しない温度という観点で、50K以上が必用となる。以上のことより、クライオパネルの制御温度は50K以上80K以下、望ましくは、50K以上60K以下と言える。尚、電子放出特性の測定方法としては、特開2003−51259号公報で記載された方法を用いている。
なお、成膜装置の構成としては上述したもの以外に、例えば、温度プロファイルの設定条件に応じて、基板搬入室30と成膜室32の間に予備加熱室31が一つ以上あるものや、また、成膜室32と基板取出室34の間にある基板冷却室33が一つ以上あるものなどでも構わないし、ガス導入を成膜室32および予備加熱室31以外に導入しても構わない。
また、前面パネル100に対する成膜室32内での酸化マグネシウム(MgO)の蒸着は搬送を停止して静止した状態で行っても搬送しながら行ってもどちらでも構わない。
また、成膜室32に配置される蒸着ハース41、電子銃42、排気ポンプ43などは装置の搬送速度や成膜を行う前面パネル100の大きさなどにより変わるものであり、図2、図3の数と異なるものでも構わない。
なお、本実施の形態では、保護膜14を酸化マグネシウム(MgO)膜を蒸着で形成する例を用いて説明したが、材料として酸化マグネシウム(MgO)に限るものでなく酸化カルシウム(CaO)や酸化ストロンチウム(SrO)などの金属酸化物を成膜する場合に対しても同様の効果を得ることができる。
以上のように、本実施の形態では、水素ガスの排気速度がほとんど0に等しく、炭酸ガスの排気速度を向上させるので、真空蒸着法で保護膜14を形成する際のガス分圧を適性に制御することが可能である。すなわち、耐スパッタ性を有した2次電子放出特性に優れた保護膜を安定して生産することが可能となり、高品質のプラズマディスプレイパネルを安定して生産することが可能となる。
本発明は耐スパッタ性を有した2次電子放出特性に優れた保護膜を安定して生産できるので、プラズマディスプパネルの製造方法に適用できる。
11 前面ガラス基板
12 表示電極対
12a 走査電極
12b 維持電極
13 誘電体層
14 保護膜
16 背面ガラス基板
17 アドレス電極
18 下地誘電体層
19 隔壁
20 蛍光体層
21 放電空間
30 基板搬入室
31 予備加熱室
32 成膜室
33 基板冷却室
34 基板取出室
35 トレイ
36 排気ポンプ
40 蒸着材料
41 蒸着ハース
42 電子銃
43 排気ポンプ
44 ガス分析装置
45,50 ガス導入口
46,51 流量バルブ
47 電子ビーム
48 シャッター
49 ビーム照射部
100 前面パネル
200 背面パネル

Claims (2)

  1. 基板に保護膜を成膜してプラズマディスプレイパネルを製造する製造方法であって、
    トレイに載せた前記基板を予備加熱室に搬送して、前記基板を予備過熱するステップと、
    前記トレイに載せた前記基板を成膜室に搬送し、前記成膜室に配置した材料を加熱して蒸散させ、前記材料を成分とする保護膜を前記基板に成膜するステップを有し、
    前記保護膜を前記基板に成膜するステップでは、前記成膜室を真空にする真空排気の処理を施し、前記基板を予備加熱するステップでは、クライオパネルの温度を50K以上80K以下に制御し、前記クライオパネルを用いた真空排気の処理を施しつつ、前記成膜室内の圧力と同じ圧力になるまで、前記成膜室に導入しているガスと同種のガスを前記予備過熱室に導入する
    プラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 基板に保護膜を成膜してプラズマディスプレイパネルを製造する製造方法であって、トレイに載せた前記基板を予備加熱室に搬送して、前記基板を予備過熱するステップと、前記トレイに載せた前記基板を成膜室に搬送し、前記成膜室に配置した材料を加熱して蒸散させ、前記材料を成分とする保護膜を前記基板に成膜するステップを有し、前記保護膜を前記基板に成膜するステップでは、前記成膜室を真空にする真空排気の処理を施し、前記基板を予備加熱するステップでは、クライオパネルの温度を50K以上60K以下に制御し、前記クライオパネルを用いた真空排気の処理を施しつつ、前記成膜室内の圧力と同じ圧力になるまで、前記成膜室に導入しているガスと同種のガスを前記予備過熱室内に導入する
    プラズマディスプレイパネルの製造方法。
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