JP2011145333A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体、並びに、無機粒子と複合化された酸化重合触媒を含有し、かつ、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、下記式(1)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa) (1)
【選択図】なし
Description
しかしながらこのようなトナーによる定着画像の耐久性は一般に印刷画像の耐久性に比べると低く、製本工程のようにプリント画像を積層して、加重がかかり、かつ夏季日照下に放置される場合のプリント面の接着、又は、印刷のように包装材などの厚紙やフィルムにプリントした場合の擦れなどにおける画像のにじみなども通常の印刷に比べると起こりやすい傾向にある。
圧力定着などによれば、従来に比べ更に様々な転写媒体への応用も可能となるが、このようなトナー画像の耐久性への要求は更に高まってきている。
<1>酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体、並びに、無機粒子と複合化された酸化重合触媒を含有し、かつ、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、下記式(1)を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー、
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa) (1)
<2>前記静電荷像現像用トナーの外殻及び/又は表面に前記酸化重合触媒を含有する、上記<1>に記載の静電荷像現像用トナー、
<3>前記静電荷像現像用トナーの結着樹脂が、コアシェル構造を有し、かつ、該各コアを構成する樹脂のガラス転移温度と、シェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20〜120℃である、上記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー、
<4>前記静電荷像現像用トナーの結着樹脂がブロック共重合体を含有する、上記<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー、
<5>前記酸化重合触媒として、鉄化合物及び/又は酵素を含有する、上記<1>〜<4>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<6>前記静電荷像現像用トナーは、樹脂粒子分散液を準備する工程、前記樹脂粒子を凝集して、凝集粒子を作製する凝集工程、及び、前記樹脂粒子を樹脂のガラス転移温度及び/又は融点以上の温度に加熱して、前記凝集粒子を合一させる合一工程を含む製造方法により製造される上記<1>〜<5>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<7>前記エチレン性不飽和基を有する重合体がポリエステルである、上記<1>〜<6>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<8>前記酸化重合性単量体がエチレン性不飽和基を有する乾性油である、上記<1>〜<7>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、
<9>上記<1>〜<8>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー及びキャリアを含むことを特徴とする、静電荷像現像剤、
<10>上記<1>〜<8>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容していることを特徴とするトナーカートリッジ、
<11>上記<1>〜<8>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、上記<9>に記載の静電荷像現像剤を収納するとともに、像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体、該像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、該像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも一種と、を備え、画像形成装置に脱着可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ、
<12>像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を定着する定着手段とを有し、前記現像剤として上記<1>〜<8>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー又は上記<9>に記載の静電荷像現像剤を使用することを特徴とする画像形成装置。
<13>像保持体を帯電させる帯電工程と、前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、前記トナー像を定着する定着工程と、を有し、前記静電荷像現像用トナーが上記<1>〜<8>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤が上記<9>に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
上記<2>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、より定着後の画像耐久性に優れる。
上記<3>に記載の発明によれば、ガラス転移温度の差が20℃未満又は120℃超である場合に比して、圧力定着性に優れる。
上記<4>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、圧力定着性に優れる。
上記<5>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、環境適合性に優れる。
上記<6>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、定着後の画像耐久性に優れる。
上記<7>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、より定着後の画像耐久性に優れる。
上記<8>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、より定着後の画像耐久性に優れる。
上記<9>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、定着後の画像耐久性に優れる画像が形成可能な静電荷像現像剤が提供される。
上記<10>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、定着後の画像耐久性に優れる画像が形成可能なトナーカートリッジが提供される。
上記<11>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、定着後の画像耐久性に優れる画像が形成可能なプロセスカートリッジが提供される。
上記<12>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、定着後の画像耐久性に優れる画像が形成可能な画像形成装置が提供される。
上記<13>に記載の発明によれば、本構成を有さない場合に比して、定着後の画像耐久性に優れる画像が形成可能な画像形成方法が提供される。
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体、並びに、無機粒子と複合化された酸化重合触媒を含有し、かつ、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、下記式(1)を満たすことを特徴とする。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa) (1)
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、圧力定着トナーとして好適に使用される。
なお、本実施形態において、数値範囲を表す「A〜B」の記載は、特に断りのない限り、「A以上B以下」を表す。すなわち端点であるA及びBを含む数値範囲を表す。
ここで、トナーに含まれる酸化重合性単量体及び/又は不飽和結合を有する重合体と、無機粒子と複合化された酸化重合触媒とは、転写・定着前のトナー粒子の状態では互いに接触せずに酸化重合を生じず、トナーが定着されることによりこれらが接触し、徐々に酸化重合を生じてトナーの定着性が向上するものであることが好ましい。
従って、酸化重合性単量体及び/又は不飽和結合を有する単量体と、無機粒子と複合化された酸化重合触媒とは、異なる領域に存在することが好ましい。
このようなトナーとしては、トナーがコアシェル構造を有する場合には、コアに酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体を含有し、シェルに無機粒子と複合化された酸化重合触媒を含有する態様が例示される。また、これとは逆に、シェルに酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和結合を有する重合体を含有し、コアに無機粒子と複合化された酸化重合触媒を有する態様であってもよい。さらに、本実施態様のトナーは、前記の態様に限定されるものではなく、トナー母粒子が酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体を含有し、トナーの外添剤として、無機粒子と複合化された酸化重合触媒を有する態様でもよく、無機粒子との複合化された酸化重合触媒は、トナーの外殻及び/又は表面に含有されていてもよい。
ところで、トナー母粒子が酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体を含有し、単にトナーの外添剤として酸化重合触媒を配置する方法は、一見容易であるように見えるが、触媒化合物が通常の外添剤のように数nm〜数100nmレベルまで微粒子化されることは必ずしも良いことではないこと、このために定着時の流動混合における均一性が阻害されることから効果が十分といえない場合があった。
この問題に対処するため、本願発明者らが鋭意検討した結果、シリカやチタニアなど通常外添剤に使われる無機粒子表面に酸化重合触媒を担持させて酸化重合触媒を無機粒子と複合化し、トナー表面に均一に配置することが有効であることがわかってきた。
なお、本実施形態において、無機粒子と複合化された酸化重合触媒とは、無機粒子の表面に物理的に吸着した酸化重合触媒、酸化重合触媒の表面を無機粒子で被覆した粒子、それらの両方を併用した粒子などを含むものである。
<酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体>
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体を含有し、酸化重合性単量体を含有することが好ましい。
〔酸化重合性単量体〕
本実施形態に用いられる酸化重合性単量体としては、エチレン性不飽和基を有する分子量1,000未満の化合物が例示される。
≪乾性油≫
本実施形態に用いられるエチレン性不飽和基を有する分子量1,000未満の化合物としては、乾性油が例示される。本実施形態に用いられる乾性油としては、特に制限はなく、公知の乾性油が用いられる。
乾性油とは、リノレン酸やリノール酸、オレイン酸などの不飽和結合を有する脂肪酸を含む脂肪酸のトリグリセリドである。
乾性油として具体的には、アマニ油、キリ油、ケシ油、シソ油、クルミ油、エゴマ油、ベニバナ油、ヒマワリ油などが好ましく例示される。これらの中でも、アマニ油が好ましい。
前記乾性油以外の本実施形態に用いられるエチレン性不飽和基を有する分子量1,000未満の化合物としては、公知のエチレン性不飽和単量体が例示される。
エチレン性不飽和単量体としては、エチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する化合物であればよい。
本実施形態に用いられるラジカル重合性のエチレン性不飽和化合物としては、スチレン類、(メタ)アクリル酸エステル類(「(メタ)アクリル酸エステル」等の表記は「アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル」等と同義であり、以下同様とする。)、エチレン性不飽和ニトリル類、エチレン性不飽和カルボン酸類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、オレフィン類等が挙げられる。
本実施形態に用いられるエチレン性不飽和基を有する重合体は、エチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する重合体であればよく、分子量(重量平均分子量)が1,000以上であることが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する重合体におけるエチレン性不飽和基の位置は、主鎖中であっても、主鎖末端であってもよいが、主鎖中であることが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する重合体としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び、ポリオレフィン樹脂よりなる群から選ばれた重合体のうち、エチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するものが例示される。
これらの中でも、エチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するポリエステル樹脂が好ましい。
エチレン性不飽和基を少なくとも1つ有するポリエステル樹脂やポリアミド樹脂としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、ドデセニルコハク酸などの不飽和ポリカルボン酸をモノマーとして少なくとも使用して得られたものが例示される。
エチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、及び、ポリオレフィン樹脂としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、又は、ポリオレフィン樹脂を合成後、別途エチレン性不飽和基を導入したものが例示される。
また、エチレン性不飽和基を有する重合体は、トナー中に1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。
本実施形態に用いられる酸化重合触媒としては、金属酸化物、金属石鹸、アミン類、含リン化合物、及び、金属キレート化合物などが例示される。
金属酸化物としては、酸化銀、酸化銅、酸化チタン、又は、酸化アルミが好ましく例示され、酸化銀、又は、酸化銅がより好ましく例示され、酸化銀が更に好ましく例示される。また、金属酸化物は、金属原子の価数に関しては特に制限はなく、例えば、酸化銀ではAg2Oであっても、AgO(Ag(I)とAg(III)との混合酸化物)であってもよく、酸化銅では、Cu2Oであっても、CuOであっても、Cu2O3であってもよい。
金属石鹸としては、遷移金属の金属石鹸であることが好ましく、炭素数8〜30のカルボン酸の遷移金属塩であることがより好ましく、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、又は、オクチル酸バナジルであることが更に好ましく、ナフテン酸コバルトであることが特に好ましい。
アミン類としては、ジメチルアニリン、フェニルモルホリン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン、メタアミノベンジルアミン、ベンジジン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルフォン、2,6−ジアミノピリジンなどが例示される。
含リン化合物としては、フェニルホスフィン酸などが例示される。
金属キレート化合物としては、バナジルアセチルアセトナート、アルミニウムアセチルアセトナートなどが例示される。
酸化重合触媒は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
酸化酵素として本実施形態において用いられる酵素を例示すれば、デヒドロゲナーゼとしては乳酸デヒドロゲナーゼやアルコールデヒドロゲナーゼが、オキシダーゼとしては、グルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、尿酸オキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ等が、オキシゲナーゼとしてはカテコール1,2−ジオキシゲナーゼ、トリプトファン2,3−ジオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ(別名リポキシダーゼ)、アスコルビン酸2,3−ジオキシゲナーゼ、インドール2,3−ジオキシゲナーゼ、システインジオキシゲナーゼ、ベータカロテン15,15’−ジオキシゲナーゼ、アルギニン2−モノオキシゲナーゼ、リジン2−モノオキシゲナーゼ、ラクテート2−モノオキシゲナーゼ等が、また、ヒドロペルオキシダーゼにはカタラーゼやペルオキシダーゼがある。
ただし、先に挙げた近年の化学物質の安全性懸念を低下させ、環境適合性を向上するという観点からは、上記のうち金属として鉄を用いることが最も望ましいといえる。
また、無機微粒子の粒径は、数nm〜数100nmであり、100nm以下であることが好ましい。
無機微粒子との複合化によれば、酸化重合触媒が外添剤として数10nmのレベルに超微粒子化される。
無機微粒子との複合化された酸化重合触媒は、静電荷像現像用トナーの外殻及び/又は表面に含有されていることが好ましい。
(1)酸化重合触媒をアルコールなどの溶剤に溶解する。
(2)数nm〜数100nmの粒径をもつシリカやチタニアなどの無機微粒子と(1)の溶解物を混合する。
(3)エバポレータなどで(2)の混合物を撹拌しながら、真空ポンプで減圧し、溶剤を除去する。
(4)得られた処理品をヘンシェルミキサーなどで解砕し、微粉体化する。
以上で、複合化が完了する。
本実施形態の静電荷像現像用トナーにおける無機微粒子と複合化された酸化重合触媒の体積平均粒径は、0.001〜3.0μmであることが好ましく、0.01〜2.0μmであることがより好ましい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、下記式(1)を満たす。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa) (1)
T(1MPa)−T(10MPa)が20℃未満であると、定着性が不十分となる。
また、T(1MPa)−T(10MPa)が120℃を超えると、定着ロールの汚れが発生しやすい。このため、T(1MPa)及びT(10MPa)は、下記式(1’)を満たすことが好ましい。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)≦120℃ (1’)
T(1MPa)−T(10MPa)は、20〜120℃であり、30〜110℃であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。
(株)島津製作所製フローテスターCFT500Cを用い、開始温度40℃〜max温度170℃、昇温速度3℃/min、予熱時間300sec、シリンダー圧力10kgf/cm2から100kgf/cm2まで可変とし、ダイL×D=1.0mm×1.0mmの条件で等速昇温した時の軟化状態を測定する。
試料としては、トナーについてはトナーの樹脂のみを分取するのは困難であるため、トナー自体を秤量して用いる。プランジャー断面積は10cm2とする。測定方法は、等速昇温するに従い、試料は徐々に加熱され流出がはじまる。更に昇温すると溶融状態となった試料が大きく流出し、プランジャー降下が停止し、1回の測定を終了する。各温度における流出量を40〜150℃まで3℃きざみで測定し、見かけ粘度η’(Pa・s)を得る。この際、フローテスター印加圧力1MPaとフローテスター印加圧力10MPaにおいて、見かけ粘度η’(Pa・s)が1×104Pa・sとなる温度を求め、その差分を算出した。
上記のような圧力依存性をトナーに付与するために、本実施形態の静電荷像現像用トナーは圧力に対し可塑挙動を示す樹脂(以下、圧力定着性結着樹脂ともいう。)を含有することが好ましい。
高Tg樹脂(高いガラス転移温度を有する樹脂)と低Tg樹脂(低いガラス転移温度を有する樹脂)がミクロな相分離状態を形成している場合、その樹脂は、圧力に対し可塑挙動を示し、一定以上の加圧下においては常温領域でも流動性を示す。このような樹脂はバロプラスチックと呼ばれることがある。雰囲気温度が高い場合、このような可塑化流動挙動は促進され、より低圧の加圧下でも定着に必要な樹脂流動性が得られる。
また、このようにトナーに一定以上の圧力が印加された場合の流動性を付与し、それ以下の圧力においては、極めて固体的に振舞わせることにより、電子写真プロセスにおける圧力(又は熱圧力)定着時以外の現像、転写、クリーニング工程などにおいては、高い信頼性が確保される。
また、高い信頼性を付与することにより、従来実現が困難であった5μm以下などの小径化したトナーの使用も可能になり、これによりトナー消費量の低減と高精細な画像が実現可能となり、高画質、信頼性、また、トナー消費量低減による経済性とが両立される。
(1)コアシェル構造を有する樹脂粒子(コアシェル粒子)を樹脂粒子分散液として、樹脂粒子を凝集して得られる静電荷像現像用トナー。
コアを構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)とが20℃以上異なることが好ましく、前記ガラス転移温度の差が20℃以上120℃以下であることがより好ましい。また、前記シェルを構成する樹脂は、酸性若しくは塩基性の極性基、又は、アルコール性水酸基を含有することが好ましい。
(2)結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルブロックを有するブロック共重合体を樹脂分散液として、それら樹脂粒子を凝集して得られる静電荷像現像用トナー。
〔コアシェル粒子〕
本実施形態において好ましく使用されるトナーは、コアシェル構造を有する樹脂粒子(以下、単に「コアシェル粒子」ともいう。)を凝集して得られる静電荷像現像用トナーであって、コアとシェルを構成する樹脂がいずれも非結晶性樹脂であり、コアを構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)とシェルを構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)とが20℃以上異なり、シェルを構成する樹脂中に、酸性若しくは塩基性の極性基、又は、アルコール性水酸基を含有する。
なお、本実施形態において、上述の通り、トナーは前記コアシェル粒子を結着樹脂として使用し、混練粉砕法により製造してもよい。
なお、コアを構成する樹脂とシェルを構成する樹脂において、Tgの高い方のコア又はシェルを高Tg相、Tgの低い方のコア又はシェルを低Tg相ともいう。
高Tg相のTgが40℃以上であると、トナーとしての保管性に優れ、輸送時やプリンターなどの機内においてケーキングが発生しにくく、さらに、連続プリント時などに感光体へのフィルミングが発生しにくく、また、画質欠陥も起こりにくいため好ましい。また、高Tg相のTgが80℃以下であると、定着時の定着温度が適度であり、カールなど、被記録体へのダメージを生じにくいため好ましい。また、加熱せずに定着されるので好ましい。
なお、結晶性樹脂に示すような「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であることを意味する。
一方、吸熱ピークの半値幅が15℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。非結晶性樹脂のDSCによるガラス転移温度は、自動接線処理システムを備えた(株)島津製作所製の示差走査熱量計(DSC−50)等により、ASTM D3418に準拠して測定する。測定条件を以下に示す。
試料:3〜15mg、好ましくは5〜10mg
測定法:試料をアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いる。
温度曲線:昇温I(20℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
上記温度曲線において昇温時に測定される吸熱曲線から、ガラス転移温度を測定する。
ガラス転移温度とは、吸熱曲線の微分値が極大となる温度である。
ただし、従来技術のようにトナー化のために混練法などを使用して、高温高圧力でコアシェル粒子を混合加工すると、精密に形成された相分離構造が崩れて、目的とする特性が得られない可能性がある。このためにも、このトナーの製法としては水などを媒体とする水系媒体中で粒子化する製法が適している。
ここで得られた樹脂を結着樹脂として、溶解懸濁法や乳化凝集法によってトナー化するには、従来から公知の製法を用いてもよい。
これらの単独重合体又は共重合体を構成する単量体としては、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のエチレン性不飽和ニトリル類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;イソプレン、ブテン、ブタジエンなどのオレフィン類などや、β−カルボキシエチルアクリレートが好ましく例示される。これらの単量体からなる単独重合体、又はこれらを2種以上共重合して得られる共重合体、さらにはこれらの混合物を使用してもよい。
これらの中でも、コアシェル粒子のシェルに用いられる樹脂が80重量%以上のスチレン類から構成され、コアに用いられる樹脂が80重量%以上の(メタ)アクリル酸エステル類から構成されることがより好ましくコアに用いられる樹脂が80重量%以上のアクリル酸エステル類から構成されることが特に好ましい。
シェルに用いられる樹脂の重量平均分子量は、3,000〜50,000であることが好ましく、5,000〜40,000であることがより好ましい。上記範囲であると、定着性と感光体へのフィルミング抑制を両立しやすいことから好ましい。
樹脂に酸性極性基を形成するための単量体(モノマー)としては、カルボキシル基又はスルホン基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物などが挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、スルホン化スチレン、アリルスルホコハク酸などを好ましく挙げられる。
樹脂に塩基性極性基を形成するための単量体(モノマー)としては、該窒素原子を有するモノマー構造単位(以下、「含窒素モノマー」と称することがある。)が挙げられる。モノマー構造単位として用いられる好ましい化合物としては、(メタ)アクリル酸アミド化合物、(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物又は(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物が好ましく挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドラジド化合物としてアクリル酸ヒドラジド、メタクリル酸ヒドラジド、アクリル酸メチルヒドラジド、メタクリル酸メチルヒドラジド、アクリル酸ジメチルヒドラジド、アクリル酸フェニルヒドラジド等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物としては、アクリル酸2−アミノエチル、メタクリル酸2−アミノエチルなども挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アミノアルキル化合物は、(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノアルキル化合物又は(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル化合物であってもよく、これらの例としては(メタ)アクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルが例示される。
本実施形態に用いられる水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体は、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
本実施形態に用いられる有機溶剤の具体例としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、ジクロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、p−クロロトルエン等のハロゲン系溶媒、3−ヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等のケトン系溶媒、ジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、o−ジメトキシベンゼン、p−ジメトキシベンゼン、3−メトキシトルエン、ジベンジルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、メトキシナフタレン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、フェニルスルフィド、チオアニソール等のチオエーテル溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、安息香酸メチル、フタル酸メチル、フタル酸エチル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶媒、ジフェニルエーテル、又は、4−メチルジフェニルエーテル、3−メチルジフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン等のアルキル置換ジフェニルエーテル、又は、4−ブロモジフェニルエーテル、4−クロロジフェニルエーテル、4−ブロモジフェニルエーテル、4−メチル−4’−ブロモジフェニルエーテル等のハロゲン置換ジフェニルエーテル、又は、4−メトキシジフェニルエーテル、3−メトキシジフェニルエーテル、4−メチル−4’−メトキシジフェニルエーテル等のアルコキシ置換ジフェニルエーテル、又は、ジベンゾフラン、キサンテン等の環状ジフェニルエーテル等のジフェニルエーテル系溶媒が挙げられ、これらは、混合して用いてもよい。
前記コアシェル粒子のメジアン径は、0.01〜1.0μmであることが好ましく、0.05〜0.7μmであることがより好ましく、0.1〜0.5μmであることが更に好ましい。前記コアシェル粒子のメジアン径が上記範囲であると、トナー粒径分布制御が容易であるため好ましい。
なお、前記コアシェル粒子のメジアン径は、公知の方法により測定され、例えば、レーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定される。
この場合の、コアシェル粒子の比率は、トナーに使用した全結着樹脂中の30重量%以上であることが、目的の達成のために好ましく、40〜100重量%の範囲であることがより好ましく、50〜100重量%の範囲であることが更に好ましい。
さらに、本実施形態に用いられる結着樹脂は、前述した単量体の単独重合体、上述した単量体を含む単量体を2種以上組み合わせた共重合体、又はそれらの混合物、グラフト重合体、一部枝分かれや架橋構造などを有していてもよい。
このような架橋剤の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル/トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール−2−カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、デカンジオールジアクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート等の直鎖多価アルコールの多官能(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル/ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコ
ン酸ビニル/ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’−チオジプロピオン酸ジビニル、trans−アコニット酸ジビニル/トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多官能ビニルエステル類等が挙げられる。
前記架橋剤の好ましい含有量は、重合性単量体総量の0.05〜5重量%の範囲が好ましく、0.1〜1.0重量%の範囲がより好ましい。
ここで用いるラジカル重合開始剤としては、特に制限はない。具体的には、過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1−フェニル−2−メチルプロピル−1−ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸tert−ブチルヒドロペルオキシド、過蟻酸tert−ブチル、過酢酸tert−ブチル、過安息香酸tert−ブチル、過フェニル酢酸tert−ブチル、過メトキシ酢酸tert−ブチル、過N−(3−トルイル)カルバミン酸tert−ブチル等の過酸化物類、2,2’−アゾビスプロパン、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスプロパン、1,1’−アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)硝酸塩、2,2’−アゾビスイソブタン、2,2’−アゾビスイソブチルアミド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス2−メチルプロピオン酸メチル、2,2’−ジクロロ−2,2’−アゾビスブタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’−アゾビス(1−メチルブチロニトリル−3−スルホン酸ナトリウム)、2−(4−メチルフェニルアゾ)−2−メチルマロノジニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸、3,5−ジヒドロキシメチルフェニルアゾ−2−メチルマロノジニトリル、2−(4−ブロモフェニルアゾ)−2−アリルマロノジニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノ吉草酸ジメチル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’−アゾビス−2−プロピルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−クロロフェニルエタン、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロへプタンニトリル、1,1’−アゾビス−1−フェニルエタン、1,1’−アゾビスクメン、4−ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4−ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’−アゾビス−1,2−ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA−4,4’−アゾビス−4−シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール−2,2’−アゾビスイソブチレート)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド等のアゾ化合物類、1,4−ビス(ペンタエチレン)−2−テトラゼン、1,4−ジメトキシカルボニル−1,4−ジフェニル−2−テトラゼン等が挙げられる。
好適な共界面活性剤の例としては、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の炭素数8〜30のアルカン類、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等の炭素数8〜30のアルキルアルコール類、ラウリルメルカプタン、セチルメルカプタン、ステアリルメルカプタン等の炭素数8〜30のアルキルメルカプタン類、及び、その他、アクリル酸エステル類やメタクリル酸エステル類とこれらのポリマー、ポリスチレン、ポリエステル等のポリマー又はポリアダクト類、カルボン酸類、ケトン類、アミン類等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記共界面活性剤に使用される、重合体、重合体を含む組成物は、例えば、他の単量体との共重合体、ブロック共重合体、混合物等を含んでもよい。また、複数の共界面活性剤を併用してもよい。
共界面活性剤は、油相及び水相のいずれにも添加してもよい。
非イオン系界面活性剤は、前記アニオン系界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。
また、常温で固体の水性ポリマー等も分散安定剤として用いられる。具体的には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系化合物、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デンプン、アラビアゴム等が使用される。
本実施態様において、トナーに上記式(1)で表される圧力可塑性を付与するために、結着樹脂として、ブロック共重合体を使用することも好ましい。
ブロック共重合体は、低Tgポリエステルブロック及び高Tgポリエステルブロックの他に、他のブロックを有してもよいが、低Tgポリエステルブロック及び高Tgブロックからなるブロック共重合体であることが好ましい。
本実施形態においては、結晶性ポリエステルブロックと非結晶性ポリエステルブロックを含むブロック共重合体を使用することにより、一定以上の加圧下での流動性が付与され、それ以下の圧力においては、極めて固体的に振る舞う。従って、加圧定着時以外の現像、転写、クリーニング工程等における信頼性の向上を図られる。
特に、加圧により可塑化流動挙動が得られるため、定着時に温度変動が発生しやすい厚紙への定着に好適に使用される。これまでは、高速定着が困難であり、定着速度を落としたり、高い加熱温度設定を行わないと困難であった厚紙への定着も、薄紙への定着と同様の定着速度や温度設定で行うことが可能である。
ブロック共重合体は、硫黄原子を含むブレンステッド酸を触媒とし、150℃以下で重合して得ることが好ましい。これにより、低エネルギーでブロック共重合体を得られるので好ましい。
結晶性ポリエステルブロック及び非結晶性ポリエステルを得るための重縮合性単量体として用いられる多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシル基を2個含有する化合物であり、例えば、シュウ酸、グルタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β−メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン−3,5−ジエン−1,2−カルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を挙げられる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、これらカルボン酸のカルボキシル基を酸無水物、混合酸無水物、酸塩化物、又は、エステル等に誘導したものを用いてもよい。
これらのポリオールは水系媒体に難溶あるいは不溶であるため、ポリオールが水系媒体に分散したモノマー滴中でエステル合成反応が進行する。
本実施形態に用いられるポリエステルは、これらの重縮合性単量体の組み合わせにより非結晶性ポリエステルや結晶性ポリエステルが容易に得られる。
また、カプロラクトンなど環状単量体を開環重合することにより得られる結晶性ポリエステルは、結晶融点が60℃近傍とトナーとして好適な領域にあるため好ましい。
また、本実施形態における非結晶性ポリエステルを得るために使用される多価カルボン酸としては、上記の多価カルボン酸のうち、ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロルフタル酸、クロルフタル酸、ニトロフタル酸、p−カルボキシフェニル酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレンジグリコール酸、p−フェニレンジグリコール酸、o−フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル−p,p’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が例示される。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が例示される。また、これらカルボン酸のカルボキシル基を酸無水物、酸塩化物、又は、エステル等に誘導したものを用いてもよい。
これらの中でも、テレフタル酸やその低級エステル、ジフェニル酢酸、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることが好ましい。なお、低級エステルとは、炭素数1から8の脂肪族アルコールのエステルをいう。
また非結晶樹脂としてヒドロキシカルボン酸の重縮合体を用いてもよい。ヒドロキシカルボン酸とは、分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基の両方を有する化合物である。ヒドロキシカルボン酸としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ヒドロキシカルボン酸が例示されるが、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を使用することが好ましい。
具体的には、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、乳酸が例示される。これらの中でも乳酸を使用することが好ましい。
前記多価カルボン酸及びポリオールは、1種の重縮合樹脂を作製するために、それぞれ1種ずつを単独で用いても、一方が1種で他方が2種以上用いても、それぞれ2種以上ずつを用いてもよい。また、1種の重縮合樹脂を作製するためヒドロキシカルボン酸を用いる場合、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよく、多価カルボン酸やポリオールを併用してもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)によって測定され、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求められる。なお、結晶性の樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなす。
ここで、非結晶性樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。
また、本実施形態におけるガラス転移温度の測定は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば、「DSC−20」(セイコー電子工業(株)製)によって測定され、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移温度が得られる。
また、ブロック共重合体の融点は50〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。ブロック共重合体の融点が上記範囲内であると、厚紙などに対する定着性と帯電性、感光体へのフィルミング耐久性などが両立しやすくなるので好ましい。
なお、ブロック共重合体において、融点及びガラス転移温度が明確に観察されない場合がある。
本実施形態において、ブロック共重合体の重量平均分子量は、5,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。
また本実施形態に用いられるブロック共重合体は、単量体のカルボン酸価数、アルコール価数の選択、架橋剤の添加などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
具体的には、上記多価アルコールと多価カルボン酸、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下で加熱し、副生する低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、所定の酸価に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造してもよい。
さらに、ブロック共重合体を形成する工程が、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂に、触媒として硫黄を含むブレンステッド酸触媒を添加し、150℃以下にて加熱することにより得られたものであることが好ましい。
反応温度は、70℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは、80℃以上140℃以下である。
反応温度が70℃以上であると、モノマーの溶解性、触媒活性度の低下に起因する反応性の低下が生じず、分子量の伸長が抑制されることがないので好ましい。また、反応温度が150℃以下であると、低エネルギーで製造されるので好ましい。また、樹脂の着色や、生成したポリエステルの分解等を生じることがないので好ましい。
《硫黄を含むブレンステッド酸触媒》
硫黄を含むブレンステッド酸触媒としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸、などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、スルホン化高級脂肪酸、樹脂酸アルコール硫酸、及びこれらすべての塩化合物などが使用されるが、これに限定されない。またこれらの触媒は、構造中に官能基を有していてもよい。これらの触媒は必要に応じて複数を組み合わせてもよい。好ましく使用される硫黄を含むブレンステッド酸触媒としては、アルキルベンゼンスルホン酸が例示され、これらの中でも特にドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、しょうのうスルホン酸等が好ましい。
上記触媒とともに、一般的に使用される他の重縮合触媒を用いてもよい。具体的には、金属触媒、加水分解酵素型触媒、塩基性触媒、硫黄を含まないブレンステッド酸触媒が例示される。
本実施形態において、トナーは、結着樹脂として、前記コアシェル粒子及び/又はブロック共重合体以外に、他の結着樹脂を用いてもよい。
他の結着樹脂としては、エチレン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂が好ましく挙げられ、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂がより好ましく挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、前述したコアシェル粒子に用いられるポリエステルが好ましく例示される。ポリエステル樹脂の製造方法としては、前述の方法の他、例えば、「重縮合」(化学同人、1971年刊)、「高分子実験学(重縮合と重付加)」(共立出版、1958年刊)や「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社編、1988年刊)等に記載の従来公知の方法を用いて合成され、また、エステル交換法や直接重縮合法等を単独で、又は、組み合わせて用いて合成される。
スチレン−(メタ)アクリル系共重合樹脂としては、例えば、エチレン性不飽和基を有する芳香族単量体(スチレン系単量体)60〜90重量部、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体((メタ)アクリル酸エステル系単量体)10〜40重量部、及びエチレン性不飽和酸単量体1〜3重量部よりなる単量体混合物を重合して得られる共重合体を界面活性剤で分散安定化したラテックスを好ましく使用してもよい。上記の共重合体のガラス転移温度は50〜70℃であることが好ましい。
スチレン系単量体としては、スチレン、ビニルナフタレンや、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4−フルオロスチレン、2,5−ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン等がある。スチレン系単量体としては、スチレンが好ましい。
ここで、上記の「(メタ)アクリル酸エステル」の表記は、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルの両方の構造を取り得ることを表す省略的表記である。
前記スチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合樹脂にカルボキシル基を含有させる場合は、カルボキシル基を有する重合性単量体とともに共重合させることによって得てもよい。
分子量が上記範囲内であると、常温常圧におけるトナーの粉体特性を良好に保ち、定着時に定着画像のオフセットが防止されるので好ましい。
ガラス転移温度が上記範囲内であると、離型剤による粉体特性の悪化を防止し、定着時の離型剤のしみだしが容易になるので好ましい。
<帯電制御剤>
本実施形態において、トナーには、必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。
帯電制御剤としては、公知のものを使用してもよいが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度(%)の制御と廃水汚染の低減との点で、水に溶解しにくい素材を使用するのが好ましい。なお、本実施形態において、トナーは、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
本実施形態において、トナーの製造に乳化凝集合一法を用いた場合、凝集工程においてpH変化により凝集を発生させ、粒子を調製してもよい。同時に粒子の凝集を安定に、また迅速に、又はより狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得るため、凝集剤を添加してもよい。
該凝集剤としては一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、その化合物の具体例としては、前述のイオン性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム(ポリ塩化アルミニウムを含む。)、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩、アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類等が挙げられる。
これらの凝集剤の添加量は、電荷の価数により異なるが、いずれも少量であって、一価の場合トナーの全量に対して3重量%以下程度、二価の場合は1重量%以下程度、三価の場合は0.5重量%以下程度である。凝集剤の量は少ない方が好ましいため、価数の多い化合物を用いることが好ましい。
本実施形態に用いられる着色剤としては特に制限はなく公知の着色剤が挙げられ、目的に応じて適宜選択される。着色剤を1種単独で用いてもよいし、同系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。また異系統の着色剤を2種以上混合して用いてもよい。さらに、これらの着色剤を表面処理して用いてもよい。
黒色顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等の有機、無機系着色剤類が例示される。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化カルシウム、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ファストイエロー、ファストイエロー5G、ファストイエロー5GX、ファストイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントイエローNCG等が例示される。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等が例示される。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等が例示される。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、ウルトラマリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等の等の有機、無機系着色剤類が例示される。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等の有機、無機系着色剤類が例示される。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等の有機、無機系着色剤類が例示される。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等が例示される。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が例示される。
本実施形態において、トナーにおける着色剤は、公知の方法を用いて結着樹脂中に分散される。トナーが混練粉砕法によるものであれば、そのまま用いてもよく、また予め樹脂中に高濃度に分散させた後、混練時に結着樹脂とともに混練する、所謂マスターバッチを用いてもよく、さらには着色剤合成後に乾燥前のウェットケーキの状態で樹脂中に分散させるフラッシングを用いてもよい。
上記の着色剤は、懸濁重合法によるトナー作製にそのまま用いられ、懸濁重合法においては、樹脂中に分散させた着色剤を重合性単量体中に溶解、又は分散させることにより、造粒粒子中に着色剤が分散される。
機械的な衝撃等による着色剤分散の具体例としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて着色剤粒子の分散液を調製してもよい。また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散してもよい。
本実施形態において、トナーには、必要に応じて、離型剤を添加してもよい。離型剤は一般に離型性を向上させる目的で使用される。
前記離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;パルミチン酸等の長鎖脂肪酸、加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル、カルボン酸エステル等のエステル系ワックスなどが例示される。本実施形態において、これらの離型剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、トナーは、必要に応じ磁性体を含有してもよい。
前記磁性体としては、フェライト、マグネタイトを始めとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を示す金属若しくは合金又はこれらの元素を含む化合物、あるいは強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫などのマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、又は二酸化クロム、その他が挙げられる。例えば黒色のトナーを得る場合においては、それ自身黒色であり着色剤としての機能をも発揮するマグネタイトが特に好ましく用いられる。またカラートナーを得る場合においては、金属鉄などのように黒みの少ないものが好ましい。またこれらの磁性体のなかには着色剤としての機能をも果たすものがあり、その場合には着色剤として兼用してもよい。これらの磁性体の含有量は、磁性トナーとする場合にはトナー100重量部当り20〜70重量部が好ましく、より好ましくは40〜70重量部である。
本実施形態において、トナー内部に内添剤を添加してもよい。内添剤は一般に定着画像の粘弾性制御の目的で使用される。
前記内添剤の具体例としては、シリカ、チタニアのような無機粒子や、ポリメチルメタクリレート等の有機粒子などが例示され、また、分散性を高める目的で表面処理されていてもよい。またそれらは単独でも、2種以上の内添剤を併用してもよい。
本実施形態において、トナーには流動化剤や帯電制御剤等の外添剤を添加処理してもよい。
外添剤としては、表面をシランカップリング剤などで処理したシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、カーボンブラック等の無機粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー粒子、アミン金属塩、サリチル酸金属錯体等、公知の材料が用いられる。本実施形態に用いられる外添剤は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、トナーの累積体積平均粒径D50は3.0〜9.0μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは3.0〜7.0μmの範囲である。D50が3.0μm以上であると、付着力が適度であり、現像性が良好であるため好ましい。また、D50が9.0μm以下であると画像の解像性に優れるため好ましい。
また、本実施形態においてトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.30以下であると解像性が良好であり、トナー飛散やカブリ等が起こりにくく、画像欠陥が生じにくいため好ましい。
SF1は、トナー粒子表面の凹凸の度合いを示す形状係数であり、以下のようにして算出される。トナー形状係数SF1は、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナー粒子についてトナー粒子の最大長の2乗/投影面積((ML)2/A)から、下記式のSF1を計算し、平均値を求めることにより得られたものである。
本実施形態において、トナーの製造方法としては、粉砕法等の機械的製法、又は、該結着樹脂を使用して樹脂粒子分散液を製造し、樹脂粒子分散液からトナーを製造する、所謂化学製法が挙げられる。
本実施形態において、トナーの製造方法としては、混練粉砕法、凝集合一法、懸濁重合法等、公知の方法であれば、特に制限はないが、凝集合一法が好ましい。
本実施形態において、トナーの製造方法は、凝集合一法であることが好ましく、少なくとも結着樹脂粒子を含む分散液中で該樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る工程(以下、「凝集工程」ともいう。)、及び、該凝集粒子を加熱して融合させる工程(以下、「融合工程」ともいう。)を含む方法であることが好ましい。
前記凝集工程において、結着樹脂を結着樹脂粒子分散液として用いることが好ましい。
結着樹脂を水系媒体中に分散、粒子化する方法としては、例えば、強制乳化法、自己乳化法、転相乳化法など、既知の方法からも選択される。これらのうち、乳化に要するエネルギー、得られる乳化物の粒径制御性、安定性等を考慮すると、自己乳化法、転相乳化法が好ましく適用される。
自己乳化法、転相乳化法に関しては、「超微粒子ポリマーの応用技術(シーエムシー出版)」に記載されている。自己乳化に用いる極性基としては、カルボキシル基、スルホン基等を用いてもよい。
また、後述するように、ミニエマルジョン法等で乳化重合させた結着樹脂の分散液を結着樹脂粒子分散液として使用することも好ましい。
例えば、結着樹脂含有物を乳化後、有機溶剤の一部を除去することにより粒子として固形化するのが好ましい。固形化の具体的方法としては、重縮合樹脂含有物を水系媒体中に乳化分散した後、溶液を撹拌しながら空気、あるいは窒素等の不活性ガスを送り込みながら、気液界面での有機溶剤の乾燥を行う方法(廃風乾燥法)、又は、減圧下に保持し必要に応じて不活性ガスをバブリングしながら乾燥を行う方法(減圧トッピング法)、さらには、重縮合樹脂含有物を水系媒体中に乳化分散した乳化分散液若しくは重縮合樹脂含有物の乳化液を細孔からシャワー状に放出し例えば皿状の受けに落としこれを繰り返しながら乾燥させる方法(シャワー式脱溶剤法)などがある。使用する有機溶剤の蒸発速度、水への溶解度などからこれら方式を適時選択、あるいは組み合わせて脱溶剤を行うのが好ましい。
なお、樹脂粒子のメジアン径は、例えば、レーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定される。
コアシェル粒子によるトナー中の相分離構造を維持するためには、シェルに用いる樹脂のガラス転移温度の+50℃以内の条件で溶融すること好ましい。シェルに用いる樹脂のガラス転移温度の+50℃以内の条件で融合すると、コア成分の低粘度化が起こりにくく、コア用樹脂同士の合一が進行しにくく、ミクロな相分離構造が維持され、圧力可塑挙動が十分となるため好ましい。
その後、凝集物を水系媒体から分離、必要に応じて洗浄、乾燥させることによってトナー粒子を形成する。
〔重付加反応法〕
本実施形態において、前記乳化凝集法の他の静電荷像現像用トナーの製造方法として、少なくとも前記結晶性ポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂、活性水素を含む基を有する化合物、前記活性水素を含む基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体、前記離型剤、並びに、着色剤を有機溶媒中に溶解及び/又は分散させた溶液及び/又は分散液を水系媒体中に分散する工程(以下、「分散工程」ともいう。)、前記活性水素を含む基を有する化合物と前記重合体とを反応させて前記結着樹脂を得る工程(以下、「結着樹脂製造工程」ともいう。)、並びに、前記結着樹脂を得る工程と同時に、及び/又は、前記工程の後に前記有機溶媒を除去する工程(以下、「脱溶媒工程」ともいう。)を含む製造方法が挙げられる(以下、「重付加反応法」ともいう。)。本実施形態のトナーの製造方法として、重付加反応法を適用することにより、トナー表面の硬度を高めて、凝集粗粉の発生が効果的に抑制される。
また、前記離型剤粒子分散液や前記着色剤粒子分散液が好ましく用いられる。
溶液及び/又は分散液を調製する方法の一例を述べたが、溶液及び/又は分散液を調製する方法は、用いるポリエステル樹脂、離型剤、着色剤等に応じて適宜設計され、限定されるものではない。
本実施形態で使用される有機溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、及び、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
前記溶液及び/又は分散液を水系媒体中に分散する分散工程は、水相中での機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)させる処理であることが好ましい。機械的エネルギーの付与手段としては公知の分散機が使用され、限定されるものではないが、ホモミキサー、超音波分散機、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザー等の分散機が挙げられる。
重付加反応は、50〜100℃の範囲内で反応させることが好ましく、60〜90℃の範囲内で反応させることが好ましい。また、前記重付加反応を行う時間は、反応に用いる材料や反応温度にもよるが0.1〜10時間が好ましく、2〜5時間が好ましい。
また、脱溶媒工程とは、前記結着樹脂を得る工程と同時に、及び/又は、前記工程の後に前記有機溶媒を除去する工程をいい、本実施形態においては、脱溶媒工程は前記結着樹脂製造工程と同時であることが好ましい。
さらに、脱溶媒工程の後に、更に洗浄・乾燥工程を設けることにより、不純物の除去等を行うことが好ましい。
以上説明したトナー(静電荷像現像用トナー)は、静電荷像現像剤(本実施形態において、「静電荷像現像剤」を単に「現像剤」ともいう。)として使用される。この現像剤は、このトナーを含有することの他は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成が選択される。トナーを単独で用いると一成分系の現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の現像剤として調製される。本実施形態において、現像剤はトナーとキャリアとを組み合わせた二成分系の現像剤であることが好ましい。
本実施形態に用いられるキャリアとしては、特に限定されないが、通常、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
二成分系の静電荷像現像剤におけるトナーとキャリアとの混合割合は、通常、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部であることが好ましい。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
本実施形態の画像形成方法は、(a)少なくとも像保持体を帯電させる帯電工程と、(b)前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、前記像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、(c)前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、(d)前記トナー像を定着する定着工程と、を有する。前記定着工程は、転写トナー像を加熱なしに加圧して定着する工程であることが好ましい。
また、本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電させる帯電手段と、帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、前記トナー像を定着する定着手段とを有し、前記定着手段が、加圧手段であり、かつ、加温手段を有していないことが好ましい。
さらに、前記画像形成方法は、例えば、像保持体表面をクリーニングするクリーニング工程等、上記した工程以外の工程を含むものであってもよく、前記画像形成装置は像保持体表面をクリーニングするクリーニング手段等を含むものであってもよい。
本実施形態において、定着工程は加熱なしに加圧することによって行われることが好ましい。また、定着手段は加熱手段を有していないことが好ましい。
定着圧力は、0.1MPa以上5MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.15MPa以上3MPa以下であり、更に好ましくは0.2MPa以上2MPa以下である。
定着時の圧力(定着圧力)が0.1MPa以上であると、十分な定着性が得られるので好ましい。また、5MPa以下であると、定着後の用紙が曲がる(用紙カールという。)といった問題を生じ難いので好ましい。
ここで、定着圧力とは、下記の最大定着圧力を意味する。
定着ロールとしては、上記定着圧力が印加可能である範囲で、従来公知の定着ロールが適宜選択して使用される。
例えば、円筒の芯金上にフッ素系樹脂(例えばテフロン(登録商標))、シリコン系樹脂、パーフルオロアルキレート等が被覆された定着ロールが例示され、また、高い定着圧力を得るためには、SUS製の定着ロールが使用される。定着工程は、一般に2つのロール間に被転写体を通過させることにより行われるが、2つのロールを同一の材料で形成してもよく、異なる材料で形成してもよい。例えば、SUS/SUS、SUS/シリコン樹脂、SUS/PFA、PFA/PFA等の組み合わせが例示される。
本実施形態において、定着工程は、加熱せずに行われる。ここで、加熱なしに定着が行われるとは、定着手段への直接の加熱手段を有していないことを意味するものである。従って、他の動力の発する熱等により、機内の温度が環境温度以上となることを妨げるものではない。
定着温度は、15〜50℃であることが好ましく、15〜45℃であることがより好ましく、15〜40℃であることが更に好ましい。
定着温度が上記範囲内であると、良好な定着性が得られるので好ましい。
本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像用トナーを少なくとも収容しているトナーカートリッジである。
本実施形態のトナーカートリッジは、本実施形態の静電荷像現像用トナーを静電荷像現像剤として収納していてもよい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、像保持体、像保持体表面を帯電させる帯電手段、トナーを含む現像剤により静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段、及び、像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも1種、を備え、本実施形態の静電荷像現像用トナー、又は、本実施形態の静電荷像現像剤を少なくとも収容しているプロセスカートリッジである。
また、トナーカートリッジは、トナー及びキャリアを収納するカートリッジであってもよく、トナーを単独で収納するカートリッジとキャリアを単独で収納するカートリッジと
を別体としたものでもよい。
また、本実施形態のプロセスカートリッジは、その他必要に応じて、除電手段等、その他の部材を含んでもよい。
トナーカートリッジ及びプロセスカートリッジとしては、公知の構成を採用してもよく、例えば、特開2008−209489号公報、及び、特開2008−233736号公報等が参照される。
なお、以下に示す実施例及び比較例において「部」と示した場合は、特に断りのない限り、「重量部」を示すものである。
<分子量の測定>
分子量の測定には、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び/又は数平均分子量Mnを測定した。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行った。試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択した。なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn=13.7×104
となることにより確認された。
また、GPCのカラムとしては、前記条件を満足するTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を用いた。
メジアン径の測定法は、測定する粒子の粒径により異なり、1μm未満の場合はレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)、1μm以上の場合は、コールターマルチサイザーII(ベックマン−コールター社製)により測定した。
樹脂のガラス転移温度、及び、融点は、(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC−50)を用いて測定した。
<樹脂粒子分散液(A1)の作製>
丸型ガラスフラスコ中に、300重量部のイオン交換水と1.5重量部のTTAB(テトラデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、シグマ社製)を入れ、20分間、窒素バブリングを実施し、撹拌しながら65℃まで昇温した。n−ブチルアクリレートモノマー40重量部を加え、更に20分間撹拌を行った。開始剤V−50(2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、和光純薬工業(株)製)0.5重量部を予め、10重量部のイオン交換水に溶解後、フラスコ中に投入した。65℃で、3時間保持し、スチレンモノマー50重量部と、n−ブチルアクリレートモノマー20重量部、アクリル酸2.5重量部及び0.8重量部のドデカンチオールを0.5重量部のTTABを溶解したイオン交換水100重量部に乳化した乳化液を2時間かけて定量ポンプを用いてフラスコ中に連続的に投入した。温度を70℃に昇温、更に2時間保持して、重合を完了した。重量平均分子量Mwは22,000、平均粒径は170nm、固形分量が25重量%のコアシェル型樹脂粒子分散液(A1)を得た。
なお、コアシェル型樹脂粒子であることはエポキシ樹脂に包埋し、ダイアモンドナイフにより樹脂粒子の断面切片を作製し、その後ルテニウム蒸気中で染色し、透過型電子顕微鏡観察により確認した。
樹脂を40℃で風乾後、−150℃から(株)島津製作所製示差走査熱量計(DSC)でTg挙動を分析すると、−48℃付近にポリブチルアクリレートによるガラス転移が観測され、また、56℃付近にスチレン−ブチルアクリレート−アクリル酸共重合体からなると考えられる共重合体によるガラス転移が観測された(ガラス転移温度差:104℃)。
<ブロックポリエステル樹脂粒子分散液(B1)の調製>
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 175重量部
ビスフェノールA 1エチレンオキサイド付加物 310重量部
(両末端換算2モル付加物)
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下100℃で4時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性高Tg(50℃)樹脂状化合物を得た。
GPCによる重量平均分子量は5,000であった。
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.2重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下90℃で5時間重縮合を実施したところ、均一透明な結晶性低Tg(−50℃)ポリエステルオリゴマーを得た。
GPCによる重量平均分子量は6,000、結晶融点は60℃であった。
また、GPCによる重量平均分子量は11,500であった。
その後、更に0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.0に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続しながら90℃まで加熱してブロック共重合体樹脂の乳化分散液を得た。樹脂粒子の中心径が180nm、固形分量が20%のブロックポリエステル樹脂粒子分散液(B1)を得た。
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 175重量部
ビスフェノールA 1エチレンオキサイド付加物 310重量部
(両末端換算2モル付加物)
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下100℃で5時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性樹脂状化合物(Tg50℃)を得た。GPCによる重量平均分子量は7,500であった。
1,9−ノナンジオール 80重量部
1,10−デカメチレンジカルボン酸 115重量部
上記の材料を混合し、80℃で加熱し融解した後、80℃で5時間保持し、GPCによる重量平均分子量が8,000、結晶融点が64℃の結晶性樹脂(Tg−80℃)を得た。
その後、更に0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.0に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続しながら90℃まで加熱してブロック共重合体樹脂の樹脂粒子乳化分散液を得た。樹脂粒子の中心径が170nm、固形分量が20%のブロックポリエステル樹脂粒子分散液(B2)を得た。
リポキシダーゼ(東京化成工業(株)製) 10重量部
水/エタノール(2:8)混合溶媒 40重量部
以上を、溶解し、酵素溶液をえた。
疎水性シリカ(R972 日本アエロジル(株)製、一次粒子の平均径:約16nm)
40重量部
上記酵素溶液に上記シリカを混合し、十分撹拌した後、エバポレータにうつし、真空ポンプで減圧して、回転撹拌しながら溶媒を除去し、取り出した後、サンプルミルで解砕して、酵素で表面処理(20重量%)されたシリカを得た。
ナフテン酸鉄ミネラルスピリット溶液(6%) 166重量部
エタノール 100重量部
以上を、溶解し、ナフテン酸鉄溶液をえた。
疎水性酸化チタン粒子(STT−30EHJ チタン工業(株)製、電顕粒径:30〜50nm) 40重量部
上記ナフテン酸鉄溶液に上記酸化チタン粒子を混合し、十分撹拌した後、エバポレータにうつし、真空ポンプで減圧して、回転撹拌しながら溶媒を除去し、取り出した後、サンプルミルで解砕して、ナフテン酸鉄で表面処理(20重量%)されたチタニアを得た。
シアン顔料(C.I.Pigment Blue15:3) 50重量部
(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン)
アニオン性界面活性剤(ソフト型ドデシルベンゼンスルホン酸) 5重量部
イオン交換水 200重量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径190nm、固形分量21.5%のシアン着色剤粒子分散液(1)を得た。
以下、酸化重合性単量体粒子分散液、及び、エチレン性不飽和基を有する重合体粒子分散液を、「反応性粒子分散液」ともいう。
<反応性粒子分散液(C1)の調製>
アマニ油 50重量部
アニオン性界面活性剤(ソフト型ドデシルベンゼンスルホン酸) 3重量部
イオン交換水 200重量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)にて2分間分散し、中心径200nm、固形分量20%の反応性粒子分散液(C1)を得た。
〔不飽和ポリエステル樹脂の合成〕
アルコール成分としてビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物85モル%、トリメチロールプロパン15モル%、不飽和酸成分としてフマル酸100モル%、微量のスズを用いて200℃にて重縮合を4時間行い、重量分子量5,000、Tg55℃の不飽和ポリエステル樹脂を得た。
前記不飽和ポリエステル樹脂 50重量部
アニオン性界面活性剤(ソフト型ドデシルベンゼンスルホン酸) 3重量部
イオン交換水 200重量部
前記成分を90℃に加熱し混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)10分と超音波バスにより20分間分散し、中心径270nm、固形分量20%の反応性粒子分散液(C2)を得た。
上記ブロックポリエステル樹脂(B2の作製に使用したもの) 85重量部
カーボンブラック(キャボット社製、R330) 5重量部
パラフィンワックス(日本精鑞(株)製、FNP9) 5重量部
アマニ油 5重量部
以上を混合し、(株)神戸製鋼所製バンバリーミキサーにて混練したのち、粉砕、分級し、6.0ミクロン、体積平均粒度分布指標GSDvが1.30の不定形トナーを得た。
上記トナー粒子50重量部に対し、ナフテン酸鉄複合化無機粒子(D2)1重量部、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720、平均粒径12nm)1重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学(株)製)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して現像剤を調製した。
上記現像剤を使用し、富士ゼロックス(株)製のDocuCenterColor f
450の改造機において、最大定着圧力が、0.4MPaとなるように2ロール型の定着機を改造した。また、定着機については最大定着圧力を調整できる2ロール型の定着機を改造し、さらに、画像側圧力ロールをSUS管にテフロン(登録商標)をコートした高硬度ロールに変更した。転写用紙として富士ゼロックス(株)指定のS紙を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、圧力定着性は良好であり、布摺擦評価では画像は充分な定着均一性を示した(機内温度30℃)。
また、富士ゼロックス(株)指定のモノクロプリント用OHPシートV50を用いて上記条件で画像を形成し、画像耐久性を評価するために布摺擦評価の摺擦評価を通常5回往復であるところを、100回往復し評価したが、画像の欠落は若干みられたが、酸化重合化合物を用いない場合は、画像の判読が困難になるなどの従来の場合と比較すると格段に改善がみられた(△)。
また、同上の画像形成されたモノクロプリント用OHPシートV50 100枚を重ねて、70℃のチャンバー中に3時間放置したが、シート間の接着が若干みられたが改善された熱保管性を示した(△)。
また、得られたトナーについて、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sとなるときの温度(T(10MPa))、及び、フローテスター印加圧力が1MPaにおいて粘度が104Pa・sとなるときの温度(T(1MPa))を測定した。その結果、T(1MPa)、T(10MPa)、T(1MPa)−T(10MPa)は、順に70℃、40℃、30℃となった。
<トナー粒子の調製>
樹脂粒子分散液(A1) 168重量部(樹脂42重量部)
着色剤粒子分散液(1) 40重量部(顔料8.6重量部)
反応性粒子分散液(C1) 40重量部
ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
イオン交換水 300重量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(A1)を105重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならないように保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.2μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.22であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は130のポテト形状であった。
上記トナー粒子50重量部に対し、酵素複合化無機粒子(D1)3重量部、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720、粒径12nm)1重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学(株)製)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して現像剤を調製した。
上記現像剤を使用し、富士ゼロックス(株)製のDocuCenterColor f450の改造機において、最大定着圧力が、0.4MPaとなるように2ロール型の定着機を改造し、転写用紙として富士ゼロックス(株)指定のS紙を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、圧力定着性は良好であり、布摺擦評価では画像は充分な定着均一性を示した(機内温度30℃)。
また、富士ゼロックス(株)指定のモノクロプリント用OHPシートV50を用いて上記条件で画像を形成し、画像耐久性を評価するために布摺擦評価の摺擦評価を通常5回往復であるところを、100回往復し評価したが、画像の欠落はほとんど見られなかった(○)。
また、同上の画像形成されたモノクロプリント用OHPシートV50 100枚を重ねて、70℃のチャンバー中に3時間放置したが、シート間の接着なども見られず良好な熱保管性を示した(○)。
また、得られたトナーについて、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sとなるときの温度(T(10MPa))、及び、フローテスター印加圧力が1MPaにおいて粘度が104Pa・sとなるときの温度(T(1MPa))を測定した。その結果、T(1MPa)、T(10MPa)、T(1MPa)−T(10MPa)は、順に60℃、10℃、50℃となった。
<トナー粒子の調製>
・樹脂粒子分散液(B1) 168重量部(樹脂42重量部)
・着色剤粒子分散液(1) 40重量部(顔料8.6重量部)
・反応性粒子分散液(C2) 40重量部
・ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
・イオン交換水 300重量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、反応性粒子分散液(C2)を105重量部(樹脂21重量部)を追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならないように保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.0μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.24であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は129のポテト形状であった。
上記トナー粒子50重量部に対し、ナフテン酸鉄複合化無機粒子(D2)3重量部、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720、平均粒径12nm)1.5重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。
そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学(株)製)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して現像剤を調製した。
評価は上記と同様の条件で実施した。
トナーの定着性を調べたところ、圧力定着性は良好であり、布摺擦評価では画像は充分な定着均一性を示した(機内温度30℃)。
また、富士ゼロックス(株)指定のモノクロプリント用OHPシートV50を用いて上記条件で画像を形成し、画像耐久性を評価するために布摺擦評価の摺擦評価を通常5回往復であるところを、100回往復し評価したが、画像の欠落はほとんど見られなかった(○)。
また、同上の画像形成されたモノクロプリント用OHPシートV50 100枚を重ねて、70℃のチャンバー中に3時間放置したが、シート間の接着なども見られず良好な熱保管性を示した(○)。
また、得られたトナーについて、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sとなるときの温度(T(10MPa))、及び、フローテスター印加圧力が1MPaにおいて粘度が104Pa・sとなるときの温度(T(1MPa))を測定した。その結果、T(1MPa)、T(10MPa)、T(1MPa)−T(10MPa)は、順に50℃、10℃、40℃となった。
実施例4として、実施例3においてナフテン酸鉄複合化無機粒子(D2)3重量部に更に、酵素複合化無機粒子(D1)1重量部を加えた場合について、上記と同様にトナーの評価を行った。その結果、特に良好な耐久性を示した(○+)。
<イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーの調製>
ビスフェノールA エチレンオキサイド2モル付加物 724重量部
(両末端換算4モル付加物)
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 100重量部
フマール酸 200重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 1重量部
ブチルチンオキサイド 2重量部
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、上記の成分を入れ、140℃で15時間反応し、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート150重量部と2時間反応を行い、末端にイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを得た。
ブロックポリエステル樹脂(B1の作製に使用したもの) 350重量部
以上を混合し、加圧ニーダーにて混合して、顔料・ポリエステル樹脂複合体樹脂を作製し、ハンマーミルにて粉砕物(X)とした。
また、
フィッシャートロプシュワックス(日本精鑞(株) FT100) 50重量部
アマニ油 50重量部
を酢酸エチル400重量部中に加熱分散半溶解状態として、ホモジナイザーにて混合を行い溶解物(Y)を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、平均体積粒径D50が5.0μm、平均体積粒子分布GSDvが1.25であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は128のポテト形状であった。
上記現像剤を使用し、富士ゼロックス(株)製のDocuCenterColor f450の改造機において、最大定着圧力が、0.4MPaとなるように2ロール型の定着機を改造し、転写用紙として富士ゼロックス(株)指定のS紙を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、圧力定着性は良好であり、布摺擦評価では画像は充分な定着均一性を示した(機内温度30℃)。
また、富士ゼロックス(株)指定のモノクロプリント用OHPシートV50を用いて上記条件で画像を形成し、画像耐久性を評価するために布摺擦評価の摺擦評価を通常5回往復であるところを、100回往復し評価したが、画像の欠落はほとんど見られなかった(○)。
また、同上の画像形成されたモノクロプリント用OHPシートV50 100枚を重ねて、70℃のチャンバー中に3時間放置したが、シート間の接着なども見られず良好な熱保管性を示した(○)。
また、得られたトナーについて、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sとなるときの温度(T(10MPa))、及び、フローテスター印加圧力が1MPaにおいて粘度が104Pa・sとなるときの温度(T(1MPa))を測定した。その結果、T(1MPa)、T(10MPa)、T(1MPa)−T(10MPa)は、順に45℃、10℃、35℃となった。
実施例6として、実施例4においてナフテン酸鉄複合化無機粒子(D2)3重量部に更に、酵素複合化無機粒子(D1)1重量部を加え、更に反応性粒子分散液(C1)を20重量部加えてトナーを作製し、上記と同様にトナーの評価を行った。その結果、特に良好な耐久性を示した(○+)。
実施例4において、酵素複合化無機粒子(D1)を除いてトナーを作製し、同様の評価を実施したが、定着は可能であったものの、布摺擦評価では30回程度で画像の欠落が発生した(×)。また、70℃チャンバー評価においては、シート間の接着が発生した(×)。
実施例4において、樹脂粒子分散液(B1)を用いず、代わりに反応性粒子分散液(C1)を同量追加してトナー化を実施した。定着自体が困難であり、評価可能な画像を得ることができなかった。
ここで、100回布摺擦試験及び70℃3時間保管試験の詳細と評価基準は以下の通りである。
<100回布摺擦試験>
医療用ガーゼを用い、約2kgの重量で評価者が手で画像表面を100回擦った。
ここで、評価基準は以下の通りである。
○+・・・画像の欠落も、ガーゼの汚れも皆無
○・・・画像の欠落無し、ガーゼの汚れわずかに有り
△・・・画像の欠落若干あり、ガーゼの汚れあり
×・・・画像の欠落、ガーゼの汚れいずれも発生
実験室用乾燥機を用いモノクロプリント用OHPシートV50 100枚を重ねて、70℃のチャンバー中に3時間放置した。
ここで、評価基準は以下の通りである。
○+・・・シート間接着まったくなし
○・・・若干のぱりぱり感あるものの画像に影響なし
△・・・部分的にわずかに接着、画像一部欠落
×・・・シート間接着発生、画像欠落発生
Claims (13)
- 酸化重合性単量体及び/又はエチレン性不飽和基を有する重合体、並びに、無機粒子と複合化された酸化重合触媒を含有し、かつ、
フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、下記式(1)を満たすことを特徴とする
静電荷像現像用トナー。
20℃≦T(1MPa)−T(10MPa) (1) - 前記静電荷像現像用トナーの外殻及び/又は表面に前記酸化重合触媒を含有する、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記静電荷像現像用トナーの結着樹脂が、コアシェル構造を有し、かつ、
該各コアを構成する樹脂のガラス転移温度と、シェルを構成する樹脂のガラス転移温度との差が20〜120℃である、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記静電荷像現像用トナーの結着樹脂がブロック共重合体を含有する、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記酸化重合触媒として、鉄化合物及び/又は酵素を含有する、請求項1〜4いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記静電荷像現像用トナーは、樹脂粒子分散液を準備する工程、
前記樹脂粒子を凝集して、凝集粒子を作製する凝集工程、及び、
前記樹脂粒子を樹脂のガラス転移温度及び/又は融点以上の温度に加熱して、前記凝集粒子を合一させる合一工程を含む製造方法により製造される請求項1〜5いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記エチレン性不飽和基を有する重合体がポリエステルである、請求項1〜6いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記酸化重合性単量体がエチレン性不飽和基を有する乾性油である、請求項1〜7いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1〜8いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー及びキャリアを含むことを特徴とする、静電荷像現像剤。
- 請求項1〜8いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容していることを特徴とするトナーカートリッジ。
- 請求項1〜8いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー、又は、請求項9に記載の静電荷像現像剤を収納するとともに、
像保持体表面上に形成された静電潜像を前記静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
像保持体、該像保持体表面を帯電させるための帯電手段、及び、該像保持体表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段よりなる群から選ばれた少なくとも一種と、を備え、画像形成装置に脱着可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 像保持体と、
前記像保持体を帯電させる帯電手段と、
帯電した前記像保持体を露光して前記像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段と、
現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段と、
前記トナー像を前記像保持体から被転写体に転写する転写手段と、
前記トナー像を定着する定着手段とを有し、
前記現像剤として請求項1〜8いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー又は請求項9に記載の静電荷像現像剤を使用することを特徴とする
画像形成装置。 - 像保持体を帯電させる帯電工程と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成工程と、
前記像保持体表面に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナー又は静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程と、
前記トナー像を定着する定着工程と、を有し、
前記静電荷像現像用トナーが請求項1〜8いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤が請求項9に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする
画像形成方法。
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