JP2014041343A - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所望の粒径、シャープな粒度分布および所期の帯電性を有し、良好な画像が得られるトナーを製造することができる静電荷像現像用トナーの製造方法の提供。
【解決手段】 静電荷像現像用トナーの製造方法は、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を含有する結着樹脂からなる結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中に凝集剤を添加し、当該結着樹脂微粒子を凝集させる工程を有し、前記凝集剤として、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸水和物、シュウ酸水和物、酒石酸水和物、クエン酸塩水和物、シュウ酸塩水和物および酒石酸塩水和物から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
ケミカル法による静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)の製造方法は、製造時の所要エネルギーが少ないこと、トナーの小粒径化が図れること、微粉成分の発生を抑制できることなどの利点を有する。
中でも乳化凝集法は、乳化重合などによって製造された結着樹脂よりなる結着樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて他の着色剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤の添加によってこれらを凝集させ、必要に応じて凝集停止剤を添加して粒径制御を行い、さらに結着樹脂微粒子間の融着によって形状制御を行ない、トナー粒子を製造する方法であり、トナー粒径および粒度分布の先鋭化において制御性に優れた手法である。
この乳化凝集法において、凝集剤として、金属塩を利用する方法が開示されている(特許文献1参照)。凝集剤として金属塩を使用する場合、この金属塩が高い吸湿性を有するものであることから、得られる凝集型トナーの吸湿性も大きなものとなり、その結果、画像形成処理が行われる環境条件によってトナーの帯電量にバラツキが生じ、例えば、高温高湿条件下での画像形成において、カブリ(画像汚れ)が発生する問題があった。
また、特許文献2には、2価以上の金属の錯体を用いてポリエステル樹脂粒子を凝集させてトナーを製造する方法が開示されているが、この手法においてもトナー中に金属元素が取り込まれることによってトナーの吸湿性が大きなものとなり、カブリなどの画像不良を引き起こす場合があった。
国際公開第2007/114502号パンフレット 特開2013−64059号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、所望の粒径、シャープな粒度分布および所期の帯電性を有するトナーを製造することができると共に、良好な画像を得ることができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を含有する結着樹脂からなる結着樹脂微粒子を形成する結着樹脂微粒子形成工程、
前記結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中に凝集剤を添加し、当該結着樹脂微粒子を凝集させる凝集工程、および、
前記結着樹脂微粒子の凝集を停止させる凝集停止工程を含み、
前記凝集工程における凝集剤として、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸水和物、シュウ酸水和物、酒石酸水和物、クエン酸塩水和物、シュウ酸塩水和物および酒石酸塩水和物から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることを特徴とする。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記凝集剤として、クエン酸、シュウ酸、クエン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸水和物、シュウ酸水和物、クエン酸塩水和物またはシュウ酸塩水和物を用いることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記結着樹脂が重合性単量体を重合して得られるものであり、前記重合性単量体として、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記結着樹脂が重合性単量体を重合して得られるものであり、重合開始剤として、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、前記水系媒体中に界面活性剤を含み、前記界面活性剤として、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有する化合物を用いることが好ましい。
本発明のトナーの製造方法によれば、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を含有する結着樹脂からなる結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中において凝集剤として特定の多価カルボン酸化合物を使用することによって、所望の粒径、シャープな粒度分布および所期の帯電性を有し、良好な画像が得られるトナーを製造することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーの製造方法は、少なくとも結着樹脂を含有し、必要に応じて着色剤や離型剤、荷電制御剤なども含有するトナー粒子からなるトナーを製造する方法であって、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を含有する結着樹脂からなる結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中に凝集剤を添加し、当該結着樹脂微粒子を凝集させる工程を有する、乳化凝集法を用いる方法である。このとき、水系媒体中には界面活性剤が含まれていてもよい。
そして、凝集剤としてクエン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸水和物、シュウ酸水和物、酒石酸水和物、クエン酸塩水和物、シュウ酸塩水和物および酒石酸塩水和物から選ばれる少なくとも1種の特定の多価カルボン酸化合物を用いることを特徴とする。
アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を含有する結着樹脂からなる結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中に凝集剤を添加し、当該凝集剤として特定の多価カルボン酸化合物を用いることによって所期のトナーが得られるメカニズムは、以下の通りである。
まず、結着樹脂微粒子の表面にアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基が存在するため、当該結着樹脂微粒子は水系媒体中において正に帯電した状態となる。この系に特定の多価カルボン酸化合物を添加することによって、当該特定の多価カルボン酸化合物より供される陰イオンが電気二重層を圧縮し、これにより微粒子間の凝集が促進されるものと考えられる。また、特定の多価カルボン酸化合物が金属イオンを含有するものである場合でも、前記の正に帯電した結着樹脂微粒子の表面と、凝集剤を構成する特定の多価カルボン酸化合物より供される金属イオンとの間には静電反発力が作用するため、金属元素を取り込むことに起因して生じるトナーの吸湿性の増大を抑制することができる。
本発明においては、結着樹脂としてアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有する化合物を用いること、特に、結着樹脂としてアミノ基および第4級アンモニウム塩基の両方を有する化合物を用いることが好ましい。
なお、アミノ基とは、−NH2 、−NHR(ただし、Rは1価の有機基である。)または−NRR’(ただし、RおよびR’はそれぞれ1価の有機基である。)をいう。アミノ基を表す化学式におけるR、およびR’は、各々、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
本発明において、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、結着樹脂微粒子を溶解しない有機溶媒が好ましい。
本発明のトナーの製造方法の一例を具体的に示すと、例えば着色剤を含有するトナーを所望する場合は、
(1)水系媒体中に着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する着色剤微粒子分散液調製工程、
(2)水系媒体中に、必要に応じて離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有した結着樹脂微粒子を形成し、この結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する結着樹脂微粒子形成工程、
(3)結着樹脂微粒子および着色剤微粒子、並びに必要に応じてその他のトナー構成成分の微粒子を、界面活性剤を含む水系媒体中において、凝集、融着させて凝集粒子を成長させた後、凝集を停止させる凝集、融着工程、
(4)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成させて形状を制御し、トナー粒子を得る熟成工程、
(5)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から凝集剤、凝集停止剤、界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程
から構成され、必要に応じて、
(7)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添剤添加工程
を加えることができる。
本発明において、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有する化合物からなる界面活性剤(以下、「特定のアミノ基含有界面活性剤」ともいう。)を用いることが好ましい。具体的な方法としては、例えば、着色剤微粒子の分散液や結着樹脂微粒子の分散液を調製するときに、特定のアミノ基含有界面活性剤を添加する方法、凝集、融着工程を行う水系媒体に特定のアミノ基含有界面活性剤を添加する方法などが挙げられる。
〔特定のアミノ基含有界面活性剤〕
特定のアミノ基含有界面活性剤のうち、アミノ基を有する化合物からなる界面活性剤としては、例えばモノメチルアミンクロライド、ジメチルアミンクロライド、トリメチルアミンクロライド、ココナットアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ドデシルアミンクロライド、ドデシルアミンブロマイド、モノメチルアミンブロマイド、ジメチルアミンブロマイド、トリメチルアミンブロマイドなどのカチオン性界面活性剤が挙げられる。
特定のアミノ基含有界面活性剤のうち、第4級アンモニウム塩基を有する化合物からなる界面活性剤としては、例えばブチルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジステアリルジメチルアンモニウムブロマイド、などのカチオン性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン、ラウリルジメチルアミンN−オキシド、オレイルジメチルアミンN−オキシドなどの両性界面活性剤などが挙げられる。
(1)着色剤微粒子分散液調製工程
この着色剤微粒子分散液調製工程は、トナー粒子に着色剤を導入する場合に、必要に応じて行うものである。
着色剤微粒子の分散液は、水系媒体中に着色剤を分散させることにより得られる。
分散の方法としては、分散機を用いるなど、公知の種々の方法を採用することができる。
この着色剤微粒子を分散させる水系媒体には界面活性剤が含有されていてもよく、界面活性剤としては特定のアミノ基含有界面活性剤を用いてもよく、その他の公知の種々の界面活性剤を用いてもよいが、特定のアミノ基含有界面活性剤を用いることが好ましい。
着色剤微粒子の分散液における着色剤微粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径で例えば10〜300nmの範囲にあることが好ましい。なお、体積基準のメジアン径は、動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラック UPA150」(日機装(株)製)を用いて測定されるものである。
〔着色剤〕
本発明に係るトナーに含有される着色剤としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、染料、顔料などの公知の種々の着色剤を用いることができる。
カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられ、黒色酸化鉄としては、例えばマグネタイト、ヘマタイト、三酸化チタン鉄などが挙げられる。
染料としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95、C.I.ソルベントブラック1、同7、C.I.アシッドブラック2などが挙げられる。
顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド5、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同48:5、同53:1、同57:1、同63:1、同81:4、同122、同139、同144、同146、同149、同150、同166、同177、同178、同185、同222、同238、同269、C.I.ピグメントバイオレット1、同19、同29、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、C.I.ピグメントブラック1などが挙げられる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の含有割合は、トナー中に1〜10質量%とされることが好ましく、より好ましくは2〜8質量%である。着色剤の含有量が過少である場合は、得られるトナーに所望の着色力が得られないおそれがあり、一方、着色剤の含有量が過多である場合は、着色剤の遊離やキャリアなどへの付着が発生し、帯電性に影響を与える場合がある。
着色剤をトナー粒子中に導入する方法としては、この例のように結着樹脂微粒子とは別個に着色剤のみよりなる着色剤微粒子を作製してこれらを凝集させる方法に限定されず、例えば、結着樹脂微粒子形成工程において結着樹脂および着色剤が混在された微粒子の分散液を調製し、この微粒子を凝集させる方法を選択することもできる。
(2)結着樹脂微粒子形成工程
結着樹脂微粒子は、トナーの技術分野において公知の製造方法、例えば、乳化重合法、転相乳化法、懸濁重合法、溶解懸濁法などにより製造することができる。中でも、乳化重合法による製造が好ましい。
乳化重合法においては、結着樹脂を形成するべき重合性単量体を水系媒体中に分散させて乳化粒子を形成した後、重合開始剤を投入して重合性単量体を重合させることにより、結着樹脂微粒子が形成される。
〔結着樹脂〕
トナー粒子を構成する結着樹脂としては、公知の種々の樹脂を用いることができ、特にスチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂を用いることが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、結着樹脂としてアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有する化合物からなる結着樹脂(以下、「特定のアミノ基含有結着樹脂」ともいう。)を用いる。
特定のアミノ基含有結着樹脂は、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を付与することができる重合性単量体および重合開始剤のいずれかを1種以上を用いて合成することによって得ることができる。
アミノ基を付与することができる重合性単量体としては、例えばジメチルアミドアクリレート、ジメチルアミドメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノブチルメタクリレート、メチルアミノエチルアクリレート、メチルアミノエチルメタクリレート、アミノスチレン、アミノスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン、N−メチルアミノエチルスチレン、ジメチルアミノエトキシスチレン、アリルアミン、アリルメチルアミン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−メチルピリジン、2,6−ジメチル−5−ビニルピリジン、2−ビニルピペリジン、2−ビニルピロール、4−ビニルキノリン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルラクタム、N−ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。
第4級アンモニウム塩基を付与することができる重合性単量体としては、例えばメタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、メタクリロイルアミノプロピルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、メタクリロイルアミノプロピルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、メタクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムp−トルエンスルホネートなどが挙げられる。
結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を用いる場合、結着樹脂を形成するべき重合性単量体としては、以下のものが挙げられる。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなど。
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニルなど。
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなど。
また、スチレンアクリル樹脂を形成するべき重合性単量体としては、上記のものと共に以下のものを用いることもできる。
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレンなど。
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど。
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど。
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど。
(8)その他
ビニルナフタレンなどのビニル化合物類など。
また、スチレンアクリル樹脂を形成するべき重合性単量体としては、例えばカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基などのイオン性解離基を単量体の側鎖に有するものを用いることができる。具体的には、以下のものがある。
カルボキシル基を有するものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。また、スルフォン酸基を有するものとしては、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸などが挙げられる。さらに、リン酸基を有するものとしてはアシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、スチレンアクリル樹脂を形成するべき重合性単量体として、多官能性ビニル類を使用して、ビニル系樹脂を架橋構造を有するものとすることもできる。多官能性ビニル類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
また、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合、結着樹脂を形成するための重合性単量体としては多価カルボン酸および多価アルコールが用いられる。
多価カルボン酸としては、2価以上のカルボン酸、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などのジカルボン酸類;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類;トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸無水物、あるいは酸塩化物などの3価以上のカルボン酸類などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、多価アルコールとしては、2価以上のアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブチレンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタングリコール、1,6−ヘキサングリコール、1,7−ヘプタングリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ピナコール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ、水素添加ビスフェノールAなどのジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどの3価以上の多価脂肪族アルコール類;上記3価以上の多価脂肪族アルコール類のアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
〔界面活性剤〕
この結着樹脂微粒子を分散させる水系媒体には界面活性剤が含有されていてもよく、界面活性剤としては特定のアミノ基含有界面活性剤を用いてもよく、その他の公知の種々の界面活性剤を用いてもよいが、特定のアミノ基含有界面活性剤を用いることが好ましい。
〔重合開始剤〕
結着樹脂微粒子形成工程において重合開始剤を使用する場合、重合開始剤としてはアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を付与することができる重合開始剤を用いることが好ましい。結着樹脂を形成するための重合性単量体としてアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を付与することができる重合性単量体を用いる場合は、その他の公知の種々の重合開始剤を用いてもよい。
アミノ基を付与することができる重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2メチルプロパン)ジハイドロクロライドなどが挙げられる。
その他の公知の種々の重合開始剤の具体例としては、例えば2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]などのアゾ系ノニオン性開始剤、パーオキシド化合物などが好ましく挙げられる。
〔連鎖移動剤〕
結着樹脂微粒子形成工程においては、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。また、連鎖移動剤としてアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を付与することができる連鎖移動剤を用いることもできる。アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を付与することができる連鎖移動剤としては、アミン−チオール化合物、アミノ基含有スチレンダイマーなどが挙げられる。
特定のアミノ基含有結着樹脂においては、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基の含有割合、すなわち特定のアミノ基含有結着樹脂を形成するための全重合性単量体、重合開始剤および連鎖移動剤の総合計モル量中の、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を付与することができる重合性単量体、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を付与することができる重合開始剤、およびアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を付与することができる連鎖移動剤の合計モル量は、例えば0.01〜30モル%であることが好ましい。
結着樹脂微粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成とすることもでき、この場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した樹脂微粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
結着樹脂微粒子形成工程において得られる結着樹脂微粒子の平均粒子径は、体積基準のメジアン径で20〜400nmの範囲にあることが好ましい。
結着樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は、「マイクロトラック UPA150」(日機装社製)を用いて測定されるものである。
本発明に係るトナー粒子中には、結着樹脂の他に、必要に応じて離型剤や荷電制御剤などの内添剤が含有されていてもよい。
〔離型剤〕
離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
トナー粒子中における離型剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して通常0.5〜25質量部とされ、好ましくは3〜15質量部とされる。
〔荷電制御剤〕
荷電制御剤としては、公知の種々の荷電制御剤を用いることができる。
トナー粒子中における荷電制御剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して通常0.1〜10質量部とされ、好ましくは0.5〜5質量部とされる。
(3)凝集、融着工程
凝集、融着工程においては、結着樹脂微粒子および着色剤微粒子、並びに必要に応じてその他のトナー構成成分の微粒子が分散された水系媒体に、凝集剤を加え、結着樹脂微粒子の凝集により凝集粒子を成長させると同時、または凝集により凝集粒子を成長させた後に、結着樹脂微粒子のガラス転移点以上で加熱して凝集粒子を融着させる。
水系媒体中における特定のアミノ基含有界面活性剤の含有割合としては、水系媒体1Lに対して0〜50mmolとされることが好ましく、5〜35mmolとされることがより好ましい。
〔凝集剤〕
凝集剤としては、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸水和物、シュウ酸水和物、酒石酸水和物、クエン酸塩水和物、シュウ酸塩水和物および酒石酸塩水和物から選ばれる少なくとも1種の特定の多価カルボン酸化合物が用いられる。これらの特定の多価カルボン酸化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。凝集剤としては、特定の多価カルボン酸化合物と共に、特定の多価カルボン酸化合物以外のものを併用することもできる。
凝集剤に含有される特定の多価カルボン酸化合物としては、結着樹脂微粒子を凝集させる作用が強いことから、特に、クエン酸、シュウ酸、クエン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸水和物、シュウ酸水和物、クエン酸塩水和物またはシュウ酸塩水和物を用いることが好ましい。
凝集剤の水系媒体に対する添加量は、水系媒体1Lに対して1〜2000mmolとされることが好ましく、5〜500mmolとされることがより好ましい。
凝集剤を添加する温度は特に限定されないが、結着樹脂のガラス転移点以下であることが好ましい。
凝集、融着工程において、水系媒体のpHは特に限定されないが、凝集剤の添加前の水系媒体のpHが4〜13に調整されることが好ましい。
凝集剤の添加前の水系媒体のpHが上記の範囲に調整されることによって、アミノ基の解離が抑制された状態となって結着樹脂微粒子の水系媒体中における安定性を低くすることができ、その結果、当該結着樹脂微粒子の凝集を促進させることができる。
凝集、融着工程において、凝集粒子の成長は、従来公知の種々の方法によって停止させることができる(凝集停止工程)。特に、凝集粒子が所望の粒子径になった時点で水系媒体に凝集停止剤を過剰量添加して、水系媒体における微粒子間の凝集力を低下させて粒径成長を停止させる方法を用いることが好ましい。
〔凝集停止剤〕
凝集停止剤としては、例えば、凝集剤を構成する特定の多価カルボン酸化合物よりの陰イオンより価数の小さい陰イオンを有する酸、塩、水和物または塩の水和物を用いることができる。
凝集剤を構成する特定の多価カルボン酸化合物よりの陰イオンよりも価数の小さい陰イオンを有する酸、塩、水和物または塩の水和物からなる凝集停止剤を添加することによって、微粒子間の凝集力の緩和を効果的に行うことができ、その結果、得られるトナーに所期の粒径およびシャープな粒度分布を確実に得ることができる。
このような凝集停止剤を水系媒体に添加することにより微粒子間の凝集力の緩和を効果的に得られる理由は、明確ではないが、微粒子の表面における特定の多価カルボン酸よりの多価陰イオンが、凝集停止剤よりの陰イオンの濃度が十分に高いために吸着平衡が移動して当該凝集停止剤よりの陰イオンに交換されて微粒子の表面電位が回復し、その結果、微粒子間の斥力が強まることによると考えられる。
凝集停止剤としては、具体的には、陰イオンとして塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、フッ素イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオンを有する酸、塩、水和物または塩の水和物を用いることができる。これらの凝集停止剤は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。凝集停止剤の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、臭化カルシウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、フッ化カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウムなどの塩、酢酸、塩酸、硫酸などの酸、およびこれらの水和物などが挙げられる。
凝集停止剤の水系媒体に対する添加量は、例えば水系媒体1Lに対して1〜10000mmolとされることが好ましい。
(4)熟成工程
熟成工程は、必要に応じて行われるものであって、当該熟成工程においては、凝集粒子を熱エネルギーにより所望の形状になるまで熟成させる熟成処理が行われる。
(5)濾過、洗浄工程
濾過、洗浄工程は、一般的に行われる公知のトナー粒子の製造方法における濾過、洗浄工程に従って行うことができる。
この濾過、洗浄工程において、具体的な濾過、洗浄を行う時点でのトナー粒子分散液のpHは、1.0〜5.0に調整されていることが好ましい。このようなpHに調整されていることによって、トナー粒子中に取り込まれなかった凝集剤、界面活性剤、着色剤、凝集停止剤などを効果的に洗浄して除去することができる。
(6)乾燥工程
この乾燥工程は、一般的に行われる公知のトナー粒子の製造方法における乾燥工程に従って行うことができる。
(7)外添剤添加工程
上記のトナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加した状態で使用してもよい。
流動化剤としては、例えば、数平均1次粒子径が10〜1000nm程度の、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸亜鉛、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム微粒子、ステアリン酸亜鉛などよりなる無機微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、トナー粒子の表面への分散性向上、環境安定性向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
クリーニング助剤としては、例えば、数平均1次粒子径が10〜2000nm程度の、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子、スチレン−メチルメタクリレート共重合体微粒子などの有機微粒子が挙げられる。
外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
これらの外添剤の添加量は、その合計の添加量がトナー粒子100質量部に対して好ましくは0.05〜5質量部、より好ましくは0.1〜3質量部とされる。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置を使用することができる。
〔トナー粒子の粒径〕
本発明に係るトナーの平均粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜8μmであることが好ましく、より好ましくは5〜8μmである。この平均粒径は、製造時において使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、結着樹脂の組成などによって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、1200dpiレベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することなどができる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、ごのトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
〔トナーの粒度分布〕
本発明に係るトナーは、トナー粒子の体積基準の粒度分布における変動係数(Cv値)が2〜25%であること好ましく、より好ましくは5〜23%である。
体積基準の粒度分布における変動係数(Cv値)は、トナー粒子の粒度分布における分散度を体積基準で表したもので、下記式(Cv)によって定義されるものである。
式(Cv):Cv値(%)=(個数粒度分布における標準偏差)/(個数粒度分布におけるメジアン径)×100
このCv値の値が小さい程、粒度分布がシャープであることを示し、トナー粒子の大きさが揃っていることを意味する。すなわち、Cv値が上記範囲にあることにより、大きさの揃ったトナー粒子が得られることになるので、デジタル方式による画像形成で求められる微細なドット画像や細線をより高精度に再現することが可能である。また、写真画像を形成する場合において、大きさの揃った小径トナーを用いることにより、印刷インクで作製された画像レベルまたはそれ以上の高画質の写真画像を形成することができる。
以上のようなトナーの製造方法によれば、結着樹脂としてアミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有するものを用いると共に、凝集剤として特定の多価カルボン酸化合物を使用することによって、所望の粒径、シャープな粒度分布および所期の帯電性を有し、良好な画像を得ることができるトナーを製造することができる。
〔現像剤〕
本発明に係るトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
キャリアの体積基準のメジアン径としては20〜100μmであることが好ましく、さらに好ましくは25〜80μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
好ましいキャリアとしては、磁性粒子の表面が樹脂により被覆されている樹脂被覆キャリア、樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを挙げることができる。樹脂被覆キャリアを構成する樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばアクリル系樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
以上、本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明の実施の形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、本発明のトナーの製造方法は、結着樹脂が含有されたコア粒子とその外周面を被覆するシェル樹脂よりなるシェル層とよりなるコアシェル構造のトナー粒子からなるトナーの製造に適用することもできる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。結着樹脂微粒子の体積基準のメジアン径、着色剤微粒子の体積基準のメジアン径、トナーの体積基準のメジアン径、Cv値の測定は、それぞれ上述の通りに行った。
〔結着樹脂微粒子分散液の調製例1〕
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、
・スチレン 448質量部
・n−ブチルアクリレート 165質量部
・メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド 16質量部
・連鎖移動剤:n−オクチルメルカプタン 2質量部
・離型剤:パラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製) 80質量部
を90℃に加温して溶解させて離型剤を含む単量体溶液を作製した。
一方、撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に界面活性剤:ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド8質量部をイオン交換水1780質量部に溶解させた界面活性剤溶液を入れて98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、上記の離型剤を含む単量体溶液を8時間混合分散させることにより、分散粒子径が330nmである乳化粒子が分散されてなる分散液を得た。
次いで、この分散液に、重合開始剤:2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパンジハイドロクロライド10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて12時間にわたって加熱撹拌することにより重合を行い、結着樹脂微粒子〔1〕が分散されてなる結着樹脂微粒子分散液〔1〕を調製した。
〔結着樹脂微粒子分散液の調製例2〜19〕
結着樹脂微粒子分散液の調製例1において、上記の重合性単量体のうち、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドの代わりに、表1に従ったアミノ基含有重合性単量体を用いると共に、重合開始剤、連鎖移動剤および界面活性剤としてそれぞれ表1に従ったものを用いたことの他は同様にして、結着樹脂微粒子分散液〔2〕〜〔19〕を調製した。
Figure 2014041343
〔着色剤微粒子分散液の調製例Bk1〕
ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド10質量%の水溶液900質量部を撹拌しながら、着色剤「リーガル330R」(キャボット社製)100質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子〔Bk1〕が分散されてなる着色剤微粒子分散液〔Bk1〕を調製した。この着色剤微粒子〔Bk1〕の体積基準のメジアン径は150nmであった。
〔着色剤微粒子分散液の調製例Bk2〕
着色剤微粒子分散液の調製例Bk1において、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライドの代わりにドデシル硫酸ナトリウムを使用したことの他は同様にして、着色剤微粒子分散液〔Bk2〕を調製した。この着色剤微粒子〔Bk2〕の体積基準のメジアン径は145nmであった。
<実施例1:トナーの製造例1>
結着樹脂微粒子分散液〔1〕2,105質量部と、イオン交換水900質量部と、着色剤微粒子分散液〔Bk1〕200質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調整し、pHが11となるよう水酸化ナトリウムを添加し十分に混合した。次いで、クエン酸一水和物100質量部をイオン交換水150質量部に溶解した凝集剤水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温した。その状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子の体積基準のメジアン径(D50)が6.5μmになった時点でイオン交換水800質量部を添加して撹拌速度を上げ、更に、熟成処理として液温度85℃にて3時間にわたり加熱撹拌することにより融着させた。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、撹拌を停止した。
生成したトナー粒子を固液分離し、イオン交換水による洗浄を4回繰り返し(イオン交換水の量を15リットルとした。)、その後、40℃の温風で乾燥することにより、トナー粒子〔1〕を得た。
このトナー粒子〔1〕に、アミノシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%および疎水化処理を施した酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより、トナー〔1〕を製造した。
トナー粒子〔1〕の体積基準のメジアン径は6.55μm、Cv値は19.3%であった。
<実施例2〜23:トナーの製造例2〜23>
トナーの製造例1において、凝集剤としてクエン酸一水和物の代わりに表2に従った凝集剤を用いたこと、および、結着樹脂微粒子分散液〔1〕の代わりに表2に従った結着樹脂微粒子分散液を用いたことの他は同様にして、トナー〔2〕〜〔23〕を得た。このトナー〔2〕〜〔23〕の体積基準のメジアン径およびCv値を表2に示す。
<実施例24:トナーの製造例24>
結着樹脂微粒子分散液〔1〕2,105質量部と、イオン交換水900質量部と、着色剤微粒子分散液〔Bk1〕200質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調整し、pHが11となるよう水酸化ナトリウムを添加し十分に混合した。次いで、クエン酸一水和物100質量部をイオン交換水150質量部に溶解した凝集剤水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温した。その状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子の体積基準のメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で酢酸水溶液(45質量%)600質量部を添加して撹拌速度を上げ、更に、熟成処理として液温度85℃にて3時間にわたり加熱撹拌することにより融着させた。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、撹拌を停止した。
生成したトナー粒子を固液分離し、イオン交換水による洗浄を4回繰り返し(イオン交換水の量を15リットルとした。)、その後、40℃の温風で乾燥することにより、トナー粒子〔24〕を得た。
このトナー粒子〔24〕に、アミノシランカップリング剤で疎水化処理を施したシリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%および疎水化処理を施した酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去することにより、トナー〔24〕を製造した。
トナー粒子〔24〕の体積基準のメジアン径は6.50μm、Cv値は18.1%であった。
〔現像剤の製造例1〜24〕
(1)キャリアの作製
フェライトコア粒子100質量部とシクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコア粒子の表面に樹脂コート層を形成させることにより、体積基準のメジアン径が35μmであるフェライトキャリアを得た。
キャリアの体積基準のメジアン径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。
(2)トナーとキャリアの混合
トナー〔1〕〜〔24〕の各々に対して、上記のキャリアをトナー濃度が6%となるように添加し、V型混合機によって混合することにより、本発明に係る現像剤〔1〕〜〔24〕を製造した。
<帯電量の評価>
高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)の環境下で一晩調湿した現像剤〔1〕〜〔24〕の帯電量を測定した。現像剤は測定前に20分間混合し、帯電量測定装置「ブローオフ式TB−200」(東芝ケミカル社製)を用いて以下に示す方法で評価した。帯電量測定装置に400メッシュのステンレス製スクリーンを装着し、ブロー圧4.9×104 Paの条件で10秒間窒素ガスにてブローする。測定された電荷を飛翔したトナー質量で割ることによって帯電量(μC/g)を算出する。トナーの帯電量としては、5μC/g以上であれば良好と判断した。
<画質の評価>
現像剤〔1〕〜〔24〕をそれぞれ用い、カブリの評価を実施した。画像の出力は、市販の画像形成装置「magicolor4650DN」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、感光体をアモルファスシリコン感光体に変更したものを使用した。カブリは高温高湿環境(温度30℃、湿度80%RH)の環境下で、印字率5%の文字画像を5000枚プリント後、白紙をプリントし、転写材の白紙濃度(カブリ濃度)で評価した。転写材の白紙濃度はA4判の20カ所を測定し、その平均値を白紙濃度とする。濃度測定は反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を用いて行った。なお、◎と○を合格とする。
−評価基準−
◎:カブリ濃度が、0.003未満で良好なレベル
○:カブリ濃度が、0.003以上、0.010未満で実用上問題ないレベル
×:カブリ濃度が、0.010以上で実用上問題となるレベル。
Figure 2014041343
<比較例1:トナーの製造例25>
トナーの製造例1において、凝集剤としてクエン酸一水和物の代わりに酢酸を使用したところ、結着樹脂微粒子の凝集が生じず、トナー粒子を得ることはできなかった。
<比較例2:トナーの製造例26>
トナーの製造例1において、結着樹脂微粒子分散液〔1〕の代わりに結着樹脂微粒子分散液〔19〕を用いると共に、着色剤微粒子分散液〔Bk1〕の代わりに着色剤微粒子分散液〔Bk2〕を使用したところ、結着樹脂微粒子の凝集が生じず、トナー粒子を得ることはできなかった。

Claims (4)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子からなる静電荷像現像用トナーを製造する方法であって、
    アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を含有する結着樹脂からなる結着樹脂微粒子を形成する結着樹脂微粒子形成工程、
    前記結着樹脂微粒子が分散されてなる水系媒体中に凝集剤を添加し、当該結着樹脂微粒子を凝集させる凝集工程、および、
    前記結着樹脂微粒子の凝集を停止させる凝集停止工程を含み、
    前記凝集工程における凝集剤として、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、クエン酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸水和物、シュウ酸水和物、酒石酸水和物、クエン酸塩水和物、シュウ酸塩水和物および酒石酸塩水和物から選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記凝集剤として、クエン酸、シュウ酸、クエン酸塩、シュウ酸塩、クエン酸水和物、シュウ酸水和物、クエン酸塩水和物またはシュウ酸塩水和物を用いることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  3. 前記結着樹脂が重合性単量体を重合して得られるものであり、前記重合性単量体として、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有する化合物を用いることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記結着樹脂が重合性単量体を重合して得られるものであり、重合開始剤として、アミノ基および/または第4級アンモニウム塩基を有する化合物を用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。


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