JP2011140633A - 多孔性ポリプロピレンフィルムロール - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性に優れ、蓄電デバイスのセパレータに用いた際に優れた電池特性を示し、また、電池製造工程における加工適正が改善された多孔性ポリプロピレンフィルムロールを提供すること。
【解決手段】乾式法による多孔性ポリプロピレンフィルムをコア上に捲回した多孔性ポリプロピレンフィルムロールであって、多孔性ポリプロピレンフィルムロール中の長手方向の任意の場所においてフィルムを巻き出して測定した際の、フィルム長さ1mにおける湾曲量およびたるみ量がいずれも3mm以下である多孔性ポリプロピレンフィルムロールとする。
【選択図】図1

Description

本発明は生産性に優れ、蓄電デバイスのセパレータに用いた際に優れた電池特性を示し、また、電池製造工程における加工適性が改善された多孔性ポリプロピレンフィルムロールに関する。
ポリプロピレンフィルムは優れた機械特性、熱特性、電気特性、光学特性により、工業材料用途、包装材料用途、光学材料用途、電機材料用途など多様な用途で使用されている。このポリプロピレンフィルムに空隙を設け、多孔化した多孔性ポリプロピレンフィルムについても、ポリプロピレンフィルムとしての特性に加えて、透過性や低比重などの優れた特性を併せ持つことから、電池や電解コンデンサーのセパレータや各種分離膜、衣料、医療用途における透湿防水膜、フラットパネルディスプレイの反射板や感熱転写記録シートなど多岐に亘る用途への展開が検討されている。特に、多孔性フィルムをセパレータとして用いる場合、生産性向上による低コスト化はもちろんのこと、蓄電デバイスの組立工程におけるフィルムの走行安定性の改善が歩留まり向上のため重要である。
ポリプロピレンフィルムを多孔化する手法としては、様々な提案がなされている。多孔化の方法を大別すると湿式法と乾式法に分類することができる。湿式法とは、ポリプロピレンをマトリックス樹脂とし、シート化後に抽出する被抽出物を添加、混合し、被抽出物の良溶媒を用いて添加剤のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を生成せしめる方法であり、種々の提案がなされている(たとえば、特許文献1参照)。湿式法は、樹脂組成物の粘度を低下させることができるため高精度濾過が可能であること、また低温でキャスト可能なため樹脂組成物の劣化を低減できることから品位に優れるが、抽出工程が繁雑であることや溶媒処理工程が必要になることから、低コスト化が困難であった。
一方、乾式法としては、たとえば、溶融押出時に低温押出、高ドラフト比を採用することにより、シート化した延伸前のフィルム中のラメラ構造を制御し、これを一軸延伸することでラメラ界面での開裂を発生させ、空隙を形成する方法(所謂、ラメラ延伸法)が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。該方法を用いると、一軸延伸であり、また延伸倍率も低いため、フィルムの平面性が悪化しにくく、組立工程時の走行安定性に優れるが、延伸面積倍率が低いことや延伸速度が遅いことから生産性向上が困難であり、また、高い空孔率を得ることが困難であり、蓄電デバイス、特にリチウムイオン二次電池用のセパレータとして用いた場合に電池性能が低下する場合があった。
生産性がよく、更に高い空孔率を達成できる方法として、乾式法で無機粒子またはマトリックス樹脂であるポリプロピレンなどに非相溶な樹脂を粒子として多量添加し、シートを形成して延伸することにより粒子とポリプロピレン樹脂界面で開裂を発生させ、空隙を形成する方法も提案されている(たとえば、特許文献3参照)。さらには、ポリプロピレンの結晶多形であるα型結晶(α晶)とβ型結晶(β晶)の結晶密度の差と結晶転移を利用してフィルム中に空隙を形成させる、所謂β晶法と呼ばれる方法の提案も数多くなされている(たとえば、特許文献4〜6参照)。
上記した各種方法で製造した多孔性ポリプロピレンフィルムを蓄電デバイス、特にリチウムイオン二次電池用のセパレータとして用いる場合、特にβ晶法は通常二軸延伸により空隙を形成することから、他の方法に比較して、高い空孔率を達成することができる。そのため、電池の内部抵抗を低くすることができ、特に大電流を必要とする高出力用の蓄電デバイス用のセパレータに適しているとされている(たとえば、特許文献7参照)。しかしながら、乾式法の二軸延伸により製造された多孔性フィルムは、平面性が悪化しやすく、組立工程におけるフィルムの走行安定性のさらなる改善が必要であった。
フィルムの平面性改善については、例えば、プリントラミネート用のポリプロピレンフィルムについて、テンター後の張力を高くすることにより、配向角度を制御する方法が記載されている(特許文献8)。しかし、乾式法で多孔性フィルムを製造する場合、テンター後の張力を高くすると、孔が変形し空孔率や透気性が低下する場合があるため、同様の手法を用いるのは困難であった。
また、磁気記録媒体用の有機高分子体からなるフィルムの平面性改善方法として、フィルムロールを保管する際の湿度を制御する方法が記載されている(特許文献9)。しかし、多孔性フィルムにおいては、雰囲気湿度が平面性に及ぼす影響は小さく、同様の方法で平面性を改善することは困難であった。
特開昭55−131028号公報 特公昭55−32531号公報 特開昭57−203520号公報 特開昭63−199742号公報 特開平6−100720号公報 特開平9−255804号公報 国際公開第05/103127号パンフレット 特開平11−240067号公報 特開平9−71669号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。すなわち、本発明の目的は、生産性に優れ、蓄電デバイスのセパレータに用いた際に優れた電池特性を示し、また、電池製造工程における加工適正が改善された多孔性ポリプロピレンフィルムロールを提供することにある。
上記した目的を達成するための本発明は、乾式法による多孔性ポリプロピレンフィルムをコア上に捲回した多孔性ポリプロピレンフィルムロールであって、多孔性ポリプロピレンフィルムロール中の長手方向の任意の場所においてフィルムを巻き出して測定した際の、フィルム長さ1mにおける湾曲量およびたるみ量がいずれも3mm以下である多孔性ポリプロピレンフィルムロールによって達成される。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、生産性に優れ、蓄電デバイスのセパレータに用いた際に優れた電池特性を示し、また、電池製造工程における加工適性に優れることから、蓄電デバイスのセパレータとして好適に適用することができる。
本発明に係る多孔性ポリプロピレンフィルムを上から見たときの、湾曲量の測定部位を示した概略図である。 図1の多孔性ポリプロピレンフィルムにおいて、たるみ量の測定部位を示す概略図である。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールを構成する多孔性ポリプロピレンフィルムは、乾式法による多孔性ポリプロピレンフィルムであって、二軸配向されていることが好ましい。また、この多孔性ポリプロピレンフィルムは貫通孔を有している。ここで、貫通孔とは、フィルムの両表面を貫通し、透気性を有する孔を意味する。貫通孔を得る具体的な方法としては、例えば後述するようにβ晶法を挙げることができる。これにより、均一物性、薄膜化を達成することができる。
β晶法を用いてフィルムに貫通孔を形成するためには、用いるポリプロピレン樹脂のβ晶形成能が40〜90%であることが好ましい。β晶形成能が40%未満ではフィルム製造時にβ晶量が少ないためにα晶への転移を利用してフィルム中に形成される空隙数が少なくなり、その結果、透過性の低いフィルムしか得られない場合がある。一方、β晶形成能が90%を超えるようにするのは、後述するβ晶核剤を多量に添加したり、使用するポリプロピレン樹脂の立体規則性を極めて高くしたりする必要があり、製膜安定性が悪化するなど工業的な実用価値が低い。工業的にはβ晶形成能は60〜85%が好ましく、65〜80%が特に好ましい。
β晶形成能を40〜90%に制御するためには、アイソタクチックインデックスの高いポリプロピレン樹脂を使用したり、β晶核剤と呼ばれる、ポリプロピレン樹脂中に添加することでβ晶を選択的に形成させる結晶化核剤を添加剤として用いたりすることが好ましい。β晶核剤としては種々の顔料系化合物やアミド系化合物などを挙げることができるが、特に特開平5−310665号公報に開示されているアミド系化合物を好ましく用いることができる。β晶核剤の添加量としては、多孔性ポリプロピレンフィルムを100質量%とした場合に、0.05〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であればより好ましい。
本発明において用いるポリプロピレン樹脂は、メルトフローレート(以下、MFRと表記する、測定条件は230℃、2.16kg)が2〜30g/10分の範囲であることが好ましく、さらにアイソタクチックポリプロピレン樹脂であることが好ましい。MFRが2g/10分未満であると、樹脂の溶融粘度が高くなり高精度濾過が困難となり、フィルムの品位が低下する場合がある。MFRが30g/10分を超えると、分子量が低くなりすぎるため、延伸時のフィルム破れが起こりやすくなり、生産性が低下する場合がある。より好ましくは、MFRが3〜20g/10分である。
また、アイソタクチックポリプロピレン樹脂を用いる場合、アイソタクチックインデックスは90〜99.9%であることが好ましい。アイソタクチックインデックスが90%未満であると、樹脂の結晶性が低く、高い透気性を達成するのが困難な場合がある。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂としては、ホモポリプロピレン樹脂を用いることができるのはもちろんのこと、製膜工程での安定性や造膜性、物性の均一性の観点から、ポリプロピレンにエチレン成分やブテン、ヘキセン、オクテンなどのα−オレフィン成分を5質量%以下の範囲で共重合した樹脂を用いることもできる。なお、ポリプロピレンへのコモノマー(共重合成分)の導入形態としては、ランダム共重合でもブロック共重合でもいずれでも構わない。
また、上記したポリプロピレン樹脂は0.5〜5質量%の範囲で高溶融張力ポリプロピレンを含有させることが製膜性向上の点で好ましい。高溶融張力ポリプロピレンとは高分子量成分や分岐構造を有する成分をポリプロピレン樹脂中に混合したり、ポリプロピレンに長鎖分岐成分を共重合させたりすることで溶融状態での張力を高めたポリプロピレン樹脂であるが、中でも長鎖分岐成分を共重合させたポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。この高溶融張力ポリプロピレンは市販されており、たとえば、Basell社製ポリプロピレン樹脂PF814、PF633、PF611やBorealis社製ポリプロピレン樹脂WB130HMS、Dow社製ポリプロピレン樹脂D114、D206を用いることができる。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂は、二軸延伸時の空隙形成効率の向上や、孔径が拡大することによる透気性向上の観点から、ポリプロピレン80〜99質量部とエチレン・α−オレフィン共重合体20〜1質量部の質量比率とした混合物とすることが好ましい。ここで、エチレン・α−オレフィン共重合体としては直鎖状低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレンを挙げることができ、中でも、オクテン−1を共重合した、融点が60〜90℃の共重合ポリエチレン樹脂(共重合PE樹脂)を好ましく用いることができる。この共重合ポリエチレンは市販されている樹脂、たとえば、ダウ・ケミカル製“Engage(エンゲージ)(登録商標)”(タイプ名:8411、8452、8100など)を挙げることができる。
上記共重合ポリエチレン樹脂は本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムを100質量%としたときに、1〜10質量%含有することが以下に記載する空孔率や平均貫通孔径を好ましい範囲に制御することが容易となるので好ましい。フィルムの機械特性の観点からは1〜7質量%であればより好ましい。
本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムは、多孔性ポリプロピレンフィルムロール中の長手方向の任意の場所においてフィルムを巻き出して測定した際、フィルム長さ1mにおける湾曲量が3mm以下である。より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1mm以下である。湾曲量が3mmを超えると、蓄電デバイスの組立工程において多孔性ポリプロピレンフィルムの走行性が不安定となり、歩留まりが低下する場合がある。
ここで上記した湾曲量は、図1に示すようにスリット後の多孔性ポリプロピレンフィルムロールから多孔性ポリプロピレンフィルムを1m巻き出して水平な平面上に密着させ、フィルム幅方向片側端の2点を直線で結び、この直線に対する長手方向中間点でのフィルム辺のずれ量(mm)を示す。
また、本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムは、多孔性ポリプロピレンフィルムロール中の長手方向の任意の場所においてフィルムを巻き出して測定した際、フィルム長さ1mにおけるたるみ量が3mm以下である。より好ましくは2mm以下、更に好ましくは1mm以下である。たるみ量が3mmを超えると、蓄電デバイスの組立工程において多孔性ポリプロピレンフィルムの走行性が不安定となり、歩留まりが低下する場合がある。
ここで上記したたるみ量は、スリット後の多孔性ポリプロピレンフィルムロールから多孔性ポリプロピレンフィルムを1m巻き出して水平な平面上に直線に沿って置いたとき、図2に示すようにフィルム端部の平面からの浮き上がり量(mm)をフィルム両端部合計2m分測定したときの最大値を表す。
かかる湾曲量およびたるみ量が上記範囲内にある品位に優れたフィルムを得るには、まず、多孔性ポリプロピレンフィルムの幅方向の厚みムラを低減させることが重要であり、厚みムラは±10%以下とすることが好ましい。幅方向の厚みムラが大きいと、多孔性ポリプロピレンフィルムを巻き取りロールとした際、厚みの厚い部分の円周が大きくなり盛り上がる場合がある。多孔性フィルムは一般のフィルムに比べ強度が弱く変形しやすいため、盛り上がった部分のフィルムが伸び、フィルムを巻き出したときに平面性の悪化につながる場合がある。特に空孔率の高いフィルムでは、更に変形しやすいため、幅方向の厚みムラは+5%以下とすることがより好ましく、更に好ましくは±3%以下である。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、製膜工程でエッジ部をスリットにより除去して中間ロールとして巻き取り、その後更にスリッターで必要な幅に調整して巻き取り多孔性ポリプロピレンフィルムロールとすることが好ましい。ここで、中間ロールは、寸法安定性向上の観点から、所定の温度、及び時間保持することが有効である。
本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムは二軸配向フィルムであることが好ましいが、この場合、製膜直後のフィルムの残留応力が大きく、また、多孔性フィルムであることから残留応力に起因する寸法変化が生じやすい。特に空孔率の高いフィルムではフィルムの強度が低下し、寸法変化が大きくなる場合がある。ロールに巻き取った後に寸法変化が生じると、巻き締まった部分に応力が集中し、フィルムを巻き出したときに平面性の悪化につながる場合がある。このような平面性悪化を防止するため、中間ロールを低張力で巻き取り、所定の温度および時間保持することで、フィルム中の残留応力を緩和させ、その後更にスリッターで必要な幅に調整して巻き取り多孔性ポリプロピレンフィルムロールとすることが好ましい。
中間ロールを保持する温度としては、0〜90℃であることが好ましく、0〜60℃であればより好ましい。温度が0℃未満であると、残留応力を緩和させるのに長時間を要し、生産性が低下する場合がある。90℃を超えると、多孔性フィルムの寸法変化が急激に起こるために、局所的に巻き締まりが生じ、平面性が悪化する場合がある。
中間ロールを保持する時間としては、1〜1,000時間であることが好ましい。熱処理時間が1時間未満であると、残留応力緩和の効果が不十分である場合がある。また、中間ロールでのフィルム変形量が大きい場合、保持している時間が長いと中間ロール上でシワが入り、スリットして多孔性ポリプロピレンフィルムロールとしたとき平面性が悪化する場合があるため、中間ロールの保持時間は、1,000時間以下であることが好ましい。より好ましくは1〜200時間、更に好ましくは1〜50時間である。
中間ロールを巻き取る際の巻取張力としては、1〜150N/mであることが好ましく、1〜50N/mであればより好ましく、更に好ましくは1〜10N/mである。巻取張力が1N/m未満であると、フィルムロールに巻ずれが発生してしまう場合がある。また、巻取張力が150N/mを超えると、多孔性ポリプロピレンフィルムロールが巻き締まり、平面性が悪化する場合がある。
本発明において中間ロールや多孔性ポリプロピレンフィルムロールを巻き取るためのコアは、円筒形のもので、その材質は特に限定せず、紙や樹脂や金属、及びそれらを合わせたものを使用することができる。さらに、これらのコアの外周に発泡体からなるクッション性の成形体を巻き付けたものを好ましく使用できる。コアの長さはフィルム幅以上であれば特に限定されない。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、コア上にフィルムを長手方向に少なくとも100m以上連続して捲回した(巻き取った)ものであることが好ましい。長手方向のフィルム長さは、より好ましくは200〜10,000mである。多孔性フィルムの場合、あまり長尺で巻き取ると、フィルムの自重でフィルムが押しつぶされてしまうため、300〜5,000mであるとより好ましく、500〜3,000mであればさらに好ましく、500〜2,000mであれば特に好ましい。また、フィルム幅は、特に限定されないが、中間ロールとしては通常の製膜装置であれば、0.005〜10m幅で製造することが可能であり、その後、0.005〜2m幅にスリットして巻取り、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールとすることが好ましい。スリット後の幅は、使用する用途、蓄電デバイスであればそのサイズに合わせて適切な幅にスリットすることが好ましく、0.005〜1m幅、より好ましくは0.01〜0.5m幅とすることが好ましい。
本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムはセパレータとして用いた際のイオン電導性の観点から空孔率が60〜85%であることが好ましい。空孔率が60%未満ではセパレータとして使用したときに電気抵抗が大きくなり、高出力用途に用いると発熱してしまいエネルギーを損失する場合がある。一方、空孔率が85%を超えると、フィルムの強度が低くなりすぎてしまい、電池内部に収納するために電極と共に捲回する際に破断してしまうなど、取扱性に劣る場合がある。優れた電池特性と強度を両立させる観点からフィルムの空孔率は65〜80%であればより好ましく、65〜75%であれば特に好ましい。
フィルムの空孔率をかかる好ましい範囲に制御する方法としては、β晶法によりポリプロピレンフィルムを多孔化するに際して、上述したように、ポリプロピレン樹脂と共重合ポリエチレン樹脂とを特定比率で混合した樹脂を用いることで達成しやすくなり、さらに、後述する特定の二軸延伸条件を採用することにより効果的に達成することができる。湿式法や一軸延伸フィルムではこのような高空孔率で、なおかつ実用化できる強度を有する多孔フィルムを得ることは困難である。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、長手方向の破断強度Eが65MPa以上であることが好ましい。65MPa未満になると、セパレータを用いた蓄電デバイスへの加工工程において、フィルムが伸びたり、シワが入ったり、破断する場合がある。電池巻取時の加工性の観点から70MPa以上であることが、より好ましい。破断強度の上限は特に限定されるものではないが現実的には150MPa以下程度である。
また、本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムは、幅方向の破断強度Eが45MPa以上であることが好ましい。45MPa未満になると、長手方向の破断強度との差が大きくなり、多孔性ポリプロピレンフィルムが長手方向に裂けやすくなる場合がある。
破断強度は、ポリプロピレンの結晶性、得られる多孔性フィルムの空孔率、配向状態(フィルム面内における配向状態)などにより制御できる。空孔率を60〜85%内で減少せしめることにより強くなり、増加せしめることにより弱くなる。ここで、同じ空孔率でも、面配向が高くなるほど当該強度を高くすることができるため、その配向状態の制御は重要である。多孔性フィルムの面配向は、例えば、その製膜工程において少なくとも一方向に延伸してフィルムを製造する場合、高倍率もしくは低温度の延伸条件であるほど、高くできる。特に、長手方向および幅方向の破断強度をバランス良く向上させるためには、縦−横逐次二軸延伸法を用い、長手方向と幅方向にそれぞれ3〜10倍とすることが有効である。
本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムは蓄電デバイスのセパレータ用途に好適に用いるため、透気抵抗が10〜1,000秒/100mlであることが好ましい。ここで、透気抵抗とはJIS P8117(1998年)で規定されている透気抵抗度(ガーレー)であり、本発明では該JISのB形試験機を用いて評価した値である。透気抵抗が10秒/100ml未満ではフィルム強度が低く、セパレータとして用いた際に容易にピンホールが発生し、短絡の原因となる場合や、電池内部に収納するために捲回した際に破れてしまうなど取扱性に劣る場合がある。逆に1,000秒/100mlを超える透気抵抗ではイオン電導性に劣ってしまう。セパレータとして優れたイオン電導性を発現させる観点で透気抵抗は30〜300秒/100mlであればより好ましく、50〜200秒/100mlであれば特に好ましい。
透気抵抗をかかる好ましい範囲に制御する方法としては、上記した空孔率と同様に、ポリプロピレン樹脂と共重合ポリエチレン樹脂とを特定比率で混合した樹脂を用いることで達成しやすくなり、さらに、後述する特定の二軸延伸条件を採用することにより効果的に達成することができる。
本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムは、フィルム総厚みが10〜50μmであることが好ましい。総厚みが10μm未満では使用時にフィルムが破断する場合があり、50μmを超えると蓄電デバイス内に占める多孔性フィルムの体積割合が高くなりすぎてしまい、高いエネルギー密度を得ることができなくなる。フィルム総厚みは12〜30μmであればより好ましく、14〜25μmであればなお好ましい。
本発明における多孔性ポリプロピレンフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤や無機あるいは有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。特に、ポリプロピレン樹脂の熱履歴による酸化劣化を抑制する目的で、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して酸化防止剤を0.01〜0.5質量部添加することは好ましいことである。
以下に本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールの製造方法を具体的に説明する。なお、本発明の製造方法はこれに限定されるものではない。
まず、ポリプロピレン樹脂として、MFR8g/10分の市販のホモポリプロピレン樹脂94質量部、同じく市販のMFR2.5g/10分高溶融張力ポリプロピレン樹脂1質量部、さらにメルトインデックス18g/10分の超低密度ポリエチレン樹脂5質量部にN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド0.2質量部を混合し、二軸押出機を使用して予め所定の割合で混合した原料を準備する。この際、溶融温度は270〜300℃とすることが好ましい。二軸押出機の下流側に例えば20μm以上の異物を除去できる高精度フィルターを設けて異物を除去することが好ましい。
次に、上述の混合原料を単軸の溶融押出機に供給し、200〜230℃にて溶融押出を行う。そして、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸シートを得る。この際、例えば20μm以上の異物を除去できる高精度フィルターを設けて異物を除去することが好ましい。
また、未延伸シートを得る際のキャストドラムは表面温度が105〜130℃であることが、未延伸シート中のβ晶分率を高く制御する観点から好ましい。この際、特にシートの端部の成形が後の延伸性に影響するため、端部にスポットエアーを吹き付けてドラムに密着させることが好ましい。また、シート全体のドラム上への密着状態に基づき、必要に応じて全面にエアナイフを用いて空気を吹き付けてもよい。
次に得られた未延伸シートを二軸延伸してフィルム中に空孔(貫通孔)を形成する。二軸延伸の方法としては、フィルム長手方向に延伸後幅方向に延伸、あるいは幅方向に延伸後長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、またはフィルムの長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などを用いることができるが、高透気性フィルムを得やすいという点で逐次二軸延伸法を採用することが好ましく、特に長手方向に延伸後、幅方向に延伸することが好ましい。
具体的な延伸条件としては、まず未延伸シートを長手方向に延伸可能な温度に制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向の延伸温度としてはフィルム特性とその均一性の観点から、110〜140℃、さらに好ましくは120〜135℃の温度を採用することが好ましい。延伸倍率は3〜10倍であることが好ましく、より好ましくは4〜6倍、更に好ましくは4.5〜5.8倍である。延伸倍率が3倍未満であると空孔率が低下して電池特性が悪化する場合があり、また生産性が低下する場合がある。延伸倍率を高くするほど高空孔率化するが、10倍を超えて延伸すると、次の横延伸工程でフィルム破れが起きやすくなってしまう場合がある。ここで、特に高空孔率フィルムを得ることができる長手方向の延伸温度としては、120〜125℃である。
次に、上記で得られた一軸延伸ポリプロピレンフィルムをテンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入し、幅方向に延伸して二軸延伸(二軸配向)フィルムを得る。延伸温度は130〜155℃が好ましく、高い空孔率が得られることから145〜150℃がより好ましい。幅方向の延伸倍率は3〜10倍が好ましく、より好ましくは4〜8倍である。延伸倍率が3倍未満であると空孔率が低下して電池特性が悪化する場合があり、また生産性が低下する場合がある。また、延伸倍率を高くするほど高空孔率化するが、10倍を超えて延伸すると、フィルム破れが起きやすくなってしまう場合がある。なお、このときの横延伸速度としては500〜6,000%/分で行うことが好ましく、1,000〜5,000%/分であればより好ましい。
次いで、そのままテンター内で熱固定を行うが、その温度は横延伸温度以上160℃以下が好ましく、熱固定時間は1〜30秒間であることが好ましい。さらに、熱固定時にはフィルムの長手方向および/もしくは幅方向に弛緩させながら行ってもよく、特に幅方向の弛緩率を7〜20%とすることが、熱寸法安定性の観点から好ましい。
次に、巻き取り工程において二軸延伸した多孔性ポリプロピレンフィルムを所定の幅にスリットし、上述した範囲内で一定の巻取張力を掛けコアに巻き取り中間ロールを得る。更に、得られた中間ロールを上述した範囲内で所定の温度と時間で保管し、その後スリッターで所定の製品幅にスリットし、コアに巻き取ることにより本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得る。
中間ロールの保管方法としては、所定の温湿度雰囲気下のオーブンや温調された部屋にフィルムロールのコアの両端を保持したまま水平に投入し、所定の時間保管した後、フィルムロールを取り出す方法が好ましい。保管時の湿度としては、65%RH以下であることが好ましく、30%RH以下であればより好ましい。湿度が65%RHを超えると、多孔性ポリプロピレンフィルムの水分量が多くなり、蓄電デバイス用セパレータとして用いたとき電池特性が低下する場合がある。
次に、スリット工程において、中間ロールを巻き出して必要な製品幅にスリットした後、コアに本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールを巻き取る。この際の巻き取り張力は10〜150N/mであることが好ましく、より好ましくは10〜50N/mである。10N/m未満では、巻き取り張力が弱すぎて製品を搬送中などに巻きずれが生じる場合があり、150N/mを超えると多孔性ポリプロピレンフィルムが潰れ、製品の厚みが変化する場合がある。なお、スリット工程は2回以上に分けて段階的に幅を調整しても構わない。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、生産性に優れ、蓄電デバイスのセパレータに用いた際に優れた電池特性を示すだけでなく、電池製造工程における加工適性に優れることから、リチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池のセパレータとして好ましく用いることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)β晶形成能
樹脂またはフィルム5mgを試料としてアルミニウム製のパンに採取し、示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて測定した。まず、窒素雰囲気下で室温から260℃まで10℃/分で昇温(ファーストラン)し、10分間保持した後、20℃まで10℃/分で冷却する。5分保持後、再度10℃/分で昇温(セカンドラン)した際に観測される融解ピークにについて、145〜157℃の温度領域にピークが存在する融解をβ晶の融解ピーク、158℃以上にピークが観察される融解をα晶の融解ピークとして、高温側の平坦部を基準に引いたベースラインとピークに囲まれる領域の面積から、それぞれの融解熱量を求め、α晶の融解熱量をΔHα、β晶の融解熱量をΔHβとしたとき、以下の式で計算される値をβ晶形成能とする。なお、融解熱量の校正はインジウムを用いて行った。
β晶形成能(%) = 〔ΔHβ / (ΔHα + ΔHβ)〕 × 100
なお、ファーストランで観察される融解ピークから同様にβ晶の存在比率を算出することで、その試料の状態でのβ晶分率を算出することができる。
(2)メルトフローレート(MFR)
ポリプロピレン樹脂のMFRは、JIS K 7210(1995)の条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定する。ポリエチレン樹脂は、JIS K 7210(1995)の条件D(190℃、2.16kg)に準拠して測定する。
(3)空孔率
フィルムを30mm×40mmの大きさに切取り試料とした。電子比重計(ミラージュ貿易(株)製SD−120L)を用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気にて比重の測定を行った。測定を3回行い、平均値をそのフィルムの比重ρとした。
次に、測定したフィルムを280℃、5MPaで熱プレスを行い、その後、25℃の水で急冷して、空孔を完全に消去したシートを作成した。このシートの比重を上記した方法で同様に測定し、平均値を樹脂の比重(d)とした。なお、後述する実施例においては、いずれの場合も樹脂の比重dは0.91であった。フィルムの比重と樹脂の比重から、以下の式により空孔率を算出した。
空孔率(%) = 〔( d − ρ ) / d 〕 × 100
(4)湾曲量
図1に示すようにスリット後の多孔性ポリプロピレンフィルムロールから多孔性ポリプロピレンフィルムを1m巻き出して水平な平面上に密着させ、フィルム幅方向片側端の2点を直線で結び、この直線に対する長手方向中間点でのフィルム辺のずれ量(mm)をノギスを用いて測定した。
(5)たるみ量
スリット後の多孔性ポリプロピレンフィルムロールから多孔性ポリプロピレンフィルムを1m巻き出して水平な平面上に直線に沿って置いたとき、図2に示すようにフィルム端部の平面からの浮き上がり量(mm)をフィルム両端部合計2m分ノギスを用いて測定したときの最大値を表す。
(6)破断強度
JIS K 7127(1999、試験片タイプ2)に準じて、(株)オリエンテック製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、25℃、65%RHにて破断強度を測定した。具体的には、多孔性ポリプロピレンフィルムを長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズに切り出し、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、破断強度(単位:MPa)を測定した。同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られた破断強度の平均値を当該サンプルの長手方向の破断強度とした。また、サンプルの長手方向と幅方向を入れ替えて同様に幅方向の破断強度を測定した。
(7)透気抵抗(ガーレー透気度)
JIS P 8117(1998)のB法に準拠して、23℃、65%RHにて測定した(単位:秒/100ml)。同じサンプルについて同様の測定を、場所を変えて5回行い、得られたガーレー透気度の平均値を当該サンプルの透気抵抗とした。この際、ガーレー透気度の平均値が7,200秒/100mlを超えるものについては実質的に透気抵抗を有さないものとみなし、無限大(∞)秒/100mlとした。
(8)電池特性評価
宝泉(株)製のリチウムコバルト酸化物(LiCoO)厚みが40μmの正極を使用し、直径15.9mmの円形に打ち抜き、また、宝泉(株)製の黒鉛厚みが50μmの負極を使用し、直径16.2mmの円形に打ち抜き、次に、各実施例・比較例のセパレータ用フィルムを直径24.0mmに打ち抜き、正極活物質と負極活物質面が対向するように、下から負極、セパレータ、正極の順に重ね、蓋付ステンレス金属製小容器に収納した。容器と蓋とは絶縁され、容器は負極の銅箔と、蓋は正極のアルミ箔と接している。この容器内にエチレンカーボネート:ジメチルカーボネート=3:7(質量比)の混合溶媒に溶質としてLiPFを濃度1M/Lとなるように溶解させた電解液を注入して密閉した。各実施例・比較例につき、電池を作製した。
作製した各二次電池について、25℃の雰囲気下、充電を3mAで4.2Vまで1.5時間、放電を3mAで2.7Vまでとする充放電操作を行い、放電容量を調べた。さらに、充電を3mAで4.2Vまで1.5時間、放電を30mAで2.7Vまでとする充放電操作を行い、放電容量を調べた。
[(30mAの放電容量)/(3mAの放電容量)]×100の計算式で得られる値を以下の基準で評価した。なお、試験個数は20個測定し、その平均値で評価した。
○:80%以上
△:75%以上80%未満
×:75%未満
(9)加工性評価
多孔性ポリプロピレンフィルムロールの走行性評価として、小型スリッターを用いて巻取り時の蛇行を評価した。スリッターの巻き出し機に多孔性ポリプロピレンフィルムロールをセットし、速度20m/minでフィルムを走行させスリットせずに巻き取った。このときの巻き出し張力、巻取り張力および搬送張力は30N/mとした。100m巻き上げた時の端面のずれによって、以下の基準で評価した。
○:1mm未満
△:1mm以上3mm未満
×:3mm以上
(実施例1)
多孔性ポリプロピレンフィルムの原料樹脂として、住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4(以下、PP−1と表記、MFR=8)を94質量部、高溶融張力ポリプロピレン樹脂であるBasell製ポリプロピレンPF−814(以下、HMS−PPと表記、MFR=2.5)を1質量部、エチレン−オクテン−1共重合体であるダウ・ケミカル製 Engage8411(メルトインデックス:18g/10分、以下、単にPEと表記)を5質量部に加えて、β晶核剤であるN,N’−ジシクロヘキシル−2,6−ナフタレンジカルボキシアミド(新日本理化(株)製、Nu−100、以下、単にβ晶核剤と表記)を0.2質量部、さらに酸化防止剤であるチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製IRGANOX1010、IRGAFOS168を各々0.15、0.1質量部を、この比率で混合されるように計量ホッパーから二軸押出機に原料供給し、300℃で溶融混練を行い、ストランド状にダイから吐出して、25℃の水槽にて冷却固化し、チップ状にカットしてチップ原料とした。
このチップを単軸押出機に供給して210℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、Tダイから120℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、ドラムに15秒間接するようにキャストして未延伸シートを得た。未延伸フィルムのβ晶形成能は65%であった。ついで、125℃に加熱したセラミックロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に5倍延伸を行った。次にテンター式延伸機に端部をクリップで把持させて導入し、幅方向に150℃で5倍に、延伸速度1,800%/分で延伸した。そのまま、幅方向に10%のリラックスを掛けながら155℃で3秒間熱固定処理を行い、その後、エッジ部を両端200mmづつ切り落として幅500mmにスリットして3N/mの張力で巻き取り中間ロールを得た。その後中間ロールのコアを水平に保持したまま、30℃の保管庫中で100時間保持した。その後、スリッターで幅200mmにスリットして30N/mの張力で巻き取り多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。多孔性ポリプロピレンフィルムの厚みは25μmであった。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で中間ロールを巻き取った後の保持時間を48時間とした以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
(実施例3)
実施例1で幅方向の延伸倍率を2.5倍に、また延伸速度を900%/分に変更した以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
(実施例4)
実施例1で長手方向の延伸倍率を2.5倍に変更した以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
(実施例5)
実施例1で中間ロールを巻き取る際の張力を30N/mとした以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
(実施例6)
実施例1で中間ロールを巻き取る際の張力を100N/mとした以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
(実施例7)
多孔性ポリプロピレンフィルムの原料樹脂として、表層A層用の原料には住友化学(株)製ホモポリプロピレンFLX80E4を単軸の溶融押出機に供給し、中間層B層の原料には、住友化学(株)製ホモポリプロピレンD101(MFR=0.5)を単軸の溶融押出機に供給し、それぞれ230℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物を除去後、フィードブロックにて3層積層し(A/B/A積層)、Tダイ(スリット間隙1.8mm)から115℃に表面温度を制御したキャストドラムに吐出し、60m/分で150μmの厚みの未延伸フィルムを巻き取った。続いて得られた未延伸フィルムを50℃で長手方向に1.5倍、更に150℃で長手方向に1.7倍の2段延伸を行い、140℃で3秒間熱固定処理を行い、その後、エッジ部を切り落として幅300mmにスリットして3N/mの張力で巻き取り中間ロールを得た。その後中間ロールのコアを水平に保持したまま、30℃の保管庫中で100時間保持した。その後、スリッターで幅200mmにスリットして30N/mの張力で巻き取り多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。多孔性ポリプロピレンフィルムの厚みは55μmであった。得られたフィルムの物性を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で中間ロールを巻き取る際の張力を200N/mとした以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
(比較例2)
実施例1で中間ロールを巻き取る際の張力を300N/mとした以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
(比較例3)
実施例1で中間ロールを巻き取った後の保持時間を10分とした以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
(比較例4)
実施例1で中間ロールを巻き取った後の保持時間を1,500時間とした以外は実施例1に記載した原料組成、製膜条件で多孔性ポリプロピレンフィルムロールを得た。
Figure 2011140633
本発明の要件を満足する実施例では高い空孔率と優れた生産性に加えて、フィルムの品位、平面性に優れるため蓄電デバイス用のセパレータとして好適に用いることが可能である。一方、比較例では、電池組立不良の原因となる平面性の悪化が生じるため、蓄電デバイス用のセパレータとして用いることが困難である。
本発明の多孔性ポリプロピレンフィルムロールは、生産性に優れ、蓄電デバイスのセパレータに用いた際に優れた電池特性を示し、また、電池製造工程における加工適正に優れることからリチウムイオン電池用セパレータとして好適に使用することができる。
11:多孔性ポリプロピレンフィルム
12:多孔性ポリプロピレンフィルムから湾曲量測定部位までの距離(500mm)
13:湾曲量測定部位
14:多孔性ポリプロピレンフィルムから湾曲量測定部位までの距離(500mm)
21:多孔性ポリプロピレンフィルム
22:水平な平面を有する台
23:たるみ量測定部位

Claims (4)

  1. 乾式法による多孔性ポリプロピレンフィルムをコア上に捲回した多孔性ポリプロピレンフィルムロールであって、多孔性ポリプロピレンフィルムロール中の長手方向の任意の場所においてフィルムを巻き出して測定した際の、フィルム長さ1mにおける湾曲量およびたるみ量がいずれも3mm以下である多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
  2. 空孔率が60〜85%である多孔性ポリプロピレンフィルムを捲回してなる、請求項1に記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
  3. 長手方向の破断強度Eが65MPa以上であり、幅方向の破断強度Eが45MPa以上である多孔性ポリプロピレンフィルムを捲回してなる、請求項1または2に記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
  4. β晶形成能が40〜90%のポリプロピレン樹脂を含む多孔性ポリプロピレンフィルムを捲回してなる、請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性ポリプロピレンフィルムロール。
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