JP2011137123A - 反応性希釈剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(1);
[化1]
(式中、Rは、水素原子又は1価の有機基を表す。該有機基は、炭化水素で構成され、エーテル基を有していてもよく、該炭化水素の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。)で表されるラジカル重合性単量体であって、1333Pa条件下での沸点が95℃以上であることを特徴とするラジカル重合性単量体。
【選択図】なし
Description
本発明はまた、上記ラジカル重合性単量体を含んでなるラジカル硬化性組成物でもある。本発明は更に、それらを硬化させる硬化方法、及び、該硬化方法によりラジカル重合性単量体を硬化させて得られる硬化物でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、本発明において、「硬化」とは、重合反応により高分子量体が生じ、例えば粘着剤として有用な粘凋な液状物質や、例えばコーティング材として有用な硬い固体状物質を形成することであり、固化や架橋体の形成を必須とする概念ではない。
以下にAMA基のラジカル硬化機構について説明する。
上記ラジカル重合性単量体の1333Pa条件下での沸点としては、99℃以上であることがより好ましく、103℃以上であることが更に好ましい。
P0.105=14.1T0.105+C (1)
P:蒸気圧[mmHg]、T:温度[K]、C:物質定数
上式(1)を用いれば、一点の実測値から物質定数Cが決まり、任意圧力の沸点を求めることができる。つまり、1333Pa(10mmHg)での実測値の沸点から常圧の沸点を求めることができる。
すなわち、下記式(1);
また、該有機基は、炭化水素骨格、またはエーテル結合を含む炭化水素骨格からなる1価の有機基であり、置換基を有していてもよい。すなわち、上記炭化水素骨格、またはエーテル結合を含む炭化水素骨格を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部が置換基で置き換えられていてもよい。
上記炭化水素骨格からなる1価の有機基としては、例えば、炭素数3以上の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3以上の鎖状不飽和炭化水素基、炭素数3以上の脂環式炭化水素基、炭素数6以上の芳香族炭化水素基、などが挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜30の鎖状飽和炭化水素基、炭素数4〜30の鎖状不飽和炭化水素基、炭素数4〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基が挙げられる。
上記エーテル結合を含む炭化水素骨格からなる1価の有機基としては、上記鎖状飽和炭化水素基、鎖状不飽和炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基を構成する少なくとも1つの炭素−炭素結合に酸素原子が挿入した構造のものが挙げられる。
上記置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、シアノ基、トリメチルシリル基、などが挙げられる。
また、鎖状飽和炭化水素基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をハロゲン原子やシアノ基等で置換したものであってもよい。
上記鎖状不飽和炭化水素基としては、芳香属性でない炭素−炭素不飽和結合を少なくとも1つ含む直鎖状、或いは分岐状の炭化水素基であればよく、特に限定されないが、例えば、クロチル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、2−メチル−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、3−メチル−3−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、オレイル、リノール、リノレン、等の基が好適なものとして挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、3員環以上の飽和環状構造、あるいは芳香属性でない不飽和環状構造を含む炭化水素基であればよく、特に限定されないが、例えばシクロペンチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、4−メチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル等の基が好適なものとして挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、6員環以上の芳香属性の環状構造を含む炭化水素基であればよく、特に限定されないが、例えばフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、ベンジル、ジフェニルメチル、ジフェニルエチル、トリフェニルメチル、シンナミル、ナフチル、アントラニル等の基が好適なものとして挙げられる。
(a)アクリル酸アルキルエステルとパラホルムアルデヒドとを反応させて、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエステルを得る工程。
(b)α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエステルから、2,2′−〔オキシビス(メチレン)〕ビスアクリル酸アルキルエステルを得る工程。
(c)2,2′−〔オキシビス(メチレン)〕ビスアクリル酸アルキルエステルにアリルアルコールを反応させて、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステルとα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸アルキルエステルとを含む組成物を得る工程。
以下に主な添加剤について説明する。
本発明のラジカル重合性単量体は、加熱および/または電磁波や電子線などの活性エネルギー線の照射によりラジカル重合を開始し、硬化することができるが、ラジカル重合開始剤を併用することにより、より効果的に硬化させることができる。すなわち、本発明のラジカル硬化性組成物が、更に、ラジカル重合開始剤を含むこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記ラジカル重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤と、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤とがあり、通常ラジカル重合開始剤として用いられるものを1種または2種以上使用できる。また、必要に応じて通常用いられるラジカル重合促進剤、光増感剤等を1種または2種以上さらに添加することも好ましい。
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の過酸化物系重合開始剤。
ラジカル重合開始剤以外の硬化促進剤としては、多官能チオールが挙げられる。多官能チオールは、ラジカル硬化において多官能性連鎖移動剤として作用でき、また、アリルエーテル基とのエン−チオール反応機構に基づく架橋剤としても作用できるため、本発明の硬化性組成物の硬化性を向上することができる。このような多官能チオールとしては、メルカプト基を同一分子内に2個以上有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンなどが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物は、性能バランスや経済性を考慮し、その優れた特徴を失わない範囲で、本発明のラジカル重合性単量体以外の他の重合性単量体を含んでいてもよい。このような他の重合性単量体としては、炭素−炭素不飽和結合のようなラジカル重合性基を有する化合物や、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基のようなカチオン重合性基を有する化合物、ラジカル重合性基とカチオン重合性基の両方を有するハイブリッド型化合物が挙げられ、目的、用途に応じて1種または2種以上を使用することができ、特に限定はされないが、上述した本発明のラジカル重合性単量体と同じ機構で硬化することができる本発明のラジカル重合性単量体以外の他のラジカル重合性単量体であることが好ましい。
上記単官能性のラジカル重合性単量体としては、具体的には、例えば、メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸s−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和酸無水物類;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン等の芳香族ビニル類;メチルマレイミド、エチルマレイミド、イソプロピルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミドなどのN置換マレイミド類;1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類などが挙げられる。
安定剤は、取扱い性や貯蔵安定性を向上するために、ラジカル重合や酸化劣化を防止する機能をもつ化合物であり、通常用いられる重合禁止剤、酸化防止剤を1種または2種以上使用でき、特に限定されるものではない。このような化合物としては、例えば、フェノール系化合物、有機酸銅塩、フェノチアジン類、ホスファイト類、チオエーテル類、ヒンダードアミン系化合物、アスコルビン酸類、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。これらの中では、着色や相溶性などの点でフェノール系化合物が好ましく、具体的には、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、メトキノン、6−t−ブチル−2,4−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などが挙げられる。
バインダー樹脂は、塗膜形成性付与/向上、型崩れ防止などの充填剤的な役割をするオリゴマーあるいは重合体であり、目的や用途に応じて、さらに、アルカリ現像性、色材分散性、耐熱性など、様々な機能を付与する。このようなバインダー樹脂としては、通常バインダー樹脂として用いられる様々なオリゴマー、あるいは重合体を1種または2種以上使用でき、特に限定されるものではない。例えば、カルボキシル基変成ビニルエステル樹脂や(メタ)アクリル酸共重合体などのアルカリ可溶性のオリゴマー、あるいは重合体をバインダー樹脂に用いると、本発明の硬化性組成物を、ソルダーレジスト、カラーフィルター用レジスト、保護膜レジストなどのアルカリ現像型の永久レジスト用途に適用できる。また、例えば(メタ)アクリル酸エステル重合体など、適度なガラス転移温度と、色材や分散剤との相溶性を有する重合体をバインダー樹脂に用いると、本発明の硬化性組成物を、塗料やインキ用途に適用することができる。
溶剤は、希釈による低粘度化、塗布膜厚の調整、硬化性組成物中の各成分の均一混合/分散、等のために使用されるものであり、本発明の硬化性組成物は、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。このような溶剤としては、硬化性組成物中の各成分を溶解、或いは分散できる低粘度の有機溶媒或いは水であればよく、硬化性組成物に通常用いられるものが使用でき、特に限定されるものではない。
上記硬化物の密着性、機械物性については、主にラジカル硬化機構により生じる繰り返し単位の構造(テトラヒドロフラン環の両隣にメチレン基がある構造)に起因して発揮されると推測される特性であり、密着性に優れるとは、上述の硬化方法により得られた硬化物が、基材(例えば、ガラス、樹脂、金属など)によく密着し剥がれにくい、ということである。また、機械物性に優れるとは、上述の硬化方法により得られた硬化物が、高靭性である(硬く、粘り強い)、ということである。
上記硬化物の密着性については、クロスカット試験法における密着しているマス目の割合や、基材と基材を上記硬化物で張り合わせたものを剥がす時に必要な引張強度などによって表すことができ、これらの値が高いほど密着性に優れていると言える。
上記硬化物の機械物性については、破断エネルギーや伸び、弾性率によって表すことができ、これらの値が高いほど高靭性であり、硬くて粘り強い硬化物となる。
なお、上記反応性希釈剤を他の組成物や材料と混合したり接触したりする条件下で硬化させて硬化物を得る場合においても、本発明の反応性希釈剤は希釈剤として働いているということができ、有している効果を発揮することもできる。したがって、本発明の反応性希釈剤を他の組成物や材料と混合する、及び/又は、接触する条件下で硬化させて硬化物を得ることもまた、本発明の反応性希釈剤の用途の1つといえる。
式(1)で表されるラジカル重合性単量体を合成する際に行う分析は、次のような方法により行った。
(高速液体クロマトグラフィ(HPLC)による反応追跡)
反応溶液を、下記希釈溶媒で希釈し、下記高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置、及び条件で分析し、ピークの面積比を元にして生成した化合物の割合を計算した。
HPLC装置:DGU−20A5、LC−20AD、SIL−20A、SPD−20A、CTO−20A(いずれも島津製作所社製)の組み合わせ
希釈溶媒:アセトニトリル/メタノール=2/1(質量比)
溶出溶媒:5mol%リン酸水溶液/アセトニトリル/メタノール混合溶媒
分離カラム:CAPCELL PACK C18 TYPE:AQ (資生堂社製)
(ガスクロマトグラフィ(GC)による反応液分析)
反応溶液をn−ヘキサン又はアセトニトリルで希釈し、下記ガスクロマトグラフィ装置で分析し、ピークの面積比を元にして生成した化合物の割合を計算した。
GC装置:6890N(Agilent Technologies社製)
分離カラム:キャピラリーカラム DB−WAX(Agilent Technologies社製)長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.5μm
(1H−NMR測定)
試料200mgをテトラメチルシランを含有する重クロロホルム3gに溶解し、核磁気共鳴装置(400MHz、Varian社製)により測定した。
(α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(Me−AMA)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管、減圧装置を備えた5Lの4つ口フラスコに、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル 2032.1部、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン 98.9部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール(MEHQ) 1.02部、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO) 1.02部を仕込んだ。その後、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を吹き込みながら、10kPaの減圧下、反応液を100℃に昇温し、生成する水を留去しながら2時間反応させた。解圧して、常圧下、100℃でアリルアルコール 1523.0部に1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン 98.0部を溶解させた液を2時間かけて滴下し、更に12時間反応させた。
反応後、ガスクロマトグラフィーを用いて測定したところ、Me−AMAの収率がα−(ヒドロキシメチル)メチルに対し59モル%、α−(ヒドロキシ)アクリル酸メチルの転化率が89モル%であった。次に残存しているアリルアルコールを減圧下(操作圧力:7kPa)、単蒸留で留出させて、反応液 2778.1部を得た。この反応液に8質量%水酸化ナトリウム溶液 919.5部を加え室温で30分撹拌した後30分静置し、油水分離して有機相を2101.3部得た。更にこの有機相に8質量%水酸化ナトリウム溶液 231.3部を加え室温で30分撹拌した後30分静置し、油水分離して有機相を2017.7部得た。引き続き、得られた有機相を5質量%芒硝水溶液で洗浄し油水分離を行った。この操作をもう一度行った後、有機相を1900.7部得た。この有機相に重合禁止剤としてMEHQ 0.95部、2−t−ブチルハイドロキノン(TBH) 0.95部、亜リン酸トリフェニル 0.95部を加え、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を吹き込みながら、2kPaの減圧下、ディクソンパッキンを充填した充填塔を用いて蒸留し、純度99.5質量%のMe−AMAを1337.3部得た。
(1−クロロ−3−メトキシ−テトラメチルジスタノキサンの合成)
エステル交換触媒である1−クロロ−3−メトキシ−テトラメチルジスタノキサン(CMDS、下記化学式(4)に示す化合物)は、Rokuro Okawara、Masanori Wada、Journal of Organometallic Chemistry、1963年、第1巻、p.81−88に記載の方法により合成した。
(α−アリルオキシメチルアクリル酸t−ブチル(tBu−AMA)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管、減圧装置を備えた500mLの4つ口フラスコにアクリル酸t−ブチル 307.6部、パラホルムアルデヒド(純度92%) 39.2部、蒸留水 4.5部、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン 6.8部、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 1.02部を仕込んだ。その後、撹拌し、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を吹き込みながら、反応液を90℃に昇温し、11時間反応させた。残存するアクリル酸t−ブチルを留去するため、一旦、40℃まで冷却させた後、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を吹き込みながら、反応器内の圧力が2.0kPaになるように減圧し、徐々に昇温と減圧を行い、最終的に反応器内の圧力が1.0kPa、反応液の温度が100℃に到達した時点でアクリル酸t−ブチルの留去を終了した。解圧して常圧に戻した後、アリルアルコール 90.6部に1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン 6.6部を溶解させた溶液を加え、100℃で更に14時間反応させた。反応後、触媒である1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンを取り除く目的で水洗を行い、油水分離により有機相を227.3部得た。次に残存しているアリルアルコールを減圧下(操作圧力:7.0kPa)、単蒸留で留出させて、更に1.33kPaまで減圧し、t−Bu−AMAとα−ヒドロキシメチルアクリル酸t−ブチルとの混合物を137.0部得た。更にα−ヒドロキシメチルアクリル酸t−ブチルを除去することを目的に、この混合物に無水酢酸 42.6部、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン 4.0部、4H−TEMPO 0.07部を加え、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を吹き込みながら80℃で6時間反応させ、α−ヒドロキシメチルアクリル酸t−ブチルのみをα−アセトキシメチルアクリル酸t−ブチルに変換した。その後、触媒の1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンと副生する酢酸の除去を目的として水洗を行い、油水分離により得られた有機相を1333Paの減圧下、蒸留精製し、tBu−AMAを99.4質量%の純度で得た。また、tBu−AMA留出の際、その留出温度は87℃であった。
(α−アリルオキシメチルアクリル酸ベンジル(Bz−AMA)の合成)
攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に、ベンジルアルコール(BzOH) 115.0部、Me−AMA 332.2部、CMDS 6.1部、p−メトキシフェノール(MEHQ) 4.9部を仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、反応器内の圧力が40kPaになるまで徐々に減圧した。40kPaに到達してから昇温を開始し、内温が105℃〜110℃になるように調節しながら、エステル交換反応により生じたメタノールを溜出させた。反応液を1時間おきにサンプリング、HPLCで反応生成物を追跡しながら、メタノールの溜出を続けた。HPLCによる分析で、BzOHのピークの面積が、Bz−AMAのピークの面積の3%以下になったのを確認した後、1kPaまで減圧し、40分間その圧力を維持して過剰のMe−AMAを溜出させた。その後、冷却、解圧した。
反応液を分液漏斗に入れ、n−ヘキサンで希釈し、4%水酸化ナトリウム水溶液を加えてよく攪拌した後、静置、下層の水層を除去した。これを5回繰り返し、CMDS、残存Me−AMA、MEHQを除去した。上層の有機層を取り出し、アルカリ吸着剤(キョーワード700SL、協和化学工業社製)を20.0部添加して、1時間室温で攪拌した後、濾過した。濾液を、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、内温が25〜30℃になるよう加温しながら、圧力が1kPaになるまでゆっくり減圧してn−ヘキサンを除去した。1kPaに到達した後、20分間その圧力を維持してから解圧して、目的の化合物である、Bz−AMAを197部得た。得られたBz−AMAにMEHQ 0.06部を加えMEHQの濃度が300ppmになるように調製した。また、得られたBz−AMAをNMR装置で分析した。その1H−NMRチャート及び帰属させた図を図4に示す。
(α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル(CH−AMA)の合成)
攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器にシクロヘキサノール(CHOH) 24.04部、Me−AMA 74.6部、酸化ジブチルすず(IV)(DBTO) 6.0部、MEHQ 1.5部を仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、反応器内の圧力が27kPaになるまで徐々に減圧した。27kPaに到達してから昇温を開始し、内温が100℃になるように調整し、エステル交換反応により生じたメタノールを溜出させながら6.5時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、CH−AMA、Me−AMA、CHOHの面積比は39:45:12であった。その後、一旦冷却し、800Paまで減圧した後、内温が100℃に到達するまでCHOH及びMe−AMAを留出させた。その後、冷却、解圧した。
反応液をn−ヘキサンで希釈し、更に4%NaOH水溶液を加え、DBTOを析出させ濾過により取り除いた。ろ液を油水分離し、得られた油層を15%NaOH水溶液で洗浄し、油水分離した。この操作を5回繰り返し、残存Me−AMA、MEHQを取り除いた。得られた有機相に、アルカリ吸着剤(キョーワード700SL、協和化学工業社製)を5.0部添加して、1時間室温で攪拌した後、濾過した。濾液を、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、内温が25〜30℃になるよう加温しながら、圧力が800Paになるまでゆっくり減圧してn−ヘキサンを除去した。800Paに到達した後、20分間その圧力を維持してから解圧して、目的の化合物である、CH−AMAを26.4部得た。得られたCH−AMAにMEHQ 0.008部を加えMEHQの濃度が300ppmになるように調製した。また、得られたCH−AMAをNMR装置で分析した。その1H−NMRチャート及び帰属させた図を図5に示す。
(α−アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフルフリル(THF−AMA)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管を付した反応器にテトラヒドロフルフリルアルコール(THFOH) 198.4部、Me−AMA 100.1部、チタンテトラブトキシド 10.9部、4H−TEMPO 0.10部を仕込み、撹拌しながら酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、100℃まで昇温し、14時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、THF−AMA、Me−AMA、THFOHの面積比は24:11:51であった。また、触媒由来の不純物であるα−アリルオキシメチルアクリル酸n−ブチル(nBu−AMA)がTHF−AMAに対して15面積%含まれていた。この反応液をn−ヘキサンで希釈し、水を加え、チタン化合物を析出させ濾過により取り除いた。濾液を油水分離し、得られた有機相に水を加えよく撹拌し、静置、油水分離し、残存THFOHを水相側に取り除いた。得られた有機相に4H−TEMPOを0.15部加え、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、反応器内の圧力が400Paになるまで徐々に減圧した。400Pa到達後、徐々に昇温し、内温が80℃になるまで残存Me−AMAを取り除いた。その後、冷却、解圧した。
得られた液をn−ヘキサンで希釈し、水を加え十分に撹拌し、静置、油水分離を行った。この操作を3回繰り返し、4H−TEMPOを取り除いた。得られた有機相を、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、内温が25〜30℃になるよう加温しながら、圧力が800Paになるまでゆっくり減圧してn−ヘキサンを除去した。800Paに到達した後、20分間その圧力を維持してから解圧して、目的の化合物である、THF−AMAを70.0部得た。得られたTHF−AMAにMEHQ 0.021部を加えMEHQの濃度が300ppmになるように調製した。また、得られたTHF−AMAをガスクロマトグラフィーにより分析したところ、THF−AMA、Me−AMA、nBu−AMAの混合物であり、その面積比はTHF−AMA:Me−AMA:nBu−AMA=83:3:14であった。更にNMR装置でも分析した。その1H−NMRチャート及び帰属させた図を図6に示す。
(α−アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル(MOE−AMA)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管を付した反応器に2−メトキシエタノール(MOEOH) 44.0部、Me−AMA 30.0部、チタンテトライソプロポキシド 2.9部、TBH 0.03部を仕込み、撹拌しながら酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、100℃まで昇温し、8時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、MOE−AMA、Me−AMA、MOEOHの面積比は3:1:3であった。この反応液をn−ヘキサンで希釈し、水を加え、チタン化合物を析出させ濾過により取り除いた。濾液を油水分離した後、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、ビグリュー、トの字管、冷却管、分留器、溜出液受器を付した反応器に有機相とTBHを0.17部仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、反応器内の圧力が1333Paになるように減圧し、徐々に昇温と減圧を行い、n−ヘキサン、残存2−メトキシエタノール、残存Me−AMA、MOE−AMAの順に留出させ分離した。得られた目的物MOE−AMAは9.1部であり、最終到達圧力は533Pa、内温は110℃であった。またMOE−AMAは圧力1333Paでは内温110℃で留出せず、圧力を533Paまで下げることにより留出した。その際の気相部の温度は104℃であった。得られたMOE−AMAにMEHQ 0.003部を加えMEHQの濃度が300ppmになるように調製した。また、得られたMOE−AMAをNMR装置で分析した。その1H−NMRチャート及び帰属させた図を図7に示す。
(α−アリルオキシメチルアクリル酸エチルヘキシル(EH−AMA)の合成)
攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に2−エチルヘキサノール(EHOH) 21.0部、Me−AMA 50.0部、DBTO 4.0部、MEHQ 1.0部を仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、反応器内の圧力が20kPaになるまで徐々に減圧した。20kPaに到達してから昇温を開始し、内温が100℃になるように調整し、エステル交換反応により生じたメタノールを溜出させながら6時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、EHOHは完全転化しており、EH−AMAとMe−AMAの面積比は36:14であった。その後、一旦冷却し、800Paまで減圧した後、内温が100℃に到達するまでMe−AMAを留出させた。その後、冷却、解圧した。
反応液をn−ヘキサンで希釈し、更に4%NaOH水溶液を加え、DBTOを析出させ濾過により取り除いた。ろ液を油水分離し、得られた油層を15%NaOH水溶液で洗浄し、油水分離した。この操作を5回繰り返し、残存Me−AMA、MEHQを取り除いた。得られた有機相に、アルカリ吸着剤(キョーワード700SL、協和化学工業社製)を5.0部添加して、1時間室温で攪拌した後、濾過した。濾液を、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、内温が25〜30℃になるよう加温しながら、圧力が800Paになるまでゆっくり減圧してn−ヘキサンを除去した。800Paに到達した後、20分間その圧力を維持してから解圧して、目的の化合物である、EH−AMAを36.6部得た。得られたEH−AMAにMEHQ 0.011部を加えMEHQの濃度が300ppmになるように調製した。また、得られたEH−AMAをNMR装置で分析した。その1H−NMRチャート及び帰属させた図を図8に示す。
(α−アリルオキシメチルアクリル酸ネオペンチル(NP−AMA)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管を付した反応器にネオペンチルアルコール(NPOH) 49.5部、Me−AMA 88.6部、チタンテトライソプロポキシド 8.1部、4H−TEMPO 0.09部を仕込み、撹拌しながら酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、100℃まで昇温し、6時間反応させた。反応終了後、ガスクロマトグラフィーにより分析したところ、NP−AMA、Me−AMA、NPOHの面積比は17:8:7であった。この反応液をn−ヘキサンで希釈し、水を加え、チタン化合物を析出させ濾過により取り除いた。濾液を油水分離した後、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、ビグリュー、トの字管、冷却管、分留器、溜出液受器を付した反応器に有機相と4H−TEMPOを0.46部仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、反応器内の圧力が1333Paになるように減圧し、徐々に昇温行い、n−ヘキサン、残存NPOH、残存Me−AMA、NP−AMAの順に留出させ分離した。得られた目的物NP−AMAは37.1部であり、最終の内温は110℃であった。またNP−AMA留出の際の気相部の温度は106℃であった。得られたNP−AMAにMEHQ 0.011部を加えMEHQの濃度が300ppmになるように調製した。また、得られたNP−AMAをNMR装置で分析した。その1H−NMRチャート及び帰属させた図を図9に示す。
気相部の温度が測定可能なガラス器具、冷却管、減圧装置を備えたフラスコに合成例1で得られたMe−AMA 100部、4H−TEMPO 0.2部を加え、撹拌しながら1333Paまで減圧し、昇温して還流させた。十分な還流量であることを確認し、気相部の温度を測定したところ、72℃であった。
tBu−AMA、NP−AMAの沸点については、圧力1333Pa、MOE−AMAについては533Paで単蒸留で蒸留精製する際の気相部の温度を測定した。また、Bz−AMA、CH−AMA、THF−AMA、EH−AMAについては、フラスコに仕込み533Paに減圧し、フラスコを加熱するオイルバスを130℃まで加熱したが留出しなかったため、1333Paの沸点が126℃以上、常圧での沸点が245℃以上とみなした。
P0.105=14.1T0.105+C
P:蒸気圧[mmHg]、T:温度[K]、C:物質定数
1333Pa(10mmHg)での沸点106℃から定数C=−25.0277が求まり、常圧101.3kPa(760mmHg)での沸点は219℃と算出された。また、同様にして、Me−AMA、tBu−AMAの常圧での沸点求め、MOE−AMAの1333Paでの沸点と常圧での沸点を求めた。その結果を表1に示す。
本発明のラジカル重合性単量体のラジカル硬化性を、酸素硬化阻害の影響が出易い、薄膜でのUV硬化で評価した。UV照射装置としては、次の高出力パルス型UV照射装置を用いた。
パルス紫外線照射システムRC−800 (Xenon社製)
1秒あたりのショット数:15回
ラジカル重合性単量体として、実施例1−1で得られたBz−AMA 2.0部、光開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(製品名:ダロキュア1173、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) 0.1部を攪拌混合し、バーコーター(No.20)を用いてアルミ板に塗布した。これに上記UV照射装置を用いて1秒単位でUV照射した。UV照射前は低粘度の液体であり、指触してもタックはないが、硬化が進行するにつれ、タックが発現し、完全に硬化すると表面がタックレスとなった。タックが発現した時、及びタックレスとなった時のUV照射時間[秒]をラジカル硬化性の指標とした。結果を表2に示す。
用いたラジカル重合性単量体を表2に示すように変えたこと以外は、実施例2−1と同様にラジカル硬化性を評価した。結果を表2に示す。
Me−AMAをラジカル硬化性単量体として用いた以外は、実施例2−1と同様にラジカル硬化性を評価したところ、最短で20秒でタック化、25秒でタックレス化する場合もあったが、全く硬化しない場合もあり、再現性が非常に悪かった。結果を表2に示す。
tBu−AMAをラジカル硬化性単量体として用いた以外は、実施例2−1と同様にラジカル硬化性を評価したところ、最短で9秒でタック化、11秒でタックレス化する場合もあったが、最長で15秒でタック化、17秒でタックレス化する場合もあり、硬化はするものの、再現性が悪かった。結果を表2に示す。
用いたラジカル重合性単量体を表2に示すように変えたこと以外は、実施例2−1と同様にラジカル硬化性を評価した。結果を表2に示す。
なお、表2中の略号は、以下の通りである。
BzA:アクリル酸ベンジル
CHA:アクリル酸シクロヘキシル
THFA:アクリル酸テトラヒドロフルフリル
THFM:メタクリル酸テトラヒドロフルフリル
MOEA:アクリル酸メトキシエチル
EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル
×:30秒照射しても硬化しない。
−:硬化物のガラス転移温度が室温未満であるため、タックレス化しない。
※2:数値は、タック化、又は、タックレス化に要したUV照射時間(秒)を表し、丸括弧内の数値は、硬化物のガラス転移温度が室温付近であるためタックレス化の判断が難しいが、タックレス化に要したと思われるUV照射時間(秒)を表している。
実施例2−1〜2−6と比較例2−1〜2−2との対比から、AMA単量体においては、沸点を上げることがラジカル硬化性に対して非常に効果的であり、1333Pa条件での沸点が95℃以上(常圧での沸点が205℃以上)とすることが好ましいことが分かる。
○(メタ)アクリル系単量体に対する優位性
実施例2−1と比較例2−3、実施例2−2と比較例2−4、実施例2−3と比較例2−5及び比較例2−6、実施例2−4と比較例2−7、実施例2−5と比較例2−8、以上の各対比から、硬化性基をAMA構造とすることにより、(メタ)アクリル系単量体よりもラジカル硬化性が飛躍的に向上していることが分かる。
[実施例3−1]
ラジカル重合性単量体として、実施例1−1で得られたBz−AMA 2.0部、光開始剤としてダロキュア1173 0.1部を攪拌混合し、バーコーター(No.20)を用いてアルミ板に塗布した。これに上記UV照射装置を用い、表面がタックレスとなるまで1秒単位でUV照射した。表面がタックレスとなってから、さらに2秒UV照射した後、JIS K 5600−5−6(クロスカット法)に従い、0〜5の6段階で密着性を評価した。結果を表3に示す。
用いたラジカル重合性単量体を表3に示すように変えたこと以外は、実施例3−1と同様に密着性を評価した。結果を表3に示す。
用いたラジカル重合性単量体を表3に示すように変えたこと以外は、実施例3−1と同様に密着性を評価した。結果を表3に示す。
ラジカル重合性単量体として、硬化物のガラス転移温度が室温より高いアクリレートである、アクリル酸イソボルニル(IBA)、及びアクリル酸ジシクロペンタニル(DCPA)を用いたこと以外は、実施例3−1と同様に密着性を評価した。結果を表3に示す。
また、表3中の密着性の分類についての一覧を表4に示す。
なお、表3中のラジカル重合性単量体についての記載方法は、表2と同様である。
実施例3−1〜3−4及び比較例3−1〜3−2と、比較例3−3〜3−4との対比から、硬化基をAMA構造とすることにより、密着性が飛躍的に向上することが分かる。
[実施例4−1]
(比重測定用硬化物の作製)
ラジカル重合性単量体としてBz−AMA 5.0部、熱ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日油社製) 0.08部、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(パーヘキシルND、日油社製) 0.02部を攪拌混合したものを、1mm幅の注型に流し込んだ。これを恒温水槽に入れ、50℃で1時間、さらに60℃で1時間加熱した後に、熱風乾燥器に入れ、70℃で2時間、さらに90℃で2時間加熱して硬化させた。室温まで冷却してから注型をはずし、1mm厚の板状硬化物を得た。この硬化物をカッターで切り出し、さらにサンドペーパーで側面を磨いて25mm×35mmの長方形に加工し、さらにワイアー用の穴を開けて比重測定用硬化物サンプルを得た。
Bz−AMA、上記のようにして得たBz−AMAの硬化物、及び純水を23℃に調温し、比重を測定した。単量体の比重は、比重瓶で測定した。硬化物の比重は、アルキメデスの原理に基づき、硬化物にワイアーを取り付け、水に浸すことにより測定した。なお、硬化物の比重は次の式により算出した。
硬化物の比重=(M2−M1)/(M2−M3)×水の比重
M1:ワイアー質量
M2:ワイアーが取り付けられた硬化物の質量
M3:水に浸した硬化物の質量
水の比重:1.00
次の式にしたがって算出した。
収縮率[%]=(dP−dM)/dP×100
dP:硬化物の比重
dM:単量体の比重
結果を表5に示す。
用いたラジカル重合性単量体の種類を、表5に示すとおりに変えたこと以外は、実施例4−1と同様にして硬化収縮率を測定した。結果を表5に示す。
なお、表5中のラジカル重合性単量体についての記載方法は、表2と同様であり、表5中の略号は、以下の通りである。
BzMA:メタクリル酸ベンジル
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル
MMA:メタクリル酸メチル
実施例4−1と比較例4−2、実施例4−2と比較例4−3、比較例4−1と比較例4−4との対比から、硬化基をAMA構造とすることにより、硬化収縮率を低減できることが分かる。
[実施例5−1]
ラジカル重合性単量体としてBz−AMA 20.0部、熱ラジカル開始剤としてパーブチルO 0.32部、パーヘキシルND 0.08部を攪拌混合したものを、1mm幅の注型に流し込んだ。これを恒温水槽に入れ、50℃で1時間、さらに60℃で1時間加熱した後に、熱風乾燥器に入れ、70℃で2時間、さらに90℃で2時間加熱して硬化させた。室温まで冷却してから注型をはずし、1mm厚の板状硬化物を得た。この硬化物をカッターで切り出し、さらにサンドペーパーで側面を磨いて図10のような形状に加工し、引張試験用サンプルを合計7個得た。このサンプルを下記引張試験機(インストロン社製)および試験条件にて引張試験を行い、7サンプルの平均値として、破断エネルギー(破壊靭性値、あるいは単に靭性値ともいう)[mJ]、伸び[%]、最大荷重[N]、弾性率[GPa]の各機械物性値を得た。結果を表6に示す。
(引張試験機)
本体型式:55R1185
コントローラ型式:5500
制御ソフト:BlueHill2(バージョン2.6.440)
(試験条件)
チャック間距離:40mm
クロスヘッド速度:5mm/min
用いたラジカル重合性単量体の種類を、表6に示すとおりに変えたこと以外は、実施例5−1と同様にして機械物性値を測定した。結果を表6に示す。
なお、表6中のラジカル重合性単量体についての記載方法は、表2と同様であり、表6中の略号は、表5と同様である。
実施例5−1と比較例5−1、実施例5−2と比較例5−2との対比から、硬化基をAMA構造とすることにより、硬さがありながら(最大荷重、弾性率が十分な値を取る)、伸びが大きく、したがって破断エネルギーが大きくなり、飛躍的に機械物性が向上する(硬さがありながら粘り強い)ことが分かる。
d:ピークの分裂パターンが2重線
t:ピークの分裂パターンが3重線
m:ピークの分裂パターンが多重線
Claims (5)
- 請求項1に記載のラジカル重合性単量体を含んでなることを特徴とするラジカル硬化性組成物。
- 前記ラジカル硬化性組成物は、更に、ラジカル重合開始剤を含むことを特徴とする請求項2に記載のラジカル硬化性組成物。
- 請求項1に記載のラジカル重合性単量体、又は、請求項2若しくは3に記載のラジカル硬化性組成物中のラジカル重合性単量体を硬化させる方法であって、
該硬化方法は、加熱及び/又は活性エネルギー線の照射により硬化させる工程を含むことを特徴とするラジカル重合性単量体の硬化方法。 - 請求項4に記載の硬化方法によりラジカル重合性単量体を硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
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