JPH08325200A - アリルエーテル類の製造方法 - Google Patents
アリルエーテル類の製造方法Info
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- JPH08325200A JPH08325200A JP8061431A JP6143196A JPH08325200A JP H08325200 A JPH08325200 A JP H08325200A JP 8061431 A JP8061431 A JP 8061431A JP 6143196 A JP6143196 A JP 6143196A JP H08325200 A JPH08325200 A JP H08325200A
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- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
る。 【解決手段】 一般式(1) 【化10】 (式中、R1 は水素原子または有機残基を表し、R2 は
有機残基を表す)で表されるアクリル酸エステル類と、
ヒドロキシル基含有化合物とを、例えば触媒として酸、
好ましくはプロトン酸の存在下で反応させる。上記の方
法によれば、アリルエーテル類の製造工程において副生
成物としてハロゲン化水素が生成しないので、従来の製
造方法において問題となっている製造装置の腐食や、環
境破壊を防ぐことができる。
Description
の新規な製造方法に関するものである。
ては、α−ハロメチルアクリル酸エステルとヒドロキシ
ル基含有化合物とを反応させる方法が知られている。特
開平6−145108号公報には、上記反応の例とし
て、下式に示すように、メチル−α−ブロモメチルアク
リレートと、2,2,2 −トリフルオロエチルアルコールと
から、メチル−α-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)メチ
ルアクリレートを合成する方法が開示されている。
No.6,1707−1709 (1992) には、メチル−α−ブロモ
メチルアクリレートと相当するアルコールとをトリエチ
ルアミンの存在下で反応させることによって、メチル−
α−アルコキシメチルアクリレート、メチル−α−(オ
リゴエチレンオキシ)メチルアクリレート等のアリルエ
ーテル類を合成する方法が開示されている。
来の製造方法では、原料にα−ハロメチルアクリル酸エ
ステルを使用しているので、例えば工業的に生産する場
合には、製造装置の腐食を防止するための手段を講じな
ければならず、また、得られる反応生成物を精製するた
めの工程が煩雑となる等の問題点を有している。さら
に、製造工程で副生成物としてハロゲン化水素が生成す
るため、該ハロゲン化水素を廃棄することにより環境破
壊を招く等の問題点も有している。
造方法が求められている。即ち、本発明の目的は、アリ
ルエーテル類の新規な製造方法を提供することにある。
エーテル類の新規な製造方法を提供すべく鋭意検討した
結果、アクリル酸エステル類と、ヒドロキシル基含有化
合物とを、例えば酸の存在下で反応させることにより、
アリルエーテル類を得ることができることを見い出し
て、本発明を完成させるに至った。
表し、R2 は有機残基を表す)で表されるアクリル酸エ
ステル類と、ヒドロキシル基含有化合物とを反応させる
ことを特徴としている。
ることを特徴としている。また、本発明は、触媒として
酸を共存させることを特徴としている。さらに、本発明
は、上記酸がプロトン酸であることを特徴としている。
化合物が、一般式(2)
表し、R4 は有機残基を表し、nは1〜3の正数を表
し、mは1〜100 の正数を表す)で表されるポリアルキ
レングリコールモノアルキルエーテル類であることを特
徴としている。
たは分子状酸素を共存させることを特徴としている。
般式(1)で表されるアクリル酸エステル類と、ヒドロ
キシル基含有化合物とを、例えば、触媒として酸、好ま
しくはプロトン酸の存在下で反応させることにより、ア
リルエーテル類を容易に得ることができる。従って、本
発明にかかる製造方法を用いれば、アリルエーテル類の
製造工程において副生成物としてハロゲン化水素が生成
しないので、従来の製造方法において問題となっている
製造装置の腐食や、環境破壊を防ぐことができる。
および/または分子状酸素を共存させることが好まし
い。原料である上記アクリル酸エステル類および生成物
であるアリルエーテル類は、分子中にビニル基等を含有
しているので、重合し易い性質を有している。従って、
重合禁止剤および/または分子状酸素を共存させること
で、上記アクリル酸エステル類およびアリルエーテル類
の重合を抑制することができる。また、上記ヒドロキシ
ル基含有化合物として、特に、前記一般式(2)で表さ
れるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類
を用いる場合には、上記ポリアルキレングリコールモノ
アルキルエーテル類が、ポリアルキレングリコール鎖を
有するパーオキサイド類を生成し易い性質を有している
ため、該アクリル酸エステル類およびアリルエーテル類
はさらに重合し易くなる。従って、ポリアルキレングリ
コールモノアルキルエーテル類とアクリル酸エステル類
とを反応させる際には、上記重合を充分に抑制するため
に、重合防止剤と分子状酸素とを併用することが望まし
い。
アリルエーテル類は、ヒドロキシル基含有化合物に由来
する側鎖部分がエーテル結合を介して該アクリル酸エス
テル類に由来する骨格部分に結合しているため、加水分
解を受けず、上記側鎖部分が脱離しない。従って、該ア
クリル酸エステル類と反応させるヒドロキシル基含有化
合物、即ち、ヒドロキシル基含有化合物に由来する側鎖
部分を選択することで、所望する種々の物性を有する重
合体が得られる。例えば、重合体に対して柔軟性を付与
したければ、ヒドロキシル基含有化合物として長鎖アル
キルアルコールを使用すればよく、撥水性を付与したけ
れば、フッ素を含有するアルコールを使用すればよく、
帯電防止性を付与したければ、ポリエチレングリコール
モノメチルエーテルを使用すればよい。また、上記ヒド
ロキシル基含有化合物として上記一般式(2)で表され
るポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類を
使用することで、セメント分散剤として好適に用いるこ
とができる重合体が得られる。このように、ヒドロキシ
ル基含有化合物を選択してアリルエーテル類を製造する
ことにより、該アリルエーテル類およびその重合体に種
々の性能を付与することができる。本発明の製造方法に
よって得られたアリルエーテル類は、重合性に優れてお
り、帯電防止剤、撥水剤、セメント分散剤、各種樹脂等
に使用できる。
いて詳しく説明する。本発明にかかるアリルエーテル類
の製造方法において原料として用いられる一般式(1)
表し、R2 は有機残基を表す)で表されるアクリル酸エ
ステル類は、特に限定されるものではないが、式中、R
1 で示される置換基が水素原子または有機残基で構成さ
れ、R2 で示される置換基が有機残基で構成される化合
物、即ち、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸エステル
類である。
有機残基とは、具体的には、炭素数1〜18の直鎖状、枝
分かれ鎖状、若しくは環状のアルキル基を示す。そし
て、これら化合物のうち、R1 で示される置換基が水素
原子またはメチル基である化合物が好ましく、なかで
も、R1 で示される置換基が水素原子である化合物がよ
り好ましい。
ステル類としては、具体的には、例えば、メチル−α−
ヒドロキシメチルアクリレート、エチル−α−ヒドロキ
シメチルアクリレート、n-ブチル−α−ヒドロキシメチ
ルアクリレート、2-エチルヘキシル−α−ヒドロキシメ
チルアクリレート、メチル−α-(1-ヒドロキシエチル)
アクリレート、エチル−α-(1-ヒドロキシエチル) アク
リレート、n-ブチル−α-(1-ヒドロキシエチル) アクリ
レート、2-エチルヘキシル−α-(1-ヒドロキシエチル)
アクリレート等のアルキル−α−ヒドロキシアルキルア
クリレート類が挙げられる。
みを用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用
いてもよい。上記例示の化合物のうち、メチル−α−ヒ
ドロキシメチルアクリレート、エチル−α−ヒドロキシ
メチルアクリレート、およびn-ブチル−α−ヒドロキシ
メチルアクリレートが、ヒドロキシル基含有化合物との
反応性や、重合性等が良好であり、また、入手が容易で
あるので好ましい。
公知の方法、例えば、相当するアクリレート化合物とア
ルデヒド化合物とを塩基性イオン交換樹脂等の触媒の存
在下で反応させる(特開平6-135896号公報等)ことによ
り、容易に得ることができる。
法において原料として用いられるヒドロキシル基含有化
合物は、アクリル酸エステル類との反応に対して活性な
水酸基を有する化合物であれば、特に限定されるもので
はない。
ては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、
n−ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノ
ール等のアルキルアルコール類;シクロヘキサノール、
シクロヘプタノール等のシクロアルキルアルコール類;
フェノール、ナフトール、ベンジルアルコール等のアリ
ールアルコール類;アリルアルコール、プロパギノール
等の不飽和アルコール類;メチルセルソルブ、エチルセ
ルソルブ、ブチルセルソルブ、カルビトール、ポリエチ
レングリコールモノメトキシエーテル、ポリプロピレン
グリコールモノエトキシエーテル等の、一般式(2)
表し、R4 は有機残基を表し、nは1〜3の正数を表
し、mは1〜100 の正数を表す)で表されるポリアルキ
レングリコールモノアルキルエーテル類;糖類;およ
び、これら化合物のハロゲン置換体等が挙げられる。さ
らに、本発明において原料として用いられるアクリル酸
エステル類、即ち、α−ヒドロキシアルキルアクリル酸
エステル類もまた、本製造方法におけるヒドロキシル基
含有化合物として用いることができる。尚、上記ヒドロ
キシル基含有化合物は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
ち、糖類とは、具体的には、単糖やオリゴ糖、多糖等の
糖類を基本骨格とする末端にヘミアセタール水酸基を含
有する全ての糖類を示す。尚、上記糖類が有する1位の
水酸基以外の水酸基は、その一部または全部がアセチル
基等のエステル結合、イソプロピリデン基等のアセター
ル結合、ブロモ基等のハロゲン原子等により保護されて
いてもよい。
は、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、
グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、N−ア
セチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、N
−アセチルマンノサミン等の六炭糖類;キシロース、リ
ボース、アラビノース等の五炭糖類等が挙げられる。ま
た、オリゴ糖としては、具体的には、例えば、マルトー
ス、ラクトース、セルビオース、トレハロース、イソマ
ルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラミナリ
ビオース、キトビオース、キシロビオース、マンノビオ
ース、ソロホース等の2糖類;マルトトリオース、イソ
マルトトリオース、マンノトリオース、マンニノトリオ
ース、マルトテトラオース、マルトペンタオース等が挙
げられる。さらに、多糖としては、具体的には、例え
ば、セルロース、アミロース(デンプン)、キチン、キ
トサン(chitosan) 等が挙げられるが、特に限定される
ものではない。
ル基含有化合物の添加量は、用いるヒドロキシル基含有
化合物の種類にもよるが、例えば、該アクリル酸エステ
ル類1モルに対する割合が0.1 モル〜10モルの範囲内と
なるようにすればよい。尚、ヒドロキシル基含有化合物
の物性は、反応生成物であるアリルエーテル類において
も或る程度保持されるものである。そこで、所望するア
リルエーテル類が備えるべき各種物性に基づいて該アリ
ルエーテル類の分子設計を行うこと、即ち、該物性に基
づいてヒドロキシル基含有化合物の種類と添加量とを決
定することが望ましい。例えば、アリルエーテル類を重
合してなる重合体に対して、柔軟性を付与したければ、
ヒドロキシル基含有化合物として長鎖アルキルアルコー
ルを使用すればよく、また、撥水性を付与したければ、
フッ素を含有するアルコールを使用すればよく、帯電防
止性を付与したければ、ポリエチレングリコールモノメ
チルエーテルを使用すればよい。このように、ヒドロキ
シル基含有化合物を適宜設定することにより、得られる
アリルエーテル類に種々の機能を付与することができ
る。
法において必要に応じて用いられる触媒は酸であり、な
かでもプロトン酸がより好ましい。
ば、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等の鉱酸、およびその
部分中和塩;タングストリン酸、モリブドリン酸、タン
グストケイ酸、モリブドケイ酸等のヘテロポリ酸、およ
びその部分中和塩;メタンスルホン酸、パラトルエンス
ルホン酸等の有機スルホン酸;酸性イオン交換樹脂等の
プロトン酸が挙げられるが、特に限定されるものではな
い。これら触媒は、一種類のみを用いてもよく、また、
二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
量は、用いるアクリル酸エステル類の種類にもよるが、
例えば、該アクリル酸エステル類に対する割合が、 0.0
01モル%〜50モル%の範囲内、好ましくは0.01モル%〜
20モル%の範囲内となるようにすればよい。触媒の添加
量が 0.001モル%よりも少ない場合には、触媒活性が十
分に発揮されにくく、反応時間が長くなり過ぎ、アリル
エーテル類を効率的に製造することができなくなるので
好ましくない。また、触媒の添加量を50モル%よりも多
くしても、触媒量の増加に比例した、反応時間の短縮等
の触媒効果のさらなる向上は望めず、添加した触媒の一
部が無駄になり、経済的に不利となるので好ましくな
い。
限定されるものではないが、原料であるアクリル酸エス
テル類および生成物であるアリルエーテル類は、分子中
にビニル基等を含有しているので、重合し易い性質を有
している。従って、アクリル酸エステル類とヒドロキシ
ル基含有化合物とを反応させる際には、該アクリル酸エ
ステル類やアリルエーテル類の重合を抑制するために、
反応系に重合防止剤(または重合禁止剤)や分子状酸素
を添加することが好ましい。
ン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p-ベンゾキノ
ン、t-ブチルカテコール、フェノチアジン等が挙げられ
るが、特に限定されるものではない。これら重合防止剤
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を適
宜混合して用いてもよい。また、重合防止剤の添加量
は、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル
酸エステル類に対する割合が、 0.001重量%〜5重量%
の範囲内となるようにすればよい。また、分子状酸素と
しては、例えば、空気を用いることができるが、この場
合、反応系、つまり、アクリル酸エステル類中に空気を
溶存させるか、あるいは、吹き込む(いわゆる、バブリ
ング)ようにすればよい。そして、上記重合を充分に抑
制するために、重合防止剤と分子状酸素とを併用するこ
とが好ましい。
かでも、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテ
ル類は、ポリアルキレングリコール鎖を有するパーオキ
サイド類を生成し易い性質を有している。このため、上
記ヒドロキシル基含有化合物として、ポリアルキレング
リコールモノアルキルエーテル類を用いる場合には、該
アクリル酸エステル類およびアリルエーテル類はさらに
重合し易くなる。従って、ポリアルキレングリコールモ
ノアルキルエーテル類とアクリル酸エステル類とを反応
させる際には、上記重合を充分に抑制するために、重合
防止剤(または重合禁止剤)と分子状酸素とを併用する
ことが望ましい。
が、溶媒中で行うこともできる。上記の溶媒としては、
具体的には、例えば、メチルエチルケトン等のようなケ
トン類、ジプロピルエーテル等のエーテル類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭
化水素類、シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘ
キサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる
が、上記反応を阻害するものでなければ、特に限定され
るものではなく、その使用量もまた、特に限定されるも
のではない。
はないが、前記した重合を抑制するために、0 ℃〜 150
℃の範囲内が好ましく、40℃〜120 ℃の範囲内が特に好
ましい。反応温度が0℃よりも低い場合には、反応時間
が長くなり過ぎ、アリルエーテル類を効率的に製造する
ことができなくなるので好ましくない。また、反応温度
が 150℃よりも高い場合には、前記した重合を抑制する
ことができなくなるので好ましくない。そして、反応時
間は、上記反応が完結するように、反応温度や、アクリ
ル酸エステル類、ヒドロキシル基含有化合物、溶媒およ
び触媒の種類や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設
定すればよい。また、反応圧力は、特に限定されるもの
ではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであって
もよい。
応によって生成する水は速やかに反応系外に除去するこ
とが望ましい。水の除去方法としては、特に限定される
ものではないが、例えば、ヒドロキシル基含有化合物、
あるいは溶媒と共沸させればよい。これにより、反応溶
液中の水を容易に除去することができる。尚、水を除去
せずに反応を行うこともできる。
ーテル類は、反応終了後、反応溶液を精製することによ
って得ることができる。上記精製手段は、特に限定され
るものではないが、具体的には、例えば、抽媒を用いて
抽出した後、抽媒を除去することによって精製すること
ができる。尚、この場合、使用できる抽媒としては、例
えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素類等が挙げられるが、該反応生成
物を溶解すると共に、該反応生成物以外の未反応物や副
生成物、触媒等と相互溶解しないものであれば、特に限
定されるものではない。また、抽媒の除去方法について
は、蒸留、蒸発等が挙げられるが、種々の方法を使用す
ることができ、特に限定されるものではない。また、別
の精製手段として、蒸留法や、いわゆるカラムクロマト
グラフ法等によって分離・精製することもできる。
を操作することで、エーテル化反応と共に、エステル交
換反応も進行させることができる。これにより、アクリ
ル酸エステル類1モルに対し、ヒドロキシル基含有化合
物を2モル付加させることが可能となる。従って、例え
ば、ヒドロキシル基含有化合物として、フッ素を含有す
るアルコールを使用すれば、アリルエーテル1分子中の
フッ素濃度が高くなり、撥水剤等に特に有用となる。
テル類の新規な製造方法は、前記一般式(1)で表され
るアクリル酸エステル類と、ヒドロキシル基含有化合物
とを、例えば触媒として酸、好ましくはプロトン酸の存
在下で加熱する方法である。従って、本発明にかかる製
造方法を用いれば、アリルエーテル類の製造工程におい
て副生成物としてハロゲン化水素が生成しないので、従
来の製造方法において問題となっている製造装置の腐食
や、環境破壊を防ぐことができる。
および/または分子状酸素を共存させることが好まし
い。原料である上記アクリル酸エステル類および生成物
であるアリルエーテル類は、分子中にビニル基等を含有
しているので、重合し易い性質を有している。従って、
重合禁止剤および/または分子状酸素を共存させること
で、上記アクリル酸エステル類およびアリルエーテル類
の重合を抑制することができる。また、上記ヒドロキシ
ル基含有化合物として、特に、前記一般式(2)で表さ
れるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類
を用いる場合には、上記ポリアルキレングリコールモノ
アルキルエーテル類が、ポリアルキレングリコール鎖を
有するパーオキサイド類を生成し易い性質を有している
ため、該アクリル酸エステル類およびアリルエーテル類
はさらに重合し易くなる。従って、ポリアルキレングリ
コールモノアルキルエーテル類とアクリル酸エステル類
とを反応させる際には、上記重合を充分に抑制するため
に、重合防止剤と分子状酸素とを併用する必要がある。
アリルエーテル類は、ヒドロキシル基含有化合物に由来
する側鎖部分がエーテル結合を介して該アクリル酸エス
テル類に由来する骨格部分に結合しているため、加水分
解を受けず、上記側鎖部分が脱離しない。従って、該ア
クリル酸エステル類と反応させるヒドロキシル基含有化
合物、即ち、ヒドロキシル基含有化合物に由来する側鎖
部分を選択することで、所望する種々の物性を有する重
合体が得られる。例えば、重合体に対して柔軟性を付与
したければ、ヒドロキシル基含有化合物として長鎖アル
キルアルコールを使用すればよく、撥水性を付与したけ
れば、フッ素を含有するアルコールを使用すればよく、
帯電防止性を付与したければ、ポリエチレングリコール
モノメチルエーテルを使用すればよい。また、上記ヒド
ロキシル基含有化合物として上記一般式(2)で表され
るポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類を
使用することで、セメント分散剤として好適に用いるこ
とができる重合体が得られる。このようにして得られた
セメント分散剤は、減水性能やスランプ保持性能に優
れ、少ない添加量で空気連行性を低く抑えることができ
る。このように、ヒドロキシル基含有化合物を選択して
アリルエーテル類を製造することにより、該アリルエー
テル類およびその重合体に種々の性能を付与することが
できる。
得る際の重合条件等は、特に限定されるものではない。
例えば、アリルエーテル類は、単独で重合させてもよ
く、また、該アリルエーテル類と共重合可能な共重合体
と共重合させてもよい。該アリルエーテル類を重合して
重合体を得る際の製造方法は、特に限定されるものでは
なく、例えば、ラジカル重合開始剤等の重合開始剤を用
いる重合方法;イオン化放射線、電子線等の放射線や、
紫外線を照射する重合方法;加熱による重合方法等、従
来公知の種々の方法を採用することができる。従って、
本発明の製造方法によって得られたアリルエーテル類
は、重合性に優れており、帯電防止剤、撥水剤、セメン
ト分散剤、各種樹脂等に使用できる。
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
よび攪拌装置を取り付けた 500mlのガラス製フラスコ
に、アクリル酸エステル類であるエチル−α−ヒドロキ
シメチルアクリレート 130g、ヒドロキシル基含有化合
物であるエチルアルコール92g、触媒としてのタングス
トリン酸33g、および、重合防止剤としてのヒドロキノ
ン0.08gを仕込んで攪拌した。次に、上記の反応溶液中
に空気を吹き込むと共に、該反応容器内の温度を80℃に
保ちながらエチルアルコールを5時間還流させて、反応
を完了させた。
ートを用いてシクロヘキサン−水系で2回洗浄・抽出を
行い、反応生成物をシクロヘキサン層に抽出した。次い
で、シクロヘキサン層を回収容器に移し、回収容器内の
温度を50℃にすると共に40mmHgに減圧し、シクロヘキサ
ンを留去して反応生成物 106.6gを得た。
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチル−α
−エトキシメチルアクリレートが97%含有されていた。
用いて、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート65
g、ヒドロキシル基含有化合物であるメトキシエトキシ
エタノール60g、溶媒としてのシクロヘキサン 150g、
タングストリン酸25g、およびヒドロキノン0.08gを仕
込んで攪拌した。次に、上記の反応溶液中に空気を吹き
込むと共に、該反応容器内の温度を90℃に保ちながらシ
クロヘキサンを8時間還流して、反応を完了させた。そ
して、反応終了後、実施例1と同様の方法を用いて精製
して、反応生成物73.3gを得た。
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチル−α
−(メトキシエトキシ)エトキシメチルアクリレートが
71.2%、2−メトキシエトキシエチル−α−(メトキシ
エトキシ)エトキシメチルアクリレートが21.9%含有さ
れていた。
用いて、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート65
g、ヒドロキシル基含有化合物である2,2,3,3 −テトラ
フルオロプロピルアルコール 132g、シクロヘキサン 1
00g、タングストリン酸20g、およびヒドロキノン0.08
gを仕込んで攪拌した。次に、上記の反応溶液中に空気
を吹き込むと共に、該反応容器内の温度を90℃に保ちな
がらシクロヘキサンを10時間還流して、反応を完了させ
た。そして、反応終了後、実施例1と同様の方法を用い
て抽出した後、実施例1と同様の方法を用いてシクロヘ
キサン、および2,2,3,3 −テトラフルオロプロピルアル
コールを留去して反応生成物19.2gを得た。
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチル−α
-(2,2,3,3 - テトラフルオロプロポキシメチル)アクリ
レートが20%、2,2,3,3 −テトラフルオロプロピル−α
-(2,2,3,3 - テトラフルオロプロポキシメチル)アクリ
レートが70%含有されていた。
用いて、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート26
0 g、シクロヘキサン 100g、タングストリン酸26g、
およびヒドロキノン0.08gを仕込んで攪拌した。次に、
上記の反応溶液中に空気を吹き込むと共に、該反応容器
内の温度を90℃に保ちながらシクロヘキサンを5時間還
流して、反応を完了させた。そして、反応終了後、実施
例1と同様の方法を用いて精製して、反応生成物 200g
を得た。
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチル−α
−ヒドロキシメチルアクリレートのエーテルダイマーが
97%含有されていた。
用いて、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート9
7.5g、ヒドロキシル基含有化合物であるアリルアルコ
ール87g、シクロヘキサン 100g、タングストリン酸37
g、およびヒドロキノン0.08gを仕込んで攪拌した。次
に、上記の反応溶液中に空気を吹き込むと共に、該反応
容器内の温度を90℃に保ちながらシクロヘキサンを8時
間還流して、反応を完了させた。そして、反応終了後、
実施例1と同様の方法を用いて精製して、反応生成物6
4.1gを得た。
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチル−α
−アリルアルコキシメチルアクリレートが17%、アリル
−α−アリルアルコキシメチルアクリレートが78%含有
されていた。
いて、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート 130
g、ヒドロキシル基含有化合物としてのグルコース36
g、触媒としてのパラトルエンスルホン酸 5.2g、重合
防止剤としてのt-ブチルカテコール 2.6gを仕込んで攪
拌した。次に、加熱により、該反応容器内の温度を徐々
に上昇させて、100 ℃で2時間攪拌することにより、反
応を完了させた。
水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、所定の方法を用
いて減圧濃縮した。得られた濃縮液をいわゆるカラムク
ロマトグラフ法を用いて分離、精製して、オイル状の反
応生成物45gを得た。尚、カラムクロマトグラフィーに
は、クロロホルム:メタノール=9:1溶液を展開溶媒
として用いた。また吸着剤には、シリカゲルを使用し
た。
て、 1H−NMR、13C−NMRおよび赤外吸収スペク
トル(IR)を測定することにより、物質の同定を行っ
たところ、上記反応生成物がエチル−α−グルコシドメ
チルアクリレートであることを確認した。また、所定の
方法により測定したエチル−α−グルコシドメチルアク
リレートの収率は77%であった。
に、本実施例にかかる方法によれば、アクリル酸エステ
ル類と、ヒドロキシル基含有化合物とを、触媒として
酸、好ましくはプロトン酸の存在下で反応させることに
より、容易にアリルエーテル類を得ることができる。
用いて、エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート65
g、ヒドロキシル基含有化合物であるメトキシエトキシ
エタノール60g、溶媒としてのシクロヘキサン 150g、
タングストリン酸25g、およびヒドロキノン0.08gを仕
込んで攪拌した。次に、上記の反応溶液中に空気を吹き
込むと共に、該反応容器内の温度を90℃に保ちながらシ
クロヘキサンを8時間還流して、反応を完了させた。そ
して、反応終了後、実施例1と同様の方法を用いて精製
して、反応生成物73.3gを得た。
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチル−α
−(メトキシエトキシ)エトキシメチルアクリレートが
71.2%、2−メトキシエトキシエチル−α−(メトキシ
エトキシ)エトキシメチルアクリレートが21.9%含有さ
れていた。
への空気の吹き込みを行わなかった以外は、実施例2と
同様の反応を行った。この結果、8時間反応後の反応溶
液、即ち、反応終了後の反応溶液において、気相との界
面にスケールが発生していた。該反応溶液をゲルパーミ
エーションクロマトグラフィーで分析したところ、ポリ
マー成分が確認できた。次いで、該反応溶液を、分液ロ
ートを用いてシクロヘキサン−水系で2回洗浄・抽出を
行い、反応生成物をシクロヘキサン層に抽出した。この
ときの分液性は、実施例2と比べて幾分低下していた。
次に、シクロヘキサン層を回収容器に移し、実施例2、
即ち、実施例1と同様の方法によりシクロヘキサンを留
去して反応生成物49.8gを得た。
ガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチル−α
−(メトキシエトキシ)エトキシメチルアクリレートが
71.4%、2−メトキシエトキシエチル−α−(メトキシ
エトキシ)エトキシメチルアクリレートが20.5%含有さ
れていた。
類の製造方法は、以上のように、一般式(1)
表し、R2 は有機残基を表す)で表されるアクリル酸エ
ステル類と、ヒドロキシル基含有化合物とを反応させる
方法である。
の製造方法は、以上のように、請求項1記載のアリルエ
ーテル類の製造方法において、上記R1 が水素原子であ
る方法である。
の製造方法は、以上のように、請求項1または2記載の
アリルエーテル類の製造方法において、触媒として酸を
共存させる方法である。
の製造方法は、以上のように、請求項3記載のアリルエ
ーテル類の製造方法において、上記酸がプロトン酸であ
る方法である。
の製造方法は、以上のように、請求項1ないし4の何れ
か1項に記載のアリルエーテル類の製造方法において、
上記ヒドロキシル基含有化合物が、一般式(2)
表し、R4 は有機残基を表し、nは1〜3の正数を表
し、mは1〜100 の正数を表す)で表されるポリアルキ
レングリコールモノアルキルエーテル類である方法であ
る。
の製造方法は、以上のように、請求項1ないし5の何れ
か1項に記載のアリルエーテル類の製造方法において、
重合禁止剤および/または分子状酸素を共存させる方法
である。
般式(1)で表されるアクリル酸エステル類と、ヒドロ
キシル基含有化合物とを、例えば、触媒として酸、好ま
しくはプロトン酸の存在下で反応させることにより、ア
リルエーテル類を容易に得ることができる。従って、本
発明にかかる製造方法を用いれば、アリルエーテル類の
製造工程において副生成物としてハロゲン化水素が生成
しないので、従来の製造方法において問題となっている
製造装置の腐食や、環境破壊を防ぐことができる。
および/または分子状酸素を共存させることが好まし
い。原料である上記アクリル酸エステル類および生成物
であるアリルエーテル類は、分子中にビニル基等を含有
しているので、重合し易い性質を有している。従って、
重合禁止剤および/または分子状酸素を共存させること
で、上記アクリル酸エステル類およびアリルエーテル類
の重合を抑制することができる。また、上記ヒドロキシ
ル基含有化合物として、特に、前記一般式(2)で表さ
れるポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類
を用いる場合には、上記ポリアルキレングリコールモノ
アルキルエーテル類が、ポリアルキレングリコール鎖を
有するパーオキサイド類を生成し易い性質を有している
ため、該アクリル酸エステル類およびアリルエーテル類
はさらに重合し易くなる。従って、ポリアルキレングリ
コールモノアルキルエーテル類とアクリル酸エステル類
とを反応させる際には、上記重合を充分に抑制するため
に、重合防止剤と分子状酸素とを併用することが望まし
い。
アリルエーテル類は、ヒドロキシル基含有化合物に由来
する側鎖部分がエーテル結合を介して該アクリル酸エス
テル類に由来する骨格部分に結合しているため、加水分
解を受けず、上記側鎖部分が脱離しない。従って、該ア
クリル酸エステル類と反応させるヒドロキシル基含有化
合物、即ち、ヒドロキシル基含有化合物に由来する側鎖
部分を選択することで、所望する種々の物性を有する重
合体が得られる。例えば、重合体に対して柔軟性を付与
したければ、ヒドロキシル基含有化合物として長鎖アル
キルアルコールを使用すればよく、撥水性を付与したけ
れば、フッ素を含有するアルコールを使用すればよく、
帯電防止性を付与したければ、ポリエチレングリコール
モノメチルエーテルを使用すればよい。また、上記ヒド
ロキシル基含有化合物として上記一般式(2)で表され
るポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル類を
使用することで、セメント分散剤として好適に用いるこ
とができる重合体が得られる。このように、ヒドロキシ
ル基含有化合物を選択してアリルエーテル類を製造する
ことにより、該アリルエーテル類およびその重合体に種
々の性能を付与することができる。本発明の製造方法に
よって得られたアリルエーテル類は、重合性に優れてお
り、帯電防止剤、撥水剤、セメント分散剤、各種樹脂等
に使用できるという効果を併せて奏する。
Claims (6)
- 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、R1 は水素原子または有機残基を表し、R2 は
有機残基を表す)で表されるアクリル酸エステル類と、
ヒドロキシル基含有化合物とを反応させることを特徴と
するアリルエーテル類の製造方法。 - 【請求項2】上記R1 が水素原子であることを特徴とす
る請求項1記載のアリルエーテル類の製造方法。 - 【請求項3】触媒として酸を共存させることを特徴とす
る請求項1または2記載のアリルエーテル類の製造方
法。 - 【請求項4】上記酸がプロトン酸であることを特徴とす
る請求項3記載のアリルエーテル類の製造方法。 - 【請求項5】上記ヒドロキシル基含有化合物が、一般式
(2) 【化2】 (式中、R3 は水素原子または有機残基を表し、R4 は
有機残基を表し、nは1〜3の正数を表し、mは1〜10
0 の正数を表す)で表されるポリアルキレングリコール
モノアルキルエーテル類であることを特徴とする請求項
1ないし4の何れか1項に記載のアリルエーテル類の製
造方法。 - 【請求項6】重合禁止剤および/または分子状酸素を共
存させることを特徴とする請求項1ないし5の何れか1
項に記載のアリルエーテル類の製造方法。
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JPH09241216A (ja) * | 1996-03-04 | 1997-09-16 | Nippon Shokubai Co Ltd | アクリル酸エステル誘導体の精製方法 |
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JP5801296B2 (ja) * | 2010-05-24 | 2015-10-28 | 株式会社日本触媒 | α位置換アクリル酸エステル類及びそれを含む組成物、並びに、それらの製造方法 |
-
1996
- 1996-03-18 JP JP06143196A patent/JP3907738B2/ja not_active Expired - Fee Related
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