JP2011117023A - 装飾品の製造方法、装飾品および時計 - Google Patents
装飾品の製造方法、装飾品および時計 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011117023A JP2011117023A JP2009273866A JP2009273866A JP2011117023A JP 2011117023 A JP2011117023 A JP 2011117023A JP 2009273866 A JP2009273866 A JP 2009273866A JP 2009273866 A JP2009273866 A JP 2009273866A JP 2011117023 A JP2011117023 A JP 2011117023A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- decorative article
- decorative
- base material
- alloy film
- plating
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Electroplating And Plating Baths Therefor (AREA)
- Electroplating Methods And Accessories (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明の装飾品1の製造方法は、基材2を用意する工程(1a)と、基材2の表面に、金フラッシュめっきを行い、フラッシュめっき層3を形成する工程(1b)と、金イオンと銅イオンとテルルのオキソ酸化合物とを含むめっき液を用いた電解めっきにより、Au−Cu合金被膜4’’を形成する工程(1c)と、加熱処理および冷却処理を施すことにより、Au−Cu合金被膜4’’の構成材料の固溶体化を促進し、Au−Cu合金被膜4’とする工程(1d)と、酸処理を施すことにより、Au−Cu合金被膜4’の構成成分のうち、固溶体を構成していないものを除去し、Au−Cu合金被膜4とする工程(1e)とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明の装飾品の製造方法は、少なくとも表面付近が導電性の材料で構成された基材を用意する基材用意工程と、
金イオンと銅イオンとテルルのオキソ酸化合物とを含むめっき液を用いた電解めっきにより、Au−Cu合金被膜を形成するAu−Cu合金被膜形成工程とを有することを特徴とする。
これにより、金および銅を含み、くもり、色むら等の不都合の発生が確実に防止され、優れた外観を有する被膜を備えた装飾品を安定的に製造することができる装飾品の製造方法を提供することができる。
これにより、得られる装飾品の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の装飾品の製造方法では、前記Au−Cu合金被膜形成工程の前に、前記基材の表面の少なくとも一部に、金フラッシュめっきを行い、Au含有率が99wt%以上のフラッシュめっき層を形成するフラッシュめっき層形成工程を有することが好ましい。
これにより、得られる装飾品の耐久性を特に優れたものとすることができるとともに、美的外観を特に優れたものとすることができる。
酸処理を施すことにより、前記熱処理が施された前記Au−Cu合金被膜の構成成分のうち、固溶体を構成していないものを除去する酸処理工程とを有することが好ましい。
これにより、装飾品における色むらの発生をより効果的に防止することができ、装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、装飾品の安定性、耐久性を特に優れたものとすることができる。
これにより、特に優れた外観を有する、ピンク色で光沢感があるめっき膜を備えた装飾品を得ることができる。また、従来においては、ピンク色のめっき膜を形成する際に、くもり等の問題を特に生じ易かったが、本発明ではこのようなピンク色のめっき膜を形成する場合においても、上記のような問題を確実に防止することができる。すなわち、ピンク色のめっき膜を得ることができる上記のような組成とすることにより、本発明の効果がより顕著に発揮される。
これにより、くもり、色むら等の問題の発生をより効果的に防止することができ、得られる装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、めっき液の保存安定性を特に優れたものとすることができ、より長期間にわたって、安定した品質の装飾品の製造に用いることができる。
これにより、装飾品の生産性を十分に優れたものとしつつ、色むらやくもり等の問題の発生をより確実に防止することができ、装飾品の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、金および銅を含み、くもり、色むら等の不都合の発生が確実に防止され、優れた外観を有する被膜を備えた装飾品を提供することができる。
本発明の装飾品は、本発明の時計用外装部品であることが好ましい。
時計は、実用品としての機能が求められるとともに、装飾品として優れた美的外観も求められる。また、時計は、装身具として、様々な環境下で用いられることが一般的であり、このような異なる環境下においても、安定的に優れた外観を呈するものであることが求められるが、本発明によれば、装飾品を、様々な環境下においても安定的に優れた外観を呈するものとすることができる。すなわち、時計用外装部品に適用した場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。
本発明の時計は、本発明の装飾品を備えたことを特徴とする。
これにより、金および銅を含み、くもり、色むら等の不都合の発生が確実に防止され、優れた外観を有する被膜を備えた装飾品を備えた時計を提供することができる。
<装飾品の製造方法>
まず、本発明の装飾品の製造方法の好適な実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の製造方法は、基材2を用意する基材用意工程(1a)と、基材2の表面に、金フラッシュめっきを行い、フラッシュめっき層3を形成するフラッシュめっき層形成工程(1b)と、金イオンと銅イオンとテルルのオキソ酸化合物とを含むめっき液を用いた電解めっきにより、Au−Cu合金被膜4’’を形成するAu−Cu合金被膜形成工程と(1c)と、フラッシュめっき層3およびAu−Cu合金被膜4’’が設けられた基材2に対し、加熱処理および冷却処理を施すことにより、Au−Cu合金被膜4’’の構成材料の固溶体化を促進し、Au−Cu合金被膜4’とする熱処理工程(1d)と、酸処理を施すことにより、Au−Cu合金被膜4’の構成成分のうち、固溶体を構成していないものを除去し、Au−Cu合金被膜4とする酸処理工程(1e)とを有している。
本工程で用意する基材2は、少なくとも表面付近が導電性の材料で構成されたものであれば、いかなる材料で構成されるものであってもよく、金属材料で構成されるものであっても、非金属材料で構成されるものであってもよい。
基材2が金属材料で構成される場合、特に優れた強度特性を有する装飾品1を提供することができる。
また、基材2が非金属材料で構成される場合、比較的容易に、所望の形状に成形することができる。このため、直接成形するのが困難な形状の装飾品1であっても、比較的容易に提供することができる。
また、基材2が非金属材料で構成される場合、電磁ノイズを遮蔽する効果も得られる。
基材2の少なくとも表面付近が、Tiまたはステンレス鋼で構成されたものであると、得られる装飾品1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、基材2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、装飾品1の形状、大きさに基づいて決定される。
基材2が金属材料で構成される場合、その製造方法としては、例えば、プレス加工、切削加工、鍛造加工、鋳造加工、粉末冶金焼結、金属粉末射出成形(MIM)、ロストワックス法等が挙げられるが、この中でも特に、鋳造加工または金属粉末射出成形(MIM)が好ましい。鋳造加工、金属粉末射出成形(MIM)は、特に、加工性に優れている。このため、これらの方法を用いた場合、複雑な形状の基材2を比較的容易に得ることができる。
次に、基材2の表面に、金フラッシュめっきによりフラッシュめっき層3を形成する(1b)。
このように、本実施形態では、Au−Cu合金被膜4’’の形成に先立ち、基材2上に、フラッシュめっき層3を形成する。これにより、得られる装飾品1の耐久性を特に優れたものとすることができるとともに、美的外観を特に優れたものとすることができる。
フラッシュめっき層3の平均厚さは、特に限定されないが、0.01μm以上0.2μm以下であるのが好ましい。これにより、上述したようなフラッシュめっき層3を設けることによる効果がより顕著に発揮される。なお、フラッシュめっき層3は、図示の構成では基材2の一方の面の全体(Au−Cu合金被膜4’’が形成されるべき部位全体)に形成されているが、Au−Cu合金被膜4’’が形成されるべき部位のうち一部のみに形成されるものであってもよい。
フラッシュめっき層3の形成に用いるめっき液(金めっき液)中における金の含有率は、5g/L以上10g/L以下であるのが好ましい。
次に、電解めっき(湿式めっき法)により、フラッシュめっき層3上にAu−Cu合金被膜4’’を形成する(1c)。
特に、本発明では、Au−Cu合金被膜の形成に、金イオンと銅イオンとテルルのオキソ酸化合物とを含むめっき液を用いる。このようなめっき液を用いることにより、金色〜ピンク色の色調の外観のAu−Cu合金被膜(めっき膜)を備えた装飾品を製造することができる。また、特に、本発明では、金イオンおよび銅イオンに加え、さらに、テルルのオキソ酸化合物を含むめっき液を用いることにより、当該めっき液を用いて形成されるAu−Cu合金被膜の色調のばらつきを抑制し、安定的に優れた外観を得ることができる。特に、くもり、色むら等の問題の発生を長期間にわたって効果的に防止し、光沢感のある高級感に溢れた外観のAu−Cu合金被膜を形成することができる。また、テルルのオキソ酸化合物は、有機材料に比べて、耐久性に優れるとともに、めっき液中における含有率の測定も容易であるため、めっき液の品質管理が容易であり、めっき液の交換時期の判断を適切に行うことができる。このため、不必要なタイミングでのめっき液の交換・廃棄を行うことなく、Au−Cu合金被膜を備えた装飾品の製造を行うことができ、省資源で、環境にも優しい。また、全体として、装飾品の生産性を向上させることができる。
また、上記のように、めっき液中における銅の含有率は、30g/L以上40g/L以下であるのが好ましいが、32g/L以上38g/L以下であるのがより好ましく、34g/L以上36g/L以下であるのがさらに好ましい。これにより、上述した効果がさらに顕著に発揮される。
すなわち、めっき浴温度は、40℃以上75℃以下であるのが好ましく、45℃以上70℃以下であるのがより好ましく、55℃以上65℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、色むらやくもり等の問題の発生をより確実に防止することができ、装飾品1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、めっき処理時間は、1分以上30分以下であるのが好ましく、3分以上20分以下であるのがより好ましく、5分以上15分以下であるのがさらに好ましい。これにより、装飾品1の生産性を十分に優れたものとしつつ、装飾品1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
次に、フラッシュめっき層3およびAu−Cu合金被膜4’’が設けられた基材2に対し、加熱処理および冷却処理を施す(1d)。これにより、Au−Cu合金被膜4’’の構成材料の固溶体化が促進されたAu−Cu合金被膜4’となり、最終的に得られる装飾品1の美的外観、耐食性等を特に優れたものとすることができる。
その後、酸処理を施すことにより、前記熱処理工程で熱処理が施されたAu−Cu合金被膜4’の構成成分のうち、固溶体を構成していないものを除去する(1e)。これにより、固溶体で構成され、色むら、くもり等が防止されたAu−Cu合金被膜4を備えた装飾品1が得られる。
なお、本工程では、Au−Cu合金被膜4’の構成成分のうち、固溶体を構成していないものの少なくとも一部を除去すればよく、例えば、Au−Cu合金被膜4のうち外表面に露出していない部位に、固溶体を構成していない成分が残存していてもよい。このような場合であっても、前述した熱処理工程により、Au−Cu合金被膜4’は、構成成分の固溶体化が十分に促進されたものとなっている、固溶体を構成していない成分の残存量は通常十分に少ないものであり、装飾品1の外観にほとんど影響を及ぼさない。
本工程の後、通常、装飾品1に対して水洗等の洗浄処理が施される。これにより、装飾品1に付着した酸を確実に除去することができ、装飾品1の経時的な腐食等を確実に防止することができる。
次に、上述したような方法により得られる本発明の装飾品について、より詳細に説明する。
装飾品1は、装飾性を備えた物品であればいかなるものでもよいが、例えば、置物等のインテリア、エクステリア用品、宝飾品、時計ケース(胴、裏蓋、胴と裏蓋とが一体化されたワンピースケース等)、時計バンド(バンド中留、バンド・バングル着脱機構等を含む)、文字盤、時計用針、ベゼル(例えば、回転ベゼル等)、りゅうず(例えば、ネジロック式りゅうず等)、ボタン、カバーガラス、ガラス縁、ダイヤルリング、見切板、パッキン等の時計用外装部品、ムーブメントの地板、歯車、輪列受け、回転錘等の時計用内装部品、メガネ(例えば、メガネフレーム)、ネクタイピン、カフスボタン、指輪、ネックレス、ブレスレット、アンクレット、ブローチ、ペンダント、イヤリング、ピアス等の装身具、ライターまたはそのケース、自動車のホイール、ゴルフクラブ等のスポーツ用品、銘板、パネル、賞杯、その他ハウジング等を含む各種機器部品、各種容器等に適用することができる。この中でも特に、時計用外装部品がより好ましい。時計は、実用品としての機能が求められるとともに、装飾品として優れた美的外観も求められる。また、時計は、装身具として、様々な環境下で用いられることが一般的であり、このような異なる環境下においても、安定的に優れた外観を呈するものであることが求められるが、本発明によれば、装飾品を、様々な環境下においても安定的に優れた外観を呈するものとすることができる。すなわち、時計用外装部品に適用した場合に、本発明の効果がより顕著に発揮される。なお、本明細書中での「時計用外装部品」とは、外部から視認可能なものであればいかなるものであってもよく、時計の外部に露出しているものに限らず、時計の内部に内蔵されたもの(例えば、時計用文字板等)も含む。
また、装飾品1のAu−Cu合金被膜4が設けられている部位の色調は、例えば、JIS Z 8729で規定されるL*a*b*表示の色度図において、a*が7.0以上15.0以下でありかつb*が15.0以上27.0以下の範囲のものであるのが好ましく、a*が8.0以上13.0以下でありかつb*が17.0以上25.0以下の範囲のものであるのがより好ましく、a*が9.0以上11.0以下でありかつb*が18.0以上23.0以下の範囲のものであるのがさらに好ましい。これにより、装飾品1の美的外観は、特に優れたものとなる。
次に、上述したような本発明の装飾品を備えた本発明の時計について説明する。
図2は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
図2に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)10は、胴(ケース)22と、裏蓋23と、ベゼル(縁)24と、ガラス板25とを備えている。また、ケース22内には、図示しないムーブメント(例えば、文字盤、針付きのもの)が収納されている。
胴22とベゼル24とは、プラスチックパッキン28により固定され、ベゼル24とガラス板25とはプラスチックパッキン29により固定されている。
また、胴22に対し裏蓋23が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)50には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)40が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部50が液密に封止され、防水機能が得られる。
本実施形態の腕時計10は、ベゼル24、胴22、りゅうず27、裏蓋23、時計バンド等の装飾品(特に、時計用外装部品)のうち少なくとも1つが前述したような本発明の装飾品で構成されたものである。
例えば、本発明の装飾品の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。例えば、フラッシュめっき層形成工程とAu−Cu合金被膜形成工程との間等に、洗浄等の中間処理を施してもよい。また、基材に対しては、切削、研削、研磨、ホーニング等の前処理を施してもよい。
また、装飾品の表面の少なくとも一部には、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等を付与し、防錆、防汚、防曇、防傷等の効果を向上するコート層(保護層)等が形成されていてもよい。このようなコート層は、装飾品の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、フラッシュめっき層とAu−Cu合金被膜は、互いに隣接して設けられるものとして説明したが、フラッシュめっき層とAu−Cu合金被膜との間には、少なくとも1層の中間層が設けられていてもよい。
1.装飾品の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
まず、ステンレス鋼(SUS444)を用いて、鋳造により、腕時計ケース(裏蓋)の形状を有する基材を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。
上記のようにして洗浄を行った基材に対して、KAu(CN)2を用いて調製した金めっき液を用いたフラッシュめっきを施すことにより、平均厚さ0.1μmの24Kの(Au含有率:99.99wt%)フラッシュめっき層を形成した(フラッシュめっき層形成工程)。なお、金めっき液中の金の含有率は、8.0g/Lであった。
次に、熱処理工程(加熱処理および冷却処理)が施されたAu−Cu合金被膜を備えた基材を、25℃において、69wt%のHNO3水溶液中に、3秒間浸漬した(酸処理工程)。
なお、フラッシュめっき層、Au−Cu合金被膜の厚さは、JIS H 5821の顕微鏡断面試験方法により測定した。
また、Au−Cu合金被膜形成工程において用いるめっき液として、上述したのと同様にして調製したものであって、30日間、35℃の環境下で保存しておいたもの(長期保存後のめっき液)を用いた以外は、上記と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例2〜6)
各工程の処理条件を表1に示すようにし、装飾品の構成が表1に示すようなものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
基材として、Tiで構成されたものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
基材としては、以下に述べるような金属粉末射出成形(MIM)により作製したものを用いた。
まず、ガスアトマイズ法により製造された平均粒径52μmのTi粉末を用意した。
このTi粉末:75vol%と、ポリエチレン:8vol%と、ポリプロピレン:7vol%と、パラフィンワックス:10vol%とからなる材料を混練した。前記材料の混練には、ニーダーを用いた。また、混練時における材料温度は60℃であった。
次に、このようにして得られた脱脂体に対し、焼結炉を用いて焼結を行い、基材を得た。この焼結は、1.3×10−3〜1.3×10−4Paのアルゴンガス雰囲気中で、900〜1100℃×6時間の熱処理を施すことにより行った。
以上のようにして得られた基材について、その必要箇所を切削、研磨した後、この基材を洗浄した。基材の洗浄としては、まず、アルカリ電解脱脂を30秒間行い、次いで、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行った。その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
各工程の処理条件を表1に示すようにし、装飾品の構成が表1に示すようなものとなるようにした以外は、前記実施例7と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(実施例13)
基材として、Cu−Zn合金(合金組成:Cu60wt%−Zn40wt%)で構成され、鋳造により成形されたものを用い、フラッシュめっき層形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
Au−Cu合金被膜形成工程において、テルルのオキソ酸化合物を用いずに調製した、テルルを含まないめっき液を用いた以外は、前記実施例13と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例2)
Au−Cu合金被膜形成工程において、テルルのオキソ酸化合物の代わりにサッカリンを用いて調製しためっき液を用いた以外は、前記実施例13と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
Au−Cu合金被膜形成工程において、テルルのオキソ酸化合物の代わりにサッカリン、L−グルタミン酸および2−ピリジンカルボン酸を用いて調製しためっき液を用いた以外は、前記実施例13と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例4)
熱処理工程を省略した以外は、前記比較例3と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
酸処理工程を省略した以外は、前記比較例3と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
(比較例6)
熱処理工程および酸処理工程を省略した以外は、前記比較例3と同様にして装飾品(腕時計ケース(裏蓋))を製造した。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品(調製直後のめっき液を用いて製造した装飾品、および、長期保存後のめっき液を用いて製造した装飾品)の被膜が設けられた部位について、目視による観察を行った。
(2−1)装飾品の色調についての評価
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品の被膜が設けられた部位の色調(光沢感を含む)を、以下の3段階の基準に従い、評価した。
A:目的とする色調(光沢感のあるピンク色)を有している。
B:目的とする色調(光沢感のあるピンク色)とはやや異なる色調を有している。
C:目的とする色調(光沢感のあるピンク色)とはまったく異なる色調を有している
。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品の被膜が設けられた部位におけるくもりの発生を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:くもりの発生がまったく認められない。
B:くもりの発生がほとんど認められない。
C:くもりの発生がわずかに認められる。
D:くもりの発生がはっきりと認められる。
E:くもりの発生が顕著に認められる。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品の被膜が設けられた部位における色むらの発生を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:色むらの発生がまったく認められない。
B:色むらの発生がほとんど認められない。
C:色むらの発生がわずかに認められる。
D:色むらの発生がはっきりと認められる。
E:色むらの発生が顕著に認められる。
前記各実施例および各比較例で製造した各装飾品の被膜が設けられた部位の外観を以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:外観優良。
B:外観良。
C:外観やや不良。
D:外観不良。
E:外観極めて不良。
(3−1)a*およびb*についての評価
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品(調製直後のめっき液を用いて製造した装飾品、および、長期保存後のめっき液を用いて製造した装飾品)について、被膜が形成された部位の色度を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)を用いて測定し、以下の4段階の基準に従い、評価した。
9.0以上11.0以下でありかつb*が18.0以上23.0以下の範囲内で
ある。
B:JIS Z 8729で規定されるL*a*b*表示の色度図において、a*が
8.0以上13.0以下でありかつb*が17.0以上25.0以下の範囲内で
ある(ただし、Aの範囲を除く)。
C:JIS Z 8729で規定されるL*a*b*表示の色度図において、a*が
7.0以上15.0以下でありかつb*が15.0以上27.0以下の範囲内で
ある(ただし、AおよびBの範囲を除く)。
D:JIS Z 8729で規定されるL*a*b*表示の色度図において、a*が
7.0以上15.0以下でありかつb*が15.0以上27.0以下の範囲外で
ある。
なお、色度計の光源としては、JIS Z 8720で規定されるD65のものを用い、視野角:2°で測定した。
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品(調製直後のめっき液を用いて製造した装飾品、および、長期保存後のめっき液を用いて製造した装飾品)について、被膜が形成された部位の色度を、色度計(ミノルタ社製、CM−2022)を用いて測定し、以下の4段階の基準に従い、評価した。
82.0以上87.0以下の範囲内である。
B:JIS Z 8729で規定されるL*a*b*表示の色度図において、L*が
78.0以上88.0以下の範囲内である(ただし、Aの範囲を除く)。
C:JIS Z 8729で規定されるL*a*b*表示の色度図において、L*が
75.0以上89.0以下の範囲内である(ただし、AおよびBの範囲を
除く)。
D:JIS Z 8729で規定されるL*a*b*表示の色度図において、L*が
75.0以上89.0以下の範囲外である。
なお、色度計の光源としては、JIS Z 8720で規定されるD65のものを用い、視野角:2°で測定した。
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品(調製直後のめっき液を用いて製造した装飾品、および、長期保存後のめっき液を用いて製造した装飾品)を、常温(25℃)、常圧、湿度75%RHの環境下に、80日間放置した後の、装飾品の被膜が形成された部位について、目視による観察を行い、くもり、色むらの発生を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
B:くもり、色むらの発生がほとんど認められない。
C:くもり、色むらの発生がわずかに認められる。
D:くもり、色むらの発生がはっきりと認められる。
E:くもり、色むらの発生が顕著に認められる。
前記各実施例および各比較例で製造した装飾品(調製直後のめっき液を用いて製造した装飾品、および、長期保存後のめっき液を用いて製造した装飾品)を、200℃、常圧の大気雰囲気下で8時間放置し、その後の装飾品の被膜が形成された部位について、目視による観察を行い、くもり、色むらの発生を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
B:くもり、色むらの発生がほとんど認められない。
C:くもり、色むらの発生がわずかに認められる。
D:くもり、色むらの発生がはっきりと認められる。
E:くもり、色むらの発生が顕著に認められる。
デシケーター内に人工汗を入れ、45℃で12時間放置した。その後、デシケーター内に、前記各実施例および各比較例で製造した装飾品(調製直後のめっき液を用いて製造した装飾品、および、長期保存後のめっき液を用いて製造した装飾品)を入れ、さらに45℃で放置した。このとき、各装飾品は、人工汗中に浸漬しないように配置した。30時間後、各装飾品をデシケーター内から取り出し、装飾品の被膜が形成された部位について、目視による観察を行い、くもり、色むらの発生を、以下の5段階の基準に従い、評価した。
B:くもり、色むらの発生がほとんど認められない。
C:くもり、色むらの発生がわずかに認められる。
D:くもり、色むらの発生がはっきりと認められる。
E:くもり、色むらの発生が顕著に認められる。
これらの結果を表3に示す。
これに対し、比較例では満足な結果が得られなかった。
また、本発明においては、上記のようなAu−Cu合金被膜形成用のめっき液を用いて長期間にわたって繰り返し装飾品の製造を行った場合、原子吸光光度計、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP)を用いた測定により、テルルの含有率等の低下の程度を容易に判断することができ、めっき液の交換、調製のタイミングを適切に決定することができたが、比較例2〜6では、有機物質の低下の程度を適切に判断することができなかった。
Claims (10)
- 少なくとも表面付近が導電性の材料で構成された基材を用意する基材用意工程と、
金イオンと銅イオンとテルルのオキソ酸化合物とを含むめっき液を用いた電解めっきにより、Au−Cu合金被膜を形成するAu−Cu合金被膜形成工程とを有することを特徴とする装飾品の製造方法。 - 前記基材は、少なくとも表面付近が、ステンレス鋼またはTiで構成されたものである請求項1に記載の装飾品の製造方法。
- 前記Au−Cu合金被膜形成工程の前に、前記基材の表面の少なくとも一部に、金フラッシュめっきを行い、Au含有率が99wt%以上のフラッシュめっき層を形成するフラッシュめっき層形成工程を有する請求項1または2に記載の装飾品の製造方法。
- 前記Au−Cu合金被膜形成工程の後に、さらに、前記Au−Cu合金被膜が設けられた前記基材に対し、300℃以上395℃以下に加熱する加熱処理を施し、その後、冷却処理を施すことにより、前記Au−Cu合金被膜の構成材料の固溶体化を促進する熱処理工程と、
酸処理を施すことにより、前記熱処理が施された前記Au−Cu合金被膜の構成成分のうち、固溶体を構成していないものを除去する酸処理工程とを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の装飾品の製造方法。 - 前記Au−Cu合金被膜形成工程は、金の含有率が8.0g/L以上10.0g/L以下であり、銅の含有率が30g/L以上40g/L以下であるめっき液を用いて行うものである請求項1ないし4のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
- 前記Au−Cu合金被膜形成工程は、テルルの含有率が10ppm以上1000ppm以下のめっき液を用いて行うものである請求項1ないし4のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
- 前記Au−Cu合金被膜形成工程を、浴温:40℃以上75℃以下、印加電圧:0.6V以上2.0V以下という条件で行う請求項1ないし6のいずれかに記載の装飾品の製造方法。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする装飾品。
- 装飾品は、時計用外装部品である請求項8に記載の装飾品。
- 請求項8または9に記載の装飾品を備えたことを特徴とする時計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009273866A JP2011117023A (ja) | 2009-12-01 | 2009-12-01 | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009273866A JP2011117023A (ja) | 2009-12-01 | 2009-12-01 | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011117023A true JP2011117023A (ja) | 2011-06-16 |
Family
ID=44282680
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009273866A Pending JP2011117023A (ja) | 2009-12-01 | 2009-12-01 | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011117023A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105671602A (zh) * | 2016-03-15 | 2016-06-15 | 大连理工大学 | 一种无氰亚硫酸盐的Au-Cu合金电镀液及应用 |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59143086A (ja) * | 1983-02-04 | 1984-08-16 | Citizen Watch Co Ltd | 装飾品への飾り部品の成形方法 |
JPS6283490A (ja) * | 1985-10-09 | 1987-04-16 | Seiko Epson Corp | 時計用外装部品 |
JPS62164889A (ja) * | 1986-01-16 | 1987-07-21 | Seiko Instr & Electronics Ltd | 金銀銅合金めつき液 |
JPH0570991A (ja) * | 1991-09-11 | 1993-03-23 | Seiko Epson Corp | 装飾部材 |
JP2000319794A (ja) * | 1999-04-28 | 2000-11-21 | Seiko Corp | めっき皮膜、それを備えた装飾品及びめっき皮膜の製造方法 |
-
2009
- 2009-12-01 JP JP2009273866A patent/JP2011117023A/ja active Pending
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59143086A (ja) * | 1983-02-04 | 1984-08-16 | Citizen Watch Co Ltd | 装飾品への飾り部品の成形方法 |
JPS6283490A (ja) * | 1985-10-09 | 1987-04-16 | Seiko Epson Corp | 時計用外装部品 |
JPS62164889A (ja) * | 1986-01-16 | 1987-07-21 | Seiko Instr & Electronics Ltd | 金銀銅合金めつき液 |
JPH0570991A (ja) * | 1991-09-11 | 1993-03-23 | Seiko Epson Corp | 装飾部材 |
JP2000319794A (ja) * | 1999-04-28 | 2000-11-21 | Seiko Corp | めっき皮膜、それを備えた装飾品及びめっき皮膜の製造方法 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105671602A (zh) * | 2016-03-15 | 2016-06-15 | 大连理工大学 | 一种无氰亚硫酸盐的Au-Cu合金电镀液及应用 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5327018B2 (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP4479812B2 (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP3642427B1 (ja) | 装飾品および時計 | |
JP6015225B2 (ja) | 装飾品および時計 | |
JP4964892B2 (ja) | 装飾部品およびその製造方法 | |
KR20040068461A (ko) | 백색 피막을 갖는 장신구 및 그 제조 방법 | |
JPWO2008108181A1 (ja) | 金合金被膜、金合金被膜被覆積層体及び金合金被膜被覆部材 | |
US20110236720A1 (en) | Noble metal-containing layer sequence for decorative articles | |
JP4067434B2 (ja) | 白色被膜を有する装飾品及びその製造方法 | |
JP2011117023A (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP4504059B2 (ja) | 金色被膜を有する装飾品 | |
JP2003268568A (ja) | 白色被膜を有する装飾品およびその製造方法 | |
JP2013224965A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2006249510A (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP2009222603A (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP2004084036A (ja) | 表面処理方法、金属部品および時計 | |
JP2007275144A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2006212340A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2011117022A (ja) | めっき液、めっき膜、装飾品および時計 | |
JP2006212341A (ja) | 装飾品および時計 | |
JP2002249887A (ja) | 装飾品の表面処理方法および装飾品 | |
JP2004084035A (ja) | 表面処理方法、金属部品および時計 | |
JP2009222605A (ja) | 装飾品の製造方法、装飾品および時計 | |
JP7332446B2 (ja) | 金色装飾品及び金色装飾品の製造方法 | |
JP2004084037A (ja) | 表面処理方法、金属部品および時計 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20121120 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Effective date: 20131206 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140107 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140307 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20141007 |