本発明は、リハビリテーションを受ける患者(以下単に「患者」という。)の正面に位置する表示画面に、患者自身の撮像画像とリハビリテーション用の画像とを合成しながら、リハビリテーション用の画像の動きによって患者の動作を促す構成において、より高いエンターテインメント性を得るとともに、患者の症状に応じた多彩な動きを誘発させようとするものである。
図1に示すように、本発明に係るリハビリテーション用システム(以下「リハビリシステム」という。)は、撮像手段1と、画像表示手段2と、動作部特定手段3と、リハビリ画像生成手段4と、画像合成手段5と、比較手段6と、表示制御手段7とを備える。
撮像手段1は、患者を連続的に撮像し、フレームごとに画像データを生成する。画像表示手段2は、撮像手段1により取得された画像データに基づく撮像画像を表示する。動作部特定手段3は、撮像手段1により取得された画像データから、フレーム内で患者の動きがあったそれぞれの位置により患者の動作部の位置を特定する。リハビリ画像生成手段4は、撮像手段1により取得された撮像画像中で動作部特定手段3により特定された患者の動作部(以下「患者動作部」という。)と干渉することで反応する反応画像部を含み患者の動作を促すリハビリ画像を、あらかじめ設定される選択可能な複数のモードに応じて生成する。
画像合成手段5は、撮像手段1により取得された撮像画像に、複数のモードのうち選択されたモードに応じてリハビリ画像生成手段4により生成されたリハビリ画像を合成させる。比較手段6は、撮像手段1により取得された撮像画像中で動作部特定手段3により特定された患者動作部の位置と画像合成手段により合成されたリハビリ画像の反応画像部の位置とを比較する。
表示制御手段7は、比較手段6による比較結果から得られる患者動作部の位置と反応画像部の位置との干渉状態に基づいて、反応画像部の表示態様および位置、ならびにリハビリ画像における反応画像部以外の画像部分であって反応画像部に連動する特定画像部の表示態様および位置の少なくともいずれかを変化させるように、リハビリ画像生成手段4を制御する。以下、本発明の実施の形態について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係るリハビリシステム10は、被写体としての患者Kを撮像するためのカメラ11と、このカメラ11が接続され、カメラ11により入力された画像データに基づいて各種処理を行うコンピュータ12とを備える。カメラ11は、患者Kをその正面側から撮像してその画像データを生成する。カメラ11は、患者Kを例えば1秒間に8フレーム連続的に撮像し、フレームごとに画像データとしてコンピュータ12へ入力する。本実施形態では、カメラ11が、患者Kを連続的に撮像し、フレームごとに画像データを生成する撮像手段として機能する。
カメラ11は、レンズを通した映像をCCD撮像板などの固体撮像素子に結像させ、それをビデオ信号として出力するビデオカメラ等であって、フレーム画面を構成するビデオ信号がコンピュータ12に入力されて処理される。カメラ11は、患者Kの前面側における所定の位置に固定される。カメラ11によって患者Kが連続的に撮像され、そのフレームごとに画像データが生成される。
なお、撮像手段としてのカメラ11には、レンズの撮像角度を調整する視野角制御部や、レンズの焦点制御部、露光制御部などを必要に応じて設けることができる。また、これらの制御部を介することで、カメラ11については、カメラ11により撮像される画像データの解析結果や、リハビリテーションにおいて選択されるモード状態などに応じて、定められた動作範囲となるように自動制御することもできる。
また、リハビリシステム10は、カメラ11により取得された画像データに基づく撮像画像を投射するプロジェクタ14と、プロジェクタ14から投射される撮像画像等を表示するためのスクリーン13とを備える。プロジェクタ14は、コンピュータ12を介して制御され患者Kに相対して配置されたスクリーン13上に所定の映像を表示する。本実施形態では、スクリーン13およびプロジェクタ14を含む構成が、カメラ11により取得された画像データに基づく撮像画像を表示する画像表示手段として機能する。
プロジェクタ14は、コンピュータ12により制御され、患者K自身の撮像画像もしくはこの撮像画像をデフォルメした画像に重畳させて、リハビリテーションのための患者の動作を促すためのリハビリ画像を表示する。プロジェクタ14およびスクリーン13によれば、患者K自身のほぼ等身大像が映し出される。本実施形態のリハビリシステム10は、例えば車椅子を使用する者の利用等を想定して主に上半身のリハビリテーションを行うものであるため、カメラ11、スクリーン13、およびプロジェクタ14は、スクリーン13に、椅子等に座った状態(座位)の患者Kの上半身が映るように配置される。なお、本実施形態では、プロジェクタ14およびスクリーン13を含む構成が採用されているが、画像表示手段としては、コンピュータに付属の液晶ディスプレイや、外部接続されるディスプレイや、CRT(陰極線管)や、テレビジョン等であってもよい。
また、リハビリシステム10には、必要に応じて、患者Kの立体的配置や健康状態などを取得するためのサブカメラや、患者Kの座る椅子に取り付けられ脈拍や体温などを測定するためのセンサ類などを設けたり、画像データに基づいてスクリーン13に映し出されるリハビリ画像と患者Kの撮像画像とそれらの変化に関連付けられた楽音データを発生させるためのスピーカ装置などを付属して配置したりすることもできる。
図3に示すように、本実施形態のリハビリシステム10が備えるコンピュータ12には、リハビリテーション中における患者Kの画像データを取得するカメラ11と、リハビリテーション用のゲーム等を実行するプログラムにより処理された合成画像などの映像を出力するためのプロジェクタ14とが接続されている。コンピュータ12は、動作部特定部21と、リハビリ画像生成部22と、画像合成部23と、比較部24と、表示制御部25とを有する。これら各部は、例えばコンピュータ12にロードされたソフトウェアや電子基板の一部として設けられる。
動作部特定部21は、カメラ11から入力された画像データに基づいて患者動作部(患者Kの動作部)の位置を特定する。ここで、患者動作部とは、患者Kのリハビリテーションのための動作を特徴付けるためのデータを取得する際に画像上で基準点もしくは標識点となる部分であって、そのリハビリテーションの種類やゲーム形態のモードに応じて患者Kの腕、手、足、肩などに設定される。本実施形態では、患者動作部は、患者Kの手の部分である。
動作部特定部21は、例えば、患者Kの動きがあった位置をあらかじめ分割されたフレーム内の区画の位置により特定する。フレームの分割例としては、横方向の分割や縦方向の分割やこれらの組み合わせ等が挙げられる。そして、動作部特定部21は、フレーム内の区画の位置の特定を、複数のフレーム間の画像データの比較により行う。
具体的には、動作部特定部21は、例えば、カメラ11により入力された画像データから、現在のフレームの画像とその直前のフレームの画像(または背景画像)のすべての画素(ピクセル)の明るさを比較し、その差が既定値以上ならば動き有りの画素であると判断する。このとき、動作部特定部21は、動き有りの画素群の重心(X座標,Y座標)が縦横のどの区画に属するものであるかを判定する。このように、本実施形態では、コンピュータ12が、カメラ11により取得された画像データから、フレーム内で患者Kの動きがあったそれぞれの位置により患者動作部の位置を特定する動作部特定手段として機能する。
リハビリ画像生成部22は、特定された患者動作部と干渉することで反応する反応画像部を含むリハビリ画像を選択可能な複数のモードに応じて生成する。ここで、リハビリ画像とは、プロジェクタ14により表示される撮像画像中で動作部特定部21により特定された患者動作部と干渉することで反応する反応画像部を含み患者Kの動作を促す画像である。
また、プロジェクタ14による撮像画像中において、患者動作部とリハビリ画像の反応画像部とが干渉するとは、撮像画像中において、リハビリ画像の反応画像部に対して、患者動作部の少なくとも一部が重なった状態となることを意味する。したがって、患者動作部が反応画像部と干渉した状態か否かの判断は、撮像画像中における患者動作部と反応画像部との重なった部分についての量に基づいて行われる。したがって、患者動作部と反応画像部との干渉は、例えば、前記のとおりカメラ11により入力された画像データのフレームにおいて分割される画像領域が用いられ、患者動作部と反応画像部との重なった部分のデータ量に基づいて規定される。
コンピュータ12においては、患者Kにおける障害の程度等に応じて複数のモードが設定されている。例えば、鬼退治や紙相撲など、お年寄りに馴染みやすい題材のものや、リハビリテーションのための動作を意識した動きや持続時間を加味したもの等がプログラムとして組み込まれており、患者の障害の程度に応じて難易度などの設定がキーボードやプッシュボタン等の入力装置を介して行なうこともできるようになっている。このように、本実施形態では、コンピュータ12が、リハビリ画像を、あらかじめ設定される選択可能な複数のモードに応じて生成するリハビリ画像生成手段として機能する。
画像合成部23は、選択されたモードに応じて撮像画像にリハビリ画像を合成させる。つまり、画像合成部23は、プロジェクタ14により表示される撮像画像に、複数のモードのうち選択されたモードに応じてリハビリ画像生成部22により生成されたリハビリ画像を合成させるための画像合成機能を有する。このように、本実施形態では、コンピュータ12が、プロジェクタ14により表示される撮像画像に、複数のモードのうち選択されたモードに応じてリハビリ画像生成部22により生成されたリハビリ画像を合成させる画像合成手段として機能する。
比較部24は、患者動作部の位置と撮像画像中の反応画像部の位置とを比較する。つまり、比較部24は、動作部特定部21により特定された患者動作部の位置と、プロジェクタ14により表示される画像中の反応画像部の位置とを比較する比較機能を有する。このように、本実施形態では、コンピュータ12が、撮像画像中で動作部特定部21により特定された患者動作部の位置と画像合成部23により合成されたリハビリ画像の反応画像部の位置とを比較する比較手段として機能する。
表示制御部25は、比較部24による比較結果から得られる患者動作部の位置と反応画像部の位置との干渉状態に基づいて反応画像部や特定画像部の表示態様等を変化させる。ここで、特定画像部とは、リハビリ画像における反応画像部以外の画像部分であって反応画像部に連動する部分である。
表示制御部25は、比較部24による比較結果から得られる患者動作部の位置と反応画像部の位置との干渉状態に基づいて、反応画像部の表示態様および位置、ならびに特定画像部の表示態様および位置の少なくともいずれかを変化させるように、リハビリ画像生成部22を制御する。このように、本実施形態では、コンピュータ12が、比較部24による比較結果から得られる患者動作部の位置と反応画像部の位置との干渉状態に基づいて、反応画像部の表示態様および位置、ならびに特定画像部の表示態様および位置の少なくともいずれかを変化させるように、リハビリ画像生成部22を制御する表示制御手段として機能する。
また、本実施形態のリハビリシステム10においては、カメラ11により取得される画像データの左右方向を反転させたミラー画像を生成してプロジェクタ14に撮像画像として表示させる画像反転手段が備えられている。画像反転手段は、例えば、カメラ11により取得される画像データを反転処理するソフトウェア処理系や、ハードウェアとしてのプリズムやミラー等の光学処理系などによって構成され、画像データの左右方向を反転させたミラー画像を生成してプロジェクタ14に撮像画像として表示させる機能を有する。
画像反転手段により、患者Kの正面側に配置されたスクリーン13に患者Kのミラー画像が表示される。これにより、患者Kがスクリーン13の画面上においてリハビリ画像に対応して手等を動かす際に、画面前面で左右の手が交差するようなことがなく、高齢者や障害者がゲーム性を加味したリハビリテーションのための動作を違和感なく容易に行なうことができ、ゲームへの抵抗感を減少させてリハビリテーション効果を高めることができる。
本実施形態のリハビリシステム10は、ディスプレイにスクリーン13とプロジェクタ14を用い、コンピュータ12に接続されたカメラ11で患者Kのリアルタイムの等身大映像を表示させる体感ゲーム型のリハビリ機器を構成する。本システムによれば、プロジェクタ14を利用することで、自分自身の動作範囲、動作スピード、動作距離等の身体動作を画面で自己認識しながらゲーム等が行われる。このため、より的確に上半身(腕・肩・肘関節、体幹等)の機能訓練をすることが可能になり、身体機能の維持・向上が期待できる。また、リハビリシステム10は、ゲーム内容として精神機能の訓練内容を盛り込んだものであり、脳機能障害者や注意障害者に向けて、色や形の識別、順番作業の遂行能力、周辺注意の向上・持続等も同時に訓練が可能である。以下では、本実施形態のリハビリシステム10においてリハビリテーションとして行われるゲーム等の具体的な内容(プログラムの詳細)について説明する。
本実施形態のリハビリシステム10においてリハビリテーションとして行われるゲーム等は、コンピュータ12に組み込まれたプログラムに基づいて実行される。リハビリシステム10においては、リハビリテーションとして行われるゲーム等であるリハビリプログラムとして、複数の動作モードがあらかじめ設定される。これら複数の動作モードは、患者Kを含むリハビリシステム10の操作者によって自由に選択できるようになっている。
本実施形態のリハビリシステム10が有する選択可能な動作モードには、患者Kの症状がある程度身体動作を行うことができるものである場合に行われるゲームモードと、ゲームモードを行うに際して患者Kに対して遊び方の説明を行うための遊び方モードと、ゲームモードが十分に楽しめない重度疾患者向けの変身モードと、患者Kの身体状況を簡易的に測定してリハビリテーションによる実施効果を評価するための効果測定モードとが含まれる。そして、これらの動作モードには、例えばゲームモードの場合における各ゲームに対応したモード等の複数の動作モードが含まれる。
図4は、本実施形態に係るリハビリプログラムのモード選択画面の一例としてのメニュー画面30を示す。メニュー画面30は、リハビリプログラムにおける初期選択画面である。メニュー画面30においては、遊び方モードを選択するための遊び方選択部31と、ゲームモードを選択するためのゲーム選択部32と、変身モードを選択するための変身選択部33と、効果測定モードを選択するための効果測定選択部34とが表示される。また、メニュー画面30においては、コンピュータ12にロードされたリハビリプログラムを終了させるための終了選択部35が表示されている。
図5は、本実施形態に係るリハビリプログラムのモード選択画面の一例としてのゲーム選択画面40を示す。ゲーム選択画面40は、メニュー画面30(図4)においてゲーム選択部32によってゲームモードが選択された場合に表示される画像であり、複数のゲームのリストの表示画面である。本実施形態では、ゲームモードとして、選択可能な四種類のゲーム(動作モード)が用意されている。
具体的には、ゲームモードとして、「風船競争」、「鬼退治」、「おにぎりバレー」、「紙相撲」の四種類のゲームが用意されている。したがって、図5に示すように、ゲーム選択画面40においては、「風船競争」について表示部分である第一ゲーム表示部41と、「鬼退治」についての表示部分である第二ゲーム表示部42と、「おにぎりバレー」についての表示部分である第三ゲーム表示部43と、「紙相撲」についての表示部分である第四ゲーム表示部44とが表示されている。そして、各ゲーム表示部41,42,43,44には、それぞれのゲームを選択するための表示部分、つまり各ゲームを開始するための表示部分として、「始める」の文字が表示されたゲーム選択部45が表示されている。また、ゲーム選択画面40においては、メニュー画面30に復帰するための表示部分として、「戻る」の文字が表示された復帰選択部46が表示されている。
図6は、本実施形態に係るリハビリプログラムのモード選択画面の一例としての変身選択画面50を示す。変身選択画面50は、メニュー画面30(図4)において変身選択部33によって変身モードが選択された場合に表示される画像であり、複数の変身のリストの表示画面である。本実施形態では、変身モードとして、選択可能な三種類の変身(動作モード)が用意されている。
具体的には、変身モードとして、「端午の節句」、「海水浴」、「ラブラブ」の三種類の変身が用意されている。したがって、図6に示すように、変身選択画面50においては、「端午の節句」についての表示部分である第一変身表示部51と、「海水浴」についての表示部分である第二変身表示部52と、「ラブラブ」についての表示部分である第三変身表示部53とが表示されている。そして、各変身表示部51,52,53には、それぞれの変身を選択するための表示部分、つまり各変身を開始するための表示部分として、「始める」の文字が表示された変身選択部55が表示されている。また、変身選択画面50においては、メニュー画面30に復帰するための表示部分として、「戻る」の文字が表示された復帰選択部56が表示されている。
なお、図4から図6に示すようなモード選択画面における動作モードの選択は、コンピュータ12のキーボードやマウス等によって操作されるポインタ36が用いられたり、患者Kの手の届く範囲に配置されるタッチパネル等が用いられたりして行われる。
また、モード選択画面における動作モードの選択は、前述したような撮像画像における患者動作部の各表示部分に対する干渉が用いられ、患者Kの動作によって行われてもよい。この場合、カメラ11により取得される患者K自身の画像データ中の例えば顔の表情や手や口など動きが検出され、操作機器等に直接手を触れることなく各選択部が選択できる。また、この場合においては、例えば、データ処理により認識可能な患者Kの笑顔パターン等のいくつかの特定パターンをあらかじめコンピュータ12の記憶部に登録しておき、カメラ11から取得される画像データ中にこの特定パターンが検出されたときにこれに対応した特定の選択操作が有効になるように設定することもできる。
図7は、リハビリプログラムにおける動作モード選択処理のフローチャートを示す。かかるフローチャートにより示される処理は、本実施形態のリハビリプログラムにおいて実行されるメインルーチンである。
図7に示すように、動作モード選択処理においては、まず、動作範囲設定処理が行われる(S1)。ステップS1においては、座位や立位の患者Kに対して、その手足などの動きが可能な動作範囲が測定され、この動作範囲に対応した大きさのリハビリ画像がスクリーン13上に表示されるように設定される。動作範囲設定処理においては、必要に応じて、カメラ11によるズーム、パン、チルト等の操作を行なうことで撮像条件を適正化するとともに、患者Kの近傍のカメラ撮影範囲にあらかじめ測定指標となるスケールやマーカ等を配置することで、カメラ11で取得した画像データから患者Kとスクリーン13との相対距離などのデータが計測できるようにしてもよい。なお、実際にスケールやマーカ等を配置することなく、スケール等に相当するバーチャル画像を含むリハビリ画像がスクリーン13上に表示されるようにしてもよい。
次に、モード選択処理が行われる(S2)。ステップS2においては、スクリーン13に、図4から図6に示すようなモード選択画面が表示される。すなわち、リハビリプログラムにおける初期選択画面としてはメニュー画面30が表示され、ゲームモードにおいてはゲーム選択画面40が表示され、変身モードにおいては変身選択画面50が表示される。そして、各選択画面においてゲームや変身が適宜選択される。なお、図示は省略するが、ステップS2において表示される画面には、効果測定モードに対応する選択画面が含まれる。
そして、モード実行処理が行われる(S3)。ステップS3においては、ステップS2にて選択されたゲームや変身等が実行される。つまり、リハビリブログラムにおいて選択されたゲームや変身等のサブルーチンが呼び出されてプロジェクタ14によってスクリーン13に投影表示される。以上のようにして、各動作モードが実行される。
なお、リハビリプログラムにおいては、各動作モードの実行形態やカメラ11により取り込まれた画像データ中の患者Kの動き等に連係した楽曲や音声等をコンピュータ12によってスピーカ等から発生させてもよい。これにより、リハビリテーションにおけるエンターテインメント性をさらに高めることができる。
この場合、例えば、コンピュータ12において動作部特定部21により特定された患者動作部がフレーム内のどこにあるかに応じた楽音データが生成される。例えば、フレームが横方向に5分割されている場合、これらの分割された区画の中から患者Kの動きが有った部分に対応する楽器(例えば、ピアノ、ギター、ベース、ドラム、オルゴール等。)の音源による楽音データを生成することができる。
また、コンピュータ12は、時間の経過やスクリーン13上に表示する患者動作部の特定の動き等をきっかけ(トリガ)として楽曲の基準コードを変化させることで、基準コードの変化(コード進行)を音楽として美しく奏でられるようになる。この変化には、あらかじめ順番やタイミング等を指定しておく場合や、ランダムで進行させる場合などがある。変化のタイミングとしては、時間の経過による変化の他、患者動作部の動きの程度によって切り換えるなど、患者の動きに合わせて変化させることも可能である。こうして、リハビリプログラムにおいて、スクリーン13上に撮像画像とリハビリ画像とを合成表示することによる視覚的効果と、この合成画像により楽曲を変動して発生させる音源による聴覚効果とを連係して相乗的に発揮させることにより、機能回復効果に優れた認知症患者などへのトレーニングが可能となる。
ゲーム選択画面40(図5)において選択されるゲームは、患者Kがスクリーン13に映る自己の撮像画像(ミラー画像)を見ながら、この自己の撮像画像に重ねてスクリーン13に表示されるリハビリ画像の動きに対応するように行われる。具体的には、前述したように、ゲームは、スクリーン13において患者動作部がリハビリ画像における反応画像部に干渉することが用いられて行われる。
したがって、患者Kのスクリーン13に対する相対的な位置は、スクリーン13に表示される自己の撮像画像について、スクリーン13のほぼ全範囲に患者動作部が届くように設定される。つまり、ゲームを行うためには、患者動作部(本実施形態では手の画像部分)が、スクリーン13における略全面に対応する範囲で動かされることが前提となる。
このため、ゲームを行うに際しては、患者Kがゲームやリハビリの効果測定等を正確に行うことができるように、前述したような動作範囲設定処理(図7、ステップS1参照)等のような設定が行われる。そこで、本実施形態のリハビリシステム10においては、図3に示すように、コンピュータ12において、患者動作部のスクリーン13における動作範囲の設定を行うための設定画像を生成する設定画像生成部26を有する。ここで、設定画像生成部26により生成される設定画像については、例えば患者Kが車椅子の利用者である場合、座位での利用が前提とされる。
設定画像生成部26は、プロジェクタ14が撮像画像を表示する画面であるスクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる位置基準画像部と、スクリーン13に対する患者Kの動作範囲を確認するための動作範囲確認画像部とを含む設定画像を生成する。設定画像は、患者Kがゲーム等を始める前に、スクリーン13に対して座る位置や、スクリーン13に対する動作範囲を確認するための画像である。そして、このように設定画像生成部26が備えられる構成においては、画像合成部23は、プロジェクタ14により表示される撮像画像に、設定画像生成部26により生成された設定画像を合成させる。
図8に、設定画像の一例を示す。図8(a)は、設定画像60に含まれる位置基準画像部としての縦中心線部61を示す。縦中心線部61は、スクリーン13における左右方向の中央位置を示す縦線状の画像部分であり、スクリーン13に対する患者Kの左右方向の位置についての基準となる。したがって、患者Kは、スクリーン13に映る自己の撮像画像の身体の中心が、縦中心線部61に合うように、例えば「身体の中心を合わせてください」等の音声ガイドに従って、スクリーン13に対する左右方向の位置を調整する。
このように、設定画像60に含まれる位置基準画像部としての縦中心線部61は、スクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる指標マーカである。位置基準画像部としては、縦中心線部61のほか、スクリーン13における縦方向または横方向の複数の直線状の部分や、患者Kに対応する人の外形を縁取るような人の外形に沿う線状部分等であってもよい。
図8(b)は、設定画像60に含まれる動作範囲確認画像部としての隅丸形状部62を示す。隅丸形状部62は、スクリーン13における四隅のそれぞれに表示される丸形状の画像部分であり、スクリーン13に対する患者動作部の移動範囲、つまり患者Kの動作範囲を確認するための画像部分である。したがって、患者Kは、両指先が画面の四隅にある隅丸形状部62に触れるように、例えば「両手を広げて丸形状を触って下さい」等の音声ガイドに従って、自分のスクリーン13に対する動作範囲を確認する。スクリーン13の四隅の隅丸形状部62に触れることができたら、患者Kのスクリーン13に対する相対的な位置が確定する。隅丸形状部62は、例えば縦中心線部61を基準として配置される。
このように、設定画像60に含まれる動作範囲確認画像部としての隅丸形状部62は、患者Kのスクリーン13に対する動作範囲を確認するための指標マーカである。なお、隅丸形状部62は、スクリーン13の上側の二隅のみに設けられてもよい。また、動作範囲確認画像部としては、隅丸形状部62のほか、丸以外の形状を有するものや、スクリーン13の四隅に限られずスクリーン13の周縁部に設けられるものや、キャラクタ画像等であってもよい。
以上のように、本実施形態では、コンピュータ12が、スクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる位置基準画像部である縦中心線部61と、スクリーン13に対する患者Kの動作範囲を確認するための動作範囲確認画像部である隅丸形状部62とを含む設定画像60を生成する設定画像生成手段として機能する。
コンピュータ12が設定画像生成部26を備えることにより、スクリーン13との関係において、リハビリプログラムにおけるゲームを行なう患者Kに固有の基準位置と動作範囲とを設定することができ、患者Kのリハビリテーションのための動作に対応したリハビリ画像をスクリーン13上に適正表示させることができる。したがって、例えば、患者Kが車椅子に乗った座位の姿勢で、その手を拡げて届く範囲内にゲーム領域を設定したり、手足や肩の可動範囲を測定することでリハビリテーション効果を評価したりすることができる。
メニュー画面30(図4)において、遊び方選択部31によって遊び方モードが選択されることで、スクリーン13に遊び方の画像が表示される。ここで、遊び方とは、リハビリプログラムにおいて行われるゲーム等の選択された各モードにおける遊び方や使用法等を示すものである。遊び方モードは、例えば、カメラ11等によって画面に映る経験の少ないお年寄りや、リハビリシステム10の初めての使用者等に対して行われるものである。したがって、遊び方の画像としては、バーチャルでの空間認識イメージ、リアルタイムでの動作イメージ等を獲得することができる練習画像が用いられる。
図9は、本実施形態に係るリハビリプログラムの遊び方画像70を示す。遊び方画像70においては、スクリーン13に複数の出没画像部71が表示される。出没画像部71には、例えば紙風船等の、お年寄り等が馴染みやすいモチーフが用いられる。出没画像部71は、例えば所定の時間内において患者Kの頭上、右側、左側等、順番に出現する画像部分である。
このため、患者Kは、出没画像部71に順番通りに触ろうとすること、つまり患者動作部を出没画像部71と干渉させようとすることで、自分の動作がスクリーン13の画面上においてどのように動いているかを、スクリーン13の画面で認識することができる。遊び方画像70を利用することで、ゲームに際しての準備や、患者Kの自分の動作範囲、距離、速度を認識することが可能となる。
メニュー画面30(図4)において、ゲーム選択部32によってゲームモードが選択されることで、スクリーン13にゲーム選択画面40が表示される(図5)。そして、ゲーム選択画面40において、各ゲームが選択されることで、選択されたゲームが行われる。
図10は、リハビリシステム10において実行されるゲーム(動作モード)の一例である「鬼退治」ゲームの実施態様を示す説明図である。図10に示すように、「鬼退治」ゲームは、患者Kがスクリーン13上に次々とランダムに現れて浮遊する鬼キャラクタDを目で追いながら、退治していくゲームである。ここで、鬼キャラクタDの“退治”は、スクリーン13上において患者動作部である手Hの画像部分が反応画像部である鬼キャラクタDに干渉することで実現される。退治された鬼キャラクタDは、スクリーン13から消失する。
したがって、「鬼退治」ゲームにおいては、患者Kは、患者動作部として設定されたスクリーン13の画面上の手Hの部分が鬼キャラクタDに触れるように、実体である患者Kの手H’を動かすことで鬼キャラクタDを退治していき、所定の得点を獲得する。患者Kが獲得した得点は、「鬼退治」ゲームのリハビリ画像が有する点数表示部Tにその都度表示される。
「鬼退治」ゲームにおいては、患者Kの前面側に対向して配置されたスクリーン13に、リハビリ画像として、画面上を上下左右方向にランダムに動き回る浮遊状態の複数個の鬼キャラクタDが、プロジェクタ14を介して表示される。そして、このリハビリ画像と重ね合わせるようにカメラ11により撮影された患者Kの正面画像がその左右を反転させたミラー画像としてスクリーン13の画面上に合成表示される。
なお、コンピュータ12の表示制御部25により画像処理されるリハビリ画像やミラー画像のデータは、二層レイヤー構造のデータとして保持されている。これによって、レイヤーごとに透明度や輝度などが設定されるとともに、必要に応じて患者Kの画像データはその対象部分の輪郭外などの領域をマスク処理して除去することでスクリーン13の画面上に表示される患者Kの手などの患者動作部の識別が容易になるように調整している。
「鬼退治」ゲームにおいては、例えば、患者Kが時間内にどれだけ鬼キャラクタDを退治することができたかが、点数表示部Tに表示される得点により評価される。ここで、複数の鬼キャラクタDについて、その色・サイズ・形態・動作スピード等に違いを持たせ、これらの違いごとに、退治することで獲得できる得点を設定することもできる。
「鬼退治」ゲームでは、患者Kの習熟度や障害の程度などに応じて、得点構成やゲーム構成などを異ならせることで、複数のレベルを設けることができる。例えば、初級レベルでは、順番に番号つきで複数の鬼キャラクタDが表示され、例えば30秒内でどれだけの数の鬼キャラクタDを退治できるかが測定・評価される。こうしたゲーム設定によれば、ゲームへの興味を高めることができるとともに、順番に鬼キャラクタDを退治することによる遂行能力のトレーニングがなされ、患者Kの脳機能面での回復が図られる。
初級レベルに対する上級レベルでは、例えば、赤鬼(赤色の鬼キャラクタD)や青鬼(青色の鬼キャラクタD)等の異なる色の鬼キャラクタDが混ざった存在している中で、指定の色(例えば赤鬼)だけを対象としてその番号順に退治させるようなゲーム形態が用いられる。こうしたゲーム設定によれば、鬼キャラクタDについての色、順番による情報獲得や識別トレーニング、注意機能向上、遂行機能向上などによる脳機能面の回復が図られる。さらに、おまけレベルとして、単純にたくさんの鬼キャラクタDを退治することで、得点を競うゲーム構成等も考えられる。
以上のような、複数のモードのうちの一つのモードである「鬼退治」ゲームにおいては、表示制御部25は、リハビリ画像生成部22に、リハビリ画像に含まれる反応画像部として、多数の画像部分である鬼キャラクタDを出現させるとともに、患者動作部が干渉することで反応した鬼キャラクタDを消失させる。
このような「鬼退治」ゲームによれば、脳機能については、前記のとおり注意機能の向上や遂行機能の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。また、運動機能(上肢機能)については、体幹の安定性(バランス能力)向上、肩関節・肘関節・手関節等の可動範囲の拡大、広範囲(周辺)への腕の運動、上肢リーチ範囲の拡大、持久力の向上、反応速度の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。なお、本実施形態では、反応画像部として、鬼キャラクタDが採用されているが、例えばモグラやネズミ等、ゲームとして患者Kの興味を惹くようなものが適宜採用される。
図11は、リハビリシステム10において実行されるゲーム(動作モード)の一例である「おにぎりバレー」ゲームの実施態様を示す説明図である。図11に示すように、「おにぎりバレー」ゲームは、スクリーン13上を浮遊状態でゆっくりと落下する複数のおにぎりNを、スクリーン13のフレーム内から下側に落とさないように(フレームアウトしないように)レシーブするゲームである。ここで、おにぎりNの“レシーブ”は、スクリーン13上において患者動作部である手Hの画像部分が反応画像部であるおにぎりNに下側から干渉することで実現される。レシーブされたおにぎりNは、手Hの動きに対応した方向に移動方向を変化させながら浮遊する。つまり、おにぎりNの浮遊状態は、スクリーン13上における患者動作部である手Hの動きによっておにぎりNに上方へ向かう反発力を付与することで維持される。
したがって、「おにぎりバレー」ゲームにおいては、患者Kは、患者動作部として設定されたスクリーン13の画面上の手Hの部分が下側からおにぎりNに触れるように、実体である患者Kの手H’を動かすことでおにぎりNの落下を防ぐ。そして、例えば、所定時間経過した後においてスクリーン13上に残っているおにぎりNの数が得点として用いられる。
「おにぎりバレー」ゲームにおいては、患者Kの前面側に対向して配置されたスクリーン13に、リハビリ画像として、画面上を浮遊状態でゆっくりと落下するとともに手Hの干渉を受けることで手Hの動きに対応した方向に移動方向を変化させる複数個のおにぎりNが、プロジェクタ14を介して表示される。
「おにぎりバレー」ゲームでは、患者Kの習熟度や障害の程度などに応じて、得点構成やゲーム構成などを異ならせることで、複数のレベルを設けることができる。例えば、ゲームスタート時におけるスクリーン13上のおにぎりNの数やタイミング(速度)等により、複数のレベルが設定される。具体的には、例えば、ゲームスタート時におけるスクリーン13上のおにぎりNの数が、初級レベルで10個、中級レベルで15個、上級レベルで20個等のように設定される。また、複数のおにぎりNの中に、同じ形状で色の異なる赤いおにぎり(赤飯)N1を混ぜ、この赤いおにぎりN1を他のおにぎりNよりも高得点とすることで、単にゲームスタート時のおにぎりNの数に基づく達成率を競うゲームから得点制に変更し、高得点を狙うゲームにすることもできる。
以上のような、複数のモードのうちの一つのモードである「おにぎりバレー」ゲームにおいては、表示制御部25は、リハビリ画像生成部22に、反応画像部として、緩やかに落下するとともに患者動作部である手Hが下側から干渉することで緩やかに浮上する複数の画像部分であるおにぎりN(および赤いおにぎりN1)を表示させる。
このような「おにぎりバレー」ゲームによれば、脳機能については、注意機能の向上や遂行機能の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。また、脳機能面における周辺注意、識別トレーニングができる。すなわち、加齢により視野が狭くなり周辺注意が低下した高齢者などに対する周辺注意力の向上トレーニングとしての効果が得られる。また、運動機能(上肢機能)については、ゆっくりした肩の運動、体幹の左右方向への安定、上腕運動による目標物コントロール等が行われることから、体幹の安定性(バランス能力)向上、肩関節・肘関節・手関節等の可動範囲の拡大、反応速度の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。なお、本実施形態では、反応画像部として、おにぎりNが採用されているが、例えばボールや果物等、ゲームとして患者Kの興味を惹くようなものが適宜採用される。
図12は、リハビリシステム10において実行されるゲーム(動作モード)の一例である「紙相撲」ゲームの実施態様を示す説明図である。図12に示すように、「紙相撲」ゲームは、患者同士あるいは患者と介護者などとによる2名参加の対戦型ゲームであり、力士キャラクタG,G’同士を対戦させ、一方の力士キャラクタG(またはG’)が土俵Pの外に追い出されることで勝敗が決まるゲームである。力士キャラクタG,G’の動作(相手側への移動)は、各力士キャラクタG,G’に対応して画面における所定の位置に存在する反応画像部である風車W,W’に手Hが干渉することに連動する。画面上において手Hが干渉した風車W,W’は、その手Hの動作範囲や動作スピード等に応じたスピードで回転する。つまり、手Hの動作範囲が広いほど、動作スピードが速いほど、相手の力士キャラクタG(またはG’)への作用(押す力)が強くなる。
したがって、「紙相撲」ゲームにおいては、患者Kを含む参加者(プレイヤー)は、患者動作部として設定されたスクリーン13の画面上の手Hの部分が自分側の風車W(またはW’)に触れるように、実体である患者Kの手H’を動かすことで風車W(またはW’)を回転させ、相手の力士キャラクタG’(またはG)を土俵Pから押し出すように、力士キャラクタG(またはG’)を動かす。
「紙相撲」ゲームにおいては、プレイヤーの前面側に対向して配置されたスクリーン13に、リハビリ画像として、各プレイヤーに対応する反応画像部である一対の風車W,W’と、各風車W,W’の動きに連動して動作する各プレイヤーに対応する力士キャラクタG,G’とが、プロジェクタ14を介して表示される。そして、「紙相撲」ゲームにおいては、スクリーン13上に表示される患者動作部である手Hと反応画像部である風車W、W’との干渉のタイミングやその強弱に対応して、特定画像部である力士キャラクタG,G’を動作させることで、いずれかの力士キャラクタG,G’が土俵Pから出ることにより、最終的に「紙相撲」ゲームの勝敗が決定されるようにプログラミングされている。
以上のような、複数のモードのうちの一つのモードである「紙相撲」ゲームにおいては、表示制御部25は、リハビリ画像生成部22に、反応画像部として、定位置に存在する二つの画像部分である風車W,W’を表示させるとともに、二つの風車W,W’のそれぞれに対応する特定画像部である力士キャラクタG、G’を表示させ、各風車W,W’に対する患者動作部の干渉状態に応じて、風車W,W’に対応する力士キャラクタG、G’を変化させる。
このような「紙相撲」ゲームによれば、脳機能については、注意の持続・集中のトレーニングができ、注意機能の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。また、運動機能(上肢機能)については、上肢の協調性のトレーニング、肘関節の屈伸、肩のプレース(姿勢の保持)等が行われることから、体幹の安定性(バランス能力)向上、肩関節・肘関節・手関節等の可動範囲の拡大、筋力の向上、持久力の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。
図13は、リハビリシステム10において実行されるゲーム(動作モード)の一例である「風船競争」ゲームの実施態様を示す説明図である。図13に示すように、「風船競争」ゲームは、前述した「紙相撲」ゲームと同様に2名参加の対戦型ゲームであり、風船B,B’をスクリーン13の下の部分から、スクリーン13の上の部分に表示されるゴール部分Fの部分まで先に上昇させることを競うゲームである。風船B,B’の動作(上昇)は、反応画像部である風船B,B’に手Hが干渉することに連動する。画面上において手Hが干渉した風船B,B’は、その手Hの動作範囲や動作スピード等に応じたスピードで回転する。つまり、手Hの動作範囲が広いほど、動作スピードが速いほど、風船B,B’の上昇スピードが速くなる。
したがって、「風船競争」ゲームにおいては、患者Kを含む参加者(プレイヤー)は、患者動作部として設定されたスクリーン13の画面上の手Hの部分が自分側の風船B(またはB’)に触れるように、実体である患者Kの手H’を動かすことで風船B(またはB’)を上昇させる。
また、「風船競争」ゲームにおいては、各プレイヤーについて複数(本例では2個)の風船B,B’が用意される。そして、各風船B,B’には番号が付され、番号の順番に上昇するように設定される。つまり、本例では、「1」の風船B,B’を上げ終わらないと(ゴール部分Fまで持っていかないと)、「2」の風船B,B’が動かないように設定される。ここで、風船B,B’の色や番号はランダムに変更するように設定されてもよい。
「風船競争」ゲームにおいては、プレイヤーの前面側に対向して配置されたスクリーン13に、リハビリ画像として、各プレイヤーに対応する反応画像部である一または複数の風船B,B’が、プロジェクタ14を介して表示される。そして、「風船競争」ゲームにおいては、スクリーン13上に表示される患者動作部である手Hと反応画像部である風船B,B’との干渉のタイミングやその強弱に対応して、風船B,B’を上昇させることで、いずれかの風船B,B’がゴール部分Fに到達することにより、「風船競争」ゲームの勝敗が決定されるようにプログラミングされている。
以上のような、複数のモードのうちの一つのモードである「風船競争」ゲームにおいては、表示制御部25は、リハビリ画像生成部22に、反応画像部として、患者動作部の干渉状態に応じて所定の方向(本実施形態では上方向)に移動する二つの画像部分である風船B,B’を表示させる。
このような「風船競争」ゲームによれば、脳機能については、識別能力・遂行能力のトレーニングができ、競争心や意欲といった精神機能面を賦活することができるので、注意機能の向上や遂行機能の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。また、運動機能(上肢機能)については、体幹の進展、肩関節の内転動作、肘関節の屈伸、手関節の背屈運動等が行われることから、肩関節の安定性向上、肩関節・肘関節・手関節等の可動範囲の拡大、体幹の運動性向上、持久力の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。
なお、以上のようなゲームモードにおける各ゲームのモチーフやキャラクタ等や、選択可能なゲームの数等は一例であり、各ゲームによって誘発させる患者Kの動作や各ゲームの趣旨等に応じて様々なモチーフやキャラクタ等を採用することができる。
メニュー画面30(図4)において、変身選択部33によって変身モードが選択されることで、スクリーン13に変身選択画面50が表示される(図6)。そして、変身選択画面50において、各変身が選択されることで、選択された変身が行われる。
図14は、リハビリシステム10において実行される変身(動作モード)の一例を示す説明図である。変身のモードにおいては、患者K自身が種々の変身パターンにスクリーン13上で変身できる。変身のモードは、上述したようなゲームが十分に楽しめない重度疾患者向けのものであり、患者Kの注視力向上のためのプログラムである。変身のモードでは、スクリーン13上に表示される患者K自身の正面画像に対してモチーフが付加されたり、患者K自身の正面画像の一部がデフォルメされたり他のアイテムに置き代わったりするいくつかの変身パターンがあらかじめ準備されており、スクリーン13上に表示される患者K自身の映像を変化させることで患者Kの注意力や識別力が刺激されるようになっている。
図14には、変身のモードとして、スクリーン13上に表示される患者Kの正面画像Jに対してモチーフが付加される場合を示している。図14では、正面画像Jに付加されるモチーフとして、「端午の節句」が示されている。「端午の節句」の変身のモードは、患者Kの撮像画像に合成される変身用の画像(変身画像)として、スクリーン13上に表示される患者Kの正面画像Jの部分に対応して表示される兜V1と、スクリーン13における所定の位置に表示される鯉のぼりV2とを有する。
具体的には、図14(a)に示すように、スクリーン13に、カメラ11によって撮像された患者Kの正面画像Jが表示されると、例えば、同図(b)に示すように、まず、変身画像に含まれる兜V1が正面画像Jに対応して表示され、次に、同図(c)に示すように、変身画像に含まれる鯉のぼりV2が表示される。
「端午の節句」の変身のモードにおいては、スクリーン13に患者Kの正面画像Jが表示されると、自動的に正面画像Jの顔部分が検出され、その顔部分に対応するように兜V1が表示される。兜V1の画像部分は、患者Kがスクリーン13に対して相対的に動くことによる正面画像Jの顔部分の動きに追従して表示される。ここで、兜V1の画像部分の、正面画像Jの顔部分の動きに対する“追従”については、正面画像Jの顔部分がスクリーン13の画面に平行に移動することにともなう兜V1の画像部分の移動のほか、正面画像Jの顔部分がスクリーン13の画面に垂直に移動することにともなう兜V1の画像部分の拡大・縮小も含まれる。こうした患者Kの正面画像Jに対する兜V1の画像部分の追従により、患者Kの注意の持続が促される。
変身のモードにおいては、スクリーン13に患者Kの正面画像Jが表示されると、コンピュータ12が有する画像データ処理部等により、正面画像Jにおける顔部分が検出されて特定される。ここで、コンピュータ12は、カメラ11で撮像される患者Kの正面画像Jの顔部分の様子を画像認識情報として取得してもよい。正面画像Jにおける顔部分は、例えば、患者Kの正面画像Jについて、目・鼻・口それぞれに対応する画像部分のバランス関係等に基づいて検出される。
そして、コンピュータ12においては、特定された正面画像Jにおける顔部分についての情報が、変身画像を表示するためのトリガ情報(トリガ信号)として出力される。このようにコンピュータ12において出力されるトリガ情報に基づき、同じくコンピュータ12が有する変身画像生成部(図示略)等によって変身画像がフレームごとに生成され、画像合成部によって患者Kの撮像画像と合成される。ここで、正面画像Jにおける顔部分の大きさ(範囲)に応じたトリガ情報が出力されることで、兜V1の画像部分の拡大・縮小が行われ、正面画像Jにおける顔部分の数(人数)に応じたトリガ情報が出力されることで、人数に対応した複数の兜V1の画像部分が表示される。
変身のモードにおいては、より患者Kの注意の持続を促すため、変身画像として、時間の経過や患者Kの顔の表情等にともなって色や形状等の表示態様が変わるアニメーション型が採用されてもよい。また、変身のモードにおいては、あらかじめ登録された複数の変身パターンが、ランダムにあるいは患者Kの症状等に応じて変身画像が切り替わるように表示されてもよい。また、変身のモードにおいては、画面上に、スクリーン13に患者Kの正面画像Jが表示された状態において変身画像を表示させるためのボタン部分を表示させてもよい。なお、変身のモードにおいては、スクリーン13の画面上に、初期状態に復帰させるための戻るボタンRが適宜表示される(図14(b),(c)参照)。
変身画像のモチーフとしては、例えば、季節に関連付けたもの(季節パターン)や、疑似体験に関連付けたもの(疑似体験パターン)が挙げられる。具体的には、季節パターンとしては、例えば、春には、桜・ひな人形等を含む“ひな祭り”、夏には、いか・スイカ等を含む“海水浴”、秋には、月・だんご・うさぎ等を含む“お月見”、冬には、サンタ・トナカイ等を含む“クリスマス”等のモチーフが採用される。また、疑似体験パターンとしては、例えば、ケーキ・プレゼント等を含む“誕生日”や、ドレスやハット等の新郎・新婦が表示される“ラブラブ”等のモチーフが採用される。
変身画像のモチーフとして用いられる季節パターンは、患者Kの生活感(自分の置かれている状況、日時、季節等の見当識)を把握させるために好適である。また、変身画像のモチーフとして用いられる疑似体験パターンは、非日常の刺激が導入され、これまでにない体験での面白み、楽しみ等を感じさせることによって患者KのQOL(生活の質)の向上のために好適である。
季節パターンについて、前記のとおり夏の季節のいか・スイカ等を含む“海水浴”においてアニメーション型が採用される場合、例えば、患者Kの正面画像Jの顔部分の検出後、その顔部分を覗かせるようなスイカ(スイカの被り物)が表示され、その後数秒経過すると、スイカが割れてスイカの中の赤い部分が現れ、また数秒経過後に元の状態に戻る等の、動きが生じるタイプの変身画像となる。こうした、動的な変身画像によれば、患者Kの注意の持続が効果的に促される。また、疑似体験パターンについては、例えば前記のような“ラブラブ”のモチーフにおいて洋装が採用されることで、専ら和装しか体験したことのないお年寄りが願望を持つ洋装の姿への変身が可能になり、効果的に患者Kの注意を喚起することができる。
また、変身のモードにおいては、撮影・印刷機能が備えられる。具体的には、図14(c)に示すように、スクリーン13の画面上に(変身画像の一部に)、撮影ボタンSが表示され、任意のタイミングで、スクリーン13に表示されている画像、つまり患者Kの撮像画像と変身画像との合成画像の画像データが所定のフォルダへ保存される。そして、変身のモードの利用者は、撮影・保存された画像データを、記念撮影写真として、例えばコンピュータ12に接続されるプリンタ等によって印刷する。
このような変身のモードによれば、前述したようなゲームモードが十分に楽しめない患者Kであっても、スクリーン13の画面を真っ直ぐに注視し続けることで、自分の撮像画像について、様々な態様への変身や変化が楽しめるので、注視力を向上させることができる。具体的には、脳機能については、自己への気付き・変化によるフィードバックの認識、および注意の持続が得られることから、覚醒レベルの向上や注意機能の向上等が、患者Kの改善効果として期待できる。また、運動機能(上肢機能)については、頭部がスクリーン13の画面に対して正中位置を向いていないと、患者Kの顔部分が認識されずに変身画像が表示されないことから、体幹〜頭部等の位置固定のリハビリ作用が得られる。
メニュー画面30(図4)において、効果測定選択部34によって効果測定モードが選択されることで、リハビリ効果測定が行われる。
リハビリテーションの効果の測定として医療現場で実際に行われているものに、身体機能を身体バランスの面から測定するファンクショナルリーチテスト(Functional Reach Test、以下「FRテスト」という。)と、身体機能を関節可動域(Range Of Motion)の面から測定する関節可動域テスト(以下「ROMテスト」という。)と、身体機能を反応速度の面から測定する反応スピードテスト(落下棒テスト等)とがある。
効果測定モードにおいて行われるリハビリ効果測定は、本実施形態に係るリハビリシステム10によって上記のような各テストを再現させることで、患者Kの身体状況を簡易的に測定・診断するためのものである。こうしたリハビリ効果測定を行うため、本実施形態のリハビリシステム10においては、図3に示すように、コンピュータ12において、上記のような各テストに対応する測定画像を生成する測定画像生成部27を有する。
測定画像生成部27は、プロジェクタ14が撮像画像を表示する画面であるスクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる位置基準画像部と、この位置基準画像部との関係において患者Kの身体機能を測定するための測定用画像部とを含み、患者Kの身体機能を身体バランス、関節可動域、および反応速度のいずれかの面から測定するための測定画像を生成する。測定画像は、患者Kが前述したようなゲーム等のリハビリプログラムを開始する前、あるいはリハビリプログラムを行った後に、患者Kの身体機能を測定することで、リハビリテーションの効果を測定するための画像である。そして、このように測定画像生成部27が備えられる構成においては、画像合成部23は、プロジェクタ14により表示される撮像画像に、測定画像生成部27により生成された測定画像を合成させる。
本実施形態では、効果測定モードとして、上記の各テスト(FRテスト、ROMテスト、反応スピードテスト)に対応する選択可能な三種類のリハビリ効果測定(動作モード)が用意されている。なお、これらのリハビリ効果測定は、例えばメニュー画面30(図4)において効果測定選択部34によって効果測定モードが選択された場合に表示されるリスト画面(ゲームモードについてゲーム選択画面40(図5)参照)において選択可能とされる。
図15は、リハビリシステム10において実行されるリハビリ効果測定(動作モード)の一例であるFRテストの実施態様を示す説明図である。FRテストは、身体全体(体幹)のバランス能力(立位においてどれだけ重心を支持基底面の中心から離せるか)を評価するためテストである。FRテストにおいては、肩幅の足位で起立するとともに利き手上肢を肩屈曲90度挙上した姿勢からの、上肢を水平に前方へ伸ばす最大限の距離(指先の移動距離)が測定される。
図15は、FRテストを行うための測定画像の一例を示す。図15(a)は、FRテストの初期画面であり、FRテストを行うための測定画像であるFRテスト測定画像80に含まれる位置基準画像部としての縦中央線81を示す。縦中央線81は、スクリーン13における左右方向の中央位置あるいは左右いずれかから1/3程度の位置において表示される縦線状の画像部分であり、FRテストを行う患者Kのスクリーン13に対する位置や向き等についての基準となる。
したがって、図15(b)に示すように、患者Kは、スクリーン13に映る自己の撮像画像83を視認しながら、縦中央線81に対して、撮像画像83の肩の中心部分が合うように、スクリーン13に対する相対的な位置を設定する。FRテストにおいては、図15(b)に示すように、患者Kは、スクリーン13に対して横(左右方向のいずれか)を向く姿勢となる。
このように、FRテスト測定画像80に含まれる位置基準画像部としての縦中央線81は、スクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる指標マーカである。位置基準画像部としては、縦中央線81のほか、スクリーン13における縦方向または横方向の複数の直線状の部分や、患者Kに対応する人の外形を縁取るような人の外形に沿う線状部分等であってもよい。
図15(b)に示すように、患者Kが縦中央線81によってスクリーン13に対して位置決めされると、FRテスト測定画像80に含まれる測定用画像部としてのスケール画像部82が表示される。スケール画像部82は、スクリーン13の画面上において、縦中央線81から患者Kの向く側(図15においては右側)の部分に表示される画像部分であり、縦中央線81に平行に等間隔に配される複数の上下方向の直線状の部分を含む。
図15(b)に示すように、患者Kの測定動作の開始に際しては、患者Kは、肩幅の足位で起立するとともに利き手上肢を肩屈曲90度挙上した姿勢とされ、かかる姿勢における指先の位置が、水平方向における開始点の位置84aとして測定され確認される。このように患者Kの撮像画像83についての開始点の位置84aが測定された後、図15(c)に示すように、患者Kは、例えば「開始!」の合図で、上肢を水平に前方(図15においては右方)へ伸ばす動作を測定動作として行う。ここで、患者Kは、体幹屈曲しないように、上肢の高さを一定に保つように、体を前傾させてできるだけ前方に上肢を伸ばす。なお、患者Kに対する開始の合図は、測定画像の一部としてのスクリーン13への表示や音声等により行われる。
続いて、図15(c)に示すように、患者Kが前方に上肢を伸ばしきった姿勢における指先の位置が、水平方向における測定点の位置84bとして測定され確認される。ここで、例えば、コンピュータ12により、カメラ11によって取得された画像データやスケール画像部82等に基づいて画像認識処理を行い、患者Kの上肢(手)が伸びて届いている範囲の背景色を変化させること等により、患者Kの測定動作の視認性を向上させることができる。
そして、開始点の位置84aと測定点の位置84bとの水平方向の距離が測定される。この二点間の水平方向の距離が、FRテストにおける測定値となり、かかる測定値が、スクリーン13の画面における所定の位置に表示されるとともに記録される。なお、FRテストにおける測定値の単位は基本的にはcm(センチメートル)であるが、独自のポイントを利用したりキャラクタ表示を利用したりすることもできる。
このように、FRテスト測定画像80に含まれ、開始点の位置84aおよび測定点の位置84bを表示する測定用画像部としてのスケール画像部82は、縦中央線81との関係において患者Kの測定動作を測定するための指標マーカである。つまり、スケール画像部82に含まれる複数の縦方向の直線状の部分は、患者Kの指先の前方(図15においては右方)への移動距離を測るための目盛として機能する。なお、測定用画像部としては、複数の縦方向の線状の部分を含むスケール画像部82のほか、複数の縦方向および横方向の線状の部分を含む格子状の画像部分等であってもよい。
以上のように、本実施形態のFRテストにおいては、コンピュータ12が、スクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる位置基準画像部である縦中央線81と、この縦中央線81との関係において患者Kの身体機能を測定するための測定用画像部であるスケール画像部82とを含み、患者Kの身体機能を身体バランスの面から測定するためのFRテスト測定画像80を生成する測定画像生成手段として機能する。
また、本実施形態のFRテストにおいては、スクリーン13の画面上における指先の位置(開始点の位置84a、測定点の位置84b参照)の測定・確認は、コンピュータ12が有する動作部特定部21による患者動作部の特定機能が用いられて行われる。つまり、FRテストにおいては、患者動作部が患者Kの手(詳しくは指先)の部分とされ、患者Kの撮像画像83において、動作部特定部21によって患者Kの手の部分の位置が特定される。そして、FRテスト測定画像80は、スケール画像部82の部分を、患者動作部と干渉することで反応する反応画像部として含み、患者Kの測定動作を促す。
このような、複数のモードのうちの一つのモードであるFRテストにおいては、表示制御部25は、測定画像生成部27に、反応画像部として、スクリーン13の画面における患者動作部の水平方向の移動距離を測定するためのスケール画像部82を表示させる。
以上のようなリハビリシステム10によるFRテストの動作モードによれば、通常、医療現場等において医師や療法士等が専用の装置やメジャー等を用いることで行われるFRテストが、特別な装置等を必要とせずに、スクリーン13の画面に合わせて手を伸ばす等の簡単な動作により再現されるので、誰でも簡単に測定を行うことが可能となる。
また、リハビリシステム10において実行されるFRテストにおいては、コンピュータ12のキーボードやマウス等によって操作されるポインタを用いることで、FRテストにおける患者Kの位置等の測定・確認を行う態様が採用されてもよい。このようにポインタを用いたFRテストについて、図16を用いて説明する。
図16は、FRテストを行うための測定画像の他の例を示す。本例に係るFRテスト測定画像90においては、まず、図16(a)に示すように、ポインタ94が用いられ、スクリーン13に映る患者Kの撮像画像93について、基準点95が特定される。基準点95は、例えば、スクリーン13に対して横(左右方向のいずれか)を向く姿勢の患者Kの撮像画像93における肩の中心部分に設定される。基準点95の特定は、ポインタ94が撮像画像93において特定すべき位置に合わせられた状態で、例えばコンピュータ12のマウスのクリック等の特定のための操作が入力されることによって行われる。
図16(a)に示すように、FRテスト測定画像90においては、基準点95が特定されることで、水平基準線91が表示される。水平基準線91は、スクリーン13の画面において基準点95を通る水平方向の直線画像部分であり、患者KがFRテストにおいて手を前方(図16において右方)に伸ばす際の指標となる。つまり、患者Kは、自己の手の画像部分が水平基準線91に沿うように、上肢を水平に前方に伸ばす動作を行う。このように、本例に係るFRテストにおいては、水平基準線91および基準点95が、位置基準画像部として、FRテスト測定画像90に含まれる。
したがって、図16(b)に示すように、本例に係るFRテストにおいては、患者Kの、肩幅の足位で起立するとともに利き手上肢を肩屈曲90度挙上した姿勢における指先の位置が、水平基準線91上の開始点92aとして測定され確認される。開始点92aの特定は、基準点95と同様に、撮像画像93の指先の位置にポインタ94合わせられ、特定のための操作が入力されることで行われる。
このように患者Kの撮像画像93についての開始点92aが測定された後、図16(c)に示すように、患者Kは、例えば「開始!」の合図で、上肢を水平に前方へ伸ばす動作を測定動作として行う。続いて、図16(c)に示すように、患者Kが前方に上肢を伸ばしきった姿勢における水平基準線91上の指先の位置が、測定点92bの位置として測定され確認される。測定点92bの特定は、開始点92aと同様に、撮像画像93の指先の位置にポインタ94合わせられ、特定のための操作が入力されることで行われる。
そして、開始点92aと測定点92bとの水平距離が測定される。この二点間の水平方向の距離が、FRテストにおける測定値となり、かかる測定値が、スクリーン13の画面における所定の位置に表示されるとともに記録される。このように、本例に係るFRテストにおいては、開始点92aおよび測定点92bが、測定用画像部として、FRテスト測定画像90に含まれる。また、FRテスト測定画像90においては、ポインタ94が、スクリーン13の画面上において任意の位置に移動させることが可能であり、患者Kの撮像画像93についての特定の部分(開始点92a、測定点92b、基準点95)の位置の特定を行うための画像部分である位置特定部として含まれる。本例に係るFRテストによれば、FRテスト測定画像90の内容をシンプルにすることができる。
図17は、リハビリシステム10において実行されるリハビリ効果測定(動作モード)の一例であるROMテストの実施態様を示す説明図である。ROMテストは、腕の動きにともなう肩などの動きについて関節部分の回旋角度や屈曲角度等を測定することで、関節の可動域を評価するためのテストである。ROMテストにおいては、所定の肢体要素間の基準状態が想定され、この基準状態を0度とする関節の屈曲や回旋角度や可動角度等が測定される。ROMテストによれば、生活動作において支障がないか等が評価される。
図17は、ROMテストを行うための測定画像の一例を示す。図17(a)は、ROMテストの初期画面であり、ROMテストを行うための測定画像であるROMテスト測定画像100に含まれる位置基準画像部としての縦中央線101を示す。縦中央線101は、スクリーン13における左右方向の中央位置あるいは左右いずれかから1/3程度の位置において表示される縦線状の画像部分であり、ROMテストを行う患者Kのスクリーン13に対する位置や向き等についての基準となる。
したがって、図17(b)に示すように、患者Kは、スクリーン13に映る自己の撮像画像103を視認しながら、縦中央線101に対して、撮像画像103の左右いずれかの肩の中心部分が合うように、スクリーン13に対する相対的な位置を設定する。ROMテストにおいては、図17(b)に示すように、患者Kは、スクリーン13に対して正面を向く姿勢となる。
このように、ROMテスト測定画像100に含まれる位置基準画像部としての縦中央線101は、スクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる指標マーカである。位置基準画像部としては、縦中央線101のほか、スクリーン13における縦方向または横方向の複数の直線状の部分や、患者Kに対応する人の外形を縁取るような人の外形に沿う線状部分等であってもよい。
図17(b)に示すように、患者Kが縦中央線101によってスクリーン13に対して位置決めされると、ROMテスト測定画像100に含まれる測定用画像部としてのスケール画像部102が表示される。スケール画像部102は、スクリーン13の画面上において、縦中央線101から、左右方向について縦中央線101に合わせられた方の肩の側(図17においては右側)の部分に表示される画像部分であり、縦中央線101上における肩の中心位置に対応する中心点102aを基準として、放射状に(扇型状に)等角度間隔(例えば5°間隔)で配される複数の直線(点線)状の部分を含む。
図17(b)に示すように、患者Kの測定動作の開始に際しては、患者Kは、例えば、肩幅の足位で起立するとともに縦中央線101に合わせられた方の肩の側の上肢を鉛直下向きに下ろした姿勢とされ、かかる姿勢における上肢の状態が、ROMテストにおける上肢の基準状態とされる。この上肢の基準状態では、患者Kの撮像画像103の上肢の位置は、縦中央線101に沿うように鉛直下向きに位置する。この縦中央線101における中心点102aよりも下の部分が、スケール画像部102における基準位置を示す中央軸102bとして用いられる。このような患者Kの上肢の基準状態から、図17(c)に示すように、患者Kは、例えば「開始!」の合図で、上肢を上側に回動させる動作を測定動作として行う。なお、患者Kに対する開始の合図は、測定画像の一部としてのスクリーン13への表示や音声等により行われる。
続いて、図17(c)に示すように、患者Kが上側に上肢を回動しきった状態における上肢の位置(角度)が、測定角度位置102cとして測定され確認される。ここで、例えば、コンピュータ12により、カメラ11によって取得された画像データやスケール画像部102等に基づいて画像認識処理を行い、患者Kの上肢(手)が回動して届いている範囲の背景色を変化させること等により、患者Kの測定動作の視認性を向上させることができる。
そして、基準状態における上肢の位置を示す中央軸102bを基準(0°)とする測定角度位置102cまでの回動角度が測定される。この二つの位置の間の回転角度が、ROMテストにおける測定値となり、かかる測定値が、スクリーン13の画面における所定の位置に表示されるとともに記録される。なお、ROMテストにおける測定値の単位は基本的には角度(°)であるが、独自のポイントを利用したりキャラクタ表示を利用したりすることもできる。また、ROMテストにおける測定部位は、肩から肘にかけての部分であるため、肘よりも先の部分(指先等)は、特に撮像画像103として取得される必要はない。
このように、ROMテスト測定画像100に含まれ、中央軸102bおよび測定角度位置102cを表示する測定用画像部としてのスケール画像部102は、縦中央線101との関係において患者Kの測定動作を測定するための指標マーカである。つまり、スケール画像部102に含まれる複数の放射状の直線状の部分は、患者Kの肩関節の回動角度を測るための目盛として機能する。なお、本実施形態のROMテストでは、肩関節についての回動角度が測定されているが、本実施形態に係るROMテストは、手関節等のその他の関節にも適用可能である。
以上のように、本実施形態のROMテストにおいては、コンピュータ12が、スクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる位置基準画像部である縦中央線101と、この縦中央線101との関係において患者Kの身体機能を測定するための測定用画像部であるスケール画像部102とを含み、患者Kの身体機能を関節可動域の面から測定するためのROMテスト測定画像100を生成する測定画像生成手段として機能する。
また、本実施形態のROMテストにおいては、スクリーン13の画面上における上肢の位置(中央軸102b、測定角度位置102c参照)の測定・確認は、コンピュータ12が有する動作部特定部21による患者動作部の特定機能が用いられて行われる。つまり、ROMテストにおいては、患者動作部が患者Kの肩から肘にかけての部分とされ、患者Kの撮像画像103において、動作部特定部21によって患者Kの肩から肘にかけての部分の位置が特定される。そして、ROMテスト測定画像100は、スケール画像部102の部分を、患者動作部と干渉することで反応する反応画像部として含み、患者Kの測定動作を促す。
このような、複数のモードのうちの一つのモードであるROMテストにおいては、表示制御部25は、測定画像生成部27に、反応画像部として、スクリーン13の画面における患者動作部の所定の位置を基準とする回動角度を測定するためのスケール画像部102を表示させる。
以上のようなリハビリシステム10によるROMテストの動作モードによれば、通常、医療現場等において医師や療法士等が専用の装置や分度器等を用いることで行われるROMテストが、特別な装置等を必要とせずに、スクリーン13の画面に合わせて上肢を回動させる等の簡単な動作により再現されるので、誰でも簡単に測定を行うことが可能となる。
また、リハビリシステム10において実行されるROMテストにおいては、前述したFRテストの場合と同様に、コンピュータ12のキーボードやマウス等によって操作されるポインタを用いることで、ROMテストにおける患者Kの位置等の測定・確認を行う態様が採用されてもよい。このようにポインタを用いたROMテストについて、図18を用いて説明する。
図18は、ROMテストを行うための測定画像の他の例を示す。本例に係るROMテスト測定画像110においては、まず、図18(a)に示すように、ポインタ114が用いられ、スクリーン13に映る患者Kの撮像画像113について、基準点115が特定される。基準点115は、例えば、スクリーン13に対して正面を向く姿勢の患者Kの撮像画像113における左右いずれかの肩の中心部分に設定される。基準点115の特定は、ポインタ114が撮像画像113において特定すべき位置に合わせられた状態で、例えばコンピュータ12のマウスのクリック等の特定のための操作が入力されることによって行われる。
図18(a)に示すように、ROMテスト測定画像110においては、基準点115が特定されることで、鉛直基準線111が表示される。鉛直基準線111は、スクリーン13の画面において基準点115を通る鉛直方向の直線画像部分であり、患者KがFRテストにおいて上肢を上側に回動させる際の指標となる。つまり、患者Kの撮像画像103の上肢の位置が鉛直基準線111に沿う状態が、ROMテストにおける基準状態に対応する。このように、本例に係るROMテストにおいては、鉛直基準線111および基準点115が、位置基準画像部として、ROMテスト測定画像110に含まれる。
したがって、図18(a)に示すように、本例に係るROMテストにおいては、患者Kの、肩幅の足位で起立するとともに基準点115が設定された方の肩の側の上肢を鉛直下向きに下ろした姿勢とされ、かかる姿勢における上肢の状態が、ROMテストにおける上肢の基準状態(0°)として測定され確認される。
このように患者Kの撮像画像113についての基準状態が測定された後、図18(b)に示すように、患者Kは、例えば「開始!」の合図で、上肢を上側へ回動させる動作を測定動作として行う。かかる動作により、図18(b)に示すように、患者Kが上側に上肢を回動しきった姿勢における上肢における任意の位置が、測定点112として測定され確認される。測定点112の特定は、基準点115と同様に、撮像画像113の上肢の位置にポインタ114合わせられ、特定のための操作が入力されることで行われる。測定点112が特定されることで、測定点112および基準点115を通る直線である測定角度位置112aが表示される。
そして、鉛直基準線111と、測定点112を通る測定角度位置112aとの角度が測定される。この二つの位置の間の回転角度が、ROMテストにおける測定値となり、かかる測定値が、スクリーン13の画面における所定の位置に表示されるとともに記録される。このように、本例に係るROMテストにおいては、鉛直基準線111、測定点112、および12a測定角度位置が、測定用画像部として、ROMテスト測定画像110に含まれる。また、ROMテスト測定画像110においては、ポインタ114が、スクリーン13の画面上において任意の位置に移動させることが可能であり、患者Kの撮像画像113についての特定の部分(測定点112、基準点115)の位置の特定を行うための画像部分である位置特定部として含まれる。本例に係るROMテストによれば、ROMテスト測定画像110の内容をシンプルにすることができる。
図19は、リハビリシステム10において実行されるリハビリ効果測定(動作モード)の一例である反応スピードテストの実施態様を示す説明図である。反応スピードテストは、例えば落下棒テストのように、俊敏性・反射速度を評価するためのテストである。反応スピードテストにおいては、スクリーン13の画面上に所定の画像部分が表れてから反応して所定の動作を行うまでの時間が測定される。
図19は、反応スピードテストを行うための測定画像の一例を示す。図19(a)は、反応スピードテストを行うための測定画像である反応スピードテスト測定画像120に含まれる位置基準画像部としての縦中央線121を示す。縦中央線121は、スクリーン13における左右方向の中央位置において表示される縦線状の画像部分であり、反応スピードテストを行う患者Kのスクリーン13に対する位置や向き等についての基準となる。
したがって、図19(a)に示すように、患者Kは、スクリーン13に映る自己の撮像画像123を視認しながら、縦中央線121に対して、撮像画像123の身体の中心部分が合うように、スクリーン13に対する相対的な位置を設定する。図19(a)に示すように、患者Kは、スクリーン13に対して正面を向く姿勢(図19では着座状態)となる。
このように、反応スピードテスト測定画像120に含まれる位置基準画像部としての縦中央線121は、スクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる指標マーカである。位置基準画像部としては、縦中央線121のほか、スクリーン13における縦方向または横方向の複数の直線状の部分や、患者Kに対応する人の外形を縁取るような人の外形に沿う線状部分等であってもよい。図19(a)に示すように、患者Kが縦中央線121によってスクリーン13に対して位置決めされると、患者Kが両手を膝の上に置いて、測定動作の準備が完了する。
測定動作の準備が完了した状態から、図19(b)に示すように、例えば「開始!」の合図の後、任意のタイミングで、測定用画像部として、落下棒に見立てたバー画像部122が上側から落下するように表示される。そして、バー画像部122の落下開始から患者Kが利き手でスクリーン13の画面上においてバー画像部122に触れるまでの時間が計測される。この患者Kがバー画像部122に触れるまでの時間が、反応スピードテストにおける測定値となり、かかる測定値が、スクリーン13の画面における所定の位置に表示されるとともに記録される。
反応スピードテストにおいては、開始の合図からバー画像部122をスクリーン13の画面上に出現させるまでの時間は、1秒、2秒等ランダムとなるように設定される。また、反応スピードテストは、同一の患者Kに対して複数回(例えば7回)連続して計測が実施され、平均の値が用いられる。なお、平均の値としては、複数回の計測における最小値と最大値を除いた分(測定回数が7回の場合は5回分)の平均値が用いられるとよい。
このように、反応スピードテスト測定画像120に含まれる測定用画像部としてのバー画像部122は、縦中央線121との関係において患者Kの測定動作を測定するための指標マーカである。なお、測定用画像部としては、棒状の画像部分であるバー画像部122のほか、例えば図19(c)に示すような丸形状部124や、三角形状や動物アニメ等のキャラクタ等の画像部分であってもよい。
以上のように、本実施形態の反応スピードテストにおいては、コンピュータ12が、スクリーン13に対する患者Kの位置の基準となる位置基準画像部である縦中央線121と、この縦中央線121との関係において患者Kの身体機能を測定するための測定用画像部であるバー画像部122(丸形状部124)とを含み、患者Kの身体機能を反応速度の面から測定するための反応スピードテスト測定画像120を生成する測定画像生成手段として機能する。
また、本実施形態の反応スピードテストにおいては、スクリーン13の画面上におけるバー画像部122等に触れることは、コンピュータ12が有する動作部特定部21による患者動作部の特定機能が用いられて行われる。つまり、反応スピードテストにおいては、患者動作部が患者Kの手の部分とされ、患者Kの撮像画像123において、動作部特定部21によって患者Kの手の部分の位置が特定される。そして、反応スピードテスト測定画像120は、バー画像部122の部分を、患者動作部と干渉することで反応する反応画像部として含み、患者Kの測定動作を促す。
このような、複数のモードのうちの一つのモードである反応スピードテストにおいては、表示制御部25は、測定画像生成部27に、反応画像部として、スクリーン13の画面上を落下する態様で移動するバー画像部122や、丸形状部124等の、スクリーン13の画面に出現してから患者動作部の干渉を受けるまでの時間を測定するための画像部分を表示させる。
以上のようなリハビリシステム10による反応スピードテストの動作モードによれば、患者Kの身体機能を反応速度の面から測定するに際し、効率的で簡単な測定を行うことが可能となる。すなわち、通常、反応速度を測定するために行われる落下棒テスト等においては、医療現場等において医師や療法士等が複数回の測定を行うとともにそれらの測定結果の平均値を求める必要があるが、リハビリシステム10の反応スピードテストによれば、自動的な平均値の算出が行われることから、計算の手間が省けて効率的な測定を行うことができ、また、スクリーン13の画面に出現するバー画像部122等に対して反応して動作するだけで測定が行われるので、誰でも簡単に測定を行うことが可能となる。
以上のように、本実施形態のリハビリシステム10においては、前述したような各種ゲーム等によるリハビリ機能に加え、FRテスト、ROMテスト、および反応スピードテストによるリハビリ効果測定機能が備えられる。これにより、リハビリシステム10を利用する患者が、医師や療法士等によらずに、自分でも簡易的にリハビリテーションの効果を測定することが可能となる。つまり、従来は医師や療法士等によらなければ行うことができなかったリハビリテーションの効果の測定が、患者自身で簡単に行うことができるようになる。結果として、患者はリハビリテーションに対する動機づけとなるリハビリテーションの効果の測定を精神的に気楽に行うことができ、リハビリテーションの継続性を高めることができる。
また、FRテスト、ROMテスト、および反応スピードテストの各テストは、リハビリテーションの効果を測定するものであるため、前述したような各種ゲーム等によるリハビリテーションの前後において行われる。つまり、リハビリテーション前における各テストの測定値と、リハビリテーション後における各テストの測定値との比較に基づき、リハビリテーションの効果が測定される。こうしたリハビリテーションの効果測定が行われることで、患者自身による身体状況の把握と、リハビリプログラムの継続利用による効果の測定が可能となる。
したがって、リハビリシステム10のリハビリプログラムにおいて、前述したような各種ゲーム等の前後に、前記各テストを行うための効果測定用のプログラムが組み込まれる構成が採用されてもよい。この場合、リハビリテーション方法として、前述したような各種ゲーム等によるリハビリテーションの前に前記各テストを行うステップと、前述したような各種ゲーム等によるリハビリテーションを行うステップと、前述したような各種ゲーム等によるリハビリテーションの後に前記各テストを行うステップとを含む方法が採用される。そして、前記各テストの結果を、前述したような各種ゲーム等の内容に反映させることもできる。この場合、例えば、前記各テストの結果から大きなリハビリ効果が表れたときは、前述したような各種ゲーム等の難易度を高くする等の設定変更が行われる。
以上のような本実施形態のリハビリシステム10によれば、従来の技術との比較において、エンターテインメント性を有しながら、患者の症状に応じたリハビリテーションを行うことができる。具体的には、表示画面において患者自身の撮像画像とリハビリ用の画像とが合成される構成において、患者が自己の動作範囲、スピード、距離等の身体動作を画面上で自己認識しながらリハビリ用のゲーム等によるリハビリを効果的に行うためには、患者を撮影するためのカメラによるフレーム位置などの撮影条件をあらかじめ適正に設定する必要がある。また、リハビリテーションの効果測定においてその評価を数値化するためには、患者の動作範囲と表示画面の範囲との対応関係を正確に設定する必要がある。つまり、リハビリテーションとして意図される患者の動作(動作範囲)は患者の症状などに応じて異なるものであり、その意図される患者の動作と表示画面との対応が確実に図られる必要がある。
この点、従来の技術では、意図される患者の動作と表示画面との対応を図ることが難しく、患者動作部を手等の狭い範囲に設定したり逆に上半身や下半身等の広い範囲に設定したりすることで、様々なリハビリテーション運動に対応させて汎用性を持たせることが困難であった。このため、表示画面に映し出される患者の映像に合成される画像について、患者の症状等に応じた多彩なバリエーションやゲーム特性を付加することが困難であった。また、従来の技術は、リハビリテーションの効果について十分に検証・考慮がなされたものではなかった。
そこで、本実施形態のリハビリシステム10によれば、患者の動作範囲と表示画面の範囲との対応関係を正確に設定することができるので、患者の症状等に応じた多彩なバリエーションのリハビリテーションを行うことが可能となり、高い汎用性が得られる。このため、本実施形態のリハビリシステム10は、医療リハビリ施設向けのゲーム、介護トレーニング機器、コミュニケーションツール、レクリエーションツール等として様々な場面で適用することができる。また、高齢者や障害者であっても、ボタン操作等の複雑な操作を行うことなく、リハビリテーションを楽しみながら行うことができ、ゲームを楽しむだけで身体や脳を活性化が図れ、肩関節、手関節等の運動機能の改善や注意の持続等の脳機能の改善を図ることができる。さらに、リハビリテーションの効果の測定が行われることで、リハビリテーションの継続的な実施、つまり効果的なリハビリテーションを行うことが可能となる。
以上説明した本実施形態のリハビリテーションを行うためのリハビリテーション用プログラムは、コンピュータ12を、前述した各手段、つまり動作部特定手段、リハビリ画像生成手段、画像合成手段、比較手段、表示制御手段、設定画像生成手段、および測定画像生成手段として機能させる。かかるリハビリテーション用プログラムによれば、患者Kの動作範囲と表示画面の範囲との対応関係を正確に設定することができ、このプログラムがロードされたコンピュータを医療リハビリ施設向けの介護トレーニング機器、コミュニケーションツール、レクレーションツール等として用いることができる。
また、本実施形態に係るリハビリテーション用プログラムについては、例えば、フレキシブルディスクやCD−ROMやDVD等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して提供することができる。これにより、患者の動作範囲と表示画面の範囲との対応関係を正確に設定することのできるリハビリテーション用プログラムをコンピュータにロードして医療リハビリ施設向けの介護トレーニング機器、コミュニケーションツール、レクリエーションツール等として医療現場に適用することができる。
また、前述したような各種ゲーム等によるリハビリテーションを行うためのプログラムを含む構成と、前述したような各種テストによる効果測定を行うためのプログラムを含む構成とは、それぞれ独立したものとして取り扱うことができる。この場合、前述したような各種テストによる効果測定については、リハビリテーションの効果測定用システム、効果測定用プログラム、およびこのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体がそれぞれ構成されることとなる。