JP2011105868A - 寒天及びそれを含む食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テングサ属、オゴノリ属、及びオバクサ属のうち少なくとも1以上の海藻を原料とし、1.5重量%における日寒水式のゲル強度が1500g/cm2以上、重量平均分子量が600000以上、及び分子量分布(Mw/Mn)が13以下であることを特徴とする寒天である。
【選択図】なし
Description
(Mpは重合度Pの分子の分子量で、Npはこれが試料中に含まれる個数)
分子量分布Mw/Mnは、値が大きいものほど分子量分布が広いことを示している。
テングサ(日本産)1kgを90℃の5重量%NaOH溶液20kgに2時間浸漬した。NaOH溶液を除去し、水にて充分洗浄しアルカリを除去した。このテングサを水20kgに入れ、さらにそこに緩衝剤として第二リン酸ナトリウムを6g添加し、pHを7.8に調整した後、97℃にて2時間寒天の抽出を行った。この溶液を濾過し、濾液を冷却してゲル化を行った。得られたゲル化物(寒天濃度は0.8重量%)に対し同質量の水を添加し、18時間放置した。その後、ゲル化物を取り出し、圧搾脱水を行った後、90℃にて乾燥し、粉砕して実施例1に係る寒天(寒天1)を得た。得られた寒天の物性測定方法を以下に示し、その結果を表1に示す。
重量平均分子量(Mw):HPLCによるGPC法に従って測定した。具体的には、寒天0.3gを200mLの蒸留水に溶解(110℃,5分)し、カラム(TOSOH TSK−GEL for HPLC, TSK−GEL GMPWXL)を使用して測定した。
分子量分布(Mw/Mn):重量平均分子量/数平均分子量により求めた。(1に近いほど分子量分布が狭い)なお、Mnも同様にしてHPLC法により求めた。
食感:寒天0.3gを水100gに分散させ、110℃で5分間加温し、溶解させた。これを10℃に冷却してゲル化させ、パネラーにより食感を確認した。
還元糖量(%):寒天0.01gを水100gに分散させ、110℃で5分間加温し、寒天を溶解させた溶解液についてPark−Johnson法により還元糖量を測定した。なお、検量線はガラクトースを使用して作製した。
耐熱性:寒天0.4gを水100gに分散させ、110℃で5分間加温し、溶解させた。この溶液を冷却してゲル化させた後、約8mm角の立方体に切断し、同質量の水を加え、85℃で30分間の加熱処理を行った。これを20℃に冷却後、ゲル化物を取り出し、重量を測定し、水に溶け出した重量から以下の式により溶出率を算出した。
溶出率(%)=((加熱処理前のゲル重量−加熱処理後のゲル重量)/加熱処理前のゲル重量)×100
水漬け時の溶出率(%)=(蒸発乾固した固形分重量/100)×100
水漬け水に溶出した分子量(Mw’):水漬けの水に溶け出した低分子寒天の重量平均分子量をHPLCによるGPC法により測定した。
緩衝剤を加えず抽出を行い、得られたゲル化物に対し同質量の水(水漬けの水)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る寒天(比較寒天1)を得た。なお、実施例1においては、抽出時のpHは、抽出し始めと抽出終了時で変化がなかったのに対し、比較例1においては、抽出し始めのpHは7.5であり、抽出終了時はpH6.2と低下していた。得られた寒天の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表1に示す。
オゴノリ(日本産)1kgを90℃の5重量%NaOH溶液20kgに2時間浸漬した。NaOH溶液を除去し、水にて充分洗浄しアルカリを除去した。このオゴノリを水20kgに入れ、さらにそこに緩衝剤として第三リン酸ナトリウム3.5g及び第一リン酸ナトリウム2.5gを添加し、pHを7.5に調整した後、97℃にて2時間寒天の抽出を行った。この溶液を濾過し、濾液を冷却してゲル化を行った。得られたゲル化物(寒天濃度は0.8重量%)に対し同質量の水を添加し、18時間放置した。その後、ゲル化物を取り出し、圧搾脱水を行った後、90℃にて乾燥し、粉砕して実施例2に係る寒天(寒天2)を得た。得られた寒天の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
緩衝剤を加えず抽出を行い、得られたゲル化物に対し同質量の水(水漬けの水)を添加しなかった以外は、実施例2と同様にして比較例2に係る寒天(比較寒天2)を得た。なお、実施例2においては、抽出時のpHは、抽出し始めと抽出終了時で変化がなかったのに対し、比較例2においては、抽出し始めのpHは7.6であり、抽出終了時はpH5.9と低下していた。得られた寒天の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表2に示す。
オバクサ(日本産)1kgを90℃の5重量%KOH溶液20kgに2時間浸漬した。KOH溶液を除去し、水にて充分洗浄しアルカリを除去した。このオバクサを水20kgに入れ、さらにそこに緩衝剤として第二リン酸カリウム5.0g及び第一リン酸カリウム1.0g添加し、pHを7.9に調整した後、95℃にて2時間寒天の抽出を行った。この溶液を濾過し、濾液を冷却してゲル化を行った。得られたゲル化物(寒天濃度は0.8重量%)に対し同質量の水を添加し、18時間放置した。その後、ゲル化物を取り出し、圧搾脱水を行った後、90℃にて乾燥し、粉砕して実施例3に係る寒天(寒天3)を得た。得られた寒天の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
緩衝剤を加えず抽出を行い、得られたゲル化物に対し同質量の水(水漬けの水)を添加しなかった以外は、実施例3と同様にして比較例3に係る寒天(比較寒天3)を得た。なお、実施例3においては、抽出時のpHは、抽出し始めと抽出終了時で変化がなかったのに対し、比較例3においては、抽出し始めのpHは7.5であり、抽出終了時はpH6.1と低下していた。得られた寒天の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表3に示す。
テングサ(地中海産)1kgを95℃の5重量%NaOH溶液20kgに2時間浸漬した。NaOH溶液を除去し、水にて充分洗浄しアルカリを除去した。この海藻を水20kgに入れ、表4に示した緩衝剤を表4に示された量添加し、pHを表4の開始に示されている値に調整した後、97℃にて2時間寒天の抽出を行った。この溶液を濾過し、濾液を冷却してゲル化を行った。得られたゲルに対し同質量の水を添加し、18時間放置した。その後、ゲル化物を取り出し、圧搾脱水を行った後、90℃にて乾燥し、粉砕して実施例4乃至8に係る寒天(寒天4乃至8)を得た。得られた寒天の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表5に示す。
緩衝剤を加えず抽出を行い、得られたゲル化物に対し同質量の水(水漬けの水)を添加しなかった以外は、実施例4乃至8と同様にして比較例4に係る寒天(比較寒天4)を得た。得られた寒天の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表5に示す。
寒天1の5重量%分散液を高圧釜にて溶解し(115℃,5分)、ドラムドライヤー(楠木機械社製,ドラム表面温度121℃)にて乾燥後、粉砕することにより実施例9に係る寒天(寒天9)を得た。1gの寒天9を水100gに分散させ、97℃で5分間加温し、溶解させた。目視により溶解が確認されたため冷却して、ゲル化させた。得られた寒天の物性を実施例1と同様に測定し、その結果を表6に示す。
比較寒天1を用いた以外は、実施例9と同様にして比較寒天5を得た。1gの寒天9及び比較寒天5をそれぞれ水100gに分散させ、97℃で5分間加温し、溶解させた。寒天9及び比較寒天5について実施例1同様に耐熱性を調べた。また、耐熱性測定後の立方体のゲルを10℃に冷却し、パネラーにより食感を確認した。結果を表7に示す。
表8に示した配合にてみつ豆ゲルを作製した。具体的には、水に寒天を膨潤させ、高圧釜にて115℃で10分間加熱し、溶解させた。溶解後、そこに砂糖を添加して溶解させ、温度を70℃にしてクエン酸及びクエン酸ナトリウムを添加してpHを3.8とした。その後、10℃に冷却してゲル化させた後、ゲル化物を約8mm角の立方体に切断し、砂糖200g、クエン酸3g、及びクエン酸ナトリウム1.8gを水800gに溶解したシロップ(pH3.8)に1:1の割合で充填した。85℃で30分間加熱殺菌し、10℃に冷却してシロップ充填されたみつ豆ゲルを得た。高圧釜での寒天溶解後の溶解液の着色の有無、加熱殺菌後のゲル化物の食感、及び加熱殺菌後のシロップ状態を5名のパネラーにより調べた。結果を表9に示す。
表10に示した配合にてゲル入り飲料を作製した。具体的には、水に寒天を膨潤させ、高圧釜にて115℃で10分間加熱し、溶解させた。溶解後、そこに砂糖を添加して溶解させ、温度を70℃にしてクエン酸、クエン酸ナトリウム、及びオレンジ香料を添加してpHを3.8とした。その後、10℃に冷却してゲル化させた後、ゲル化物を約3mm角の立方体に切断した。この立方体ゲルを、市販のオレンジジュース200g,立方体ゲル30gの割合で混ぜ合わせ、85℃で30分間加熱殺菌し、10℃に冷却してゲル入り飲料を得た。高圧釜での寒天溶解後の溶解液の着色の有無、加熱殺菌後のゲル化物の食感、及び加熱殺菌後のオレンジジュースの状態を5名のパネラーにより調べた。結果を表11に示す。
Claims (2)
- テングサ属、オゴノリ属、及びオバクサ属のうち少なくとも1以上の海藻を原料とし、1.5重量%における日寒水式のゲル強度が1500g/cm2以上、重量平均分子量が600000以上、及び分子量分布(Mw/Mn)が13以下であることを特徴とする寒天。
- テングサ属、オゴノリ属、及びオバクサ属のうち少なくとも1以上の海藻を原料とし、1.5重量%における日寒水式のゲル強度が1500g/cm2以上、重量平均分子量が600000以上、及び分子量分布(Mw/Mn)が13以下である寒天を含むことを特徴とする食品。
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