JP2011104795A - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るインクジェット記録用紙は、基紙上に顔料と結着剤とを主成分としたインク受容層を1層以上設けたインクジェット記録用紙において、該記録用紙中に高吸水性高分子を含有することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
高吸水性高分子は、特に高い水分保持性能を有するように設計された高分子製品であり、吸水性樹脂、高吸水性高分子、吸水性ポリマー、吸収性ポリマー、高分子吸収体、SAP(Super absorbent polymer)などの名称で呼ばれる。自重の数十倍から数百倍の水を吸収、保持できる性質をもつ。本実施形態に係るインクジェット記録用紙で用いる高吸水性高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアスパラギン酸、ポリメタクリル酸若しくはそれらの塩、γ−ポリグルタミン酸若しくはその架橋物、ヒアルロン酸、サクランから選択された1種又は2種以上の高吸水性高分子が使用可能である。分子量は、目的に応じて適宜選択可能であり、特に限定されないが、好ましくは1000〜50万程度である。高吸水性高分子を含むインクジェット記録用紙は、それを含まない場合に比べて平衡水分が高い水準で推移するため、詳細なメカニズムは不明であるが、おそらくは紙の柔軟性が保たれるため優れた断裁適性を示す。
基紙の原料としては木材パルプが最も好適に用いられるが、その他の天然パルプ、古紙パルプ又は合成パルプを必要に応じて適宜用いてもよい。天然パルプは、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理、アルカリ抽出若しくはアルカリ処理、必要に応じた過酸化水素、オゾン漂白などの酸化漂白処理又はその組み合わせ処理を施した広葉樹パルプ若しくは針葉樹パルプ若しくはそれらの混合パルプが好ましい。また、ソーダパルプ、機械パルプも用いることができる。古紙パルプは、その原料、脱墨方法、漂白方法を問わないが、基紙の強度を損なわない程度の配合量としなければならない。また、合成パルプも各種のものを使用することができる。
本実施形態に係るインクジェット記録用紙では、インク受容層は、顔料と結着剤とを主成分として含有することが好ましい。インク受容層に用いる顔料としては、非晶質シリカ、非晶質アルミナ、カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、珪酸リチウム、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、マイカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、擬ベーマイト、ハイドロキシアパタイトなどの無機顔料又はアクリル−メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ブタジエン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの単体若しくは共重合体からなる球状若しくは不定形の有機顔料が挙げられる。前記顔料の中でも、優れたインクジェット適性を得るために、合成非晶質シリカ、合成非晶質アルミナが特に好ましいが、本実施形態は顔料の種類に限定されるものではない。また、これらの顔料にカップリング剤、有機物などによる表面改質、金属イオン交換法、気相蒸着法、液相析出法による表面処理など、多元的な機能性を付与させるための表面処理を施してもよい。また、要求品質を得るために、これらの顔料を2種類以上組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録用紙では、インク受容層の最表層がキャストコート法による光沢層であることが好ましい。本実施形態に係るインクジェット記録用紙は、多孔性を維持していることから、キャストコート法を利用することができる。また、キャストコート法による光沢層を設けることで、インクジェット記録用紙の表面が平滑になり、印字の鮮明さ、高いインク吸収性、ドット再現性などの印刷適性を向上させることができる。また、本実施形態に係るインクジェット記録用紙では、必要に応じて、表面状態をキャレンダー処理による平滑面としてもよい。この他、エンボス加工、穴あけ加工、裏面のタック加工など、各種の製品外観に応じた後処理加工がなされていてもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録用紙の製造方法では、基紙は通常の抄紙法を適用できる。適当に叩解したパルプと、紙力剤、填料、硫酸バンド、歩留まり向上剤、サイズ剤、染料、蛍光染料、嵩高剤などの各種抄紙用薬品とを含有する紙料を用いて円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、それらを組み合わせたコンビネーション抄紙機などで抄造する。なお、本実施形態は、紙料の調整方法、配合、各抄紙薬品の添加方法に制限されない。また、基紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも構わない。
表面サイズ液は、一般的に、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアマイドなどの水溶液である。本実施形態では、一般的な表面サイズ液に高吸水性高分子を添加したものを表面サイズ液として用いてもよい。表面サイズ処理は、耐水性、表面強度などの表面特性を向上させることを目的として行う。抄紙ワイヤー上で形成したウェブに、サイズプレス、ゲートロールなどに代表される、紙を挟む2ロール間のニップで薬品を塗布する装置によって、基紙上に表面サイズ液を塗布する。表面サイズ液を塗布する方法及び表面サイズ液の種類並びに塗布量は、本実施形態では問わない。ただし、表面サイズ液の過剰量の塗布は、紙の透気性、インク吸収性などの特性を損なうので調節が必要である。また、本工程では、表面サイズ液の他に、帯電防止剤を塗布してもよい。
インク受容層用の塗工液は、一般に、主成分である顔料及び結着剤に、インク定着剤、各種薬品などを必要に応じて適宜添加したものを、塗工に適した固形分濃度に調製する。本実施形態では、このインク受容層用の塗工液に高吸水性高分子を添加したものをインク受容層用の塗工液としてもよい。インク受容層用の塗工液の基紙への塗工は、抄紙工程の中で連続的に行われてもよいし、一旦巻き取った基紙原反を再度コーターマシンに通して行ってもよい。塗工機は、例えばブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター、リップコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ダイコーター、チャンブレックスコーター、同時多層塗工機などの公知の塗工機を用いるが、特に制限はない。これらの塗工液と塗工機を用いて、単層又は多層で片面に塗工する。塗工量は、固形分換算で3〜20g/m2、好ましくは5〜15g/m2、より好ましくは6〜12g/m2の範囲である。塗工量が20g/m2を超えると生産性が劣り、塗工量が3g/m2未満である場合には十分な光沢面が形成しづらくなる。なお、インク受容層用の塗工液を塗工した面の裏面に、表面強さ、透気性、インクジェット適性、オフセット印刷適性を損なわない程度に顔料、水溶性樹脂、疎水性樹脂、インク定着剤、滑り剤、帯電防止剤などを塗布してもよい。
本実施形態に係るインクジェット記録用紙では、基紙が多孔性を維持していることから、インク受容層の最表層に、湿潤状態の塗工層を高温のキャストドラムに貼り付けて裏面から蒸気を逃がすことで乾燥させる、いわゆるキャストコート法によって光沢層を設けることができる。キャストコート法におけるキャスト処理とは、インク受容層上に光沢層用の塗工液を塗工し、該塗工面が湿潤状態にある間に、前記塗工面を加熱した鏡面ロールに圧着、乾燥して剥がし、塗工面の表面に鏡面ロールの表面形状を写し取り、光沢層とするもので、キャストドラムに圧着するときの塗工面の乾燥・凝固状態によって、ウェット法、ゲル化法、リウェット法に分類できる。本実施形態にはいずれのキャスト処理も適用可能だが、特に美しい光沢面を得るためには、ゲル化法を用いることが好ましい。ゲル化法は、キャストドラムに圧着する前に、塗工面をゲル化液で凝固させるキャスト処理である。ゲル化液は、例えば、硼砂水溶液などのホウ素化合物を含む水溶液である。また、ゲル化液に、高吸水性高分子を添加したものを用いてもよい。本実施形態では、高吸水性高分子を含有する場所、方法は問わない。
<基紙の作製>
広葉樹漂白クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度580ml)100部に対してカチオン化澱粉(商品名:ネオタック40T、日本食品加工社製)を1.5部と、酸性ロジンサイズ剤0.2部と、液体硫酸バンド1部と、基紙の灰分が7%になるよう添加量を調整したタルク(商品名:タルクNTL、日本タルク社製)とを配合した紙料を長網抄紙機にて抄紙し、坪量180g/m2のインクジェット記録用紙の基紙を製造した。
<サイズ液の調製、塗布及び後処理>
ポリアクリルアマイド(商品名:ST5000、星光PMC社製)と、高吸水性高分子であるポリアスパラギン酸ナトリウム(商品名:アクアデュウSPA30、味の素ヘルシーサプライ社製)とを、ポリアクリルアマイドの固形分濃度が6.00%であり、かつ、ポリアスパラギン酸ナトリウムの固形分濃度が3.00%となるように水で調製し、固形分濃度9.00%のサイズ液とした。得られたサイズ液を、基紙の両面に乾燥塗工量が片面当たり1g/m2となるように、サイズプレスで塗布し、シリンダードライヤーで乾燥した。スチールカレンダーを用いて線圧70kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
<インク受容層用塗工液の調製>
合成非晶質シリカ(商品名:ニップジェルBY400、東ソーシリカ社製)100部に、水とpH調整剤として酢酸0.5部とを添加し、カウレス分散機で固形分濃度28%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーにポリビニルアルコール(PVA)15部(商品名:PVA−117、クラレ社製)とポリエチレン酢酸ビニル(EVA)結着剤35部(商品名;ポリゾールAD−13−50、昭和高分子社製)とインク定着剤15部(商品名;SR1001、田岡化学社製)とを添加・攪拌し、更に水を添加し、固形分濃度が20%の塗工液を得た。
<インク受容層の形成>
得られた塗工液を印刷面に乾燥塗工量が8g/m2となるようにエアナイフコーターで塗工し、エアドライヤーで熱風乾燥した。さらに、ソフトカレンダーを用いて線圧30kg/cm、25℃、2ニップ1パスの条件で表面処理を行った。
<光沢層用塗工液の調製>
顔料として、凝集体形状をもつコロイダルシリカ(商品名:HS−M−20、1次粒子径25nm、凝集体粒子径280nm、日産化学社製)100部と、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−117、クラレ社製)10部と、離型剤としてステアリン酸カルシウム(商品名:ノプコートC−104HS、サンノプコ社製)1部とを用いて固形分濃度20%の塗工液を得た。
<光沢層の形成>
この塗工液をエアナイフコーターで乾燥塗工量10g/m2となるように塗工し、次いで硼砂3%水溶液(以下、ゲル化液とする。)を乾燥塗工量2g/m2塗布して凝固処理を行ったのち、得られた塗工層表面が湿潤状態にあるうちに表面温度100℃のキャストドラムに圧着し、インクジェット記録用紙を作製した。
実施例1に記載のインク受容層用の塗工液にポリアスパラギン酸ナトリウムを15部添加し、更に水を加えて固形分濃度20.00%となるように調製した塗工液を用い、かつ、ポリアスパラギン酸ナトリウムを除いて固形分濃度6.00%としたサイズ液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1に記載のゲル化液にポリアスパラギン酸ナトリウムを1.52%添加した水溶液を用い、かつ、ポリアスパラギン酸ナトリウムを除いて固形分濃度6.00%としたサイズ液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1に記載のサイズ液に含まれるポリアスパラギン酸ナトリウムを固形分濃度3.00%から0.03%にし、固形分濃度6.03%に調製したサイズ液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1に記載のサイズ液に含まれるポリアスパラギン酸ナトリウムを固形分濃度3.00%から9.00%にし、固形分濃度15.00%に調製したサイズ液を用いて、基紙の両面に乾燥塗工量が片面当たり2.5g/m2となるようにサイズプレスで塗布したこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
実施例1に記載のサイズ液に含まれるポリアスパラギン酸ナトリウムを固形分濃度3.00%から0.75%にし、固形分濃度6.75%に調製したサイズ液を用い、かつ、実施例1に記載のインク受容層用の塗工液にポリアスパラギン酸ナトリウムを4.75部添加し、更に水を加えて固形分濃度20.00%となるように調製した塗工液を用い、かつ、実施例1に記載のゲル化液にポリアスパラギン酸ナトリウムを0.38%添加した水溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
光沢層を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
サイズ液に添加する高吸水性高分子をポリアクリル酸ナトリウム(商品名:アクアリックDL−40、日本触媒社製)に置き換えたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
ポリアスパラギン酸ナトリウムを除いて固形分濃度6.00%としたサイズ液を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
塗工層(インク受容層、光沢層)を設けないこと以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を作製した。
JIS P 8111:1998に従い、前処理を行った後、評価は同条件下で行った。
テーブルギロチンカッター(製品名:電動断裁機 No.709、ライオン事務器社製)を用いて、ハガキの寸法に揃えたサンプルを光沢面が下になるように20枚重ねて断裁し、光沢面側から切り口を目視観察、評価した。裁断する方向は、抄紙方向と直交する方向とした。
切り口評価と同時に、テーブルギロチンカッターによって断裁したときに飛散する紙粉量及び/又は粉落ち量を目視観察、評価した。
セイコーエプソン社製インクジェットプリンター「PM−G820」を用い、CMYKの各インク並びにRGB(Red−Green−Blue)のベタ(100%濃度)及び文字を得られたインクジェット記録用紙に印字した。ベタ部の各色の境界及び文字の滲みの程度を目視によって評価した。
<切り口視感評価>
◎ 塗工層に乱れがない。
○ 塗工層が一部浮いている、又は欠落している(実用レベル)。
△ 塗工層が全体的に浮いている、又は全体的に小さく塗工層の欠落が見られる(実用不適)。
× 塗工層が剥がれ落ち、基紙層が現れている(実用不適)。
<紙粉視感評価>
◎ 粉落ち及び/又は紙粉飛散がほとんどなく優れている。
○ 粉落ち及び/又は紙粉飛散が認められる(実用レベル)。
△ 粉落ち及び/又は紙粉飛散がやや多く認められる(実用不適)。
× 粉落ち及び/又は紙粉飛散が大量に認められる(実用不適)。
<インク吸収性>
◎ 境界がくっきりして滲みが全く無く、文字が鮮明である。
○ 境界の滲みが目立たず、文字が鮮明である(実用レベル)。
△ 境界の滲みが目立ち、文字が不鮮明である(実用不適)。
× 境界の滲みがひどく、文字が判別できない(実用不適)。
Claims (5)
- 基紙上に顔料と結着剤とを主成分としたインク受容層を1層以上設けたインクジェット記録用紙において、該記録用紙中に高吸水性高分子を含有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 前記インク受容層の最表層がキャストコート法による光沢層であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記高吸水性高分子は、前記基紙、インク受容層及び光沢層のうち少なくともいずれか1つに含有されることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用紙。
- 前記高吸水性高分子の含有量が50〜15000質量ppmであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のインクジェット記録用紙。
- 基紙作製工程と、表面サイズ処理工程と、インク受容層形成工程と、光沢層形成工程とを有する基紙上に顔料と結着剤とを主成分としたインク受容層を1層以上設けたインクジェット記録用紙の製造方法において、
高吸水性高分子を添加した表面サイズ液を用いて表面サイズ処理を行う工程、
高吸水性高分子を添加したインク受容層用の塗工液を用いて前記インク受容層を形成する工程、
及び光沢層用の塗工液を塗工した湿潤状態の塗工面を、高吸水性高分子を添加したゲル化液で凝固させたのち、加熱した金属ドラムに圧着して乾燥後、剥離するゲル化法によるキャスト処理で前記光沢層を形成する工程のうち少なくともいずれか1つを有することを特徴とするインクジェット記録用紙の製造方法。
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