JP2010036343A - インクジェット用記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 インク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有するインクジェット用記録媒体であって、塗布液を塗布した場合の、吸収ムラや塗布液のはじきの発生を抑制したインクジェット用記録媒体を提供すること。また、インク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有するインクジェット用記録媒体であって、塗布液を塗布した場合の、基紙のボコツキや皺、クラックの発生を抑制したインクジェット用記録媒体を提供すること。
【解決手段】 基紙の一方の面上にインク受容層を有するインクジェット用記録媒体であって、前記基紙のインク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有し、前記印刷部分は網点構造であり、前記基紙のステキヒトサイズ度は10秒以上、90秒以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インクジェット用記録媒体に関する。
インクジェット記録方法は、インク等の液体を種々の作動原理により飛翔させて、紙等の記録媒体に付着させ、画像、文字等の記録を行うものである。この記録方法は、高速低騒音、多色化が容易であり、記録パターンの融通性が大きく、現像が不要である等の特徴があり、広く普及している。このような背景において、銀塩写真や製版方式の多色印刷と比較して遜色ない画像を、手軽にインクジェット記録方式で出力する事が求められるようになってきており、インクジェット用記録媒体に関しても、その構造や特性に関する改良が検討されている。
また一方で、記録媒体の裏面に、製品の識別や企業の認知度の向上、表裏判別等を目的として、ロゴマークや絵柄等の印刷を付与することが行われている(特許文献1参照)。特許文献1の記録媒体は、ロゴマークや絵柄等の印刷部分に使用する印刷インキとして、親油性ビヒクルを含有しない、即ち水性印刷インキを用いたものである。
また、インク受容層を形成した記録用紙の裏面に印刷部分を形成し、印刷部分を網点構造で表現したキャストコート紙が知られている(特許文献2参照)。特許文献2の記録媒体は、印刷部分を網点構造にすることで印刷部分から水分を蒸散させ、記録媒体のボコツキの発生を抑制したものである。
特開昭61−16883号公報 特開2006−207055号公報
記録媒体には、記録媒体の裏面に塗布液を塗布して塗工層を設けることで、カールの発生を抑制できることが知られている。しかし、特許文献1及び2の記録媒体は、網点構造の印刷部分と基紙を比較した場合の、塗布液を塗布した時の吸収ムラや塗布液のはじきを考慮したものではなく、塗布液を塗布すると吸収ムラや塗布液のはじきが発生する場合があった。
従って、本発明の目的は、インク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有するインクジェット用記録媒体であって、塗布液を塗布した場合の、吸収ムラや塗布液のはじきの発生を抑制したインクジェット用記録媒体を提供することにある。また、インク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有するインクジェット用記録媒体であって、塗布液を塗布した場合の、基紙のボコツキや皺、クラックの発生を抑制したインクジェット用記録媒体を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、基紙の一方の面上にインク受容層を有するインクジェット用記録媒体であって、前記基紙のインク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有し、前記印刷部分は網点構造であり、前記基紙のステキヒトサイズ度は10秒以上、90秒以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体である。
本発明によれば、インク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有するインクジェット用記録媒体であって、塗布液を塗布した場合の、吸収ムラや塗布液のはじきの発生を抑制したインクジェット用記録媒体を提供可能である。また、インク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有するインクジェット用記録媒体であって、塗布液を塗布した場合の、基紙のボコツキや皺、クラックの発生を抑制したインクジェット用記録媒体を提供可能である。
以下に本発明インクジェット記録媒体の最良の形態を説明する。尚、図1は本発明のインクジェット用記録媒体の断面図の一例であり、1は原紙、2は下塗り層、3は印刷部分が設けられる位置、4は塗工層、5はインク受容層である。尚、原紙と下塗り層を合わせて基紙とする。
<原紙>
本発明のインクジェット用記録媒体は、原紙を有する。原紙の原材料は特に限定されないが、例えば、以下のようなパルプと、従来公知の顔料を主成分として、バインダ、サイズ剤、定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤等の各種添加剤を1種類以上用いて混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種装置により抄造された原紙を用いることが好ましい。即ち、上記パルプとは、LBKP、NBKP、NBSP等の化学パルプ。GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ。DIP等の古紙パルプ等の木材パルプ。ケナフ、バガス、コットン等の非木材パルプ。以上のようなパルプである。パルプは叩解されたパルプを単独あるいは混合して適宜使用することが好ましい。
原紙には、さらに澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシルメチルセルロース等の高分子化合物を含有する液をサイズプレス、ゲートロールコーター等で含浸・塗布することが好ましい。また、公知の填料やサイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤、pH調整剤、蛍光染料、色顔料、その他各種染料等、公知の填料及び助剤を適宜選択して内添あるいは外添しても良い。
<下塗り層>
本発明の記録媒体は、写真調の高光沢面を得ることや、基紙の地合によるムラ感を隠蔽する目的で、原紙の表面上に下塗り層を設けることが好ましい。
下塗り層は、原紙の片面または両面上に顔料とバインダを含む塗布液を塗布後、乾燥することで得られる。顔料としては、好ましくは以下のものが挙げられる。例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛。サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロサイト等の無機顔料。スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン粒子、マイクロカプセル粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等有機顔料。以上のような顔料を1種類以上用いることが好ましい。
バインダは、顔料を結着する能力のある材料であり、且つ水系塗布液を塗布した際に著しく塗布液の吸収阻害やはじきを引き起こすものでなければ特に制限なく利用できる。例えば、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体。カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体。カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体。ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共重合体ラテックス。アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス。エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス。これら各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス。これら各種重合体にカチオン基を用いてカチオン化したもの。カチオン性界面活性剤にて重合体表面をカチオン化したもの。カチオン性ポリビニルアルコール下で重合し重合体表面に該ポリビニルアルコールを分布させたもの。カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で重合を行い、重合体表面に該粒子が分布しているもの。メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダ。ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂。ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダ。以上のようなバインダが好ましい。これらのバインダは、単独或いは複数混合して用いてもよい。
さらに、白色度、色調整のために、蛍光染料、色顔料を併用しても良い。記録媒体としては、印字画像の写真様の質感、視覚の最適化のために、やや青白く調整することが好ましい。
下塗り層を形成する顔料の質量をA、バインダの質量をBとすると、A/Bは0.2以上、20以下とすることが好ましい。また、下塗り層は、原紙の両面に対称となるように設けられていることが好ましい。
原紙には、下塗り層となる塗布液を塗布する前に、必要に応じて平滑化や厚みを調整する目的でカレンダー処理を施しても良い。
<印刷部分>
本発明の記録媒体は、基紙のインク受容層を有する面と反対側の面上に、ロゴマークや絵柄等の印刷を付与した印刷部分を有する。
インクの吸収には、インク受容層のインク吸収性に加えて、基紙のインク吸収性も影響するので、インク吸収性を高めるためには、サイズ性が低い基紙を用いることが好ましい。しかし、サイズ性が低い基紙を用いると、塗工層として水系塗布液を使用する場合、印刷部分と基紙のみの部分の塗布液の吸収性に差が生じることがある。この吸収性の差により、塗布液の吸収ムラや塗布液のはじき、クラック等が発生し、外観を損なうといった課題が生じうる。
そこで本発明では、基紙のステキヒトサイズ度を10秒以上、90秒以下とし、さらに印刷部分を網点構造としている。これにより、両者が相乗的に寄与し、印刷部分においても塗布液を良好に吸収でき、塗布液の吸収ムラや塗布液のはじきを改善し、記録媒体のボコツキや皺、クラックの発生による外観の劣化を抑制している。これらは、両者が揃って初めて発現する顕著な効果である。尚、網点構造とは、規則的に並べられた点の集合で構成された構造のことである。
基紙のステキヒトサイズ度は10秒以上、90秒以下である。好ましくは、30秒以上である。また、好ましくは80秒以下である。10秒に満たないと、印刷部分と基紙の間で吸収性に大きな差ができ、記録媒体にボコツキや皺、クラックが発生する傾向となる。90秒を超えると、基紙のインク吸収性が良好でないので、吸収ムラや塗布液のはじき等が発生する傾向となる。
印刷部分のデューティ(印刷部分の面積のうち、網点の面積の割合)は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。また、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。5%に満たないと、印刷部分の印字濃度を高めたとしてもロゴや意匠が不鮮明になり、印刷部分の上に塗工層を設けた際にはさらに不鮮明になる傾向となる。20%を超えると、印刷部分での塗布液の吸収がされにくくなり、塗布液の吸収ムラや基材のボコツキが発生する傾向となる。
印刷部分のスクリーン線数は、100線以上、175線以下であることが好ましい。また、120線以上であることがより好ましい。さらに、150線以下であることが好ましい。100線未満であると、解像度が不十分になる傾向となる。また、175線を超えると、印刷部分の塗布液の吸収性が劣化する傾向となる。
印刷部分の網点構造は、水系塗布液の吸収ムラを軽減するために、同じ大きさの網点を並べた平網構造であることが好ましい。網点の形状は、正方形、長方形、菱形、円、楕円等いずれであっても構わない。
印刷部分の面積は、基紙全面に対して、10%未満であることが好ましい。また、5%未満であることがより好ましい。10%以上になると、水系塗布液の吸収ムラや記録媒体のボコツキが発生する傾向となる。
また、印刷部分は、複数個の絵柄模様または文字からなることが好ましい。絵柄模様は、それ自体、特に限定されるものではなく、不規則な模様であっても規則的な模様であってもよい。規則的な模様としては、例えば碁盤目状、水玉模様、市松模様等の幾何学的な模様が挙げられる。不規則的な模様としては、例えばマーブル模様等が挙げられる。さらに、たとえば会社名や商品名を示すロゴマークやキャラクター等のような有意性の絵柄模様であっても良い。印刷部分となる絵柄模様または文字は、規則的に配置されていても、不規則的に配置されていてもよい。しかし、不規則な模様よりも規則的な模様の方が、水系塗布液の吸収ムラや基材のボコツキが発生した場合に視認性が高く、さらには文字や有意の模様(たとえばキャラクター模様等)に対しては、高い視認性を有するので好ましい。
インク受容層を有する面側からは、印刷部分が透けて見えにくいことが好ましい。例えば、印刷部分のインクの色を薄いグレーまたは白色に近いカラーにすることで、透けて見えることを抑制可能である。例えば、水系インクを用いることが好ましい。より具体的には、例えば大日本インキ社のDIC日本の伝統色(第4版)946灰白が挙げられる。また、基紙が薄く、黒等の濃い色のインクで印刷部分を形成する場合は、網点の印字デューティを調整低くすることで透けて見えることを抑制可能である。これらの水系インクには、滑剤等の各種の添加材を含ませてもよい。滑剤としては、例えばポリオレフィン系ワックスやシリコーン系ワックスが挙げられる。
このような印刷部分は、網点構造が形成可能であれば、いずれの印刷方法で印刷しても良い。印刷方法としては、例えば、PS版印刷、水無し平版印刷、オフセット印刷、平凸版印刷、平凹版印刷、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷法等によって基紙の裏面に各種インクを塗布し、乾燥固化する方法が挙げられる。
印刷部分は、インク受容層を形成した後に裏面印刷を施して作成するよりも、インク受容層を形成する前に裏面印刷を施して作成する方が好ましい。これにより、印刷工程後の記録用媒体をロール巻取りした後に、裏面の印刷部分から表面のインク受容層側へインク成分や各種バインダ成分が移染し、インク受容層面が汚れたり印字の色抜けが発生したりすることを抑制できる。
また、印刷部分を有する側の面上、即ち記録媒体の裏側の面上に、後述の塗工層を形成することで、記録媒体のカールを抑制できる。この場合、上記のような裏面の印刷部分からインク受容層側へ移染するといった問題を改善するためには、基紙の面上に塗工層を設ける前に印刷部分を設けることが好ましい。
<インク受容層>
本発明のインクジェット用記録媒体は、基紙の一方の面上にインク受容層を有する。インク受容層は、例えば下記に挙げるような有機、或は無機顔料と、バインダとを含む塗布液を塗布、乾燥することで形成する。無機顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化マグネシウム等の無機顔料が挙げられる。有機顔料としては、例えば、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン粒子、マイクロカプセル粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等が挙げられる。本発明においては、インク受容層の主成分として、上記した中でも、透明性、発色性の点でシリカ、アルミナ水和物を用いることが好ましい。中でも、染料定着性、透明性、印字濃度、発色性、光沢性の点で、アルミナ水和物を用いることが特に好ましい。塗工液中のアルミナ水和物は、塗工液中の無機顔料の60質量%以上、100質量%以下とすることが好ましい。また、80質量%以上とすることが好ましい。60質量%未満の場合には、上記アルミナ水和物に起因して得られる性能が低下する恐れがある。
アルミナ水和物としては、例えば、下記一般式(1)により表されるものを用いることが好ましい。
一般式(1)
Al−n(OH)2n・mH
(上記式中、nは0、1、2又は3の何れかを表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の範囲にある値を表す。但し、mとnは同時に0にはならない。mHOは、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表すものであるため、mは整数又は整数でない値をとることができる。又、この種の材料を加熱するとmは0の値に達することがあり得る。)
インク受容層を形成するための塗工液に使用するバインダとしては、ポリビニルアルコールが好ましい。ポリビニルアルコールは、アルミナ水和物等の顔料の結着性の点から、ケン化度が70%以上、より好ましくは、80%以上のものが好ましい。また、重合度が500以上のものを使用することが好ましい。ポリビニルアルコールの含有量は、アルミナ水和物に対して5質量%以上、20質量%以下とすることが好ましい。
上記ポリビニルアルコールの他、下塗り層に好ましく用いられるバインダとして上述したバインダを用いることもできる。さらに、上述した下塗り層やインク受容層を形成する際に使用する塗布液中には、その他の添加剤を用いてもよい。例えば、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、染料定着剤等が挙げられる。また、インク受容層に、ホウ酸及びホウ酸塩からなる群より選ばれた1種以上を含有させると、インク受容層のクラック発生の抑制できるので好ましい。
インク受容層の顔料の質量をA、バインダの質量をBとすると、A/Bは0.2以上、20以下とすることが好ましい。また、インク受容層の乾燥塗工量は、20g/m以上、60g/m以下とすることが好ましい。20g/mに満たない場合は、色素の定着性、吸収性が不十分になり、鮮明で色濃度の高い記録を行うことが困難となる。また、60g/mを超える場合は、インク受容層の機械的強度が低下し、クラックが発生する傾向となる。
上記で説明した下塗り層、インク受容層を塗工液を用いて形成する際は、例えば以下のような塗工装置を適宜選択して用いることが好ましい。即ち、各種ブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、エクストルージョン方式を用いたダイコーター。スライドホッパー方式を用いたコーター。サイズプレス。以上のような塗工装置をオンマシン、オフマシンで用いることが好ましい。
また、上記塗工後の乾燥は、例えば以下のような装置を適宜選択して用いて行うことが好ましい。即ち、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等が挙げられる。
<塗工層>
本発明のインクジェット用記録媒体は、基紙のインク受容層を有する面と反対側の面上に塗工層を有する。塗工層を有することで、カールの発生を抑制している。塗工層は、インク受容層と同様に、顔料とバインダとを含む塗布液を、基紙上に塗布、乾燥することで形成する。塗布液は、塗工層を形成する前に印刷部分を形成している場合には、印刷部分上にも塗布することが好ましい。塗工層は、インク受容層と同様の原材料、工程により形成することが、カールの発生をより抑制可能であり、好ましい。塗工層の塗工量は、インク受容層の固形分塗工量に対して、10%以上とすることが好ましい。また、200%以下とすることが好ましく、150%以下とすることがより好ましい。この範囲とすることで、カールの発生を良好に抑制できる。
本発明のインクジェット用記録媒体は、上記のようにして基紙に水系塗布液を塗布、乾燥し、塗工層やインク受容層を設けた基材をそのまま使用しても良い。また、写真用紙等で求められる高い光沢性を付与する目的で、下記のようなキャスト法による表面加工を行っても良い。
<キャスト法>
キャスト法とは、湿潤状態、又は可塑性を有している状態にあるインク受容層を、加熱された鏡面状のドラム(キャストドラム)面に圧着し、圧着した状態で乾燥し、その鏡面をインク受容層表面に写し取る方法である。具体的には、以下の3つの代表的な方法がある。即ち、塗工液を過剰に基材に塗工し、プレスロールとキャストドラムの間で絞るようにして適正塗工量にした後、そのまま加熱されているキャストドラムに圧着して乾燥する直接法。基材に塗工された塗工液を一度乾燥、又は半乾燥状態にした後、水を主成分とする再湿液によりインク受容層を可塑性を有した状態(湿らせた状態)に戻し、その後に加熱されているキャストドラムに圧着して乾燥するリウェットキャスト法(間接法)。基材に塗工された塗工液をある程度乾燥し、続いて酸等の凝固剤で処理した後、流動性のないゲル状態で、加熱されているキャストドラムに圧着して乾燥する凝固法。以上の方法である。
これらのキャスト法は、何れも、写真調画像の形成が可能な記録紙を製造する場合に利用できるが、リウェットキャスト法が、製造速度の点で好ましい。また、特にインク受容層にアルミナ水和物を用いる場合には、リウェットキャスト法の利用により高光沢性が得られるので好ましい。
リウェットキャスト法で用いる再湿液には、水を主成分とし、これに、例えば、アンモニウム塩、ポリアミド樹脂、ヘキサメタリン酸等のリン化合物、アミド化合物、フッ化物。硫酸亜鉛、蟻酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス等を添加したものを用いることが好ましい。
キャスト法で使用するキャストドラムは、一般のキャストコート紙の製造条件と同様に、本発明においても、その表面粗度、表面温度、直径、線圧、速度を適宜選択することが可能である。ドラムの表面温度は、80℃以上、120℃以下とすることが好ましい。80℃に満たない場合には、光沢面の光沢性が低下する傾向となる。120℃を超える場合は、キャストドラムに圧着されたインク受容層が急激に加熱し、沸騰し易くなる傾向がある。沸騰が起こると、インク受容層は、キャストドラムと十分に密着することができなくなり、キャストドラムの鏡面の写し取りが不十分となり、光沢面が著しく損なわれる場合がある。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
先ず、下記組成のパルプスラリーを作製した。
・濾水度400mlCSFの広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP) 90質量部
・濾水度350mlCSFの針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP) 10質量部
次に、上記パルプスラリー100質量部に対して、軽質炭酸カルシウム10質量部、内添用サイズ剤0.05質量部を添加して紙料を調整した。この紙料を、長網抄紙機を用いて抄紙した後、多筒シリンダドライヤーで乾燥した。この後、カレンダー処理をして坪量150g/mの基紙用原紙を得た。
上記基紙用原紙の両面に、以下のようにして下塗り層を形成した。先ず、下塗り層の形成に使用する塗布液として、軽質炭酸カルシウム/カオリン/酸化チタンの質量比70/20/10からなるスラリーを準備した。次に、填料(軽質炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン)100質量部に対して、スチレン−ブタジエン系ラテックス/澱粉の質量比15/5のバインダ20質量部を添加して、固形分60質量%となるように組成物を調製した。
次に、この組成物を乾燥塗布量が15g/mになるように、ブレードコーターで基紙用原紙の両面に塗布し、その後乾燥して、坪量180g/m、厚さ190μm、ステキヒトサイズ度10秒の基紙を得た。
<印刷部分の形成>
上記の基紙のインク受容層を有する面と反対側の面上に、以下の方法により印刷部分を設けた。
水系インク(PW232AQメジウム及び墨、東洋インキ製)を混合、希釈し、フレキソ印刷機を用いてスクリーン線数100線、デューティ20%の印刷部分を設けた。
この印刷部分は、図2に示すようにロゴマーク「ロゴ商標」を配置印刷したものである。
<下塗り層への表面処理>
上記で得た下塗り層に対して、表面処理液を塗布した。この表面処理液としては、30℃に加温した5質量%のホウ砂水溶液を用い、エアーナイフコーターを用いてウェット塗布量14g/m(乾燥後の塗布量は0.7g/mに相当)となるよう、30m/分の速度で塗布した。なお、この塗布量は、目視で観察したところ、下塗り層上に表面処理工程で付与した表面処理塗布液が溢れずに含浸された状態となる量である。
<インク受容層の形成>
次に、インク受容層を以下のように形成した。
まず、純水中のアルミナ水和物固形分が5質量%となるように分散し、これに塩酸を加え、pHを4に調整してしばらく攪拌した。この後、分散液を攪拌しながら95℃まで昇温し、この温度で4時間保持した。そして、この温度を保持したまま苛性ソーダによりpHを10に調整し、10時間攪拌を行った。この後、分散液の温度を室温に戻し、塩酸によりpHを7〜8に調整した。
更に、脱塩処理を行い、続いて酢酸を添加して解膠処理して、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを乾燥して得られたアルミナ水和物をX線回折により測定したところ、ベーマイト構造を示すもの(擬ベーマイト)であった。また、この時のBET比表面積は138g/m、細孔容積は0.75cm/gであった。電子顕微鏡での観察では、平板状であり、平均アスペクト比は7.4、縦横比は0.7であった。
そして、上記で調製したアルミナ水和物のコロイダルゾルを濃縮して22.5質量%の分散液を作製した。次に、この分散液に3質量%ホウ酸水溶液を、アルミナ水和物の固形分100質量部に対してホウ酸固形分換算で0.5質量部となるように添加してホウ酸含有アルミナ水和物分散液を得た。
次に、ポリビニルアルコールを純水に溶解して、固形分9質量%の水溶液を得た。この後、上記ホウ酸含有アルミナ水和物分散液と、先に調製したポリビニルアルコール水溶液を、スタティックミキサーでアルミナ水和物固形分と、ポリビニルアルコール固形分の比(質量比)が100:9となるように混合した。そして、この混合直後の混合液をインク受容層用の塗布液とした。これを表面処理液が下塗り層に含浸されてすぐに、ダイコーターで乾燥塗布量が30g/mとなるように30m/分で塗布した。そして、この塗布液を170℃で乾燥して、インク受容層を設けることで記録媒体を得た。
<塗工層の形成>
次に、印刷部分を有する面上に、以下のようにして塗工層を形成した。
まず、アルミナ水和物としてDisperal HP13(サソール製)を純水に固形分が18質量%になるように分散させ、その後、遠心分離処理を施した。この分散液と、インク受容層の形成に用いたのと同様のポリビニルアルコール水溶液とを、スタティックミキサーでアルミナ水和物固形分とポリビニルアルコール固形分の比(質量比)が100:9になるように混合した。その後すぐに、ダイコーターで乾燥塗工量が15g/mになるように毎分35mで塗工した。そして、170℃で乾燥し、塗工層を形成した。
塗工層を形成した後も、塗工層側からロゴマークは視認可能であった。
<キャスト法による光沢面の形成>
次に、以下のリウェットキャスト法により光沢面を形成した。最初に、離型剤としてステアリン酸カルシウム(C−104、サンノプコ製)、ポリエチレンワックス(サンノプコ製)及びノニオン系分散剤をそれぞれ微量含む水からなる塗布液を準備した。次に、この塗布液を、記録媒体の基紙の端部断面を含むインク受容層表面の全面に均一に塗布してインク受容層を湿潤させた。この湿潤状態のまま、記録媒体を、100℃に加熱した鏡面を有するキャストドラム(乾燥用圧着面)に圧着させて毎分30mで乾燥を行い、本実施例の記録媒体を得た。
(実施例2)
パルプスラリーに添加する内添用サイズ剤を0.07質量部すること以外は実施例1と同様にして記録媒体を得た。尚、内添用サイズ剤の増量により、基紙のステキヒトサイズ度は57秒となった。
(実施例3)
パルプスラリーに添加する内添用サイズ剤を0.1質量部すること以外は実施例1と同様にして記録媒体を得た。尚、内添用サイズ剤の増量により、基紙のステキヒトサイズ度は90秒となった。
(実施例4)
印刷部分のスクリーン線数を120線とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例5)
印刷部分のスクリーン線数を150線とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例6)
印刷部分のスクリーン線数を175線とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例7)
印刷部分のデューティを10%とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例8)
印刷部分のデューティを5%とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例9)
キャスト法による光沢面の形成を実施しない以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例10)
印刷部分のデューティを50%とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例11)
印刷部分のデューティを30%とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例12)
印刷部分のデューティを2%とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例13)
印刷部分のスクリーン線数を85線とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(実施例14)
印刷部分のスクリーン線数を200線とすること以外は実施例2と同様にして記録媒体を得た。
(比較例1)
パルプスラリーに内添用サイズ剤を添加しない以外は実施例1と同様にして記録媒体を得た。尚、内添用サイズ剤を添加しないことにより、基紙のステキヒトサイズ度は0秒となった。
(比較例2)
パルプスラリーに添加する内添用サイズ剤を0.11質量部として、印刷部分のスクリーン線数を133線とすること以外は実施例1と同様にして記録媒体を得た。尚、内添用サイズ剤の増量により、基紙のステキヒトサイズ度は95秒となった。
(比較例3)
パルプスラリーに添加する内添用サイズ剤を0.15質量部とすること以外は実施例1と同様にして記録媒体を得た。尚、内添用サイズ剤の増量により、基紙のステキヒトサイズ度は145秒となった。
(比較例4)
印刷部分をベタ印刷した以外は、実施例2と同様にして記録媒体を得た。
上記実施例、比較例で得た記録媒体に関して、製造適性、外観評価、視認性を以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
<製造適性>
基紙の印刷部分を有する側の面上に水系塗布液を塗布した際の、印刷部分と未印刷部分(基紙)の塗布液の吸収ムラ、塗布液のはじきを目視により以下の基準で評価した。
A:印刷部分と未印刷部分の塗布液の吸収ムラや塗布液はじきは見当たらない。
B:印刷部分と未印刷部分の塗布液の吸収ムラは若干生じているが、塗布液のはじきは見当たらない。
C:印刷部分と未印刷部分の塗布液の吸収ムラ、塗布液のはじきが見受けられる。
<外観評価>
基紙の印刷部分を有する側の面上に水系塗布液を塗布し、乾燥させた後、基紙のボコツキ、皺、印刷部分及びその周辺部分におけるクラック発生の有無を目視により評価した。尚、基紙のボコツキとは、図3a及び図3bのような山部分と谷部分のZ軸方向のうねりのことであり、目視により以下の基準で評価した。
A:基紙にボコツキ、皺、クラックは見当たらない。
B:基紙にボコツキ、皺、クラックのいずれかが僅かに見受けられる。
C:基紙にボコツキ、皺、クラックのうち2つ以上が見受けられる。
<印刷部分の視認性>
印刷部分の上に、水系塗布液を塗布、乾燥して得られた記録媒体において、印刷部分が明瞭に認識できるかを目視により以下の基準で評価した。
A:印刷部分が明瞭に認識できる。
B:印刷部分がやや不明瞭であるが、認識できる。
C:印刷部分がぼやけ、明瞭に認識することは困難である。
Figure 2010036343
本発明のインクジェット用記録媒体の断面図の一例である。 本発明のインクジェット用記録媒体の印刷部分部分(ロゴマーク)の配置の一実施例を示す図である。 印刷部分を設けた基紙上に水系塗布液を塗布、乾燥した後の記録媒体を示す図である。図3aは水系塗布液を塗布、乾燥した後の記録媒体の斜視図、図3bはxy平面において縦目方向に沿って記録媒体を見たときのボコツキの模式図である。
符号の説明
1 原紙
2 下塗り層
3 印刷部分が設けられる位置
4 塗工層
5 インク受容層
6 インクジェト用記録媒体
7 ボコツキの山部分
8 ボコツキの谷部分
9 ボコツキの大きさ

Claims (3)

  1. 基紙の一方の面上にインク受容層を有するインクジェット用記録媒体であって、
    前記基紙のインク受容層を有する面と反対側の面上に印刷部分及び塗工層を有し、
    前記印刷部分は網点構造であり、
    前記基紙のステキヒトサイズ度は10秒以上、90秒以下であることを特徴とするインクジェット用記録媒体。
  2. 前記印刷部分のデューティが5%以上、20%以下である請求項1記載のインクジェット用記録媒体。
  3. 前記印刷部分のスクリーン線数が100線以上、175線以下である請求項1または2記載のインクジェット用記録媒体。
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