JP2011102454A - 炭素繊維、炭素繊維前駆体アクリル繊維及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度、高弾性率である炭素繊維、炭素繊維前駆体アクリル繊維及びその製造方法。
【解決手段】炭素繊維前駆体アクリル繊維の鉄内在量を2.0×10−6g/g以下、かつ鉄付着量を1.0×10−6g/g以下とする。鉄イオンとイオン交換能を有する物質にアクリロニトリル重合体溶液を接触させる原料浄化工程と、前記原料浄化工程で処理したアクリロニトリル重合体溶液を紡糸する紡糸工程と、鉄イオンとイオン交換能を有する物質に油剤組成物及び/又は水を接触させる油剤原料浄化工程と、前記油剤組成物及び前記水を混合し油剤分散液を調製する分散液調製工程と、前記紡糸工程で得られた繊維に、前記油剤分散液を含浸させ前記油剤組成物を付着させる工程とを設ける。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維、炭素繊維前駆体アクリル繊維及びその製造方法に関する。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度及び比弾性率を有することが知られている。このため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途及び航空・宇宙用途に加え、自動車や土木、建築、圧力容器、風車ブレード等の一般産業用途にも幅広く展開されつつある。さらに、従来利用されてきたスポーツ用途、航空・宇宙用途においても、より高強度化や高弾性率化の要請が高い。
炭素繊維の中で、ポリアクリロニトリル系炭素繊維は最も広く利用されているものである。ポリアクリロニトリル系炭素繊維は、例えば、油剤組成物を付着させたアクリル繊維を炭素繊維前駆体とし、該炭素繊維前駆体を200〜400℃の酸素存在雰囲気下で加熱処理することにより耐炎化繊維に転換し、引き続いて1000℃以上の不活性雰囲気下で炭素化して得られるものである。この方法で得られた炭素繊維は、優れた機械的物性により、特に複合材料用の強化繊維として工業的に広く利用されている。
炭素繊維の高強度化、高弾性率化における有力な方法として、炭素繊維前駆体アクリル繊維に含有、付着する異物を低減させる方法がある。この方法によれば、焼成過程において、表面の傷、ボイド発生を低減させ、炭素繊維の強度低下を抑制できる。
例えば、重合原料を多段濾過することで、アクリル系重合体中の異物量を低減する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、重合原料を最小開孔径0.6μmから0.2μmのフィルターにて多段濾過しアクリロニトリル重合体とし、このアクリロニトリル重合体を1.5μmから0.5μmのフィルターにて多段濾過した凝固浴、延伸浴、洗浄水で処理することで、異物量の低減を図っている。
また、例えば、アクリロニトリル系重合体と有機溶剤とからなるドープ溶液をイオン交換体で処理し、処理したドープ溶液を紡糸する炭素繊維製造用前駆体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2では、ドープ溶液をイオン交換体で処理することで、金属イオンの含有量の低減を図っている。
特開平1−271401号公報 特開平5−156523号公報
しかしながら、特許文献1では、重合から延伸までの原料、凝固溶液及び洗浄水を精密濾過しているものの、付着させる油剤組成物の清浄化が考慮されていない。加えて、特許文献1では、多くの濾過フィルター設備が必要となるため、重合ラインや紡糸装置等の周辺に設置スペースが必要になる上、設備コストも増大する。特許文献2では、付着させる油剤組成物の清浄化が考慮されていない。そして、炭素繊維にはさらなる強度、弾性率の向上が求められている。
そこで、本発明は、高強度、高弾性率である炭素繊維、炭素繊維前駆体アクリル繊維及びその製造方法を目的とする。
ここで、特許文献2においては、炭素繊維の強度及び弾性率は、鉄元素の含有量にかかわらず、アルミニウムの含有量に影響を受けており、炭素繊維の鉄元素の含有量と、炭素繊維の強度及び弾性率との間には相関関係が見られない。しかしながら、本発明者らは、あえて炭素繊維前駆体アクリル繊維に含まれる鉄元素の含有量に着目して鋭意検討した結果、次のような知見を得た。炭素繊維の強度、弾性率には、炭素繊維前駆体アクリル繊維の全体に含まれる鉄元素量のみならず、その表面の鉄付着量が影響していた。このため、炭素繊維前駆体アクリル繊維に内在する鉄元素量(鉄内在量)と、表面に付着した鉄元素量(鉄付着量)とを低減することで、炭素繊維のさらなる高強度化、高弾性率化が図れることを見い出し、以下の発明に至った。
即ち、本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維は、鉄内在量が2.0×10−6g/g以下、かつ鉄付着量が1.0×10−6g/g以下であることを特徴とする。
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維の製造方法は、鉄イオンとイオン交換能を有する物質にアクリロニトリル重合体溶液を接触させる原料浄化工程と、前記原料浄化工程で処理したアクリロニトリル重合体溶液を紡糸する紡糸工程と、鉄イオンとイオン交換能を有する物質に油剤組成物及び/又は水を接触させる油剤原料浄化工程と、前記油剤組成物及び前記水を混合し油剤分散液を調製する分散液調製工程と、前記紡糸工程で得られた繊維に、前記油剤分散液を含浸させ前記油剤組成物を付着させる工程とを有することを特徴とする。前記油剤分散液の鉄元素量が、0.5×10−6g/g以下であることが好ましく、前記分散液調製工程は、転相温度法により乳化して油剤分散液を調製することが好ましい。
本発明の炭素繊維は、本発明の前記炭素繊維前駆体アクリル繊維を焼成してなることを特徴とする。
本発明によれば、炭素繊維の高強度化、高弾性率化が図れる。
(炭素繊維前駆体アクリル繊維)
本発明の炭素繊維前駆体アクリル繊維(以下、前駆体繊維という)は、鉄内在量が2.0×10−6g/g以下、かつ鉄付着量が1.0×10−6g/g以下のものである。
前駆体繊維に内在又は付着する鉄元素は、鉄イオン、鉄化合物等あらゆる形態で含有又は付着している鉄元素である。
前駆体繊維の鉄内在量は、2.0×10−6g/g以下であり、0.5×10−6g/g以下がより好ましい。前駆体繊維の鉄内在量を上記範囲とすることで、得られる炭素繊維の高強度化、高弾性率化が図れる。なお、前駆体繊維の鉄内在量とは、前駆体繊維に含有される鉄総量の内、前駆体繊維の表面に付着した鉄付着量を除いた量である。
前駆体繊維の鉄付着量は、1.0×10−6g/g以下であり、0.1×10−6g/g以下がより好ましい。前駆体繊維の鉄付着量を上記範囲とすることで、得られる炭素繊維の高強度化、高弾性率化が図れる。なお、前駆体繊維の鉄付着量とは、前駆体繊維が単繊維である場合には、その単繊維の表面の付着量である。前駆体繊維が2以上の単繊維の束(以下、繊維束)である場合には、繊維束を構成する個々の単繊維の表面の付着量をいう。
前駆体繊維は、アクリロニトリル重合体を紡糸して得られる繊維である。
本発明で用いられるアクリロニトリル重合体は、アクリロニトリルを主な単量体とし、これを重合して得られる重合体である。アクリロニトリル重合体は、アクリロニトリルのみから得られるホモポリマーだけでなく、主成分であるアクリロニトリルに加えて他の単量体を用いたアクリロニトリル重合体であってもよい。
アクリロニトリル重合体中のアクリロニトリルの配合量は、得られる炭素繊維に求める品質等を勘案して決定でき、例えば、96〜98.8質量%が好ましい。アクリロニトリルの配合量が96質量%以上であれば、前駆体繊維を炭素繊維に転換するための焼成工程で、繊維同士の融着を招くことなく、炭素繊維の優れた品質及び性能を維持できる。加えて、アクリロニトリル重合体の耐熱性が低下せず、前駆体繊維を紡糸する際に乾燥を抑制できる。さらに、加熱ローラーや加圧水蒸気による延伸等の処理において、単繊維間の接着を回避できる。アクリロニトリルの配合量が98.5質量%以下であれば、溶剤への溶解性が低下せず、アクリロニトリル重合体の析出・凝固を防止し、紡糸原液の安定を維持できるため、前駆体繊維を安定して製造できる。
アクリロニトリル重合体には、アクリロニトリル以外の単量体を配合することができる。アクリロニトリル以外の単量体としては、アクリロニトリルと共重合可能なビニル系単量体から適宣選択することができ、アクリロニトリル重合体の親水性を向上するビニル系単量体、耐炎化促進効果を有するビニル系単量体が好ましい。
アクリロニトリル重合体の親水性を向上する単量体としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、アミド基等の親水性の官能基を有するビニル化合物がある。カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸等が挙げられ、中でもアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。スルホ基を有する単量体としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スルホプロピルメタクリレート等が挙げられ、中でも、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。アミノ基を有する単量体としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルメタクリレート、アリルアミン、o−アミノスチレン、p−アミノスチレン等が挙げられ、中でもジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートが好ましい。アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、クロトンアミドが好ましい。このような単量体を配合することで、アクリロニトリル重合体は親水性が向上する。親水性が向上すると、得られる前駆体繊維の緻密性が向上し、表層部のミクロボイド発生を抑制することができる。上述の単量体は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
このようなアクリロニトリル重合体の親水性を向上する単量体の配合量は、アクリロニトリル重合体中0.5〜2質量%が好ましい。
耐炎化促進効果を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアンモニウム塩、アクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。中でも、少量の配合量でより高い耐炎化促進効果を得る観点から、カルボキシル基を有する単量体が好ましく、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有ビニル系単量体がより好ましい。このような単量体を配合することで、後述する耐炎化工程の時間を短縮でき、製造コストを低減できる。上述の単量体は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
このような耐炎化促進効果を有する単量体の配合量は、アクリロニトリル重合体中0.5〜2質量%が好ましい。
前駆体繊維は、油剤組成物を付着させたものである。
油剤組成物は、前駆体繊維に求める機能等を勘案して決定でき、例えば、シリコーン系油剤組成物が好ましい。シリコーン系油剤組成物としては、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等のシリコーンオイルが挙げられ、中でもアミノ変性シリコーンが好ましい。アミノ変性シリコーンとしては、側鎖1級アミノ変性シリコーン、側鎖1,2級アミノ変性シリコーン、あるいは両末端アミノ変性シリコーンが挙げられる。このようなシリコーン系油剤組成物を用いることで、紡糸工程での繊維の集束性が増し、高い製造効率で生産でき、機械的物性に優れた炭素繊維を得ることができる。
前駆体繊維における油剤組成物の付着量は、前駆体繊維の乾燥質量に対して0.1〜2質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがさらに好ましい。油剤組成物の付着量が0.1質量%未満であると、油剤組成物の機能を十分に発現させることが困難になる場合がある。油剤組成物の付着量が2質量%を超えると、余分に付着した油剤組成物が、焼成工程において高分子化して単繊維間の接着の誘因となる場合がある。
(製造方法)
本発明の前駆体繊維の製造方法は、鉄イオンとイオン交換能を有する物質(以下、鉄イオン交換体)にアクリロニトリル重合体溶液を接触させる原料浄化工程と、前記原料浄化工程で処理したアクリロニトリル重合体溶液を紡糸する紡糸工程と、鉄イオンとイオン交換能を有する物質に油剤組成物及び/又は水を接触させる油剤原料浄化工程と、前記油剤組成物及び前記水を混合し油剤分散液を調製する分散液調製工程と、前記紡糸工程で得られた繊維に前記油剤分散液を含浸する工程(油剤組成物付着工程)とを有するものである。
[原料浄化工程]
原料浄化工程は、鉄イオン交換体に、アクリロニトリル重合体溶液を接触させて、アクリロニトリル重合体溶液中の鉄イオンを除去して鉄元素の含有量を低減する工程である。
アクリロニトリル重合体溶液は、アクリロニトリル重合体を溶剤に溶解した紡糸原液である。
溶剤は、アクリロニトリル重合体の種類等を勘案して決定でき、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤、塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウム等の無機化合物の水溶液が挙げられ、中でもジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドが緻密な前駆体繊維が得られる点で好ましい。
アクリロニトリル重合体溶液のアクリロニトリル重合体の濃度は、特に限定されないが、例えば、17〜25質量%が好ましく、19〜25質量%がより好ましい。17質量%以上であれば、緻密な凝固糸を得ることができ、25質量%以下であれば紡糸原液として適度な粘度と流動性が得られるためである。
鉄イオン交換体は、アクリロニトリル重合体溶液の溶剤に溶解しないものであり、例えば、架橋型イオン交換樹脂、架橋型イオン交換繊維等が挙げられる。中でも、ビニルベンゼン−スチレンからなる架橋型イオン交換樹脂が、汎用性があり好ましい。鉄イオン交換体は、アクリロニトリル重合体溶液中の鉄イオンを除去するために溶剤との親和性が必要であると共に、該溶剤により溶解しないことが必要なためである。
鉄イオン交換体としては、例えば、スルホン酸基を官能基とする強酸性陽イオン交換樹脂、メタクリル酸、アクリル酸等のカルボン酸基を官能基とする弱酸性陽イオン交換樹脂、イミノジ酢酸型、ポリアミン型等のキレート樹脂等が挙げられる。中でも、鉄イオンの除去制度を向上させる観点から、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましい。鉄イオン交換体としては、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
原料浄化工程では、鉄イオン交換体と共に、第4級アミノ基を官能基とする強塩基性陰イオン交換体、第1、第2又は第3級アミンを官能基とする弱塩基性陰イオン交換体を併用することができる。これらの陰イオン交換体を併用することにより、塩素イオンやシリカ等の陰イオンを除去し、アクリロニトリル重合体溶液中の不純物濃度を低下させ、炭素繊維の強度及び弾性率の向上が図れる。上述の理由により、原料浄化工程では、強酸性陽イオン交換樹脂の単独使用、又は強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂との併用が好ましい。
原料浄化工程は、アクリロニトリル重合体溶液を鉄イオン交換体に接触できればよく、例えば、槽型反応器を用いアクリロニトリル重合体溶液中に鉄イオン交換体を添加し、任意の時間攪拌した後、鉄イオン交換体を除去する方法(回分法)が挙げられる。また、例えば、管型反応器を用い、鉄イオン交換体を管型反応器内に充填してイオン交換層を形成し、該イオン交換層にアクリロニトリル重合体溶液を流通させる方法(連続法)が挙げられる。中でも、製造効率等の観点から、管型反応器を用いた連続法が好ましい。
回分法におけるアクリロニトリル重合体溶液に対する鉄イオン交換体の添加量は、例えば、アクリロニトリル重合体溶液に対して、0.01〜100質量%とすることが好ましい。0.01質量%未満であると、鉄イオンの除去が不十分となる場合があり、100質量%を超えると鉄イオン交換体の回収が煩雑となると共に、ランニングコストが増大する傾向にある。
連続法における管型反応器への鉄イオン交換体の充填量は、アクリロニトリル重合体溶液の処理量等を勘案して決定できる。
原料浄化工程は、例えば、15〜135℃の温度範囲で、アクリロニトリル重合体溶液と鉄イオン交換体とを接触することが好ましい。15℃未満では、アクリロニトリル重合体溶液の粘度が高くなり流動性が低下して鉄イオン交換体との接触が困難になると共に、イオン交換反応が進行しにくくなる。135℃を超えると、鉄イオン交換体は、熱安定性が不十分となり、長期間の使用ができなくなる。
原料浄化工程におけるアクリロニトリル重合体溶液と鉄イオン交換体との接触時間(処理時間)は、アクリロニトリル重合体溶液に含まれる鉄イオンの量、鉄イオン交換体の種類や量に応じて決定することができる。
原料浄化工程では、アクリロニトリル重合体溶液中の鉄元素量をできるだけ低減することが好ましく、例えば、対アクリロニトリル重合体換算(以下、対重合体換算)で、2.0×10−6g/g以下とすることが好ましく、0.5×10−6g/g以下とすることがより好ましい。上記範囲内とすることで、得られる前駆体繊維の鉄内在量を2.0×10−6g/g以下とし、炭素繊維の高強度化及び高弾性率化が図れる。
[紡糸工程]
紡糸工程は、原料浄化工程で処理したアクリロニトリル重合体溶液を紡出し、繊維(凝固糸)を得る工程である。紡糸方法としては、例えば、直接凝固浴中に紡出して凝固させる湿式紡糸法、空気中で凝固させる乾式紡糸法、一旦、空気中に紡出した後、凝固浴中で凝固させる乾湿式紡糸法等、公知の紡糸方法が挙げられる。中でも、炭素繊維の強度及び弾性率をより向上させる観点から、湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法が好ましい。
湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法による紡糸賦形は、上記のアクリロニトリル重合体溶液を略円形断面の孔を有するノズルより凝固浴中に紡出する方法が挙げられる。
凝固浴としては、アクリロニトリル重合体溶液に用いられる溶剤を含む水溶液を用いることが好ましい。このような凝固浴が、溶剤回収の容易さの観点から好ましい。
なお、凝固浴は、鉄イオン交換体と接触させ、鉄イオンを除去したものが好ましい。かかる凝固浴を用いることで、前駆体繊維の鉄付着量を低減できる。
凝固浴として溶剤を含む水溶液を用いる場合、該水溶液中の溶剤濃度は、50〜85質量%が好ましい。上記範囲内であれば、前駆体繊維をボイド発生のない緻密な構造とし、高強度、高弾性率の炭素繊維を得られる。加えて、延伸性が確保でき生産性に優れるためである。
凝固浴の温度は、特に限定されないが、10〜60℃が好ましい。上記範囲内であれば、前駆体繊維をボイド発生のない緻密な構造とし、高強度、高弾性率の炭素繊維を得られる。加えて、延伸性が確保でき生産性に優れるためである。
紡糸工程では、凝固糸を凝固浴中又は延伸浴中で延伸することができる。あるいは、凝固糸を空中で延伸した後、再度、浴中で延伸することができる。また、あるいは、延伸の前後又は延伸中に水洗し、凝固糸を水膨潤状態とすることができる。
延伸浴は、例えば、水又はアクリロニトリル重合体溶液に用いられる溶剤を含む水溶液等が挙げられる。
なお、延伸浴は、鉄イオン交換体と接触させ、鉄イオンを除去したものが好ましい。かかる延伸浴を用いることで、前駆体繊維の鉄付着量を低減できる。
延伸は、50〜98℃の凝固浴又は延伸浴に凝固糸を入れ、凝固糸に張力を掛けることで行われる。延伸は、例えば、1回で所望の倍率としてもよいし、2回以上に分けて多段に延伸することで所望の倍率としてもよい。例えば、空中での延伸と延伸浴中での延伸を組み合わせ、合計で5〜15倍に延伸することが好ましい。このように延伸することで、炭素繊維の高強度化、高弾性率が図れる。
[油剤原料浄化工程]
油剤原料浄化工程は、後述する分散液調製工程で調製する油剤分散液の原料である油剤組成物及び/又は水を鉄イオン交換体と接触させ、鉄イオンを除去するものである。本工程では、油剤組成物、水の他、油剤分散液に配合する乳化剤等の添加物を鉄イオン交換体と接触させてもよい。
油剤原料浄化工程は、油剤組成物、水及び添加物等の構成原料をそれぞれ鉄イオン交換体と接触させてもよいし、構成原料を混合した混合液を鉄イオン交換体と接触させてもよい。
油剤原料浄化工程は、原料浄化工程と同様に、回分法、連続法のいずれの方法を用いてもよい。
油剤原料浄化工程に用いる鉄イオン交換体は、原料浄化工程に用いる鉄イオン交換体と同様である。また、鉄イオン交換体と陰イオン交換体とを併用してもよい。
油剤原料浄化工程では、油剤分散液の原料の鉄元素の含有量をできるだけ低減することが好ましい。
[分散液調製工程]
分散液調製工程は、油剤原料浄化工程で得られた油剤分散液の原料を用い、油剤分散液を調製する工程である。油剤分散液は、油剤組成物を水に分散したものであり、例えば、乳化剤を用いて油剤組成物を水に分散したものが挙げられる。
油剤分散液中の油剤組成物、水、乳化剤の配合量は、前駆体繊維に求める機能等を勘案して決定できる。
油剤分散液には、必要に応じて、さらに酸化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、浸透剤等の添加物を配合することができる。このような添加物は、前駆体繊維の製造設備、使用環境を勘案し、油剤分散液の安定性、付着特性を向上させるために1種単独又は適宜組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤は公知の物質を用いることができ、好ましくはフェノール系、硫黄系の酸化防止剤である。フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等が挙げられる。また、硫黄系の酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート等が挙げられる。このような酸化防止剤は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
油剤組成物中の酸化防止剤の配合量は、特に限定されないが、1〜5質量%が好ましい。
帯電防止剤は、公知の物質を用いることができる。帯電防止剤はイオン型と非イオン型に大別され、イオン型としてはアニオン系、カチオン系及び両性系があり、非イオン型ではポリエチレングリコール型、多価アルコール型がある。帯電防止の観点からイオン型が好ましく、中でも脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキシド付加物硫酸リン酸エステル塩、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤、高級アルコールエチレンオキシド付加物ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等がより好ましい。このような帯電防止剤は、1種単独又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
分散液調製工程では、一旦、加温しながらホモミキサー等で油中水滴型のエマルジョンを形成した後、温度を下げて転相させ、水中油滴型のエマルジョンとする転相温度法により油剤分散液を調製するのが好ましい。転相温度法は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の容器等で転相できるため、油剤分散液への鉄の混入を低減できる。加えて、油剤組成物を小さな滴径で水に分散させ、安定したエマルジョンが得られる。例えば、油剤組成物、水、乳化剤等をゴーリンタイプのホモジナイザー(ゴーリンミキサー)に投入し乳化する強制乳化法では、油剤分散液の原料が、直接金属部材に接触した状態で乳化されるため、ホモジナイザーから油剤分散液に鉄が混入するおそれがある。
こうして得られた油剤分散液の鉄元素量は、0.5×10−6g/g以下が好ましく、0.1×10−6g/g以下がより好ましい。上記範囲内とすることで、前駆体繊維の鉄付着量を1.0×10−6g/g以下として、炭素繊維の高強度化及び高弾性率化が図れる。
[油剤組成物付着工程]
油剤組成物付着工程は、紡糸工程で得られた繊維に、分散液調製工程で得られた油剤分散液を含浸させ、油剤組成物を付着させる工程である。
油剤組成物を付着させる繊維は、凝固糸であり、例えば、前述の浴中延伸後、浴中延伸又は洗浄を行った後に得られる水膨潤状態にある凝固糸であることが好ましい。
油剤分散液を凝固糸に含浸する方法としては、ローラー法、ガイド法、スプレー法、ディップ法等、公知の方法を用いることができる。ローラー法は、ローラーをその軸方向が水平となる様に設置し、該ローラーの下方を油剤分散液に浸漬させ、該ローラーの上方に凝固糸を接触させながら進行させる方法である。ガイド法は、ポンプで一定量の油剤分散液をガイドから吐出し、該ガイド表面に凝固糸を接触させるものである。スプレー法は、ノズルから一定量の油剤分散液を凝固糸に噴射するものである。ディップ法は、油剤分散液の中に凝固糸を浸漬した後にローラー等で絞って余分な油剤分散液を除去するものである。
均一付着の観点から、凝固糸に十分に油剤分散液を含浸させ、余分な油剤分散液を除去するディップ法が好ましい。
油剤組成物付着工程は、上述の方法により、油剤分散液の含浸を1回としてもよく、上述の方法を2回以上繰り返す多段処理としてもよい。より均一に凝固糸に油剤組成物を付着させる観点から、多段処理とすることが好ましい。
こうして、凝固糸に油剤組成物が付着された前駆体繊維を製造することができる。
[乾燥工程]
本発明の前駆体繊維は、油剤組成物付着工程で得られたものをそのまま炭素繊維の製造に供してもよいし、油剤組成物付着工程の後段に乾燥工程を設け、前駆体繊維を乾燥緻密化してもよい。
乾燥工程は、従来公知の方法で前駆体繊維を乾燥でき、例えば、加熱ローラーによる乾燥が好ましい乾燥方法として挙げられる。なお、加熱ローラーの数量は1個であっても2個以上であってもよい。
乾燥工程における乾燥温度は、前駆体繊維のガラス転移温度を超えた温度とすることが好ましい。このような乾燥温度で処理することで、前駆体繊維の乾燥と緻密化が達成できる。乾燥温度は前駆体繊維の含水量の変動により異なるが、例えば、100〜200℃の範囲で決定することが好ましい。
乾燥工程では、前駆体繊維を乾燥した後、さらに加圧水蒸気延伸することができる。加圧水蒸気延伸することで、前駆体繊維の緻密性や配向度をさらに高め、炭素繊維のさらなる高強度化、高弾性率化が図れる。加圧水蒸気延伸とは、加圧水蒸気雰囲気中で延伸を行う方法である。加圧水蒸気延伸によれば、高倍率の延伸が可能であり、より高速で安定な紡糸が行えると同時に、得られる繊維の緻密性や配向度向上にも寄与する。
加圧水蒸気延伸は、例えば、前駆体繊維を加熱ローラーで予備加熱した後、加圧水蒸気の存在下で前駆体繊維に張力を加える方法が挙げられる。このような加圧水蒸気延伸において、加圧水蒸気延伸装置の直前の加熱ローラーの温度を120〜190℃とし、前駆体繊維を予熱することが好ましい。加熱ローラーの温度が120℃未満では前駆体繊維の温度が十分に上がらず延伸性が低下する。
また、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率を0.5%以下に制御することが好ましい。
このように、加熱ローラーの温度と水蒸気圧力の変動率を制御することで、前駆体繊維になされる延伸倍率の変動及び該変動により発生するトウ繊度の変動を抑制することができる。
加圧水蒸気延伸における水蒸気の圧力は、加熱ローラーによる延伸の抑制や加圧水蒸気延伸法の特徴が明確に現れるようにするため、200kPa/g以上が好ましい。この水蒸気圧は、処理時間を勘案して適宜調節することが好ましく、高圧にすると水蒸気の漏れが増大したりする場合があるので、工業的には600kPa/g程度以下が好ましい。
乾燥工程の後、前駆体繊維は、室温のロール等を通すことにより、常温の状態まで冷却する。冷却した前駆体繊維は、ワインダーでボビンに巻き取られ、あるいはケンスに振込まれて収納され、炭素繊維の製造に供される。
[焼成工程]
焼成工程は、前駆体繊維を焼成し、炭素繊維を得るものである。焼成工程は、耐炎化処理と炭化処理とからなり、必要に応じて黒鉛化処理が設けられる。焼成工程における各処理の条件は特に限定されないが、繊維内部にボイド等の構造的欠陥が発生しにくい条件を設定するのが好ましい。
<耐炎化処理>
耐炎化処理は、前駆体繊維を酸化性雰囲気中で緊張あるいは延伸条件下で、任意の時間加熱し、耐炎化繊維とするものである。耐炎化処理の方法は、例えば、熱風循環方式、多孔板表面を有する固定熱板方式等が挙げられる。
耐炎化処理の加熱温度は、例えば200〜300℃とされる。
耐炎化処理では、耐炎化繊維の密度が1.30g/cm〜1.50g/cmになるまで処理することが好ましい。
<炭化処理>
炭化処理は、耐炎化処理で得られた耐炎化繊維を不活性ガス雰囲気下で加熱することで、炭素繊維を得るものである。炭化処理は、前炭素化操作と炭素化操作とからなる。
前炭素化操作は、最高温度550〜800℃の不活性ガス雰囲気中、緊張下で、300〜500℃の温度領域においては、500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下の昇温速度で、耐炎化繊維を加熱し前炭素化繊維とする。この前炭素化操作により、炭素繊維の機械的特性を向上できる。
不活性ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム等、公知の不活性ガスを採用できるが、経済性の面から窒素が望ましい。
炭素化操作は、1200〜3000℃の不活性雰囲気中、1000〜1200℃の温度領域において、500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下の昇温速度で、前炭素化繊維を加熱し炭素繊維とする。この炭素化操作により、炭素繊維の機械的特性を向上できる。
雰囲気ガスは、前炭素化操作の雰囲気ガスと同様である。
<表面処理>
得られた炭素繊維は、さらに、表面処理されることにより、複合材料のマトリックスとの接着性の改善が図られる。表面処理方法としては、気相、液相処理を用いることができ、生産性、バラつき防止等の観点から電解処理が好ましい。電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の酸水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液あるいはこれらの塩の水溶液が挙げられる。中でも、アンモニウムイオンを含む水溶液が好ましく、例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウムあるいはこれらの混合物の水溶液が挙げられる。
電解処理の電気量は、炭素繊維に応じて決定でき、例えば、炭化度の高い炭素繊維ほど、高い通電電気量とする。
得られた炭素繊維は、必要に応じて、さらにサイジング処理がなされる。サイジング処理に用いるサイジング剤は、マトリックスの種類に応じて決定でき、マトリックスとの相溶性のよいものが好ましい。
炭素繊維は、これらの表面処理を施すことにより、炭素繊維とマトリックスとの接着が適正なレベルとなり、縦方向及び横方向にバランスのとれた機械特性が発現する。
上述したように、本発明の前駆体繊維は、アクリロニトリル重合体溶液を鉄イオン交換体で処理することで、前駆体繊維の鉄内在量を2.0×10−6g/g以下にできる。加えて、油剤分散液の原料を鉄イオン交換体で処理することで、前駆体繊維の鉄付着量を1.0×10−6g/g以下にできる。油剤分散液を転相温度法により調製することで、前駆体繊維の鉄付着量をさらに高い精度で低減できる。このように、本発明の前駆体繊維は、その鉄内在量と、その鉄付着量とが一定の数値以下に制御されている。このため、本発明の前駆体繊維を炭化処理して得られた炭素繊維は、高い強度と高い弾性率を発現できる。
前駆体繊維の鉄付着量を低減することで、炭素繊維の強度、弾性率が向上する理由は明らかではないが、以下のように推測できる。耐炎化処理は、200〜300℃で前駆体繊維を加熱するが、この際、鉄元素は酸素存在雰囲気下で200〜300℃に加熱されることで、耐炎化反応を阻害するものと考えられる。そして、耐炎化反応が阻害された結果、炭素繊維の強度、弾性率を低下させることとなる。このことから、前駆体繊維の鉄付着量を低減することで、炭素繊維の強度と弾性率を向上できると推測する。
上述の実施形態では、油剤原料浄化工程で得られた油剤分散液の原料を用いて油剤分散液を調製しているが、例えば、油剤分散液を調製した後に該油剤分散液を鉄イオン交換体で処理してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(測定方法)
前駆体繊維の鉄総量、前駆体繊維の鉄付着量、前駆体繊維の鉄内在量、アクリロニトリル重合体溶液(紡糸原液)中の鉄元素量、油剤分散液及びその原料中に含まれる鉄元素量、炭素繊維のストランド強度、弾性率の評価は以下の方法により測定した。
[鉄総量]
前駆体繊維100gを白金製ルツボに秤量し、該白金製ルツボをホットプレートに載置し加熱した。加熱は、煙の発生がなくなるまで行った(予備加熱処理)。次いで、白金製ルツボをマッフル炉に入れ、600℃で前駆体繊維を灰化した(灰化処理)。灰化後、白金製ルツボをホットプレートに載置し加熱した。加熱しながら、白金製ルツボに濃塩酸:純水(質量比)=1:1の塩酸水溶液2mLを加えて灰化物を溶解し、さらに加熱して灰化物の溶解液を乾固寸前まで濃縮した(溶解・濃縮処理)。この濃縮物を0.1mol/L塩酸水溶液で溶解し、10mLにメスアップしたものを測定用試料とした(試料化処理)。この測定用試料を用い、ICP発光分析法により鉄総量を測定した。ICP発光分析は、ICP発光分析装置(サーモエレクトロン社製、IRIS−AP advantage)を用い測定した。
[鉄付着量]
前駆体繊維100gを105℃で1時間乾燥させた後、90℃のメチルエチルケトン(MEK)に8時間浸漬して、付着している油剤組成物をMEK溶媒に抽出した。MEK抽出物をエバポレーターで濃縮した。この濃縮物を白金製ルツボに移した後、鉄総量と同様に、予備加熱処理、灰化処理、溶解・濃縮処理、試料化処理を行い、測定用試料を得た。得られた測定用試料を鉄総量と同様に、ICP発光分析法により鉄元素量を測定した。
続いて油剤組成物抽出後の前駆体繊維を濃塩酸:純水(質量比)=1:1の塩酸水溶液中に入れ、80℃で一晩加熱攪拌した後、試料を濾過して濾液を得た。この濾液を白金製ルツボに入れた後、鉄総量と同様に、予備加熱処理、灰化処理、溶解・濃縮処理、試料化処理を行い、測定用試料を得た。得られた測定用試料を鉄総量と同様に、ICP発光分析により鉄元素量を測定した。
それぞれの鉄元素量の測定値の和を鉄付着量とした。
[鉄内在量]
鉄総量から鉄付着量を減じた値を鉄内在量とした。
[紡糸原液中の鉄元素量]
紡糸原液100gを白金製ルツボに入れた後、鉄総量と同様に、予備加熱処理、灰化処理、溶解・濃縮処理、試料化処理を行い、測定用試料を得た。得られた測定用試料を鉄総量と同様に、ICP発光分析法により、鉄元素量を測定した。なお、表中、紡糸原液中の鉄元素量は、対重合体換算(アクリロニトリル重合体1gあたり)として記載した。
[油剤分散液及びその原料中に含まれる鉄元素量]
試料100gを白金製ルツボに入れた後、鉄総量と同様に、予備加熱処理、灰化処理、溶解・濃縮処理、試料化処理を行い、測定用試料を得た。得られた測定用試料を鉄総量と同様に、ICP発光分析法により、鉄元素量を測定した。
[炭素繊維ストランド強度、弾性率]
炭素繊維ストランド強度及び弾性率は、JIS−R−7601に準じたエポキシ樹脂含浸炭素繊維ストランド法に準じて測定した。なお、測定回数は10回とし、その平均値を評価の対象とした。
(実施例1)
[アクリロニトリル重合体の製造]
アクリロニトリル重合体は、オーバーフロー式の重合容器に以下のように各原料を供給すると共に重合容器内の温度を50℃に維持しながら攪拌し、オーバーフローした重合スラリーを洗浄、乾燥して製造した。重合容器内には、常に脱イオン水74.75質量%、モノマー25質量%(組成比・・・アクリロニトリル(AN):アクリルアミド(AAm):メタクリル酸(MAA)(質量比)=96:3:1)、過硫酸アンモニウム0.1質量%、亜硫酸水素アンモニウム0.15質量%、硫酸第一鉄7水和物2質量ppmとなるように各原料を連続して供給すると共に、pH3.0となるように硫酸を適量添加した。得られたアクリロニトリル重合体の組成は、AN:AAm:MAA(質量比)=96.5:2.7:0.8であった。
[アクリロニトリル重合体溶液(紡糸原液)の製造]
上記で得たアクリロニトリル重合体21.2質量%、ジメチルホルムアミド78.8質量%を混合し、加熱溶解して溶解液を得た。得られた溶解液に、アクリロニトリル重合体100質量部に対して強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、製品名:PK218H型、官能基:スルホン酸基)10質量部を添加し、80℃、30分間、PTFEコーティングした容器内で攪拌した。攪拌後、目開き5μmのPTFE製フィルターで濾過してイオン交換樹脂を取り除き、紡糸原液を得た。紡糸原液に含まれる鉄元素量を表1に示す。
[油剤分散液の製造]
PTFE製容器内にてアミノ変性シリコーン(信越化学工業株式会社製、製品名:KF−8002)100質量部に、乳化剤(花王株式会社製、製品名:エマルゲン108)40質量部を混合した後、水25質量部を添加しながらPTFEコーティングしたホモミキサーで攪拌しゲルを得た。このゲルをホモミキサーで攪拌しながらアミノ変性シリコーンを乳化剤に対して9当量になるように添加した。次いで、水:アミノ変性シリコーン:乳化剤(質量比)=98.65:1.2:0.15になるようにホモミキサーで攪拌しながら水を加え、油剤分散液を得た。また、アミノ変性シリコーン、乳化剤、水は、使用前に、各原料100質量部に対し強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学株式会社製、製品名:PK218H型、官能基:スルホン酸基)10質量部を添加し、60℃、30分間、PTFEコーティングした容器内で攪拌した。攪拌後、目開き5μmのPTFE製フィルターで濾過してイオン交換樹脂を除いたものを用いた。油剤分散液及びその原料の鉄元素量を表1に示す。
[前駆体繊維の製造]
上記紡糸原液を濃度67質量%、温度38℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に、孔径75μm、孔数6000の紡糸ノズルより吐出し凝固糸を得た。得られた凝固糸を空気中で1.1倍に延伸し、続いて熱水中で3.0倍に延伸しながら洗浄、脱溶剤した。脱溶剤した凝固糸を上記油剤分散液中に浸漬し、140℃の加熱ローラーで緻密乾燥化した。次いで、圧力0.22MPaの蒸気中で3.0倍に延伸し、捲取速度100m/分にて単繊度1.2dtexの円形断面を有する前駆体繊維を製造した。製造した前駆体繊維の鉄総量、鉄内在量、鉄付着量を表1に示す。
[炭素繊維の製造]
前駆体繊維を、220〜260℃の温度勾配を有する耐炎化炉に通し(耐炎化処理)、窒素雰囲気中で400〜1300℃の温度勾配を有する炭素化炉で焼成した(炭素化処理)。その後、電解酸化処理、サイジング処理を施し、炭素繊維とした。得られた炭素繊維の炭素繊維ストランド強度、弾性率の評価結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.9GPa、弾性率は290GPaとなった。
(実施例2)
紡糸原液製造時にイオン交換樹脂で処理しなかった以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.8GPa、弾性率は270GPaとなった。
(実施例3)
紡糸直前の紡糸原液中の鉄元素量が0.35×10−6g/g(対重合体換算)となるように硝酸鉄(III)5.0質量%のジメチルアセトアミド溶液を添加した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.8GPa、弾性率は280GPaとなった。
(実施例4)
紡糸直前の紡糸原液中の鉄元素量が2.0×10−6g/g(対重合体換算)となるように硝酸鉄(III)5.0質量%のジメチルアセトアミド溶液を添加した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.7MPa、弾性率は280GPaとなった。
(実施例5)
油剤分散液中の鉄元素量が0.5×10−6g/gとなるように硝酸鉄(III)を油剤分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.7GPa、弾性率は270GPaとなった。
(比較例1)
紡糸原液及び油剤分散液を下記条件で製造した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。紡糸原液は、イオン交換樹脂で処理せずに製造した。油剤分散液は、アミノ変性シリコーン(信越化学工業株式会社製、製品名:KF−8002)90質量部に対し、乳化剤(花王株式会社製、製品名:エマルゲン108)を10質量部混合したものをゴーリンミキサー(エスエムテー株式会社製、製品名:圧力式ホモジナイザーゴーリンタイプ)で乳化した後、水を加えて製造した。得られた油剤分散液の組成は、水:アミノ変性シリコーン:乳化剤(質量比)=98.65:1.2:0.15であった。なお、油剤分散液の製造にあたっては、アミノ変性シリコーン、乳化剤、水のいずれもイオン交換樹脂で処理しなかった。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.3MPa、弾性率は250GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄付着量が多いため、炭素繊維のストランド強度は0.6GPa、弾性率は40GPa低下した。
(比較例2)
紡糸原液製造時にイオン交換樹脂で処理せず、油剤分散液中の鉄元素量が2.0×10−6g/gになるように硝酸鉄(III)を油剤分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は4.9GPa、弾性率は230GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄付着量が多いため、炭素繊維のストランド強度は1.0GPa、弾性率は60GPa低下した。
(比較例3)
油剤分散液を比較例1と同様にして製造した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は4.8GPa、弾性率は230GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄付着量が多いため、炭素繊維のストランド強度は1.1GPa、弾性率は60GPa低下した。
(比較例4)
油剤分散液中の鉄元素量が2.0×10−6g/gとなるように硝酸鉄(III)を油剤分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.0GPa、弾性率は240GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄付着量が多いため、炭素繊維のストランド強度は0.9GPa、弾性率は50GPa低下した。
(比較例5)
紡糸直前の紡糸原液中の鉄元素量が0.35×10−6g/g(対重合体換算)となるように硝酸鉄(III)5.0質量%のジメチルアセトアミド溶液を紡糸原液に添加し、油剤分散液中の鉄元素量が2.0×10−6g/gとなるように硝酸鉄(III)を油剤分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.0GPa、弾性率は240GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄付着量が多いため、炭素繊維のストランド強度は0.9GPa、弾性率は50GPa低下した。
(比較例6)
紡糸直前の紡糸原液中の鉄元素量が0.35×10−6g/g(対重合体換算)となるように硝酸鉄(III)5.0質量%のジメチルアセトアミド溶液を添加し、油剤分散液を比較例1と同様にして製造した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は4.9GPa、弾性率は250GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄付着量が多いため、炭素繊維のストランド強度は1.0GPa、弾性率は40GPa低下した。
(比較例7)
紡糸直前の紡糸原液中の鉄元素量が5.0×10−6g/g(対重合体換算)となるように硝酸鉄(III)5.0質量%のジメチルアセトアミド溶液を添加した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.2GPa、弾性率は240GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄内在量が多いため、炭素繊維のストランド強度は0.7GPa、弾性率は50GPa低下した。
(比較例8)
油剤分散液中の鉄元素量が1.0×10−6g/gとなるように硝酸鉄(III)を油剤分散液に添加した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.1GPa、弾性率は230GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄付着量が多いため、炭素繊維のストランド強度は0.8GPa、弾性率は60GPa低下した。
(比較例9)
紡糸原液の製造及び油剤分散液の製造にあたって、紡糸原液、アミノ変性シリコーン、乳化剤、水を実施例1と同様にイオン交換樹脂で処理した以外は、比較例1と同様にして炭素繊維を得た。各測定結果を表1に示す。
得られた炭素繊維のストランド強度は5.0GPa、弾性率は250GPaとなった。
実施例1と比較すると前駆体繊維の鉄付着量が多いため、炭素繊維のストランド強度は0.9GPa、弾性率は40GPa低下した。
Figure 2011102454
表1から明らかなように、前駆体繊維の鉄内在量を2.0×10−6g/g以下、鉄付着量を1.0×10−6g/g以下とした実施例1〜5は、ストランド強度、弾性率共に、比較例1〜9に比べて向上していた。特に、前駆体繊維の鉄付着量を少なくすることで、ストランド強度、弾性率を向上できることが判った。このことは、実施例4の前駆体繊維(鉄総量2.1×10−6g/g、鉄付着量0.2×10−6g/g)と比較例8の前駆体繊維(鉄総量2.6×10−6g/g、鉄付着量2.5×10−6g/g)とが近似した鉄総量であるにもかかわらず、鉄付着量の少ない実施例4の方が炭素繊維のストランド強度、弾性率が高くなっていることから、明らかである。

Claims (5)

  1. 鉄内在量が2.0×10−6g/g以下、かつ鉄付着量が1.0×10−6g/g以下である、炭素繊維前駆体アクリル繊維。
  2. 鉄イオンとイオン交換能を有する物質にアクリロニトリル重合体溶液を接触させる原料浄化工程と、
    前記原料浄化工程で処理したアクリロニトリル重合体溶液を紡糸する紡糸工程と、
    鉄イオンとイオン交換能を有する物質に油剤組成物及び/又は水を接触させる油剤原料浄化工程と、
    前記油剤組成物及び前記水を混合し油剤分散液を調製する分散液調製工程と、
    前記紡糸工程で得られた繊維に、前記油剤分散液を含浸させ前記油剤組成物を付着させる工程とを有する、請求項1に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維の製造方法。
  3. 前記油剤分散液の鉄元素量が、0.5×10−6g/g以下である、請求項2に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維の製造方法。
  4. 前記分散液調製工程は、転相温度法により乳化して油剤分散液を調製する、請求項2又は3に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維の製造方法。
  5. 請求項1に記載の炭素繊維前駆体アクリル繊維を焼成してなる炭素繊維。
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