JP2020153051A - 炭素繊維束およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄分量が低いポリアクリロニトリル系重合体溶液を用いることで品位に優れた炭素繊維束を製造する。【解決手段】ポリアクリロニトリル系重合体溶液を製糸してポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を得る製糸工程と、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200〜300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理して耐炎化繊維束を得る耐炎化工程と、耐炎化繊維束を500〜1200℃の不活性雰囲気下で予備炭素化処理して予備炭素化繊維束を得る予備炭素化工程と、予備炭素化繊維束を1200〜3000℃の不活性雰囲気下で炭素化処理して炭素繊維束を得る炭素化工程を含む炭素繊維束の製造方法において、ポリアクリロニトリル系重合体溶液1質量部に対してポリアクリロニトリル系重合体溶液中の溶媒と同じ種類の溶媒9質量部を添加して希釈した後、17℃で攪拌しながら1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを滴下していき、ポリアクリロニトリル系重合体溶液中に含まれるポリアクリロニトリル系重合体の全量のうち0.5質量%を析出させた際、得られた析出物における鉄分量が0.01〜1.8μg/gであるポリアクリロニトリル系重合体溶液を用いる炭素繊維束の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、鉄分の含有量が少ないポリアクリロニトリル系重合体溶液用いた炭素繊維束およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、破断起点となる欠陥を一定の範囲に制御した、高品位かつ高い引張強度を発現する炭素繊維束に関するものである。
炭素繊維は、高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用強化繊維として、スポーツ・航空・宇宙・自動車・土木・建築・圧力容器・風車などの幅広い用途に展開されている。炭素繊維の中で最も広く利用されているポリアクリロニトリル系炭素繊維束は、ポリアクリロニトリル系重合体を含む紡糸溶液を湿式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体繊維束を得て、これを200〜300℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維束に転換し、これを最高温度500〜1200℃の不活性雰囲気下で加熱して予備炭素化し、さらに最高温度1200〜3000℃の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に生産される。
炭素繊維は脆性材料であり、その重要特性である引張強度(以下、単に引張強度と述べるものは樹脂含浸ストランドの引張強度のことを示す)は欠陥の影響を受ける。そのため、欠陥をなるべく含まない炭素繊維とすることが重要であり、炭素繊維の欠陥の存在状態を特定の範囲になるよう制御することで引張強度の向上が図られている。例えば、特許文献1では、試長50mmで単繊維引張試験を実施し、回収した破断面を走査電子顕微鏡により観察し、その際に観察される多種の欠陥のうち、内部ボイド起因の破断が10%以下、かつ付着物や欠け傷などの表面欠陥起因の破断が70%以下であれば引張強度の向上に有利であることを開示している。また、特許文献2および3では、「マクロ欠陥」に起因する破壊の割合が50%以下であることが引張強度の向上に有利であると述べている。これらの特許文献では「マクロ欠陥」とは繊維の試長を50mmとして観察される、傷、付着物、凹み、縦筋、内部ボイドといった形状が明瞭な欠陥であって大きさが100nm以上のものと定義している。また、特許文献4では、同じく試長を50mmとして評価した際に、付着物に起因する欠陥を15%以下とすることを開示している。特許文献5および6では、引張強度に対してより良好な相関を示す試長10mmでの単繊維引張試験で観察される欠陥を低減の対象としている。特許文献5では大きさ50nm以上の欠陥を35%以下とすることを規定しており、特許文献6ではさらにレーザー顕微鏡で計測される深さ0.1μm以上の凹み欠陥が単繊維10mmあたり1000個以下とすることを開示している。
欠陥を低減し、上記の欠陥存在状態とするために、特許文献1では、ステンレス繊維フィルターとガラスフィルターを用いて紡糸溶液を2段濾過し、それから得られた炭素繊維に特殊な電解表面処理を行うことを開示している。特許文献2では、特定の共重合成分と油剤を用いることで、単繊維直径が太くても高引張強度な炭素繊維が得られることを開示している。特許文献3では、紡糸溶液の3段濾過、製糸工程で用いる浴液や加圧水蒸気の濾過、ならびに耐炎化および前炭化炉での粉塵除去に加えて炭素繊維の単繊維直径を小さくすることで欠陥が存在する繊維表面積そのものを低減することを提案している。特許文献4ならびに5では、所定の濾過精度および所定の濾過厚みないし所定の目付けを有するフィルターを用いて、濾過速度と濾過精度および濾過厚みないし目付けとの間で所定の関係式を満足する条件で濾過することで、ゲル状物などの異物の除去に加えてフィルター濾材の目詰まりを抑制することを提案している。特許文献6では、特許文献5で規定した濾過条件に加えて耐炎化炉のクリーン化を行うことを提案している
また、欠陥の原因となる異物としては、原料由来の不純物やポリアクリロニトリル系重合体に由来するゲル状物、重合から製糸工程にかけて混入する鉄分や粉塵等の異物が知られている。このうち、鉄分について、特許文献7〜10ではイオン交換樹脂を用いて紡糸溶液中、あるいは油剤中の鉄分を捕捉することで炭素繊維束の引張強度を向上させる手法が提案されている。特許文献7〜9では紡糸溶液中にイオン交換樹脂を分散させる、あるいはイオン交換樹脂を充填したディスクを複数枚組み込んだ配管に紡糸溶液を送液することで、炭素繊維束中の鉄分量が0.2〜2.5μg/gまで低減されている。特許文献10では紡糸溶液中だけでなく油剤分散液中にもイオン交換樹脂を分散させることで、紡糸溶液中、あるいは油剤分散液中の鉄分の含有量を0.01μg/g未満まで低減し、最も良好に鉄分を捕捉した場合には炭素繊維前駆体繊維束における鉄分の含有量が0.05μg/gまで抑えられている。また、工程中での鉄分による炭素繊維束の引張強度低下を未然に防ぐため、特許文献11では炭素繊維前駆体繊維束に熱処理を施した際の色差、特許文献12では炭素繊維前駆体繊維束の発熱量をそれぞれ基準とした品質管理手法を提案している。
特公平8−6210号公報 国際公開第97/45576号 特開平11−241230号公報 特開2017−128838号公報 国際公開第2018/003836号 特開2019−112730号公報 特許3033923号公報 特許3073580号公報 特許3104049号公報 特許5424824号公報 特開2012−211410号公報 特開2012−211814号公報
しかしながら、背景技術には次のような課題がある。
特許文献1〜3では、試長を50mmとして単繊維引張試験を行った際に回収された破断面における欠陥の存在状態を特定範囲にすることが引張強度の向上に有効であると開示している。しかしながら、試長50mmにおける欠陥状態を特定範囲に制御するだけでは、引張強度の向上は満足するレベルまでにはならないという問題があった。
また、特許文献1では電解処理によって炭素繊維表面の欠陥を除去しているものの、実施例でも表面欠陥は35%あり、ポリアクリロニトリル系重合体溶液の異物を除去する特殊な処理を行っていないために異物が表面に付着した欠陥は除去し切れていなかった。また、単繊維直径が小さいために単繊維直径を大きくしようとした場合には大きな欠陥の比率がより多くなる問題があった。特許文献2では、単繊維直径は大きいものの、実施例における100nm以上の欠陥の比率は40%以上存在しており、ポリアクリロニトリル系重合体溶液の異物を除去する特殊な処理を行っていないために異物が表面に付着した欠陥は除去し切れていなかった。特許文献3では、単繊維直径を小さくすることで欠陥の存在比率を減らして引張強度を高めているため、単繊維直径のみを大きくするように変更した場合には欠陥の存在比率が高まっていくことが示されており、欠陥の存在比率が満足するレベルにはなかった。また、特許文献4のようにフィルターによるゲル状異物の除去のみでは、鉄分を低減する手段は記載されておらず、欠陥の低減効果は十分ではなかった。特許文献5ではポリアクリロニトリル系重合体溶液中の鉄分を低減する手段は記載されておらず、本発明者らの追試では表面に異物が付着した欠陥の比率は満足するレベルではなかった。特許文献6では耐炎化炉のクリーン化によって、単繊維直径を大きくした際にも耐炎化炉起因の欠陥を低減することに成功している一方で、フィルターでは除去しきれないポリアクリロニトリル系重合体溶液中の異物に起因した欠陥の低減が課題である。
イオン交換樹脂を用いる特許文献7〜10では、イオン交換樹脂を紡糸溶液に分散させる場合には、紡糸溶液を80℃で30分間イオン交換樹脂と混合撹拌した後、分散したイオン交換樹脂をろ過によって除去する必要がある。かかるバッチ処理とろ過により生産性が低下するほか、80℃での熱処理によって紡糸溶液が変性するおそれがある。また、特許文献7〜9に記載されているイオン交換樹脂を充填したディスクに紡糸溶液を送液する場合には、圧力損失を高めすぎずに処理量を上げるにはディスクの断面積を大型化するか、ディスクを組み込んだ配管を並列に配置する必要があり、設備の大型化に繋がるという問題がある。また、特許文献10では紡糸溶液中の鉄分量が0.01μg/g未満に到達しているが、これは鉄分量の評価手法であるICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)における検出下限レベルであり、より少ない鉄分量での差を検知することができず、高いレベルでの品質管理を行うことができない。
特許文献11および12では鉄分量が0.5μg/g未満の炭素繊維前駆体繊維束から得られる炭素繊維束の引張強度を基準として、炭素繊維束の引張強度の低下率が0.5〜20%となるときの鉄分の含有量を規定している。しかしながら、特許文献11および12は、品質管理の基準を示したのみであり、鉄分を低減する手段は記載されていない。そのため、レドックス系の開始剤を用いた一般的な製法での鉄分量よりも多い場合に検知することは可能であるが、必ずしも鉄分量を低位に制御することには結びつかない。
以上まとめると、背景技術には紡糸溶液中の鉄分量を低減することの必要性およびイオン交換による低減手段や簡便な品質管理方法に関する記載はあるが、紡糸溶液中の鉄分量が検出下限レベルよりも小さい場合の極微量の鉄分の影響や評価および管理の手法に関しては記載がない。品位に影響する毛羽は弱糸の破断であり、低頻度の欠陥がその要因となっている。このような極めて高い品位レベルを満足するための通常は検出下限以下の鉄分に対する評価手法は確立されていない。そのため、炭素繊維束の単繊維引張試験で表れる特定の欠陥の比率を低位に制御することで、単繊維直径が大きいときでも引張強度を高いレベルにすることができていなかった。
上記の課題を解決するために、本発明の炭素繊維束の製造方法は次に示す通りである。すなわち、ポリアクリロニトリル系重合体溶液を製糸してポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を得る製糸工程と、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200〜300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理して耐炎化繊維束を得る耐炎化工程と、耐炎化繊維束を500〜1200℃の不活性雰囲気下で予備炭素化処理して予備炭素化繊維束を得る予備炭素化工程と、予備炭素化繊維束を1200〜3000℃の不活性雰囲気下で炭素化処理して炭素繊維束を得る炭素化工程を含む炭素繊維束の製造方法において、ポリアクリロニトリル系重合体溶液1質量部に対してポリアクリロニトリル系重合体溶液中の溶媒と同じ種類の溶媒9質量部を添加して希釈した後、17℃で攪拌しながら1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを滴下していき、ポリアクリロニトリル系重合体溶液中に含まれるポリアクリロニトリル系重合体の全量のうち0.5質量%を析出させた際、得られた析出物における鉄分量が0.01〜1.8μg/gであるポリアクリロニトリル系重合体溶液を用いる炭素繊維束の製造方法である。
また、本発明の炭素繊維束は、試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した際に、回収した破断面に大きさ50nm以上の欠陥が存在する確率が35%以下であって、回収した一対の破断面の一方に異物が存在しつつもう一方の破断面に三角形の溝を形成する欠陥が存在する確率が10%以下であって、単繊維直径dが6.5μm以上であることを特徴とする炭素繊維束である。
本発明の炭素繊維束の製造方法は、ポリアクリロニトリル系重合体溶液中の鉄分量が極微量に精度良く制御されているため、単繊維直径が大きくても強度および品位に優れた炭素繊維束を製造することができる。
図1は炭素繊維の破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。一点に収束する放射状の条痕が確認される。 図2は図1の破断起点近傍の拡大像である。付着物による欠陥が確認される。 図3は別の炭素繊維の破断面の破断起点近傍の拡大像である。凹みによる欠陥が確認される。 図4は別の炭素繊維破断面の破断起点近傍の拡大像である。50nm以上の目立った形態的特徴は確認されない。 図5は別の炭素繊維破断面の破断起点近傍の拡大像である。異物による欠陥が確認される。 図6は図5の破断面と対となる破断面の破断起点近傍の拡大像である。側面に三角形の溝が確認される。 図7は炭素繊維の単繊維直径と、炭素繊維破断面の破断起点近傍に大きさ100nm以上の欠陥が存在する確率との関係を示す。
はじめに、本発明におけるポリアクリロニトリル系重合体溶液について説明する。
本発明においてポリアクリロニトリル系重合体とは、アクリロニトリルが重合体ユニットの主構成成分となっているものを言う。主構成成分とは、重合体の90〜100質量%を占めることをいう。前記したポリアクリロニトリル系重合体を、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、硝酸、塩化亜鉛水溶液、ロダンソーダ水溶液などポリアクリロニトリル系重合体が可溶な溶媒に溶解し、ポリアクリロニトリル系重合体溶液を得る。なお、最終的なポリアクリロニトリル系重合体溶液における溶媒と同じ溶媒を用いて溶液重合を行うことにより、溶解工程を省略することもできる。
本発明のポリアクリロニトリル系重合体溶液は、溶液そのものを測定しただけでは含まれる鉄分量が検出下限レベルであり十分な測定精度を得られない場合であっても、貧溶媒を添加することによってポリアクリロニトリル系重合体の一部を析出させ、かかる析出物が含む鉄分量を検出することにより、極微量の鉄分量が精度良く制御されていることを特徴とする。なお、本発明において鉄分とは、対象物に含まれる鉄原子のことであり、固体として存在しているか、対象物に溶解しているかによらないし、イオン価数にもよらない。本発明のポリアクリロニトリル系重合体溶液は、該溶液中に含まれるポリアクリロニトリル系重合体の全量のうち0.5質量%を析出させて得た析出物における鉄分量が0.01〜1.8μg/gであり、好ましくは0.01〜1.0μg/gである。本発明における析出物とは、ポリアクリロニトリル系重合体溶液1質量部に対して、ポリアクリロニトリル系重合体溶液中の溶媒と同じ種類の溶媒9質量部を添加して希釈した後、17℃で攪拌しながら1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)を滴下していき、HFIPを滴下した後の溶液を、2500r.p.m.の回転速度で60分間遠心分離を行ったあとに、溶液の液面付近に浮上している固形状の浮遊物のことを指す。ポリアクリロニトリル系重合体の全量A(g)に占める前記析出物の質量分率(析出率)B(%)は、回収した上記の浮遊物の絶乾質量C(g)から式(1)に従って算出する。
B=C/A×100(%)・・・(1)
なお、本発明者らが検討したところ、ポリアクリロニトリル系重合体溶液(濃度20質量%)をそのまま測定した場合の鉄分量が0.039μg/gであったときに、かかるポリアクリロニトリル系重合体溶液の全量のうち0.5質量%を上記方法により析出させて得た析出物における鉄分量は3.5μg/gという関係にあった。この理由は必ずしも明確になったわけではないが、ポリアクリロニトリル系重合体溶液に含まれる鉄分がポリアクリロニトリル系重合体とともに析出しやすいことを示している。析出物に含まれる鉄分量が1.8μg/g以下であれば、その後の製糸工程において炭素繊維前駆体繊維束中の単繊維切れ(以下、毛羽と呼ぶ)および単繊維切れの集合体(以下、毛玉と呼ぶ)の発生による品位低下や、ローラーへの繊維束の巻き付によるプロセス安定性の低下を抑制することができる。また、析出物に含まれる鉄分量が1.0μg/g以下であれば、炭素繊維束の品位を特に高めやすい。析出物に含まれる鉄分量は少ないほど好ましいが、生産性の低下や設備の大型化を伴わずに0.01μg/g未満まで低減することは困難であることが多い。そのため、析出物に含まれる鉄分量が0.01μg/g以上であれば生産性と鉄分低減による効果を両立しやすい。なお、本発明において析出物に含まれる鉄分量は、ICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析計)により評価する。詳しい評価手法は後述する。
なお、上記説明における、ポリアクリロニトリル系重合体溶液中の鉄分量は、次の方法で測定することができる。
ポリアクリロニトリル系重合体溶液1gを白金るつぼに秤量し、バーナーおよび550℃に設定した電気炉で試料が灰化するまで加熱する。白金るつぼに68質量%の濃度の硝酸を添加し、180℃のホットプレートで加熱分解する。硝酸は加熱分解の進行に応じて適宜添加し、分解溶液が透明になるまで加熱を続ける。加熱分解した試料に硝酸0.3MLと超純水を加えて3mLとなるように溶解する。得られた容液中の鉄分の定量分析をICP−MS分析により行う。ICP−MS分析装置にはAgilent8800(Agilent Technologies製)を用いる。
ポリアクリロニトリル系重合体溶液への鉄分の混入源としては複数考えられるが、例えば、原料に含まれている鉄分や、重合設備における反応容器や攪拌装置、配管などの表面から溶出してくる鉄分などが代表的である。
析出物に含まれる鉄分量を上記の値以下に制御するためには、原料に不純物として含まれる鉄分を除去したりすることや、重合設備における反応容器や撹拌装置、配管の表面からの鉄分の溶出を抑制したりすれば良い。原料に不純物として含まれる鉄分を除去するには、鉄分が固体として存在している場合にはマグネットフィルターを用いたり、イオン状態の鉄分を対象とする場合にはキレート剤やイオン交換樹脂を用いたりして、あらかじめ原料を処理すれば良い。また、レドックス系の重合開始剤として用いられることのある硫酸第一鉄七水和物などを用いないことも有効な対策の一つである。具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの鉄分を成分として含まない原料を用いることが好ましい。
重合設備における反応容器や撹拌装置、配管の表面からの鉄の溶出を低減する手段としては、例えば重合設備における反応容器や撹拌装置、配管の表面をガラスやテフロンでコートしたり、ステンレス鋼表面の不動態層や表面の仕上げの状態を良好に保ったりすることで、ポリアクリロニトリル系重合体溶液に鉄分が溶出することを防ぐ保護層を形成することが好ましい。このうちステンレス鋼は価格や耐久性の観点から好ましい。ステンレス鋼の表面仕上げについては、重合設備における反応容器や撹拌装置、配管の表面からの鉄分の溶出を防ぐために鏡面仕上げとすることが好ましい。ステンレス鋼の表面の傷などで不動態層が一部剥がれている場合には孔食による鉄分の溶出を防ぐためにステンレス鋼の表面を洗浄した後に公知の方法で不動態層を再度形成しておくことが好ましい。
上述の通り鉄分の低減手段として種々の方法があるが、その効果を比較するにあたって従来の手法では鉄分量が検出下限以下となり優劣をつけられなかった場合や、あるいは検出できても検出下限と同じオーダーであったため測定誤差の影響が大きく効果を判断するために複数回の測定が必要であった場合においても、析出物中の鉄分量を評価することで各低減手段による効果をより定量的に比較し、効率的に鉄分を低減することが可能となった。
本発明では、上述のようにして得たポリアクリロニトリル系重合体溶液を湿式紡糸法、または乾湿式紡糸法により製糸することにより、炭素繊維前駆体繊維束を製造する。製糸に先だって、本発明のポリアクリロニトリル系溶液をフィルター装置に通し、重合体原料および各工程において混入した異物を除去することもプロセス安定性を高める観点から好ましい。ポリアクリロニトリル系重合体溶液を重合して製糸するまでの温度・時間については、低温・短時間であるほど溶出する鉄分量が低減するため好ましい。
本発明において、凝固浴には、ポリアクリロニトリル系重合体溶液の溶媒として用いたDMSO、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、硝酸、塩化亜鉛水溶液、ロダンソーダ水溶液などの溶媒と、凝固促進成分を含ませることが好ましい。凝固促進成分としては前記のポリアクリロニトリル系重合体を溶解せず、かつポリアクリロニトリル系重合体溶液に用いた溶媒と相溶性があるものが好ましく、具体的には、水を使用することが好ましい。単繊維の横断面が真円状で、かつ繊維側面が平滑となる範囲で有機溶媒の濃度を高くし、凝固浴の温度を低く設定することが好ましい。例えば、溶媒にジメチルスルホキシドを用いた場合には、ジメチルスルホキシド水溶液の濃度を5〜30質量%、あるいは70〜80質量%とし、凝固浴温度を−10〜30℃とすることが望ましい。
本発明における製糸工程は、ポリアクリロニトリル系重合体溶液を凝固浴中に導入して凝固させ、得られた繊維束を、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を通過させることにより、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を得る一連の工程を指す。また、上記の工程に乾熱延伸工程や蒸気延伸工程を加えても良い。凝固のあとには、水洗工程を省略して直接浴中延伸を行っても良いし、溶媒を水洗工程により除去した後に浴中延伸を行っても良い。浴中延伸は、通常、30〜98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で行うことが好ましい。なお、各工程の順序を適宜入れ替えることも可能である。
本発明においては、上記のようにして得られたポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を耐炎化工程、予備炭素化工程、および炭素化工程に供することにより、炭素繊維束を得ることができる。本発明において、耐炎化工程とは、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を、酸素を含む雰囲気で200〜300℃で熱処理することを言う。耐炎化工程で得られた耐炎化繊維束を予備炭素化する予備炭素化工程においては、得られた耐炎化繊維束を、不活性雰囲気中、最高温度500〜1200℃において、比重が1.5〜1.8になるまで熱処理することが好ましい。次いで、予備炭素化された予備炭素化繊維束を不活性雰囲気中、最高温度1200〜3000℃において炭素化処理することで炭素繊維束が得られる。
以上のようにして得られた炭素繊維束は、酸化処理が施されることが好ましい。酸化処理によって、炭素繊維の表面に酸素含有官能基が導入される。本発明の酸化処理については、気相酸化、液相酸化および液相電解酸化が用いられ、液相電解酸化が特に好ましく用いられる。液相電解酸化の方法は公知の方法で行えばよい。
かかる電解処理の後、得られた炭素繊維束に集束性を付与するため、サイジング処理をすることもできる。サイジング剤には、複合材料に使用されるマトリックス樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂との相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
このようにして得られた本発明の炭素繊維束は、試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した際に、回収した破断面に大きさ50nm以上の欠陥が存在する確率が35%以下であり、好ましくは30%以下であり、より好ましくは25%以下である。炭素繊維の引張破壊は欠陥を起点とすることが知られている。炭素繊維の破断起点となる欠陥としては、炭素繊維中のボイド、炭素繊維表面に存在する傷、凹みおよび付着物、ならびに単繊維同士が熱処理過程に接着して剥がれた後に残る接着痕などがある。本発明ではこれら全てを特に区別することなく、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって観察可能なこれらの形態的特徴をまとめて「破断起点の欠陥」と総称する。本発明者らが検討した結果、試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した後に、無作為に選択した単繊維の破断面の対の総数Nと、対となる破断面の少なくともいずれか一方に大きさ50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)を35%以下とすれば、炭素繊維束の引張強度が大きく高まることを見いだした。ここで重要なことは試長を10mmとすることである。より長い試長、例えば50mmにおいて、上記と同様に任意の大きさ以上の欠陥の存在する確率を調べても、ストランド引張強度とは必ずしも相関しないことが、本発明者らの検討の結果として明らかになった。試長を10mmとすることが有効な理由としては、引張強度を支配する試長が10mmよりも短いためであると考えられる。一般的に炭素繊維は原因の異なる様々な欠陥を繊維に含む。したがって、ある試長の炭素繊維を取り出したとき、その中には様々な単繊維引張強度で破壊する欠陥が含まれている。また、炭素繊維の引張破壊は一旦始まると止まらず、当該単繊維が完全に分断されるまで進行する。そのため、炭素繊維単繊維の引張強度は、他の多くの脆性材料と同様に、ある試長に存在する最弱の欠陥で決定することが一般に認められている。つまり、試長10mmにおける最弱欠陥と、例えば試長50mmにおける最弱欠陥とは、本質的に異なる可能性を有している。
本発明において単繊維を引張試験により破断し、その走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて以下のようにして破断面を観察することにより欠陥を同定する。単繊維引張試験は、試長を10mmとして、水などの液中において引張速度0.4mm/分で行う。そして破断した繊維を回収する。本発明において破断面とは単繊維の引張破断によって生じた最初の破断面(以下「一次破断面」)のことであり、破断したあとにその反動によって生じた破断面(以下「二次破断面」)は含まない。二次破断面の判定方法は後述する。破断した繊維を効率的に回収するために、単繊維引張試験は水中、あるいはさらに粘度の高いグリセリンなどの液中で行う。次いで、回収した繊維の破断面をSEMにより観察する。本発明においては、50nmという微小な欠陥を高精度に観察するため、表面凹凸の原因となることのある導電性コートは行わず、電界放出型(FE)−SEMを用いて加速電圧1keVで観察する。加速電圧を1keVにすることで、一次電子の試料への侵入深さを抑え、微小な表面凹凸をありのままに観察することが可能となる。加速電圧はさらに小さく設定することもできるが、小さすぎると発生する二次電子の量が減る結果、観察像の鮮明さが損なわれる場合がある。そのため汎用の電界放出走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で観察する限り、加速電圧は1keVとするのが好ましい。また、観察倍率は2万5千〜5万倍とする。FE−SEMの観察条件を上記のようにした上で、微小な欠陥を確実に捉えるため、破断起点を斜めから見下ろす角度で観察を行う。具体的には、ステージ操作によって破断起点が手前を向くように調節し、さらに電子線の照射方向と繊維軸とのなす角が25〜30°の範囲になるように破断面を傾斜させることで、破断起点を斜めから見下ろす角度で観察する。
さらに、同時に生成する一対の破断面のうち片側に全く形態的特徴がみられないか、大きさが50nm以上の欠陥がみられない場合であっても、もう一方に大きさが50nm以上の欠陥が存在することがあるため、欠陥の数え落としがないよう、必ず両方の破断面を観察することが重要である。そのため、単繊維引張試験を行って生じる一対の破断面のうち、片方しか回収できなかった場合は観察対象から除外する。また、統計的に精度の高い評価になるよう、破断面は少なくとも30対、すなわち60個について観察を行うことが必要である。すなわち、無作為に選択した繊維の破断面の対の総数Nは30以上とする必要がある。大きさが50nm以上の欠陥が存在することの判定方法について説明する。まず、先述のように取得した観察像から破断起点の位置を特定する。炭素繊維は脆性材料であるため、通常、引張試験で破断させると破断起点から放射状に延びた複数の条痕が形成される。かかる条痕が1カ所で交わる点が破断起点である。これは破壊が繊維内部から生じた場合も、繊維表面から生じた場合であっても共通である。次に、破断起点がその周辺と比較して何らかの形態的特徴を有しているか認識する。形態的特徴とは傷や凹み、付着物、その他、先述の方法で取得した観察像において像の明度変化として目視可能なもの全てを含む。最後に、形態的特徴の大きさを評価する。本発明においては、形態的特徴の大きさとして、破断面に観測される形態的特徴と繊維の破断面の周とが交差している部分によって認識される弧の長さを採用する。破壊が繊維内部から生じた場合は、繊維の周とは関係なく、繊維内部に存在する破断起点の形態的特徴における外接円の直径を形態的特徴の大きさとする。これらの長さは、画像を画像解析ソフトウェアに読み込み、定規ツールに類するツールを用いて定量する。また、欠陥の形態的特徴が繊維軸方向に長く続いている場合であっても、形態的特徴の大きさとしては、破断面に観測される形態的特徴と繊維の破断面の周とが交差している部分によって認識される弧の長さを採用する。破断面に条痕が認められない、破断面に条痕が認められるが、破断起点付近が汚れていて観察できない、などの場合、その破断面の対については解析を取りやめ、別の破断面の対を追加でSEM観察することで、少なくとも30対、すなわち60個の破断面が評価されるようにする。このようにして評価した「対となる破断面の少なくともいずれか一方に大きさが50nm以上の欠陥が存在する対の数n」を「無作為に選択した繊維の破断面の対の総数N」で除することで、本発明で定義する比率(n/N)を算出する。
本発明の炭素繊維束は、試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した際に回収した一対の破断面の一方に異物が存在しつつもう一方の破断面に三角形の溝を形成する欠陥(以下三角溝欠陥と記載する)が存在する確率が10%以下であり、好ましくは5%以下である。ここで、三角溝欠陥とは上述した「破断起点の欠陥」の一種であり、欠陥が生成する要因はいくつかあって要因ごとに形状が異なるが、三角溝欠陥が存在する確率が特に炭素繊維束の引張強度に強く影響する。そのため、三角溝欠陥は10%以下であれば引張強度を向上させる観点で好ましく、三角溝欠陥の下限は特にない。三角溝欠陥が存在することの判定は、上述の50nm以上の欠陥が存在する割合を求めた際にFE−SEMで観察した30対以上の破断面を対象に行う。すなわち無作為に選択した繊維の破断面の対の総数に占める、一対の破断面の一方に異物が存在しつつもう一方の破断面に三角形の溝を形成する欠陥の割合を三角溝欠陥の比率とする。本発明でいう異物とは本来の単繊維表面よりも外側に存在している物質のことであり、ポリアクリロニトリル系重合体溶液由来と考えられている。本発明の炭素繊維束を得るには、重合原料や紡糸溶液の濾過や、炭素繊維前駆体繊維束や炭素繊維束の製造工程における環境クリーン化、油剤の付与に関する公知の手法では不十分であり、上述したように検出下限レベルでの鉄分量の制御を行うことがポイントである。
本発明の炭素繊維束は、単繊維直径が6.5μm以上であり、好ましくは6.9μm以上であり、より好ましくは7.0μm以上である。単繊維直径は、サイズ効果と言われる欠陥を含有する確率に関連し、直径が小さいほど欠陥を含有する確率が減少する。一方で、炭素繊維束の品位を高めるためには単繊維直径は大きいほど良く、単繊維直径が大きいにも関わらず、欠陥が少なく、引張強度も両立していることに意義がある。単繊維直径が6.5μm以上であれば炭素繊維束の品位の低下が抑制でき、単繊維直径が8.0μmもあれば品位の面で満足できる。炭素繊維束の単繊維直径は、炭素繊維束の目付、比重、フィラメント数から容易に計算できる。炭素繊維束の単繊維直径は、後述する前駆体繊維束の単繊維繊度および前駆体繊維束を得た後の製造プロセスにおける延伸比の制御により容易に制御できる。
本発明の炭素繊維束は、引張強度が好ましくは5.5GPa以上であり、より好ましくは5.8GPa以上であり、さらに好ましくは6.0GPa以上である。引張強度が高いほど、炭素繊維中に存在する欠陥の量が少ない場合が多いため、引張強度が高くなるほど、累進的に小さな欠陥を低減する必要がある場合が多い。そのため、引張強度が高くなるほど、重合原料や紡糸溶液の公知の手法による濾過や、炭素繊維前駆体繊維束の製造工程を含む、炭素繊維束の製造工程における環境クリーン化、接着を抑制する油剤の付与、などの公知の手法では、引張強度向上効果が飽和していく傾向にある。逆にいうと、より小さな欠陥を低減できる手法を適用しても、大きな欠陥が比較的多ければ、引張強度向上効果は小さいことがある。ストランド引張強度が5.5GPa以上であれば、炭素繊維の単繊維直径が6.5μm以上と大きい場合においても後述する炭素繊維束の製造方法を採用することによる引張強度向上効果が発現しやすい。引張強度は後述する樹脂含浸ストランド試験法により評価することができる。また、引張強度を制御するためには上述した炭素繊維束の製造方法に則れば良い。
本発明の炭素繊維束は、単繊維の平均表面粗さRaが好ましくは1.0〜5.0nmであり、より好ましくは1.5〜3.0nmであり、さらに好ましくは2.0〜3.0nmである。平均表面粗さRaは、炭素繊維単繊維の表面凹凸(縦皺)の大きさを示し、大きいほど欠陥による引張強度への影響が大きくなるため、Raは1.0nm以上であることが良く、一方、Raが5.0nm以下であれば本発明の欠陥の存在確率との関係で引張強度が満足するレベルとなる。単繊維の平均表面粗さRaの測定は原子間力顕微鏡を用いて行うことができる(詳細は後述する)。単繊維の平均表面粗さRaをかかる範囲に制御するには、上述の紡糸方法、凝固浴条件に注意して調整すれば良い。
以下、本発明の測定方法をさらに具体的に説明する。
<析出物の回収>
フタのできるガラス製容器にポリテトラフルオロエチレン製のスターラーチップを入れる。前記ガラス製容器内に、ポリアクリロニトリル系重合体溶液10gとポリアクリロニトリル系重合体溶液中の溶媒と同種の溶媒90gを加え、45℃の温度に設定したウォーターバス内で2時間以上攪拌することにより希釈し、希釈溶液を得る。なお、ポリアクリロニトリル系重合体溶液をアンモニアで中和してから製糸する場合には、中和により析出物が回収しにくくなることがあるため、基本的には析出物の評価は中和前のポリアクリロニトリル系重合体溶液までを対象とする。かかる希釈溶液のうち10mLを、スターラーチップを入れたガラス製容器に加え、17℃に温調した水浴中で恒温となるまで撹拌する。しかる後にガラス製容器のフタを外し、マイクロピペットを用いて希釈溶液にHFIPを20μLずつ滴下していき、滴下後3分間撹拌を加えても析出した成分が完全には再溶解せず溶液全体に白濁がみられた時点でHFIPの滴下を終了する。なお、希釈溶液全体に対するHFIPの滴下量が少ない状態では、HFIPの滴下により希釈溶液に白濁が生じても、撹拌による溶液の均一化に伴い、かかる白濁は解消され溶液は透明に戻る。この白濁の解消有無の確認のために、HFIPを滴下するたびに3分間様子をみてから、さらなるHFIPの滴下を続けるようにする。溶液全体に白濁がみられてHFIPの滴下を終了した時点での希釈溶液を遠沈管に移し、遠心分離機(本発明の実施例においては、“DM0412(AS ONE(株)製)”)を用いて室温にて回転数2500r.p.m.で60分間遠心分離を行う。遠沈管内で凝集した析出物を単離し、50℃、800Paの減圧下で絶乾させることで析出物を得る。ポリアクリロニトリル系重合体溶液中に含まれるポリアクリロニトリル系重合体の全量のうち0.5質量%を、次のようにして析出させる。まず1回目の操作では溶液全体に白濁がみられるまでHFIPを滴下することで得られた析出物の質量から析出率を算出する。2回目の操作では1回目よりもHFIPを0.1mL多く滴下することで得られた析出物の質量から析出率を算出する。1回目と2回目の結果からHFIPの滴下量と析出率との関係を求める。3回目の操作では、HFIPの滴下量と析出率との関係から算出した、析出率0.5質量%に対応する滴下量のHFIPをポリアクリロニトリル系重合体溶液中に滴下して析出物を得る。
<析出物の鉄分量>
析出物5mgをテフロン製容器に秤量し、98質量%の硫酸0.2mLおよび68質量%の濃度の硝酸を添加し、180℃のホットプレートで加熱分解する。硝酸は加熱分解の進行に応じて適宜添加し、分解溶液が透明になるまで加熱を続ける。その後硫酸白煙が生じるまで分解溶液を濃縮し、硝酸0.5mLと超純水を加えて分解溶液の体積が10mLとなるように希釈する。得られた容液中の鉄分の定量分析をICP−MS分析により行う。なお以下の実施例ではICP−MS分析装置にAgilent8800(Agilent Technologies製)を用いる。
<炭素繊維束の単繊維の平均面粗さRa>
評価すべき炭素繊維単繊維を数本試料台にのせ、両端を接着液(例えば、文具の修正液)で固定したものをサンプルとし、原子間力顕微鏡(本発明の実施例においては、セイコーインスツルメンツ製、SPI3800N/SPA−400)を用いる。また、本発明の実施例においては、下記条件にて3次元表面形状の像を得る。
探針:シリコンカンチレバー(セイコーインスツルメンツ製、DF−20)
測定モード:ダイナミックフォースモード(DFM)
走査速度:1.5Hz
走査範囲:3μm×3μm
分解能:256ピクセル×256ピクセル。
得られた測定画像は、繊維断面の曲率を考慮し、付属のソフトウェアにより、画像の全データから最小二乗法により1次平面を求めてフィッティングし、面内の傾きを補正する1次傾き補正を行い、続いて同様に2次曲線を補正する2次傾き補正を行った後、付属のソフトウェアにより表面粗さ解析を行い、平均面粗さを算出する。ここで、平均面粗さ(Ra)とは、JIS B601(2001年)で定義されている中心線粗さRaを測定面に対して適用できるよう三次元に拡張したもので基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値と定義される。測定は、異なる単繊維10本をランダムにサンプリングし、単繊維1本につき、各1回ずつ、計10回行い、その平均値を値とする。
<炭素繊維束の引張強度>
炭素繊維束の引張強度は、JIS−R−7608(2004)の樹脂含浸ストランド試験法に準拠し、次の手順に従い求める。樹脂処方としては、“セロキサイド(登録商標)”2021P(ダイセル化学工業社製)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(東京化成工業(株)製)/アセトン=100/3/4(質量部)を用い、硬化条件としては、常圧、温度125℃、時間30分を用いる。炭素繊維束の樹脂含浸ストランド10本を測定し、その平均値を引張強度とする。歪みは伸び計を用いて評価する。歪み範囲は0.1〜0.6%である。
<大きさ50nm以上の欠陥が存在する確率、三角溝欠陥が存在する確率>
JIS R7606(2000年)に準じて単繊維の引張試験を実施する。試長は10mmとし、試験片台紙への炭素繊維の固定には市販のシアノアクリレート系の瞬間接着剤を用い、水中で実施できるように設計した特別な試験冶具を用いて、引張試験機(本発明の実施例においては、A&D社製テンシロン「RTC−1210A」)により実施する。試験に供する単繊維は繊維束から無作為に50本抽出する。単繊維50本を1セットとし歪速度0.4mm/分の条件で引張試験を行い、極力、破断した繊維の両方を回収する。破断した繊維の対が30対に満たない場合は、さらに50本からなる1セットを追加で実施し、破断した繊維の両方を30対以上回収する。
このようにして回収した破断した繊維の破断面を、走査電子顕微鏡(本発明の実施例においては、日立ハイテクノロジーズ社製「S−4800」)を用いて観察する。観察前に導電性付与のための蒸着処理は行わず、加速電圧は1keV、倍率は2万5千〜5万倍として観察する。また、微小な欠陥の有無を判別しやすくするために、破断起点が手前を向くようステージを回転させ、ステージを30°傾斜させることで破断起点を斜め上方から観察する。例えば図1〜図4に示す方向である。なお、観察は破断した繊維の対から、30対を無作為に選んで行う。
炭素繊維の引張破壊による一次破断面には、破断起点から放射状に破壊が進展した痕跡が、放射状の条痕として残るため、SEM観察像に存在する条痕を辿っていき一点に収束する部分が破断起点と特定する。条痕が認識できないものや、条痕は認識できたが破断起点付近に汚れが付着しており観察が難しいものが、両側の破断面のいずれか一方にでも存在した場合、かかる破断面は対ごと評価から除外する。除外分の対は適宜補充し、最終的に30対の破断面が観察されるようにする。破断起点が特定できたら、そこに何らかの欠陥としての形態的特徴が見られるか調べる。形態的特徴としては、凹み、溝、付着物、繊維表面が一部剥離したような跡、傷、接着痕がある。形態的特徴と断面の周囲が形成する部分の弧の長さを欠陥の大きさとした。欠陥の大きさが50nm以上のものは、外観の違いによらず一律に“大きさ50nm以上の欠陥が存在する破断面”に分類する。これを両側の破断面に対して行い、いずれか一方でも“大きさ50nm以上の欠陥が存在する破断面”に分類された場合、その組は“大きさ50nm以上の欠陥が存在する破断面”とする。これをSEM観察した30対の破断面全てに対して行い、破断面の対の総数N=30に対する、対となる破断面の少なくともいずれか一方に大きさ50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)を算出する。この“大きさ50nm以上の欠陥が存在する破断面”のうち、回収した一対の破断面の一方に異物が存在しつつもう一方の破断面に三角形の溝を形成する欠陥が存在する対の数の比率を算出して三角溝欠陥が存在する確率とする。
<単繊維直径>
JIS R7607(2000年)に準じて実施する。具体的には、測定する多数本の炭素フィラメントからなる炭素繊維束について、単位長さ当たりの質量A(g/m)および比重B(−)を求める。求めたAおよびBの値ならびに測定する炭素繊維束のフィラメント数Cから、炭素繊維束の単繊維直径(μm)を、下記式で算出する。
単繊維直径(μm)=((A/B/C)/π)(1/2)×2×10
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
<炭素繊維前駆体繊維束の品位の判定>
6000フィラメントの炭素繊維前駆体繊維束を1m/分の速度で走行させながら、毛羽および毛玉の個数の総和を数え、四段階評価した。評価基準は、次の通りである。なお、炭素繊維前駆体繊維束が3000フィラメントの場合は毛羽・毛玉の数を1.4倍に、炭素繊維前駆体繊維束が12000フィラメントの場合は毛羽・毛玉の数を0.7倍とすることで、評価基準を合わせた。なお、数値は小数点以下を四捨五入して整数とした。
・◎:繊維1200m中、0個
・○:繊維1200m中、1〜2個
・△:繊維1200m中、3〜9個
・×:繊維1200m中、10〜60個。
(実施例1)
イタコン酸を共重合成分としたポリアクリロニトリル系重合体溶液を、ラジカル開始剤としてAIBN、溶媒としてDMSOを用いた溶液重合法によって製造した。かかる重合反応は表面をガラスライニングした反応容器内で行った。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液を、紡糸口金から一旦空気中に吐出し、DMSOの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸束を得た。また、その凝固糸束を水洗した後、90℃の温水中で3倍の浴中延伸倍率で延伸し、さらにシリコーン油剤を付与し、160℃の温度に加熱したローラーを用いて乾燥を行い、4倍の延伸倍率で加圧水蒸気延伸を行い、炭素繊維前駆体繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液中に含まれるポリアクリロニトリル系重合体の全量のうち0.5質量%にあたる析出物中の鉄分量は1.6μg/gとなった。
(比較例1)
特開2019−112730号公報の実施例1に倣ってポリアクリロニトリル系重合体溶液、炭素繊維前駆体繊維束ならびに炭素繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は1.9μg/gとなった。
(実施例2)
ポリアクリロニトリル系重合体溶液の製造に際して、重合反応の終了後に該重合体溶液を10℃冷却した以外は比較例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体溶液、炭素繊維前駆体繊維束ならびに炭素繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は0.8μg/gとなった。
(実施例3)
ポリアクリロニトリル系重合体溶液の製造に際して、重合反応の終了後に該重合体溶液を7℃冷却した以外は比較例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体溶液、炭素繊維前駆体繊維束ならびに炭素繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は1.0μg/gとなった。
(実施例4)
ポリアクリロニトリル系重合体溶液の製造に際して、重合反応の終了後に該重合体溶液を5℃冷却した以外は比較例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体溶液、炭素繊維前駆体繊維束ならびに炭素繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は1.3μg/gとなった。
(実施例5)
ポリアクリロニトリル系重合体溶液の製造に際して、重合反応の終了後に該重合体溶液を3℃冷却した以外は比較例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体溶液、炭素繊維前駆体繊維束ならびに炭素繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は1.6μg/gとなった。
(比較例2)
ポリアクリロニトリル系重合体溶液の製造に際して、重合反応の終了後に該重合体溶液を5℃昇温した以外は比較例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体溶液、炭素繊維前駆体繊維束ならびに炭素繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は2.4μg/gとなった。
(比較例3)
ポリアクリロニトリル系重合体溶液の製造に際して、孔食によって表面の不動態層が一部失われたステンレス鋼製の反応容器内で重合反応を行った以外は比較例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体溶液および炭素繊維前駆体繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は9.5μg/gとなった。
(比較例4)
比較例1のステンレス鋼製の反応容器について、反応容器表面を洗浄し孔食の要因となる陰イオンを除去した上で不動態層を再度形成させ、表面を鏡面仕上げしたうえで重合反応に供した以外は比較例1と同様にしてポリアクリロニトリル系重合体溶液、炭素繊維前駆体繊維束ならびに炭素繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は3.5μg/gとなった。
(比較例5)
メタクリル酸を共重合成分としたポリアクリロニトリル系重合体を、重合開始剤として硫酸第一鉄七水和物を用いた水系懸濁重合法によって製造した。かかる重合反応は表面を鏡面仕上げしたステンレス鋼製の反応容器内で行った。該ポリアクリロニトリル系重合体をジメチルホルムアミドに溶解しポリアクリロニトリル系重合体溶液を得た。かかるポリアクリロニトリル系重合体溶液を、紡糸口金から一旦空気中に吐出し、ジメチルホルムアミドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸束を得た。また、その凝固糸束を水洗した後、90℃の温水中で3倍の浴中延伸倍率で延伸し、さらにシリコーン油剤を付与し、160℃の温度に加熱したローラーを用いて乾燥を行い4倍の延伸倍率で加圧水蒸気延伸を行い、炭素繊維前駆体繊維束を得た。該ポリアクリロニトリル系重合体溶液から得られる析出物中の鉄分量は6.2μg/gとなった。
上記した実施例および比較例における重合条件ならびに、得られた析出物の鉄分量と炭素繊維前駆体繊維束の品位を表1に示す。また実施例および比較例のうち炭素繊維束を作製した水準についてその評価結果を表2に纏める。
(参考例1〜4)
特開平11−241230号公報の実施例1〜3ならびに比較例3に記載の炭素繊維束を評価した結果を表3に示す。参考例1〜4はそれぞれ単繊維径を4.14μm、3.65μm、3.26μm、5.37μmとした。
(参考例5)
国際公開第2018/003836号の実施例3に倣って炭素繊維束を得た。大きさ50nm以上の欠陥が存在する確率と三角溝欠陥が存在する確率について、試長10mmと50mmの双方で評価した結果を表3に示す。
表3において、参考例1〜4を比較することで、本発明で対象としている大きさ50nm以上の欠陥よりも大きい、大きさ100nm以上の欠陥を対象とした集計ではあるが、同じ試長で比較すると単繊維直径が大きいほど大きさ100nm以上の欠陥が存在する確率が増加することが読み取れる。また、参考例5における大きさ50nm以上の欠陥が存在する確率と三角溝欠陥比率について試長10mmと試長50mmでの結果を比較することで、試長が大きくなるほど大きさ50nm以上の欠陥が存在する確率と三角溝欠陥比率がともに増加することが読み取れる。これらの参考例での結果は、単繊維直径が小さい、あるいは試長が短いほど欠陥を含有する確率が減少するサイズ効果を表している。本発明では、鉄分量が低いポリアクリロニトリル系重合体溶液を用いることで単繊維直径が大きいときでも、炭素繊維の単繊維引張試験で表れる三角溝欠陥比率を低位に制御することに成功した。

Claims (6)

  1. ポリアクリロニトリル系重合体溶液を製糸してポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を得る製糸工程と、ポリアクリロニトリル系炭素繊維前駆体繊維束を200〜300℃の酸化性雰囲気下で耐炎化処理して耐炎化繊維束を得る耐炎化工程と、耐炎化繊維束を500〜1200℃の不活性雰囲気下で予備炭素化処理して予備炭素化繊維束を得る予備炭素化工程と、予備炭素化繊維束を1200〜3000℃の不活性雰囲気下で炭素化処理して炭素繊維束を得る炭素化工程を含む炭素繊維束の製造方法において、ポリアクリロニトリル系重合体溶液1質量部に対してポリアクリロニトリル系重合体溶液中の溶媒と同じ種類の溶媒9質量部を添加して希釈した後、17℃で攪拌しながら1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールを滴下していき、ポリアクリロニトリル系重合体溶液中に含まれるポリアクリロニトリル系重合体の全量のうち0.5質量%を析出させた際、得られた析出物における鉄分量が0.01〜1.8μg/gであるポリアクリロニトリル系重合体溶液を用いる炭素繊維束の製造方法。
  2. 析出物における鉄分量が0.01〜1.0μg/gであるポリアクリロニトリル系重合体溶液を用いる請求項1に記載の炭素繊維束の製造方法。
  3. ポリアクリロニトリル系重合体溶液中の溶媒がジメチルスルホキシドである請求項1または2に記載の炭素繊維束の製造方法。
  4. 試長を10mmとしてJIS R7606(2000年)に準じて単繊維引張試験を実施した際に、回収した破断面に大きさ50nm以上の欠陥が存在する確率が35%以下であって、回収した一対の破断面の一方に異物が存在しつつもう一方の破断面に三角形の溝を形成する欠陥が存在する確率が10%以下であって、単繊維直径dが6.5μm以上であることを特徴とする炭素繊維束。
  5. 引張強度が5.5GPa以上である請求項4に記載の炭素繊維束。
  6. 単繊維の平均表面粗さRaが1.0〜5.0nmである、請求項4または5に記載の炭素繊維束。
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