JP6881090B2 - 炭素繊維束 - Google Patents
炭素繊維束 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6881090B2 JP6881090B2 JP2017125815A JP2017125815A JP6881090B2 JP 6881090 B2 JP6881090 B2 JP 6881090B2 JP 2017125815 A JP2017125815 A JP 2017125815A JP 2017125815 A JP2017125815 A JP 2017125815A JP 6881090 B2 JP6881090 B2 JP 6881090B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon fiber
- strength
- fiber bundle
- defects
- strand
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Inorganic Fibers (AREA)
Description
ストランド強度は単繊維引張強度とほぼ比例関係があることを考慮すると、式(1)からストランド強度σSは欠陥サイズの−0.5乗に比例すると考えることができる。一方、ループ強度σLは欠陥の影響を受けないため、前記比σL/σS 2.5は、σL/σS 2.5∝1/(欠陥サイズ−0.5)2.5=欠陥サイズ1.25のような欠陥サイズ依存性を示すと考えられる。単位長さ当たりの欠陥の数と破壊を引き起こす欠陥サイズの間には正の相関が存在する。つまり、単位長さ当たりの欠陥の数が増加すると、破壊を引き起こす欠陥サイズは大きくなる。正確な関係が明確にはなっていないが、両者の関係が欠陥サイズ1.25∝欠陥量のような関係にあることで、最終的に前記比σL/σS 2.5がσL/σS 2.5∝欠陥量、という比例関係になっているものと考えている。つまり、前記比σL/σS 2.5は欠陥量の尺度と考えられ、かかる比が0.150以上であるということは、炭素繊維に含まれる欠陥の量が、通常の炭素繊維製造プロセスにおいて想定される外的因子による欠陥の変動量に対して相対的に大きく、トータルでの欠陥の量の変化率が小さくなるため、引張強度が変動しにくい品質の安定した炭素繊維束になると考えられる。
測定する炭素繊維束について、1mサンプリングし、比重液をo−ジクロロエチレンとしてアルキメデス法で測定した。3回測定を行い、平均値を用いた。
長さ約10cmの単繊維をスライドガラス上に置き、中央部にグリセリンを1〜2滴たらして単繊維両端部を繊維周方向に軽くねじることで単繊維中央部にループを作り、その上にカバーガラスを置いた。これを顕微鏡のステージに設置し、トータル倍率が100倍、フレームレートが15フレーム/秒の条件で動画撮影を行った。ループが視野から外れないようにステージを都度調節しながら、ループさせた繊維の両端を指でスライドガラス方向に押しつけつつ逆方向に一定速度で引っ張ることで、単繊維が破断するまで歪をかけた。コマ送りにより破断直前のフレームを特定し、画像解析により破断直前のループの横幅W(μm)を測定した。平均単繊維直径d(μm)をWで除してd/Wを算出した。試験は20回行い、d/Wの平均値を求め、その値にストランド弾性率(GPa)を乗ずることによりE×d/Wを求め、かかる値をループ強度σL(GPa)とした。
炭素繊維樹脂含浸ストランドの引張弾性率(ストランド弾性率)および引張強度(ストランド強度σS)は、JIS R7608(2008)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求めた。ストランド弾性率Eは歪み範囲0.1〜0.6%の範囲で測定した。なお、試験片は、次の樹脂組成物を炭素繊維束に含浸し、130℃の温度で35分間熱処理の硬化条件により作製した。
・3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシ−シクロヘキサン−カルボキシレート(100質量部)
・3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3質量部)
・アセトン(4質量部)。
アクリロニトリル99.0質量%とイタコン酸1.0質量%からなる共重合体を、ジメチルスルホキシドを溶媒として溶液重合法により重合させ、ポリアクリロニトリル系共重合体を含む紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液を窒素雰囲気下、30℃の一定温度にて168時間静置したあと、フィルター濾過を行わずに紡糸口金から一旦空気中に吐出し、ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条を得た。この凝固糸条を、常法により水洗した後、2槽の温水浴中で、3.5倍の延伸を行った。続いて、この水浴延伸後の繊維束に対して、アミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与し、160℃の加熱ローラーを用いて、乾燥緻密化処理を行った。単繊維本数12000本としてから、加圧スチーム中で3.7倍延伸することにより、製糸全延伸倍率を13倍とし、その後交絡処理を行って、結晶配向度93%、単繊維本数12000本の炭素繊維前駆体繊維束を得た。炭素繊維前駆体繊維束の単繊維繊度は0.7dtexであった。
30℃における保管時間を72時間とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。評価結果を表1に示す。また、重合を除く一連の実験操作(すなわち、30℃における保管〜炭素化処理、のことを指す)を5バッチ行った際のストランド強度のCV値も表1に示す。
30℃における保管時間を310時間とした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。評価結果を表1に示す。また、重合を除く一連の実験操作(すなわち、30℃における保管〜炭素化処理、のことを指す)を5バッチ行った際のストランド強度のCV値も表1に示す。
紡糸溶液を30℃における保管を行うことなく、紡糸に先立ち紡糸溶液を濾過精度が1μmのフィルター濾材を通過させて濾過を行った後すみやかに紡糸に供し、予備炭素化処理における延伸比を0.90にした以外は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。評価結果を表1に示す。また、重合を除く一連の実験操作(すなわち、30℃における保管〜炭素化処理、のことを指す)を5バッチ行った際のストランド強度のCV値も表1に示す。
予備炭素化処理における延伸比を1.17にした以外は、比較例1と同様にして炭素繊維束を得た。評価結果を表1に示す。また、重合を除く一連の実験操作(すなわち、30℃における保管〜炭素化処理、のことを指す)を5バッチ行った際のストランド強度のCV値も表1に示す。
予備炭素化処理における延伸比を0.90にした以外は、実施例1と同様にして前駆体繊維束を得た。つづいて、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。評価結果を表1に示す。また、重合を除く一連の実験操作(すなわち、30℃における保管〜炭素化処理、のことを指す)を5バッチ行った際のストランド強度のCV値も表1に示す。
市販品である“トレカ(登録商標)”T800S(東レ(株)製)および“トレカ(登録商標)”T1100G(東レ(株)製)、“トレカ(登録商標)”T700S(東レ(株)製)の物性を表1に示した。
Claims (5)
- ループ強度σLとストランド強度σSの2.5乗の比σL/σS 2.5が0.150以上であって、ストランド強度σSが5.5GPa以上である炭素繊維束。
- ループ強度σLとストランド強度σSの比σL/σSが2.3以上である、請求項1に記載の炭素繊維束。
- 平均単繊維直径が4.4〜6.0μmである、請求項1または2に記載の炭素繊維束。
- ループ強度σLが14.6GPa以上である請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維束。
- ストランド強度σSが6.0GPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維束。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016129740 | 2016-06-30 | ||
JP2016129740 | 2016-06-30 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018009274A JP2018009274A (ja) | 2018-01-18 |
JP6881090B2 true JP6881090B2 (ja) | 2021-06-02 |
Family
ID=60995106
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017125815A Active JP6881090B2 (ja) | 2016-06-30 | 2017-06-28 | 炭素繊維束 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6881090B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4565978B2 (ja) * | 2004-11-25 | 2010-10-20 | 東邦テナックス株式会社 | 炭素繊維の製造方法 |
JP5207796B2 (ja) * | 2008-03-28 | 2013-06-12 | 三菱レイヨン株式会社 | 耐炎化処理装置および前駆体繊維束の耐炎化処理方法 |
JP5561446B1 (ja) * | 2013-01-25 | 2014-07-30 | 東レ株式会社 | 炭素繊維束の製造方法ならびに炭素繊維束 |
JP5849127B2 (ja) * | 2014-06-13 | 2016-01-27 | 東邦テナックス株式会社 | ポリアクリロニトリル系炭素繊維ストランド及びその製造方法 |
US10023979B2 (en) * | 2014-10-29 | 2018-07-17 | Toray Industries, Inc. | Bundle of carbon fibers and method of manufacturing the same |
-
2017
- 2017-06-28 JP JP2017125815A patent/JP6881090B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018009274A (ja) | 2018-01-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5565467B2 (ja) | ポリアクリロニトリル系共重合体、炭素繊維用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維、炭素繊維束、耐炎化繊維束の製造方法、および炭素繊維束の製造方法 | |
JP5691366B2 (ja) | 炭素繊維の製造方法 | |
JP4617940B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維用ポリアクリロニトリル系重合体および炭素繊維前駆体繊維、炭素繊維の製造方法 | |
JP4924469B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JPWO2017204026A1 (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP6888260B2 (ja) | 炭素繊維束およびその製造方法 | |
KR102603178B1 (ko) | 탄소섬유 다발 및 그 제조 방법 | |
JP2011213773A (ja) | ポリアクリロニトリル系重合体、および炭素繊維 | |
JP6881090B2 (ja) | 炭素繊維束 | |
JP4983709B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JP5504678B2 (ja) | ポリアクリロニトリル系重合体溶液と炭素繊維前駆体繊維と炭素繊維の製造方法 | |
JP6264819B2 (ja) | アクリロニトリル系共重合体、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維、炭素繊維及び炭素繊維の製造方法 | |
JP4565978B2 (ja) | 炭素繊維の製造方法 | |
KR101909892B1 (ko) | 탄소섬유용 폴리아크릴로니트릴계 전구체 섬유의 제조방법 및 탄소섬유의 제조방법 | |
JP5146394B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法および炭素繊維の製造方法 | |
JP4957634B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維の製造方法ならびに炭素繊維束およびその製造方法 | |
JP2008308777A (ja) | 炭素繊維、炭素繊維製造用ポリアクリロニトリル系前駆体繊維の製造方法 | |
JP2007321267A (ja) | ポリアクリロニトリル系繊維および炭素繊維の製造方法 | |
JP2011213774A (ja) | 炭素繊維製造用ポリアクリロニトリルおよびポリアクリロニトリル系前駆体繊維および炭素繊維の製造方法。 | |
JP2875667B2 (ja) | 炭素繊維プリカーサ用アクリル系糸条の浴中延伸方法 | |
JP2004183194A (ja) | 炭素繊維束、炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維及びその製造方法 | |
JP3964011B2 (ja) | 炭素繊維用アクリロニトリル系前駆体繊維およびその製造方法 | |
JP5842343B2 (ja) | 炭素繊維前駆体アクリル繊維束の製造方法 | |
JP4454364B2 (ja) | 炭素繊維の製造方法 | |
JP5141591B2 (ja) | 炭素繊維前駆体繊維および炭素繊維の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200526 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210309 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210406 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210419 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6881090 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |