JP7322327B2 - 炭素繊維束およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高品位かつ高引張強度を発現する炭素繊維束、およびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、破断起点となる欠陥を一定の範囲に制御した、高品位かつ高い引張強度を発現する炭素繊維束に関するものである。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用補強繊維として、スポーツ・航空・宇宙・自動車・土木・建築・圧力容器・風車ブレードなどの用途に幅広く展開されている。高強度な複合材料を生産性良く製造するために、炭素繊維には更なる高品位・高引張強度化の要請が強い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル系炭素繊維は一般的に以下のようにして工業的に製造されている。前駆体となるポリアクリロニトリル系重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体繊維束を得る。それを200~300℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維束へ転換する。さらに少なくとも1000℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって炭素繊維を得る。
炭素繊維は脆性材料であり、わずかな欠陥が引張強度(以下、単に引張強度と述べるものは樹脂含浸ストランド引張強度のことを示す。)低下を引き起こすため、炭素繊維の破壊の原因となる欠陥を少なくすることが行われてきた。具体的には、炭素繊維の欠陥の存在状態を特定の範囲になるよう制御することが開示されている。例えば、特許文献1では、試長50mmで単繊維引張試験を実施し、回収した破断面を走査電子顕微鏡により観察し、その際に観察される多種の欠陥のうち、内部ボイド起因の破断が10%以下、かつ付着物や欠け傷などの表面欠陥起因の破断が70%以下であれば高引張強度化に有利であることを開示している。また、特許文献2および3では、「マクロ欠陥」に起因する破壊の割合が50%以下であることが高引張強度化に有利であると述べている。ここで「マクロ欠陥」とは繊維の試験長を50mmとして観察される、傷、付着物、凹み、縦筋、内部ボイドといった形状が明瞭な欠陥であって大きさが100nm以上のものと定義している。また、特許文献4では、同じく試長を50mmとして評価した際に、付着物に起因する欠陥を15%以下とすることを開示している。
欠陥を低減し、上記の欠陥存在状態とするために、特許文献1では、ステンレス繊維フィルターとガラスフィルターを用いて紡糸溶液を2段濾過し、それから得られた炭素繊維に特殊な電解表面処理を行うことを開示している。特許文献2では、特定の共重合成分と油剤を用いることで、繊維径が太くても高引張強度な炭素繊維が得られることを開示している。特許文献3では、紡糸溶液の3段濾過、製糸工程で用いる浴液や加圧水蒸気の濾過、ならびに耐炎化および前炭化炉での粉塵除去、に加えて炭素繊維を細径化することで欠陥が存在する繊維表面積そのものを低減することを提案している。特許文献4では、所定の濾過精度および所定の濾過厚みないし所定の目付けを有するフィルターを用いて、濾過速度と前記が濾過精度および濾過厚みないし目付けとの間で所定の関係式を満足する条件で濾過することで、ゲル状物などの異物の除去に加えてフィルター濾材の目詰まりを抑制することを提案している。特許文献5では、酸化性雰囲気で熱処理する耐炎化炉内の粉塵をフィルターにて除去することで耐炎化繊維束の欠陥を抑制し、炭素繊維生産中における強度低下を抑制することを提案している。特許文献6では、耐炎化炉を複数に分け、初期の排気ガスを循環させずに排出することで、耐炎化炉内の粉塵量を低減させ、繊維束への異物付着量を低減させることを提案している。特許文献7では、耐炎化炉の循環ダクトにフィルターを設置したバイパスを設けることで粉塵を除去することで、特に生産スタート時の炭素繊維束の引張強度安定化を図ることを提案している。また、特許文献8では、紡糸溶液を目開き5μm以下のフィルターで濾過し、耐炎化炉内の雰囲気を目開き1μm以下のフィルターでろ過することを提案している。また、特許文献9でも、空気を濾過した際、5μm以上の粒径の塵埃を95%以上除去する濾過性能を有するフィルターを用いて紡糸溶液を濾過することを提案している。さらに、特許文献10では開孔径を段階的に小さくして多段濾過する方法が提案されている。
また、高い炭化収率と優れた引張強度を同時に満足した炭素繊維束の検討も行われており、特許文献11では、耐炎化工程で適切な温度プロフィールで後半高温熱処理することにより、特定の構造規則性度および密度とすることで、高い炭化収率と優れた引張強度を発現する炭素繊維束が得られることを提案している。
特公平8―6210号公報 国際公開第97/45576号 特開平11―241230号公報 特開2017-128838号公報 特開2014-25167号公報 特開2008-231611号公報 特開2008-95221号公報 特開昭58―220821号公報 特開昭59―88924号公報 特開2004―27396号公報 特開2017-66580号公報
特許文献1~3では、試長を50mmとして単繊維引張試験を行った際に回収された破断面における欠陥の存在状態を特定範囲にすることが高引張強度化に有効であると開示している。しかしながら、試長50mmにおける欠陥状態を特定範囲に制御するだけでは、炭素繊維の引張強度を表すために一般的に用いられている尺度である樹脂含浸ストランド引張強度(以下「ストランド引張強度」と示すこともある。)は必ずしも高いレベルとはならないという問題があった。そこで本発明の課題は、破壊原因となる欠陥を低減することによって高強度な炭素繊維束を得ることである。
また、特許文献1では電解処理によって炭素繊維表面の欠陥を効果的に除去することができているものの、欠陥を除去するには強い電解処理が必要であった。そこで処理には、長大な電解処理槽が必要となるため、工業的な実用化が困難であった。また、強い電解処理によって脆弱層が炭素繊維表面に形成され、その結果引張強度が低下する傾向があった。特許文献3のように細繊度化することで単繊維の表面積を低減し、単位長さあたりの欠陥数を低減する手法は、引張強度の向上には有効である。しかし炭素繊維の単繊維直径を低下させるほど炭素繊維前駆体繊維束の製造工程における毛羽が増加しやすくなり、炭素繊維前駆体繊維束の品位低下を引き起しやすかった。また、細繊度化の寄与を差し引いた場合の高引張強度化効果、すなわち緻密化やクリーン化などによる欠陥低減の程度は十分なものではなかった。また、特許文献4のようにフィルターによるゲル状異物の除去のみでは、耐炎化炉の粉塵量は制御できておらず、引張強度の向上効果は十分ではなかった。また、特許文献5~7のように耐炎化炉における粉塵を除去するのみでは粉塵による「マクロ欠陥」の低減のみであり、引張強度の向上効果は十分ではなかった。
また、特許文献8や特許文献9のように単にフィルターの開孔径を小さくしたり濾過性能を高めたりする方法では、フィルターの目詰まりが早くなってしまい、フィルターの濾圧上昇速度が著しく増大する。換言すれば、フィルターの寿命が短く、フィルター交換のたびに製糸を停止させる必要があり、改善が必要だった。また、特許文献10の方法では、多段で濾過を行うため、フィルター装置を設置するスペースが余分に必要となってしまうため、限られたスペースで大量生産を行うためには改善が必要だった。また、特許文献11の方法では、ゲル状異物や耐炎化炉内の粉塵による異物を制御していなかったため、「マクロ欠陥」が制御できておらず、引張強度の向上効果は十分ではなかった。
上記の課題を解決するための本発明は、試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した後に、無作為に選択した単繊維の破断面の対の総数Nと、対となる破断面の少なくともいずれか一方に大きさ50nm以上の破断面の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)が35%以下であって、レーザー顕微鏡で計測される深さ0.1μm以上の凹み欠陥が単繊維10mmあたり1000個以下であることを特徴とする炭素繊維束である。
本発明により、品位および引張強度が高い炭素繊維束が得られる。
図1は炭素繊維の破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。一点に収束する放射状の条痕が確認される。 図2は図1の破断起点近傍の拡大像である。付着物による欠陥が確認される。 図3は別の炭素繊維の破断面の破断起点近傍の拡大像である。凹みによる欠陥が確認される。 図4は別の炭素繊維破断面の破断起点近傍の拡大像である。50nm以上の目立った形態的特徴は確認されない。 図5はレーザー顕微鏡で得られるラインプロファイルと解析方法の模式図である。ベースラインとして求めた平均高さ(0μm)から深さ0.1μm以上の凹部を欠陥個数としてカウントする。
本発明者らは、特願2017-535841のようにフィルター濾材による紡糸溶液に含まれる異物の除去を行って、特定の欠陥を低減することで引張強度を高めていた。しかしながら、炭素繊維の引張強度は最弱リンク説に従うため、紡糸溶液に含まれる異物由来の特定の欠陥種類を減らすことに加えて、耐炎化炉内の粉塵由来の欠陥も減らすことで引張強度向上効果がさらに増加することがわかり、本発明に達した。以下、発明を実施するための形態について説明する。
炭素繊維の引張破壊は欠陥を起点として開始することが知られている。炭素繊維の破断起点となる欠陥としては、炭素繊維中のボイド、炭素繊維表面に存在する傷、凹みおよび付着物、ならびに単繊維同士が熱処理過程に接着して剥がれた後に残る接着痕などがある。本発明ではこれら全てを特に区別することなく、走査型電子顕微鏡(SEM)観察によって観察可能なこれらの形態的特徴をまとめて「破断起点の欠陥」と総称する。本発明者らが検討した結果、試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した後に、無作為に選択した単繊維の破断面の対の総数Nと、対となる破断面の少なくともいずれか一方に大きさ50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)を35%以下とすれば、炭素繊維束の引張強度(樹脂含浸ストランド引張強度)が大きく高まることを見いだした。比率(n/N)は30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。ここで重要なことは試長を10mmとすることである。より長い試長、例えば50mmにおいて、上記と同様に任意の大きさ以上の欠陥の存在する確率を調べても、ストランド引張強度とは必ずしも相関しないことが、本発明者らの検討の結果として明らかになった。試長を10mmとすることが有効な理由としては、ストランド引張強度を支配する試長が10mmよりも短いためであると考えられる。一般的に炭素繊維は原因の異なる様々な欠陥を繊維に含む。したがって、ある試長の炭素繊維を取り出したとき、その中には様々な単繊維引張強度で破壊する欠陥が含まれている。また、炭素繊維の引張破壊は一旦始まると止まらず、当該単繊維が完全に分断されるまで進行する。そのため、炭素繊維単繊維の引張強度は、他の多くの脆性材料と同様に、ある試長に存在する最弱の欠陥で決定することが一般に認められている。つまり、試長10mmにおける最弱欠陥と、例えば試長50mmにおける最弱欠陥とは、本質的に異なる可能性を有している。試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した際に、前記比率n/Nを35%以下とすれば、ストランド引張強度に影響する欠陥が効果的に低減されており、その結果、ストランド引張強度が高いレベルのものとなる。
本発明において単繊維を引張試験により破断し、その走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて以下のようにして破断面を観察することにより欠陥を同定する。単繊維引張試験は、試長を10mmとして、水などの液中において引張速度0.4mm/分で行う。そして破断した繊維を回収する。本発明において破断面とは単繊維の引張破断によって生じた最初の破断面(以下「一次破断面」)のことであり、破断したあとにその反動によって生じた破断面(以下「二次破断面」)は含まない。二次破断面の判定方法は後述する。破断した繊維を効率的に回収するために、単繊維引張試験は水中、あるいはさらに粘度の高いグリセリンなどの液中で行う。次いで、回収した繊維の破断面をSEMにより観察する。本発明においては、50nmという微小な欠陥を高精度に観察するため、表面凹凸の原因となることのある導電性コートは行わず、電界放出型(FE)-SEMを用いて加速電圧1keVで観察する。加速電圧を1keVにすることで、一次電子の試料への侵入深さを抑え、微小な表面凹凸をありのままに観察することが可能となる。加速電圧はさらに小さく設定することもできるが、小さすぎると発生する二次電子の量が減る結果、観察像の鮮明さが損なわれる場合がある。そのため汎用の電界放出走査型電子顕微鏡(FE-SEM)で観察する限り、加速電圧は1keVとするのが好ましい。また、観察倍率は2万5千~5万倍とする。FE-SEMの観察条件を上記のようにした上で、微小な欠陥を確実に捉えるため、破断起点を斜めから見下ろす角度で観察を行う。具体的には、ステージ操作によって破断起点が手前を向くように調節し、さらに電子線の照射方向と繊維軸とのなす角が25~30°の範囲になるように破断面を傾斜させることで、破断起点を斜めから見下ろす角度で観察する。
さらに、同時に生成する一対の破断面のうち片側に全く形態的特徴がみられないか、大きさが50nm以上の欠陥がみられない場合であっても、もう一方に大きさが50nm以上の欠陥が存在することがあるため、欠陥の数え落としがないよう、必ず両方の破断面を観察することが重要である。そのため、単繊維引張試験を行って生じる一対の破断面のうち、片方しか回収できなかった場合は観察対象から除外する。また、統計的に精度の高い評価になるよう、破断面は少なくとも30対、すなわち60個について観察を行うことが必要である。すなわち、無作為に選択した繊維の破断面の対の総数Nは30以上とする必要がある。大きさが50nm以上の欠陥が存在することの判定方法について説明する。まず、先述のように取得した観察像から破断起点の位置を特定する。炭素繊維は脆性材料であるため、通常、引張試験で破断させると破断起点から放射状に延びた複数の条痕が形成される。かかる条痕が1カ所で交わる点が破断起点である。これは破壊が繊維内部から生じた場合も、繊維表面から生じた場合であっても共通である。次に、破断起点がその周辺と比較して何らかの形態的特徴を有しているか認識する。形態的特徴とは傷や凹み、付着物、その他、先述の方法で取得した観察像において像の明度変化として目視可能なもの全てを含む。最後に、形態的特徴の大きさを評価する。本発明においては、形態的特徴の大きさとして、破断面に観測される形態的特徴と繊維の破断面の周とが交差している部分によって認識される弧の長さを採用する。破壊が繊維内部から生じた場合は、繊維の周とは関係なく、繊維内部に存在する破断起点の形態的特徴における外接円の直径を形態的特徴の大きさとする。これらの長さは、画像を画像解析ソフトウェアに読み込み、定規ツールに類するツールを用いて定量する。また、欠陥の形態的特徴が繊維軸方向に長く続いている場合であっても、形態的特徴の大きさとしては、破断面に観測される形態的特徴と繊維の破断面の周とが交差している部分によって認識される弧の長さを採用する。破断面に条痕が認められない、破断面に条痕が認められるが、破断起点付近が汚れていて観察できない、などの場合、その破断面の対は解析を取りやめ、別の破断面の対を追加でSEM観察することで、少なくとも30対、すなわち60個の破断面が評価されるようにする。このようにして評価した「対となる破断面の少なくともいずれか一方に大きさが50nm以上の欠陥が存在する対の数n」を「無作為に選択した繊維の破断面の対の総数N」で除することで、本発明で定義する比率(n/N)を算出する。
本発明の炭素繊維束を得るには、重合原料や紡糸溶液の濾過や、炭素繊維前駆体繊維束の製造工程を含む、炭素繊維束の製造工程における環境クリーン化、接着を抑制する油剤の付与に関する公知の手法だけでは不十分であり、これらの手法に加えてさらなる欠陥抑制が必要である。本発明者らの検討の結果、後述する方法に従って炭素繊維前駆体繊維束を製造し、それを用いることで本発明の炭素繊維束が得られることがわかった。ただし、後述する炭素繊維前駆体繊維束の製造方法は例示にすぎず、本発明の炭素繊維束の製造方法を限定するものではない。
本発明の炭素繊維束は、レーザー顕微鏡で計測される深さ0.1μm以上の凹み欠陥が単繊維10mmあたり1000個以下であり、900個以下であることが好ましく、850個以下であることがより好ましく、800個以下であることがさらに好ましい。レーザー顕微鏡では、表面の凹凸などの3次元形状を定量化することができる。レーザー顕微鏡によって炭素繊維束中の複数の単繊維を測定することで、単繊維長手方向の表面凹凸ラインプロファイルを取得し、0.1μm以上の凹みの数をカウントすることで深さ0.1μm以上の凹み欠陥の個数を得ることができる。得られたラインプロファイルをそのまま解析すると、炭素繊維単繊維表面の曲率や撮影時の炭素繊維束の高さ斑の影響を受けて、ベースラインが水平でない場合が多く、凹みの数を正しくカウントできない。そこで、各測定点の高さから±10点分の平均高さを差し引くことでベースラインを水平にして解析を行う。図5のように、ベースラインとして求めた平均高さを0μmとして、そこから深さ0.1μm以上の凹部を欠陥個数としてカウントする。上述のように、試長10mmあたりの欠陥数がストランド引張強度と相関することから、レーザー顕微鏡にて測定する炭素繊維束の単繊維長さが10mmとする。このとき、1本の単繊維を10mm分測定するのではなく、10mm分の長さであれば良い。たとえば、1枚の画像中に複数本映っている場合、1枚の画像中に写っている炭素繊維単繊維をすべて解析対象として10mm分の長さに含めてよいが、単繊維中心を通るように長手方向にラインプロファイルを取得し、単繊維1本あたりラインプロファイル1本のみとする。撮像倍率は50倍以上、水平解像度は150nm以下、高さ方向の分解能は10nm以下とする。光学ズームを用いると精度が低下するため、対物レンズを50倍以上のものを用い、デジタルズームは1倍とする。レーザー顕微鏡で計測される深さ0.1μm以上の凹み欠陥が単繊維10mmあたり1000個以下であると、引張強度を大きく高めることができ、欠陥個数は少ないほど好ましい。ここで重要なのは、0.1μm以上の凹み欠陥を低減させるだけでは効果が不十分であるということである。本発明では、上述のSEMで観察される50nm以上の欠陥およびレーザー顕微鏡で計測される深さ0.1μm以上の凹み欠陥の両方を低減させることで単繊維直径を小さくしなくても飛躍的に炭素繊維束の引張強度を向上させることができることを見出した。かかるレーザー顕微鏡で計測される深さ0.1μm以上の凹み欠陥の個数は、炭素繊維束をレーザー顕微鏡で観察し、ラインプロファイルを解析することで得られる(詳細は後述する)。かかる深さ0.1μm以上の凹み欠陥個数を制御するためには、耐炎化炉内の粉塵をフィルターにて除去したり、複数の耐炎化炉内のうち初期の排気ガスを循環させずに排気したり、耐炎化炉運転開始直後の排気を強化したりするなど公知の手法で耐炎化炉内の粉塵を除去することで達成できる。
本発明の炭素繊維束は、単繊維直径が6.5μm以上であることが好ましく、6.9μm以上であることがより好ましく、7.2μm以上であることがさらに好ましい。炭素繊維束の単繊維直径を小さくするために、その元となる炭素繊維前駆体繊維束(以下、単に前駆体繊維束ともいう)の単繊維直径を小さくすると、炭素繊維前駆体繊維束の製造工程おける毛羽発生量が増加しやすくなり、炭素繊維前駆体繊維束の品位が低下する傾向にある。単繊維直径が6.5μm以上であれば、炭素繊維前駆体繊維束の製造工程における炭素繊維前駆体繊維束の毛羽発生量の増加は顕著でなく、品位の低下が抑制できる。また、単繊維直径が大きいほど、欠陥が存在する単繊維の表面積が大きくなるため、欠陥の絶対数が増えることにより、引張強度低下する傾向を示すが、試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した際に、前記比率(n/N)を35%以下とし、さらにレーザー顕微鏡で計測される深さ0.1μm以上の凹み欠陥を単繊維10mmあたり1000個以下とすることで、高い引張強度を維持することができる。単繊維直径の上限は特に定めないが、耐炎化工程における均一反応性の観点から10μm程度が限度である。炭素繊維束の単繊維直径は、後述する前駆体繊維束の単繊維繊度および前駆体繊維束を得た後の製造プロセスにおける延伸比の制御により容易に制御できる。
本発明の炭素繊維束は、ストランド引張強度が5.5GPa以上であることが好ましく、5.8GPa以上であることがより好ましく、6.0GPa以上であることがさらに好ましい。ストランド引張強度が高いほど、炭素繊維中に存在する欠陥の量が少ない場合が多いため、引張強度が高くなるほど、累進的に小さな欠陥を低減する必要がある場合が多い。そのため、ストランド引張強度が高くなるほど、重合原料や紡糸溶液の公知の手法による濾過や、炭素繊維前駆体繊維束の製造工程を含む、炭素繊維束の製造工程における環境クリーン化、接着を抑制する油剤の付与、などの公知の手法では、引張強度向上効果が飽和していく傾向にある。逆にいうと、より小さな欠陥を低減できる手法を適用しても、大きな欠陥が比較的多ければ、引張強度向上効果は小さいことがある。ストランド引張強度が5.5GPa以上であれば、炭素繊維の単繊維直径が6.5μm以上と大きい場合においても後述する炭素繊維束の製造方法を採用することによる引張強度向上効果が発現しやすい。
本発明の炭素繊維束は、ストランド引張弾性率が265~300GPaであることが好ましく、270~295GPaであることがより好ましく,275~290GPaであることがさらに好ましい。ストランド引張弾性率が265~300GPaであれば、炭素繊維中に存在する欠陥の量に影響を受けやすく、本発明の効果を得やすいために好ましい。ストランド引張弾性率は、後述する炭素繊維束のストランド引張試験に記載の方法により求めることができる。このとき、歪み範囲を0.1~0.6%とする。炭素繊維束のストランド引張弾性率は、主に炭素繊維束の製造工程におけるいずれかの熱処理過程で繊維束に張力を付与するか、二重構造性の改善、または炭素化温度を変えることにより制御できる。
本発明の炭素繊維束のもととなる炭素繊維前駆体繊維束は、ポリアクリロニトリル系重合体の紡糸溶液を紡糸して得ることができる。この際、特定条件で濾過を行うことにより紡糸溶液中の異物を効果的に除去することで、かかる炭素繊維前駆体繊維束を炭素化して得られる炭素繊維束を欠陥の少ない高引張強度な炭素繊維束とすることができる。
ポリアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルのみから得られる単独重合体だけではなく、主成分であるアクリロニトリルに加えて他の単量体を用いた共重合体を用いても良い。具体的に、ポリアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルを90~100質量%、共重合可能な単量体を10質量%未満含有することが好ましい。
アクリロニトリルと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。
前記したポリアクリロニトリル系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、硝酸、塩化亜鉛水溶液、ロダンソーダ水溶液などポリアクリロニトリル系重合体が可溶な溶媒に溶解し、紡糸溶液とする。ポリアクリロニトリル系重合体の製造に溶液重合を用いる場合、重合に用いられる溶媒と紡糸溶媒を同じものにしておくと、得られたポリアクリロニトリル系重合体を分離し、紡糸溶媒に再溶解する工程が不要となり、好ましい。
上記したような紡糸溶液を紡糸するに先立ち、フィルター装置に通し、重合体原料および各工程において混入した不純物を除去することも好ましい。ここで、フィルター装置とは、紡糸溶液中に存在する異物を濾過して除去する設備を意味し、濾過処理を施す紡糸溶液をフィルター装置内に導くための流入路と、紡糸溶液を濾過するためのフィルター濾材と、濾過された紡糸溶液をフィルター装置外に導くための流出路と、これらを収納するための容器とより構成される。ここで、フィルター濾材とは、フィルター装置内に収納される紡糸溶液の濾過手段である。
フィルター濾材の形態としては、リーフディスク型、キャンドル型、プリーツキャンドル型などが用いられる。フィルター濾材が一定の曲率を持つキャンドル型、プリーツキャンドル型に対し、リーフディスク型フィルターはフィルター濾材をほぼ平面状に使用できるため、開孔径分布が広がりにくく、洗浄性も維持し易いという利点があり、好ましい。
フィルター濾材は、紡糸溶液中に存在する異物を除去するための直接的役割を担う部分であり、定められた開孔径を狭いばらつきで保有することが求められる。加えて、被処理物質に対する化学的安定性と耐熱性とある程度の耐圧性とが要求される。このようなフィルター濾材としては、金属の繊維を織って作製した金網や、ガラス不織布、焼結金属繊維組織よりなるフィルター濾材などが好ましく使用される。また、フィルター濾材の材質は、紡糸溶液に不活性であり、かつ溶媒への溶出成分がなければ特に限定されるものではないが、強度や価格の観点から金属が好ましい。具体的な金属としては、ステンレス鋼(SUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L等)、“インコネル(登録商標)”、“ハステロイ(登録商標)”の他、ニッケル、チタン、コバルトベースの種々合金が選択される。金属繊維の製造方法は、特に多数本の線材を束としてまとめて線引き細径化したのち、各線を分離して線材を細径化するいわゆる集束繊維製造方法や、コイル切削法、ビビリ振動切削法などが挙げられる。金網の場合には、繊維束ではなく、単繊維である必要があるため、伸線と熱処理を繰り返す方法などによって得られる。
紡糸溶液の濾過に際して、フィルター濾材の目開きが小さいほど紡糸溶液中の異物を除去し易くなるが、フィルター濾材の目詰まりが起こり易くなる。本発明において、異物の除去性能は目開きの代わりに「濾過精度」を用いる。ここで、濾過精度(μm)とはフィルター濾材を通過する間に95%を捕集することができる球粒子の粒子径(直径)であり、JIS規格の方法(JIS-B8356-8)により測定できる。すなわち濾過精度が小さいということと濾過精度が高いということは同義である。また、フィルター厚みが厚くなるほど紡糸溶液中の異物を除去し易くなるが、フィルター濾材での圧力損失が大きくなり、製造プロセスの安定性が低下する。これまで、上記のような傾向は知られていたが、フィルター濾材ごとに最適な濾過条件が異なっており、紡糸溶液の濾過について一般化できる知見は得られていなかった。そのため、フィルター濾材の変更時には、濾過条件の最適化に膨大な時間とコストが必要となっていた。
本発明の炭素繊維束の製造方法の一例として、濾過速度A(cm/時間)とフィルター濾材の濾過精度B(μm) 、濾材目付D(g/m)が下記式(1)~(2)を満足する条件で、紡糸溶液を濾過することが好ましい。
D - 600/(α×β) ≧ 0 ・・・(1)
α = 1-1/(1+exp(7-A)) ・・・(2)
β = 1-1/(1+exp(-0.23×B)) ・・・(3)。
ここで、濾材目付D(g/m)とはフィルター濾材本体を保護する目的で積層されていることがあるメッシュ層を除く、フィルター濾材本体の総目付のことである。濾材目付Dは任意の面積に切り出したフィルター濾材の質量を測定し、この質量を面積で割ることにより算出することができる。
濾材目付Dが大きいほど異物の捕捉率が高まり、逆に小さいほど異物が捕捉しきれずにすり抜けやすくなる。そこで、濾材目付Dが炭素繊維前駆体繊維束の品質の向上とフィルターの目詰まり抑制に与える影響を、濾過速度Aおよび濾過精度Bを変更しながら測定したところ、任意の濾過速度および濾過精度において炭素繊維前駆体繊維束の品質の向上とフィルターの目詰まり抑制とを両立可能な最低の濾材目付(以下「最低濾材目付」)が存在することが確認された。本実験結果によると、該最低濾材目付は式(1)の左辺第2項に示すように互いに独立な媒介変数αおよびβを用いて表すことができ、αは式(2)で示される濾過速度Aの関数として、βは式(3)で示される濾過精度Bの関数として定義される。かかるα×βが大きいほど最低濾材目付は小さく、α×βが小さいほど最低濾材目付は大きくなる。
個別の変数の動きとしては、濾過速度Aが大きいほどαは小さくなり最低濾材目付としては大きく、濾過速度Aが小さいほどαは大きくなり最低濾材目付としては小さくなる。また、同様に、濾過精度Bが大きいほどβは小さくなり最低濾材目付としては大きく、濾過精度Bが小さいほどβは大きくなり最低濾材目付としては小さくなる。式(1)~(3)を満足する条件で濾過を行うことで、炭素繊維前駆体繊維束の品質の向上とフィルターの目詰まり抑制が両立できるメカニズムは必ずしも明らかになったわけではないが、次のように考えられる。すなわち、濾過精度が小さいほど異物がフィルター濾材中の流路に引っかかりやすく、効果的に異物を捕捉することができる反面、フィルターが目詰まりしやすくなるが、濾過速度が十分小さいと、圧損によるフィルター濾材中における異物の変形ならびに広がりが抑制されるため、フィルター濾材中の流路が目詰まりしにくくなるものと考えられる。
また、本発明の炭素繊維束を得る製造方法の一例として、濾過精度B(μm)が下記式(4)を満たすフィルター濾材を用いることができる。
B≧3 ・・・(4)。
濾過精度Bが3μm以上である場合、フィルターの目詰まり抑制をより効果的にすることができ、炭素繊維束の品位を向上させることができる。この現象の理由は必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。濾過速度Aを小さくすることで異物の変形を抑えられ、異物の変形によってフィルター濾材中の流路が完全に塞がることを抑制できるが、濾過精度Bの値が大きいほど濾過圧力が低くなり易く、異物の変形度合いが小さくなるため、フィルター目詰まり抑制効果が現れ易くなる。
先述のようにして濾過した紡糸溶液を湿式、または乾湿式紡糸法により紡糸することにより、炭素繊維前駆体繊維束を製造することができる。
紡糸溶液を凝固浴中に導入して凝固させ、得られた凝固糸を、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を通過させることにより、炭素繊維前駆体繊維束が得られる。また、上記の工程に乾熱延伸工程や蒸気延伸工程を加えても良い。凝固糸は、水洗工程を省略して直接浴中延伸を行っても良いし、溶媒を水洗工程により除去した後に浴中延伸を行っても良い。浴中延伸は、通常、30~98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で行うことが好ましい。
炭素繊維前駆繊維束単繊維繊度は、0.7dtex以上であることが好ましく、0.8dtex以上であることがより好ましく、0.9dtex以上であることがさらに好ましく、1.1dtex以上であることが最も好ましい。前駆体繊維束の単繊維繊度が高いほど、ローラーやガイドとの接触による糸切れ発生を抑え、製糸工程および前駆体繊維束を得た後の製造プロセスにおけるプロセス安定性を維持しやすい。前駆体繊維束の単繊維繊度が0.7dtex以上であれば、プロセス安定性を維持しやすく、0.8dtex以上であればプロセス安定性をさらに維持しやすく、0.9dtex以上であればこれに加えて生産性も高めやすくなり、1.1dtex以上であれば、両者を高いレベルにすることができる。前駆体繊維束の単繊維繊度は、口金からの原液吐出量や延伸比など、公知の方法により制御できる。
得られる炭素繊維前駆体繊維束は、通常、連続繊維の形態である。また、その1糸条あたりのフィラメント数は、1,000~36,000本が好ましい。
上記のようにして得た炭素繊維前駆体繊維束は、耐炎化工程に供される。本発明において、耐炎化工程とは、炭素繊維前駆体繊維束を200~300℃の温度の酸素含有雰囲気下において熱処理することを言う。このとき、耐炎化炉内で発生する粉塵などの異物を除去する必要がある。耐炎化炉内の粉塵などの異物量として、粒径0.3μm以上の微粒子の濃度が600個/リットル以下が好ましく、200個/リットル以下がより好ましく100個/リットル以下がさらに好ましい。上記微粒子濃度を600個/リットル以下に保つことによって、得られる炭素繊維束の引張強度レベルを高い水準に保つことができる。かかる粒径0.3μm以上の微粒子の濃度を600個/リットル以下に保つことで、耐炎化繊維束への微粒子の付着を抑制でき、0.1μm以上の凹み欠陥量を低減させることができる。耐炎化炉内の粉塵などの異物の除去方法は、耐炎化炉内の粉塵をフィルターにて除去したり、複数の耐炎化炉内のうち初期の排気ガスを循環させずに排気したり、耐炎化炉運転直後の排気を強化したりするなど公知の手法から選択することができる。また、粒径0.3μm以上の微粒子の濃度は、パーティクルカウンターなどの気相中の微粒子濃度を測定できる装置を用いて測定できるが、0.3μm以上の微粒子を測定できるものを選定する必要がある。
耐炎化工程で得られた繊維束を予備炭素化する工程においては、得られた耐炎化繊維束を、不活性雰囲気中、最高温度500~1000℃において、比重が1.5~1.8になるまで熱処理することが好ましい。
予備炭素化された繊維束を不活性雰囲気中、最高温度1000~3000℃において炭素化することが好ましい。炭素化工程の最高温度は、得られる炭素繊維束のストランド引張弾性率を高める観点からは、高い方が好ましいが、高すぎると高強度領域の引張強度が低下する場合があり、両者を勘案して設定するのがよい。最高温度は1200~2000℃がより好ましく、1200~1600℃がさらに好ましい。
以上のようにして得られた炭素繊維束は、マトリックス樹脂との接着性を向上させるために、表面処理が施され、酸素原子を含む官能基が導入される。表面処理方法としては、気相酸化、液相酸化および液相電解酸化が用いられるが、生産性が高く、均一処理ができるという観点から、液相電解酸化が好ましく用いられる。本発明において、液相電解酸化の方法については特に制約はなく、公知の方法で行えばよい。
かかる表面処理の後、得られた炭素繊維束に集束性を付与するため、サイジング処理をすることもできる。サイジング剤には、複合材料に使用されるマトリックス樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂との相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本実施例で用いた測定方法を次に説明する。
<炭素繊維前駆体繊維束の品位の判定>
6000フィラメントの炭素繊維前駆体繊維束を1m/分の速度で走行させながら、繊維束中の単繊維切れ(以下、毛羽と呼ぶ)および単繊維切れの集合体(以下、毛玉と呼ぶ)の個数の総和を数え、三段階評価した。評価基準は、次の通りである。なお、炭素繊維前駆体繊維束が3000フィラメントの場合は毛羽・毛玉の数を1.4倍に、炭素繊維前駆体繊維束が12000フィラメントの場合は毛羽・毛玉の数を0.7倍とすることで、評価基準を合わせることができる。なお、数値は小数点以下を四捨五入し整数とした。
A:繊維600m中、1個以下
B:繊維600m中、2~4個
C:繊維600m中、5個以上。
<フィルター寿命の判定>
紡糸時のフィルター濾材の圧力損失が、濾過開始時から1MPa増加するまでの単位濾過面積あたりの濾液通過量を測定し、三段階に評価した。評価基準は、次の通りである。
A:50L/cm以上
B:25L/cm以上50L/cm未満
C:25L/cm未満。
<炭素繊維のストランド引張試験>
炭素繊維の樹脂含浸ストランド引張弾性率およびストランド引張強度は、JIS R7608(2008)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求めた。引張弾性率は歪み範囲0.1~0.6%の範囲で測定した。なお、試験片は、次の樹脂組成物を炭素繊維束に含浸し、130℃の温度で35分間熱処理の硬化条件により作製した。
[樹脂組成]
3、4-エポキシシクロヘキシルメチル-3、4-エポキシ-シクロヘキサン-カルボキシレート(100質量部)
3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3質量部)
アセトン(4質量部)。
また、引張試験の測定本数は6本とし、各測定結果の算術平均値をその炭素繊維のストランド引張弾性率および引張強度とした。なお、後述の実施例および比較例においては、上記の3、4-エポキシシクロヘキシルメチル-3、4-エポキシ-シクロヘキサン-カルボキシレートとして、“セロキサイド(登録商標)”2021P(ダイセル化学工業社製)を用いた。ひずみは伸び計を用いて測定した。
<炭素繊維束の品位の判定>
炭素繊維前駆体束と同様の方法で、6000フィラメントの炭素繊維束を1m/分の速度で走行させながら、繊維束中の単繊維切れ(以下「毛羽」)および単繊維切れの集合体(以下「毛玉」)の個数の総和を数え、三段階に評価した。評価基準は、次の通りである。なお、炭素繊維束が3000フィラメントの場合は毛羽・毛玉の数を1.4倍に、炭素繊維束が12000フィラメントの場合は毛羽・毛玉の数を0.7倍とすることで、評価基準を合わせることができる。なお、数値は小数点以下を四捨五入し整数とした。
A:繊維600m中、1個以下
B:繊維600m中、2~4個
C:繊維600m中、5個以上。
<大きさ50nm以上の欠陥が存在する確率>
JIS R7606(2000年)に準じて単繊維の引張試験を実施した。試長は10mmとし、試験片台紙への炭素繊維の固定には市販のシアノアクリレート系の瞬間接着剤を用い、水中で実施できるように設計した特別な試験冶具を用いて、A&D社製テンシロン「RTC-1210A」により実施した。試験に供する単繊維は繊維束から無作為に50本抽出した。単繊維50本を1セットとし歪速度0.4mm/分の条件で引張試験を行い、極力、破断した繊維の両方を回収した。破断した繊維の対が30対に満たない場合は、さらに50本からなる1セットを追加で実施し、破断した繊維の両方を30対以上回収した。
このようにして回収した破断した繊維の破断面を、日立ハイテクノロジーズ社製の走査電子顕微鏡(SEM)「S-4800」を用いて観察した。観察前に導電性付与のための蒸着処理は行わず、加速電圧は1keV、倍率は2万5千~5万倍として観察した。また、微小な欠陥の有無を判別しやすくするために、破断起点が手前を向くようステージを回転させ、ステージを30°傾斜させることで破断起点を斜め上方から観察した。例えば図1~図4に示す方向である。なお、観察は破断した繊維の対から、30対を無作為に選んで行った。
炭素繊維の引張破壊による一次破断面には、破断起点から放射状に破壊が進展した痕跡が、放射状の条痕として残るため、SEM観察像に存在する条痕を辿っていき一点に収束する部分が破断起点と特定した。条痕が認識できないものや、条痕は認識できたが破断起点付近に汚れが付着しており観察が難しいものが、両側の破断面のいずれか一方にでも存在した場合、かかる破断面は対ごと評価から除外した。除外分の対は適宜補充し、最終的に30対の破断面が観察されるようにした。破断起点が特定できたら、そこに何らかの欠陥としての形態的特徴が見られるか調べた。形態的特徴としては、凹み、付着物、繊維表面が一部剥離したような跡、傷、接着痕がある。形態的特徴と断面の周囲が形成する部分の弧の長さを欠陥の大きさとした。欠陥の大きさが50nm以上のものは、外観の違いによらず一律に“大きさ50nm以上の欠陥が存在する破断面”に分類した。これを両側の破断面に対して行い、いずれか一方でも“大きさ50nm以上の欠陥が存在する破断面”に分類された場合、その組は“大きさ50nm以上の欠陥が存在する破断面”とした。これをSEM観察した30対の破断面全てに対して行い、破断面の対の総数N=30に対する、対となる破断面の少なくともいずれか一方に大きさ50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)を算出した。
<深さ0.1μm以上の凹み欠陥個数>
炭素繊維束を引き揃えてガラス板に貼付し、キーエンス製のレーザー顕微鏡「VK-510」を用いて炭素繊維束を観察した。対物レンズは50倍のものを使用し、光学ズームを1倍とし、ゲインを1024とし、NDフィルターを使用せず、白黒超深度モードでシャッタースピードを17として撮像した。撮像した画像はキーエンス社製ソフトウェア「VK Analyzer」を用いて繊維長手方向10mm分の長さのラインプロファイルを取得した。得られたラインプロファイルから、各測定点の高さから±10点分の平均高さを差し引くことでベースラインを水平にした。図5のように、ベースラインとして求めた平均高さを0μmとして、そこから深さ0.1μm以上の凹部を欠陥個数としてカウントした。
<平均単繊維直径>
JIS R7607(2000年)に準じて実施した。具体的には、測定する多数本の炭素フィラメントからなる炭素繊維束について、単位長さ当たりの質量A(g/m)および比重B(-)を求めた。求めたAおよびBの値ならびに測定する炭素繊維束のフィラメント数Cから、炭素繊維束の平均単繊維直径(μm)を、下記式で算出した。
平均単繊維直径(μm)=((A/B/C)/π)(1/2)×2×10
<微粒子濃度の測定>
微粒子濃度Dは、光散乱式パーティクルカウンター(例えば、RION社 KC-01E)を用いて測定した。すなわち、試料空気流量0.5リットル/分で34秒の間エアを吸引し、0.1立方フィート(0.283リットル)に含まれる0.3~0.5μm、0.5~1.0μm、1.0~2.0μm、2.0~5.0μm、5.0μm以上の5段階粒子数を同時に計測し、その値をそれぞれD0.3、D0.5、D1.0、D2.0、D5.0(個/0.283リットル)とするとき、以下の式によって算出した。0.3μm以上の粒子数=(D0.3+D0.5+D1.0+D2.0+D5.0)/0.283(個/リットル)
<耐炎糸の密度測定>
1.0~3.0gの耐炎化繊維束を採取し、120℃で2時間絶乾する。次に絶乾質量A(g)を測定した後、エタノールに含浸させ十分脱泡してから、エタノール溶媒浴中の繊維質量B(g)を測定し、繊維比重=(A×ρ)/(A-B)により繊維比重を求める。ρは測定温度でのエタノール比重である。
[実施例1~3]
アクリロニトリル99.0質量%およびイタコン酸1.0質量%からなるモノマー組成物を、ジメチルスルホキシドを溶媒として溶液重合法により重合させ、ポリアクリロニトリル系共重合体を含む紡糸溶液を得た。得られた紡糸溶液をフィルター装置に流入させ、濾過を行った。使用したフィルター濾材は、濾過精度Bが1μm、濾材厚みCが800μm、濾材目付Dが2500g/mの金属焼結フィルターであり、濾過速度Aが3cm/時間の濾過条件で濾過した。濾過をした紡糸溶液を、紡糸口金から一旦空気中に吐出し、ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸法により凝固糸条を得た。また、その凝固糸条を水洗した後、90℃の温水中で3倍の浴中延伸倍率で延伸し、さらにシリコーン油剤を付与し、160℃の温度に加熱したローラーを用いて乾燥を行い、4倍の延伸倍率で加圧水蒸気延伸を行い、単繊維繊度1.1dtexの炭素繊維前駆体繊維束を得た。紡糸結果、フィルタースペック、式(1)および(4)での判定結果、紡糸結果について表1に示す。
次に、特開2017-66580号の記載を参考にして、第1耐炎化工程を耐炎化温度235℃で密度が1.23g/cmとなるまで、第2耐炎化工程を耐炎化温度250℃で密度が1.32g/cmとなるまで、第3耐炎化工程を耐炎化温度285℃で密度が1.46g/cmとなるまで、空気雰囲気の耐炎化炉中で炭素繊維前駆体繊維束を延伸比1で延伸しながら耐炎化処理し、耐炎化繊維束を得た。耐炎化炉の運転開始時には、耐炎化炉内を洗浄した後、空運転を4時間行い、耐炎化炉内の異物を除去したうえで運転した。このとき、0.3μm以上の微粒子の個数は表1のとおりとなった。実施例1~3はそれぞれ空運転後の運転時間を0時間、5時間、25時間とした。
得られた耐炎化繊維束を、温度300~800℃の窒素雰囲気中において、予備炭素化処理を行い、予備炭素化繊維束を得た。得られた予備炭素化繊維束を、窒素雰囲気中において、最高温度1350℃で炭素化処理を行った。得られた炭素繊維束に、表面処理およびサイジング剤塗布処理を行って最終的な炭素繊維束とした。この物性を表2に示す。
紡糸溶液中の異物および耐炎化炉内の粉塵などの異物量の両方が少なかったため、50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)が少なく、深さ0.1μm以上の凹み欠陥数も少なくなったためストランド引張強度が向上した。
[実施例4~6]
フィルター濾材を、濾過精度Bが9μm、濾材厚みCが3200μm、濾材目付Dが6400g/mの金属焼結フィルターに変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体繊維束および炭素繊維束を得た。紡糸溶液中の異物および耐炎化炉内の粉塵などの異物量の両方が少なかったため、50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)が少なく、深さ0.1μm以上の凹み欠陥数も少なくなったためストランド引張強度が向上した。実施例4~6はそれぞれ空運転後の運転時間を0時間、5時間、25時間とした。
[比較例1~2]
フィルター濾材を、濾過精度Bが9μm、濾材厚みCが6400μm、濾材目付Dが12800g/mの金属焼結フィルターに変更し、濾過速度Aを12cm/時間に変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体繊維束および炭素繊維束を得た。耐炎化炉内の粉塵などの異物量は少なかったが、紡糸溶液中の異物が多かったために、50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)が多くなり、ストランド引張強度が低下した。比較例1~2はそれぞれ空運転後の運転時間を0時間、5時間とした。
[比較例3]
フィルター濾材を、濾過精度Bが10μm、濾材厚みCが1600μm、濾材目付Dが3200g/mの金属焼結フィルターに変更し、耐炎化炉の運転開始時に耐炎化炉内を洗浄せず、空運転を行わずに運転した他は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体繊維束および炭素繊維束を得た。紡糸溶液中の異物および耐炎化炉内の粉塵などの異物量いずれも多かったため、50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/N)および深さ0.1μm以上の凹み欠陥数が多くなり、ストランド引張強度が低下した。
[比較例4]
耐炎化炉の運転開始時に耐炎化炉内を洗浄せず、空運転の時間を行わずに運転時間3時間後からサンプリングした点以外は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体繊維束および炭素繊維束を得た。紡糸溶液中の異物は少なかったが、耐炎化炉内の粉塵などの異物量が多かったために、深さ0.1μm以上の凹み欠陥数が多くなり、ストランド引張強度が低下した。空運転後の運転時間は0時間とした。
[比較例5]
耐炎化炉の運転開始時に耐炎化炉内を洗浄せず、空運転の時間を行わずに運転時間1時間後からサンプリングした点以外は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体繊維束および炭素繊維束を得た。紡糸溶液中の異物は少なかったが、耐炎化炉内の粉塵などの異物量が多かったために、深さ0.1μm以上の凹み欠陥数が多くなり、ストランド引張強度が低下した。
[比較例6]
耐炎化炉の運転開始時に耐炎化炉内を洗浄せず、空運転を行わずに運転してそのままサンプリングした他は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体繊維束および炭素繊維束を得た。紡糸溶液中の異物は少なかったが、耐炎化炉内の粉塵などの異物量が多かったために、深さ0.1μm以上の凹み欠陥数が多くなり、ストランド引張強度が低下した。
[参考例1]
市販品の炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700S(東レ(株)製)の評価結果を表2に示す。
表2において、実施例1~6では表1に示す特定の濾過条件をとることにより、試長10mmにおける比率n/N率を35%以下に制御でき、さらに耐炎化炉運転時の空運転を強化したことで耐炎化炉内の0.3μm以上の微粒子の濃度を100個/リットル以下に制御したため、深さ0.1μm以上の凹み欠陥個数が10mmあたり1000個以下に制御でき、平均単繊維直径が大きいにもかかわらず高いストランド引張強度を発現した。比較例1~3では、耐炎化炉運転時の空運転を強化したにもかかわらずフィルターの条件が式(1)を満たさなかったため、前記比率n/Nが35%以上となったためストランド引張強度が低下した。比較例4~6では、特定の濾過条件をとることで前記比率n/N率を35%以下に制御できたものの、耐炎化炉運転時の洗浄および空運転を実施しなかったことで耐炎化炉内の0.3μm以上の微粒子の濃度が1200個/リットル以上と多くなったため、深さ0.1μm以上の凹み欠陥個数が10mmあたり1000個以上と多くなり、ストランド引張強度が低下した。参考例1では生産開始から日数が経っているため粉塵量が増加し、深さ0.1μm以上の凹み欠陥個数が10mmあたり1000個以上と多くなった。
表1において、実施例1~6は式(1)~(3)のどちらも満足するため、高品位な炭素繊維前駆体繊維束が得られていることが見て取れる。また、さらに式(4)も満足する実施例3~6ではフィルター寿命も両立していることがわかる。表2において、実施例1~6は高品位な炭素繊維束が得られている。
Figure 0007322327000001
Figure 0007322327000002
A: 破断起点

Claims (5)

  1. 試長を10mmとして単繊維引張試験を実施した後に、無作為に選択した繊維の破断面の対の総数30と、対となる破断面の少なくともいずれか一方に大きさ50nm以上の欠陥が存在する対の数nの比率(n/30)が35%以下であって、レーザー顕微鏡で計測される深さ0.1μm以上の凹み欠陥が単繊維10mmあたり1000個以下であり、ストランド引張強度が5.8GPa以上であることを特徴とする炭素繊維束。
  2. 平均単繊維直径が6.5μm以上である、請求項1に記載の炭素繊維束。
  3. ストランド引張弾性率が265~300GPaである請求項1または2に記載の炭素繊維束。
  4. 以下の工程(A)および(B)を含む、請求項1~のいずれかに記載の炭素繊維束の製造方法。
    (A)ポリアクリロニトリル系重合体の溶液を紡糸して炭素繊維前駆体繊維束得るに際し、紡糸に先立ち、濾過精度B(μm)と濾材目付D(g/m)を有するフィルター濾材を用い、濾過速度A(cm/時間)が下記式(1)~(3)を満足する条件で、紡糸溶液を濾過する炭素繊維前駆体繊維束の製造工程
    D - 600/(α×β) ≧ 0 ・・・(1)
    α = 1-1/(1+exp(7-A)) ・・・(2)
    β = 1-1/(1+exp(-0.23×B)) ・・・(3)
    (B)工程(A)で得た炭素繊維前駆体繊維束を、該炭素繊維前駆体繊維束を200~300℃の空気中において耐炎化する耐炎化工程と、該耐炎化工程で得られた繊維を最高温度500~1000℃の不活性雰囲気中において予備炭素化する予備炭素化工程と、該予備炭素化工程で得られた繊維を1000~3000℃の不活性雰囲気中において炭素化する炭素化工程
  5. 濾過精度B(μm)が下記式(4)を満たす、請求項に記載の炭素繊維束の製造方法。
    B≧3 ・・・(4)
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