JP5741493B2 - アクリロニトリル系重合体溶液精製用フィルター材及び同フィルター材を用いたアクリロニトリル系重合体溶液の製造方法等 - Google Patents

アクリロニトリル系重合体溶液精製用フィルター材及び同フィルター材を用いたアクリロニトリル系重合体溶液の製造方法等 Download PDF

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Description

本発明は、アクリロニトリル系重合体溶液精製用フィルター材及び同フィルター材を用いたアクリロニトリル系重合体溶液精製用フィルター装置、同フィルター装置を用いたアクリロニトリル系重合体溶液及び炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造方法、並びに同繊維を焼成する炭素繊維の製造方法に関する。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度及び比弾性率を有することが知られている。このため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツ用途及び航空・宇宙用途に加え、自動車や土木、建築、圧力容器、風車ブレード等の一般産業用途にも幅広く展開されつつある。
炭素繊維の中ではアクリロニトリル系炭素繊維が最も広く利用されている。アクリロニトリル系炭素繊維はアクリロニトリル系重合体を溶剤に溶解してアクリロニトリル系重合体溶液(以下紡糸原液と表記する場合がある。)とし、これを用いて湿式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を得た後、それを200〜300℃の酸化性雰囲気中にて加熱処理(耐炎化処理)して耐炎化繊維とする耐炎化工程と、300〜2500℃の不活性雰囲気にて前記耐炎化繊維を加熱処理(炭素化処理)することにより得ることができる。しかし、このようにして得られた炭素繊維は、物性や品質には優れるものの、製造費用が高額になるため、特に低コスト化が求められる産業用途分野においては、多用化が十分に実現されていない。
炭素繊維の低コスト化を達成する方法として、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程を安定化させることによる歩留まり向上や、連続生産性の実現及び紡糸速度を高めることによる生産量の増加がある。
紡糸原液中に含まれる粉塵といった異物や紡糸原液自体が劣化することによって発生するゲル状物は、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造に悪影響を及ぼすだけでなく、このような異物は炭素繊維を製造する過程にて表面欠陥点、内在欠陥点となり、炭素繊維の強度低下を引き起こしてしまう。したがって、紡糸原液をフィルター材にて濾過することにより前述の異物やゲル状物を濾過することが一般的である。
しかし、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を続けていくと、紡糸原液を濾過するフィルター材そのものが徐々に閉塞し、フィルター材にかかる圧力が大きくなる。その結果、フィルター材に捕捉された異物やゲル状物は圧力により、後工程へ流出してしまい、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造に悪影響を及ぼすだけでなく、炭素繊維の強度低下をも引き起こすことになる。また、フィルター材が完全に閉塞してしまうと、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造は困難になり、交換作業による作業負荷の増大や連続生産性の低下につながってしまう。特に紡糸速度を高め、フィルター材を通過する単位時間当りの紡糸原液量が増加すればするほど、その影響は顕著になる。
したがって、高い紡糸速度で、高性能の炭素繊維を得るための炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を安定して大量に製造するには、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程において、炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物のみを効率的に取り除きつつ、フィルター材にかかる圧力の増加をできるだけ抑えることで連続生産性を高
め、上記悪影響を及ぼすフィルター材にて補足した異物やゲル状物が後工程に流出するのを防ぐ技術が必要となってくる。
例えば、特開昭59−88924号公報(特許文献1)によれば、空気中の粒径5μm以上の粒子を95%以上除去可能な金属焼結フィルター材を用いたフィルター装置により紡糸原液を濾過する方法が記載されている。この方法により得られた紡糸原液からは高強度の炭素繊維を製造することが可能となる。
また、例えば特開2004−27396号公報(特許文献2)には、紡糸原液を最終開孔径が5μm以下になるようフィルター材で2段以上の多段濾過を行うと同時に開孔径の大きいフィルター材にて紡糸原液の一部を循環濾過を行うことにより、フィルター使用可能期間を長寿命化させつつ紡糸原液の異物を除去する方法が記載されている。この方法により、装置の稼働日数延長化が可能となり、生産性を損なうことなく紡糸原液を濾過することができ、かつこの紡糸原液を用いて高強度の炭素繊維を製造することが可能となる。
また、例えば特開2009−235662号公報(特許文献3)には、フィルター材の目付け、材質密度、濾過抵抗係数を調整したフィルター材を用いることにより、フィルター材の使用可能期間を長寿命化させつつ紡糸原液中の異物を除去する方法が記載されている。この方法により炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の生産性を損なうことなく紡糸原液から高強度の炭素繊維を製造することが可能となる。
しかし、特許文献1の方法では紡糸原液の粘度が1000ポイズを超えるとフィルター材の濾過効率の低下を招くだけでなく、濾過圧力が増加し、生産性や炭素繊維性能の低下を招いてしまう。更に紡糸原液中に含まれる異物やゲル状物をできるだけ取り除くよう紡糸原液の濾過を行うため効率的ではない。
また、特許文献2の方法では開孔径の大きなフィルター材で循環濾過を行うため、一部の紡糸原液が長期間循環し続ける可能性が高く、ゲル状物を発生させてしまう。発生したゲル状物はフィルター材を閉塞させて濾過効率の低下を招くだけでなく、濾過圧力も増加させてしまい、生産性や炭素繊維性能の低下を招いてしまう。更に多段で濾過を行うため、フィルター装置を設置するスペースが余分に必要となってしまうため、限られたスペースでは大量生産が困難になる。
また、特許文献3の方法では紡糸溶液が特定され、目付け、材質密度、濾過抵抗係数を厳密に調整した複雑で且つ高精度の構造をもつフィルター材を使い、紡糸溶液中に含まれる異物やゲル状物の除去率を高めて、紡糸溶液の濾過を行うため、コストが極めて高くなり経済性の面からは効率的であるとは言えない。
特開昭59−88924号公報 特開2004−27396号公報 特開2009−235662号公報
本発明は、前記した問題を解決すること、すなわち、紡糸原液中に含まれる、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物のみを効率的に取り除きつつ、フィルター材にかかる圧力の増加をできるだけ抑えることにより、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を高い生産性を維持したまま安定し
て製造することが可能となるアクリロニトリル系重合体溶液精製用フィルター材(以下、単にフィルター材と称する場合がある。)、アクリロニトリル系重合体溶液精製用フィルター装置(以下、フィルター装置と称する場合がある。)を提供すること、同装置から得られるアクリロニトリル系重合体溶液の製造方法、及び前記炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造方法を提供することを目的としている。
これまでは紡糸原液中に含まれる異物やゲル状物を可能な限り取り除くことを主な目的として議論されてきていることが多く、低い濾過圧力を維持することでフィルター材に捕捉された異物やゲル状物が圧力により、後工程へ流出してしまうことを抑制する方法については、例えば上記特許文献3により議論されるようになってきた。しかしながら、工程異常や炭素繊維の性能低下を招く異物やゲル状物そのものに着目して議論することはなかった。
そこで本発明者は工程異常や炭素繊維の性能低下を招く異物やゲル状物がどのような形態や、如何なる種類の異物やゲル状物であるかを検討するとともに幾多の実験を重ねた結果、25μm以上の大きさをもつ異物やゲル状物が主な原因となっていることを突き止めた。さらにフィルター材にかかる濾過圧力を低いまま維持しつつ、工程異常や炭素繊維の性能低下を招く異物やゲル状物だけを選択的に除去する方法についても鋭意検討を重ねた。その結果、次に述べるような上記目的を達成するための新規でかつ有用な方法や装置を見付け出すことに成功した。
すなわち、本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材は、不織布タイプの目開きの異なるフィルター材を目開きの細かい順に2層構造又は3層構造になるよう積層し焼結したフィルター材であって、k番目の層のフィルター材を構成する繊維の充填率(以下単に「充填率」と言うこともある)Xk(%)、厚みYk(mm)、フィルター材を構成する繊維の断面積Zk(μm2 )が次式(1)〜(3)を満たすアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材である。
Figure 0005741493
ただし、kはアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材の目開きの細かい順位、nはフィルター材の積層数であって2又は3である。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用の前記フィルター材は、1〜4μmの大きさの異物捕捉率が20%以下であり、25〜100μmの異物捕捉率が95%以上であることが好ましい。
ここで、前記異物捕捉率の測定方法は次のとおりである。
フィルター材にて濾過する前のアクリロニトリル系重合体溶液を、例えば液中微粒子計測器(HIACROYCO社製:型番System8011)を使って、溶液中にある予め決められた異物径の複数の測定範囲内にあるそれぞれの異物個数(例えば、異物径の測定範囲は、それぞれ1〜2μm 、2〜4μm 、25〜50μm、50〜100μmとする。)を測定し、前記測定範囲別に濾過前の溶液中の異物体積換算値Aを次式(4)により求める。
(a〜b)μm径の異物体積換算値A (μm3 )=4/3×円周率×{(a+b)/4}3 ×(a〜b)μm径の異物個数 ・・・(4)
ただし、(a〜b)μmは1〜2μm径、2〜4μm径、25〜50μm径、50〜100μm径である。
溶液は、上記液中微粒子計測器で測定可能な粘度になるよう、溶液と同じ溶剤で希釈してもよい。そのときの濾過前の溶液中の異物体積換算値Aは測定範囲別に式(4)×希釈倍率で求める。
続いてフィルター材にて単位面積あたり4cm3 /分の濾過速度で目開きの粗いフィルター材から目開きの細かいフィルター材に向けて濾過を始め、フィルターにかかる圧力がほぼ一定の割合で増加し始めてから4時間後に、フィルター材を通過してきたアクリロニトリル系重合体溶液(紡糸原液)の異物体積換算値Aを、濾過前と同じ方法で測定した。
上記方法で求めた具体的な異物体積換算値Aを下式に代入することで異物捕捉率[%]を求めた
1〜4μmの異物捕捉率[%]={1−(濾過後の1〜2μm径の異物体積換算値+濾過後の2〜4μm径の異物体積換算値)/(濾過前の1〜2μm径の異物体積換算値+濾過前の2〜4μm径の異物体積換算値)}×100
25〜100μmの異物捕捉率[%]={1−(濾過後25〜50μm径の異物体積換算値+濾過後50〜100μm径の異物体積換算値)/(濾過前25〜50μm径の異物体積換算値+濾過前50〜100μm径の異物体積換算値)}×100
本来、異物体積は異物ごとの大きさを計算する必要があるが、評価の便宜上、ある測定範囲内にある異物の直径はすべてその範囲の上限と下限の平均(測定範囲が1〜2μmであれば1.5μm)であると定義した。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材は、SUS製繊維からなることが好ましい。前記SUS製繊維がSUS製長繊維からなることがより好ましい。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター装置は、前述のフィルター材を用いる。本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター装置は、目開きの粗い濾材から細かい濾材に向けて紡糸原液を濾過させるのが好ましい。
ここで、前記目開きは、フィルター材を通過する間に95%以上を捕捉することができる球形粒子の粒子径で定義する。その測定方法はJISB8356に準じ、球形粒子は標準物質を用いる。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液の製造方法には、前記アクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター装置をアクリロニトリル系重合体溶液精製工程中で最も異物捕捉率の高いフィルター装置として用いる。また、本発明の炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造方法は、精製後の前記アクリロニトリル系重合体溶液を紡糸して得ることが好ましい。
本発明の炭素繊維の製造方法は、前記炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を焼成することにある。
各フィルター材の充填率Xkは、フィルター材中に存在する、フィルター材を構成する繊維の体積分率である。まず、目的のフィルター材の一部(形状は直方体)の縦、横、高さを実測してその体積Cを求める。フィルター材を構成する繊維の体積Dは、そのフィルター材の一部の重量を、フィルター材を構成する繊維の密度で割ることで求める。D/C×100を求めることでフィルター材の充填率Xk(%)が求まる。
本発明が上述の構成を備えることにより、紡糸原液中に含まれる、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物のみが効率的に取り除かれ、フィルター材にかかる圧力の増加をもできるだけ抑えることができ、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を高い生産性を維持したまま安定して製造できるため、炭素繊維の低コスト化を実現できる。
炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維は、アクリロニトリル系重合体を紡糸して得られる。
本発明で用いられるアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルを主な単量体とし、これを重合して得られる重合体である。アクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルのみから得られるホモポリマーだけでなく、主成分であるアクリロニトリルに加えて他の単量体を用いたアクリロニトリル系共重合体であってもよい。
アクリロニトリル系重合体中のアクリロニトリルの配合量は、得られる炭素繊維に求める品質等を勘案して決定でき、例えば、90〜99.5質量%であることが好ましく、96〜99.5質量%であることがより好ましい。アクリロニトリルの配合量が90質量%以上であれば、前駆体繊維を炭素繊維に転換するための焼成工程で、繊維同士の融着を招くことがなく、炭素繊維の優れた品質及び性能を維持できる。加えて、アクリロニトリル系重合体の耐熱性が低下せず、前駆体繊維を紡糸する際に乾燥を抑制することができる。さらに、加熱ローラーや加圧水蒸気による延伸等の処理において、単繊維間の接着を回避できる。アクリロニトリルの配合量が99.5質量%以下であれば、溶剤への溶解性が低下せず、アクリロニトリル系重合体の析出・凝固を防止し、紡糸原液の安定性が維持できるため、前駆体繊維を安定して製造できる。
アクリロニトリル系重合体中のアクリロニトリル以外の単量体としては、アクリロニトリルと共重合可能なビニル系単量体から適宣選択することができ、アクリロニトリル系重合体の親水性を向上させるビニル系単量体、耐炎化促進効果を有するビニル系単量体が好ましい。
アクリロニトリル系重合体の親水性を向上する単量体としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、アミド基、ヒドロキシル基等の親水性の官能基を有するビニル化合物がある。カルボキシル基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸等が挙げられ、中でもアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましい。スルホ基を有する単量体としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スルホプロピルメタクリレート等が挙げられ、中でも、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が好ましい。アミノ基を有する単量体としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ターシャリーブチルアミノエチルメタクリレート、アリルアミン、o−アミノスチレン、p−アミノスチレン等が挙げられ、中でもジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートが好ましい。アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、クロトンアミドが好ましい。ヒドロキシル基を有する単量体としては、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、2―ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ
プロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどが挙げられる。
このような単量体を配合することで、アクリロニトリル系重合体は親水性が向上する。親水性が向上すると、得られる前駆体繊維の緻密性が向上し、表層部のミクロボイド発生を抑制することができる。上述の単量体は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。このようなアクリロニトリル系重合体の親水性を向上させる単量体の配合量は、アクリロニトリル系重合体中0.5〜10.0質量%とすることが好ましく、0.5〜4.0質量%とすることがより好ましい。
耐炎化促進効果を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、メサコン酸又はこれらの低級アルキルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩もしくはアクリルアミド、メタクリルアミド等が挙げられる。中でも、少量の配合量でより高い耐炎化促進効果を得る観点から、カルボキシル基を有する単量体が好ましく、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等のビニル系単量体がより好ましい。このような単量体を配合することで、後述する耐炎化工程の時間を短縮でき、製造コストを低減できる。上述の単量体は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。このような耐炎化促進効果を有する単量体の配合量は、アクリロニトリル系重合体中0.5〜10.0質量%であることが好ましく、0.5〜4.0質量%とすることがより好ましい。
紡糸の際には、アクリロニトリル系重合体を、溶剤に溶解しアクリロニトリル系重合体溶液(紡糸原液)とする。溶剤は、アクリロニトリル系重合体の種類等を勘案して決定でき、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の有機溶剤、塩化亜鉛、チオシアン酸ナトリウム等の無機化合物の水溶液が挙げられる。中でもジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドが緻密な前駆体繊維が得られる点で好ましい。
アクリロニトリル系重合体溶液(紡糸原液)中のアクリロニトリル系重合体の濃度は、特に限定されないが、例えば17〜25質量%が好ましく、19〜25質量%がより好ましい。17質量%以上であれば、緻密な凝固糸を得ることができ、25質量%以下であれば紡糸原液として適度な粘度と流動性が得られるためである。
本発明では上述した紡糸原液をフィルター装置に通し、各工程において混入した不純物を除去した後に紡糸して炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を得る。
本発明のフィルター材とはフィルター装置内に収納される紡糸原液の濾過手段である。
冒頭で述べたように炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物のみを効率的に取り除きつつ、フィルター材にかかる圧力の増加をできるだけ抑えることが高強度の炭素繊維の低コスト化につながる。したがって、この条件を満たすようなフィルター材を設計する必要がある。
フィルター材を構成する繊維の断面積が大きくなりすぎると捕らえるべき大きさの異物又はゲル状物がフィルター材を通り抜け、後工程に流出してしまう可能性が高くなる。逆に繊維の断面積が小さくなりすぎると捕らえる必要のない大きさの異物又はゲル状物までも捕らえてしまうことになり、その結果、フィルター材の閉塞が早まり、フィルター材にかかる圧力の増加を促進してしまう。
フィルター材の充填率が大きくなりすぎると異物やゲル状物の捕捉率が高くなるが、捕らえる必要のない大きさの異物又はゲル状物も捕らえてしまう可能性があり、フィルター材の閉塞が早くなってしまい、その結果、フィルター材にかかる圧力の増加が促進してしまう。逆に充填率が低すぎると捕らえるべき大きさの異物又はゲル状物がフィルター材を
通り抜け、後工程に流出してしまう可能性が高くなる。また、充填率が極端に低すぎる場合、フィルター材自体が圧力に耐え切れず変形、破断してしまう。
フィルター材の厚みが大きくなりすぎるとフィルター材中にてせん断誘起相分離という現象が起きてしまい、フィルター材の閉塞が早まり、フィルター材にかかる圧力の増加を促進してしまう。逆にフィルター材の厚みが小さくなりすぎるとフィルター材自体が圧力に耐え切れず変形、破断してしまう。
本発明者はフィルター材の充填率(Xk)や厚み(Yk)、フィルター材を構成する繊維の断面積(Zk)が以下の式すべてを満たすようなフィルター材を設計し、それを用いたフィルター装置で紡糸原液を濾過することにより、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物のみを効率的に取り除きつつ、フィルター材にかかる圧力の増加をできるだけ抑えることが可能となるアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材を見出した。ただし、kはアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材において、目開きの細かいフィルター材から目開きの粗いフィルター材に向う順位、nはフィルター材の積層数であって2又は3である。
Figure 0005741493
式(1)を58μm-1以下とすることで炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物よりも小さな異物まで捕捉することがなくなり、フィルター材にかかる圧力の増加を抑えることが可能となりやすい、捕捉した異物やゲル状物の後工程への流出も防ぎやすく、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定して行うことが可能となりやすい。また、フィルター材の交換頻度も低減することができやすくなり、連続生産性も向上する。式(1)を10μm-1以上とすることで、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす大きさの異物又はゲル状物を確実に捕捉することができやすくなり、紡糸における糸切れトラブルを抑えることができやすく、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定して行いやすくなる。炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造をより安定して行うという観点から、式(1)を10μm-1以上、55μm-1以下とすることがより好ましく、15μm-1以上、50μm-1以下とすることが更に好ましい。
式(1)を満足しつつ各フィルター材の充填率(Xk)を45%以下とすることで、フィルター材にかかる圧力の増加を抑えることが可能となりやすく、捕捉した異物やゲル状物が後工程に流出も防ぎやすく、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定して行うことが可能になりやすい。また、フィルター材の交換頻度も低減することができやすく、連続生産性も向上する。式(1)を満足しつつフィルター材の充填率(Xk)を20%以上とすると、紡糸原液濾過時にフィルター材が強度的に圧力に耐え切れずにフィルター材が変形、破断してしまうことを防ぐことが可能となりやすく、紡糸原液の濾過を安定して行うことができやすく、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定して行うことができやすくなる。炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造をより安定して行うという観点から、フィルター材の充填率(Xk)は20%≦Xk%≦40%とすることがより好ましく、20%≦Xk%≦35%とすることが更に好ましい。
式(1)及び(2)を満足しつつフィルター材の全体の厚みである式(3)を0.20mm以上とすることにより、紡糸原液濾過時にフィルター材が強度的に圧力に耐え切れずにフィルター材が変形、破断してしまうことを防ぐことが可能になりやすく、紡糸原液の濾過を安定して行うことができやすく、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定して行うことができやすくなる。式(1)及び(2)を満足しつつフィルター材の全体の厚みである式(3)を1.00mm以下とすることにより、フィルター材中のせん断誘起相分離を抑えることができやすく、フィルター材にかかる圧力の増加を抑え、捕捉した異物やゲル状物が後工程に流出も防ぎ、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定して行うことが可能になりやすい。
フィルター材の積層数を増加させることで圧力の分散による耐圧性、異物やゲル状物の捕捉率が向上する。しかし、積層数を増加しすぎると技術上の問題から厚みが増してしまい、せん断誘起相分離が発生しやすくなり、フィルター材にかかる圧力は逆に増加してしまう。したがって、フィルター材の積層数は2層又は3層になるように調整するのが好ましい。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材は、以下の測定方法により得られる前記フィルター装置の1〜4μmの異物捕捉率が20%以下であり、25〜100μmの異物捕捉率が95%以上である。
上述した測定方法により得られる前記フィルター材の1〜4μmの異物捕捉率が20%以下とすることで炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物よりも小さな異物まで捕捉することがないため、フィルター材にかかる圧力の増加を抑えることが可能となりやすく、捕捉した異物やゲル状物が後工程に流出することも防ぎやすく、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定に行うことが可能となりやすい。
上述した測定方法により得られる前記フィルター材の25〜100μmの異物捕捉率が95%以上とすることで炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす大きさの異物又はゲル状物が捕捉することができやすく、紡糸にて糸切れトラブルを抑えることができやすく、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定して行うことが可能になりやすい。
炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造をより安定に行うという観点から、上記測定方法により得られる前記フィルター装置の1〜4μmの異物捕捉率が15%以下であり、25〜100μmの異物捕捉率が95%以上であることがより好ましく、上記測定方法により得られる前記フィルター装置の1〜4μmの異物捕捉率が10%以下であり、25〜100μmの異物捕捉率が99%以上であることが更に好ましい。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材は、SUS製繊維からなることが好ましい。フィルター材は紡糸原液に対して化学的に安定であり、ある程度の耐熱性及び耐圧性が必要である。フィルター材としてはガラス繊維の不織布やポリプロピレン、フッ素系樹脂からなる膜やポリエチレン不織布を焼結して繊維同士を固定したもの、金属繊維を織って作製した金網、金属繊維不織布を焼結して繊維同士を固定したものがあるが、上述した化学的安定性や耐熱性、耐圧性の観点から金属繊維不織布を焼結して強度を上げたものが好ましい。具体的な金属としては、ステンレス鋼(SUS304、304L、316、316Lなど)のほか、銅、チタン及びそれらの合金などがあるが、その中でもステンレス鋼(SUS304、304L、316、316Lなど)を用いるのが加工性の点から好ましい。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材は、前述のSUS製繊維がSUS製長繊維からなることが好ましい。長繊維とすることで炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物よりも小さな異物まで捕捉することがないため、フィルター材にかかる圧力の増加を抑えることが容易となる。また、フィルター材の再生性も高まるため、効率的である。
フィルター材同士の焼結の方法は公知の方法が採用できる。
本発明のフィルター材はさらに耐圧性をもたせるため、2層または3層構造になるよう積層して、焼結したフィルター材の紡糸原液入り側と出側の両方に0.1〜0.5mm程度の金属繊維からなる10〜100#程度の金網フィルターを積層し、焼結してもよい。
フィルター材の形状としてはチューブタイプ、プリーツタイプ、ディスクタイプ、リーフディスクタイプがあるが濾過効率や紡糸原液の流動効率を考えた場合、リーフディスクタイプが好ましい。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター装置は、前述のフィルター材を用いることが好ましい。フィルター装置としては公知の装置が採用できる。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター装置は、目開きの粗いものから細かいものにへと向かって紡糸原液を濾過させるのが好ましい。目開きの粗いものから細かいものへと向かって紡糸原液を濾過させることにより、フィルター材にかかる圧力の増加を抑えることが可能となりやすく、捕捉した異物やゲル状物が後工程に流出も防ぎやすく、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定して行うことが可能になりやすい。
本発明のアクリロニトリル系重合体溶液の製造方法は、前記アクリロニトリル系重合体溶液精製用の上記フィルター装置をアクリロニトリル系重合体溶液精製工程中で最も異物捕捉率の高いフィルター装置として用いることが好ましい。このようなフィルター装置を用いることで炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造工程や炭素繊維の性能に悪影響を及ぼす異物やゲル状物よりも小さな異物まで捕捉することを防ぐことができやすくなる。
本発明のフィルター装置には、上述の最も目開きの細かいフィルター材を含むフィルター装置を用いることが前述のとおり重要であるが、更にそれ以前に前記フィルター装置よりも目開きの粗いプレフィルターにて紡糸原液を濾過してもかまわない。紡糸原液には、紡糸原液を得る過程で大きな異物の凝集体や大きなゲル状物が含まれている場合があるため、本発明における上記フィルター装置で濾過する前に前記プレフィルターを用いて取り除いてしまうことが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造方法にあっては、上述のように精製されたアクリロニトリル系重合体溶液を紡糸して得ることが好ましい。前記アクリロニトリル系重合体溶液を用いることで炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造を安定に行うことが可能となりやすく、連続生産性も向上する。
本発明の炭素繊維の製造方法では、前記炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を焼成して得ることが好ましい。前記炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を用いることで十分な性能発現性を有する炭素繊維を製造することが可能になりやすい。
炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を得る(以下、紡糸工程と表記する場合がある。)方法としては、例えば、直接凝固浴中に紡出して凝固させる湿式紡糸法、空気中で凝
固させる乾式紡糸法、一旦、空気中に紡出した後、凝固浴中で凝固させる乾湿式紡糸法等、公知の紡糸方法が挙げられる。中でも、炭素繊維の強度及び弾性率をより向上させる観点から、湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法が好ましい。
湿式紡糸法又は乾湿式紡糸法による紡糸賦形は、アクリロニトリル系重合体溶液を略円形断面の吐出孔を有するノズルより凝固浴中に紡出する方法が挙げられる。
凝固浴としては、アクリロニトリル系重合体溶液に用いられる溶剤を含む水溶液を用いることが好ましい。このような凝固浴が、溶剤回収の容易性の観点から好ましい。
凝固浴として溶剤を含む水溶液を用いる場合、該水溶液中の溶剤濃度は、30〜90質量%であることが好ましく、40〜85質量%であることがより好ましい。この範囲内であれば、前駆体繊維をボイドの発生がない緻密な構造とすることができ、高強度、高弾性率の炭素繊維が得られる。加えて、延伸性が確保でき生産性にも優れる。
凝固浴の温度は、特に限定されないが、0〜60℃が好ましい。この範囲内であれば、前駆体繊維はボイドの発生がない緻密な構造となり、高強度、高弾性率の炭素繊維が得られる。加えて、延伸性も確保でき生産性に優れたものとなる。
紡糸工程では、凝固糸を凝固浴中又は延伸浴中で延伸することができる。或いは、凝固糸を空中で延伸した後、再度、浴中で延伸することができる。更にまた、延伸の前後又は延伸中に水洗し、凝固糸を水膨潤状態とすることができる。延伸浴は、例えば、水、又はアクリロニトリル系重合体溶液に用いられる溶剤を含む水溶液等が挙げられる。
延伸は、凝固浴又は延伸浴に凝固糸を入れ、凝固糸に張力をかけることで行われる。延伸は、例えば、1回で所望の倍率としてもよいし、2回以上に分けて多段に延伸することで所望の倍率としてもよい。例えば、空中での延伸と延伸浴中での延伸を組み合わせ、合計で5〜15倍に延伸することとよい。このように延伸することで、炭素繊維の高強度化、高弾性率が図れる。
油剤組成物の炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維への付与は、前述の浴中延伸後の水膨潤状態にある凝固糸に油剤組成物の分散液(以下、油剤分散液と賞する場合がある。)を付与することにより行うことができる。浴中延伸の後に洗浄を行う場合は、浴中延伸及び洗浄を行った後に得られる水膨潤状態にある凝固糸に油剤分散液を付与することもできる。
油剤の組成は、前駆体繊維に求める機能等を勘案して決定でき、例えば、シリコーン系油剤組成物が好ましい。シリコーン系油剤組成物としては、例えば、アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン等のシリコーンオイルが挙げられ、中でもアミノ変性シリコーンが好ましい。アミノ変性シリコーンとしては、側鎖1級アミノ変性シリコーン、側鎖1,2級アミノ変性シリコーン、あるいは両末端アミノ変性シリコーンが挙げられる。油剤組成物には、必要に応じて、さらに酸化防止剤、帯電防止剤、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、浸透剤等の添加物を配合することができる。
油剤組成物を炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維に含浸する方法としては、ローラー法、ガイド法、スプレー法、ディップ法等、公知の方法を用いることができる。
油剤組成物付着工程は、前述の方法により、油剤分散液の含浸を1回としてもよく、上述の方法を2回以上繰り返す多段処理としてもよい。より均一に凝固糸に油剤組成物を付着させる観点から、多段処理とすることが好ましい。
前駆体繊維における油剤組成物の付着量は、前駆体繊維の乾燥質量に対して0.1〜2
質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがさらに好ましい。油剤組成物の付着量が0.1質量%以上であると、油剤組成物の機能を十分に発現させやすくなる。油剤組成物の付着量が2質量%以下であると、余分に付着した油剤組成物が、焼成工程において高分子化して単繊維間の接着の誘因となることを防止しやすくなる。
油剤組成物が付着した前駆体繊維は、続いて乾燥緻密化(以下、乾燥工程と称する場合がある。)される。
乾燥工程は、従来公知の方法で前駆体繊維を乾燥でき、例えば、加熱ローラーによる乾燥が好ましい乾燥方法として挙げられる。なお、加熱ローラーの数量は1個であっても2個以上であってもよい。
乾燥工程における乾燥温度は、前駆体繊維のガラス転移温度を超えた温度とすることが好ましい。このような乾燥温度で処理することで、前駆体繊維の乾燥と緻密化が達成できる。乾燥温度は前駆体繊維の含水量の変動により異なるが、例えば、100〜200℃の範囲で決定することが好ましい。
前駆体繊維は乾燥後、加熱延伸を行うことが、得られる前駆体繊維の緻密性や配向度をさらに高めることができることから好ましい。加熱延伸の方法には、加熱ローラーで搬送させながら延伸する方法(以下、加熱ロール延伸と表記する場合がある。)や加圧水蒸気圧雰囲気下で延伸する方法(以下、加圧水蒸気延伸と称する場合がある。)がある。
加熱ロール延伸は、ローラー速度を変えながら1.1〜4.0倍に延伸する方法で、得られる前駆体繊維束の緻密性や配向度向上にも寄与する。加熱ローラーの温度としては150〜200℃程度が好ましい。150℃より低いと可塑化が不完全で延伸をかけた際に毛羽等が発生し、続く炭素化工程で工程障害となる場合がある。200℃より高いと酸化反応や分解反応などが開始され、得られる炭素繊維の品位を低下させる場合がある。
加圧水蒸気延伸は、例えば、前駆体繊維を加熱ローラーで予備加熱した後、加圧水蒸気の存在下で前駆体繊維に張力を加える方法が挙げられる。このような加圧水蒸気延伸において、加圧水蒸気延伸装置直前の加熱ローラーの温度を120〜190℃とし、前駆体繊維を予熱することが好ましい。加熱ローラーの温度が120℃未満では前駆体繊維の温度が十分に上がらず延伸性が低下する。
また、加圧水蒸気延伸における水蒸気圧力の変動率を0.5%以下に制御することが好ましい。
このように、加熱ローラーの温度と水蒸気圧力の変動率を制御することで、前駆体繊維になされる延伸倍率の変動及び該変動により発生するトウ繊度の変動を抑制することができる。
加圧水蒸気延伸における水蒸気の圧力は、加熱ローラーによる延伸の抑制や加圧水蒸気延伸法の特徴が明確に現れるようにするため、200kPa/g以上が好ましい。この水蒸気圧は、処理時間を勘案して適宜調節することが好ましく、高圧にすると水蒸気の漏れが増大したりする場合があるので、工業的には600kPa/g程度以下が好ましい。
乾燥工程の後、前駆体繊維は、室温のロール等を通すことにより、常温の状態まで冷却する。冷却した前駆体繊維は、ワインダーでボビンに巻き取られ、或いはケンスに振込まれて収納され、炭素繊維の製造に供される。
炭素繊維は炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を焼成して得る(以下、焼成工程と称する場合がある。)ことができる。焼成工程は、耐炎化処理と炭化処理とからなり、必要に応じて黒鉛化処理が設けられる。焼成工程における各処理の条件は特に限定されないが、繊維内部にボイド等の構造的欠陥が発生しにくい条件を設定するのが好ましい。
耐炎化処理は、前駆体繊維を酸化性雰囲気中で緊張あるいは延伸条件下で、任意の時間加熱し、耐炎化繊維とするものである。
耐炎化処理の方法は、例えば、熱風循環方式、多孔板表面を有する固定熱板方式等が挙げられる。耐炎化処理の加熱温度は、例えば200〜300℃とされる。
耐炎化処理では、耐炎化繊維の密度が1.30g/cm3 〜1.50g/cm3 になるまで処理することが好ましい。
炭化処理は、耐炎化処理で得られた耐炎化繊維を不活性ガス雰囲気下で加熱することにより、炭素繊維を得るものである。炭化処理は、前炭素化操作と炭素化操作とからなる。前炭素化操作は、最高温度550〜800℃の不活性ガス雰囲気中、緊張下で、300〜500℃の温度領域においては、500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下の昇温速度で、耐炎化繊維を加熱し前炭素化繊維とする。この前炭素化操作により、炭素繊維の機械的特性を向上させることができる。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等、公知の不活性ガスを採用できるが、経済性の面から窒素が望ましい。
炭素化操作は、前炭素化繊維を1200〜3000℃の不活性雰囲気中に通し、1000〜1200℃の温度領域において、500℃/分以下、好ましくは300℃/分以下の昇温速度で、前炭素化繊維を加熱し炭素繊維とする。この炭素化操作により、炭素繊維の機械的特性を向上させることができる。雰囲気ガスは、前炭素化操作の雰囲気ガスと同様である。
得られた炭素繊維は、さらに、表面処理されることにより、複合材料のマトリックス樹脂との接着性の改善が図られる。表面処理方法としては、気相、液相処理を採用することができ、生産性、バラつき防止等の観点から電解処理が好ましい。電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸等の酸水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液、或いはこれらの塩の水溶液が挙げられる。中でも、アンモニウムイオンを含む水溶液が好ましく、例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウムあるいはこれらの混合物の水溶液が挙げられる。
電解処理の電気量は、炭素繊維に応じて決定でき、例えば、炭化度の高い炭素繊維ほど、高い通電電気量とする。
得られた炭素繊維は、必要に応じて、さらにサイジング処理がなされる。サイジング処理に用いるサイジング剤は、マトリックスの種類に応じて決定でき、マトリックスとの相溶性のよいものが好ましい。
炭素繊維は、これらの表面処理を施すことにより、炭素繊維とマトリックスとの接着が適正なレベルとなり、縦方向及び横方向にバランスのとれた機械特性が発現する。
上述した方法により高い生産性を維持したまま安定に高強度の炭素繊維を得るための炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を長期間、連続製造することが可能になる。
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<異物捕捉率>
フィルター装置にて濾過する前のアクリロニトリル系重合体溶液を溶剤で5倍希釈し、液中微粒子計測器(HIACROYCO社製:型番System8011)にて、異物径測定範囲をそれぞれ1〜2、2〜4、25〜50μm、50〜100μmとして、希釈溶液中の各異物個数を測定した。このとき濾過前のアクリロニトリル系重合体溶液中の異物体積換算値Aを測定範囲別に上記式(4)により求めた。
フィルター装置にて単位面積あたり4cm3 /分で濾過を始めてフィルターにかかる圧力がほぼ一定の割合で増加し始めてから4時間後にフィルター装置から通過してきたアクリロニトリル系重合体溶液(紡糸原液)を濾過前と同じ方法で異物体積換算値を測定した。上記の方法で求めた異物体積換算値を下式に代入することで、異物捕捉率(%)を求めた。
1〜4μm径の異物捕捉率(%)={1−(濾過後の1〜2μm径の異物体積換算値+濾過後の2〜4μm径の異物体積換算値)/(濾過前の1〜2μm径の異物体積換算値+濾過前の2〜4μm径の異物体積換算値)}×100
25〜100μm径の異物捕捉率(%)={1−(濾過後25〜50μm径の異物体積換算値+濾過後50〜100μm径の異物体積換算値)/(濾過前25〜50μm径の異物体積換算値+濾過前50〜100μm径の異物体積換算値)}×100
<フィルター材の交換頻度>
80℃に保温したアクリロニトリル系重合体溶液を、上記フィルター材を用いたフィルター装置で濾過しながら、濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に、孔径45μm、孔数50000の紡糸ノズルより吐出して凝固糸を作製した。得られた凝固糸を空気中で1.1倍に延伸し、続いて熱水中で5.0倍に延伸しながら洗浄、脱溶剤を行った。脱溶剤した凝固糸をシリコーン系油剤分散液中に浸漬し、140℃の加熱ローラーで緻密乾燥化した後、表面温度190℃のロールを用いて1.5倍に延伸し、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を連続的に長期間製造した。このとき、紡糸開始日から終了日までの間にフィルターを交換した回数(年間あたりに換算)を調べた。交換の目安である限界圧力は2.5MPaとした。
<単糸切れ発生時の紡浴引取倍率>
紡糸ノズルから紡浴に吐出させ、得られた凝固糸を引き取った。凝固糸を引き取る速度を上げていくとノズル面から単糸切れが発生する。紡糸ノズル面から目視にて単糸切れの発生を確認したときの凝固糸の引取速度を測定し、次式(6)によって単糸切れ発生時の紡浴引取倍率を計算した。
単糸切れ発生時の紡浴引取倍率=[凝固糸引取速度(cm/分)/{吐出原液体積(cm3 /分)}/{ノズル孔面積(cm2 )×孔数}] ・・・(6)
<紡浴屑糸発生量>
紡糸原液を長期間紡糸ノズルから紡浴に吐出させ、得られた凝固糸を引き取る際に発生する紡浴中の屑糸の量(g/日)を測定した。
<炭素繊維ストランド強度、弾性率>
炭素繊維ストランド強度は、JIS−R−7601に準じたエポキシ樹脂含浸炭素繊維ストランド法に準じて測定した。なお、測定回数は10回とし、その平均値を評価の対象とした。
実施例1:
[アクリロニトリル系重合体の製造]
アクリロニトリル系重合体は、オーバーフロー式の重合容器に、以下のように各原料を供給すると共に重合容器内の温度を50℃に維持しながら攪拌し、オーバーフローした重合体スラリーを洗浄、乾燥して製造した。重合容器内には、常に脱イオン水74.75質量%と、モノマー25質量% [組成比(質量比)、アクリロニトリル(AN):アクリルアミド(AAm):メタクリル酸(MAA)=96:3:1]と、過硫酸アンモニウム0.1質量%、亜硫酸水素アンモニウム0.15質量%、硫酸第一鉄7水和物2質量ppmとを、各原料をそれぞれ連続して供給すると共に、pH3.0となるように硫酸を適量添加した。得られたアクリロニトリル系重合体の組成は、AN単量体単位:AAm単量体単位:MAA単量体単位(質量比)=96:3:1であった。
[アクリロニトリル系重合体溶液(紡糸原液)の製造]
上記で得たアクリロニトリル系重合体21質量%、ジメチルアセトアミド79質量%を混合し、加熱溶解したあとフィルター装置にて濾過を行ない、紡糸原液を得た。このとき用いたフィルター装置のフィルター材部分に平均断面積が30μm2 のSUS316製丸
型金属長繊維を用いて、厚さ0.20mm、充填率40%になるよう成形した不織布に、平均断面積が30μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて、厚さ0.15mm、充填率35%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が140μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて、厚さ0.25mm、金属繊維体積率40%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結したもので、フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。このときの異物捕捉率についても表2に示すとおりであった。
[炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造]
上記紡糸原液を濃度60質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に、孔径45μm、孔数50000の紡糸ノズルより吐出し凝固糸を得た。このときの単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量については表2に示すとおりであった。得られた凝固糸を空気中で1.1倍に延伸し、続いて熱水中で5.0倍に延伸しながら洗浄、脱溶剤した。脱溶剤した凝固糸をアミノ変性シリコーン系油剤分散液中に浸漬し、140℃の加熱ローラーで緻密乾燥化した。次いで、表面温度190℃のロールを用い1.5倍に延伸し、単繊維繊度1.2dtexの炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を製造した。このときのフィルター材交換頻度についても表2に示したとおりであった。
[炭素繊維の製造]
前駆体繊維を、220〜260℃の温度勾配を有する耐炎化炉に通し(耐炎化処理)、窒素雰囲気中で400〜1300℃の温度勾配を有する炭素化炉で焼成した(炭素化処理)。その後、電解酸化処理、サイジング処理を施し、炭素繊維とした。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり5.3GPaとなった。
実施例2:
紡糸原液を得るさいに用いたフィルター装置のフィルター材部分を平均断面積が45μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.20mm、充填率40%になるよう成形した不織布に、平均断面積が70μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.15mm、充填率35%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が280μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.25mm、金属長繊維体積率40%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結したものとした以外は実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであった。
また、得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり5.2GPaとなった。
実施例3:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を平均断面積が65μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.25mm、充填率30%になるよう成形した不織布に、平均断面積が80μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.15mm、充填率35%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が210μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.20mm、金属長繊維体積率40%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであった。
また、得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり5.3GPaであった。
実施例4:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が85μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.30mm、充填率35%になるよう成形した不織布に、平均断面積が160μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.30mm、充填率35%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであった。
また、得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり5.3GPaであった。
比較例1:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が3μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.20mm、充填率25%になるよう成形した不織布に、平均断面積が50μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.15mm、充填率35%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が315μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.40mm、金属長繊維体積率30%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであり、実施例1と比較するとフィルター材交換頻度が多く、単糸切れ発生時の紡浴引取倍率も低くなった。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり5.2GPaとなり、実施例1と比較するとそれほど大きな差はなかった。
比較例2:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が3μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.20mm、充填率20%になるよう成形した不織布に、平均断面積が3μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.20mm、充填率30%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が3μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.40mm、金属長繊維体積率30%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであり、実施例1と比較するとフィルター材交換頻度が多く、単糸切れ発生時紡浴引取倍率も低くなった。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり5.0GPaとなり、実施例1と大きな違いはなかった。
比較例3:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が20μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.20mm、充填率40%になるよう成形した不織布に、平均断面積が35μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.25mm、充填率30%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が65μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.30mm、金属長繊維体積率35%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであり、実施例1と比較するとフィルター材交換頻度は増加し、単糸切れ発生時紡浴引取倍率も低下した。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり5.1GPaとなり、実施例1と大きな違いはなかった。
比較例4:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が60μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.20mm、充填率50%になるよう成形した不織布に、平均断面積が140μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.25mm、充填率40%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が420μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.20mm、金属長繊維体積率75%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。
フィルター材の閉塞が非常に早かったため、濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度は測定できなかった。また、安定して紡糸することが非常に困難であったため、単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量は測定できず、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維も得ることができなかった。
比較例5:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が30μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.40mm、充填率15%になるよう成形した不織布に、平均断面積が70μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.50mm、充填率10%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が210μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.50mm、金属長繊維体積率15%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率については表2に示したとおりであった。
ただ、検証途中でフィルターの変形及び破損を確認したため、安定して紡糸することが困難となり、フィルター材交換頻度、単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量は測定できなかった。また、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維も得ることができなかった。
比較例6:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を平均断面積が60μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.30mm、充填率35%になるよう成形した不織布に、平均断面積が160μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.35mm、充填率30%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであり、実施例1と比較するとフィルター材交換頻度は増加した。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり5.2GPaとなり、実施例1と大きな違いはなかった。
比較例7:
紡糸原液を得る際にフィルター装置を用いて濾過をしなかった以外は実施例1と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。フィルターを用いていないため、フィルター装置の評価は行っていない。紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであり、実施例1と比較すると単糸切れ発生時紡浴引取倍率が低下し、紡浴屑糸発生量についても大幅に増加した。
また、得られた炭素繊維のストランド強度については表2に示したとおり3.9GPa
となり、実施例1と比較すると1.4GPaも低下した。
実施例5:
[アクリロニトリル系重合体の製造]
アクリロニトリル系重合体は、オーバーフロー式の重合容器に、以下のように各原料を供給すると共に重合容器内の温度を50℃に維持しながら攪拌し、オーバーフローした重合体スラリーを洗浄、乾燥して製造した。重合容器内には、常に脱イオン水74.75質量%と、モノマー25質量%(組成比(質量比)、アクリロニトリル(AN):2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)=96:4)と、過硫酸アンモニウム0.1質量%、亜硫酸水素アンモニウム0.15質量%、硫酸第一鉄7水和物2質量ppmとを、各原料をそれぞれ連続して供給すると共に、pH3.0となるように硫酸を適量添加した。得られたアクリロニトリル系重合体の組成は、AN単量体単位:HEMA単量体単位(質量比)=96:4であった。
[アクリロニトリル系重合体溶液(紡糸原液)の製造]
上記で得たアクリロニトリル系重合体21質量%、ジメチルアセトアミド79質量%を混合し、加熱溶解したあとフィルター装置にて濾過を行ない、紡糸原液を得た。このとき用いたフィルター装置のフィルター材部分に平均断面積が80μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて、厚さ0.20mm、充填率30%になるよう成形した不織布に、平均断面積が100μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて、厚さ0.20mm、充填率25%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結し、さらに平均断面積が175μm2 のSUS316L製丸型金属長繊維を用いて、厚さ0.30mm、金属長繊維体積率20%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結したもので、フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。このときの異物捕捉率についても表2に示すとおりであった。
[炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造]
上記紡糸原液を濃度45質量%、温度35℃のジメチルアセトアミド水溶液からなる凝固浴中に、孔径60μm、孔数20000の紡糸ノズルより吐出し凝固糸を得た。このときの単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量については表2に示すとおりであった。得られた凝固糸を空気中で1.1倍に延伸し、続いて熱水中で5.0倍に延伸しながら洗浄、脱溶剤した。脱溶剤した凝固糸をアミノ変性シリコーン系油剤分散液中に浸漬し、140℃の加熱ローラーで緻密乾燥化した。次いで、表面温度190℃のロールを用い1.5倍に延伸し、単繊維繊度2.5dtexの炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を製造した。このときのフィルター材交換頻度についても表2に示したとおりであった。
[炭素繊維の製造]
前駆体繊維を、220〜300℃の温度勾配を有する耐炎化炉に通し(耐炎化処理)、窒素雰囲気中で400〜1300℃の温度勾配を有する炭素化炉で焼成した(炭素化処理)。その後、電解酸化処理、サイジング処理を施し、炭素繊維とした。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり4.7GPaとなった。
実施例6:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を平均断面積が125μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.30mm、充填率35%になるよう成形した不織布に、平均断面積が245μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.30mm、充填率30%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例5と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時の紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであった。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり4.6GPaであった。
実施例7:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を平均断面積が40μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.15mm、充填率35%になるよう成形した不織布に、平均断面積が80μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.15mm、充填率35%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例5と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時の単糸切れ発生時の紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであった。
また、得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり4.5GPaであった。
比較例8:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を平均断面積が60μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.30mm、充填率35%になるよう成形した不織布に、平均断面積が160μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.35mm、充填率30%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は、実施例5と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時における単糸切れ発生時の紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであり、実施例5と比較するとフィルター材交換頻度は増加した。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり4.5GPaとなり、実施例5と大きな違いはなかった。
比較例9:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が25μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.30mm、充填率35%になるよう成形した不織布に、平均断面積が55μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.35mm、充填率30%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は実施例5と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。濾過時の異物捕捉率、フィルター材交換頻度及び紡糸時における単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであり、実施例5と比較するとフィルター材交換頻度は増加し、単糸切れ発生時の紡浴引取倍率も低下した。
得られた炭素繊維のストランド強度は表2に示したとおり4.4GPaとなり、実施例5と比較すると大きな違いは見られなかった。
比較例10:
紡糸原液を得る際にフィルター装置を用いて濾過をしなかった以外は実施例5と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。フィルターを用いていないため、フィルター装置の評価は行っていない。紡糸時の単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量についても表2に示したとおりであり、実施例5と比較すると単糸切れ発生時の紡浴引取倍率が低下し、紡浴屑糸発生量についても大幅に増加した。
また、得られた炭素繊維のストランド強度については表2に示したとおり3.8GPaとなり、実施例5と比較すると0.9GPaも低下した。
比較例11:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が10μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.05mm、充填率45%になるよう成形した不織布に、平均断面積が30μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて
厚さ0.05mm、充填率45%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は実施例5と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。
フィルター材の閉塞が非常に早く、検証途中でフィルター材の変形も確認されたため、安定して紡糸することが困難となり、フィルター材交換頻度、単糸切れ発生時の紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量は測定できなかった。また、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維も得ることができなかった。
比較例12:
紡糸原液を得る際に用いたフィルター装置のフィルター材部分を、平均断面積が105μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.70mm、充填率40%になるよう成形した不織布に、平均断面積が300μm2 のSUS316製丸型金属長繊維を用いて厚さ0.50mm、充填率45%になるよう成形した不織布を重ねたのちに焼結した以外は実施例5と同様に行った。フィルター材部分のパラメータは表1に示したとおりである。
フィルター材の閉塞が非常に早く、安定して紡糸することが困難となり、フィルター材交換頻度、単糸切れ発生時紡浴引取倍率、紡浴屑糸発生量は測定できなかった。また、炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維も得ることができなかった。
Figure 0005741493
Figure 0005741493

Claims (9)

  1. 不織布タイプの目開きの異なるフィルター材を、目開きの細かい順に2層又は3層構造になるよう積層し、焼結したフィルター材であって、k番目の層のフィルター材を構成する繊維の充填率Xk(%)、厚みYk(mm)、フィルター材を構成する繊維の断面積Zk(μm2 )が次式を満足するアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材。
    Figure 0005741493
    ただし、kはアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材の目開きの細かい順位、nはフィルター材の積層数であって2又は3である。
  2. 液中微粒子計測器を使って、下記の異物捕捉率の測定方法に従って測定した、紡糸溶液中の特定の異物径範囲にある各異物個数の測定値を次式(4)に代入して得た異物体積換算値Aを、更に式(5)に代入して得る異物捕捉率(%)が、異物径範囲1〜4μmで20%以下、異物径範囲25〜100μmの異物捕捉率が95%以上である請求項1記載のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材。
    〔異物捕捉率の測定方法〕
    フィルター材にて濾過する前のアクリロニトリル系重合体溶液を、液中微粒子計測器を使って、溶液中にある予め決められた異物径の測定範囲内(1〜2μm径、2〜4μm径、25〜50μm径、50〜100μm径の4条件)にあるそれぞれの異物個数を測定し、次式(4)により、前記の測定範囲毎に、濾過前の溶液中の異物体積換算値Aを求める。
    (a〜b)μm径の異物体積換算値A(μm3 )=4/3×円周率×{(a+b)/4}3 ×(a〜b)μm径の異物個数 ・・・(4)
    ただし、(a〜b)μm径は、1〜2μm径、2〜4μm径、25〜50μm径、50〜100μm径の4条件であり、異物径範囲内の異物の直径はすべてその径範囲の上限と下限の平均である。
    続いてフィルター材にて単位面積あたり4cm3 /分の濾過速度で目開きの粗いフィルター材から目開きの細かいフィルター材に向けて濾過を始め、フィルターにかかる圧力がほぼ一定の割合で増加し始めてから4時間後に、フィルター材を通過してきた濾過後のアクリロニトリル系重合体溶液について、上記の方法で、濾過後の溶液中の異物体積換算値を測定した。
    ただし、(a〜b)μm径は、1〜2μm径、2〜4μm径、25〜50μm径、50〜100μm径の4条件である。
    上記方法で測定した、濾過前及び濾過後のアクリロニトリル系重合体溶液の異物体積換算値を、下式(5a)及び(5b)に代入することで1〜4μm径及び25〜100μm径の異物捕捉率を求めた。
    1〜4μm径の異物捕捉率(%)={1−(濾過後の1〜2μm径の異物体積換算値+濾過後の2〜4μm径の異物体積換算値)/(濾過前の1〜2μm径の異物体積換算値+濾過前の2〜4μm径の異物体積換算値)}×100 ・・・(5a)
    25〜100μm径の異物捕捉率(%)={1−(濾過後25〜50μm径の異物体積換算値+濾過後50〜100μm径の異物体積換算値)/(濾過前25〜50μm径の異物体積換算値+濾過前50〜100μm径の異物体積換算値)}×100 ・・・(5b)
  3. SUS製繊維からなる請求項1または2に記載のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材。
  4. 前記SUS製繊維がSUS製長繊維である請求項3に記載のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター材を用いたアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター装置。
  6. アクリロニトリル系重合体溶液の濾過方向に、目開きの粗いフィルター材から目開きの細かいフィルター材へと順次配されてなる請求項5に記載のアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター装置。
  7. 請求項5又は6に記載されたアクリロニトリル系重合体溶液精製用のフィルター装置を、アクリロニトリル系重合体溶液精製工程中の最も異物捕捉率の高いフィルター装置として用いるアクリロニトリル系重合体溶液の製造方法。
  8. 請求項7に記載されたアクリロニトリル系重合体溶液を紡糸する炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維の製造方法。
  9. 請求項8に記載された炭素繊維前駆体アクリロニトリル系繊維を焼成する炭素繊維の製
    造方法。
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