JP2010053468A - 炭素繊維前駆体繊維の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
糸条密度を高めやすい反面、製糸速度を高めにくいポリアクリロニトリル系前駆体繊維の湿式紡糸において、特定の分子量分布を有することにより製糸速度を高め、生産性およびプロセス性を損なうことなく、安定した高品質な炭素繊維前駆体繊維を得るための方法を提供する。
【解決手段】
重量平均分子量Mwが10万〜70万であり、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比で示される多分散度Mz/Mwが2.7〜6であるポリアクリロニトリル系重合体を5重量%以上30重量%未満の濃度で溶媒に溶解してなる紡糸溶液を湿式紡糸するに際し、その紡糸溶液を臨界濃度を超える溶媒濃度でかつ凝固糸条を成形することが可能な溶媒濃度の凝固浴中に吐出する炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素繊維の製造工程における通過安定性に優れた高品位な炭素繊維前駆体繊維の製造方法に関するものである。
炭素繊維は、その優れた力学特性および電気特性から、さまざまな用途に利用されている。近年では、従来のゴルフクラブや釣竿などのスポーツ用途や航空機用途に加え、自動車部材、圧縮天然ガス(CNG)用タンク、建造物の耐震補強部材および船舶部材などいわゆる一般産業用途への展開が進みつつある。それに伴い、低コスト化の要請が強い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル(以下、PANと記述することがある。)系炭素繊維は、その前駆体となるPAN系重合体からなる紡糸溶液を湿式紡糸または乾湿式紡糸して炭素繊維前駆体繊維を得た後、それを200〜400℃の温度の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維へと転換し、それを少なくとも1000℃の温度の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって工業的に製造されている。
PAN系炭素繊維の生産性向上は、炭素繊維前駆体繊維の紡糸、耐炎化あるいは炭素化のいずれの観点からも行われている。中でも炭素繊維前駆体繊維の生産性向上については、従来技術には次に示す問題があった。すなわち、炭素繊維前駆体繊維を得る際の紡糸においては、紡糸口金孔数とPAN系重合体溶液の特性に伴う凝固糸を引き取る限界速度(以下、可紡性とも記述することがある。)と、その凝固構造に伴う限界延伸倍率によって生産性が制限されている。すなわち、多フィラメントの炭素繊維前駆体繊維を得るに際し、引き取り速度と延伸倍率とで決まる最終的な紡糸速度がどれほど高められるかで、その生産性が制限されている。生産性を向上させるために紡糸速度を高めると延伸性低下が起こり、生産工程が不安定化しやすく、紡糸速度を下げると生産工程は安定化するものの生産性は低下するため、生産性の向上と生産工程の安定化の両立が困難であるという問題があった。
可紡性に大きな影響を与える要因として、紡糸方法がある。そこで、次に紡糸方法の観点から、生産性の向上について説明する。
乾湿式紡糸法は、紡糸溶液が一旦空気中(エアギャップ)に吐出されてから凝固浴中に導かれるので、実質的な紡糸ドラフト率はエアギャップ内にある原液流で吸収され、可紡性が高いことから、これまでいくつかの提案がなされている。本発明者らは、特定の分子量分布を有するPAN系重合体を用いることによって、乾湿式紡糸法で優れた可紡性を与える炭素繊維前駆体繊維の製造技術を既に提案している(特許文献1参照。)。しかしながら、乾湿式紡糸では、空気中で紡糸溶液が接触しないように、孔ピッチが大きな紡糸口金を用いるため、全体として大きな紡糸口金を用いる必要があった。
一方、湿式紡糸法は、紡糸溶液を凝固浴内にある紡糸口金孔から凝固浴中に吐出させる方法であり、紡糸機や凝固浴を簡素化することができ、また、糸条密度を高めやすいという利点がある。しかしながら、紡糸溶液が紡糸口金孔から吐出された直後から凝固が進行するため、引き取り速度の高速化に従って実質の紡糸ドラフト率が高くなり、紡糸口金面で糸切れが発生するという問題があり、引き取り速度を高く設定することには限界があった。例えば、孔数50,000の紡糸口金から紡糸原液を湿式紡糸法により吐出線速度の0.8倍以下で引き取る第一凝固浴に引き続き、有機溶媒の濃度が50〜70重量%で温度が30〜50℃の有機溶媒水溶液からなる第二凝固浴中で紡糸原液の吐出線速度の1.1〜3.0倍の延伸を施し、さらに4倍以上の湿熱延伸を行うことを特徴とする紡糸方法が提案されている(特許文献2および特許文献3参照。)。しかしながら、これらの提案では、凝固浴を二つ用いることにより繊維軸に沿った表面凹凸の数を制御し、集束性を維持することはできても、紡糸工程における引き取り速度を向上することはできないため、高糸条密度と高速紡糸の両立は困難であった。また、特許文献1に記載された特定の分子量分布を有するPAN系重合体を用いても、単に湿式紡糸法を適用しただけでは可紡性向上効果は小さかった。
通常のPAN系重合体繊維の湿式紡糸において、可紡性を高める方法として、臨界条件を超える溶媒濃度の凝固浴を用いて紡糸する方法が知られている(特許文献4および非特許文献1参照。)。可紡性は、凝固浴の溶媒濃度を高めるほど、すなわち、凝固促進成分濃度を下げるほど低下していき、ある臨界点を超える溶媒濃度になると逆に可紡性が急激に大きく向上し、さらに溶媒濃度を高めると凝固できなくなり糸条を形成しなくなる。凝固浴において、可紡性が最も小さくなる溶媒濃度の臨界濃度は、重合体の分子量や共重合組成、重合体溶液の濃度、溶媒の種類および凝固促進成分種類等によっても変わり、紡糸条件に合わせてそれぞれ測定する必要があるが、凝固浴の溶媒濃度80重量%前後が臨界濃度となることが多い。しかしながら、上記の方法は、一般のアクリル系繊維としての強度は十分発現するものの、凝固しにくいため延伸点が定まらず、繊維径が10倍ほども違う繊維を含むという、いわゆる繊度むらが大きくなる問題点があった。炭素繊維前駆体繊維としては繊維束に一部含まれる太い繊維は耐炎化不足となり、焼成工程を通過することはできなかった。
一方、乾湿式紡糸では、高い溶媒濃度の凝固浴でも、凝固浴の温度を下げることにより糸条を凝固させて安定に紡糸させ、炭素繊維の高強度化を図る技術が提案されている(特許文献5参照。)。しかしながら、この提案では、可紡性を高めにくいだけでなく、湿式紡糸の高糸条密度化しやすいという利点を享受することができなかった。また低温凝固と高コストであり、紡糸溶液の粘度も高くなり吐出量を高めることができず、低コスト紡糸に関する記載や技術的思想の示唆もないことから、湿式紡糸での高速紡糸に想到することは極めて困難であった。
WO2008/047745号公報 特開2000―144521号公報 特開2002―302828号公報 特公昭38−878号公報 繊維学会誌17号、249頁(1961年) 特開昭63−275714号公報
そこで本発明の目的は、アクリロニトリル系の炭素繊維前駆体繊維を湿式紡糸するに際し、生産性およびプロセス性を高め、高品質で高品位な炭素繊維前駆体繊維を得るための方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、後工程の炭素繊維の製造工程における通過安定性に優れた高品位な炭素繊維前駆体繊維の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成せんとするものであって、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は、重量平均分子量Mwが10万〜70万であり、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比で示される多分散度Mz/Mwが2.7〜6であるポリアクリロニトリル系重合体を5重量%以上30重量%未満の濃度で溶媒に溶解してなる紡糸溶液を湿式紡糸するに際し、該紡糸溶液を臨界濃度を超える溶媒濃度でかつ凝固糸条を成形することが可能な溶媒濃度の凝固浴中に吐出する炭素繊維前駆体繊維の製造方法である。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、紡糸ドラフトを1〜50とした条件下で湿式紡糸するものである。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の紡糸溶液の吐出温度を15〜40℃とし、凝固浴温度を0〜30℃とした条件下で湿式紡糸するものである。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の凝固浴温度を前記の紡糸溶液の吐出温度よりも5〜40℃低く設定し湿式紡糸するものである。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記の湿式紡糸するに際して、次の[a]〜[c]のいずれかの方法で紡糸するものである。
[a]紡糸口金の紡糸溶液吐出面の凝固浴中につかる浸漬長が20mm以下になるように紡糸口金を配置し、湿式紡糸する。
[b]紡糸口金が凝固浴から離れ、凝固浴の表面張力を利用して紡糸口金の紡糸溶液吐出面のみが凝固浴表面と接する状態に紡糸口金を配置し、流下方式で湿式紡糸する。
[c]紡糸口金の凝固浴中に没する部分の全側面を断熱材または加熱材で覆い、紡糸口金の紡糸溶液吐出面のみが凝固浴液と接するように紡糸口金を配置し、流上方式で湿式紡糸する。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法の好ましい態様によれば、前記のポリアクリロニトリル系重合体は、アクリロニトリルにアクリロニトリルと共重合可能な単量体を0.5〜5.0モル%共重合させてなる共重合体である。
本発明によれば、高糸条密度で、かつ、安定した高速紡糸を行うことの可能なPAN系重合体を用いた紡糸を行うことにより、低コストで高品位であり、炭素繊維前駆体繊維を製造することができる。また、断面真円な高品質な炭素繊維用前駆体繊維を製造することができる。
そして、得られた炭素繊維前駆体繊維を用いることにより、毛羽立ちや糸切れを抑制し、生産性を損なうことなく、かつ、集束性が高いことにより高糸条密度で焼成ができ、焼成工程でも安定して高品質で高品位な炭素繊維を製造することができる。
本発明者らは、特定の分子量分布を有する重合体を調整した紡糸溶液を、特定条件の湿式紡糸法により紡糸口金から吐出させ紡糸することにより、生産性高くかつ安定して炭素繊維前駆体繊維が製造できることを見いだした。
すなわち、本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法は、重量平均分子量Mwが10万〜70万であり、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比で示される多分散度Mz/Mwが2.7〜6であるポリアクリロニトリル系重合体(PAN系重合体)を5重量%以上30重量%未満の濃度で溶媒に溶解してなる紡糸溶液を湿式紡糸するに際し、該紡糸溶液を、臨界濃度を超える溶媒濃度でかつ凝固糸条を成形することが可能な溶媒濃度の凝固浴中に吐出するものである。
まず、本発明で用いられるPAN系重合体について説明する。本発明で用いられるPAN系重合体は、重量平均分子量Mwが10万〜70万であり、好ましくは15万〜50万であり、より好ましくは20〜45万である。また、本発明のPAN系重合体は、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比で示される多分散度Mz/Mwが2.7〜6であり、より好ましくは3〜6である。
本発明において、上記の各種平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(以下、GPCと略記する。)法で測定され、ポリスチレン換算値として得られるものである。また、多分散度Mz/Mwは、次の意味を有する。すなわち、数平均分子量Mn(以下、Mnと略記することがある。)は、高分子化合物に含まれる低分子量物の寄与を敏感に受ける。これに対して、重量平均分子量Mw(以下、Mnと略記することがある。)は、高分子化合物に含まれる高分子量物の寄与を敏感に受け、Z平均分子量Mz(以下、Mzと略記することがある。)は、高分子量物の寄与をさらに敏感に受ける。そのため、分子量分布であるMw/Mnや多分散度であるMz/Mwを用いることにより、分子量分布の広がりを評価することができる。分子量分布Mw/Mnが1であるとき単分散であり、この値が大きくなるにつれて分子量分布が低分子量側を中心にブロードになることを示すのに対して、多分散度Mz/Mwは大きくなるにつれて、分子量分布が高分子量側を中心にブロードになることを示す。
上記のように、分子量分布Mw/Mnと多分散度Mz/Mwの示すところが異なるため、分子量分布Mw/Mnが大きくても、必ずしも多分散度Mz/Mwが2.7以上になるということにはならない。
本発明において、上記のPAN系重合体を用いることにより、生産性の向上と安定化の両立を図りつつ、毛羽立ちの少ない高品位な炭素繊維前駆体繊維を製造することができるメカニズムは、必ずしも明確になった訳ではないが、次のように考えられる。
すなわち、紡糸口金孔直後でPAN系重合体が伸長変形する際に、超高分子量物と高分子量物が絡み合い、超高分子量物を中心に絡み合い間の分子鎖が緊張することにより伸長粘度の急激な増大、すなわち、歪み硬化がおこる。PAN系重合体溶液の細化に伴い細化部分の伸長粘度が高くなり、流動安定化するため紡糸速度を高め、かつ、紡糸ドラフト率を高めることができ、ひいては製糸速度を高めることができる。本発明におけるPAN系重合体を溶媒に溶解させた紡糸溶液を用いることにより、20,000mm/分もの高速で糸を曳いても糸条が切れることはなく、曳糸長としては測定ができないほど長くすることができる。
多分散度Mz/Mwは大きいほど好ましく、多分散度Mz/Mwが2.7未満では、歪み硬化が弱くPAN系重合体の吐出安定性向上が不足する。また、Mwが10万未満では、炭素繊維前駆体繊維の強度が不足し、Mwが70万より大きいと紡糸溶液における重合体濃度が高くなり、コストの面で不利となる。
また、分子量分布Mw/Mnは、小さいほど炭素繊維の構造欠陥となりやすい低分子成分の含有量が少ないため小さいほど好ましく、分子量分布Mw/Mnは、多分散度Mz/Mwよりも小さいことが好ましい。すなわち、高分子量側にも、低分子量側にもブロードであっても、吐出安定性低下は少ないが、低分子量側はなるべくシャープであることが好ましい。多分散度Mz/Mwは分子量分布Mw/Mnに対して、1.5倍以上であることが好ましく、更に好ましくは1.8倍以上である。
本発明者らの検討によると、通常、アクリロニトリル(AN)の重合でよく行われている、水系懸濁法や溶液法などのラジカル重合においては、分子量分布として低分子量側に裾を引いているため、分子量分布Mw/Mnの方が多分散度Mz/Mwよりも大きくなる。そのため、重合開始剤の種類と割合や逐次添加など、特殊な条件で重合を行うか、一般的なラジカル重合を用いる場合、2種以上のPAN系重合体を混合する方法があり、重合体を混合する方法が簡便である。混合するPAN系重合体の種類は、少ないほど簡便であり、吐出安定性の観点からも2種で十分なことが多い。
混合するPAN系重合体のMwは、Mwの大きいPAN系重合体をA成分とし、Mwの小さいPAN系重合体をB成分とすると、A成分のMwは好ましくは80万〜1500万であり、より好ましくは100万〜500万であり、B成分のMwは5万〜70万であることが好ましい。A成分とB成分のMwの差が大きいほど、混合されたPAN系重合体の多分散度Mz/Mwが大きくなる傾向があるため好ましい態様であるが、A成分のMwが1500万より大きいときはA成分の生産性は低下する場合があり、B成分のMwが5万未満のときは前駆体繊維の強度が不足する場合があるので、多分散度Mz/Mwは6以下とすることが現実的である。
具体的には、A成分とB成分の重量平均分子量Mwの比[A(Mw)/B(Mw)]は、4〜45であることが好ましく、より好ましくは20〜45である。
また、A成分とB成分の重量比(A/B)は、0.003〜0.3であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.2であり、さらに好ましくは0.01〜0.1である。A成分とB成分の重量比が0.003未満では、歪み硬化が不足することがあり、また、その重量比が0.3より大きいときは、重合体溶液の吐出粘度が上がりすぎて吐出困難となることがある。
A成分とB成分の重合体を混合する場合、その手段として、両重合体を混合してから溶媒で希釈する方法、重合体それぞれを溶媒に希釈したもの同士を混合する方法、溶解しにくい高分子量物であるA成分を溶媒に希釈した後にB成分を混合溶解する方法、および高分子量物であるA成分を溶媒に希釈したものとB成分を構成する単量体を混合して単量体を溶液重合することにより混合する方法などを採用することができる。
両重合体の混合には、混合槽で攪拌する方法、ギヤポンプなどで定量してスタティックミキサーで混合する方法、および二軸押出機を用いる方法などを採用することができる。高分子量物を均一に溶解させる観点から、高分子量物であるA成分を初めに溶解する方法が好ましい。特に、炭素繊維前駆体製造用とする場合には、高分子量物であるA成分の溶解状態が極めて重要である。
具体的には、A成分の溶媒に対する重合体濃度、すなわちA成分と溶媒のみからなる溶液を仮想したときの、その溶液中におけるA成分の重合体濃度を好ましくは0.1〜5重量%になるようにした後、その溶液中にB成分を混合するか、あるいは、その溶液中にB成分を構成する単量体を混合して重合する方法を採用することができる。
上記のA成分の重合体濃度は、より好ましくは0.3〜3重量%であり、さらに好ましくは0.5〜2重量%である。上記のA成分の重合体濃度は、より具体的には、重合体の集合状態として、重合体がわずかに重なり合った準希薄溶液とすることが好ましく、B成分を混合する際に、あるいは、B成分を構成する単量体を混合して重合する際に、混合状態が均一となりやすいという観点から、孤立鎖の状態となる希薄溶液とすることが更に好ましい態様である。希薄溶液となる濃度は、重合体の分子量と溶媒に対する重合体の溶解性によって決まる分子内排除体積によって決まると認められるため、一概には決められないが、本発明においては概ね前記範囲にすることにより凝集してフィルター濾材内に堆積することが少ない。上記の重合体濃度が5重量%を超える場合は、A成分の未溶解物が存在することがあり、重合体濃度が0.1重量%未満の場合は、分子量にもよるが希薄溶液となっているため効果が飽和していることが多い。
本発明では、上記のように、A成分の溶媒に対する重合体濃度を好ましくは0.1〜5重量%になるようにした後、それにB成分を混合溶解する方法を採用することができるが、工程省略の観点から、高分子量物のA成分を溶媒に希釈した溶液にB成分を構成する単量体を混合して、その単量体を溶液重合することにより混合する方法を採用する方が好ましい。
A成分の溶媒に対する重合体濃度を0.1〜5重量%になるようにする方法としては、希釈による方法でも重合による方法でも構わない。希釈する場合は、A成分を均一に希釈できるまで撹拌することが重要であり、希釈温度としては50〜120℃が好ましく、希釈時間は希釈温度や希釈前濃度によって異なるため、適宜設定することができる。希釈温度が50℃未満の場合は、希釈に時間がかかることがあり、120℃の温度を超える場合は、A成分が変質する恐れがある。
また、重合体の重なり合いを希釈する工程を減らし、重合体を均一に混合する観点から、前記のA成分の製造から前記のB成分の混合開始、あるいは、B成分を構成する単量体の重合開始までの間は、A成分の溶媒に対する重合体濃度を0.1〜5重量%の範囲に制御することが好ましい。具体的には、A成分を溶液重合により製造する際に、重合体濃度が5重量%以下の状態で重合を停止させ、得られた溶液にB成分を混合するか、あるいは、B成分を構成する単量体を混合しその単量体を重合する方法である。通常、溶媒に対する仕込み単量体の割合が少ないと、溶液重合により高分子量物を製造ことは困難なことが多い。そのため、溶媒に対する仕込み単量体の割合を多くするが、上記のA成分の重合体濃度が5重量%以下の段階では、重合率が低く未反応単量体が多く残存していることになる。未反応単量体を揮発除去してから、B成分を混合してもかまわないが、工程省略の観点からその未反応単量体を用いてB成分を溶液重合することが好ましい。
本発明で好適に用いられるA成分としては、PANと相溶性を有することが望ましく、相溶性の観点からPAN系重合体であることが好ましい。組成としては、アクリロニトリル(以下、ANと略記することがある。)が好ましくは93〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を7モル%以下なら共重合させてもよい。共重合成分の連鎖移動定数がANより小さく、必要とするMwを得にくい場合は、共重合成分の量をなるべく減らすことが好ましい。
ANと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびそれらアルカリ金属塩、アンモニウム塩および低級アルキルエステル類、アクリルアミドおよびその誘導体、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸およびそれらの塩類またはアルキルエステル類などを用いることができる。中でも溶媒への溶解性を高める観点から、メチルアクリレートを共重合することが好ましい。
本発明において、A成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができる。ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、チオ硫酸ナトリウム水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。必要とするMwを得にくい場合は、連鎖移動定数の大きい溶媒、すなわち、塩化亜鉛水溶液による溶液重合法、あるいは水による懸濁重合法も好適に用いられる。
本発明で好適に用いられるB成分であるPAN系重合体の組成としては、ANが好ましくは93〜100モル%であり、ANと共重合可能な単量体を7モル%以下で共重合させることができる。共重合成分量が多くなるほど耐炎化工程で共重合部分での熱分解による分子断裂が顕著となり、得られる炭素繊維の引張強度が低下する。そのため、共重合可能な単量体の割合はより好ましくは、0.5〜5モル%であり、さらに好ましくは、1〜3モル%である。
ANと共重合可能な単量体としては、耐炎化を促進する成分と繊維の延伸性を向上させる成分が共重合されることが好ましい。耐炎化を促進する成分としては、例えば、カルボキシル基またはアミド基を一つ以上有する化合物が好ましく用いられる。この成分の共重合量を多くするほど、耐炎化反応が促進され、短時間で耐炎化処理することができ、生産性を高めることができる。耐炎化を促進する成分の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸、メサコン酸、アクリルアミドおよびメタクリルアミドが挙げられる。含有されるアミド基とカルボキシル基の数は、1つよりも2つ以上であることがより好ましく、その観点からは、耐炎化を促進するための共重合可能な成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、シトラコン酸、エタクリル酸、マレイン酸およびメサコン酸が好ましく、イタコン酸、マレイン酸およびメサコン酸がより好ましく、中でも、イタコン酸が最も好ましい。
製糸延伸性を向上させる共重合成分の具体例としては、アクリレートやメタクリレートなどのアクリル酸のエステルが挙げられ、好ましくはメチルアクリレートが用いられる。
本発明において、B成分であるPAN系重合体を製造するための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法および乳化重合法などから選択することができるが、ANや共重合成分を均一に重合する目的からは、溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いて重合する場合、溶媒としては、例えば、塩化亜鉛水溶液、チオ硫酸ナトリウム水溶液、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPANが可溶な溶媒が好適に用いられる。中でも、PANの溶解性の観点から、ジメチルスルホキシドを用いることが好ましい。これらの重合に用いられる原料は、全て濾過精度1μm以下のフィルター濾材を通した後に用いることが好ましい。
前記したPAN系重合体を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびジメチルアセトアミドなどPAN系重合体が可溶な溶媒に溶解し、紡糸原液とする。溶液重合を用いる場合、重合に用いられる溶媒と紡糸溶媒を同じものにしておくと、得られたPAN系重合体を分離し紡糸溶媒に再溶解する工程が不要となる。
PAN系重合体溶液の重合体濃度は、5〜30重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは14〜25重量%であり、さらに好ましくは18〜23重量%である。重合体濃度が5重量%未満では溶媒使用量が多くなり経済的でなく、凝固浴内での凝固速度を低下させ内部にボイドが生じて緻密な構造が得られないことがある。一方、重合体濃度が30重量%を超えると粘度が上昇し、紡糸が困難となる傾向を示す。紡糸溶液の重合体濃度は、使用する溶媒量により調製することができる。
本発明において重合体濃度とは、PAN系重合体の溶液中に含まれるPAN系重合体の重量%である。具体的には、PAN系重合体の溶液を計量した後、PAN系重合体を溶解せずかつPAN系重合体溶液に用いる溶媒と相溶性のある溶媒を用いて、計量したPAN系重合体溶液を脱溶媒させた後、PAN系重合体を計量する。重合体濃度は、脱溶媒後のPAN系重合体の重量を、脱溶媒する前のPAN系重合体の溶液の重量で割ることにより算出する。
また、45℃の温度におけるPAN系重合体溶液の粘度は、15〜200Pa・sの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜150Pa・sの範囲であり、さらに好ましくは30〜100Pa・sの範囲である。溶液粘度が15Pa・s未満では、紡糸糸条の賦形性が低下するため、紡糸口金から吐出された糸条を引き取る速度、すなわち可紡性が低下する傾向を示す。また、溶液粘度が200Pa・sを超えるとゲル化し易くなり、フィルター濾材が閉塞しやすくなる傾向を示す。紡糸溶液の粘度は、重合開始剤や連鎖移動剤の量などにより制御することができる。
本発明において45℃の温度におけるPAN系重合体溶液の粘度は、B型粘度計により測定することができる。具体的には、ビーカーに入れたPAN系重合体溶液を、45℃の温度に温度調節された温水浴に浸して調温した後、B型粘度計として、(株)東京計器製B8L型粘度計を用いて測定する。条件としては、ローターNo.4を使用し、PAN系重合体溶液の粘度が0〜100Pa・sの範囲はローター回転数6r.p.m.で測定し、またその紡糸溶液の粘度が100〜1000Pa・sの範囲はローター回転数0.6r.p.m.で測定する。
PAN系重合体溶液を紡糸する前に、高強度な炭素繊維を得る観点から、そのPAN系重合体溶液を、例えば、目開き10μm以下のフィルターに通し、重合体原料および各工程において混入した不純物を除去することが好ましい。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法において、紡糸溶液は、湿式紡糸法により紡糸口金から凝固浴中に吐出され、凝固され、炭素繊維前駆体繊維が形成される。ここで湿式紡糸法は、紡糸口金を凝固浴中に配置し、紡糸溶液を直接凝固浴に導入する紡糸法のことを言い、一旦、空気中に吐出した後、凝固浴に導入する、いわゆる乾湿式紡糸法は含まない。
本発明で好ましく用いられる紡糸口金の平均孔径は、好ましくは0.05mm〜0.2mmであり、より好ましくは0.12〜0.18mmである。紡糸口金の平均孔径が0.05mmより小さい場合、紡糸溶液である重合体溶液を高圧で紡糸口金から吐出させる必要があり、紡糸装置の耐久性が低下し、更にノズルからの紡出が困難となるばかりでなく、紡糸ドラフトを高く設定するとポリアクリロニトリル系繊維の単繊維繊度が細くなり過ぎ、炭素繊維前駆体繊維としては適さない。一方、紡糸口金の平均孔径が0.2mmを超えると、10dtex以下の乾燥させた単繊維繊度の凝固糸を得ることが困難である。また、平均孔ピッチを広げないと隣接孔から紡出されたPAN系重合体溶液と接着し、炭素繊維の強度を低下させる。
本発明において紡糸口金の平均孔径は、紡糸口金面を顕微鏡観察することにより測定することができる。孔径が異なる孔を有する場合には、孔径と孔数割合で平均する。また、紡糸口金の孔数は、12000〜96000個であることが好ましい。孔数が12000個より少ない場合、生産性が低下することが多く、一方、孔数が96000個を超える場合には、炭素繊維としての最終製品形態と合わないことがある。
また、紡糸溶液の紡糸ドラフトは1〜50の範囲であることが好ましい。通常、湿式紡糸では、紡糸ドラフトを高めることは困難であり、1未満で行うことが一般的であるが、本発明の後述する臨界以上の凝固浴条件下では、紡糸ドラフトを高めることにより、紡糸溶液に伸長歪みがかかり、伸長粘度が高まるため、安定した紡糸が可能となる。紡糸ドラフトは、より好ましくは2〜15の範囲であり、さらに好ましくは5〜15の範囲である。
ここで紡糸ドラフトとは、紡糸糸条(フィラメント)が紡糸口金を離れて最初に接触する駆動源を持ったローラーの表面速度(凝固糸の引き取り速度)を、紡糸口金孔内のPAN系重合体溶液の線速度(吐出線速度)で割った値をいう。この吐出線速度とは、単位時間当たりに吐出される重合体溶液の体積を口金孔面積で割った値をいう。したがって、吐出線速度は、PAN系重合体溶液の吐出量と紡糸口金の孔径の関係で決まる。PAN系重合体を含むPAN系重合体溶液は、紡糸口金孔を出て凝固浴に接して次第に凝固して凝固糸(フィラメント)となる。このとき第一ローラーによりフィラメントは引っ張られているが、フィラメントよりも未凝固紡糸溶液の方が伸び易いので、紡糸ドラフトとは、紡糸溶液が固化するまでに引き伸ばされる倍率を示すことになる。すなわち、紡糸ドラフトは次式で表されるものである。
・紡糸ドラフト=(凝固糸の引き取り速度)/(吐出線速度)
上記の紡糸ドラフトを高めることは、繊維の細径化への寄与も大きい。紡糸ドラフトが1未満では、生産性向上効果が少なく、生産性の観点から紡糸ドラフトが50以下で十分である。
本発明において、吐出線速度は4〜40m/分であることが好ましい。吐出線速度が4m/分を下回ると、高速紡糸の効果が得られず、一方、吐出線速度が40m/分を超えると、それ以降の工程速度に関する問題が発生することがある。吐出線速度は、紡糸口金の平均孔径と孔数とPAN系重合体溶液の吐出量によって制御することができる。
生産性を高める観点からは、凝固糸の引き取り速度を35〜240m/分にすることが好ましく、吐出線速度が低い場合には、紡糸ドラフトを高めることにより目的とする生産性を達成することができる。
本発明において、乾燥させた凝固糸を構成する単繊維の単繊維繊度は、上述したPAN系重合体を含む重合体溶液の重合体濃度と、紡糸ドラフトと、使用する紡糸口金の孔径によって決定される。この乾燥させた凝固糸の単繊維繊度は、好ましくは1〜10dtexであり、より好ましくは1〜8dtexであり、更に好ましくは1.5〜6dtexである。乾燥させた凝固糸の単繊維繊度が10dtexを超える場合には、均一な凝固が困難となることがあり、物性が低下することがある。また、乾燥させた凝固糸の単繊維繊度が1dtex未満では、生産性が低下する。
本発明における乾燥させた凝固糸の単繊維繊度(dtex)とは、紡糸口金を離れて最初に接触する駆動源を持ったローラーにより引き取られた凝固糸を流水で1時間以上水洗し、単繊維1000mあたりの乾燥重量(g)をいう。
本発明において用いられる凝固浴には、PAN系重合体溶液で溶媒として用いたジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、塩化亜鉛水溶液、およびチオ硫酸ナトリウム水溶液などのPAN系重合体の溶媒と、いわゆる凝固促進成分の混合物が用いられる。凝固促進成分としては、前記のPAN系重合体を溶解せず、かつPAN系重合体溶液に用いた溶媒と相溶性があるものが好ましい。凝固促進成分としては、具体的には、水、メタノール、エタノールおよびアセトンなどが挙げられるが、水を使用することが最も好ましい。
本発明において、凝固浴における溶媒濃度は臨界濃度を超える溶媒濃度であって、かつ、凝固糸条を成形することが可能な溶媒濃度とすることが重要である。本発明では、このような条件を採ることにより高速製糸が可能となるものである。
先に従来技術で述べたように、可紡性は、凝固浴の溶媒濃度を高めるほど、すなわち、凝固促進成分濃度を下げるほど低下していき、ある臨界点を超える溶媒濃度になると逆に可紡性が急激に大きく向上する。凝固浴の溶媒濃度をさらに溶媒濃度を高めると、凝固できなくなり糸条を形成しなくなる。本発明では、凝固浴において、可紡性が最も小さくなる凝固浴の溶媒濃度を臨界濃度と定義する。
臨界濃度は、重合体の分子量や共重合組成、重合体溶液の濃度、溶媒種類および凝固促進成分種類によっても変わり、紡糸条件に合わせてそれぞれ測定する必要がある。実際に用いられる紡糸溶液、紡糸口金孔径や吐出速度などの吐出条件、凝固浴温度などの凝固条件に設定し、凝固浴の溶媒濃度のみ1重量%ずつ増やしてそれぞれ単繊維の糸切れもない限界の凝固糸の引き取り速度を測定していき、その速度の極小点となる凝固浴の溶媒濃度を臨界濃度とする。概ね、凝固浴の溶媒濃度70〜90重量%、中でも80重量%前後が臨界濃度となることが多い。そもそも溶媒として水を含んでいる無機塩水溶液の場合は、それを溶媒として考えるので、水溶液の無機塩濃度が溶媒濃度とはならない。
また、凝固に必要な凝固剤量があり、それを下回ると溶媒から重合体が分離せず、糸条を形成しないため、そのような溶媒濃度では、繊維製造が不可能であり、本発明には適さない。すなわち、凝固糸条を成形することが可能な溶媒濃度以下とすることが重要である。
カルボン酸基を有する共重合成分を多く含むこと、側鎖の大きい共重合成分を多く含むこと、重合体溶液の濃度が小さいことは凝固しにくく、凝固に必要な凝固剤の量が多くなるので臨界濃度を低下させる方向である。また、溶媒種類による違いは各種溶媒の値がそれぞれ調べられている。凝固剤は凝固力の弱いものを用いるほど、例えば、水に比べてメタノールやエタノールを用いると臨界濃度は低下する。また、同様の操作を行うと凝固糸条を成形することが可能な溶媒濃度も同様に低下する。
凝固糸の限界引き取り速度は、上記条件で引き取り速度を上げていき、単繊維の糸切れが起こった1m/分手前を限界速度とするが、紡糸口金孔数を100〜500孔に減らすことと凝固浴槽サイズを10〜50Lとするスケールダウンをして評価を行うことができる。実際の条件と凝固糸の限界引き取り速度が異なる場合は、実際の条件の値を選択する。
本発明において、凝固浴温度を0〜30℃とすることが好ましい。凝固浴温度は溶媒の凝固浴中への拡散速度および凝固促進成分の紡糸溶液への拡散速度に影響を与え、その結果、凝固浴温度が低いほど緻密な凝固糸となり、高強度な炭素繊維が得られる。凝固浴温度は、より好ましくは0〜20℃であり、更に好ましくは0〜10℃である。
本発明において、紡糸溶液の吐出温度を15〜40℃とすることが好ましい。吐出温度が15℃未満では、紡糸溶液の吐出粘度が高くなり、凝固出で引き取った後の延伸倍率を高めることが困難となりやすい。また、吐出温度が40℃を超えると熱量の損失が大きいとともに凝固糸が緻密になり難い。
また、本発明において、凝固浴温度を紡糸溶液の吐出温度よりも5〜40℃低く設定することが好ましい。温度差をつけることにより、それぞれの最適温度に設定しやすいものとなる。そのためには、紡糸口金の紡糸溶液吐出面が凝固浴と実質的に接することが好ましい。本発明で、紡糸口金の紡糸溶液吐出面とは、紡糸口金の孔出口側の面を指す。紡糸口金の紡糸溶液吐出面が凝固浴と実質的に接するとは、紡糸口金がその紡糸溶液吐出面を先端にして凝固浴中に浸かり、紡糸口金が凝固浴と直接的に接して凝固浴温度の影響を直接的に受ける、紡糸口金先端部の凝固浴中への浸漬長Lが、好ましくは20mm以下であり、さらに好ましくは10mm以下であることを意味する。浸漬長Lは0mmが最も好ましい。浸漬長Lとは、紡糸口金の紡糸溶液吐出面から口金の方に垂直方向に凝固浴内壁あるいは、凝固浴液面までの距離を指す。横向きあるいは上向きに吐出する場合は、凝固浴内壁までの距離を指し、下向きに吐出する場合は、凝固浴液面までの距離を指す。
本発明では、紡糸口金の凝固浴中に没する部分の全側面を断熱材または加熱材で覆い、紡糸口金の紡糸溶液吐出面のみが凝固浴液と接するように紡糸口金を配置することができる。紡糸口金の側面を部分的に断熱材または加熱部材で覆う場合、その浸漬長Lとは、その断熱材または加熱部材で覆われていない位置から紡糸溶液吐出面までの範囲の長さを意味する。
本発明で最も好ましい実施の態様は、紡糸溶液を下方に吐出するように、かつ、紡糸口金を平均的な凝固浴液面高さより高く設置し、凝固浴液での表面張力で紡糸口金の紡糸溶液吐出面のみが凝固浴と接触するようにする場合である。この方法では、凝固浴液が紡糸口金面から離れることや初期凝固時の温度むらが発生することなく、安定した紡糸を実現することができる。また、紡糸口金の全側面を断熱材または加熱材で覆って、紡糸口金の紡糸溶液吐出面のみが凝固浴と接するように構成(すなわちL=0)して流上方式で紡糸する場合も、同様に非常に好ましい態様である。本発明では、凝固浴の溶媒濃度が高く凝固しにくいため、凝固浴温度はなるべく低く設定することが好ましく、このような実施形態が好ましいものとなる。
また、本発明において、凝固浴中での糸条の浸漬長は50〜300cmであることが好ましく、凝固浴槽を2つ用い、その凝固浴槽間にガイド、駆動ローラー、フリーローラーを入れ、一旦取り出した凝固糸を第2凝固浴に入れる、という2段階に分けた凝固を行っても構わない。ここで、第2凝固浴槽とは、溶媒濃度が第1凝固浴槽と5%以内の差で調整されたものであり、水洗槽1槽目と区別される。例えば、1段目は糸条の浸漬長を5〜300cmとして、残りを2段目とするものである。1段目では凝固浴温度を15〜30℃として延伸した上で、2段目で0〜15℃として緻密な凝固構造とすることも好ましい態様である。
本発明において、PAN系重合体溶液を凝固浴中に導入して凝固させ凝固糸を形成した後、水洗工程、浴中延伸工程、油剤付与工程および乾燥工程を経て、炭素繊維前駆体繊維が得られる。また、上記の工程に、さらに乾熱延伸工程や蒸気延伸工程を加えてもよい。凝固後の凝固糸は、水洗工程を省略して直接浴中延伸を行っても良いし、溶媒を水洗工程により除去した後に浴中延伸を行っても良い。浴中延伸は、通常、30〜98℃の温度に温調された単一または複数の延伸浴中で行うことができる。そのときの浴中延伸倍率は、1〜5倍であることが好ましく、より好ましくは1〜3倍である。
浴中延伸工程の後、単繊維同士の接着を防止する目的から、延伸された糸条にシリコーン等からなる油剤を付与することが好ましい。シリコーン油剤は、耐熱性の高いアミノ変性シリコーン等の変性されたシリコーンを含有するものを用いることが好ましい。
次の乾燥工程は、公知の方法を利用することができる。例えば、乾燥温度が70〜200℃で乾燥時間が10秒〜200秒の乾燥条件が好ましい結果を与える。生産性の向上や結晶配向度の向上を目的として乾燥工程後に延伸してもよいが、毛羽立ちによる品位の低下を招く恐れがある。重要なことは、ポリアクリロニトリル系繊維の結晶配向度を低下させることなく、凝固糸を構成する単繊維繊度を細くすることである。そのためには、なるべく紡糸ドラフトを高くして、凝固工程より後の延伸倍率は低くすることである。そのため、浴中延伸工程と乾燥工程後の延伸工程を合わせた倍率は、好ましくは8〜15倍である。
このようにして得られた炭素繊維前駆体繊維の単繊維繊度は、0.6〜1.5dtexであることが好ましく、より好ましくは0.9〜1.3dtexである。単繊維繊度が小さすぎると、生産性が低下することがある。一方、単繊維繊度が大きすぎると、耐炎化後の各単繊維における内外構造差が大きくなり、続く炭化工程でのプロセス性低下や、得られる炭素繊維の引張強度および引張弾性率が低下することがある。
本発明の炭素繊維前駆体繊維の製造方法を用いることにより、単繊維繊度を低下させることが容易であり、炭素繊維の引張強度と弾性率向上にも有効である。本発明における単繊維繊度(dtex)とは、単繊維10,000mあたりの重量(g)である。
得られる炭素繊維前駆体繊維は、通常、連続繊維束(マルチフィラメント)の形状を呈している。また、その連続繊維束1糸条(マルチフィラメント)当たりのフィラメント数は、好ましくは12,000〜3,000,000本であり、より好ましくは24,000〜3,000,000本である。1糸条あたりのフィラメント数は、生産性の向上の目的からは多い方が好ましいが、あまりに多すぎると束内部まで均一に耐炎化処理できないことがある。
次に、本発明において、好ましい炭素繊維の製造方法について説明する。
前記した方法により製造された炭素繊維前駆体繊維を、好適には200〜300℃の温度の酸化性雰囲気中において、好ましくは緊張あるいは延伸条件下、より好ましくは延伸比0.8〜2.5で延伸しながら耐炎化処理した後、好適には300〜800℃の温度の不活性雰囲気中において、好ましくは延伸比0.9〜1.5で延伸しながら予備炭化処理し、次いで好適には1,000〜3,000℃の最高温度の不活性雰囲気中において、好ましくは延伸比0.9〜1.1で延伸しながら、炭化処理して炭素繊維を製造する。
耐炎化処理における酸化性雰囲気としては、空気が好ましく採用される。この耐炎化工程で得られる耐炎化繊維の密度は、好ましくは1.3〜1.4g/cmになるようにする。耐炎化が不十分で耐炎化繊維の密度が1.3g/cmに満たない場合には、炭化する際に単繊維間接着が発生し易くなり、また、分解ガスの発生量が多くなり緻密性が低下し易くなるため、高性能な炭素繊維が得にくく、結晶サイズLcが粗大化する傾向にあり圧縮強度が向上しない。一方、過度に耐炎化を進めると重合体主鎖の切断が起こり、最終的に得られる炭素繊維の引張強度が低下する問題があるため、耐炎化密度は1.4g/cm3を超えないことが好ましい。
本発明において、予備炭化処理や炭化処理は不活性雰囲気中で行なわれる。不活性雰囲気に用いられるガスとしては、窒素、アルゴンおよびキセノンなどを例示することができ、経済的な観点からは窒素が好ましく用いられる。予備炭化処理では、その温度範囲における昇温速度を500℃/分以下に設定することが好ましい。また、炭化処理における最高温度は、所望する炭素繊維の力学物性に応じて適宜設定することができる。一般に炭化処理の最高温度が高いほど、得られる炭素繊維の引張弾性率が高くなるものの、引張強度は1,500℃付近で極大となる。そのため、引張強度と引張弾性率の両方を高めるという目的からは、炭化処理の最高温度は1,200〜1,700℃とすることが好ましく、より好ましくは1,300〜1,600℃である。一方、炭化処理の最高温度が1,500℃を超えると、窒素原子の消失に伴い発生するボイド量が増加するため、緻密な炭素繊維を得る観点からは1,500℃以下にすることが好ましい。
得られた炭素繊維は、その表面改質のため電解処理することができる。電解処理に用いられる電解液には、硫酸、硝酸および塩酸等の酸性溶液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、炭酸アンモニウムおよび重炭酸アンモニウムのようなアルカリまたはそれらの塩を水溶液として使用することができる。ここで、電解処理に要する電気量は、適用する炭素繊維の炭化度に応じて適宜選択することができる。
電解処理により、得られる複合材料において炭素繊維マトリックスとの接着性を適正化させることができる。すなわち電解処理により、接着が強すぎることによる複合材料の脆性的な破壊や、繊維方向の引張強度が低下する問題や、繊維方向における引張強度は高いものの、マトリックス樹脂との接着性に劣り非繊維方向における強度特性が発現しないという問題が解消され、得られる複合材料において、繊維方向と非繊維方向の両方向にバランスのとれた強度特性が発現されるようになる。
電解処理の後、炭素繊維に集束性を付与するため、サイジング処理を施すこともできる。サイジング剤には、使用するマトリックス樹脂の種類に応じて、マトリックス樹脂等との相溶性の良いサイジング剤を適宜選択することができる。
本発明において得られる炭素繊維は、プリプレグとしてオートクレーブ成形、織物などのプリフォームとしてレジントランスファーモールディングで成形、およびフィラメントワインディングで成形するなど種々の成形法により、航空機部材、圧力容器部材、自動車部材、釣り竿およびゴルフシャフトなどのスポーツ部材として、好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。実施例で用いた測定方法を、次に説明する。
<各種分子量:Z平均分子量(Mz)、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)>
測定しようとする重合体が濃度0.1重量%でジメチルホルムアミド(0.01N−臭化リチウム添加)に溶解した検体溶液を作製する。作製した検体溶液について、GPC装置を用いて、次の条件で測定したGPC曲線から分子量分布曲線を求め、Z平均分子量Mz、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを算出する。
・カラム :極性有機溶媒系GPC用カラム
・流速 :0.5ml/分
・温度 :75℃
・試料濾過 :メンブレンフィルター(0.45μmカット)
・注入量 :200μl
・検出器 :示差屈折率検出器
Mwは、分子量が異なる分子量既知の単分散ポリスチレンを少なくとも6種類用いて、溶出時間―分子量の検量線を作成し、その検量線上において、該当する溶出時間に対応するポリスチレン換算の分子量を読み取ることにより求める。
実施例では、GPC装置として(株)島津製作所製CLASS−LC2010を、カラムとして東ソー(株)製TSK−GEL−α―M(×2)+東ソー(株)製TSK−guard Colume αを、ジメチルホルムアミドおよび臭化リチウムとして和光純薬工業(株)製を、メンブレンフィルターとしてミリポアコーポレーション製0.45μ−FHLP FILTERを、示差屈折率検出器として(株)島津製作所製RID−10AVを、検量線作成用の単分散ポリスチレンとして、分子量184000、427000、791000および1300000、1810000、4210000のものを、それぞれ用いた。
<凝固浴の臨界濃度と紡糸不能濃度と溶媒濃度>
凝固浴の臨界濃度は、実施例に用いられる紡糸溶液、紡糸口金孔径や吐出速度などの吐出条件、凝固浴温度などの凝固条件に設定し、凝固浴の溶媒濃度のみ1重量%ずつ増やしてそれぞれ単繊維の糸切れもない限界の凝固糸の引き取り速度を測定し、その速度の極小点となる凝固浴の溶媒濃度を臨界濃度とする。溶媒濃度は大きく変化させて、おおまかな臨界濃度を調べてから、臨界濃度付近のみ溶媒濃度を1重量%ずつ変化させて、臨界濃度と糸条を形成しなくなる濃度(紡糸不能濃度と記述することがある。)を求めた。溶媒濃度は、混合した溶媒と凝固剤の重量比から求めた。また、混合した重量比から屈折率と溶媒濃度との検量線を測定し、屈折率から溶媒濃度を求めることも行った。
<炭素繊維束の引張強度>
JIS R7601(1986)「樹脂含浸ストランド試験法」に従って求める。測定する炭素繊維の樹脂含浸ストランドは、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート(100重量部)/3フッ化ホウ素モノエチルアミン(3重量部)/アセトン(4重量部)を、炭素繊維または黒鉛化繊維に含浸させ、130℃の温度で30分硬化させて作製する。また、炭素繊維のストランドの測定本数は6本とし、各測定結果の平均値を引張強度とする。本実施例では、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートとして、ユニオンカーバイド(株)製“ベークライト”(登録商標)ERL4221を用いた。
[実施例1]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、およびジメチルスルホキシド130重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmになるまで窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル(以下、AIBNと略記する。)0.001重量部を投入し、撹拌しながら下記の(1)と(2)の条件(重合条件Aと呼ぶ。)の熱処理を行った。
(1)70℃の温度で4時間保持
(2)70℃の温度から30℃の温度へ降温(降温速度120℃/時間)
次に、その反応容器中に、ジメチルスルホキシド240重量部、重合開始剤としてAIBN 0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部を計量導入した後、撹拌しながら下記の(1)〜(4)の条件(重合条件Bと呼ぶ。)の熱処理を行い、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液を得た。
(1)30℃から60℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(2)60℃の温度で4時間保持
(3)60℃から80℃へ昇温(昇温速度10℃/時間)
(4)80℃の温度で6時間保持
次いで、重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことによりイタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を作製した。重合体は、GPC法で測定されるMwが40万であり、Mz/Mwが2.7であり、45℃の温度における粘度が40Pa・sであった。
得られた紡糸溶液を、20℃の温度で、孔数12,000、紡糸口金孔径0.15mmの紡糸口金から20℃の温度にコントロールした83重量%ジメチルスルホキシドの水溶液からなる凝固浴に直接導入する湿式紡糸法により紡糸し凝固糸とした。臨界濃度は80重量%であり、紡糸不能濃度は86重量%であった。紡糸口金は横向きに吐出できるように浸漬距離300mmで設置し、紡糸口金吐出面以外の凝固浴に浸漬している部分は断熱材で覆った。このときの吐出線速度は10m/分となるように紡糸口金への送液量を調整し、凝固糸の巻取り速度を変更することにより、糸切れの発生する限界紡糸ドラフト率の測定を行った。また、紡糸ドラフト率8の条件で凝固糸を得、水洗した後、90℃の温度の温水中で2倍の浴中延伸倍率で延伸し、さらにアミノ変性シリコーン系シリコーン油剤を付与し、165℃の温度の加熱炉を用いて非接触で乾燥しながら2倍の倍率で延伸を行い、単繊維繊度1.3dtexの炭素繊維前駆体繊維を得た。得られた炭素繊維前駆体繊維の品位は優れており、製糸工程通過性も安定していた。また得られた12000本の繊維束の断面を光学顕微鏡で観察したが、繊維径が平均値より30%以上異なる単繊維はなく、いわゆる繊度むらは見られなかった。
得られた炭素繊維前駆体繊維を240〜260℃の温度の温度分布を有する空気中において延伸比1.1で延伸しながらで40分間耐炎化処理し、耐炎化繊維を得た。続いて、得られた耐炎化繊維を300〜700℃の温度の温度分布を有する窒素雰囲気中において、延伸比1.1で延伸しながら予備炭化処理を行い、さらに最高温度1300℃の窒素雰囲気中において、延伸比を0.97に設定して炭化処理を行い、連続した炭素繊維束を得た。このときの焼成工程通過性はいずれも良好であった。得られた炭素繊維束のストランド物性を測定したところ、強度は4.4GPaであった。
[実施例2]
紡糸溶液の吐出温度を30℃に変更し、凝固浴温度を15℃に変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は4.5GPaであった。
[実施例3]
紡糸溶液の吐出を下向きにして紡糸口金面を凝固浴の液面より高い位置に設置し、表面張力で凝固浴液に浸漬することにより湿式紡糸するように変更した他は、実施例2と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は4.6GPaであった。
[実施例4]
凝固浴温度を5℃に変更した他は、実施例3と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程・および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は4.8GPaであった。
[実施例5]
紡糸溶液の吐出を上向きにして、凝固浴底面と口金面が一致するようし、液深を10mmとして引き出し、ガイドを経由して、1段目と同じ濃度、凝固浴温度を5℃の2段目の凝固浴に投入するように変更した他は、実施例3と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は4.5GPaであった。
[実施例6]
共重合成分にアクリル酸メチル2重量部を追加して用いたこと以外は、実施例1と同様にして同様仕様のPAN系重合体溶液を得た。その溶液を水で脱溶媒し、得られた重合体を凍結粉砕した上で、ジメチルアセトアミドに重合体濃度が22重量%となるように20℃の温度でスラリーを作製し、攪拌したまま80℃の温度に昇温し、6時間溶解することで紡糸溶液を作製した。紡糸口金孔数を500個にしたこと以外は、実施例1と同様にして炭素繊維前駆体繊維を得た。使用する溶媒を変えても製糸工程の工程通過性は良好であり、得られた炭素繊維前駆体繊維の繊度むらはないことが確認できた。
[実施例7]
2回目に投入したオクチルメルカプタンを0.1重量部から0.2重量部に変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られたPAN系重合体のMwは20万であった。製糸工程および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は4.4GPaであった。
[実施例8]
上記実施例1の重合条件Aにおいて70℃の温度の保持時間を4時間から8時間に変更した他は、実施例7と同様にして炭素繊維束を得た。得られたPAN系重合体のMwは40万であり、Mz/Mwは6であった。製糸工程および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は4.4GPaであった。
[実施例9]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、およびジメチルスルホキシド130重量部を混合し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を酸素濃度が1000ppmになるまで窒素置換した後、重合開始剤として、AIBN0.001重量部を投入し、撹拌しながら下記の(1)と(2)の条件(重合条件Cと呼ぶ。)の熱処理を行った。
(1)70℃の温度で2時間保持
(2)70℃の温度から30℃の温度へ降温(降温速度120℃/時間)
次に、その反応容器中に、ジメチルスルホキシド140重量部、重合開始剤としてAIBN 0.3重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.4重量部を計量導入した後、撹拌しながら上記実施例1の重合条件Bの熱処理を行い、残存する未反応単量体を溶液重合法により重合してPAN系重合体溶液を得た。次いで、重合体濃度が25重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことによりイタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を作製した。重合体は、GPC法で測定されるMwが15万であり、Mz/Mwが2.7であり、20℃における粘度が50Pa・sであった。
紡糸溶液と紡糸ドラフトを10倍に変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。得られたPAN系重合体のMwは20万であった。製糸工程および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は5.5GPaであった。
[実施例10]
上記実施例9の重合条件Cにおいて70℃の温度の保持時間を2時間から3.5時間に変更した他は、実施例9と同様にして炭素繊維束を得た。得られたPAN系重合体のMwは22万であり、Mz/Mwは4であった。製糸工程および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は5.6GPaであった。
[実施例11]
凝固浴の溶媒濃度を84%に変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程および焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなかったが、若干単繊維間に融着が発生しており、炭素繊維束のストランド強度は4.0GPaであった。
[比較例1]
凝固浴の溶媒濃度を78重量%に変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得ようとしたが、臨界濃度より凝固浴の溶媒濃度が低かったため、限界紡糸ドラフトが極めて低く、サンプリングできなかった。
[比較例2]
AN100重量部、イタコン酸1重量部、ラジカル開始剤としてAIBN0.4重量部、および連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン0.1重量部をジメチルスルホキシド370重量部に均一に溶解し、それを還流管と攪拌翼を備えた反応容器に入れた。反応容器内の空間部を窒素置換した後、撹拌しながら上記実施例1の重合条件Bの熱処理を行い、溶液重合法により重合して、PAN系重合体溶液を得た。
得られたPAN系重合体溶液を、重合体濃度が20重量%となるように調製した後、アンモニアガスをpHが8.5になるまで吹き込むことにより、イタコン酸を中和しつつ、アンモニウム基を重合体に導入し、紡糸溶液を作製した。重合体は、GPC法で測定されるMwが40万であり、Mz/Mwが1.8であり、50℃の温度における粘度が50Pa・sであった。上記のように紡糸溶液を変更した他は、実施例1と同様にして炭素繊維束を得ようとしたが、前駆体繊維の断面を観察すると、繊維径の最大値と最小値が10倍程度異なるものが多数観察されることに代表されるように繊度むらが激しく、炭素化工程の前半で糸切れが発生し、サンプリングできなかった。
[比較例3]
凝固浴の溶媒濃度を78%に変更した他は、比較例2と同様にして炭素繊維束を得ようとしたが、臨界濃度より凝固浴濃度が低かったため、限界紡糸ドラフトが極めて低く、サンプリングできなかった。
[比較例4]
紡糸口金孔径を0.05mmに、紡糸ドラフトを0.5倍に、加熱炉の延伸倍率を3.5倍に変更した他は、比較例2と同様にして炭素繊維束を得た。製糸工程および焼成工程ともに若干巻付きが発生し、工程通過性が悪化したが、得られた前駆体繊維の繊度むらはなかった。高速紡糸したため強度低下が起こり、炭素繊維束のストランド強度は2.5GPaであった。
[比較例5]
紡糸口金孔数500個とし、紡糸口金を凝固浴液面から5mmの高さに設定し、吐出温度を50℃とし、凝固浴温度を5℃とした乾湿式紡糸を行い、炭素繊維前駆体繊維束を24本合糸して12000本とした上で焼成を行った他は、実施例1と同様にして炭素繊維を得た。製糸工程・焼成工程ともに工程通過性は良好であり、得られた前駆体繊維の繊度むらはなく、炭素繊維束のストランド強度は5.0GPaであったが、紡糸口金孔ピッチを広げなければ、強度が低下したため、紡糸口金径が同一であったにもかかわらず、孔数が少なかったため、生産性が低下した。
[比較例6]
紡糸溶液の吐出温度を65℃に、凝固浴温度を65℃に変更した他は、比較例2と同様にして炭素繊維束を得ようとしたが、水洗工程、乾燥工程から繊維間の融着が激しく、サンプリングできなかった。
[比較例7]
紡糸溶液の吐出温度を35℃に、凝固浴温度を35℃に変更した他は、比較例2と同様にして炭素繊維束を得ようとしたが、水洗工程、乾燥工程から繊維間の融着があり、サンプリングできなかった。
上記した各実施例および各比較例におけるPAN系重合体の各種分子量、製糸条件、および、得られた炭素繊維束の引張強度などの結果を、まとめて表1に示す。
Figure 2010053468

Claims (6)

  1. 重量平均分子量Mwが10万〜70万であり、Z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比で示される多分散度Mz/Mwが2.7〜6であるポリアクリロニトリル系重合体を5重量%以上30重量%未満の濃度で溶媒に溶解してなる紡糸溶液を湿式紡糸するに際し、該紡糸溶液を臨界濃度を超える溶媒濃度でかつ凝固糸条を成形することが可能な溶媒濃度の凝固浴中に吐出する炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  2. 紡糸ドラフトを1〜50とした条件下で湿式紡糸する請求項1記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  3. 紡糸溶液の吐出温度を15〜40℃とし、凝固浴温度を0〜30℃とした条件下で湿式紡糸する請求項1または2記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  4. 凝固浴温度を紡糸溶液の吐出温度よりも5〜40℃低く設定し湿式紡糸する請求項3記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
  5. 湿式紡糸するに際して、次の[a]〜[c]のいずれかの方法で紡糸する請求項4記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
    [a]紡糸口金の紡糸溶液吐出面の凝固浴中につかる浸漬長が20mm以下になるように紡糸口金を配置し、湿式紡糸する。
    [b]紡糸口金が凝固浴から離れ、凝固浴の表面張力を利用して紡糸口金の紡糸溶液吐出面のみが凝固浴表面と接する状態に紡糸口金を配置し、流下方式で湿式紡糸する。
    [c]紡糸口金の凝固浴中に没する部分の全側面を断熱材または加熱材で覆い、紡糸口金の紡糸溶液吐出面のみが凝固浴液と接するように紡糸口金を配置し、流上方式で湿式紡糸する。
  6. ポリアクリロニトリル系重合体が、アクリロニトリルにアクリロニトリルと共重合可能な単量体を0.5〜5モル%共重合させてなる共重合体である請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維前駆体繊維の製造方法。
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