JP2011225430A - 多孔質構造を含有する炭素微粒子およびその製造方法 - Google Patents

多孔質構造を含有する炭素微粒子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】粒子径分布が狭く、特定の大きさの多孔質構造を含有する炭素微粒子、さらにはさらには粒子径分布が狭く、品質のよい多孔質炭素微粒子の簡便な製造方法およびその用途の提供を課題とする。
【解決手段】アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル共重合体などのポリマーAと異種のポリマーBを有機溶媒に混合し、エマルションを形成させた後に、ポリマーAと異種のポリマーBを有機溶媒に混合し、エマルションを形成させた後に、ポリマーAの貧溶媒接触させることにより、ポリマーAを析出させる方法で子粒子を含有した合成樹脂微粒子を得、その子粒子含有合成樹脂微粒子を炭化焼成させることを特徴とする炭素微粒子の製造方法およびその炭素微粒子。
【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質構造を含んだ炭素微粒子、およびその製造方法に関する。
内部空孔を有する炭素微粒子として、様々なサイズの細孔を含有する活性炭が知られている。活性炭は、その細孔を利用し、吸着剤、分子ふるい炭素材、水処理剤、空気清浄化剤、触媒、およびキャパシタ電極など幅広い分野にて工業化されている(特許文献1)。活性炭は、原料となる炭素微粒子を水蒸気などのガスによる賦活処理、および水酸化カリウムなどの薬品による賦活処理によって得ることができるが、その細孔径を制御することが困難である。活性炭の機能は、その細孔径のサイズ、および容量(比表面積)によって異なるため、任意の孔径を形成する技術が重要である。さらには、粒子形状、粒子径および狭い粒子径分布の制御等、活性炭の品質向上にも注目が集まっている。
その一つに、スチレンなどの熱分解するポリマーをコアに、ポリアクリロニトリルなどの炭素前駆体ポリマーをシェルに用いたコアシェル微粒子を焼成し、中空炭素微粒子を得る方法が開示されている(特許文献2)。この方法で得られる中空炭素微粒子は、中空構造の直径が炭素微粒子の直径の20%以上と大きいため、十分な比表面積を有しておらず、また乳化重合系により作製されるため、粒子径の制御範囲が0.5μm以下と制限されることが課題である。
また、フラーレンなどの中空構造の炭素材料と炭素前駆体を溶融混練によって分散後、粉砕処理を行い、焼成、賦活処理を経て活性炭を得る方法も開示されている(特許文献3)。この方法では、粉砕処理を行うため、活性炭の形状が不定形となり、粒子径分布が広くなるといった問題点がある。
特開2001−122607号公報 特開平05―254814号公報 特開2007―269551号公報
本発明は、多孔質構造を含有し、かつ粒子径分布が小さい炭素微粒子およびその製造方法の提供を課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、子粒子成分を含有する合成樹脂微粒子を焼成することによって、上記目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、
[1]ポリオレフィン系共重合体、アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル系共重合体、ポリアクリルアミド系重合体、ポリ酢酸ビニル系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリ塩化ビニリデン系重合体、ポリアミド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリイミドからなる群から少なくとも1つ以上選ばれるポリマーAと異種のポリマーBを、有機溶媒に混合し、ポリマーAを主成分とする溶液相とポリマーBを主成分とする溶液相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させることにより、子粒子成分を包含させながらポリマーAを析出させポリマーAの子粒子含有合成樹脂微粒子を製造し、その子粒子含有合成樹脂微粒子を炭化焼成することを特徴とする多孔質炭素微粒子の製造方法、
[2]前記ポリマーAが、アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリトニトリル系共重合体、ポリアミドイミドから選択されたものであることを特徴とする[1]記載の多孔質炭素微粒子の製造方法、
[3]アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル系共重合体がアクリロニトリル系単量体100質量部に対し、0超〜25質量部の親水性ビニル単量体を共重合してなるアクリロニトリル共重合体である[1]または[2]記載の多孔質炭素微粒子の製造方法、
[4]親水性ビニル単量体が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基およびリン酸基を1種以上含有することを特徴とする[1]から[3]いずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法、
[5]親水性ビニル単量体が、アミド基またはカルボキシル基を1種以上含有することを特徴とする[1]から[4]のいずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法、
[6]親水性ビニル単量体が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびアクリルアミドから選択される1種以上であることを特徴とする[1]から[5]のいずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法、
[7]子粒子を含有したポリアミドイミド微粒子を炭化焼成することを特徴とする多孔質炭素微粒子の製造方法、
[8]グラファイト化度が0.7以上であることを特徴とする[1]から[7]いずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法、
[9]数平均粒子径が0.1〜100μm、粒子径分布指数が1.0〜2.0であることを特徴とする[1]から[8]いずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法、
[10]子粒子成分が有機微粒子であることを特徴とする[1]から[9]いずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法、
[11]数平均粒子径が0.1〜100μm、粒子径分布指数が1.0〜2.0、グラファイト化度が0.7以上及び真球度が80以上であることを特徴とする多孔質炭素微粒子、である。
本発明により、粒子径分布が狭く、取り扱い性が良好な多孔質構造を含有する炭素微粒子を得ることができる。本発明の多孔質炭素微粒子は、樹脂やゴムへの高い分散性、充填性を示し、樹脂改質剤、導電性ゴム、異方導電性微粒子、クロマトグラフィー担体、分子吸着剤、トナー、リチウムイオン2次電池用負極剤、触媒、キャパシタなどに用いることができる。特に、任意の空孔を形成可能なため、水処理、溶剤回収、空気清浄化、触媒、触媒担体、キャパシタ電極などにて、好適な機能を発現する。
実施例1により得られた多孔質炭素微粒子の走査型電子顕微鏡による微粒子断面の写真である。 実施例1により得られた多孔質炭素微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1により得られた多孔質炭素微粒子の走査型電子顕微鏡による微粒子断面の写真である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明における炭素微粒子とは、粒子内部が多孔質構造を有し、主として炭素のみからなる物質であり、通常炭素の含有率が85質量%以上、好ましくは、90質量%以上の物質である。これを以下、多孔質炭素微粒子と称すこともある。
ここでいう多孔質炭素微粒子とは、平均粒子径が、0.1〜100μm、好ましくは、0.1〜50μmの範囲にある微粉のことを指し、その形状としては、球状、楕円球状、扁平状、岩状、金平糖状、不定形状などの形状が挙げられる。薄膜形状のものへの塗工性の観点から好ましくは、球状、楕円状であり、最も好ましくは、球状である。微粒子の表面の形態としては、平滑、凹凸のある多孔質な形態などが挙げられるが、樹脂への充填性、フィルムへの塗工性の観点から平滑な形状が好ましい。
本発明の多孔質炭素微粒子の数平均粒子径は、その上限として100μm以下であり、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。また下限としては、0.1μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上であり、さらに好ましくは、0.7μm以上であり、特に好ましくは1μm以上である。数平均粒子径が小さすぎると、取り扱い性が悪化し、大きすぎるとフィルム等の薄膜状のものに塗布する場合に異物となるため好ましくない。
尚、多孔質炭素微粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真にて、任意粒子100個を観測、直径を測定し、以下の式(1)より算出する。尚、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。
本発明の多孔質炭素微粒子の粒子径分布は、粒子径分布指数で表すことができ、粒子径分布指数は、1.0〜2.0の範囲であり、好ましくは1.0〜1.8、より好ましくは1.0〜1.7であり、さらに好ましくは1.0〜1.6であり、特に好ましくは、1.0〜1.5であり、最も好ましくは1.0〜1.3である。粒子径分布指数がこの範囲を越えると、樹脂等への流動性、充填性が低下し、フィルムへの塗工性が悪化し好ましくない。尚、粒子径分布指数は、以下の式(3)に従い、数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比により算出する。体積平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真にて、任意粒子100個を観測、直径を測定し、以下の式(2)より算出する。尚、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。
尚、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布とする。
本発明における多孔質とは、炭素微粒子中に複数個の孔が存在することをいう。
本発明において多孔質の孔部の大きさは用途によって適宜選択できる。通常、多孔質の孔部の大きさは、多孔質炭素微粒子の粒子径にもよるが、0.01〜10μmの範囲であることが好ましい。多孔質炭素微粒子の密度の低下を抑制し、かつ比表面積の向上が可能なため、好ましくは、0.01〜1μm、さらに好ましくは、0.01〜0.5μm、最も好ましくは、0.01〜0.25μmである。尚、中空構造の径は、多孔質炭素微粒子をエポキシ樹脂などで固め、電子顕微鏡用の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡にて、または断面切削片を作製し、走査型電子顕微鏡にて任意の炭素微粒子中の多孔質構造の孔の大きさ20個を観察することにより測定する。多孔質構造の大きさが真球状でない場合は、その長径を測定値とする。その数平均孔径を求める。
多孔質炭素微粒子の比表面積は、用途に応じ適宜選択することが可能であり、限定されない。
本発明の多孔質炭素微粒子は、平均細孔直径0.01μm以下の細孔構造を含んでもよい。その製造方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、炭素微粒子を水蒸気や二酸化炭素などのガス雰囲気下、800℃程度にて加熱するガス賦活法、および炭素微粒子を水酸化カリウムなどの薬品と800℃程度にて加熱する薬品賦活法等を用いることができる。
本発明における多孔質炭素微粒子のグラファイト化度は、0.7以上が好ましく、より好ましくは、1.0以上であり、さらに好ましくは、1.2以上である。グラファイト化度が小さすぎると多孔質炭素微粒子中のグラファイト量が低下し、例えば電気伝導性、熱伝導性などが低下する傾向であるため好ましくない。上限については特に制限はないが、通常3.0程度である。尚、グラファイト化度とは、ラマン分光分析法により、波長532nmでのレーザー光にて測定したラマンスペクトル1350±100cm−1付近に見られるラマンシフト(A)(アモルファスカーボンやグラファイトの欠陥に由来のDバンド)、1590±100cm−1付近に見られるラマンシフト(B)(グラファイト由来のGバンド)の高さ比(B)/(A)を指す。
本発明における多孔質炭素微粒子は、その形状が真球に近いものが得られることにも特徴がある。本発明における多孔質炭素微粒子の真球度は、80以上であり、好ましくは、85以上、さらに好ましくは90以上、中でも好ましくは92以上、より好ましくは95以上、特に好ましくは99以上である。真球度の上限は、100である。真球度が80未満であると、樹脂への充填性、フィルムへの塗工性が悪化する傾向にある。尚、真球度は、走査型電子顕微鏡にて、粒子を観察し、短径と長径を測長し、任意粒子30個の平均より数式(4)に従い、算出する。
尚、n:測定数30とする。
本発明の多孔質炭素微粒子は、機能を付与するために、金属を含有してもよい。金属としては、目的の機能を付与しうる金属を選択すればよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、軽金属、ランタノイド、アクチノイドなどが挙げられ、特に遷移金属が好ましい。
具体的には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムなどのアルカリ金属、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムなどのアルカリ土類金属、スカンジウム、イットリウム、ランタニウム、アクチニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テケネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀などの遷移金属、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、珪素、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、ビスマス、ポロニウムなどの軽金属、ランタノイド、アクチノイドなどが挙げられる。
これら金属は、金属単体であっても良いし、その塩であっても良いし、その酸化物であっても良い。また、これらの中から複数含有していてもよい。
好ましくは、マグネシウム、カルシウム、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、インジウム、珪素の金属、その塩または酸化物であり、より好ましくは、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛の金属、その塩、酸化物または有機金属錯体である。
金属塩を構成する塩としては、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、スルホン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩、四級アンモニウム塩、アルコキシ塩、カルボキシル塩、四フッ化ホウ素塩、アセチルアセトナート塩などが挙げられる。なかでも 塩化物塩、炭酸塩、アルコキシ塩、カルボキシル塩、アセチルアセトナート塩が好ましい。
有機金属錯体を構成する例としては、フタロシアニン類との錯体、シッフベース錯体、ビピリジンとの錯体などが挙げられる。
次に本発明の多孔質炭素微粒子の製造方法について説明する。
本発明の特定の大きさの多孔質構造を含有する炭素微粒子は、子粒子成分を含有する合成樹脂微粒子(以下、子粒子含有合成樹脂微粒子と称することもある)を炭化焼成することにより製造することができる。
子粒子含有合成樹脂微粒子を構成する合成樹脂は、炭素化できる合成樹脂であれば特に限定されないが、具体的には、ポリオレフィン系共重合体、アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル共重合体、ポリアクリルアミド系重合体、ポリ酢酸ビニル系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリ塩化ビニリデン系重合体、ポリアミド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリイミド樹脂からなる群から少なくとも1つ選択される子粒子含有合成樹脂微粒子を炭化焼成することにより製造できる。
グラファイト化度が高くなり、品質のよい炭素微粒子を製造可能であることから、アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル共重合体、ポリアミド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリイミドに子粒子成分を含有させた子粒子含有合成樹脂微粒子が好ましく、炭化時の粒子同士の融着が起こりにくいことから、アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル共重合体、ポリアミドイミド、ポリイミドに子粒子成分を含有させた子粒子含有合成樹脂微粒子が特に好ましい。
上記ポリオレフィン系共重合体としては、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン/プロピレン系等ポリオレフィン系の共重合体などが挙げられる。これらの共重合体のその他の共重合成分としては、シクロペンテン、ジシクロペンタジエンおよびその誘導体、シクロヘキセン、ジシクロヘキサジエンおよびその誘導体が挙げられる。
ポリアクリロニトリル共重合体としては、上記アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル共重合体微粒子が挙げられる。アクリロニトリル系単量体の重合体単位とは、下記一般式(1)で表される。
この際、上記式中、R、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、エステル基、カルボキシル基、スルホン酸基等の置換基から選ばれるいずれかを示す。また、これらは同一または相異なるものであってもよい。
このうち、好ましいものとしては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、特に好ましいものは、水素原子、メチル基である。このようなアクリロニトリル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリロニトリル(アクリロニトリルもしくは「メタ」アクリロニトリルを総称して「(メタ)」アクリロニトリルと称する。以下同じ。)、クロトノニトリル、クロロアクリロニトリルが挙げられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。最も好ましいのは、アクリロニトリルである。
親水性ビニル単量体としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基およびリン酸基を1種以上置換した不飽和単量体が好ましく挙げられる。具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基で置換した不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メタコン酸、グルタル酸、テトラヒドロフタル酸、イソクロトン酸、ナジック酸、ブテントリカルボン酸、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、p−ビニル安息香酸などのカルボン酸基で置換した不飽和単量体およびこれらの塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、N−メチルビニルピリジウムクロライド、(メタ)アリルトリエチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等の第3級アミノ基、または第4級アンモニウム塩で置換した不飽和単量体、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルラクタム類などのアミド基で置換した不飽和単量体、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのスルホン酸基で置換した不飽和単量体、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸などのリン酸基で置換した不飽和単量体が挙げられる。炭化焼成時の微粒子間の融着を抑制できる効果が高いことから、好ましくは、カルボキシル基またはアミド基で1種以上置換した不飽和単量体、特に好ましくは、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、アクリルアミドが挙げられ、アクリル酸、イタコン酸、アクリルアミドが最も好ましく挙げられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
親水性ビニル単位の含有量としては、アクリロニトリル系単量体100質量部に対して、0超〜25質量部であることが好ましい。より好ましい上限としては、20質量部であり、さらに好ましい上限としては15質量部であり、特に好ましくは10質量部であり、著しく好ましくは5質量部である。また、好ましい下限としては0.1質量部であり、より好ましくは0.5質量部であり、さらに好ましくは1質量部であり、中でも好ましくは、2質量部である。親水性ビニル単位がこの範囲よりも越える場合、炭素微粒子のグラファイト化度が低下する傾向があり、親水性ビニル単位を含まない場合は、球状粒子が得られない場合がある。
本発明における、アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル共重合体は、上記範囲内であれば、共重合可能な他の不飽和単量体を共重合しても良い。これらは、多官能性単量体であっても良い。
上記、共重合可能な他の不飽和単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系単量体、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセン等の共役ジエン系単量体が挙げられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
共重合可能な他の多官能性単量体としては、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上有する単量体であり、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらはその1種または2種以上を用いることができる。
中でも(メタ)アクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、特に(メタ)アクリル酸アリル、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレンジ(メタ)アクリレートが好ましい。
共重合可能な他の不飽和単量体の共重合量としては、アクリロニトリル系単量体100質量部に対して、0〜25質量部であり、好ましくは0〜15質量部、より好ましくは0〜5質量部である。共重合可能な他の単量体の共重合量が25質量部を越える場合、炭素微粒子のグラファイト化度が低下する傾向にあるため注意する。
アクリロニトリルと共重合する共単量体として、親水性ビニル単量体および任意の成分としての共重合可能な他の単量体を2種以上用いる場合の組み合わせとしては、(メタ)アクリル酸メチルと(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸メチルとイタコン酸、(メタ)アクリル酸メチルと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミドとイタコン酸、イタコン酸と(メタ)アクリル酸が好ましく挙げられる。
ポリアミドとしては、3員環以上のラクタム、重合可能なアミノカルボン酸、二塩基酸とジアミンまたはそれらの塩、あるいはこれらの混合物の重縮合によって得られるポリアミドが挙げられる。
具体的には、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカアミド(ナイロン11)、ポリドデカアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、非晶性ポリアミドとしては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとイソフタル酸と12−アミノドデカン酸の共重合体(例示するならば、‘グリルアミド(登録商標)’ TR55、エムザベルケ社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体(例示するならば、‘グリルアミド(登録商標)’ TR90、エムザベルケ社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとイソフタル酸と12−アミノドデカン酸の共重合体と3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体との混合物(例示するならば、‘グリルアミド(登録商標)’ TR70LX、エムザベルケ社製)、 4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体(例示するならば、‘TROGAMID(登録商標)’CX7323 、デグサ社製)などが挙げられる。
ポリアリーレンエーテルとは、アリール基がエーテル結合でつながったポリマーであり、一般式(2)で代表される構造を有するものが挙げられる。
この際、芳香環上には、置換基Rを有していてもいなくても良く、置換基を有する場合、その置換基数mは1以上4以下である。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6の飽和炭化水素基、ビニル基、アリル基等の不飽和炭化水素基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン基、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボキシル基、カルボキシ脂肪族炭化水素エステル基などが好ましく挙げられる。
ポリアリーレンエーテルの具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンエーテル)が挙げられる。
ポリアリーレンスルフィドとは、アリール基がスルフィド結合でつながったポリマーであり、一般式(3)で代表される構造を有するものが挙げられる。
この際、芳香環上には、置換基Rを有していてもなくても良く、置換基を有する場合は、その置換基数であるmは、1以上4以下である。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の飽和炭化水素基、ビニル基、アリル基等の不飽和炭化水素基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン基、アミノ基、水酸基、チオール基、カルボキシル基、カルボキシ脂肪族炭化水素エステル基などが挙げられる。また、上記一般式(3)のパラフェニレンスルフィド単位の代わりにメタフェニレン単位、オルソフェニレン単位とすることや、これらの共重合体とすることも可能である。
ポリアリーレンスルフィドの具体的な例としては、ポリフェニレンスルフィドが挙げられる。
ポリスルホンとしては、一般式(4)で代表される構造を有するものが好ましく挙げられる。
(式中のRは、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜8のアリール基を表し、mは0〜3の整数を表すものである。)
ポリエーテルケトンとは、エーテル結合とカルボニル基を有するポリマーである。具体的には、一般式(5)で代表される構造を有するものが好ましく挙げられる。
(式中のRは、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜8のアリール基を表し、mは0〜3の整数を表すものである。)
ポリエーテルケトンの中でも、一般式(6)で表わされる構造を有するものは、特にポリエーテルエーテルケトンと称する。
(式中のRは、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜8のアリール基を表し、mは0〜3の整数を表すものである。)
ポリアリレートとは、ポリエステルのうち、芳香族多価アルコールと芳香族カルボン酸からなるポリエステルのことであり、具体的には、ビスフェノールAまたはビスフェノールFと芳香族ジカルボン酸との共重合物であり、ビスフェノールA/テレフタル酸、ビスフェノールA/イソフタル酸、ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸、ビスフェノールF/テレフタル酸、ビスフェノールF/イソフタル酸、ビスフェノールF/テレフタル酸/イソフタル酸などが挙げられ、例えばユニチカ社製 “Uポリマー”などを使用することが出来る。
ポリアミドイミドとは、高分子主鎖骨格中にイミド結合と、アミド結合を有したポリマーであり、一般式(7)で代表される構造を有するものが挙げられる。
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に芳香族、脂肪族の炭化水素基を表わし、内部にエーテル結合、チオエーテル結合、カルボキニル基、ハロゲン結合、アミド結合を有する構造団を有していてもよい。)
具体的には、無水トリメリット酸とフェニレンジアミンまたはその誘導体との共重合体、無水トリメリット酸と4,4’−ジアミノビフェニルまたはその誘導体との共重合体、無水トリメリット酸とまたはその誘導体o−トリジンとの共重合体、無水トリメリット酸と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルまたはその誘導体との共重合体、無水トリメリット酸と4,4’−メチレンジアニリンまたはその誘導体との共重合体、無水トリメリット酸と4,4’−イソプロピリデンジアニリンまたはその誘導体との共重合体、無水トリメリット酸とヘキサメチレンジアミンまたはその誘導体との共重合体、無水トリメリット酸とペンタメチレンジアミンまたはその誘導体との共重合体、無水トリメリット酸と4,4’−ジアミノジシクロへキシメチレンまたはその誘導体との共重合体などがあげられる。
ここでいう共重合体として、その構造中に置換基として、ハロゲン基、炭素数1〜4までの炭化水素基などが含まれていても良い。
ポリイミドとは、イミド結合を有したポリマーであり、代表的には一般式(8)で表わされる構造を有するものが挙げられる。
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に芳香族、脂肪族の炭化水素基を表わし、内部にエーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル基、ハロゲン結合、アミド結合を有する構造団を有していてもよい。)
特に本系においては、熱可塑性ポリイミドが好ましく、具体的には1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物と4,4’−ビス(3−アミノフェニルオキシ)ビフェニル の重縮合物や3,3’,4,4’− ビフェニルテトラカルボン酸無水物と1,3−ビス(4−アミノフェニルオキシ)ベンゼンの重縮合物が挙げられる。
本発明における上記合成樹脂の重量平均分子量は、1,000〜100,000,000、好ましくは、1,000〜10,000,000、より好ましくは、5,000〜1,000,000、特に好ましくは、10,000〜500,000の範囲である。
ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレンで換算した重量平均分子量をさす。
ジメチルホルムアミドで測定できない場合については、テトラヒドロフランを用い、さらに測定できない場合は、ヘキサフルオロイソプロパノールを用い、ヘキサフルオロイソプロパノールでも測定できない場合は、2−クロロナフタレンを用いて測定を行う。
本発明で用いる子粒子含有合成樹脂微粒子の数平均粒子径は、炭化焼成により得られる多孔質炭素微粒子の粒径を勘案して適宜選択されるが、その上限としては、100μm以下であり、好ましくは、50μm以下であり、より好ましくは、30μm以下である。また、下限としては、0.1μm以上であり、より好ましくは0.5μm以上であり、さらに好ましくは、0.7μm以上であり、特に好ましくは1μm以上である。数平均粒子径が小さすぎると、取り扱い性が悪化し、大きすぎると、得られる炭素微粒子が大きくなり、フィラーとしての分散性が低下するため好ましくないことがある。
尚、数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真にて任意粒子100個を観測、直径を測定し、以下の式(1)より算出する。尚、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。
子粒子含有合成樹脂微粒子の粒子径分布は、粒子径分布指数で表すことができる。粒子径分布指数は、1.0〜2.0の範囲であり、好ましくは1.0〜1.8、より好ましくは、1.0〜1.5であり、特に好ましくは、1.0〜1.3である。粒子径分布指数がこの範囲を越えると、粒度分布の狭い多孔質炭素微粒子を得られないため好ましくない。尚、粒子径分布指数は、以下の式(3)に従い、数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比により算出する。体積平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真にて任意粒子100個を観測、直径を測定し、以下の式(2)より算出する。尚、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。
尚、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
本発明で用いる子粒子含有合成樹脂微粒子の真球度は好ましくは80以上であり、より好ましくは、85以上、さらに好ましくは90以上、より好ましくは92以上、中でも好ましくは95以上、特に好ましくは99以上である。真球度の上限は、100である。真球度の高い子粒子含有合成樹脂微粒子は、真球度の高い多孔質炭素微粒子を与える傾向にあるため、真球度が上記範囲内にあると真球状の多孔質炭素微粒子が得られやすくなるため好ましい。尚、真球度は、走査型電子顕微鏡にて、粒子を観察し、短径と長径を測定し、任意粒子30個の平均より数式(4)に従い、算出する。
尚、n:測定数30とする。
本発明で用いる子粒子含有合成樹脂微粒子は、子粒子成分を含有しており、子粒子成分を含有する合成樹脂微粒子を焼成することで、子粒子成分由来の多孔質構造を炭素微粒子内に形成できる。
ここでいう子粒子成分の形状とは、球状、楕円球状、扁平状、岩状、金平糖状、不定形状などの形状が挙げられ、子粒子成分の内部は、中空状、多孔状であってもよい。炭素微粒子中の多孔質の大きさは、焼成によって子粒子成分が消失する場合、子粒子成分の径や形状が反映され、焼成によって子粒子成分が消失しない場合、子粒子内部の構造が多孔質の大きさに反映される。消失の有無は、子粒子成分の材質、焼成の温度、雰囲気、圧力等によって適宜選択できる。
子粒子成分の径や形状、および内部構造が、多孔質炭素微粒子中の多孔質の大きさに反映されるため、子粒子成分の大きさは、通常0.01〜10μmの範囲である。得られる多孔質炭素微粒子の密度の低下を抑制し、かつ比表面積の向上が可能なため、好ましくは、0.01〜1μm、さらに好ましくは、0.01〜0.5μm、最も好ましくは、0.01〜0.25μmである。尚、子粒子成分の径は、子粒子含有合成樹脂微粒子をエポキシ樹脂などで固め、電子顕微鏡用の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡にて、または断面切削片を作製し、走査型電子顕微鏡にて任意の子粒子含有合成樹脂微粒子中の子粒子成分の大きさ20個を観察することにより測定する。子粒子成分の大きさが真球状でない場合は、その長径を測定値とする。その数平均粒子径を求める。
子粒子成分の材質としては、無機微粒子、有機微粒子などが挙げられる。
無機微粒子としては、焼成によって消失する成分、消失しない中空構造の成分のいずれでもよく、多くの場合、無機微粒子は焼成により消失しないので、中空構造の無機微粒子が好ましい。具体的には、コア部分が中空であり、かつシェル部分が炭素、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどの中空無機微粒子が挙げられる。これらは、その1種または2種以上用いることができる。入手が容易なことから、カーボンナノチューブ、フラーレン、ケッチェンブラック、中空シリカ微粒子などが好ましい。
有機微粒子としては、焼成によって消失する成分、消失しない中空構造の成分のいずれでもよく、焼成によって消失する成分が好ましい。より好ましくは、子粒子含有合成樹脂微粒子の製造工程において有機微粒子の形状がくずれない成分であり、なかでも子粒子含有合成樹脂前駆体微粒子の良溶媒に溶解しない成分が特に好ましい。
有機微粒子を具体的に例示するならば、分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上有する単量体を重合してなる架橋構造を含有する重合体およびこれらと共重合可能な他の単量体との共重合体、あるいはゴム粒子に上記のような単量体をグラフト重合したコアシェルゴム等を好ましく挙げることができる。
分子内に炭素−炭素二重結合を2個以上有する単量体としては、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、2−メチル−3−エチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、2−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、3,4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、3−メチル−1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセン、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、ジビニルベンゼン、エチレンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
共重合可能な他の単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどのオレフィン系単量体、ビニルシクロアルカン等のα−オレフィン系単量体、ノルボルネンもしくはノルボルナジエン等の環状オレフィン系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、ジビニルベンゼン、クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−へキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の不飽和カルボン酸エステル系単量体、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メタコン酸、グルタル酸、テトラヒドロフタル酸、イソクロトン酸、ナジック酸、ブテントリカルボン酸、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、p−ビニル安息香酸などの不飽和カルボン酸単量体およびこれらの塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、クロロアクリロニトリル等のアクリロニトリル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、クロトン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、デカン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルチミン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、乳酸ビニルなどの不飽和エステル単量体およびこれらの加水分解物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、N−メチルビニルピリジウムクロライド、(メタ)アリルトリエチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどのアミノ基、または第4級アンモニウム塩で置換した不飽和単量体、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ビニルラクタム類などのアミド基で置換した不飽和単量体、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホン酸エチル、2−アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸などのスルホン酸基で置換した不飽和単量体、(メタ)アクリル酸−3−クロロ−2−リン酸プロピル、(メタ)アクリル酸−2−リン酸エチル、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンリン酸などのリン酸基で置換した不飽和単量体などが挙げられる。
有機微粒子がコアシェル構造を有する場合のゴム成分としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(スチレン−ブタジエン)共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)共重合体、ポリ(ブタジエン−イソプレン)共重合体、ポリ(ブタジエン−ブチルアクリレート)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ブチル−エチレンジオールジ(メタ)アクリレート)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ブチル−プロピレンジオールジ(メタ)アクリレート)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸アリル)共重合体、ポリ((メタ)アクリル酸ブチル−ジビニルベンゼン)共重合体等が好ましく挙げられる。
有機微粒子は、乳化重合や懸濁重合など公知の方法にて製造することができる。また、市販品から選択してもよく、具体的には、三菱レイヨン株式会社製“メタブレン”シリーズ、日本ゼオン株式会社製“ニポール”シリーズ、株式会社カネカ製“カネエース”シリーズ等が挙げられる。
子粒子成分を含有する合成樹脂微粒子は、次の方法にて製造することができる。
微粒子化をしようとするポリマー(以下ポリマーA)とポリマーAの貧溶媒に溶解するポリマーBと子粒子成分と有機溶媒を混合し、ポリマーAを主成分とする溶液相(以下、ポリマーA溶液相と称することもある)と、ポリマーBを主成分とする溶液相(以下、ポリマーB溶液相と称することもある)の2相に相分離する系において、有機溶媒に溶解しない子粒子成分を分散させ、エマルジョンを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させることにより、ポリマーA溶液相内子粒子成分が分散したポリマーAを析出させるような方法で得ることができる。また、多孔質炭素微粒子に金属を含有させる場合には、上記において、ポリマーA、Bとともに前述の金属成分も混合し、金属成分をポリマーA溶液相中に分散させる(ポリマーB溶液相にも分配されていてもよい)ことにより、金属成分および子粒子成分が分散したポリマーAを得ることができる。
上記手法について、より詳しく下記に示す。
上記において、「ポリマーAとポリマーBと子粒子成分と有機溶媒を混合し、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系」とは、ポリマーAとポリマーBと子粒子成分と有機溶媒を混合したときに、ポリマーAを主として含む溶液相と、ポリマーBを主として含む溶液相の2相に分かれる系をいう。ここでは、ポリマーA、Bはそれぞれ有機溶媒に溶解して、上記ポリマーA溶液相とポリマーB溶液相を形成し、子粒子成分は有機溶媒に溶解していない。
このような相分離をする系を用いることにより、相分離する条件下で混合して、乳化させ、エマルジョンを形成させることができる。
なお、上記において、ポリマーが溶解するかどうかについては、本方法を実施する温度、即ちポリマーAとポリマーBを溶解混合して、2相分離させる際の温度において、有機溶媒に対し1質量%超溶解するかどうかで判別する。
このエマルジョンは、ポリマーA溶液相が分散相に、ポリマーB溶液相が連続相になり、子粒子成分がポリマーA溶液中に存在していることが必要であり、この際、子粒子成分が、ポリマーA溶液相、ポリマーB溶液相の両相に分配していてもよい。
そしてこのエマルジョンに対し、ポリマーAの貧溶媒を接触させることにより、エマルジョン中のポリマーA溶液相から、ポリマーAが析出し、子粒子成分とポリマーAで構成される子粒子成分を含有する合成樹脂微粒子を得ることが出来る。
本方法においては、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒、子粒子成分およびポリマーAの貧溶媒を用い、本方法の子粒子成分を含有する合成樹脂微粒子が得られる限り、その組合せに特に制限はない。
本方法において、ポリマーAは、子粒子含有合成樹脂微粒子を構成するポリマーである高分子重合体のことを指す。
本方法において、ポリマーAとしては、本方法が、貧溶媒と接触する際に微粒子を析出させることを要点とすることから、貧溶媒に溶けないものが好ましく、後述する貧溶媒に溶解しないポリマーが好ましく、特に非水溶性ポリマーが好ましい。
ここで、非水溶性ポリマーとしては、水に対する溶解度が1質量%以下、好ましくは、0.5質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以下のポリマーを示す。
ポリマーBとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられるが、本方法で用いるポリマーAを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒に溶解するものが好ましく、なかでも、上記有機溶媒に溶解し、アルコール系溶媒または水に溶解するものが工業上取り扱い性に優れる点でより好ましく、さらに有機溶媒に溶解し、メタノール、エタノールまたは水に溶解するものが特に好ましい。
ポリマーBを具体的に例示するならば、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってもよい)、ポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体であってもよい)、ポリビニルピロリドン、ポリ(エチレングリコール)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンラウリン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジニウムクロライド、ポリ(スチレン−マレイン酸)共重合体、アミノポリ(アクリルアミド)、ポリ(パラビニルフェノール)、ポリアリルアミン、ポリビニルエーテル、ポリビニルホルマール、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(オキシエチレンアミン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリアミノスルホン、ポリエチレンイミン等の合成樹脂、マルトース、セルビオース、ラクトース、スクロースなどの二糖類、セルロース、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、アミロースおよびその誘導体、デンプンおよびその誘導体、デキストリン、シクロデキストリン、アルギン酸ナトリウムおよびその誘導体等の多糖類またはその誘導体、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、アルブミン、フィブロイン、ケラチン、フィブリン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、アラビアゴム、寒天、たんぱく質等が挙げられ、好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってもよい)、ポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体であってよい)、ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンであり、より好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってよい)、ポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコールーエチレン)共重合体)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンであり、特に好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってよい)、ポリ(エチレングリコール)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンである。
ポリマーBの分子量は、好ましくは、重量平均分子量で、1,000〜100,000,000、より好ましくは、1,000〜10,000,000、さらに好ましくは、5,000〜1,000,000であり、特に好ましくは、10,000〜500,000の範囲であり、最も好ましい範囲は、10,000〜100,000の範囲である。
ここでいう重量平均分子量とは、溶媒として水を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリエチレングリコールで換算した重量平均分子量を指す。
水で測定できない場合においては、ジメチルホルムアミドを用い、それでも測定できない場合においては、テトラヒドロフランを用い、さらに測定できない場合においては、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いる。
本方法の、子粒子成分とは、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒に溶解しない成分であり、用いる溶媒の種類に応じて適宜選択される。
ポリマーAとポリマーBを溶解させる有機溶媒としては、用いるポリマーA、ポリマーBを溶解し得る有機溶媒であり、各ポリマーの種類に応じて選択される。
具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、プロピレンカーボネート、トリメチルリン酸、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸溶媒、アニソール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ハイドロゲンスルフェート、1−エチル−3−イミダゾリウム アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム チオシアネートなどのイオン性液体あるいはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、さらに好ましいものとしては、水溶性溶媒であるアルコール系溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、著しく好ましいのは、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、入手が容易で、かつ広範な範囲のポリマーを溶解し得る点でポリマーAへの適用範囲が広く、かつ水やアルコール系溶媒等など後述する貧溶媒として好ましく用い得る溶媒と均一に混合し得る点から、最も好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、ギ酸、酢酸である。
これらの有機溶媒は、複数種用いてもよいし、混合して用いても良いが、粒子径が比較的小さく、かつ、粒子径分布の小さい粒子が得られる点、使用済みの溶媒のリサイクル時の分離の工程のわずらわしさを避け、製造上のプロセス負荷低減という観点で、単一の有機溶媒であるほうが好ましく、さらにポリマーA、およびポリマーBの両方を溶解する単一の有機溶媒であることが好ましい。
本方法におけるポリマーAの貧溶媒とは、ポリマーAを溶解させない溶媒のことをいう。溶媒を溶解させないとは、ポリマーAの貧溶媒に対する溶解度が1質量%以下のものであり、より好ましくは、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。
本方法において、ポリマーAの貧溶媒を用いるが、かかる貧溶媒としてはポリマーAの貧溶媒でありかつ、ポリマーBを溶解する溶媒であることが好ましい。これにより、ポリマーAで構成されるポリマー微粒子を効率よく析出させることができる。また、ポリマーAおよびポリマーBを溶解させる溶媒とポリマーAの貧溶媒とは均一に混合する溶媒であることが好ましい。
本方法における貧溶媒としては、用いるポリマーAの種類、望ましくは用いるポリマーA、B両方の種類によって、様々に変わるが、具体的に例示するならば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸溶媒、アニソール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、水の中から少なくとも1種類から選ばれる溶媒などが挙げられる。
ポリマーAを効率的に粒子化させる観点から好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、水であり、最も好ましいのは、アルコール系溶媒、水であり、特に好ましくは、水である。
本方法において、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒を適切に選択して組み合わせることにより、効率的にポリマーAを析出させて子粒子成分を含有する合成樹脂微粒子を得ることが出来る。
この際、ポリマーA、B、子粒子成分、これらを溶解する有機溶媒を混合溶解させた液は、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離することが必要である。ここでは、子粒子成分が溶解しておらず、通常は一つの固相であるが、その相については、上記の議論における相としては参入しない。
この際、ポリマーAを主成分とする溶液相の有機溶媒と、ポリマーBを主成分とする有機溶媒とは、同一でも異なっていても良いが、実質的に同じ溶媒であることが好ましい。
2相分離の状態を生成する条件は、ポリマーA、Bの種類、ポリマーA、Bの分子量、有機溶媒の種類、ポリマーA、Bの濃度、本方法を実施しようとする温度、圧力によって異なってくる。
相分離状態になりやすい条件を得るためには、ポリマーAとポリマーBの溶解度パラメーター(以下、SP値と称することもある)の差が離れている方が好ましい。
この際、SP値の差としては1(J/cm1/2以上、より好ましくは2(J/cm1/2以上、さらに好ましくは3(J/cm1/2以上、特に好ましくは5(J/cm1/2以上、極めて好ましくは8(J/cm1/2以上である。SP値がこの範囲であれば、容易に相分離しやすくなる。
ポリマーAとポリマーBの両者が有機溶媒にとけるのであれば、特に制限はないが、SP値の差の上限として好ましくは20(J/cm1/2以下、より好ましくは、15(J/cm1/2以下であり、さらに好ましくは10(J/cm1/2以下である。
ここでいう、SP値とは、Fedorの推算法に基づき計算されるものであり、凝集エネルギー密度とモル分子容を基に計算されるもの(以下、計算法と称することもある。)である(「SP値 基礎・応用と計算方法」 山本秀樹著、株式会社情報機構、平成17年 3月 31日発行)。
本推算法により、計算できない場合においては、溶解度パラメーターが既知の溶媒に対し溶解するか否かの判定による、実験法によりSP値を算出(以下、実験法と称することもある。)し、それを代用する(「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」 ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社1998年発行)。
相分離状態になる条件を選択するためには、ポリマーA、ポリマーBおよびこれらを溶解する有機溶媒の3成分の比率を変化させた状態の観察による簡単な予備実験で作成できる、3成分相図で判別が出来る。
相図の作成は、ポリマーA、ポリマーBおよび有機溶媒を任意の割合で混合溶解させ、静置を行った際に、界面が生じるか否かの判定を少なくとも3点以上、好ましくは5点以上、より好ましくは10点以上の点で実施し、2相に分離する領域および1相になる領域を峻別することで、相分離状態になる条件を見極めることが出来るようになる。
この際、相分離状態であるかどうかを判定するためには、ポリマーA、Bを、本発明を実施しようとする温度、圧力にて、任意のポリマーA、Bおよび溶媒の比に調整した後に、ポリマーA、Bを、完全に溶解させ、溶解させた後に、十分な攪拌を行い、3日放置し、巨視的に相分離をするかどうかを確認する。
しかし、十分に安定なエマルジョンになる場合においては、3日放置しても巨視的な相分離をしない場合がある。その場合は、光学顕微鏡・位相差顕微鏡などを用い、微視的に相分離しているかどうかで、相分離を判別する。
相分離は、有機溶媒中でポリマーAを主とするポリマーA溶液相と、ポリマーBを主とするポリマーB溶液相に分離することによって形成される。この際、ポリマーA溶液相は、ポリマーAが主として分配された相であり、ポリマーB溶液相はポリマーBが主として分配された相である。この際、ポリマーA溶液相とポリマーB溶液相は、ポリマーA、Bの種類と使用量に応じた体積比を有するようである。
相分離の状態が得られ、且つ工業的に実施可能な濃度として、有機溶媒に対するポリマーA、Bの濃度は、有機溶媒に溶解する可能な限りの範囲内であることが前提であるが、好ましくは、1質量%超〜50質量%、より好ましくは、1質量%超〜30質量%、さらに好ましくは、2質量%〜20質量%である。
子粒子成分の使用量については、相分離状態におけるポリマーA溶液相への分配量と焼成後の多孔質状態量を勘案し、所望の量の多孔質度を得られるように子粒子量を決定するが、通常、ポリマーA成分100質量部に対して、子粒子量として0.1質量部から100質量部、好ましくは0.1質量部から80質量部、より好ましくは0.1質量部から50質量部、特に好ましくは1質量部から30質量部の範囲で選択することが好ましい。
本方法における、ポリマーA溶液相とポリマーB溶液相の2相間の界面張力は、両相とも有機溶媒であることから、その界面張力が小さく、その性質により、生成するエマルジョンが安定に維持できることから、粒子径分布が小さくなるようである。特に、ポリマーA相とポリマーB相の有機溶媒が同一である時は、その効果が顕著である。
本方法における2相間の界面張力は、界面張力が小さすぎることから、通常用いられる溶液に異種の溶液を加えて測定する懸滴法などでは直接測定することは出来ないが、各相の空気との表面張力から推算することにより、界面張力を見積もることが出来る。各相の空気との表面張力をr、rとした際、その界面張力r12は、r12=r−rの絶対値で推算することができる。この際、このr12の好ましい範囲は、0超〜10mN/mであり、より好ましくは0超〜5mN/mであり、さらに好ましくは、0超〜3mN/mであり、特に好ましくは、0超〜2mN/mである。
本方法における2相間の粘度は、平均粒子径および粒子径分布に影響を与え、粘度比が小さい方が、粒子径分布が小さくなる傾向にある。粘度比を、本発明を実施しようとする温度条件下でのポリマーA溶液相/ポリマー溶液相Bと定義した場合において、好ましい範囲としては、0.1以上10以下、より好ましい範囲としては、0.2以上5以下、さらに好ましい範囲としては、0.3以上3以下、特に好ましい範囲としては、0.5以上1.5以下であり、著しく好ましい範囲としては、0.8以上1.2以下である。
このようにして得られた相分離する系を用い、子粒子成分を含有する合成樹脂微粒子を製造する。微粒子化を行うには、通常の反応槽で実施される。本発明を実施するにふさわしい温度は、工業的な実現性の観点から −50℃〜200℃の範囲であり、好ましくは、−20℃〜150℃であり、より好ましくは、0℃〜120℃であり、さらに好ましくは、10℃〜100℃であり、特に好ましくは、20℃〜80℃であり、最も好ましくは、20℃〜50℃の範囲である。本発明を実施するにふさわしい圧力は、工業的な実現性の観点から、減圧状態から100気圧の範囲であり、好ましくは、1気圧〜5気圧の範囲であり、さらに好ましくは、1気圧〜2気圧であり、特に好ましくは、大気圧である。
このような条件下にて、相分離系状態を混合することにより、エマルジョンを形成させる。
すなわち上記で得られた相分離溶液に、剪断力を加えることにより、エマルジョンを生成させる。
エマルジョンの形成に際しては、ポリマーA溶液相が粒子状の液滴になるようにエマルジョンを形成させるが、一般に相分離させた際、ポリマーB溶液相の体積がポリマーA溶液相の体積より大きい場合に、このような形態のエマルジョンを形成させやすい傾向にあり、特にポリマーA溶液相の体積比が両相の合計体積1に対して0.4以下であることが好ましく、0.4〜0.1の間にあることが好ましい。上記相図を作成する際に、各成分の濃度における体積比を同時に測定しておくことにより、適切な範囲を設定することが可能である。
本製造法の目的は、子粒子含有合成樹脂微粒子内に子粒子成分を含ませることにあるが、種々検討を行った結果、子粒子成分を合成樹脂微粒子内に効率的かつ均質に含ませるためには、子粒子含有合成樹脂微粒子を作るために行われる工程のうち、このエマルジョン形成をさせる段階で子粒子成分を含ませることが好ましい。
エマルジョンを形成させる工程の中でも、エマルジョンを形成させる前段階、エマルジョンを形成した後の段階のいずれでも良いが、エマルジョンを形成させる前段階で子粒子成分を入れておくことが好ましい。エマルジョン形成の前段階で子粒子成分を投入したほうが、得られる多孔質炭素微粒子中の中空構造の個数が向上するので好ましい。
本製造法で得られる子粒子含有合成樹脂微粒子は、粒子径分布の小さい微粒子になるが、これは、エマルジョン形成の段階において、非常に均一なエマルジョンが得られるからである。この傾向はポリマーA、Bの両方を溶解する単一溶媒を用いる際に顕著である。このため、エマルジョンを形成させるに十分な剪断力を得るためには、従前公知の方法による攪拌を用いれば十分であり、攪拌羽による液相攪拌法、連続2軸混合機による攪拌法、ホモジナイザーによる混合法、超音波照射等通常公知の方法で混合することが出来る。
特に、攪拌羽による攪拌の場合、攪拌羽の形状にもよるが、攪拌速度は、好ましくは50rpm〜1200rpm、より好ましくは、100rpm〜1000rpm、さらに好ましくは、200rpm〜800rpm、特に好ましくは、300rpm〜600rpmである。
また、攪拌羽としては、具体的には、プロペラ型、パドル型、フラットパドル型、タービン型、ダブルコーン型、シングルコーン型、シングルリボン型、ダブルリボン型、スクリュー型、ヘリカルリボン型などが挙げられるが、系に対して十分に剪断力をかけられるものであれば、これらに特に限定されるものではない。また、効率的な攪拌を行うために、槽内に邪魔板等を設置してもよい。
また、エマルジョンを発生させるためには、必ずしも、攪拌機だけでなく、乳化機、分散機など広く一般に知られている装置を用いてもよい。具体的に例示するならば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、超音波ホモジナイザー、スタティックミキサーなどが挙げられる。
このようにして得られたエマルジョンは、引き続き子粒子含有合成樹脂微粒子を析出させる工程に供する。
子粒子含有合成樹脂微粒子を得るためには、ポリマーAに対する貧溶媒を、前記工程で製造したエマルジョンに接触させることでエマルジョン径に応じた径で、子粒子含有合成樹脂微粒子を析出させる。
貧溶媒とエマルジョンの接触方法は、貧溶媒にエマルジョンを入れる方法でも良いし、エマルジョンに貧溶媒を入れる方法でも良いが、エマルジョンに貧溶媒を入れる方法が好ましい。
この際、貧溶媒を投入する方法としては、本発明で製造する子粒子含有合成樹脂微粒子が得られる限り特に制限はなく、連続滴下法、分割添加法、一括添加法のいずれでも良いが、貧溶媒添加時にエマルジョンが凝集・融着・合一し、粒子径分布が大きくなったり、1000μmを超える塊状物が生成したりしないようにするために、好ましくは連続滴下法、分割滴下法であり、工業的に効率的に実施するためには、最も好ましいのは、連続滴下法である。
また、貧溶媒を加える時間としては、10分以上50時間以内であり、より好ましくは、30分以上10時間以内であり、さらに好ましくは1時間以上5時間以内である。
この範囲よりも短い時間で実施すると、エマルジョンの凝集・融着・合一に伴い、粒子径分布が大きくなったり、塊状物が生成したりする場合がある。また、これ以上長い時間で実施する場合は、工業的な実施を考えた場合、非現実的である。
この時間の範囲内で行うことにより、エマルジョンから子粒子含有合成樹脂微粒子に転換する際に、粒子間の凝集を抑制することができ、粒子径分布の小さい子粒子含有合成樹脂微粒子を得ることができる。
加える貧溶媒の量は、エマルジョンの状態にもよるが、好ましくは、エマルジョン総重量1質量部に対して、0.1から10質量部、より好ましくは、0.1から5質量部、さらに好ましくは、0.2から3質量部であり、特に好ましくは、0.2質量部から1質量部であり、最も好ましくは、0.2から0.5質量部である。
貧溶媒とエマルジョンとの接触時間は、子粒子含有合成樹脂微粒子が析出するのに十分な時間であればよいが、十分な析出を引き起こしかつ効率的な生産性を得るためには、貧溶媒添加終了後5分から50時間であり、より好ましくは、5分以上10時間以内であり、さらに好ましくは10分以上5時間以内であり、特に好ましくは、20分以上4時間以内であり、著しく好ましくは、30分以上3時間以内である。
このようにして作られた子粒子含有合成樹脂微粒子分散液は、ろ過、デカンテーション、減圧濾過、加圧ろ過、遠心分離、遠心ろ過、スプレードライ、酸析法、塩析法、凍結凝固法等の通常公知の方法で固液分離することにより、微粒子粉体を回収することが出来る。
固液分離した子粒子含有合成樹脂微粒子は、必要に応じて、溶媒等で洗浄を行うことにより、付着または含有している不純物等の除去を行い、精製を行う。この際、好ましい溶媒としては、上記貧溶媒であり、より好ましくは、水、メタノール、エタノールから選ばれる1種または2種以上の混合溶媒である。
得られた子粒子含有合成樹脂微粒子は、乾燥を行い、残留溶媒を取り除くことができる。この際、乾燥の方法としては、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。加熱する場合の温度は、ガラス転移温度より低い温度が好ましく、具体的には、50〜150℃が好ましい。
本発明の方法においては、子粒子含有合成樹脂微粒子を得る際に行った固液分離工程で分離された有機溶媒、ポリマーB及び/または子粒子成分を活用し、リサイクルを行うことが可能であることが有利な点である。
固液分離で得た溶媒は、ポリマーB、有機溶媒および貧溶媒及びまたは子粒子成分の混合物である。この溶媒から、貧溶媒を除去することにより、エマルジョン形成用の混合物溶媒として再利用することが出来る。
子粒子含有合成樹脂微粒子中に取り込まれなかった子粒子成分は、この混合物溶媒に含まれることから、再利用され、製造法全体をしてみた場合には、子粒子成分のロスにはならない。
貧溶媒を除去する方法としては、通常公知の方法で行われ、具体的には、単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留、抽出、膜分離などが挙げられるが、好ましくは単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留による方法である。
単蒸留、減圧蒸留等の蒸留操作を行う際は、系に熱がかかり、ポリマーBや有機溶媒の熱分解を促進する可能性があることから、極力酸素のない状態で行うことが好ましく、より好ましくは、不活性雰囲気下で行う。具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素条件下で実施する。
次に具体的な子粒子含有合成樹脂微粒子の炭化焼成方法について説明する。
炭化焼成は、子粒子含有合成樹脂微粒子と反応しない物質の雰囲気下にて、子粒子含有合成樹脂微粒子を加熱し行う。好ましくは、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスが使用される。
加熱時の雰囲気は、フロー系でも、密閉系でも構わないが、フロー系の方が加熱により発生するガスを除去できるため好ましい。加熱時の圧力は、加圧下でも減圧下でも構わないが、通常、常圧下で行なう。常圧下の場合の加熱温度は、400℃以上であればよく、好ましくは800℃以上である。また、その上限は、通常3000℃であり、好ましくは、2500℃である。
多孔質炭素微粒子のグラファイト化度は、加熱温度が高温であるほど、また加熱温度の保持時間が長いほど高くなる傾向である。好ましい加熱温度は、400℃以上、さらに好ましくは、800℃以上、最も好ましくは、1000℃以上である。
加熱温度への昇温速度は通常20℃/min以下であり、好ましくは10℃/min以下、より好ましくは5℃/min以下である。焼成温度が20℃/minを越えると、微粒子同士が融着しやすくなる傾向にある。
加熱温度の保持時間は、加熱温度によっても変わるが、好ましい下限としては、0.5時間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは5時間以上、特に好ましくは、10時間以上、著しく好ましくは、50時間以上であり、好ましい上限としては、1000時間以下であり、より好ましくは、500時間以下、さらに好ましくは、100時間以下である。さらに加熱温度については、適当な温度で一定時間保持し、さらに所望の加熱温度まで再度昇温させてもよい。
また子粒子含有合成樹脂微粒子を炭化焼成する場合において、上記の方法を用いることも可能であるが、以下に説明する前処理を行うことで、子粒子含有合成樹脂微粒子が耐炎化構造を形成し、炭化収率の向上や微粒子間の融着を抑制できることから好ましい。
子粒子含有合成樹脂微粒子を酸化性雰囲気下にて加熱することにより、耐炎化構造を形成することが可能である。酸化性雰囲気下とは、酸素、硫黄等を含む雰囲気下であるが、空気下が好ましい。加熱温度は、耐炎化構造を形成すれば特に制限はないが、100〜300℃、好ましくは150〜250℃である。加熱温度が100℃未満であると、耐炎化構造が進行せず、300℃を越えると、耐炎化構造を形成する前に、子粒子含有合成樹脂微粒子が溶融するため好ましくない。加熱温度への昇温速度は通常20℃/min以下であり、好ましくは10℃/min以下、より好ましくは5℃/min以下である。焼成温度が20℃/minを越えると、微粒子間で融着するため好ましくない。また、加熱温度は、所定温度まで加熱した後に一定時間保持してもよい。保持時間は、加熱温度によっても変わるが、0.5〜10時間、好ましくは0.5〜5時間の保持時間で十分である。さらに加熱温度については、適当な温度で一定時間保持し、さらに所望の加熱温度まで再度昇温させてもよい。
本発明により、取り扱い性が良好な粒子径範囲であり、かつ粒子径分布が狭く、特定の大きさの多孔質構造を含有する炭素微粒子を得ることができる。また、多くの場合表面形態が平滑であり、内部構造が多孔質な炭素微粒子が得られる。本発明の多孔質炭素微粒子は、樹脂やゴムへの高い分散性、充填性を示し、樹脂改質剤、導電性ゴム、異方導電性微粒子、クロマトグラフィー担体、分子吸着剤、トナー、リチウムイオン2次電池用負極剤、触媒、キャパシタなどに用いることができる。特に、任意の大きさの多孔質構造を形成可能なため、水処理、溶剤回収、空気清浄化、触媒、触媒担体、キャパシタ電極などにて、好適な機能を発現する。
次に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例中、用いる測定は下記の通りである。
(1)重量平均分子量の測定
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリスチレンによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:株式会社島津製作所製 LC−10Aシリーズ
カラム:昭和電工株式会社製 KD−806M
移動相:10mmol/L 臭化リチウム/ジメチルホルムアミド溶液
流速:1.0ml/min
検出:示差屈折率計
カラム温度:40℃。
(2)数平均粒子径、体積平均粒子径、粒子径分布の算出法
走査型電子顕微鏡(日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)を用い、倍率1000倍にて粒子を観察、数平均粒子径を測定した。尚、粒子が真円でない場合は、長径をその粒子径として測定した。
数平均粒子径(Dn)、体積平均粒子径(Dv)は、任意粒子100個の平均より数式(1)および(2)に従い、算出した。
粒子径分布指数(PDI)は、数式(3)に従い、算出した。
尚、Di:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
(3)真球度の測定
走査型電子顕微鏡(日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、粒子を観察し、短径と長径を測長し、任意粒子30個の平均より数式(4)に従い、算出した。
尚、n:測定数30とする。
(4)グラファイト化度
共鳴ラマン分光計(ホリバ ジョバンイボン製 INF−300)に炭素微粒子を設置し、波長532nmのレーザー光を用いて測定を行い、1360±100cm―1(A)と1580±100cm―1(B)の高さ比(B)/(A)を算出した。
(5)多孔質構造、子粒子の径測定
微粒子を電子顕微鏡用エポキシ樹脂で固めたのち、走査型電子顕微鏡用試料を切削し、走査型電子顕微鏡を用い、倍率2000倍で観察を行い、任意多孔質炭素微粒子もしくは炭素微粒子中の多孔質構造もしくは子粒子20個の径を観察することにより測定する。その数平均子粒子径、数平均孔径を求めた。
[製造例1]
還流管、撹拌翼を備えた反応容器にアクリロニトリル99質量部とイタコン酸1質量部をジメチルスルホキシド400質量部に溶解した後、過酸化ベンゾイル0.5質量部を加え、70℃に昇温し6時間保持して重合し、ポリアクリロニトリル溶液を得た。該溶液の重量平均分子量は、530,000であった。該溶液にポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製 ‘ゴーセノール(登録商標)’GL−05、重量平均分子量 10,600、SP値32.8(J/cm1/2)172質量部、有機微粒子(三菱レイヨン株式会社製‘メタブレン(登録商標)’C223A、粒径0.2μm)10質量部、ジメチルスルホキシド2776質量部を加え、80℃にて加熱し、全てのポリマーが溶解するまで撹拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、450rpmで攪拌をしながら、貧溶媒として1500質量部のイオン交換水を、送液ポンプを経由し、25質量部/分のスピードで滴下を行ない、粒子を析出させた。得られた微粒子を単離後、水洗し、乾燥を行った。得られたポリアクリロニトリル共重合体微粒子の数平均粒子径は、11.6μm、粒子径分布指数は、1.35、真球度は93であった。なお、このポリマーのSP値は、計算法より、29.5(J/cm1/2であった。子粒子含有合成樹脂微粒子の断面観察を行ったところ、数平均粒子径0.2μmの子粒子が含有されていた。
[製造例2]
還流管、撹拌翼を備えた反応容器にアクリロニトリル99質量部とイタコン酸1質量部をジメチルスルホキシド400質量部に溶解した後、過酸化ベンゾイル0.5質量部を加え、70℃に昇温し6時間保持して重合し、ポリアクリロニトリル溶液を得た。該溶液の重量平均分子量は、530,000であった。該溶液にポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製 ‘ゴーセノール(登録商標)’GL−05、重量平均分子量 10,600、SP値32.8(J/cm1/2)172質量部、有機微粒子(株式会社カネカ製‘カネエース(登録商標)’FM50、粒径0.2μm)10質量部、ジメチルスルホキシド2776質量部を加え、80℃にて加熱し、全てのポリマーが溶解するまで撹拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、450rpmで攪拌をしながら、貧溶媒として1500質量部のイオン交換水を、送液ポンプを経由し、25質量部/分のスピードで滴下を行ない、粒子を析出させた。得られた微粒子を単離後、水洗し、乾燥を行った。得られたポリアクリロニトリル共重合体微粒子の数平均粒子径は、8.6μm、粒子径分布指数は、1.32、真球度は94であった。なお、このポリマーのSP値は、計算法より、29.5(J/cm1/2であった。子粒子含有合成樹脂微粒子の断面観察を行ったところ、数平均粒子径0.2μmの子粒子が含有されていた。
[製造例3]
還流管、撹拌翼を備えた反応容器にアクリロニトリル99質量部とイタコン酸1質量部をジメチルスルホキシド400質量部に溶解した後、過酸化ベンゾイル0.5質量部を加え、70℃に昇温し6時間保持して重合し、ポリアクリロニトリル溶液を得た。該溶液の重量平均分子量は、530,000であった。該溶液にポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製 ‘ゴーセノール(登録商標)’GL−05、重量平均分子量 10,600、SP値32.8(J/cm1/2)172質量部、ジメチルスルホキシド2776質量部を加え、80℃にて加熱し、全てのポリマーが溶解するまで撹拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、450rpmで攪拌をしながら、貧溶媒として1500質量部のイオン交換水を、送液ポンプを経由し、25質量部/分のスピードで滴下を行ない、粒子を析出させた。得られた微粒子を単離後、水洗し、乾燥を行った。得られたポリアクリロニトリル共重合体微粒子の数平均粒子径は、8.0μm、粒子径分布指数は、1.30、真球度は91であった。なお、このポリマーのSP値は、計算法より、29.5(J/cm1/2であった。
[製造例4]
還流管、撹拌翼を備えた反応容器にポリアミドイミド(重量平均分子量 66,000東レ株式会社製 TI 5013E−P)15質量部、N−メチル−2−ピロリジノン 30質量部、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製 ‘ゴーセノール(登録商標)’GL−05、重量平均分子量 10,600、SP値32.8(J/cm1/2)5質量部、有機微粒子(株式会社カネカ製‘カネエース(登録商標)’FM50、粒径0.2μm)1.5質量部を加え、80℃にて加熱し、全てのポリマーが溶解するまで攪拌を行った。系の温度を室温に戻した後に、450rpmで攪拌しながら、貧溶媒として50質量部のイオン交換水を、送液ポンプを経由し、3.2質量部/分のスピードで滴下を行い、粒子を析出させた。得られた微粒子を単離後、水洗し、乾燥を行った。得られたポリアミドイミド微粒子の数平均粒子径は、24μm、粒子径分布指数は、1.5、真球度は、97であった。なお、このポリマーのSP値は、計算法により、31.0(J/cm1/2であった。子粒子含有合成樹脂微粒子の断面観察を行ったところ、数平均粒子径0.2μmの子粒子が含有されていた。
[実施例1]
製造例1にて作製したポリアクリロニトリル共重合体微粒子10.0gを磁性皿に取り、マッフル炉(ヤマト科学社製、FP41)にて大気下、250℃まで50分かけて昇温後、1時間保持した。その後窒素気流下、1000℃まで2時間30分かけて昇温し、炭素微粒子1.7gを得た。得られた炭素微粒子の数平均粒子径は、7.7μm、粒子径分布指数は、1.71、真球度は、85、グラファイト化度の指標である高さ比(B)/(A)は、0.99であった。得られた炭素微粒子の走査型電子顕微鏡による断面観察を図1に、走査型電子顕微鏡による表面観察を図2に示す。図1および図2から、表面形態が平滑であり、内部構造が多孔質であることが分かる。炭素微粒子の断面観察を行ったところ、数平均孔径0.5μmの多孔質構造が含有されていた。
[実施例2]
製造例2にて作製したポリアクリロニトリル共重合体微粒子10.0gを磁性皿に取り、マッフル炉(ヤマト科学社製、FP41)にて大気下、250℃まで50分かけて昇温後、1時間保持した。その後窒素気流下、1000℃まで2時間30分かけて昇温し、炭素微粒子1.7gを得た。得られた炭素微粒子の数平均粒子径は、7.0μm、粒子径分布指数は、1.31、真球度は、87、グラファイト化度の指標である高さ比(B)/(A)は、1.00であった。実施例1と同様に炭素微粒子の断面観察および表面観察を行ったところ、数平均孔径1.0μmの多孔質構造が含有されていた。また、表面形態は平滑であり、内部構造が多孔質であった。
[実施例3]
製造例4にて作製したポリアミドイミド微粒子10.0gを磁性皿に取り、マッフル炉(ヤマト科学社製、FP41)にて大気下、250℃まで50分かけて昇温後、1時間保持した。その後窒素気流下、1000℃まで2時間30分かけて昇温し、炭素微粒子2.4gを得た。得られた炭素微粒子の数平均粒子径は、12.0μm、粒子径分布指数は、1.41、真球度は、90、グラファイト化度の指標である高さ比(B)/(A)は、1.02であった。実施例1と同様に炭素微粒子の断面観察および表面観察を行ったところ、数平均孔径0.4μmの多孔質構造が含有されていた。また、表面形態は平滑であり、内部構造が多孔質であった。
[比較例1]
製造例3にて作製したポリアクリロニトリル共重合体微粒子10.0gを磁性皿に取り、マッフル炉(ヤマト科学社製、FP41)にて大気下、250℃まで50分かけて昇温後、1時間保持した。その後窒素気流下、1000℃まで2時間30分かけて昇温し、炭素微粒子3.3gを得た。得られた炭素微粒子の数平均粒子径は、5.7μm、粒子径分布指数は、1.35、真球度は、90、グラファイト化度の指標である高さ比(B)/(A)は、1.05であった。得られた炭素微粒子の走査型電子顕微鏡による断面観察を図3に示す。図3から多孔質構造が含有されていないことが分かる。

Claims (11)

  1. ポリオレフィン系共重合体、アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル系共重合体、ポリアクリルアミド系重合体、ポリ酢酸ビニル系重合体、ポリ塩化ビニル系重合体、ポリ塩化ビニリデン系重合体、ポリアミド、ポリアリーレンエーテル、ポリアリーレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリイミドからなる群から少なくとも1つ以上選ばれるポリマーAと異種のポリマーBを、有機溶媒に混合し、ポリマーAを主成分とする溶液相とポリマーBを主成分とする溶液相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させることにより、子粒子成分を包含させながらポリマーAを析出させポリマーAの子粒子含有合成樹脂微粒子を製造し、その子粒子含有合成樹脂微粒子を炭化焼成することを特徴とする多孔質炭素微粒子の製造方法。
  2. 前記ポリマーAが、アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリトニトリル系共重合体、ポリアミドイミドから選択されたものであることを特徴とする請求項1記載の多孔質炭素微粒子の製造方法。
  3. アクリロニトリル系単量体と親水性ビニル単量体との共重合体からなるポリアクリロニトリル系共重合体がアクリロニトリル系単量体100質量部に対し、0超〜25質量部の親水性ビニル単量体を共重合してなるアクリロニトリル共重合体である請求項1または2記載の多孔質炭素微粒子の製造方法。
  4. 親水性ビニル単量体が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、スルホン酸基およびリン酸基を1種以上含有することを特徴とする請求項1から3いずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法。
  5. 親水性ビニル単量体が、アミド基またはカルボキシル基を1種以上含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法。
  6. 親水性ビニル単量体が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸およびアクリルアミドから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法。
  7. 子粒子を含有したポリアミドイミド微粒子を炭化焼成することを特徴とする多孔質炭素微粒子の製造方法。
  8. グラファイト化度が0.7以上であることを特徴とする請求項1から7いずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法。
  9. 数平均粒子径が0.1〜100μm、粒子径分布指数が1.0〜2.0であることを特徴とする請求項1から8いずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法。
  10. 子粒子成分が有機微粒子であることを特徴とする請求項1から9いずれか記載の多孔質炭素微粒子の製造方法。
  11. 数平均粒子径が0.1〜100μm、粒子径分布指数が1.0〜2.0、グラファイト化度が0.7以上及び真球度が80以上であることを特徴とする多孔質炭素微粒子。
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