JP2016033212A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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寛子 市川
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宏 竹崎
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Yuji Echigo
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Abstract

【課題】高い靭性特性を有するエポキシ樹脂硬化物の提供
【解決手段】エポキシ樹脂と硬化剤とからなるエポキシ樹脂硬化物に対し、ポリアミドイミド微粒子を添加した新規なエポキシ樹脂組成物およびその硬化物。エポキシ樹脂硬化物の特性である、弾性率を低下させることなく、エポキシ樹脂硬化物の曲げ強度、曲げ歪みを向上させる効果を有する。本エポキシ樹脂硬化物は、特に従来のシリコーンゴム質重合体微粒子添加による低弾性率化や分散不良を引き起こさず、高靱性化させることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、エポキシ樹脂組成物に関するものである。
エポキシ樹脂を始めとする熱硬化性樹脂は、高分子材料として、その硬化収縮が小さく、耐熱性、接着性、耐水性、機械的強度及び電気特性等に優れていることから、成形材料、接着剤、塗料、土木建築用材料、電気・電子部品の絶縁材料、炭素繊維強化複合材料として幅広く利用されている。
しかしながら、熱硬化性樹脂は、硬く、脆い性質を有している事から、その破壊靭性が乏しく、非常に脆性的な性質を持っていることが知られており、様々な用途において、この特性が課題となることが多い。
この課題を解決するためのひとつの手法として、熱硬化性樹脂組成物中に、ゴム成分を配合し、硬化させて利用する方法が開示されている(特許文献1,2,3)。
添加するゴム成分の種類としては、カルボキシル基末端を有するブタジエン・アクリロニトリルゴムやアミノ基末端を有するブタジエン・アクリロニトリルゴムなどの液状変性ゴム成分や、通常NBRと称されるニトリル−ブタジエン粒子、シリコーン粒子やアクリル系コアシェル粒子などの粒子状変性ゴム成分などの方法が挙げられる。
これら2つの方法のうち、特に熱硬化性樹脂の硬化物中で安定した相構造を形成しやすく、熱硬化性樹脂とのコンパウンドがしやすい粒子状変性ゴム成分が好ましく利用される。
しかし、この粒子状変性ゴム成分は、主にビニル系重合体を、乳化重合を始めとするラジカル重合によって製造する。このビニル系高分子は、主鎖の耐熱性がそれほど高くないため、樹脂の硬化時や他工程でかかる加熱に対する安定性に更なる改善が求められていた。
即ち、従来知られているゴム粒子添加法以外の新しい高靭性化手法が望まれていた。
国際公開第2006/19041号 特開2009−249569号公報 特表2009−506169号公報 特開2012−31288号公報
即ち、本発明の課題は、エポキシ樹脂硬化物の弾性率などの機械強度を落とさず、かつ加熱時の体積変化が少ない、靭性に優れたエポキシ樹脂硬化物を提供するための粒子状変性剤、それを用いた熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、粒子状変性剤として、ポリアミドイミド微粒子を熱硬化性樹脂に配合することで、エポキシ樹脂硬化物の基本機械物性を低下させることなく靭性が向上する材料を見出した。
すなわち、本発明は、
「[1](1)エポキシ樹脂
(2)硬化剤
(3)真球度が80以上であるポリアミドイミド微粒子
を含み、硬化後にポリアミドイミド微粒子の形状を維持することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
[2]ポリアミドイミドが、芳香族系ポリアミドイミドであることを特徴とする[1]記載のエポキシ樹脂組成物。
[3]ポリアミドイミド微粒子の平均粒子径が、0.5超100μm以下であることを特徴とする[1]または[2]記載のエポキシ樹脂組成物。
[4]ポリアミドイミド微粒子の粒子径分布指数が1〜3であり、真球度が90以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
[5]ポリアミドイミド微粒子を1〜50質量%含むことを特徴とする[1]〜[4]のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
[6]硬化剤がフェノール樹脂系化合物であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
[7][1]〜[6]いずれか記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより得られるエポキシ樹脂硬化物。
[8]硬化物中のポリアミドイミド粒子の平均粒子径が、0.5超100μm以下であることを特徴とする[7]記載のエポキシ樹脂硬化物。」である。
本発明の方法によれば、加熱時の体積変化が小さくかつ強度特性を維持し、靭性に優れたエポキシ樹脂硬化物を与えることができる。
本発明は、エポキシ樹脂が使われる用途に幅広く適用することができ、例えば半導体封止剤、LED封止剤、接着剤、炭素繊維強化材料などの分野に応用することが出来る。
実施例1で得られたポリアミドイミド粒子を含んだエポキシ樹脂組成物を硬化させた後の硬化物の断面写真である。本写真より、ポリアミドイミド粒子が硬化後も粒子の形状を維持したままであることがわかる。
以下本発明をさらに詳しく説明する。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、例えば、分子内に水酸基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物とエピクロロヒドリンから得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に二重結合を有する化合物を酸化することから得られる脂環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプの基が分子内に混在するエポキシ樹脂などが用いられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンとエピクロロヒドリンの反応により得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、レゾルシノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、フェノールとエピクロロヒドリンの反応により得られるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルビフェノールとエピクロロヒドリンとの反応により得られるビフェニル型エポキシ樹脂、その他ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、およびこれらの位置異性体やアルキル基やハロゲンでの置換体が挙げられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“EPON”(登録商標)825、“jER”(登録商標)826、“jER”(登録商標)827、“jER”(登録商標)828(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン”(登録商標)850(DIC(株)製)、“エポトート”(登録商標)YD−128(新日鉄住金化学(株)製)、D.E.R−331、D.E.R−332(ダウケミカル社製)、“Bakelite”(登録商標)EPR154、“Bakelite”(登録商標)EPR162、“Bakelite”(登録商標)EPR172、“Bakelite”(登録商標)EPR173、および“Bakelite”(登録商標)EPR174(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)806、“jER”(登録商標)807、“jER”(登録商標)1750(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン”(登録商標)830(DIC(株)製)、“エポトート”(登録商標)YD−170、“エポトート”(登録商標)YD−175(新日鉄化学(株)製)、“Bakelite”(登録商標)EPR169(Bakelite AG社製)、GY281、GY282、およびGY285(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール”(登録商標)EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)152、“jER”(登録商標)154(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン”(登録商標)740(DIC(株)製)、およびEPN179、EPN180(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。
ビフェニル型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER”(登録商標)YX4000、“jER”(登録商標)YX4000K、“jER”(登録商標)YX4000H、“jER”(登録商標)YX4000HK、“jER”(登録商標)YL6121H、“jER”(登録商標)YL6121HN(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂の具体例としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類、アミノフェノールのグリシジル化合物類、グリシジルアニリン類、およびキシレンジアミンのグリシジル化合物などが挙げられる。
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類の市販品としては、“スミエポキシ”(登録商標)ELM434(住友化学(株)製)、“アラルダイト”(登録商標)MY720、“アラルダイト”(登録商標)MY721、“アラルダイト”(登録商標)MY9512、“アラルダイト”(登録商標)MY9612、“アラルダイト”(登録商標)MY9634、“アラルダイト”(登録商標)MY9663(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、“jER”(登録商標)604(三菱化学(株)製)、“Bakelite”(登録商標)EPR494、“Bakelite”(登録商標)EPR495、“Bakelite”(登録商標)EPR496、および“Bakelite”(登録商標)EPR497(以上、Bakelite AG社製)などが挙げられる。
アミノフェノールのグリシジル化合物類の市販品としては、“jER”(登録商標)630(三菱化学(株)製)、“アラルダイト”(登録商標)MY0500、“アラルダイト”(登録商標)MY0510(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、“スミエポキシ”(登録商標)ELM120、および“スミエポキシ”(登録商標)ELM100(以上、住友化学(株)製)などが挙げられる。
グリシジルアニリン類の市販品としては、GAN、GOT(以上、日本化薬(株)製)や“Bakelite”(登録商標)EPR493(Bakelite AG社製)などが挙げられる。
キシレンジアミンのグリシジル化合物としては、TETRAD−X(三菱瓦斯化学(株)製)が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂の具体例としては、フタル酸ジグリシジルエステルや、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルやそれぞれの各種異性体が挙げられる。
フタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“エポミック”(登録商標)R508(三井化学(株)製)や“デナコール”(登録商標)EX−721(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“エポミック”(登録商標)R540(三井化学(株)製)やAK−601(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
ダイマー酸ジグリシジルエステルの市販品としては、“jER”(登録商標)871(三菱化学(株)製)や“エポトート”(登録商標)YD−171(新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂の市販品としては、“セロキサイド”(登録商標)2021P((株)ダイセル製)、CY179(ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ社製)、“セロキサイド”(登録商標)2081((株)ダイセル製)、および“セロキサイド”(登録商標)3000((株)ダイセル製)などが挙げられる。上記エポキシ樹脂は一種または二種以上で用いることができる。
好ましいエポキシ樹脂としては、耐熱性、靭性の点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン類およびアミノフェノールのグリシジル化合物類であるグリシジルアミン型エポキシ樹脂であり、より好ましいエポキシ樹脂としては、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂であるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂であり、特に好ましくはビフェニル型エポキシ樹脂である。
<ポリアミドイミド>
本発明におけるポリアミドイミドとは、主鎖がアミド結合とイミド結合で連結したポリマーであり、一般式(1)で代表される構造を有するものである。
(式中、RおよびRは、芳香族、脂肪族の炭化水素あるいはそれらの誘導体を表わし、内部にエーテル結合、チオエーテル結合、カルボキシル基、ハロゲン、アミド結合を有する原子団があってもよい。)
本発明においては、中でもRが、芳香族炭化水素あるいはその誘導体である一般式(2)に示すような化合物が好ましい。
上記式中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン基、ヒドロキシル基、アルコキシル基、エステル基、カルボキシル基、スルホン酸基等の置換基から選ばれるいずれかを示す。また、これらは同一または相異なるものであってもよい。
このうち、好ましいものとしては、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基であり、より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基であり、工業的に入手が容易な点から、特に好ましいものは、水素原子、メチル基である。
また、式中Rとしては、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンを由来とする置換基を示す。
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、などが具体的に挙げられ、芳香族ジアミンとしては、1,4−フェニレンジアミン、1,3―フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、3,3’−メチレンジアニリン、4,4’−メチレンジアニリン、4,4’−オキシジアニリンなどが挙げられる。
また、これらジアミン化合物は、1種または2種以上を用いることができる。
本発明におけるポリアミドイミドの好ましい分子量としては、重量平均分子量として、1,000〜10,000,000であり、好ましくは、10,000〜1,000,000であり、より好ましくは、50,000〜500,000である。この範囲であれば、ポリアミドイミド微粒子を容易に形成することができる。
ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで換算した重量平均分子量を指す。
本発明におけるポリアミドイミドとは、本発明に影響が出ない範囲において、他共重合成分と共重合させることができるが、前記ポリアミドイミド中50質量%未満であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、本発明におけるポリアミドイミドは、分子構造によっては、分子内でイミド構造が完成していない構造を形成していても良く、一般式(3)に示すようなイミド構造を有していてもかまわない。
しかし、エポキシ樹脂中の分散性を考慮した場合、イミド構造を形成する前のカルボキシル基が残っている方が好ましい。
特に分子内でイミド構造が形成できるポリアミドイミドの場合、カルボキシル基の残存量は、イミド閉環率を利用することで表すことができる。好ましいイミド閉環率としては、50%以上であり、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、特に好ましくは80%以上である。上限は、特に定めるものではないが、100%である。
ここで、本発明でいうイミド閉環率とは、赤外法によって求めるものであり、ポリアミドイミド樹脂を260℃、48時間の熱処理により、100%イミド閉環したものを標品とした試料を、KBr法赤外分光測定により、イミド基に由来する1780cm−1と1245cm−1、あるいはイミド基に由来する600cm−1と890cm−1のピーク高さを測定し、ピーク高さ比を算出することで求める値である。
本発明におけるポリアミドイミド微粒子は、エポキシ樹脂組成物中において、硬化前から硬化後に至るまでにおいて、微粒子が溶解しないことに特徴が有る。この特徴が、硬化後の機械特性に大きく影響を与え、特に硬化物の弾性率を維持しつつ、曲げ歪みや曲げ応力、衝撃強さなどの靱性向上に寄与する。
<ポリアミドイミド微粒子>
本発明におけるポリアミドイミド微粒子(以下樹脂微粒子と称する場合もある)の平均粒子径は、その下限としては、0.5μm以上であり、好ましくは0.5μm超であり、より好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは1μm超であり、特に好ましくは5μm以上であり、最も好ましくは10μm以上である。また平均粒子径の上限としては、100μm以下であり、より好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは60μm以下であり、特に好ましくは50μm以下であり、最も好ましくは20μm以下である。
ポリアミドイミド微粒子の平均粒子径が小さすぎると、エポキシ樹脂にポリアミドイミド微粒子を添加した際の組成物の粘度が上昇し、作業性が低下し、その結果、ポリアミドイミド微粒子のエポキシ樹脂組成物内での分散性が低下する。
ここでいう平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡写真から任意の100個の微粒子直径を特定し、その算術平均を下式(5)に従って求めることにより算出することができる、体積平均粒子径を意味するものである。その際、走査型電子顕微鏡写真は少なくとも300倍以上、好ましくは500倍以上の倍率で測定する。
本発明におけるポリアミドイミド微粒子の粒子径分布指数は、3以下であり、好ましくは、2以下であり、より好ましくは、1.5以下であり、特に好ましくは、1.2以下であり、最も好ましくは、1.1以下である。また、理論上、その下限は1である。
ここで、粒子径分布指数(PDI)は、数平均粒子径(Dn)に対する体積平均粒子径(Dv)の比(=Dv/Dn)として定義されるものである。
尚、粒子径分布指数は、以下の式(6)に従い、数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比により算出する。ここで言う数平均粒子径および体積平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真にて任意粒子100個を観測、直径を測定し、以下の式(4)(5)よりそれぞれ算出する。尚、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとし、微粒子が重なり凝集している場合は、その凝集物を1微粒子として捕らえ、その長径を粒子径として測定する。
尚、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
本発明で用いるポリアミドイミド微粒子はポリアミドイミドを主成分とするものであるが、目的に応じ、ポリアミドイミド微粒子の内部にゴム粒子、無機粒子、金属粒子などの添加粒子を有していても良い。
上記において、主成分とは、ポリアミドイミド微粒子中にポリアミドイミドを50質量%超含むものであり、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上である。ポリアミドイミド100質量%からなるポリアミドイミド微粒子が最も好ましく用いることができるのは勿論である。
上記ポリアミドイミド微粒子に用いうるゴム粒子としては、ポリアミドイミドと親和性のあるものであればよく、例えば、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などの芳香族性化合物を含むものが好ましく挙げられる。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チタン酸バリウム、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス、黒鉛、アモルファスカーボン、活性炭などが挙げられる。
金属粒子としては、鉄分、アルミナ粉、ニッケル粉、銅粉、銀粉、はんだ粉などが挙げられる。
添加粒子の平均粒子径は、ポリアミドイミド微粒子の平均粒子径に対して、1/3以下であり、好ましくは、1/4以下であり、より好ましくは、1/5以下であり、さらに好ましくは、1/8以下であり、特に好ましくは、1/10以下である。
また、好ましい下限は、50nmである。
ここでいう平均粒子径とは、ポリアミドイミド微粒子の項で定義した体積平均粒子径のことを指す。
この範囲の平均粒子径の添加粒子であれば、ポリアミドイミド微粒子の中に取り込ませるのに適切な大きさであり、取扱が容易である。
添加粒子の平均粒子径は、添加する前に、粒度分布計で測定することができる。本方法での測定が難しい場合は、走査型電子顕微鏡にて測定し、算出する。さらに、添加粒子の粒子径が小さく、この方法で観察できない場合には、観察できる程度に倍率を高めるか、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、同様の方法で決定する。
走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡にて、平均粒子径を算出する場合は、顕微鏡の視野で任意の100個の粒子が観察できる倍率にて、個々の粒子を測定し、その算術平均をしたものを平均粒子径とする。
また、粒子の内部に添加粒子が取り込まれたかどうかの確認は、ポリアミドイミド微粒子をエポキシ樹脂などで固め、電子顕微鏡用の超薄切片を作成し、光学顕微鏡、または走査型電子顕微鏡にて確認をすることができる。これで観察が困難な場合は透過型電子顕微鏡にて確認することができる。
ポリアミドイミド微粒子内の添加粒子の粒子径は、前記電子顕微鏡用超薄切片での観察より粒子径を測定する。この際、写真状の粒子径は、必ずしも添加粒子の赤道面での断面とは限らないため、写真上での最大粒子径をその添加粒子の粒子径とする。
添加粒子の粒子径を超薄切片で測定する場合は、添加粒子の任意の粒子100個以上測定し、算術平均したものを、その添加粒子の平均粒子径とする。
本発明におけるポリアミドイミド微粒子中に含まれる添加粒子を入れる上限は、ポリアミドイミド微粒子全体に対し、50質量%未満であり、好ましくは、40質量%以下であり、さらに好ましくは、30質量%以下である。
本発明におけるポリアミドイミド微粒子は、その形状が真球状であることに特徴がある。本発明における樹脂微粒子の真球度は、80以上であり、好ましくは、85以上、より好ましくは90以上、さらに好ましくは95以上である。真球度が80未満であると、樹脂等への分散性が悪化するため好ましくない。
ここで、真球度とは、走査型電子顕微鏡(日本電子社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、粒子を観察し、任意粒子30個の短径と長径を測長し、その比率を求め、下記数式(式7)に従い、算出したものである。
<ポリアミドイミド微粒子の製造方法>
ポリアミドイミド微粒子を得る方法としては、通常ポリアミドイミドを原料とし、微粒子化する方法が挙げられるが、ポリアミドイミドを溶解する溶媒に溶解しスプレードライさせる方法、溶媒にポリアミドイミドを溶解し、貧溶媒あるいは冷却させることで溶解度を変化させて析出させる方法などが挙げられ、いずれの方法で入手しても良いが、中でも高分子溶液を相分離させ、エマルションを形成させ、貧溶媒を添加することで微粒子を得る手法(国際公開WO2009/142231号パンフレット)を利用するのが最も好ましい。
例えば、微粒子化をしようとするポリアミドイミド(以下、ポリマーAと称することもある)とポリマーAの貧溶媒に溶解するポリマーBと有機溶媒を溶解混合させ、ポリマーAを主成分とする溶液相(以下、ポリマーA溶液相と称することもある)と、ポリマーBを主成分とする溶液相(以下、ポリマーB溶液相と称することもある)の2相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させることにより、ポリマーAを析出させるような方法で得ることができる。この方法であると、真球状でかつ粒子径分布の狭い粒子が得られることから、エポキシ樹脂への分散性が向上するため好ましい。
上記手法について、より具体的に示す。
上記において、「ポリマーAとポリマーBと有機溶媒を溶解混合させ、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系」とは、ポリマーAとポリマーBと有機溶媒を混合したときに、ポリマーAを主として含む溶液相と、ポリマーBを主として含む溶液相の2相に分かれる系をいう。
このような相分離をする系を用いることにより、相分離する条件下で混合して、乳化させ、エマルションを形成させることができる。
なお、上記において、ポリマーが溶解するかどうかについては、本方法を実施する温度、即ちポリマーAとポリマーBを溶解混合して、2相分離させる際の温度において、有機溶媒に対し1質量%超溶解するかどうかで判別する。
このエマルションは、ポリマーA溶液相が分散相に、ポリマーB溶液相が連続相になり、そしてこのエマルションに対し、ポリマーAの貧溶媒を接触させることにより、エマルション中のポリマーA溶液相から、ポリマーAが析出し、ポリマーAで構成される樹脂微粒子を得ることが出来る。
なお、添加粒子を樹脂微粒子中に入れる場合は、ポリマーAの溶液相に目的の添加粒子を加えることで実施することができる。
本方法においては、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒を用い、本方法のポリアミドイミド微粒子が得られる限り、その組合せに特に制限はない。
ポリマーBとしては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられるが、本方法で用いるポリマーAを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒に溶解するものが好ましく、なかでも、上記有機溶媒に溶解し、アルコール系溶媒または水に溶解するものが工業上取り扱い性に優れる点でより好ましく、さらに有機溶媒に溶解し、メタノール、エタノールまたは水に溶解するものが特に好ましい。
ポリマーBを具体的に例示するならば、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってもよい)、ポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体であってもよい)、ポリビニルピロリドン、ポリ(エチレングリコール)、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンラウリン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジニウムクロライド、ポリ(スチレン−マレイン酸)共重合体、アミノポリ(アクリルアミド)、ポリ(パラビニルフェノール)、ポリアリルアミン、ポリビニルエーテル、ポリビニルホルマール、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(オキシエチレンアミン)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリアミノスルホン、ポリエチレンイミン等の合成樹脂、マルトース、セルビオース、ラクトース、スクロースなどの二糖類、セルロース、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、アミロースおよびその誘導体、デンプンおよびその誘導体、デキストリン、シクロデキストリン、アルギン酸ナトリウムおよびその誘導体等の多糖類またはその誘導体、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、アルブミン、フィブロイン、ケラチン、フィブリン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、アラビアゴム、寒天、たんぱく質等が挙げられ、好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってもよい)、ポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体であってよい)、ポリエチレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンであり、より好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってよい)、ポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンであり、特に好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってよい)、ポリ(エチレングリコール)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンである。
ポリマーBの分子量は、好ましくは、重量平均分子量で、1,000〜100,000,000、より好ましくは、1,000〜10,000,000、さらに好ましくは、5,000〜1,000,000であり、特に好ましくは、10,000〜500,000の範囲であり、最も好ましい範囲は、10,000〜100,000の範囲である。
ここでいう重量平均分子量とは、溶媒として水を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリエチレングリコールで換算した重量平均分子量を指す。
水で測定できない場合においては、ジメチルホルムアミドを用い、それでも測定できない場合においては、テトラヒドロフランを用い、さらに測定できない場合においては、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いる。
ポリアミドイミドとポリマーBを溶解させる有機溶媒としては、ポリアミドイミド、ポリマーBを溶解し得る有機溶媒であり、各ポリマーの種類に応じて選択される。
具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、プロピレンカーボネート、トリメチルリン酸、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸溶媒、アニソール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ハイドロゲンスルフェート、1−エチル−3−イミダゾリウム アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム チオシアネートなどのイオン性液体あるいはこれらの混合物が挙げられ、使用するポリアミドイミド、ポリマーB成分の種類により適宜選択される。好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒から選択されるものであり、さらに好ましいものとしては、水溶性溶媒であるアルコール系溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、著しく好ましいのは、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、入手が容易で、かつ広範な範囲のポリマーを溶解し得る点でポリマーAへの適用範囲が広く、かつ水やアルコール系溶媒等など後述する貧溶媒として好ましく用い得る溶媒と均一に混合し得る点から、最も好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、ギ酸、酢酸である。
これらの有機溶媒は、複数種用いてもよいし、混合して用いても良いが、粒子径が比較的小さく、かつ、粒子径分布の小さい粒子が得られる点、使用済みの溶媒のリサイクル時の分離の工程のわずらわしさを避け、製造上のプロセス負荷低減という観点で、単一の有機溶媒であるほうが好ましく、さらにポリマーA、およびポリマーBの両方を溶解する単一の有機溶媒であることが好ましい。
本方法におけるポリマーAの貧溶媒とは、ポリマーAを溶解させない溶媒のことをいう。溶媒を溶解させないとは、ポリマーAの貧溶媒に対する溶解度が1質量%以下のものであり、より好ましくは、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。
本方法において、ポリマーAの貧溶媒を用いるが、かかる貧溶媒としてはポリマーAの貧溶媒でありかつ、ポリマーBを溶解する溶媒であることが好ましい。これにより、ポリマーAで構成されるポリマー微粒子を効率よく析出させることができる。また、ポリマーAおよびポリマーBを溶解させる溶媒とポリマーAの貧溶媒とは均一に混合する溶媒であることが好ましい。
本方法における貧溶媒としては、用いるポリアミドイミド、望ましくは用いるポリアミドイミド、ポリマーB両方の種類によって、様々に変わるが、具体的に例示するならば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸溶媒、アニソール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、水の中から少なくとも1種類から選ばれる溶媒などが挙げられる。
ポリマーAを効率的に粒子化させる観点から好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、水であり、最も好ましいのは、アルコール系溶媒、水であり、特に好ましくは、水である。
本方法において、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒を適切に選択して組み合わせることにより、効率的にポリマーAを析出させて樹脂微粒子を得ることが出来る。
この際、ポリマーA、B、これらを溶解する有機溶媒を混合溶解させた液は、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離することが必要である。
この際、ポリマーAを主成分とする溶液相の有機溶媒と、ポリマーBを主成分とする有機溶媒とは、同一でも異なっていても良いが、実質的に同じ溶媒であることが好ましい。
2相分離の状態を生成する条件は、ポリマーA、Bの種類、ポリマーA、Bの分子量、有機溶媒の種類、ポリマーA、Bの濃度、本方法を実施しようとする温度、圧力によって異なってくる。
相分離状態になりやすい条件を得るためには、ポリマーAとポリマーBの溶解度パラメーター(以下、SP値と称することもある)の差が離れていた方が好ましい。
この際、SP値の差としては1(J/cm1/2以上、より好ましくは2(J/cm1/2以上、さらに好ましくは3(J/cm1/2以上、特に好ましくは5(J/cm1/2以上、極めて好ましくは8(J/cm1/2以上である。SP値がこの範囲であれば、容易に相分離しやすくなる。
ポリマーAとポリマーBの両者が有機溶媒にとけるのであれば、特に制限はないが、SP値の差の上限として好ましくは20(J/cm1/2以下、より好ましくは、15(J/cm1/2以下であり、さらに好ましくは10(J/cm1/2以下である。
ここでいう、SP値とは、Fedorの推算法に基づき計算されるものであり、凝集エネルギー密度とモル分子容を基に計算されるもの(以下、計算法と称することもある。)である(「SP値 基礎・応用と計算方法」山本秀樹著、株式会社情報機構、平成17年3月 31日発行)。
本推算法により、計算できない場合においては、溶解度パラメーターが既知の溶媒に対し溶解するか否かの判定による、実験法によりSP値を算出(以下、実験法と称することもある。)し、それを代用する(「ポリマーハンドブック第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」 ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社1998年発行)。
相分離状態になる条件を選択するためには、ポリマーA、ポリマーBおよびこれらを溶解する有機溶媒の3成分の比率を変化させた状態の観察による簡単な予備実験で作成できる、3成分相図で判別が出来る。
相図の作成は、ポリマーA、Bおよび溶媒を任意の割合で混合溶解させ、静置を行った際に、界面が生じるか否かの判定を少なくとも3点以上、好ましくは5点以上、より好ましくは10点以上の点で実施し、2相に分離する領域および1相になる領域を峻別することで、相分離状態になる条件を見極めることが出来るようになる。
この際、相分離状態であるかどうかを判定するためには、ポリマーA、Bを、本発明を実施しようとする温度、圧力にて、任意のポリマーA、Bおよび溶媒の比に調整した後に、ポリマーA、Bを、完全に溶解させ、溶解させた後に、十分な攪拌を行い、3日放置し、巨視的に相分離をするかどうかを確認する。
しかし、十分に安定なエマルションになる場合においては、3日放置しても巨視的な相分離をしない場合がある。その場合は、光学顕微鏡・位相差顕微鏡などを用い、微視的に相分離しているかどうかを判別する。
相分離は、有機溶媒中でポリマーAを主とするポリマーA溶液相と、ポリマーBを主とするポリマーB溶液相に分離することによって形成される。この際、ポリマーA溶液相は、ポリマーAが主として分配された相であり、ポリマーB溶液相はポリマーBが主として分配された相である。この際、ポリマーA溶液相とポリマーB溶液相は、ポリマーA、Bの種類と使用量に応じた体積比を有するようである。
相分離の状態が得られ、且つ工業的に実施可能な濃度として、有機溶媒に対するポリマーA、Bの濃度は、有機溶媒に溶解する可能な限りの範囲内であることが前提であるが、好ましくは、1質量%超〜50質量%、より好ましくは、1質量%超〜30質量%、さらに好ましくは、2質量%〜20質量%である。
本方法における、ポリマーA溶液相とポリマーB溶液相の2相間の界面張力は、両相とも有機溶媒であることから、その界面張力が小さく、その性質により、生成するエマルションが安定に維持できることから、粒子径分布が小さくなるようである。特に、ポリマーA相とポリマーB相の有機溶媒が同一である時は、その効果が顕著である。
本方法における2相間の界面張力は、界面張力が小さすぎることから、通常用いられる溶液に異種の溶液を加えて測定する懸滴法などでは直接測定することは出来ないが、各相の空気との表面張力から推算することにより、界面張力を見積もることが出来る。各相の空気との表面張力をr、rとした際、その界面張力r12は、r12=r−rの絶対値で推算することができる。この際、このr12の好ましい範囲は、0超〜10mN/mであり、より好ましくは0超〜5mN/mであり、さらに好ましくは、0超〜3mN/mであり、特に好ましくは、0超〜2mN/mである。
本方法における2相間の粘度は、平均粒子径および粒子径分布に影響を与え、粘度比が小さい方が、粒子径分布が小さくなる傾向にある。粘度比を本発明を実施しようとする温度条件下でのポリマーA溶液相/ポリマー溶液相Bと定義した場合において、好ましい範囲としては、0.1以上10以下、より好ましい範囲としては、0.2以上5以下、さらに好ましい範囲としては、0.3以上3以下、特に好ましい範囲としては、0.5以上1.5以下であり、著しく好ましい範囲としては、0.8以上1.2以下である。
このようにして得られた相分離する系を用い、樹脂微粒子を製造する。微粒子化を行うには、通常の反応槽で実施される。本発明を実施するにふさわしい温度は、工業的な実現性の観点から −50℃〜200℃の範囲であり、好ましくは、−20℃〜150℃であり、より好ましくは、0℃〜120℃であり、さらに好ましくは、10℃〜100℃であり、特に好ましくは、20℃〜80℃であり、最も好ましくは、20℃〜50℃の範囲である。本発明を実施するにふさわしい圧力は、工業的な実現性の観点から、減圧状態から100気圧の範囲であり、好ましくは、1気圧〜5気圧の範囲であり、さらに好ましくは、1気圧〜2気圧であり、特に好ましくは、大気圧である。
このような条件下にて、相分離系状態を混合することにより、エマルションを形成させる。
すなわち上記で得られた相分離溶液に、剪断力を加えることにより、エマルションを生成させる。
エマルションの形成に際しては、ポリマーA溶液相が粒子状の液滴になるようにエマルションを形成させるが、一般に相分離させた際、ポリマーB溶液相の体積がポリマーA溶液相の体積より大きい場合に、このような形態のエマルションを形成させやすい傾向にあり、特にポリマーA溶液相の体積比が両相の合計体積1に対して0.4以下であることが好ましく、0.4〜0.1の間にあることが好ましい。上記相図を作成する際に、各成分の濃度における体積比を同時に測定しておくことにより、適切な範囲を設定することが可能である。
本製造法で得られる樹脂微粒子は、粒子径分布の小さい微粒子になるが、これは、エマルション形成の段階において、非常に均一なエマルションが得られるからである。この傾向はポリマーA、Bの両方を溶解する単一溶媒を用いる際に顕著である。このため、エマルションを形成させるに十分な剪断力を得るためには、従前公知の方法による攪拌を用いれば十分であり、攪拌羽による液相攪拌法、連続2軸混合機による攪拌法、ホモジナイザーによる混合法、超音波照射等通常公知の方法で混合することが出来る。
特に、攪拌羽による攪拌の場合、攪拌羽の形状にもよるが、攪拌速度は、好ましくは50rpm〜1200rpm、より好ましくは、100rpm〜1000rpm、さらに好ましくは、200rpm〜800rpm、特に好ましくは、300rpm〜600rpmである。
また、攪拌羽としては、具体的には、プロペラ型、パドル型、フラットパドル型、タービン型、ダブルコーン型、シングルコーン型、シングルリボン型、ダブルリボン型、スクリュー型、ヘリカルリボン型などが挙げられるが、系に対して十分に剪断力をかけられるものであれば、これらに特に限定されるものではない。また、効率的な攪拌を行うために、槽内に邪魔板等を設置してもよい。
また、エマルションを発生させるためには、必ずしも、攪拌機だけでなく、乳化機、分散機など広く一般に知られている装置を用いてもよい。具体的に例示するならば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、超音波ホモジナイザー、スタティックミキサーなどが挙げられる。
このようにして得られたエマルションは、引き続き目的の微粒子を析出させる工程に供する。
目的の樹脂微粒子を得るためには、ポリマーAに対する貧溶媒を、前記工程で製造したエマルションに接触させることでエマルション径に応じた径で、目的の樹脂微粒子を析出させる。
貧溶媒とエマルションの接触方法は、貧溶媒にエマルションを入れる方法でも良いし、エマルションに貧溶媒を入れる方法でも良いが、エマルションに貧溶媒を入れる方法が好ましい。
この際、貧溶媒を投入する方法としては、本発明で製造するポリアミドイミド微粒子が得られる限り特に制限はなく、連続滴下法、分割添加法、一括添加法のいずれでも良いが、貧溶媒添加時にエマルションが凝集・融着・合一し、粒子径分布が大きくなったり、1000μmを超える塊状物が生成しやすくならないようにするために、好ましくは連続滴下法、分割滴下法であり、工業的に効率的に実施するためには、最も好ましいのは、連続滴下法である。
また、貧溶媒を加える時間としては、10分以上50時間以内であり、より好ましくは、30分以上10時間以内であり、さらに好ましくは1時間以上5時間以内である。
この範囲よりも短い時間で実施すると、エマルションの凝集・融着・合一に伴い、粒子径分布が大きくなったり、塊状物が生成する場合がある。また、これ以上長い時間で実施する場合は、工業的な実施を考えた場合、非現実的である。
この時間の範囲内で行うことにより、エマルションから樹脂微粒子に転換する際に、粒子間の凝集を抑制することができ、粒子径分布の小さい樹脂微粒子を得ることができる。
加える貧溶媒の量は、エマルションの状態にもよるが、好ましくは、エマルション総質量1質量部に対して、0.1から10質量部、より好ましくは、0.1から5質量部、さらに好ましくは、0.2から3質量部であり、特に好ましくは、0.2質量部から1質量部であり、最も好ましくは、0.2から0.5質量部である。
貧溶媒とエマルションとの接触時間は、微粒子が析出するのに十分な時間であればよいが、十分な析出を引き起こしかつ効率的な生産性を得るためには、貧溶媒添加終了後5分から50時間であり、より好ましくは、5分以上10時間以内であり、さらに好ましくは10分以上5時間以内であり、特に好ましくは、20分以上4時間以内であり、著しく好ましくは、30分以上3時間以内である。
このようにして作られたポリアミドイミド微粒子分散液は、ろ過、デカンテーション、減圧濾過、加圧ろ過、遠心分離、遠心ろ過、スプレードライ、酸析法、塩析法、凍結凝固法等の通常公知の方法で固液分離することにより、微粒子粉体を回収することが出来る。
固液分離したポリアミドイミド微粒子は、必要に応じて、溶媒等で洗浄を行うことにより、付着または含有している不純物等の除去を行い、精製を行う。この際、好ましい溶媒としては、上記貧溶媒であり、より好ましくは、水、メタノール、エタノールから選ばれる1種または2種以上の混合溶媒である。
得られたポリアミドイミド微粒子は、乾燥を行い、残留溶媒を取り除くことができる。この際、乾燥の方法としては、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。加熱する場合の温度は、ガラス転移温度より低い温度が好ましく、具体的には、50〜150℃が好ましい。
本発明の方法においては、ポリアミドイミド微粒子を得る際に行った固液分離工程で分離された有機溶媒及びポリマーBを活用し、リサイクルを行うことが可能であることが有利な点である。
固液分離で得た溶媒は、ポリマーB、有機溶媒および貧溶媒の混合物である。この溶媒から、貧溶媒を除去することにより、エマルション形成用の溶媒として再利用することが出来る。貧溶媒を除去する方法としては、通常公知の方法で行われ、具体的には、単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留、抽出、膜分離などが挙げられるが、好ましくは単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留による方法である。
単蒸留、減圧蒸留等の蒸留操作を行う際は、系に熱がかかり、ポリマーBや有機溶媒の熱分解を促進する可能性があることから、極力酸素のない状態で行うことが好ましく、より好ましくは、不活性雰囲気下で行う。具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素条件下で実施する。
<エポキシ樹脂組成物の作成方法>
上記のようにして得られたポリアミドイミド微粒子を、エポキシ樹脂および後述する硬化剤中に混ぜることにより目的とするエポキシ樹脂組成物を得ることが出来る。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物中に添加する、ポリアミドイミド微粒子の好ましい量は、エポキシ樹脂組成物全量に対し、1〜50質量%であり、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは、2〜30質量%であり、さらに好ましくは、5〜20質量%である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂中および/または後述の硬化剤中にポリアミドイミド微粒子を添加し、通常公知の混練機を用いて混練することにより、作成することができる。
混練装置としては、3本ロール混練機、自公転式ミキサー、プラネタリーミキサーなどが挙げられる。
<エポキシ樹脂硬化物>
上記で得られたエポキシ樹脂組成物を、硬化反応をさせることによりエポキシ樹脂硬化物を得ることが出来る。
エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤としては、ジエチレントリアミンやトリエチレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、メンセンジアミンやイソホロンジアミンなどの脂環族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタンやm−フェニレンジアミンなどの芳香族ポリアミン、ポリアミド、変性ポリアミン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸や無水トリメリット酸などの酸無水物、フェノールノボラック樹脂、ポリメルカプタン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2−エチル−4−メチルイミダゾールや2−フェニル−4−メチルイミダゾールなどのアニオン型触媒、3フッ化ホウ素・モノエチルアミン錯体などのカチオン型触媒、ジシアンジアミド、芳香族ジアゾニウム塩やモレキュラーシーブなどの潜在型硬化剤などが挙げられる。
特に機械物性に優れたエポキシ樹脂硬化物を与えるという面で、芳香族アミン硬化剤、酸無水物、フェノールノボラック樹脂が好ましく用いられ、中でも、特に好ましくは、保存安定性に優れることからフェノールノボラック樹脂が用いられる。
芳香族アミン硬化剤のさらなる具体例を挙げると、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−キシリレンジアミン、ジフェニル−p−ジアニリンやこれらのアルキル置換体などの各種誘導体やアミノ基の位置の異なる異性体が挙げられる。
酸無水物のさらなる具体例を挙げると、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
フェノールノボラック樹脂のさらなる具体例としては、フェノールアラルキル樹脂、o−クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ナフトールノボラック型樹脂などが挙げられる。
これらの硬化剤は単独もしくは2種類以上を併用する事ができる。
その添加量の最適値は、エポキシ樹脂、および硬化剤の種類により異なるが、化学量論的な当量比が、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる全エポキシ基に対して0.5〜1.4の間にあることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.4である。当量比が、0.5よりも小さい場合、硬化反応が十分に起こらず、硬化不良が発生したり、硬化反応に長時間を要したりする場合がある。当量比が、1.4よりも大きい場合は、硬化時に消費されなかった硬化剤が欠陥となり、機械物性を低下させることがある。
硬化剤はモノマー、オリゴマーいずれの形でも使用でき、混合時は粉体、液体いずれの形態でも良い。これらの硬化剤は単独で用いてもよいし、併用してもよい。また、硬化促進剤を併用しても良い。
これらの硬化剤は、前記で記載したポリアミドイミド微粒子を混合したエポキシ樹脂組成物と混合し、その後に硬化反応をさせることにより、エポキシ樹脂硬化物を得る。
これらの硬化剤の添加は、前記で記載したポリアミドイミド微粒子と同時にエポキシ樹脂と混合しても良い。
エポキシ樹脂硬化物を得るための硬化反応を進めるためには、必要に応じて温度をかけてもよく、その際の温度としては、室温〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜190℃、さらに好ましくは、100〜180℃である。
また、必要に応じて温度の昇温プログラムをかけても良い。
また、硬化時の圧力は、1〜100kg/cm、好ましくは1〜50kg/cm、より好ましくは1〜20kg/cm、さらに好ましくは、1〜5kg/cmである。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて添加物を加えてもよい。添加物の例としては、カーボンブラッック、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ヒンダードアミン系、ヒンダードフェノール系の劣化防止剤が挙げられる。
これらは、硬化前の段階で加えることが好ましく、混合時は、粉体、液体、スラリー体のいずれの形態で加えても良い。
このようにして得られたエポキシ樹脂硬化物は、微粒子を添加しない場合と比較して、エポキシ樹脂硬化物の弾性率を損ねることなく、曲げ強度および曲げ歪みを向上させ、さらに一般に粒子添加時に見られる吸収エネルギーおよび衝撃強さの低下を抑制することができるという特徴を有する高靭性材料となる。
本発明におけるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂組成物の硬化後もポリアミドイミド粒子の形状を維持することに特徴がある。
硬化物中でポリアミドイミド粒子が形状を維持するかどうかは、硬化後の樹脂の断面をデジタルマイクロスコープなどの顕微鏡で得た写真で確認し、判別できる。
硬化物中のポリアミドイミド粒子の平均粒子径は、上記断面写真から算出することができる。断面写真中の粒子を無作為に30個選抜し、その直径を特定し、下記の式(式4)に従い算術平均を平均粒子径とする。尚、粒子が真円でない場合は、長径を測定するものとする。
尚、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数30、Dn:数平均粒子径
本発明のエポキシ樹脂組成物およびその硬化物は、機械特性に優れることから、従来エポキシ樹脂組成物が使用されている幅広い用途に適用することができるが、特に靱性を活かした用途として、プライマー、自動車内装用・外装用塗料、家電・建築材料等の塗料用途、接着剤用途、インキ用途、電子情報材料(携帯電話・パソコン等の回路実装基板)、LED・半導体封止材料、各種封止剤用途、スポーツ用途、一般産業用途および航空宇宙用途に好適に用いられる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
<樹脂微粒子の作成>
製造例1 ポリアミドイミド微粒子の製造方法1
攪拌機、還流管および温度計を備えた1000mlジャケット付きセパラブルフラスコに、ポリアミドイミド(重量平均分子量 66,000、東レ製 TI 5013E−P)50g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製 ‘ゴーセノール(登録商標)’GL−05、重量平均分子量10,600、SP値32.8(J/cm1/2)50g、ジメチルスルホキシド(東レ・ファインケミカル(株)製)400gを加えた。系を80℃に加熱し、全てのポリマーが溶解するまで 450rpmで3時間撹拌を行った。系の温度を80℃に保ったまま、貧溶媒としてイオン交換水500gを、送液ポンプで1.0g/分の速度で滴下を行ない、粒子を析出させた。得られたスラリー液を遠心分離機(1500G、10分)にかけ、大部分の液体を除去し、その後ウェットケークを固形分濃度が約5%程度になるよう水で希釈し、リスラリー洗浄を3回行い、ウェットケーク状の微粒子を得た。これを50℃で減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド微粒子を得た。このポリアミドイミド微粒子の体積平均粒子径は23.7μm、粒子径分布指数は1.71、真球度は91であった。
製造例2 ポリアミドイミド微粒子の製造方法2
攪拌機、還流管および温度計を備えた1000mlジャケット付きセパラブルフラスコに、ポリアミドイミド(重量平均分子量 66,000、東レ製 TI 5013E−P)35g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製 ‘ゴーセノール(登録商標)’GL−05、重量平均分子量10,600、SP値32.8(J/cm1/2)24.5g、ジメチルスルホキシド(東レ・ファインケミカル(株)製)290.5gを加えた。系を80℃に加熱し、全てのポリマーが溶解するまで 450rpmで2時間撹拌を行った。系の温度を80℃に保ったまま、撹拌速度を200rpmに変更し、貧溶媒としてイオン交換水350gを、送液ポンプで2.92g/分の速度で滴下を行ない、粒子を析出させた。得られたスラリー液を遠心分離機(1500G、10分)にかけ、大部分の液体を除去し、その後ウェットケークを固形分濃度が約5%程度になるよう水で希釈し、リスラリー洗浄を3回行い、ウェットケーク状の微粒子を得た。これを50℃で減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド微粒子を得た。得られたポリアミドイミド微粒子の体積平均粒子径は54.2μm、粒子径分布指数は1.31、真球度98であった。
製造例3 ポリアミドイミド微粒子の製造方法3
攪拌機、還流管および温度計を備えた1000mlジャケット付きセパラブルフラスコに、ポリアミドイミド(重量平均分子量 66,000、東レ製 TI 5013E−P)24.5g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製 ‘ゴーセノール(登録商標)’GL−05、重量平均分子量10,600、SP値32.8(J/cm1/2)24.5g、NMP(東レ・ファインケミカル(株)製)301gを加えた。系を80℃に加熱し、全てのポリマーが溶解するまで 450rpmで2時間撹拌を行った。系の温度を80℃に保ったまま、貧溶媒としてイオン交換水350gを、送液ポンプで2.92g/分の速度で滴下を行ない、粒子を析出させた。得られたスラリー液を遠心分離機(1500G、10分)にかけ、大部分の液体を除去し、その後ウェットケークを固形分濃度が約5%程度になるよう水で希釈し、リスラリー洗浄を3回行い、ウェットケーク状の微粒子を得た。これを50℃で減圧乾燥を行い、ポリアミドイミド微粒子を得た。得られたポリアミドイミド微粒子の体積平均粒子径は0.48μm、粒子径分布指数は1.3、真球度96であった。
製造例4 ポリアミドイミド微粒子添加エポキシ樹脂組成物の作成1
ビフェニル型エポキシ樹脂(“jER”(登録商標) YX4000H 三菱化学(株)製)51.0g、フェノール樹脂型硬化剤(明和化成(株)製、H−1)29.0gを150ccのステンレス製ビーカーに秤量し、120℃のオーブンにて溶解し、均一化させた。得られたエポキシ樹脂組成物に、製造例1により得られたポリアミドイミド微粒子13.0g(エポキシ樹脂組成物全量に対して15体積%)、硬化促進剤としてテトラフェニルホスホニウム テトラ−p−トリルボレート0.4gを加え、攪拌棒により簡単に混ぜた後、自公転ミキサー「あわとり練太郎」(株式会社シンキー製)にて 2000rpm、0.2kPa、1.5分間の混合を3回行い、エポキシ樹脂組成物を得た。
製造例5 ポリアミドイミド微粒子添加エポキシ樹脂組成物の作成2
製造例1により得られたポリアミドイミド微粒子を、製造例2により得られたポリアミドイミド微粒子に置き換えた以外は、製造例4と同様にエポキシ樹脂組成物を作成した。
製造例6 ポリアミドイミド微粒子添加エポキシ樹脂組成物の作成3
製造例1により得られたポリアミドイミド微粒子13.0g(エポキシ樹脂組成物全量に対して15体積%)を、4.5g(エポキシ樹脂組成物全量に対して5体積%)に置き換えた以外は、製造例4と同様にエポキシ樹脂組成物を作成した。
製造例7 ポリアミドイミド微粒子添加エポキシ樹脂組成物の作成4
製造例1により得られたポリアミドイミド微粒子13.0g(エポキシ樹脂組成物全量に対して15体積%)を、31.0g(エポキシ樹脂組成物全量に対して25体積%)に置き換えた以外は、製造例4と同様にエポキシ樹脂組成物を作成した。
製造例8 ポリアミドイミド微粒子添加エポキシ樹脂組成物の作成5
製造例1により得られたポリアミドイミド微粒子を、製造例3により得られたポリアミドイミド微粒子に置き換えた以外は、製造例4と同様にエポキシ樹脂組成物を作成した。
製造例9 シリコーン微粒子添加エポキシ樹脂組成物の作成
ポリアミドイミド微粒子をシリコーン粒子(東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製 “トレフィル”(登録商標)EP2601)に置き変えた以外は、製造例4と同様の方法で作成した。
製造例10 微粒子を添加しないエポキシ樹脂組成物の作成
ポリアミドイミド微粒子を除いた以外は、製造例4と同様にエポキシ樹脂組成物を作成した。
実施例1〜4、比較例1〜3
製造例4〜10で得た未硬化のエポキシ樹脂組成物を用い、以下のようにして評価した。結果を表1に示す。
<評価方法>
(1)エポキシ樹脂硬化物の曲げ試験
製造例4〜10で得た未硬化のエポキシ樹脂組成物を、4mm厚の“テフロン”(登録商標)製スペーサー、離型フィルムをセットしたアルミ製モールド中に注型し、オーブンに入れた。オーブンの温度を80℃にセットし、5分間保持後、1.5℃/分の昇温速度で175℃まで昇温し、4時間硬化し、厚さ4mmの樹脂硬化物を得た。
この樹脂硬化物を幅10mm、長さ80mmにカットし、試験片を得た。テンシロン万能試験機(TENSILON TRG−1250 (株)エー・アンド・デイ社製)を用い、JIS K7171(2008)に従い、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で3点曲げを測定し、曲げ弾性率、曲げ強度および曲げ歪量を測定した。測定温度は、室温(23℃)、測定数はn=5とし、その平均値を求めた。
(2)エポキシ樹脂硬化物のシャルピー衝撃試験
上記曲げ試験と同様の幅10mm、長さ80mm、厚さ4mmの試験片を作成し、さらにノッチ加工を施した試験片を用いて、シャルピー衝撃試験を、JIS K−7111−1(2012)に従い、エッジワイズ方向で実施し、吸収エネルギーおよび衝撃強さを測定した。測定温度は、室温(23℃)、測定数はn=5とし、その平均値を求めた。
(3)粒子分散性(モルフォロジー)
(1)で得られた試験サンプルの断面観察を行い、粒子の分散性および硬化物中でのポリアミドイミド粒子の平均粒子径の評価を行った。結果を表1に示す。
<使用機種> デジタルマイクロスコープ
<観察方法> 透過光法、 <測定倍率> 500倍

Claims (8)

  1. (1)エポキシ樹脂
    (2)硬化剤
    (3)真球度が80以上であるポリアミドイミド微粒子
    を含み、硬化後にポリアミドイミド微粒子の形状を維持することを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. ポリアミドイミドが、芳香族系ポリアミドイミドであることを特徴とする請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. ポリアミドイミド微粒子の平均粒子径が、0.5超100μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. ポリアミドイミド微粒子の粒子径分布指数が1〜3であり、真球度が90以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. ポリアミドイミド微粒子を1〜50質量%含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 硬化剤がフェノール樹脂系化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させることにより得られるエポキシ樹脂硬化物。
  8. 硬化物中のポリアミドイミド粒子の平均粒子径が、0.5超100μm以下であることを特徴とする請求項7記載のエポキシ樹脂硬化物。
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