JP2016033178A - ポリマー微粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低弾性率であり、かつ、粒子径分布の狭い10μm以下の小粒子径を有するポリマー微粒子、およびその微粒子を生産性良く製造する製造方法の提供。
【解決手段】曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAと、ポリマーAとは異なるポリマーBと、有機溶媒を溶解混合したときに、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させ、ポリマーAを析出させることでポリマーAの微粒子を得る製造方法。上記ポリマーBの重量平均分子量が20,000以下で、かつMw/Mnが1.65以上であるポリマー微粒子の製造方法。ポリマーAが脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであり、熱可塑性エラストマーであるポリマー微粒子の製造方法。ポリマーBがポリビニルアルコールであるポリマー微粒子の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAと、ポリマーAとは異なるポリマーBと、有機溶媒を溶解混合したときに、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させ、ポリマーAを析出させることでポリマーAの微粒子を得る製造方法。上記ポリマーBの重量平均分子量が20,000以下で、かつMw/Mnが1.65以上であるポリマー微粒子の製造方法。ポリマーAが脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであり、熱可塑性エラストマーであるポリマー微粒子の製造方法。ポリマーBがポリビニルアルコールであるポリマー微粒子の製造方法。
【選択図】なし
Description
低弾性率のポリマー微粒子およびその製造方法に関し、更に詳しくは、10μm以下の小粒子径を有し、かつ粒子径分布の狭いポリマー微粒子およびそれを生産性よく製造するポリマー微粒子の製造方法に関する。
ポリマー微粒子とはポリマーからなる微粒子のことであり、フィルム、繊維、射出成形品、押出成形品などのポリマー成形品とは異なり、比表面積が大きい点や球状であることから、各種材料の改質、改良に用いられている。主要用途としては、化粧品の改質剤、トナー用添加剤、塗料などのレオロジー改質剤、医療用診断検査剤、自動車材料、建築材料などの成形品への添加剤などが挙げられる。
本発明者らは、2種のポリマーを溶媒に溶解し、それぞれの相からなるエマルションに貧溶媒を接触させることで、粒子径分布の狭いポリマー微粒子およびその製造方法を先に見出した(特許文献1)。さらに、耐熱性の優れた結晶性ポリマーを微粒子化する手法(特許文献2)や、前記手法を用いた界面活性剤などを含まない実用性に優れたポリマー微粒子の水分散液も見出している(特許文献3)。
近年では、特に電子情報材料の分野において、機能性の観点から、高耐熱性、高耐溶剤性を有し、かつ曲げ弾性率が低く、より小粒子径であり、かつ粒子径分布の狭いポリマー微粒子が求められる傾向がある。一方で、生産性の観点からは、ポリマーの仕込み濃度をより高くして、効率よく生産することが求められる。特許文献1〜3には、500MPa以下の低弾性率のポリマーにも、前記手法が適用可能であることが開示されているものの、低弾性率のポリマーを用いた例においては、得られるポリマー微粒子は、いずれも粒子径の点で不十分であり、実用に耐え得るほど小さな粒子径には、なっていなかった。
本発明は、低弾性率であり、かつ、粒子径分布の狭い10μm以下の小粒子径を有するポリマー微粒子、およびその微粒子を生産性良く製造する製造方法を提供することを目的とする。
さらに、低弾性率のポリマーを用いて微粒子を製造する際に、仕込み濃度の高濃度化を図ると、ポリマー微粒子同士が融着、凝集してしまい、分散性良く製造することができず、小粒径化および高濃度化を両立させることが困難であった。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、下記発明に到達した。
即ち、本発明は、
「(1)曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAと、ポリマーAとは異なるポリマーBと、有機溶媒を溶解混合したときに、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させ、ポリマーAを析出させることでポリマーAの微粒子を得る製造方法であって、上記ポリマーBの重量平均分子量が20,000以下、かつポリマーBのMw/Mnが1.65以上であることを特徴とするポリマー微粒子の製造方法。
(2)ポリマーAが脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであることを特徴とする(1)に記載のポリマー微粒子の製造方法、
(3)ポリマーAが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリマー微粒子の製造方法、
(4)ポリマーAがポリエステルエラストマーであることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリマー微粒子の製造方法、
(5)エマルションを形成させる際の、ポリマーAの仕込み濃度が7質量%超であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のポリマー微粒子の製造方法、
(6)ポリマーBがポリビニルアルコールであることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のポリマー微粒子の製造方法
(7)曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAからなり、平均粒子径が10μm以下、かつ、粒子径分布指数が3以下であることを特徴とするポリマー微粒子。
(8)ポリマーAが脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであることを特徴とする(7)に記載のポリマー微粒子。
(9)ポリマーAが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする(7)または(8)に記載のポリマー微粒子。
(10)ポリマーAがポリエステルエラストマーであることを特徴とする(7)〜(9)いずれかに記載のポリマー微粒子。」である。
「(1)曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAと、ポリマーAとは異なるポリマーBと、有機溶媒を溶解混合したときに、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させ、ポリマーAを析出させることでポリマーAの微粒子を得る製造方法であって、上記ポリマーBの重量平均分子量が20,000以下、かつポリマーBのMw/Mnが1.65以上であることを特徴とするポリマー微粒子の製造方法。
(2)ポリマーAが脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであることを特徴とする(1)に記載のポリマー微粒子の製造方法、
(3)ポリマーAが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリマー微粒子の製造方法、
(4)ポリマーAがポリエステルエラストマーであることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載のポリマー微粒子の製造方法、
(5)エマルションを形成させる際の、ポリマーAの仕込み濃度が7質量%超であることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のポリマー微粒子の製造方法、
(6)ポリマーBがポリビニルアルコールであることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のポリマー微粒子の製造方法
(7)曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAからなり、平均粒子径が10μm以下、かつ、粒子径分布指数が3以下であることを特徴とするポリマー微粒子。
(8)ポリマーAが脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであることを特徴とする(7)に記載のポリマー微粒子。
(9)ポリマーAが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする(7)または(8)に記載のポリマー微粒子。
(10)ポリマーAがポリエステルエラストマーであることを特徴とする(7)〜(9)いずれかに記載のポリマー微粒子。」である。
本発明のポリマー微粒子の製造方法により、10μm以下であり粒子径分布の狭い低弾性率のポリマー微粒子を生産性良く得ることができるようになった。
以下、本発明につき、詳細に説明する。
本発明は、曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAと重量平均分子量が20,000以下であり、かつ重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が1.65以上のポリマーBと有機溶媒を溶解混合させ、ポリマーAを主成分とする溶液相(以下、ポリマーA溶液相と称することもある)と、ポリマーBを主成分とする溶液相(以下、ポリマーB溶液相と称することもある)の2相に相分離する系において、ポリマーAの貧溶媒を接触させ、ポリマーAを析出させることで得られる低弾性率、かつ小粒子径であり、さらに粒子径分布が狭いポリマー微粒子およびその製造方法である。
上記において、「ポリマーAとポリマーBと有機溶媒を溶解混合させ、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系」とは、ポリマーAとポリマーBと有機溶媒を混合したときに、ポリマーAを主として含む溶液相と、ポリマーBを主として含む溶液相の2相に分かれる系をいう。
このような相分離をする系を用いることにより、相分離する条件下で混合して剪断力を加えることにより、乳化させ、エマルションを形成させることができる。
なお、上記において、ポリマーが溶解するかどうかについては、本発明を実施する温度、即ちポリマーAとポリマーBを溶解混合して、2相分離させる際の温度において、有機溶媒に対し1質量%超溶解するかどうかで判別する。
このエマルションは、ポリマーA溶液相が分散相に、ポリマーB溶液相が連続相になり、そしてこのエマルションに対し、ポリマーAの貧溶媒を接触させることにより、エマルション中のポリマーA溶液相から、ポリマーAが析出し、ポリマーAで構成されるポリマー微粒子を得ることが出来る。
本発明の製造方法においては、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒を用いるが、ポリマーA、ポリマーB、有機溶媒、貧溶媒について、以下に詳述する。
本発明におけるポリマーAとは、曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーを指す。ここでいう曲げ弾性率とは、ASTM−D790−98の方法に従って測定した値をいう。このときの曲げ試験片の成形にあたっては、ポリマー微粒子を構成するポリマーAのペレットを、90℃で3時間以上熱風乾燥し、その後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 NEX−1000)を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度50℃の条件にて127×12.7×6.4mmの曲げ試験片を成形し、サンプルとして使用するものとする。
本発明におけるポリマーAは曲げ弾性率が500MPa以下であれば、特に制限はないが、好ましくは脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであり、より好ましくは、熱可塑性エラストマーであり、さらに好ましくはポリエステルエラストマーである。ポリマーAの曲げ弾性率は、300MPa以下が好ましく、さらに好ましくは100MPa以下である。ポリマーAの曲げ弾性率の下限は1MPa以上であり、より好ましくは5MPa以上であり、さらに好ましくは10MPa以上であり、特に好ましくは、20MPa以上である。
前述のとおり、このような曲げ弾性率の低いポリマーは、微粒子化が困難であり、従来の微粒子の製造方法では、平均粒子径が10μm以下の微粒子を得るのが困難であった。さらに、曲げ弾性率の低いポリマーからなる微粒子は、融着、凝集しやすいといった特徴があり、篩などによる分級操作が困難であることから、粒子径分布指数が小さい微粒子が得られる本発明の方法は極めて有用である。
上記、脂肪族ポリエーテル単位の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体などが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとは、分子中に弾性を持つソフトセグメントと、塑性変形を防止するハードセグメントとのブロック共重合体のことである。具体的には、ハードセグメントにポリスチレン、ソフトセグメントにポリブタジエン、ポリイソプレンなどを用いたスチレン系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントにポリエチレンあるいはポリプロピレン、ソフトセグメントにエチレンプロピレン系ゴムを用いたオレフィン系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントに結晶性ポリ塩化ビニル、ソフトセグメントに非晶性ポリ塩化ビニルあるいはアクリロニトリルブタジエンラバーを用いた塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントにウレタン構造を有するポリマー、ソフトセグメントにポリエステルあるいはポリエーテルを用いたウレタン系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントにポリエステル、ソフトセグメントにポリエーテルあるいはポリエステルを用いたポリエステル系熱可塑性エラストマー、ハードセグメントにポリアミド、ソフトセグメントにポリエーテルあるいはポリエステルを用いたアミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
前記ソフトセグメントおよびハードセグメントの組成を調整することで、曲げ弾性率を調整することが可能であり、ソフトセグメント成分が多いほど曲げ弾性率は低下する。
本発明でのポリエステルとしては、多価カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と多価アルコールまたはそのエステル形成性誘導体を構造単位とする重合体、ヒドロキシカルボン酸またはラクトンを構造単位とする重合体、およびこれらの共重合体が挙げられる。
ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリへキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリプロピレンイソフタレート/テレフタレート、ポリブチレンイソフタレート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート、ポリエチレンテレフタレート/シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート/サクシネート、ポリプロピレンテレフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/サクシネート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート、ポリエチレンテレフタレート/セバケート、ポリプロピレンテレフタレート/セバケート、ポリブチレンテレフタレート/セバケート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリプロピレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート/セバケート、ビスフェノールA/テレフタル酸、ビスフェノールA/イソフタル酸、ビスフェノールA/テレフタル酸/イソフタル酸、などが挙げられる。
本発明でのポリアミドとしては、3員環以上のラクタム、重合可能なアミノカルボン酸、二塩基酸とジアミンまたはそれらの塩、あるいはこれらの混合物の重縮合によって得られるポリアミドが挙げられる。
このようなポリアミドの例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリペンタメチレンアジパミド(ナイロン56)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリウンデカアミド(ナイロン11)、ポリドデカアミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体(例示するならば、‘TROGAMID(登録商標)’CX7323 、デグサ社製)などの結晶性ポリアミド、非晶性のポリアミドとしては、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとイソフタル酸と12−アミノドデカン酸の共重合体(例示するならば、‘グリルアミド(登録商標)’ TR55、エムザベルケ社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体(例示するならば、‘グリルアミド(登録商標)’ TR90、エムザベルケ社製)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとイソフタル酸と12−アミノドデカン酸の共重合体と3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタンとドデカ二酸の共重合体との混合物(例示するならば、‘グリルアミド(登録商標)’ TR70LX、エムザベルケ社製)などが挙げられる。
ポリマーAの分子量は、好ましくは、重量平均分子量で、1,000〜100,000,000、より好ましくは、1,000〜10,000,000、さらに好ましくは、5,000〜1,000,000であり、特に好ましくは、10,000〜500,000の範囲であり、最も好ましい範囲は、10,000〜100,000の範囲である。
ここでいう重量平均分子量とは、溶媒としてジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリスチレンで換算した重量平均分子量を指す。
ジメチルホルムアミドで測定できない場合については、テトラヒドロフランを用い、さらに測定できない場合は、ヘキサフルオロイソプロパノールを用い、ヘキサフルオロイソプロパノールでも測定できない場合は、2−クロロナフタレンを用いて測定を行う。
本発明において、ポリマーAとしては、本発明が、貧溶媒と接触する際に微粒子を析出させることを要点とすることから、貧溶媒に溶けないものが好ましく、後述する貧溶媒に溶解しないポリマーが好ましく、特に非水溶性ポリマーが好ましい。
ここで、非水溶性ポリマーとしては、水に対する溶解度が1質量%以下、好ましくは、0.5質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以下のポリマーを示す。
本発明におけるポリマーBは、後述する貧溶媒との親和性が高いものが好ましく、その親和性の指標としては、水への溶解度をもって判断することができる。ポリマーBの水への溶解度は25℃で、水100gに対し1g溶解するものを、1g/100gと表記すると定義した場合、好ましくは、1g/100g以上であり、より好ましくは、2g/100g以上であり、さらに好ましくは、5g/100g以上であり、特に好ましくは、10g/100g以上であり、著しく好ましくは、15g/100g以上である。この範囲であれば、後述する貧溶媒との親和性が高く、本ポリマー微粒子製造法において、有利に機能する。
ポリマーBの高分子の種類として、具体的に好ましいものとしては、その分子骨格中に、水酸基、エーテル基、アミド基、カルボキシル基を有するものがよい。
ポリマーBを具体的に例示するならば、その分子骨格中に水酸基を持つものとしては、ポリビニルアルコール類(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)、完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体などのポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体類など)、ポリ(パラビニルフェノール)、マルトース、セルビオース、ラクトース、スクロースなどの二糖類、セルロースおよびその誘導体(ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなど)、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル、キトサン等)、アミロースおよびその誘導体、デンプンおよびその誘導体、デキストリン、シクロデキストリン、アルギン酸ナトリウムおよびその誘導体等の多糖類またはその誘導体、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、アルブミン、フィブロイン、ケラチン、フィブリン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、アラビアゴム、寒天、たんぱく質等が挙げられ、その分子骨格中にエーテル基を持つものとしては、ポリアルキレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンラウリン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリビニルエーテル、ポリビニルホルマール等が挙げられ、その分子骨格中にアミド基を持つものとしては、ポリビニルピロリドン、アミノポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、“AQナイロン(登録商標)”(A−90、P−70、P−95、T−70;東レ株式会社製)などの水溶性ナイロン等が挙げられ、その分子骨格中にカルボキシル基を持つものとしては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム等が挙げられ、その他にも、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジニウムクロライド、ポリ(スチレン−マレイン酸)共重合体、ポリアリルアミン、ポリ(オキシエチレンアミン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリアミノスルホン、ポリエチレンイミン等の合成樹脂が挙げられる。
好ましくは、ポリビニルアルコール類(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)、完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体などのポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体類)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒロドキシアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等)、ポリアルキレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリビニルピロリドン、水溶性ナイロン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸であり、より好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)類(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)、完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体などのポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体類)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等)、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ナイロン、ポリアクリル酸であり、特に好ましくは、完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)などのポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリドン、水溶性ナイロン、ポリアクリル酸である。
本発明におけるポリマーBとしては、著しく好ましくは、ポリビニルアルコール類を用いる。
ポリ(ビニルアルコール)(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)であってもよい。単にポリビニルアルコールと称する場合もある。)、ポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体であってもよい)などが挙げられるが、溶解性の点からポリビニルアルコールが好ましい。
ポリマーBの重量平均分子量としては、重量平均分子量が20,000以下、好ましくは15,000〜20,000、より好ましくは15,000〜18,000であり、かつ、Mw/Mnが1.65以上、より好ましくは1.7以上、さらに好ましくは1.8以上、特に好ましくは2.0以上のものが好ましい。ポリマーBのMw/Mnの上限は特に定めるものではないが、例示するのであれば、10以下であり、より好ましくは8以下であり、さらに好ましくは6以下であり、特に好ましくは5以下であり、極めて好ましくは4以下である。
後述のとおり、このような分子量を有するポリマーBを用いることで、ポリマーA、ポリマーB,有機溶媒を溶解混合したときに相分離状態になりやすく、ポリマーAの微粒子が、融着、凝集することなく10μm以下の小粒子径を有し、かつ粒子径分布指数が3以下である粒子径分布の狭いポリマー微粒子を得ることが可能となる。
ここでいうポリマーBの重量平均分子量、Mw/Mnは、溶媒として水を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリエチレングリコールで換算した重量平均分子量およびMw/Mnを指す。
水で測定できない場合においては、ジメチルホルムアミドを用い、それでも測定できない場合においては、テトラヒドロフランを用い、さらに測定できない場合においては、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いる。
これらのポリマーBは、複数種用いてもよいし、混合して用いても良い。
ポリマーAとポリマーBを溶解させる有機溶媒としては、用いるポリマーA、ポリマーBを溶解し得る有機溶媒であり、各ポリマーの種類に応じて選択される。
具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、プロピレンカーボネート、トリメチルリン酸、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸溶媒、アニソール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ハイドロゲンスルフェート、1−エチル−3−イミダゾリウム アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム チオシアネートなどのイオン性液体あるいはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、さらに好ましいものとしては、水溶性溶媒であるアルコール系溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、著しく好ましいのは、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、入手が容易で、かつ広範な範囲のポリマーを溶解し得る点でポリマーAへの適用範囲が広く、かつ水やアルコール系溶媒等など後述する貧溶媒として好ましく用い得る溶媒と均一に混合し得る点から、最も好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、ギ酸、酢酸である。
これらの有機溶媒は、複数種用いてもよいし、混合して用いても良いが、粒子径が比較的小さく、かつ、粒子径分布の小さい粒子が得られる点、製造上のプロセス負荷低減という観点で、単一の有機溶媒であるほうが好ましく、さらにポリマーA、およびポリマーBの両方を溶解する単一の有機溶媒であることが好ましい。
本発明におけるポリマーAの貧溶媒とは、ポリマーAを溶解させない溶媒のことをいう。溶媒を溶解させないとは、ポリマーAの貧溶媒に対する溶解度が1質量%以下のものであり、より好ましくは、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。
本発明の製造方法において、ポリマーAの貧溶媒を用いるが、かかる貧溶媒としてはポリマーAの貧溶媒であり、かつポリマーBを溶解する溶媒であることが好ましい。これにより、ポリマーAで構成されるポリマー微粒子を効率よく析出させることができる。また、ポリマーAおよびポリマーBを溶解させる溶媒とポリマーAの貧溶媒とは均一に混合する溶媒であることが好ましい。
本発明における貧溶媒としては、用いるポリマーAの種類、望ましくは用いるポリマーA、B両方の種類によって、様々に変わるが、具体的に例示するならば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1、2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール−2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸溶媒、アニソール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、水の中から少なくとも1種類から選ばれる溶媒などが挙げられる。
ポリマーAを効率的に粒子化させる観点から好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、水であり、最も好ましいのは、アルコール系溶媒、水であり、特に好ましくは、水である。
本発明において、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒を適切に選択して組み合わせることにより、効率的にポリマーAを析出させてポリマー微粒子を得ることが出来る。
2相分離の状態を生成する条件は、ポリマーA、Bの種類、ポリマーA、Bの重量平均分子量、Mw/Mn、有機溶媒の種類、ポリマーA、Bの濃度、発明を実施しようとする温度、圧力によって異なってくる。
相分離状態になりやすい条件を得るためには、ポリマーAとポリマーBの溶解度パラメーター(以下、SP値と称することもある)の差が離れていた方が好ましい。
この際、SP値の差としては1(J/cm3)1/2以上、より好ましくは2(J/cm3)1/2以上、さらに好ましくは3(J/cm3)1/2以上、特に好ましくは5(J/cm3)1/2以上、極めて好ましくは8(J/cm3)1/2以上である。SP値がこの範囲であれば、容易に相分離しやすくなる。
ポリマーAとポリマーBの両者が有機溶媒にとけるのであれば、特に制限はないが、SP値の差の上限として好ましくは20(J/cm3)1/2以下、より好ましくは、15(J/cm3)1/2以下であり、さらに好ましくは10(J/cm3)1/2以下である。
ここでいう、SP値とは、Fedorの推算法に基づき計算されるものであり、凝集エネルギー密度とモル分子容を基に計算されるもの(以下、計算法と称することもある。)である(「SP値 基礎・応用と計算方法」 山本秀樹著、株式会社情報機構、平成17年 3月 31日発行)。
本方法により、計算できない場合においては、溶解度パラメーターが既知の溶媒に対し溶解するか否かの判定による、実験法によりSP値を算出(以下、実験法と称することもある。)し、それを代用する(「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」 ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社1998年発行)。
さらに相分離状態になりやすい条件を得るためには、ポリマーBの重量平均分子量が大きいことが望ましく、さらには小径化するためにもMwは大きい方が望ましい。しかし、ポリマーBの重量平均分子量が20,000以上になると、ポリマーB溶液相の粘度が高くなり、析出したポリマーAのポリマー微粒子同士の融着、凝集が発生し、実用可能なポリマー微粒子が得られない。ここでいう析出したポリマーAのポリマー微粒子同士の融着、凝集とは、走査型電子顕微鏡にてポリマー微粒子を観察し、粒子同士が重なり合っている場合は1つの凝集体とみなし、5つ以上のポリマー微粒子から成る凝集体が300倍の視野の中に3つ以上存在する状態を指す。この析出したポリマーAのポリマー微粒子同士の融着、凝集を防ぐためには、ポリマーBのMw/Mnは大きい方が望ましい。
相分離状態であるかどうかを判定するためには、ポリマーA、Bを、本発明を実施しようとする温度、圧力にて、任意のポリマーA、Bおよび溶媒の比に調整した後に、ポリマーA、Bを、完全に溶解させ、溶解させた後に、十分な攪拌を行い、3日放置し、巨視的に相分離をするかどうかを確認する。しかし、十分に安定なエマルションになる場合においては、3日放置しても巨視的な相分離をしない場合がある。その場合は、光学顕微鏡・位相差顕微鏡などを用い、微視的に相分離しているかどうかを、相分離を判別する。
相分離の状態が得られ、かつ工業的に実施可能な濃度として、生産性を考慮するとポリマーAの仕込み濃度は可能な限り高濃度であることが望ましい。ここでいうポリマーAの仕込み濃度は、ポリマーA、ポリマーB、有機溶媒の合計質量に対するポリマーAの質量%濃度を指す。
本発明におけるポリマーAの仕込み濃度は、3質量%超、好ましくは5質量%超、より好ましくは7質量%超である。ポリマーAの仕込み濃度は、生産性を考慮すると、高い方が好ましいが、ポリマーAの有機溶媒に対する溶解度も考慮して、通常は、30質量%以下であり、より好ましくは20質量%であり、さらに好ましくは10質量%以下である。ここで、仕込み濃度とは、ポリマーA、ポリマーB、有機溶媒を溶解混合したときの、ポリマーAおよびポリマーBおよび有機溶媒の合計重量に対するポリマーAの仕込み量であり、質量%で表す。
本発明におけるポリマーA溶液相およびポリマーB溶液相の2相間の界面張力は、界面張力が小さすぎることから、通常用いられる溶液に異種の溶液を加えて測定する懸滴法などでは直接測定することは出来ないが、各相の空気との表面張力から推算することにより、界面張力を見積もることが出来る。各相の空気との表面張力をr1、r2とした際、その界面張力r1/2は、r1/2=r1−r2の絶対値で推算することができる。この際、このr1/2の好ましい範囲は、0超〜10mN/mであり、より好ましくは0超〜5mN/mであり、さらに好ましくは、0超〜3mN/mであり、特に好ましくは、0超〜2mN/mである。
このようにして得られた相分離する系を用い、相分離した液相を混合させ、エマルション化させた後、貧溶媒を接触させることによりポリマー微粒子を製造する。
微粒子化を行うには、通常の反応槽でエマルション形成および貧溶媒を接触させる工程(以下、微粒子化工程と称することもある。)が実施される。
本製造法で得られる微粒子は、ポリマーA溶液相とポリマーB溶液相からなるエマルションを経由した微粒子の製造法であるため、粒子径分布が極めて小さい微粒子になる。このため、エマルションを形成させるに十分な剪断力を得るためには、従前公知の方法による攪拌を用いれば十分であり、攪拌羽による液相攪拌法、連続2軸混合機による攪拌法、ホモジナイザーによる混合法、超音波照射等通常公知の方法で混合することが出来る。
特に、攪拌羽による攪拌の場合、攪拌羽の形状にもよるが、攪拌速度は、好ましくは50rpm〜1,200rpm、より好ましくは、100rpm〜1,000rpm、さらに好ましくは、200rpm〜800rpm、特に好ましくは、300〜600rpmである。
攪拌羽としては、具体的には、プロペラ型、パドル型、フラットパドル型、タービン型、ダブルコーン型、シングルコーン型、シングルリボン型、ダブルリボン型、スクリュー型、ヘリカルリボン型などが挙げられるが、系に対して十分に剪断力をかけられるものであれば、これらに特に限定されるものではない。また、効率的な攪拌を行うために、槽内に邪魔板等を設置してもよい。
また、エマルションを発生させるためには、必ずしも、攪拌機だけでなく、乳化機、分散機など広く一般に知られている装置を用いてもよい。具体的に例示するならば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、超音波ホモジナイザー、スタティックミキサーなどが挙げられる。
このようにして得られたエマルションは、引き続き微粒子を析出させる工程に供する。
ポリマーAの微粒子を得るためには、ポリマーAに対する貧溶媒を、前記工程で製造したエマルションに接触させることでエマルション径に応じた径で、微粒子を析出させる。
貧溶媒とエマルションの接触方法は、貧溶媒にエマルションを入れる方法でも良いし、エマルションに貧溶媒を入れる方法でも良いが、エマルションに貧溶媒を入れる方法が好ましい。
この際、貧溶媒を投入する方法としては、本発明で製造するポリマー微粒子が得られる限り特に制限はなく、連続滴下法、分割添加法、一括添加法のいずれでも良いが、貧溶媒添加時にエマルションが凝集・融着・合一し、粒子径分布が大きくなったり、1000μmを超える塊状物が生成したりしないようにするために、好ましくは連続滴下法、分割滴下法であり、工業的に効率的に実施するためには、最も好ましいのは、連続滴下法である。
また、貧溶媒を加える時間としては、10分以上50時間以内であり、より好ましくは、30分以上10時間以内であり、さらに好ましくは1時間以上5時間以内である。
この範囲よりも短い時間で実施すると、エマルションの凝集・融着・合一に伴い、粒子径分布が大きくなったり、塊状物が生成したりする場合がある。また、これ以上長い時間で実施する場合は、工業的な実施を考えた場合、非現実的である。
この時間の範囲内で行うことにより、エマルションからポリマー微粒子に転換する際に、粒子間の凝集を抑制することができ、粒子径分布の小さいポリマー微粒子を得ることができる。
加える貧溶媒の量は、エマルションの状態にもよるが、好ましくは、エマルション総質量を1質量部とするものに対して、0.1質量部から10質量部、より好ましくは、0.1質量部から5質量部、さらに好ましくは、0.2質量部から3質量部であり、特に好ましくは、0.2質量部から2質量部であり、最も好ましくは、0.2質量部から1.0質量部である。
貧溶媒とエマルションとの接触時間は、微粒子が析出するのに十分な時間であればよいが、十分な析出を引き起こしかつ効率的な生産性を得るためには、貧溶媒添加終了後5分から50時間であり、より好ましくは、5分以上10時間以内であり、さらに好ましくは10分以上5時間以内であり、特に好ましくは、20分以上4時間以内であり、最も好ましくは、30分以上3時間以内である。
このようにして作られたポリマー微粒子分散液は、ろ過、減圧濾過、加圧ろ過、遠心分離、遠心ろ過、スプレードライ等の通常公知の方法で固液分離することにより、微粒子粉体を回収することが出来る。
固液分離したポリマー微粒子は、必要に応じて、溶媒等で洗浄を行うことにより、付着または含有している不純物等の除去を行い、精製を行う。
本発明の方法においては、微粒子粉体を得る際に行った固液分離工程で分離された有機溶媒及びポリマーBを再度活用するリサイクル化を行うことが可能であることが有利な点である。
この際、リサイクルする上では、有機溶媒及びポリマーBが一連の微粒子製造工程において、物質の変化が抑制されていることが安定な製造を継続する要件になる。
固液分離で得た溶媒は、ポリマーB、有機溶媒および貧溶媒の混合物である。この溶媒から、貧溶媒を除去することにより、エマルジョン形成用の溶媒として再利用することが出来る。貧溶媒を除去する方法としては、通常公知の方法で行われ、具体的には、単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留、抽出、膜分離などが挙げられるが、好ましくは単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留による方法である。
単蒸留、減圧蒸留等の蒸留操作を行う際は、ポリマー微粒子製造時と同様、系に熱がかかり、ポリマーBや有機溶媒の熱分解を促進する可能性があることから、極力酸素のない状態で行うことが好ましく、より好ましくは、不活性雰囲気下で行う。具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素条件下で実施することが好ましい。また、酸化防止剤としてフェノール系化合物を再添加しても良い。
リサイクルする際、貧溶媒は、極力除くことが好ましいが、具体的には、貧溶媒の残存量が、リサイクルする有機溶媒及びポリマーBの合計量に対して、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは、3質量%以下、特に好ましくは、1質量%以下である。この範囲よりも超える場合には、微粒子の粒子径分布が大きくなったり、粒子が凝集したりするので、好ましくない。
リサイクルで使用する溶媒中の貧溶媒の量は、通常公知の方法で測定でき、ガスクロマトグラフィー法、カールフィッシャー法などで測定できる。
貧溶媒を除去する操作において、現実的には、有機溶媒、ポリマーBなどをロスすることもあるので、適宜、初期の組成比に調整し直すのが好ましい。
このようにして得られたポリマー微粒子の平均粒子径は、通常100nm〜10μm、好ましい態様によれば500nm〜10μmであり、より好ましい態様によれば1μm超〜10μmであり、さらに好ましい態様によれば3〜10μmであり、特に好ましい状態によれば5〜10μmのものを製造することが可能である。
また、粒子径分布は、粒子径分布指数として3以下であり、好ましい態様によれば、2以下であり、より好ましい態様によれば、1.5以下であり、特に好ましい態様によれば、1.2以下であり、最も好ましい態様によれば、1.1以下であるものを製造することが可能である。また、好ましい下限は1である。
ポリマー微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から任意の100個の粒子直径を特定し、その算術平均を求めることにより算出することが出来る。真円状でない場合、即ち楕円状のような場合は、粒子の最大径をその粒子径とする。また、粒子が重なり凝集している場合は、その凝集物を1粒子として捉え、長径をその粒子径として測定する。粒子径を正確に測定するためには、少なくとも300倍以上、好ましくは500倍以上の倍率で測定する。粒子径分布指数は、上記で得られた粒子直径の値を、下記数値変換式に基づき、決定される。
尚、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
このように本発明の方法を用いることで、曲げ弾性率が500MPa以下であり、かつ平均粒子径は10μm以下、さらには粒子径分布指数が3以下のポリマー微粒子を、生産性良く安定的に製造することができる。このような前記特徴を有するポリマー微粒子は、基盤材料などへの傷つき低減効果が期待され、トナー用添加剤や液晶ディスプレイ用材料など様々な分野への応用が可能であり、産業上、極めて実用的に利用することができる。
次に、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例中、用いる測定は下記の通りである。
(1)数平均分子量、重量平均分子量の測定−1
ポリマーAの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリスチレンによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:日本ウォーターズ株式会社 410シリーズ
カラム:昭和電工株式会社 HFIP−806M×2
流速:0.5mL/min
移動相:ヘキサフルオロイソプロパノール
検出:示差屈折率計
カラム温度:30℃。
ポリマーAの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリスチレンによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:日本ウォーターズ株式会社 410シリーズ
カラム:昭和電工株式会社 HFIP−806M×2
流速:0.5mL/min
移動相:ヘキサフルオロイソプロパノール
検出:示差屈折率計
カラム温度:30℃。
(2)数平均分子量、重量平均分子量の測定−2
ポリマーBの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレンオキサイドによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:株式会社島津製作所 LC−20Aシリーズ
カラム:昭和電工株式会社 GF−7MHQ×2
流速:1.0mL/min
移動相:10mmol/L 臭化リチウム水溶液
検出:示差屈折率計
カラム温度:40℃。
ポリマーBの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法を用い、ポリエチレンオキサイドによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:株式会社島津製作所 LC−20Aシリーズ
カラム:昭和電工株式会社 GF−7MHQ×2
流速:1.0mL/min
移動相:10mmol/L 臭化リチウム水溶液
検出:示差屈折率計
カラム温度:40℃。
(3)数平均粒子径、体積平均粒子径、粒子径分布指数の算出法
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、粒子を観察し、測長した。粒子径を正確に測定するには、少なくとも300倍以上、好ましくは500倍以上の倍率で測定する。尚、粒子が真球でない場合は長径をその粒子径とし、粒子が重なり凝集している場合は、その凝集物を1粒子として捉え、長径をその粒子径として測定した。
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、粒子を観察し、測長した。粒子径を正確に測定するには、少なくとも300倍以上、好ましくは500倍以上の倍率で測定する。尚、粒子が真球でない場合は長径をその粒子径とし、粒子が重なり凝集している場合は、その凝集物を1粒子として捉え、長径をその粒子径として測定した。
数平均粒子径(Dn)、体積平均粒子径(Dv)、粒子径分布指数(PDI)は、任意粒子100個の平均より下式に従い、算出した。
尚、Ri:粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
(4)融点の測定
TAインスツル株式会社製 DSC Q20を使用し、窒素気流雰囲気下、20℃/分の昇温速度で加熱したときの融解ピークの頂点温度を測定した。
TAインスツル株式会社製 DSC Q20を使用し、窒素気流雰囲気下、20℃/分の昇温速度で加熱したときの融解ピークの頂点温度を測定した。
(5)曲げ弾性率の測定
本発明での曲げ弾性率はASTM−D790−98に従って測定した。このときポリマーAのペレットを90℃で3時間以上熱風乾燥し、その後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 NEX−1000)を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度50℃の条件にて127×12.7×6.4mmの曲げ試験片を成形し、サンプルとした。
本発明での曲げ弾性率はASTM−D790−98に従って測定した。このときポリマーAのペレットを90℃で3時間以上熱風乾燥し、その後、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 NEX−1000)を用いて、シリンダー温度240℃、金型温度50℃の条件にて127×12.7×6.4mmの曲げ試験片を成形し、サンプルとした。
使用樹脂については、下記の参考例によって調整した。
[参考例1]テレフタル酸16.0部、1,4−ブタンジオール14.0部および重量平均分子量約3,000のポリテトラメチレングリコール70.0部をチタンテトラブトキシド0.01部とモノ−n−ブチル−モノヒドロキシスズオキシド0.005部を、ヘリカルリボン型撹拌翼を備えた反応器に仕込み、190〜225℃で3時間加熱して反応水を系外へ留出しながらエステル化反応を行った。反応混合物にテトラ−n−ブチルチタネート0.06部を追添加し、“イルガノックス”1098(チバ・ジャパン(株)製ヒンダードフェノール系酸化防止剤)0.02部を添加した後、245℃に昇温し、次いで50分かけて系内の圧力を30Paの減圧とし、その条件下で2時間50分重合を行わせて、脂肪族ポリエーテル−ポリエステル共重合体を得た。融点は160℃であり、重量平均分子量は、23,000であり、曲げ弾性率は23MPaであった。
[参考例2]ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社“ゴーセノール(商標登録)”GL−05、重量平均分子量14,000、Mw/Mn=1.60)5.0g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社“ゴーセノール(商標登録)”GM−14、重量平均分子量26,000、Mw/Mn=2.11)5.0gを混合し、重量平均分子量17,700、Mw/Mn=1.75のポリビニルアルコールを調整した。
[参考例3]ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社“ゴーセノール(商標登録)”GL−05、重量平均分子量14,000、Mw/Mn=1.60)6.0g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社“ゴーセノール(商標登録)”GM−14、重量平均分子量26,000、Mw/Mn=2.11)2.0gを混合し、重量平均分子量16,000、Mw/Mn=1.68のポリビニルアルコールを調整した。
[実施例1]200mLの4つ口フラスコの中に、参考例1で調整したポリエーテル−ポリエステル共重合体(重量平均分子量23,000)4.0g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン42g、参考例2で調整したポリビニルアルコール(重量平均分子量17,700、Mw/Mn=1.75)4.0g、を加え、90℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで撹拌を行った。系の温度を80℃に戻した後に、450rpmで撹拌しエマルションを形成後、貧溶媒として50gのイオン交換水を送液ポンプを経由し、0.41g/分のスピードで滴下を行った。全量の水を入れ終わった後に、30分間撹拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水100gで洗浄後、凍結乾燥を行い、白色固体3.1gを得た。得られた粉末を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子であり、体積平均粒子径7.1μm、粒子径分布指数1.12のポリエーテル−ポリエステル共重合体微粒子であった。
[実施例2]200mLの4つ口フラスコの中に、参考例1で調整したポリエーテル−ポリエステル共重合体(重量平均分子量23,000)4.0g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン42g、参考例3で調整したポリビニルアルコール(重量平均分子量16,000、Mw/Mn=1.68)4.0g、を加え、90℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで撹拌を行った。系の温度を80℃に戻した後に、450rpmで撹拌しエマルションを形成後、貧溶媒として50gのイオン交換水を送液ポンプを経由し、0.41g/分のスピードで滴下を行った。全量の水を入れ終わった後に、30分間撹拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水100gで洗浄し、凍結乾燥を行い、白色固体3.5gを得た。得られた粉末を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子であり、体積平均粒子径8.7μm、粒子径分布指数1.12のポリエーテル−ポリエステル共重合体微粒子であった。
[比較例1]200mLの4つ口フラスコの中に、参考例1で作製したポリエーテル−ポリエステル共重合体(重量平均分子量23,000)4.0g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン42g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社“ゴーセノール(商標登録)”GL−05、重量平均分子量14,000、Mw/Mn=1.60)4.0gを加え、90℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで撹拌を行った。系の温度を80℃に戻した後に、450rpmで撹拌しエマルションを形成後、貧溶媒として50gのイオン交換水を送液ポンプを経由し、0.41g/分のスピードで滴下を行った。全量の水を入れ終わった後に、30分間撹拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水100gで洗浄し、凍結乾燥を行い、白色固体3.4gを得た。得られた粉末を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子であり、体積平均粒子径17.7μm、粒子径分布指数1.40のポリエーテル−ポリエステル共重合体微粒子であった。
[比較例2]200mLの4つ口フラスコの中に、参考例1で作製したポリエーテル−ポリエステル共重合体(重量平均分子量23,000)4.0g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン42g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社“ゴーセノール(商標登録)”GM−14、重量平均分子量16,000、Mw/Mn=1.68)4.0gを加え、90℃に加熱し、ポリマーが溶解するまで撹拌を行った。系の温度を80℃に戻した後に、450rpmで撹拌しエマルションを形成後、貧溶媒として50gのイオン交換水を送液ポンプを経由し、0.41g/分のスピードで滴下を行った。全量の水を入れ終わった後に、30分間撹拌し、得られた懸濁液を、ろ過し、イオン交換水100gで洗浄し、凍結乾燥を行い、白色固体3.6gを得た。得られた粉末を走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の微粒子が凝集した凝集物であり、体積平均粒子径53.5μm、粒子径分布指数2.43のポリエーテル−ポリエステル共重合体微粒子であった。
Claims (10)
- 曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAと、ポリマーAとは異なるポリマーBと、有機溶媒を溶解混合したときに、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させ、ポリマーAを析出させることでポリマーAの微粒子を得る製造方法であって、上記ポリマーBの重量平均分子量が20,000以下、かつポリマーBのMw/Mnが1.65以上であることを特徴とするポリマー微粒子の製造方法。
- ポリマーAが脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであることを特徴とする請求項1記載のポリマー微粒子の製造方法。
- ポリマーAが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1または2記載のポリマー微粒子の製造方法。
- ポリマーAがポリエステルエラストマーであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリマー微粒子の製造方法。
- エマルションを形成させる際の、ポリマーAの仕込み濃度が7質量%超であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリマー微粒子の製造方法。
- ポリマーBがポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のポリマー微粒子の製造方法。
- 曲げ弾性率が500MPa以下のポリマーAからなり、平均粒子径10μm以下、かつ、粒子径分布指数が3以下であることを特徴とするポリマー微粒子。
- ポリマーAが脂肪族ポリエーテル単位を含むポリマーであることを特徴とする請求項7に記載のポリマー微粒子。
- ポリマーAが熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項7または8に記載のポリマー微粒子。
- ポリマーAがポリエステルエラストマーであることを特徴とする請求項7〜9いずれかに記載のポリマー微粒子。
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