JP2018035249A - ポリマー微粒子 - Google Patents

ポリマー微粒子 Download PDF

Info

Publication number
JP2018035249A
JP2018035249A JP2016169146A JP2016169146A JP2018035249A JP 2018035249 A JP2018035249 A JP 2018035249A JP 2016169146 A JP2016169146 A JP 2016169146A JP 2016169146 A JP2016169146 A JP 2016169146A JP 2018035249 A JP2018035249 A JP 2018035249A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
less
thermoplastic polyurethane
particle
polymer fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016169146A
Other languages
English (en)
Inventor
寛子 市川
Hiroko Ichikawa
寛子 市川
竹崎 宏
Hiroshi Takezaki
宏 竹崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2016169146A priority Critical patent/JP2018035249A/ja
Publication of JP2018035249A publication Critical patent/JP2018035249A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)

Abstract

【課題】耐熱性に優れ、低弾性であり、かつ粒子径分布指数の狭いポリマー微粒子を提供すること。
【解決手段】熱可塑性ポリウレタン系エラストマーからなり、平均粒子径が0.5μm以上100μmであり、かつ粒子径分布指数が狭いポリマー微粒子。そのポリマー微粒子を半導体封止材低応力化剤として、エポキシ樹脂に均一に分散させることで、エポキシ樹脂との接着性に優れるため、クラックの発生原因となる粒子の剥離が発生せず、低弾性率化が実現し、半導体封止材用の添加剤として、有用な材料を得ることが可能となる。
【選択図】なし

Description

熱可塑性ポリウレタン系エラストマーからなるポリマー微粒子に関する。
ポリマー微粒子とは、ポリマーからなる微粒子のことであり、射出成形品や押出成形品、フィルムなどの成形品とは異なり、比表面積が大きい点や球状であることなどから、各種材料の改質剤として用いられる。また、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、ポリエーテル、ポリエステルからなるソフトセグメントと、ポリウレタン結合を有するハードセグメント成分が共重合したブロック共重合体であり、優れた柔軟性、耐薬品性、高耐熱性、高衝撃性といった特徴を有することから、各種ホースや靴底、グリップ類などの用途に利用されている。この熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを微細化した熱可塑性ポリウレタン系エラストマー微粒子は、各種材料の改質剤として使用することができ、粉砕機によりパウダー化する粉砕法が一般的である(特許文献1)。また、ソフトセグメントを有さないポリウレタン樹脂に関しては、上記粉砕法に加え、ポリウレタン結合を構成するイソシアネート基を有する化合物およびヒドロキシル基を有する化合物を分散媒中で反応させ、その後分散媒を取り除いて熱可塑性ポリウレタン粒子を得る手法も開示されている(特許文献2)。
一方で、エポキシ樹脂とシリカ等の無機フィラー、各種添加剤で構成される半導体封止材は、近年、電子機器の小型化、薄型化が進むにつれ、より高い性能が求められるようになっている。特に、添加剤として用いられる低応力化剤は、半導体作動中の熱変化によりエポキシ樹脂が体積変化をすることで発生する応力を緩和させる働きを担っており、従来からシリコーン粒子が用いられている(特許文献3)。また特許文献4には、シリコーン粒子よりも耐熱性に優れ、エポキシ樹脂への分散性に優れた低応力化剤としてスチレン系エラストマー粒子が開示されている。
特開2006−233097号公報 特開2007−186645号公報 特開2013−189490号公報 特願2015−253619号公報
しかしながら、シリコーン粒子およびスチレン系エラストマー粒子は低弾性であり、半導体封止材のマトリックス樹脂であるエポキシ樹脂に添加することで、低弾性率化は実現するものの、エポキシ樹脂との接着性が悪く、外部刺激によりエポキシ樹脂からの剥離が生じるという課題がある。一方、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、耐熱性に優れ、かつ低弾性率であり、さらにエポキシ樹脂との接着性が良いことから、低応力化剤粒子の原料には好適である。ただし、上述の粉砕法では十分に微細化できず、不定形であり、粒子径分布も広くなるため、エポキシ樹脂中に均一に分散させることが困難である。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、下記の発明に到達した。すなわち本発明は、
「(1)熱可塑性ポリウレタン系エラストマーからなり、平均粒子径が0.5μm以上100μm以下であり、かつ粒子径分布指数が3以下であることを特徴とするポリマー微粒子、
(2)真球度が80以上であることを特徴とする(1)記載のポリマー微粒子、
(3)熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのソフトセグメント成分量が70質量%以上であることを特徴とする(1)または(2)記載のポリマー微粒子、
(4)微小圧縮試験機による粒子の圧縮弾性率が800MPa以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか記載のポリマー微粒子。」である。
本発明の熱可塑性ポリウレタン系エラストマー粒子は、ソフトセグメント成分の存在により、耐熱性に優れ、低弾性である。また、ポリウレタン由来の官能基を有するため、エポキシ樹脂との接着性にも優れる。さらに、高真球度であり、かつ粒子径分布が狭いという特徴を有しており、添加剤として使用する際には、分散性に優れる。これらのことから、半導体分野や化粧品、塗料などの分野において、各種添加剤に有用であり、特に半導体封止材低応力化剤として適材である。
以下、本発明につき、詳細に説明する。
本発明は、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーからなり、体積平均粒子径が0.5μm以上100μm以下であり、かつ粒子径分布指数が3以下であるポリマー微粒子に関するものである。
本発明において、ポリマー微粒子とは、ポリマーからなる微粒子のことを言う。
本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマーとは、高分子ポリオールとジイソシアネートと鎖伸張剤を原料として反応させて得られる樹脂であり、鎖伸張剤の水酸基とイソシアネートが反応したウレタン基を有するハードセグメント成分と、高分子ポリオールからなるソフトセグメント成分とで構成されたブロック共重合体であり、その配列順序に、特に制限はない。
したがって、本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマーには、高分子ポリオール由来のソフトセグメント成分を有さないポリウレタン樹脂は含まない。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの原料となるジイソシアネートは、イソシアネート基を2つ以上含むものであれば、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4−シクロヘキシルジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネートなどが挙げられる。
鎖伸張剤としては、水酸基を2つ以上有するジオールであり、好ましくはアルキル鎖を有するアルキルジオールであり、より好ましくは、アルキル鎖の炭素数が2〜10の短鎖ジオールである。具体的には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの原料となる高分子ポリオールは、水酸基を2つ以上有するポリマーのことであり、好ましくは脂肪族ポリオールであり、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリラクトンポリオールなどが挙げられる。
高分子ポリオールの重量平均分子量は、300以上であることが好ましく、より好ましくは500以上であり、さらに好ましくは1000以上である。重量平均分子量が300よりも小さい場合は、ソフトセグメントが少なくなり、熱可塑性ポリウレタン樹脂が硬くなり、柔軟、低弾性なポリマー微粒子が得られない。
脂肪族ポリオールとしては、炭素数が20以上のものが好ましく、具体的には1,20−エイコサンジオール、1,21−ヘネイコサンジオール、1,22−ドコサンジオール、1,23−トリコサンジオール、1,24−テトラコサンジオールなどが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、アルキレンオキシドおよび、または複素環式エーテルを重合して得られるものが挙げられる。アルキレンオキシドにはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが挙げられる。複素環式エーテルには、テトラヒドロフランなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリオキシアルキレンポリオールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、脂肪族系ジカルボン酸および、または芳香族系ジカルボン酸とグリコール類とを重縮合して得られるものが挙げられる。脂肪族系ジカルボン酸にはコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸などが挙げられる。芳香族系ジカルボン酸には、イソフタル酸、テレフタル酸などが挙げられる。グリコール類には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペートなどが挙げられる。ポリカーボネートポリオールは、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。
ポリラクトンポリオールは、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、ポリ(δ−バレロラクトン)ジオールなどが挙げられる。
さらに、本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、目的を損なわない範囲にて、必要に応じハードセグメント成分に上記ジイソシアネートおよび鎖伸張剤以外の成分をさらに共重合させても良い。例えば、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリル酸などのビニル系モノマー、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アミノ系エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、カルボン酸やアミノ基、水酸基などの反応基を有する樹脂が挙げられる。また、ソフトセグメント成分においても、十分な柔軟性を有する限り、上記高分子ポリオールを主成分とした共重合体であってもよい。
本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのソフトセグメント成分量とは、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを構成するソフトセグメント成分の質量比率のことを指す。具体的には、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー10質量部に対し、ピリジン100質量部および水5質量部を添加し、160℃で15時間加熱することで、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの原料である高分子ポリオール、ジイソシアネート、鎖伸張剤に分解し、得られた溶液を水で希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、分子量および各成分の分子量ピーク面積を算出し、これにより得られる重量平均分子量(Mw)300以上に検出されるピーク面積から算出される量を熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのソフトセグメント成分量として定義する。なお、この際GPCで使用する溶媒は水とし、別途、既知のポリエチレングリコールによる検量線を用いて換算し、測定する。
本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのソフトセグメント成分量は70質量%以上が好ましく、さらに好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上である。また、ソフトセグメント成分量は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がさらに好ましい。ソフトセグメント成分がこれらの範囲内であると、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは柔軟性を有し、低弾性であり、半導体封止材低応力化剤に好適な材料となる。
ここで、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのソフトセグメント成分量は、粒子原料となる熱可塑性ポリウレタン系エラストマーまたは粒子化した熱可塑性ポリウレタン系エラストマーを、無水ピリジン、水とともに加熱し、分解させたものの分子量から求めた値である。
本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの分子量に特に制限はないが、得られる微粒子の耐薬品性や強度、耐熱性などの観点から、重量平均分子量(Mw)として、その下限は1000以上であり、好ましくは5000以上であり、より好ましくは10000以上であり、更に好ましくは20000以上である。また、その上限は、1000000以下であり、好ましくは500000以下であり、より好ましくは300000以下であり、更に好ましくは200000以下である。ここでいう、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、ポリメタクリル酸メチルで換算した重量平均分子量を指す。
テトラヒドロフラン(THF)で測定できない場合は、ジメチルホルムアミドを用い、それでも測定できない場合は、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いる。
また本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの分子量分布(Mw/Mn)は、3以下であることが好ましく、より好ましくは2.5以下であり、さらに好ましくは2以下である。またその下限値は1である。なお、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)から、下式に従い算出する。
本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのガラス転移温度は、特に制限はないが、柔軟性の観点から、0℃以下であることが好ましく、より好ましくは−10℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以下であり、特に好ましくは−30℃以下である。
上述の高分子ポリオールからなるソフトセグメント成分が多いほど、ガラス転移温度は低く、柔軟性に優れた微粒子を得ることができる。ここでいう、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのガラス転移温度の測定方法は示差走査熱量測定(DSC)装置により測定し、20℃/分の速度で昇温し、ベースラインのシフトが見られる点をガラス転移温度とする。
本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマー微粒子の平均粒子径は、その下限として0.5μm以上であり、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。また平均粒子径の上限としては、100μm以下であり、好ましくは80μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下であり、特に好ましくは30μm以下である。ポリマー微粒子の平均粒子径がこの範囲であると、半導体封止材などのエポキシ樹脂とポリマー微粒子とを含む組成物を製造する時に、ポリマー微粒子がエポキシ樹脂に均一に分散しやすく、効果的に内部応力を緩和することができる。さらに、組成物の流動性の低下を抑えることができ、小型化、薄型化が進む半導体封止材用途には好適な材料となる。
また、本発明における粒子径分布は、粒子径分布指数として3以下であり、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.2以下であり、さらに好ましくは2.0以下であり、特に好ましくは1.8以下であり、著しく好ましくは1.5以下であり、最も好ましくは1.2以下である。また、理論上その下限は1である。ポリマー微粒子の粒子径分布がこの範囲にあると、エポキシ樹脂などに分散させたときに均一に分散させることができるため、効果的に内部応力を緩和させることができる。
なお、本発明におけるポリマー微粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡写真から任意の100個の微粒子直径を測定し、その算術平均を下式に従って求めることにより算出することが出来る。その際、走査型電子顕微鏡写真は少なくとも300倍以上、好ましくは500倍以上の倍率で測定する。また、粒子径分布指数は、上記で得られた微粒子直径の値を、下記数値変換式に基づき、決定される。このとき、微粒子が真球でない場合は長径をその粒子径とする。
尚、Ri:微粒子個々の粒子径、n:測定数100、Dn:数平均粒子径、Dv:体積平均粒子径、PDI:粒子径分布指数とする。
本発明におけるポリマー微粒子の形状は球状であることが好ましい。形状の球状の度合いは真球度で表現できるが、その真球度が高い方が、エポキシ樹脂への分散性に優れ、均一に分散させることができ、流動性に優れる材料が得られる。
本発明におけるポリマー微粒子の真球度は、80以上であることが好ましく、より好ましくは85以上であり、さらに好ましくは90以上であり、特に好ましくは92以上であり、最も好ましくは95以上である。またその上限値は100である。真球度は、走査型電子顕微鏡にて、粒子を観察し、任意粒子30個の短径と長径を測定し、下式に従い算出する。その際、走査型電子顕微鏡写真は少なくとも300倍以上、好ましくは500倍以上の倍率で測定する。
尚、n:測定数30とする。
本発明の熱可塑性ポリウレタン系エラストマー微粒子は、低弾性であることに特徴がある。本発明における熱可塑性ポリウレタン系エラストマー微粒子の弾性率は800MPa以下であることが好ましく、より好ましくは600MPa以下であり、さらに好ましくは500MPa以下であり、特に好ましくは100MPa以下である。低弾性であるほど、低応力化剤としての効果を大いに発揮することができ、エポキシ樹脂に少量添加するだけで効率的に低応力化させることが可能である。
粒子状物質の弾性率を求めるには、株式会社島津製作所製 微小圧縮試験機を用い、ヘルツの弾性理論に従い、下式から、粒子の弾性率Eを算出することができる。なお、粒子直径に対して5%歪み時のデータ点を使用することが好ましい。また、測定は任意粒子10個を測定し、その算術平均を粒子の弾性率とする。
:粒子の弾性率(GPa)
:装置圧子の弾性率(GPa)
:装置架台(ステージ)の弾性率(GPa)
ν:粒子のポアソン比
ν:装置圧子のポアソン比
ν:装置ステージのポアソン比
δ:粒子圧縮時の圧縮変位(μm)
:測定対象の複合弾性率(GPa)
R:粒子の半径(μm)
P:荷重(mN)。
上記のような低応力化剤に効果的な特性を有する熱可塑性ポリウレタン系エラストマー微粒子を製造するには、以下に示す方法を採用することができる。
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーであるポリマーAと、ポリマーAとは異なるポリマーBと、有機溶媒を溶解混合したときに、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系において、エマルションを形成させた後、ポリマーAの貧溶媒を接触させ、ポリマーAを析出させることでポリマーAの微粒子を得る方法が挙げられる。
「ポリマーAとポリマーBと有機溶媒を溶解混合させ、ポリマーAを主成分とする溶液相と、ポリマーBを主成分とする溶液相の2相に相分離する系」とは、ポリマーAとポリマーBと有機溶媒を混合したときに、ポリマーAを主として含む溶液相と、ポリマーBを主として含む溶液相の2相に分かれる系をいう。このような相分離をする系を用いることにより、相分離する条件下で混合して剪断力を加えることにより、乳化させ、エマルションを形成させることができる。
なお、上記において、ポリマーが溶解するかどうかについては、本発明を実施する温度、即ちポリマーAとポリマーBを溶解混合して、2相分離させる際の温度において、有機溶媒に対し1質量%超溶解するかどうかで判別する。
このエマルションは、ポリマーA溶液相が分散相に、ポリマーB溶液相が連続相になり、そしてこのエマルションに対し、ポリマーAの貧溶媒を接触させることにより、エマルション中のポリマーA溶液相から、ポリマーAが析出し、ポリマーAで構成されるポリマー微粒子を得ることが出来る。
本発明の製造方法においては、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒を用いるが、ポリマーB、有機溶媒、貧溶媒について、以下に詳述する。
本発明におけるポリマーBは、後述する貧溶媒との親和性が高いものが好ましく、その親和性の指標としては、水への溶解度をもって判断することができる。ポリマーBの水への溶解度は25℃で、水100gに対し1g溶解するものを、1g/100gと表記すると定義した場合、好ましくは、1g/100g以上であり、より好ましくは、2g/100g以上であり、さらに好ましくは、5g/100g以上であり、特に好ましくは、10g/100g以上であり、著しく好ましくは、15g/100g以上である。この範囲であれば、後述する貧溶媒との親和性が高く、本ポリマー微粒子製造法において、有利に機能する。
ポリマーBの高分子の種類として、具体的に好ましいものとしては、その分子骨格中に、水酸基、エーテル基、アミド基、カルボキシル基を有するものがよい。
ポリマーBを具体的に例示するならば、その分子骨格中に水酸基を持つものとしては、ポリビニルアルコール類(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)、完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体などのポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体類など)、ポリ(パラビニルフェノール)、マルトース、セルビオース、ラクトース、スクロースなどの二糖類、セルロースおよびその誘導体(ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなど)、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル、キトサン等)、アミロースおよびその誘導体、デンプンおよびその誘導体、デキストリン、シクロデキストリン、アルギン酸ナトリウムおよびその誘導体等の多糖類またはその誘導体、ゼラチン、カゼイン、コラーゲン、アルブミン、フィブロイン、ケラチン、フィブリン、カラギーナン、コンドロイチン硫酸、アラビアゴム、寒天、たんぱく質等が挙げられ、その分子骨格中にエーテル基を持つものとしては、ポリアルキレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンラウリン脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレングリコールモノ脂肪酸エステル)、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリビニルエーテル、ポリビニルホルマール等が挙げられ、その分子骨格中にアミド基を持つものとしては、ポリビニルピロリドン、アミノポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(メタクリルアミド)、“AQナイロン(登録商標)”(A−90、P−70、P−95、T−70;東レ株式会社製)などの水溶性ナイロン等が挙げられ、その分子骨格中にカルボキシル基を持つものとしては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム等が挙げられ、その他にも、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリジニウムクロライド、ポリ(スチレン−マレイン酸)共重合体、ポリアリルアミン、ポリ(オキシエチレンアミン)、ポリ(ビニルピリジン)、ポリアミノスルホン、ポリエチレンイミン等の合成樹脂が挙げられる。
好ましくは、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒロドキシアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等)、ポリビニルアルコール類(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)、完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体などのポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体類)、ポリアルキレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル、ポリ(オキシエチレンアルキルフェニルエーテル)、ポリ(オキシアルキルエーテル)、ポリビニルピロリドン、水溶性ナイロン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸であり、より好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)類(完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール)、完全ケン化型や部分ケン化型のポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体などのポリ(ビニルアルコール−エチレン)共重合体類)、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース)、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースエステル等)、ポリアルキレングリコール、ポリビニルピロリドンである。
ポリマーBの重量平均分子量としては、特に限定されないが、下限としては、1,000以上が好ましく、より好ましくは、5,000以上であり、さらに好ましくは、10,000以上である。また上限としては、好ましくは100,000,000以下であり、より好ましくは、10,000,000以下であり、さらに好ましくは、1,000,000以下であり、特に好ましくは500,000以下であり、最も好ましくは200,000以下である。
ここでいうポリマーBの重量平均分子量は、溶媒として水を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリエチレングリコールで換算した重量平均分子量を指す。
水で測定できない場合においては、ジメチルホルムアミドを用い、それでも測定できない場合においては、テトラヒドロフランを用い、さらに測定できない場合においては、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いる。
これらのポリマーBは、複数種用いてもよいし、混合して用いても良い。
ポリマーAとポリマーBを溶解させる有機溶媒としては、用いるポリマーA、ポリマーBを溶解し得る有機溶媒であり、各ポリマーの種類に応じて選択される。
具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、テトラデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、2−メチルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、アセト酢酸エチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン、ヘキサフルオロイソプロパノール等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、プロピレンカーボネート、トリメチルリン酸、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸溶媒、アニソール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム アセテート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ハイドロゲンスルフェート、1−エチル−3−イミダゾリウム アセテート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム チオシアネートなどのイオン性液体あるいはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒であり、さらに好ましいものとしては、エーテル系溶媒、非プロトン性極性溶媒、カルボン酸溶媒である。入手が容易で、かつ水やアルコール系溶媒等など後述する貧溶媒として好ましく用い得る溶媒と均一に混合し得る点から、最も好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランである。
これらの有機溶媒は、複数種用いてもよいし、混合して用いても良いが、粒子径が比較的小さく、かつ、粒子径分布の小さい微粒子が得られる点、製造上のプロセス負荷低減という観点で、単一の有機溶媒であるほうが好ましく、さらにポリマーA、およびポリマーBの両方を溶解する単一の有機溶媒であることが好ましい。
本発明におけるポリマーAの貧溶媒とは、ポリマーAを溶解させない溶媒のことをいう。溶媒を溶解させないとは、ポリマーAの貧溶媒に対する溶解度が1質量%以下のものであり、より好ましくは、0.5質量%以下であり、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。
本発明の製造方法において、ポリマーAの貧溶媒を用いるが、かかる貧溶媒としてはポリマーAの貧溶媒であり、かつポリマーBを溶解する溶媒であることが好ましい。これにより、ポリマーAで構成されるポリマー微粒子を効率よく析出させることができる。また、ポリマーAおよびポリマーBを溶解させる溶媒とポリマーAの貧溶媒とは均一に混合する溶媒であることが好ましい。
本発明における貧溶媒としては、用いるポリマーAの種類、望ましくは用いるポリマーA、B両方の種類によって、様々に変わるが、具体的に例示するならば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、n−デカン、n−ドデカン、n−トリデカン、シクロヘキサン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1、2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、2,6−ジクロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、1−プロパノール−2−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、トリメチルリン酸、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等のカルボン酸溶媒、アニソール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、ジグライム、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、水の中から少なくとも1種類から選ばれる溶媒などが挙げられる。
ポリマーAを効率的に微粒子化させる観点から好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、水であり、最も好ましいのは、アルコール系溶媒、水である。
本発明において、ポリマーA、ポリマーB、これらを溶解する有機溶媒およびポリマーAの貧溶媒を適切に選択して組み合わせることにより、効率的にポリマーAを析出させてポリマー微粒子を得ることが出来る。
2相分離の状態を生成する条件は、ポリマーA、Bの種類、ポリマーA、Bの重量平均分子量、分子量分布、有機溶媒の種類、ポリマーA、Bの濃度、発明を実施しようとする温度、圧力によって異なってくる。
相分離状態になりやすい条件を得るためには、ポリマーAとポリマーBの溶解度パラメーター(以下、SP値と称することもある)の差が離れていた方が好ましい。
この際、SP値の差としては1(J/cm1/2以上、より好ましくは2(J/cm1/2以上、さらに好ましくは3(J/cm1/2以上、特に好ましくは5(J/cm1/2以上、極めて好ましくは8(J/cm1/2以上である。SP値がこの範囲であれば、容易に相分離しやすくなる。
ポリマーAとポリマーBの両者が有機溶媒にとけるのであれば、特に制限はないが、SP値の差の上限として好ましくは20(J/cm1/2以下、より好ましくは、15(J/cm1/2以下であり、さらに好ましくは10(J/cm1/2以下である。
ここでいう、SP値とは、Fedorの推算法に基づき計算されるものであり、凝集エネルギー密度とモル分子容を基に計算されるもの(以下、計算法と称することもある。)である(「SP値 基礎・応用と計算方法」山本秀樹著、株式会社情報機構、平成17年3月31日発行)。
本方法により、計算できない場合においては、溶解度パラメーターが既知の溶媒に対し溶解するか否かの判定による、実験法によりSP値を算出(以下、実験法と称することもある。)し、それを代用する(「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」 ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社1998年発行)。
相分離状態であるかどうかを判定するためには、ポリマーA、Bを、本発明を実施しようとする温度、圧力にて、任意のポリマーA、Bおよび溶媒の比に調整した後に、ポリマーA、Bを、完全に溶解させ、溶解させた後に、十分な攪拌を行い、3日放置し、巨視的に相分離をするかどうかを確認する。しかし、十分に安定なエマルションになる場合においては、3日放置しても巨視的な相分離をしない場合がある。その場合は、光学顕微鏡・位相差顕微鏡などを用い、微視的に相分離しているかどうかを判別する。
本発明におけるポリマーA溶液相およびポリマーB溶液相の2相間の界面張力は、界面張力が小さすぎることから、通常用いられる溶液に異種の溶液を加えて測定する懸滴法などでは直接測定することは出来ないが、各相の空気との表面張力から推算することにより、界面張力を見積もることが出来る。各相の空気との表面張力をr、rとした際、その界面張力r1/2は、r1/2=r−rの絶対値で推算することができる。
この際、このr1/2の好ましい範囲は、0超〜10mN/mであり、より好ましくは0超〜5mN/mであり、さらに好ましくは、0超〜3mN/mであり、特に好ましくは、0超〜2mN/mである。
このようにして得られた相分離する系を用い、相分離した液相を混合させ、エマルション化させた後、貧溶媒を接触させることによりポリマー微粒子を製造する。
微粒子化を行うには、通常の反応槽でエマルション形成および貧溶媒を接触させる工程(以下、微粒子化工程と称することもある。)が実施される。
本製造法で得られる微粒子は、ポリマーA溶液相とポリマーB溶液相からなるエマルションを経由した微粒子の製造法であるため、粒子径分布が極めて小さい微粒子になる。このため、エマルションを形成させるに十分な剪断力を得るためには、従前公知の方法による攪拌を用いれば十分であり、攪拌羽による液相攪拌法、連続2軸混合機による攪拌法、ホモジナイザーによる混合法、超音波照射等通常公知の方法で混合することが出来る。
特に、攪拌羽による攪拌の場合、攪拌羽の形状にもよるが、攪拌速度は、好ましくは20rpm〜1,200rpm、より好ましくは、30rpm〜1,000rpm、さらに好ましくは、30rpm〜800rpm、特に好ましくは、50〜600rpmである。
攪拌羽としては、具体的には、プロペラ型、パドル型、フラットパドル型、タービン型、ダブルコーン型、シングルコーン型、シングルリボン型、ダブルリボン型、スクリュー型、ヘリカルリボン型などが挙げられるが、系に対して十分に剪断力をかけられるものであれば、これらに特に限定されるものではない。また、効率的な攪拌を行うために、槽内に邪魔板等を設置してもよい。
また、エマルションを発生させるためには、必ずしも、攪拌機だけでなく、乳化機、分散機など広く一般に知られている装置を用いてもよい。具体的に例示するならば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業社製)等のバッチ式乳化機、エバラマイルダー(荏原製作所社製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業社製)、コロイドミル(神鋼パンテック社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機社製)、超音波ホモジナイザー、スタティックミキサーなどが挙げられる。
このようにして得られたエマルションは、引き続き微粒子を析出させる工程に供する。
ポリマーAの微粒子を得るためには、ポリマーAに対する貧溶媒を、前記工程で製造したエマルションに接触させることでエマルション径に応じた径で、微粒子を析出させる。
貧溶媒とエマルションの接触方法は、貧溶媒にエマルションを入れる方法でも良いし、エマルションに貧溶媒を入れる方法でも良いが、エマルションに貧溶媒を入れる方法が好ましい。
この際、貧溶媒を投入する方法としては、本発明で製造するポリマー微粒子が得られる限り特に制限はなく、連続滴下法、分割添加法、一括添加法のいずれでも良いが、貧溶媒添加時にエマルションが凝集・融着・合一し、粒子径分布が大きくなったり、1000μmを超える塊状物が生成したりしないようにするために、好ましくは連続滴下法、分割滴下法であり、工業的に効率的に実施するためには、最も好ましいのは、連続滴下法である。
また、貧溶媒を加える時間は、その下限としては、好ましくは10分以上であり、より好ましくは、30分以上であり、さらに好ましくは1時間であり、特に好ましくは2時間以上である。また上限としては、好ましくは10時間以内であり、より好ましくは6時間以内であり、更に好ましくは4時間以内である。
この範囲よりも短い時間で実施すると、エマルションの凝集・融着・合一に伴い、粒子径分布指数が大きくなったり、塊状物が生成したりする場合がある。また、これ以上長い時間で実施する場合は、工業的な実施を考えた場合、非現実的である。
また、工業的な実施を踏まえ、途中で滴下速度を変更してもよい。
加える貧溶媒の量は、エマルションの状態にもよるが、その下限としては、好ましくは、エマルション総質量100質量部に対して、10質量部以上であり、より好ましくは、20質量部以上であり、さらに好ましくは、50質量部以上である。また上限としては、エマルション総質量100質量部に対し、好ましくは、1000質量部以下であり、より好ましくは、800質量部以下であり、さらに好ましくは500質量部以下であり、特に好ましくは250質量部以下であり、最も好ましくは100質量部以下である。
貧溶媒とエマルションとの接触時間は、微粒子が析出するのに十分な時間であればよいが、十分な析出を引き起こしかつ効率的な生産性を得るためには、貧溶媒添加終了後5分から50時間であり、より好ましくは、5分以上10時間以内であり、さらに好ましくは10分以上5時間以内であり、特に好ましくは、20分以上4時間以内であり、最も好ましくは、30分以上3時間以内である。
このようにして作られたポリマー微粒子分散液は、ろ過、減圧濾過、加圧ろ過、遠心分離、遠心ろ過、凍結乾燥、スプレードライ等の通常公知の方法で固液分離することにより、微粒子粉体を回収することが出来る。
固液分離したポリマー微粒子は、必要に応じて、溶媒等で洗浄を行うことにより、付着または含有している不純物等の除去を行い、精製を行う。
本発明の方法においては、微粒子粉体を得る際に行った固液分離工程で分離された有機溶媒及びポリマーBを再度活用するリサイクル化を行うことが可能であることが有利な点である。
この際、リサイクルする上では、有機溶媒及びポリマーBが一連の微粒子製造工程において、物質の変化が抑制されていることが安定な製造を継続する要件になる。
固液分離で得た溶媒は、ポリマーB、有機溶媒および貧溶媒の混合物である。この溶媒から、貧溶媒を除去することにより、エマルション形成用の溶媒として再利用することが出来る。貧溶媒を除去する方法としては、通常公知の方法で行われ、具体的には、単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留、薄膜蒸留、抽出、膜分離などが挙げられるが、好ましくは単蒸留、減圧蒸留、精密蒸留による方法である。
単蒸留、減圧蒸留等の蒸留操作を行う際は、ポリマー微粒子製造時と同様、系に熱がかかり、ポリマーBや有機溶媒の熱分解を促進する可能性があることから、極力酸素のない状態で行うことが好ましく、より好ましくは、不活性雰囲気下で行う。具体的には、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素条件下で実施することが好ましい。また、酸化防止剤としてフェノール系化合物を再添加しても良い。
リサイクルする際、貧溶媒は、極力除くことが好ましいが、具体的には、貧溶媒の残存量が、リサイクルする有機溶媒及びポリマーBの合計量100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは5質量部以下、より好ましくは、3質量部以下、特に好ましくは、1質量部以下である。この範囲よりも超える場合には、微粒子の粒子径分布が大きくなったり、微粒子が凝集したりするので、好ましくない。
リサイクルで使用する溶媒中の貧溶媒の量は、通常公知の方法で測定でき、ガスクロマトグラフィー法、カールフィッシャー法などで測定できる。
貧溶媒を除去する操作において、現実的には、有機溶媒、ポリマーBなどをロスすることもあるので、適宜、初期の組成比に調整し直すのが好ましい。
このような方法にて製造することで、平均粒子径0.5μm以上100μm以下であり、かつ粒子径分布指数が3以下である熱可塑性ポリウレタン系エラストマーからなるポリマー微粒子を効率よく得ることできる。
(1)数平均分子量、重量平均分子量の測定−1
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法を用いて、ポリメタクリル酸メチルによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:株式会社島津製作所 LC−20ADシリーズ
カラム:昭和電工株式会社 KF−806L×2
流速:1.0mL/min
移動相:テトラヒドロフラン
検出:示差屈折率計
カラム温度:40℃。
(2)数平均分子量、重量平均分子量の測定−2
ポリビニルアルコールの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法を用いて、ポリエチレンオキサイドによる校正曲線と対比させて分子量を算出した。
装置:株式会社島津製作所 LC−20Aシリーズ
カラム:昭和電工株式会社 GF−7MHQ×2
流速:1.0mL/min
移動相:10mmol/L 臭化リチウム水溶液
検出:示差屈折率計
カラム温度:40℃。
(3)数平均粒子径、体積平均粒子径、粒子径分布指数の算出法
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、粒子を観察し、測長した。粒子径を正確に測定するためには、少なくとも300倍以上、好ましくは500倍以上の倍率で測定する。なお、粒子が真球でない場合は、長径をその粒子径として測長した。
数平均粒子径(Dn)、体積平均粒子径(Dv)、粒子径分布指数(PDI)は、任意粒子100個の平均より前述の数式(2)に従い算出した。
(4)真球度の算出方法
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製走査型電子顕微鏡JSM−6301NF)にて、粒子を観察し、短径と長径を測定し、任意粒子30個の平均より前述の数式(3)に従い、算出する。前述の数式(3)においては、n:測定数30とする。
(5)ソフトセグメント成分量の算出
粒子原料となる熱可塑性ポリウレタン系エラストマー1g、無水ピリジンを10g、水を0.5g混合し、160℃で15時間加熱した。その後、得られた溶液を水で100倍に希釈し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)にて分子量および目的とする重量平均分子量(Mw)300以上に検出されるピーク面積を定量した。この際、重量平均分子量用の校正曲線および定量用の検量線はポリエチレンオキサイドを用い作成し、対比のうえ、測定した。
装置:株式会社島津製作所 LC−20Aシリーズ
カラム:昭和電工株式会社 GF−7MHQ×2
流速:1.0mL/min
移動相:水
検出:示差屈折率計
カラム温度:40℃。
(6)粒子の弾性率測定
株式会社島津製作所製微小圧縮試験機MCT−210を用いて、ダイヤモンド製平面圧子(φ=50μm)、負荷速度一定方式の負荷速度1.4632mN/sec、室温25℃、湿度60%RHの室内にて粒子の弾性率を測定した。
なお、粒子の弾性率の算出は前述の数式(4)および(5)を用い、装置の架台(ステージ)および圧子の影響を除くため、粒子の弾性率であるEを算出した。このとき、装置圧子の弾性率Eは1140GPa、装置の架台(ステージ)の弾性率Eは200GPa、粒子のポアソン比νは0.4、装置圧子のポアソン比νは0.07、装置の架台(ステージ)のポアソン比νは0.3とした。
また、弾性率の算出には、弾性変形領域である粒子直径の5%変形時の荷重データから、算出した。
(7)ガラス転移温度の測定
示差走査熱量測定装置(TAインスツルメント製Q20)を用いて、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー粒子のガラス転移温度を測定した。20℃/分の速度にて−70℃〜100℃まで昇温し、ベースラインのシフトが見られた点をガラス転移温度とした。
[実施例1]
1000mLのジャケット付きの4つ口セパラブルフラスコに、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(BASFジャパン社製“エラストラン”1180A10、重量平均分子量130000、ソフトセグメント成分量88%)17.5g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製“ゴーセノール”GL−05、重量平均分子量11000)35.0g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン297.5gを秤量した。80℃に昇温し、ヘリカルリボン型攪拌翼にて450rpmで2時間撹拌し、エマルションを形成させた。その後、貧溶媒として350gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、2.91g/分のスピードで滴下した。全量のイオン交換水を入れ終わった後、撹拌しながら降温し、白色の懸濁液を得た。得られた懸濁液を7500Gで15分間遠心分離を行い、固液分離した後、イオン交換水を250g加えて80℃で30分間リスラリー洗浄した。続いて、減圧ろ過を行い、再度リスラリー洗浄、減圧ろ過を繰り返し、イオン交換水300gを添加しスラリーを得た。得られたスラリーを、凍結乾燥させることで、白色粉末を15.75g得た。得られた粉末を、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の粒子形状であり、平均粒子径17.2μm、粒子径分布指数1.2、真球度94.6の熱可塑性ポリウレタン系エラストマー粒子であった。この熱可塑性ポリウレタン系エラストマー粒子について、微小圧縮試験機にて弾性率を測定したところ、460MPaであった。また、得られた粒子のガラス転移温度は−45℃であった。
[実施例2]
200mLの4つ口セパラブルフラスコに、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(東ソー社製“ミラクトラン”E980PSID、ソフトセグメント成分量76%)1.25g、ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製“ゴーセノール”GL−05)2.50g、有機溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン21.25gを秤量した。80℃に昇温し、ヘリカルリボン型攪拌翼にて450rpmで2時間撹拌し、エマルションを形成させた。その後、貧溶媒として25gのイオン交換水を、送液ポンプを経由して、0.21g/分のスピードで滴下した。全量のイオン交換水を入れ終わった後、撹拌しながら降温し、白色の懸濁液を得た。得られた懸濁液を7500Gで15分間遠心分離を行い、固液分離した後、イオン交換水を100g加えて80℃で30分間リスラリー洗浄した。続いて、減圧ろ過を行い、再度リスラリー洗浄、減圧ろ過を繰り返し、イオン交換水100gを添加しスラリーを得た。得られたスラリーを、凍結乾燥させることで、白色粉末を1.15g得た。得られた粉末を、走査型電子顕微鏡にて観察したところ、真球状の粒子形状であり、平均粒子径11.2μm、粒子径分布指数1.4、真球度95.4の熱可塑性ポリウレタン系エラストマー粒子であった。この熱可塑性ポリウレタン系エラストマー粒子について、微小圧縮試験機にて弾性率を測定したところ、480MPaであった。また得られた粒子のガラス転移温度は−34℃であった。

Claims (4)

  1. 熱可塑性ポリウレタン系エラストマーからなり、平均粒子径が0.5μm以上100μm以下であり、かつ粒子径分布指数が3以下であることを特徴とするポリマー微粒子。
  2. 真球度が80以上であることを特徴とする請求項1記載のポリマー微粒子。
  3. 熱可塑性ポリウレタン系エラストマーのソフトセグメント成分量が70質量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリマー微粒子。
  4. 微小圧縮試験機による粒子の圧縮弾性率が800MPa以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のポリマー微粒子。
JP2016169146A 2016-08-31 2016-08-31 ポリマー微粒子 Pending JP2018035249A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016169146A JP2018035249A (ja) 2016-08-31 2016-08-31 ポリマー微粒子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016169146A JP2018035249A (ja) 2016-08-31 2016-08-31 ポリマー微粒子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018035249A true JP2018035249A (ja) 2018-03-08

Family

ID=61567046

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016169146A Pending JP2018035249A (ja) 2016-08-31 2016-08-31 ポリマー微粒子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018035249A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5338957B2 (ja) ポリマー微粒子
JP5110225B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法、ポリ乳酸系樹脂微粒子およびそれを用いてなる化粧品
JP6543920B2 (ja) ポリマー微粒子
JP5945977B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂微粒子の製造方法、及びポリカーボネート系樹脂微粒子
JP6274200B2 (ja) ポリフェニレンサルファイド微粒子
JP6168401B2 (ja) ポリ乳酸系樹脂微粒子およびそれを用いてなる分散液、ならびにポリ乳酸系樹脂微粒子の製造方法
JP5904209B2 (ja) フッ化ビニリデン樹脂微粒子の製造方法、およびフッ化ビニリデン樹脂微粒子
JP6528403B2 (ja) エチレン−ビニルアルコール系共重合体微粒子およびそれを含有する分散液と樹脂組成物並びにその微粒子の製造方法
CN113683825A (zh) 一种丁腈手套及其成型工艺
JP2018035249A (ja) ポリマー微粒子
JP5593932B2 (ja) 樹脂微粒子およびその製造方法
JP2013177532A (ja) ポリマー微粒子の製造方法
JP6613881B2 (ja) ポリマー微粒子、その製造方法、エポキシ樹脂組成物および半導体封止材
Zhang et al. Spider silk-inspired supramolecular polydimethylsiloxane network with prominent mechanical robustness for bifunctional flexible electronics
JP5342128B2 (ja) 中空樹脂粒子及びその製造方法
JP2012031288A (ja) エポキシ樹脂組成物
Hong et al. Multiporous hollow polymer particles