JP2002352859A - 複合高分子固体電解質及びその製造方法 - Google Patents

複合高分子固体電解質及びその製造方法

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JP2002352859A
JP2002352859A JP2001154883A JP2001154883A JP2002352859A JP 2002352859 A JP2002352859 A JP 2002352859A JP 2001154883 A JP2001154883 A JP 2001154883A JP 2001154883 A JP2001154883 A JP 2001154883A JP 2002352859 A JP2002352859 A JP 2002352859A
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electrolyte
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composite
polarity
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Yukihiko Asano
之彦 浅野
Kimio Nakayama
喜美男 中山
Shigeru Yao
滋 八尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リチウム電池などの高エネルギー密度電池に適
用できる十分なイオン伝導率を有し、しかも機械的強度
及び柔軟性に優れた高分子固体電解質及びその製造方法
を提供することにある。 【解決手段】多孔質球状粒子からなる高極性高分子相
と、低極性高分子相からなる複合構造を有する複合高分
子相に、電解質溶液を含浸したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウム電池などの高
エネルギー密度電池に適用できる十分なイオン伝導率を
有し、しかも機械的強度及び柔軟性に優れた高分子固体
電解質及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、小型、携帯電子機器用の電源とし
て、高エネルギー密度を有し、なおかつ充電可能な電池
のニーズが高まっている。このようなニーズを満たす電
池の代表的な例がリチウム二次電池である。しかし、リ
チウム二次電池は、その内部に電解質として有機電解液
を有しているため、液漏れ、デンドライトショート等に
課題が残されている。そこで、電解質の固体化、即ち固
体電解質を用いた全固体型電池の実現が強く望まれてい
る。固体電解質としては、無機材料からなるものと高分
子材料からなるものが知られているが、高分子固体電解
質は大面積の加工が容易であることから、スパッタ法等
の真空プロセスによって作製される無機固体電解質より
も、大容量化が可能であり、製造コストの低減も期待で
きる。また、高分子固体電解質は、柔軟なシート状等の
種々の形状に加工することができるので、任意の形状の
電池が作製可能になり、電子機器のカスタム化に貢献で
きる。
【0003】高分子固体電解質に関しては、これまでに
ポリエチレンオキシド等のポリエーテル類が盛んに研究
されている。これらは、高分子鎖の熱運動(セグメント
運動)に伴って、高分子鎖に包接されたイオンが移動す
るタイプ(ポリエーテルタイプ)の固体電解質である。
また、最近では、極性高分子(ポリアクリロニトリル)
中に、金属塩電解液を含浸したもの(M.Watanabe et a
l., J.Polym.Sci.Polym.Phis.,21, 939(1983))や、極
性高分子、電解液、及び感光性架橋剤からなる液状混合
物を紫外線照射により硬化させたもの(K.M.Abraham an
d M.Alamgir,J.Electrochem.Soc., 137, 1657(1990))
等の極性高分子タイプが報告されており、このタイプの
固体電解質の中には、10-3S/cmのイオン伝導率を
達成しているものもある。
【0004】また最近では、粒子形状低極性高分子と低
極性高分子相からなる相分離構造に電解質溶液を含浸し
たことを特徴とする高分子固体電解質は、イオン伝導度
と機械的特性が両立し、コストの安価な固体高分子電解
質を供給できることが特許第3152264号公報に開
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ポリエー
テルタイプの固体電解質では、室温付近での高分子鎖の
セグメント運動に限界があるため、10-4S/cmを越
える高イオン伝導率の発現は困難であった。さらに、高
分子鎖の運動を大きくさせることによりイオン伝導率を
向上させるためには、分子量を下げたり、高分子を軟化
させる必要があるため、高分子固体電解質の機械的強度
を大幅に低下させる結果を招いていた。また、極性高分
子タイプの固体電解質では、極性高分子中に金属塩電解
質を含浸することは、その極性高分子自体を可塑化する
ことになるため、機械的強度は大幅に低下する。従っ
て、本発明は、十分なイオン伝導率を有し、しかも機械
的強度及び柔軟性に優れた高分子固体電解質とその製造
方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、多孔質球状粒
子からなる高極性高分子相と、低極性高分子相からなる
複合構造を有する複合高分子相に、電解質溶液を含浸し
たことを特徴とする複合高分子固体電解質に関するもの
である。
【0007】本発明は、高極性高分子相と低極性高分子
の割合が、高極性高分子相が30〜80重量%、低極性
高分子相が70〜20重量%で合計100重量%である
複合高分子固体電解質が好ましい。
【0008】本発明は、該多孔質球状粒子が、粒径1〜
30μm、BET比表面積100〜80000m/k
gの粒子から成り立っていることを特徴とすることが好
ましい。
【0009】本発明は、該多孔質球状粒子の粒子径が、
数平均粒子径に対する体積平均粒子径の比が1〜1.5
であることを特徴とすることが好ましい。
【0010】本発明の多孔質球状粒子の平均細孔径は、
0.01〜0.2μmであることが好ましい。
【0011】本発明の多孔質球状粒子の多孔度指数(R
I)は、5〜100であることが好ましい。
【0012】本発明は、多孔質球状粒子がポリアミドか
らなることを特徴とすることが好ましい。
【0013】本発明は、前記低極性高分子相が、共役ジ
エン結合を含むポリマーであることを特徴とすることが
好ましい。
【0014】本発明は、多孔質球状粒子からなる高極性
高分子粒子と低極性高分子粒子を分散媒体に分散させた
高分子粒子分散液から、複合高分子相を作製した後、該
高分子複合体に電解質溶液を含浸させることを特徴とす
る前記複合高分子固体電解質の製造方法に関する。
【0015】
【発明実施の形態】以下、本発明について詳細に説明す
る。本発明は、特定の粒子径と細孔径を有し、狭い粒子
径分布をもち、比表面積が大きい多孔質球状粒子からな
る高極性高分子相と、低極性高分子相からなる複合構造
を有する複合高分子相に、電解質溶液を含浸したことを
特徴とする複合高分子固体電解質とその製造方法に関す
るものである。
【0016】本発明の高分子固体電解質は、複合高分子
相中に電解質溶液を含有してなることを特徴としてお
り、主として高極性高分子相の多孔質粒子に多く含浸さ
れた電解質溶液が、低極性高分子相の間隙を縫ってイオ
ン伝導路が生ずる。
【0017】本発明の高分子固体電解質では、低極性高
分子相からなる支持相によって機械的強度および柔軟性
が保たれ、高極性高分子相の多孔質粒子によって補強さ
れ、さらに機械的強度が発現される。また、主として高
極性高分子相の多孔質粒子に多く含浸された電解質溶液
中のイオンの移動によってイオン伝導性が発揮されるた
め、従来の高分子固体電解質に比較して、機械的特性に
優れ、かつ大幅なイオン伝導性の向上が達成される。
【0018】本発明は、高極性高分子相と低極性高分子
を割合が、高極性高分子相が30〜80重量%低極性高
分子相が70〜20重量%で合計100重量%であるこ
とを特徴とすることが好ましい。高極性高分子相が40
〜70重量%が好ましい。高極性高分子相が30重量%
より小さいとイオン導電路が連続にならない。また80
重量%より大きければ柔軟性が得られない。
【0019】本発明の高分子固体電解質の高極性高分子
相に用いられる高極性高分子成分としては、電解質溶液
を含浸できる極性の高い高分子である。本発明は、高極
性高分子相として、多孔質球状粒子が好ましく用いられ
る。該多孔質球状粒子の粒径は1〜30μmが好まし
い。好ましくは粒径1〜25μmである。粒径が1μm
より小さいと取り扱いにくくなる。粒径が30μmより
大きいと高極性高分子相としては補強性が下がり、固体
高分子電解質としての機械的強度及び柔軟性が劣る。
【0020】また、本発明は、BET比表面積100〜
80000m/kgの粒子から成り立っていることが
好ましい。さらに好ましくは、3000〜40000m
/kgである。BET比表面積が100m/kgよ
り小さいと、電解質溶液を含む量が小さく、80000
/kgより大きすぎると機械的強度が劣るから不適
当である。
【0021】本発明の多孔質球状粒子の平均細孔径は、
0.01〜0.2μmであることが好ましい。平均細孔
径が0.02〜0.1μmであることがさらに好まし
い。平均細孔径が0.01μmより小さければ電解液を
含浸しにくくなることがある。平均細孔径が0.2μm
より大きくなると電解液担持能力が劣るから不適切であ
る。
【0022】本発明の多孔質球状粒子の多孔度指数(R
I)は、5〜100が好ましい。さらに好ましくは、多
孔度指数が5〜70である。ここで多孔度指数(RI)
とは、同じ直径の平滑な球状粒子の比表面積に対し、多
孔質の球状粒子の比表面積の比で表示したものと定義す
る。次式で表せる。多孔度指数が5より小さければ、多
孔質の程度が低すぎて電解液の担持体としての効果がす
くない。多孔度指数(RI)が100より大きければ形
状が不安定となるから、機械的強度が劣る。
【0023】
【数1】 ここで、RI;多孔度指数、S;多孔粒子の比表面積
[m/kg]、S;同一粒子径の円滑な球状粒子の比表
面積[m/kg]である。Sは、次式に従って求めるこ
とができる。すなわち、観測された数平均球状粒子径d
obs[m]、粒子の密度ρ[kg/m3]とすると、円滑な球
の比表面積Sは次式で表すことができる。
【数2】 ここでは、たとえばポリアミド粒子の密度(ρ)を粒子
結晶化度から換算して、1280kg/mとした。
【0024】本発明は、該多孔質粒子の粒子径が、数平
均粒子径に対する体積平均粒子径の比(PDI)が1〜
1.5であることを特徴とすることが好ましい。好まし
くは、PDIが1〜1.3である。PDIが1.5より大きい
と粒子径分布が広くなって均一な粒子が得られないか
ら、固体高分子電解質のイオン伝導性能にバラツキが生
じるから粒子分布は狭いほうがよい。
【0025】本発明は、多孔質粒子がポリアミドからな
ることを特徴とすることが好ましい。本発明の高極性高
分子相は上記の多孔質粒子であればよいが、結晶性高分
子のポリアミドが好ましい。
【0026】本発明に用いるポリアミドとしては、公知
の種々のものを挙げることができる。例えば、環状アミ
ドの開環重合、あるいはジカルボン酸とジアミンの重縮
合で得られる。モノマーとしては、ε−カプロラクタ
ム、ω−ラウロラクタム等の環状アミドを開環重合して
得られる結晶性ポリアミド、ε−アミノカプロン酸、ω
−アミノドデカン酸、ω−アミノウンデカン酸などのア
ミノ酸の重縮合、または蓚酸、アジピン酸、セバシン
酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキ
シルジカルボン酸などのジカルボン酸および誘導体とエ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,4−シ
クロヘキシルジアミン、m−キシリレンジアミン、ペン
タメチレンジアミン、デカメチレンジアミンなどのジア
ミンを重縮合して得られるものなどである。
【0027】本発明の結晶性ポリアミドは、単独重合体
及びこれらの共重合体からなる結晶性ポリアミドまたは
その誘導体である。具体的には、ポリアミド6、ポリア
ミド66、ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミ
ド610、ポリアミド66/6T(Tはテレフタル酸成
分を表す)などである。また上記ポリアミドの混合物で
あってもよい。特に好ましくは, ポリアミド6、ポリア
ミド66が好ましい。
【0028】本発明のポリアミドの分子量は、2,00
0〜100,000である。好ましくは5,000〜4
0,000である。
【0029】本発明は、前記低極性高分子が、共役ジエ
ン結合を含むポリマーであることを特徴とすることが好
ましい。本発明の高分子固体電解質を形成する低極性高
分子相に用いられる低極性高分子成分としては、高極性
の液体である電解質溶液の含浸が無視できる程度に少な
い材料、即ち極性の低い高分子であれば特に限定され
ず、例えば炭化水素系高分子やその共重合体が好適であ
る。具体的には、次のような高分子が挙げられる:ポリ
イソブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリク
ロロプレン、ポリブチルメタクリレート、ポリブチルア
クリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレー
ト)、ポリジブチルフタレート、ポリビニルブチルエー
テル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、
及びこれらの誘導体並びにこれらの成分を含む共重合
体。これらのうち、特にポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、ポリクロロプレン等の共役ジエン結合を含むポリマ
ーから作製した高分子固体電解質は、柔軟でゴム弾性を
持ち、電極と良好な密着性を示すことから好適である。
【0030】本発明の高分子固体電解質のイオン伝導路
を形成する電解質溶液の構成要素である電解質は、作製
する高分子固体電解質の用途によって異なり、特に限定
されない。例えば、リチウム電池への応用を考えると、
LiClO4,LiAlCl4,LiBF4,LiPF6,LiNbF6,LiSCN,LiCl,Li(CF
3SO3),Li(C6H5SO3)等のリチウム塩が単独あるいは混合
して用いられる。また、この電解質溶液の溶媒は、使用
する電解質を溶解するものなら特に限定されないが、同
様にリチウム電池への応用を考えると、上記のリチウム
塩を溶解する溶媒、例えば、プロピレンカーボネート、
エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチル
カーボネート、アセトニトリル、スルホラン、ジメチル
ホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2−ジメト
キシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロ
フラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラ
ン、メチルアセテート等の非プロトン性極性溶媒及びこ
れらの混合物が好適に用いられる。なお、この電解質溶
液の濃度は、重量モル濃度で0.01〜5mol/kg
とするのが好ましい。
【0031】また、本発明の高分子固体電解質を構成す
る低極性高分子成分は、極性有機成分を含んでいてもよ
い。この極性有機成分は、高分子粒子を分散媒体に分散
させた際、界面活性作用を発揮して高分子粒子の分散を
助ける働きをするもので、高分子鎖にカルボキシル基を
導入するカルボキシル変性が最も一般に知られている。
その極性有機成分は、高分子鎖あるいは高分子粒子を構
成する高分子分子鎖中に共有結合により直接組み込まれ
るが、例えば、次のようなものが単独あるいは混合して
用いられる:アクリル酸及びその金属塩、メタクリル酸
及びその金属塩、エタクリル酸及びその金属塩、イタコ
ン酸及びその金属塩、スチレンスルホン酸及びその金属
塩、エチレンスルホン酸及びその金属塩、不飽和脂肪酸
及びその金属塩、酢酸ビニル、アクリロニトリル等。こ
れらの極性有機成分は、共重合、グラフト重合という形
で、あるいは高分子粒子主成分の官能基に直接反応させ
て、共有結合により高分子粒子に組み込まれていてもよ
い。
【0032】さらに、本発明の高分子固体電解質を構成
する低極性高分子成分は、架橋成分を含んでいてもよ
い。この架橋成分は、高分子粒子間、高分子粒子内、高
分子鎖間、あるいは高分子鎖内で架橋構造を形成し、低
極性高分子相の機械的強度を向上させる働きをするもの
である。その架橋成分は、高分子成分あるいは高分子粒
子を構成する分子鎖に2種類以上の極性有機成分を共有
結合させることによって導入される。即ち、2種類以上
の極性有機成分を有する高分子成分、高分子粒子を加熱
することにより、高分子粒子内及び高分子粒子間に架橋
反応を起こさせ架橋成分を形成させてもよい。このよう
な架橋反応としては、エステル化反応、アミド化反応、
エポキシ基開環反応等が挙げられる。この架橋を分子間
あるいは分子内で行わせるためには、アミド基、水酸
基、カルボキシル基、エポキシ基2種類以上を高分子鎖
に持たせればよい。そのような高分子を自己架橋性高分
子と呼ぶ。例えば、前述の高分子粒子主成分のモノマー
と、架橋性モノマー2種類以上を共重合させれば、自己
架橋性高分子を得ることができる。その架橋性モノマー
としては、特に限定しないが、アクリルアミド、ジアセ
トンアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、
ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピル
アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン
酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、アリルグリシジルエーテル等が好適に使用される。
【0033】さらに、本発明の高分子固体電解質を構成
する高極性あるいは低極性高分子相には、安定剤が含ま
れていてもよい。その安定剤としては、高分子粒子分散
液を安定させる機能を有するものなら特に限定されない
が、界面活性剤が好適であり、例えば、次のようなもの
が挙げられる:脂肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホ
ン酸金属塩、アルキル硫酸金属塩、ジオクチルスルホコ
ハク酸金属塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンステアリン酸エステル、ポリ
オキシエチレンソルビタンモノラウリル酸エステル、ポ
リオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重
合体、ポリエーテル変性シリコーンオイル、及びこれら
の混合物。また、安定剤として、分散媒体溶解性高分子
等を単独あるいは上記界面活性剤と併用して使用してよ
い。この分散媒体溶解性高分子は、分散媒体によって異
なるが、例えば、水を分散媒体とした場合には、ヒドロ
キシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリア
クリル酸金属塩、メチルセルロース、ポリオキシエチレ
ン、ポリビニルピロリドン等が単独あるいは混合して好
適に用いられる。
【0034】本発明は、多孔質球状粒子からなる高極性
高分子粒子と低極性高分子粒子を分散媒体に分散させた
高分子粒子分散液から、複合高分子相を作製した後、該
高分子複合体に電解質溶液を含浸させることを特徴とす
る複合高分子固体電解質の製造方法に関する。
【0035】まず、多孔質球状粒子からなる高極性高分
子粒子の製造方法から説明する。多孔質粒子の製法は、
ポリアミド多孔質粒子について説明する。
【0036】ポリアミド多孔質粒子は、ポリアミドの溶
液に、ポリアミドに特定の非溶媒を混合して、均一な溶
液を形成させた後、析出させることにより製造される。
【0037】具体的には、ポリアミドとのその良溶媒か
らなる溶液(A)に、ポリアミドの非溶媒(B)である
脂肪族アルコールと水(C)を添加して、一時的に均一
な溶液を形成させた後、その後、時間をおいて析出させ
ることにより、均一な粒径の多孔質ポリアミド球状粒子
が得られる。
【0038】ポリアミド溶液(A)の溶媒としては、芳
香族アルコール系溶液または蟻酸が好ましい。具体的に
は、0−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾー
ル、クロロフェノール等または蟻酸が好ましい。これら
は水(C)と少なくとも部分的に相溶するから好まし
い。
【0039】ポリアミド溶液(A)は、ポリアミドが
0.1〜30重量%、好ましくは、0.2〜25重量
%、ポリアミドの溶媒が99.9〜70重量%、好まし
くは、99.8〜75重量%の範囲であることが好まし
い。ポリアミド溶液中でポリアミドの割合が30重量%
を越えると、溶解しにくくなったり、均一な溶液になら
ないことがある。また、溶解しても溶液の粘度が高くな
り、扱いにくくなるので好ましくない。ポリアミドの割
合が0.1重量%より低くなると、ポリマー濃度が低
く、生産性が低くなるので好ましくない。
【0040】ポリアミドの非溶媒(B)は、ポリアミド
溶液(A)と、水(C)が少なくとも部分的に相容する
ものが好ましい。また、水とは相容することが重要であ
る。例えば、沸点100℃以下の脂肪族アルコール、ケ
トンなどが好ましい。具体的には、メタノール、エタノ
ール、プロパノール、アセトンまたはそれらの混合物な
どが好ましい。
【0041】また、ポリアミドの非溶媒(B)と水
(C)の合計重量割合が、ポリアミド溶液(A)の重量
割合より多いことが好ましい。ポリアミドの非溶媒
(B)と水(C)の合計重量割合が、ポリアミド溶液
(A)の重量割合より少ないと、ポリマーが十分析出し
ないことがあるので好ましくない。また極端に多すぎる
時は、仕上げ工程の溶媒量が増えすぎて経済的でない。
【0042】また、ポリアミドの非溶媒(B)と水
(C)の合計に対する水(C)の割合は、2〜90重量
%、好ましくは、5〜85重量%である。水の割合が2
重量%より少ない場合は、粒子にならない。90重量%
より大きい場合は、水層が相分離するので好ましくな
い。
【0043】さらに、溶液の添加順序は、溶液の均一性
が保たれれば、特に制限はない。
【0044】ポリアミドの溶液(A)と非溶媒(B)と
水(C)の3者が肉眼で観察して均一相容系になること
が重要であり、(A),(B),(C)のそれぞれの割
合は、均一溶液となる溶媒組成を選ぶ必要がある。これ
により、均一な溶液を形成させて、時間的な経過を経
て、相分離を利用して、均一な粒子径の多孔質粒子を析
出させるものである。
【0045】均一な溶液を形成する時間は、たとえば、
0.1秒〜240分程度の時間である。好ましくは1秒
〜120分間が適当である。一時的にも、均一な溶液を
形成することが重要である。必要ならば、適当な撹拌を
加えるほうが好ましい。
【0046】均一な溶液になるまでの溶液において均一
になるまでの撹拌方法は、混合溶液が迅速に均一になる
ような方法がよい。思いがけなく、撹拌の方法に依存し
て得られる多孔質球状粒子の大きさが変わることが見ら
れる。例えば、マグネチックスターラーのような回転式
撹拌機の場合、粒径が5〜15μmの多孔質球状粒子が
生成する。
【0047】また、均一な溶液を形成するまでの間に、
位置の変換が比較的よい撹拌の場合、さらに大きな粒径
が生成する。例えばVブレンダー、手振動、バイブレー
タなどの振動式撹拌の場合15〜25μmの多孔質粒子
が生成する。その機構についてはよくわかっていない
が、器壁に結晶核が一時的に生成しても、また再溶解
し、溶媒が均一になるところまで核が発生しないから、
核が少なくなり、その結果、大粒子に成長すると思われ
る。
【0048】この撹拌方法の異なるものでも、均一な粒
径分布は同様であって、PDIは1〜1.5である。溶
液が均一になるまでの期間の撹拌方法の違いで多孔質球
状粒子の大きさに依存するものであって、肉眼で見て、
析出が始まった以降は撹拌の方法には依存しない。
【0049】均一な溶液を形成したならば、撹拌の必要
はなく、ポリアミド粒子が析出し始める時以降は、静置
しておくことが好ましい。撹拌してもよいがポリアミド
粒子の形状、大きさには影響がないと思われる。
【0050】前記の均一な溶液からポリマー粒子を析出
させる温度は、5〜60℃が好ましい。温度によって
は、溶液が均一になる組成範囲が広くなることがある。
温度が50℃より低いと、均一になる領域が狭くなる溶
媒組成の範囲が場合がある。温度が60℃より高いと、
溶媒の蒸気圧が高くなり好ましくない。
【0051】ポリアミド溶液の混合物が5〜10℃であ
ることが特に好ましい。この温度では、粒子径が2〜1
0μmの多孔質球形粒子ができる。この現象は低温のた
め核生成が早くなり、その結果核の数が多くなり、小さ
な粒子になると思われる。
【0052】析出したポリアミド粒子は、溶液から遠心
分離、濾過、デカンテイションなどの通常の方法で単離
することができる。例えば、縣濁した溶液を、メタノー
ルで希釈して、遠心分離に掛けてもよい。数回メタノー
ルおよびアセトンで洗浄して遠心分離に掛けてもよい。
次に熱風乾燥、真空乾燥に供してもよい。
【0053】このようにして製造されたポリマー粒子
は、均一な粒径の多孔質球状ポリアミド粒子となる。ポ
リアミド粒子の粒子径は、1〜30μm、好ましくは1
〜25μmで、かさ密度は、0.1〜0.4g/cm3であ
る。また、BET比表面積は1000〜80000m2/
kg、好ましくは1000〜60000m2/kg、さらに
好ましくは3000〜40000m2/kgである。
【0054】このようにして製造されたポリマー粒子
は、均一な粒径の多孔質ポリアミド粒子となる。かさ密
度は、0.1〜0.4g/cm3、好ましくは0.2〜0.
3g/cm3である。また、粒子径分布(PDI)は1.0
〜1.5で、多孔度指数(RI)は5〜70の多孔質で
ある。
【0055】このようにして製造されたポリマー粒子
は、平均細孔径は0.01〜0.2μmである。
【0056】次に、低極性高分子粒子の製造方法を説明
する。低極性高分子相は、上述の通常のジエンあるいは
オレフィン単量体を乳化重合または溶液重合によって重
合または共重合によって得ることができる。水系分散媒
体中で、モノマーを乳化重合させて作製するのが好まし
い。低極性高分子は乳化された分散液の状態で得られる
のが次の工程上好ましい。この乳化重合法による高分子
分散液の作製方法は一般的に知られている方法で行われ
る。水中に界面活性剤を臨界ミセル濃度以上に加え、主
成分モノマーを導入すると、主成分モノマーの一部は界
面活性剤ミセル内部に取り込まれる。水溶性の重合開始
剤(例えば、過硫酸金属塩等)を加え、加熱すると重合
開始剤ラジカルが発生し、これがモノマーで満たされた
ミセルに入り込むと、主成分モノマーが重合して粒子状
高分子が合成される。この重合反応により高分子粒子が
成長している間、主成分モノマーは乳化されたモノマー
滴から水中溶解を経て、反応場であるミセルに供給され
る。適当な時間が経過した後に、冷却することにより、
重合反応を終了させ、高分子粒子分散液からなる低極性
高分子相の分散溶液を得る。
【0057】低極性高分子粒子の粒径は、重合時間を調
整することで制御でき、その粒径を0.01〜500μ
mに調整したものが好適に用いられる。また、この反応
混合液は極性有機成分モノマーや架橋成分モノマーを含
んでいてもよく、その場合、それらの極性有機成分モノ
マーや架橋成分モノマーも、反応場であるミセルにおい
て重合反応を起こし、主成分との共重合体が得られる。
この極性有機成分は、主成分との相溶性が低いので、高
分子粒子の外面近くに、より多く分配される。主成分と
極性有機成分の構成比は、特に限定されないが、主成分
高分子を20%以上含むのが望ましい。作製した高分子
粒子分散液には、さらに界面活性剤、分散媒体可溶高分
子等の安定剤を加えてもよい。また、この高分子分散液
は、アルコール等の極性溶媒中、分散重合で製造しても
良いし、さらに、この高分子分散液は、高分子溶液を分
散媒体に展開、分散させて粒子化し、安定剤により安定
化させて作製してもよい。
【0058】次に、前記により得られた多孔質球状粒子
からなる高極性高分子粒子及び低極性高分子粒子から、
高極性高分子相と低極性相からなる複合高分子相を作製
した後、該複合高分子相に電解質溶液を含浸させること
により、本発明の複合高分子固体電解質が製造される。
【0059】複合高分子相を作製する工程においては、
多孔質球状粒子からなる高極性高分子粒子と低極性高分
子粒子を分散媒体に分散させた高分子粒子分散液から、
その分散媒体を除去し、複合高分子相を作製する方法が
用いられる。
【0060】また、その複合高分子相に電解質溶液を含
浸させる工程においては、次の2種類の方法が採用され
る。(a):複合高分子相を作製した後に電解質溶液を
含浸させる方法。(b):複合高分子相を作製する工程
において、高分子粒子分散液に電解質を溶解しておき、
分散媒体あるいは溶媒を除去して電解質を含んだ複合高
分子を作製し、その後、電解質を溶解する液体を含浸さ
せる方法である。(b)の方法は、分散液に界面活性剤
を含んでいたり、また低極性高分子に極性成分が共重合
されている場合、電解質または電解質溶媒が低極性高分
子相に含浸されることがあるので、イオン電導度に関し
て良好な結果を与えるから都合がよい。
【0061】製造方法(a)は、高極性多孔質粒子と低
極性高分子粒子を分散媒体に分散させた高分子粒子分散
液から分散媒体を除去し、複合高分子相を作製した後、
電解質溶液を含浸させるものである。まず、上記のよう
にして作製した低極性高分子粒子の分散液と先述の高極
性多孔質粒子の水または脂肪族アルコールの分散液を所
望の比で混合し、機械的に攪拌する。次に、その混合分
散液を基板上にキャストし、加熱乾燥により分散媒体を
除去して、複合高分子粒子相の凝集体からなるフィルム
状の複合高分子を得ることができる。その加熱方法は通
常の方法でよく、減圧状態で行ってもよい。
【0062】高極性高分子粒子と低極性高分子粒子の混
合比率は、高イオン伝導性と機械的強度の両方を発現さ
せるには、高極性高分子粒子と低極性高分子粒子の割合
が、高極性高分子粒子30〜80重量%、低極性高分子
粒子70〜20重量%で合計100重量%が好ましい。
さらに好ましくは、高極性高分子粒子が40〜70重量
%である。高極性高分子粒子が30重量%より少ない
と、イオン電導路が連続にならない。また、80重量%
より多ければ柔軟性が得られない。
【0063】低極性高分子粒子として、架橋成分を有す
る自己架橋型高分子粒子を用いた場合には、上述したよ
うな分散媒体の除去を行なう際に、加熱により高分子粒
子内または高分子粒子間で架橋反応を起こすことにな
る。この架橋構造の導入により、得られる高分子固体電
解質の機械的強度が向上する。また、この架橋反応を起
こさせるためには、100℃以上に加熱するのが好まし
い。また、必要に応じて加圧プレスして、複合高分子を
任意の形状に成形してもよい。一方、用いた分散媒体
が、その固体電解質を使用する環境、例えば電池等に対
して悪影響を与えるときには、その分散媒体の沸点以上
に加熱するか、加熱と減圧処理を組み合わせて、分散媒
体を完全に除去するのが好ましい。
【0064】次に、上記により得られた複合高分子相に
電解質溶液を含浸させる工程においては、複合高分子相
を、電解質溶液中に浸漬して、その電解質溶液を複合高
分子中に含浸させる。含浸させる電解質溶液の量は、複
合高分子を電解質溶液に浸漬する時間によって制御でき
るが、得られた複合高分子固体電解質に対して10重量
%以上含浸させるのが好適である。
【0065】また製造方法(b)は、高極性高分子粒子
と低極性高分子粒子を分散媒体に分散させ、さらに電解
質を溶解した高分子分散液から分散媒体を除去し、電解
質を含む複合高分子相を作製した後、電解質を溶解する
溶媒を含浸させるものである。原料となる電解質を溶解
した高分子粒子分散液の作製方法は、予め高極性多孔質
粒子分散液と低極性高分子粒子分散液のどちらか一方ま
たは両方に電解質を溶解させ、それらの分散液を混合し
ても良いし、まず高極性多孔質粒子分散液と低極性高分
子粒子分散液を混合し、その混合分散液に電解質を溶解
しても良い。なお、これらの高分子分散液の作製方法
は、製造方法(a)と同様である。
【0066】このようにして作製された電解質を溶解し
た高分子分散液から分散媒体を除去して電解質を含んだ
複合高分子相を作製する。その方法は、製造方法(a)
と同様である。次に、この電解質を含んだ複合高分子相
を、含まれている電解質を溶解する液体の中に浸漬し
て、その液体溶媒を含浸させるとともに、含まれている
電解質を溶解させ、高分子固体電解質とする。含浸させ
る液体溶媒の量は、浸漬時間によって制御されるが、得
られた高分子固体電解質の10重量%より大きいことが
好ましい。ここで、含浸させる液体は、溶媒単独でも良
いし、複合高分子相に含まれている電解質と同種のある
いは異種の電解質を含む電解質溶液であってもよい。
【0067】このような製造方法によれば、高分子粒子
の分散、溶媒除去、及び液の含浸等の簡易でコストの低
い操作によって上記の優れた特性を持つ高分子固体電解
質を製造することが可能になる。
【0068】なお、本発明の複合高分子固体電解質は、
上記の製造方法のいずれを採用するかによって、得られ
る高分子固体電解質の微細構造が異なる。製造方法
(a)で製造した高分子固体電解質は、電解質溶液が含
浸された高極性高分子相(イオン伝導路1)と低極性高
分子相からなる相分離構造を有している。製造方法
(b)で製造した高分子固体電解質は、電解質溶液が含
浸された高極性高分子相と粒子形状を残した低極性高分
子相からなる複合構造を有し、さらに、その支持相中に
網目状に形成された電解質溶液からなる第2のイオン伝
導路を有しているから好ましい。
【0069】これは、製造方法(a)及び(b)では、
高分子粒子分散液から分散媒体を除去して作製した高分
子粒子凝集体からなる複合高分子相を材料としているた
め、粒子状高分子の形状が残存していると考えられる。
また、製造方法(b)で作製した場合、高分子粒子分散
液中に溶解した電解質が、分散媒体を除去した際に、高
極性高分子相だけでなく低極性高分子粒子間にも残るた
め、次に溶媒を含浸させたときに、その粒子間に残った
電解質が溶解し、電解質溶液からなる第2のイオン伝導
路を形成するものと考えられる。
【0070】
【実施例】以下に、本発明を実施例によってさらに詳し
く説明するが、本発明の内容は、それらの例に限られる
ものではない。参考例、実施例及び比較例において、粒
子径、比表面積、細孔度、イオン電導度などの測定は次
のようにして行なった。
【0071】(平均粒子径、粒度分布指数)走査型電子
顕微鏡で観察して、粒子形状と大きさとを観察した。球
形粒子は粒径を読みとった。ダンベル状粒子は粒子の投
影面積から相当円の直径を読みとった。いずれも100
個の数平均粒子径と体積平均粒子径、粒度分布指数(P
DI)は次の式を用いて算出した。
【数3】 体積平均粒子径:
【数4】 粒子径分布指数:
【数5】 ここで、Xi;個々の粒子径、nは測定数である。
【0072】(細孔径分布)水銀ポロシメーターで測定
した。測定範囲は0.0034〜400μmで測定し
た。平均細孔径を求めた。
【0073】(比表面積・多孔度指数)ポリアミド粒子
の比表面積は、窒素吸着によるBET法で3点測定でお
こなった。この値から、前に述べた式に従って多孔度指
数を求めた。
【0074】(イオン電導度)得られた固体電解質をス
テンレスシートで挟み込み、電極間に交流を印加して抵
抗部分を測定する交流インピーダンス法を用いて行な
い、コール・コールプロットの実数インピーダンス切片
から計算して求めた。測定は25℃で行った。
【0075】(多孔質粒子の製造) 参考例1 ポリアミド6(分子量13,000)濃度5重量%のm
−クレゾール溶液14.3重量%とし、メタノール7
1.4重量%と水14.3重量%をマグネチックスター
ラーで撹拌混合して1分撹拌後、溶液は均一になった。
撹拌後2分後にポリマーが析出してきた。24時間静置
して、析出を終了させた。その後遠心分離でポリマーを
単離した。
【0076】得られた粒子を走査型電子顕微鏡で観察し
たところ、数平均粒子径7.81μm、体積平均粒子径
8.44μmの比較的均一な球形粒子であった。PDI
は1.08であった。比表面積10800m/kgで
あり、多孔度指数RIは16.6であった。ポリマー粒
子のかさ密度は、0.25g/cm3であった。
【0077】参考例2 均一な溶液が形成されるまでの期間、撹拌方法を、Vブ
レンダーによる方法に換えたほかは参考例1と同様にし
てポリアミド粒子を製造した。比較的大きな多孔質球状
粒子が得られた。得られた粒子を走査型電子顕微鏡で観
察したところ、数平均粒子径19.6μm、体積平均粒
子径20.7μmの比較的均一な球形粒子であった。P
DIは1.06であった。比表面積15100m/k
gであり、多孔度指数RIは58.2であった。ポリマ
ー粒子のかさ密度は、0.26g/cm3であった。
【0078】実施例1 カルボキシル変性したポリスチレン/ブタジエン共重合
体系ラテックス(日本ゼオン社製NipolLX42
4、平均粒径1.15μm)と、参考例1で得られたポ
リアミド多孔質粒子の水分散液を固形分重量が等量比に
なるように混合した。次に、この混合した分散液をガラ
スシャーレ上にキャストし、3時間常温、常圧で乾燥
後、24時間105℃、真空(0.01Torr以下)
でさらに乾燥させ、ゴム状の高分子マトリクスフィルム
を得た。次に、このフィルムを、電解質六フッ化リン酸
リチウム(LiPF6)を電解質の溶媒ジメチルカーボネー
ト1mol/lの電解質溶液に浸漬した。含有率は6
0.3重量%であった。本発明の複合高分子固体電解質
を得た。この高分子固体電解質フィルムは、ゴム状態を
保ち、柔軟性があり、十分な機械的強度を示した。イオ
ン伝導度は1.5×10 S/cmであった。
【0079】実施例2 高極性多孔質粒子と低極性高分子の混合割合を40:6
0重量部にしたほかは、実施例1と同様にして複合固体
高分子電解質フィルムを得た。電解液含有量は65.4
重量%であり、ゴム状で柔軟性があり、十分な機械的強
度を示した。イオン伝導度は2.3×10−3S/cm
であった。
【0080】実施例3〜5 ポリスチレン/ブタジエン共重合体系ラテックス(日本
ゼオン社製NipolLX110、平均粒径0.05μ
m)と、参考例2で得られたポリアミド多孔質粒子の水
分散液を固形分重量比が表1のようになるように混合し
た。次に電解質として6フッ化リン酸リチウムを乾燥固
体に対して、0.5モル%溶解させ、シャーレーにキャ
ストした。真空乾燥により分散液を留去して複合高分子
相を得た。その後電解質溶媒エチルカーボネート/ジメ
チルカーボネート等量混合液に含浸させた。得られた高
分子固体電解質フィルムは、ゴム状態を保ち、柔軟性が
あり、十分な機械的強度を示した。イオン伝導度を表1
に示す。
【0081】
【表1】
【0082】実施例6 低極性高分子相として、マレイン酸変性ポリブタジエン
ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にして複合
高分子固体電解質を製造した。電解質溶液含浸量は5
7.0重量%であった。得られた高分子固体電解質フィ
ルムは、ゴム状態を保ち、柔軟性があり、十分な機械的
強度を示した。イオン伝導度は2.2×10−3S/c
mであった。
【0083】比較例1 多孔質粒子相を加えなかったほかは、実施例1と同様に
固体高分子電解質を製造した。ゴム状で柔軟性があった
が、機械的強度は低かった。イオン伝導度は6×10
−5S/cmであった。
【0084】比較例2 高極性高分子相として、ポリアミド6ペレットを粉砕し
て平均粒子径200μmの紛状体を用いたほかは、実施
例1と同様にして、高分子固体電解質を製造した。電解
液の含浸率は25%と少なかった。イオン伝導度は3×
10−6S/cmであった。粉砕した紛状体は、細孔径
1μm以下の細孔径は存在しなかった。比表面積は40
/kgであった。
【0085】
【発明の効果】本発明の複合高分子固体電解質は、多孔
質球状粒子からなる高極性高分子相とゴム状粒子からな
る低極性高分子相に、電解質溶液を含浸させた構造から
なり、イオン電導性が優れ、機械的強度及び柔軟性が優
れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の複合高分子固体電解質の構造
を示す概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 47/00 C08L 47/00 5H029 77/00 77/00 H01B 13/00 H01B 13/00 Z H01M 6/18 H01M 6/18 E // H01B 1/06 H01B 1/06 A 1/12 1/12 Z Fターム(参考) 4F070 AA54 AC12 AC36 AC37 AC39 DA24 4F074 AA71 CB33 CB34 CB37 CB42 4J002 AC03W AC06W AC09W BE04W BE06W BG04W BG05W BL01W BL02W CL01X CL03X CL05X DD046 DE196 DG016 ED027 EH037 EL067 EL107 EP017 ET007 EV186 EV307 FD116 FD207 5G301 CA16 CA30 CD01 5H024 AA12 FF12 FF16 FF17 FF18 FF20 FF23 FF36 HH00 HH01 HH13 5H029 AJ06 AJ12 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 DJ13 DJ16 HJ02 HJ05 HJ06 HJ07 HJ09

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質球状粒子からなる高極性高分子相
    と、低極性高分子相からなる複合構造を有する複合高分
    子相に、電解質溶液を含浸したことを特徴とする複合高
    分子固体電解質。
  2. 【請求項2】高極性高分子相と低極性高分子相の割合
    が、高極性高分子相が30〜80重量%、低極性高分子
    相が70〜20重量%である請求項1の記載の複合高分
    子固体電解質。
  3. 【請求項3】多孔質球状粒子が、粒径1〜30μm、B
    ET比表面積100〜80000m/kgの粒子から
    成り立っていることを特徴とする請求項1〜2記載の複
    合高分子固体電解質。
  4. 【請求項4】多孔質球状粒子の粒子径が、数平均粒子径
    に対する体積平均粒子径の比が1〜1.5であることを
    特徴とする請求項1〜3記載の複合高分子固体電解質。
  5. 【請求項5】多孔質球状粒子の平均細孔径は、0.01
    〜0.2μmであることを特徴とする請求項1〜4記載
    の複合高分子固体電解質。
  6. 【請求項6】多孔質球状粒子の多孔度指数(RI)は、
    5〜100であることを特徴とする請求項1〜5記載の
    複合高分子固体電解質。
  7. 【請求項7】多孔質球状粒子がポリアミドからなること
    を特徴とする請求項1〜6に記載の複合高分子固体電解
    質。
  8. 【請求項8】前記低極性高分子が、共役ジエン結合を含
    むポリマーであることを特徴とする請求項1〜7の記載
    の複合高分子固体電解質。
  9. 【請求項9】多孔質球状粒子からなる高極性高分子粒子
    と低極性高分子粒子を分散媒体に分散させた高分子粒子
    分散液から、複合高分子相を作製した後、高分子複合体
    に電解質溶液を含浸させることを特徴とする請求項1に
    記載の複合高分子固体電解質の製造方法。
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