JP2011096432A - 燃料電池セル、セルスタック装置および燃料電池モジュールならびに燃料電池装置 - Google Patents

燃料電池セル、セルスタック装置および燃料電池モジュールならびに燃料電池装置 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性の向上した燃料電池セル、セルスタック装置、および燃料電池モジュールならびに燃料電池装置を提供する。
【解決手段】NiおよびNiOのうち少なくとも一方と、希土類元素酸化物とを含有する導電性支持体2の表面上に、NiおよびNiOのうち少なくとも一方と、希土類元素が固溶したZrOとを含有する燃料極層4と、希土類元素が固溶したZrOを含有する固体電解質層5と、空気極層7とをこの順に積層してなる燃料電池セル1であって、燃料極層4および導電性支持体2のうち燃料極層4側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さいことから、固体電解質5にクラックが生じることを抑制でき、信頼性の向上した燃料電池セルとすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池セル、複数個の燃料電池セルを集電部材を介して電気的に直列に接続してなるセルスタック装置および収納容器内にセルスタック装置を収納してなる燃料電池モジュールならびにそれを具備する燃料電池装置に関する。
近年、次世代エネルギーとして、水素含有ガス(燃料ガス)と空気(酸素含有ガス)とを用いて電力を得ることができる燃料電池セルを複数個立設して電気的に直列に接続してなるセルスタックを、燃料電池セルに燃料ガスを供給するためのマニホールドに固定してセルスタック装置を構成し、そのセルスタック装置を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュールや燃料電池モジュールを外装ケース内に収納してなる燃料電池装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなセルスタック装置を構成する燃料電池セルとしては、一対の対向する平坦面を有する柱状の導電性支持体の一方の平坦面上に燃料極層、固体電解質層および空気極層がこの順に積層され、導電性支持体および燃料極層は、導電性を付与するためNiおよびNiOが含有されている。
特開2007−59377号公報
しかしながら、上述したような燃料電池セルの製造時において、固体電解質層にクラックが生じるという問題があった。この原因を調査したところ、燃料極層および導電性支持体における燃料極層の界面側に、粒径の大きなNiまたはNiOが存在する場合に、固体電解質層にクラックが生じやすいことが分かった。
それゆえ、本発明は、固体電解質層にクラックが発生することを抑制することができ、信頼性の向上した燃料電池セル、複数個の燃料電池セルを集電部材を介して電気的に直列に接続してなるセルスタック装置およびそれを具備する燃料電池モジュールならびに燃料電池装置を提供することを目的とする。
本発明の燃料電池セルは、NiおよびNiOのうち少なくとも一方と希土類元素酸化物とを含有する導電性支持体の表面上に、NiおよびNiOのうち少なくとも一方とF希土類元素が固溶したZrOとを含有する燃料極層と、希土類元素が固溶したZrOを含有する固体電解質層と、空気極層とをこの順に積層してなる燃料電池セルであって、前記燃料極層および前記導電性支持体のうち前記燃料極層側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さいことを特徴とする。
このような燃料電池セルにおいては、燃料極層および導電性支持体のうち燃料極層側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さいことから、固体電解質層にクラックが発生することを抑制することができる。それにより、信頼性の向上した燃料電池セルとすることができる。
また、本発明の燃料電池セルは、前記導電性支持体に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さいことが好ましい。
このような燃料電池セルにおいては、導電性支持体に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さいことから、粒径の大きなNiおよびNiOとYが固溶したZrOとの収縮速度の差に伴って、導電性支持体の内部にクラックが生じることを抑制することができる。それにより、信頼性の向上した燃料電池セルとすることができる。
本発明のセルスタック装置は、上記のうちいずれかに記載の燃料電池セルを、集電部材を介して立設させた状態で複数個配列し、電気的に直列に接続してなるセルスタックと、前記燃料電池セルの下端部を固定するとともに、前記燃料電池セルに燃料ガスを供給するためのマニホールドとを具備することから信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
本発明の燃料電池モジュールは、上記に記載のセルスタック装置を収納容器に収納してなることから、信頼性の向上した燃料電池モジュールとすることができる。
本発明の燃料電池装置は、上記に記載の燃料電池モジュールと、燃料電池モジュールを動作させるための補機とを外装ケース内に収納してなることから、信頼性の向上した燃料電池装置とすることができる。
本発明の燃料電池セルは、燃料極層および導電性支持体の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さいことから、固体電解質層にクラックが発生することを抑制することができ、信頼性の向上した燃料電池セルとすることができる。
本発明のセルスタック装置は、上記の燃料電池セルを、集電部材を介して立設させた状態で複数個配列し、電気的に直列に接続してなるセルスタックと、前記燃料電池セルの下端部を固定するとともに、前記燃料電池セルに反応ガスを供給するためのマニホールドとを具備することから信頼性の向上したセルスタック装置とすることができる。
本発明の燃料電池モジュールは、上記のセルスタック装置を収納容器に収納してなることから、信頼性の向上した燃料電池モジュールとすることができる。
本発明の燃料電池装置は、上記の燃料電池モジュールと、該燃料電池モジュールを動作させるための補機とを外装ケース内に収納してなることから、信頼性の向上した燃料電池装置とすることができる。
本発明の燃料電池セルの一例を示したものであり、(a)は横断面図、(b)は斜視図である。 本発明の燃料電池セルの横断面のうち発電部の一部を撮影したSEM写真である。 本発明の燃料電池セルスタック装置の一例を示し、(a)は燃料電池セルスタック装置を概略的に示す側面図、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置の点線枠で囲った部分の一部を拡大した平面図である。 本発明の燃料電池モジュールの一例を示す外観斜視図である。 本発明の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。 従来の燃料電池セルの横断面のうち発電部の一部を撮影したSEM写真である。
図1は、本発明の燃料電池セルの一例を示したものであり、(a)は横断面図、(b)斜視図である。また、同一の部材については同一の番号を付するものとし、以下同様とする。なお、両図面において、燃料電池セル1の各構成を一部拡大等して示している。
燃料電池セル1は、中空平板型の燃料電池セル1で、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状をした導電性支持体2を備えている。導電性支持体2の内部には、適当な間隔で長手方向の一端から他端まで貫通した複数の燃料ガス流路3が長手方向に形成されており、燃料電池セル1は、この導電性支持体2上に各種の部材が設けられた構造を有している。
導電性支持体2は、図1に示されている形状から理解されるように、互いに平行な一対の平坦面nと、一対の平坦面nをそれぞれ接続する弧状面(側面)mとで構成されている。平坦面nの一方の表面(下面)と両側の弧状面mを覆うように燃料極層4が設けられており、さらに、この燃料極層4を覆うように、緻密質な固体電解質層5が積層されている。また、固体電解質層5の上には、中間層6を介して、燃料極層4と対面するように、空気極層7が積層されている。また、燃料極層4および固体電解質層5が積層されていない他方の平坦面nには、密着層8を介してインターコネクタ9が形成されている。
図1から明らかなように、燃料極層4および固体電解質層5は、両端の弧状面mを経由してインターコネクタ9(密着層8)の両サイドにまで延びており、導電性支持体2の表面が外部に露出しないように構成されている。なお、図1においては、燃料極層4が密着層8の側面に、固体電解質層5がインターコネクタ9の側面に重なる例を示しているが、密着層8やインターコネクタ9は適宜その厚みを調整することができ、例えば、燃料極層4および固体電解質層5が密着層8の側面に重なるように配置することもでき、また、燃料極層4の一部がインターコネクタ9の側面に重なるように配置することもできる。さらには、燃料極層4、固体電解質層5、密着層8およびインターコネクタ9のそれぞれの端部がこの順に重なるように配置することもできる。
ここで、燃料電池セル1は、燃料極層4と空気極層7との対面している部分が発電部として機能して発電する。即ち、空気極層7の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、かつ導電性支持体2内の燃料ガス流路3に燃料ガス(水素含有ガス)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより発電する。そして、かかる発電によって生成した電流は、導電性支持体2に積層されたインターコネクタ9を介して集電される。
以下に、本発明の燃料電池セル1を構成する各部材について説明する。
導電性支持体2は、燃料ガスを燃料極層4まで透過させるためにガス透過性である(多孔質である)こと、インターコネクタ9を介して集電を行うために導電性であることが要求されることから、例えば、NiおよびNiOのうち少なくとも一方と、特定の希土類元素酸化物とにより形成されることが好ましい。
特定の希土類元素酸化物とは、導電性支持体2の熱膨張係数を固体電解質層5の熱膨張係数に近づけるために使用されるものであり、Y、Lu(ルテチウム)、Yb、Tm(ツリウム)、Er(エルビウム)、Ho(ホルミウム)、Dy(ジスプロシウム)、Gd、Sm、Pr(プラセオジム)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む希土類元素酸化物が、NiおよびNiOのうち少なくとも一方との組み合わせで使用することができる。このような希土類元素酸化物の具体例としては、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prを例示することができ、NiおよびNiOのうち少なくとも一方との固溶、反応が殆どなく、また、熱膨張係数が固体電解質層5とほとんど同程度であり、かつ安価であるという点から、Y、Ybが好ましい。
また、本発明においては、導電性支持体2の良好な導電率を維持し、かつ熱膨張係数を固体電解質層5と近似させるという点で、焼成−還元後における体積比率が、Ni:希土類元素酸化物(例えば、Ni:Y)が35:65〜65:35(Ni/(Ni+Y)がモル比で65〜86mol%)の範囲にあることが好ましい。なお、導電性支持体2中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で、他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
また、導電性支持体2は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好ましい。また、導電性支持体2の導電率は、50S/cm以上、好ましくは300S/cm以上、特に好ましくは440S/cm以上とすることがよい。
なお、導電性支持体2の平坦面nの長さ(導電性支持体2の幅方向の長さ)は、通常、15〜35mm、弧状面mの長さ(弧の長さ)は、2〜8mmであり、導電性支持体2の厚み(平坦面n間の厚み)は1.5〜5mmであることが好ましい。
燃料極層4は、電極反応を生じさせるものであり、NiおよびNiOのうち少なくとも一方と、希土類元素が固溶したZrOとから形成することができる。なお、希土類元素としては、導電性支持体2において例示した希土類元素(Y等)を用いることができる。
燃料極層4において、NiおよびNiOのうち少なくとも一方と、希土類元素が固溶したZrOの含有量は、焼成−還元後における体積比率が、NiO:希土類元素が固溶したZrO(例えば、NiO:YSZ)が35:65〜65:35(Ni/(Ni+Y)がモル比で65〜86mol%)の範囲にあるのが好ましい。さらに、この燃料極層4の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。例えば、燃料極層4の厚みがあまり薄いと、性能が低下するおそれがあり、またあまり厚いと、固体電解質層5と燃料極層4との間で熱膨張差による剥離等を生じるおそれがある。
また、図1(a)および(b)の例では、燃料極層4が、密着層8の両サイドにまで延びているが、空気極層7に対面する位置に形成されていればよいため、例えば空気極層7が設けられている側の平坦面nにのみ燃料極層4が形成されていてもよい。すなわち、燃料極層4は平坦面nにのみ設けられ、固体電解質層5が燃料極層4上、両弧状面m上および燃料極層4が形成されていない他方の平坦面n上に形成された構造をしたものであってもよい。
固体電解質層5は、3〜15モル%のY(イットリウム)、Sc(スカンジウム)、Yb(イッテルビウム)等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrOからなる緻密質なセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素としては、安価であるという点からYが好ましい。さらに、固体電解質層5は、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが5〜50μmであることが好ましい。
なお、固体電解質層5と後述する空気極層7の間に、固体電解質層5と空気極層7との接合を強固とするとともに、固体電解質層5の成分と空気極層7の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることを抑制する目的で中間層6を備えることもでき、図1に示した燃料電池セル1においては中間層6を備えた例を示している。
ここで、中間層6としては、Ce(セリウム)と他の希土類元素とを含有する組成にて形成することができ、例えば、(CeO1−x(REO1.5(REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数。)で表される組成を有していることが好ましい。さらには、電気抵抗を低減するという点から、REとしてSmやGdを用いることが好ましく、例えば10〜20モル%のSmO1.5またはGdO1.5が固溶したCeOからなることが好ましい。なお、中間層6は例えば2層より構成することもでき、この場合1層目を固体電解質層5と同時焼成により設けた後に、同時焼成よりも200℃以上低い温度にて2層目を別途焼成することが好ましい。
また、空気極層7は、ガス透過性を有する必要があり、従って、空気極層7を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、空気極層7の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
また、導電性支持体2の空気極層7側と反対側の平坦面n上には、密着層8を介してインターコネクタ9が積層されている。
インターコネクタ9としては、導電性セラミックスにより形成されることが好ましいが、燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO系酸化物)が使用され、特に導電性支持体2と固体電解質層5との熱膨張係数を近づける目的から、LaCrO系酸化物が用いられる。
また、インターコネクタ9の厚みは、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、10〜50μmであることが好ましい。この範囲よりも厚みが薄いと、ガスのリークを生じやすく、またこの範囲よりも厚みが大きいと、電気抵抗が大きく、電位降下により集電機能が低下してしまうおそれがある。
さらに、導電性支持体2とインターコネクタ9との間には、インターコネクタ9と導電性支持体2との間の熱膨張係数差を軽減する等のために密着層8が形成されている。
このような密着層8としては、例えば、希土類元素酸化物、希土類元素が固溶したZrO、希土類元素が固溶したCeOのうち少なくとも1種と、NiおよびNiOのうち少なくとも一方とから形成することができる。より具体的には、例えばYとNiおよびNiOのうち少なくとも一方からなる組成や、Yが固溶したZrO(YSZ)とNiおよびNiOのうち少なくとも一方からなる組成、Y、Sm、Gd等が固溶したCeOとNiおよびNiOのうち少なくとも一方からなる組成から形成することができる。なお、希土類元素酸化物や希土類元素が固溶したZrO(CeO)と、NiおよびNiOのうち少なくとも一方とは、焼成−還元後における体積比率が40:60〜60:40の範囲となるように形成することが好ましい。
また、図1には示していないが、インターコネクタ9の外面(上面)には、P型半導体層17(図3参照)を設けることが好ましい。集電部材を、P型半導体層17を介してインターコネクタ9に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくでき、集電性能の低下を有効に回避することが可能となる。
このようなP型半導体層17としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO系酸化物、LaFeO系酸化物、LaCoO系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層17の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
ところで、図6に燃料電池セルの横断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示すように、燃料電池セルの焼成時において、粒径の大きなNiまたはNiOが収縮する際に、粒径の大きなNiまたはNiOの周囲に大きな隙間ができる場合があり、この隙間に起因してクラックが生じるおそれや、燃料極層4と固体電解質層5とが剥離を生じるおそれがある。
特に、燃料極層4および導電性支持体2のうち燃料極層4側の表層領域(界面近傍)に、粒径の大きなNiまたはNiOの粒子が存在する場合に、固体電解質層5にクラックが生じる場合があり、それにより、燃料電池セルの信頼性が低下してしまうおそれがあった。
さらに、燃料極層4と固体電解質層5とが接している部位で発電が行なわれるため、燃料極層4および燃料極層4と固体電解質層5との界面近傍に粒径の大きなNiまたはNiOが存在した場合に、燃料極層4と固体電解質層5とが接する部位が減少し、燃料電池セルの発電効率が低下するおそれがある。
それゆえ、本発明の燃料電池セル1においては、燃料極層4および導電性支持体2の燃料極層4側の表層領域に含有されるNiおよびNiOのうち少なくとも一方の最大粒径が、50μmより小さいことを特徴とする。
それにより、固体電解質層5にクラックが生じることを抑制することができ、信頼性の向上した燃料電池セル1とすることができる。
これは、理由は明らかではないが、燃料極層4および導電性支持体2の燃料極層4側の表層領域に、粒径の大きなNiまたはNiOの粒子が存在する場合において、導電性支持体2や燃料極層4が収縮する際に、粒径の大きなNiまたはNiOが、粒径の小さな他の粒子に比べ収縮速度が遅く、粒径の大きなNiまたはNiOの周囲に応力が集中することで、燃料極層4と収縮時期が異なる固体電解質層5に大きな応力が加わり、さらに、燃料極層4と固体電解質層5との熱膨張差によりさらに大きな応力が加わってクラックが発生しているものと考えられる。
一方、燃料極層4および導電性支持体2における燃料極層4側の表層領域に含有されるNiまたはNiOの最大粒径を50μmより小さくすることにより、粒径の大きなNiまたはNiOの周囲に大きな隙間が生じることが抑制でき、信頼性の向上した燃料電池セル1とすることができる。あわせて、燃料極層4と固体電解質層5との接触面積が減少することを抑制することができることから、燃料電池セル1の発電効率が低下することを抑制することができる。
なお、NiまたはNiOの最大粒径とは、燃料電池セル1を複数の位置で切断し、その切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影し、その撮影した画像におけるNiまたはNiOの最大粒子における幅の中心を連続して結ぶことにより形成される中心線のうち長い方をを計測することにより求められる。なお、以降において、この最大粒子における長い方の中心線の長さを最大粒径という。
なお、燃料電池セル1の切断する部位は任意でよく、また、切断する部位の数は3〜10箇所が好ましい。3箇所以上切断することで、より最大粒径を求めるにあたっての精度が向上するとともに、10箇所以下とすることで、一定の精度を保ちつつ高コスト化を抑制することができる。また、導電性支持体2の内部におけるNiまたはNiOの最大粒径を求めるにあたっては、導電性支持体2の中央部を含む所定の領域を、それぞれ5箇所切断し、その中における最大粒径を求めることで、導電性支持体2の内部におけるNiまたはNiOの最大粒径を求めた。なお、本発明においては、導電性支持体2の内部におけるNiまたはNiOの最大粒径を求めるにあたり、導電性支持体2の中央部を含む所定の領域を用いたが、他の部位の切断面を用いることも可能である。
なお、NiまたはNiOの粒子を均一に分散させるために分散材を用いてもよく、後述するボールミルの時間を長くすることにより、NiまたはNiOの粒子を燃料極層4および導電性支持体2に均一に分散することができる。
また、導電性支持体2に含有されるNiまたはNiOの最大粒径が50μmより小さいことが好ましい。すなわち、導電性支持体2において、最大粒径が50μmよりも小さい粒径のNiまたはNiOによって構成されていることが好ましい。
それにより、導電性支持体2において、収縮速度の差による応力の発生を抑制することができ、導電性支持体2の内部にクラックが生じることを抑制することができ、信頼性の向上した燃料電池セル1とすることができる。
以上説明した本発明の燃料電池セル1の作製方法について説明する。
先ず、焼成時の収縮を想定して、粒径が0.1μm〜55μmの範囲のNiおよびNiOのうち少なくとも一方の粉末と、Yなどの希土類元素酸化物の粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形により導電性支持体成形体を作製し、これを乾燥する。なお、導電性支持体成形体として、導電性支持体成形体を900〜1000℃にて2〜6時間仮焼した仮焼体を用いてもよい。
なお、粒径が0.1μm〜55μmの範囲のNiまたはNiOの粉末を作製するためには、例えばNi以外の組成(例えばジルコニア等)からなる球石(メディア)を用いたボールミルにより作製することができる。なお、原料の粒径を0.1μm〜55μmとすることにより、焼成時にNiまたはNiOが収縮した場合であっても、最大粒径を50μmより小さくすることができる。また、好ましくは原料の粒径を0.1〜35μmとすることで、焼成時にNiまたはNiOが収縮した場合であっても、最大粒径を30μmより小さくすることができる。また原料の粒径を0.1μmより大きくすることで、焼成後のNiまたはNiOの最大粒径の下限値は、1μmとすることができる。
次に、例えば所定の調合組成に従い、上述の粒径が0.1μm〜55μmの範囲のNiO粉末と、希土類元素が固溶した平均粒径が0.5〜1.3μmのZrO(例えば、Yが固溶したZrO(YSZ))の素原料とを秤量、混合する。この後、混合した粉体に、有機バインダーおよび溶媒を混合して燃料極層用スラリーを調製する。
さらに、希土類元素が固溶した平均粒径が0.5〜1.3μmZrO粉末に、トルエン、バインダー、市販の分散剤等を加えてスラリー化したものをドクターブレード等の方法により、7〜75μmの厚さに成形してシート状の固体電解質層成形体を作製する。得られたシート状の固体電解質層成形体上に燃料極層用スラリーを塗布して燃料極層成形体を形成し、この燃料極層成形体側の面を導電性支持体成形体に積層する。なお、燃料極層用スラリーを導電性支持体成形体の所定位置に塗布し乾燥して、固体電解質層成形体を導電性支持体成形体(燃料極層成形体)に積層しても良い。
続いて固体電解質層5と空気極層7との間に配置する中間層6を形成する。
例えば、GdO1.5が固溶したCeO粉末を800〜900℃にて2〜6時間、熱処理を行い、その後、湿式解砕して凝集度を5〜35に調整し、中間層成形体用の原料粉末を調整する。湿式解砕は溶媒を用いて10〜20時間ボールミルすることが望ましい。なお、中間層6をSmO1.5が固溶したCeO粉末より形成する場合も同様である。
そして、凝集度が調製された中間層成形体の原料粉末に、溶媒としてトルエンを添加し、中間層用スラリーを作製し、このスラリーを固体電解質層成形体上に塗布して中間層成形体を作製する。なお、シート状の中間層成形体を作製し、これを固体電解質層成形体上に積層してもよい。
続いて、インターコネクタ用材料(例えば、LaCrMgO系酸化物粉末)、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、インターコネクタ用シートを作製する。
続いて、導電性支持体2とインターコネクタ9との間に位置する密着層成形体を形成する。例えば、Yが固溶したZrOとNiOが体積比で40:60〜60:40の範囲となるように混合して乾燥し、有機バインダー等を加えて密着層用スラリーを調整する。調整した密着層用スラリーを、インターコネクタ用シートに塗布して密着層成形体を形成し、この密着層成形体側の面を導電性支持体成形体に積層する。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1400℃〜1600℃にて2〜6時間、同時焼結(同時焼成)する。
なお、中間層6を2層から形成する場合には、空気極層5側の中間層は、同時焼成された中間層6(1層目)の上面に、上述の中間層用スラリーを塗布した後、上記同時焼成時の温度よりも200℃以上低い温度にて焼成する。
次いで、空気極層5用材料(例えば、LaCoO系酸化物粉末)、溶媒および増孔剤を含有するスラリーをディッピング等により中間層上に塗布する。また、インターコネクタの所定の位置に、必要によりP型半導体層用材料(例えば、LaCoO系酸化物粉末)と溶媒を含むスラリーを、ディッピング等により塗布し、1000〜1300℃で、2〜6時間焼き付けることにより、図1(P型半導体層17については図3参照)に示す構造の本発明の燃料電池セル1を製造できる。なお、燃料電池セル1は、その後、内部に水素ガスを流し、導電性支持体2および燃料極層4の還元処理を行なうのが好ましい。その際、例えば750〜1000℃にて5〜20時間還元処理を行なうのが好ましい。
以上のように、本発明の燃料電池セル1の作製時において、燃料極層4および導電性支持体2に含有されるNiおよびNiOの原料の粒径を0.1μm〜55μmの範囲とすることにより、作製後の燃料電池セル1における、燃料極層4および導電性支持体2のうち燃料極層4側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径を50μmより小さくすることができることから、固体電解質層5にクラックが生じることを抑制することができ、信頼性の向上した燃料電池セル1とすることができる。
さらに、燃料極4および導電性支持体2のうち燃料極層4側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの原料の粒径を0.1μm〜35μmの範囲とすることにより、作成後の燃料電池セル1における、燃料極層4および導電性支持体2のうち燃料極層4側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径を30μmより小さくすることができ、さらに固体電解質層5にクラックが生じることを抑制することができる。
なお、導電性支持体2のうち燃料極層4側の表層領域とは、導電性支持体2における燃料極層4との界面から30μmの領域を意味する。
図3は、上述した燃料電池セル1の複数個を、集電部材13を介して電気的に直列に接続して構成される燃料電池セルスタック装置の一例を示したものであり、(a)は燃料電池セルスタック装置11を概略的に示す側面図、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置11の一部拡大平面図であり、(a)で示した点線枠で囲った部分を抜粋して示している。なお、(b)において(a)で示した点線枠で囲った部分に対応する部分を明確とするために矢印にて示しており、(b)で示す燃料電池セル1においては、上述した中間層6を省略して示しており、インターコネクタ9上にP型半導体層14を設けた例を示している。
なお、燃料電池セルスタック装置11においては、各燃料電池セル1を集電部材13を介して配列することで燃料電池セルスタック12を構成しており、各燃料電池セル1の下端部が、燃料電池セル1に燃料ガスを供給するためのマニホールド15に、ガラスシール材等の接着剤により固定されている。また、燃料電池セル1の配列方向の両端から集電部材13を介して燃料電池セルスタック12を挟持するように、マニホールド15に下端が固定された弾性変形可能な導電部材16を具備している。
また、図3に示す導電部材16においては、燃料電池セル1の配列方向に沿って外側に向けて延びた形状で、燃料電池セルスタック12(燃料電池セル1)の発電により生じる電流を引出すための電流引出し部17が設けられている。
ここで、本発明の燃料電池セルスタック装置11においては、上述した燃料電池セル1を用いて、燃料電池セルスタック12を構成することにより、固体電解質層5にクラックが生じることを抑制することができ、燃料電池セル1の信頼性を向上させることができることから、信頼性が向上した燃料電池セルスタック装置11とすることができる。
図4は、本発明の燃料電池セルスタック装置11を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュール18の一例を示す外観斜視図であり、直方体状の収納容器19の内部に、図3に示した燃料電池セルスタック装置11を収納して構成されている。
なお、燃料電池セル1にて使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器20を燃料電池セルスタック12の上方に配置している。そして、改質器20で生成された燃料ガスは、燃料ガス供給管21を介してマニホールド15に供給され、マニホールド15を介して燃料電池セル1の内部に設けられたガス流路2に供給される。
なお、図4においては、収納容器19の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されている燃料電池セルスタック装置11および改質器20を後方に取り出した状態を示している。ここで、図3に示した燃料電池モジュール18においては、燃料電池セルスタック装置11を、収納容器19内にスライドして収納することが可能である。なお、燃料電池セルスタック装置11は、改質器20を含むものとしても良い。
また収納容器19の内部に設けられた酸素含有ガス導入部材22は、図4においてはマニホールド15に並置された燃料電池セルスタック12の間に配置されるとともに、酸素含有ガスが燃料ガスの流れに合わせて、燃料電池セル1の側方を下端部から上端部に向けて流れるように、燃料電池セル1の下端部に酸素含有ガスを供給する。そして、燃料電池セル1の燃料ガス流路3より排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃料電池セル1の上端部側で燃焼させることにより、燃料電池セル1の温度を上昇させることができ、燃料電池セルスタック装置11の起動を早めることができる。また、燃料電池セル1の上端部側にて、燃料電池セル1の燃料ガス流路3から排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃焼させることにより、燃料電池セル1(燃料電池セルスタック12)の上方に配置された改質器20を温めることができる。それにより、改質器20で効率よく改質反応を行うことができる。
さらに、本発明の燃料電池モジュール18においても、固体電解質層5にクラックが生じることを抑制することができる燃料電池セル1を用いて構成される燃料電池セルスタック装置11を収納容器19内に収納してなることから、信頼性が向上した燃料電池モジュール18とすることができる。
図5は、外装ケース内に図4で示した燃料電池モジュール18と、燃料電池セルスタック装置11を動作させるための補機とを収納してなる本発明の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。なお、図5においては一部構成を省略して示している。
図5に示す燃料電池装置23は、支柱24と外装板25から構成される外装ケース内を仕切板26により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール18を収納するモジュール収納室27とし、下方側を燃料電池モジュール18を動作させるための補機類を収納する補機収納室28として構成されている。なお、補機収納室28に収納する補機類を省略して示している。
また、仕切板26には、補機収納室28の空気をモジュール収納室27側に流すための空気流通口29が設けられており、モジュール収納室27を構成する外装板25の一部に、モジュール収納室27内の空気を排気するための排気口30が設けられている。
このような燃料電池装置23においては、上述したように、信頼性を向上することができる燃料電池モジュール18をモジュール収納室27に収納して構成されることにより、信頼性の向上した燃料電池装置23とすることができる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の用紙を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
先ず、ジルコニアボールまたはニッケルボールを用いたボールミルにより、適宜粒径が調整されたNiOの粉末と、Yの粉末とを焼成−還元後における体積比率が、NiOが48体積%、Yが52体積%になるように混合し、この混合粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形にて成形し、乾燥、脱脂して導電性支持体成形体を作製した。なお、この際、導電性支持体におけるNiまたはNiOの最大粒径が表1に示す値となるように適宜調整して作製した。
次に、8mol%のYが固溶したマイクロトラック法による粒径が0.8μmのZrO粉末(固体電解質層原料粉末)と有機バインダーと溶媒とを混合して得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法にて厚み30μmの固体電解質層用シートを作製した。
次に、適宜粒径が調整されたNiOの粉末とYが固溶したZrOの粉末と有機バインダーと溶媒とを混合した燃料極層用スラリーを作製し、固体電解質層用シート状に塗布して燃料極層成形体を形成した。続いて、燃料極層成形体側の面を下にして導電性支持体成形体の所定位置に積層した。なお、この際、燃料極層におけるNiまたはNiOの最大粒径が表1に示す値となるように適宜調整して作製した。
続いて、上記のように成形体を積層した積層成形体を1000℃にて3時間仮焼処理した。
次に、CeOを85モル%、他の希土類元素の酸化物(GdO1.5)を15モル%含む複合酸化物を、溶媒としてイソプロピルアルコール(IPA)を用いて振動ミル又はボールミルにて粉砕し、900℃にて4時間仮焼処理を行い、再度ボールミルにて解砕処理し、セラミック粒子の凝集度を調整し、中間層用の原料粉末を得た。この粉末にアクリル系バインダーとトルエンとを添加し、混合して作製した中間層用のスラリーを得られた積層仮焼体の固体電解質層仮焼体上に、スクリーン印刷法にて塗布し、中間層成形体を作製した。
次に、適宜粒径が調整されたNiO粉末と8mol%のYが固溶したZrO粉末と有機バインダーと溶媒とを混合した密着層用スラリーを作製した。
続いて、LaCrO系酸化物と、有機バインダーと溶媒とを混合したインターコネクタ用スラリーを用いて、ドクターブレード法にて厚み30μmのインターコネクタ用シートを作製した。このインターコネクタ用シートの一方側表面に、上述の密着層用スラリーを塗布し、その密着層用スラリーを塗布した面を、燃料極層成形体および固体電解質層成形体が形成されていない導電性支持体成形体の他方側の平坦部上に積層した。
そして、これらの各層が積層された積層体を、大気中1510℃にて3時間同時焼成した。
次に、平均粒径2μmのLaSrCoFeOの粉末と、イソプロピルアルコールとからなる混合液を作製し、積層焼結体の中間層の表面に噴霧塗布し、空気極層成形体を形成し、1100℃にて4時間で焼き付け、空気極層を形成し、図1に示す燃料電池セルを作製した。
なお、作製した燃料電池セルの寸法は25mm×200mmで、燃料ガス流路の直径は1mm、導電性支持体の厚み(平坦部nの両面間の厚み)は2.5mm、開気孔率35%、燃料極層の厚さは10μm、開気孔率24%、空気極層の厚みは50μm、開気孔率40%、相対密度は97%、固体電解質層の厚みは40μmであった。
ここで、各試料につき10個の燃料電池セルを作製し、燃料電池セルのうち、固体電解質層、燃料極層、導電性支持体のうち燃料極層側の表層領域を含む任意の3箇所の断面を走査型電子顕微鏡にて観察し、燃料極層および導電性支持体のうち燃料極層側の表層領域に含まれるNiまたはNiOの最大粒径を計測した。
また、導電性支持体の中央部を含む任意の5箇所の断面を、走査型電子顕微鏡にて観察し、導電性支持体に含まれるNiまたはNiOの最大粒径を計測し、その結果を表1に示した。
表1の結果より、燃料極層および導電性支持体のうち燃料極層側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μm以上の試料No.3、試料No.8〜11の試料については、10個の燃料電池セル中7個以上の燃料電池セルの固体電解質層にクラックが生じていた。
一方、燃料極層および導電性支持体のうち燃料極層側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さい試料No.1,2、試料No.4〜7の試料については、固体電解質層にクラックが生じた燃料電池セルは3個以下であり、固体電解質層にクラックが生じることを抑制することができた。
さらに、燃料極層および導電性支持体のうち燃料極層側の表層領域との界面側に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が30μm以下の試料No.1,2、試料No.4,5の試料については、固体電解質層にクラックが生じた燃料電池セルは1個以下であり、固体電解質層にクラックが生じることを抑制することができた。
特に、燃料極層および導電性支持体のうち燃料極層側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が20μm以下の試料No.1,2、試料No.4の試料については、固体電解質層にクラックが生じた燃料電池セルはなかった。
それにより、燃料極層および導電性支持体のうち燃料極層側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さい場合に固体電解質層にクラックが生じることを有効に抑制できることがわかった。
また、導電性支持体に含有されるNiまたはNiOの最大粒径が50μm以上の試料No.3、試料No.7、試料No.11の試料については、10個の燃料電池セル中5個以上の燃料電池セルの導電性支持体にクラックが生じていた。
一方、導電性支持体に含有されるNiまたはNiOの最大粒径が50μmより小さい試料No.1,2、試料No.4〜8、試料No.1の試料については、導電性支持体にクラックが生じた燃料電池セルは2個以下であり、導電性支持体にクラックが生じることを抑制することができた。
特に、導電性支持体に含有されるNiまたはNiOの最大粒径が30μm以下の試料No.1,2、試料No.4〜7、試料No.8の試料については、導電性支持体にクラックが生じた燃料電池セルはなかった。
それにより、導電性支持体に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さい場合に、導電性支持体にクラックが生じることを有効に抑制できることがわかった。
1:燃料電池セル
2:導電性支持体
3:燃料ガス流路
4:燃料極層
5:固体電解質層
6:中間層
7:空気極層
8:密着層
9:インターコネクタ
11:セルスタック装置
28:燃料電池モジュール
20:燃料電池装置

Claims (5)

  1. NiおよびNiOのうち少なくとも一方と希土類元素酸化物とを含有する導電性支持体の表面上に、
    NiおよびNiOのうち少なくとも一方と希土類元素が固溶したZrOとを含有する燃料極層と、
    希土類元素が固溶したZrOを含有する固体電解質層と、
    空気極層とをこの順に積層してなる燃料電池セルであって、
    前記燃料極層および前記導電性支持体のうち前記燃料極層側の表層領域に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さいことを特徴とする燃料電池セル。
  2. 前記導電性支持体に含有されるNiおよびNiOの最大粒径が50μmより小さいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 請求項1または2に記載の燃料電池セルを、集電部材を介して立設させた状態で複数個配列し、電気的に直列に接続してなるセルスタックと、前記燃料電池セルの下端部を固定するとともに、前記燃料電池セルに燃料ガスを供給するためのマニホールドとを具備することを特徴とするセルスタック装置。
  4. 請求項3に記載のセルスタック装置を収納容器に収納してなることを特徴とする燃料電池モジュール。
  5. 請求項4に記載の燃料電池モジュールと、該燃料電池モジュールを動作させるための補機とを外装ケース内に収納してなることを特徴とする燃料電池装置。
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