JP5363888B2 - 固体酸化物形燃料電池セルおよびその製法、ならびに燃料電池セルスタック装置、燃料電池モジュール、燃料電池装置 - Google Patents

固体酸化物形燃料電池セルおよびその製法、ならびに燃料電池セルスタック装置、燃料電池モジュール、燃料電池装置 Download PDF

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本発明は、導電性支持体と、該導電性支持体上に密着層を介して設けられたランタンクロマイトを含有するインターコネクタと、該インターコネクタが設けられていない部分の導電性支持体上に設けられた発電素子とを具備する固体酸化物形燃料電池セルおよびその製法、ならびに固体酸化物形燃料電池セルを集電部材を介して電気的に直列に接続してなる燃料電池セルスタック装置、該燃料電池セルスタック装置を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュール、該燃料電池モジュールと補機とを外装ケース内に収納してなる燃料電池装置に関する。
近年、固体酸化物形燃料電池セルを電気的に直列に複数個接続してなる燃料電池セルスタック装置を、収納容器内に収容した燃料電池モジュールや、燃料電池モジュールを外装ケース内に収納してなる燃料電池装置が種々提案されている。
このような固体酸化物形燃料電池セルとして、互いに平行な一対の平坦面を有し、内部に燃料ガスを流通させるための燃料ガス流路を有するとともに、Niを含有する導電性支持体の一方側の平坦面上に、燃料極層、固体電解質層、空気極層を順に積層するとともに、他方側の平坦面上にランタンクロマイトを含有するインターコネクタを積層してなる固体酸化物形燃料電池セルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような固体酸化物形燃料電池セルの複数個を、集電部材を介して電気的に直列に接続してなる燃料電池セルスタック装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
そして、導電性支持体とインターコネクタとの間の熱膨張係数を近づける等のために、導電性支持体に、密着層を介してランタンクロマイトを含有するインターコネクタを形成した燃料電池セルが知られており、この燃料電池セルの密着層を、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prからなる群より選択された少なくとも1種の元素が8モル%固溶したZrOとNiとから構成したものが知られている(特許文献3参照)。
この特許文献3には、インターコネクタと導電性支持体との間の密着層により、同時焼成時における両者間のLa及び希土類元素の相互拡散を抑制でき、導電性支持体とインターコネクタ間の電位降下を小さくできると記載されている。
特開2008−84716号公報 特開2008−135304号公報 特開2004−253376号公報
しかしながら、特許文献3記載の燃料電池セルにおいては、燃料電池セルの作製にあたり、1500℃程度の高温で焼成する際に、インターコネクタと密着層との界面に電気絶縁性のランタンジルコネート(LaZr)が生成されることを抑制できるものの、1450℃以下の低温で焼成する場合には、インターコネクタと密着層との界面に電気絶縁性のランタンジルコネートが生成し、導電性支持体とインターコネクタ間の導電性が低下するという問題があった。
1450℃以下の低温で焼成する場合に、インターコネクタと密着層との界面に電気絶縁性のランタンジルコネートが生成する理由は明確ではないが、高温で焼成する場合には、Laが密着層に均一に拡散しており、LaがZrO中に固溶し、ランタンジルコネートは生成され難いが、低温で焼成する場合には、Laがあまり拡散せずに、密着層のインターコネクタ側の部分に集中して多く存在しており、LaがZrO中に固溶しきれずに、ランタンジルコネートからなる化合物を生成すると考えている。
本発明は、インターコネクタと密着層との界面におけるランタンジルコネートの生成を抑制することができる固体酸化物形燃料電池セルおよびその製法、ならびに燃料電池セルスタック装置、燃料電池モジュール、燃料電池装置を提供することを目的とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、内部に燃料ガスを流通させるための燃料ガス流路を有する導電性支持体と、該導電性支持体上に密着層を介して設けられた、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型複合酸化物を含有するインターコネクタと、該インターコネクタが設けられていない部分の前記導電性支持体上に設けられた、燃料極層、固体電解質層および空気極層を順次積層してなる発電素子とを具備する固体酸化物形燃料電池セルであって、前記密着層が、45モル%以上の希土類元素が固溶したジルコニアを含有することを特徴とする。
このような固体酸化物形燃料電池セルでは、密着層が45モル%以上の希土類元素が固溶したジルコニアを含有するので、インターコネクタ中のランタン(La)が密着層側に拡散することを抑制することができる。インターコネクタ中のLaの密着層側への拡散を抑制できる理由は明確ではないが、密着層全体に存在するジルコニアには、45モル%以上の希土類元素が固溶しているため、このジルコニア中に希土類元素が固溶できる量が少なく、インターコネクタの構成成分であるLaが密着層側に拡散し難くなるためと考えている。
これにより、インターコネクタの構成成分であるLaと密着層の構成成分であるZrとが反応することを抑制でき、発電中においてインターコネクタと密着層との間におけるランタンジルコネートの生成を抑制することができ、発電効率の経時劣化を抑制することができ、インターコネクタと導電性支持体間の高い導電性を維持し、固体酸化物形燃料電池セルの高い発電効率を維持できる。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、前記密着層は、前記インターコネクタとの界面から1μmの深さの部位においてランタン(La)を含有していないことを特徴とする。このような固体酸化物形燃料電池セルでは、インターコネクタと密着層との間におけるランタンジルコネートの生成をさらに抑制することができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの製法は、貫通孔を有する導電性支持体成形体上に、希土類元素が45モル%以上固溶したジルコニアを含有する密着層成形体が設けられ、該密着層成形体上にランタン(La)およびクロム(Cr)を含有する酸化物粉末を含有するインターコネクタ成形体が設けられるとともに、該インターコネクタ成形体が設けられていない部分の前記導電性支持体成形体上に燃料極層成形体が設けられ、該燃料極層成形体上に固体電解質層成形体が設けられた積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を1350℃〜1450℃にて焼成する工程と、前記固体電解質層成形体を焼結してなる固体電解質層上に空気極層を形成する工程とを具備することを特徴とする。
このような固体酸化物形燃料電池セルの製法では、密着層成形体中のジルコニアは希土類元素を45モル%以上固溶しているため、ジルコニア中に希土類元素が固溶する余地が少なく、このため、焼成時にインターコネクタ成形体からLaが密着層成形体中に拡散しにくく、これにより、インターコネクタと密着層との間におけるランタンジルコネートの生成を抑制することができる。
本発明の燃料電池セルスタック装置は、上記固体酸化物形燃料電池セルの複数個を、集電部材を介して電気的に直列に接続してなることを特徴とする。本発明の燃料電池モジュールは、上記燃料電池セルスタック装置を収納容器内に収納してなることを特徴とする。本発明の燃料電池装置は、上記燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルスタック装置を動作させるための補機とを外装ケース内に収納してなることを特徴とする。
このような燃料電池セルスタック装置においては、インターコネクタと導電性支持体との間が高い導電性を有する固体酸化物形燃料電池セルの複数個を、集電部材を介して電気的に直列に接続して構成されていることから、高い発電効率を維持することができる。さらに、そのような燃料電池セルスタック装置を収納してなることで、高い発電効率を維持することができる燃料電池モジュール、燃料電池装置とすることができる。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、密着層が45モル%以上の希土類元素が固溶したジルコニアを含有するので、発電中にインターコネクタの構成成分であるLaが密着層側に拡散することを抑制することができ、インターコネクタの構成成分であるLaと密着層の構成成分であるZrとが反応することを抑制でき、インターコネクタと密着層との間におけるランタンジルコネートの生成を抑制することができる。これにより、発電効率の経時劣化を抑制することができ、インターコネクタと導電性支持体との間の高い導電性を維持し、高い発電効率を維持できる。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルの製法では、密着層成形体中のジルコニアが希土類元素を45モル%以上固溶しているため、焼成時にインターコネクタ成形体からLaが密着層成形体中に拡散しにくく、これにより、インターコネクタと密着層との間におけるランタンジルコネートの生成を抑制することができる。
さらに、本発明の燃料電池セルスタック装置では、インターコネクタと導電性支持体との間が高い導電性を有する固体酸化物形燃料電池セルの複数個を、集電部材を介して電気的に直列に接続して構成されていることから、高い発電効率を維持することができる。また、そのような燃料電池セルスタック装置を収納してなることで、高い発電効率を維持することができる燃料電池モジュール、燃料電池装置とすることができる。
本発明の燃料電池セルの一例を示したものであり、(a)はその横断面図、(b)は一部を破断して示す斜視図である。 本発明の燃料電池セルスタック装置の一例を示し、(a)は燃料電池セルスタック装置を概略的に示す側面図、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置の点線枠で囲った部分の一部を拡大した平面図である。 本発明の燃料電池モジュールの一例を示す外観斜視図である。 本発明の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。
図1は、本発明の固体酸化物形燃料電池セル(以下、燃料電池セルと略す)の一例を示すものであり、(a)はその横断面図、(b)は一部を破断した斜視図である。なお、両図面において、燃料電池セル10の各構成を一部拡大して示している。
この燃料電池セル10は、中空平板型の燃料電池セル10で、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状をしたNiを含有してなる多孔質の導電性支持体1を備えている。導電性支持体1の内部には、所定の間隔で複数の燃料ガス流路2が長手方向に形成されており、燃料電池セル10は、この導電性支持体1上に各種の部材が設けられた構造を有している。
導電性支持体1は、図1に示されている形状から理解されるように、互いに平行な一対の平坦面nと、一対の平坦面nをそれぞれ接続する弧状面(側面)mとで構成されている。平坦面nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、平坦面nの一方の表面(下面)と両側の弧状面mを覆うように多孔質な燃料極層3が設けられており、さらに、この燃料極層3を覆うように、緻密質な固体電解質層4が積層されている。また、固体電解質層4の上には、中間層5を介して、燃料極層3と対面するように、多孔質な空気極層6が積層されている。また、燃料極層3および固体電解質層4が積層されていない他方の平坦面nには、密着層7を介してランタンクロマイト系のペロブスカイト型複合酸化物を含有するインターコネクタ8が形成されている。
図1から明らかなように、燃料極層3および固体電解質層4は、両端の弧状面mを経由してインターコネクタ8(密着層7)の両サイドにまで延びており、導電性支持体1の表面が外部に露出しないように構成されている。なお、図1においては、燃料極層3が密着層7の側面に、固体電解質層4がインターコネクタ8の側面に重なる例を示しているが、密着層7やインターコネクタ8は適宜その厚みを調整することができ、例えば、燃料極層3および固体電解質層4が密着層7の側面に重なるように配置することもでき、また、燃料極層3の一部がインターコネクタ8の側面に重なるように配置することもできる。さらには、燃料極層3、固体電解質層4、密着層7およびインターコネクタ8のそれぞれの端部がこの順に重なるように配置することもできる。
ここで、燃料電池セル10は、燃料極層3と空気極層6とが固体電解質層4を介して対面している部分が電極として機能して発電する。即ち、空気極層6の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ導電性支持体1内の燃料ガス流路2に燃料ガス(水素含有ガス)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより発電する。そして、かかる発電によって生成した電流は、導電性支持体1に取り付けられているインターコネクタ8を介して集電される。
以下に、本発明の燃料電池セル10を構成する各部材について説明する。
導電性支持体1は、燃料ガスを燃料極層3まで透過させるためにガス透過性であること、インターコネクタ8を介して集電を行うために導電性であることが要求されることから、例えば、Niおよび/またはNiOと、特定の希土類元素酸化物とにより形成されることが好ましい。
特定の希土類元素酸化物は、導電性支持体1の熱膨張係数を固体電解質層4の熱膨張係数に近づけるために使用されるものであり、例えば、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、SmおよびPrから選択される少なくとも1種を含む希土類元素の酸化物が、Niおよび/またはNiOとの組み合わせで使用することができる。このような希土類元素酸化物の具体例としては、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prを例示することができ、Niおよび/またはNiOとの固溶、反応が殆どなく、また、熱膨張係数を固体電解質層4に近づけることができるという点、かつ安価であるという点から、Y、Ybが好ましい。
また、本発明においては、導電性支持体1の良好な導電率を維持し、かつ熱膨張係数を固体電解質層4と近似させるという点で、Niおよび/またはNiO:希土類元素酸化物=35:65〜65:35の体積比で存在することが好ましい。なお、導電性支持体1中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で、他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
また、導電性支持体1は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好ましい。また、導電性支持体1の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
なお、導電性支持体1の平坦面nの長さ(導電性支持体1の幅方向の長さ)は、通常、15〜35mm、弧状面mの長さ(弧の長さ)は、2〜8mmであり、導電性支持体1の厚み(平坦面n間の厚み)は1.5〜5mmであることが好ましい。
燃料極層3は、電極反応を生じさせるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性材料により形成することが好ましい。例えば、希土類元素が固溶したZrOまたは希土類元素が固溶したCeOと、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。なお、希土類元素としては、導電性支持体1において例示した希土類元素を用いることができ、例えばYが固溶したZrO(YSZ)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
燃料極層3中の希土類元素が固溶したZrOまたは希土類元素が固溶しているCeOの含有量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNiあるいはNiOの含有量は、65〜35体積%であるのが好ましい。さらに、この燃料極層3の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。例えば、燃料極層3の厚みがあまり薄いと、性能が低下するおそれがあり、またあまり厚いと、固体電解質層4と燃料極層3との間で熱膨張差による剥離等を生じるおそれがある。
また、図1(a)および(b)の例では、燃料極層3が、密着層7の両サイドにまで延びているが、空気極層6に対面する位置に形成されていればよいため、例えば空気極層6が設けられている側の平坦面nにのみ燃料極層3が形成されていてもよい。すなわち、燃料極層3は平坦面nにのみ設けられ、固体電解質層4が燃料極層3上、両弧状面m上および燃料極層3が形成されていない他方の平坦面n上に形成された構造をしたものであってもよい。
固体電解質層4は、3〜15モル%のY(イットリウム)、Sc(スカンジウム)、Yb(イッテルビウム)等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrOからなる緻密質なセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素としては、安価であるという点からYが好ましい。さらに、固体電解質層4は、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが5〜50μmであることが好ましい。
なお、固体電解質層4と後述する空気極層6との間に、固体電解質層4と空気極層6との接合を強固なものとするとともに、固体電解質層4の成分と空気極層6の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることを抑制する目的で中間層5を備えることもでき、図1に示した燃料電池セル10においては中間層5を備えた例を示している。
ここで、中間層5としては、Ce(セリウム)と他の希土類元素とを含有する組成にて形成することができ、例えば、モル比による組成式を(CeO1−x(REO1.5と表した時、0<x≦0.3を満足する組成を有していることが好ましい。ここで、REはSm、Y、YbおよびGdのうち少なくとも1種であることが望ましい。さらには、電気抵抗を低減するという点から、REとしてSmやGdを用いることが好ましく、例えば10〜20モル%のSmまたはGdが固溶したCeOからなることが好ましい。
また、固体電解質層4と空気極層6とを強固に接合するとともに、固体電解質層4の成分と空気極層6の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることをさらに抑制することを目的として、中間層5を2層から形成することもできる。
そして、空気極層6としては、いわゆるABO型のペロブスカイト型複合酸化物からなる導電性セラミックスにより形成することが好ましい。かかるペロブスカイト型複合酸化物としては、特にAサイトにSr(ストロンチウム)とLa(ランタン)が共存するLaMnO系複合酸化物、LaFeO系複合酸化物、LaCoO系複合酸化物の少なくとも1種が好ましく、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaCoO系複合酸化物が特に好ましい。なお、上記ペロブスカイト型複合酸化物においては、Bサイトに、Co(コバルト)とともにFe(鉄)やMn(マンガン)が存在しても良い。
また、空気極層6は、ガス透過性を有する必要があり、従って、空気極層6を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型複合酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、空気極層6の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
また、導電性支持体1の空気極層6側と反対側の平坦面n上には、密着層7を介してランタンクロマイト系のペロブスカイト型複合酸化物を含有してなるインターコネクタ8が積層されている。
インターコネクタ8としては導電性セラミックスにより形成されるが、燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型複合酸化物(LaCrO系複合酸化物)を含有してなり、特に導電性支持体1とインターコネクタ8との熱膨張係数を近づける目的から、BサイトにMgが存在するLaCrMgO系複合酸化物が用いられる。なおMgのモル量は、インターコネクタ8の熱膨張係数が、導電性支持体1および固体電解質層4の熱膨張係数に近づくように、具体的には10〜12×10−6/℃となるように適宜調整することができる。
例えば、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型複合酸化物を含有するインターコネクタ8について詳細に説明すると、ランタンクロマイト系の第1複合酸化物相と、MgとNiとの第2複合酸化物相とを含有することが望ましい。この第2複合酸化物相は、その組成式を(Mg1−xNi)Oと表したとき、0.11≦x≦0.66であることが望ましい。この範囲ならば、第2複合酸化物相の周囲に析出する金属Ni量が適量となり、ランタンクロマイト系の第1複合酸化物相の還元膨張量と、第2複合酸化物相の周囲に析出する金属Niによる還元収縮量がほぼ一致するため、インターコネクタ8の還元膨張を抑制できる。
インターコネクタ8では、液相形成成分の酸化物相、例えばY相、Yb相を含有することができる。これにより、燃料極層3、固体電解質層4等とインターコネクタ8とを1500℃よりも低い、例えば1450℃でも同時焼成することができ、このため、導電性支持体1からインターコネクタ8へのNi、インターコネクタ8から導電性支持体1へのMgの拡散を抑制することができる。
このようなY等の液相形成成分の酸化物相は、第1複合酸化物相と第2複合酸化物相の粒界に存在しており、第1複合酸化物相と、MgとNiを含む第2複合酸化物相との合量100質量部に対して、10質量部以下含有することが望ましい。特には、開気孔率を小さくし、Y等の凝集を防止するという点から、1〜5質量部含有することが望ましい。
また、導電性支持体1の内部を通る燃料ガスおよび導電性支持体1の外部を通る酸素含有ガスのリークを防止するため、かかる導電性セラミックスは緻密質でなければならず、例えば93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが望ましく、且つ、電気抵抗という点も合わせると、その厚みは10〜200μmであることが望ましい。即ち、この範囲よりも厚みが薄いと、ガスのリークを生じやすく、またこの範囲よりも厚みが大きいと、電気抵抗が大きく、電位降下により集電機能が低下してしまうおそれがある。
さらに、導電性支持体1とインターコネクタ8との間には、インターコネクタ8と導電性支持体1との間の熱膨張係数差を軽減する等のために密着層7が形成されている。
このような密着層7は、45モル%以上の固溶限界に近い量の希土類元素が固溶したジルコニアを含有している。45モル%以上の希土類元素が固溶したジルコニアを用いたのは、45モル%よりも少ない場合には、希土類元素がジルコニアに固溶しやすく、インターコネクタ8からLaが拡散しやすくなるからである。特には希土類元素がジルコニアに50モル%以上固溶することが望ましい。希土類元素としては、導電性支持体1において例示したものを使用できる。すなわち、希土類元素としては、例えば、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、SmおよびPrから選択される少なくとも1種を用いることができる。
さらに、導電性を向上するためにNiおよび/またはNiOを含有することができる。45モル%以上の希土類元素が固溶したジルコニアと、Niおよび/またはNiOとは、体積比で40:60〜60:40の範囲とすることが好ましい。
密着層7は、インターコネクタ8との界面から1μmの深さの部位においてLaを含有していないことが望ましい。La量は、EPMA(波長分散型X線マイクロアナライザ)を用いて半定量分析法により求めることができる。インターコネクタ8との界面から1μmの深さの密着層7の部分にLaを含有していないとは、La元素をEPMAを用いた半定量マップで示した際にLaの存在を示す色調がバックグランドの色調と見分けられないという状態をいう。
また、図1には示していないが、インターコネクタ8の外面(上面)には、P型半導体層17(図2参照)を設けることが好ましい。集電部材13を、P型半導体層17を介してインターコネクタ8に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくでき、集電性能の低下を有効に回避することが可能となる。
このようなP型半導体層17としては、遷移金属ペロブスカイト型複合酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO系複合酸化物、LaFeO系複合酸化物、LaCoO系複合酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層17の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
以上説明した本発明の燃料電池セル10の製法について説明する。
先ず、Niおよび/またはNiO粉末と、Yなどの希土類元素酸化物の粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形により貫通孔を有する導電性支持体成形体を作製し、これを乾燥する。なお、導電性支持体成形体として、導電性支持体成形体を900〜1000℃にて2〜6時間仮焼した仮焼体を用いてもよい。
次に、例えば所定の調合組成に従いNiO、Yが固溶したZrO(YSZ)の素原料を秤量、混合する。この後、混合した粉体に、有機バインダーおよび溶媒を混合して燃料極層用スラリーを調製する。
さらに、希土類元素が固溶したZrO粉末に、トルエン、バインダー、市販の分散剤等を加えてスラリー化したものをドクターブレード等の方法により、7〜75μmの厚さに成形してシート状の固体電解質層成形体を作製する。得られたシート状の固体電解質層成形体上に燃料極層用スラリーを塗布して燃料極層成形体を形成し、この燃料極層成形体側の面を導電性支持体成形体に積層する。なお、燃料極層用スラリーを導電性支持体成形体の所定位置に塗布し乾燥させることで燃料極成形体を形成し、これに固体電解質層成形体を積層しても良い。
続いて固体電解質層4と空気極層6との間に配置する中間層5を形成する。なお、下記においては、中間層5を2層形成する場合の例を示す。
例えば、Gdが固溶したCeO粉末を800〜900℃にて2〜6時間、熱処理を行い、その後、湿式解砕して凝集度を5〜35に調整し、中間層成形体用の原料粉末を調整する。湿式解砕は溶媒を用いて10〜20時間ボールミルすることが望ましい。なお、中間層5をSmが固溶したCeO粉末より形成する場合も同様である。
そして、凝集度が調製された中間層成形体の原料粉末に、溶媒としてトルエンを添加し、中間層用スラリーを作製し、このスラリーを固体電解質層成形体上に塗布して第1の層の塗布膜を形成し、第1の層成形体を作製する。なお、シート状の第1の層成形体を作製し、これを固体電解質層成形体上に積層してもよい。この後、仮焼処理し、仮焼体を作製しても良い。尚、本願発明では、仮焼処理した仮焼体も成形体に含まれる概念である。
続いて、インターコネクタ用材料(例えば、LaCrMgO系複合酸化物粉末)、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、ドクターブレード法等の方法によりインターコネクタ用シートを作製し、シート状のインターコネクタ用成形体を作製する。
続いて、導電性支持体1とインターコネクタ8との間に位置する密着層成形体を形成する。例えば、Yが45モル%以上固溶したZrOとNiOとが体積比で40:60〜60:40の範囲となるように混合して、有機バインダー等を加えて密着層用スラリーを調整する。調整した密着層用スラリーを、シート状のインターコネクタ成形体に塗布して密着層成形体を形成し、この密着層成形体側の面を導電性支持体成形体に積層して積層成形体を作製する。
次いで、この積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1350℃〜1450℃(より好ましくは1400〜1430℃)にて2〜6時間、同時焼成(同時焼結)する。なお、同時焼成における温度を1500℃以上とした場合には、燃料電池セル10に変形等が生じる場合がある(例えば、燃料電池セル10の作製後に水素含有ガスにて還元処理をした場合に変形が生じる場合がある。)ため好ましくない。
本発明では、密着層成形体中のジルコニアは希土類元素が45モル%以上固溶しているため、焼成時にジルコニア中に希土類元素がさらに固溶する余地が少なく、このため、インターコネクタ成形体からランタンが密着層成形体中に拡散しにくく、インターコネクタ8と密着層7との間におけるランタンジルコネートの生成を抑制することができる。
その後、焼成された第1の層焼結体の表面に上記中間層用スラリーを塗布して第2の層成形体を作製して焼結し、中間層5を形成する。なお、第2の層成形体を焼結するにあたって、固体電解質層4と第1の層との同時焼結温度より、200℃以上低いことが好ましく、例えば1150℃〜1250℃で行うことが好ましい。なお、第2の層と第1の層とを固着させるための焼結時間としては、2〜6時間とすることができる。
さらに、空気極層用材料(例えば、LaCoO系複合酸化物粉末)、溶媒および増孔剤を含有するスラリーをディッピング等により中間層5上に塗布する。また、インターコネクタ8の所定の位置に、必要によりP型半導体層用材料(例えば、LaCoO系酸化物粉末)と溶媒を含むスラリーを、ディッピング等により塗布し、1000〜1300℃で、2〜6時間焼き付けることにより、図1(P型半導体層17については図2参照)に示す構造の本発明の燃料電池セル10を製造できる。なお、燃料電池セル10は、その後、内部(貫通孔)に水素ガスを流し、導電性支持体1および燃料極層3の還元処理を行なうのが好ましい。その際、たとえば750〜1000℃にて5〜20時間還元処理を行なうのが好ましい。
図2は、上述した燃料電池セル10の複数個を、集電部材13を介して電気的に直列に接続して構成される燃料電池セルスタック装置の一例を示したものであり、(a)は燃料電池セルスタック装置11を概略的に示す側面図、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置11の一部拡大平面図であり、(a)で示した点線枠で囲った部分を抜粋して示している。なお、(b)において(a)で示した点線枠で囲った部分に対応する部分を明確とするために矢印にて示しており、(b)で示す燃料電池セル10においては、上述した中間層5を省略して示しており、インターコネクタ8上にP型半導体層17を設けた例を示している。
なお、燃料電池セルスタック装置11においては、各燃料電池セル10を集電部材13を介して配列することで燃料電池セルスタック12を構成しており、各燃料電池セル10の下端が、燃料電池セル10に燃料ガスを供給するためのマニホールド16に、ガラスシール材等の接着材により固定されている。また、燃料電池セル10の配列方向の両端から集電部材13を介して燃料電池セルスタック12を挟持するように、マニホールド16に下端が固定された弾性変形可能な導電部材14が設けられている。
また、図2に示す導電部材14においては、燃料電池セル10の配列方向に沿って外側に向けて延びた形状で、燃料電池セルスタック12(燃料電池セル10)の発電により生じる電流を引出すための電流引出し部15が設けられている。
ここで、本発明の燃料電池セルスタック装置11においては、上述した燃料電池セル10を用いて、燃料電池セルスタック12を構成することにより、経時劣化が小さい燃料電池セル10を用いることにより高い発電効率を維持でき、信頼性の高い燃料電池セルスタック装置11を得ることができる。
図3は、本発明の燃料電池セルスタック装置11を収納容器19内に収納してなる燃料電池モジュール18の一例を示す外観斜視図であり、直方体状の収納容器19の内部に、図2に示した燃料電池セルスタック装置11を収納して構成されている。
なお、燃料電池セル10にて使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器20を燃料電池セルスタック12の上方に配置している。そして、改質器20で生成された燃料ガスは、ガス流通管21を介してマニホールド16に供給され、マニホールド16を介して燃料電池セル10の内部に設けられた燃料ガス流路2に供給される。
なお、図3においては、収納容器19の一部(前後壁)を取り外し、内部に収納されている燃料電池セルスタック装置11および改質器20を後方に取り出した状態を示している。ここで、図3に示した燃料電池モジュール18においては、燃料電池セルスタック装置11を、収納容器19内にスライドして収納することが可能である。なお、燃料電池セルスタック装置11は、改質器20を含むものとしても良い。
また収納容器19の内部に設けられた酸素含有ガス導入部材22は、図3においてはマニホールド16に並置された燃料電池セルスタック12の間に配置されるとともに、酸素含有ガスが燃料ガスの流れに合わせて、燃料電池セル10の側方を下端部から上端部に向けて流れるように、燃料電池セル10の下端部に酸素含有ガスを供給する。そして、燃料電池セル10の燃料ガス流路2より排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃料電池セル10の上端部側で燃焼させることにより、燃料電池セル10の温度を上昇させることができ、燃料電池セルスタック装置11の起動を早めることができる。また、燃料電池セル10の上端部側にて、燃料電池セル10の燃料ガス流路2から排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃焼させることにより、燃料電池セル10(燃料電池セルスタック12)の上方に配置された改質器20を温めることができる。それにより、改質器20で効率よく改質反応を行うことができる。
さらに、本発明の燃料電池モジュール18においても、経時劣化が小さい燃料電池セル10を用いて構成される燃料電池セルスタック装置11を収納容器19内に収納してなることから、信頼性の高い燃料電池モジュール18と得ることができる。
図4は、外装ケース内に図3で示した燃料電池モジュール18と、燃料電池セルスタック装置11を動作させるための補機(不図示)とを収納してなる本発明の燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。なお、図4においては一部構成を省略して示している。
図4に示す燃料電池装置23は、支柱24と外装板25から構成される外装ケース内を仕切板26により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール18を収納するモジュール収納室27とし、下方側を燃料電池モジュール18を動作させるための補機類を収納する補機収納室28として構成されている。なお、補機収納室28に収納する補機類としては、燃料電池モジュール18に水を供給するための水供給装置、燃料ガス、空気を供給するための供給装置等があるが、これらの補機類は省略して示している。
また、仕切板26には、補機収納室28の空気をモジュール収納室27側に流すための空気流通口29が設けられており、モジュール収納室27を構成する外装板25の一部に、モジュール収納室27内の空気を排気するための排気口30が設けられている。
このような燃料電池装置23においては、上述したように、信頼性の高い燃料電池モジュール18をモジュール収納室27に収納して構成されることにより、信頼性の向上した燃料電池装置23とすることができる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
先ず、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、平均粒径0.9μmのY粉末を焼成−還元後における体積比率が、Niが48体積%、Yが52体積%になるように混合し、有機バインダーと溶媒にて作製した坏土を押出成形法にて成形し、乾燥、脱脂して導電性支持体成形体を作製した。なお、試料No.1においては、焼成−還元後における体積比率が、Niが45体積%、Yが55体積%となるように、NiO粉末とY粉末とを添加した。
次に、8モル%のYが固溶したマイクロトラック法による粒径が0.8μmのZrO粉末(固体電解質層原料粉末)と有機バインダーと溶媒とを混合して得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法にて厚み30μmの固体電解質層用シートを作製し、固体電解質層成形体を作製した。
次に平均粒径0.5μmのNiO粉末と8モル%のYが固溶したZrO粉末と有機バインダーと溶媒とを混合した燃料極層用スラリーを作製し、固体電解質層成形体上に塗布して燃料極層成形体を形成した。続いて、燃料極層成形体側の面を下にして導電性支持体成形体の所定位置に積層した。
続いて、上記のように成形体を積層した積層成形体を1000℃で3時間仮焼処理した。
次に、CeOを85モル%、GdO1.5を15モル%含む複合酸化物を、溶媒としてイソプロピルアルコール(IPA)を用いてボールミルにて粉砕し、900℃にて4時間仮焼処理を行い、再度ボールミルにて解砕処理し、セラミック粒子の凝集度を調製し、中間層原料粉末を得た。この粉体にアクリル系バインダーとトルエンとを添加し、混合して作製した中間層用のスラリーを、得られた積層仮焼体の固体電解質層4仮焼体上に、スクリーン印刷法にて塗布し、第1の層成形体を作製した。
続いて、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型複合酸化物であるLa(Cr0.6Mg0.40.96粉末と、この粉末100質量部に対して、MgO粉末、NiO粉末をそれぞれ5質量部と、Y粉末を2質量部とを添加混合し、これに有機バインダーと溶媒とを混合したスラリーを作製し、インターコネクタ用シートを作製し、インターコネクタ成形体を作製した。
また引き続き、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、Y、Yb、Scの希土類元素が表1に示す量だけ固溶した平均粒径0.5μmのZrO粉末(それぞれ、YSZ、YbSZ、ScSZと略す。)とを、表1に示す体積比で添加し、混合して乾燥し、有機バインダーと溶媒とを混合して密着層用スラリーを調整した。調整した密着層用スラリーを、インターコネクタ成形体に塗布して密着層成形体を形成し、この密着層成形体側の面を導電性支持体成形体の燃料極層成形体(および固体電解質層成形体)が形成されていない部位(導電性支持体成形体が露出した部位)に積層した。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中で、表1に示した各条件にて3時間同時焼成した。
次に、焼成された第1の層の表面に、上記中間層用スラリーをスクリーン印刷法にて塗布して第2の層成形体を形成し、表1に示す各温度より200℃低い温度で3時間焼結処理を行った。
次に、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8粉末と、イソプロピルアルコールとからなる混合液を作製し、積層焼結体の中間層の表面に噴霧塗布し、空気極層成形体を形成し、1100℃にて4時間で焼き付け、空気極層を形成し、図1に示す燃料電池セルを作製した。
なお、作製した燃料電池セルの寸法は25mm×200mmで、導電性支持体の厚み(平坦面n間の厚み)は2mm、開気孔率35%、燃料極層の厚さは10μm、開気孔率24%、空気極層の厚みは50μm、開気孔率40%、固体電解質層の相対密度は97%であった。密着層の厚みは5〜10μmであり、インターコネクタ層の厚みは30μmであった。
また、作製された密着層について、ジルコニアに固溶した希土類元素量を確認したところ、原料粉末として用いたジルコニアの希土類元素量と同じであった。ジルコニアに固溶した希土類元素量は、密着層のジルコニア粒子について、TEM:EDS(エネルギー分散型分光分析)により希土類元素、Zr量を定量分析することにより求めることができる。
次に、この燃料電池セルの内部に水素ガスを流し、850℃で10時間、導電性支持体および燃料極層の還元処理を施した。
得られた燃料電池セルについて、密着層とインターコネクタとの界面におけるランタンジルコネートの生成の有無を、TEM(透過型電子顕微鏡)分析により確認し、さらに、インターコネクタと導電性支持体間の電位降下を測定した。
電位降下の測定は、燃料電池セルの空気極層とインターコネクタにPt製の集電部材を形成し、この集電部材に電圧線を取り付けると同時に、燃料ガス流路にPt線を差し込み、参照電極とし、燃料電池セルを750℃に加熱し、空気極層に空気を供給し、燃料極層に燃料ガスを供給し、発電させ、電流を取り出し、0.4A/cmの電流密度の時の参照電極とインターコネクタとの間の電位降下を測定した。
また、密着層とインターコネクタとの界面から1μmの位置におけるLaの含有の有無を、EPMA(波長分散型X線マイクロアナライザ)を用いて半定量分析法により分析し、表1に記載した。
なお、本発明にて作製した燃料電池セルを750℃、0.6A/cmの条件下にて2000時間発電を行い、その後導電性支持体とインターコネクタとの界面をEPMAを用いて観察したところ、本発明の試料ではLaの拡散は生じていなかった。
Figure 0005363888
表1の結果より、希土類元素の固溶量を45モル%以上とした密着層(試料No.1〜5,8〜15)では、Laの拡散を抑制し、ランタンジルコネートの形成が無く、インターコネクタ側の抵抗が小さい(電位降下が小さい)燃料電池セルが得られていることがわかる。また、希土類元素の固溶量を45モル%以上とした密着層(試料No.1〜5)では、Ni−YSZの体積比を40:60から60:40まで変化させても(試料No.1〜5)、その効果は変わらずに発現されていることがわかる。さらに、希土類元素の固溶量が多くなれば、焼成温度の影響を受けることなく、ランタンジルコネートの形成を抑制している。さらに希土類元素の種類を変更させた試料No.13、14においてもその効果は変わらずに発現されていることがわかる。
一方、希土類元素の固溶量が45モル%未満の試料No.6.7では、Laが拡散し、ランタンジルコネートが形成され高抵抗層を形成するために電位降下が大きいことがわかる。
1 導電性支持体
2 燃料ガス流路
3 燃料極層
4 固体電解質層
5 中間層
6 空気極層
7 密着層
8 インターコネクタ
10 固体酸化物形燃料電池セル
11 燃料電池セルスタック装置
18 燃料電池モジュール
23 燃料電池装置
A: 発電素子

Claims (6)

  1. 内部に燃料ガスを流通させるための燃料ガス流路を有する導電性支持体と、該導電性支持体上に密着層を介して設けられた、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型複合酸化物を含有するインターコネクタと、該インターコネクタが設けられていない部分の前記導電性支持体上に設けられた、燃料極層、固体電解質層および空気極層を順次積層してなる発電素子とを具備する固体酸化物形燃料電池セルであって、前記密着層が、45モル%以上の希土類元素が固溶したジルコニアを含有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
  2. 前記密着層は、前記インターコネクタとの界面から1μmの深さの部位においてランタン(La)を含有していないことを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
  3. 貫通孔を有する導電性支持体成形体上に、希土類元素が45モル%以上固溶したジルコニアを含有する密着層成形体が設けられ、該密着層成形体上にランタン(La)およびクロム(Cr)を含有する酸化物粉末を含有するインターコネクタ成形体が設けられるとともに、該インターコネクタ成形体が設けられていない部分の前記導電性支持体成形体上に燃料極層成形体が設けられ、該燃料極層成形体上に固体電解質層成形体が設けられた積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を1350℃〜1450℃にて焼成する工程と、前記固体電解質層成形体を焼結してなる固体電解質層上に空気極層を形成する工程とを具備することを特徴とする固体酸化物形燃料電池セルの製法。
  4. 請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池セルの複数個を、集電部材を介して電気的に直列に接続してなることを特徴とする燃料電池セルスタック装置。
  5. 請求項4に記載の燃料電池セルスタック装置を収納容器内に収納してなることを特徴とする燃料電池モジュール。
  6. 請求項5に記載の燃料電池モジュールと、前記燃料電池セルスタック装置を動作させるための補機とを外装ケース内に収納してなることを特徴とする燃料電池装置。
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