JP2012178257A - 燃料電池用多孔質導電性支持体および固体酸化物形燃料電池セル - Google Patents
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Abstract
【課題】 安価で入手が容易なTiO2を用いた燃料電池用多孔質導電性支持体および固体酸化物形燃料電池セルを提供する。
【解決手段】 NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の体積比を有することを特徴とする燃料電池用多孔質導電性支持体1であり、このような燃料電池用多孔質導電性支持体1に、燃料極層3、固体電解質層4、空気極層6を順次積層してなる固体酸化物形燃料電池セルである。希土類元素を用いない燃料電池用多孔質導電性支持体1を安価に容易に得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】 NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の体積比を有することを特徴とする燃料電池用多孔質導電性支持体1であり、このような燃料電池用多孔質導電性支持体1に、燃料極層3、固体電解質層4、空気極層6を順次積層してなる固体酸化物形燃料電池セルである。希土類元素を用いない燃料電池用多孔質導電性支持体1を安価に容易に得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、燃料電池用多孔質導電性支持体および固体酸化物形燃料電池セルに関する。
近年、次世代エネルギーとして、固体酸化物形燃料電池セルを電気的に直列に複数個接続してなる燃料電池セルスタック装置を収納容器内に収容した燃料電池装置が種々提案されている。
このような固体酸化物形燃料電池セルとして、互いに平行な一対の平坦面を有し、内部に燃料ガスを流通させるための燃料ガス流路を有するとともに、Niを含有してなる導電性支持体の一方側の平坦面上に、燃料極層、固体電解質層、空気極層を順に積層し、他方側の平坦面上にインターコネクタを積層してなる固体酸化物形燃料電池セルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、このような固体酸化物形燃料電池セルの導電性支持体は、NiとY2O3等の希土類元素酸化物を含有するものであった(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載された導電性支持体は、Y2O3等の希土類元素酸化物を含有しており、希土類元素は産出国が限定されており、入手が困難となりつつあり、またコストが高く、さらには、導電性支持体は、固体酸化物形燃料電池セルの中でも大きな体積割合を占めるため、希土類元素が大量に必要であり、近年では、希土類元素を使用しない他の代替材料が要求されていた。
本発明は、安価で入手が容易なTiO2を用いた燃料電池用多孔質導電性支持体および固体酸化物形燃料電池セルを提供することを目的とする。
本発明の燃料電池用多孔質導電性支持体は、NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の体積比を有することを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、多孔質導電性支持体に、燃料極層、固体電解質層、空気極層を順次積層してなる燃料電池セルであって、前記多孔質導電性支持体が、NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の体積比を有することを特徴とする。
本発明の燃料電池用導電性支持体は、従来の希土類元素酸化物を用いることなく、安価で容易に入手できるTiO2を用いるため、安価な導電性支持体を得ることができる。また、NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の体積比を有するため、所望の導電率と気孔率を有することができ、従来のNiとY2O3等の希土類元素酸化物を含有する導電性支持体よりも、固体電解質層の熱膨張
係数に近づけることが可能となる。このような導電性支持体を用いた固体酸化物形燃料電池セルは、安価で良好な発電特性を有することができる。
係数に近づけることが可能となる。このような導電性支持体を用いた固体酸化物形燃料電池セルは、安価で良好な発電特性を有することができる。
図1は、本発明の固体酸化物形燃料電池セル(以下、燃料電池セルと略す場合がある)の一例を示すものであり、(a)はその横断面図である。なお、図1において、燃料電池セル10の一部を拡大して示している。
この燃料電池セル10は、中空平板型の燃料電池セル10で、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状をした燃料電池用多孔質導電性支持体(以下、単に導電性支持体ということがある)1を備えている。この導電性支持体1の内部には、適当な間隔で複数の燃料ガス流路2が長手方向(紙面に対して垂直方向)に形成されており、燃料電池セル10は、この導電性支持体1上に各種の部材が設けられた構造を有している。
導電性支持体1は、図1に示されている形状から理解されるように、互いに平行な一対の平坦面nと、一対の平坦面nをそれぞれ接続する弧状面(側面)mとで構成されている。平坦面nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、一方の平坦面n(下面)と両側の弧状面mを覆うように多孔質な燃料極層3が設けられており、さらに、この燃料極層3を覆うように、緻密質な固体電解質層4が積層されている。また、固体電解質層4の上には、中間層5を介して、燃料極層3と対面するように、多孔質な空気極層6が積層されている。また、燃料極層3および固体電解質層4が積層されていない他方の平坦面n(上面)には、密着層7を介してインターコネクタ8が形成されている。
すなち、燃料極層3および固体電解質層4は、両端の弧状面mを経由して他方の平坦面n(上面)まで形成されており、ZrO2系焼結体からなる固体電解質層4の両端部に、LaCrO3系焼結体からなるインターコネクタ8の両端部が中間層9を介して接合され、固体電解質層4とインターコネクタ8とで導電性支持体1を取り囲み、内部を流通する燃料ガスが外部に漏出しないように構成されている。
言い換えると、平面形状が矩形状のインターコネクタ8が導電性支持体1の長さ方向上端から下端まで形成されており、その左右両側端部が、固体電解質層4の開口した両端部の表面に、中間層9を介して接合している。
燃料電池セル10は、燃料極層3と空気極層6とが固体電解質層4を介して対面している部分が電極として機能して発電する。即ち、空気極層6の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ導電性支持体1内の燃料ガス流路2に燃料ガス(水素含有ガス)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより発電する。そして、かかる発電によって生成した電流は、導電性支持体1に取り付けられているインターコネクタ8を介して集電される。
以下に、本発明の燃料電池セル10を構成する各部材について説明する。
導電性支持体1は、燃料ガスを燃料極層3まで透過させるためにガス透過性であること、インターコネクタ8を介して集電を行うために導電性であることが要求されることから、NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の組成とされている。導電性支持体1の熱膨張係数を、ジルコニア系電解質、ランタンガレード系電解質、セリア系電解質等の固体電解質層4の熱膨張係数(10.6×10−6/K程度)に近づけるという観点から、Niが45〜55体積%、TiO2が55〜45体積%であることが望ましい。
また、導電性支持体1のX線回折測定によるピークは、NiによるピークとTiO2によるピークからなるもので、他のピークは実質的に存在していない。
また、Niは平均粒径0.2〜5μm、TiO2は平均粒径0.3〜10μmとされている。TiO2は不純物が2%以下の高純度のTiO2が安価に市販されているため、これを用いることができる。TiO2は微粉が市販されているため、このような微粉のTiO2原料を用いることにより、導電性支持体1の強度を向上できる。
また、導電性支持体1は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、通常、開気孔率が15%以上、特に30%以上、さらには35〜50%の範囲にあることが好ましい。また、導電性支持体1の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
なお、導電性支持体1の平坦面nの長さ(導電性支持体1の幅方向の長さ)は、通常、15〜35mm、弧状面mの長さ(弧の長さ)は、2〜8mmであり、導電性支持体1の厚み(平坦面n間の厚み)は1.5〜5mmであることが好ましい。導電性支持体1の長さは、100〜150mmとされている。
このような導電性支持体1は、希土類元素酸化物を用いることなく、容易に入手できるTiO2を用いるため、安価な導電性支持体1を得ることができる。また、NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の組成を有するため、所望の導電率と気孔を有することができ、従来のNiとY2O3等の希土類元素酸化物を含有する導電性支持体とほぼ同等の特性を有することができる。
また、導電性支持体1の熱膨張係数を、従来のNiとY2O3等の希土類元素酸化物を含有する導電性支持体よりも、固体電解質層4の熱膨張係数(10.6×10−6/K程度)に近づけることが可能となる。これにより、導電性支持体1と固体電解質層4との間の熱膨張差による剥離等を抑制することができる。
燃料極層3は、電極反応を生じさせるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスにより形成することが好ましい。例えば、希土類元素が固溶したZrO2または希土類元素が固溶したCeO2と、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。なお、希土類元素としては、Y、Yb、Er、Gd、Sm等を用いることができ、例えばYが固溶したZrO2(YSZ)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
燃料極層3中の希土類元素が固溶したZrO2または希土類元素が固溶しているCeO2の含有量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNiあるいはNiOの含有量は、65〜35体積%であるのが好ましい。さらに、この燃料極層3の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。
また、図1の例では、燃料極層3が、密着層7の両サイドにまで延びているが、空気極層6に対面する位置に形成されていればよいため、例えば空気極層6が設けられている側の平坦面nにのみ燃料極層3が形成されていてもよい。すなわち、燃料極層3は平坦面nにのみ設けられ、固体電解質層4が燃料極層3上、導電性支持体1の両弧状面m上および燃料極層3が形成されていない他方の平坦面n上に形成された構造をしたものであってもよい。
固体電解質層4は、3〜15モル%のY、Sc、Yb等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrO2からなる緻密質なセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素としては、安価であるという点からYが好ましい。さらに、固体電解質層4は、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが5〜50μmであることが好ましい。
なお、固体電解質層4と後述する空気極層6との間に、固体電解質層4と空気極層6との接合を強固とするとともに、固体電解質層4の成分と空気極層6の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることを抑制する目的で反応防止層5を備えることもでき、図1に示した燃料電池セル10においては反応防止層5を備えた例を示している。
ここで、反応防止層5としては、CeとCe以外の他の希土類元素とを含有する組成にて形成することができ、例えば、(CeO2)1−x(REO1.5)x(式中、REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数)で表される組成を有していることが好ましい。さらには、電気抵抗を低減するという点から、REとしてSmやGdを用いることが好ましく、例えば10〜20モル%のSmO1.5またはGdO1.5が固溶したCeO2からなることが好ましい。
空気極層6としては、いわゆるABO3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスにより形成することが好ましい。かかるペロブスカイト型酸化物としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにSrとLaが共存するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物の少なくとも1種が好ましく、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaCoO3系酸化物が特に好ましい。なお、上記ペロブスカイト型酸化物においては、Bサイトに、CoとともにFeやMnが存在しても良い。
また、空気極層6は、ガス透過性を有する必要があり、従って、空気極層6を形成する導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、空気極層6の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
また、導電性支持体1の空気極層6側と反対側の平坦面n上には、密着層7を介してインターコネクタ8が積層されている。
インターコネクタ8としては、導電性セラミックスにより形成されている。燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用され、特に導電性支持体1および固体電解質層4の熱膨張係数に近づける目的から、BサイトにMgが存在するLaCrMgO3系酸化物が用いられる。
また、インターコネクタ8の厚みは、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、10〜50μmであることが好ましい。この範囲ならばガスのリークを防止できるとともに、電気抵抗を小さくできる。
さらに、導電性支持体1とインターコネクタ8との間には、インターコネクタ8と導電性支持体1との間の熱膨張係数差を軽減する等のために密着層7が形成されている。
このような密着層7としては、燃料極層3と類似した組成とすることができる。例えば、希土類酸化物、希土類元素が固溶したZrO2、希土類元素が固溶したCeO2のうち少なくとも1種と、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。より具体的には、例えばY2O3とNiおよび/またはNiOからなる組成や、Yが固溶したZrO2(YSZ)とNiおよび/またはNiOからなる組成、Y、Sm、Gd等が固溶したCeO2とNiおよび/またはNiOからなる組成から形成することができる。なお、希土類元素酸化物や希土類元素が固溶したZrO2(CeO2)と、Niおよび/またはNiOとは、体積比で40:60〜60:40の範囲とすることが好ましい。
以上説明した本発明の燃料電池セル10の作製方法の一例について説明する。
先ず、例えば、Niおよび/またはNiO粉末と、TiO2粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形により導電性支持体成形体を作製し、これを乾燥する。なお、導電性支持体成形体として、導電性支持体成形体を900〜1000℃にて2〜6時間仮焼した仮焼体を用いてもよい。
TiO2粉末としては、純度が98%以上のものを用いることができる。これにより、含有する不純物の拡散と、他元素との反応に起因する長期使用時の機能低下を防止することができる。また、平均粒径としては、0.3〜10μmのものを使用できる。
次に、例えば所定の調合組成に従いNiO、Y2O3が固溶したZrO2(YSZ)の素原料を秤量、混合する。この後、混合した粉体に、有機バインダーおよび溶媒を混合して燃料極層用スラリーを調製する。
さらに、希土類元素が固溶したZrO2粉末に、トルエン、バインダー、市販の分散剤等を加えてスラリー化したものをドクターブレード等の方法により、7〜75μmの厚さに成形してシート状の固体電解質層成形体を作製する。得られたシート状の固体電解質層成形体上に燃料極層用スラリーを塗布して燃料極層成形体を形成し、この燃料極層成形体側の面を導電性支持体成形体に積層する。なお、燃料極層用スラリーを導電性支持体成形体の所定位置に塗布し乾燥して、固体電解質層成形体を導電性支持体成形体(燃料極層成形体)に積層しても良い。
続いて固体電解質層4と空気極層6との間に配置する反応防止層5を形成する。
例えば、GdO1.5が固溶したCeO2粉末を800〜900℃にて2〜6時間、熱処理を行い、反応防止層成形体用の原料粉末を調整する。
そして、反応防止層成形体の原料粉末に、溶媒としてトルエンを添加し、反応防止層用スラリーを作製し、このスラリーを固体電解質層成形体上に塗布して反応防止層の塗布膜を形成し、成形体を作製する。なお、シート状の成形体を作製し、これを固体電解質層成形体上に積層してもよい。
続いて、インターコネクタ用材料(例えば、LaCrMgO3系酸化物粉末)、有機バ
インダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、インターコネクタ用シートを作製する。
インダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、インターコネクタ用シートを作製する。
続いて、導電性支持体1とインターコネクタ8との間に位置する密着層成形体を形成する。例えば、Yが固溶したZrO2とNiOとが体積比で40:60〜60:40の範囲となるように混合して乾燥し、有機バインダー等を加えて密着層用スラリーを調整し、導電性支持体成形体に塗布して密着層成形体を形成する。
この後、例えば、MgOを50〜68モル%と、Y2O3を30〜47モル%と、La2O3を3〜5モル%とからなる中間層形成材料、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを調製し、このスラリーを、固体電解質層成形体の両端部に塗布して中間層成形体を作製し、この中間層成形体の上に、インターコネクタ用シートの端部を積層し、積層成形体を作製する。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1400℃〜1450℃にて2〜6時間、同時焼結(同時焼成)する。
さらに、空気極層用材料(例えば、LaCoO3系酸化物粉末)、溶媒および増孔剤を含有するスラリーをディッピング等により反応防止層上に塗布し、1000〜1300℃で、2〜6時間焼き付けることにより、図1に示す構造の本発明の燃料電池セル10を製造できる。なお、燃料電池セル10は、その後、内部に水素ガスを流し、導電性支持体1および燃料極層3の還元処理を行なうのが好ましい。その際、たとえば750〜1000℃にて5〜20時間還元処理を行なうのが好ましい。
図2は、上述した燃料電池セル10の複数個を、集電部材13を介して電気的に直列に接続して構成される燃料電池セルスタック装置の一例を示したものであり、(a)は燃料電池セルスタック装置11を概略的に示す側面図、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置11の一部拡大断面図であり、(a)で示した破線で囲った部分を抜粋して示している。なお、(b)において(a)で示した破線で囲った部分に対応する部分を明確とするために矢印にて示しており、(b)で示す燃料電池セル10においては、上述した反応防止層5等の一部の部材を省略して示している。
なお、燃料電池セルスタック装置11においては、各燃料電池セル10を集電部材13を介して配列することで燃料電池セルスタック12を構成しており、各燃料電池セル10の下端部が、燃料電池セル10に燃料ガスを供給するためのガスタンク16に、ガラスシール材等の接着剤により固定されている。また、燃料電池セル10の配列方向の両端から集電部材13を介して燃料電池セルスタック12を挟持するように、ガスタンク16に下端部が固定された弾性変形可能な導電部材14を具備している。
また、図2に示す導電部材14においては、燃料電池セル10の配列方向に沿って外側に向けて延びた形状で、燃料電池セルスタック12(燃料電池セル10)の発電により生じる電流を引出すための電流引出し部15が設けられている。
ここで、本発明の燃料電池セルスタック装置11においては、上述した燃料電池セル10を用いて、燃料電池セルスタック12を構成することにより、長期信頼性が向上した燃料電池セルスタック装置11とすることができる。
図3は、燃料電池セルスタック装置11を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュール18の一例を示す外観斜視図であり、直方体状の収納容器19の内部に、図2に示した燃料電池セルスタック装置11を収納して構成されている。
なお、燃料電池セル10にて使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器20を燃料電池セルスタック12の上方に配置している。そして、改質器20で生成された燃料ガスは、ガス流通管21を介してガスタンク16に供給され、ガスタンク16を介して燃料電池セル10の内部に設けられたガス流路2に供給される。
なお、図3においては、収納容器19の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されている燃料電池セルスタック装置11および改質器20を後方に取り出した状態を示している。図3に示した燃料電池モジュール18においては、燃料電池セルスタック装置11を、収納容器19内にスライドして収納することが可能である。なお、燃料電池セルスタック装置11は、改質器20を含むものとしても良い。
また収納容器19の内部に設けられた酸素含有ガス導入部材22は、図3においてはガスタンク16に並置された燃料電池セルスタック12の間に配置されるとともに、酸素含有ガスが燃料ガスの流れに合わせて、燃料電池セル10の側方を下端部から上端部に向けて流れるように、燃料電池セル10の下端部に酸素含有ガスを供給する。そして、燃料電池セル10のガス流路より排出される燃料ガスを酸素含有ガスと反応させて燃料電池セル10の上端部側で燃焼させることにより、燃料電池セル10の温度を上昇させることができ、燃料電池セルスタック装置11の起動を早めることができる。また、燃料電池セル10の上端部側にて、燃料電池セル10のガス流路から排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃焼させることにより、燃料電池セル10(燃料電池セルスタック12)の上方に配置された改質器20を温めることができる。それにより、改質器20で効率よく改質反応を行うことができる。
さらに、本発明の燃料電池モジュール18においても、上述した燃料電池セルスタック装置11を収納容器19内に収納してなることから、長期信頼性が向上した燃料電池モジュール18とすることができる。
図4は、外装ケース内に図3で示した燃料電池モジュール18と、燃料電池セルスタック装置11を動作させるための補機とを収納してなる燃料電池装置の一例を示す斜視図である。なお、図4においては一部構成を省略して示している。
図4に示す燃料電池装置23は、支柱24と外装板25とから構成される外装ケース内を仕切板26により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール18を収納するモジュール収納室27とし、下方側を燃料電池モジュール18を動作させるための補機類を収納する補機収納室28として構成されている。なお、補機収納室28に収納する補機類は省略して示している。
また、仕切板26には、補機収納室28の空気をモジュール収納室27側に流すための空気流通口29が設けられており、モジュール収納室27を構成する外装板25の一部に、モジュール収納室27内の空気を排気するための排気口30が設けられている。
以上、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
なお、上記形態では、中空平板型の固体電解質形燃料電池セルについて説明したが、円筒型の固体電解質形燃料電池セル、平板型であっても良く、燃料電池に用いられる多孔質導電性支持体であれば適用できる。
先ず、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、平均粒径0.6μm、純度が99%のTiO2粉末を混合し、有機バインダーと溶媒とで作製した坏土を押出成形法にて成形し、乾燥、脱脂して導電性支持体成形体を作製し、大気中において1480℃で焼成した。この後、得られた焼結体を850℃で10時間還元処理を行った。
還元処理後の焼結体について、X線発光分光分析(ICP)により各元素の定量分析を行い、NiとTiO2の体積比率を求め、表1に示した。
この還元処理後の焼結体について、X線回折測定により存在する結晶相を同定したところ、NiとTiO2からなる結晶相であった。図5に、試料No.2(Ni:TiO2=50:50体積%)のX線回折測定結果を記載した。また、アルキメデス法により、焼結体中の開気孔率を測定し、焼成温度と開気孔率との関係を図6のグラフに表した。
また、それぞれの焼結体について、850℃と1000℃において、JIS R 1618−1994に準拠し、昇温速度10℃/min、加重20gfの圧縮法により空気中で平均線膨張係数を測定し、表1に記載した。
試料No.4に従来のNiとY2O3(Ni:Y2O3=50:50体積%)とからなる組成の平均線膨張係数を記載した。
表1の結果より、試料No.1〜3では、従来のNiとY2O3からなる導電性支持体よりも(試料No.4)、固体電解質層の熱膨張係数(10.6×10−6/K程度)に近づけることができることがわかる。また、図5より、試料No.1〜3では、多孔質導電性支持体のX線回折測定によるピークが、NiによるピークとTiO2によるピークからなることがわかる。さらに、図6より、試料No.1〜3では、大気中において1480℃で焼成した場合には、開気孔率が18%程度であるが、850℃で10時間還元処理後には、40%程度となることがわかる。
1:燃料電池用多孔質導電性支持体
2:燃料ガス流路
3:燃料極層
4:固体電解質層
5:反応防止層
6:空気極層
8:インターコネクタ
9:中間層
2:燃料ガス流路
3:燃料極層
4:固体電解質層
5:反応防止層
6:空気極層
8:インターコネクタ
9:中間層
Claims (3)
- NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の体積比を有することを特徴とする燃料電池用多孔質導電性支持体。
- 多孔質導電性支持体に、燃料極層、固体電解質層および空気極層を順次積層してなる燃料電池セルであって、前記多孔質導電性支持体が、NiとTiO2とからなるとともに、Niが40〜60体積%、TiO2が60〜40体積%の体積比を有することを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
- 前記多孔質導電性支持体のX線回折測定によるピークが、NiによるピークとTiO2によるピークとからなることを特徴とする請求項2記載の固体酸化物形燃料電池セル。
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WO2014207993A1 (ja) * | 2013-06-25 | 2014-12-31 | Jx日鉱日石エネルギー株式会社 | 固体酸化物形燃料電池用のアノード支持体、アノード支持型固体酸化物形燃料電池、及び燃料電池システム |
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2011
- 2011-02-25 JP JP2011040083A patent/JP2012178257A/ja not_active Withdrawn
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