JP4966503B2 - 燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造に関する。さらに詳述すると、本発明は、燃料極支持形の構造をとる平板型の固体酸化物形燃料電池において一層の発電性能の向上を図るための構造の改良に関する。
特許文献1に開示された従来の平板型固体酸化物形燃料電池では、多孔質燃料極と、この多孔質燃料極の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜した電解質膜と、この電解質膜に成膜した空気極膜と、多孔質燃料極の他方の面に成膜したセパレータ膜と、空気極膜に接合した多孔質空気極板とにより、単セルを形成している。そして、この単セルを積層して側面にマニホールド板を取り付けることにより、セルスタックを形成している。この平板型固体酸化物形燃料電池では、多孔質燃料極内を燃料ガスが流通するとともに、多孔質空気極板内を空気が流通するようになっている。
ここで、空気極においては、供給される空気中の酸素と外部回路から供給される(流れてくる)電子との電気化学的な反応により、酸素イオンを生成する。当該生成された酸素イオンは電解質中に入り、さらに燃料極側に移動する。燃料極においては、燃料ガス(例えば水素)と酸素イオンとの電気化学的な反応により、水蒸気と電子を生成する。当該生成された水蒸気は排ガスとして排出され、また当該生成された電子は外部回路に流れていく。燃料電池は、上記の電気化学的反応が進むことにより発電する。したがって、上記の電気化学的反応をよりスムーズに、かつより速く進めることによって、それだけ多くの電気を取り出すことができるようになり、高出力化にもつながる。
ところが、特許文献1に開示された構造では、空気極膜と多孔質空気極板という別個の部材を接合して空気電極を構成しているために、電気的な損失を生じてしまっている。すなわち、まず空気極における電気化学的反応は、基本的には空気極材料の粒子と電解質表面との接触点または接触面において主に起こるため、空気極として実際に機能するのは電解質膜上に成膜した空気極膜である。これに対して多孔質空気極板は、専ら電気化学反応に必要な空気を供給するための部品であり、また電子を流すための部品であるといえる。要するに、空気極膜と多孔質空気極板とを接合することとした場合、電子の流れ(電流)に対して接触抵抗が生じる虞がある。また、実質的に空気極として機能する空気極膜に向かって多孔質空気極板内を空気が移動(ガス拡散)しなければならないが、多孔質空気極板が空気の速やかな移動を妨げる障害物となってしまう。したがって、これらが原因となって空気極におけるスムーズな電気化学的反応が妨げられてしまうことがある。また、電気化学的反応で生じた電子は、空気極膜と多孔質空気極板の双方を移動しなければならず、電子の移動距離が長くなるため結果的に電気抵抗が大きくなってしまう。
さらに、特許文献1に開示された構造では、空気極膜の他に多孔質燃料極板を使用するため、単セルやセルスタックの大きさが嵩んでしまう問題がある。また、高価な空気極材料を多用するため、コスト高となる問題もある。
そこで、上記のような問題を解決するための技術として、コンパクトに構成できること、空気極材料の使用量を減らせること、空気極における電気的な損失を無くせることといった目的を実現できるようにした燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造に関する技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
例えば上記した特許文献2の技術によれば、単セルに空気流路を付設することにより、空気極で作製した多孔質基板の使用が省略可能となり、原料費や材料費の削減による全体的なコストの削減と電気的な損失を減らすといった効果を得ることができる。
PCT/JP99/02897(国際公開番号 WO 00/74159) 特開2004−247085号公報
しかしながら、上記のような効果を得ることができる一方で、さらなる性能向上を達成するべく構造改良を行なう余地があった。すなわち、これまでは、燃料極材料を支持基板とする燃料極支持形構造の固体酸化物形燃料電池(SOFC)の開発を進めるにあたり、当該電池のスタックにはこの構造(燃料極支持形構造)を有する単セルと空気極材料で作製した多孔質基板(接続部材)とが交互に並べられていたが、このようなスタック構造では、空気極材料を大量に必要とするためコスト高になり、尚かつ、接続部材の電気的抵抗分だけ性能低下(電圧損失)が生じていたといった面もあった。
そこで本発明は、コンパクトに構成すること、空気極材料の使用量を減らすこと、さらに空気極における電気的な損失を無くすことができ、併せて、一層の発電性能の向上、ならびに製造費用の低コスト化と電池スタックのコンパクト化を可能にする燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明者は種々の実験と検討を行なった。この中で、発明者は特に電池のスタックに燃料極支持形構造を有する単セルと空気極材料で作製した多孔質基板(接続部材)とが交互に並べられていたという構造に着目し、空気極基板の省略を可能とする空気流路を付設した構造をとるという単セル構造について研究した。併せて、発明者は単セルの空気流路側に成膜される構成部材としてはインターコネクタが望ましいか、あるいは空気極が望ましいかについても検証した。
本発明にかかる燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造はこのような検証と研究の結果想到した技術に基づくものであり、多孔質体から成る燃料極と、該燃料極の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜された電解質膜と、該電解質膜に成膜されて形成された空気極膜と、隣接する他の単セルの空気極膜に空気を供給する格子状の溝から成る空気流路と、燃料極の他方の面に成膜されたインターコネクタ膜とを備えていることを特徴としている。
このように、隣接する他の単セルに空気を供給するための空気流路が形成されていることから、スタックされた場合の各単セルは隣接する単セルの当該空気流路を通じて空気の供給を受けることができる。このため、単セル自体、空気極膜に空気を供給するための多孔質空気極板を備える必要がない。
また、この場合、燃料極と空気極膜との接触面の面積が、これらの接触面を平面とした場合の面積よりも、スタック方向における溝の深さに対応して増すため、セルスタックあたりの出力向上、出力密度あたりのコスト低減につながる。
また、この燃料極支持形固体酸化物形燃料電池における空気流路は、膨張挙動が燃料極、電解質膜および空気極膜と同等であって電子導電性を備え、尚かつ燃料極の基板よりも小さなブロックを、インターコネクタ膜上に複数配置することによって格子状に形成されたものである。この場合、全ブロックの合計面積が基板面積を超えてはならないこと、さらに空気の流通とスタック化した際の次のセルとの電気的なつながりを確保しなければならないことを考慮すれば、ブロックの大きさは燃料極(アノード)の基板面積の半分程度であることがより好ましい。また、膨張挙動に関しては、熱膨張率の基準を8YSZの10.3×10-6K-1だとした場合、Ni-YSZサーメットアノード12.5×10-6K-1、LnSrMnOカソード11.2〜13.2×10-6K-1、インターコネクタ9.2×10-6K-1であることから(「固体酸化物燃料電池と地球環境」(アグネ承風社、田川博章著)参照)、8YSZの熱膨張率の±3割程度を基準にしたとして7〜13×10-6K-1が同等といえる範囲となる。
しかして、請求項1に記載の燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造によれば、多孔質空気極板が不要となり、燃料電池のコンパクト化が可能となる。また、高価な空気極材料の使用量を減じることができるため原料費および材料費を削減できる。さらに、多孔質空気極板を無くすことで、多孔質空気極板において生じてしまっていた電気的な損失を無くす効果もある。加えて、多孔質空気極板を無くすことにより空いたスペースの分だけ単セルを数多くスタックすることができるため、換言すれば多孔質空気極板に換えて単セルをスタックすることができるため、セルスタックの体積あたりの出力を向上することができる。
また、燃料極にインターコネクタ膜を成膜し、燃料極とインターコネクタ膜とが一体化されるので、燃料極とインターコネクタ膜との間の接触抵抗(接触部分の電気抵抗)を大幅に低減できる。これにより、発電性能を向上することができる。さらに、燃料極材料は空気極材料等と比較して一般に機械的強度も高く電気伝導率も高くさらに熱伝導率も高くしかも低コストであることから、燃料極を基板とすることで、空気極等を基板とする場合よりも燃料電池の強度および発電性能を向上でき製造費を低減できる。したがって、固体酸化物形燃料電池の製造コスト削減と高性能化ならびにコンパクト化を図ることが可能となる。
しかも本発明においては、従来のように一方向に形成された溝のみならず、その垂直方向にも溝を形成して互いに交差する格子状の複数溝によって空気流路を形成していることから、電池の発電反応面への空気供給量が多くなることが望め、より一層の発電性能の向上を図ることが可能となる。さらに、単セルを積層(スタック)した場合には、空気流路から供給される空気が隣接する単セルの多孔質である空気極膜中を発電反応面まで移動して発電反応を起こすことになるが、本発明のように格子状の空気流路を形成した場合には、空気供給方向のみに空気供給用の流路をもつ単セルと比較して空気極膜中を移動する空気の移動距離が短くなることからこの点でも発電性能の向上につながる。
また、単セルの出力が向上する結果、燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の製造費用の低コスト化と、燃料電池スタックのコンパクト化とが可能となる。つまり、燃料極を支持基板としたより性能の優れた単セルが得られる結果、固体酸化物形燃料電池の高性能化とコスト削減、さらにコンパクト化を実現することが可能となる。
さらに、必要に応じて空気流路の間隔や数などを適宜変えやすく、目的や用途に応じた形態としやすくなる。また、燃料極(アノード)の基板の製造においては、単に平板に貫通孔を設けた構造の基板を作製すれば良く、製造が容易になるという利点がある。さらには、電解質やインターコネクタ膜の製造においても、単なる平面上への成膜で済むために、その工程がより簡便かつ容易になるという利点もある。以上から、セルの製造がより簡単になり、製造コストの削減につながるという効果が得られる。
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1から図6に本発明の実施の一形態を示す。この燃料極支持形固体酸化物形燃料電池は、多孔質体から成る燃料極2と、該燃料極2の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜されて形成された電解質膜3と、該電解質膜3に成膜されて形成された空気極膜4と、隣接する他の単セル1の空気極膜4に空気を供給するために燃料極2の他方の面に形成された格子状の溝から成る空気流路6と、この空気流路6が形成された面に成膜されて形成されたインターコネクタ膜5とを備えているものである。つまり、格子溝は、燃料極2の各面のうちインターコネクタ膜5が成膜される面に形成され、さらにこれら溝が形成された燃料極2の面には均一な膜厚もしくはほぼ均一となる膜厚のインターコネクタ膜5が成膜されて空気流路6が形成されている。なお、図1から図3にはこの燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造を概念的にわかりやすく表した図を示している。また、図4から図6までには本発明にかかる燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造の実施形態を示している。
この単セル1では、燃料極2によって単セル1の必要強度を確保するように、すなわち燃料極2が支持体としても機能するように、燃料極2を板材(セル基板)とし、電解質および空気極およびインターコネクタをそれぞれ膜としている。例えば、セル基板となる燃料極2の板厚を数mm(例えば1〜10mm程度)とするのに対して、電解質膜3、空気極膜4、インターコネクタ膜5の膜厚を数μm〜数十μm程度(例えば電解質膜3を30μm程度、空気極膜4を100μm程度、インターコネクタ膜5を50μm程度)としている。
本実施形態における燃料極2の材料は、例えば酸化ニッケル(但し燃料電池作動時には金属ニッケルに変化する)と、8モル%のイットリアを固溶して結晶構造を安定化させたジルコニアとの混合物(NiO−8YSZ(Zr0.920.08)サーメット)としている。このニッケルとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の混合材料は、燃料極支持形の固体酸化物形燃料電池の燃料極材料として一般的に用いられている。燃料極2は、多孔性の例えば矩形の板材から成るものとしている。この多孔性の板材は、燃料ガスを十分に流通できるとともに、単セル1として必要な強度と電子や酸素イオンの十分な導電性とを有するように形成する。燃料極2を多孔質体により形成することで、電極部材の単位容積当たりの燃料ガスとの接触面積を広くして発電性能の向上を図ることができる。また、リブ等を設けてガス流路を形成する複雑な構造に比べて単セル1の構造を簡素化できるので、組立精度を高くする必要が無くなる。よって、セルスタックの製造を容易にできるとともに熱応力や外力に対して高強度化を図ることができる。さらに、セルスタックが高強度化されるので、多孔質燃料極2等の寸法を拡大してセルスタックの発電性能の向上を図ることができる。
さらに、燃料極2に使用する材料としては、本件の出願人によって既に出願された発明にかかる燃料極材料の使用が特に好ましい。この燃料極材料は、比較的大きな粒径を有するYSZ粗粒子群と比較的小さな粒径を有するYSZ微粒子群と酸化ニッケルまたはニッケル粒子群との混合物(特願平7−127375号参照)である。この混合物によれば、燃料極2の内部でYSZ粗粒子により骨格が形成されるので単セル1の強度を向上することができるとともに、高温・還元雰囲気下において気孔率の変化や体積の収縮を極めて低減できるので燃料極2の長寿命化および高性能の長期安定化を図ることができる。
この燃料極2を製造する際は、酸化ニッケルとYSZを混合してから例えばメチルセルロースやポリビニルアルコール等の成形剤を加えてプレス成形する。または、この酸化ニッケルとYSZと成形剤の混合材を粘土状にして押し出し成形する。そして、得られた成形材を1400℃程度で焼結して多孔質燃料極2を形成する。ここで、プレスや押し出しの圧力の強さや焼結温度の製造条件は、形成された多孔質燃料極2が燃料ガスを容易に通過できる程度の気孔率を有し、尚かつ単セル1として必要な機械的強度を有するように設定することが望ましい。ここで、機械的強度を多孔質燃料極2の材質から成る無垢の固体よりも弱く設定した場合は、セルスタックの発電動作時の熱応力を吸収して緩和することができるので、セルスタックの強度を向上できるという利点がある。
本実施形態におけるインターコネクタ膜5の材料は、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物(以下、「LCO」とも呼ぶ)としている。インターコネクタ膜5をLCO製とすることで、燃料電池の作動温度を1000℃付近にすることが可能となるので、作動温度の低温化を余儀なくされる金属セパレータを使用する場合と比較して、プラント効率を向上できる。このランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物は、例えば下記の化学式で表記できる。
[化1]
(La,A1)(Cr,B1)O
ここで、化学式1中のA1,B1はランタンクロマイト(LaCrO)にドープされる物質であり、例えばA1はストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等であり、B1はコバルト(Co)、マグネシウム(Mg)等である。緻密なインターコネクタ膜5を得るためには、特にカルシウムをドープすることが好ましい。但し、場合によっては化学式1中のA1,B1の一方または双方が含まれなくても良い。例えば本実施形態ではインターコネクタ材料として一般に用いられているLa0.75Ca0.27Cr0.9Co0.1を使用する。この材料は、実際には(La,Ca)(Cr,Co)O とCaOの混合相であり、少量の過剰なCaOを添加することによって緻密な膜を得るようにしたものである。
ここで、本発明者が種々実験・検討したところ、ジルコニアを組成に有する燃料極2に、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物によりインターコネクタ膜5を成膜する過程において、インターコネクタ材料に含まれるランタンやカルシウムと、燃料極材料に含まれるジルコニアとが化学反応(固相反応)を起こしてしまうことが知見された。当該反応により、本来緻密なインターコネクタ膜5を得るためのカルシウムが燃料極材料に吸収されてしまう形となり、緻密なインターコネクタ膜5を得ることができない。しかも、当該反応により、電気抵抗が高く熱膨張挙動が他のセル構成材と大きく異なる物質(パイロクロール型酸化物(例えば、ランタンジルコネートLaZrなど))が発現してしまう。特に、本実施形態においてインターコネクタ材料として用いるLa0.75Ca0.27Cr0.9Co0.1はカルシウムを過剰に含むため、このカルシウムが燃料極材料に含まれるジルコニアと反応してしまいやすい。そこで、本実施形態では、特に図示はしていないが、燃料極2の上に中間層を成膜し、その中間層の上にインターコネクタ膜5を成膜するようにしている。
この中間層は、燃料極2が備えるべき機能(例えば導電性やガス拡散性など)やインターコネクタ膜5が備えるべき機能(例えば導電性、気密性、耐熱性、耐食性など)を損なわせる化学反応(固相反応)を防止する役割を果たす。中間層を設けることで、インターコネクタ材料に含まれるランタンやカルシウムが、燃料極材料に含まれるジルコニア(酸化ジルコニウムZrO)と反応してしまうことを防止する。そのような中間層の材料としては、チタン系ペロブスカイト型酸化物(例えばCaTi0.95Nb0.05など)またはセリウム系蛍石型酸化物(例えばCe0.80.2など)が有効である。
チタン系ペロブスカイト型酸化物は、例えば下記の化学式で表記される。
[化2]
(A2,B2)(Ti,C2)O
ここで、化学式2中のA2は、例えばカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、マグネシウム(Mg)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属である。化学式2中のB2は、同式中のA2の一部と置換可能な金属であり、例えばLn(ランタノイド元素(La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)を示す。)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)などの3価の金属である。化学式2中のC2は、同式中のチタンの一部と置換可能な金属であり、例えばニオブ(Nb)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ガリウム(Ga)、スカンジウム(Sc)等である。化学式2中のA2を金属B2で部分置換することおよびチタンを金属C2で部分置換することで、中間層における電気伝導率が高まり燃料電池の性能を向上できる。但し、チタンの5割以上を金属C2で置換すると物性が変化してしまう虞があるので、金属C2による部分置換はチタンの5割未満とすることが好ましい。なお、化学式2中のB2,C2の一方または双方が含まれなくても良く、例えばカルシウムタイタネート(CaTiO)を中間層の材料として用いても良い。
一方、セリウム系蛍石型酸化物は、例えば下記の化学式で表記される。
[化3]
(Ce,A3)O
ここで、化学式3中のA3は、同式中のセリウムの一部と置換可能な金属であり、例えばイットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、カルシウム(Ca)等である。化学式3中のセリウムを金属A3で部分置換することで、中間層における電気伝導率が高まり燃料電池の性能を向上できる。但し、セリウムの5割以上を金属A3で置換すると物性が変化してしまう虞があるので、金属A3による部分置換はセリウムの5割未満であることが好ましい。なお、化学式3中のA3は含まれなくても良い。例えば本実施形態では、中間層材料としてCe0.80.2を用いる。
なお、中間層材料は、チタン系ペロブスカイト型酸化物とセリウム系蛍石型酸化物の少なくとも一方を含む混合物であっても良い。例えば、燃料極2の材料およびインターコネクタ膜5の材料に悪影響を及ぼさない物質であって、導電性、耐熱性、耐食性、耐酸化性などの好ましい物性を備えた物質を、チタン系ペロブスカイト型酸化物またはセリウム系蛍石型酸化物またはチタン系ペロブスカイト型酸化物とセリウム系蛍石型酸化物との混合物に混合して、これを中間層材料としても良い。例えば、LCOおよびNiOおよびYSZに悪影響を及ぼさない金属(例えばNiOやFe酸化物(FeO))をCe0.80.2に混合することにより、例えばCe0.80.240gに対してNiO60g程度を混合することにより、全体の導電性を損なうことなく緻密なインターコネクタ膜を得ることができる。
ここで、中間層およびインターコネクタ膜5はスラリーコート法により成膜することが好ましい。この場合、中間層材料をスラリー化し、このスラリーを基板となる燃料極2に塗布し、熱処理(焼成)を行ない、燃料極2の上に中間層を成膜する。さらに、インターコネクタ膜5の材料をスラリー化し、このスラリーを中間層に塗布し、熱処理(焼成)を行ない、中間層の上にインターコネクタ膜5を成膜する。この場合、物理蒸着法、化学蒸着法、電気化学蒸着法、溶射法等と比較して、大掛かりな設備を必要とせず安価であり、しかもスラリーの濃度やスラリーの塗布および焼成の回数を調整することで簡単に膜厚の制御を行なえる利点がある。スラリー濃度やスラリー塗布・焼成回数により膜厚制御を行なうことは、歩留まりの向上、一層の薄膜化の実現による燃料電池の性能向上、要求される厚さの緻密膜を成膜するのに必要な原料の量が明らかになるため余分な材料を削減しコストを削減できる、等々の好ましい効果を生む。但し、必ずしも上述のスラリーコート法を用いることには限定されず、例えば塗布熱分解法、ゾルゲル法、ディッピング、未焼成の燃料極2にテープキャスト法で作製した未焼成膜を取り付けてこれらを同時に焼結する同時焼結法、などを採用しても良い。
中間層およびインターコネクタ膜5の膜厚は、薄いほど電気抵抗が小さくなり好ましいが、インターコネクタ膜5が薄過ぎると燃料ガスと空気を分離するなどのインターコネクタ膜5として必要とされる機能を果たさなくなる虞があり、中間層が薄過ぎるとインターコネクタ材料中のランタンやカルシウムが燃料極材料中のジルコニアと反応してしまう虞がある。このため、本実施形態では、インターコネクタ膜5の膜厚を50μm程度とし、中間層の膜厚を1〜10μm程度としている。
スラリーを得るための中間層材料およびインターコネクタ膜5の材料の粉体は、例えば粒径0.1〜10μmの範囲であることが好ましく、また緻密膜を得るために理論的には充填率が高いものが理想的であるから、ある程度小さな粒子と大きな粒子が良いバランスで混ざっているもの(例えば平均粒径0.3μm〜0.4μm程度の粒子と平均粒径2μm程度の粒子が4:1の比となる程度)が好ましい。
中間層材料およびインターコネクタ材料をスラリー化するために用いる溶媒は特に限定されず、例えば水または水溶液(例えば硝酸水溶液、酢酸水溶液、有機酸塩水溶液など)あるいは有機溶媒(例えばトルエン、イソプロパノールなど)のいずれを選択しても良い。特に有機溶媒の利用は、インターコネクタ材料の成分が溶媒に溶ける虞がないという点で好ましい。また、有機溶媒を用いる場合に、結合剤、解膠剤、消泡剤、分散剤などの添加剤を加えても良い。また、水または水溶液を溶媒として用いる場合に、結合剤、消泡剤、分散剤、増粘剤、界面活性剤などの添加剤を加えても良い。
例えば本実施形態では、中間層用スラリーとインターコネクタ膜5用スラリーとを同じ条件で調製し、スラリーの塗布および焼成の回数を調整することで所望の膜厚を得るようにしている。
良好な膜を得るためのスラリーの組成の具体例を挙げると、例えば有機系スラリーの場合は、成膜材料(中間層材料またはインターコネクタ材料)100gに対して、結合剤としてポリビニルブチラールを10g、可塑剤としてジブチルフタレートを10ml、解膠剤として魚油を2ml、消泡剤としてトリトンXを2ml、溶媒としてトルエン300〜600mlおよびイソプロパノール600〜1200ml(この場合、トルエンとイソプロパノールの容積比は1:2となることが好ましい)を混合して、スラリーを調製する。また、水系スラリーの場合は、成膜材料(中間層材料またはインターコネクタ材料)3.5gに対して、分散剤として第一工業製薬製のD−134を0.78g、消泡剤として第一工業製薬製のN−14を0.22g、増粘剤および界面活性剤として水溶性の高分子(セルロース)である信越化学工業製のメトローズを溶媒の0〜数10質量%、溶媒として水50gを混合して、スラリーを調製する。また、水溶液系スラリーの場合は、成膜材料(中間層材料またはインターコネクタ材料)に、増粘剤および界面活性剤としてメトローズを溶媒の0〜数10質量%、溶媒として水溶液(硝酸水溶液、酢酸水溶液、有機酸塩水溶液など)を混合して、スラリーを調製する。上記のスラリーを、中間層については例えば1〜7回位、インターコネクタ膜5については例えば7〜20回位、塗布および焼成を繰り返す。
焼成温度は高温であるほど一般に緻密な膜が得られるが、1450℃を超える高温で処理すると燃料極2の物性が変化して、燃料極2として機能しなくなってしまう虞がある。このため、焼成温度は1400〜1450℃程度であることが好ましい。また、1回の焼成時間は1〜10時間程度(通常は1〜3時間程度)、昇温速度は100〜233℃/時間程度(通常は200℃/時間程度)であることが好ましい。
燃料極2と空気極膜4との間に介在される電解質膜3としては、例えば燃料ガスや空気を流通させない程度に緻密なYSZ膜の使用が好ましい。また、成膜法によっては多孔質燃料極2の微小な多数の孔に電解質膜3のYSZが入り込む。このため、従来のようにYSZの平板上に燃料極膜を成膜させる場合よりも、燃料極2の電解質膜3との接触面積を広くして電極反応場を増大するとともに酸素イオンパスを多量に形成することができる。したがって、燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の性能を向上できる。また、本実施形態では電解質膜3をYSZ膜から成るものとしているが、これには限られず電解質膜3として使用可能な既知のもしくは新規の材料を使用するようにしても良い。この場合も燃料極2と電解質膜3との接触面積を広くして電極反応場を増大することができる。
空気極膜4は、電解質膜3を挟んで多孔質燃料極2と反対側に形成される。この空気極膜4は、ランタンストロンチウムマンガナイト(La,Sr,Mn,Oの化合物)の膜から成るものとしている。このランタンストロンチウムマンガナイトは燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の空気極材料として一般的に用いられている。さらに、空気極膜4に使用する材料としては、本件出願人によって既に出願されている発明にかかる空気極材料が好ましい(特願平2−273174号参照)。特に、ストロンチウムドープランタンマンガナイトの主成分の各々の元素が(La1−xSr1−yMnO3−zであり、かつ0.2≦x<0.4および0.025<y<0.05を満足するストロンチウムドープランタンマンガナイト粉体の利用が好ましい。なお、添字のzは、通常約±0.1程度であるが、このzの値は温度、時間、不定比量y置換量xによって変化することから、その値を正確に規定することは余り意味がないのでここでは特に説明しない。この材料によれば、燃料電池の作動温度付近においても単相であり化学的に安定なので、YSZとの化学的反応性が小さくYSZ膜を成膜するときや発電作動中に発電性能に悪影響を及ぼす反応生成物を生ずることがない。本実施形態では空気極膜4をランタンストロンチウムマンガナイトから成るものとしているが、これには限られず空気極材料として既知のもしくは新規の材料を使用できるのは勿論である。この場合も空気極を膜により形成することで発電性能の向上を図ることができるとともに、単セル1の構造の簡素化により熱応力や外力に対して高強度化を図ることができる。
なお、電解質膜3および空気極膜4の成膜方法は、スラリーコート法、塗布熱分解法、ゾルゲル法等の既知の成膜法を用いることができ、特定の方法に限定されない。
ここで、燃料極2の側面部2aではガスシールがなされている必要がある。このために例えば本実施形態では、インターコネクタ膜5で燃料極2の側面部2aを覆い、さらに電解質膜3によってその上を覆い、ガスシールを行なうようにしている(図4および図5参照)。但し、インターコネクタ膜5のみまたは電解質膜3のみにより燃料極2の側面部2aを覆い、ガスシールを行なうようにしても良い(図8参照)。あるいは、インターコネクタ膜5や電解質膜3とは別個のシール材(例えば、ガラスセラミックスやガラス板あるいはYSZ膜など)によって、あるいはマニホールド板11によって、燃料極2の側面部2aのガスシールを行なうようにしても良い。
ここで、本実施形態の燃料極2は多孔性であるため燃料ガスの流通は可能であるが、燃料極2への燃料ガスの供給をさらに良好に行なうために、燃料ガスを流通させる燃料ガス流路2bを燃料極2に設けることがより好ましい(例えば図1、図4等参照)。なお、図4および図5に示す例では、燃料ガス流路2bを円筒形の孔としているが、これに限らず、例えば角柱形または角柱形であってその四隅の角を丸めた形などに形成しても良い。例えば本実施形態では、格子状に形成された空気流路6の一方側の流路とこの燃料ガス流路2bとが平行となるように設けている(図1、図2参照)。なお、空気の流れ(図3において矢印で示す主流の方)とこの燃料ガスの流れとは並行流であっても良いし、これとは逆に対向流であっても良い。また、場合によっては空気の主流方向とこの燃料ガスの流れとを垂直に交差させる構造とすることも可能である。つまり、上述した実施形態における格子状の空気流路6を時計回り方向または反時計回り方向の90°回転させたときの形態である。
空気流路6は、燃料極2のうち、電解質膜3および空気極膜4が形成された面(例えば表面)とは反対側となる面(例えば裏面)に形成されている(図1等参照)。ここで、本実施形態においては一方向にのみ延びる平行溝ではなく、垂直に交差するように形成された格子状の溝を設け、さらに当該溝が形成された燃料極2の面に均一な膜厚もしくはほぼ均一となる膜厚のインターコネクタ膜5を成膜して空気流路6を形成している(図1、図2参照)。こうした場合、従来のように一方向にのみ延びる平行溝で流路が形成されていた場合と比べ、電池の発電反応面への空気供給量が多くなることが望めることからより一層の発電性能の向上が見込めるという利点がある。また、単セル1を積層(スタック)する場合においては、空気流路6から供給される空気が隣接する単セル1の多孔質である空気極膜4中を発電反応面まで移動して発電反応を起こすことになるが、このように格子状の空気流路6を形成した場合には、空気供給方向のみに空気供給用の流路をもつ単セルと比較して空気極膜4中を移動する空気の移動距離が短くなることからこの点でも発電性能の向上につながる。さらに、燃料極2を支持基板(セル基板)とした更に性能の優れた単セル1が得られる結果、固体酸化物形燃料電池の高性能化とコスト削減、さらにコンパクト化を実現することが可能になるという利点がある。なお、図3においては、単セル積層時に隣接する単セルと接触する部分を、空気流路6よりも薄い色で示している(図3参照)。
ちなみに、ここで説明した格子状の空気流路6というのは、空気流路6のもっとも好ましい形態の一つにすぎない。すなわち、空気流路6を格子状とした場合の利点として、電池の発電反応面への空気供給量を多くできる、空気極膜4中における空気移動距離を短くできる、といった点があるのだから、格子状以外の形態であっても、これと同等あるいは同様の利点があるのであれば特にこの形状および形態に限られることはない。例えば、両方向の溝が垂直に交差するのみならず、一方の溝を斜めに形成した形態としてもよいし、縦方向の溝と横方向の溝とで溝幅や断面形状を異ならせる形態としてもよい。要は、格子状とするのは単セル1の製作面をも考慮した好適な形態であるが、上記のような利点を得るという面からすれば特に格子状の空気流路6に限定されるわけではない。
また、セルスタックの形成は、単セル1のインターコネクタ膜5が隣接する他の単セル1の空気極膜4に当接するように単セル1が積層され、単セル1を積層した積層体の側面にマニホールド板11が取り付けられることによって行なわれる。単セル1の積層数は形成される燃料極支持形固体酸化物形燃料電池に必要とされる電圧に応じて設定され、特に限定されない。ここで、本実施形態の空気流路6の一方(交差する両流路のうちの一方側)と燃料ガス流路2bとは、単セル1の端から端を貫通する直線状の孔となっている。換言すれば、本実施形態の空気流路6の一方と燃料ガス流路2bとは、互いに向かい合うある一対のマニホールド板11,11間を結ぶ直線状の孔となっている。一対のマニホールド板11,11には、燃料ガス流路2bと対向する部分に燃料ガス流通口12が形成され、空気流路6の一方と対向する部分に空気流通口13が形成される(図6参照)。なお、マニホールド板11は快削性のガラスセラミックス製とすることが好ましい。この場合、1100℃程度の熱処理でマニホールド板11を積層体の側部に溶着することができ、セルスタックのガスシールを行なうとともに単セル1同士の結合を行なえる。さらに、マニホールド板11と積層体の熱膨張率を同等にすることができ、熱応力によるセルスタックの破壊を防止できる。さらに、燃料ガス流通口12や空気流通口13の穿孔作業を容易に行なうことができる。
以上のように本発明によれば、従来(特許文献1参照)のような多孔質空気極板は不要となり、燃料電池のコンパクト化が可能となる。さらに、高価な空気極材料の使用量を減じることができるため原料費および材料費を削減できる。さらに、多孔質空気極板を無くすことで、多孔質空気極板において生じてしまっていた電気的な損失を無くす効果も得られる。また、多孔質空気極板を無くすことにより空いたスペースの分だけ単セル1を数多くスタックすることができるため、換言すれば多孔質空気極板に換えて単セル1をスタックすることができるため、セルスタックの体積あたりの出力を向上させることができる。
また、基板となる燃料極2にインターコネクタ膜5を成膜することで、燃料極2とインターコネクタ膜5とが一体化され、燃料極2とインターコネクタ膜5との間の接触抵抗(接触部分の電気抵抗)を大幅に低減できる。これにより、発電性能を向上することができる。さらに、燃料極材料は空気極材料等と比較して一般に機械的強度も高く電気伝導率も高くさらに熱伝導率も高くしかも低コストであることから、燃料極2を基板とする方が空気極等を基板とする場合よりも燃料電池の強度および発電性能を向上でき製造費を低減できる。
加えて、本実施形態の燃料極支持形固体酸化物形燃料電池においては、従来のように一方向に形成された溝のみならず、その垂直方向にも溝を形成して互いに交差する格子状の複数溝によって空気流路6を形成していることから、電池の発電反応面への空気供給量を多くして、より一層の発電性能の向上を図ることができる。さらに、単セル1を積層(スタック)した場合、空気供給方向のみに空気供給用の流路をもつ単セルと比較して空気極膜4中を移動する空気の移動距離が短くなることからこの点でも発電性能の向上につながる。
また、単セル1の出力が向上する結果、燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の製造費用の低コスト化と燃料電池スタックのコンパクト化とが可能となる。つまり、燃料極を支持基板としたより性能の優れた単セル1が得られる結果、固体酸化物形燃料電池の高性能化とコスト削減、さらにコンパクト化を実現することが可能となる。
なお、付言しておくと、ランタンクロマイト系ペロブスカイト型酸化物を用いた本実施形態の燃料極支持形固体酸化物形燃料電池においては、空気極膜4とインターコネクタ膜5との接触面で化学的な反応が起こり、電気的に高抵抗な物質や熱膨張挙動が不整合な物質を作るようなことがない。固体酸化物形燃料電池(SOFC)における材料がある程度限定された現状の技術を前提にすると、燃料電池が作動する際の雰囲気ではほとんど問題がないことが確認されている。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば燃料極2、電解質膜3、空気極膜4、インターコネクタ膜5等の諸材料は上述の例に限定されず、他の既知のまたは新規の材料を採用しても良い。また、電解質膜3、空気極膜4、インターコネクタ膜5の成膜方法等も特に限定されるものではなく、既知のまたは新規の方法を採用して良い。
また、燃料極2のうちインターコネクタ膜5が成膜される面に空気流路6を形成する構造(または、インターコネクタ膜5に空気流路6を形成する構造)として、例えば図7に示すように、インターコネクタ膜5そのものに空気流路6としての溝を形成するようにしても良い。この場合、インターコネクタ膜5を成膜する燃料極2の面は平面にできる。この場合も多孔質空気極板は不要となるので、上述の実施形態と同様に燃料電池の製造コスト削減と高性能化ならびにコンパクト化を図ることが可能となる。但し、図4に示す構成のほうがインターコネクタ膜5の平均膜厚を薄くできるので、電気抵抗を小さくできる利点がある。
また、図8に示すように、隣接する単セル1のインターコネクタ膜5と対向する空気極膜4の面にも、空気流路6’を形成するようにしても良い。図7に示す例では、電解質膜3および空気極膜4が積層される燃料極2の面に空気流路6’を形成するための溝を形成し、この溝が形成された燃料極2の面に、均一な膜厚もしくはほぼ均一となる膜厚の電解質膜3と空気極膜4とを成膜するようにしている。この構成の場合、燃料極2と電解質膜3との接触面および空気極膜4と電解質膜3との接触面の面積が、これらの接触面を平面とした場合の面積よりも、スタック方向における溝の深さに対応して増すため、セルスタックあたりの出力向上、出力密度あたりのコスト低減につながる効果も得られる。なお、図7においてインターコネクタ膜5そのものに空気流路6としての溝を形成したように、空気極膜4そのものに空気流路6’としての溝を形成するようにしても良い。ここで、図8に示すように、インターコネクタ膜5に設けた空気流路6と、このインターコネクタ膜5と対向する空気極膜4に設けた空気流路6’とを、互いに向き合うように配置する場合、大きな空気流路を形成できる。一方、図9に示すように、インターコネクタ膜5に設けた空気流路6と、このインターコネクタ膜5と対向する空気極膜4に設けた空気流路6’とが重ならないように、互い違いとなるように配置しても良い。この場合、空気流路を多数設けることができる。なお、図9に示す構成の場合には、セルスタックにおけるインターコネクタ膜5と空気極膜4との接触面積を大きくするために、例えばインターコネクタ膜5における空気流路6の間隔を大きくする(換言すればインターコネクタ膜5表面の凸部分の幅を広くする)ことが好ましい。インターコネクタ膜5と空気極膜4との接触面積が小さいと、スタック方向に作用する荷重に耐えられず空気極膜4が削られてセルスタックが潰れてしまう虞があり、また電気的な抵抗も大きくなってしまうからである。
さらには、この燃料極支持形固体酸化物形燃料電池における空気流路6を、小さなブロック7を複数配置することによって格子状に形成されたものとすることも好ましい(図10、図11参照)。例えば、燃料電池の燃料極2の一方の面(例えば裏面)にインターコネクタ膜5を成膜し、さらに、複数のブロック7を縦横(つまり、燃料電池の前後方向と左右方向)に等間隔に配置し、これらブロック7の間に格子状の空気流路6を形成する(図11参照)。こうした場合、必要に応じて空気流路6の間隔や数などを適宜変えやすく、目的や用途に応じた形態としやすい。さらには、燃料極2の基板の製造、インターコネクタ膜5の製造が容易になるという利点がある。この場合のブロック7としては、電子導電性を備えているとともに、膨張挙動が燃料極2、電解質膜3および空気極膜4と同等であるものが好ましい。このようなものであれば当該ブロック7の材質は特に限定されることはないが、具体例としてはランタンクロマイトを挙げることができる。ブロック7は、重ねられたセル(燃料極2、電解質膜3、空気極膜4、インターコネクタ膜5)あるいは並べられたセルの間に順次挟み込まれ、これによってセル間を電気的に接続し、尚かつ空気流路6を確保するというように機能する。なお、ここでは直方体のブロック7を図示したが(図10、図11参照)、これは一例に過ぎず、例えばコイン形状としたブロック7を単層であるいは複数積層して設けるなど、ブロック7自体の形状を適宜変え、これに応じて空気流路6の形態を変えることとしても構わない。
2種類の単セルを試作し、それぞれの発電特性を評価するとともに出力電圧について比較する実験を行なった。以下に実施例として説明する(図12、図13参照)。なお、理解しやすく図示するため、図12には2種類の単セルを併せて表示している。
2種類の単セルは、一方は上述した実施形態のごとく空気流路6のある側にインターコネクタ膜5を成膜したもの(図12中で上側に示す「セル1」)、他方はこれとは逆に、空気流路6のある側に電解質膜3を成膜した後さらに空気極膜4を成膜したもの(図12中で下側に示す「セル2」)である。これらについて、雰囲気温度1000℃、20℃加湿水素の流量0.96L/min、空気流量3.15L/min、という条件下で発電性能を評価した結果、図13に示すような違いが見られた。セル2も固体酸化物形燃料電池として十分な発電出力が得られるものであるが、セル1はその約2倍の発電出力が得られることを確認した(図13参照)。なお、本実施例1にて比較した2種類の単セル(セル1、セル2)はいずれも空気流路6が格子状ではなく一方向にのみ平行に形成されているものである。
本発明にかかる燃料極支持形固体酸化物形燃料電池を正面から見た場合の構造を概念的に示す図である。 図1に示した燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の側面図である。 図1に示した燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の底面図である。 本発明の燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造の一実施形態を示す概略側面図である。 図4に示す燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の単セルの構成の一例を示す概略斜視図である。 図4に示す燃料極支持形固体酸化物形燃料電池のセルスタックにおける燃料ガス流通口と空気流通口の構成の一例を示す概略斜視図である。 本発明の燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造の他の実施形態を示す概略側面図である。 本発明の燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造のさらに他の実施形態を示す概略側面図である。 本発明の燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造のさらに他の実施形態を示す概略側面図である。 本発明の他の実施形態における燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の斜視図である。 図10に示した燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の底面図である。 本発明の実施例1において評価した2種類の単セルの構造を概念的に表す図である。 本発明の実施例1における各単セルの発電試験結果を示すグラフである。
符号の説明
1 単セル
2 燃料極
3 電解質膜
4 空気極膜
5 インターコネクタ膜
6,6’ 空気流路
7 ブロック

Claims (1)

  1. 多孔質体から成る燃料極と、該燃料極の表面あるいは裏面のいずれか一方の面に成膜された電解質膜と、該電解質膜に成膜されて形成された空気極膜と、隣接する他の単セルの空気極膜に空気を供給する格子状の溝から成る空気流路と、前記燃料極の他方の面に成膜されたインターコネクタ膜とを備え、前記空気流路は、膨張挙動が前記燃料極、前記電解質膜および空気極膜と同等であって電子導電性を備え、尚かつ前記燃料極の基板よりも小さなブロックを、前記インターコネクタ膜上に複数配置することによって格子状に形成されたものであることを特徴とする燃料極支持形固体酸化物形燃料電池の構造。
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