JP2008222511A - 緻密薄膜用原料、緻密薄膜および固体酸化物形燃料電池単セル - Google Patents

緻密薄膜用原料、緻密薄膜および固体酸化物形燃料電池単セル Download PDF

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Yasunobu Mizutani
安伸 水谷
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健司 鵜飼
Tsuneki Nagai
恒輝 永井
Hiroshi Nada
大志 名田
Takanori Ito
孝憲 伊藤
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Abstract

【課題】緻密セラミック基体上であっても、従来より緻密な薄膜を形成することが可能な緻密薄膜用原料、これを用いた緻密薄膜、及び従来より発電性能に優れた、中間層を有する固体酸化物形燃料電池単セルを提供する。
【解決手段】セラミック微粉末と、セラミック微粉末よりもその50%径が大きいセラミック粗粉末とを含む緻密薄膜用原料とする。セラミック微粉末の50%径は、0.05μm以上0.4μm以下の範囲内にあり、セラミック粗粉末の50%径は、0.4μm超2μm以下の範囲内にあると良い。セラミック微粉末/セラミック粗粉末の体積比は、10/90〜90/10の範囲内にあると良い。緻密セラミック基体上に、上記緻密薄膜用原料を含んだ薄膜前駆体を成膜し、これを焼結して緻密薄膜とする。この緻密薄膜を、固体酸化物形燃料電池単セルの中間層に用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、緻密薄膜用原料、緻密薄膜および固体酸化物形燃料電池単セルに関するものである。
近年、様々な分野において、セラミックよりなる緻密薄膜を使用する機会が増加している。緻密薄膜を使用する分野としては、例えば、固体酸化物形燃料電池(以下、単に「SOFC」ということがある。)の分野が挙げられる。
SOFCは、電解質として酸素イオン導電性を示す固体電解質を用いた燃料電池である。その基本的な要素は、空気極、固体電解質、燃料極であり、これら3つの要素を順に積層したものが、通常、単セルと称されている。
また、必要に応じて、電極(空気極、燃料極)と固体電解質との間には、中間層を介在させることも行われている。上記単セルの代表的な形状としては、管状型、平板型などが知られている。
上記SOFCの分野では、電池を構成する要素の一つとして、緻密薄膜が用いられることがある。
例えば、特許文献1には、管状単セルの空気極(多孔質セラミック基体)上に形成されるインターコネクターに、ランタンクロマイトからなる緻密薄膜を用いる点が開示されている。
また、同文献には、平均粒径1〜2μmのランタンクロマイト粉末と、0.1〜1μmのランタンクロマイト粉末を混合し、これをバインダー・溶媒等と混合してスラリーとし、これを、多孔質セラミック基体上に塗布して焼成することで、ランタンクロマイトからなる緻密薄膜を形成する点が開示されている。
特開平9−263961号公報
ここで、上記特許文献1は、多孔質セラミック基体上に後から緻密薄膜を形成している。これに対し、緻密セラミック基体上に後から緻密薄膜を形成しようとした場合、次の理由により困難を伴う。
すなわち、この場合、緻密セラミック基体上に、薄膜用原料に溶媒を加えて溶液状にしたものを塗布するなどして薄膜前駆体を成膜した後、これを基体とともに焼結することにより、薄膜を形成することになる。
しかし、基体はすでに緻密質であるから、焼結時にはほとんど収縮しない。そのため、これに起因して薄膜前駆体も緻密に焼結し難く、その結果、緻密な薄膜が得られ難いといった問題があった。この種の問題は、薄膜用原料を溶液状にして使用した場合に、固形分濃度が低くなりがちであることから、特に顕著に発生しやすい。
SOFCの分野において、上記問題が生じる場合としては、例えば、固体電解質と電極との間に中間層を介在させる場合がある。つまり、緻密な固体電解質上に、中間層用原料よりなる薄膜前駆体を成膜し、その後、これを固体電解質とともに焼結する場合などがこれに該当する。
空気極側に介在させる中間層などは、空気極材料と固体電解質材料との反応を抑制するなどの目的を有している。そのため、中間層が緻密でないと、比較的膜を厚くせざるをえなくなるし、また、反応抑制効果も不十分になる。そうすると、中間層自身の抵抗の増大によってセルの初期性能が低下したり、電解質/空気極間の反応によってセルの劣化が生じやすくなったりする。そのため、中間層はできる限り緻密で薄くすることが望ましい。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、緻密セラミック基体上であっても、従来より緻密な薄膜を形成することが可能な緻密薄膜用原料を提供することにある。また、これを用いた緻密薄膜を提供することにある。また、従来より発電性能に優れた、中間層を有する固体酸化物形燃料電池単セルを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る緻密薄膜用原料は、セラミック微粉末と、上記セラミック微粉末よりもその50%径が大きいセラミック粗粉末とを含むこと要旨とする。
ここで、上記記セラミック微粉末の50%径は、0.05μm以上0.4μm以下の範囲内にあり、上記セラミック粗粉末の50%径は、0.4μm超2μm以下の範囲内にあると良い。
また、上記セラミック微粉末/上記セラミック粗粉末の体積比は、10/90〜90/10の範囲内にあると良い。
また、上記緻密薄膜用原料は、そのタップ密度が1.37g/cm以上であると良い。
また、上記セラミック微粉末および上記セラミック粗粉末を構成するセラミックは、セリア系セラミックまたはジルコニア系セラミックであると良い。
また、上記緻密薄膜用原料は、固体酸化物形燃料電池の中間層の形成に好適に用いることができる。
本発明に係る緻密薄膜は、緻密セラミック基体上に、上記緻密薄膜用原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成されたものであることを要旨とする。
本発明に係るSOFC単セルは、酸素イオン導電性を示す固体電解質、中間層、空気極がこの順に積層された積層構造を有し、上記中間層は、上記固体電解質上に、上記緻密薄膜用原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成されたものであることを要旨とする。
上記薄膜前駆体は、スクリーン印刷法により成膜されていることが好ましい。
本発明に係る緻密薄膜用原料は、セラミック微粉末と、このセラミック微粉末よりもその50%径が大きいセラミック粗粉末とを含んでいる。そのため、1種類のセラミック粉末原料に比較して、当該原料粉末自身のタップ密度が高い。
そのため、例えば、これに溶媒などを加えてスラリー化する際に、従来より高い固形分濃度のスラリーを調製することが可能になる。その結果、このスラリーなどを用いて成膜した薄膜前駆体は、焼結時の収縮が小さくなり、従来より緻密性の高い焼結膜を得ることが可能になる。上記原料は、SOFCの中間層用原料などに好適に適用可能である。
この際、上記セラミック微粉末およびセラミック粗粉末の50%径が特定の範囲内にある場合には、タップ密度を向上させやすく、上記効果を得やすくなる。
また、上記セラミック微粉末/セラミック粗粉末の体積比が特定の範囲内にある場合には、スラリー化した時の粘度を適度にしやすく、また、良好な緻密性を有する薄膜を得やすいなどの利点がある。
また、上記セラミック微粉末およびセラミック粗粉末を構成するセラミックが、セリア系セラミックまたはジルコニア系セラミックである場合には、固体酸化物形燃料電池の中間層または固体電解質(電解質層を重ねる等)などに用いて好適な緻密薄膜を得ることができる。
本発明に係る緻密薄膜は、緻密セラミック基体上に、上記緻密薄膜用原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成されている。そのため、高い緻密性を有している。
本発明に係るSOFC単セルは、固体電解質上に、上記緻密薄膜用原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成された緻密な中間層を有している。
そのため、従来よりも中間層の薄膜化が可能となり、セルの初期性能を向上させることが可能になる。とりわけ、750℃程度の低温運転を行った場合でも、その効果を得ることができる。加えて、電解質/空気極間の反応を抑制しやすくなるため、セル劣化の抑制に寄与することができる。
以下、本実施形態に係る緻密薄膜用原料(以下、「本原料」ということがある。)、緻密薄膜(以下、「本薄膜」ということがある。)、および、固体酸化物形燃料電池単セル(以下、「本単セル」ということがある。)について詳細に説明する。
1.本原料
本原料は、緻密なセラミックよりなる焼結薄膜を得るために好適に用いることが可能な原料粉末である。本原料は、セラミック微粉末と、セラミック粗粉末とを含んでいる。
ここで、セラミック粗粉末の50%径は、セラミック微粉末の50%径よりも大きい。
上記50%径は、JIS R1629に準拠して測定される、体積基準の積算分率における50%径の値のことである。
JIS R1629は、ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法についての規格である。具体的には、液相に分散させたファインセラミックス原料粒子にレーザ光を照射することによって検出される散乱強度分布を利用した粒子径分布の測定方法について規定されている。
なお、各粉末の50%径を測定するにあたり、試料の採取方法および試料調整方法については、それぞれJIS M8100、JIS R1622に準拠して行えば良い。
上記レーザ回折・散乱法による粒子径分布測定装置としては、例えば、(株)堀場製作所製「レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置」などを用いることができるが、上記測定方法に準拠して測定されるのであれば、特に限定されるものではない。
セラミック粗粉末の50%径の下限値は、セラミック微粉末との相対比などの観点から、好ましくは、0.4μm超、より好ましくは、0.5μm以上、さらにより好ましくは、0.7μm以上であると良い。
一方、セラミック粗粉末の50%径の上限値は、充填性、焼結のしやすさなどの観点から、好ましくは、2μm以下、より好ましくは、1μm以下であると良い。
また、セラミック微粉末の50%径の下限値は、ハンドリング性、表面形状による影響などの観点から、好ましくは、0.05μm以上、より好ましくは、0.1μm以上であると良い。
一方、セラミック微粉末の50%径の上限値は、充填性、セラミック粗粉末との相対比などの観点から、好ましくは、0.4μm以下、より好ましくは、0.2μm以下であると良い。
本原料において、セラミック粗粉末とセラミック微粉末との混合比率は、特に限定されるものではない。もっとも、粗粉末粒子間の隙間を埋めやすくなるなどの観点から、本原料中に占めるセラミック粗粉末の体積割合よりも、セラミック微粉末の体積割合が大きいことが好ましい。
セラミック微粉末/セラミック粗粉末の体積比の下限値は、焼結した際の緻密性を向上させやすいなどの観点から、好ましくは、10/90以上、より好ましくは、15/85以上、さらにより好ましくは、20/80以上であると良い。
一方、セラミック微粉末/セラミック粗粉末の体積比の上限値は、スラリー化した時の粘度を適度にしやすく、取扱い性が良好であるなどの観点から、好ましくは、90/10以下、より好ましくは、85/15以下、さらにより好ましくは、80/20以下であると良い。
本原料は、本発明による効果が大きくなるなどの観点から、粉自身のタップ密度が高いほど好ましい。具体的には、タップ密度の下限値は、好ましくは、1.37g/cm以上、1.65g/cm以上、1.77g/cm以上であると良い。
一方、タップ密度は、上記の通り、高い値ほど好ましいため、特に上限は限定されるものではないが、焼結性やペーストのハンドリング性などの観点から、その上限は、3.0g/cm以下が好ましい。
なお、上記タップ密度は、JIS R1628に準拠して測定して測定される値である。
本原料では、上記タップ密度と相関のある他の物性として、BET比表面積が挙げられる。セラミック粗粉末のBET比表面積の下限値は、タップ密度を向上させるなどの観点から、好ましくは、3m/g以上、より好ましくは、5m/g以上、さらにより好ましくは、7m/g以上であると良い。
一方、セラミック粗粉末のBET比表面積の上限値は、スラリー粘度を調製しやすいなどの観点から、好ましくは、42m/g以下、より好ましくは、29m/g以下、さらにより好ましくは、14m/g以下であると良い。
また、セラミック微粉末のBET比表面積の下限値は、タップ密度を向上させるなどの観点から、好ましくは、3m/g以上、より好ましくは、5m/g以上、さらにより好ましくは、6m/g以上であると良い。
一方、セラミック微粉末のBET比表面積の上限値は、スラリー粘度を調製しやすいなどの観点から、好ましくは、42m/g以下、より好ましくは、29m/g以下、さらにより好ましくは、14m/g以下であると良い。
本原料において、セラミック微粉末およびセラミック粗粉末を構成するセラミックは、本原料により形成する緻密薄膜の用途などを考慮して選択すれば良い。
セラミック微粉末およびセラミック粗粉末を構成するセラミックは、同種であっても、異種であっても良い。好ましくは、焼結性などの観点から、同種であると良い。
本原料を、SOFCの構成要素、例えば、中間層や固体電解質などの原料として用いる場合、セラミック微粉末およびセラミック粗粉末を構成するセラミックとしては、具体的には、例えば、セリア、各種酸化物を含むセリアなどのセリア系セラミック;安定化ジルコニア(部分安定化も含む、以下同じ)などのジルコニア系セラミックなどといった酸化物セラミック等を例示することができる。とりわけ、セリア系セラミックは中間層に、ジルコニア系セラミックは固体電解質に適用することができる。
セリアに含まれる酸化物としては、具体的には、例えば、Gd、Sm、Y、La、Ybなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。中間層が空気極側である場合、これら酸化物のうち、導電率が高いなどの観点から、好ましくは、Gdなどである。
上記安定化ジルコニアの安定化剤としては、具体的には、例えば、イットリア(Y)、スカンジア(Sc)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)、イッテルビア(Yb)、エルビア(Er)などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。これら安定化剤のうち、導電性が高いなどの観点から、好ましくは、イットリア(Y)、スカンジア(Sc)などである。
本原料において、セラミック微粉末およびセラミック粗粉末は、何れの製法によって製造されたものであっても良い。
好ましくは、工業的な量産性に優れ、均質な性状の粉末を得やすいなどの観点から、クエン酸塩法などによって製造されたものであると良い。
具体的には、希土類元素(イットリウム、スカンジウム、ランタン、ネオジウム、ガドリニウム、サマリウム、ホルミウム、エルビウムなど)、遷移金属元素(ジルコニウム、ニッケル、コバルト、銅、マンガン、鉄、チタニウムなど)、アルカリ金属元素(カリウム、ナトリウムなど)、および、アルカリ土類金属元素(バリウム、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウムなど)からなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を含む単純酸化物、複合酸化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、水酸化物もしくは水酸化物の共沈体またはそれらの混合物を、それらの全金属イオンをクエン酸塩にするのに必要な50〜500%のクエン酸と、水溶液中または有機溶媒中で反応させて得られたクエン酸塩と、水または有機溶媒とを含むスラリーあるいは溶液を、50〜130℃で乾燥させ、600〜1200℃程度で焼成し、粉砕するなどして、各粉末を製造することができる。
本原料は、セラミック微粉末とセラミック粗粉末とを混合して得ることができる。その混合方法は、十分に両粉末を混合することができれば、特に限定されるものではなく、湿式、乾式の何れの方法を適用しても良い。
上記混合方法としては、ボールミル、サンドミル、振動ミル、ビーズミルなど、各種の混合方法を用いることができる。この際、両粉末の50%径が上記範囲内のまま維持されるように、例えば、ミル内側には、ナイロン、ゴムライニングなどの軟質の内張りが施されたものなどを用いると良い。また、混合媒体としては、ジルコニアボール、ナイロン製ボールなどの各種樹脂製ボールなどを用いることができる。湿式法による場合には、溶媒として、エタノール、水、グリコールなどを用いることができる。
2.本薄膜
本薄膜は、緻密セラミック基体上に、上述した本原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成されたものである。
本薄膜は、緻密セラミック基体の片面のみに形成されていても良いし、緻密セラミック基体の両面に形成されていても良い。
ここで、上記緻密セラミック基体にいう「緻密」とは、ガス透過性が無視できるほど小さい焼結体であることを意味する。例えば、SOFCでいえば、固体電解質などがこれに該当する。
上記緻密セラミック基体の材質は、特に限定されるものではなく、用途などを考慮して、種々のセラミックを用いることができる。
上記材質としては、具体的には、例えば、上述した安定化ジルコニア、ペロブスカイト型酸化物などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。また、上記緻密セラミック基体は、これら材質層を積層した積層体などであっても良い。
上記緻密セラミック基体の厚みも、特に限定されるものではなく、用途などを考慮して、適宜選択することができる。上記緻密セラミック基体の厚みとしては、例えば、50μm〜3mmの範囲などを例示することができる。
上記緻密セラミック基体上に薄膜前駆体を成膜するに当たっては、適当なバインダーや溶媒などを本原料に加え、適当な粘度に調製したスラリーを用いると良い。スラリーを適用することで、成膜性が良好になるし、本原料は、タップ密度が高いため、スラリー化しても、従来より高固形分濃度にしやすく、緻密化に有利だからである。
そして、本原料を含むスラリーを、緻密セラミック基体上に塗布し、必要に応じて、乾燥するなどすれば、薄膜前駆体を成膜することができる。もっとも、本原料を乾粉のまま用いて薄膜前駆体を成膜しても良い。
上記バインダーとしては、具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルブチラールなどを例示することができる。これらは1種または2種以上併用しても良い。
上記溶媒としては、具体的には、例えば、テルピネオール、水などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用しても良い。
なお、上記スラリーには、必要に応じて、各種の分散剤や消泡剤などが1種または2種以上添加されていても良い。
上記塗布方法は、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ハケ塗り法、スプレー法、ディッピング法、スピンコート法、転写法などを例示することができる。これらは、1または2以上併用することができる。
上記塗布方法のうち、緻密セラミック基体上への薄膜前駆体の成膜性が良好であるなどの観点から、好ましくは、スクリーン印刷法を用いると良い。
なお、これら塗布は、1回または2回以上繰り返し行っても良い。また、薄膜前駆体は、緻密セラミック基体表面の全てを覆うように成膜されていても良いし、緻密セラミック基体表面の一部が露出するように成膜されていても良い。用途などを考慮して適宜選択することができる。
薄膜前駆体の焼結温度は、本原料に用いたセラミックの種類によっても異なる。その種類に応じて最適な温度を選択すれば良い。例えば、本原料に用いたセラミックが、セリア系セラミックである場合には、約1000〜1400℃程度である。また、ジルコニア系セラミックである場合には、約1000〜1500℃程度である。
本薄膜の膜厚は、用途に応じて選択すれば良い。例えば、本薄膜をSOFCの中間層とする場合、電解質/電極間の反応を抑制する確実性を高めるなどの観点から、その膜厚の下限値は、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、3μm以上、さらに好ましくは、5μm以上であると良い。
一方、中間層の抵抗をできる限り小さくするなどの観点から、その膜厚の上限値は、好ましくは、50μm以下、より好ましくは、30μm以下、さらに好ましくは、20μm以下であると良い。
3.本単セル
本単セルは、酸素イオン導電性を示す固体電解質、中間層、電極がこの順に積層された積層構造を有している。
上記電極は、空気極、燃料極の何れであって良く、特に限定されるものではない。中間層を用いる目的などに応じて選択することができる。
通常は、主に、電解質/空気極間の反応を抑制するなどの目的で中間層を用いることが多く、上記電極として空気極を選択する機会が多い。
上記積層構造としては、具体的には、例えば、燃料極/固体電解質/中間層/空気極、燃料極/中間層/固体電解質/空気極、燃料極/中間層/固体電解質/中間層/空気極などを例示することができる。
本単セルの形状としては、平板型、管状型の何れであっても良い。好ましくは、スクリーン印刷時などにおけるハンドリング性が良好であるなどの観点から、平板型であると良い。
上記平板型には、代表的なものとして、固体電解質が自立した自立膜式、支持機能を兼ね備えた電極上に膜状の固体電解質を有する支持膜式の2種がある。本単セルは、自立膜式、支持膜式の何れであっても良いが、自立したバルク状の固体電解質を作製し、その後、他の電池構成部材を形成することが多く、本発明を適用しやすいなどの観点から、自立膜式が好ましい。
ここで、本単セルにおいて、中間層は、固体電解質上に、上述した本原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成されている。
つまり、本単セルの中間層は、予め緻密な焼結体とされている固体電解質上に、後から本原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成されている。
空気極側の中間層に本原料を適用する場合、本原料を構成する粉末のセラミックとしては、電解質/空気極間の反応抑制効果が大きいなどの観点から、上述したセリア系セラミック、好ましくは、5〜70mol%、より好ましくは、10〜70mol%、さらにより好ましくは、10〜50mol%の範囲内で、Gdなどの上述した酸化物を含むセリア系セラミックなどを好適に用いることができる。
なお、本単セルにおける中間層の形成方法、膜厚などは、2.にて上述した内容と同様であるので、その説明は省略する。
上記本単セルを構成する固体電解質の材料、燃料極の材料、空気極の材料などは、特に限定されるものではなく、種々の材料を適用することができる。
上記固体電解質材料としては、具体的には、例えば、スカンジア、イットリア、セリア、カルシア、マグネシアなどの酸化物を少なくとも1種以上含む安定化ジルコニアや、これら安定化ジルコニアとアルミナとの混合物などを好適な一例として例示することができる。
より具体的には、強度・靱性などの機械的特性と酸素イオン導電率とのバランスに優れるなどの観点から、好ましくは、3〜6モル%、より好ましくは、4〜6モル%のスカンジアを含むスカンジア安定化ジルコニアや、このスカンジア安定化ジルコニア中に、好ましくは、0.3〜5重量%、より好ましくは、0.4〜4重量%、さらにより好ましくは、0.5〜3重量%の範囲内でアルミナが添加されたものなどが好適である。
また、上記燃料極材料としては、触媒と固体電解質とのサーメットなどを好適な一例として例示することができる。
サーメットの一部を構成する触媒としては、具体的には、ニッケル、ニッケル合金、酸化ニッケル(NiO)、Co、Ruなどを好適な一例として例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
一方、サーメットの他の一部を構成する固体電解質としては、具他的には、スカンジア、イットリア、セリアなどの酸化物を少なくとも1種以上含む安定化ジルコニアなどを好適な一例として例示することができる。
より具体的には、好ましくは、酸素イオン導電性に優れるなどの観点から、好ましくは、9〜12モル%、より好ましくは、10〜11モル%のScを含むScSZ、このScSZにさらにY、CeOの何れか一方または双方を、好ましくは、2モル%以下、より好ましくは、0.5〜1モル%微量添加したものなどを好適な一例として例示することができる。
なお、燃料極材料中の触媒と固体電解質との混合比率は、好ましくは、触媒:固体電解質=30:70重量%〜70:30重量%の範囲内、より好ましくは、触媒:第2固体電解質=40:60重量%〜60:40重量%の範囲内にあると良い。良好な電極活性が得られるとともに、熱膨張差によってセルに反りなどが生じ難いからである。
また、上記空気極材料としては、具体的には、例えば、LaSrMnO、LaCaMnO、LaSrCoO、LaSrCoFeO、PrSrMnOなどの遷移金属ペロブスカイト型酸化物;好ましくは、8〜10モル%、より好ましくは、8〜9モル%のイットリアを含むイットリア安定化ジルコニア、好ましくは、9〜12モル%、より好ましくは、10〜11モル%のスカンジアを含むスカンジア安定化ジルコニア、Gd、YおよびSmなどの酸化物を好ましくは、10〜35モル%、より好ましくは、15〜30モル%、さらにより好ましくは、20〜30モル%含むセリア系セラミックなどの固体電解質と上記遷移金属ペロブスカイト型酸化物との複合物などを好適な一例として例示することができる。
上記本単セルを得るには、具体的には、例えば、以下のようにすれば良い。すなわち、例えば、先ず、上記固体電解質材料を、プレス成形法、テープ成形法などにより平板状などに成形し、その組成に応じて最適な温度で焼結し、緻密質にする。固体電解質の厚みは、50μm〜1mm程度にすれば良い。
次いで、この固体電解質の一方の表面に、上記燃料極材料を含むスラリーを、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、ハケ塗り法、スプレー法、ディッピング法などにより塗布し、その組成に応じて最適な温度で焼結し、燃料極とする。燃料極の厚みは、10〜40μm程度にすれば良い。
次いで、固体電解質の他方面に、上述した方法により中間層を形成する。
次いで、中間層の表面に、上記燃料極と同様にして、上記空気極材料を含むスラリーを塗布して焼結し、空気極とする。空気極の厚みは、10〜40μm程度にすれば良い。
以上により、本単セルを得ることができる。なお、中間層、空気極、燃料極を形成する順番は、特に限定されるものではなく、それぞれの焼結温度が高い順に形成するなど、材質等に応じて適宜変更することが可能である。
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。
1.薄膜用原料の調製
(実施例1)
セラミック微粉末として、20mol%のGdを含むセリア系セラミック(50%径=0.2μm、BET比表面積=6.5m/g、セイミケミカル(株)製)を、セラミック粗粉末として、20mol%のGdを含むセリア系セラミック(50%径=0.7μm、BET比表面積=7.4m/g、セイミケミカル(株)製)をそれぞれ準備した。以下、Gdを含むセリア系セラミックを単に「GDC」ということがある。
次いで、上記GDC微粉末:上記GDC粗粉末=70wt%:30wt%となるように、両粉末を秤量した。
次いで、GDC微粉末とGDC粗粉末とを、ジルコニアボール、エタノールとともにポリエチレン製ポットに入れ、30分から2時間程度混合した後、得られた泥しょうをポットから取り出し、乾燥させた。
以上により、実施例1に係る薄膜用原料を得た。得られた薄膜用原料のタップ密度は、1.91g/cmであった。
(実施例2)
上記実施例1に係る薄膜用原料の作製において、上記GDC微粉末:上記GDC粗粉末=60wt%:40wt%となるように、両粉末を秤量した点以外は同様にして、実施例2に係る薄膜用原料を得た。なお、この薄膜用原料のタップ密度は、1.88g/cmであった。
(実施例3)
上記実施例1に係る薄膜用原料の作製において、上記GDC微粉末:上記GDC粗粉末=50wt%:50wt%となるように、両粉末を秤量した点以外は同様にして、実施例3に係る薄膜用原料を得た。なお、この薄膜用原料のタップ密度は、1.95g/cmであった。
(実施例4)
上記実施例1に係る薄膜用原料の作製において、上記GDC微粉末:上記GDC粗粉末=40wt%:60wt%となるように、両粉末を秤量した点以外は同様にして、実施例4に係る薄膜用原料を得た。なお、この薄膜用原料のタップ密度は、1.93g/cmであった。
(比較例1)
セラミック粉末として、20mol%のGdを含むセリア系セラミック(50%径=0.19μm、BET比表面積=14m/g、セイミケミカル(株)製)を準備した。この粉末100%を実施例1と同条件にてポットで調製し、比較例1に係る薄膜用原料とした。なお、この薄膜用原料のタップ密度は、1.24g/cmであった。
2.固体電解質板上への薄膜(中間層)の形成
先ず、上記作製した各薄膜原料を用いて薄膜を形成するため、緻密セラミック基体としての固体電解質板を以下のようにして準備した。
すなわち、4mol%Sc−96mol%ZrOの組成を有する安定化ジルコニア(第一稀元素化学工業(株)製、以下「4ScSZ」という。)粉末に対して、Alが0.5重量%含有されるように、4ScSZ粉末とAl粉末とをそれぞれ秤量した。
次いで、これにエチルアルコールを加えてボールミル(ZrO玉石を使用)により湿式混合した後、この混合液を撹拌しながら加熱乾燥することにより、固体電解質材料(以下、「4ScSZ0.5A」ということがある。)を準備した。
次いで、上記固体電解質材料にバインダー(ポリエチレングリコール)を加えてスラリーを調製し、これをドクターブレード法を用いてグリーンシートを成形した。そし後、このグリーンシートを、1350℃で2時間焼成し、厚み約100μmの緻密な固体電解質板を作製した。
(実施例1T)
実施例1に係る薄膜用原料にグリセリンを加えてスラリーを調製した。得られたスラリー中の固形分濃度は、88%であった。
次いで、スクリーン印刷法を用いて、上記固体電解質板の表面に上記調製したスラリーを印刷し、薄膜前駆体を成膜した。
次いで、この薄膜前駆体が成膜された固体電解質板を、1350℃で2時間焼結し、焼結膜とした。
これにより、固体電解質板上に焼き付けられた実施例1Tに係る薄膜(厚み17μm)を得た。
(実施例2T)
実施例1Tに係る薄膜の作製において、実施例2に係る薄膜用原料を用いた以外は同様にして、固体電解質板上に焼き付けられた実施例2Tに係る薄膜(厚み16μm)を得た。
(実施例3T)
実施例1Tに係る薄膜の作製において、実施例3に係る薄膜用原料を用いた以外は同様にして、固体電解質板上に焼き付けられた実施例3Tに係る薄膜(厚み16μm)を得た。
(実施例4T)
実施例1Tに係る薄膜の作製において、実施例4に係る薄膜用原料を用いた以外は同様にして、固体電解質板上に焼き付けられた実施例4Tに係る薄膜(厚み10μm)を得た。
(比較例1T)
実施例1Tに係る薄膜の作製において、比較例1に係る薄膜用原料を用いた以外は同様にして、固体電解質板上に焼き付けられた比較例1Tに係る薄膜(厚み10μm)を得た。
3.各薄膜のSEM観察
得られた実施例1T〜4T、比較例1Tに係る薄膜について、その表面および断面をSEMにより観察した。
図1は、実施例1Tに係る薄膜のSEM写真((a)は表面、(b)は断面、倍率5000倍)である。図2は、実施例2Tに係る薄膜のSEM写真((a)は表面、倍率5000倍)である。図3は、実施例3Tに係る薄膜のSEM写真((a)は表面、(b)は断面、倍率5000倍)である。図4は、実施例4Tに係る薄膜のSEM写真((a)は表面、(b)は断面、倍率5000倍)である。図5は、実施例1Tおよび比較例1Tに係る薄膜のSEM写真((a)は実施例1Tの表面、(b)は比較例1Tの表面、倍率10000倍)である。
図5によれば、実施例1Tに係る薄膜は、比較例1Tに係る薄膜に比べ、表面に存在する気孔が少なく、緻密性が高いことが分かる。また、特に、表面における緻密性向上の寄与が大きい。
これは、下記の理由による。すなわち、実施例に係る薄膜用原料は、GDC微粉末、これより50%径が大きいGDC粗粉末を含んでいるので、原料粉末自身のタップ密度が高い。そのため、従来より高固形分濃度のスラリーを調製することができた結果、緻密固体電解質板上であっても、収縮の小さい薄膜を形成することが可能となり、焼結後の薄膜密度を向上させることができたためである。
また、図1〜図4から分かるように、GDC微粉末/GDC粗粉末の重量比が大きくなるにつれて、得られる薄膜表面の気孔が少なくなる傾向がある。このことから、微粉末を増やすことが、緻密性の増大に有効であることが分かる。
4.SOFC単セルの作製
(実施例1C)
先ず、上記固体電解質板(4ScSZ0.5A、厚み約100μm)を準備した。
次いで、実施例1Tにて調製した、実施例1に係る薄膜用原料を含むスラリーを、スクリーン印刷法を用いて、上記固体電解質板の片面に塗布し、中間層前駆体を成膜した。
次いで、酸化ニッケル(NiO)粉末(ナカライテスク製)と、10mol%Sc−1mol%CeO−89mol%ZrOの組成を有する安定化ジルコニア(第一稀元素化学工業(株)製、以下「10Sc1CeSZ」という。)粉末とを、NiとZrOに換算した重量比で4:6となるように秤量し、ボールミルで24時間混合した後、乾燥させ、燃料極材料とした。そして、この燃料極材料にバインダー(ポリエチレングリコール)を加えてスラリーとし、スクリーン印刷法を用いて、上記固体電解質板の中間層前駆体側とは反対側の面に塗布した。
そして、上記各スラリーが塗布された固体電解質板を、1350℃にて2時間焼成し、厚み約17μmの中間層、厚み約15μmの燃料極とした。
次いで、La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8(セイミケミカル(株)製、以下「LSCF」という。)粉末と30モル%のSmを含むCeO(以下「30SDC」という。)粉末とを、重量比で8:2となるように秤量し、ボールミルで24時間混合した後、乾燥させ、空気極材料とした。そして、この空気極材料にバインダー(ポリエチレングリコール)を加えてスラリーとし、スクリーン印刷法を用いて中間層の表面に塗布した。そして、これを950℃にて2時間焼成し、厚み約15μmの空気極とした。
これにより、燃料極/固体電解質/中間層/空気極の積層構造を有する、実施例1Cに係るSOFC単セルを得た。
(比較例1C)
上記実施例1Cに係るSOFC単セルの作製において、中間層の形成時に、比較例例1Tにて調製した、比較例1に係る薄膜用原料を含むスラリーを用いた以外は同様にして、比較例1Cに係るSOFC単セルを得た。
5.発電試験
実施例1Cおよび比較例1Cに係るSOFC単セルを用いて、以下の発電試験を行った。
先ず、各単セルの空気極表面に、厚み20μmの空気極側コンタクト層を成膜した。空気極側コンタクト材料には、Ag粉末と、La0.8Sr0.2CoO(セイミケミカル製、以下「LSC」という。)粉末とが、重量比で2:8である混合粉末にバインダー(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、n−パラフィン、テレピン油、セルロース系樹脂)、2−プロパノールを加えて調製したスラリーを用いた。また、空気極の表面への塗布には、スクリーン印刷法を用いた。
次いで、各単セルの燃料極表面に、厚み20μmの燃料極側コンタクト層を成膜した。燃料極側コンタクト材料には、NiO粉末(井原技研貿易製)と、8mol%のイットリアを含むイットリア安定化ジルコニア(東ソー(株)製、以下、「8YSZ」という。)粉末とが、重量比で 14:1である混合粉末にバインダー(ポリエチレングリコール)を加えて調製したスラリーを用いた。また、燃料極の表面への塗布には、スクリーン印刷法を用いた。
次いで、各SOFC単セルの最外表面の両側を白金網(80メッシュ)により挟持し、さらにこの白金網の両側にガスマニホルド(アルミナ製)を設け、燃料ガスとして水素(流量1L/min)、酸化剤ガスとして空気(流量1L/min)を供給した。なお、発電温度は750℃であり、燃料ガスは、オイルバスで加湿したバブラを通して3%の湿度に加湿したものを用いた。
図6に、実施例1Cおよび比較例1Cに係るSOFC単セルの電流密度と出力電圧および出力密度との関係を示す。
図6によれば、実施例1Cに係るSOFC単セルによれば、固体電解質と中間層の抵抗が大きい低温下(約750℃)であっても、セルの初期性能を向上させることが可能であることが分かる。また、固体電解質/空気極間の反応を抑制する効果が高いため、セルの劣化を抑制することが可能であると推察される。
本発明は、上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。例えば、上記実施例では、薄膜原料を中間層に適用したが、固体電解質層などにも適用可能である。
実施例1Tに係る薄膜のSEM写真((a)は表面、(b)は断面、倍率5000倍)である。 実施例2Tに係る薄膜のSEM写真((a)は表面、(b)は断面、倍率5000倍)である。 実施例3Tに係る薄膜のSEM写真((a)は表面、倍率5000倍)である。 実施例4Tに係る薄膜のSEM写真((a)は表面、(b)は断面、倍率5000倍)である。 実施例4Tおよび比較例1Tに係る薄膜のSEM写真((a)は実施例4Tの表面、(b)は比較例1Tの表面、倍率10000倍)である。 実施例1Cおよび比較例1Cに係るSOFC単セルの電流密度と出力電圧および出力密度との関係を示した図である。

Claims (10)

  1. セラミック微粉末と、前記セラミック微粉末よりもその50%径が大きいセラミック粗粉末とを含むことを特徴とする緻密薄膜用原料。
  2. 前記セラミック微粉末の50%径は、0.05μm以上0.4μm以下の範囲内にあり、前記セラミック粗粉末の50%径は、0.4μm超2μm以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の緻密薄膜用原料。
  3. 前記セラミック微粉末/前記セラミック粗粉末の体積比は、10/90〜90/10の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の緻密薄膜用原料。
  4. そのタップ密度が、1.37g/cm以上であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の緻密薄膜用原料。
  5. 前記セラミック微粉末および前記セラミック粗粉末を構成するセラミックは、セリア系セラミックであることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の緻密薄膜用原料。
  6. 前記セラミック微粉末および前記セラミック粗粉末を構成するセラミックは、ジルコニア系セラミックであることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の緻密薄膜用原料。
  7. 固体酸化物形燃料電池の中間層の形成に用いられることを特徴とする請求項4または5に記載の緻密薄膜用原料。
  8. 緻密セラミック基体上に、請求項1から6の何れかに記載の緻密薄膜用原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成された緻密薄膜。
  9. 酸素イオン導電性を示す固体電解質、中間層、空気極がこの順に積層された積層構造を有し、
    前記中間層は、前記固体電解質上に、請求項1から5の何れかに記載の緻密薄膜用原料を含んだ薄膜前駆体が成膜され、これが焼結されて形成されたものであることを特徴とする固体酸化物形燃料電池単セル。
  10. 前記薄膜前駆体は、スクリーン印刷法により成膜されていることを特徴とする請求項9に記載の固体酸化物形燃料電池単セル。
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