JP2012156107A - 固体酸化物形燃料電池セル - Google Patents
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Abstract
【課題】固体電解質層からのインターコネクタ層の剥離を防止できる固体酸化物形燃料電池セルを提供する。
【解決手段】緻密質なZrO2系焼結体からなる固体電解質層4の両端部に、緻密質な希土類元素を含有する焼結体からなるインターコネクタ層8の両端部を、中間層4を介して接合して、内部に燃料ガスが流通する燃料ガス流路を形成するとともに、固体電解質層4の外側に空気極層6を、内側に燃料極層3を形成してなる固体酸化物形燃料電池セルであって、中間層9が、Ce以外の希土類元素を含有するCeO2系焼結体からなることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】緻密質なZrO2系焼結体からなる固体電解質層4の両端部に、緻密質な希土類元素を含有する焼結体からなるインターコネクタ層8の両端部を、中間層4を介して接合して、内部に燃料ガスが流通する燃料ガス流路を形成するとともに、固体電解質層4の外側に空気極層6を、内側に燃料極層3を形成してなる固体酸化物形燃料電池セルであって、中間層9が、Ce以外の希土類元素を含有するCeO2系焼結体からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体酸化物形燃料電池セルに関し、特に、緻密質なZrO2系焼結体からなる固体電解質層の両端部に、緻密質な希土類元素を含有するセラミック焼結体からなるインターコネクタ層の両端部を、中間層を介して接合してなる固体酸化物形燃料電池セルに関する。
近年、次世代エネルギーとして、固体酸化物形燃料電池セルを電気的に直列に複数個接続してなる燃料電池セルスタック装置を、収納容器内に収容した燃料電池装置が種々提案されている。
このような固体酸化物形燃料電池セルとして、互いに平行な一対の平坦面を有し、内部に燃料ガスを流通させるための燃料ガス通路を有するとともに、Niを含有してなる導電性支持体の一方側の平坦面上に、燃料極層、固体電解質層、空気極層を順に積層し、他方側の平坦面上にインターコネクタ層を積層してなる固体酸化物形燃料電池セルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そして、このような固体酸化物形燃料電池セルの複数個を、集電部材を介して電気的に接続してなる燃料電池セルスタック装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
従来、固体酸化物形燃料電池セルは、導電性支持体の周囲を取り囲むように形成された緻密質なZrO2系焼結体からなる固体電解質層と、この固体電解質層の両端部に、緻密質なLaCrO3系焼結体からなるインターコネクタ層の両端部を、緻密質な中間層焼結体を介して接合し、固体電解質層とインターコネクタ層とにより導電性支持体の周囲を気密に取り囲み、導電性支持体の内部を通過する燃料ガスが、固体電解質層とインターコネクタ層とにより形成された空間から外部に漏出しないように構成されていた。
中間層としては、NiまたはNiOと、希土類元素が固溶したジルコニアもしくは希土類元素酸化物とから形成された緻密質焼結体等が知られている(例えば、特許文献3参照)。
近年においては、従来の中間層材料以外の材料で、固体電解質層からインターコネクタ層の剥離を防止したいとの要求が出てきている。
本発明は、固体電解質層からのインターコネクタ層の剥離を防止できる固体酸化物形燃料電池セルを提供することを目的とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、ZrO2系焼結体からなる固体電解質層の両端
部に、希土類元素を含有する焼結体からなるインターコネクタ層の両端部が、中間層を介して接合されており、前記固体電解質層の外側に空気極層を、内側に燃料極層を形成してなる固体酸化物形燃料電池セルであって、前記中間層が、Ce以外の希土類元素を含有するCeO2系焼結体からなることを特徴とする。
部に、希土類元素を含有する焼結体からなるインターコネクタ層の両端部が、中間層を介して接合されており、前記固体電解質層の外側に空気極層を、内側に燃料極層を形成してなる固体酸化物形燃料電池セルであって、前記中間層が、Ce以外の希土類元素を含有するCeO2系焼結体からなることを特徴とする。
本発明の固体酸化物形燃料電池セルは、中間層が、Ce以外の希土類元素を含有するCeO2系焼結体からなるため、固体電解質層とインターコネクタ層との接合強度を向上でき、固体電解質層からのインターコネクタ層の剥離を防止でき、固体酸化物形燃料電池セル、ひいては固体酸化物形燃料電池セルを組み込んだ燃料電池モジュールの長期信頼性を向上できる。
図1は、本形態の固体酸化物形燃料電池セル(以下、燃料電池セルと略す場合がある)の一例を示すものであり、(a)はその横断面図、(b)は(a)の側面図である。なお、両図面において、燃料電池セル10の各構成を一部拡大して示している。
この燃料電池セル10は、中空平板型の燃料電池セル10で、断面が扁平状で、全体的に見て楕円柱状をしたNiを含有してなる多孔質の導電性支持体1を備えている。導電性支持体1の内部には、適当な間隔で複数の燃料ガス通路2が長手方向に形成されており、燃料電池セル10は、この導電性支持体1上に各種の部材が設けられた構造を有している。
導電性支持体1は、図1に示されている形状から理解されるように、互いに平行な一対の平坦面nと、一対の平坦面nをそれぞれ接続する弧状面(側面)mとで構成されている。平坦面nの両面は互いにほぼ平行に形成されており、一方の平坦面n(下面)と両側の弧状面mを覆うように多孔質な燃料極層3が設けられており、さらに、この燃料極層3を覆うように、緻密質な固体電解質層4が積層されている。また、固体電解質層4の上には、中間層9を介して、燃料極層3と対面するように、多孔質な空気極層6が積層されている。
中間層9は、固体電解質層4上面の実質的に全面に形成されており、燃料極層3および固体電解質層4が積層されていない他方の平坦面n(上面)には、密着層7を介してインターコネクタ8が形成されている。
すなわち、燃料極層3、固体電解質層4、中間層9は、一方の平坦面(下面)から両端の弧状面mを経由して他方の平坦面n(上面)まで形成されており、ZrO2系焼結体からなる固体電解質層4の両端部に、LaCrO3系焼結体からなるインターコネクタ層8の両端部が焼結体からなる中間層9を介して接合され、固体電解質層4とインターコネクタ層8で導電性支持体1を取り囲み、内部に燃料用ガス流路が形成されており、内部を流通する燃料ガスが外部に漏出しないように構成されている。
言い換えると、図1(b)に示すように、平面形状が矩形状のインターコネクタ層8が導電性支持体1の上端から下端まで形成されており、その左右両側端部が、固体電解質層4の両端部の表面に、中間層9を介して接合されている。
中間層9は、固体電解質層4の端部とインターコネクタ層8の端部との間に形成された重畳部9aと、固体電解質層4の表面に露出して形成され、固体電解質層4とインターコネクタ層8との間から延びた露出部9bと、固体電解質層4と空気極層6との間に形成された拡散防止部9cとから構成されている。中間層9の厚みは、0.03〜5μmとされている。また、セルの弧状面m−m方向における重畳部9aの幅は、すなわち固体電解質層4の端部とインターコネクタ層8の端部とで挟まれた中間層9の長さは、1〜10mmとされている。
ここで、燃料電池セル10は、燃料極層3と空気極層6とが固体電解質層4を介して対面している部分が電極として機能して発電する。即ち、空気極層6の外側に空気等の酸素含有ガスを流し、且つ導電性支持体1内の燃料ガス通路2に燃料ガス(水素含有ガス)を流し、所定の作動温度まで加熱することにより発電する。そして、かかる発電によって生成した電流は、導電性支持体1に取り付けられているインターコネクタ層8を介して集電される。
以下に、本形態の燃料電池セル10を構成する各部材について説明する。
導電性支持体1は、燃料ガスを燃料極層3まで透過させるためにガス透過性であること、インターコネクタ層8を介して集電を行うために導電性であることが要求されることから、例えば、Niおよび/またはNiOと、無機酸化物、例えば特定の希土類酸化物とにより形成されることが好ましい。
特定の希土類酸化物とは、導電性支持体1の熱膨張係数を固体電解質層4の熱膨張係数に近づけるために使用されるものであり、Y、Lu、Yb、Tm、Er、Ho、Dy、Gd、Sm、Prからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含む希土類酸化物が、Niおよび/またはNiOとの組み合わせで使用することができる。このような希土類酸化物の具体例としては、Y2O3、Lu2O3、Yb2O3、Tm2O3、Er2O3、Ho2O3、Dy2O3、Gd2O3、Sm2O3、Pr2O3を例示することができ、Niおよび/またはNiOとの固溶、反応が殆どなく、また、熱膨張係数が固体電解質層4と同程度であり、かつ安価であるという点から、Y2O3、Yb2O3が好ましい。
また、本形態においては、導電性支持体1の良好な導電率を維持し、かつ熱膨張係数を固体電解質層4と近似させるという点で、Niおよび/またはNiO:希土類酸化物=35:65〜65:35の体積比で存在することが好ましい。なお、導電性支持体1中には、要求される特性が損なわれない限りの範囲で、他の金属成分や酸化物成分を含有していてもよい。
また、導電性支持体1は、燃料ガス透過性を有していることが必要であるため、多孔質
であり、通常、開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好ましい。また、導電性支持体1の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
であり、通常、開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあることが好ましい。また、導電性支持体1の導電率は、300S/cm以上、特に440S/cm以上であることが好ましい。
なお、導電性支持体1の平坦面nの長さ(導電性支持体1の幅方向の長さ)は、通常、15〜35mm、弧状面mの長さ(弧の長さ)は、2〜8mmであり、導電性支持体1の厚み(平坦面n間の厚み)は1.5〜5mmであることが好ましい。導電性支持体1の長さは、100〜150mmとされている。
燃料極層3は、電極反応を生じさせるものであり、それ自体公知の多孔質の導電性セラミックスにより形成することが好ましい。例えば、希土類元素が固溶したZrO2または希土類元素が固溶したCeO2と、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。なお、希土類元素としては、導電性支持体1において例示した希土類元素を用いることができ、例えばYが固溶したZrO2(YSZ)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
燃料極層3中の希土類元素が固溶したZrO2または希土類元素が固溶しているCeO2の含有量は、35〜65体積%の範囲にあるのが好ましく、またNiあるいはNiOの含有量は、65〜35体積%であるのが好ましい。さらに、この燃料極層3の開気孔率は、15%以上、特に20〜40%の範囲にあるのが好ましく、その厚みは、1〜30μmであるのが好ましい。
また、図1(a)および(b)の例では、燃料極層3は、空気極層6に対面する位置に形成されていればよいため、例えば空気極層6が設けられている側の下側の平坦面nにのみ燃料極層3が形成されていてもよい。すなわち、燃料極層3は下側の平坦面nにのみ設けられ、固体電解質層4が燃料極層3上、導電性支持体1の両弧状面m上および燃料極層3が形成されていない他方の上側の平坦面n上に形成された構造をしたものであってもよい。
固体電解質層4は、3〜15モル%のY、Sc、Yb等の希土類元素を含有した部分安定化あるいは安定化ZrO2からなる緻密質なセラミックスを用いるのが好ましい。また、希土類元素としては、安価であるという点からYが好ましい。さらに、固体電解質層4は、ガス透過を防止するという点から、相対密度(アルキメデス法による)が93%以上、特に95%以上の緻密質であることが望ましく、かつその厚みが5〜50μmであることが好ましい。
固体電解質層4と後述する空気極層6との間に、固体電解質層4と空気極層6との接合を強固とするとともに、固体電解質層4の成分と空気極層6の成分とが反応して電気抵抗の高い反応層が形成されることを抑制する目的で中間層9の拡散防止部9cが形成されている。
空気極層6としては、いわゆるABO3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスにより形成することが好ましい。かかるペロブスカイト型酸化物としては、Laを含有する遷移金属ペロブスカイト型酸化物、特にAサイトにSrとLaが共存するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物の少なくとも1種が好ましく、600〜1000℃程度の作動温度での電気伝導性が高いという点からLaCoO3系酸化物が特に好ましい。なお、上記ペロブスカイト型酸化物においては、Bサイトに、CoとともにFeやMnが存在しても良い。
また、空気極層6は、ガス透過性を有する必要があり、従って、空気極層6を形成する
導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、空気極層6の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
導電性セラミックス(ペロブスカイト型酸化物)は、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。さらに、空気極層6の厚みは、集電性という点から30〜100μmであることが好ましい。
また、導電性支持体1の空気極層6側と反対側の平坦面n上には、密着層7を介してインターコネクタ層8が積層されている。
インターコネクタ層8としては、希土類元素を含有する導電性セラミックスにより形成されている。燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガスと接触するため、耐還元性、耐酸化性を有していることが必要である。このため、耐還元性、耐酸化性を有する導電性セラミックスとしては、一般に、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)が使用され、特に導電性支持体1および固体電解質層4の熱膨張係数に近づける目的から、BサイトにMgが存在するLaCrMgO3系酸化物が用いられる。インターコネクタ層8材料は、希土類元素を含有する導電性セラミックスであればよく、特に限定されるものではない。
また、インターコネクタ層8の厚みは、ガスのリーク防止と電気抵抗という点から、10〜50μmであることが好ましい。この範囲ならばガスのリークを防止できるとともに、電気抵抗を小さくできる。
さらに、導電性支持体1とインターコネクタ層8との間には、インターコネクタ層8と導電性支持体1との間の熱膨張係数差を軽減する等のために密着層7が形成されている。
このような密着層7としては、燃料極層3と類似した組成とすることができる。例えば、希土類酸化物、希土類元素が固溶したZrO2、希土類元素が固溶したCeO2のうち少なくとも1種と、Niおよび/またはNiOとから形成することができる。より具体的には、例えばY2O3とNiおよび/またはNiOからなる組成や、Yが固溶したZrO2(YSZ)とNiおよび/またはNiOからなる組成、Y、Sm、Gd等が固溶したCeO2とNiおよび/またはNiOからなる組成から形成することができる。なお、希土類酸化物や希土類元素が固溶したZrO2(CeO2)と、Niおよび/またはNiOとは、体積比で40:60〜60:40の範囲とすることが好ましい。
また、中間層9の重畳部9aは、緻密質なZrO2系焼結体からなる固体電解質層4の両端部と、緻密質な希土類元素を含有する焼結体からなるインターコネクタ層8の両端部との間に形成されている。この中間層9の重畳部9aは、焼成時に、固体電解質層4のZr等がCeO2系焼結体に拡散するとともに、インターコネクタ層8の希土類元素等がCeO2系焼結体に拡散し、固体電解質層4、インターコネクタ層8からの元素が中間層9に拡散し、中間層9の気孔率(画像解析装置で求めた場合)3%以下の緻密質焼結体となっている。これにより、燃料ガスが外部に漏出することを防止できる。
ここで、中間層9としては、Ce以外の他の希土類元素を含有するCeO2系焼結体からなるもので、例えば、(CeO2)1−x(REO1.5)x(式中、REはSm、Y、Yb、Gdの少なくとも1種であり、xは0<x≦0.3を満足する数)で表される組成を有していることが好ましい。さらには、電気抵抗を低減するという点から、REとしてSmやGdを用いることが好ましく、例えば10〜20モル%のSmO1.5またはGdO1.5が固溶したCeO2からなることが好ましい。
中間層9は、図1では、固体電解質層4の平坦な上面全面に形成したが、図2に示すように、固体電解質層4の端部の傾斜面にも形成されていても良い。この場合には固体電解質層4の傾斜面に印刷塗布することで中間層9を形成できる。固体電解質層4の傾斜面は
、所定の傾斜角度をもったカッターでグリーンシートを切断することで形成できる。また、図3に示すように、中間層9は固体電解質層4の全面に形成されていても良い。いずれの場合にも、固体電解質層を形成するグリーンシートの両面に燃料極成形体、中間層成形体を形成したものを用いることができる。
、所定の傾斜角度をもったカッターでグリーンシートを切断することで形成できる。また、図3に示すように、中間層9は固体電解質層4の全面に形成されていても良い。いずれの場合にも、固体電解質層を形成するグリーンシートの両面に燃料極成形体、中間層成形体を形成したものを用いることができる。
従来、ZrO2系成形体の端部表面にLaCrO3系成形体を中間層成形体を介して積層し、高温で同時焼成する場合には、LaCrO3系成形体からのLaが中間層成形体側に拡散し、LaがZrO2系成形体表面に拡散し、高絶縁性のLa2Zr2O7層を形成し、これにより中間層を介してZrO2系焼結体とLaCrO3系焼結体とを強固に接合していたが、インターコネクタ層の還元膨張等を抑制すべく、近年においては焼成温度の低下が要求されている。従来よりも低温で焼成するようになると、LaCrO3系成形体からのLaが中間層成形体を介してZrO2系成形体の表面まで十分に拡散できず、中間層焼結体とZrO2系焼結体との接合が不十分となり、その結果、LaCrO3系焼結体がZrO2系焼結体から剥離する虞があった。
本形態の燃料電池セルでは、中間層9が、Ce以外の希土類元素を含有するCeO2系焼結体からなるため、固体電解質層4の両端部に、緻密質な希土類元素を含有するセラミック焼結体からなるインターコネクタ層8の両端部を強固に接合することができる。すなわち、固体電解質層4の両端部にインターコネクタ層8の両端部を、中間層9を介して積層し、焼成する際に、固体電解質層4のZr等がCeO2系焼結体に拡散して固溶するとともに、インターコネクタ層8の希土類元素がCeO2系焼結体に拡散して固溶し、固体電解質層4、インターコネクタ層8からの元素が中間層9に拡散し、接合強度を向上することができる。
インターコネクタ層材料を含有するペーストを中間層9上に塗布し、焼結する場合であっても、固体電解質層4とインターコネクタ層8との接合強度を向上でき、固体電解質4からのインターコネクタ層の剥離を抑制できる。
また、中間層9の拡散防止部9cが、実質的に固体電解質層4の上面全面に形成されており、空気極層6が固体電解質層4に中間層9を介して形成されているため、空気極層6を固体電解質層4上に形成する場合には、中間層9の拡散防止部9cにZr等が固溶し、空気極層6に拡散することを抑制できるとともに、固体電解質層4とインターコネクタ層8との接合強度を向上することができる。また、中間層9は固体電解質層4の全面に形成すれば良いため、固体電解質層4の両端部に、正確に中間層9の位置を制御することがなくなり、製法上容易となる。
なお、中間層9の上面に、空気極層6材料等の拡散を防止するため、拡散防止層として、Ce以外の希土類元素を含有する多孔質のCeO2系焼結体を設けることが望ましい。拡散防止層は、中間層9と同一材料であることが望ましい。
以上説明した本形態の燃料電池セル10の作製方法の一例について説明する。
先ず、例えば、Niおよび/またはNiO粉末と、Y2O3などの希土類酸化物の粉末と、有機バインダーと、溶媒とを混合して坏土を調製し、この坏土を用いて押出成形により導電性支持体成形体を作製し、これを乾燥する。なお、導電性支持体成形体として、導電性支持体成形体を900〜1000℃にて2〜6時間仮焼した仮焼体を用いてもよい。
次に、例えば所定の調合組成に従い、NiOと、Y2O3が固溶したZrO2(YSZ)との素原料を秤量、混合する。この後、混合した粉体に、有機バインダーおよび溶媒を混合して燃料極層用スラリーを調製する。
中間層成形体は、例えば、GdO1.5が固溶したCeO2粉末を800〜900℃にて2〜6時間、熱処理を行い、中間層成形体用の原料粉末を調整する。この中間層成形体の原料粉末に、溶媒としてトルエンを添加し、中間層用スラリーを調整する。
そして、希土類元素が固溶したZrO2粉末に、トルエン、バインダー、市販の分散剤等を加えてスラリー化したものをドクターブレード等の方法により、7〜75μmの厚さに成形してシート状の固体電解質層成形体を作製する。得られたシート状の固体電解質層成形体上に燃料極層用スラリーを塗布し乾燥して燃料極層成形体を形成し、さらに燃料極層成形体の形成面とは反対側の固体電解質層成形体の面に、中間層用スラリーを塗布し乾燥して、図3(a)に示すようなシート状の積層成形体45を形成する。この燃料極層成形体、固体電解質層成形体および中間層成形体が形成されたシート状の積層成形体45の燃料極層成形体側の面を導電性支持体成形体46に積層し、図3(b)に示すような成形体47を形成する。
なお、燃料極層用スラリーを導電性支持体成形体の所定位置に塗布し乾燥して、固体電解質層成形体および中間層成形体を積層したシート状の積層成形体を導電性支持体成形体(燃料極層成形体)に積層し、固体電解質層成形体に中間層成形体を形成しても良いが、固体電解質層成形体、燃料極層成形体および中間層成形体が形成されたシート状の積層成形体を形成し、導電性支持体成形体に積層することが、工程を簡略化できるとともに、固体電解質層成形体、燃料極層成形体および中間層成形体の厚みを所定厚みに確保できることができるという点から望ましい。厚みを所定厚みに確保するという点では、燃料極層成形体、固体電解質層成形体および中間層成形体をそれぞれシート状に形成し、積層することが望ましい。
続いて、インターコネクタ層材料(例えば、LaCrMgO3系酸化物粉末)、有機バインダー及び溶媒を混合してスラリーを作製する。
続いて、導電性支持体1とインターコネクタ層8との間に位置する密着層成形体を形成する。例えば、Yが固溶したZrO2とNiOが体積比で40:60〜60:40の範囲となるように混合して乾燥し、有機バインダー等を加えて密着層用スラリーを調整し、導電性支持体成形体に塗布して密着層成形体を形成する。
この後、中間層成形体の上に、インターコネクタ層用成形体の両端部が積層されるように、密着層成形体上面にインターコネクタ層用スラリーを塗布し、積層成形体を作製する。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中、1400〜1450℃にて2〜6時間、同時焼結(同時焼成)する。なお、インターコネクタ層用スラリーを調製し、インターコネクタ層用シートを作製し、中間層成形体の上に、インターコネクタ層用シートの両端部が積層されるように、密着層成形体上面にインターコネクタ層用シートを積層し、積層成形体を作製することもできる。
さらに、空気極層用材料(例えば、LaCoO3系酸化物粉末)、溶媒および増孔剤を含有するスラリーをディッピング等により中間層上に塗布し、1000〜1300℃で、2〜6時間焼き付けることにより、図1に示す構造の本形態の燃料電池セル10を製造できる。なお、燃料電池セル10は、その後、内部に水素ガスを流し、導電性支持体1および燃料極層3の還元処理を行なうのが好ましい。その際、たとえば750〜1000℃にて5〜20時間還元処理を行なうのが好ましい。
図4は、上述した燃料電池セル10の複数個を、集電部材13を介して電気的に直列に接続して構成される燃料電池セルスタック装置の一例を示したものであり、(a)は燃料電池セルスタック装置11を概略的に示す側面図、(b)は(a)の燃料電池セルスタック装置11の一部拡大断面図であり、(a)で示した破線で囲った部分を抜粋して示している。なお、(b)において(a)で示した破線で囲った部分に対応する部分を明確とするために矢印にて示しており、(b)で示す燃料電池セル10においては、上述した中間層9等の一部の部材を省略して示している。
なお、燃料電池セルスタック装置11においては、各燃料電池セル10を集電部材13を介して配列することで燃料電池セルスタック12を構成しており、各燃料電池セル10の下端部が、燃料電池セル10に燃料ガスを供給するためのガスタンク16に、ガラスシール材等の接着剤により固定されている。また、燃料電池セル10の配列方向の両端から集電部材13を介して燃料電池セルスタック12を挟持するように、ガスタンク16に下端部が固定された弾性変形可能な導電部材14を具備している。
また、図4に示す導電部材14においては、燃料電池セル10の配列方向に沿って外側に向けて延びた形状で、燃料電池セルスタック12(燃料電池セル10)の発電により生じる電流を引出すための電流引出し部15が設けられている。
ここで、本形態の燃料電池セルスタック装置11においては、上述した燃料電池セル10を用いて、燃料電池セルスタック12を構成することにより、長期信頼性が向上した燃料電池セルスタック装置11とすることができる。
図5は、燃料電池セルスタック装置11を収納容器内に収納してなる燃料電池モジュール18の一例を示す外観斜視図であり、直方体状の収納容器19の内部に、図4に示した燃料電池セルスタック装置11を収納して構成されている。
なお、燃料電池セル10にて使用する燃料ガスを得るために、天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成するための改質器20を燃料電池セルスタック12の上方に配置している。そして、改質器20で生成された燃料ガスは、ガス流通管21を介してガスタンク16に供給され、ガスタンク16を介して燃料電池セル10の内部に設けられたガス通路2に供給される。
なお、図5においては、収納容器19の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されている燃料電池セルスタック装置11および改質器20を後方に取り出した状態を示している。図5に示した燃料電池モジュール18においては、燃料電池セルスタック装置11を、収納容器19内にスライドして収納することが可能である。なお、燃料電池セルスタック装置11は、改質器20を含むものとしても良い。
また収納容器19の内部に設けられた酸素含有ガス導入部材22は、図5においてはガスタンク16に並置された一対の燃料電池セルスタック12の間に配置されるとともに、酸素含有ガスが燃料ガスの流れに合わせて、燃料電池セル10の側方を下端部から上端部に向けて流れるように、燃料電池セル10の下端部に酸素含有ガスを供給する。そして、燃料電池セル10のガス通路2より排出される燃料ガスを酸素含有ガスと反応させて燃料電池セル10の上端部側で燃焼させることにより、燃料電池セル10の温度を上昇させることができ、燃料電池セルスタック装置11の起動を早めることができる。また、燃料電池セル10の上端部側にて、燃料電池セル10のガス流路から排出される燃料ガスと酸素含有ガスとを燃焼させることにより、燃料電池セル10(燃料電池セルスタック12)の上方に配置された改質器20を温めることができる。それにより、改質器20で効率よく改質反応を行うことができる。
さらに、本形態の燃料電池モジュール18においても、上述した燃料電池セルスタック装置11を収納容器19内に収納してなることから、長期信頼性が向上した燃料電池モジュール18とすることができる。
図6は、外装ケース内に図4で示した燃料電池モジュール18と、燃料電池セルスタック装置11を動作させるための補機とを収納してなる燃料電池装置の一例を示す斜視図である。なお、図6においては一部構成を省略して示している。
図6に示す燃料電池装置23は、支柱24と外装板25とから構成される外装ケース内を仕切板26により上下に区画し、その上方側を上述した燃料電池モジュール18を収納するモジュール収納室27とし、下方側を燃料電池モジュール18を動作させるための補機類を収納する補機収納室28として構成されている。なお、補機収納室28に収納する補機類は省略して示している。
また、仕切板26には、補機収納室28の空気をモジュール収納室27側に流すための空気流通口29が設けられており、モジュール収納室27を構成する外装板25の一部に、モジュール収納室27内の空気を排気するための排気口30が設けられている。
このような燃料電池装置23においては、上述したように、信頼性を向上することができる燃料電池モジュール18をモジュール収納室27に収納して構成されることにより、信頼性の向上した燃料電池装置23とすることができる。
以上、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
なお、上記形態では、中空平板型の固体電解質形燃料電池セルについて説明したが、円筒型の固体電解質形燃料電池セルであっても良いことは勿論である。また、各部材間に機能に合わせて各種中間層を形成しても良い。
また、図1〜3では、実質的に固体電解質の全面に中間層を形成した場合について説明したが、図7に示すように、中間層9の露出部9bを実質的に形成しない場合であっても良い。すなわち、中間層9の重畳部9aと、重畳部9cとを離間して形成し、固体電解質層4の一部(弧状面m)が露出している場合であっても良い。
先ず、平均粒径0.5μmのNiO粉末と、平均粒径0.9μmのY2O3粉末を焼成−還元後における体積比率が、NiOが48体積%、Y2O3が52体積%になるように混合し、有機バインダーと溶媒にて作製した坏土を押出成形法にて成形し、乾燥、脱脂して導電性支持体成形体を作製した。
次に、8mol%のYが固溶したマイクロトラック法による粒径が0.8μmのZrO2粉末(固体電解質層原料粉末)と有機バインダーと溶媒とを混合して得られたスラリーを用いて、ドクターブレード法にて厚み30μmの固体電解質層用シートを作製した。
中間層成形体を形成するためのスラリーは、CeO2を90モル%、希土類元素の酸化物(GdO1.5、SmO1.5)を10モル%含む複合酸化物、またはCeO2を92モル%、GdO1.5を8モル%含む複合酸化物を、溶媒としてイソプロピルアルコール(IPA)を用いて振動ミル又はボールミルにて粉砕し、900℃にて4時間仮焼処理を行い、再度ボールミルにて解砕処理し、セラミック粒子の凝集度を調製し、この粉体に、
アクリル系バインダーとトルエンとを添加し、混合して作製した。
アクリル系バインダーとトルエンとを添加し、混合して作製した。
次に平均粒径0.5μmのNiO粉末とY2O3が固溶したZrO2粉末と有機バインダーと溶媒とを混合した燃料極層用スラリーを作製し、固体電解質層用シート上にスクリーン印刷法にて塗布し乾燥して燃料極層成形体を形成した。続いて、燃料極層成形体が形成された面とは反対側の面の固体電解質層用シート上に、中間層成形体を形成するためのスラリーを、焼成後の厚みが表1となるように、スクリーン印刷法にて塗布し乾燥して、中間層成形体を形成した。
固体電解質層用シートの両面に中間層成形体、燃料極層成形体を形成したシート状の積層成形体を、燃料極層成形体側の面を内側にして導電性支持体成形体の所定位置に積層した。
続いて、上記のように成形体を積層した積層成形体を1000℃にて3時間仮焼処理した。
続いて、La(Mg0.3Cr0.7)0.96O3と、有機バインダーと溶媒とを混合したスラリーを作製した。
NiとYSZとからなる原料を混合して乾燥し、有機バインダーと溶媒とを混合して密着層用スラリーを調整した。調整した密着層用スラリーを、導電性支持体の燃料極層(および固体電解質層)が形成されていない部位(導電性支持体が露出した部位)に塗布して密着層成形体を積層し、中間層成形体および密着層成形体の上に、インターコネクタ層用スラリーを塗布した。
次いで、上記の積層成形体を脱バインダー処理し、酸素含有雰囲気中で1450℃にて2時間同時焼成した。
次に、平均粒径2μmのLa0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3粉末と、イソプロピルアルコールとからなる混合液を作製し、積層焼結体の中間層の表面に噴霧塗布し、空気極層成形体を形成し、1100℃にて4時間で焼き付け、空気極層を形成し、図1に示す燃料電池セルを作製した。
なお、作製した燃料電池セルの寸法は25mm×200mmで、導電性支持体の厚み(平坦面n間の厚み)は2mm、開気孔率35%、燃料極層の厚さは10μm、開気孔率24%、空気極層の厚みは50μm、開気孔率40%、固体電解質層の相対密度は97%であった。表中の中間層の厚みは重畳部9a部分の厚みとし、重畳部9aの気孔率は画像解析装置で求めたところ、それぞれの試料とも気孔率は2%以下であった。
次に、この燃料電池セルの内部に水素ガスを流し、850℃で10時間、導電性支持体および燃料極層の還元処理を施した。
得られた燃料電池セルについて、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、固体電解質からのインターコネクタ層の剥離有無を確認し、表1に記載した。表1で、中間層厚み0は、中間層を形成しなかった場合である。また、表1中の×は、固体電解質層の端部とインターコネクタ層の端部との間に剥離があった場合を示し、逆に○は、固体電解質層の端部とインターコネクタ層の端部との間に剥離がなかった場合を示す。
表1の結果より、中間層として、Ce以外のGd、Smを含有するCeO2系焼結体を用いることにより、固体電解質層からのインターコネクタ層の剥離を防止できることがわかる。これに対して、中間層を形成しない場合には、固体電解質層からインターコネクタ層が剥離していた。
1:導電性支持体
2:燃料ガス通路
3:燃料極層
4:固体電解質層
6:空気極層
8:インターコネクタ層
9:中間層
9a:重畳部
9b:露出部
9c:拡散防止部
11:燃料電池セルスタック装置
18:燃料電池モジュール
23:燃料電池装置
2:燃料ガス通路
3:燃料極層
4:固体電解質層
6:空気極層
8:インターコネクタ層
9:中間層
9a:重畳部
9b:露出部
9c:拡散防止部
11:燃料電池セルスタック装置
18:燃料電池モジュール
23:燃料電池装置
Claims (4)
- ZrO2系焼結体からなる固体電解質層の両端部に、希土類元素を含有する焼結体からなるインターコネクタ層の両端部が、中間層を介して接合されており、前記固体電解質層の外側に空気極層を、内側に燃料極層を形成してなる固体酸化物形燃料電池セルであって、前記中間層が、Ce以外の希土類元素を含有するCeO2系焼結体からなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池セル。
- 前記中間層の希土類元素は、SmまたはGdであることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
- 多孔質な導電性支持体に、前記燃料極層、前記固体電解質層、前記空気極層がこの順で積層されているとともに、前記固体電解質層が形成されていない前記導電性支持体の部分に、両端部が前記中間層を介して前記固体電解質層の両端部に接合した前記インターコネクタ層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池セル。
- 前記中間層が、前記固体電解質層の全面に形成されており、前記空気極層が前記固体電解質層に前記中間層を介して形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の固体酸化物形燃料電池セル。
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2011
- 2011-01-28 JP JP2011016741A patent/JP2012156107A/ja active Pending
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