JP2011090637A - レギュレーター、集積回路装置及び電子機器 - Google Patents

レギュレーター、集積回路装置及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】回路の安定動作と低消費電力化を両立できるレギュレーター、集積回路装置及び電子機器等の提供。
【解決手段】レギュレーターは、非反転入力端子と反転入力端子の間にオフセット電圧VOFFを有する差動型の増幅回路AMと、増幅回路AMの出力ノードNQ1と第1の電源ノードVSSとの間に直列に設けられる第1の抵抗RB1及び第2の抵抗RB2と、第1の抵抗RB1と第2の抵抗RB1の接続ノードNQ1に一端が接続される位相補償用キャパシターC0を含む。第1、第2の抵抗RB1、RB2の接続ノードNQ2の信号が、増幅回路AMの非反転入力端子に帰還され、増幅回路AMの出力ノードNQ1の信号が、増幅回路AMの反転入力端子に帰還される。
【選択図】図1

Description

本発明は、レギュレーター、集積回路装置及び電子機器等に関する。
従来より、外部電源電圧の電圧調整を行って、調整後の電圧を内部回路に供給するレギュレーター(定電圧生成回路)が知られている。このようなレギュレーターの従来技術としては特許文献1、2に開示される技術が知られている。
例えば特許文献1に開示されるレギュレーターでは、基準電圧生成回路で生成した基準電圧が、増幅回路(オペアンプ)の反転入力端子に入力される。またレギュレーターの出力ノードとVSSとの間に第1、第2の抵抗が設けられ、これらの第1、第2の抵抗による分割電圧が、増幅回路の非反転入力端子に入力される。そして外部電源電圧の入力ノードとレギュレーターの出力ノードとの間に駆動トランジスターが設けられ、この駆動トランジスターのゲート電極を増幅回路が制御することで、レギュレーターの出力ノードから定電圧が出力される。
しかしながら、このレギュレーターでは、回路の安定動作を目指す設計を行うと、消費電力が増加してしまい、逆に低消費電力化を目指す設計を行うと、回路動作の安定度が悪化するという課題がある。
特開2001−92544号公報 特開昭60−252926号公報
本発明の幾つかの態様によれば、回路の安定動作と低消費電力化を両立できるレギュレーター、集積回路装置及び電子機器等を提供できる。
本発明の一態様は、非反転入力端子と反転入力端子の間にオフセット電圧を有する差動型の増幅回路と、前記増幅回路の出力ノードと第1の電源ノードとの間に直列に設けられる第1の抵抗及び第2の抵抗と、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の接続ノードに一端が接続される位相補償用キャパシターとを含み、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の前記接続ノードの信号が、前記増幅回路の前記非反転入力端子に帰還され、前記増幅回路の前記出力ノードの信号が、前記増幅回路の前記反転入力端子に帰還されるレギュレーターに関係する。
本発明の一態様によれば、増幅回路の非反転入力端子と反転入力端子の間のオフセット電圧と第1、第2の抵抗の抵抗比により決まる定電圧が生成される。そして本発明の一態様では、第1、第2の抵抗の接続ノードには位相補償用キャパシターが設けられ、この接続ノードの信号が増幅回路の非反転入力端子に帰還されると共に、増幅回路の出力ノードの信号が反転入力端子に帰還される。これにより、安定した回路動作で定電圧を生成できるレギュレーターの実現が可能になる。
また本発明の一態様では、前記増幅回路は、第1の差動トランジスターと、第2の差動トランジスターと、カレントミラー回路とを有する差動部と、前記差動部の出力ノードに接続される出力部とを含んでもよい。
このようにすれば、第1、第2の差動トランジスターとカレントミラー回路を有する差動部の非反転入力端子に、第1、第2の抵抗の接続ノードの信号を帰還し、差動部の反転入力端子に、増幅回路の出力ノードの信号を帰還して、電圧調整を行うことが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第1の差動トランジスターのゲート電極の導電性と、前記第2の差動トランジスターのゲート電極の導電性を異ならせることで、前記オフセット電圧が設定されてもよい。
このようにすれば、第1、第2の差動トランジスターのゲート電極の導電性を異ならせることで得られる仕事関数差電圧により、オフセット電圧を設定できるようになる。
また本発明の一態様では、前記第1の差動トランジスターのW/L比と、前記第2の差動トランジスターのW/L比を異ならせる、或いは前記カレントミラー回路を構成する第1のカレントミラー用トランジスターのW/L比と前記カレントミラー回路を構成する第2のカレントミラー用トランジスターのW/L比を異ならせることで、前記オフセット電圧が設定されてもよい。
このようにすれば、第1、第2の差動トランジスターのW/L比を異ならせたり、第1、第2のカレントミラー用トランジスターのW/L比を異ならせることで、オフセット電圧を設定できるようになる。
また本発明の一態様では、前記差動部は、第1の電流源を含み、前記第1の電流源は、一端が前記第1の電源ノードに接続される第1の電流源用抵抗と、ソースに前記第1の電流源用抵抗の他端が接続され、ゲートに前記第1の電源ノードが接続されるデプレッション型の第1の電流源用トランジスターを含み、前記第1の電流源用トランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、前記第1の電流源用抵抗の抵抗値は正の温度特性を有してもよい。
このようにすれば、第1の電流源のテール電流生成のための基準電圧を生成する回路を不要にすることができ、電流パスの本数を減らすことが可能になる。また、第1の電流源に流れるテール電流の温度依存性やバラツキを減少できる。
また本発明の一態様では、前記第1の電流源用抵抗は、Nウェルにより形成されるNウェル抵抗であってもよい。
このようにすれば、第1の電流源用抵抗の抵抗値に正の温度特性を持たせることが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第1の抵抗、前記第2の抵抗は、ポリシリコン層により形成されたポリ抵抗であり、前記Nウェル抵抗である前記第1の電流源用抵抗の形成領域上に、前記第1の抵抗又は前記第2の抵抗である前記ポリ抵抗がレイアウト配置されてもよい。
このようにすれば、1つの領域を用いて、第1の電流源用抵抗と第1の抵抗又は第2の抵抗をレイアウト配置できるようになるため、レイアウト効率を向上できる。
また本発明の一態様では、前記出力部は、前記差動部の出力ノードにより制御される駆動トランジスターと、前記駆動トランジスターに直列に設けられる第2の電流源を含み、前記第2の電流源は、一端が前記第1の電源ノードに接続される第2の電流源用抵抗と、ソースに前記第2の電流源用抵抗の他端が接続され、ゲートに前記第1の電源ノードが接続されるデプレッション型の第2の電流源用トランジスターを含み、前記第2の電流源用トランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、前記第2の電流源用抵抗の抵抗値は正の温度特性を有してもよい。
このようにすれば、第2の電流源のテール電流生成のための基準電圧を生成する回路を不要にすることができ、電流パスの本数を減らすことが可能になる。また、第2の電流源に流れるテール電流の温度依存性やバラツキを減少できる。
また本発明の一態様では、前記第2の電流源用抵抗は、Nウェルにより形成されるNウェル抵抗であてもよい。
このようにすれば、第2の電流源用抵抗の抵抗値に正の温度特性を持たせることが可能になる。
また本発明の一態様では、前記第1の抵抗、前記第2の抵抗は、ポリシリコン層により形成されたポリ抵抗であり、前記Nウェル抵抗である前記第2の電流源用抵抗の形成領域上に、前記第1の抵抗又は前記第2の抵抗である前記ポリ抵抗がレイアウト配置されてもよい。
このようにすれば、1つの領域を用いて、第2の電流源用抵抗と第1の抵抗又は第2の抵抗をレイアウト配置できるようになるため、レイアウト効率を向上できる。
また本発明の一態様では、前記第1の抵抗の抵抗値をR1とし、前記第2の抵抗の抵抗値をR2とした場合に、抵抗比R2/R1が、前記オフセット電圧の温度特性を相殺する温度特性を有してもよい。
このようにすれば、レギュレーターにより生成される定電圧の温度依存性を減少できる。
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載のレギュレーターを含む集積回路装置に関係する。
また本発明の他の態様では、前記レギュレーターにより生成された定電圧が電源電圧として供給されるロジック回路と、前記レギュレーターにより生成された定電圧が電源電圧として供給され、前記ロジック回路に対してリセット信号を出力するパワーオンリセット回路を含んでもよい。
このようにすれば、レギュレーターでの電流パスを減らすことなどにより集積回路装置の低消費電力化等を実現できる。
また本発明の他の態様では、前記パワーオンリセット回路は、前記第1の抵抗又は前記第2の抵抗に設定された電圧分割タップからの電圧が反転入力端子に入力され、前記第1の電源ノードが非反転入力端子に接続され、前記非反転入力端子と前記反転入力端子の間にオフセット電圧を有するコンパレーターを含んでもよい。
このようにすれば、レギュレーターの第1、第2の抵抗を有効活用して、パワーオンリセット回路の判定電圧レベルを設定し、リセット信号を生成できるようになる。
また本発明の他の態様では、前記コンパレーターが有する差動部は第3の電流源を含み、前記第3の電流源は、一端が前記第1の電源ノードに接続される第3の電流源用抵抗と、ソースに前記第3の電流源用抵抗の他端が接続され、ゲートに前記第1の電源ノードが接続されるデプレッション型の第3の電流源用トランジスターを含み、前記第3の電流源用トランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、前記第3の電流源用抵抗の抵抗値は正の温度特性を有してもよい。
このようにすれば、第3の電流源のテール電流生成のための基準電圧を生成する回路を不要にすることができ、電流パスの本数を減らすことが可能になる。また、第3の電流源に流れるテール電流の温度依存性やバラツキを減少できる。
また本発明の他の態様では、前記コンパレーターが有する出力部は第4の電流源を含み、前記第4の電流源は、一端が前記第1の電源ノードに接続される第4の電流源用抵抗と、ソースに前記第4の電流源用抵抗の他端が接続され、ゲートに前記第1の電源ノードが接続されるデプレッション型の第4の電流源用トランジスターを含み、前記第4の電流源用トランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、前記第4の電流源用抵抗の抵抗値は正の温度特性を有してもよい。
このようにすれば、第4の電流源のテール電流生成のための基準電圧を生成する回路を不要にすることができ、電流パスの本数を減らすことが可能になる。また、第4の電流源に流れるテール電流の温度依存性やバラツキを減少できる。
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の集積回路装置を含む電子機器に関係する。
本実施形態のレギュレーターの構成例。 本実施形態のレギュレーターの詳細な構成例。 本実施形態のレギュレーターに用いられる電流源の構成例を示す図。 仕事関数差電圧の説明図。 図5(A)、図5(B)は、本実施形態と比較例の回路動作比較に使用される回路図。 図6(A)、図6(B)は、伝達関数を解くことにより得られる極や零点の説明図。 図7(A)、図7(B)は、回路の安定動作を実現する手法の説明図。 本実施形態の比較例の帰還手法の例。 レギュレーターの比較例の構成例。 図10(A)、図10(B)はテール電流の温度依存性等を比較した図。 図11(A)、図11(B)はテール電流値のバラツキ等を比較した図。 図12(A)、図12(B)は抵抗のレイアウト配置例。 定電圧の温度依存性を低減する手法の説明図。 図14(A)、図14(B)も定電圧の温度依存性を低減する手法の説明図。 レギュレーター、パワーオンリセット回路、ロジック回路を含む集積回路装置の構成例。 レギュレーター、パワーオンリセット回路の構成例。 パワーオンリセット回路が含むコンパレーターの構成例。 無線通信用の集積回路装置の構成例。 電子機器の構成例。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
1.構成
図1に本実施形態のレギュレーター(定電圧生成回路)の構成例を示す。図1に示すように本実施形態のレギュレーターは、増幅回路AMと、第1、第2の抵抗RB1、RB2を含む。更に位相補償用のキャパシターC0を含む。
増幅回路AMは、非反転入力端子(広義には第1の差動入力端子)と反転入力端子(広義には第2の差動入力端子)の間にオフセット電圧VOFFを有する差動型の増幅回路(オペアンプ)である。即ち一般的な差動型の増幅回路では、仮想接地の場合に非反転入力端子と反転入力端子の間の電圧差はほぼ0Vになるが、図1の増幅回路AMでは、非反転入力端子と反転入力端子の間に、後述する仕事関数差電圧等によるオフセット電圧VOFFが設定される。
抵抗RB1、RB2は、増幅回路AMの出力ノードNQ1とVSSノード(広義には第1の電源ノード)との間に直列に設けられる。そして出力ノードNQ1の電圧が、抵抗RB1、RB2により電圧分割され、分割電圧が接続ノードNQ2に生成される。
ここでRB1、RB2の各抵抗は、直列接続された複数の抵抗ユニットを含んでもよい。そして複数の抵抗ユニットの各抵抗ユニットは、並列接続された抵抗素子及びスイッチ素子を有し、各抵抗ユニットのスイッチ素子がオン・オフされることで、RB1、RB2の抵抗値が可変に設定される。例えばヒューズ回路や不揮発性メモリなどの初期値設定回路からの信号に基づいて、各抵抗ユニットのスイッチ素子をオン又はオフに設定する。このようにすれば、製造プロセス変動に起因する抵抗値(定電圧値)のバラツキを調整することが可能になる。
位相補償用キャパシターC0は、抵抗RB1とRB2の接続ノードNQ2に一端が接続されるキャパシターである。図1では位相補償用キャパシターC0の他端はVSSノードに接続される。なお、キャパシターC0の他端をVDDノード(広義には第2の電源ノード)等に接続してもよい。このキャパシターC0は、例えば第1層のポリシリコンと第2層のポリシリコンからなる構造のキャパシターや、MIM(Metal-Insulator-Metal)構造のキャパシターや、ゲートキャパシターなどにより実現できる。
そして図1に示すように本実施形態のレギュレーターでは、抵抗RB1とRB2の接続ノードNQ2の信号(電圧)が、増幅回路AMの非反転入力端子(正側端子)に帰還(正帰還)される。また、増幅回路AMの出力ノードNQ1の信号(電圧)が、増幅回路AMの反転入力端子(負側端子)に帰還(負帰還)される。具体的には、増幅回路AMの非反転入力端子には接続ノードNQ2が接続され、増幅回路AMの反転入力端子には出力ノードNQ1が接続される。
例えば一般的な差動型の増幅回路では、非反転入力端子と反転入力端子の両方に対して信号を帰還する接続は行われない。この点、図1の増幅回路AMは、非反転入力端子と反転入力端子の間にオフセット電圧VOFFを有する増幅回路であるため、このような帰還接続が可能になる。そしてこのような帰還接続を採用することで、負帰還はボルテージフォロワ的になり、正帰還は抵抗分割でフィードバック量を調整して、出力電圧を決定できるようになる。
具体的には、抵抗RB1、RB2の抵抗値をR1、R2とする。すると本実施形態のレギュレーターは、Q1=VREG=VOFF×{(R1+R2)/R1}の定電圧を生成する。
例えば従来のレギュレーターでは、定電圧生成用の基準電圧を生成する回路が必要であった。従って、その基準電圧生成回路に電流パスが存在するため、その電流パスの分だけ電力が無駄に消費されてしまう。
これに対して本実施形態のレギュレーターでは、このような基準電圧生成回路を設けなくても、増幅回路AMのオフセット電圧VOFFを基準電圧として、Q1=VREG=VOFF×{(R1+R2)/R1}の定電圧が生成される。従って、基準電圧生成回路の電流パスの分だけ、電流パスの本数が減るため、低消費電力化を実現できる。
また本実施形態では、図1に示すように、増幅回路AMの出力ノードNQ1の信号を増幅回路AMの反転入力端子に帰還(負帰還)させると共に、抵抗RB1とRB2の接続ノードNQ2の信号を非反転入力端子に帰還(正帰還)させている。そして、この接続ノードNQ2に対して位相補償用のキャパシターC0を設けている。このようにすることで、後に詳述するように、回路の発振を防止して、回路の安定動作を実現できる。従って、本実施形態のレギュレーターによれば、回路の安定動作と低消費電力化とを両立できる。
また一般的なレギュレーターの設計手法では、何らかの基準電圧(例えば1V)をもとに、電圧生成用の演算増幅回路が演算増幅(例えば1.5倍の演算増幅)を行って、演算増幅後の電圧(例えば1.5V)を生成する。そしてバッファリング用の増幅回路(例えばボルテージフォロワ接続の増幅回路)が、演算増幅後の電圧のバッファリングを行うことで、レギュレーターの電流供給能力を確保する。
この手法によれば、演算増幅の部分とバッファリングの部分というように2つのステージに分けて設計を行うことができるため、設計を容易化できる。即ち、演算増幅を行いながらバッファリングを行うという回路構成は、回路の安定化という観点からは設計が非常に難しくなる。演算増幅を行うと、帰還抵抗を介した負帰還が必要になるが、帰還抵抗や帰還容量に起因する位相遅れに対しての安定性確保と、電流供給能力の両立を考えながら設計を行うのは、困難を極めるからである。
この点、図1の本実施形態の構成は、演算増幅とバッファリングを1つの増幅回路で実現する構成になっている。即ち、演算増幅用の設計という視点は正帰還側に持ち込まれ、バッファリング用の設計という視点は負帰還側に持ち込まれており、この点において従来の一般的なレギュレーターの設計手法とは異なっている。
図2に本実施形態のレギュレーターの詳細な構成例を示す。図2に示すように増幅回路AMは、差動部DFと、差動部DFの出力ノードNB1に接続される出力部QBを含む。更に位相補償用のキャパシターCC及び抵抗RCを含むことができる。差動部DFは、第1、第2の差動トランジスターTB1、TB2と、トランジスターTB4及びTB5により構成されるカレントミラー回路を含む。
具体的には、差動部DFは、差動トランジスターTB1、TB2と、カレントミラー用のトランジスターTB4、TB5と、第1の電流源ISB1を含む。差動トランジスターTB1のゲート電極は、抵抗RB1とRB2の接続ノードNQ2に接続される。差動トランジスターTB2のゲート電極は、出力部QBの出力ノードNQ1に接続される。差動トランジスターTB1、TB2は、そのゲート電極の導電性が異なり、これらのTB1、TB2のしきい値電圧の差が仕事関数差電圧VWDになる。
P型のトランジスターTB4及びTB5は、N型の差動トランジスターTB1、TB2とVDDノード(広義には第2の電源ノード)との間に設けられる。トランジスターTB4とTB5は、そのゲート電極がノードNB2に接続されており、これによりカレントミラー回路が構成される。第1の電流源ISB1は、差動トランジスターTB1、TB2とVSSノード(広義には第1の電源ノード)との間に設けられる。
出力部QBは、直列に設けられる駆動トランジスターTDR及び第2の電流源ISB2を含む。そして駆動トランジスターTDRと第2の電流源ISB2の間の接続ノードNQ1の信号が、差動部DFのトランジスターTB2のゲート電極である反転入力端子(第2の差動入力端子)に入力されて帰還される。また抵抗RB1とRB2の接続ノードNQ2の信号が、差動部DFのトランジスターTB1のゲート電極である非反転入力端子(第1の差動入力端子)に入力されて帰還される。位相補償用のキャパシターCC及び抵抗RCは、差動部DFの出力ノードNB1と出力部QBの出力ノードNQ1の間に設けられる。
抵抗RB1、RB2は、出力部QBの出力ノードNQ1とVSSノードの間に設けられる。位相補償用のキャパシターC0は、抵抗RB1とRB2の接続ノードNQ2とVSSノードの間に設けられる。
図2では、差動トランジスターTB1のゲート電極の導電性と、差動トランジスターTB2のゲート電極の導電性を異ならせることで、オフセット電圧VOFFである仕事関数差電圧VWDが設定される。
例えば差動トランジスターTB1のゲート電極がN型である場合には、差動トランジスターTB2のゲート電極はP型になる。そしてTB1は例えばデプレッション型のN型トランジスター(NMOSトランジスター)になり、TB2は例えばエンハンスメント型のN型トランジスターになる。例えば差動トランジスターTB1、TB2は、基板の不純物濃度やチャネルの不純物濃度は同じであるが、ゲート電極の導電性が異なっており、ゲート電極の不純物濃度が異なっている。
具体的には、MOSトランジスターのしきい値電圧は、Vth=φMS−QSS/COX+2φ+Q/COXと表すことができる。ここでφMSは、ゲート電極と基板(Pウェル)の仕事関数差であり、QSSは酸化膜内の固定電荷であり、COXはゲート酸化膜の単位面積当たりの容量であり、φはフェルミ準位であり、Qは空乏層内の電荷である。差動トランジスターTB1のN型ゲート電極の不純物濃度や差動トランジスターTB2のP型ゲート電極の不純物濃度の設定により、差動トランジスターTB1のしきい値電圧は例えば−0.2V〜−0.5V程度に設定でき、差動トランジスターTB2のしきい値電圧は例えば0.5V〜0.8V程度に設定できる。
そしてノードNQ1とノードNQ2の電圧差は、増幅回路AMの仮想接地により差動トランジスターTB2とTB1のしきい値電圧差(仕事関数差電圧)に設定され、これにより定電圧が生成されて出力される。従って図2のレギュレーターによれば、基準電圧を生成する回路を別個に設ける必要がなく、その分だけ電流のパスの本数を減らすことができるため、低消費電力化を図れる。
図3は、図2の第1、第2の電流源ISB1、ISB2の具体的な構成例を示す図である。図3では、第1の電流源ISB1は、第1の電流源用抵抗RB3と第1の電流源用トランジスターTB3を含む。電流源用抵抗RB3は、その一端がVSSノード(第1の電源ノード)に接続される。電流源用トランジスターTB3は、そのソースに電流源用抵抗RB3の他端が接続され、そのゲートにVSSノードが接続されるデプレッション型のトランジスター(NMOSトランジスター)である。
同様に、第2の電流源ISB2は、第2の電流源用抵抗RB4と第2の電流源用トランジスターTB6を含む。電流源用抵抗RB4は、その一端がVSSノード(第1の電源ノード)に接続される。電流源用トランジスターTB6は、そのソースに電流源用抵抗RB4の他端が接続され、そのゲートにVSSノードが接続されるデプレッション型のトランジスター(NMOSトランジスター)である。
例えばトランジスターTB3、TB6のしきい値電圧の上昇等によりTB3、TB6に流れるテール電流ITL1、ITL2が小さくなると、TB3、TB6のソースノードの電圧が低くなる。そしてTB3、TB6のソースノードの電圧が低くなると、TB3、TB6のゲート・ソース間電圧は大きくなるため、TB3、TB6に流れる電流を大きくする方向に働き、これによりTB3、TB6に流れるテール電流ITL1、ITL2が一定に保たれる。
一方、トランジスターTB3、TB6のしきい値電圧の減少等によりTB3、TB6に流れるテール電流ITL1、ITL2が大きくなると、TB3、TB6のソースノードの電圧が高くなる。そしてTB3、TB6のソースノードの電圧が高くなると、TB3、TB6のゲート・ソース間電圧は小さくなるため、TB3、TB6に流れるテール電流ITL1、ITL2を小さくする方向に働き、これによりTB3、TB6に流れるテール電流ITL1、ITL2が一定に保たれる。このようにして、一定のテール電流ITL1、ITL2が流れる電流源ISB1、ISB2の実現が可能になる。
このように図3の構成の電流源ISB1、ISB2では、自己完結的に電流を生成し電圧を発生する構成になっており、ソースに設けられたソース抵抗RB3、RB4により負帰還がかかる構成になっている。従って、トランジスターTB3、TB6や抵抗RB3、RB4にバラツキが生じた場合にも、生成されるテール電流ITL1、ITL2のバラツキはTB3、TB6、RB3、RB4のバラツキよりも小さくなるため、安定したテール電流の生成が可能になる。
また電流源用のトランジスターTB3、TB6は、デプレッション型のN型トランジスターとなっており、そのゲート電極にはVSSの電圧(第1の電源ノードの電圧。グラウンド電圧)が設定される。即ちトランジスターTB3、TB6はデプレッション型のN型トランジスターであるため、そのゲート電極にVSSが設定されても電流が流れる。従って、トランジスターTB3、TB6のゲート電極をVSSに設定すれば済み、このゲート電極に設定される基準電圧の生成回路を別に用意する必要がないため、電流パスの本数を減らすことができる。即ち基準電圧生成回路の電流パスの分だけ電流パスの本数を減らすことができるため、低消費電力化を図れる。
そして、トランジスターTB3、TB6のしきい値電圧は負の温度特性を有し、抵抗RB3、RB4の抵抗値は正の温度特性を有する。例えば抵抗RB3、RB4はNウェルにより形成されるNウェル抵抗であり、このNウェル抵抗は正の温度特性を有する。従って、温度が上がると、トランジスターTB4、TB6のしきい値電圧が減少する一方で、抵抗RB3、RB4の抵抗値は増加するため、電流源ISB1、ISB2に流れるテール電流ITL1、ITL2はほぼ一定に保たれる。また温度が下がると、トランジスターTB3、TB6のしきい値電圧が増加する一方で、抵抗RB3、RB4の抵抗値は減少するため、電流源ISB1、ISB2に流れるテール電流ITL1、ITL2はほぼ一定に保たれる。従って、テール電流ITL1、ITL2の温度特性をフラットな特性に近づけることが可能になる。
即ち、抵抗RB3、RB4により負帰還をかける構成だけでは、温度バラツキまでは低減できないが、トランジスターTB3、TB6に負の温度特性を持たせる一方で、抵抗RB3、RB4に正の温度特性を持たせることで、温度バラツキについても低減できるようになる。
図4は仕事関数差電圧を説明するためのバンド図である。図4に示すように、非反転入力端子側の差動トランジスターTB1のN型ゲート電極とPウェルとの仕事関数と、反転入力端子側の差動トランジスターTB2のP型ゲート電極とPウェルとの仕事関数の差が、仕事関数差電圧VWDになる。
なお、差動部DFの非反転入力端子と反転入力端子の間のオフセット電圧(第1、第2の差動入力端子間のオフセット電圧)は、図4のような仕事関数差電圧以外により設定してもよい。例えば差動トランジスターTB1のW/L比(電流供給能力)と、差動トランジスターTB2のW/L比を異ならせてオフセット電圧を設定してもよい。或いは、カレントミラー回路を構成する第1のカレントミラー用トランジスターTB4のW/L比と、カレントミラー回路を構成する第2のカレントミラー用トランジスターTB5のW/L比を異ならせることで、オフセット電圧が設定してもよい。
このように仕事関数差電圧VWDの設定に加えて、差動トランジスターやカレントミラー用トランジスターのW/L比(電流供給能力)も設定すれば、レギュレーターにより生成される定電圧の微調整等が可能になる。例えば仕事関数差電圧VWDが0.9V程度である時に、抵抗RB1の両端に1Vの電圧を印加して定電圧を生成したい場合には、1.0Vと0.9Vの差分である0.1Vの電圧を、差動トランジスターやカレントミラー用トランジスターのW/L比を異ならせる調整により設定する。こうすることで抵抗RB1の両端に印加される電圧を調整して、生成される定電圧の調整を行うことが可能になる。
2.位相補償
次に本実施形態の位相補償手法について説明する。本実施形態では図1等に示すように、レギュレーターの出力Q1(ノードNQ1の信号)は、増幅回路AMの反転入力端子に帰還され、レギュレーターの出力Q2(ノードNQ2の信号)は、増幅回路AMの非反転入力端子に帰還される。
例えば反転入力端子への帰還である負帰還では、位相遅れが120度程度以下であれば、位相余裕が60度以上になるため、回路の安定動作を確保できる。従って、図1では、出力Q1については入力からの位相遅れが90度であれば、回路の発振動作が防止され、回路の安定動作を確保できる。また、正帰還側である出力Q2については入力からの位相遅れが180度であれば、回路の安定動作を確保できる。また、この時、抵抗RB1、RB2の抵抗値を十分に高くできれば、出力ノードNQ1からVSSに流れる電流を低減できるため、低消費電力化を実現できる。
そこで本実施形態では、ノードNQ2に位相補償用のキャパシターC0を設けると共に、抵抗RB1の抵抗値を高くすることで、回路の安定動作と低消費電力化を両立している。
次に図5(A)、図5(B)の回路を用いて、本実施形態の位相補償手法を説明する。図5(A)の回路では、ノードNQ2に位相補償用キャパシターC0が設けられており、図5(B)の回路では、ノードNQ2に位相補償用キャパシターC0が設けられていない。
ここでは、非反転入力端子INPと反転入力端子INNに対して、各々、差動信号AC1とAC2を入力する。そして、図5(A)の回路での入力からQ1への伝達関数H1(S)及び入力からQ2への伝達関数H2(S)と、図5(B)の回路での入力からQ1への伝達関数H1(S)NC及び入力からQ2への伝達関数H2(S)NCを解き、極と零点の違いに着目して、その周波数特性を考察する。
伝達関数を解く際に、各トランジスターは、小信号解析用にモデル化しており、基本的にはgm素子のモデルを使用する。但し図5(A)、図5(B)のトランジスターTB4、TB5については、gm素子に加えてrdsやゲート・ソース容量を有するモデルを使用する。また、極の解に関しては、数式をそのまま解くと複雑になりすぎるため、簡略化しても影響が少ない部分については簡略化する操作を行う。即ち、分子・分母から主要項を抜き出して記述し直す簡略化操作を行う。また図5(A)、図5(B)では、差動のトランジスターTB1、TB2は同一サイズであり、カレントミラー回路を構成するトランジスターTB4、TB5も同一サイズであると想定している。従って、以下に説明する数式では、適宜、これらの一方を他方で置き換える操作を行っている。例えばgmTB1をgmTB2に置き換える操作や、rdsTB5をrdsTB4に置き換える操作などを行っている。
図5(A)のようにキャパシターC0を設けた場合において、入力から出力Q1への伝達関数H1(S)を解くと、DCゲインは下式(1)のように求まる。なおR1、R2は抵抗RB1、RB2の抵抗値である。
Figure 2011090637
また極は下式(2)、(3)、(4)のように求まる。なお下式(2)、(3)では上述した簡略化操作を行っている。
Figure 2011090637
また零点は下式(5)、(6)、(7)のように求まる。
Figure 2011090637
また図5(A)のようにキャパシターC0を設けた場合において、入力から出力Q2への伝達関数H2(S)を解くと、DCゲイン、極、零点は下式(8)〜(13)のように求まる。なお下式(9)、(10)では上述した簡略化操作を行っている。
Figure 2011090637
Figure 2011090637
Figure 2011090637
また図5(B)のようにキャパシターC0を設けない場合において、入力から出力Q1への伝達関数H1(S)NCを解くと、DCゲイン、極、零点は下式(14)〜(18)のように求まる。
Figure 2011090637
Figure 2011090637
Figure 2011090637
また図5(B)のようにキャパシターC0を設けない場合において、入力から出力Q2への伝達関数H2(S)NCを解くと、DCゲイン、極、零点は下式(19)〜(23)のように求まる。
Figure 2011090637
Figure 2011090637
Figure 2011090637
上述の4つの伝達関数H1(S)、H2(S)、H1(S)NC、H2(S)NCを解くことで得られるDCゲイン、極、零点から理解されるように、4つの伝達関数の違いは、下式(24)、(25)に示す2つのDCゲインDC1、DC2と、下式(26)〜(31)に示す極P1、P2、P3及び零点Z1、Z2、Z3の有無により議論できる。
Figure 2011090637
Figure 2011090637
Figure 2011090637
例えば図6(A)に示すように、キャパシターC0が設けられている場合には、Q1の伝達関数では全ての極P1〜P3及び全ての零点Z1〜Z3が存在するが、Q2の伝達関数では零点Z2が存在しない。一方、キャパシターC0が設けられていない場合には、Q1、Q2の両方の伝達関数において、極P2及び零点Z2が存在しない。
次に図6(B)を用いて極P1〜P3及び零点Z1〜Z3について説明する。図6(B)のA1に示すようにP1は、増幅回路の内部の位相補償(CC、RC)で決まる極である。A2に示すようにP2は、増幅回路の外部の容量C0で決まる極である。
A3に示すようにP3は、増幅回路の内部の寄生容量(cgs)で決まる極であり、A4に示すようにZ1は、増幅回路の内部の寄生容量(cgs)で決まる零点である。そしてP3とZ1は、上述の全ての伝達関数H1(S)、H2(S)、H1(S)NC、H2(S)NCに共通であり、周波数も近い。また負の極と負の零点は、ゲイン、位相の両周波数特性において互いに相殺する関係にあるため、これらの極P3及び零点Z1については無視することが可能になる。
A5に示すようにZ2は、増幅回路の外部の容量C0で決まる零点である。またA6に示すようにZ3は、gmTDR・RC=1になるように抵抗RCの抵抗値を設定することで、高周波に飛ばすことができる。
以上から、A3、A4、A6に示す極P3、零点Z1、Z3については解析対象から外すことができる。従って、図7(A)に示すように、極P1、P2及び零点Z2だけを解析すればよい。
そして図7(A)のB1に示すように、C0が設けられている場合のQ1への伝達関数では、極P1により位相が90度遅れる。また極P2によっても位相が90度遅れるが、これは零点Z2との相殺が、gmTDRの調整及びRB1の抵抗値の選択により調整可能である。具体的にはRB1の抵抗値R1を十分に大きくすると共に、gmTDRを大きくすること(電流を増やす、W/L比を大きくする)で調整できる。これにより位相は、結局、極P1による90度の遅れだけになる。
B2に示すように、C0が設けられている場合のQ2への伝達関数では、極P1により位相が90度遅れる。また極P2によっても位相が90度遅れるが、B1の場合とは異なり零点Z2が存在しないため、位相は180度の遅れになる。
B3に示すように、C0が設けられていない場合のQ1への伝達関数では、極P1により位相が90度遅れる。また外部のキャパシターC0が存在しないため、極P2は存在せず、P2による位相遅れは生じない。結果的に位相は90度の遅れになる。
B4に示すように、C0が設けられていない場合のQ2への伝達関数では、極P1により位相が90度遅れる。また外部のキャパシターC0が存在しないため、極P2は存在せず、P2による位相遅れは生じない。結果的に位相は90度の遅れになり、B3に示すQ1への伝達関数との相違は、DCゲインだけになる。
以上の解析をまとめると図7(B)に示すようになる。即ちキャパシターC0を設け、極P2による位相遅れを零点Z2で相殺することで、Q1への伝達関数では極P1による90度の位相遅れになる。従って、図1に示すようにQ1を反転入力端子に帰還することで、発振が防止されて、回路動作が安定となる。
またキャパシターC0を設けることで、Q2への伝達関数は、極P1とP2による180度の位相遅れになる。従って、図1に示すようにQ2を非反転入力端子に帰還することで、発振が防止されて、回路動作が安定化する。
例えば図8に本実施形態の比較例の帰還手法を示す。図8では、増幅回路AMの非反転入力端子をVSSに設定し、抵抗RB1とRB2の接続ノードNQ2の信号を増幅回路AMの反転入力端子に負帰還している。この図8の構成でも、オフセット電圧VOFFをもとにした定電圧の生成が可能になる。しかしながら、図8の構成では、低消費電力化を図るために抵抗RB1、RB2の抵抗値を高くすると、回路の安定性が極端に落ちてしまうという問題がある。
即ち、抵抗RB1の抵抗値を高くするだけであれば、帰還量が単純に減るだけであるため、回路的には安定動作の方向になる。しかしながら、抵抗RB2の抵抗値を高くせず、抵抗RB1の抵抗値だけを高くすると、レギュレーターの出力電圧(VREG)が上昇する。そして電源電圧には限界があり、出力する所望の電圧レベルも、ある範囲内に限られるため、抵抗RB1の抵抗値を高くする場合には、抵抗RB2の抵抗値についても同様に高くする必要がある。すると、抵抗RB2や負帰還先のゲート容量等による位相遅れが生じ、これが増幅回路AMの内部の極に近接して行く事で、回路動作が不安定になる。例えば180度の位相遅れの出力Q2が、図8のように増幅回路AMの反転入力端子に負帰還されると、図7(B)のB5に示すように回路動作が不安定になってしまう。
これに対して本実施形態では、図7(B)のB6、B7に示すような帰還手法を採用しているため、回路の安定動作と低消費電力化を両立できる。
即ち、本実施形態では、RB1の抵抗値を高くし(必然的にRB2の抵抗値も高くし)、結果的にノードNQ1からVSSに流れる消費電流を削減し、gmTDRを大きくすることで、回路の安定動作を実現する。
例えば図3のレギュレーターでの電流パスは、電流源ISB1のパス、電流源ISB2のパス、抵抗RB1及びRB2のパスである。このうち、抵抗RB1及びRB2のパスについては、RB1、RB2を例えば高抵抗のポリシリコン抵抗で形成し、その抵抗値を例えば50Mオーム以上にすることで、この電流パスで流れる電流を限りなく少なくできる。またRB1の抵抗値R1を大きくすることで、前述のように極P2による位相の遅れを、零点Z2で相殺して位相を戻すことが可能になり、回路動作も安定化できる。
また、極P2による位相の遅れを零点Z2で相殺するためには、駆動トランジスターTDRのgmTDRを大きくする必要があり、このため、図3のレギュレーターの消費電流は、電流源ISB2に流れるテール電流ITL2が支配的になる。即ち、テール電流ITL1とRB1及びRB2に流れる電流については十分に絞ることができるため、テール電流ITL2が全体の消費電流において支配的になる。
一方、図3では、電流源ISB2を、負の温度特性を有するデプレッション型のトランジスターTB6及び正の温度特性を有するPウェルの抵抗RB4で構成している。これにより、後述する図10(A)〜図11(B)に示すように、温度変動や電源電圧変動やプロセス変動に起因するテール電流ITL2のバラツキを低減できる。従って、設計マージンをそれほど広くとる必要がなくなるため、全体の消費電流において支配的なテール電流ITL2の値を、低消費電流側に十分に近づけることが可能になる。これにより、レギュレーターの消費電流を更に削減することが可能になる。
3.電流源でのテール電流
図9に、図3のレギュレーターの比較例となるレギュレーターの構成例を示す。この比較例は、図3に比べて、電流源ISB1、ISB2の構成が異なる。なお、本発明のレギュレーターは図9に示すような構成であってもよい。
図9の比較例では、トランジスターTG1、TG2により構成される基準電圧生成回路REFGにより基準電圧VRが生成される。そしてこの基準電圧VRがトランジスターTG3、TG4のゲート電極に入力されることで、電流源ISB1、ISB2でのテール電流ITL1、ITL2が生成される。
図9の比較例では、基準電圧生成回路REFGでの電流IRGの電流パスの分だけ、図3に比べて電流パスの本数が多くなる。従って、消費電流が大きくなってしまう。これに対して図3のレギュレーターでは、図9に比べて電流パスの本数を少なくできるため、低消費電力化を図れる。
図10(A)、図10(B)は、図3のレギュレーターで生成されるテール電流と図9の比較例で生成されるテール電流の温度依存性や電源電圧依存性を比較した図である。
なお図10(A)、図10(B)では、図3の電流源ISB1、ISB2の抵抗RB3、RB4が、正の温度特性を有するNウェル抵抗である場合と、フラットな温度特性を有するポリ抵抗である場合を、比較して示している。
図10(A)に示すように、デプレッション型のトランジスターTB3、TB6、Nウェルの抵抗RB3、RB4で電流源ISB1、ISB2を構成した図3のレギュレーターでは、テール電流ITL(ITL1、ITL2)の温度特性をほぼフラットにすることができる。従って、温度変動によるテール電流ITLの変動を抑制できる。
これに対して、図9の比較例のように電流源を構成すると、テール電流ITL(ITL1、ITL2)の温度特性はフラットにならず、温度変動によってテール電流ITLも変動してしまう。抵抗RB3、RB4を、ポリ抵抗で構成した場合も同様である。
また図10(B)に示すように、デプレッション型のトランジスターTB3、TB6、抵抗RB3、RB4で電流源ISB1、ISB2を構成した図3のレギュレーターでは、電源電圧が変化した場合にもテール電流ITLをほぼ一定に保てる。従って、電源電圧変動によるテール電流ITLの変動を抑制できる。これは抵抗RB3、RB4を、ポリ抵抗で構成した場合も同様である。
これに対して、図9の比較例のように電流源を構成すると、電源電圧が変化した場合に、テール電流ITLも変化してしまう。従って、電源電圧変動によるテール電流ITLの変動を抑制できず、この点において図3の構成の方が有利となる。
図11(A)は、図3のレギュレーターで生成されるテール電流と図9の比較例で生成されるテール電流のバラツキを比較したヒストグラムである。図11(A)ではモンテカルロ法を用いてヒストグラムを作成している。また図11(B)にテール電流の平均値、最大値、最小値、分散を示す。
図11(A)に示すように、図3のレギュレーターによれば、抵抗によるフィードバックのため、トランジスターのしきい値電圧のバラツキやゲート長寸法のバラツキなどの製造プロセス変動に起因するテール電流のバラツキを抑制できる。従って、精度の高いテール電流の生成が可能になる。
4.レイアウト配置
図12(A)、図12(B)に抵抗のレイアウト配置例を示す。図12(A)は平面図であり、図12(B)は断面図である。
図3では、抵抗RB1、RB2については、ポリ抵抗で形成する一方で、差動部DFや出力部QBの電流源用の抵抗RB3、RB4については、正の温度特性を有するNウェル抵抗で形成する。RB3、RB4をNウェル抵抗で形成して正の温度特性を持たせることで、デプレッション型のトランジスターTB3、TB6のしきい値電圧の負の温度特性との間の相殺が可能になり、電流源ISB1、ISB2のテール電流ITL1、ITL2の温度特性をフラットにすることが可能になる。
一方、レギュレーターの消費電力を低減するためには、RB1、RB2に流れる電流や、電流源ISB1、ISB2で流れるテール電流ITL1、ITL2の電流値を小さくする必要があり、これらの電流値を小さくするためには、抵抗RB1、RB2、RB3、RB4の抵抗値を大きくする必要がある。
しかしながら、抵抗RB1〜RB4の抵抗値を大きくしようとすると、抵抗RB1〜RB4のレイアウト面積が大きくなってしまい、集積回路装置の大規模化を招く。
そこで本実施形態では図12(A)、図12(B)に示すレイアウト手法を採用している。
即ち図12(A)において、図3の抵抗RB1やRB2は、ポリシリコン層により形成されるポリ抵抗になっており、抵抗RB3やRB4は、Nウェルにより形成されるNウェル抵抗になっている。そして図12(A)に示すように、Nウェル抵抗である抵抗RB3やRB4の形成領域上に、ポリ抵抗である抵抗RB1やRB2をレイアウト配置する。即ち、Nウェル抵抗である抵抗RB3やRB4と、ポリ抵抗である抵抗RB1やRB2とが、平面視においてオーバーラップするようにレイアウト配置される。
具体的には、図12(A)において抵抗RB1やRB2は複数のポリ抵抗ユニットにより構成される。即ち、複数のポリ抵抗ユニットが蛇状に配置され、隣り合うポリ抵抗ユニットは、メタル配線及びコンタクトを介して接続される。そして抵抗RB1やRB2の一端はタップTPP1になり、他端はタップTPP2になる。図3を例にとれば、抵抗RB1では、タップTPP1にはノードNQ1が接続され、タップTPP2にはノードNQ2が接続される。抵抗RB2では、タップTPP1にはノードNQ2が接続され、タップTPP2にはVSSが接続される。
また抵抗RB3やRB4は複数のNウェル抵抗ユニットにより構成される。即ち、複数のNウェル抵抗ユニットが蛇状に配置され、隣り合うNウェル抵抗ユニットは、メタル配線及びコンタクトを介して接続される。そして抵抗RB3やRB4の一端はタップTPN1になり、他端はタップTPN2なる。図3を例にとれば、抵抗RB3では、タップTPN1にはトランジスターTB3のソースが接続され、タップTPN2にはVSSが接続される。抵抗RB4では、タップTPN1にはトランジスターTB6のソースが接続され、タップTPN2にはVSSが接続される。なおポリ抵抗やNウェル抵抗のレイアウト配置は図12(A)に限定されず、種々の変形実施が可能である。
また図12(A)では、各ポリ抵抗ユニットはその長手方向が紙面に対して横方向(第1の方向)になるように配置され、Nウェル抵抗ユニットはその長手方向が紙面に対して縦方向(第1の方向に直交する第2の方向)になるように配置されている。このようにすれば、タップTPP1及びTPP2の取り出し場所と、タップTPN1及びTPN2の取り出し場所を、別の場所にできるため、信号配線のレイアウトを簡素化・効率化できる。
図12(A)、図12(B)の手法によれば、集積回路装置の1つの領域を用いて、抵抗RB1とRB3やRB2とRB4をレイアウト配置できる。従って、レイアウト効率を向上でき、集積回路装置の小面積化を図れる。
また図12(A)、図12(B)では、1つの領域に2つの抵抗(ポリ抵抗、Nウェル抵抗)を配置できるため、各抵抗の抵抗値を高くするために各抵抗のレイアウト面積が大きくなっても、全体のレイアウト面積の増加については最小限に抑えることができる。従って、各抵抗の抵抗値を大きくして回路の低消費電力化を図ることも容易になる。
特に本実施形態では、抵抗RB3、RB4をNウェル抵抗で形成すれば、その上に別の回路素子をレイアウト配置できる点に着目している。そこで、正の温度特性の抵抗RB3、RB4についてはNウェル抵抗で実現し、抵抗RB1、RB2についてはポリ抵抗で実現し、Nウェル抵抗の上にポリ抵抗を形成することで、レイアウト面積のコンパクト化を図る。
この場合に、Nウェル抵抗とポリ抵抗を同じ場所にレイアウト配置することで、一方の抵抗からの電圧により他方の抵抗の抵抗値が変動してしまうおそれもある。しかしながら、Nウェル抵抗については、その精度は重視されておらず、その抵抗値が高ければ十分であるため、ポリ抵抗からの電圧による抵抗値変動はそれほど問題にならない。一方、ポリ抵抗については、その抵抗値を高くして行くと、その上下の素子からの電圧による抵抗値の変動の影響を、より受けやすくなる。しかしながら、図3のNウェル抵抗RB3、RB4に印加される電圧は0Vに近いため、ポリ抵抗への悪影響はそれほど問題にならないという利点がある。
5.定電圧の温度依存性
前述のように、図1に示す本実施形態のレギュレーターは、Q1=VREG=VOFF×{(R1+R2)/R1}=VOFF×{1+(R2/R1)}の定電圧を生成する。そして仕事関数差電圧により設定されるオフセット電圧VOFFは負の温度特性を有する。このため、抵抗RB1、RB2が同じ温度特性の抵抗素子で形成されると、抵抗比R2/R1の項は温度依存性を持たなくなるため、定電圧VREGは負の温度特性を有するようになる。即ち定電圧VREGは、高温では低くなり、低温では高くなり、温度依存性を有するようになってしまう。
そこで本実施形態では、オフセット電圧VOFFの温度依存性を抵抗比R2/R1で相殺する手法を採用することが望ましい。即ち抵抗RB1の抵抗値をR1とし、抵抗RB2の抵抗値をR2とした場合に、抵抗比R2/R1に、オフセット電圧VOFFの温度特性を相殺する温度特性を持たせる。例えばオフセット電圧VOFFが負の温度特性を有する場合には、抵抗比R2/R1に正の温度特性を持たせる。このようにすれば、オフセット電圧VOFFの温度特性と抵抗比R2/R2の温度特性の相殺により、定電圧VREGの温度依存性を低減でき、例えばフラットに近い温度特性の定電圧VREGを生成することが可能になる。
図13に、このような温度補償手法を実現する構成の一例を示す。図13では、抵抗RB1は抵抗素子RE1により形成され、抵抗RB2は抵抗素子RE21及びRE22により形成される。そしてRE21はRE1と同じ種類の抵抗素子である。一方、RE22は、RE1やRE21とは異なる種類の抵抗素子であり、RE1やRE21よりも温度特性の係数がプラス(負の傾きが小さい)となっている。このように図13では、抵抗RB2は、温度特性が異なる複数の抵抗素子RE21、RE22を混ぜ合わせることで形成されている。こうすることで、抵抗RB1、RB2の抵抗比R2/R1に温度依存性を持たせることが可能になり、この抵抗比R2/R1の温度特性で、オフセット電圧VOFFの温度特性を相殺することが可能になる。
図14(A)に、図13の温度補償を行った場合と行わなかった場合の定電圧VREGの温度依存性を示す。図14(A)に示すように、図13の温度補償を行うことで、よりフラットな温度特性の定電圧VREGを得ることができる。
また図14(B)に、抵抗素子RE21と抵抗素子RE22の抵抗値の温度変動率(温度依存性)を示す。このような抵抗素子RE21とRE22により抵抗RB2を形成すれば、抵抗比R2/R1に温度依存性を持たせることが可能になる。そして、オフセット電圧VOFFの温度特性と相殺することで、図14(A)に示すようなフラットな温度特性の定電圧VREGを生成できるようになる。
6.集積回路装置
図15に本実施形態のレギュレーターを含む集積回路装置の例を示す。図15の集積回路装置は、本実施形態のレギュレーター100とパワーオンリセット回路110とロジック回路120を含む。
レギュレーター100は、図1〜図3等で説明した構成の回路であり、集積回路装置の外部から供給される外部電源電圧VDDE(例えば2.4V〜3.6V)の電圧調整を行って、電圧調整後の定電圧を電源電圧VDDA(例えば1.8V)として出力する。
ロジック回路(制御回路)120は、レギュレーター100により生成された定電圧が電源電圧VDDAとして供給されて動作し、各種の論理演算処理を行う。このロジック回路120は、NAND、NOR、インバーター等のロジック素子を含む。
パワーオンリセット回路110は、レギュレーター100により生成された定電圧が電源電圧VDDAとして供給されて動作し、ロジック回路120に対してリセット信号XRSTを出力する。例えば外部電源電圧VDDEが投入されて、電源電圧VDDAの電圧レベルが上昇すると、リセット信号XRSTがLレベル(アクティブレベル)からHレベル(非アクティブレベル)に変化する。従って、ロジック回路120は、リセット信号XRSTによりリセットされた後に、そのリセット状態が解除される。このリセット解除によりロジック回路120の回路動作が可能になる。なおレギュレーター100は、図示しない電圧生成回路(バンドギャップリファレンス回路)や定電流生成回路に対して電源電圧VDDAを供給してもよい。
図15では、ロジック回路120は、クロックの供給等が停止されることで待機モード(スリープモード)に移行する。これによりロジック回路120での電力消費はリーク電流だけになる。また、この待機モード時にはレギュレーター100やパワーオンリセット回路110においてだけ電流が流れるようになるため、集積回路装置の消費電力を最小限に抑えることが可能になる。
具体的には図3のレギュレーター100での消費電流は、テール電流ITL1、ITL2と、抵抗RB1、RB2に流れる電流だけである。即ち図9の比較例では基準電圧生成回路REFGでの電流パスが存在するが、図3では基準電圧生成回路REFGが不要であるため、その分だけ電流パスの本数を減らすことができ、低消費電力化を図れる。
またRB1、RB2の抵抗値を十分に高くすることで、前述のように回路動作の安定化を図れると共に低消費電力化も図れる。また電流源でのテール電流についても、抵抗値を十分に高くすることで、低消費電力化を図れる。従って、待機時(スリープ時)における集積回路装置の消費電力を大幅に削減することが可能になり、待機時に電力が無駄に消費されてしまう事態を防止できる。特に集積回路装置が後述するような無線通信用ICである場合には、無線の送信や受信を行っていない待機モード(スリープモード)において、電力消費を節約できるという利点がある。
更に図15の構成によれば、電源電圧VDDAが外部電源電圧VDDEよりも小さくなるようにレギュレーター100が電圧調整を行うため、ロジック回路120の動作電源電圧を低くできる。従って、通常動作時での集積回路装置の電力消費も節約できる。
図16にレギュレーター100及びパワーオンリセット回路110の構成例を示す。図16に示すようにパワーオンリセット回路110は、コンパレーターCPを含む。またコンパレーターCPの出力信号CPQをバッファリングするインバーターIV1を含むことができる。
コンパレーターCPは、その非反転入力端子と反転入力端子の間にオフセット電圧VOFFを有する。具体的には例えば図4で説明した仕事関数差電圧VDWによるオフセット電圧VOFFが設定される。或いは、前述のように差動トランジスターやカレントミラー用トランジスターのW/L比を異ならせることでオフセット電圧VOFFを設定してもよい。
コンパレーターCPの反転入力端子には、レギュレーター100の抵抗RB2(或いは抵抗RB1)に設定された電圧分割タップTPVからの電圧VDが入力される。コンパレーターCPの非反転入力端子には、VSSノード(第1の電源ノード)が接続される。従って、外部電源VDDEが投入され、電源電圧VDDAが上昇し、コンパレーターCPの反転入力端子に入力される電圧VDが、オフセット電圧VOFFよりも大きくなると、コンパレーターCPQの出力信号CPQがLレベルになる。これによりリセット信号XRSTがLレベルからHレベルに変化して、ロジック回路120がリセット後にそのリセット状態が解除されるようになる。
このように図16では、レギュレーター100が有する抵抗RB1、RB2の電圧分割タップTPVを有効活用して、パワーオンリセット回路110の判定電圧レベルを設定し、パワーオンリセット信号XRSTの生成を実現している。
図17にコンパレーターCPの具体的な構成例を示す。このコンパレーターCPは差動部DFCと、差動部DFCの出力ノードNC1に接続される出力部QBCを含む。
差動部DFCは、第1、第2の差動トランジスターTC1、TC2と、トランジスターTC4及びTC5により構成されるカレントミラー回路と、第3の電流源ISC3を含む。出力部QBCは、直列に設けられる駆動トランジスターTDRC及び第4の電流源ISC4を含む。
図17では、差動トランジスターTC1のゲート電極の導電性と、差動トランジスターTC2のゲート電極の導電性を異ならせることで、オフセット電圧VOFFである仕事関数差電圧VWDが設定される。具体的には、差動トランジスターTC1は、ゲート電極がN型であるデプレッション型のトランジスターとなり、差動トランジスターTC2は、ゲート電極がP型であるエンハンスメント型のトランジスターになる。
第3の電流源ISC3は、一端がVSSノード(第1の電源ノード)に接続される第3の電流源用抵抗RC3と、第3の電流源用トランジスターTC3を含む。トランジスターTC3は、そのソースに抵抗RC3の他端が接続され、そのゲートにVSSノードが接続されるデプレッション型のトランジスター(NMOSトランジスター)である。
第4の電流源ISC4は、一端がVSSノードに接続される第4の電流源用抵抗RC4と、第4の電流源用トランジスターTC6を含む。トランジスターTC6は、そのソースに抵抗RC4の他端が接続され、そのゲートにVSSノードが接続されるデプレッション型のトランジスター(NMOSトランジスター)である。
そしてトランジスターTC3、TC6のしきい値電圧は負の温度特性を有し、抵抗RC3、RC4の抵抗値は正の温度特性を有する。これらの抵抗RC3、RC4はNウェル抵抗により形成される。これにより電流源ISC3、ISC4のテール電流ITL3、ITL4の温度特性をフラットな特性に近づけることが可能になる。
図17の構成のコンパレーターCPによれば、電流源ISC3、ISC4のテール電流ITL3、ITL4を生成するための基準電圧を発生する回路が不要になり、その分だけ電流パスの本数を削減できる。例えばリセット状態以外の状態(CPQがLレベルであり、XRSTがHレベルである状態)では、テール電流ITL4は流れないため、コンパレーターCPにおいては、テール電流ITL3の電流パスだけが存在する。
従って、待機モード時に図15の集積回路装置で電流が流れるパスは、レギュレーター100での3本の電流パス(ISB1のパス、ISB2のパス、RB1及びRB2のパス)と、パワーオンリセット回路110のコンパレーターCPでの1本の電流パス(ISC3のパス)で、合計で4本の電流パスだけになる。従って、待機モード時における集積回路装置の消費電流を最小限に抑えることが可能になる。
図18に、本実施形態のレギュレーターを含む集積回路装置がRFの無線通信用ICである場合の構成例を示す。この集積回路装置は、受信回路30、復調回路36、送信回路40、変調回路46、クロック生成回路48、制御回路50、レギュレーター100、パワーオンリセット回路110を含む。
受信回路30は、低ノイズアンプLNA、ミキサー32、フィルター部34を含む。低ノイズアンプLNAは、アンテナANTから入力されるRFの受信信号を低ノイズで増幅する処理を行う。ミキサー32は、増幅後の受信信号と、クロック生成回路48からのローカル信号(局所周波数信号)のミキシング(混合)処理を行って、ダウンコンバージョンを実行する。フィルター部34は、ダウンコンバージョン後の受信信号のフィルター処理を行う。具体的には、フィルター部34は、複素フィルターなどで実現されるバンドパスのフィルター処理を行い、イメージ除去を行いながらベースバンド信号を抽出する。
復調回路36は、受信回路30からの信号に基づいて復調処理を行う。例えば送信側においてFSK(周波数シフトキーイング)で変調された信号の復調処理を行い、復調後の受信信号を制御回路50に出力する。
変調回路46は、制御回路50からの送信信号の変調処理を行う。例えば送信信号をFSKで変調し、変調後の送信信号を送信回路40に出力する。そして送信回路40は、パワーアンプPAにより増幅した送信信号をアンテナANTに対して出力する。
クロック生成回路48は、VCO(電圧制御発振器)などにより構成されるPLL回路を有し、各種のクロック信号やミキサー32へのローカル信号等を生成する。
制御回路50(ロジック回路)は、集積回路装置の全体の制御や、ベースバンドでのデジタル処理などを実行する。また制御回路50は、例えばリンク層回路52やホストI/F(インターフェース)54を有し、リンク層のプロトコル処理や、外部のホストとのインターフェース処理などを実行する。
レギュレーター100は、図1〜図3等で説明した本実施形態のレギュレーターであり、外部電源電圧VDDEを受けて、電圧調整後の電源電圧VDDAを、パワーオンリセット回路110、制御回路50に供給する。パワーオンリセット回路110は、外部電源電圧VDDEの投入時等に、パワーオンリセット信号XRSTを制御回路50に出力する。
本実施形態によれば、制御回路50等へのクロック供給を停止すると共に、受信回路30や送信回路40等の動作をディスイネーブル状態に設定することで、待機モード(スリープモード)が実現される。そして、この待機モードにおいては、レギュレーター100やパワーオンリセット回路110での消費電力が、集積回路装置の消費電力において支配的になる。
この点、本実施形態によれば、レギュレーター100やパワーオンリセット回路110での電流パスの本数を最小限に抑えることができる。従って、レギュレーター100やパワーオンリセット回路110での電力消費を最小限に抑えることができ、集積回路装置の待機モードでの消費電力を削減できる。
なお本実施形態のレギュレーターが適用される集積回路装置は、図18のような無線通信用ICには限定されず、様々なタイプの集積回路装置に適用できる。例えばセンサーからのセンサー信号から所望信号を検出する検出装置にも適用できる。このような検出装置としては、振動子を用いて角速度情報や加速度情報などの物理量を検出する装置などがある。
7.電子機器
図19に本実施形態の集積回路装置310を含む電子機器の構成例を示す。この電子機器は、アンテナANT、集積回路装置310、ホスト320、検出装置330、センサー340、電源部350を含む。なお本実施形態の電子機器は図19の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば検出装置、センサー、電源部等)を省略したり、他の構成要素(例えば操作部、出力部)を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
集積回路装置310は、図18のような回路構成で実現される無線回路装置であり、アンテナANTからの信号の受信処理や、アンテナANTへの信号の送信処理を行う。ホスト320は、電子機器の全体の制御を行ったり、集積回路装置310や検出装置330の制御を行う。検出装置330は、センサー340(物理量トランスデューサ)からのセンサー信号に基づいて種々の検出処理(物理量の検出処理)を行う。例えばセンサー信号から所望信号を検出する処理を行って、A/D変換後のデジタルデータをホスト320に出力する。センサー340は、例えば煙センサー、光センサー、人感センサー、圧力センサー、生体センサー、ジャイロセンサーなどである。電源部350は、集積回路装置310、ホスト320、検出装置330等に電源を供給するものであり、例えば乾電池(丸形乾電池等)やバッテリーなどにより電源を供給する。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(第1の差動入力端子、第2の差動入力端子、第1の電源ノード、第2の電源ノード等)と共に記載された用語(非反転入力端子、反転入力端子、VSSノード、VDDノード等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。またレギュレーター、集積回路装置、電子機器の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
AM 増幅回路、RB1、RB2 第1、第2の抵抗、C0 位相補償用キャパシター、
DF 差動部、QB 出力部、TB1、TB2 第1、第2の差動トランジスター、
TDR 駆動トランジスター、ISB1、ISB2 電流源、
CC 位相補償用キャパシター、RC 位相補償用抵抗、
30 受信回路、32 ミキサー、34 フィルター部、
36 復調回路、40 送信回路、46 変調回路、48 クロック生成回路、
50 制御回路、52 リンク層回路、54 ホストI/F、
100 レギュレーター、110 パワーオンリセット回路、120 ロジック回路、
310 集積回路装置、320 ホスト、330 検出装置、
340 センサー、350 電源部

Claims (17)

  1. 非反転入力端子と反転入力端子の間にオフセット電圧を有する差動型の増幅回路と、
    前記増幅回路の出力ノードと第1の電源ノードとの間に直列に設けられる第1の抵抗及び第2の抵抗と、
    前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の接続ノードに一端が接続される位相補償用キャパシターとを含み、
    前記第1の抵抗と前記第2の抵抗の前記接続ノードの信号が、前記増幅回路の前記非反転入力端子に帰還され、
    前記増幅回路の前記出力ノードの信号が、前記増幅回路の前記反転入力端子に帰還されることを特徴とするレギュレーター。
  2. 請求項1において、
    前記増幅回路は、
    第1の差動トランジスターと、第2の差動トランジスターと、カレントミラー回路とを有する差動部と、
    前記差動部の出力ノードに接続される出力部とを含むことを特徴とするレギュレーター。
  3. 請求項2において、
    前記第1の差動トランジスターのゲート電極の導電性と、前記第2の差動トランジスターのゲート電極の導電性を異ならせることで、前記オフセット電圧が設定されることを特徴とするレギュレーター。
  4. 請求項2又は3において、
    前記第1の差動トランジスターのW/L比と、前記第2の差動トランジスターのW/L比を異ならせる、或いは前記カレントミラー回路を構成する第1のカレントミラー用トランジスターのW/L比と前記カレントミラー回路を構成する第2のカレントミラー用トランジスターのW/L比を異ならせることで、前記オフセット電圧が設定されることを特徴とするレギュレーター。
  5. 請求項2乃至4のいずれかにおいて、
    前記差動部は、第1の電流源を含み、
    前記第1の電流源は、
    一端が前記第1の電源ノードに接続される第1の電流源用抵抗と、
    ソースに前記第1の電流源用抵抗の他端が接続され、ゲートに前記第1の電源ノードが接続されるデプレッション型の第1の電流源用トランジスターを含み、
    前記第1の電流源用トランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、
    前記第1の電流源用抵抗の抵抗値は正の温度特性を有することを特徴とするレギュレーター。
  6. 請求項5において、
    前記第1の電流源用抵抗は、Nウェルにより形成されるNウェル抵抗であることを特徴とするレギュレーター。
  7. 請求項6において、
    前記第1の抵抗、前記第2の抵抗は、ポリシリコン層により形成されたポリ抵抗であり、
    前記Nウェル抵抗である前記第1の電流源用抵抗の形成領域上に、前記第1の抵抗又は前記第2の抵抗である前記ポリ抵抗がレイアウト配置されることを特徴とするレギュレーター。
  8. 請求項5乃至7のいずれかにおいて、
    前記出力部は、
    前記差動部の出力ノードにより制御される駆動トランジスターと、
    前記駆動トランジスターに直列に設けられる第2の電流源を含み、
    前記第2の電流源は、
    一端が前記第1の電源ノードに接続される第2の電流源用抵抗と、
    ソースに前記第2の電流源用抵抗の他端が接続され、ゲートに前記第1の電源ノードが接続されるデプレッション型の第2の電流源用トランジスターを含み、
    前記第2の電流源用トランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、
    前記第2の電流源用抵抗の抵抗値は正の温度特性を有することを特徴とするレギュレーター。
  9. 請求項8において、
    前記第2の電流源用抵抗は、Nウェルにより形成されるNウェル抵抗であることを特徴とするレギュレーター。
  10. 請求項9において、
    前記第1の抵抗、前記第2の抵抗は、ポリシリコン層により形成されたポリ抵抗であり、
    前記Nウェル抵抗である前記第2の電流源用抵抗の形成領域上に、前記第1の抵抗又は前記第2の抵抗である前記ポリ抵抗がレイアウト配置されることを特徴とするレギュレーター。
  11. 請求項1乃至10のいずれかにおいて、
    前記第1の抵抗の抵抗値をR1とし、前記第2の抵抗の抵抗値をR2とした場合に、抵抗比R2/R1が、前記オフセット電圧の温度特性を相殺する温度特性を有することを特徴とするレギュレーター。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載のレギュレーターを含むことを特徴とする集積回路装置。
  13. 請求項12において、
    前記レギュレーターにより生成された定電圧が電源電圧として供給されるロジック回路と、
    前記レギュレーターにより生成された定電圧が電源電圧として供給され、前記ロジック回路に対してリセット信号を出力するパワーオンリセット回路を含むことを特徴とする集積回路装置。
  14. 請求項13において、
    前記パワーオンリセット回路は、
    前記第1の抵抗又は前記第2の抵抗に設定された電圧分割タップからの電圧が反転入力端子に入力され、前記第1の電源ノードが非反転入力端子に接続され、前記非反転入力端子と前記反転入力端子の間にオフセット電圧を有するコンパレーターを含むことを特徴とする集積回路装置。
  15. 請求項14において、
    前記コンパレーターが有する差動部は第3の電流源を含み、
    前記第3の電流源は、
    一端が前記第1の電源ノードに接続される第3の電流源用抵抗と、
    ソースに前記第3の電流源用抵抗の他端が接続され、ゲートに前記第1の電源ノードが接続されるデプレッション型の第3の電流源用トランジスターを含み、
    前記第3の電流源用トランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、
    前記第3の電流源用抵抗の抵抗値は正の温度特性を有することを特徴とするレギュレーター。
  16. 請求項15において、
    前記コンパレーターが有する出力部は第4の電流源を含み、
    前記第4の電流源は、
    一端が前記第1の電源ノードに接続される第4の電流源用抵抗と、
    ソースに前記第4の電流源用抵抗の他端が接続され、ゲートに前記第1の電源ノードが接続されるデプレッション型の第4の電流源用トランジスターを含み、
    前記第4の電流源用トランジスターのしきい値電圧は負の温度特性を有し、
    前記第4の電流源用抵抗の抵抗値は正の温度特性を有することを特徴とするレギュレーター。
  17. 請求項12乃至16のいずれかに記載の集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
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