JP2011086360A - 光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜を形成するためのスパッタリングターゲット - Google Patents
光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜を形成するためのスパッタリングターゲット Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、さらにNi,Coのうち1種又は2種を合計で2〜9質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなる。これにより、十分な耐食性および表面平滑性を有すると共に、湿熱環境においても表面粗さが小さく維持される。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1にはHf,Ti,Crの内の1種又は2種以上を合計で0.1〜 10原子%を含み、かつHf,Ti,Crの内の1種又は2種以上とMgの合計が15原子%以下であるアルミニウム合金からなる反射膜が記載されている。
また、特許文献2において、アルミニウム合金に含む希土類元素としては、YおよびNdのみが例示されており、3元系以上のアルミニウム合金に含む希土類元素としては、Ndのみが例示されている。
一般にこれら光記録媒体の書き込みおよび読み出しはレーザを使用することは知られているが、近年、光記録媒体の大容量化のために記録膜へ形成される記録マークを小さくしていく必要性から通常のレーザよりも波長の短い青紫色レーザ(波長405nm)が用いられるようになってきた。かかる状況に対して光記録媒体に形成される反射膜の耐食性が十分でなかったり、形成された反射膜の表面が粗いと光記録媒体の記録再生時にノイズが発生し易くなり、正確な書き込みおよび読み出しができなくなる。
したがって、青紫色レーザ使用の光記録媒体に形成されるアルミニウム合金反射膜は十分な耐食性を有しかつ表面が一層滑らかなアルミニウム合金反射膜であることが求められており、かかる十分な耐食性を有しかつ表面が一層滑らかなアルミニウム合金反射膜を形成することができるアルミニウム合金製ターゲットが求められている。
上述したように、形成された反射膜の表面が粗いとノイズ発生により正確な書き込み及び読み出しができなくなるため、特許文献4に記載の技術のように、優れた表面平滑性が得られる光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットが開発されているが、このような反射膜でも、さらに恒温恒湿試験を実施すると表面が粗くなってしまう不都合があった。また、再生専用の情報記録媒体のレーザーマーキングを行う際に、反射膜には高耐食性及び低熱伝導率が要求されている。
Mg成分は、Alに固溶し、Al合金からなる光記録媒体用アルミニウム合金反射膜の表面平滑性を向上させると共に表面に緻密で透明な不働態膜を形成することにより高反射率を維持したまま耐食性を向上させる成分である。
なお、Mgを3質量%未満含んでも、反射膜の表面粗さの低減効果が不十分であり、一方、8質量%を越えて含有すると、膜の反射率が低下する傾向が顕著になるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるMg成分の含有量を、3〜8質量%に定めた。なお、より好ましいMgの組成範囲は、5〜8質量%である。
Ce成分は、湿熱環境下における反射膜の耐食性を維持すると共に、反射膜の表面粗さの低減に効果を有する希土類元素である。さらに、Ce成分は、反射膜の熱伝導率を低減する効果も有している。
なお、Ceを3質量%未満含んでも、反射膜の表面粗さの低減効果及び熱伝導率の低減効果がいずれも不十分であり、一方、8質量%を越えて含有すると、孔食が発生するようになるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるCe成分の含有量を、3〜8質量%に定めた。なお、より好ましいCeの組成範囲は、4〜8質量%である。
Ni,Coの各成分は、反射膜中のAl原子と強く結合してAlの拡散を抑制し、湿熱環境下における反射膜の表面粗さの粗大化を抑制する成分である。
なお、Ni,Coのうち1種又は2種を2質量%未満含んでも、上記効果が不十分であり、一方、9質量%を越えて含有すると、反射膜の反射率が低下する傾向が顕著になるので好ましくない。したがって、この発明の光記録媒体用アルミニウム合金反射膜およびこの光記録媒体用アルミニウム合金反射膜を形成するためのスパッタリングターゲットに含まれるNi,Coのうち1種又は2種の合計含有量を、2〜9質量%に定めた。
すなわち、本発明に係る光記録媒体用アルミニウム合金反射膜及びこの反射膜形成のためのスパッタリングターゲットによれば、Mg及びCeを上記含有量で含有し、さらにNi,Coのうち1種又は2種を合計で上記含有量を含有したアルミニウム合金からなるので、耐食性および表面平滑性に優れていると共に、湿熱環境下でも表面粗さを小さく維持することができる。したがって、湿熱環境下での経時変化による光記録媒体の劣化が少なく長期にわたって使用でき、かつ青紫色レーザを用いてもノイズ発生が少なく書き込みおよび読み出しが可能な光記録媒体を提供することができる。
所定の配合比で秤量した各原料を、通常の高周波溶解炉を用いてArガス雰囲気でアルミナ、マグネシア等の耐火物ルツボを用いて所定量のAl,MgおよびNi,Coの内の1種または2種を溶解し、アフターチャージにより、Ceを加えて合金溶湯とし、鋳鉄製の鋳型に鋳造することにより、インゴットを作製する。
まず、上記スパッタリングターゲットを、直流マグネトロンスパッタ装置に装着する。次に、真空排気装置にて直流マグネトロンスパッタ装置内を所定圧力まで排気した後、Arガスを導入して所定のスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてターゲットに所定の直流スパッタ電力を印加し、上記ターゲットに対向しかつ一定の間隔を設けてターゲットと平行に配置した無アルカリガラス基板と上記ターゲットとの間にプラズマを発生させてスパッタリングを行う。
まず、原料として、純度:99.99質量%以上の高純度Al、純度:99.9質量%以上のMg,Ce,Ni,Coを用意した。
所定の配合比で秤量した各原料を、通常の高周波溶解炉を用いてArガス雰囲気でアルミナ、マグネシア等の耐火物ルツボを用いて所定量のAl,MgおよびNi,Coの内の1種または2種を溶解し、アフターチャージにより、Ceを加えて合金溶湯とし、鋳鉄製の鋳型に鋳造することにより、インゴットを作製した。
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の表面粗さを測定した。
このアルミニウム合金反射膜の表面粗さは、セイコーインスツルメンツ株式会社製の走査型プローブ顕微鏡SPA−400を用いて測定し、膜面内の1μm×1μmの領域の平均面粗さ(Ra)により評価した。
これらの表面粗さの評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜12は、上記恒温恒湿試験後でも、比較アルミニウム合金反射膜1,3,5,7,9および従来アルミニウム合金反射膜1に比べて表面粗さが小さいことがわかる。
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の反射率を分光光度計により測定し、高密度記録媒体にて記録再生に用いられる青紫色レーザ光の波長405nmにおける反射率を比較した。
また、耐食性については、80℃、85%RHに保持した恒温恒湿槽内に100時間保持した後の波長405nmにおける反射率を比較した。
これらの反射率の評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜12は、上記恒温恒湿試験後でも、比較アルミニウム合金反射膜2,4,6,8,10に比べて良好な反射率を維持していることがわかる。
アルミニウム合金反射膜の成膜直後の比抵抗を四探針法により測定し、ウィーデマン・フランツ則に基づいて、以下の式(1)により、比抵抗から計算により求めた。
κ=2.44×10−8T/ρ ・・・(1)
(ただし、κ:熱伝導率、T:絶対温度、ρ:比抵抗)
この熱伝導率の評価結果から、本発明アルミニウム合金反射膜1〜12は、従来アルミニウム合金反射膜1に比べて低い熱伝導率を有していることがわかる。
Claims (2)
- Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、
さらにNi,Coのうち1種又は2種を合計で2〜9質量%を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする光記録媒体用アルミニウム合金反射膜。 - Mg:3〜8質量%およびCe:3〜8質量%を含有し、
さらにNi,Coのうち1種又は2種を合計で2〜9質量%を含有し、
残部がAlおよび不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金からなることを特徴とする光記録媒体用アルミニウム合金反射膜形成のためのスパッタリングターゲット。
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