JP2011078973A - ガス状炭化水素の処理・回収装置及び方法 - Google Patents

ガス状炭化水素の処理・回収装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガソリン蒸気中に含まれる水分の影響で吸着剤が被毒されることを防ぎ、さらに小型で安価なガス状炭化水素の処理・回収装置及び方法を提供する。
【解決手段】水分およびガソリン蒸気を冷却する凝縮装置6と、凝縮装置6の後段のガス下流側に配置され、凝縮装置6の後段におけるガソリン蒸気を吸脱着する吸着剤が充填された吸脱着装置2、3と、吸着剤に吸着されたガソリン蒸気を脱着するためのパージガスを前記吸脱着装置に送気するガス循環用ブロア4と、吸脱着装置2、3内に流入する前記パージガスの流量を調節する定流量弁と、を備えた。
【選択図】図10

Description

この発明は、大気放出ガス中に含まれるガス状炭化水素の処理・回収装置及び方法に係り、特に、ガソリン給油時に漏れ出すガソリン蒸気を処理するための装置及び方法に関するものである。
従来の吸脱着剤によるガス状炭化水素の除去方法に、排気ガス発生源から発生したガス(約40vol%のガソリン蒸気を含む排気ガス)をブロアー又は自圧で、排気ガス送気管より吸着塔に送気し、吸着工程を終えた処理済み排気ガスを、吸着塔(脱着工程に切り換えた後は吸着塔)の頂部から排出管を介して、1vol%以下のガソリン蒸気を含む空気(クリーンなガス)として大気中に放出するようにしたものがある。
この場合、吸着塔は、上記の吸着工程と後記の脱着工程とを交互に切り換えながら運転するが、この切り換え時間(Swing Time)を5分程度としている。
一方、吸着工程を終えた後の吸着塔に、パージ用ガス送気管を介してパージ用ガスを送気し、真空ポンプで吸引することにより脱着する。パージ用ガスとして吸着運転時に吸着塔の頂部から排出されるクリーンなガスの一部を使用し、真空ポンプは約25Torrで運転する。
脱着後のガソリン蒸気含有パージ排ガスは、送気管を介してガソリン回収器に送気し、分配管を通して液体ガソリンと接触させ、液体(ガソリン吸収液)としてパージ排ガス中のガソリン蒸気を回収する。
ガソリン回収器からの排気ガス中には、僅かなガソリン蒸気が残存するので、返送管を介して再度排気ガス管に戻し、排気ガス発生源からの排気ガスと一緒にして吸着処理を行い、また、吸着塔内の吸着剤層を冷却するために内筒に冷却水を循環させている。
このように構成することにより、ガソリン蒸気はほぼ全量液体ガソリンとして回収でき、吸着塔から排出するガソリン蒸気の濃度は十分低くなり、大気汚染を引き起こさないレベルにすることができるとしている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2766793号公報(第3−6頁、図1)
特許文献1の真空ポンプでガソリン蒸気を脱着する回収方法では、ポンプの動力エネルギーが極めて大きくなり、現実的ではなかった。
また、大量の排気ガスを全量吸着処理するためには、吸着塔を大きくするか、吸着と脱着の切り換え時間(Swing Time)を短くすることが必要であるが、大きな吸着塔を使用する場合には、設置面積の問題や、吸着剤のコストの問題などが残されている。また、切り換え時間を短くすると吸着したガソリン蒸気を十分に脱着できなかったり、バルブなどの寿命が短くなるなどの問題があった。
さらに、ガソリン蒸気には必ず空気中の水分が含まれているが、従来の方式では、ガソリン蒸気とともにこの水分も同時に吸着されるため、吸着剤の吸着性能が低下する問題があった。
また、給油時に漏れ出すガソリン蒸気の回収に用いる場合は、給油時にしかガソリン蒸気は発生せず、その発生頻度は日あるいは時間によって異なり一定ではない。このような場合でも、従来の装置では一定間隔で吸着と脱着を切り替えていたため、平日の夜など、ほとんど給油しない場合には全くガソリン蒸気が流れて来ず、必要量を吸着していないのに脱着すると言った無駄が発生するという問題があった。
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、ガソリン蒸気中に含まれる水分の影響で吸着剤が被毒されることを防ぎ、さらに小型で安価なガス状炭化水素の処理・回収装置及び方法を提供することを目的としたものである。
この発明に係るガス状炭化水素の処理・回収装置は、ガソリン給油時に漏れ出すガソリン蒸気を処理するためのガス状炭化水素の処理・回収装置において、水分およびガソリン蒸気を冷却する凝縮装置と、前記凝縮装置の後段のガス下流側に配置され、前記凝縮装置の後段におけるガソリン蒸気を吸脱着する吸着剤が充填された吸脱着装置と、前記吸着剤に吸着されたガソリン蒸気を脱着するためのパージガスを前記吸脱着装置に送気するガス循環用ブロアと、前記吸脱着装置内に流入する前記パージガスの流量を調節する定流量弁と、を備えたものである。
また、この発明に係るガス状炭化水素の処理・回収方法は、吸着塔と脱着塔を少なくとも1塔ずつ有する吸脱着装置において、この吸脱着装置を冷却する手段を備え、吸着剤として、孔径4〜100オングストロームのシリカゲル又は合成ゼオライトの単独又はこれらの混合物を用いて低温で吸脱着を行い、さらに吸着塔の出口ガスの一部を脱着塔に送り、脱着時のガスをパージガスとして使用するようにしたものである。
この発明は、ガソリン給油時に漏れ出すガソリン蒸気を処理するためのガス状炭化水素の処理・回収装置において、水分およびガソリン蒸気を冷却する凝縮装置と、前記凝縮装置の後段のガス下流側に配置され、前記凝縮装置の後段におけるガソリン蒸気を吸脱着する吸着剤が充填された吸脱着装置と、前記吸着剤に吸着されたガソリン蒸気を脱着するためのパージガスを前記吸脱着装置に送気するガス循環用ブロアと、前記吸脱着装置内に流入する前記パージガスの流量を調節する定流量弁と、を備えたことにより、排気ガスを極めてクリーン(ガソリン濃度1Vol%以下)にでき、しかも小型で安価なガソリン蒸気回収装置を実現することができる。特に、ガソリン蒸気中に水分が含まれている場合でも、吸着剤が水分で被毒されるおそれが無いと共に、凝縮装置や吸脱着装置の配管内で結氷することがないため、安定な運転動作が実現できる。
また、熱媒体の温度を一定温度に制御して、凝縮装置と吸脱着装置の温度を制御するようにしたことにより、それぞれの装置を個別に制御する場合に比べて、制御回路を単純化でき、低コスト化が実現できる。さらに、吸着塔の温度を吸脱着に関わらず一定にしているため、吸着塔を冷却するのに必要なエネルギーを低減でき、省エネルギーのガソリン蒸気回収装置が実現できる。また、吸着塔を冷却しているため、極めて少量の吸着剤で大量のガソリン蒸気を吸着でき、吸着剤の使用量も低減することができる。
さらに、吸着熱による吸着塔内の異常な温度上昇を抑制して吸着装置内の温度を均一化することができ、吸着装置の安全性に万全を期することができる、という顕著な効果を得ることができる。
この発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図であり、1台の凝縮装置を設けた例を示す。 この発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図であり、第一の凝縮装置と第二の凝縮装置を設けた例を示す。 図1、図2の吸脱着塔の内部構造を一部切り欠いて示す斜視図である。 パージガス量の制御方法を説明するための特性図である。 この発明の実施の形態2に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態3に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態4に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態5に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態6に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態7に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 図10のガス状炭化水素の処理・回収装置のレイアウトを示す構成図である。 図10の吸脱着塔の内部構造を一部切り欠いて示す斜視図である。 パージガス量の制御方法を説明するための特性図である。 脱着時間と、吸脱着塔内圧力および吸脱着塔からの排出ガソリン濃度の関係を説明するための特性図である。 吸脱着塔内圧力と、吸脱着塔からの排出ガス流量、吸脱着塔からの排出ガソリン濃度、および吸脱着塔からの排出ガソリン蒸気流量の関係を説明するための特性図である。 吸脱着塔内圧力と凝縮装置でのガソリン回収流量の関係を説明するための特性図である。 この発明の実施の形態8に係るガス状炭化水素の処理・回収装置の吸脱着塔の内部構造を一部切り欠いて示す斜視図である。 この発明の実施の形態9に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のガス循環用ブロアとポンプを示す構造図である。 この発明の実施の形態10に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態11に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態12に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態13に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態14に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態14に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態15に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態15に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態16に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態17に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態17に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態18に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態19に係るガス状炭化水素の処理・回収装置の吸脱着塔の内部構造を一部切り欠いて示す斜視図である。 図31の吸脱着塔の断面図である。 この発明の実施の形態20に係るガス状炭化水素の処理・回収装置の外観を示す全体構成図である。 この発明の実施の形態21に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。 この発明の実施の形態22に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
[実施の形態1]
図1及び図2はこの発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図であり、図1は1台の凝縮装置を設けた例、図2は第一の凝縮装置と第二の凝縮装置を設けた例を示す。図3は図1、図2の吸脱着塔の内部構造を一部切り欠いて示す斜視図、図4はパージガス流量の制御方法を説明するための特性図である。
図1、図2において、1は排気ガス発生源である給油ノズル、8は給油ノズル1からガソリン蒸気を吸入するためのポンプ、6は凝縮装置(図2では第一の凝縮装置)、7は第二の凝縮装置、9は気液分離器、5は液化ガソリン回収器、2,3は吸脱着装置である吸脱着塔、4はガス循環用ブロア(ポンプ)である。B1は給油ノズル1の給油時以外は閉じているバルブ、11は凝縮装置6又は第一、第二の凝縮装置6,7と吸脱着塔2,3とを接続するガソリン蒸気送気管、B11a,B11bはガソリン蒸気送気管11の途中の設けられた吸脱着塔2,3の吸着用バルブ、12a,12bは吸脱着塔2,3の頂部に設けられた大気への排出管、120a,120bはこの排出管12a,12bに配設された圧力コントローラである。
また、13a,13bはパージガスとして吸着塔2又は3から大気に排出する清浄なガスの一部を脱着塔3又は2に送って使用するためのパージガス送気管、B13a,B13bはこのパージガス送気管13a,13bに設けられたガス量を制御するマスフローコントローラ、14a,14bはガス循環ブロア4と吸脱着塔2,3とを接続する脱着後のパージガス送気管、B14a,B14bはこのパージガス送気管14a,14bに設けられた吸脱着塔2,3の脱着用バルブである。R1,R2は凝縮装置6を出入する冷媒の入口及び出口、R3,R4は第2の凝縮装置7を出入するより低温の冷媒の入口と出口、R3a,R4a、R3b,R4bは吸脱着塔2,3をそれぞれ出入する低温の冷媒の入り口と出口、41はガス循環用ブロア4の排気側に設けられた圧力計である。
次に、図1のガス状炭化水素の処理・回収装置の動作について説明する。ガソリンスタンドで給油を開始すると、ポンプ8が動作し、給油ノズル1から漏れ出したガソリン蒸気(常温で約40Vol%)を吸い込み、例えば、0.3MPa程度に加圧して凝縮装置6に送気される。凝縮装置6の内部は冷媒を入口R1から導入し出口R2へ流通させることにより、5℃程度に保たれており、ガソリンおよびガス中に含まれた水分が一部凝縮し、気液分離器9を介して気体(ガソリン蒸気)と液体(ガソリン)に分離され、液体は凝縮装置6の下側に溜まり、液化ガソリン回収器5に液体として回収され、気体は凝縮装置6から排出される。ガソリン蒸気を凝縮装置6の上方から導入して下方に流通することにより、液化したガソリンや水分が重力とガス流により効率的に下方に流され、これらの液化物の回収が容易になる。
ところで、凝縮装置6の運転条件、0.3MPa、5℃の条件ではガソリン蒸気の濃度は約10Vol%程度になる。この後に吸脱着塔2,3に導く場合と、図2に示すように、更に第二の凝縮装置7に導く場合とがある。この場合は下記のようになる。
続いて、第一の凝縮装置6で処理できなかった10Vol%程度のガソリン蒸気は第二の凝縮装置7に送気されて処理される。第二の凝縮装置7には第一の凝縮装置6よりも低温の冷媒を入口R3から導入し出口R4に向かって流通させることにより、第二の凝縮装置7はさらに低い温度、例えば−10℃程度に設定されている。第二の凝縮装置7においてもガソリンおよび水分が第一の凝縮装置6と同様に凝縮回収される。第二の凝縮装置7では氷点下の温度で動作することもあるので、場合によっては第二の凝縮装置7内で発生した氷により、第二の凝縮装置7内のガス通路が閉塞されるおそれがある。この問題を回避するために、一定時間ごとに冷媒の流通を停止し、あるいは高温の冷媒を流通するなどして、氷を溶かす(デフロスト)工程を入れておくことが有効である。また、第二の凝縮装置7における圧力損失を計測できる装置(図示せず)を配設して、圧力損失が設定値を超えるとデフロスト工程を入れるシーケンスを組んでもよい。もちろん、第二の凝縮装置7の氷結状態を検知できる他の手段を用いて氷結状態を検知し、氷が発生したらデフロスト工程に移行するシーケンスを組んでもよい。
第二の凝縮装置7の運転条件、0.3MPa、−10℃の条件ではガソリン蒸気の濃度は約5Vol%程度になる。このガソリン蒸気を吸脱着塔2,3に通気して処理する。図1、図2では、2が吸着塔、3が脱着塔として動作している場合について示している。したがって、バルブB11aは開放、B11bは閉鎖の状態にある。吸着塔2で任意の時間吸着処理した後は脱着塔として使用する。この場合はバルブB11aは閉鎖、B11bは開放の状態で使用する。さらにガソリンの脱着が終了した時点で、再び吸着塔として用い、この動作を時間的に繰り返して使用する。吸着・脱着の切り替えは、前述のようにバルブB11a、B11bの切り替えでコントロールする。
ガソリン蒸気は送気管11を通して吸着塔2に送気される。吸脱着塔2,3にはガソリン蒸気を吸着する吸着剤が封入されている。ガソリン蒸気の吸着剤としては、シリカゲルを用いた。特に4〜100オングストロームの孔径をもつシリカゲル又は合成ゼオライトとの単独又はこれらの混合物が有効である。この吸着剤中をガソリン蒸気が通過することによりガソリン成分は吸着除去され、1Vol%以下のガソリン濃度の清浄空気となって排出管12aを介して大気に放出される。吸着塔2は第二の凝縮装置7を利用することにより低温の冷媒又は他の方法により冷却されており、吸着で発生する熱の除去と吸着容量の増大を図っている。なお、吸着塔2の内部の温度を低くすることにより、吸着容量を大きくできる。
しかし、第一の凝縮装置6又は第二の凝縮装置7の設定温度よりも吸着塔2の内部温度を低くすると、吸着塔2内で水が凝縮するために、凝縮装置6のみの場合は凝縮装置6とほぼ同じ温度に設定する方がよい。また、第二の凝縮装置7が存在する場合は、第二の凝縮装置7の設定温度に設定する方がよい。さらに、大気への排出管12a,12bには圧力を規定値に制御する圧力コントローラ120a,120bが配設されており、吸着塔2内の圧力を規定値に維持するようにしている。図2の場合は第二の凝縮装置7の高圧(0.3MPa程度)の排気ガスを用いて吸着するため、常圧で吸着するより吸着容量が大幅に改善される。
吸脱着塔2,3の内部構造は、図3に示すように、シリカゲル21又は合成ゼオライト又はこれらの混合物への伝熱を考慮し、フィンチューブ熱交換器(アルミフィンで伝熱管に冷媒を流す)22を配置し、アルミフィンの間にシリカゲル21又は合成ゼオライト又はこれらの混合物を詰め込むと同時に、上下に整流板23を設けてガスの流れをよくしている。この場合、ガソリン蒸気がアルミフィンの間のみに流れて、効率的に吸着できるようにフィンチューブ熱交換器22のベント部分にフッ素系の充填材を詰めたりすることが有効である。また、ベント部分の空間にガソリン蒸気が流れないようにベント部分の空間を密封するように蓋をするようにしてもよい。なお、24はケース、25a,25bは上下のフランジ、26a,26bはシリカゲル21の流出防止ネットである。
吸脱着塔2,3の前段に凝縮装置6又は第一、第二の凝縮装置6,7を設けない場合は、ガソリン蒸気中に含まれた水分が吸着剤に吸着され、ガソリン蒸気の吸着性能が落ちて必要以上の量の吸着剤が必要になる。また、吸着塔2の温度を氷点下に下げた場合には、吸着剤表面に水分が結露してガスが詰まるなど大きなトラブルが発生することがある。本実施の形態においては、吸脱着塔2,3の前段に凝縮装置6又は第一、第二の凝縮装置6,7を設けたので、ガソリン蒸気とともに水分も除去されるため、吸脱着塔2,3における水分の悪影響を未然に防ぐことができる。また、吸脱着塔2,3で処理するガソリン量を大幅に低減できるため、吸脱着塔を小さく、安価に製作することができる。
本実施の形態において、第一、第二の凝縮装置6,7を設けた場合は、給油ノズル1から回収した高濃度(40Vol%)のガソリンを第一、第二の凝縮装置6,7で5Vol%まで低減できるため、吸脱着塔2,3で処理するガソリン量は全吸引量に対して12.5%(=5%/40%)に低減することができる。すなわち、吸脱着塔2,3の前段に第一、第二の凝縮装置6,7を設けたことにより、吸脱着塔2,3の容積をおよそ1/10にすることができる。なお、図1のように凝縮装置6のみの場合は10Vol%まで低減することができるため、吸脱着塔2,3で処理するガソリン量は全吸引量に対して25%(=10%/40%)に低減することができる。この場合は吸脱着塔2,3の容積をおよそ1/4にすることができる。
次に、脱着プロセスについて説明する。吸着剤に吸着したガソリンを脱着する場合には、ガス循環用ブロア4により脱着塔3から脱着後のパージガス送気管14aを通してガスを吸引して吸着剤からガソリンを脱着する。このときバルブB14aは開放、B14bは閉鎖にしておく。吸着時には吸着塔は0.3MPaの高圧状態で動作しているが、脱着時にはガス循環用ブロア4により大気圧以下に減圧されるため、この圧力差によって吸着剤に吸着したガソリンが脱着される。脱着したガソリン蒸気は、図1の場合は凝縮装置6に戻され、ガソリン分を再度凝縮回収した後、再び吸脱着塔2,3に戻される。この操作を繰り返す間に、全量のガソリンが凝縮装置6において凝縮回収される。図2の場合では第二の凝縮装置7に戻され、ガソリン分を再度凝縮回収した後、再び吸脱着塔2,3に戻される。この操作を繰り返す間に、全量のガソリンが第二の凝縮装置7において凝縮回収される。
ガス循環用ブロア4の吸引による圧力差を利用する脱着方法だけでは、その効率があまり高くないため、パージガスを外部から導入することが有効である。本実施の形態では、このパージガスとして吸着塔2から大気に排出する清浄なガスの一部を排出管12a、パージガス送気管13aによって脱着塔3に送って使用している。B13a、B13bは通過するガス流量を制御するマスフローコントローラで、この場合、マスフローコントローラB13aは開放状態で規定量のガスを流通できる状態であり、マスフローコントローラB13bは閉鎖になっていてガスは流れないようになっている。なお、一定のガス流量に設定している場合は定流量弁でもよい。
なお、脱着試験を行った結果、パージガス流量を15〜25L/minとした場合、吸着塔内の圧力を100〜300Torrとすることにより、ガソリン蒸気を効率的に脱着できることがわかった。
図4(a)に示すように、ガソリン蒸気の脱着時にパージガス流量は一定になるように制御してもよいが、図4(b)に示すように、時間とともにパージガス流量を可変すればより効果がある。すなわち、脱着時間とともにパージガス流量を増大することが有効である。脱着開始直後はガソリン蒸気量も多いため、大量のパージガスは必要でないが、時間とともに脱着するガソリン量は低下するため、吸引ガス量も低下する。このため、パージガス流量を増大して、吸引ガス量の低下を防止することが有効である。系内に不要なガスを送り込むことはガス循環用ブロア4の動力などのエネルギー損失になるため、パージガス流量は必要最少限に抑えることが望ましい。なお、本実施の形態では、吸脱着塔2,3の前段の凝縮装置6又は第一、第二の凝縮装置6,7でガス中の水分量を十分低くしているため、パージガスに含まれる水分が脱着塔3内の吸着剤に悪影響を与えることは殆どない。
また、本実施の形態では、ガソリン蒸気の脱着時の温度を吸着時の設定温度と変更せずに、圧力変化とパージガス量による置換で脱着するようにしているが、さらに脱着効率を改善するため、脱着時には脱着塔3に入口R3bから出口R4bへ流れる冷媒の流通を一時的に停止し、脱着塔3内の温度を室温に近づけてもよい。吸着時の温度よりも脱着時の温度を高くすることで、より効率的な脱着を実現できる。脱着が終了し、吸着過程に移る初期には吸着塔の温度は高く、吸着性能は低いが、吸着剤には全くガソリンが残っていないため、ガソリンが漏れ出すおそれはない。時間の経過とともにガソリンの吸着量は増加するが、同時に吸着塔の温度も低下し、吸着剤の吸着性能は改善されていくので、脱着から吸着過程に移るときに急速な塔の冷却は必要ない。もちろん脱着時に脱着塔3を強制的に加熱することで、より脱着性能を改善することも可能である。但し、温度を振ることにより冷凍機およびヒータの消費エネルギーが増大するために、エネルギー的には吸脱着時の温度を一定とする方式に比べて劣る。
ガソリンスタンドにおいて、給油は不定期に行われる。このため、図2の場合は電力使用量削減の観点から、給油時の限られた時間だけポンプ8を作動して、給油ノズル1から漏れ出るガソリン蒸気を回収する。したがってポンプ8と第一の凝縮装置6は間欠的な運転となる。一方ガス循環用ブロア4による閉ループ回路、すなわち第二の凝縮装置7、吸脱着塔2,3を含む系は連続的に運転する構成を採っている。この閉ループ回路内でガスを循環する際に、ガソリンの給油ノズル1から大気を吸い込む危険があるので、ガス循環用ブロア4の手前にバルブB4を挿入しておき、ポンプ8が停止しているときには、バルブB4を閉鎖し、ポンプ8が稼動しているときにはバルブB4を開放するようにしておくと有効である。このような構成を採ることで、吸着塔2内の圧力を常に一定に保つことが容易で、システムの安定な動作が容易になる。
ところで、平日の夜間など、給油が殆ど行われない場合には、上記閉回路中に新たなガスが供給されないため、圧力コントローラ120a,120bが配設されていないと次第にガス圧力が低下していくことがある。この場合、吸着塔2のこの圧力低下により吸着剤に吸着したガソリンが、脱着して大気中に放出されるおそれがある。あるいは過渡的に閉回路中の一部の圧力が安全基準以上に上昇し、引火の危険を伴うおそれがある。このため、図2の場合では、ガス循環用ブロア4の排気側に圧力計41を配設しておき、規定の圧力範囲を超えた場合には自動的にガス循環用ブロア4を停止するような安全対策が施してある。
[実施の形態2]
図5はこの発明の実施の形態2に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
本実施の形態の実施の形態1との違いは、脱着塔3から脱着したガソリン蒸気をポンプ8を用いて第一の凝縮装置6に返送する点である。本実施の形態では、図1で用いたガス循環用ブロア4は不要になる。しかし、給油時にのみポンプ8を間欠動作すると、ポンプ8の動作状況によって吸脱着塔2,3の圧力が変化し、吸着の制御を行うことが困難になる場合がある。このような場合は、給油ノズル1とポンプ8の間にバルブB8を挿入し、ポンプ8は常時運転し、給油している時だけこのバルブB8を開放にすることで安定にシステムを稼動することができる。
[実施の形態3]
図6はこの発明の実施の形態3に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
上記実施の形態1では、ガソリン蒸気の脱着時にパージガスとして吸着塔2の出口ガスの一部を用いたが、本実施の形態においては、温度の高い外気をパージガスとして用いることにより、脱着効率をより改善したものである。外気の導入口であるパージガス送気管13a,13bにバルブB15a,B15bを配設し、これらバルブB15a,B15bの開閉によりパージガス量を制御すればよい。もちろん前述のように、ガソリン蒸気の脱着時に一定量のパージガスを供給してもよいし、時間的に供給ガス量を可変してもよい。
パージガスとして外気を用いる場合、外気中に含まれる水分が脱着塔3内の吸着剤に吸収される可能性もあるため、湿度が高くない状況で使用するか、除湿してから使用するなどの工夫が有効な場合もある。
[実施の形態4]
図7はこの発明の実施の形態4に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
本実施の形態は、パージガスを用いずにガソリン蒸気を脱着するようにしたものであるが、このようにしても、脱着効率は落ちるものの、システムとしては簡単になり有利な場合もある。特にパージガスを用いない場合は、吸着条件をより低温、高圧にし、脱着条件を高温、低圧にすることにより、吸脱着時の圧力差、温度差を大きく設定することが必要である。
[実施の形態5]
図8はこの発明の実施の形態5に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
本実施の形態は、脱着塔3に冷媒の代わりに入口R5から出口R6へホットガスを流して脱着塔3内の温度を室温以上に上げて脱着効率を向上するようにしたものである。
[実施の形態6]
図9はこの発明の実施の形態6に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
本実施の形態は、パージガス送気管13a,13bにヒータH1a,H1bを配設してパージガスを加温することにより脱着性能を向上するようにしたものである。
[実施の形態7]
図10はこの発明の実施の形態7に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
本実施の形態と実施の形態1との違いは、冷凍機201を用いて温度媒体(ブライン液など)を冷却し、その温度媒体を液体循環ポンプ202により凝縮装置6および吸脱着塔2,3に供給するようにした点である。すなわち、熱交換器203を設けた温度媒体槽204に蓄えられた温度媒体を、冷凍機201から熱交換器203に冷媒を流すことによって冷却し、冷却した温度媒体を液体循環ポンプ202によって、凝縮装置6および吸脱着塔2,3に供給するようにしたものである。また、温度媒体の温度制御は、温度媒体槽204内の温度媒体の温度を測定し、冷凍機201の運転を制御することによって実施している。なお、図10では、凝縮装置6を温度媒体槽204内に配置し、液体循環ポンプ202によって吸脱着塔2,3に供給するようにした例を示している。
図において、1は排気ガス発生源である給油ノズル、8は給油ノズル1からガソリン蒸気を吸入するためのポンプ、6は凝縮装置、9は気液分離器、5は液化ガソリン回収器、2,3は吸脱着塔、4はガス循環用ブロア、B1は給油ノズル1の給油時以外は閉じているバルブ、11は凝縮装置6と吸脱着塔2,3とを接続するガソリン蒸気送気管、B11a,B11bはガソリン蒸気送気管11の途中の設けられた吸脱着塔2,3の吸着用バルブである。120は吸脱着塔2,3の圧力を調整する圧力コントローラ、12a,12bは吸脱着塔と圧力コントローラ120を接続する排出管、B12a,B12bはこの排出管12a,12bの途中の設けられた吸脱着塔2,3の排気用バルブ、13a,13bはパージガスとして吸着塔2又は3から大気に排出する清浄なガスの一部を脱着塔3又は2に送って使用するためのパージガス送気管、B13a,B13bはこのパージ用ガス送気管13a,13bに設けられたガス量を制御するマスフローコントローラである。
14a,14bはガス循環ブロア4と吸脱着塔2,3とを接続する脱着後のパージガス送気管、B14,B14bはこのパージガス送気管14a14bに設けられた吸脱着塔2,3の脱着用バルブ、201は凝縮装置6および吸脱着塔2,3を冷却する冷凍機、202は冷凍機201によって冷却された温度媒体を吸着塔2,3に供給する液体循環ポンプ、203は冷凍機201から供給される冷媒の熱を温度媒体に伝える熱交換器、204は熱交換器203によって冷却された温度媒体が充填されている温度媒体槽である。
まず、装置の構成について説明する。図11は本発明の実施の形態に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のレイアウトを示したものである。図11に示すように、冷凍機201のみをエアーギャップ301の上方に置くようにしている。すなわち、冷凍機201はガソリン蒸気と直接接触することがないため、エアーギャップ301の上方に置くようになっている。これにより、冷凍機201は可燃性蒸気滞留場所の範囲外に設置されることになり、可燃性蒸気が冷凍機201によって着火することが無いような安全性の高い配置になっている。一方、その他の機器、すなわち、ポンプ8、凝縮装置6、気液分離器9、吸脱着塔2,3、ガス循環ブロア4、バルブB11a,B11b、B12a,B12b、B14a,B14b、マスフローコントローラB13a,B13b、および圧力コントローラ120(これらの一部は図示してない)は、ガソリン蒸気と接触するため、可燃性蒸気滞留場所に設置している。なお、可燃性蒸気滞留場所に設置している電気機器については、安全性を確保するために、防爆構造としている。
また、液体循環ポンプ202および温度媒体槽204は、ガソリン蒸気と非接触であるため、通常はエアーギャップ301の上方に置かれるべきである。しかし、液体循環ポンプ202をエアーギャップ301の上方に置くことは、液体循環ポンプ202が温度媒体を供給する吸脱着塔2,3よりも高い位置に置くことになり、液体循環ポンプ202に空気噛みを発生させ、吸脱着塔2,3が冷却できないという問題を引き起こすおそれがある。したがって、防爆構造にした液体循環ポンプ202と、温度媒体槽204を可燃性蒸気滞留場所に置くことが有効である。また、温度媒体槽204に含まれている温度媒体の含有量をわかるようにしておくことが必要である。すなわち、液面計や水位表示パイプなど(図示せず)を設置することにより、温度媒体の含有量をモニタリングすれば装置の冷却能力の低下などがわかるので、より安全な回収装置を提供することができる。
次に、動作について説明する。ガソリンスタンドで給油を開始すると、ポンプ8が動作し、給油ノズル1から漏れ出したガソリン蒸気(常温で約40vol%)を吸い込み、例えば、0.3MPa程度に加圧して凝縮装置6に送気される。温度媒体槽204内に備えられた凝縮装置6は、冷凍機201から冷媒が温度媒体槽204内の熱交換器203に供給されると、温度媒体を介して間接的に冷却される。通常、凝縮装置6内部は0℃から5℃程度に保たれており、ガソリンおよびガス中に含まれた水分が一部凝縮し、気液分離器9を介して気体(ガソリン蒸気)と液体(ガソリン)に分離される。液体は凝縮装置6の下側に溜まり、液化ガソリン回収器5に液体として回収され、気体は凝縮装置6から排出される。ガソリン蒸気を凝縮装置6の上方から導入して下方に流通することにより、液化したガソリンや水分が重力とガス流により効率的に下方に流され、これらの液化物の回収が容易になる。
ところで、凝縮装置6の運転条件である、圧力0.3MPa、冷却温度5℃、ガス流量60L/minの条件では、ガソリン蒸気の濃度は10vol%程度になる。なお、ガソリン蒸気の飽和濃度線図からわかるように、圧力0.3MPa、温度5℃では飽和ガソリン蒸気濃度は約10vol%であり、この条件ではガソリン蒸気濃度が理論的に10vol%以下になることはない。また、温度を下げることにより、凝縮装置6の出口でのガソリン蒸気濃度を低減することはできる。しかし、設定温度を氷点以下にすると、ガス中に含まれる水が凝縮装置6で結氷し、配管詰まりの問題が発生するため、凝縮装置6の設定温度は0℃から5℃程度にすることが望ましい。
続いて、凝縮装置6で処理できなかった10vol%程度のガソリン蒸気は吸脱着塔2,3に送気されて処理される。図10では、2が吸着塔、3が脱着塔として動作している場合について示している。したがって、バルブB11aは開放(黒塗り)、B11b(白抜き)は閉鎖の状態にある。吸着塔2で任意の時間吸着処理した後は脱着塔として使用する。この場合はバルブB11aが閉鎖、B11bが開放の状態で使用する。さらにガソリンの脱着が終了した時点で、再び吸着塔として用い、この動作を時間的に繰り返して使用する。吸着・脱着の切り替えは、前述のようにバルブB11a,B11bの切り替えでコントロールする。
ガソリン蒸気は送気管11を通して吸着塔2に送気される。吸脱着塔2,3にはガソリン蒸気を吸着する吸着剤が封入されている。ガソリン蒸気の吸着剤としては、シリカゲルを用いた。特に4〜100オングストロームの孔径をもつシリカゲル又は合成ゼオライトの単独又はこれらの混合物が有効である。この吸着剤中をガソリン蒸気が通過することによりガソリン成分は吸着除去され、1vol%以下のガソリン濃度の清浄空気となって排出管12aを介して大気に放出される。また、大気への排出管12a,12bの下流側には圧力を規定値に制御する圧力コントローラ120が配設されており、吸着塔2内の圧力を規定値に維持するようにしている。本実施の形態では、凝縮装置6の高圧(0.3MPa程度)の排気ガスを用いて吸着するため、常圧で吸着するより吸着容量が大幅に改善される。
吸脱着塔2,3は、ガソリン蒸気の吸脱着の役割に関係なく、常に液体循環ポンプ202によって供給される温度媒体により一定温度に冷却されている。すなわち、凝縮装置6および吸脱着塔2,3の冷却系統は設定温度に維持されるように常に運転制御されている。これは、吸脱着塔2,3に充填されているシリカゲル21はフィンチューブ熱交換器22からの伝熱によって冷却されるため、ある程度の冷却時間が必要不可欠であり、瞬時の運転に対応できないためである。さらに、短時間に冷却できるように冷却能力が大きい冷凍機201を備えることは、設備コストに悪い影響を与え、安価なガソリン回収装置を提供できなくなるからである。なお、吸着塔2内部の温度を低くすることにより、吸着容量を大きくし、シリカゲル21の使用量を低減することはできる。しかし、凝縮装置6の設定温度よりも吸着塔2の内部温度を低くすると、吸着塔2内で水が凝縮し、更に氷点下の場合は結氷するために、凝縮装置6とほぼ同じ温度に設定する方がよい。
以上のことから、凝縮装置6および吸脱着塔2,3の冷却系統は設定温度に維持されるように、かつ、凝縮装置6および吸脱着塔2,3の圧力系統は設定圧力に維持されるように、常に運転制御することにより、効率的なガソリン回収を行うことができる。
吸脱着塔2,3の外部構造は、図12(a)に示すように、円筒構造としている。このような構造にすることにより、壁面にかかる圧力を均一化することが可能となり、吸脱着塔2,3内の圧力が0.3MPa程度になっても、安全性の高い、すなわち形状変形などをすることのない吸脱着塔2,3が実現できる。また、吸脱着塔2,3の内部構造は、シリカゲル21又は合成ゼオライトへの伝熱を考慮し、フィンチューブ熱交換器(アルミフィンで伝熱管に温度媒体を流す)22を配置し、アルミフィンの間にシリカゲル21又は合成ゼオライトを詰め込むと同時に、上下にシリカゲル流出防止ネット24を設け、シリカゲル21が配管に流出することを防止すると共に、ガスの流れをよくしている。この場合、シリカゲル21へのガソリン蒸気の吸着を均一化するために、吸脱着塔2,3に均一にガソリン蒸気が流れるように、パンチングメタルなどで作られた整流板23を設置するようにしてもよい。フィンチューブ熱交換器22のフィンの向きは、ガソリン蒸気が流れる際の圧損にならないように、ガソリン蒸気の流れ方向と平行になるようにセットすることが望ましい。すなわち、図12(a)のケースでは、下から上に向かってガソリン蒸気は流れるために、横方向に積層するようにしている。また、外壁近傍に充填されているシリカゲル21を効率よく冷却するために、フィンチューブ熱交換器22と外壁との間に隙間ができないようにする必要がある。
この場合、図12(b)に示すように、ベントが有る側についてはベント部分に接触するような格子状や板状の金属(伝熱特性に優れたにアルミや銅が最適)を設け、ベントが無い側についてはフィンチューブ熱交換器22のフィンそのものの長さを長くすることにより、外壁とフィンチューブ熱交換器22の間の隙間をなくすようにすることが有効である。また、外壁とフィンチューブ熱交換器22の間の隙間部分を無くすように、金属棒やフィン付きパイプなどを挿入するようにしてもよい。また、フィンチューブ熱交換器22の伝熱管に温度媒体を流す場合、伝熱管に入る前に温度媒体が流れる配管を分岐し、フィンチューブ熱交換器22を複数のブロックに分けて、並列に温度媒体を流すようにした方がよい。これにより、温度媒体が流れる配管の圧力損失を低減することができ、温度媒体を吸脱着塔2,3に供給する液体循環ポンプ202の容量を低減することができる。
さらに、このケースでは、下から上に向かってガソリン蒸気が流れるので、フィンチューブ熱交換器22と下部のシリカゲル流出防止ネット24を接するように配置することが望ましい。これにより、シリカゲル流出防止ネット24とフィンチューブ熱交換器22の間に空間、すなわち、シリカゲル21だけが充填されている空間を無くすことができ、吸着時にシリカゲル21の冷却を十分に実施することができる。この結果、最も高いガソリン濃度のガソリン蒸気が入ってくる部分に存在するシリカゲル21の温度が上昇するのを防止でき、安全な吸脱着塔2,3を提供することができる。なお、上から下にガソリン蒸気が流れる場合は、上部のシリカゲル流出防止ネット24とフィンチューブ熱交換器22を接することは言うまでもない。
吸脱着塔2,3の前段に凝縮装置6を設けない場合は、吸脱着塔2,3に高濃度のガソリン蒸気が流れ込んでくると共に、ガソリン蒸気中に含まれた水分が吸着剤に吸着され、ガソリン蒸気の吸着性能が落ち、必要以上の量の吸着剤が必要になる。また、吸着塔2の温度を氷点下に下げた場合には、吸着剤表面に水分が結露してガスが詰まるなど大きなトラブルが発生することがある。
本実施の形態は、吸脱着塔2,3の前段に凝縮装置6を設けているため、ガソリン蒸気とともに水分も除去されるので、吸脱着塔2,3における水分の悪影響を未然に防ぐことができる。また、吸脱着塔2,3で処理するガソリン量を大幅に低減できるため、吸脱着塔2,3を小さく、安価に製作することができる。さらに、本実施の形態では給油ノズル1から回収した高濃度(40vol%)のガソリンを凝縮装置6で10vol%まで低減できるため、吸脱着塔2,3で処理するガソリン量は全吸引量に対して25%(=10%/40%)に低減することができる。すなわち、吸脱着塔2,3の前段に凝縮装置6を設けたことにより、吸脱着塔2,3の容積をおよそ1/4にすることができる。
次に、ガソリン蒸気の脱着プロセスについて説明する。吸着剤に吸着したガソリンを脱着する場合には、ガス循環用ブロア4によりパージガス送気管14aを介して脱着塔3からガスを吸引して吸着剤からガソリンを脱着する。このときバルブB14aは開放、B14bは閉鎖にしておく。吸着時には吸着塔は0.3MPaの高圧状態で動作しているが、脱着時にはガス循環用ブロア4により大気圧以下に減圧されるため、この圧力差によって吸着剤に吸着したガソリンが脱着される。脱着したガソリン蒸気は、図10では凝縮装置6に戻され、ガソリン分を再度凝縮回収した後、再び吸着塔2に戻される。この操作を繰り返す間に、全量のガソリンが凝縮装置6において凝縮回収される。なお、脱着時には、脱着塔3内部の温度を高くすることにより、脱着速度を早くすることはできるが、温度を振ることにより、冷凍機およびヒータにおいて消費エネルギーが増大すると共に、吸脱着塔2,3の切り替えが短時間に行えないなどの問題があるために、脱着時に温度を高くせず、吸着時と同じ温度で脱着を行うことが有効である。
なお、脱着時の脱着塔3からのガソリン蒸気の排出口は、吸着時の吸着塔2へのガソリン蒸気の供給口と吸脱着塔2,3の同一部分に設けるようにしている。吸着塔2出口のガソリン蒸気濃度を1vol%以下になるように吸着塔2を運用しているため、吸着時には吸着塔2のガソリン蒸気吸入口の近傍では高密度にガソリン蒸気が吸着し、吸着塔2のガソリン蒸気排出口の近傍ではガソリン蒸気があまり吸着していない状態になっている。脱着時に脱着塔3から排出するガソリン蒸気を凝縮装置6において効率的に回収するには、ガソリン蒸気濃度をできるだけ高くする必要がある。したがって、高密度に吸着している部分からガソリン蒸気を排出する方が高濃度のガソリン蒸気を排出できるため、ガソリン蒸気が高密度に吸着している部分、すなわち、吸着塔2のガソリン蒸気吸入口の近傍から、脱着時にガソリン蒸気を排出するようにした方がよい。
ガス循環用ブロア4の吸引による圧力差を利用する脱着方法だけでは、その効率があまり高くないため、パージガスを外部から導入することが有効である。本実施の形態では、このパージガスとして吸着塔2から大気に排出する清浄なガスの一部を排出管12a、パージガス送気管13aによって脱着塔3に送って使用している。B13a,B13bは通過するガス流量を制御するマスフローコントローラで、この場合、マスフローコントローラB13aは開放状態で規定量のガスを流通できる状態であり、マスフローコントローラB13bは閉鎖になっていてガスは流れないようになっている。なお、本実施の形態では、前段の凝縮装置6でガス中の水分量を十分低くしているため、パージガスに含まれる水分が脱着塔3内の吸着剤に悪影響を与えることは殆どない。
図13(a)に示すように、脱着時にパージガス流量が一定になるように制御してもよい。しかし、脱着したガソリン蒸気を凝縮装置6に戻して液化回収するには、できるだけ高濃度のガソリン蒸気を脱着塔3から排出するようにした方がよいことは周知の事実である。さらに、系内に不要なガスを送り込むことはガス循環用ブロア4の動力などのエネルギー損失になるため、パージガス量は必要最少限に抑えることが有効である。したがって、図13(b)に示すように、脱着開始後、ある時間経過した後にパージガスを導入することが有効である。つまり、脱着開始直後はガソリン蒸気量も多いため、パージガスは必要でないが、時間とともに脱着するガソリン量は低下するため、吸引ガス量も低下する。このため、脱着開始から一定時間経過後にパージガスを導入して、吸引ガス量の低下を防止することが有効である。
パージガスの導入のタイミングとしては、タイマーなどを用いて脱着から一定時間経過した後にパージガスを導入する方式(タイマー方式)、脱着塔3の内部圧力が設定値に到達した時にパージガスを導入する方式(圧力計測方式)、脱着塔3から排出されるガソリン蒸気のガス量が設定値に到達した時にパージガスを導入する方式(ガス量計測方式)が考えられる。タイマー方式はイニシャルコストという点では最も有利であるが、吸脱着塔2,3に吸着しているガソリンの量によって、パージガスが導入されるタイミングがずれ、パージガス導入の有効性が軽減されるおそれがある。すなわち、吸着量が多いと、脱着塔3にガソリン蒸気が十分あるときにパージガスが導入されることになり、脱着塔3から排出されるガソリン蒸気濃度が低下する。逆に吸着量が少ないと、脱着塔3から排出されるガソリン蒸気ガス量が少ない時間帯が増加することになり、脱着塔3から効率的にガソリン蒸気を排出できなくなる。圧力計測方式およびガス量計測方式は、前述したタイマー方式の問題点を解消することができ、効率的な脱着を実現できる。なお、本ガソリン回収装置では、安全上、ガソリン蒸気が流れる配管系に圧力計をつけることが不可欠である。したがって、圧力計測方式はそれらの圧力計と兼用できるため、3つの方式の中で最も有効であると考えられる。
図14は、吸脱着塔2,3からガソリン蒸気を20NL/minで排出した場合の吸脱着塔2,3の出口におけるガソリン蒸気濃度の変化およびその時の吸脱着塔2,3の圧力変化を示したものである。吸着条件がガソリン濃度10vol%、圧力が300kPaであるため、脱着開始時はこれらの値が初期値になっている。なお、パージガスの導入は吸脱着塔2,3の圧力が負圧になったとき、すなわち、100kPaに到達したときに開始した。このように、吸脱着塔2,3の内部圧力が負圧になり、変極点に達した(安定領域に到達した)時にガソリン蒸気濃度は最大となり、それ以降ガソリン濃度は徐々に減少することがわかった。したがって、脱着したガソリン蒸気を凝縮装置6で回収するには、脱着したガソリン蒸気の濃度を凝縮装置6出口の濃度である10vol%以上にする必要があり、ガソリン濃度が10vol%以上になっている時間帯をできるだけ長く保つことにより、効率的にガソリン回収ができることがわかる。
図15は、ガソリン蒸気の脱着時の吸脱着塔2,3の内部圧力と、パージガス流量、吸脱着塔2,3から排出されるガソリン蒸気濃度、および単位時間当たりに吸脱着塔2,3から排出されるガソリン蒸気流量の関係を調べたものである。このように、吸脱着塔2,3の内部圧力を低くするには、パージガスの流量を低減する方がよいことがわかった。また、吸脱着塔2,3の内部圧力を低くすることにより、吸脱着塔2,3から排出されるガソリン蒸気の濃度を高くすることができることがわかった。したがって、吸脱着塔2,3から排出されるガス流量(パージガス流量)と吸脱着塔2,3から排出されるガソリン蒸気の濃度との積で表される単位時間当たりに吸脱着塔2,3から排出されるガソリン蒸気流量は、吸脱着塔2,3の内部圧力が高い時にはガソリン蒸気濃度が低いために小さくなり、また吸脱着塔2,3の内部圧力が低い時には排出されるガス流量が小さいために小さくなることを見出した。すなわち、内部圧力、排出ガス量(パージガス量)共に運転する上で最適領域が存在することがわかった。しかし、本回収装置では、吸脱着塔2,3からガソリン蒸気を排出することが主目的ではなく、排出したガソリン蒸気をどれだけ回収するかということが主目的である。したがって、前述したように、凝縮装置6で回収するには、排出されるガス中のガソリン濃度を10vol%以上にする必要があり、脱着濃度を10vol%からどれだけ高くできるかということが重要である。
図16は、ガソリン蒸気の脱着時の吸脱着塔2,3の内部圧力と吸脱着塔2,3から排出されるガソリン蒸気の時間当たりの回収量との関係を調べたものである。なお、単位時間当たりのガソリン回収量は、吸脱着塔2,3から排出されるガソリン蒸気の濃度と凝縮装置6での回収限界濃度である10vol%との差と、吸脱着塔2,3から排出されるガス流量(パージガス流量)との積で表すことができる。このように、内部圧力を30kPa程度に設定したときに単位時間当たりのガソリン回収量が最も高くなることがわかった。前述したように、凝縮装置6での回収率は75%程度であるため、脱着したガソリン蒸気の回収率も75%以上にする必要がある。これは、脱着したガソリン蒸気の回収効率が低下すると、凝縮装置6で回収されずに脱着塔3から吸着塔2に移行するガソリン蒸気が増えるだけであり、回収装置としての運転効率が低下するためである。
したがって、吸着塔2に供給されるガソリン蒸気量の75%以上が回収される条件で、脱着塔3からガソリン蒸気を脱着する必要がある。すなわち、吸着塔2に供給されるガス流量が60NL/minで、ガソリン蒸気濃度が10vol%であるため、単位時間当たりに吸着塔2に供給されるガソリン蒸気量は6NL/minとなるので、単位時間当たりの脱着塔3からのガソリン回収量は4.5NL/min以上にする必要がある。これにより、吸脱着塔2,3内の内部圧力は15〜40kPaにする必要があることがわかった。また、図15から吸脱着塔2,3内の圧力を15〜40kPaにするには、パージガス流量を15〜35NL/minにする必要があることがわかった。
以上の結果から、脱着塔3からの排出ガス流量(パージガス流量)を15〜35NL/minとし、吸着塔2内の圧力を15〜40kPaにすることにより、ガソリン蒸気を効率的に脱着できることがわかった。
ガソリンスタンドにおいて、給油は不定期に行われる。このため、電力使用量削減の観点から、給油時の限られた時間だけポンプ8を作動して、給油ノズル1から漏れ出るガソリン蒸気を回収する。したがって、この場合にのみ吸着塔2から1vol%以下のガソリン濃度の清浄空気となって排出管12aを介して大気に放出されることになる。本回収装置では、吸着塔2から排出された空気を脱着塔3からガソリンを排出させるのに使用するため、吸着塔2への吸着動作と脱着塔3のからの脱着動作は常に同期することとなる。すなわち、ポンプ8とガス循環用ブロア4は常に同期した状態で間欠的な運転を行うことになる。このように運転することにより、脱着されたガソリン蒸気がガス循環用ブロア4によって吸い込まれた空気によって希釈され、凝縮装置6での回収効率が低下することがなくなる。また、脱着されたガソリン蒸気が給油ノズル1から排出されることがなくなる。さらに、脱着塔3に水分を十分含んだ空気が吸入されることも防ぐことができる。
以上のことから、ポンプ8とガス循環用ブロア4は常に同期した状態で間欠的な運転を行うことにより、効率的なガソリン回収を行うことができる。なお、ポンプ8の運転状態に合わせて、バルブを開閉させることにより、吸脱着塔2,3内の圧力を常に一定に保つことが容易になる。
次に、吸脱着塔2,3の切り替えについて説明する。本実施の形態では、タイマーを用いて、吸脱着塔2,3の切り替えを行う場合について説明する。前述したように、ガソリン蒸気は吸着塔2を通過することによってガソリン成分が吸着除去され、ガソリン濃度が1vol%以下の清浄空気となって排出管12aを介して大気に放出される。しかし、吸着塔2に供給されるガソリン蒸気量が増大するにつれて、吸着塔2の吸着能力が徐々に低下する。この状態が続き、吸着塔2出口でのガソリン濃度が1vol%に近づくと、吸脱着塔2,3の切り替えが必要になる。ガソリンスタンドにおいて、給油は不定期に行われるため、単純に時間で切り替えを行う場合、給油タイミングによってはどちらかの吸脱着塔2,3のみで吸着操作が行われるといった事態が発生し、回収装置から1vol%以上のガソリン蒸気が排出されるおそれがある。
したがって、吸脱着塔2,3の切り替えは、ガソリン回収装置が動作している時間の積算値で行うことが有効である。すなわち、ガソリン回収装置が稼動している時間の積算値が所定時間に達した時に、吸脱着塔2,3の切り替えを行うと共にその積算値をリセットし、再度、稼動時間の積算を最初から行うようにすればよい。なお、回収装置の稼動を表す指標としては、ガス循環用ブロア4やポンプ8の稼動があげられる。本装置では、ガス循環用ブロア4とポンプ8は同期しているため、どちらの稼動時間を積算しても問題はない。また、実際の切り替えのタイミングとしては、積算時間が所定値に達成しても、すぐに切り替えることはせず、ポンプ8の稼動が停止するのを待って吸脱着塔2,3の切り替えを行う方がよい。これにより、吸脱着塔2,3にガソリン蒸気が供給されているときに吸脱着塔2,3が切り替わることはなくなり、ポンプ8に過度な圧力がかかることがなくなり、安全なガソリン回収装置を提供することができる。
最後に、ガス状炭化水素の処理・回収装置の制御方法について説明する。回収装置が停止時には、ガス循環用ブロア4やポンプ8が停止し、バルブB11a,B11b、B12a,B12b、B14a,B14bが全閉状態で、マスフローコントローラB13a,B13bが閉まった状態になっている。給油が開始されると、給油機からの開始信号を受けて、例えば、給油信号として給油ノズル1の開閉動作に対応した給油開始信号を受けて、バルブB11a,B12a,B14aが開状態になり、その後ガス循環用ブロア4やポンプ8が稼動する。ガス循環用ブロア4の稼動により脱着塔3内の圧力が所定濃度に低下すると、マスフローコントローラB13aが開き始め、脱着塔3に所定の流量が流れるようにマスフローコントローラB13aの開度が制御される。給油が完了すると、給油機からの停止信号を受けて、ガス循環用ブロア4やポンプ8が停止し、マスフローコントローラB13aが閉まった状態になり、バルブB11a,B12a,B14aが閉状態になる。
このようにして給油が繰り返され、給油している時間の積算値が所定時間に達すると、吸脱着塔2,3の切り替えが行われる。しかし、給油中に給油積算時間が所定時間に達しても、給油機からの停止信号を受けるまではそのままの状態で稼動する。停止信号を受けると、前述したように、ガス循環用ブロア4やポンプ8が停止し、マスフローコントローラB13aが閉まった状態になり、バルブB11a,B12a,B14aが閉状態になる。次に、給油機から開始信号を受けると、積算時間タイマーがリセットされ、バルブB11b,B12b,B14bが開状態になり、その後ガス循環用ブロア4やポンプ8が稼動し、吸着塔3が吸着動作になり、脱着塔2が脱着動作になる。ガス循環用ブロア4の稼動により脱着塔2内の圧力が所定濃度に低下すると、マスフローコントローラB13bが開き始め、脱着塔2に所定の流量が流れるようにマスフローコントローラB13bの開度が制御される。給油が完了すると、給油機からの停止信号を受けて、ガス循環用ブロア4やポンプ8が停止し、マスフローコントローラB13bが閉まった状態になり、バルブB11b,B12b,B14bが閉状態になる。その後、給油積算時間が所定時間に達するまで、この運転が繰り返される。
上記の実施の形態では、給油信号として給油ノズル1の開閉動作に応じて、給油開始および停止信号をもらうケースについて説明したが、給油ノズル1の給油機からの取り外し動作に応じて、給油開始および停止信号をもらうようにしてもよい。但し、この場合、給油機から給油ノズル1が離れて給油されない状態でも、本ガス状炭化水素の処理・回収装置が稼動することになり、ガソリン蒸気を吸い込まない状態で回収装置が稼動することになって、省エネルギーの観点から問題がある。したがって、このような状態が一定時間続くと、回収装置が停止するような制御機構を搭載しておく必要がある。
以上のように、本実施の形態に係るガス状炭化水素の処理・回収装置は、凝縮装置6と吸脱着塔2,3を組み合わせているので、最大でも1vol%のガソリン蒸気を排出することしかなく、環境負荷が非常に小さいガス状炭化水素の処理・回収装置である。また、最大でも1vol%のガソリン蒸気を排出するだけであるため、40vol%のガソリン蒸気のうち39vol%まで回収でき、回収効率が97.5%と非常に高効率の回収装置である。また、凝縮操作を行ってから吸着操作を行うようにしているため、吸脱着塔2,3を小型化でき、装置全体をコンパクト化できるという効果も有している。更に、ガソリン蒸気の回収は給油機と連動させて行うため、無駄な運転を低減することができ、ランニングコストを少なくすることができる。
[実施の形態8]
図17はこの発明の実施の形態8に係るガス状炭化水素の処理・回収装置の装置構成を示す図である。
前述の実施の形態7との違いは、補助温度媒体槽205をエアーギャップ301の上方に設けると共に、液体循環ポンプ202をエアーギャップ301上方に置いている点である。本実施の形態によれば、図11で用いた液体循環ポンプ202を防爆構造にする必要がない。しかし、液体循環ポンプ202にガス(空気など)が侵入した場合、液体を送ることができないという問題が発生する場合がある。このような問題が起こらないように、補助温度媒体槽205をエアーギャップ301上方に設けて、液体循環ポンプ202内にガスが侵入することがないようにすることで安定にシステムを稼動することができる。
以上のように、本実施の形態では、液体循環ポンプ202を防爆構造にする必要がないため、液体循環ポンプ202の費用を安価にすることができ、ガス状炭化水素の処理・回収装置を低コスト化することができる。
[実施の形態9]
図18はこの発明の実施の形態9に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のガス循環用ブロアとポンプを示す構造図である。
本実施の形態のガス状炭化水素の処理・回収装置では、ガス循環用ブロア4とポンプ8を同期して運転させるため、モータ10を共用化してプーリー駆動でガス循環ブロワ4とポンプ8を稼動するようにしたものである。これにより、モータ10のイニシャルコストを低減することができ、安価なガス状炭化水素の処理・回収装置を供給することができる。
[実施の形態10]
図19はこの発明の実施の形態10に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、吸脱着塔2,3を通過することによりガソリン成分は吸着除去され、1vol%以下のガソリン濃度の清浄空気となって排出管12aを介して大気に放出される場合について示したが、本実施の形態においては、排出管12aにエゼクタ211を設けて、排出されるガソリン蒸気のガソリン濃度を更に低減するようにしたものである。これにより、より安全なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。
[実施の形態11]
図20はこの発明の実施の形態11に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、ガス循環用ブロア4またはポンプ8の稼動時間の積算値を算出しておき、その値が設定値に達し、次にポンプ8が停止した場合に吸脱着塔2,3の切り替えを行う場合について示したが、本実施の形態においては、排出管12aにガソリン濃度センサ212を設け、そのガソリン濃度センサ212からの出力値が設定値に達し、次にポンプ8が停止した場合に吸脱着塔2,3を切り替えるようにしたものである。これにより、より安全なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。なお、ガソリン濃度センサ212としては、半導体素子にガソリン成分を吸着させ、半導体素子の抵抗を測定する半導体式や、非分散赤外線吸収法を用いて約3.3μmの波長の赤外線の吸収量を測定する赤外線吸収式があげられる。
このように、排出管12aにガソリン濃度センサ212を設けることにより、ガソリン濃度が1vol%以下の清浄空気を常に排出でき、安全なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。また、このガソリン濃度センサ212による吸脱着塔2,3の切り替えと、実施の形態1で説明したタイマーによる吸脱着塔2,3の切り替えを併用することにより、より安全なガス状炭化水素の処理・回収装置にすることができる。すなわち、ガソリン濃度センサ212で切り替えを行うことを主体に制御し、ガス循環用ブロア4の運転積算時間をモニタリングしておき、所定の設定値に達しても切り替わらない場合は、ガソリン濃度センサ212を異常と判断して切り替えを行うようにしてもよい。あるいは、ポンプ8の運転積算時間で切り替えを行うことを主体に制御し、ガソリン濃度センサ212で排出ガス中のガソリン濃度をモニタリングしておき、所定のガソリン濃度に達しても切り替わらない場合は、吸着剤を性能異常と判断して切り替えを行うようにしてもよい。
[実施の形態12]
図21はこの発明の実施の形態12に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、熱交換器203を備えた温度媒体槽204に蓄えられた温度媒体を、冷凍機201から熱交換器203に冷媒を流すことによって冷却し、冷却した温度媒体を液体循環ポンプ202によって、吸脱着塔2,3に供給する場合について示したが、本実施の形態は、液体循環ポンプ202の温度媒体吐出側に熱電対などのサーミスタセンサからなる温度計213を設け、その温度計213によって冷凍機203の運転を制御するようにしたものである。これにより、吸脱着塔2,3の温度をより正確にコントロールでき、吸脱着塔2,3から排出されるガソリン蒸気量を安定化することができる。故に、より安全なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。
なお、液体循環ポンプ202の温度媒体吐出側に温度計213を設けた場合、温度計213は防爆構造とする必要がある。したがって、温度媒体が流れる配管をエアーギャップ301よりも上部まで延ばし、そのエアーギャップ301よりも上の部位に温度計213を設けるようにしてもよい。これにより、温度計213は防爆構造をとする必要がなくなり、装置全体のコストを安くできる効果がある。
また、上述した温度計213は熱電対などのサーミスタセンサである場合について記載したが、温度計213にベローズセンサを用いるようにしてもよい(図示せず)。通常、ベローズセンサは、温度を感知する感温筒の内部に液体または気体が封入されており、感温筒で検出した温度による体膨張によって伸び縮みするべローズ(ちょうちん形の容器)及びベローズが伸びることにより接触するマイクロスイッチからなっている。このベローズセンサであれば、感温筒部のみをエアーギャップ301より下部の可燃性蒸気滞留場所に設置し、ベローズおよびマイクロスイッチを非防爆領域に設置できるので、温度計213全体を防爆構造にする必要がなくなり、設置全体のコストを安くできる効果がある。
さらに、図示していないが、吸脱着塔2,3に供給される温度媒体と吸脱着塔2,3から排出される温度媒体を温度計213でモニタリングし、その温度差によって吸脱着塔2,3内の異常を検知するような制御を実施してもよい。これにより、より安全な回収装置を提供できる。
[実施の形態13]
図22はこの発明の実施の形態13に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、給油信号として給油ノズル1の開閉動作に応じて、給油開始および停止信号をもらうケースについて示したが、本実施の形態は、圧力調整弁214とフィルタ215を給油ノズル1とポンプ8の間に設け、ガス循環用ブロア4とポンプ8を同時に運転した場合にポンプ8に所定流量のガスが流れるようにしておき、給油ノズル1の給油機からの取り外し動作に応じて、給油開始および停止信号をもらうようにしたものである。
これにより、給油ノズル1からガソリン蒸気が吸い込まれない状態でもガス循環用ブロア4とポンプ8を同時に運転できるようになり、給油ノズル1の開閉を断続的に実施して給油を行う場合にも簡単に対応できるようになる。なお、給油機から給油ノズル1が離れて給油されない状態でも、本ガス状炭化水素の処理・回収装置が稼動することになり、ガソリン蒸気を吸い込まない状態で回収装置が稼動するので、省エネルギーの観点から問題がある。したがって、このような状態が一定時間続くと、回収装置が停止するような制御機構を搭載しておく必要がある。
以上のように、圧力調整弁214とフィルタ215を給油ノズル1とポンプ8の間に設け、給油ノズル1の給油機からの取り外し動作に応じて、給油開始および停止信号をもらうようにすることにより、ガス状炭化水素の処理・回収装置の運転動作を簡素化することができ、制御機構を低コスト化することができる。
[実施の形態14]
図23および図24はこの発明の実施の形態14に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、ガソリン蒸気の脱着時にマスフローコントローラB13a,B13bで脱着塔3に供給するパージガス量を制御する場合について示したが、本実施の形態は、図23に示すように、一定のガス流量しか流れない定流量弁B101a,B101bとバルブB102a,B102bを設けて設定流量が流れるようにしたものである。また、図24に示すように、脱着塔3内の圧力が設定圧力になるような定圧弁B103a,B103bとバルブB102a,B102bを設けて、脱着時に脱着塔3内の圧力を一定になるようにしてもよい。
以上のように、バルブB102a,B102bと、定流量弁B101a,B101bまたは定圧弁B103a,B103bを組み合わせて使用することにより、高価なマスフローコントローラB13a,B13bを使用することがなくなり、安価なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。
[実施の形態15]
図25および図26はこの発明の実施の形態15に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態14では、ガソリン蒸気の脱着時にバルブB102a,B102bと、定流量弁B101a,B101bまたは定圧弁B103a,B103bを組み合わせて使用して脱着塔3に供給するパージガス量を制御する場合について示したが、本実施の形態は、図25に示すように、ガソリン蒸気配管を変更することにより、バルブB102a,B102b二台と定流量弁B101一台で脱着塔3に設定流量が流れるようにしたものである。なお、図26に示すように、ガソリン蒸気配管を変更することにより、バルブB102a,B102b二台と定圧弁B103一台を用いて、脱着時に脱着塔3内の圧力を一定になるようにしてもよい。
以上のように、ガソリン蒸気配管を変更し、バルブB102a,B102bと、定流量弁B101または定圧弁B103を組み合わせて使用することにより、定流量弁B101または定圧弁B103の使用量が低減され、システムの低コスト化を図ることができ、安価なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。
[実施の形態16]
図27はこの発明の実施の形態16に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、吸脱着塔2,3の温度制御を温度制御された温度媒体を液体循環ポンプ202によって吸脱着塔2,3に供給することにより実施する場合について示したが、本実施の形態においては、吸脱着塔2,3内に吸着剤の温度を測定する温度センサ216を設けて、吸着剤が設定温度になるように液体循環ポンプ202の運転を制御するようにしたものである。これにより、液体循環ポンプ202で消費するエネルギーを低減することができ、ランニングコストが小さいガス状炭化水素の処理・回収装置を提供できる。なお、温度センサ216の据え付け位置としては、吸脱着塔2,3のガソリン蒸気の供給側に備える方がよい。この位置では、吸着剤へのガソリン蒸気の吸脱着が最も激しいので、吸着剤の温度変化が大きくなり、温度変化に応じた温度制御をすみやかに行うことができる。
また、温度センサ216を設けて吸脱着塔2,3の温度変化をモニタリングすることにより、吸脱着操作が安定的に実施されているかを確認することができ、ガス状炭化水素の処理・回収装置の安全性を高めることができる。
以上のように、吸脱着塔2,3内の吸着剤の温度を測定する温度センサ216を設けることにより、ランニングコストを低減できると共に、より安全な運転を実現することができる。
[実施の形態17]
図28はこの発明の実施の形態17に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、ガス循環用ブロア4とポンプ8を同時に運転して、吸着塔2で加圧してガソリン蒸気を吸着し、脱着塔3で減圧してガソリン蒸気を脱着する場合について示したが、本実施の形態においては、ポンプ8の吐出側と、ガス循環用ブロア4の吸引側にそれぞれ圧力センサ217を設けたものである。これにより、ポンプ8の吐出側の圧力とガス循環用ブロア4の吸引側の圧力をモニタリングでき、ガス循環用ブロア4とポンプ8が正常に動作しているかを確認することができる。
このように、ポンプ8の吐出側と、ガス循環用ブロア4の吸引側にそれぞれ圧力センサ217を設けることにより、ガソリン蒸気流通ラインの圧力を常に監視することができ、安全なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供できる。
上記の説明では、ポンプ8の吐出側と、ガス循環用ブロア4の吸引側にそれぞれ圧力センサ217を設けた場合について示したが、図29に示すように、圧力センサ217を吸脱着塔2,3のそれぞれに装着するようにしてもよい。これにより、吸脱着塔2,3内の圧力が加圧または減圧になることをモニタリングでき、ガス循環用ブロア4とポンプ8が正常に動作しているかを確認できる。なお、この場合、バルブB11a,B11b、B12a,B12b、B14a,B14b、マスフローコントローラB13a,B13bが正常に動作しているかについても確認できる。
以上のように、圧力センサ217を吸脱着塔2,3のそれぞれに設けることにより、吸脱着塔2,3内の圧力を常に監視することができ、より安全なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供できる。
[実施の形態18]
図30はこの発明の実施の形態18に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、ポンプ8を介して給油ノズル1から吸入したガソリン蒸気を直接凝縮装置6に供給する場合について示したが、本実施の形態は、ポンプ8の吐出側でガスラインを分岐して、凝縮装置6を通過しないようなガスライン218を設け、それぞれのラインにバルブB104およびB105を設けたものである。これにより、凝縮装置6の設定温度よりも低い温度のガソリン蒸気がポンプ8から供給されてくる場合においても、凝縮装置6内でガソリン蒸気中に含まれる水分が結氷して、配管が詰まることを未然に防止でき、ガソリン蒸気の回収を安定的に行うことができる。なお、温度の測定部位としては、ガソリン蒸気流通ラインと外気が考えられる。
この場合、ポンプ8を通過したガソリン蒸気の温度をモニタリングしておき、その温度でバルブB104およびB105を操作するようにしてもよいし、外気の温度をモニタリングしておき、その温度でバルブB104およびB105を操作するようにしてもよい。しかし、ガソリン蒸気を給油ノズル1から吸引する際に外気も取り込むことから、ガソリン蒸気含有空気の温度は外気温度に追随するため、外気温度で制御しても十分な効果を得ることができる。また、外気温度は急速な変化が無いため、バルブB104およびB105を安定的に操作することができ、システム的にも制御しやすくなる。
このように、ポンプ8の吐出側でガスラインを分岐して、凝縮装置6を通過しないようなガスライン218を設け、それぞれのラインにバルブB104およびB105を設けることにより、凝縮装置6で配管が詰まることを未然に防止でき、安全なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。
[実施の形態19]
図31はこの発明の実施の形態19に係る吸脱着塔の構造を示す説明図である。
実施の形態7では、吸脱着塔2,3の外部構造を円筒構造とし、内部にフィンチューブ熱交換器22を配置し、アルミフィンの間にシリカゲル21又は合成ゼオライトの単独又はこれらの混合物を詰め込む場合について示したが、本実施の形態においては、複数の円筒管31を並列に配置し、その円筒管31内にシリカゲル21又は合成ゼオライトの単独又はこれらの混合物を詰め込み、円筒管31の周囲に温度媒体が流れるような構成にしたものである。これにより、円筒管31内のシリカゲル21又は合成ゼオライトの単独又はこれらの混合物を均一に冷却することができ、安定的にガソリン蒸気を吸着除去できる。
この場合、図32に示すように、吸脱着塔2,3の断面を複数の六角形32で分割し、その六角形32に内接するように円筒管31を設け、吸着塔2,3内に規則正しく円筒管31を配置することにより、吸脱着塔2,3に効率よくシリカゲル21又は合成ゼオライトの単独又はこれらの混合物を充填でき、かつ、全ての円筒管31において、シリカゲル21又は合成ゼオライトの単独又はこれらの混合物を均一に冷却することができる。また、図示していないが、円筒管31の外部に邪魔板を設けるようにして、下部から吸脱着塔2,3に供給された温度媒体がショートパスして流れることを防ぐようにしてもよい。
以上のように、吸脱着塔2,3内に複数の円筒管31を挿入するようにし、その円筒管31の外壁に温度媒体が流れるような構造にすることにより、吸着剤をより均一的に冷却することができ、ガソリン除去性能が安定したガス状炭化水素の処理・回収装置を提供できる。
[実施の形態20]
図33はこの発明の実施の形態20に係るガス状炭化水素の処理・回収装置の外観図である。このように、棚33を設置できるように、配管およびバルブの位置を変更するようにしてもよい。これにより、ガソリンスタンドに設置されているサービス備品棚を設置する必要がなくなり、サービス備品棚を置いているスペースに本回収装置を置くようにできることから、ガソリンスタンドを省スペース化することができる。
以上のように、配管およびバルブ位置を変えて、棚33が設置できるようにすることにより、サービス部品棚を無くして、そのスペースにガス状炭化水素の処理・回収装置を設置できるようになり、ガソリンスタンドを空きスペースを確保できる。
[実施の形態21]
図34はこの発明の実施の形態21に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態1では、吸脱着塔2,3を二塔備え、その二塔の吸脱着塔2,3を吸着塔2と脱着塔3といったように別々の機能で動作させ、その動作を交互に切り替えて吸脱着操作を行う場合について示したが、本実施の形態においては、吸脱着塔2を一塔だけ設けるようにしたものである。219は吸脱着塔2に乾燥空気を供給するための乾燥空気生成機、220は脱着したガソリン蒸気を一時的に貯留するガス貯留槽、B106、B107、B108はバルブである。
次に、ガソリン蒸気の吸着動作について説明する。ガソリンスタンドで給油を開始すると、バルブB1,B11,B12,B106,B108が開き、ポンプ8およびガス循環用ブロア4が稼動し、給油ノズル1から漏れ出したガソリン蒸気(常温で約40vol%)を吸い込んで、例えば、0.3MPa程度に加圧して凝縮装置6に送気される。この際、温度媒体槽204内に備えられた凝縮装置6は、冷凍機201から冷媒が温度媒体槽204内の熱交換器203に供給されると、温度媒体を介して間接的に0℃から5℃程度に保たれており、ガソリンおよびガス中に含まれた水分が一部凝縮し、気液分離器9を介して気体(ガソリン蒸気)と液体(ガソリン)に分離される。液体は凝縮装置6の下側に溜まり、液化ガソリン回収器5に液体として回収され、気体は凝縮装置6から排出される。この際、ガス循環用ブロア4も稼動しており、バルブB108を介して、ガス貯留槽220からガソリン蒸気が吸引され、ガス貯留槽220内の圧力は低下する。ガス貯留槽220の圧力が所定値に達すると、バルブB108が閉じ、ガス循環用ブロア4は停止する。一方、凝縮装置6で処理できなかった10vol%程度のガソリン蒸気は吸脱着塔2に送気されて処理され、吸脱着塔においてガソリン蒸気は清浄空気となって圧力コントローラ120を介して大気に放出される。
次に脱着動作について説明する。吸脱着塔2で任意の時間吸着処理した後、ポンプ8が停止し、バルブB1,B11,B12,B106,B108が閉じ、脱着が開始される。その後、バルブB14,B107が開き、ガス循環用ブロア4が稼動し、吸脱着塔2からガソリン蒸気が吸引脱着される。吸脱着塔2から排出されたガソリン蒸気はガス循環用ブロア4によってガス貯留槽220に供給される。吸脱着塔2内の圧力が所定値になると、乾燥空気生成機219が稼動し、一定流量で乾燥空気が吸脱着塔に供給され、乾燥空気のガスパージによりガソリン蒸気の脱着が促進される。その後、ガス貯留槽220の圧力が所定値に達すると、バルブB14およびB108が閉じ、ガス循環用ブロア4および乾燥空気生成機219が停止する。このようにして、ガソリンの脱着が終了した時点で、再び吸着塔として用い、この動作を時間的に繰り返して使用する。このように動作することにより、ガソリン蒸気中のガソリンを液化回収できると共に、ガソリン濃度が1vol%以下の清浄空気を常時排出することができる。但し、吸脱着操作を時間的に繰り返す必要があるため、連続的にガソリン蒸気を処理する場合に対しては適用が難しい。
上記の説明では、乾燥空気生成機219を備えた場合について述べたが、ガス循環用ブロア4の能力を高くすることにより、乾燥空気生成機219を無くしても、ガソリン蒸気中のガソリンを液化回収できると共に、ガソリン濃度が1vol%以下の清浄空気を常時排出することができる。
以上のように、本実施の形態においては、吸脱着塔2を一塔とし、ガス貯留槽220を設けることにより、吸脱着塔2を切り替える制御が必要なくなると共に、吸脱着塔2のコストを低減でき、制御が単純で安価なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。
[実施の形態22]
図35はこの発明の実施の形態22に係るガス状炭化水素の処理・回収装置のフローを示す全体構成図である。
実施の形態7では、ガソリン濃度が1vol%以下の清浄空気が圧力コントローラ120を介して大気に排出される場合について示したが、本実施の形態は、圧力コントローラ120の下流側にフレームアレスタ221を設けておき、外部から火気が来た場合でも内部に火気が及ぶことが無いようにしてたものである。これにより、外部の火気を内部に侵入することを防止でき、より安全なガス状炭化水素の処理・回収装置を提供することができる。なお、図示していないが、液化ガソリン回収器5から排出される液化ガソリンが流れる流路にもフレームアレスタ221を設けるようにしても同様の効果が得られる。
1 排気ガス発生源(給油ノズル)、2,3 吸脱着塔、4 ガス循環用ブロア(ポンプ)、5 液化ガソリン回収器、6 凝縮装置、7 第二の凝縮装置、8 ポンプ、9 気液分離器、11 排気ガス送気管、12a,12b 排出管、13a,13b パージガス送気管、14a,14b 脱着後のパージガス送気管、21 シリカゲル、22 フィンチューブ熱交換器、41 圧力計、120a,120b 圧力コントローラ、201 冷凍機、202 液体循環ポンプ、203 熱交換器、204 温度媒体槽、205 補助温度媒体槽、211 エゼクタ、212 ガソリン濃度センサ、213 温度計、214 圧力調整弁、215 フィルタ、216 温度センサ、217 圧力センサ、218 ガスライン、219 乾燥空気生成機、220 ガス貯留槽、221 フレームアレスタ、301 エアーギャップ、B13a,B13b マスフローコントローラ、B101a,B101b 定流量弁、B103a,B103b 定圧弁、R1,R2,R3a,R4a,R3b,R4b 冷媒出入口、R5,R6 ホットガス出入口、H1,H2 ヒータ。

Claims (6)

  1. ガソリン給油時に漏れ出すガソリン蒸気を処理するためのガス状炭化水素の処理・回収装置において、
    水分およびガソリン蒸気を冷却する凝縮装置と、前記凝縮装置の後段のガス下流側に配置され、前記凝縮装置の後段におけるガソリン蒸気を吸脱着する吸着剤が充填された吸脱着装置と、前記吸着剤に吸着されたガソリン蒸気を脱着するためのパージガスを前記吸脱着装置に送気するガス循環用ブロアと、前記吸脱着装置内に流入する前記パージガスの流量を調節する定流量弁と、を備えた
    ことを特徴とするガス状炭化水素の処理・回収装置。
  2. 前記吸脱着装置の内部圧力を計測する圧力計を備え、
    前記圧力計で計測された前記吸脱着装置の内部圧力が設定値に到達した際に前記吸脱着装置へのパージガスの導入を開始する
    ことを特徴とする請求項1に記載のガス状炭化水素の処理・回収装置。
  3. 前記パージガスとして前記吸脱着塔から排出したガスの一部を使用している
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス状炭化水素の処理・回収装置。
  4. 前記吸脱着装置に送気するパージガスの温度を、前記吸脱着装置での吸着時の冷却温度とほぼ同じ温度にしている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス状炭化水素の処理・回収装置。
  5. 前記吸脱着装置の内部圧力の設定値を15〜40kPaにしている
    ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のガス状炭化水素の処理・回収装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかの装置によりガス状炭化水素を処理・回収する
    ことを特徴とするガス状炭化水素の処理・回収方法。
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