JP5044764B2 - ガス状炭化水素回収装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、大気放出ガス中に含まれるガス状炭化水素の回収装置及び方法に関し、特にガソリンスタンド等の給油施設において発生するガソリン等の揮発性に富む可燃性のガソリン蒸気を処理するためのガス状炭化水素の回収装置及びその方法に関するものである。
凝縮装置及び吸脱着装置を用いた従来のガス状炭化水素の除去方法に、排気ガス発生源から発生したガス(約40vol%のガソリン蒸気を含む排気ガス)をポンプにより、凝縮装置に供給してガス状炭化水素を冷却し、その後、凝縮工程を終えた処理済み排気ガスを吸脱着装置に供給することによりガス状炭化水素を吸着除去し、1vol%以下のガス状炭化水素を含む清浄空気(クリーンなガス)として大気中に放出するようにしたものがある。この方法の場合、吸脱着装置は、上記の吸着工程と下記の脱着工程とを交互に切り換えられながら運転を実行するが、この切り換えをガス状炭化水素の供給ガス流量の積算量で決定するようになっている。
一方、吸着工程を終えた後の吸脱着装置には、パージ用ガス送気管を介してパージ用ガスを送気し、真空ポンプで吸引することにより吸着したガス状炭化水素を脱着する。パージ用ガスとして吸着運転時に吸脱着装置の頂部から排出されるガスの一部を使用し、真空ポンプを約20〜30Pa(パスカル)で運転させる。脱着後のガス状炭化水素含有空気は、ポンプの上流側に送気され、排気ガス発生源から発生したガスと混合された後に、凝縮装置及び吸脱着装置に供給される。凝縮装置は冷凍機によって冷却された熱媒体によって間接的に冷却されている。また、その熱媒体は吸脱着装置内の吸着剤層を冷却するために液体ポンプによって吸脱着装置にも供給されている。
このような構成とすることにより、ガス状炭化水素は、ほぼ全量液体ガソリンとして回収できることになる。したがって、このような方法では、吸脱着装置から排出するガス状炭化水素の濃度が十分低いものとなり、大気汚染を引き起こさないレベルにすることができるとしている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2006−198604号公報(第9〜16頁、第10図)
しかしながら、特許文献1に記載のような凝縮装置及び吸脱着装置を用いてガス状炭化水素を回収する方法では、処理するガス流量が大きくなると、凝縮装置及び吸脱着装置での圧力損失が大きくなり、それに伴いポンプ容量も大きくしなければならなかった。また、発生する騒音も大きくなってしまい、処理するガス流量が大きい場合の方法としては現実的な方法ではなかった。
また、処理するガス流量が増大すると、凝縮装置で冷却して液化した炭化水素とガス状炭化水素の気液分離器での分離がうまくできず、ミスト状の炭化水素が吸脱着装置に供給されてしまい、吸着剤の吸着能力低下が起きやすくなる等の課題も生じる。そのようなことを回避するために、吸脱着装置を大きくして、大量の吸着剤を使用することも考えられるが、吸脱着装置の圧力損失が大きくなり、ポンプ容量を更に大きくしなければならないことになる。
さらに、給油施設の地下貯蔵タンクから漏れ出すガス状炭化水素の回収に用いる場合は、地下貯蔵タンクに給油する時間帯に大量に発生するガス状炭化水素に対応する必要がある。そのため、装置能力を発生するガス状炭化水素のピークに応じて設計しなければならず、装置を必要以上に大きくする必要が生じる。さらに、地下貯蔵タンクに給油する時間帯のみに稼働することとなり、装置稼働率が極めて悪くなってしまっていた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、間欠的に発生するガス状炭化水素を含む空気流から高効率でガス状炭化水素の除去を可能とし、装置稼働率を向上させたガス状炭化水素の回収装置及び方法を提供することを目的としたものである。
本発明に係るガス状炭化水素回収装置は、ガソリン貯蔵タンクからガス状炭化水素を吸引するポンプと、前記ポンプによって吸引されたガス状炭化水素を冷却して凝縮する凝縮装置と、前記凝縮装置で凝縮された液状炭化水素と前記凝縮装置で凝縮できなかったガス状炭化水素とを分離する気液分離器と、前記気液分離器から流出したガス状炭化水素を吸脱着する複数の吸脱着塔と、を有し、ガス状炭化水素の吸着時には、前記複数の吸脱着塔の全てに前記気液分離器から流出したガス状炭化水素を前記ポンプにより流入させるようにし、ガス状炭化水素の脱着時には、前記複数の吸脱着塔のうち少なくとも1つの吸脱着塔が前記ポンプの上流側となるように接続し、前記ポンプにより、該ポンプの上流側に接続された吸脱着塔からガス状炭化水素を吸引することを特徴とする。
本発明に係るガス状炭化水素回収方法は、ガソリン貯蔵タンクからガス状炭化水素を吸引し、吸引したガス状炭化水素を冷却して凝縮し、凝縮しきれなかったガス状炭化水素を複数の吸脱着塔の全部に分岐して流入させ、それぞれの吸脱着塔でガス状炭化水素を吸着する工程と、前記ガス状炭化水素の吸引を停止する工程と、ガス状炭化水素の吸着に供された2つの吸脱着塔のうち一方の吸脱着塔に吸着されているガス状炭化水素を吸引脱着し、そのガス状炭化水素を液化した後に残ったガス状炭化水素を他方の吸脱着塔で吸着する第1再生工程と、前記他方の吸脱着塔が上流側となるように接続して前記他方の吸脱着塔に吸着されているガス状炭化水素を吸引脱着し、そのガス状炭化水素を液化した後に残ったガス状炭化水素を前記一方の吸脱着塔で吸着する第2再生工程と、前記第1再生工程と前記第2再生工程とを所定回数繰り返す工程と、を含んでいることを特徴とする。
本発明に係るガス状炭化水素回収装置及び方法によれば、処理ガス流量が増大しても複数の吸脱着塔でガス状炭化水素を吸着することができ、排気ガスを極めて清浄(ガソリン濃度1vol%以下のクリーン)にすることが可能となる。
本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置の回路構成を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置に搭載した第1熱交換器の構成を示した概略構成図である。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置に搭載した気液分離器の内部構成を示した概略図である。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置に搭載した吸脱着塔のガス状炭化水素の出口濃度にミスト量が与える影響を調べた結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置の再生工程におけるガス状炭化水素の流れを示す回路図である。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置の再生工程における処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置の再生工程におけるガス状炭化水素供給ポンプの出口濃度、気液分離器の出口濃度、及び、吸脱着塔の出口濃度と時間変化との関係を示したグラフである。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置の再生工程における切り換え時間と吸脱着塔の出口濃度との関係を示したグラフである。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置の再生工程におけるガス状炭化水素供給ポンプの出口濃度及び気液分離器の出口濃度と時間変化との関係を示したグラフである。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置のガス流量とガス状炭化水素供給ポンプの入口圧力及び出口圧力との関係を示したグラフである。 本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置のガス流量とガス温度との関係を示したグラフである。 本発明の実施の形態2に係るガス状炭化水素回収装置の回路構成を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態2に係るガス状炭化水素回収装置の再生工程における処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係るガス状炭化水素回収装置の再生工程における処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態4に係るガス状炭化水素回収装置に搭載する第1熱交換器を説明するための概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100の回路構成を示す概略構成図である。図1に基づいて、実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100の回路構成及びガス状炭化水素のフローについて説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1では、ガス状炭化水素回収装置100が実行する吸着工程時におけるガス状炭化水素のフローを示している。
ガス状炭化水素回収装置100は、ガソリンスタンド等のガソリン給油施設に設置され、設置されたガソリン給油施設で大気中に放出されるガス状炭化水素を吸着(回収)し、脱着(再利用)するものである。このガス状炭化水素回収装置100は、1日に数回程度の作業において発生するガス状炭化水素(ガソリンを運搬するタンクローリー等からガソリン貯蔵タンク1にガソリンを供給する際にガソリン貯蔵タンク1から押し出されるガス状炭化水素)を処理・回収するために利用される。
このガス状炭化水素回収装置100は、ガソリン貯蔵タンク1と、給油パイプ2と、三方切換弁3(三方切換弁3a、三方切換弁3b)と、圧力調整弁4と、ガス状炭化水素供給ポンプ5と、第1熱交換器6と、熱媒体貯留槽7と、気液分離器8と、液状炭化水素貯留槽9と、液状炭化水素用電磁弁10と、液体循環ポンプ11と、冷凍機12と、第2熱交換器13と、吸脱着塔14(吸脱着塔14a、吸脱着塔14b)と、圧力コントローラー15と、流路切替弁である4組の二方弁(二方弁16aと二方弁17a、二方弁16bと二方弁17b、二方弁18aと二方弁19a、二方弁18bと二方弁19b)と、流量コントローラー20と、制御器50と、を有している。
ガソリン貯蔵タンク1は、給油施設の地下等に設置され、タンクローリー等から供給されるガソリンを貯蔵するものである。給油パイプ2は、ガソリン貯蔵タンク1にタンクローリー等からガソリンが供給される際に使用されるものである。三方切換弁3は、配管を介してガソリン貯蔵タンク1に接続されており、ガソリン貯蔵タンク1から吸引したガス状炭化水素含有空気の流れ方向を切り換えるものである。三方切換弁3aは、三方のうちの一つがガソリン貯蔵タンク1に、三方のうちの一つが三方切換弁3bに、三方のうちの一つがガス状炭化水素が大気に排出される通路に、それぞれ接続されている。三方切換弁3bは、三方のうちの一つが三方切換弁3aに、三方のうちの一つがガス状炭化水素供給ポンプ5に、三方のうちの一つが吸脱着塔14に、それぞれ接続されている。
圧力調整弁4は、三方切換弁3aによって切り換えられたガス状炭化水素が大気に排出される通路に備えられ、大気に排出するガス状炭化水素の圧力を調整するものである。ガス状炭化水素供給ポンプ5は、ガソリン貯蔵タンク1で発生したガス状炭化水素を装置内に吸引するものである。第1熱交換器6は、ガス状炭化水素供給ポンプ5の下流側に設置され、吸引したガス状炭化水素を冷却するものである。この第1熱交換器6は、ガス状炭化水素の流路を複数有している。熱媒体貯留槽7は、内部に第1熱交換器6が収容され、この第1熱交換器6を冷却する熱媒体(たとえば、水やブライン等)を貯留するものである。
気液分離器8は、第1熱交換器6の下流側に設置され、第1熱交換器6で冷却凝縮された液状炭化水素と残留しているガス状炭化水素とを分離するものである。液状炭化水素貯留槽9は、気液分離器8によって分離された液状炭化水素を一時的に貯留するものである。液状炭化水素用電磁弁10は、気液分離器8から液状炭化水素貯留槽9に流れる液状炭化水素の流量を制御するものである。液体循環ポンプ11は、熱媒体貯留槽7に貯留された熱媒体を熱媒体貯留槽7から吸脱着塔14に送り出すものである。冷凍機12は、第2熱交換器13を介して熱媒体貯留槽7に貯留されている熱媒体を冷却するものである。
第2熱交換器13は、第1熱交換器6とともに熱媒体貯留槽7に収容されており、冷凍機12に接続され、熱媒体貯留槽7に貯留されている熱媒体を冷却するものである。吸脱着塔14は、気液分離器8で分離されたガス状炭化水素含有空気からガス状炭化水素を吸着除去し、そのガス状炭化水素が脱着再生されるものである。つまり、吸脱着塔14は、ガス状炭化水素を吸着する吸着塔としての機能と、ガス状炭化水素が脱着される脱着塔としての機能と、を有しているのである。なお、吸脱着塔14には、ガス状炭化水素を吸着除去する吸着剤(たとえば、シリカゲルやゼオライト、活性炭など)が充填されている。圧力コントローラー15は、吸脱着塔14内の圧力を所定の圧力に維持するものである。
二方弁16a及び二方弁17aは、ガス状炭化水素の流れにおける気液分離器8と吸脱着塔14との間に設置され、開閉が制御されることで吸着塔として機能する吸脱着塔14にガス状炭化水素を導通させるものである。図1では、二方弁16a及び二方弁17aを黒塗りしてガス状炭化水素を導通可能に制御されている状態を示している。二方弁16b及び二方弁17bは、三方切換弁3bと吸脱着塔14とが接続されている部分に設置され、開閉が制御されることで脱着塔として機能する吸脱着塔14から三方切換弁3bに脱着された液状炭化水素を導通させるものである。図1では、二方弁16b及び二方弁17bを白抜きしてガス状炭化水素を導通不能に制御されている状態を示している。
二方弁18a及び二方弁19aは、吸脱着塔14に接続されているガス状炭化水素含有空気の排出通路に設置され、開閉が制御されることでガス(清浄空気)を外気に排出するものである。図1では、二方弁18a及び二方弁19aを黒塗りしてガスを導通可能に制御されている状態を示している。二方弁18b及び二方弁19bは、吸脱着塔14に接続されている脱着用空気の吸気通路に設置され、開閉が制御されることで脱着塔として機能している吸脱着塔14に脱着空気を導くものである。図1では、二方弁18b及び二方弁19bを白抜きして脱着空気を導通不能に制御されている状態を示している。流量コントローラー20は、吸脱着塔14に供給される脱着空気の流量を制御するものである。
制御装置50は、二方弁(二方弁16a、二方弁16b、二方弁17a、二方弁17b、二方弁18a、二方弁18b、二方弁19a、二方弁19b)の開閉、三方切換弁3を介した流路の切り換え、ガス状炭化水素供給ポンプ5の駆動/停止、液体循環ポンプ11の駆動/停止、圧力コントローラー15の調整、流量コントローラー20の開度等を制御するものである。この制御装置50は、たとえばマイクロコンピュータ等で構成するとよい。なお、以下に示すフローチャートの処理の流れは制御装置50により制御されて実行される。
ガス状炭化水素回収装置100の運転動作について説明する。
ガス状炭化水素回収装置100の運転は、通常、吸着(回収)工程及び再生(脱着)工程の2つのステップで行なわれる。そこで、吸着工程について説明してから、再生工程について説明する。通常、ガス状炭化水素回収装置100では、三方切換弁3aが大気排出側に流路が切り換えられ、ガソリン貯蔵タンク1の圧力が圧力調整弁4によって所定の圧力よりも高くならないように制御されている。なお、本実施の形態1では、ガス状炭化水素回収装置100の基本となる2塔の吸脱着塔14を備えた場合の動作について説明する。
[吸着工程]
タンクローリー等から給油パイプ2を介してガソリン貯蔵タンク1にガソリンが供給される際には、三方切換弁3aが回収装置側(三方切換弁3b側)に切り換えられるとともに、三方切換弁3bが切り換わり、ガソリン貯蔵タンク1とガス状炭化水素供給ポンプ5とがつながる。このとき、ガソリン貯蔵タンク1へのガソリンの供給が開始されると、ガソリン貯蔵タンク1に充満しているガス状炭化水素がガソリン貯蔵タンク1から排出される。このときのガス状炭化水素の炭化水素濃度は、常温で30〜40vol%程度である。
ガソリン貯蔵タンク1から排出されたガス状炭化水素は空気とともに三方切換弁3a及び3bを介してガス状炭化水素供給ポンプ5によって第1熱交換器6に送気される。第1熱交換器6は、冷凍機12及び第2熱交換器13によって冷却された熱媒体により冷却されている。通常、第1熱交換器6の内部は0℃から5℃程度に保たれており、ガス状炭化水素の一部及びガス中に含まれた水分が凝縮する。したがって、第1熱交換器6に流入したガス状炭化水素含有空気は、液状炭化水素、ガス状炭化水素、水、空気が混合された状態の混合物体として第1熱交換器6から流出する。この混合物体は、気液分離器8に流入する。
気液分離器8に流入した混合物体は、気液分離器8によって気体(ガス状炭化水素と空気)と液体(液状炭化水素と水)とに分離される。分離された液体は、気液分離器8の下側に溜まり、液状炭化水素用電磁弁10を介して液状炭化水素貯留槽9に一時的に貯留される。このガス状炭化水素回収装置100では、図1に示すように、第1熱交換器6の上側からガス状炭化水素を流通するようにしている。こうすることによって、液状炭化水素及び水分が重力とガス流とにより効率的に下方に流されることになり、これらの液化物の回収が容易になる。
ところで、第1熱交換器6を圧力0.5MPa(G)、冷却温度5℃の条件で運転させたとすると、ガス状炭化水素がガソリン蒸気である場合、第1熱交換器6ではガソリン蒸気濃度が10vol%程度になる。ガソリン蒸気には、通常ブタンやイソブタン等が含まれている。第1熱交換器6を圧力0.5MPa(G)、温度5℃で運転させた際のこれらの飽和濃度を調べたところ、ブタンの飽和蒸気濃度は約20vol%、イソブタンの飽和蒸気濃度は約30vol%であった。この条件ではガソリン蒸気に含有されるブタンやイソブタンの量が減少しないかぎり、ガソリン蒸気濃度が理論的に10vol%以下になることはない。
また、温度(第1熱交換器6でのガソリン蒸気の冷却温度)を下げることにより、第1熱交換器6の出口でのガソリン蒸気濃度を低減することはできる。しかしながら、第1熱交換器6の設定温度を氷点以下にすると、ガス(ガス状炭化水素含有空気)中に含まれる水が第1熱交換器6で結氷してしまうことになる。こうなると、第1熱交換器6内部での圧力損失を増大させることになるため、第1熱交換器6の設定温度は0℃から5℃程度にすることが望ましい。
続いて、気液分離器8から排出されたガス状炭化水素は、並列となるように接続されている吸脱着塔14に送気されて吸着処理される。つまり、図1に示すように、2つの吸脱着塔14のいずれにも気液分離器8から排出されたガス状炭化水素が流入するようにしている。したがって、二方弁16a、二方弁17a、二方弁18a、二方弁19aが開放(黒塗り)、二方弁16b、二方弁17b、二方弁18b、二方弁19bが閉鎖(白塗り)、流量コントローラー20が閉鎖(白塗り)されている状態にある。なお、吸脱着塔14から排気されたガスは、圧力コントローラー15を介して大気中に放出される。
吸脱着塔14には、上述したようにガス状炭化水素を吸着する吸着剤が封入されている。ガス状炭化水素回収装置100では、ガス状炭化水素の吸着剤として主にシリカゲルを用いているものとする。特に、4〜10オングストロームの孔径をもつシリカゲル又は合成ゼオライトの単独又はこれらの混合物が吸着剤としては有効である。すなわち、このような吸着剤中をガス状炭化水素が通過することによりガス状炭化水素は吸着除去され、1vol%以下のガソリン濃度の清浄空気となって圧力コントローラー15を介して大気に放出されるようになっている。
吸脱着塔14は、ガス状炭化水素の吸脱着の役割に関係なく、液体循環ポンプ11によって供給される熱媒体により所定の温度に冷却されている。すなわち、第1熱交換器6の冷却系統は、冷凍機12及び第2熱交換器13を介して設定温度である0〜5℃に維持されるように常に運転制御されている。これは、吸脱着塔14に充填されている吸着剤は、フィンチューブ熱交換器などの熱交換器(図示せず)からの伝熱によって冷却されるため、ある程度の冷却時間が必要不可欠であり、瞬時の運転に対応できないためである。さらに、短時間に冷却できるように冷却能力が大きい冷凍機12を備えることは、設備コストに悪い影響を与え、安価な装置を提供できなくなるからである。
なお、吸脱着塔14内部の温度を低くすることにより、吸着容量を大きくし、吸着剤の使用量を低減することはできる。しかしながら、吸脱着塔14の内部温度を氷点以下にすると、吸脱着塔14内で水が結氷するために、吸着剤に氷が徐々に蓄積されて、吸着剤のガソリン吸着能力が低下するという問題が発生してしまう。したがって、吸脱着塔14の内部温度は氷点以上にする方が望ましい。以上のことから、ガス状炭化水素回収装置100では、第1熱交換器6及び吸脱着塔14の冷却系統を統一化することにより、効率よくガス状炭化水素を回収することを可能にしている。
吸脱着塔14の内部圧力は、吸着時には圧力0.5MPa(G)、脱着時には0.02MPa程度になるために、吸脱着塔14を円筒構造としている。吸脱着塔14を円筒構造にすることにより、内壁面にかかる圧力を均一化することができる。したがって、吸脱着塔14内の圧力が加圧状態や負圧状態になっても、形状変形等をすることがなく、安全性の高い吸脱着塔14を実現できる。また、吸脱着塔14の内部には、シリカゲルや合成ゼオライト等の粒状吸着剤への伝熱を考慮し、フィンチューブ熱交換器(アルミフィンで伝熱管に温度媒体を流す)を配置している。
そして、吸脱着塔14では、アルミフィンの間に吸着剤を詰め込み、上下に吸着剤流出防止ネットを設けるようにし、吸着剤が配管に流出することを防止するとともに、ガスの流れをよくしている。この場合、吸着剤へのガス状炭化水素の吸着を均一化するために、吸脱着塔14に均一にガス状炭化水素が流れるように、パンチングメタルなどで作られた整流板を設置するようにしてもよい。フィンチューブ熱交換器のフィンの向きは、ガス状炭化水素が流れる際の圧損にならないように、ガス状炭化水素の流れ方向と平行になるようにセットすることが望ましい。また、外壁近傍に充填されている吸着剤を効率よく冷却するために、フィンチューブ熱交換器と外壁との間に隙間ができないような工夫をするとよい。
この場合、ベントがある側についてはベント部分に接触するような格子状や板状の金属(伝熱特性に優れたアルミや銅が最適)を設け、ベントがない側についてはフィンチューブ熱交換器のフィンそのものの長さを長くすることにより、外壁とフィンチューブ熱交換器の間の隙間をなくすようにすることが有効である。また、外壁とフィンチューブ熱交換器の間の隙間部分をなくすように、金属棒やフィン付きパイプなどを挿入するようにしてもよい。さらに、伝熱管に入る前に熱媒体が流れる配管を分岐し、フィンチューブ熱交換器を複数のブロックに分けて、並列に熱媒体を流すようにすることが望ましい。こうすることにより、熱媒体が流れる配管の圧力損失を低減することができ、熱媒体を吸脱着塔14に供給する液体循環ポンプ11の容量を低減することができる。
さらに、吸脱着塔14では、下から上に向かってガス状炭化水素が流れるので、フィンチューブ熱交換器と下部の粒状吸着剤流出防止ネットを接するように配置することが望ましい。これにより、粒状吸着剤流出防止ネットとフィンチューブ熱交換器の間に空間、すなわち粒状吸着剤だけが充填されている空間をなくすことができ、吸着時に粒状吸着剤の冷却を十分に実施することができる。この結果、最も高い濃度のガス状炭化水素が入ってくる部分に存在するガス状炭化水素の温度が上昇するのを防止でき、安全な吸脱着塔14を提供することができる。なお、上から下にガス状炭化水素が流れる場合は、上部の粒状吸着剤流出防止ネットとフィンチューブ熱交換器を接することは言うまでもない。
第1熱交換器6を設けない場合は、吸脱着塔14に高濃度のガス状炭化水素が流れ込んでくるとともに、ガス状炭化水素中に含まれた水分が吸着剤に吸着され、ガス状炭化水素の吸着性能が落ちることになるため、吸着剤の充填量を多くしなければならない。また、吸脱着塔14の温度を氷点下に下げた場合には、吸着剤の表面に水分が結氷して、ガスが詰まるなど大きなトラブルが発生してしまう可能性がある。
そこで、本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100は、吸脱着塔14の前段に第1熱交換器及び気液分離器8を設けているため、ガス状炭化水素とともに水分も除去されるので、吸脱着塔14における水分の悪影響を未然に防ぐことができる。また、吸脱着塔14に供給されるガス状炭化水素の供給量を大幅に低減できるとともに、ミスト状炭化水素の進入を防止できるため(図3で詳細に説明する)、吸脱着塔14を小さく、安価に製作することができる。
さらに、本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100では、ガソリン貯蔵タンク1から排出した高濃度(40vol%)のガス状炭化水素を第1熱交換器6で10vol%まで低減できるため、吸脱着塔14で処理するガソリン量は全吸引量に対して1/4(=10%/40%)に低減することができる。すなわち、吸脱着塔14の前段に第1熱交換器6及び気液分離器8を設けたことにより、吸脱着塔14の容積をおよそ1/4にすることができるようにしている。
[再生工程]
吸脱着塔14の再生工程は、ガス状炭化水素の吸着時に使用した2つの吸脱着塔14(ガス状炭化水素の吸着に供されたもののうち2つの吸脱着塔14)を直列となるようにつなぎ、その2塔の間にガス状炭化水素供給ポンプ5、第1熱交換器6、気液分離器8が接続されるようにして実行する。すなわち、ガス状炭化水素供給ポンプ5を用いて一方の吸脱着塔14(たとえば吸脱着塔14b)からガスを吸引して吸着剤に吸着されているガス状炭化水素を脱着し、第1熱交換器6、気液分離器8に順に供給し、気液分離器8から排出されたガスを他方の吸脱着塔14(たとえば吸脱着塔14a)に供給するようにして、ガス状炭化水素の再生を実行するようになっている。
更に言えば、ガス状炭化水素回収装置100は、ガス状炭化水素の吸着時(吸着工程時)においては、吸脱着塔14の全部に気液分離器8から流出したガス状炭化水素を流入させるようにし、ガス状炭化水素の脱着時(再生工程時)においては、複数の吸脱着塔14のうち少なくとも1つの吸脱着塔14(たとえば、吸脱着塔14b)をガス状炭化水素供給ポンプ5の上流側に接続するようにしている。つまり、二方弁によって、ガス状炭化水素の吸着時には、吸脱着塔14の全部に気液分離器8から流出したガス状炭化水素を流入させるように流路を切り換え、ガス状炭化水素の脱着時には、吸脱着塔14のうち少なくとも1つの吸脱着塔14(たとえば、吸脱着塔14b)のガス出口をガス状炭化水素供給ポンプ5の上流側に接続するように流路を切り換えるようにしている。
所定時間運転を継続した後、二方弁の開閉を切り換えて、脱着を実行していなかった方の吸脱着塔(たとえば吸脱着塔14a)からガス状炭化水素を吸引脱着する。すなわち、ガス状炭化水素供給ポンプ5を用いて他方の吸脱着塔14(たとえば吸脱着塔14a)からガスを吸引して吸着剤に吸着されているガス状炭化水素を脱着し、第1熱交換器6、気液分離器8に順に供給し、気液分離器8から排出されたガスを一方の吸脱着塔14(たとえば吸脱着塔14b)に供給するようにして、ガス状炭化水素の再生を実行するようになっている。本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100では、このような操作を所定の回数繰り返してガス状炭化水素の再生を行うようにしている。
図2は、第1熱交換器6の構成を示した概略構成図である。図2に基づいて、ガス状炭化水素回収装置100の第1熱交換器6、第2熱交換器13、冷凍機12、及び、熱媒体貯留槽7について説明する。第1熱交換器6は、ガス状炭化水素が流れる流路を有している。第2熱交換器13は、冷凍機12から供給される冷媒が導通している。冷凍機12は、冷凍サイクルを有しており、第2熱交換器13に冷媒を供給している。熱媒体貯留槽7は、第1熱交換器6を冷却する熱媒体を貯留している。第1熱交換器6、第2熱交換器13、冷凍機12、及び、熱媒体貯留槽7で凝縮装置を構成している。
図2に示すように、第1熱交換器6は、ガス状炭化水素が流れる流路を複数有している。つまり、第1熱交換器6は、流入したガス状炭化水素の流れを分割する分岐部(ヘッダー)21と、分岐部21で分岐された複数の伝熱管が挿入されるフィンチューブ熱交換器から構成される熱交換部22と、熱交換部22から排出されたガス状炭化水素と液状炭化水素とを合流する合流部(フッター)23と、で構成されている。第1熱交換器6をこのような構成にすることにより、ガス状炭化水素を含む空気の流速を低下でき、熱交換効率を低下させずに、圧力損失を低下することができる。
なお、大流量のガス状炭化水素を含む空気を分岐せずに第1熱交換器6で冷却する場合、流速が早くなるために、熱交換部22の接触面積を増大させる必要がある。接触面積を増大させるために、伝熱管の配管長を長くする必要がある。したがって、配管長が長くなることによって、圧力損失が更に増大するといった問題が発生することになる。この問題に対処するために、第1熱交換器6では、ガス状炭化水素が流れる流路を複数に分岐することにより、相乗的に圧力損失が増大することを防止し、高効率にガス状炭化水素を液化することを可能にしている。
次に、凝縮装置を使用したことによる冷却の有効性について説明する。
通常、熱交換を行う場合、熱媒体等を使用せず、冷媒配管と被冷却物体(ガス状炭化水素)配管とを一体化し、その一体化部分を断熱する構造にするのが最も効率的である。しかしながら、水分を含む空気を冷却する場合、水分を氷結させないために冷媒の蒸発温度を氷点以上にする必要がある。この場合、熱交換効率が低下し、被冷却物体を所定温度に冷却できないといった問題が発生する。
本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100では、熱媒体を使用し、熱媒体を自然対流させることにより、効率よく冷却できるようにしたところに特徴がある。第1熱交換器6では、液状炭化水素を重力とガス流の力によって排出するため、第1熱交換器6の上部からガス状炭化水素が流入して、第1熱交換器6の下部からガス状及び液状炭化水素が流出するようになっている。よって、第1熱交換器6の上部に熱いガス状炭化水素が供給され、第1熱交換器6の上部周辺の熱媒体の温度が上昇する。これにより、第1熱交換器6の周辺では、熱媒体は下から上への流れが生じる。
一方、第2熱交換器13の周辺では、熱媒体が冷却されるため、熱媒体は上から下への流れが生じる。これにより、熱媒体貯留槽7では、第1熱交換器上部→第2熱交換器上部→第2熱交換器下部→第1熱交換器下部というような熱媒体の流れが生じ、攪拌などを行なわなくても被冷却物体(第1熱交換器6)を効率よく冷却することができる。したがって、第1熱交換器6と第2熱交換器13とは、略水平位置となるように熱媒体貯留槽7内に設置しておくことが望ましい。
また、ガス状炭化水素回収装置100では、熱媒体を液体循環ポンプ11によって吸脱着塔14に供給するため、この熱媒体の循環によって生じる流れを熱媒体貯留槽7内の自然対流による流れと同期させることにより、被処理物体の冷却をより効率よくすることができる。すなわち、一例であるが、第2熱交換器13の下部から熱媒体を引き抜き、第2熱交換器13の上部に熱媒体を戻すことにより、第1熱交換器上部→第2熱交換器上部→第2熱交換器下部→第1熱交換器下部という熱媒体の流れを妨げることなく、効率よく被処理物体を冷却することができる。
以上のことから、本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100は、凝縮装置を第1熱交換器6と、第2熱交換器13と、冷凍機12と、熱媒体貯留槽7と、で構成するとともに、熱媒体が上下方向に移動するように第1熱交換器6及び第2熱交換器13を熱媒体貯留槽7に配置することにより、熱媒体貯留槽7の内部で対流を生じさせ、被冷却物体を効率よく冷却することができるようになっている。
図3は、気液分離器8の内部構成を示した概略図である。図3に基づいて、気液分離器8の炭化水素除去性能効果について詳細に説明する。図3に示すように、気液分離器8は、ガス状炭化水素出口24、遠心分離部(気液分離部)25、気液混合物入口26、液状炭化水素貯留部27、液状炭化水素出口28、コーン状メッシュ(ミスト除去部)29、及び、断熱材30を有している。つまり、気液分離器8は、ガス状炭化水素と液化炭化水素とを分離する部位(遠心分離部25)と、ガス状炭化水素とミスト状炭化水素とを分離する部位(コーン状メッシュ構造としてコーン状メッシュ29)と、を有しているのである。
気液混合物入口26は、ガス状炭化水素(空気を含む)及び液状炭化水素の流入口となるものである。遠心分離部25は、気液混合物入口26から流入したガス状炭化水素と液状炭化水素とを遠心分離するものである。ガス状炭化水素出口24は、遠心分離部25で分離されたガスの流出口となるものである。液状炭化水素貯留部27は、遠心分離部25で分離された液体を貯留するものである。液状炭化水素出口28は、液状炭化水素貯留部27に貯留されている液体の出口となるものである。コーン状メッシュ29は、ミスト状炭化水素を効率よく除去するものである。断熱材30は、気液分離器8の内部と外部との間での熱の授受を少なくするものである。
気液混合物入口26から入ってきたガス状炭化水素及び液状炭化水素は、遠心分離部25で遠心分離され、ガスと液体が分離される。しかしながら、処理流量が多くなると、液状炭化水素の遠心分離部25の壁面への衝突速度が速くなるため、液状炭化水素からミスト状炭化水素が発生する。ミスト状炭化水素は遠心分離部25で遠心分離できないために、吸脱着塔14に供給され、吸脱着塔の吸着剤の性能低下を早めてしまうといった問題が生じる。このような問題の発生を防止するためには、ミスト状炭化水素を除去することが必要である。ミスト状炭化水素を除去するには、ミストが衝突する程度の孔径を有するメッシュを備えることが有効である。
ただし、メッシュを備えた場合、ミストがメッシュに衝突し、メッシュを塞ぐと、圧損が増大するために、メッシュに付着したミストを効率よく取り除くことが必要になる。このために、ガス状炭化水素回収装置100の気液分離器8には、断面形状が逆三角形状のコーン状メッシュ29を設けている。コーン状メッシュ29に衝突したミストは、重力によりガスがほとんど流れていない中央部(逆三角形状の下側頂点)に移動し、一定量が集まると、滴下することになる。このように、遠心分離部25内の上部にコーン状メッシュ29を設けることにより、気液分離器8の壁面との衝突により発生したミストを効率よく取り除くことができ、吸脱着塔14の性能低下を極力抑えることができる。
図4は、吸脱着塔14のガス状炭化水素の出口濃度にミスト量が与える影響を調べた結果を示すグラフである。図4に基づいて、吸脱着塔14のガス状炭化水素の出口濃度にミスト状炭化水素の量が与える影響について説明する。この図4では、500L/minで20分間ガス状炭化水素を流入させた場合の吸脱着塔14のガス状炭化水素の出口濃度にミスト量が与える影響を調べたものである。なお、図4では、縦軸が吸脱着塔14からの漏れ出し濃度(vol%)を、横軸が吸脱着塔14に流入するミスト量を、それぞれ示している。
図4に示すように、吸脱着塔14に流入するミスト量が0の場合(図4に示す(a))、吸脱着塔14からの漏れ出し濃度が4vol%であり、吸脱着塔14に流入するミスト量が100mL/minの場合(図4に示す(b))、吸脱着塔14からの漏れ出し濃度が6vol%であり、吸脱着塔14に流入するミスト量が200mL/minの場合(図4に示す(c))、吸脱着塔14からの漏れ出し濃度が8vol%であることが調査の結果わかった。
図4からわかるように、吸脱着塔14へのミストの流入を防ぐことにより、所定量のガス状炭化水素を処理した際の吸脱着塔14から排出するガス状炭化水素の濃度を抑えることができる。以上のことから、ガス状炭化水素と液化炭化水素とを分離する部位と、ガス状炭化水素とミスト状炭化水素を分離する部位とを気液分離器8を備えることにより、吸脱着塔14に供給するガス状炭化水素量を低減することができ、ガス状炭化水素を高効率に回収できることになる。
ガス状炭化水素回収装置100の運転開始方法について説明する。
ガス状炭化水素回収装置100は、タンクローリー等の運転手によって作動スイッチを操作された際に運転を開始するようにしてもよい。つまり、ガソリン貯蔵タンク1にガソリンを荷卸(供給)するタンクローリー等の運転手がガソリンを荷卸するのと同じタイミングでガス状炭化水素回収装置100の作動スイッチが操作された際に運転を開始するようにしてもよい。このようにすることにより、誤作動を防止することができ、高効率にガス状炭化水素を回収することができる。
また、タンクローリーが油種間違えを防止するコンタミ防止装置(図示せず)を備えているものについては、荷卸開始時の油種判別を行なうキー装置と連動し、ガス状炭化水素回収装置100が自動運転を開始するようにしてもよい。これにより、人的操作を減らすことができ、より安定的にガス状炭化水素を回収することができる。さらに、ガソリン貯蔵タンク1の在庫量(残油量)を管理している油面計(図示せず)と連動し、在庫量が短時間に変化したことを油面位置の変動で検知し、ガス状炭化水素回収装置100が自動的に運転を開始するようにしてもよい。さらに、タンクローリーからガソリン貯蔵タンク1に荷卸する注油口に液体を検知する電子式センサー(電圧等による変化を捉える(図示せず))を設け、本装置と連動し、運転を自動開始及び終了させるようにしてもよい。これにより、人的操作をなくすことができるとともに、高級な計測装置を新たに備えることなく、より安定的にガス状炭化水素を回収することができる。
図5は、ガス状炭化水素回収装置100の再生工程におけるガス状炭化水素の流れを示す回路図である。図6は、ガス状炭化水素回収装置100の再生工程における処理の流れを示すフローチャートである。図5及び図6に基づいて吸脱着塔14に吸着されたガス状炭化水素の再生工程、すなわちガス状炭化水素の脱着プロセスについて詳細に説明する。上述したように、吸脱着塔14の再生工程は、吸着時に使用した2つの吸脱着塔14が直列となるようし、その2塔の間にガス状炭化水素供給ポンプ5、第1熱交換器6、気液分離器8が接続されるようにして開始する。そして、所定時間経過後、直列に接続した吸脱着塔14の順序を入れ替えて、いずれの吸脱着塔14からもガス状炭化水素の再生を実行する。この操作を所定の回数繰り返してガス状炭化水素の再生を行うようにしている。
ガス状炭化水素回収装置100は、吸着終了時に全ての二方弁を全閉としている。ガス状炭化水素回収装置100は、二方弁16a、二方弁17b、二方弁18a、二方弁19bを開き(ステップS101)、ガス状炭化水素供給ポンプ5を稼動させる(ステップS102)。このようにして第1工程(ステップS101〜ステップS105)を開始する。ガス状炭化水素供給ポンプ5を所定時間稼働させることによって、二方弁17bを介して吸脱着塔14bからガスを吸引して吸着剤に吸着されているガス状炭化水素を脱着する(ステップS103)。また、吸脱着塔14b内の圧力が所定の圧力に低下すると、二方弁19b及び流量コントローラー20を開き、大気から一定流量の空気が吸脱着塔14bに流れ込むようにし、吸脱着塔14b内部の圧力をほぼ一定に維持するようにする。
吸脱着塔14bは、吸着時には0.5MPa(G)の圧力で動作しているが、脱着時にはガス状炭化水素供給ポンプ5により大気圧以下に減圧されるため、この圧力差によって吸着剤に吸着した炭化水素が高濃度に濃縮された状態で脱着されることになる。この場合、ガス状炭化水素のガス流量や吸着時の吸着量にもよるが、吸脱着塔14b内の圧力を0.02〜0.04MPaに制御することにより、ガス状炭化水素濃度を30〜60vol%にすることができる。
脱着したガス状炭化水素は、ガス状炭化水素供給ポンプ5により、第1熱交換器6に供給される。すなわち、第1熱交換器6には、ガス状炭化水素濃度30vol%、圧力0.5MPa(G)の高濃度・高圧のガス状炭化水素が供給されることになる。吸着時と同様に、第1熱交換器6は、冷凍機12及び第2熱交換器13を介して冷却された熱媒体によって冷却される。通常、第1熱交換器6の内部は、0℃から5℃程度に保たれており、ガス状炭化水素の一部が凝縮して液化する。
したがって、気液分離器8には、第1熱交換器6で凝縮されなかったガス状炭化水素及び第1熱交換器6で凝縮された液状炭化水素の混合物体が供給されることになる。この混合物体は、気液分離器8によって気体(ガス状炭化水素と空気)と液体(液状炭化水素)に分離される(図3参照)。分離された液体は、気液分離器8の下側(液状炭化水素貯留部27)に溜まり、液状炭化水素用電磁弁10を介して液状炭化水素貯留槽9に返送される。
上述したように、第1熱交換器6を圧力0.5MPa(G)、冷却温度5℃の条件で運転させたとすると、ガス状炭化水素がガソリン蒸気である場合、第1熱交換器6ではガソリン蒸気濃度が10vol%程度になる。ガソリン蒸気には、通常ブタンやイソブタン等が含まれている。第1熱交換器6を圧力0.5MPa(G)、温度5℃で運転させた際のこれらの飽和濃度を調べたところ、ブタンの飽和蒸気濃度は約20vol%、イソブタンの飽和蒸気濃度は約30vol%であった。この条件ではガソリン蒸気に含有されるブタンやイソブタンの量が減少しないかぎり、ガソリン蒸気濃度が理論的に10vol%以下になることはない。
また、温度(第1熱交換器6でのガソリン蒸気の冷却温度)を下げることにより、第1熱交換器6の出口でのガソリン蒸気濃度を低減することはできる。しかしながら、第1熱交換器6の設定温度を氷点以下にすると、ガス(ガス状炭化水素含有空気)中に含まれる水が第2熱交換器6で結氷してしまうことになる。こうなると、第1熱交換器6内部での圧力損失を増大させることになるため、第1熱交換器6の設定温度は0℃から5℃程度にすることが望ましい。
続いて、気液分離器8から排出される10vol%程度のガス状炭化水素は、吸脱着塔14aに送気されて処理される。吸脱着塔14aには吸着剤が封入されており、ガス状炭化水素を含んだ空気がこの吸着剤中を通過することによりガス状炭化水素が吸着除去され、1vol%以下のガソリン濃度の清浄空気となって二方弁18a及び圧力コントローラー15を介して大気に放出される。所定時間経過後、ガス状炭化水素供給ポンプ5を停止(ステップS104)、二方弁16a、二方弁17b、二方弁18a、二方弁19bを閉じる(ステップS105)。なお、再生時においても、ガス状炭化水素の吸脱着の役割に関係なく、常に液体循環ポンプ11によって供給される熱媒体により一定温度に冷却されている。すなわち、吸着時と同様に0〜5℃に維持されるように常に運転制御されている。
このようにして、第1工程(第1再生工程)では、加圧状態で冷却、吸着されることにより、吸脱着塔14bから排出されたガス状炭化水素を効率的に液化回収することができる。なお、脱着時には、吸脱着塔14b内部の温度を高くすることによって、脱着速度を早くしたり、ガス状炭化水素濃度を濃くしたりすることは可能である。しかしながら、温度をスウィングすることによって、消費エネルギーが増大したり、次の吸着工程までに時間的に冷却できなかったりなどといった問題があるため、脱着時に温度を高くせず、吸着時と同じ温度で脱着を行うことがエネルギー的に効果的である。
ガス状炭化水素回収装置100は、第1工程を終了すると第2工程(ステップS106〜ステップS110)を開始する。ガス状炭化水素回収装置100は、二方弁16b、二方弁17a、二方弁18b、二方弁19aを開き(ステップS106)、ガス状炭化水素供給ポンプ5を稼動させる(ステップS107)。このようにして第2工程(第2再生工程)を開始する。ガス状炭化水素供給ポンプ5を所定時間稼働させることによって、二方弁17bを介して吸脱着塔14aからガスを吸引して吸着剤に吸着されているガス状炭化水素を脱着する(ステップS108)。また、吸脱着塔14a内の圧力が所定の圧力に低下すると、二方弁18b及び流量コントローラー20を開き、大気から一定流量の空気が吸脱着塔14aに流れ込むようにし、吸脱着塔14a内部の圧力をほぼ一定に維持するようにする。
吸脱着塔14aは、吸着時には0.5MPa(G)の圧力で動作しているが、脱着時にはガス状炭化水素供給ポンプ5により大気圧以下に減圧されるため、この圧力差によって吸着剤に吸着した炭化水素が高濃度に濃縮された状態で脱着されることになる。この場合、ガス状炭化水素のガス流量や吸着時の吸着量にもよるが、吸脱着塔14a内の圧力を0.02〜0.04MPaに制御することにより、ガス状炭化水素濃度を30〜60vol%にすることができる。
脱着したガス状炭化水素は、ガス状炭化水素供給ポンプ5により、第1熱交換器6に供給される。すなわち、第1熱交換器6には、ガス状炭化水素濃度30vol%、圧力0.5MPa(G)の高濃度・高圧のガス状炭化水素が供給されることになる。吸着時と同様に、第1熱交換器6は、冷凍機12及び第2熱交換器13を介して冷却された熱媒体によって冷却される。通常、第1熱交換器6の内部は、0℃から5℃程度に保たれており、ガス状炭化水素の一部が凝縮して液化する。
したがって、気液分離器8には、第1熱交換器6で凝縮されなかったガス状炭化水素及び第1熱交換器6で凝縮された液状炭化水素の混合物体が供給されることになる。この混合物体は、気液分離器8によって気体(ガス状炭化水素と空気)と液体(液状炭化水素)に分離される(図3参照)。分離された液体は、気液分離器8の下側(液状炭化水素貯留部27)に溜まり、液状炭化水素用電磁弁10を介して液状炭化水素貯留槽9に返送される。
上述したように、第1熱交換器6を圧力0.5MPa(G)、冷却温度5℃の条件で運転させたとすると、ガス状炭化水素がガソリン蒸気である場合、第1熱交換器6ではガソリン蒸気濃度が10vol%程度になる。ガソリン蒸気には、通常ブタンやイソブタン等が含まれている。第1熱交換器6を圧力0.5MPa(G)、温度5℃で運転させた際のこれらの飽和濃度を調べたところ、ブタンの飽和蒸気濃度は約20vol%、イソブタンの飽和蒸気濃度は約30vol%であった。この条件ではガソリン蒸気に含有されるブタンやイソブタンの量が減少しないかぎり、ガソリン蒸気濃度が理論的に10vol%以下になることはない。
また、温度(第1熱交換器6でのガソリン蒸気の冷却温度)を下げることにより、第1熱交換器6の出口でのガソリン蒸気濃度を低減することはできる。しかしながら、第1熱交換器6の設定温度を氷点以下にすると、ガス(ガス状炭化水素含有空気)中に含まれる水が第2熱交換器6で結氷してしまうことになる。こうなると、第1熱交換器6内部での圧力損失を増大させることになるため、第1熱交換器6の設定温度は0℃から5℃程度にすることが望ましい。
続いて、気液分離器8から排出される10vol%程度のガス状炭化水素は、吸脱着塔14bに送気されて処理される。吸脱着塔14bには吸着剤が封入されており、ガス状炭化水素を含んだ空気がこの吸着剤中を通過することによりガス状炭化水素が吸着除去され、1vol%以下のガソリン濃度の清浄空気となって二方弁19a及び圧力コントローラー15を介して大気に放出される。所定時間経過後、ガス状炭化水素供給ポンプ5を停止(ステップS109)、二方弁16b、二方弁17a、二方弁18b、二方弁19aを閉じる(ステップS110)。なお、再生時においても、ガス状炭化水素の吸脱着の役割に関係なく、常に液体循環ポンプ11によって供給される熱媒体により一定温度に冷却されている。すなわち、吸着時と同様に0〜5℃に維持されるように常に運転制御されている。
第2工程が終了すると、ガス状炭化水素回収装置100は、再び第1工程を開始する(ステップS111)。この繰り返し操作を設定回数実施した後に、ガス状炭化水素回収装置100は、一連の動作を終了することになる(ステップS111;YES)。通常は、ガソリン貯蔵タンク1に給油がある毎に、これらの一連の操作を繰り返すことになる。この動作によって、最大でも1vol%のガス状炭化水素を大気に排出することしかなく、環境負荷を非常に小さくすることができる。
また、ガス状炭化水素回収装置100は、最大でも1vol%のガス状炭化水素を排出するだけであるため、40vol%のガス状炭化水素のうち39vol%まで回収でき、回収効率が97.5%と非常に高効率である。さらに、一つの温度帯で凝縮操作を行なってから吸着操作を行なうようにしているため、吸脱着塔14を大幅に小型化でき、装置全体をコンパクト化できるという効果も有している。
なお、脱着時に吸脱着塔14からのガス状炭化水素を吸引する部位と吸着時に吸脱着塔14にガス状炭化水素を供給する部位は、吸脱着塔14の同一部分(図1では吸脱着塔14の下部)に設けるようにしている。吸脱着塔14出口のガス状炭化水素濃度を1vol%以下になるように吸脱着塔14を運用しているため、吸着時には吸脱着塔14のガス状炭化水素蒸気吸入口の近傍では高密度にガス状炭化水素が吸着し、吸脱着塔14のガス状炭化水素排出口の近傍ではガス状炭化水素があまり吸着していない状態になっている。
脱着時に吸脱着塔14から排出するガス状炭化水素を凝縮によって効率的に回収するには、ガス状炭化水素濃度をできるだけ高くする必要がある。つまり、高密度に吸着している部分からガス状炭化水素を排出する方が高濃度のガス状炭化水素を排出できることになる。そのため、ガス状炭化水素回収装置100では、ガス状炭化水素が高密度に吸着している部分、すなわち吸脱着塔14において吸着時のガス状炭化水素吸入口の近傍から、脱着時にガス状炭化水素を吸引排出することによってガス状炭化水素の回収効率を向上させているのである。
ガソリンスタンド等の給油施設のガソリン貯蔵タンク1への給油は、通常、定期的に一定時間行なわれることが多い。このため、ガソリン貯蔵タンク1からガス状炭化水素が発生するのは1日のうちのある一定の時間帯に限られている。したがって、装置の稼働率を高めるという観点にたてば、ガス状炭化水素が発生している時間帯には吸脱着塔14の吸着操作を行ない、ガス状炭化水素が発生していない時間帯には吸脱着塔14の再生操作を行なうことが有効であると考えられる。
以上のことから、本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100は、吸着時には吸脱着塔14を気液分離器8に対して相互に並列となるように接続し、1つの吸脱着塔14に流れるガス量を減らして気液分離器8から流出したガス状炭化水素を供給し、脱着時には2つの吸脱着塔14を直列となるように接続し、吸脱着操作を繰り返して吸着剤を再生することにより、稼働効率の向上を実現している。
すなわち、ガス状炭化水素回収装置100は、ガス状炭化水素の吸着時(吸着工程時)においては、吸脱着塔14の全部に気液分離器8から流出したガス状炭化水素を流入させるようにして処理ガス流量の増大を可能にし、ガス状炭化水素の脱着時(再生工程時)においては、複数の吸脱着塔14のうち少なくとも1つの吸脱着塔14(たとえば、吸脱着塔14b)をガス状炭化水素供給ポンプ5の上流側に接続するようにしてガス状炭化水素の再生を実行可能にしているのである。
図7は、再生工程におけるガス状炭化水素供給ポンプ5の出口濃度、気液分離器8の出口濃度、及び、吸脱着塔14の出口濃度と時間変化との関係を示したグラフである。図8は、再生工程における切り換え時間と吸脱着塔14の出口濃度との関係を示したグラフである。図7及び図8に基づいて、再生工程における吸脱着塔14の切り換え操作について説明する。図7では、縦軸がガス状炭化水素の濃度(vol%)を、横軸が時間(min)を、それぞれ示している。図8では、縦軸が吸脱着塔14出口のガス状炭化水素の濃度(vol%)を、横軸が時間(min)を、それぞれ示している。
図7には、吸脱着塔14bの再生工程におけるガス状炭化水素供給ポンプ5の出口濃度を白抜き丸印で、吸脱着塔14bの再生工程におけるガス状炭化水素供給ポンプ5の出口濃度を黒塗り丸印で、吸脱着塔14bの再生工程における気液分離器8の出口濃度を白抜き三角印で、吸脱着塔14bの再生工程における気液分離器8の出口濃度を黒塗り三角印で、吸脱着塔14の出口濃度をアスタリスク印で、それぞれ表している。この図7から、再生工程では、初期のみに吸脱着塔14からガス状炭化水素が漏れ出ていることがわかる。そこで、切り換え時間が吸脱着塔14の出口濃度に与える影響を調べた。
図8は、初回の切り換え時間が吸脱着塔14出口濃度に与える影響を調べたものである。図8には、初回の第1工程と第2工程の切り換えを1分間でした際の吸脱着塔14出口のガス状炭化水素の濃度を菱形印で、初回の第1工程と第2工程の切り換えを3分間でした際の吸脱着塔14出口のガス状炭化水素の濃度をバツ印で、初回の第1工程と第2工程の切り換えを6分間でした際の吸脱着塔14出口のガス状炭化水素の濃度を白抜き三角印で、それぞれ示している。図8から、切り換え時間が長くなるにつれて、吸脱着塔14出口からガス状炭化水素が排出される時間が長くなることがわかった。
このことから、初回の第1工程から第2工程への切り換え時間は短いほどよいことが明らかになった。加えて、初回の第1工程から第2工程への切り換え時間を0.5分以下にすると、第2回時にもガス状炭化水素が吸着塔出口から漏れ出すことも明らかになった。この結果から、初回の第1工程から第2工程への切り換え時間を0.5分〜1分とすることにより、再生工程におけるガス状炭化水素の漏れ出しを最小限にできることがわかった。
図9は、再生工程におけるガス状炭化水素供給ポンプ5の出口濃度及び気液分離器8の出口濃度と時間変化との関係を示したグラフである。図9に基づいて、再生工程における吸脱着塔14の切り換え時間がガス状炭化水素の回収に与える影響について説明する。図9では、縦軸がガス状炭化水素の濃度(vol%)を、横軸が時間(min)を、それぞれ示している。また、図9(a)が2分間隔で切り換えた場合の特性を、図9(b)が2分→6分→10分と徐々に切り換え時間を長くしていった場合の特性を、図9(c)が2分→1分→0.5分と徐々に切り換え時間を短くしていった場合の特性を、それぞれ示している。なお、図9に示す丸印及び三角印は、図7に示した丸印及び三角印と同様である。
図9(b)に示すように、切り換え時間を徐々に長くすることによって、ガス状炭化水素供給ポンプ5の出口濃度が低下することがわかる。これは、第1熱交換器6でガス状炭化水素が液化しないことを示している。すなわち、吸脱着塔14bから排出されたガス状炭化水素がそのまま吸脱着塔14aに移動しているだけであり、エネルギーが無駄に消費されているのである。一方、図9(c)に示すように、切り換え時間を徐々に短くすることによって、ガス状炭化水素供給ポンプ5の出口濃度の低下が抑制されていることがわかる。これにより、ガス状炭化水素供給ポンプ5の出口濃度と気液分離器8の出口濃度との差分が液化されており、切り換えにより、効率よくガス状炭化水素を液化できていることがわかった。
以上のことから、吸脱着塔14の切り換え時間を徐々に早く(短く)していくことにより、効率的にガス状炭化水素を液化できることがわかった。そこで、本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100では、吸脱着塔14の切り換え時間を徐々に早くすることで、エネルギー効率の向上を図るようにしている。
図10は、ガス流量とガス状炭化水素供給ポンプ5の入口圧力及び出口圧力との関係を示したグラフである。図11は、ガス流量とガス温度との関係を示したグラフである。図10及び図11に基づいて、ガス流量がガス状炭化水素供給ポンプ5の入口圧力及び出口圧力に与える影響について説明する。図10及び図11では、ガス状炭化水素供給ポンプ5のみを用いて吸脱着操作を行なう際のガス流量の影響について説明する。
図10では、左側縦軸がガス状炭化水素供給ポンプ5の出口圧力(kPa[abs])を、右側縦軸がガス状炭化水素供給ポンプ5の入口圧力(kPa[abs])を、横軸がガス流量(L/min)を、それぞれ示している。また、図10では、三角印がガス状炭化水素供給ポンプ5の出口圧力を、丸印がガス状炭化水素供給ポンプ5の入口圧力を、それぞれ表している。図11では、左側縦軸がガス温度(℃)を、右側縦軸が圧縮比(−)を、横軸がガス流量(L/min)を、それぞれ示している。また、図11では、三角印がガス温度を、丸印が圧縮比を、それぞれ表している。
図10に示すように、ガス流量が増大するにつれて出口圧力が低下し、また、ガス流量が増加するにつれて入口圧力が増加することがわかった。再生工程においては、ガス状炭化水素濃度を高める必要があるため、吸脱着塔14b内の圧力を下げる必要がある。すなわち、ガス状炭化水素濃度を40vol%程度にするには、入口圧力を40kPa以下にしなければならない。したがって、ガス流量は、200L/min以下となるようにする。また、液化しにくいブタンやイソブタンが含まれている場合、ガス状炭化水素濃度を60vol%程度にする必要があり、入口圧力を30kPa以下にしなければならない。したがって、ガス流量は、100L/min以下となるようにする。
図11に示すように、ガス流量が減少すると、ガスによって持っていかれる熱が減少するため、ガス温度が上昇することがわかった。ガス状炭化水素としてガソリン蒸気を対象とする場合、ガソリン蒸気の自然発火温度は250℃程度であるため、ガス温度は200℃以下に下げる必要がある。すなわち、ガス温度を200℃以下にするには、ガス流量を40L/min以上にしなければならない。これらのことから、ガス状炭化水素供給ポンプ5のみを用いて吸脱着操作を行なうには、ガス流量を40〜200L/minの範囲、好ましくは40〜100L/minの範囲にするとよいことがわかった。
以上のことから、本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100では、1つのガス状炭化水素供給ポンプ5のみを用いて吸脱着操作を行なうようにしたものであり、ガス状炭化水素供給ポンプ5に流れるガスの流量を40〜200L/minの範囲、好ましくは40〜100L/minの範囲にすることにより、効率よくガス状炭化水素を液化回収することができることを可能とし、稼働効率の向上を実現している。
本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100では、再生工程において吸引とパージガスによるガス置換を併用することにより、吸脱着塔14の再生を行なっている。しかしながら、吸脱着塔14の切り換えを短時間に実施する場合、パージガスの吸脱着塔14への供給をできるだけ少なくするようにし、パージガスの導入を停止するようにしてもよい。このようにすることにより、吸脱着塔14出口のガス状炭化水素濃度がパージガスによって薄められることがなく、第1熱交換器6で高効率に液化することができ、より高効率にガス状炭化水素を液化回収することができる。
以上のように、本実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100によれば、複数の吸脱着塔14を、吸着時には並列、脱着時には直列に接続することによって、1つのガス状炭化水素供給ポンプ5のみで吸脱着を実行できるようにしている。したがって、複数の吸脱着塔14で吸着工程を実行できるので、処理ガス流量が増大しても、排気ガスを極めてクリーン(ガソリン濃度1vol%以下)なものにすることができる。また、処理ガス流量が増大しても、複数の吸脱着塔14でガス状炭化水素を吸着することができ、吸脱着塔14に流れるガスの速度を抑えることができ、高効率にガス状炭化水素を回収することができるのである。
このガス状炭化水素回収装置100によれば、第1熱交換器6、第2熱交換器13、及び、熱媒体貯留槽7からなる凝縮装置を備えているので、ガス状炭化水素の液化効率を低下させずに、騒音が発生しないものとなる。また、ガス状炭化水素回収装置100は、搭載する気液分離器8の構成を工夫しているので、吸脱着塔14に使用する吸着剤を増大させることなく、高効率にガス状炭化水素を液化することが可能になる。
このガス状炭化水素回収装置100によれば、第1再生工程と第2再生工程とを所定回数繰り返してガス状炭化水素を回収するようにしたので、吸脱着塔14に吸着している炭化水素を外部に放出することなく、液化することができることになり、高効率にガス状炭化水素を回収することができる。また、吸脱着塔14に付設した脱着関連機器(ガス状炭化水素供給ポンプ5)の容量を小さくすることができるとともに、高効率にガス状炭化水素を回収することができる。
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2に係るガス状炭化水素回収装置100aの回路構成を示す概略構成図である。図12に基づいて、ガス状炭化水素回収装置100aの構成及びガス状炭化水素のフローについて説明する。このガス状炭化水素回収装置100aも、実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100と同様に、設置されたガソリン給油施設で大気中に放出されるガス状炭化水素を吸着し、脱着するものである。なお、実施の形態2では実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同一部分には、同一符号を付している。
本実施の形態2に係るガス状炭化水素回収装置100aは、実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100とガス状炭化水素供給ポンプ5の下流側にガス状炭化水素濃度計測器31aを、気液分離器8の下流側にガス状炭化水素濃度計測器31bを備えた点で相違している。ガス状炭化水素濃度計測器31a及びガス状炭化水素濃度計測器31bは、設置されている配管を導通するガス状炭化水素の濃度を計測するものである。なお、ガス状炭化水素回収装置100aのその他の構成については、ガス状炭化水素回収装置100と同様である。
図13は、ガス状炭化水素回収装置100aの再生工程における処理の流れを示すフローチャートである。図13に基づいて吸脱着塔14に吸着されたガス状炭化水素の再生工程について詳細に説明する。実施の形態1で説明したように、吸脱着塔14の再生工程は、吸着時に使用した2つの吸脱着塔14が直列となるようし、その2塔の間にガス状炭化水素供給ポンプ5、第1熱交換器6、気液分離器8が接続されるようにして開始する。そして、所定時間経過後、直列に接続した吸脱着塔14の順序を入れ替えて、いずれの吸脱着塔14からもガス状炭化水素の再生を実行する。この操作を所定の回数繰り返してガス状炭化水素の再生を行うようにしている。
ガス状炭化水素回収装置100aは、吸着終了時に全ての二方弁を全閉としている。ガス状炭化水素回収装置100aは、二方弁16a、二方弁17b、二方弁18a、二方弁19bを開き(ステップS201)、ガス状炭化水素供給ポンプ5を稼動させ(ステップS202)、再生工程(第1工程)を開始する。そして、ガス状炭化水素回収装置100aは、ガス状炭化水素濃度計測器31a及びガス状炭化水素濃度計測器31bで計測された濃度信号に基づいて濃度条件評価を行なう(ステップS203)。つまり、ガス状炭化水素回収装置100aは、ガス状炭化水素濃度計測器31a及びガス状炭化水素濃度計測器31bで計測された濃度信号を制御装置50に送り、所定の濃度になったことを受けて、吸脱着塔14の切り換えを行なうようにしている。
吸脱着塔14の切り換えに設定されている所定の濃度になると(ステップS203;YES)、ガス状炭化水素回収装置100aは、ガス状炭化水素供給ポンプ5を停止(ステップS204)、二方弁16a、二方弁17b、二方弁18a、二方弁19bを閉じる(ステップS205)。
ガス状炭化水素回収装置100aは、第1工程(ステップS201〜ステップS205)を終了すると第2工程(ステップS106〜ステップS110)を開始する。ガス状炭化水素回収装置100は、二方弁16b、二方弁17a、二方弁18b、二方弁19aを開き(ステップS206)、ガス状炭化水素供給ポンプ5を稼動させる(ステップS207)。そして、ガス状炭化水素回収装置100aは、ガス状炭化水素濃度計測器31a及びガス状炭化水素濃度計測器31bで計測された濃度信号に基づいて濃度条件評価を行なう(ステップS208)。
吸脱着塔14の切り換えに設定されている所定の濃度になると(ステップS208;YES)、ガス状炭化水素回収装置100aは、ガス状炭化水素供給ポンプ5を停止(ステップS209)、二方弁16b、二方弁17a、二方弁18b、二方弁19aを閉じる(ステップS210)。第2工程が終了すると、ガス状炭化水素回収装置100aは、再び第1工程を開始する(ステップS211)。この繰り返し操作を設定回数実施した後に、ガス状炭化水素回収装置100aは、一連の動作を終了することになる(ステップS211;YES)。
このように、ガス状炭化水素回収装置100aは、計測したガス状炭化水素濃度によって吸脱着塔14の切り換えを実行するようになっているので、吸脱着塔14の切り換えを効率よく行うことができ、ガス状炭化水素の液化に使用するのに必要なエネルギーを低減することができるようになる。したがって、ガス状炭化水素回収装置100aは、実施の形態1の効果に加え、吸脱着塔14に貯蔵されているガス状炭化水素の量が変化しても、高効率にガス状炭化水素を液化回収することが可能になる。
実施の形態3.
図14は、本発明の実施の形態3に係るガス状炭化水素回収装置の再生工程における処理の流れを示すフローチャートである。図14に基づいて、本実施の形態3に係るガス状炭化水素回収装置の吸脱着塔14に吸着されたガス状炭化水素の再生工程について詳細に説明する。実施の形態3に係るガス状炭化水素回収装置も、実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100と同様に、設置されたガソリン給油施設で大気中に放出されるガス状炭化水素を吸着し、脱着するものである。なお、実施の形態3では実施の形態1及び実施の形態2との相違点を中心に説明し、実施の形態1及び実施の形態2と同一部分には、同一符号を付している。
上記実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100では、再生工程で所定時間動作すると、吸脱着塔14が切り換わり、その繰り返しが所定回数行なわれると、脱着動作が終了して、再生工程が終了するようにしていた。これに対し、本実施の形態3に係るガス状炭化水素回収装置(以下、図示を省略しているがガス状炭化水素回収装置100bと称して説明する)では、吸脱着塔14が切り換わりの繰り返し動作が所定回数行なわれると、ガス流量を下げて、吸脱着塔14の切り換わりの繰り返し動作が所定回数行なわれ、またガス流量を下げて動作を行なうといった再生運転を行ない、所定値までガス流量を徐々に下げるようにしたものである。
すなわち、ガス状炭化水素回収装置100bは、実行するステップS301〜ステップS311が実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100の実行するステップS101〜ステップS111と同様であるが、ステップS312が追加されている点で相違しているのである。ステップS312において、ガス状炭化水素回収装置100bは、第1工程と第2工程との繰り返し操作を設定回数実施した後に、ガス流量を低下させる動作を実行する。ガス流量が所定値まで低下したら(ステップS312;YES)、ガス状炭化水素回収装置100bは、一連の動作を終了することになる。なお、ガス流量が所定値まで低下していないときは(ステップS312;NO)、第1工程を再度実行する(ステップS301)。
こうすることによって、ガス状炭化水素回収装置100bは、実施の形態1及び実施の形態2の効果に加え、吸脱着塔14に貯蔵されているガス状炭化水素の量が変化しても、高効率にガス状炭化水素を液化回収できることになる。また、ガス状炭化水素回収装置100bは、第1工程と第2工程の繰り返し回数を低減することができるので、短時間にガス状炭化水素を再生できるという効果を有している。
実施の形態4.
図15は、本発明の実施の形態4に係るガス状炭化水素回収装置に搭載する第1熱交換器32を説明するための概略構成図である。図15に基づいて、実施の形態4の特徴事項である第1熱交換器32について詳細に説明する。実施の形態4に係るガス状炭化水素回収装置も、実施の形態1に係るガス状炭化水素回収装置100と同様に、設置されたガソリン給油施設で大気中に放出されるガス状炭化水素を吸着し、脱着するものである。なお、実施の形態4では実施の形態1〜実施の形態3との相違点を中心に説明し、実施の形態1〜実施の形態3と同一部分には、同一符号を付している。
本実施の形態4に係るガス状炭化水素回収装置は、第1熱交換器32の構成が上記実施の形態に係るガス状炭化水素回収装置と相違している。第1熱交換器32は、基本的な構成が第1熱交換器6と同様であるが、熱交換部22と合流部23との間の流路(各分流管35(各伝熱管))に気液分離器(第2気液分離器)33が設けられている。第1熱交換器32をこのような構成にすることによって、低流量でガス状炭化水素と液状炭化水素とを分離することができ、分離効率を高めることができる。
また、合流部23でガス状炭化水素と液状炭化水素とが混合して圧力損失が増加することを抑えることができ、低容量のガス状炭化水素供給ポンプ5を使用することが可能になり、エネルギー効率の更なる向上を図ることができる。以上のことから、実施の形態4に係るガス状炭化水素回収装置は、実施の形態1〜実施の形態3の効果に加え、第1熱交換器32の分流管35の各々に気液分離器33を設けることにより、エネルギー効率を向上できるという効果を有している。
なお、本発明に係るガス状炭化水素回収装置及び方法を実施の形態1〜実施の形態4に分けて説明したが、各実施の形態の特徴事項を適宜組み合わせるようにできることは言うまでもない。
1 ガソリン貯蔵タンク、2 給油パイプ、3 三方切換弁、3a 三方切換弁、3b 三方切換弁、4 圧力調整弁、5 ガス状炭化水素供給ポンプ(ポンプ)、6 第1熱交換器、7 熱媒体貯留槽、8 気液分離器、9 液状炭化水素貯留槽、10 液状炭化水素用電磁弁、11 液体循環ポンプ、12 冷凍機、13 第2熱交換器、14 吸脱着塔、14a 吸脱着塔、14b 吸脱着塔、15 圧力コントローラー、16a 二方弁、16b 二方弁、17a 二方弁、17b 二方弁、18a 二方弁、18b 二方弁、19a 二方弁、19b 二方弁、20 流量コントローラー、21 分岐部、22 熱交換部、23 合流部、24 ガス状炭化水素出口、25 遠心分離部、26 気液混合物入口、27 液状炭化水素貯留部、28 液状炭化水素出口、29 コーン状メッシュ、30 断熱材、31a ガス状炭化水素濃度計測器、31b ガス状炭化水素濃度計測器、32 第1熱交換器、33 気液分離器、35 分流管、100 ガス状炭化水素回収装置、100a ガス状炭化水素回収装置。

Claims (15)

  1. ガソリン貯蔵タンクからガス状炭化水素を吸引するポンプと、
    前記ポンプによって吸引されたガス状炭化水素を冷却して凝縮する凝縮装置と、
    前記凝縮装置で凝縮された液状炭化水素と前記凝縮装置で凝縮できなかったガス状炭化水素とを分離する気液分離器と、
    前記気液分離器から流出したガス状炭化水素を吸脱着する複数の吸脱着塔と、を有し、
    ガス状炭化水素の吸着時には、
    前記複数の吸脱着塔の全てに前記気液分離器から流出したガス状炭化水素を前記ポンプにより流入させるようにし、
    ガス状炭化水素の脱着時には、
    前記複数の吸脱着塔のうち少なくとも1つの吸脱着塔が前記ポンプの上流側となるように接続し、前記ポンプにより、該ポンプの上流側に接続された吸脱着塔からガス状炭化水素を吸引する
    ことを特徴とするガス状炭化水素回収装置。
  2. 前記気液分離器から流出したガス状炭化水素の流路及び前記複数の吸脱着塔のガス出口を切り換える流路切替弁を備え、
    前記流路切替弁によって、
    ガス状炭化水素の吸着時には、
    前記複数の吸脱着塔に前記気液分離器から流出したガス状炭化水素を流入させるように流路が切り換えられ、
    ガス状炭化水素の脱着時には、
    前記複数の吸脱着塔のうち少なくとも1つの吸脱着塔のガス出口を前記ポンプの上流側に接続するように流路が切り換えられる
    ことを特徴とする請求項1に記載のガス状炭化水素回収装置。
  3. 前記凝縮装置は、
    ガス状炭化水素が導通可能な第1熱交換器と、
    冷凍機から供給される冷媒が導通可能な第2熱交換器と、
    前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器で熱交換を行なう熱媒体が貯留された熱媒体貯留槽と、を少なくとも有している
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス状炭化水素回収装置。
  4. 前記第1熱交換器及び前記第2熱交換器が略水平位置となるように前記熱媒体貯留槽内に設置されており、
    前記第1熱交換器のガス状炭化水素入口を上部に、前記第2熱交換器の冷媒入口を下部に設けている
    ことを特徴とする請求項3に記載のガス状炭化水素回収装置。
  5. 前記第1熱交換器は、
    流入したガス状炭化水素の流れを分割する分岐部と、
    前記分岐部で分岐された複数の伝熱管が挿入される熱交換部と、
    前記熱交換部から排出されたガス状炭化水素と液状炭化水素とが合流する合流部と、
    前記熱交換部と前記合流部との間の流路に設けられている第2気液分離器と、を有している
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載のガス状炭化水素回収装置。
  6. 前記気液分離器は、
    ガス状炭化水素と液状炭化水素とを分離する気液分離部と、
    前記気液分離部で発生したミスト状炭化水素とガス状炭化水素とを分離するミスト除去部と、を有している
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス状炭化水素回収装置。
  7. 前記ミスト除去部がコーン状メッシュ構造である
    ことを特徴とする請求項6に記載のガス状炭化水素回収装置。
  8. ガス状炭化水素を吸引し、吸引したガス状炭化水素を冷却して凝縮し、凝縮しきれなかったガス状炭化水素を複数の吸脱着塔の全部に分岐して流入させ、それぞれの吸脱着塔でガス状炭化水素を吸着する工程と、
    前記ガス状炭化水素の吸引を停止する工程と、
    ガス状炭化水素の吸着に供された2つの吸脱着塔のうち一方の吸脱着塔に吸着されているガス状炭化水素を吸引脱着し、そのガス状炭化水素を液化した後に残ったガス状炭化水素を他方の吸脱着塔で吸着する第1再生工程と、
    前記他方の吸脱着塔が上流側となるように接続して前記他方の吸脱着塔に吸着されているガス状炭化水素を吸引脱着し、そのガス状炭化水素を液化した後に残ったガス状炭化水素を前記一方の吸脱着塔で吸着する第2再生工程と、
    前記第1再生工程と前記第2再生工程とを所定回数繰り返す工程と、を含んでいる
    ことを特徴とするガス状炭化水素回収方法。
  9. 初回の前記第1再生工程から前記第2再生工程への切り換え時間を、それ以降の前記第1再生工程から前記第2再生工程への切り換え時間よりも短く設定している
    ことを特徴とする請求項8に記載のガス状炭化水素回収方法。
  10. 前記初回の前記第1再生工程から前記第2再生工程への切り換え時間を0.5〜2分に設定している
    ことを特徴とする請求項9に記載のガス状炭化水素回収方法。
  11. 前記第1再生工程と前記第2再生工程との繰り返し時間を時間経過に伴って短くなるように設定している
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載のガス状炭化水素回収方法。
  12. 前記第1再生工程及び前記第2再生工程において、ガス状炭化水素のガス流量を40〜100L/minに設定している
    ことを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載のガス状炭化水素回収方法。
  13. ガス状炭化水素を吸引するポンプと、
    ガス状炭化水素と液状炭化水素とを分離する気液分離器と、を設け、
    前記第1再生工程と前記第2再生工程とを前記ポンプ出口及び前記気液分離器出口のガス状炭化水素濃度によって所定回数繰り返す
    ことを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載のガス状炭化水素回収方法。
  14. 前記ポンプ出口及び前記気液分離器出口にガス状炭化水素の濃度を計測するガス状炭化水素濃度計測器を設けて前記ポンプ出口及び前記気液分離器出口にガス状炭化水素の濃度を計測している
    ことを特徴とする請求項13に記載のガス状炭化水素回収方法。
  15. 前記第1再生工程と前記第2再生工程とを所定回数繰り返す工程の終了後、
    吸引するガス流量を低減して、再度前記第1再生工程と前記第2再生工程とを所定回数繰り返す
    ことを特徴とする請求項8〜14のいずれか一項に記載のガス状炭化水素回収方法。
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