JP2011075911A - 位相差フィルム、その製造方法、並びにそれを有する偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、その製造方法、並びにそれを有する偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】VAモード液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与する新規な位相差フィルムの提供。
【解決手段】少なくとも1種の屈折率異方性物質とポリマーAとを含有する光学異方性層A、及び少なくとも1種の屈折率異方性物質を光学異方性層Aよりも少ない割合で含有するか、もしくは屈折率異方性物質を含有せず、且つ該ポリマーAと主成分が同一であるポリマーBとを含有する光学異方性層B、の少なくとも2層が厚み方向に積層されてなり、前記光学異方性層A及びBのNzファクターが厚み方向で断続的に異なることを特徴とする位相差フィルムである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、液晶表示装置等の部材として有用な位相差フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であった。しかし、VAモードやIPSモードによる高視野角液晶モードが実用化されており、これによってテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
これらのモードの液晶表示装置について、種々の光学補償機構が提案されている。
例えば、許文献1には、所定の光学異方性層Aと所定の光学異方性層Cとをこの順に有する光学補償シートが提案され、この光学補償シートを利用することにより、VAモード液晶表示装置の視野角特性が改善されたことが記載されている。
また、特許文献2には、屈折率が異なる第一層及び第二層を有する多層補償子が開示されている。
また、特許文献3には、フィルムの厚み方向においてセルロースアシレートの置換度が所定の範囲内で変動しているセルロースアシレートフィルムが開示されている。
これらのフィルムでは内部に異種材料の層の界面が存在するため、斜め方向から入射した偏光のs波とp波の透過率が互いに異なる。透過率は振幅の2乗に比例する値であり、また、偏光状態を表すストークスパラメータ(S1=Ap2 −As2、S2=2ApAs*cosδ、S3=2ApAs*sinδ、Ap:p波の振幅、As:s波の振幅、δ:位相差)も振幅の2乗に対応する値である。つまり、界面の通過前と通過後では、振幅変化による偏光変化がおきる。よって意図した偏光状態するためには、この影響を考慮した動きが必要となり複雑になる点でも好ましくない。また正面の透過率も下がるため、光利用効率の点でも好ましくない。
さらに、特許文献4には、液晶表示装置、特にVAモードの液晶表示装置、の光学補償フィルムとして、ReとRthの比率Re/Rthが、フィルムの厚さ方向で変化している透明フィルムが提案されている。しかし、Re/Rthの変化と、屈折率異方性材料の濃度変化との関係については具体的に開示されていない。
また、膜厚方向に屈折率異方性を有する材料の濃度勾配を持たせる位相差フィルムが開示されている(特許文献5)。しかし、特許文献5は、位相差フィルムの偏光膜との接着性を向上させるために、屈折率異方性を有する材料に濃度勾配を持たせているのであって、そのことによる位相差フィルムの光学的な特徴に関する記載はない。
一方、共流延を利用した位相差フィルムの製造方法についても種々提案されている。特許文献6には、樹脂と添加剤と有機溶媒とを含むドープAと、添加剤を含まないか添加剤の含有量がドープAより少ない樹脂と添加剤と有機溶媒とを含むドープBを調製し、ドープAをコア層として、ドープBを表面層として共流延することを含む位相差フィルムの製造方法について開示されている。しかし、特許文献5は、位相差フィルムの滑り性及び透明性の改善を目的とするものであり、光学特性の改善を目的とするものではない。例えば、特許文献5の実施例では、ドープAからなるコア層の両面を、ドープBからなる表面層で挟んだ構成のフィルムを作製しており、即ち、当該フィルムの表裏で光学特性に積極的に差を生じさせる方法については具体的に記載されていない。
特開2006−220971号公報 特表2008−544317号公報 特開2006−83357号公報 特開2006−323152号公報 特開2006−221134号公報 特開2003−14933号公報
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、液晶表示装置、特にVAモード液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与するとともに、生産性が良好である、新規な位相差フィルム、その安定的な製造方法、並びにそれを有する偏光板及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 少なくとも1種の屈折率異方性物質とポリマーAとを含有する光学異方性層A、及び
少なくとも1種の屈折率異方性物質を光学異方性層Aよりも少ない割合で含有するか、もしくは屈折率異方性物質を含有せず、且つ該ポリマーAと主成分が同一であるポリマーBとを含有する光学異方性層B、の少なくとも2層が厚み方向に積層されてなり、前記光学異方性層A及びBのNzファクターが厚み方向で断続的に異なることを特徴とする位相差フィルム。
[2] 光学異方性層A及びBのNzファクターの差が2.0以上であることを特徴とする[1]の位相差フィルム。
[3] 極角60度及び方位角45度の方向における波長550nmのサーキュラーレターデーションが、0.5nm以上であることを特徴とする[1]又は[2]の位相差フィルム。
[4] 前記光学異方性層A及び前記光学異方性層Bの少なくとも2層の積層体を共流延により形成した後、延伸してなることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの位相差フィルム。
[5] Re_offが、50〜80nmであり、且つRth_offが、190〜230nmであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの位相差フィルム。
[6] Re_offが、45〜65nmであり、且つRth_offが、110〜130nm0であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの位相差フィルム。
[7] 面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthが、可視光域において同一の波長分散性を示すことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの位相差フィルム。
[8] 面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthが、可視光域において互いに異なる波長分散性を示すことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかの位相差フィルム。
[9] 前記光学異方性層A及びBが、少なくとも1種のセルロースアシレートを主成分として含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかの位相差フィルム。
[10] 前記光学異方性層A及びBが、アセチル、プロピオニル及びブチリル基から選ばれる少なくとも2種のアシル基を有する少なくとも1種のセルロースアシレートを含有することを特徴とする[1]〜[9]のいずれかの位相差フィルム。
[11] 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、波長250nm〜380nmに吸収極大がある円盤状化合物であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかの位相差フィルム。
[12] 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、液晶性化合物であることを特徴とする[1]〜[11]のいずれかの位相差フィルム。
[13] 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、下記一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする[1]〜[12]のいずれかの位相差フィルム:
Figure 2011075911
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
[14] 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、下記一般式(a)で表される化合物であることを特徴とする[1]〜[13]のいずれかの位相差フィルム;
一般式(a):Ar1−L2−X−L3−Ar2
上記一般式(a)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基であり、L2及びL3は、それぞれ独立に、−O−CO−又はCO−O−基より選ばれる二価の連結基であり、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
[15] 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする[1]〜[14]のいずれかの位相差フィルム;
Figure 2011075911
式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−である。また、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
[16] 膜厚が30〜200μmであることを特徴とする[1]〜[15]のいずれかの位相差フィルム。
[17] 主成分として少なくとも1種のポリマー、及び少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有するA液、及び主成分として前記少なくとも1種のポリマーを含有するとともに少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有しないB1液、又は主成分として前記少なくとも1種のポリマーを含有するとともに少なくとも1種の屈折率異方性材料をA液と比較してより少ない割合で含有するB2液を、それぞれ準備すること、
A液とB1液又はB2液とを支持体の表面に共流延して製膜すること、
該膜を延伸すること、
を少なくとも含むことを特徴とする[1]〜[16]のいずれかの位相差フィルムの製造方法。
[18] 延伸倍率1〜300%で延伸することを特徴とする[17]の方法。
[19] B1液又はB2液を、支持体の表面により近い側にして、共流延することを特徴とする[17]又は[18]の方法。
[20] A液及びB1液又はB2液とともに、又はそれぞれに代えて、A液と組成が等しく但し濃度が低いa液、及び/又は、B1液又はB2液と組成が等しく但し濃度が低いb1液又はb2液をそれぞれ準備すること、支持体表面側から、
b1液、B1液、a液、
b1液、A液、a液、
b2液、A液、a液
b1液、B1液、A液、a液、又は
b2液、B2液、A液、a液
の順で共流延すること、
を含むことを特徴とする[17]〜[19]のいずれかの方法。
[21] A液及びB1液又はB2液の組成が、以下の条件:
(条件)
A液及びB1液又はB2液をそれぞれ単独で同一条件で流延した後、同一条件で延伸して得られる2つのフィルムのNzファクターが、2.0以上異なる;
を満足することを特徴とする[17]〜[20]のいずれかの方法。
[22] 偏光膜と、該偏光膜の少なくとも一方の面に[1]〜[16]のいずれかの位相差フィルムを有することを特徴とする偏光板。
[23] 前記偏光膜の少なくとも一方の面に、前記位相差フィルムのNzファクターが高い側の面が貼合されていることを特徴とする[22]の偏光板。
[24] 液晶セルおよび少なくとも1枚の偏光膜を有する液晶表示装置であって、該偏光膜と該液晶セルとの間に[1]〜[16]のいずれかの位相差フィルムを有する液晶表示装置。
[25] 前記液晶表示セルが垂直配向モードであることを特徴とする[24]の液晶表示装置。
本発明によれば、液晶表示装置、特にVAモード液晶表示装置の視野角特性の改善に寄与するとともに、生産性が良好である、新規な位相差フィルム、その安定的な製造方法、並びにそれを有する偏光板及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
偏光板の見込み角の変化を説明するために用いた模式図である。 屈折率楕円体(VAモード液晶層)の位相差の極角依存性を説明するために用いた模式図である。 バックライト側偏光板と、従来の位相差フィルム(i)及び本発明の位相差フィルム(ii)をそれぞれ通過した後の、入射光の偏光状態の一例をポアンカレ球上に示した模式図である。 バックライト側偏光板と、従来の位相差フィルム(i)及び本発明の位相差フィルム(ii)をそれぞれ通過した後の、入射光の偏光状態の一例をポアンカレ球上に示した模式図である。 極角60°且つ方位角45°の方向から入射し、本発明の位相差フィルムを通過した光の偏光状態の軌跡の一例をポアンカレ球上に示した模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
まず、本明細書で用いられる用語について、説明する。
(レターデーション、Re、Rth)
本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(X)及び式(XI)よりRthを算出することもできる。
Figure 2011075911
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNzファクターである、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
本発明において、位相差膜等の「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
また、本明細書において、位相差膜及び液晶層等の各部材の光学特性を示す数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同等」、「等しい」等の表現)については、液晶表示装置やそれに用いられる部材について一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示していると解釈されるものとする。
また、フィルムのRe及びRthについて、順分散性とは、可視光域において、波長が短波長であるほど、その値が大きくなる性質をいい、及び逆分散性とは、可視光域において、波長が短波長であるほど、その値が小さくなる性質をいう。本明細書では、波長550nmにおける値と、波長450nmにおける値とで比較し、例えば、Reについては、Re(550)/Re(450)≦0.99を満足すれば順分散性とし、及びRe(550)/Re(450)≧1.01を満足すれば逆分散性とする。また、0.99<Re(550)/Re(450)<1.01については、Reについて波長分散性がないフィルムとする。
また、本明細書において、フィルムの膜厚方向のNzファクターは、以下の方法により求めた値をいうものとする。
サンプルのフィルムをフィルム面に対して、傾斜角度1°〜2°で斜めに切断する。このサンプルを、微小領域の位相差を測定する。例えば、王子計測機器株式会社製の「微小面積位相差測定装置 KOBRA−CCDシリーズ」を用いて、膜厚方向のRe及びRthを、前記と同様の方法で測定する。そのデータを用いて、各膜厚でのRe、Rth、及びNzファクター(=Rth/Re+0.5)を算出することができる。例えば2層構成の場合、まず第1層目のRe/Rthが測定され、Nzファクターが求まる。次に、第1層と第2層との積層体としてのRe/Rthが測定されるが、第1層目のRe/Rthは既知のため、それを考慮することで第2層目のみのRe/RthとNzファクターが算出できる。層が増えても同様の議論で各層のRe/RthとNzファクターが算出できる。また、10μm単位に測定すれば、Nzファクターは10μmで平均化された値として算出される。測定単位長は小さいほど好ましく、5μm以下であるのが好ましく、測定限界が1μm程度であろう。
本明細書では、「Nzファクターが厚み方向で断続的に異なる」とは、上記方法で算出されるNzファクターが、厚み方向5〜10μmの範囲で一定で、且つ、Nzファクターが互いに2.0以上異なる領域が2以上存在することを意味する。
1. 位相差フィルム
本発明の位相差フィルムは、少なくとも1種の屈折率異方性物質とポリマーAとを含有する光学異方性層A、及び少なくとも1種の屈折率異方性物質を光学異方性層Aよりも少ない割合で含有するか、もしくは屈折率異方性物質を含有せず、且つ該ポリマーAと主成分が同一であるポリマーBとを含有する光学異方性層B、の少なくとも2層が厚み方向に積層されてなり、前記光学異方性層A及びBのNzファクターが厚み方向で断続的に異なることを特徴とする。
本発明者が種々検討した結果、このようなフィルムはReを小さくしても、従来と同等の光学補償が可能であることを見出した。以下に、液晶ディスプレイにおける光学補償の原理と、本発明のコンセプトを説明する。
液晶ディスプレイにおける位相差フィルムの役割は、偏光軸が互いに直交に配置された一対の偏光板を斜め方向(例えば極角60度、方位角45度)から観察した時の見込み角変化による光漏れ(図1)と、一対の偏光板の間に存在する液晶層が有する屈折率異方性を補償することである。例えば、VAモード液晶セルでは、液晶素材は棒状液晶であり、正面からの観察と斜めからの観察で光が感じる位相差が異なり、前者は0、後者は0でない値を持つ。(図2))
図3に、リア側の偏光板とVA用位相差フィルムとを通過後の極角60度、方位角45度における偏光状態の一例をポアンカレ球で示す。図3(i)は、従来の位相差フィルムを利用した例である。従来の位相差フィルムでは、Nzが膜厚方向で均一であるので、当該位相差フィルムを通過することによる偏光状態の変化は、ある回転軸を中心にその球面上を一様に、当該位相差フィルムが有する屈折率異方性に比例した角度の回転として表される。
しかし補償のためには、位相差フィルム通過後の最終的な偏光状態が同じであればよく、その経路によらない、つまり経路は無限に考えられる。ポアンカレ球においてNzファクターは、回転軸に対応しているので、位相差フィルムのNzファクターが膜厚方向に変化していれば、経路を途中で変更することが可能である。また、位相差フィルムの屈折率異方性が、回転量に対応しているので、屈折率異方性の大きさによりそれぞれの経路における回転量を制御できる。本発明の位相差フィルムの一例では、図3(ii)に示す通り、入射偏光状態をまずS3の+方向(北極方向)に移動させ、その点から最終的な偏光状態が同一になるように調整することできる。その結果として、Reが均一な位相差フィルムよりReが小さくとも、同一の補償が可能であることを見出した。
なお、図3(ii)は、本発明の位相差フィルムの一例の作用を示しているに過ぎず、本発明の位相差フィルムは、図3(ii)の作用を示すフィルムに制限されるものではない。
本発明の位相差イルムの光学異方性層A及びBのNzファクターの差異は、2.0以上であるのが好ましく、5.0以上であるのがさらに好ましく、10.0以上であるのがよりさらに好ましい。
また本明細書において、本発明の位相差フィルムの斜め方向のRe及びRthであるRe_off及びRth_offを以下のように定義する。
極角60°及び方位角45°の方向の入射光が、本発明の位相差フィルムを通過後の偏光状態が、図4のポアンカレ球上の点Xの位置にあるとする。膜厚方向にNzファクターが均一で、ReがRe0、RthがRth0の位相差フィルムがあり、その位相差フィルム通過後の、同方向の入射光の偏光状態が同じになる(つまり図4の点Xの位置にくる)時、Re_off=Re0、Rth_off=Rth0である。
従来の位相差フィルムである膜厚方向にNzファクターが均一な2軸フィルムは、Re=Re_off、Rth=Rth_offであるので、このようなことを考える必要はないが、本発明の位相差フィルムでは、従来のRe及びRth(軸方向(即ちフィルム面に対する法線方向)で測定されるRe及びRth)ではなく、Re_off、Rth_offが、実際に、斜め方向の補償における最終的な偏光状態に対応する。
数学的には、積層体の各層のJones MatrixをJ、入射偏光状態をPin、最終偏光状態をPoutとすると、n層の積層体通過後の偏光状態は、下記式(i)
Pout=Jn*Jnー1*…*J21*Pin ・・(i)
で表すことができる。
一方、一層の場合は、
Pout=J*Pin ・・(ii)
で表すことができる。つまり、(ii)式におけるJと、(i)式における各層のJones Matrixの掛け算された値と等価と考えることで、(ii)式のJones MatrixからRe_off、Rth_offを算出することができる。
本発明の位相差フィルムのRe_off及びRth_offの好ましい範囲は、その用途に応じて変動するであろう。
VAモードの液晶表示装置の光学補償に利用する態様では、液晶セルの背面側又は表示面側に2軸フィルムを用いるいわゆる1枚型補償の態様では、Re_offは40〜90nmであるのが好ましく、50〜80nmであるのがより好ましく、50を超えて80nm未満であるのがよりさらに好ましく;Rth_offは170〜250nmであるのが好ましく、190〜230nmであるのがより好ましく、190を超えて230nm未満であるのがよりさらに好ましい。
また、液晶セルの背面側及び表示面側の双方に配置する位相差フィルムとして、光学特性が概同一の2軸フィルムを用いるいわゆる対称2枚型補償の態様では、Re_offは35〜75nmであるのが好ましく、45〜65nmであるのがより好ましく、45nmを超えて65nm未満であるのがよりさらに好ましく;Rth_offは90〜150nmであるのが好ましく、110〜130nmであるのがより好ましく、110を超えて130nm未満であるのがよりさらに好ましい。
本発明の位相差フィルムのRe_off及びRth_offの波長分散性については特に制限はない。
一例は、Re_off及びRth_offが、可視光域において同一の波長分散性を示す位相差フィルムであり、他の例は、Re_off及びRth_offが、可視光域において互いに異なる波長分散性を示す位相差フィルムである。本発明の位相差フィルムでは、Re_off及びRth_offの波長分散性は、各層の波長分散性を調整すること、より具体的には、各層の波長分散の足し算で表すことができる。また、本発明の位相差フィルムのRe(Rth)の波長分散性も各層の波長分散Re(Rth)の足し算であり、その程度はRe_offとRth_offと概同等であるため、その測定値からも波長分散性は把握できる。
また、VAモードの液晶表示装置には、Reについては逆分散性で、Rthについては順分散性の位相差フィルムが好ましいとされている。本発明の位相差フィルムでは、かかる態様の位相差フィルムを、一方の層(光学異方性層A又はB)をRe_off/Rth_offが逆分散/逆分散、他方の層(光学異方性層B又はA)をRe_off/Rth_offが順分散/順分散とし、各分散度合いを制御することで、作製することができる。
本発明者が種々検討した結果、本発明の位相差フィルムのようにNzファクターが厚み方向において断続的に変化するフィルムでは、サーキュラーレターデーションが発現しているとの知見が得られた。一般的に、位相差フィルムに斜め方向から入射した直線偏光の軌跡を、ポアンカレ球上に示すと、それは、赤道上の点を軸とした回転として表され、その回転量は当該位相差フィルムのReに比例する。一方、サーキュラーレターデーションが発現している位相差フィルムに入射した直線偏光の軌跡を、ポアンカレ球上に示すと、赤道からずれた点を軸とした回転として表される。例えば、VAモード液晶セルの黒表示の斜め方向に生じる光漏れを軽減するためには、図5に示す通り、黒状態のVAモード液晶セルに入射する前に、斜め方向から入射した直線偏光Sから偏光状態Eに遷移させるのが好ましいとされている。サーキュラーレターデーションの発現した位相差フィルムを利用することにより、偏光状態の遷移の回転軸が赤道上(A)から南半球上(A’)に移動すれば、軸が赤道上にある場合の回転量(Re)より少ない回転量(Re’)で、偏光状態Eに遷移させることができる。本発明者が検討した結果、上記条件を満足する本発明の位相差フィルムでは、サーキュラーレターデーションが発現していて、より少ないレターデーションによって、より大きな偏光状態の変化を得ることができることを見出した。本発明の位相差フィルムによれば、従来の位相差フィルムと比較して、レターデーションが同等であっても、より大きな偏光状態の遷移が可能となる。
サーキュラーレターデーションは、例えば、Axometry(Axometrics.Inc)を用いることで測定できる。Mueller Matrixが測定な装置であれば、これに限定されない。Mueller Matrixからサーキュラーレターデーションを算出する方法は、J. Opt. Soc. Am. A, Vol.13, No.5,p. 1106 等に詳細に記載されている。
また、本発明では、位相差フィルム全体の原料を均一に(例えば光学異方性層A及びBで、主成分となるポリマーや、屈折率異方性材料を等しく)することができる。当該実施形態の位相差フィルムは、回収して再生利用が可能である。よって、再利用の観点では、前記光学異方性層A及びBの形成にそれぞれ用いられる組成物は、屈折率異方性材料の濃度以外は、同一の組成であるのが好ましい。
再利用の観点以外にも、光学特性の観点でも、位相差フィルム全体として主成分が均一であることは有利である。具体的には、主成分ポリマーの種類を変えることで屈折率異方性に差を持たせると、内部に異種材料の界面が存在することになり、その結果、斜め方向から入射した偏光のs波とp波の透過率が互いに異なることになる。透過率は振幅の2乗に比例する値であり、また、偏光状態を表すストークスパラメータ(S1=Ap2 −As2、S2=2ApAs*cosδ、S3=2ApAs*sinδ、Ap:p波の振幅、As:s波の振幅、δ:位相差)も振幅の2乗に対応する値である。つまり、界面の通過前と通過後では、振幅変化による偏光変化がおきる。よって意図した偏光状態するためには、この影響を考慮した動きが必要となり複雑になる点でも好ましくない。また正面の透過率も下がるため、光利用効率の点でも好ましくない。
本発明の位相差フィルムは全体として主成分となるポリマー材料が同一であるので、内部に界面が存在することを極力抑えることができるため、前記問題が無視できるので、好ましい。
次に、本発明の位相差フィルムの製造に利用される種々の材料、及びその製造方法について説明する。
本発明の位相差フィルムの光学異方性層A及びBは、それぞれ主成分として1種以上のポリマーを含有する。主成分とは、全成分のうち最も含有割合の高い成分をいうものとする。前記光学異方性層Aが主成分として含有するポリマーAと、前記光学異方性層Bが主成分として含有するポリマーBは、互いに同一であることが好ましい。但し、本明細書では、ポリマーAとポリマーBとの組成は完全に同一である必要はなく、例えば、ポリマーAが2種以上のポリマーからなる態様では、ポリマーBは、ポリマーAの少なくとも主成分のポリマーを主成分として含有していればよい。また、ポリマーAが後述する1種以上のセルロースアシレートからなる態様では、ポリマーBも1種以上のセルロースアシレートからなる必要があるが、但し、アシル置換度は互いに異なっていてもよい。
本発明の位相差フィルムの光学異方性層A及びBが主成分として含有する材料は、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などの観点で、種々のポリマー材料から選択される。その例には、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、及び前記ポリマーを混合したポリマーが含まれる。
また、前記高分子フィルムの材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることができる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等が挙げられる。
また、前記光学異方性層A及びBの主成分としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきたセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を特に好ましく用いることができる。なお、本明細書において、「セルロースアシレートフィルム」とは、セルロースアシレートを主成分として含有するフィルムをいうものとする。
以下、本発明に利用可能なセルロースアシレートフィルムについて説明する。
・セルロースアシレート:
前記高分子フィルムの材料として用いるセルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースが挙げられる。セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができる。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
本発明の位相差フィルムの材料として用いるセルロースアシレートは、アセチル置換度が2.50〜3.00であるセルロースアセテートが好ましい。前記アセチル置換度は2.70〜2.97がさらに好ましい。また、前記セルロースアシレートは、アセチル基に代えて、又はアセチル基とともに、アセチル基以外のアシル基で置換されていてもよい。中でも、アセチル、プロピオニル及びブチリル基から選ばれる少なくとも一種のアシル基を有するセルロースアシレートが好ましく、及びアセチル、プロピオニル及びブチリル基から選ばれる少なくとも二種のアシル基を有するセルロースアシレートがより好ましい。これらを2種以上含有していてもよい。
前記セルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。工業的に最も一般的な合成方法では、綿花リンタや木材パルプなどから得たセルロースをアセチル基及び他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
本発明の位相差フィルムの光学異方性層Aは、少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有する。光学異方性層Bは、少なくとも1種の屈折率異方性材料を光学異方性層Aと比較してより少ない割合で含有するか、又は全く含有しない。前者の態様では、光学異方性層A及びBがそれぞれ含有する屈折率異方性材料は、同一であっても異なっていてもよいが、同一であるのが再利用の観点では好ましい。
屈折率異方性には、可視光域において、屈折率異方性の波長分散性が、「順波長分散性」の材料と、「逆波長分散性」の材料とがある。本発明には、いずれの波長分散性を示す屈折率異方性材料を用いてもよい。ここで、「逆分散性材料」及び「順分散性材料」について定義する。対照フィルムとして、高分子のみからなる、Reについて波長分散性を持たない、即ち0.99<Re(450)/Re(550)<1.01を満足する、延伸フィルムを対照フィルムとして準備する。別途、ある材料を添加する以外は全く同一の条件で作製したサンプルフィルムを準備する。当該サンプルフィルムが、Reについて逆分散性を示す場合は、添加された当該材料は「逆分散性材料」であり、当該サンプルフィルムが、Reについて順分散性を示す場合は、当該材料は「順分散性材料」である。また、対照フィルムが、セルロースアシレートフィルム等、延伸されると、Reが逆分散性を示すフィルムである場合は、ある材料を添加した以外は同様にして作製したサンプルフィルムが、対照フィルムと比較して、Reの逆分散性が大きくなった場合は、当該材料は、「逆分散性材料」であり、逆分散性が小さくなった場合は、当該材料は、「順分散性材料」である。対照フィルムが、Reが順分散性を示すフィルムである場合も同様に、添加した材料が、「逆分散性材料」であるか、「順分散性材料」であるかを知ることができる。なお、ここで、「逆分散性が大きくなる」とは、Δn(550)/Δn(450)の値が0.01以上大きくなることを意味し、「順分散性が大きくなる」とは、Δn(550)/Δn(450)の値が0.01以上小さくなることを意味する。
本発明に利用可能な屈折率異方性材料の一例であって、逆分散性材料の例には、下記一般式(A)で表される化合物が含まれる。この化合物は、液晶性を示すのが好ましい。
Figure 2011075911
式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
前記一般式(A)で表される化合物の中でも、Re発現剤としては、下記一般式(B)で表される化合物が好ましい。
Figure 2011075911
一般式(B)中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表す。A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す。)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立に置換基を表す。nは0〜2の整数を表す。
一般式(A)又は(B)において、L1及びL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
Figure 2011075911
さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
一般式(A)又は(B)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成してもよい。置換基の例としては下記のものが適用できる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
4及びR5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基を有していることがさらに好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基)、−S−及びCO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)又はS−である。
Xは第14〜16族の非金属原子を表す。ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい。Xは=O、=S、=NR、=C(R)Rが好ましい(ここでRは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる)。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0、1である。
以下に、一般式(A)又は(B)で表される化合物の具体例を示すが、前記Re発現剤の例は以下の具体例に限定されるものではない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
前記一般式(A)又は(B)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
Figure 2011075911
前記スキーム中、化合物(1−A)から化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography”(1997);27(9);p.515−526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
本発明に利用可能な屈折率異方性材料の一例であって、順分散性材料の例には、下記一般式(a)で表される棒状化合物が含まれる。この化合物は、液晶化合物であるのが好ましい。前記棒状化合物を用いると、液晶化合物がセルロースアシレートフィルム内で配向する際、互いに配向してレターデーションの発現に寄与するため、また前記液晶化合物をフィルム中へ溶解しやすくなる効果も期待できるため好ましい。
一般式(a):Ar1−L12−X−L13−Ar2
上記一般式(a)において、Ar1及びAr2はそれぞれ独立に、芳香族基であり;L12及びL13はそれぞれ独立に、−O−CO−又は−CO−O−基であり;Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
上記一般式(a)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基であり、L2及びL3は、それぞれ独立に、−O−CO−又はCO−O−基より選ばれる二価の連結基であり、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。
アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性へテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましい。芳香族性へテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子又は硫黄原子がさらに好ましい。
芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジメチルアミノ基)、ニトロ基、スルホ基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル基、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基)、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル基、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)、ウレイド基、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N,N,N’−トリメチルウレイド基)、アルキル基(例、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、オクチル基、イソプロピル基、s−ブチル基、t−アミル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(例、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基)、アルキニル基(例、エチニル基、ブチニル基)、アシル基(例、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、ラウリル基)、アシルオキシ基(例、アセトキシ基、ブチリルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ラウリルオキシ基)、アルコキシ基(例、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基)、アリールオキシ基(例、フェノキシ基)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ基、ヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アルキルチオ基(例、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基)、アリールチオ基(例、フェニルチオ基)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ペンチルスルホニル基、ヘプチルスルホニル基、オクチルスルホニル基)、アミド基(例、アセトアミド基、ブチルアミド基、ヘキシルアミド基、ラウリルアミド基)及び非芳香族性複素環基(例、モルホリル基、ピラジニル基)が含まれる。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が好ましい。
アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、さらに置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
一般式(a)において、L12及びL13は、それぞれ独立に、−O−CO−又は−CO−O−及びそれらの組合せからなる基より選ばれる二価の連結基である。
一般式(a)において、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
以下に、一般式(a)で表される化合物の具体例を示す。
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
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Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
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具体例(1)〜(34)、(41)、(42)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。ただし、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
Figure 2011075911
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、Lあるいはラセミ体のいずれでもよい。
具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
また、本発明に利用可能な屈折率異方性材料であって、順分散性材料の例には、下記一般式(I)で表される化合物が含まれる。
Figure 2011075911
式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−である。また、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
以下に前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例(I−(1)〜IV−(10))を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
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Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
Figure 2011075911
前記光学異方性層Aは、1種以上の屈折率異方性材料を、ポリマーAに対して1〜20質量%含有するのが好ましく、1〜10質量%含有するのがより好ましく、3〜10質量%含有するのがさらに好ましい。但し、この範囲に限定されるものではない。
一方、前記光学異方性層Bは、光学異方性層A中の割合より小さいことを前提として、1種以上の屈折率異方性材料を、ポリマーBに対して0〜10質量%含有するのが好ましく、0〜7質量%含有するのが好ましく、0〜5質量%含有するのがさらに好ましい。但し、この範囲に限定されるものではない。
本発明の位相差フィルムには、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フタル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、DOP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DEP及びDPPが特に好ましい。
また、可塑剤の例には、国際公開を2007/125764号パンフレットの[0042]〜[0065]に記載のグルコース等の糖のOHの一部又は全部の水素原子がアシル基に置換された糖誘導体が含まれる。
可塑剤の添加量は、主成分であるポリマーの量の0.1〜25質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがさらに好ましく、3〜15質量%であることがよりさらに好ましい。
なお、前記光学異方性層Aが可塑剤を含有する場合は、前記光学異方性層Bも同一の可塑剤を主成分である1種以上のポリマーに対して、同一の割合で含有するのが好ましい。
使用可能な可塑剤の例には、非リン酸系エステル系化合物が含まれる。非リン酸系エステル系の化合物としては、セルロースアシレートフィルムの添加剤として公知の高分子量添加剤および低分子量添加剤を広く採用することができる。添加剤の含量は、位相差フィルム(例えば、セルロースアシレートフィルム)に対して、1〜35質量%であることが好ましく、4〜30質量%であることがより好ましく10〜25質量%であることがさらに好ましい。
前記非リン酸系エステル系の化合物は、その化合物中に繰り返し単位を有する高分子量添加剤であってもよく、数平均分子量が700〜10000のものが好ましい。該高分子量添加剤は、溶液流延法において、溶媒の揮発速度を速めたり、残留溶媒量を低減する機能も有する。さらに、機械的性質向上、柔軟性付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフィルム改質の観点で、有用な効果を示す。
前記非リン酸系エステル系の高分子量添加剤の数平均分子量は、より好ましくは数平均分子量700〜8000であり、さらに好ましくは数平均分子量700〜5000であり、特に好ましくは数平均分子量1000〜5000である。
以下、本発明において使用可能な非リン酸系エステル系の化合物である高分子量添加剤について、その具体例を挙げながら詳細に説明するが、本発明において使用可能な非リン酸系エステル系の高分子量添加剤がこれらのものに限定されるわけでないことは言うまでもない。
非リン酸系エステル系の高分子系添加剤としては、ポリエステル系ポリマー(脂肪族ポリエステル系ポリマー、芳香族ポリエステル系ポリマー等)、ポリエステル系成分と他の成分の共重合体などが挙げられ、脂肪族ポリエステル系ポリマー、芳香族ポリエステル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー(脂肪族ポリエステル系ポリマー、芳香族ポリエステル系ポリマー等)とアクリル系ポリマーの共重合体およびポリエステル系ポリマー(脂肪族ポリエステル系ポリマー、芳香族ポリエステル系ポリマー等)とスチレン系ポリマーの共重合体が好ましい。
前記脂肪族ポリエステル系ポリマーとしては、炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸と、炭素数2〜12の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールから選ばれる少なくとも1種類以上のジオールとの反応によって得られるものであり、かつ反応物の両末端は反応物のままでもよいが、さらにモノカルボン酸類やモノアルコール類またはフェノール類を反応させて、所謂末端の封止を実施してもよい。この末端封止は、特にフリーなカルボン酸類を含有させないために実施されることが、保存性などの点で有効である。前記ポリエステル系ポリマーに使用されるジカルボン酸は、炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸残基または炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸残基であることが好ましい。
本発明で好ましく用いられる炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
これらの中でも好ましい脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。特に好ましくは、脂肪族ジカルボン酸成分としてはコハク酸、グルタル酸、アジピン酸である。
前記高分子量添加剤に利用されるジオールは、例えば、炭素数2〜20の脂肪族ジオール、炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールから選ばれるものである。
炭素原子2〜20の脂肪族ジオールとしては、アルキルジオールおよび脂環式ジオール類を挙げることができ、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
好ましい脂肪族ジオールとしては、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールであり、特に好ましくはエタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールである。
炭素数4〜20のアルキルエーテルジオールとしては、好ましくは、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンエーテルグリコールおよびポリプロピレンエーテルグリコールならびにこれらの組み合わせが挙げられる。その平均重合度は、特に限定されないが好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜10であり、さらには2〜5であり、特に好ましくは2〜4である。これらの例としては、典型的に有用な市販のポリエーテルグリコール類としては、カーボワックス(Carbowax)レジン、プルロニックス(Pluronics) レジンおよびニアックス(Niax)レジンが挙げられる。
特に末端がアルキル基あるいは芳香族基で封止された高分子量添加剤であることが好ましい。これは、末端を疎水性官能基で保護することにより、高温高湿での経時劣化に対して有効であり、エステル基の加水分解を遅延させる役割を示すことが要因となっている。
ポリエステル添加剤の両末端がカルボン酸やOH基とならないように、モノアルコール残基やモノカルボン酸残基で保護することが好ましい。
この場合、モノアルコールとしては炭素数1〜30の置換、無置換のモノアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどの置換アルコールなどが挙げられる。
好ましく使用され得る末端封止用アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコールであり、特にはメタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、シクロヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ベンジルアルコールである。
また、モノカルボン酸残基で封止する場合は、モノカルボン酸残基として使用されるモノカルボン酸は、炭素数1〜30の置換、無置換のモノカルボン酸が好ましい。これらは、脂肪族モノカルボン酸でも芳香族環含有カルボン酸でもよい。好ましい脂肪族モノカルボン酸について記述すると、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸が挙げられ、芳香族環含有モノカルボン酸としては、例えば安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、p−tert−アミル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上を使用することができる。
かかる前記高分子量添加剤の合成は、常法により上記脂肪族ジカルボン酸とジオールおよび/または末端封止用のモノカルボン酸またはモノアルコール、とのポリエステル化反応またはエステル交換反応による熱溶融縮合法か、あるいはこれら酸の酸クロライドとグリコール類との界面縮合法のいずれかの方法によっても容易に合成し得るものである。これらのポリエステル系添加剤については、村井孝一編者「添加剤 その理論と応用」(株式会社幸書房、昭和48年3月1日初版第1版発行)に詳細な記載がある。また、特開平05−155809号、特開平05−155810号、特開平5−197073号、特開2006−259494号、特開平07−330670号、特開2006−342227号、特開2007−003679号各公報などに記載されている素材を利用することもできる。
前記芳香族ポリエステル系ポリマーは、前記ポリエステルポリマーに芳香環を有するモノマーを共重合することによって得られる。芳香環を有するモノマーとしては、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、炭素数6〜20の芳香族ジオールから選ばれる少なくとも1種類以上のモノマーである。
炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,8−ナフタレンジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸等がある。これらの中でも好ましい芳香族ジカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、である。
炭素数6〜20の芳香族ジオールとしては、特に限定されないがビスフェノールA、1,2−ヒドロキシベンゼン、1,3−ヒドロキシベンゼン、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノールが挙げられ、好ましくはビスフェノールA、1,4−ヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノールである。
芳香族ポリエステル系ポリマーは前述のポリエステルに芳香族ジカルボン酸または芳香族ジオールのそれぞれの少なくとも一種類を組み合わせて用いてもよく、その組み合わせは特に限定されるものではなく、それぞれの成分を数種類組み合わせても問題ない。前述のように、特に末端がアルキル基あるいは芳香族基で封止された高分子量添加剤であることが好ましく、封止には前述の方法を使用することができる。
本発明の位相差フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤、例えば、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を含有していてもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%未満であると、劣化防止剤の効果がほとんど認められない。添加量が1質量%を越えると、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びトリベンジルアミン(TBA)である。
なお、前記光学異方性層Aがこれらの添加剤のいずれかを含有する場合は、光学異方性層Bも同一の添加剤を主成分である1種以上のポリマーに対して、同一の割合で含有するのが好ましい。
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。
本発明の位相差フィルムは、共流延法に従って製造するのが好ましい。共流延法を利用すると、安定的に、本発明の位相差フィルムを製造できるので好ましい。共流延法を利用した本発明の位相差フィルムの製造方法の一例は、以下の通りである。
主成分として少なくとも1種のポリマー、及び少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有するA液、及び主成分として前記少なくとも1種のポリマーを含有するとともに前記少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有しないB1液、もしくは主成分として前記少なくとも1種のポリマーを含有するとともに前記少なくとも1種の屈折率異方性材料をA液と比較してより少ない割合で含有するB2液を、それぞれ準備すること、
A液及びB1液又はB2液を支持体の表面に共流延して製膜すること、
該膜を延伸すること、
を少なくとも含む製造方法である。
なお、塗布方法により、上記A液及びB1液又はB液をそれぞれ支持体上に順次塗布して、屈折率異方性層A及び屈折率異方性層Bの積層体とし、その後、所望により延伸することで製造することもできる。しかし、塗布により形成する場合は、支持体表面の凹凸が塗布膜の表面に反映されてしまい、A液とB1液又はB2液が、互いに主成分が同一のポリマーを含有していても、内部に支持体表面の凹凸が反映された界面が存在し、位相差フィルム全体の光学特性を損なうことになる。
また、一種の溶液を流延して、乾燥条件や流延条件を調整することで、屈折率異方性材料の濃度を厚み方向において傾斜させることもできるが、濃度勾配が連続的に変化することになり、本発明の効果であるReが小さくとも、高い光学補償能を示すという効果が軽減される。
組成の異なるA液とB1液又はB2液を用いる共流延法によれば、これらの方法によって生じる弊害がなく、良好な特性の本発明の位相差フィルムを安定的に製造することができる。
以下、共流延法による本発明の位相差フィルムの製造方法例について具体的に説明する。
まず、主成分として少なくとも1種のポリマー、及び少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有するA液、及び主成分として前記少なくとも1種のポリマーを含有するとともに前記少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有しないB1液、もしくは主成分として前記少なくとも1種のポリマーを含有するとともに前記少なくとも1種の屈折率異方性材料をA液と比較してより少ない割合で含有するB2液を、それぞれ準備する。これらのドープ(なお、本明細書においてドープとは、主成分であるポリマーをはじめとする成分を溶媒に溶解または分散して得られる溶液または分散液を意味する。以下、「ドープ」というときは、A液、B1液及びB2液のいずれも含む意味とする)の調製に用いられる溶媒について特に制限はない。ドープを調製する溶媒の例には、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブなど)などが含まれる。
セルロースアシレートを主成分とするドープの調製には、炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが特に好ましく用いられる。セルロースアシレートの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度など及びフィルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2質量%〜25質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール、エタノール、n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、ジクロロメタンを用いない溶媒組成も提案されている。この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、特に酢酸メチルが好ましく用いられる。また、これらを適宜混合して用いる。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であれば良い。
前記A液中における屈折率異方性材料の濃度については、特に制限はなく、その種類や併用するポリマーの種類、及び用途等に応じて、決定される。一般的には、A液の溶媒を除いた全固形分の全質量に対して、0.1〜30質量%程度であるのが好ましく、0.5〜20質量%程度がさらに好ましく、1〜10質量%程度がよりさらに好ましい。但し、この範囲に限定されるものではない。
前記B1液中における屈折率異方性材料の濃度は0である。
前記B2液中における屈折率異方性材料の濃度は、組み合わせで使用されるA液における屈折率異方性材料の濃度より低ければ特に制限はない。
A液、及びB1液又はB2液の組成を決定する目安の一例は、以下の通りである。
A液とB1液又はB2液の組成が、A液及びB1液、又はA液及びB2液をそれぞれ単独で、本発明の位相差フィルムを製造するのと同一条件で流延した後、本発明の位相差フィルムを製造するのと同一条件で延伸して得られる2つのフィルムのNzファクターが、2.0以上(より好ましくは5.0以上、よりさらに好ましくは10.0以上)異なるように、組成を決定するのが好ましい。この条件を満足する組成のA液とB1液又はB2液を用いて共流延することで、光学異方性層A及びBでNzファクターが2.0以上異なる位相差フィルムを製造することができる。
また、VA型液晶表示装置の光学補償に利用する位相差フィルムの態様の製造方法では、A液、及びB1液、B2液の組成を決定する目安の一例は、以下の通りである。
A液とB1液又はB2液の組成が、A液及びB1液、又はA液及びB2液をそれぞれ単独で、本発明の位相差フィルムを製造するのと同一条件で流延した後、本発明の位相差フィルムを製造するのと同一条件で延伸して得られる2つのフィルムが、A液からなるフィルムが2軸プレート様の性能を示し、B1液又はB2液からなるフィルムがCプレート様の性能を示すように、組成を決定するのが好ましい。ここで、本明細書では、Cプレート様の性能とは、Reが−5〜5nm及びRthが30〜120nmの性能をいうものとする。
次に、準備したドープを共流延する。本発明に利用する共流延については、特に制限はない。例えば特開2008−132778号公報等に記載のフィードブロック型流延ダイなどを用いる、従来公知の共流延法を利用することができる。このフィードブロック型流延ダイは、流延ダイの上流側に、二種以上のドープを合流させる合流手段を接合した流延装置である。
A液とB1液、又はA液とB2液を、フィードブロック型流延ダイから支持体上に流延し、乾燥することで、本発明の位相差フィルムを製造することができる。2層の共流延ダイを用いて、A液とB1液、又はA液とB2液を、共流延する態様では、屈折率異方性材料の濃度が高いA液を支持体側にして共流延すると、屈折率異方性材料が拡散し、屈折率異方性材料の濃度の厚み方向における断続的変化が、失われる傾向がある。その結果、本発明の効果であるReが小さくとも、高い光学補償能を示すという効果が軽減される場合がある。B1液又はB2液を支持体側にして共流延すると、支持体上における乾燥工程中に、屈折率異方性材料が拡散してしまうのを抑制することができ、屈折率異方性材料の濃度の厚み方向における断続的変化を安定的に得ることができる。その結果、Reが小さくとも高い光学補償能を示す、良好な位相差フィルムを製造することができる。
また、ドープの粘度が高い場合や高速流延を行う場合には、共流延ダイから吐出されたドープ液膜に不安定現象が発生し、シャークスキンのような面状となり、位相差フィルムとして用いる際に不都合が生じる場合がある。ドープ液膜の空気に接触するドープや、支持体に接触するドープの粘度を低くすることで、前記シャークスキン現象を抑制することができる。
具体的には、A液及びB1液又はB2液とともに、又はそれぞれに代えて、A液と組成が等しく但し濃度が低いa液、及び/又は、B1液又はB2液と組成が等しく但し濃度が低いb1液又はb2液をそれぞれ準備する。
3層構造の流延ダイを用いる態様では、支持体表面側から、
b1液、B1液、a液、
b1液、A液、a液、又は
b2液、A液、a液
の順で流延することで、面状が良好な本発明の位相差フィルムを得ることができる。
また、4層構造の共流延ダイを用いる態様では、支持体表面側から、
b1液、B1液、A液、a液、又は
b2液、B2液、A液、a液
の順に共流延することで、面状が良好な本発明の位相差フィルムを得ることができる。
また、複数のセルロースアシレート溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口から、ドープをそれぞれ流延させて積層させながらフイルムを作製してもよく(いわゆる逐次流延)、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。例えば、進行方向上流側の第1ダイでB1液又はB2液のドープを、下流側の第2ダイでA液のドープを流延することで本発明のフィルムを得ることができる。
なお、この場合も、ドープの粘度が高い場合や高速流延を行う場合には、共流延ダイから吐出されたドープ液膜に不安定現象が発生してしまうため、第1ダイ及び第2ダイを3層共流延ダイとし、それぞれのドープ液膜両面の粘度を低くすることで、面状のよいフィルムを得ることができる。
また、本発明では、本発明の効果を損なわない範囲で、前記A液及びB1液又はB2液とともに、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層など)用のドープを同時に流延することも実施し得る。例えば、前述の可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤等の添加物濃度が異なるドープを共流延して、積層構造のフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のフィルムを作製することができる。例えば、マット剤は、スキン層に多く、又はスキン層のみに入れることができる。可塑剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。又、コア層とスキン層で可塑剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性の可塑剤及び/又は紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。
またこのような層構成において、双方のスキン層のRe及びRthをそれぞれ同一にした態様では、コア層とのNzファクターがスキン層のそれと差があっても、サーキュラーレターデーションは発生せず0になるため、好ましくない。一方、双方のスキン層のRe及びRthが異なる態様では、Nzファクターは同じだが回転量(Re/Rth)が異なるため、サーキュラーレターデーションが発生するため、好ましい。つまり、コア層とスキン層のNzファクターが異なり、かつ、サーキュラーレターデーションが発生することが、本発明の好ましい態様である。
支持体上に共流延されたドープは、支持体上でウェブとなり、その後、所望により加熱されて、溶媒が除去され、支持体から剥離される。
その他、共流延については、特開2008−132778号公報の内容を参照することができる。
支持体から剥離されたフィルムは、その後、延伸処理を施される。延伸処理は、一軸延伸処理であっても、二軸延伸処理であってもよい。延伸処理は、テンターを用いて実施できる。また、ロール間にて縦延伸を行ってもよい。中でも、流延方向に対して直交方向である、横方向(以下、「TD方向」という場合がある)に延伸するが好ましい。延伸倍率は、1〜300%であるのが好ましく、1〜100%がより好ましく、1〜70%がさらに好ましく、10〜50%がよりさらに好ましい。
延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号 等に記載の例を参考にすることができる。
本発明の位相差フィルムの膜厚については特に制限はない。2層以上の共流延法によりフィルムを製造する場合には、一般的には、膜厚は30〜200μm程度になるであろう。
A液とB1液又はB2液を2層流延ダイを用いて、流延してなる位相差フィルムの態様では、A液からなる層の厚みと、B1液又はB2液からなる層の厚みとは、互いに等しくてもよいし、異なっていてもよい。
上記3層構造の態様及び4層構造の態様でも、各層の厚みについては特に制限はない。外側に配置される粘度の低いドープからなる層は、コアに配置される粘度の高いドープからなる層と比較して、厚みをより小さくするのが好ましい。
2.偏光板
本発明は、本発明の位相差フィルムと直線偏光膜(本明細書では、単に「偏光膜」という)とを少なくとも有する偏光板にも関する。本発明の位相差フィルムは、直線偏光膜の保護膜として利用されていてもよい。本発明の位相差フィルムの表裏面は、Nzファクターに違いがある。Nzファクターが大きい側の面を偏光膜側にして貼合するのが好ましい。
直線偏光膜は、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光膜、もしくはバインダーと、ヨウ素又は二色性色素からなる偏光膜が好ましい。偏光膜におけるヨウ素及び二色性色素は、バインダー中で配向することで偏光性能を発現する。ヨウ素及び二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。現在、市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
偏光膜の本発明の位相差フィルムを貼り付けた表面と反対側の表面には、保護フィルムとして、ポリマーフィルムを配置する(位相差フィルム/偏光膜/ポリマーフィルムの配置とする)ことが好ましい。保護フィルムとして利用するポリマーフィルムの例には、セルロースアシレート類(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等のフィルム)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー、ポリプロピレン)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステル、又はポリスルホンを主成分とするフィルム等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。市販のポリマーフィルム(セルロースアシレート類では、「TD80UL」(富士フイルム社製)、ノルボルネン系ポリマーでは、アートン(JSR製)、ゼオノア(日本ゼオン製)など)も使用することができる。
また保護フィルムは、その最表面が防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜を設けてなることも好ましい。反射防止膜は、従来公知のいずれのものも用いることができる。
3.液晶表示装置
本発明は、本発明の位相差フィルムを有する液晶表示装置にも関する。
本発明の液晶表示装置の一例は、本発明の偏光板を少なくとも一枚有する液晶表示装置である。本発明の位相差フィルムは、液晶表示装置のモードに制限されることなく、種々のモードの液晶表示装置に対して、新たな光学補償作用により、表示特性の改善に寄与することが期待できる。具体的には、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)等の種々の表示モードの液晶表示装置において、新たな光学補償作用により、表示特性の改善に寄与するであろう。特に、垂直配向モード及び水平配向モードの液晶表示装置の光学補償に利用するのが好ましく、垂直配向モードの液晶表示装置の光学補償に利用するのがより好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
1.実施例1
1.−1 A−1溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液A−1を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
Figure 2011075911
1.−2 B溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液Bを調製した。
アセチル基置換度2.85のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 1質量部
トリフェニルホスフェート 7質量部
ジフェニルホスフェート 4質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
1.−3 フィルム101の作製
セルロースアシレート溶液A−1とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ90μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に20%延伸し、厚さ120μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム101として用いた。
2.実施例2
2.−1 A−2溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 7質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
2.−2 フィルム102の作製
セルロースアシレート溶液A−2とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ90μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に18%延伸し、厚さ120μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム102として用いた。
3.実施例3
3.−1 A−3溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液A−3を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 7質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
3.−2 フィルム103の作製
セルロースアシレート溶液A−3とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ90μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に30%延伸し、厚さ110μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム103として用いた。
4.実施例4
4.−1 A−4溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
4.−2 フィルム104の作製
セルロースアシレート溶液A−4とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ70μmと90μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に26%延伸し、厚さ130μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム104として用いた。
5.実施例5
5.−1 A−5溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
5.−2 フィルム105の作製
セルロースアシレート溶液A−5とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ90μmと80μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に16%延伸し、厚さ150μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム105として用いた。
6.実施例6
6.−1 A−6溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
6.−2 フィルム106の作製
セルロースアシレート溶液A−6とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ70μmと80μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に36%延伸し、厚さ120μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム106として用いた。
7.実施例7
7.−1 A−7溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 6質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
7.−2 フィルム107の作製
セルロースアシレート溶液A−7とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ70μmと80μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ120μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム107として用いた。
8. 比較例1
8.−1 溶液H−1の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液H−1を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 7質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
8.−2 フィルムH−1の作製
セルロースアシレート溶液H−1をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に22%延伸し、厚さ75μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−1として用いた。
9. 比較例2
9.−1 溶液H−2の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液H−2を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 7質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
9.−2 フィルムH−2の作製
セルロースアシレート溶液H−2をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に18%延伸し、厚さ93μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−2として用いた。
10. 比較例3
10.−1 溶液H−3の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 7質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
10.−2 フィルムH−3の作製
セルロースアシレート溶液H−3をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ80μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−3として用いた。
11. 比較例4
11.−1 溶液H−4の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 7質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
11.−2 フィルムH−4の作製
セルロースアシレート溶液H−4をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ93μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−4として用いた。
12. 実施例8
12.−1 A−8溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
12.−2 フィルム108の作製
セルロースアシレート溶液A−8とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ105μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に25%延伸し、厚さ135μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム108として用いた。
13. 実施例9
13.−1 A−9溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 2.5質量部
下記化合物 F−2 2質量部
下記化合物 F−3 2質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
Figure 2011075911
13.−2 フィルム109の作製
セルロースアシレート溶液A−9とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ67μmと90μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ130μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム109として用いた。
14. 実施例10
14.−1 A−10溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 2.5質量部
化合物 F−2 2質量部
化合物 F−3 2質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
14.−2 D溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
下記化合物 F−4 6質量部
トリフェニルホスフェート 7質量部
ジフェニルホスフェート 5質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
Figure 2011075911
セルロースアシレート溶液A−10とセルロースアシレート溶液Dをそれぞれ厚さ60μmと75μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ100μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム110として用いた。
15. 実施例11
15.−1 A−11溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
15.−2 B-2溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.85のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 2質量部
トリフェニルホスフェート 7質量部
ジフェニルホスフェート 4質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
15.−3 フィルム111の作製
セルロースアシレート溶液A−11とセルロースアシレート溶液B-2をそれぞれ厚さ100μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に27%延伸し、厚さ130μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム111として用いた。
16. 実施例12
セルロースアシレート溶液A−11とセルロースアシレート溶液B−2をそれぞれ厚さ100μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に30%延伸し、厚さ125μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム112として用いた。
17. 比較例5
17.−1 溶液H−5の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 7質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
17.−2 フィルムH−5の作製
セルロースアシレート溶液H−5をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に27%延伸し、厚さ83μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−5として用いた。
18. 比較例6
TOSHIBA社製の液晶パネル「32C7000」に搭載されていたノルボルネン系フィルムを剥がし、フィルム表面に易接着層を形成した。このフィルムをH−6として使用した。なお、このフィルムの膜厚は70μmであった。
19. 各フィルムの光学特性
作製した各フィルムの光学特性を下記表にまとめる。
Figure 2011075911
20. 液晶表示装置の作製と評価
20.−1 偏光板の作製
上記作製したフィルム101〜112、及びフィルムH−1〜H−5それぞれについて、表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した各フィルムと、同様のアルカリ鹸化処理したフジタックTD80UL(富士フイルム社製)を用意し、これらの鹸化した面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、各フィルムとTD80ULが偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板をそれぞれ作製した。
なお、フィルムH−6については、アルカリ鹸化処理は行わず、フィルム表面に形成した易接着層を偏光膜の表面と貼合した。それ以外は同様にして偏光板を作製した。
20.−2 液晶表示装置の作製
上記作製した各偏光板を用いて、実施例1〜12、及び比較例1〜6の液晶表示装置をそれぞれ作製した。
具体的には、液晶セルとして、VAモード液晶セル(Δnd=310nm)を用い、上記で作製した各偏光板をバックライト側の偏光板として、液晶表示装置を作製した。また、表示面側の偏光板と液晶セルとの間の位相差フィルム(液晶セル側偏光板保護フィルム)としては、組合せられるバックライト側の位相差フィルムとセルのΔndを考慮して、下記に示す光学特性のフィルムT−1〜T−3のいずれかから選択して使用した。組合せについては、下記表に示す。なお、これらのフィルムT−1〜T−3は、いずれも市販のセルロースアシレートフィルムである。
フィルムT−1:Re 1nm、Rth 60nm
フィルムT−2:Re 1nm、Rth 2nm
フィルムT−3:Re 1nm、Rth 40nm
20.−3 液晶表示装置の評価
・黒表示時、白表示時の透過率
上記で作製した各液晶表示装置について、黒表示時及び白表示の、正面方向及び斜め方向(極角45度・方位角60度方向)の透過率を測定することにより正面コントラスト及び斜め方向のコントラストを求めた。結果を下記表に示す。
・黒表示時のカラーシフト
上記で作製した各液晶表示装置について、黒表示時の色味変化Δu’v’(=√(u’max−u’min)2+(v’max−v’min)2)をそれぞれ測定した。ここで、u’max(v’max)は0〜360度のうち最大のu’(v’)、u’min(v’min)は0〜360度のうち最小のu’(v’)である。結果を下記表に示す。
Figure 2011075911
上記表に示す結果から、本発明の位相差フィルムを用いた本発明の液晶表示装置は、比較例の液晶表示装置と比較して、斜め方向のコントラストが同等以上であり、黒表示時の斜め方向のカラーシフトが軽減され、かつ、正面CRが高いことが理解できる。
21. 実施例13
21.−1 A−13溶液の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液A−13を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
21.−2 フィルム113の作製
セルロースアシレート溶液A−13とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ60μmと60μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ80μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム113として用いた。
22. 実施例14
セルロースアシレート溶液A−13とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ70μmと60μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ90μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム114として用いた。
23. 実施例15
セルロースアシレート溶液A−13とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ80μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ90μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム115として用いた。
24. 実施例16
セルロースアシレート溶液A−13とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ60μmと80μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ100μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム116として用いた。
25. 比較例7
25.−1 溶液H−7の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液H−7を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
25.−2 フィルムH−7の作製
セルロースアシレート溶液H−7をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に32%延伸し、厚さ55μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−7として用いた。
26. 比較例8
26.−1 溶液H−8の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液H−8を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 5質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
26.−2 フィルムH−8の作製
セルロースアシレート溶液H−8をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に30%延伸し、厚さ60μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−8として用いた。
27. 比較例9
27.−1 溶液H−9の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液H−9を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−2 2質量部
化合物 F−3 6質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
27.−2 フィルムH−9の作製
セルロースアシレート溶液H−9をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に20%延伸し、厚さ60μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−9として用いた。
28. 実施例17
セルロースアシレート溶液A−13とセルロースアシレート溶液Bをそれぞれ厚さ73μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ83μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム117として用いた。
29. 実施例18
セルロースアシレート溶液A−10とセルロースアシレート溶液Dをそれぞれ厚さ65μmと40μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ65μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム118として用いた。
30. 実施例19
セルロースアシレート溶液A−13とセルロースアシレート溶液B−2をそれぞれ厚さ75μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ85μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム119として用いた。
31. 実施例20
セルロースアシレート溶液A−13とセルロースアシレート溶液B−2をそれぞれ厚さ70μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に40%延伸し、厚さ80μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム120として用いた。
32. 実施例21
32.−1 溶液A−21の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液A−21を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4.6質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
32.−2 溶液B−21の調製
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4.3質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
32.−3 フィルム121の作製
セルロースアシレート溶液A−21とセルロースアシレート溶液B−21をそれぞれ厚さ50μmと50μmになるように、バンド流延機を用いて共流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ60μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルム121として用いた。
33. 比較例10
セルロースアシレート溶液A−13をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンドから剥離し、その後130℃で30分乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ60μmのセルロースアシレートフィルムを作製した。これをフィルムH−10として用いた。
34. 比較例11
SHARP社製の液晶パネル「LC−37XJ」に搭載されていたノルボルネン系フィルムを剥がし、フィルム表面に易接着層を形成した。このフィルムをH−11として使用した。なお、このフィルムの膜厚は70μmであった。
35. 比較例12
SONY社製の液晶パネル「KDL−40F5」に搭載されていたセルロース系フィルムを剥がし、フィルム表面に易接着層を形成した。このフィルムをH−12として使用した。なお、このフィルムの膜厚は42μmであった。
36. 比較例13
36.−1 溶液H−13の調製
下記に記載の割合で各成分を混合してセルロースアシレート溶液H−13を調製した。
アセチル基置換度2.81のセルロースアシレート 100質量部
化合物 F−1 4質量部
トリフェニルホスフェート 3質量部
ジフェニルホスフェート 2質量部
メチレンクロライド 418質量部
メタノール 62質量部
36.−2 フィルムH−13の作製
セルロースアシレート溶液H−13をバンド流延機を用いて流延し、得られたウェブをバンド上で温度130℃、風速3m/sの乾燥風をあてながら20分間乾燥した。その後180℃の条件下、TD方向に35%延伸し、厚さ60μmのセルロースアシレートフィルムH−13を作製した。これをフィルムH−13として用いた。
37. 各フィルムの光学特性
作製した各フィルムの光学特性を下記表にまとめる。
Figure 2011075911
38. 液晶表示装置の作製と評価
38.−1 偏光板の作製
上記作製したフィルム113〜121、H−7〜H−10、及びH−13のそれぞれについて、表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した各フィルムと、同様のアルカリ鹸化処理したフジタックTD80UL(富士フイルム社製)を用意し、これらの鹸化した面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、各フィルムとTD80ULが偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板をそれぞれ作製した。
なお、フィルムH−11及びH−12については、アルカリ鹸化処理は行わず、フィルム表面に形成した易接着層を偏光膜の表面と貼合した。それ以外は同様にして偏光板を作製した。
38.−2 液晶表示装置の作製
上記作製した各偏光板を用いて、実施例13〜21、及び比較例7〜13の液晶表示装置をそれぞれ作製した。
具体的には、液晶セルとして、VAモード液晶セル(Δnd=300nm)を用い、上記で作製した各偏光板を1枚ずつ、表示面側及びバックライト側の偏光板として用い、下記表に示す組合せでそれぞれ組み込んで、液晶表示装置を作製した。なお、それぞれの位相差膜の遅相軸を、互いに直交させて配置した。
38.−3 液晶表示装置の評価
・黒表示時、白表示時の透過率
上記で作製した各液晶表示装置について、黒表示時及び白表示の、正面方向及び斜め方向(極角45度・方位角60度方向)の透過率を測定することにより正面コントラスト及び斜め方向のコントラストを求めた。結果を下記表に示す。
・黒表示時のカラーシフト
上記で作製した各液晶表示装置について、黒表示時の色味変化Δu’v’(=√(u’max−u’min)2+(v’max−v’min)2)をそれぞれ測定した。ここで、u’max(v’max)は0〜360度のうち最大のu’(v’)、u’min(v’min)は0〜360度のうち最小のu’(v’)である。結果を下記表に示す。
Figure 2011075911
上記表に示す結果から、本発明の位相差フィルムを用いた本発明の液晶表示装置は、比較例の液晶表示装置と比較して、斜め方向のコントラスト同等以上、及び黒表示時の斜め方向のカラーシフトが軽減、かつ、正面CRが高いことが理解できる。
特に、実施例17〜19は、Re_off、Rth_off、Nzファクターの差、及びサーキュラーレターデーションの値が、いずれも好ましい範囲にある本発明の位相差フィルムを利用しているので、正面CR、カラーシフト、視野角CRのいずれの点でも顕著に優れていたことが理解できる。
なお、比較例13で用いたフィルムH−13には、サーキュラーレターデーションの発現が認められたが、実施例と比較して、改善効果は低かった。この理由は、フィルムH−13は、その製造工程において乾燥条件が調整されているので、Nzファクターが厚み方向に変化した構造が形成されたものの、その変化が厚み方向において連続的であり、本発明の断続的変化とは異なっていたため、サーキュラーレターデーションが十分に発現されなかったためと推測される。

Claims (25)

  1. 少なくとも1種の屈折率異方性物質とポリマーAとを含有する光学異方性層A、及び
    少なくとも1種の屈折率異方性物質を光学異方性層Aよりも少ない割合で含有するか、もしくは屈折率異方性物質を含有せず、且つ該ポリマーAと主成分が同一であるポリマーBとを含有する光学異方性層B、の少なくとも2層が厚み方向に積層されてなり、前記光学異方性層A及びBのNzファクターが厚み方向で断続的に異なることを特徴とする位相差フィルム。
  2. 光学異方性層A及びBのNzファクターの差が2.0以上であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 極角60度及び方位角45度の方向における波長550nmのサーキュラーレターデーションが、0.5nm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相差フィルム。
  4. 前記光学異方性層A及び前記光学異方性層Bの少なくとも2層の積層体を共流延により形成した後、延伸してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. Re_offが、50〜80nmであり、且つRth_offが、190〜230nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  6. Re_offが、45〜65nmであり、且つRth_offが、110〜130nm0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  7. 面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthが、可視光域において同一の波長分散性を示すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  8. 面内レターデーションRe及び厚み方向レターデーションRthが、可視光域において互いに異なる波長分散性を示すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  9. 前記光学異方性層A及びBが、少なくとも1種のセルロースアシレートを主成分として含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  10. 前記光学異方性層A及びBが、アセチル、プロピオニル及びブチリル基から選ばれる少なくとも2種のアシル基を有する少なくとも1種のセルロースアシレートを含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  11. 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、波長250nm〜380nmに吸収極大がある円盤状化合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  12. 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、液晶性化合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  13. 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、下記一般式(A)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の位相差フィルム:
    Figure 2011075911
    式中、L1及びL2は各々独立に単結合又は二価の連結基を表し;A1及びA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子又は置換基を表す)、−S−及び−CO−からなる群から選ばれる基を表し;R1、R2及びR3は各々独立に置換基を表し;Xは第14〜16族の非金属原子を表し(ただし、Xには水素原子又は置換基が結合してもよい);nは0〜2までのいずれかの整数を表す。
  14. 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、下記一般式(a)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の位相差フィルム;
    一般式(a):Ar1−L2−X−L3−Ar2
    上記一般式(a)において、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に、芳香族基であり、L2及びL3は、それぞれ独立に、−O−CO−又はCO−O−基より選ばれる二価の連結基であり、Xは、1,4−シクロへキシレン基、ビニレン基又はエチニレン基である。
  15. 前記少なくとも1種の屈折率異方性材料が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の位相差フィルム;
    Figure 2011075911
    式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−である。また、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
  16. 膜厚が30〜200μmであることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  17. 主成分として少なくとも1種のポリマー、及び少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有するA液、及び主成分として前記少なくとも1種のポリマーを含有するとともに少なくとも1種の屈折率異方性材料を含有しないB1液、又は主成分として前記少なくとも1種のポリマーを含有するとともに少なくとも1種の屈折率異方性材料をA液と比較してより少ない割合で含有するB2液を、それぞれ準備すること、
    A液とB1液又はB2液とを支持体の表面に共流延して製膜すること、
    該膜を延伸すること、
    を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の位相差フィルムの製造方法。
  18. 延伸倍率1〜300%で延伸することを特徴とする請求項17に記載の方法。
  19. B1液又はB2液を、支持体の表面により近い側にして、共流延することを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
  20. A液及びB1液又はB2液とともに、又はそれぞれに代えて、A液と組成が等しく但し濃度が低いa液、及び/又は、B1液又はB2液と組成が等しく但し濃度が低いb1液又はb2液をそれぞれ準備すること、支持体表面側から、
    b1液、B1液、a液、
    b1液、A液、a液、
    b2液、A液、a液
    b1液、B1液、A液、a液、又は
    b2液、B2液、A液、a液
    の順で共流延すること、
    を含むことを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. A液及びB1液又はB2液の組成が、以下の条件:
    (条件)
    A液及びB1液又はB2液をそれぞれ単独で同一条件で流延した後、同一条件で延伸して得られる2つのフィルムのNzファクターが、2.0以上異なる;
    を満足することを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 偏光膜と、該偏光膜の少なくとも一方の面に請求項1〜16のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有することを特徴とする偏光板。
  23. 前記偏光膜の少なくとも一方の面に、前記位相差フィルムのNzファクターが高い側の面が貼合されていることを特徴とする請求項22に記載の偏光板。
  24. 液晶セルおよび少なくとも1枚の偏光膜を有する液晶表示装置であって、該偏光膜と該液晶セルとの間に請求項1〜16のいずれか1項に記載の位相差フィルムを有する液晶表示装置。
  25. 前記液晶表示セルが垂直配向モードであることを特徴とする請求項24に記載の液晶表示装置。
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