JP2008134629A - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008134629A
JP2008134629A JP2007280025A JP2007280025A JP2008134629A JP 2008134629 A JP2008134629 A JP 2008134629A JP 2007280025 A JP2007280025 A JP 2007280025A JP 2007280025 A JP2007280025 A JP 2007280025A JP 2008134629 A JP2008134629 A JP 2008134629A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rth
group
liquid crystal
anisotropic layer
crystal display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007280025A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5291323B2 (ja
Inventor
Hiroshi Toyama
浩史 遠山
Hajime Nakayama
元 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2007280025A priority Critical patent/JP5291323B2/ja
Publication of JP2008134629A publication Critical patent/JP2008134629A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5291323B2 publication Critical patent/JP5291323B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)

Abstract

【課題】
【解決手段】 透過軸を互いに直交にして配置された第1及び第2の偏光子(11,12)と、該第1及び第2の偏光子の間に配置された液晶層(13)と、前記第1もしくは第2の偏光子と液晶層との間に第1の光学異方性層(14)とを有する液晶表示装置であって、前記第1の光学異方性層(14)の面内レターデーション(Re)が、可視光域の波長λ1において正となり、可視光域の波長λ2(但しλ1≠λ2)において負となり、及び|Rth(550)|が50nm以上であることを特徴とする液晶表示装置である。
【選択図】 図1

Description

本発明は視野角特性に優れた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、低電圧・低消費電力で小型化・薄膜化が可能など様々な利点からパーソナルコンピューターや携帯機器のモニター、テレビ用途に広く利用されている。このような液晶表示装置は液晶セル内の液晶分子の配列状態により様々なモードが提案されているが、従来は液晶セルの下側基板から上側基板に向かって約90°捩れた配列状態になるTNモードが主流であった。
一般に液晶表示装置は液晶セル、光学補償シート、及び偏光子から構成される。光学補償シートは画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられており、延伸した複屈折フィルムや透明フィルムに液晶を塗布したフィルムが使用されている。例えば、特許文献1ではディスコティック液晶をトリアセチルセルロースフィルム上に塗布し配向させて固定化した光学補償シートをTNモードの液晶セルに適用し、視野角を広げる技術が開示されている。しかしながら、大画面で様々な角度から見ることが想定されるテレビ用途の液晶表示装置は視野角依存性に対する要求が厳しく、前述のような手法をもってしても要求を満足することはできていない。そのため、IPS(In−Plane Switching)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、VA(Vertically Aligned)モードなど、TNモードとは異なる液晶表示装置が研究されている。特にVAモードはコントラストが高く、比較的製造の歩留まりが高いことからTV用の液晶表示装置として着目されている。
しかしながらVAモードでは、パネル法線方向においてはほぼ完全な黒色表示ができるものの、斜め方向からパネルを観察すると光漏れが発生し、視野角が狭くなるという問題があった。この問題を解決するためにフィルムの3次元方向の屈折率がいずれも異なる、光学的に二軸の位相差板を用いることによりVAモードの視野角特性を向上することが提案されている(例えば特許文献1)。
特開2003−344856
しかしながら上記の方法はある波長域(例えば550nm付近の緑光)に対して光漏れを低減しているのみであり、それ以外の波長域(例えば450nm付近の青光、650nm付近の赤光)に対する光漏れは考慮していない。このため例えば黒表示をして斜めから観察すると、青色や赤色に着色するいわゆるカラーシフトの問題が解決されていなかった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、広範囲の視野角において高いコントラスト比の画像を表示可能であり、カラーシフト(斜め方向から見た際の色味変化)が軽減された液晶表示装置の提供を目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
[1] 透過軸を互いに直交にして配置された第1及び第2の偏光子と、
該第1及び第2の偏光子の間に配置された液晶層と、
前記第1もしくは第2の偏光子と液晶層との間に第1の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、
前記第1の光学異方性層の面内レターデーション(Re)が、可視光域の波長λ1において正となり、可視光域の波長λ2(但しλ1≠λ2)において負となり、及び|Rth(550)|が50nm以上であることを特徴とする液晶表示装置。
[2] 前記第1の光学異方性層が下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする[1]の液晶表示装置:
Re(450)×Re(650)<0 式(1)
|Rth(550)/Re(550)|>10 式(2)
式中、Re(λ)は、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション(単位:nm)であり、第1の光学異方性層のReの正負は、液晶セルに対して同じ側に配置された偏光子の吸収軸を基準とし、該吸収軸と平行方向を正とする。
[3] 前記第1もしくは第2の偏光子と液晶層との間に第2の光学異方性層を有し、前記第2の光学異方性層が、下記式(3)及び(4)を満足することを特徴とする[1]又は[2]の液晶表示装置:
30nm<Re(550)<400nm 式(3)
−100nm<Rth(550)<300nm 式(4)
式中、Re(λ)は、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション(単位:nm)であり;Rth(λ)は、波長λnmの光を入射させて測定した厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。
[4] 前記第1の光学異方性層が、前記液晶層と前記第1の偏光子との間に、及び前記第2の光学異方性層が、前記液晶層と前記第2の偏光子との間に配置されることを特徴とする[3]の液晶表示装置。
[5] VAモードであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[6] 前記第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)>0 、
Re(650)<0 、
Rth(550)>0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
を全て満たすことを特徴とする[5]の液晶表示装置。
[7] 前記第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)>0 、
Re(650)<0 、
Rth(550)>0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
を全て満たすことを特徴とする[5]の液晶表示装置。
[8] 前記第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)<0 、
Re(650)>0 、
Rth(550)>0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
を全て満たすことを特徴とする[5]の液晶表示装置。
[9] 前記第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)<0 、
Re(650)>0 、
Rth(550)>0 、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
を全て満たすことを特徴とする[5]の液晶表示装置。
[10] 水平配向モードであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
[11] 前記第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)<0 、
Re(650)>0 、
Rth(550)<0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
を全て満たすことを特徴とする[10]の液晶表示装置。
[12] 前記第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)<0 、
Re(650)>0 、
Rth(550)<0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
を全て満たすことを特徴とする[10]の液晶表示装置。
[13] 前記第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)>0 、
Re(650)<0 、
Rth(550)<0 、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
を全て満たすことを特徴とする[10]の液晶表示装置。
[14] 前記第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)>0 、
Re(650)<0 、
Rth(550)<0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
を全て満たすことを特徴とする[10]の液晶表示装置。
[15] 前記第1の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする[1]〜[14]のいずれかの液晶表示装置。
[16] 前記第1の光学異方性層が、Rth発現剤を少なくとも一種類含有することを特徴とする[1]〜[15]のいずれかの液晶表示装置。
本発明によれば、広範囲の視野角において高いコントラスト比の画像を表示可能であり、カラーシフト(斜め方向から見た際の色味変化)が軽減された液晶表示装置の提供することができる。
以下、本発明について説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また実質的に直交もしくは平行とは、厳密な角度±10°の範囲を意味する。
また、本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(21)及び式(22)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008134629
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d −−−式(22)
式中、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
また式中、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:
セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADH又はWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
また、本明細書では、Re(450)、Re(550)、Re(650)、Rth(450)、Rth(550)、Rth(650)の値は以下のようにして求めた。測定装置により3以上の異なる波長(例としてλ=479.2546.3、632.8、745.3nm)を用いて測定し、それぞれの波長からRe、Rthを算出するものとする。これらの値をコーシーの式(第3項まで、Re=A+B/λ2+C/λ4)にて近似して値A、B、Cを求める。以上より波長λにおけるRe、Rthをプロットし直し、そこから波長450、550、650nmでのReおよびRth値であるRe(450)、Re(550)、Re(650)、Rth(450)、Rth(550)、Rth(650)を求めることができる。
本発明の液晶表示装置は、液晶セル、該液晶セルの両側にそれぞれ配置された第1及び第2の偏光子、及び前記第1及び第2の偏光子の間に、面内レターデーション(Re)が、可視光域の波長λ1において正となり、可視光域の波長λ2(但しλ1≠λ2)において負となり、及び|Rth(550)|が50nm以上である、第1の光学異方性層を有することを特徴とする。前記第1の光学異方性層の一例は、下記式(1)及び式(2)を満足する光学異方性層である。
Re(450)×Re(650)<0 式(1)
Rth(550)/Re(550)>10 式(2)
式中、Re(λ)は、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション(単位:nm)であり、第1の光学異方性層のReの正負は、液晶セルに対して同じ側に配置された偏光子の吸収軸を基準とし、該吸収軸と平行方向を正とする。
式中、Re(λ)は、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション(単位:nm)であり、第1の光学異方性層のReの正負は、液晶セルに対して同じ側に配置された偏光子の吸収軸を基準とし、該吸収軸と平行方向を正とする。
前記第1の光学異方性層は、単独でもしくは他の光学異方性層と組合せされて、種々のモードの液晶表示装置の表示特性の改善に寄与する。前記第1の光学異方性層は、少なくとも1つの光軸を有する光学異方性層と組み合わせられてもよい。
以下、図面を用いて本発明の作用を説明する。
本発明の液晶表示装置の一態様を図1に示す。本発明は液晶表示装置の駆動方式には依存せず、いずれの液晶モードにも有効であろうが、例として、図1では、VAモードの液晶表示装置の構成を示す。図1の液晶表示装置は、液晶セル13と、液晶セル13を挟んで配置された一対の偏光子11と偏光子12とを有する。偏光子11と液晶セル13との間には、上記式(1)及び式(2)を満足する第1の光学異方性層14、及び偏光子12と液晶セル13との間には、少なくとも一つの光軸を有する第2の光学異方性層15を有する。偏光子11及び12は、それぞれの透過軸を互いに直交にして配置されている。また、第2の光学異方性層15は、その面内遅相軸を偏光子12の吸収軸に対して直交にして配置されているのが好ましい。
偏光子11及び12は、いずれがバックライト側であっても、表示面側であってもよい。また、第1の光学異方性層14及び第2の光学異方性層15はそれぞれ、偏光子11及び12の保護フィルムとして、それぞれの表面に接触させて配置されていてもよい。また、偏光子11と第1の光学異方性層14との間、及び偏光子12と第2の光学異方性層15との間には、それぞれ保護フィルムが別途配置されていてもよいが、該保護フィルムは、位相差が0に近い、等方性のフィルムであるのが好ましい。
次に、本発明の作用を図面を用いて説明する。比較のために、図7に一般的なVAモードの液晶表示装置の構成を示す模式図を示した。VAモードの液晶表示装置は、一般的には、電圧無印加時、即ち黒表示時に、液晶が基板面に対して垂直配向する液晶層を有する液晶セル53と、該液晶セル53を挟持し、且つ互いの透過軸方向(図7では縞線で示した)を直交させて配置された偏光板51及び偏光板52とを有する。図7中、光は、偏光板52側から入射するものとする。電圧無印加時に、法線方向、即ち、z軸方向に進む光が入射した場合、偏光板52を通過した光は、直線偏光状態を維持したまま、液晶セル53を通過し、偏光板51において完全に遮光される。その結果、コントラストの高い画像を表示できる。
しかし、図8に示す様に、斜光入射の場合には状況が異なる。光が、z軸方向でない斜め方向、即ち、偏光板51および52の偏光方向に対して斜めの方位(いわゆるOFF AXIS)から入射する場合、入射光は、液晶セル53の垂直配向した液晶層を通過する際に、斜め方向のレターデーションの影響を受け、その偏光状態が変化する。さらに、偏光板51と偏光板52の見かけの透過軸が直交配置からずれる。この2つの要因のため、OFF AXISにおける斜め方向からの入射光は、偏光板51で完全に遮光されず、黒表示時に光抜けが生じ、コントラストを低下させることになる。
ここで、極角と方位角を定義する。極角はフィルム面の法線方向、即ち、図7及び図8中のz軸からの傾き角であり、例えば、フィルム面の法線方向は、極角=0度の方向である。方位角は、x軸の正の方向を基準に反時計回りに回転した方位を表しており、例えばx軸の正の方向は方位角=0度の方向であり、y軸の正の方向は方位角=90度の方向である。前述したOFF AXISにおける斜め方向とは、極角が0度ではない場合で且つ、方位角=45度、135度、225度、315度の場合を主に指す。
従来、VAモードの液晶表示装置の、かかる斜め方向のコントラストの低下を、二軸プレートとCプレートを用いることで解消することが提案されている(例えば、前記特許文献1)。ところで、従来光学補償フィルムには種々の延伸ポリマーフィルムが用いられているが、一般的には、延伸ポリマーフィルムは、面内レターデーションReがRe(450)≧Re(550)≧Re(650)であり、厚さ方向のRthがRth(450)≧Rth(550)≧Rth(650)の関係を満足する、すなわち、Re及びRthがそれぞれ可視光域において短波長ほど大きい値を持つもの(以下、この性質を「順分散性」という場合があり、逆の性質、Re及びRthがそれぞれ可視光域において長波長ほど大きい値を持つ性質を「逆分散性」という場合がある)がほとんどである。
図9に、二軸プレート及びCプレートを用いた従来のVAモード液晶表示装置の一例の模式図を示す。図9の液晶表示装置は、液晶セル53と一対の偏光板51及び52を有し、偏光板52と液晶セル53との間にAプレートの光学補償フィルム55、偏光板51と液晶セル53との間にCプレートの光学補償フィルム54を有する。図10に、図9の構成における補償機構について、ポアンカレ球を用いて説明した図を示す。ポアンカレ球は偏光状態を記述する三次元マップで、球の赤道上は直線偏光を表している。ここで、液晶表示装置内における光の伝播方向は方位角=45度、極角=34度である。図10中、S2軸は、紙面下から上に垂直に貫く軸であり、図10は、ポアンカレ球を、S2軸の正の方向から見た図である。ここで、S1、S2、S3座標は、ある偏光状態のストークスパラメーターの値を表している。また図10は、平面的に示されているので、偏光状態の変化前と変化後の点の変位は、図中直線の矢印で示されているが、実際は、液晶層や光学補償フィルムを通過することによる偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、それぞれの光学特性に応じて決定される特定の軸の回りに、特定の角度回転させることで表される。
図9中の偏光板52を通過した入射光の偏光状態は、図10では点(i)に相当し、図9中の偏光板51の吸収軸によって遮光される偏光状態は、図10では点(ii)に相当する。従来、VAモードの液晶表示装置において、斜め方向におけるOFF AXISの光抜けは、出射光の偏光状態が点(ii)からずれていることに起因する。光学補償フィルムは、一般的に、液晶層における偏光状態の変化も含めて、入射光の偏光状態を正しく点(i)から点(ii)に変化させるために用いられる。
Aプレートである光学補償フィルム55を通過することによる入射光の偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、図10中の「A」を付された矢印で示される軌跡をたどる。ポアンカレ球上での回転角度は、液晶表示装置を観察する斜め方向からの実効的なレターデーションΔn’d’を光の波長λで割った値Δn’d’/λに比例する。上記した通り、光学補償フィルム55として一般的な延伸ポリマーフィルムを用いると、Reは波長が短いほど大きくなり、R、G、Bで実効的なレターデーションReは異なり、且つ波長λの逆数も短波長であるほど大きくなることから、波長が異なるR、G、Bの各波長においては、回転角度はB>G>Rの順となる。すなわち回転後におけるR、G、Bの偏光状態、すなわち(S1、S2、S3)座標は図10に示す通りとなる。
液晶セル53の液晶層は正の屈折率異方性を示し、垂直配向しているので、液晶層を通過することによる入射光の偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、図10中「LC」を付された上から下への矢印で示さる軌跡をたどり、S1軸周りの回転として表される。
次に、Cプレートである光学補償フィルム54を通過する際の、B光、G光、及びR光の偏光状態の変換は、ポアンカレ球上では、図10中、「C」を付した矢印で示されている通り、S1−S2面の法線方向への移動で表される。図10に示す通り、この移動によっては、S1座標が一致せず、異なる偏光状態にあるR光、G光、B光の全てを、点(ii)の偏光状態に変換することは不可能である。このずれた波長の光が偏光板で遮断されないため光漏れが生じる。光の色はR、G、Bの足し合わせからなるので、特定の波長の光だけが光漏れすると、R光、G光、B光の足し合わせの比率がずれるために、色味の変化がおこる。これが、液晶表示装置を斜め方向から見たときに「色味変化」となって観察される。
ここで、本明細書においては、R、G、Bの波長として、Rは波長650nm、Gは波長550nm、Bは波長450nmを用いた。R、G、Bの波長は必ずしもこの波長で代表されるものではないが、本発明の効果を奏する光学特性を規定するのに適当な波長であると考えられる。
本発明では、下記式(1)および式(2)を満足する第1の光学異方性層を用いることで、R光、G光及びB光のいずれについても、偏光状態を点(ii)の位置に変換することを可能としている。
Re(450)×Re(650)<0 式(1)
Rth(550)/Re(550)>10 式(2)
図2に示すポアンカレ球を用いて、図1の構成の本発明の液晶表示装置の補償機構の一例について説明する。斜め方向に入射した光は偏光子12を通過して、図2に示す点(i)の偏光状態の直線偏光となる。次に、第2の光学異方性層15を通過すると、第2の光学異方性層の光学特性によって偏光状態が変換される。かかる偏光状態の変換は、ポアンカレ球上では、図2中「15」を付した矢印で示した通り、第2の光学異方性層15の光学特性によって決定される所定の軸を回転軸として、斜め方向からの実効的なレターデーションΔn’d’を光の波長λで割った値Δn’d’/λに比例する大きさの角度だけの回転として表される。上記した通り、通常、実効的レターデーションは、波長に依存して変化すること、及び波長λの逆数も波長の大きさに依存して変化することから、図2に示す通り、回転後におけるR、G、Bの偏光状態、すなわち(S1、S2、S3)座標はそれぞれ異なる。
液晶セル13の液晶層は正の屈折率異方性を示し、垂直配向しているので、液晶層を通過することによる入射光の偏光状態の変化は、ポアンカレ球上では、図2中「LC」を付された上から下への矢印で示さる軌跡をたどり、S1軸回りの回転として表される。
次に、入射光は第1の光学異方性層14を通過する。第1の光学異方性層14は上記式(2)を満足しているので、入射光の偏光状態の変化は、図2に示す通り、S1軸周りの回転に類似した軌跡をたどる。さらに、第1の光学異方性層14は上記式(1)も満足しているので、R、G、B各波長の光は、第1の光学異方性層14を通過することによって、波長ごとに異なった遅相軸及びレターデーションで光学補償される。より具体的には、波長R(650nm)は(ii)点の右下にあり、ここから点(ii)に移動させるためには、左上へ移動させる必要があり、かかる移動を可能にするためには、第1の光学異方性層14のRe(650)が負で、且つRth(650)が正の値であればよい。同様にして波長G(550nm)は点(ii)の下にあり、ここから点(ii)に移動させるには、第1の光学異方性層14のRe(550)がゼロで、且つRth(550)が正であればよい。さらに、波長B(450nm)は、点(ii)の左下にあり、ここから点(ii)に移動させるためには、右上へ移動させる必要があり、かかる移動を可能にするためには、第1の光学異方性層14のRe(450)が正で、且つRth(450)も正の値であればよい。即ち、図3に模式的にグラフ上に示した光学特性を有する第1の光学異方性層14を用いることによって、R光、G光及びB光のいずれも、点(ii)の偏光状態に変換可能となり、斜め方向から観察した場合の色味変化を軽減することができる(上記の構成が後述する分類のうち分類Aに相当するものである)。
図2に示した光学補償機構は一例であり、本発明では第1の光学異方性層は、前記式(1)および式(2)を満足すればよく、第1の光学異方性層のRe及びRthの波長依存性については特に制限されない。第1の光学異方性層のRe及びRthの波長依存性は、順分散性、逆分散性及び一定のいずれであってもよく、第2の光学異方性層のRe及び/又はRthの波長依存性に応じて、決定することができる。
図4に、第2の光学異方性層のRe及びRthの波長依存性と、第1の光学異方性層のRe及びRthの波長依存性との好ましい組み合わせを、分類A〜Hとして示した。なお、図4中のグラフは、理解を容易にするために模式的に記述したものであり、実際の光学特性を測定して作成したグラフではない。後述する図6中のグラフについても同様である。
分類Aは、第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)>0 、
Re(650)<0 、
Rth(550)>0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
を全て満たす態様である。Re及びRthの双方が順分散性を示す第2の光学異方性層と組み合わせるのが好ましい。本態様において、第1の光学異方性層は、さらにRe(450)>5nm、Re(650)<−5nmを満足するのが好ましい。また、第2の光学異方性層は、0.70<Rth(450)/Rth(550)<1.15を満足するのがより好ましく、0.90<Rth(450)/Rth(550)<1.10を満足するのがさらに好ましい。
分類Bは、第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)>0 、
Re(650)<0 、
Rth(550)>0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
を全て満たす態様である。Reが逆分散性を示し、且つRthが順分散性を示す第2の光学異方性層と組み合わせるのが好ましい。本態様において、第1の光学異方性層は、さらにRe(450)>5nm、Re(650)<−5nmを満足するのが好ましい。また、第2の光学異方性層は、Rth(450)/Rth(550)≧1.15かつRth(550)/Rth(650)≧1.15を満たすことが好ましく、Rth(450)/Rth(550)≧1.10を満たすことがさらに好ましい。
分類Cは、第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)<0 、
Re(650)>0 、
Rth(550)>0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
を全て満たす態様である。Re及びRthの双方が逆分散性を示す第2の光学異方性層と組み合わせるのが好ましい。本態様においては、第1の光学異方性層は、さらにRe(450)<−5nm、Re(650)>5nmを満足するのが好ましい。また、第2の光学異方性層は、Re(450)/Re(550)<0.70を満たすことがより好ましい。
分類Dは、第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)<0 、
Re(650)>0 、
Rth(550)>0 、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
を全て満たす態様である。第2の光学異方性層として、Re及びRthの双方が逆分散性を示す光学異方性層と、Reが可視光域のいずれの波長においても略0で且つRthが順分散性を示す光学異方性層との積層体を用いるのが好ましい。本態様において、第1の光学異方性層は、さらに、Re(450)<−5nm、Re(650)>5nmを満足するのが好ましい。また、第2の光学異方性層は、Re(450)/Re(550)<0.80を満たす光学異方性層と、Rth(450)/Rth(550)>1.25を満たす光学異方性層との積層体を用いるのがより好ましく;Re(450)/Re(550)<0.75を満たす光学異方性層と、Rth(450)/Rth(550)>1.30を満たす光学異方性層との積層体を用いるのがさらに好ましい。
分類Eは、第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)<0 、
Re(650)>0 、
Rth(550)<0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
を全て満たす態様である。Re及びRthの双方が順分散性を示す第2の光学異方性層と組み合わせるのが好ましい。本態様では、第1の光学異方性層は、Re(450)<−5nm、Re(650)>5nmを満足するのがより好ましい。また、第2の光学異方性層は、0.70<Rth(450)/Rth(550)<1.15を満たすことがより好ましく、0.90<Rth(450)/Rth(550)<1.10を満たすことがさらに好ましい。
分類Fは、第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)<0 、
Re(650)>0 、
Rth(550)<0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
を全て満たす態様である。本態様では、Reが逆分散性を示し、Rthが順分散性を示す第2の光学異方性層と組み合わせるのが好ましい。第1の光学異方性層は、さらに、Re(450)<−5nm、Re(650)>5nmを満足するのがより好ましい。また、第2の光学異方性層は、Rth(450)/Rth(550)≧1.15かつRth(550)/Rth(650)≧1.15を満たすことがより好ましく、Rth(450)/Rth(550)≧1.10を満たすことがさらに好ましい。
分類Gは、第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)>0 、
Re(650)<0 、
Rth(550)<0 、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
を全て満たす態様である。Re及びRthの双方が逆分散性を示す第2の光学異方性層と組み合わせるのが好ましい。本態様においては、第1の光学異方性層は、さらにRe(450)<−5nm、Re(650)>5nmを満足するのが好ましい。また、第2の光学異方性層は、Re(450)/Re(550)<0.70を満たすことがより好ましい。
分類Hは、第1の光学異方性層が、下記式
Re(450)>0 、
Re(650)<0 、
Rth(550)<0、及び
|Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
を全て満たす態様である。第2の光学異方性層として、Re及びRthの双方が逆分散性を示す光学異方性層と、Reが可視光域のいずれの波長においても略0で且つRthが順分散性を示す光学異方性層との積層体を用いるのが好ましい。本態様において、第1の光学異方性層は、さらに、Re(450)<−5nm、Re(650)>5nmを満足するのが好ましい。また、第2の光学異方性層は、Re(450)/Re(550)<0.80を満たす光学異方性層と、Rth(450)/Rth(550)>1.25を満たす光学異方性層との積層体を用いるのがより好ましく;Re(450)/Re(550)<0.75を満たす光学異方性層と、Rth(450)/Rth(550)>1.30を満たす光学異方性層との積層体を用いるのがさらに好ましい。
なお、図1には、第1及び第2の光学異方性層を液晶セルを挟んで配置した態様を示したが、第1及び第2の光学異方性層の双方が、液晶セルと表示面側偏光子との間、又は液晶セルとバックライト側偏光子との間に配置されていてもよい。
また、上記では垂直配向モードの液晶表示装置の態様について説明したが、本発明は、かかる態様に限定されるものではなく、IPSモード等の水平配向モードであってもよい。
図5に、本発明をIPSモードの液晶表示装置に適用した例について、断面模式図を示す。図5の液晶表示装置は、一対の偏光子21及び22と、該一対の偏光子の間に配置されたIPSモードの液晶セル23と、偏光子21と液晶セル23との間に、上記式(1)及び(2)を満足する第1の光学異方性層24と、少なくとも一つの光軸を有する第2の光学異方性層25とを有する。偏光子21及び22は、それぞれの吸収軸(図5中、21及び22中の矢印)を互いに直交にして配置されている。また、第2の光学異方性層25は、その面内遅相軸を偏光子21の吸収軸に対して平行にして配置されている。
なお、図5中では、偏光子22と液晶セル23との間には、なんら層が配置されていないが、偏光子22の保護フィルムが配置されるのが一般的である。図5に示す態様では、液晶セル23との間に配置される偏光子22の保護フィルムは、レターデーションがほぼ0のフィルムが好ましく、例えば、特開2005−138375号公報に記載のセルロースアシレートフィルムが好ましい。
液晶セル23は、IPSモードの液晶セルであり、電圧無印加状態(又は低印加状態)で黒表示を、電圧印加状態で白表示を行う。液晶セルの上下基板の液晶に接触する表面には、配向膜が形成されていて、液晶分子は、基板の表面に対して略平行に配向し、且つ配向膜上に施されたラビング処理方向により、黒表示時に、その長軸をバックライト側の偏光子(図5では偏光子22)の吸収軸に平行にして配向するように制御されている。即ち、液晶セル23は、入射光に対して、偏光子22の吸収軸と平行な方向に遅相軸を有するA−plate様の作用をする。
図6に、黒表示時における図5の構成の液晶表示装置の補償機構について、ポアンカレ球を用いて説明した図を示す。図6中の分類E〜分類Hは、第1及び第2の光学異方性層のRe・Rth波長依存性の好ましい組み合わせの分類であり、図4中の分類E〜Hとそれぞれ同一である。
図5中、偏光子22に入射した偏光状態は、(i)に位置する。液晶セル23を通過すると、偏光状態は液晶セル23の複屈折性によって変化するが、上記した通り、液晶セル23は、入射光に対して、偏光子22の吸収軸と平行な方向に遅相軸を有するA−plate様の作用をするので、その変化は(i)を中心とする回転として表現される。そのため、液晶セル23を通過した光の偏光状態は、(i)のまま動かない。その後、第2の光学異方性層25を通過する際に、その複屈折性によって偏光状態が変換され、且つ、図6に示す通り、Re・Rth波長依存性に応じて、R,G,Bの各波長で異なった偏光状態となる。図6に示す分類に従って、所定のRe・Rth波長依存性を示す第1の光学異方性層を選択することによって、第2の光学異方性層25を通過することによって分離してしまったR,G,Bのそれぞれ異なる偏光状態を、偏光子21の消光点(ii)に変換することができる。
第1及び第2の光学異方性層のレターデーション値を、液晶セルの光学特性等との関係で適宜組み合わせることで、いずれのモードにおいても、視野角コントラストが良好で、色味変化の少ない液晶表示装置を実現することができる。垂直配向モード、例えばVAモード、の液晶セルを有する態様では、第1の光学異方性層のRth(550)と、第2の光学異方性層のRth(550)との和が、100nm〜400nmであるのが好ましく、200nm〜300nmであるのがより好ましい。また、水平配向モード、例えばIPSモード、の液晶セルを有する態様では、第1の光学異方性層のRth(550)と、第2の光学異方性層のRth(550)との和が、−150nm〜100nmであるのが好ましく、−100nm〜50nmであるのがさらに好ましい。
次に、本発明に使用可能な第1の光学異方性層、及び第2の光学異方性層について、その光学特性、材料、及び製造方法等について詳細に説明する。
[第1の光学異方性層]
本発明では、第1の光学異方性層として、下記式(1)及び(2)を満足する光学異方性層を用いる。
Re(450)×Re(650)<0 式(1)
Rth(550)/Re(550)>10 式(2)
なお、本発明には、第1の光学異方性層のReが、Re(550)=0を満足する態様も含まれるものとする。Rth(550)/Re(550)>15を満足しているのが好ましい。前記第1の光学異方性層は、Rth(550)の値によらず色味変化低減に寄与し得るが、|Rth(550)|の値が大きい方が、色味補償の効果が大きく、|Rth(550)|≧50nmである。また、一般的には、|Rth(550)|は、200nm以下であるのが好ましく、140nm以下であるのがより好ましく、80nm以下であるのがさらに好ましい。一方、|Re(550)|は、小さいのが好ましく、|Re(550)|<20nmであるのが好ましい。
式(1)を満足する光学異方性層は、種々の方法で作製することができる。例えば、ポリマーフィルムの波長分散特性は、高分子主鎖(通常、フィルムの長手方向に沿っている)の分極率と、該主鎖に直交する方向に存在する側鎖の分極率に影響される。また、ポリマーフィルムのUV波長域の吸収ピークの位置にも影響される。したがって、これらの波長分散特性に影響を与える因子を調整することで、式(1)を満足するポリマーフィルムが得られる。
例えば、セルロースアシレートは、セルロース単位中の水酸基の水素原子がアシル基によって置換されていて、それらのアシル基の存在が、主鎖に直交する方向に分極率異方性を生じさせる。したがって、セルロースアシレートを利用して、第1の光学異方性に要求される特性を満足するポリマーフィルムを作製することができる。また、セルロースアシレート以外にも、側鎖に分極率異方性を持つ置換基を導入した種々のポリマーを選択し、第1の光学異方性に要求される特性を満足するポリマーフィルムを作製することができる。
また作製方法の一例を挙げると、ポリマーフィルムをクリップなどで保持する際又は少なくとも一方向に延伸する際の温度、及び/またはその処理時間によって、高分子の側鎖の結晶化の程度を調整することができ、それにより所望のRe波長分散特性が得られる。
[第2の光学異方性層]
本発明の液晶表示装置は、少なくとも一つの光軸を有する第2の光学異方性層を有していてもよい。前記第2の光学異方性層は、少なくとも一つの光軸を有する限り、光学特性については特に制限されない。例えば、一般的にAプレートといわれている位相差板を用いることができる。一般的には、前記第2の光学異方性層は、下記式(3)及び(4)を満足しているのが好ましい。
30nm<Re(550)<400nm 式(3)
−100nm<Rth(550)<300nm 式(4)
さらに、下記式(3)’を満足するのが好ましく、又はさらに下記式(4)’を満足するのが好ましい。
40nm<Re(550)<300nm 式(3)’
−50nm<Rth(550)<250nm 式(4)’
前記第1の光学異方性層及び第2の光学異方性層の材料については特に制限されない。第1及び第2の光学異方性層がポリマーフィルムであると、偏光子と貼り合わせることができる。前記ポリマーフィルムの材料としては、光学性能、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるポリマーが好ましいが、上述の条件を満たす範囲であればどのような材料を用いてもよい。例えば、ポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー等が挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーを混合したポリマーも例として挙げられる。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を好ましく用いることができる。熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、日本ゼオン(株)製のゼオネックス、ゼオノア、JSR(株)製のアートン等が挙げられる。
また、前記ポリマーフィルムを形成する材料としては、従来偏光板の透明保護フィルムとして用いられてきたセルロース系ポリマー(以下、セルロースアシレートという)を特に好ましく用いることができる。セルロースアシレートの代表例としては、トリアセチルセルロースが挙げられる。セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば、丸澤、宇田著、「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」日刊工業新聞社(1970年発行)や発明協会公開技報公技番号2001−1745号(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、前記セルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
第1の光学異方性層用のセルロースアシレートフィルムは、二種類以上の置換基を有するセルロースアシレートを含む組成物からなることが好ましい。かかるセルロースアシレートの好ましい例には、アシル化度が2〜2.9であり、複数のアシル基(たとえば、アセチル基及び炭素数が3〜4のアシル基)を有する混合脂肪酸エステルが含まれる。前記混合脂肪酸エステルのアシル化度は2.2〜2.85がさらに好ましく、2.4〜2.8がよりさらに好ましい。また、アセチル化度は2.5未満が好ましく、1.9未満がさらに好ましい。脂肪酸エステル残基において、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20であることが好ましい。具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられ、好ましくはアセチル、プロピオニル及びブチリルである。
前記セルロースアシレートは、脂肪酸アシル基と置換もしくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルであってもよい。
芳香族アシル基の置換度はセルロース脂肪酸モノエステルの場合、残存する水酸基に対して、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは0.1〜2.0である。また、セルロース脂肪酸ジエステル(二酢酸セルロース)の場合、残存する水酸基に対して、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.1〜1.0である。
前記セルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することがよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。工業的に最も一般的な合成方法では、綿花リンタや木材パルプなどから得たセルロースをアセチル基及び他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)又はそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
前記セルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造されるのが好ましい。ソルベントキャスト法を利用したセルロースアシレートフィルムの製造例については、 米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号及び同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号及び同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号及び同62−115035号等の記載を参考にすることができる。また、前記セルロースアシレートフィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法及び条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号 等に記載の例を参考にすることができる。また、第1の光学異方性層に要求される光学特性を満足するセルロースアシレートフィルムを作製する場合は、横延伸処理(フィルムの幅方向の延伸処理であって、縦(機械)方向に対して直交方向)するか、延伸処理の代わりに、テンタークリップで把持した状態で搬送するのが好ましく、これらの処理時の温度及び/又は処理時間が、Reの波長分散特性に影響することは上記した通りである。
第1の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、Rth発現剤を添加すしてもよい。ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する又は増加させる性質を有する化合物である。
前記Rth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。前記Rth発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
Figure 2008134629
式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−又はS−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−又はS−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−又はS−である。また、R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基又は複素環基であり;R4、R5及びR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
以下に前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例(I−(1)〜IV−(10))を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
前記Rth発現剤としては下記一般式(III)で表される化合物も好ましい。以下に一般式(III)の化合物に関して詳細に説明する
Figure 2008134629
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。前記置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(III)におけるR2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
一般式(III)におけるR4として好ましくは、水素原子又は電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メトキシ基である。
一般式(III)におけるR5として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
一般式(III)におけるR11、R13はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、R11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。ここでヘテロ原子とは水素原子、炭素原子以外の原子のことを表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン、ケイ素、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ホウ素などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、又は環状であって、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。)、更に環構造が多いトリシクロ構造などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等を挙げることができる。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、ビシクロアルキル基としては、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。
11として更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
13として特に好ましくは、炭素原子2個以上を含むアルキル基であり、より好ましくは炭素原子3個以上を含むアルキル基である。分岐又は環状構造をもったものは特に好ましく用いられる。
以下にR13で表されるアルキル基の具体例(O−1〜O−20)を挙げて説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。尚、下記具体例中、「#」は酸素原子側を意味する。
Figure 2008134629
一般式(III)におけるAr1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、繰り返し単位中のAr1は、すべて同一であっても異なっていてもよい。また、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表す。
一般式(III)中、Ar1で表されるアリーレン基として好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar1で表されるアリーレン基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、p−メチルフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar2で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar2で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であることができ、好ましくは5〜6員環の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましいものは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
一般式(III)中、L1、L2はそれぞれ独立に単結合、又は2価の連結基を表す。L1、L2は、同じであってもよく異なっていてもよい。また、繰り返し単位中のL2は、すべて同一であっても異なっていてもよい。
前記二価の連結基として好ましいものは、−O−、−NR―(Rは水素原子又は置換基を有してもよいアルキル基又はアリール基をあらわす)、−CO−、−SO2−、−S−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基及びこれらの二価の基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR−、−CO−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基である。Rは好ましくは水素原子を表す。
本発明における一般式(III)で表される化合物において、Ar1はL1及びL2と結合するが、Ar1がフェニレン基である場合、L1-Ar1−L2、及びL2-Ar1−L2は互いにパラ位(1,4−位)の関係にあることが特に好ましい。
一般式(III)中、nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜6であり、さらに好ましくは3〜5である。
前記一般式(III)で表される化合物としては、下記一般式(IV)及び(V)で表される化合物を特に好ましく用いることができる。
Figure 2008134629
一般式(IV)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(IV)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2についても一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
Figure 2008134629
一般式(V)中、R2、R5はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2は一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(V)において、R14は水素原子又はアルキル基を表し、アルキル基としてはR11、R13の好ましい例として示したアルキル基が好ましく用いられる。前記R14として好ましくは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。R11とR14とは同一であってもよいし異なっていてもよいが、ともにメチル基であることが特に好ましい。
また、前記一般式(V)で表される化合物としては、一般式(V―A)もしくは一般式(V−B)で表される化合物も好ましい。
Figure 2008134629
一般式(V−A)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―A)中、R2、R5、R11、R13、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
Figure 2008134629
一般式(V−B)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R11、R13、R14は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合又は二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基又は芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL1、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。
一般式(V―B)中、R2、R5、R11、R13、R14、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)及び(V)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(V−A)で表される化合物として好ましいものは、R11がいずれもメチル基であり、R2、R5がいずれも水素原子であり、R13が炭素原子3個以上をもつアルキル基であり、L1が、単結合、−O−、−CO−、−NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、及びOCO−、アルキニレン基(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、L2が−O−又はNR−(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、Ar1がアリーレン基であり、nが3〜6であるものを挙げることができる。
以下に一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
Figure 2008134629
一般式(III)で表される化合物はまず置換安息香酸を合成した後に、この置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体との一般的なエステル反応もしくはアミド化反応によって合成でき、エステル結合、アミド結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体を脱水縮合する方法などが挙げられる。
一般式(III)で表される化合物の製造方法としては、製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
一般式(III)で表される化合物の製造方法においては、反応溶媒として、炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、前記溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
また、本反応には塩基を用いないのが好ましい。塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、n=4である化合物の場合、下記構造Aを有する原料化合物と水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応により得られた下記中間体B 2分子を、下記化合物C 1分子により連結することによって得ることができる。ただし、一般式(V−A)及び(V−B)で表される化合物の合成法はこの例に限定されない。
Figure 2008134629
式中、Aは水酸基、ハロゲン原子等の反応性基を表し、R11、R2、R13、及びR5は先に記載した通りであり、R4は水素原子もしくは前述のOR14で表される置換基である。
Figure 2008134629
式中、A’はカルボキシル基等の反応性基を表し、R11、R2、R13、R4、R5、Ar1、及びL1は先に記載した通りである。
Figure 2008134629
式中、B及びB’は水酸基、アミノ基等の反応性基を表し、Ar2及びL2は先に記載したAr1、L1と同義である。
上記一般式(I)、(III)〜(V)で表される本発明におけるRth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%がよりさらに好ましい。
前記セルロースアシレートフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合は、前記Rth発現剤をドープ中に添加してもよい。前記Rth発現剤を添加するタイミングについて特に制限はなく、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソラン等の有機溶媒にRth発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
前記Rth発現剤として、前記一般式(I)、(III)〜(V)で表される化合物の一種を単独で用いてもよいし、2種類以上混合して用いることができる。また、本発明においては、一般式(I)、(III)〜(V)で表されるRth発現剤の併用も好ましい。
前記セルロースアシレートフィルム、特に第1の光学異方性層として用いられるセルロースアシレートフィルム、は紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、Rth発現剤及び/又はRe波長分散調整剤としても機能し得る。前記紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。前記セルロースアシレートフィルムには、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を好ましく使用できる。
また、第1の光学異方性層としての条件を満足するセルロースアシレートフィルムを作製するために、セルロースアシレートフィルム中に、トリフェニルホスフェート、ビフェニルホスフェート等の可塑剤を添加してもよい。
本発明の液晶表示装置は、VAモード等の垂直配向モードであっても、ISPモード等の水平配向モードであってもよく、あるいはOCBモード、TNモードであってもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[第1の光学異方性層用位相差フィルムの作製]
(セルロースアシレート溶液CA−1の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレートの溶液CA−1調製した。
─────────────────────────────────────
(セルロースアシレート溶液CA−1組成)
─────────────────────────────────────
セルロースアセテート 100.0質量部
(Ac置換度2.92)
下記Rth低下剤119 12.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
─────────────────────────────────────
Figure 2008134629
(マット剤溶液MT−1の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分間以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液MT−1を調製した。
─────────────────────────────────────
(マット剤溶液MT−1組成)
─────────────────────────────────────
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアシレート溶液CA−1 10.3質量部
─────────────────────────────────────
(添加剤溶液の調製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液AD−1を調製した。
─────────────────────────────────────
(添加剤溶液AD−1組成)
─────────────────────────────────────
下記波長分散調整剤 UV−265 18.1質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液CA−1 12.8質量部
─────────────────────────────────────
Figure 2008134629
(位相差フィルム試料101の作製)
上記セルロースアシレート溶液CA−1を94.0質量部、マット剤溶液MT−1を1.5質量部、添加剤溶液AD−1を4.5質量部それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成でRth低下剤および波長分散調整剤のセルロースアシレートに対する質量比はそれぞれ12.0%、5.0%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、135℃で20分間乾燥させセルロースアシレートフィルムを製造した。流延したフィルムを、160℃の条件でテンターを用いて5%の延伸倍率で横延伸し、膜厚80μmの位相差フィルム101を得た。
このフィルムを25℃60%RHに環境下で2時間以上調湿したのち、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて25℃60%RHの環境下で2時間以上調湿し、波長450nm,550nm,650nmにおいて3次元複屈折測定を行い、面内のレターデーションReおよび傾斜角を変えてReを測定することで得られる膜厚方向のレターデーションRthを求めたところ表1に示す光学性能であることがわかった。
(位相差フィルム試料102の作製)
位相差フィルム試料101の作製において、セルロースアシレート溶液CA−1中の、Rth低下剤119の代わりに、トリフェニルホスフェート7.0質量部、ビフェニルホスフェート5.0質量部を添加し、及び添加剤溶液AD−1中の波長分散調製剤UV−265の量を10.5質量部に代えた(波長分散調整剤UV−265のセルロース溶液中のセルロースアシレートに対する質量比を3.0%に代えた)以外は、試料101と同様にして、膜厚80μmであり、且つ表1に示す光学特性である位相差フィルム102を得た。
(位相差フィルム試料103の作製)
位相差フィルム試料101の作製において、添加剤溶AD−1中の波長分散調整剤UV−265の量を21.5質量部に代えた(波長分散調整剤UV−265のセルロース溶液中のセルロースアシレートに対する質量比を6.0%に代えた)以外は、試料101と同様にして流延してフィルムを作製した。上記横延伸に代えて、このフィルムを、フィルム温度180℃に設定しテンタークリップで3分間保持、搬送し、膜厚87μmであり、且つ表1に示す光学特性である位相差フィルム103を得た。
(位相差フィルム試料104の作製)
位相差フィルム試料104の作製において、セルロースアシレート溶液CA−1中に用いたセルロースアシレートを、置換度を2.86のセルロースアシレートに代え、Rth低下剤119の代わりにトリフェニルホスフェート7.0質量部、ビフェニルホスフェート5.0質量部を添加し、及び添加剤溶液AD−1中の波長分散調整剤UV−265の量を1.8質量部に代えた(波長分散調整剤UV−265のセルロース溶液中のセルロースアシレートに対する質量比を0.5%に代えた)以外は、試料101と同様に流延してフィルムを作製した。上記横延伸に代えて、このフィルムを、フィルム温度180℃に設定し、テンタークリップで3分間保持、搬送し、膜厚87μmであり、且つ表1に示す光学特性である位相差フィルム104を得た。
(位相差フィルム試料105の作製)
位相差フィルム試料101の作製において、添加剤溶液AD−1中の波長分散調整剤UV−265の量を21.5質量部に代えた(波長分散調整剤UV−265のセルロース溶液中のセルロースアシレートに対する質量比を6.0%に代えた)以外は、試料101と同様に流延し、膜厚85μmであり、且つ表1に示す光学特性である位相差フィルム105を得た。延伸は行っていない。
Figure 2008134629
(偏光板の作製)
上記で作製した位相差フィルム101の表面をアルカリ鹸化処理した。1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に55℃で2分間浸漬し、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して厚さ20μmの偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、前記のアルカリ鹸化処理した位相差フィルム試料101と、同様のアルカリ鹸化処理したフジタックTD80UL(富士写真フィルム社製)を用意し、これらの鹸化した面が偏光膜側となるようにして偏光膜を間に挟んで貼り合わせ、位相差フィルム101とTD80ULが偏光膜の保護フィルムとなっている偏光板101を得た。この際、位相差フィルム試料101のMD方向およびTD80ULの遅相軸が偏光膜の吸収軸と平行になるように貼り付けた。
同様にして上記で作製した位相差フィルム試料102〜104、比較例の位相差フィルム試料105を用いて、偏光板を作製した。以下これら偏光板を、偏光板102〜104、及び105という。これら偏光板はいずれも十分な偏光性能を示した。
[第2の光学異方性層用位相差フィルムの作製]
(位相差フィルム試料201の作製)
(セルロースアシレート溶液CA−2の作製)
─────────────────────────────────────
(セルロースアシレート溶液CA−2組成)
─────────────────────────────────────
Ac置換度2.81のセルロースアセテート 100.0質量部
TPP(トリフェニルホスフェート) 7.8質量部
BDP(ビフェニルジフェニルフォスフェート) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
─────────────────────────────────────
(マット剤溶液MT−2の調製)
平均粒径16nmのシリカ粒子(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製)を20質量部、メタノール80質量部を30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液MT−2を調製した。
─────────────────────────────────────
(マット剤溶液MT−2組成)
─────────────────────────────────────
平均粒径16nmのシリカ粒子分散液 10.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアシレート溶液CA−2 10.3質量部
─────────────────────────────────────
(添加剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液AD−2を調製した。
─────────────────────────────────────
(添加剤溶液AD−2組成)
─────────────────────────────────────
下記のレターデーション発現剤X 21.7質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液CA−2 12.8質量部
─────────────────────────────────────
レターデーション発現剤X
Figure 2008134629
(セルロースアシレートフィルム試料01の作製)
上記セルロースアシレート溶液CA−2を94.0質量部、マット剤溶液MT−2を1.5質量部、添加剤溶液AD−2を4.5質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。上記組成でレターデーション発現剤のセルロースアシレートに対する質量比は6.0%であった。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、140℃で40分間乾燥させセルロースアシレートフィルム試料01を製造した。作製されたセルロースアシレートフィルム試料01の残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は120μmであった。
(位相差フィルム試料201の作製)
上記で得たセルロースアシレートフィルム試料01を、連続した長尺フィルムをテンタークリップの長手方向の間隔が把持、搬送している間に狭くなる構造のテンターを用いて幅方向に延伸する工程を持っている延伸装置に送りだし、フィルムの温度を160℃に設定してフィルム幅方向に1.25倍延伸し、延伸後の膜厚104μmの位相差フィルム試料201を得た。位相差フィルム試料201の光学特性を下記表2に示す。
(位相差フィルム試料202の作製)
上記で得たセルロースアシレートフィルム試料01を用いて、フィルム温度を180℃に設定して30秒後加熱ゾーンを通過したあとに延伸を開始、フィルム幅手方向には1.35倍に延伸、フィルム長手方向は0.65倍に収縮し、延伸後膜厚140μmの位相差フィルム試料202を得た。位相差フィルム試料202の光学特性を下記表2に示す。
(位相差フィルム試料203の作製)
上記セルロースアシレートフィルム試料01の作製方法において、セルロースアシレート溶液CA−2組成中、Ac置換度2.81のセルロースアセテートをAc置換度2.92のセルロースアセテートに代え、添加剤溶液AD−2組成中、レターデーション発現剤Xを10.0質量部に代えた以外は、同様の操作を行い、セルロースアシレートフィルム試料03を得た。これを用いて、フィルム温度を180℃に設定して30秒後加熱ゾーンを通過した後に延伸を開始、フィルム幅手方向には1.25倍、フィルム長手方向には0.75倍収縮し、延伸後膜厚135μmの位相差フィルム試料203を得た。位相差フィルム試料203の光学特性を下記表2に示す。
(位相差フィルム試料204’の作製)
上記セルロースアシレートフィルム試料01の作製方法において、セルロースアシレート溶液CA−2組成中、Ac置換度2.81のセルロースアセテート、Ac置換度2.86のセルロースアセテートに代え、添加剤溶液AD−2組成中、レターデーション発現剤Xを添加しなかった以外は、同様の操作を行い、セルロースアシレートフィルム試料04を得た。これを用いて、フィルム温度を200℃、フィルム長手方向に1.3倍、フィルム幅方向には0.7倍収縮し、延伸後膜厚125μmの位相差フィルム試料204’を得た。位相差フィルム試料204’の光学特性を下記表2に示す。
(位相差フィルム試料204”の作製)
上記セルロースアシレートフィルム試料01の作製方法において、セルロースアシレート溶液CA−2組成中、Ac置換度2.81のセルロースアセテート、Ac置換度2.92のセルロースアセテートに代え、添加剤溶液AD−2組成中、レターデーション発現剤X21.7質量部を波長分散調整剤UV−265 25.0質量部に代えた以外は、同様の操作を行い、セルロースアシレートフィルム試料05を得た。これを用いて、フィルム温度を160℃に設定して固定に軸延伸を開始、フィルム幅手方向に1.1倍、フィルム長手方向に1.1倍延伸し、延伸後の膜厚100μmの位相差フィルム試料204”を得た。位相差フィルム試料204”の光学特性を下記表2に示す。
(位相差フィルム試料204の作製)
上記位相差フィルム試料204’と204”とを積層して、位相差フィルム試料204を作製した。
Figure 2008134629
(偏光板の作製)
上記と同様にして、偏光膜を作製した。この偏光膜の一方の面に、表面を鹸化処理した位相差フィルム試料201を、他方の面に、表面を鹸化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタック TD80UL、富士写真フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、偏光板201を作製した。
上記で作製した位相差フィルム試料202〜204を用いて、同様にして偏光板を作製した。以下これら偏光板を、偏光板202〜204という。これら偏光板はいずれも十分な偏光性能を示した。
[実施例1]
(液晶表示装置の作製)
液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学特性の種類により、以下のA〜Dの4系統にてVAパネルへの実装評価を行なった。
(液晶表示装置001及び005)
VAモードの液晶TV(LC37−GE2、シャープ(株)製)の表裏の偏光板および位相差板を剥して実装溶の液晶セルとして用いた。図1の構成で、偏光子11及び第1の光学異方性層14として偏光板101を、液晶セル13として上記のVA液晶セル、偏光子12及び第2の光学異方性層15として偏光板201を用い、それぞれを粘着剤を用いて貼り合わせた。この際、偏光板201の位相差フィルム試料201が液晶セル13側になるように、かつ、偏光板101の位相差フィルム試料101が液晶セル13側になるように貼り合わせた。また、位相差フィルム試料201の遅相軸は、偏光板201の吸収軸と直交するように貼り合わせた。液晶表示装置001を作製した。この液晶表示装置001は前記分類Aに属するものである。
また、液晶表示装置001の作製方法において、偏光板101に代えて、偏光板105を用いた以外は、同様にして、液晶表示装置005を作製した。
(液晶表示装置002及び006)
上記液晶表示装置001(分類A)と同様の構成にて、偏光板101の代わりに偏光板102及び105をそれぞれ用い、さらに偏光板201の代わりに偏光板202を用いて、液晶表示装置002及び006をそれぞれ作製した。このうち液晶表示装置002は前記分類Bに属するものである。
(液晶表示装置003及び007)
上記液晶表示装置001(分類A)と同様の構成にて、偏光板101の代わりに偏光板103及び105をそれぞれ用い、さらに偏光板201の代わりに偏光板203を用いて、液晶表示装置003及び007をそれぞれ作製した。このうち液晶表示装置003は前記分類Cに属するものである。
(液晶表示装置004及び008)
上記液晶表示装置001(分類A)と同様の構成にて、偏光板101の代わりに偏光板104及び105をそれぞれ用い、さらに偏光板201の代わりに偏光板204を用いて、液晶表示装置004及び008をそれぞれ作製した。このうち液晶表示装置004は前記分類Dに属するものである。
(パネルの色味視野角評価)
上記作製したVAモードの液晶表示装置001〜008について、図1中の偏光子2側(即ち、偏光板201〜204側)にバックライトを設置し、各々について測定機(EZ−Contrast XL88、ELDIM社製)を用いて、暗室内で黒表示および白表示の輝度および色度を測定し、黒表示におけるカラーシフトおよびコントラスト比を算出した。
(極角方向の黒カラーシフト)
黒表示において、液晶セルの法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向(方位角45度)に視角を倒した場合の色度の変化Δxθ、Δyθは、極角0〜80度の間で、常に下記数式(II)および(III)を満たすことが好ましい。
数式(II): 0≦Δxθ≦0.1
数式(III): 0≦Δyθ≦0.1
[式中、Δxθ=xθ−xθ0、Δyθ=yθ−yθ0であり、(xθ0、yθ0)は黒表示における液晶セル法線方向で測定した色度、(xθ、yθ)は黒表示における液晶セル法線方向から一対の偏光板の透過軸の中心線方向に極角θ度まで視角を倒した方向で測定した色度]
(方位角方向の黒カラーシフト)
また、液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、さらに前記方向を基点とし該法線を中心として360度回転させて色度を測定した場合における色度変化Δxφ、が、Δyφは方位角0から360度の間で常に下記数式(IV)および(V)を満たすことが好ましい。
数式(IV): −0.02≦Δxφ≦0.1
数式(V): −0.02≦Δyφ≦0.1
[式中、Δxφ=xφ−xφ0、Δyφ=yφ−yφ0であり、(xφ0、yφ0)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒して測定した色度、(xφ、yφ)は黒表示における液晶セルの法線方向から視認側偏光板の吸収軸方向に60度まで視角を倒し、該法線方向を中心として方位角φの方向から測定した色度]
(視野角)
方位角45度・極角60度におけるコントラスト比(CR@φ=45/Θ=60)が大きいほど視野角が広いことを意味する。
結果を下記表3に示す。
Figure 2008134629
本発明の液晶表示装置の一例の概略模式図である。 本発明の液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。 本発明の液晶表示装置に使用可能な第1の光学異方性層の一例の光学特性を模式的にグラフ上示したものである。 本発明の液晶表示装置の種々の態様を、分類A〜Hに分類して示した図である。 本発明の液晶表示装置の一例の概略模式図である。 図5の構成の本発明の液晶表示装置の種々の態様を、分類E〜Hに分類して示した図である。 一般的なVAモードの液晶表示装置の一例の概略模式図である。 一般的なVAモードの液晶表示装置の一例の概略模式図である。 従来のVAモードの液晶表示装置の一例の概略模式図である。 従来のVAモードの液晶表示装置の光学補償機構の一例をポアンカレ球上で説明するために用いた図である。
符号の説明
11、21、51 偏光子
12、22、52 偏光子
13、23、53 液晶セル
14、24 第1の光学異方性層
15、25 第2の光学異方性層
54 光学補償フィルム(Cプレート)
55 光学補償フィルム(Aプレート)

Claims (16)

  1. 透過軸を互いに直交にして配置された第1及び第2の偏光子と、
    該第1及び第2の偏光子の間に配置された液晶層と、
    前記第1もしくは第2の偏光子と液晶層との間に第1の光学異方性層とを有する液晶表示装置であって、
    前記第1の光学異方性層の面内レターデーション(Re)が、可視光域の波長λ1において正となり、可視光域の波長λ2(但しλ1≠λ2)において負となり、及び|Rth(550)|が50nm以上であることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記第1の光学異方性層が下記式(1)及び(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置:
    Re(450)×Re(650)<0 式(1)
    |Rth(550)/Re(550)|>10 式(2)
    式中、Re(λ)は、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション(単位:nm)であり、第1の光学異方性層のReの正負は、液晶セルに対して同じ側に配置された偏光子の吸収軸を基準とし、該吸収軸と平行方向を正とする。
  3. 前記第1もしくは第2の偏光子と液晶層との間に第2の光学異方性層を有し、前記第2の光学異方性層が、下記式(3)及び(4)を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置:
    30nm<Re(550)<400nm 式(3)
    −100nm<Rth(550)<300nm 式(4)
    式中、Re(λ)は、波長λnmの光を入射させて測定した面内レターデーション(単位:nm)であり;Rth(λ)は、波長λnmの光を入射させて測定した厚み方向のレターデーション値(単位:nm)である。
  4. 前記第1の光学異方性層が、前記液晶層と前記第1の偏光子との間に、及び前記第2の光学異方性層が、前記液晶層と前記第2の偏光子との間に配置されることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
  5. VAモードであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記第1の光学異方性層が、下記式
    Re(450)>0 、
    Re(650)<0 、
    Rth(550)>0、及び
    |Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
    を全て満たすことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
  7. 前記第1の光学異方性層が、下記式
    Re(450)>0 、
    Re(650)<0 、
    Rth(550)>0、及び
    |Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
    を全て満たすことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
  8. 前記第1の光学異方性層が、下記式
    Re(450)<0 、
    Re(650)>0 、
    Rth(550)>0、及び
    |Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
    を全て満たすことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
  9. 前記第1の光学異方性層が、下記式
    Re(450)<0 、
    Re(650)>0 、
    Rth(550)>0 、及び
    |Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
    を全て満たすことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
  10. 水平配向モードであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  11. 前記第1の光学異方性層が、下記式
    Re(450)<0 、
    Re(650)>0 、
    Rth(550)<0、及び
    |Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
    を全て満たすことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
  12. 前記第1の光学異方性層が、下記式
    Re(450)<0 、
    Re(650)>0 、
    Rth(550)<0、及び
    |Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
    を全て満たすことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
  13. 前記第1の光学異方性層が、下記式
    Re(450)>0 、
    Re(650)<0 、
    Rth(550)<0 、及び
    |Rth(450)|/|Rth(650)|<1.0
    を全て満たすことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
  14. 前記第1の光学異方性層が、下記式
    Re(450)>0 、
    Re(650)<0 、
    Rth(550)<0、及び
    |Rth(450)|/|Rth(650)|≧1.0
    を全て満たすことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
  15. 前記第1の光学異方性層が、セルロースアシレートフィルムからなることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  16. 前記第1の光学異方性層が、Rth発現剤を少なくとも一種類含有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
JP2007280025A 2006-11-01 2007-10-29 液晶表示装置 Active JP5291323B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007280025A JP5291323B2 (ja) 2006-11-01 2007-10-29 液晶表示装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006297353 2006-11-01
JP2006297353 2006-11-01
JP2007280025A JP5291323B2 (ja) 2006-11-01 2007-10-29 液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008134629A true JP2008134629A (ja) 2008-06-12
JP5291323B2 JP5291323B2 (ja) 2013-09-18

Family

ID=39559475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007280025A Active JP5291323B2 (ja) 2006-11-01 2007-10-29 液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5291323B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010026424A (ja) * 2008-07-24 2010-02-04 Fujifilm Corp 高分子フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2011075911A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Fujifilm Corp 位相差フィルム、その製造方法、並びにそれを有する偏光板及び液晶表示装置
JP2013532311A (ja) * 2010-07-02 2013-08-15 イーストマン ケミカル カンパニー 逆光学分散を有する多層セルロースエステルフィルム

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7115385B2 (ja) 2019-03-27 2022-08-09 株式会社オートネットワーク技術研究所 回路基板及び、回路基板を含む電気接続箱の製造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006001448A1 (ja) * 2004-06-29 2006-01-05 Sharp Kabushiki Kaisha 位相差フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置、及び、位相差フィルムの設計方法
JP2006189520A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Dainippon Printing Co Ltd 位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルム
JP2006195247A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置、それに用いる光学補償シートおよび偏光板
JP2006293342A (ja) * 2005-03-17 2006-10-26 Fuji Photo Film Co Ltd 光学樹脂フィルム、偏光板及び液晶表示装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006001448A1 (ja) * 2004-06-29 2006-01-05 Sharp Kabushiki Kaisha 位相差フィルム、偏光フィルム、液晶表示装置、及び、位相差フィルムの設計方法
JP2006189520A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Dainippon Printing Co Ltd 位相差フィルムの製造方法、及び位相差フィルム
JP2006195247A (ja) * 2005-01-14 2006-07-27 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置、それに用いる光学補償シートおよび偏光板
JP2006293342A (ja) * 2005-03-17 2006-10-26 Fuji Photo Film Co Ltd 光学樹脂フィルム、偏光板及び液晶表示装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010026424A (ja) * 2008-07-24 2010-02-04 Fujifilm Corp 高分子フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2011075911A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Fujifilm Corp 位相差フィルム、その製造方法、並びにそれを有する偏光板及び液晶表示装置
JP2013532311A (ja) * 2010-07-02 2013-08-15 イーストマン ケミカル カンパニー 逆光学分散を有する多層セルロースエステルフィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5291323B2 (ja) 2013-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5508702B2 (ja) 液晶表示装置
JP5401032B2 (ja) 光学異方性膜、輝度向上フィルム、位相差板および液晶表示装置
JP5237730B2 (ja) 光学フィルム、偏光板、及びvaモード液晶表示装置
JP2009048157A (ja) 液晶表示装置
JP2009063983A (ja) 光学フィルム、及びそれを有する偏光板
JP2008197638A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2008250292A (ja) 液晶表示装置、光学フィルム及び偏光板
JP5513054B2 (ja) セルロースアシレートフィルム、位相差板、偏光板、ならびに液晶表示装置
US7697095B2 (en) Liquid crystal display device
JP2008107767A (ja) 光学フィルムおよび位相差板、並びに液晶化合物
JP2008262161A (ja) 光学補償フィルム、光学補償フィルムの製造方法、偏光板および液晶表示装置
JP5186402B2 (ja) 液晶表示装置
JP2007017958A (ja) 液晶表示装置
JP2009031765A (ja) 液晶表示装置
JP4383435B2 (ja) 液晶表示装置
JP5291323B2 (ja) 液晶表示装置
JP2010026424A (ja) 高分子フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2007023124A (ja) セルロース化合物組成物、セルロース化合物フィルム
JP2009098618A (ja) 位相差膜及び偏光板
JP2010020269A (ja) 液晶表示装置
JP5046606B2 (ja) ポリマーフィルム、これを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2008233814A (ja) 光学フィルム、それを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP5186164B2 (ja) 液晶表示装置
JP2008233654A (ja) 光学補償フィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP5328405B2 (ja) 液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100702

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120403

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120604

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130312

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130513

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130528

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130607

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5291323

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250