JP2004029743A - 偏光素子、偏光光源およびそれらを用いた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】偏光の選択反射波長帯域が互いに重なっている2層以上の反射円偏光子の間に、30°以上傾いた光に対する斜め位相差がλ/8以上であるCプレートを配置する。前記反射円偏光子に代えて反射直線偏光子と1/4波長板の組み合わせを用いても良い。その他、2層の反射直線偏光子とそれらの間に配置された2層の1/4波長板(Nz≧2)の組み合わせでも同様の効果を得ることができる。さらに、2層の反射直線偏光子とそれらの間に配置された1/2波長板(Nz≧1.5)の組み合わせでも良い。なお、反射直線偏光子を用いる場合は、軸方向を一定の角度で貼り合せることが必要である。本発明の偏光素子は、液晶表示装置、有機EL表示装置等、様々な画像表示装置に好ましく用いることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光素子に関し、より詳しくは、光源から出射された拡散光の光利用効率に優れ、高輝度の偏光光源や、各種画像装置、例えば良視認の液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP、CRT等への使用に適した偏光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像表示装置の視認性向上等のために、光源から出射された光を正面方向へ集光し輝度を向上する技術が一般的に用いられている。より具体的には、例えば、レンズ、ミラー(反射層)、プリズム等を用い、屈折や反射を利用して集光や平行光化を行なって輝度を向上させることが行なわれている。
【0003】
例えば液晶表示装置においては、光源から出射された光をプリズムシート等によって正面方向へ集光し、効率的に液晶表示素子に入射させて輝度を向上することが行なわれている。しかし、プリズムシートによって集光する場合、原理上、大きな屈折率差が必要であるため、空気層等を介して設置する必要がある。このため、不必要な反射や散乱による光損失を引き起こす場合があり、また、多数の部品点数を必要とするという問題がある。
【0004】
さらに、偏光の出射輝度を向上する技術としては、再帰反射を利用した輝度向上システムが提案されている。この輝度向上システムは、具体的には、導光板の下面に反射層を設け、出射面に反射型の偏光子を設けたシステムである。そして、システム内に入射された光を偏光状態によって透過光と反射光とに分離し、その反射光を前記導光板下面の反射層を介し反射させて出射面より再出射させることで輝度を向上させる。例えば、コレステリック液晶による円偏光反射分離については、特許文献1〜3等に詳しい。しかし、このような輝度向上システムは、あらかじめプリズムシート等で集光性を向上した光源に対しては、拡散性の強い光源に適用した場合に比較して十分な効果が得られにくいという問題がある。
【0005】
上記のような問題点を解決するために、レンズ、ミラー、プリズム等を用いる代わりに特殊な光学フィルムを用いて光源からの光を平行光化する輝度向上技術が研究されている。代表的な方法として、例えば、輝線光源とバンドパスフィルターの組み合わせで行なう手法がある。より具体的には、例えばフィリップス社の特許文献4〜12または特許文献13〜14のように、CRTやエレクトロルミネッセンス等の輝線発光する光源または表示装置上にバンドパスフィルターを配置する方法がある。また、富士写真フィルム工業社の特許文献15のように輝線型冷陰極管に対して3波長対応のバンドパスフィルターを配置する手法等も挙げられる。しかし、これらの技術は光源が輝線スペクトルを有さなければ機能しないという問題や、特定波長に対して選択的に機能するフィルムの設計と製造に関する問題がある。さらに、前記バンドパスフィルターとしては蒸着干渉膜を用いることが多いが、加湿環境下では薄膜の屈折率変化から波長特性が変化する等のおそれがある。
【0006】
一方、ホログラム系材料を用いた平行光化システムとして、例えば、ロックウェル社の特許文献16に記載のシステム等が挙げられる。しかし、この種の材料は正面透過率は高いものの、斜め入射光線の反射除去率がさほど高くないという問題があった。このようなシステムに平行光線を入射して直行透過率を求めると、正面方向では素通りするため透過率が高く計測され、一方で斜め入射光線は散乱することで透過率が低く計測されてしまうが、拡散光源上では差が生じなくなる。このため、実際の拡散バックライト光源上に配置した場合には集光機能を必ずしも十分に果たせない場合があった。また、ホログラム系材料は、その物性上、耐性や信頼性等の課題もあった。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−45906号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平6−324333号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平7−36032号公報
【0010】
【特許文献4】
特開平6−235900号公報
【0011】
【特許文献5】
特開平02−158289号公報
【0012】
【特許文献6】
特表平10−510671号公報
【0013】
【特許文献7】
米国特許第6307604号明細書
【0014】
【特許文献8】
独国特許第3836955号明細書
【0015】
【特許文献9】
独国特許第4220289号明細書
【0016】
【特許文献10】
欧州特許第578302号明細書
【0017】
【特許文献11】
米国特許出願公開第2002/0034009号明細書
【0018】
【特許文献12】
国際公開第02/25687号パンフレット
【0019】
【特許文献13】
米国特許出願公開第2001/521643号公報
【0020】
【特許文献14】
米国特許出願公開第2001/516066号公報
【0021】
【特許文献15】
米国特許出願公開第2002/0036735号公報
【0022】
【特許文献16】
米国特許第4984872号明細書
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、垂直入射光の透過偏光特性を害することなく斜め透過光を効率的に光源側へ反射できる偏光素子を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の偏光素子は、2層の反射偏光子とそれらの間に配置された位相差層とを少なくとも含み、前記2層の反射偏光子が、右回り円偏光および左回り円偏光のうち一方を選択的に透過させ他方を選択的に反射する反射円偏光子であり、前記2層の反射円偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記位相差層が下記式(I)および(II)の条件を満たす偏光素子である。
【0025】
R≦(λ/10) (I)
R’≧(λ/8) (II)
【0026】
式(I)および(II)において、
λは前記位相差層に入射する光の波長であり、
Rは、Z軸方向(法線方向)からの入射光に対するX軸方向とY軸方向との位相差(面内位相差)の絶対値であり、前記X軸方向とは、前記位相差層の面内で屈折率が最大となる方向(面内遅相軸方向)であり、前記Y軸方向とは、前記位相差層の面内で前記X軸方向に垂直な方向(面内進相軸方向)であり、前記Z軸方向とは、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な前記位相差層の厚み方向であり、
R’は、Z軸方向に対し30°以上傾いた方向からの入射光に対するX’軸方向とY’軸方向との位相差の絶対値であり、前記X’軸方向とは、前記Z軸方向に対し30°以上傾いた入射光の入射方向に垂直な前記位相差層面内の軸方向であり、前記Y’軸方向とは、前記入射方向および前記X’軸方向に垂直な方向である。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
本発明者らは鋭意検討した結果、前記の構成を有する本発明の偏光素子により、正面輝度に寄与する垂直入射光の透過偏光特性を害することなく斜め透過光を効率的に光源側へ反射できることを見出した。また、前記光源側へ反射した斜め透過光(反射偏光)を正面輝度の向上に寄与しうる光に変換することでさらに輝度を向上させることも可能である。さらに、本発明の偏光素子は、このような集光性と再帰反射による輝度向上機能を兼ね備えることにより、集光機能や平行光化機能に関する光源種依存性が小さい。
【0029】
本発明の位相差層において、面内位相差Rは前記の通り(λ/10)以下であるが、前記Z軸方向(法線方向)からの入射光の偏光状態をそのまま保持する観点からなるべく小さい方が良く、好ましくはλ/20以下、より好ましくはλ/50以下、理想的には0である。このように面内位相差がないかまたは極めて小さく、厚み方向にのみ位相差を有する位相差層は、Cプレート(C−plate)と呼ばれ、光軸がその面内方向と垂直な厚み方向に存在する。前記C−plateは、その光学特性条件が下記式(VI)を満たす場合はポジティブ(正の)C−plate、下記式(VII)を満たす場合はネガティブ(負の)C−plateと呼ばれる。代表的なネガティブCプレートとしては、例えば、二軸延伸したポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)のフィルム、コレステリック液晶を選択反射波長帯域を可視光より短く設定した膜、ディスコチック液晶を面に平行配向させた膜、および負の位相差を有する無機結晶化合物を面内配向させる事で得られる物等が挙げられる。代表的なポジティブCプレートとしては、例えば垂直配向した液晶膜が挙げられる。
【0030】
nx≒ny<nz (VI)
nx≒ny>nz (VII)
【0031】
なお、本発明において、nx、nyおよびnzは、前記C−plate等の各光学層におけるX軸、Y軸およびZ軸方向の屈折率を示し、前記X軸方向とは、前記層の面内で屈折率が最大となる方向(面内遅相軸方向)であり、前記Y軸方向とは、前記層の面内で前記X軸方向に垂直な方向(面内進相軸方向)であり、前記Z軸方向とは、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な前記層の厚み方向である。
【0032】
本発明における前記位相差層は、前記式(I)および(II)の光学特性条件を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、プラナー配向状態で固定されたコレステリック液晶化合物を含み、前記位相差層の選択反射波長帯域が可視光領域(380nm〜780nm)以外の波長領域に存在することが好ましい。ここで、選択反射波長帯域を可視光領域(380nm〜780nm)以外の波長領域とするのは、可視光領域における色付き等を起こさないためである。なお、コレステリック液晶層の選択反射波長帯域はコレステリックのカイラルピッチと液晶の屈折率とから一義的に決定することができ、選択反射の中心波長λは下記式(VIII)で表される。
【0033】
λ=np (VIII)
【0034】
式(VIII)中、nはコレステリック液晶分子の平均屈折率であり、pはカイラルピッチである。
【0035】
前記選択反射波長帯域の中心波長の値は、可視光領域よりも長波長側、例えば近赤外領域に存在しても良いが、350nm以下の紫外部に存在すれば、旋光の影響等を受け複雑な現象が発生するおそれがなく、より好ましい。
【0036】
前記コレステリック液晶の種類は特に限定されず、適宜選択することができるが、例えば、液晶モノマーを重合させた重合液晶、高温でコレステリック液晶性を示す液晶ポリマー、およびそれらの混合物等が挙げられる。また、前記コレステリック液晶の液晶性はリオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでも良いが、制御の簡便性およびモノドメインの形成しやすさの観点からサーモトロピック性の液晶であることがより好ましい。また、前記コレステリック液晶の製造法も特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができる。コレステリック液晶性を有する部分架橋ポリマー材料の製造に用いることのできる材料は特に限定されず、任意であるが、例えば、特表2002−533742(WO00/37585)、EP358208(US5211877)、EP66137(US4388453)等に記載の材料が挙げられる。さらに、コレステリック液晶は、例えば、ネマチック液晶モノマーまたは重合性メソゲン化合物等をカイラル剤と混合し、反応させることによっても得られる。重合性メソゲン化合物は特に限定されないが、例えば、WO93/22397、EP0261712、DE19504224、DE4408171、およびGB2280445等に記載の化合物が挙げられ、非カイラル化合物でもカイラル化合物でも良く、また、モノ、ジおよび多反応性のいずれでも良く、公知の方法で合成することができる。重合性メソゲン化合物の具体例としては、例えば、BASF社のLC242(商品名)、Merck社のE7(商品名)、およびWacker−Chem社のLC−Sillicon−CC3767(商品名)等が挙げられる。カイラル剤も特に限定されないが、例えばWO98/00428に記載の方法で合成できる。カイラル化合物の具体例としては、例えば、Merck社のS101、R811およびCB15(いずれも商品名)等の非重合性カイラル化合物や、BASF社のLC756(商品名)等のカイラル剤がある。
【0037】
前記コレステリック液晶化合物を含む位相差層の製造方法は特に限定されず、従来のコレステリック液晶層形成方法を適宜用いることができるが、例えば、配向膜をその表面に形成した基材、またはそれ自体が液晶配向能を有する基材上にコレステリック液晶化合物を塗工して配向させ、その配向状態を固定する方法がある。
【0038】
前記基材は、例えば、トリアセチルセルロースやアモルファスポリオレフィン等の複屈折位相差がなるべく小さな基材上に、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等の膜を形成し、レーヨン布等でラビング処理して配向膜としたものや、同様の基材上にSiO2の斜方蒸着層等を形成して配向膜としたものが挙げられる。その他、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のフィルムを延伸して液晶配向能を付与した基材、その延伸基材表面をさらにベンガラ等の微細な研磨剤やラビング布で処理して微細な配向規制力を有する微細凹凸を形成した基材、および前記延伸基材上にアゾベンゼン化合物など光照射により液晶規制力を発生する配向膜を形成した基材等も挙げられる。
【0039】
前記基材上にコレステリック液晶化合物を含む位相差層を形成する具体的な方法は、例えば以下の通りである。すなわち、まず、前記基材の液晶配向能を有する面上に液晶ポリマーの溶液を塗布し、乾燥させて液晶層を形成させる。前記溶液の溶媒は特に限定されないが、例えば、塩化メチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン等の塩素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、トルエン等の芳香族溶媒、シクロヘプタン等の環状アルカン、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、およびテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等が挙げられ、これらは単独で用いても二種類以上併用しても良い。塗布方法も特に限定されず、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等を適宜使用することができる。また、前記溶液に代えて液晶ポリマーの加熱溶融物、好ましくは等方相を呈する状態の加熱溶融物を同様の方法で塗布し、必要に応じその溶融温度を維持しつつさらに薄層に展開して固化させる等の方法を使用しても良い。このような方法は、溶媒を使用しないため作業環境の衛生性等が良好であるという利点がある。
【0040】
そして、前記液晶層におけるコレステリック液晶分子の配向状態を固定化して目的の位相差層を得る。この固定化方法は特に限定されず、場合に応じて適切な方法を選択すれば良いが、例えば、前記液晶層をガラス転移温度以上、等方相転移温度未満に加熱し、液晶ポリマー分子がプラナー配向した状態でガラス転移温度未満に冷却してガラス状態とし、固化させる方法等がある。または、配向状態が形成された段階で紫外線やイオンビーム等のエネルギー照射で構造を固定しても良い。なお、上記工程において、液晶モノマーを液晶ポリマーに代えて用いるかまたは液晶ポリマーと併用し、配向させた後に電子線や紫外線等の電離放射線照射または熱により重合させて重合液晶としても良い。このとき、必要に応じカイラル剤や配向助剤等を加えても良い。
【0041】
前記基材は、例えば、複屈折が小さい場合は、前記コレステリック液晶化合物を含む位相差層と一体で偏光素子に用いても良い。また、前記基材の厚みや複屈折の大きさが偏光素子の機能を阻害するおそれがある場合等は、前記位相差層を前記基材から剥離するかまたは別の基材上に転写等して用いても良い。
【0042】
また、前記位相差層としては、ホメオトロピック配向状態で固定された棒状液晶化合物を含む位相差層も好ましい。前記ホメオトロピック液晶の種類は特に限定されず、適宜選択することができるが、例えば、液晶モノマーを重合させた重合液晶、高温でネマチック液晶性を示す液晶ポリマー、およびそれらの混合物等が挙げられる。前記重合液晶は、液晶モノマーに必要に応じて配向助剤等を加え、電子線や紫外線等の電離放射線照射や熱により重合させて得ることができる。液晶性はリオトロピックでもサーモトロピック性のどちらでも良いが、制御の簡便性およびモノドメインの形成しやすさの観点よりサーモトロピック性の液晶であることが望ましい。液晶モノマーとしては、特に限定されないが、例えば重合性メソゲン化合物等がある。重合性メソゲン化合物についても特に限定されないが、例えば、前記コレステリック液晶と同様である。
【0043】
このような位相差層の形成方法も特に限定されず、公知の方法を適宜使用することが可能であり、例えば、前記コレステリック液晶の場合と同様に配向膜等を利用して形成することができる。ホメオトロピック配向は、例えば、垂直配向膜(長鎖アルキルシランなど)を形成した膜上に前記ホメオトロピック液晶を塗布し、液晶状態を発現させ固定することによって得られる。
【0044】
さらに、前記位相差層としては、ネマチック相またはカラムナー相配向状態で固定されたディスコチック液晶化合物を含む位相差層も好ましい。このような位相差層は、例えば、面内に分子の広がりを有するフタロシアニン類、トリフェニレン類化合物等の負の1軸性を有するディスコチック液晶材料を、ネマチック相やカラムナー相を発現させ、その状態を固定して形成させることができる。具体的な形成方法は特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができる。
【0045】
さらに、前記位相差層としては、負の1軸性を有する無機層状化合物を含み、前記無機層状化合物の配向状態は、前記位相差層の光軸方向が面と垂直な方向(法線方向)になるように固定されている位相差層も好ましい。このような位相差層の形成方法も特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができる。負の1軸性無機層状化合物に関しては特開平6−82777号公報等に詳しい。
【0046】
図11〜図13の模式図に、ホメオトロピック配向状態を固定した位相差層、ディスコチック液晶を用いた位相差層、無機層状化合物からなる位相差層をそれぞれ示す。図中、1101、1201および1301の符号で表される図形は、それぞれホメオトロピック液晶分子、ディスコチック液晶分子、および負の一軸性無機層状化合物結晶の薄片を表す。
【0047】
さらに、前記位相差層としては、二軸配向した非液晶ポリマーを含む位相差層も好ましい。このような位相差層の形成方法も特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができるが、例えば、正の屈折率異方性を有する高分子フィルムをバランス良く二軸延伸する方法、熱可塑樹脂をプレスする方法、平行配向した結晶体から切り出す方法等が挙げられる。また、非液晶ポリマーの種類によっては、その溶液を基材上に塗布して乾燥し、フィルム状に成形することでC−plateが得られる場合もある。前記非液晶ポリマーは特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ビスフェノールA・炭酸共重合体等のポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等の直鎖または分枝状ポリオレフィン、ポリノルボルネン等のシクロ構造を含むポリオレフィン、塩化ビニル系ポリマー、ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、およびエポキシ系ポリマーが好ましく、これらは単独で使用しても二種類以上併用しても良い。さらに、これらポリマー材料には、伸長性や収縮性付与等の任意の目的で、適切な添加剤を適宜添加しても良い。
【0048】
前記非液晶ポリマーとしては、その他、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基およびシアノ基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物も挙げられる。このような樹脂組成物としては、イソブテンとN−メチレンマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物等が挙げられる。さらに、ポリイミド系フィルム材料としては、例えば、US5580950およびUS5580964等に記載の材料も、非液晶性ポリマーからなる位相差層として好適に用いることができる。
【0049】
次に、本発明の偏光素子は、前記2層の反射偏光子が、右回り円偏光および左回り円偏光のうち一方を選択的に透過させ他方を選択的に反射する偏光子(反射円偏光子)であることにより、広い角度から入射した自然光に対して偏光分離機能を有し、設計および製造が簡便である等の利点を有する。
【0050】
前記反射円偏光子としては、特に限定されないが、例えば、コレステリック液晶のプラナー配向状態を固定させたものがより好ましい。前記コレステリック液晶の種類は特に限定されず、適宜選択することができるが、例えば、前記位相差層と同様に、液晶モノマーを重合させた重合液晶、高温でコレステリック液晶性を示す液晶ポリマー、およびそれらの混合物等を使用することができる。前記重合液晶は、液晶モノマーに必要に応じカイラル剤や配向助剤等を加え、電子線や紫外線等の電離放射線照射または熱により重合させて作ることができる。また、前記コレステリック液晶の液晶性はリオトロピックでもサーモトロピックでもどちらでも良いが、制御の簡便性およびモノドメインの形成しやすさの観点からサーモトロピック性の液晶であることがより好ましい。
【0051】
前記反射円偏光子としては、より具体的には、例えば、コレステリック液晶ポリマーからなる層を含むシートや、当該層がガラス板等の上に積層されたシート、コレステリック液晶ポリマーからなるフィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このようなコレステリック液晶層の形成方法も特に限定されないが、例えば、前記コレステリック液晶化合物を含む位相差層と同様にして形成することができる。コレステリック液晶は、なるべく層内で均一に配向していることがより好ましい。
【0052】
前記反射円偏光子においては、偏光素子の性能上の観点から選択反射波長帯域が可視光域や光源発光波長帯域をカバーすることがより好ましく、選択反射波長帯域は前記の通りコレステリックのカイラルピッチと液晶の屈折率とから一義的に決定することができる。前記反射円偏光子を形成するコレステリック液晶層は、その目的に応じ、例えば、選択反射波長帯域の異なる複数の層を積層しても良いし、単層でピッチが厚み方向で変化した物でも良い。複数の層を積層する場合、例えば、あらかじめ、基材上にコレステリック液晶層が積層されたものを複数準備し、これらをさらに積層しても良い。しかし、例えば、コレステリック液晶層の上に配向膜を形成し、この上に別のコレステリック液晶層を積層させる方法をとると、薄型化等の観点からより好ましい。
【0053】
また、本発明の偏光素子は、少なくとも正面方向において1/4波長板機能を有するもう一つの層をさらに含み、この層が、前記2層の反射円偏光子のうち視認側に位置する反射円偏光子のさらに外側に配置されていることがより好ましい。この構成を有することにより、前記反射円偏光子を透過した円偏光を直線偏光に変更し、効率よく利用することができる。このような偏光素子は、吸収2色性偏光板をさらに含み、この吸収2色性偏光板が、前記少なくとも正面方向において1/4波長板機能を有するもう一つの層のさらに外側に配置されていることが特に好ましい。
【0054】
前記吸収2色性偏光板は特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や2色性染料等の2色性物質を吸着させて延伸した吸収型偏光板、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等が挙げられる。また、これらフィルムの片面又は両面に、耐水性等の保護目的でプラスチックの塗布層やフィルムのラミネート層等からなる透明保護層を設けた偏光板等も挙げられる。さらにその透明保護層に透明微粒子を含有させて表面に微細凹凸構造を付与したもの等も挙げられる。前記透明微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜5μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等の無機系微粒子が挙げられ、これらは導電性であっても良く、さらに、架橋または未架橋ポリマー等の有機系微粒子等も挙げられる。
【0055】
(実施形態1)
以下、図1および2に基づき、本発明の偏光素子における集光性と輝度向上の同時発現のメカニズムについて説明する。ただし、これは本発明の一実施形態に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0056】
図1は、本発明の偏光素子における前記一実施形態を示す図である。図示の通り、この偏光素子は、コレステリック液晶円偏光子201(以下「層1」と呼ぶことがある)、C−plate202(以下「層2」と呼ぶことがある)、およびコレステリック液晶円偏光子203(以下「層3」と呼ぶことがある)の主要構成要素がこの順番に積層されており、層1の側から光を入射する。なお、本図に示す実施形態では、2層の反射円偏光子を透過する円偏光の回転方向が互いに同じである。また、円偏光子と位相差層はいずれも面内方向に光軸が存在しないので、貼り合わせ方向は任意で良い。このため平行光化の絞り込みの角度範囲は等方的かつ対称的な特性を有する。
【0057】
なお、図2は、本発明における自然光、円偏光および直線偏光を表す記号について説明した図である。円偏光aと円偏光bとは回転方向が互いに逆であり、直線偏光cと直線偏光dとは互いに直交する。
【0058】
以下、図1の偏光素子に光が入射された際の理想的な動作原理について、同図に基づき順を追って説明する。
(1) まず、バックライト(光源、図示せず)から供給される光のうち、垂直入射する自然光1が円偏光子201(層1)で偏光分離され、透過光3および反射光2の二つの円偏光に分かれる。それぞれの円偏光の回転方向は反対である。
(2) 透過光3は位相差層202(層2)を素通りし、透過光4となる。
(3) 透過光4は円偏光子203(層3)を素通りし、透過光5となる。
(4) 透過光5は、この上に配置される液晶表示装置に用いられる。
(5) 次に、バックライトから供給される光のうち、斜め入射する自然光6は円偏光子201で偏光分離され、透過光8と反射光7の二つの円偏光に分かれる。それぞれの円偏光の回転方向は反対である。
(6) 透過光8は位相差層202を通る際に位相差値が1/2波長与えられ、透過光9となる。
(7) 透過光9は位相差の影響で光8とは円偏光の回転方向が逆となる。
(8) 透過光9は円偏光子203で反射され、光10となる。
なお、円偏光は一般的には反射する際に回転方向が逆転することが知られている(例えば、W.A.シャークリフ著「偏光とその応用」(WA Shurcliff, Polarized Light: Production and Use, (Harvard University Press, Cambridge,Mass., 1966))を参照のこと)。ただし、例外としてコレステリック液晶層での反射の場合には回転方向が変わらない事が知られている(培風館「液晶辞典」等参照)。本図では反射がコレステリック液晶面で行われるために、光9と光10の円偏光の回転方向は変化しない。
(9) 反射光10は位相差層202を通る際に位相差の影響を受け、透過光11となる。
(10) 透過光11は位相差の影響で回転が反転している。
(11) 光11は回転方向が光8と同方向に戻っているため、円偏光子201を素通りし、透過光12となる。
(12) 光7および12はバックライト側に戻り、リサイクルされる。これらの戻り光線はバックライトに配置された拡散板等で進行方向や偏光の向きをランダムに変えながら偏光素子の法線方向近傍の透過できる光線となるまで反射を繰り返し、輝度向上に貢献する。
(13) なお、透過した円偏光5を、1/4波長板(図示せず)により直線偏光に変換すると、吸収損失を生じることなく液晶表示装置等に利用できる。以上のようにして図1の偏光素子による集光および輝度向上が行なわれる。
【0059】
次に、前記反射偏光子の選択反射波長帯域について説明する。
【0060】
本発明における前記2層の反射偏光子の選択反射波長帯域は、同一でも良いし異なっていても良い。例えば、一方の反射偏光子が可視光全波長で反射を有するもので、他方が部分的に反射するものでも良いが、それらの選択反射波長帯域のうち少なくとも一部は互いに重なっている必要がある。前記反射偏光子の選択反射波長帯域は、偏光素子の使用目的、および組み合わせて使用する部材や光源の種類等に合わせて適宜設計すれば良いが、例えば、波長550nm付近の視感度の高い光に対してその選択反射が達成されることが好ましい。すなわち、具体的には、前記2層の反射偏光子における選択反射波長帯域の互いに重なる領域が、540〜560nmの波長範囲を含むことが好ましい。コレステリック液晶化合物を含む反射偏光子の場合、前記の通り、選択反射波長帯域はコレステリックのカイラルピッチと液晶の屈折率とから一義的に決定することができ、選択反射の中心波長は前記式(VIII)で表される(λ=np)。
【0061】
さらに、カラー表示を得る必要がある場合は、白色光が要求されるため、可視光域で特性が均一か、少なくとも光源の発光スペクトル領域(多くは435nm〜610nm前後)をカバーできることがより好ましい。斜め入射光線に対してはコレステリック液晶の選択反射スペクトルは短波長側にシフト(ブルーシフト)することを考慮すると、前記重なっている波長領域は610nmよりも長波長の領域をカバーしていることがさらに好ましい。この長波長側に必要な選択反射波長帯域幅は、光源からの入射光線の角度と波長に大きく依存するので、要求仕様に応じて任意に長波長端を設定する。具体的には、例えば、液晶表示装置に多く用いられているウエッジ型導光板を用いたバックライトでは導光板からの出射光の角度は法線方向から60°前後の角度である。前記ブルーシフトの量は、入射角度が大きいほど増大する傾向があり、60°前後では一般に約100nm程度である。したがって、バックライトに3波長冷陰極管が用いられており、赤の輝線スペクトルが610nmである場合には、選択反射波長帯域の前記重なっている領域が710nmより長波長側に達していれば良い。さらに、色付きや、液晶表示装置等におけるRGB対応の観点からは、可視光全波長領域、すなわち380nm〜780nmにおいて前記選択反射波長帯域が重なっていることが特に好ましい。
【0062】
なお、バックライト光源が特定の波長しか発光しない場合、例えば色付き冷陰極管のような場合には得られる輝線のみ遮蔽できればよい。また、バックライトからの出射光線が動向体表面に加工されたマイクロレンズやドット、プリズム等の設計で正面方向に最初からある程度絞られている場合には、大きな入射角での透過光は無視できるので選択反射波長を大きく長波長側に延ばさなくても良い。
【0063】
次に、前記位相差層の位相差値について説明する。
【0064】
前記位相差層の斜め方向位相差値R’(前記式(II)参照)は、前記位相差層を透過した光を反射偏光子によって全反射するために、理想的にはλ/2(λは入射光の波長)であるが、実際には厳密にλ/2でなくても目的を達成することができる。さらに、前記斜め方向位相差値R’は光の入射角度により変化し、一般に入射角が大きくなると増大する傾向があるので、効率的に偏光変換を起こすためには、全反射させる角度等を考慮して適宜決定する必要がある。例えば、法線からのなす角60°程度で完全に全反射させるには60°で測定したときの位相差がλ/2程度になるように決定すればよい。なお、前記斜め方向位相差値R’の調整方法は特に限定されず、公知の方法を適宜用いることができ、例えば、前記位相差層が二軸延伸フィルムの場合には、延伸率やフィルム厚み等により制御することができる。
【0065】
さらに、反射偏光子による透過光は、反射偏光子自身のCプレート的な複屈折性等により偏光状態が変化する場合がある。例えば、コレステリック液晶層を含む反射円偏光子は、コレステリック液晶化合物のねじれ構造により、位相差層、例えばネガティブCプレートとしての性質をある程度持っていることがある。したがって、前記反射偏光子の位相差を考慮して前記位相差層の斜め方向位相差値R’をλ/2よりも小さい値に調整することができる。具体的には、R’は前記式(II)の通りλ/8以上であれば良い。R’の上限値は特に限定されず、前記の通り目的に応じて適宜設定すれば良い。なお、面内位相差R(前記式(I)参照)についてはなるべく小さい方が良いのは前記の通りである。
【0066】
参考のため、図10に、Cプレートの入射角度に対する位相差の関係と、Cプレートの光学的異方性を端的に表した屈折率楕円体を示す。しかし、これは単なる一例に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。図10は、複屈折樹脂の二軸配向性が、正面位相差≒0、斜め位相差=1/2波長の例であり、同図の場合は±40度の位置で1/2波長となる。
【0067】
以上、反射円偏光子を用いる実施形態について説明したが、この実施形態は上記に限定されず、様々な変更が可能である。例えば、本発明では、前記位相差層は、Cプレートに代えて1/2波長板(1/2波長位相差板とも言う)を用いても良い。すなわち、本発明の偏光素子は、2層の反射円偏光子とそれらの間に配置された1/2波長板とを少なくとも含み、前記2層の反射円偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なる偏光素子であっても良い。この場合、前記2層の反射円偏光子のそれぞれを透過する円偏光の回転方向が互いに逆であることが好ましく、前記1/2波長板における斜め方向位相差値が0またはλであることが理想的である。前記斜め方向位相差値を設定する際、反射円偏光子の位相差値を考慮する必要があるのは、Cプレートを用いる場合と同じである。1/2波長板を用いた場合、傾斜する軸の方位角による異方性や色付きの問題が発生する可能性があるが、例えば、前記2層の反射円偏光子および位相差層の各層について波長分散特性が互いに異なる層を用いて色付きを相殺することができる。
【0068】
(実施形態2)
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
【0069】
本発明の偏光素子は、前記反射偏光子が反射直線偏光子であっても良い。より具体的には、本発明の偏光素子は、2層の反射偏光子と、それらの間に配置された中間層とを少なくとも含み、前記2層の反射偏光子が、直交する直線偏光のうち一方を選択的に透過させ他方を選択的に反射する反射直線偏光子であり、前記2層の反射直線偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記中間層は、1層の光学層からなるか、または2層以上の光学層の積層構造を含み、かつ、前記中間層は、入射する直線偏光を、その入射方向に応じて偏光方向を変化させるかまたは変化させずに透過させる機能を有し、前記2層の反射直線偏光子は、その面内遅相軸方向が、入射する直線偏光のうち入光面と垂直な方向(法線方向)から入射する光を透過させ斜め方向から入射する光を効率的に反射するような角度で配置されている偏光素子であっても良い。
【0070】
このような偏光素子としては、例えば、反射直線偏光子と1/4波長板(1/4波長位相差板とも言う)との組み合わせでCプレートを挟み込んだものが好ましい。より具体的には、2層の反射直線偏光子と、それらの間に配置された位相差層と2層の1/4波長板とを少なくとも含み、その1/4波長板のうち1層は、前記反射直線偏光子のうちの一方と前記位相差層との間に配置され、もう1層の1/4波長板は他方の反射直線偏光子と前記位相差層との間に配置され、前記2層の反射直線偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記位相差層の一方の面側に位置する1/4波長板は、その面内遅相軸が、同じ側に位置する反射直線偏光子の偏光軸と40°〜50°の角度をなし、前記位相差層の他方の面側に位置する1/4波長板は、その面内遅相軸が、同じ側に位置する反射直線偏光子の偏光軸と−40°〜−50°の角度をなし、前記2層の1/4波長板の面内遅相軸同士がなす角度は任意である偏光素子が好ましい。この場合、前記位相差層は下記式(I)および(III)の条件を満たす必要がある。
【0071】
R≦(λ/10) (I)
R’≧(λ/4) (III)
【0072】
式(I)および(III)中、λ、RおよびR’の定義は前記の通りである。
【0073】
直線偏光子と1/4波長板を組み合わせると自然光を円偏光に変換できることが分かっている。図3に示す通り、自然光301を直線偏光子302に入射すると直線偏光303に変換され、さらに、直線偏光303を1/4波長板304に通すと円偏光305に変換される。反射円偏光子および反射直線偏光子は、ブリュスター角等の原理に基づくプリズム型の反射偏光子と比較し、入射角依存性がないという利点がある。
【0074】
反射直線偏光子を用いてCプレートを単に挟んだのみでは、Cプレートに斜め方向から入射する光線に対する光軸は常に光線方向と直交するため位相差が発現せず偏光変換されない。そこで、直線偏光を、前記反射直線偏光子の偏光軸と45°または−45°に遅相軸方向を有した1/4波長板で円偏光に変換した後、Cプレートの位相差で逆円偏光に変換し、その円偏光を再び1/4波長板で直線偏光に変換すれば良い。
【0075】
なお、本発明における1/4波長板および1/2波長板は特に限定されず、公知のものを適宜使用することができる。具体的には、例えば、一軸延伸または二軸延伸した高分子フィルム、および液晶化合物をハイブリッド配向(平面方向では一軸配向させ、厚み方向にさらに配向させた配向状態)させた層等が挙げられる。前記1/4波長板および1/2波長板における面内位相差および厚み方向位相差の制御方法も特に限定されず、例えば、延伸高分子フィルムであれば延伸率やフィルム厚み等を調整することにより制御できる。
【0076】
前記高分子フィルムに用いることのできるポリマーも特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ビスフェノールA・炭酸共重合体等のポリカーボネート系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等の直鎖または分枝状ポリオレフィン、ポリノルボルネン等のシクロ構造を含むポリオレフィン、塩化ビニル系ポリマー、ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、およびエポキシ系ポリマーが好ましく、これらは単独で使用しても二種類以上併用しても良い。さらに、これらポリマー材料には、伸長性や収縮性付与等の任意の目的で、適切な添加剤を適宜添加しても良い。
【0077】
前記高分子フィルムの製造方法も特に限定されず、例えば、キャスト法(押出成形法)により製造したものや、前記ポリマー材料を溶融し成膜した後延伸して製造したもの等が挙げられるが、機械的強度等の観点から後者が好ましい。
【0078】
前記高分子フィルムとしては、その他、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルムも挙げられる。この高分子フィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基およびシアノ基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチレンマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。
【0079】
また、本発明の反射直線偏光子も特に限定されず、公知のものを適宜使用することができるが、例えば光学的異方性を有する延伸フィルムやそれらの積層体等を用いることができ、前記延伸フィルムの材質は、例えば前記1/4波長板および1/2波長板と同様のものを用いることができる。
【0080】
図4は、本実施形態の偏光素子を示す模式図である。ただし、本実施形態はこれに限定されない。図示の通り、この偏光素子は、反射直線偏光子404(以下「層4」と呼ぶことがある)、1/4波長板405(以下「層5」と呼ぶことがある)、C−plate406(以下「層6」と呼ぶことがある)、1/4波長板407(以下「層7」と呼ぶことがある)、および反射直線偏光子408(以下「層8」と呼ぶことがある)の主要構成要素がこの順番に積層されており、層4の側から光を入射する。
【0081】
また、図5は、図4の偏光素子における各主要構成要素の貼り合せ角度を示す模式図である。直線偏光子404の偏光軸と1/4波長板405の面内遅相軸とのなす角は40°〜50°であり、直線偏光子408の偏光軸と1/4波長板407の面内遅相軸とのなす角は−40°〜−50°である。これ以外には、各構成要素がなす角度は特に限定されず、前記の角度を維持したままセット1(直線偏光子404と1/4波長板405との組み合わせ)およびセット2(直線偏光子408と1/4波長板407との組み合わせ)を任意に回転させても同様の性能を発揮することができる。例えば、図14は、図4および5に示す例でのセット2を90°回転させた場合を示す一例であるが、このようにしても図4および5と同様の性能を発揮することができる。また、Cプレートは面内に光軸を持たないので、その貼り合せ角度は任意である。
【0082】
以下、図4に基づき、本実施形態の偏光素子に光線が入射された場合の理想的な動作原理を説明する。
(1) まず、自然光14が、バックライト(光源)から反射直線偏光子404(層4)に向かって垂直に入射される。
(2) 光14は、直線偏光15およびそれと直交する直線偏光16に分離され、光15は層4を透過し、光16は反射される。
(3) 直線偏光5は1/4波長板405(層5)を透過し、円偏光17に変換される。
(4) 円偏光17はその偏光状態を変えず、円偏光18としてC−plate406(層6)を透過する。
(5) 円偏光18は、1/4波長板407(層7)を透過し、直線偏光19に変換される。
(6) 直線偏光19はその偏光状態を変えず、直線偏光20として反射直線偏光子408(層8)を透過する。
(7) 直線偏光20は装置(液晶表示装置等)に入射し、損失無く伝送される。
(8) 一方、バックライトからは、垂直方向からの自然光14に加え、斜め方向からの自然光21が層4に向かって入射される。
(9) 光21は、直線偏光22およびそれと直交する直線偏光23に分離され、光22は層4(反射直線偏光子)を透過し、光23は反射される。
(10) 直線偏光22は層5(1/4波長板)を透過し、円偏光24に変換される。
(11) 円偏光24は、層6(Cプレート)を通過する際、1/2波長の位相差を受け、回転方向が逆転して円偏光25となる。
(12) 円偏光25は、層7(1/4波長板)を透過し、直線偏光26に変換される。
(13) 直線偏光26は層8(反射直線偏光子)で反射され、直線偏光27となる。
(14) 直線偏光28は層7(1/4波長板)を透過し、円偏光28に変換される。
(15) 円偏光28は、層6(Cプレート)を透過する際に1/2波長の位相差を受け、回転方向が逆転して円偏光29となる。
(16) 円偏光29は層5(1/4波長板)を透過し、直線偏光30に変換される。
(17) 直線偏光30はその偏光状態を変えず、直線偏光31として層4(反射直線偏光子)を透過する。
(18) 反射された光16、23および31は、バックライト側に戻されリサイクルされる。リサイクルの機構は実施形態1と同様である。
【0083】
なお、本実施形態において、前記セット1およびセット2(図5)における反射直線偏光子の偏光軸と1/4波長板の面内遅相軸とのなす角は、理想的な系での理論上では45°および−45°である。しかし、現実の反射偏光子や波長板の特性は可視光域で完全ではなく、波長ごとに微妙な変化があるため、着色等の問題が生じることがある。そこで、若干角度を振って色調を補償し、合理的に系全体を最適化すると、前記着色等の問題を解消できる。ここで前記角度が45°または−45°から大きく外れると透過率の低下等の他の問題が生じるため、±5°以内の範囲での調整に止める。
【0084】
なお、前記反射直線偏光子の選択反射波長帯域の好ましい範囲は、反射円偏光子の場合と同様である。斜め方向の入射光線に対して透過光線の波長特性が短波長側にシフトする点は反射円偏光子と同じであるため、深い角度で入射する光線に対して十分機能させるためには可視光域外長波長側に十分な偏光特性および位相差特性を有することが好ましい。
【0085】
さらに、本実施形態の位相差層(Cプレート)における斜め方向位相差値R’(式(III))の好ましい範囲についても、反射円偏光子を用いる場合と同様の考え方に基づいて調整すれば良い。ただし、反射直線偏光子は反射円偏光子と比べて、一般にそれ自体が有する位相差特性が小さいため、前記R’は1/8波長以上でなく1/4波長以上必要となる。
【0086】
なお、図15に、図14の偏光素子に斜め入射光が入射した場合の、2枚の反射偏光子間の1/4波長板、Cプレートおよび1/4波長板による偏光状態の変化をポアンカレ球上で示す。同図は、1枚目の反射偏光子から入射した直線偏光が円偏光を介して逆の直線偏光へと変換される様子を表している。ただし、同図は本発明の一例を示す参考資料であり、本発明を何ら限定するものではない。
【0087】
(実施形態3)
次に、本発明のさらに別の実施形態について説明する。
【0088】
実施形態における2枚の1/4波長板でCプレートを挟み込んだ構造の物を用いる代わりに、正面位相差(面内位相差)がλ/4であり、厚み方向位相差がλ/2以上であるような二軸性フィルムを直交または平行で2枚積層することでも同様な効果を得ることが出来る。この場合のNz係数(厚み方向位相差/面内位相差)は2以上であれば要件を満たす。
【0089】
すなわち、本発明の偏光素子は、2層の反射直線偏光子とそれらの間に配置された2層の1/4波長板とを少なくとも含み、前記2層の反射直線偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記1/4波長板のうち一方の面内遅相軸が、同じ側に位置する反射直線偏光子の偏光軸と40°〜50°の角度をなし、他方の1/4波長板の面内遅相軸が、同じ側に位置する反射直線偏光子の偏光軸と−40°〜−50°の角度をなし、前記2層の1/4波長板の面内遅相軸同士がなす角度は任意であり、前記各1/4波長板がそれぞれ下記式(IV)の条件を満たす偏光素子であっても良い。
【0090】
Nz≧2.0 (IV)
ただしNz=(nx−nz)/(nx−ny)
【0091】
式(IV)において、
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記1/4波長板におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率であり、前記X軸方向とは、前記1/4波長板の面内で屈折率が最大となる方向(面内遅相軸方向)であり、前記Y軸方向とは、前記1/4波長板の面内で前記X軸方向に垂直な方向(面内進相軸方向)であり、前記Z軸方向とは、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な前記1/4波長板の厚み方向である。
【0092】
1/4波長板および反射直線偏光子の材質や、面内位相差および厚み方向位相差の制御方法については特に限定されず、例えば実施形態2で述べた通りである。
【0093】
図6は、本実施形態の偏光素子を示す模式図である。ただし、本実施形態はこれに限定されない。図示の通り、この偏光素子は、反射直線偏光子609(以下「層9」と呼ぶことがある)、1/4波長板610(以下「層10」と呼ぶことがある)、1/4波長板611(以下「層11」と呼ぶことがある)、および反射直線偏光子612(以下「層12」と呼ぶことがある)の主要構成要素がこの順番に積層されており、層9の側から光を入射する。
【0094】
また、図7は、図6の偏光素子における各主要構成要素の貼り合せ角度を示す模式図である。直線偏光子609の偏光軸と1/4波長板610の面内遅相軸とのなす角は40°〜50°であり、直線偏光子612の偏光軸と1/4波長板611の面内遅相軸とのなす角は−40°〜−50°である。これ以外には、各構成要素がなす角度は特に限定されず、前記の角度を維持したままセット1(直線偏光子609と1/4波長板610との組み合わせ)およびセット2(直線偏光子612と1/4波長板611との組み合わせ)を任意に回転させても同様の性能を発揮することができる。図6および7では、説明の便宜のため、上下の直線偏光子の軸は平行であり、1/4波長板の軸は直交させた例を示したが、これに限定されるものではない。
【0095】
以下、図6に基づき、本実施形態の偏光素子に自然光が入射された際の理想的な動作原理を説明する。
(1) まず、自然光32がバックライト(光源)から垂直入射される。
(2) 自然光32は、層9(反射直線偏光子)によって直線偏光33およびそれと直交する直線偏光34に分離され、直線偏光33は層9を透過し、直線偏光34は反射される。
(3) 直線偏光33は、層10および層11(1/4波長板)を透過する。本図に示す例では、層10と層11との面内遅相軸は直交しているため、層10と層11との組み合わせとして考えた場合、正面位相差(面内位相差)は0となる。したがって、直線偏光33は、層10および層11を透過する際、その偏光状態を変えずに直線偏光35となる。
(4) 直線偏光35はその偏光状態を変えずに層12(反射直線偏光子)を透過し、直線偏光36となる。
(5) 直線偏光36は装置(液晶表示装置等)に損失無く伝送される。
(6) 一方、バックライトからは、垂直入射する自然光32の他に、斜め入射する自然光37が入射される。
(7) 自然光37は、層9(反射直線偏光子)によって直線偏光38およびそれと直交する直線偏光39に分離され、直線偏光38は層9を透過し、直線偏光39は反射される。
(8) 直線偏光38は、層10および層11に斜め入射し、これらの層を透過する際、厚み方向位相差の影響により偏光軸方向が90°変化して直線偏光40となる。
(9) 直線偏光40は層12(反射直線偏光子)に入射する。
(10) 層12は層9と軸方向が同じであるため、直線偏光40は層12により反射され直線偏光41となる。
(11) 直線偏光41は、層11および層10を透過する際に(9)と同様に位相差の影響を受け、偏光軸方向が90°変化して直線偏光42となる。
(12) 直線偏光42はその偏光状態を変えずに層9(反射直線偏光子)を透過し、直線偏光43となる。
(13) 反射された光34、39および43はバックライト側に戻されリサイクルされる。リサイクルの機構は実施形態1および2と同様である。
【0096】
本実施形態の偏光素子は、実施形態2の偏光素子と同様の性能を発揮することが可能であり、また、Cプレートを省略できるため実施形態2の偏光素子よりもさらに生産効率に優れるという利点がある。本実施形態における1/4波長板については特に限定されず、前記の通りであるが、例えば、二軸延伸したポリカーボネート(PC)やポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、またはハイブリッド配向させた液晶化合物の層がより好ましい。
【0097】
反射直線偏光子と1/4波長板とのなす角度の範囲については前記の通りであり、その微調整については実施形態2と同様の考え方に基づき行なえば良い。
【0098】
また、前記反射直線偏光子の選択反射波長帯域に関しても実施形態1および2と同様である。
【0099】
さらに、本実施形態においては、Nz(式(IV))の値を変化させることにより斜め入射光の利用効率が変化するが、その好ましい範囲は特に限定されず、実施形態1および2と同様の考え方に基づいて最適な光利用効率が得られるように調整すれば良い。反射偏光子が有する位相差を考慮する必要がある点も前記各実施形態と同様である。
【0100】
(実施形態4)
次に、本発明のさらに別の実施形態について説明する。
【0101】
実施形態2における2層の1/4波長板でCプレートを挟み込んだ構造の物を用いる代わりに、正面位相差(面内位相差)がλ/2であり、厚み方向位相差がλ/2以上であるような二軸性フィルムを用いることでも同様な効果を得ることが出来る。この場合のNz係数は1.5以上必要である。
【0102】
すなわち、本発明の偏光素子は、2層の反射直線偏光子とそれらの間に配置された1/2波長板とを少なくとも含み、前記2層の反射直線偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記1/2波長板の面内遅相軸が、一方の反射直線偏光子の偏光軸と40°〜50°の角度をなし、かつ、他方の反射直線偏光子の偏光軸と−40°〜−50°の角度をなし、前記1/2波長板が下記式(V)の条件を満たす偏光素子であっても良い。
【0103】
Nz≧1.5 (V)
ただしNz=(nx−nz)/(nx−ny)
【0104】
式(V)において、
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記1/2波長板におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率であり、前記X軸方向とは、前記1/2波長板の面内で屈折率が最大となる方向(面内遅相軸方向)であり、前記Y軸方向とは、前記1/2波長板の面内で前記X軸方向に垂直な方向(面内進相軸方向)であり、前記Z軸方向とは、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な前記1/2波長板の厚み方向である。
【0105】
反射直線偏光子および波長板の材質および製造方法等については特に限定されず、前記他の実施形態と同様である。
【0106】
図8は、本実施形態の偏光素子を示す模式図である。ただし、本実施形態はこれに限定されない。図示の通り、この偏光素子は、反射直線偏光子813(以下「層13」と呼ぶことがある)、1/2波長板814(以下「層14」と呼ぶことがある)、および反射直線偏光子815(以下「層15」と呼ぶことがある)の主要構成要素がこの順番に積層されており、層13の側から光を入射する。
【0107】
また、図9は、図8の偏光素子における各主要構成要素の貼り合せ角度を示す模式図である。直線偏光子813の偏光軸と1/2波長板814の面内遅相軸とのなす角は40°〜50°であり、直線偏光子815の偏光軸と1/2波長板814の面内遅相軸とのなす角は−40°〜−50°である。したがって、前記2層の直線偏光子の面内遅相軸同士は、必然的にほぼ直交することになる。
【0108】
本実施形態の偏光素子は、実施形態2および3の偏光素子と同様の性能を発揮することが可能であり、積層数が少ないためさらに生産効率に優れるという利点がある。
【0109】
以下、図8に基づき、本実施形態の偏光素子に自然光が入射された際の理想的な動作原理を説明する。
(1) まず、自然光47がバックライト(光源)から垂直入射される。
(2) 自然光47は、層13により直線偏光48およびそれと直交する直線偏光49に分離され、直線偏光48は層13を透過し、直線偏光49は反射される。
(3) 直線偏光は、層14(1/2波長板)を透過する際、正面位相差(面内位相差)の影響を受け、偏光軸方向が90°回転して直線偏光50となる。
(4) 直線偏光50はその偏光状態を変えずに層15(反射直線偏光子)を透過し、直線偏光51となる。
(5) 透過した直線偏光51は装置(液晶表示装置等)に損失無く伝送される。
(6) 一方、バックライトからは、垂直入射する自然光47の他に、斜め入射する自然光52が入射される。
(7) 自然光52は、層13(反射直線偏光子)によって直線偏光53およびそれと直交する直線偏光54に分離され、直線偏光53は層13を透過し、直線偏光54は反射される。
(8) 直線偏光53は層14(1/2波長板)に斜め入射し、その偏光軸方向を変えずに直線偏光55として透過する。
(9) 直線偏光55は、層15(反射直線偏光子)で反射され直線偏光56となる。
(10) 直線偏光56は層14に入射し、偏光軸方向が変化せずに透過して直線偏光57となる。
(11) 透過した直線偏光57は、その偏光状態を変えずに層13を透過して直線偏光58となる。
(12) 反射された光49、54および58はバックライト側に戻されリサイクルされる。リサイクルの機構は前記他の実施形態と同様である。
【0110】
反射直線偏光子と1/2波長板とのなす角度の範囲については前記の通りであり、その微調整については実施形態2および3と同様の考え方に基づき行なえば良い。
【0111】
また、前記反射直線偏光子の選択反射波長帯域に関しても実施形態1〜3と同様である。
【0112】
さらに、本実施形態においては、Nz(式(V))の値を変化させることにより斜め入射光の利用効率が変化するが、その好ましい範囲は特に限定されず、実施形態1〜3と同様の考え方に基づいて最適な光利用効率が得られるように調整すれば良い。反射偏光子が有する位相差を考慮する必要がある点も前記各実施形態と同様である。
【0113】
以上、実施形態1〜4に基づき本発明を説明してきたが、本発明は上記の説明には限定されず、その主旨を逸脱しない範囲においてあらゆる変更が可能である。例えば、本発明の偏光素子は、前記各構成要素に加え、その目的を達成できる範囲内で他の光学層やその他の構成要素を適宜含んでいても良い。
【0114】
(製造方法等)
次に、本発明の偏光素子の製造方法等について説明する。まず、前記Cプレート、反射偏光子、波長板等の各構成要素の材質や製造方法等については前記の通りである。
【0115】
本発明の偏光素子の製造方法は特に限定されないが、前記各構成要素および必要に応じその他の構成要素を積層して製造可能である。積層の形態は特に限定されず、前記各構成要素を単に重ね置いただけでも良いが、作業性や光の利用効率等の観点から、前記各構成要素が、透光性の接着剤または粘着剤の層を介して積層されていることが好ましい。なお、本発明では、「接着剤」と「粘着剤」とに明確な区別はないが、接着剤のうち剥離や再接着等が比較的容易であるものを便宜上「粘着剤」と呼ぶ。
【0116】
前記接着剤または粘着剤は、特に限定されないが、表面反射の抑制等の観点から、透明で、可視光域に吸収を有さず、屈折率は、各層の屈折率となるべく近いことが好ましい。したがって、例えば、アクリル系、エポキシ系、イソシアネート系等の接着剤や粘着剤を好ましく用いることができる。また、これら接着剤および粘着剤は、溶剤型の他、例えば紫外線重合型、熱重合型、2液混合型等を適宜用いることが出来る。各構成要素の積層方法は特に限定されず、それらの性質に適した任意の方法を用いて良い。例えば、それぞれ別途配向膜上等でモノドメインを形成し、透光性基材へ転写する等の方法によって順次積層していくことができる。
【0117】
前記各構成要素が液晶化合物を含む層である場合等は、接着剤または粘着剤の層を用いる代わりに配向膜等を適宜形成し、前記各構成要素を順次直接形成する方法(直接連続塗工)等も可能である。この方法は偏光素子の薄型化等の観点から有利である。また、反射円偏光子とCプレートとを用いる場合、各構成要素が面内に光軸を持たず、貼り合せ角度が任意であるため、ロールtoロール法等による貼り合わせや前記直接連続塗工等により製造可能であり生産性が高いという利点がある。
【0118】
また、前記各構成要素および接着剤層(粘着剤層)には、必要に応じて各種添加剤等を加えても良い。例えば、拡散度合い調整用にさらに粒子を添加して等方的な散乱性を付与したり、製膜時のレベリング性付与の目的で界面活性剤等を適宜添加したりしても良いし、その他、紫外線吸収剤や酸化防止剤等を適宜添加しても良い。
【0119】
(偏光光源および画像表示装置)
次に、本発明の偏光素子を用いた偏光光源および画像表示装置について説明する。
【0120】
まず、本発明の偏光光源(偏光光源装置)は、光源と、反射層と、本発明の偏光素子とを含み、この偏光素子が前記反射層を介して前記光源の上に積層されている偏光光源である。偏光光源の製造方法は特に限定されないが、例えば、特開平10−321025号公報等に記載の方法等を採用することができる。
【0121】
また、本発明の画像表示装置は、本発明の偏光素子を含む画像表示装置である。本発明の偏光素子または偏光光源を用いた画像表示装置は特に限定されず、例えば、有機EL表示装置、PDP、CRT等の画像表示装置に好ましく用いることが出来るが、液晶表示装置に特に好ましく用いることができる。
【0122】
以下、本発明の液晶表示装置について説明する。
【0123】
本発明の液晶表示装置は、前記本発明の偏光光源を含み、その偏光素子の上にさらに液晶セルが積層されている液晶表示装置である。これ以外には、本発明の液晶表示装置の構成や製造方法は特に限定されず、公知の構成や製造方法を適宜用いることができる。本発明の偏光光源は、光の利用効率に優れて明るく、出射光の垂直性に優れて明暗ムラのない光を提供し、大面積化も容易なため、バックライトシステム等として種々の液晶表示装置の形成に好ましく用いることができ、中でも直視型の液晶表示装置に特に好ましく用いることができる。
【0124】
本発明の液晶表示装置に用いる液晶セルについては特に限定はなく、適宜なものを用いることができる。中でも偏光状態の光を入射させて表示を行なう液晶セルが適しており、例えばツイストネマチック液晶やスーパーツイストネマチック液晶を用いた液晶セル等が好ましい。しかし、それらには限定されず、非ツイスト系の液晶、2色性染料を液晶中に分散させたゲストホスト系の液晶、強誘電性液晶等を用いた液晶セルも適している。液晶の駆動方式についても特に限定はない。
【0125】
さらに、液晶セル以外の構成要素も特に限定されず、公知の液晶表示装置用部材等を適宜用いることができる。例えば、視認側の偏光板の上に設ける拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護層、保護板、および液晶セルと偏光板の間に設ける補償用位相差板等の適宜な光学層を適宜に配置することができる。
【0126】
次に、本発明の有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。
【0127】
本発明の偏光素子や偏光光源は、液晶表示装置以外にもあらゆる画像表示装置に用いることができるが、例えば有機EL表示装置に適している。本発明の有機EL表示装置については、本発明の偏光素子または偏光光源を用いる以外は特に限定されず、公知の構成や製造方法を適用することができる。以下、有機EL表示装置について説明するが、この説明は本発明を限定するものではない。
【0128】
一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えば、トリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層とアントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体、もしくはこのような発光層とペリレン誘導体等とからなる電子注入層の積層体、またはこれらの正孔注入層および発光層と電子注入層との積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
【0129】
有機EL表示装置の発光原理は以下の通りである。すなわち、まず、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入される。そして、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物質を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
【0130】
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Li等の金属電極を用いている。
【0131】
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度と極めて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
【0132】
有機EL表示装置は、前記の通り、一般に、電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を、裏面側に金属電極を備えており、これら有機発光層、透明電極および金属電極が一体となって有機エレクトロルミネセンス発光体を形成している。このような有機EL表示装置において、前記透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、前記透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
【0133】
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0134】
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、特に位相差板が1/4波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4のときには円偏光となる。
【0135】
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
【0136】
以上、本発明の偏光素子を用いた偏光光源および画像表示装置について説明したが、本発明は上記の説明には限定されない。本発明の偏光素子は、用いる反射偏光子と位相差層とが本発明の要件を満たすことにより、正面方向の光のみ透過させ、斜め方向の光は反射によりカットするという効果を発揮することができる。また、反射偏光子の選択反射波長帯域を調整することにより、前記の効果を広い波長領域で波長依存性が少なく発揮することもできる。さらに、従来技術の干渉フィルターと輝線発光光源の組み合わせによる平行光化および集光システムと比べて光源の特性に対する依存性が少ないため、あらゆる偏光光源および画像表示装置に使用することができる。
【0137】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0138】
(測定機器等)
実施例および比較例で用いた機器は、以下の通りである。すなわち、冷陰極管は、エレバム(Elevam)社の冷陰極管CCFL各種を用いた。バックライトは、スタンレー電気社および多摩電気工業社の各種バックライトを用いた。ライトテーブルは、HAKUBA社のものを用いた。
測定機器は、下記のものを用いた。
(1) 選択反射波長帯域測定には、大塚電子製の瞬間マルチ測光システムであるMCPD2000(商品名)を用いた。
(2) ヘイズ測定には、村上色彩製のヘイズメーターであるHM150(商品名)を用いた。
(3) 透過反射の分光特性測定には、日立製作所製の分光光度計であるU4100(商品名)を用いた。
(4) 偏光板の特性測定には、村上色彩製のDOT3(商品名)を用いた。
(5) 位相差板等の位相差測定には、Oji Scientific Insturumentsの複屈折測定装置であるKOBRA21D(商品名)を用いた。
(6) 輝度計測には、トプコン製の輝度計であるBM7(商品名)を用いた。
【0139】
(実施例1)
以下のようにして、反射円偏光子とネガティブCプレートとを含む偏光素子を作製し、その特性を調べた。
【0140】
すなわち、まず、コレステリック液晶層を含む反射偏光子(反射円偏光子)を、市販の重合性ネマチック液晶モノマー(重合性メソゲン化合物)とカイラル剤とを用いて作製した。これらの種類および混合比は、出来上がったコレステリック液晶層の選択反射波長帯域の中心値が550nm、幅が約60nmとなるように選択した。具体的には、重合性メソゲン化合物としてBASF社製LC242(商品名)、重合性カイラル剤としてBASF社製LC756(商品名)を用い、混合比が下記の通りになるように用いた。
メソゲン化合物:カイラル剤=4.9:95.1(重量比)
【0141】
反射円偏光子作製の具体的な操作は以下の通りである。すなわち、まず、前記重合性カイラル剤と前記重合性メソゲン化合物との混合物をシクロペンタンに溶解し、溶質濃度が20wt%となるように調整した。さらに、この溶液に対し、1wt%の反応開始剤(チバガイギ製、Irg907(商品名))を添加し、塗工用溶液を調製した。
【0142】
一方、PETフィルム(東レ製、ルミラー(商品名)、厚み75μm)を準備し、その表面をラビング布で配向処理して配向基板とした。次に、この配向基板の前記配向処理面上に、前記塗工用溶液をワイヤーバーで塗布した。この時の溶液塗布量は、乾燥後の厚みが5μmとなるように調整した。これを90℃で2分間乾燥させ、さらに液晶の等方性転移温度130℃まで一旦加熱後、徐冷して均一な配向状態を保持した。そして、80℃で紫外線照射(10mW/平方cm×1分)により硬化してコレステリック液晶化合物を含む反射偏光子層Aを得た。さらに、ガラス板を準備し、これに透光性のイソシアネート系接着剤(特殊色料工業株式会社製、AD249(商品名))を5μm厚に塗布し、その塗布面上に前記反射偏光子層Aを転写して目的の反射円偏光子を得た。この反射円偏光子の選択反射波長帯域を測定したところ、520〜580nmと設計通りの値が得られた。
【0143】
次に、重合液晶化合物を含むネガティブCプレート層を、コレステリック選択反射波長帯域の中心値が350nmとなるように作製した。具体的には、重合性メソゲン化合物としてBASF社製LC242(商品名)、重合性カイラル剤としてBASF社製LC756(商品名)を用い、混合比が下記の通りになるように用いた。
メソゲン化合物:カイラル剤=11.0:88.0(重量比)
【0144】
ネガティブCプレート層作製の具体的な操作は以下の通りである。すなわち、まず、前記重合性カイラル剤と前記重合性メソゲン化合物との混合物をシクロペンタンに溶解させ、溶質濃度が30wt%となるように調整した。さらに、この溶液に、1wt%の反応開始剤(チバガイギ製、Irg907(商品名))、および0.013wt%の界面活性剤(ビッグケミジャパン製、BYK−361(商品名))を添加した。
【0145】
一方、PETフィルム(東レ製、ルミラー(商品名)、厚み75μm)を準備し、その表面をラビング布で配向処理して配向基板とした。次に、この配向基板の前記配向処理面上に、前記塗工用溶液をワイヤーバーで塗布した。この時の溶液塗布量は、乾燥後の厚みが6μmとなるように調整した。これを90℃で2分間乾燥させ、さらに液晶の等方性転移温度130℃まで一旦加熱後、徐冷して均一な配向状態を保持した。そして、80℃で紫外線照射(10mW/平方cm×1分)により硬化して、コレステリック液晶化合物を含む目的のネガティブCプレート層が前記配向基板上に形成された積層体を得た。
【0146】
なお、このネガティブCプレート層の位相差を測定したところ、550nmの波長の光に対して正面方向(面内位相差)では2nm(実質上0とみなせる値)であり、また、30°傾斜させた時の位相差は160nm(>λ/8)であった。
【0147】
さらに、得られた反射円偏光子およびネガティブCプレート層を用いて偏光素子を作製した。すなわち、まず、ガラス板の上に反射円偏光子層Aが積層された前記反射円偏光子を準備した。次に、その反射円偏光子層Aの上に前記ネガティブCプレート層を転写した。すなわち、前記反射円偏光子層Aの上に透光性接着剤(特殊色料工業株式会社製、AD249(商品名))を5μm厚に塗布し、その上に、前記配向基板(PETフィルム)上に形成されたネガティブCプレート層を接着し、配向基板を剥離してネガティブCプレート層のみを残した。さらに、そのネガティブCプレート層上に、もう1層の反射円偏光子層Aを同様にして転写し、目的とする偏光素子を得た。この偏光素子は、ガラス板上に、1層目の反射円偏光子層Aと、ネガティブCプレート層と、2層目の反射円偏光子層Aとがこの順番で積層されており、各層は接着剤層を介して接着されている。
【0148】
次に、得られた偏光素子の性能を評価した。すなわち、まず、前記偏光素子に、544nmに輝線を有する緑色拡散光源を組み合わせて偏光光源を作製した。具体的には、エレバム製G0型冷陰極管と光散乱板(ヘイズ90%以上)とを組み合わせて拡散光源とし、それにさらに前記偏光素子を組み合わせて偏光光源とし、これを直下型バックライト装置内に配置した。なお、前記光散乱板は、前記偏光素子と冷陰極管との間に配置した。
【0149】
前記偏光光源の特性を調べたところ、法線方向には光線が出射されるが、斜め30°以上では透過光線が減少し、斜め45°前後では出射光線がほとんどなかった。図16に、前記拡散光源のみを用いたときと、本実施例の偏光素子を組み合わせて偏光光源としたときのそれぞれにおける出射光線の出射角度と相対輝度との関係を併せて示す。
【0150】
図16から、本実施例の偏光素子によれば、光を正面方向に効率的に集光できる事が分かる。サイドライト型バックライトと異なり直下型バックライトでは正面方向へレンズやプリズムで集光することは一般的に困難であるから、これは当該偏光素子の特徴と言える。
【0151】
次に、3波長冷陰極管を用いた液晶表示装置用バックライト(スタンレー電機製、サイドライト・ウエッジ型バックライト)上に本実施例の偏光素子を配置してその特性を評価した。この場合も法線方向には光線が出射されるが斜め30°以上では透過光線が減少した。偏光素子が可視光全域に対応できていないため青(435nm)と赤(610nm)は角度を絞り込めず抜け出てくるものの、視感度が最も高い緑(545nm)のスペクトルはカットできるので、集光装置としての機能は確認できた。
【0152】
(実施例2)
ネガティブCプレート層に代えてポジティブCプレート層を用いる以外は実施例1と同様にして偏光素子を作製し、その性能を評価した。すなわち、まず、下記構造式で表される液晶モノマー(重合性ネマチックモノマーAとする)を用いて重合液晶化合物を含むポジティブCプレート層を作製した。
【化1】
【0153】
ポジティブCプレート層作製の具体的な操作は以下の通りである。すなわち、まず、重合性ネマチックモノマーAをシクロペンタンに溶解させ、溶質濃度が30wt%となるように調整した。さらに、この溶液に1wt%の反応開始剤(チバガイギ製、Irg907(商品名))を添加して塗工用溶液とした。一方、PETフィルム(東レ製、ルミラー(商品名)、厚み75μm)を準備し、この上に離型処理剤(オクタデシルトリメトキシシラン)のシクロヘキサン溶液(0.1wt%)を薄く塗布し、乾燥させて垂直配向膜を形成して配向基板とした。そして、この配向基板の垂直配向膜形成面上に前記塗工用溶液をワイヤーバーで塗布した。この時の溶液塗布量は、乾燥後の厚みが2μmとなるように調整した。これを90℃で2分間乾燥させ、さらに液晶の等方性転移温度130℃まで一旦加熱後、徐冷して均一な配向状態を保持した。そして、80℃で紫外線照射(10mW/平方cm×1分)により硬化して、目的のポジティブCプレート層が前記配向基板上に形成された積層体を得た。このポジティブCプレートの位相差を測定した所、550nmの波長の光に対しては正面方向では0nm、30°傾斜させて測定したときの位相差は約170nm(>λ/8)であった。
【0154】
さらに、このポジティブCプレートを実施例1のネガティブCプレート層に代えて用いる以外は実施例1と同様にして偏光素子を得た。得られた偏光素子を実施例1と同様に用いて性能を評価したところ、実施例1とおおよそ同等であった。
【0155】
(実施例3)
以下のようにして、反射直線偏光子と1/4波長板とCプレートとを含む偏光素子を作製し、その性能を評価した。
【0156】
まず、反射直線偏光子を作製した。すなわち、まず、ポリエチレンナフタレート(PEN)と、ナフタレンジカルボン酸−テレフタル酸コポリエステル(co−PEN)とが交互に積層するよう、薄膜をフィードブロック法で厚み制御しながら交互に積み重ね、20層積層した多層膜を得た。さらにこの多層膜を一軸延伸した。この時の延伸温度は約140度、延伸倍率はTD方向に約3倍であった。こうして得られた延伸フィルム中の各薄層の厚みは概略0.1μm程度であった。この20層積層フィルム延伸品をさらに5枚積層し、計100枚積層品として目的の反射直線偏光子(反射偏光子Bとする)を得た。反射偏光子Bは、全体の反射率により、500nm以上600nm以下の波長帯域における直線偏光に対して反射機能を有する。
【0157】
さらに、反射偏光子Bを用いて偏光素子を作製した。すなわち、まず、ネガティブCプレート層を実施例1と同様にして作製し、その両側にポリカーボネート製一軸延伸フィルムから成る1/4波長位相差板(日東電工製、NRFフィルム(商品名)、550nmで位相差(面内位相差)135nm)を接着し、さらにその外側に反射偏光子Bを接着して目的の偏光素子を得た。各層の貼り合せ角度は、入射側の反射偏光子Bの透過偏光軸方向を0°として、入射側の1/4波長板の面内遅相軸方向が45°、Cプレートは軸方位無し、出射側の1/4板の面内遅相軸方向が−45°、出射側の偏光子の透過偏光軸方向が90°となるように貼り合せた。また、各層の接着は、各層間にアクリル系粘着剤(日東電工製No.7)を25μm厚に塗布して行ない、ネガティブCプレート層からは配向基板は剥離して液晶含有層のみを用いた。得られた偏光素子を実施例1と同様に用いて性能を評価したところ、実施例1とおおよそ同等であった。
【0158】
(実施例4)
以下のようにして、反射直線偏光子と1/2波長位相差板とを含む偏光素子を作製し、その性能を評価した。すなわち、まず、実施例3と同様にして作製した反射偏光子Bを2つと、ポリカーボネート製フィルム(鐘淵化学製)を二軸延伸して得られた正面位相差270nm(計測波長550nm)、Nz係数2.0の位相差フィルム(1/2波長板)とを準備した。そして、前記1/2波長板を前記2つの反射偏光子Bにより挟む配置でこれら各層を接着して目的の偏光素子を得た。各層の貼り合せ角度は、入射側の反射偏光子Bの透過偏光軸方向を0°として、1/2波長板の面内遅相軸方向が45°、出射側の偏光子の透過偏光軸方向が90°となるように貼り合せた。各層の接着は、各層間にアクリル系粘着剤(日東電工製No.7)を25μm厚に塗布して用いて行なった。この偏光素子を実施例3と同様に評価したところ、実施例3と同等の性能を有する事が分かった。
【0159】
(実施例5)
以下のようにして、広波長領域に選択反射波長帯域を有する反射円偏光子(広帯域反射円偏光子)を作製し、さらに、それとCプレートとを用いて偏光素子を作製して性能を評価した。
【0160】
まず、広帯域反射円偏光子を作製した。すなわち、まず、下記構造式で表されるネマチックモノマーA(前記と同様の物)およびカイラルモノマーBを準備した。
【化2】
ネマチックモノマーA
【化3】
カイラルモノマーB
【0161】
次に、前記ネマチックモノマーAとカイラルモノマーBとを所定の比で混合して重合させ、さらにそれを用いてコレステリック液晶層を作製した。さらに、ネマチックモノマーAとカイラルモノマーBとの混合比を変えて、選択反射波長帯域が異なるコレステリック液晶層を4層作製した。作製にあたっては、欧州特許出願公開0834754号明細書を参照した。具体的には以下の通りである。
【0162】
まず、ネマチックモノマーAとカイラルモノマーBとの混合比(重量比)およびそれから計算される各コレステリック液晶層の選択反射波長帯域とその中心波長とは下記表1の通りである。
(表1)
A/B 選択反射波長帯域 中心波長
9.2/1 430〜490nm 460nm
10.7/1 480〜550nm 510nm
12.8/1 540〜620nm 580nm
14.9/1 620〜710nm 660nm
【0163】
次に、ネマチックモノマーAとカイラルモノマーBとを重合させてコレステリック液晶化合物を合成した。すなわち、まず、表1に示すそれぞれの組成による混合物を、それぞれ33wt%テトラヒドロフラン溶液とし、さらに0.5wt%の反応開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)を添加した。これを60℃で窒素パージした後、定法により重合処理し、生成物をジエチルエーテルで再沈分離し精製して目的のコレステリック液晶化合物を得た。
【0164】
一方、80μm厚トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士写真フィルム工業製、TD−TAC(商品名))を準備し、その表面に約0.1μm厚さのポリイミド層を塗工し、そのポリイミド層表面をレーヨン製ラビング布でラビング処理して配向基板とした。次に、そのラビング処理面上に、前記コレステリック液晶化合物の10wt%塩化メチレン溶液を、ワイヤーバーで乾燥後の厚みが1.5μmとなるように塗布した。これを140℃で15分間加熱処理し、その後室温で放冷してコレステリック液晶化合物の配向状態を固定させ、コレステリック液晶層を得た。合成した各コレステリック液晶化合物についてそれぞれ上記の操作を行ない、表1に示す各選択反射波長帯域を有するコレステリック液晶層をそれぞれ得た。
【0165】
そして、得られた4層のコレステリック液晶層を短波長側から順番に接着し、約10μm厚の液晶複合層を得て目的の広帯域反射円偏光子とした。接着は、透明イソシアネート系接着剤(特殊色料工業製、AD244(商品名))を各液晶層表面に塗布し、接着後に片側の配向基板(TACフィルム)を剥離するという方法で順次行なった。得られた広帯域反射円偏光子の選択反射機能を測定したところ、430nm〜710nmで選択反射機能を有していることが分かった。
【0166】
そして、Cプレート層を実施例1と同様にして作製し、その両側に前記広帯域反射円偏光子を接着して目的の偏光素子を得た。接着は、透光性粘着剤(日東電工製No.7)を各層間に25μm厚に塗布し、実施例1と同様の操作により行なった。なお、上下の反射円偏光子で、透過する(反射する)円偏光の回転方向が同じになるようにした。
【0167】
次に、本実施例の偏光素子の性能を実施例1と同じ方法で評価した。緑色拡散光源を用いた評価では、実施例1の偏光素子と同様の集光性能を有していることが確認された。また、3波長冷陰極管を用いた液晶表示装置用バックライトによる評価でも実施例1と同様に優れた集光性能を示したが、本実施例の偏光素子は、可視光全域で同様の集光性能を発揮する点で実施例1の偏光素子よりもさらに優れていることが分かった。
【0168】
さらに、別のバックライト(冷陰極管を用いた直下型バックライト、多摩電気工業製)上に本実施例の偏光素子を配置し、集光性能を評価した。この場合も法線方向には光線が出射されるが斜め30°以上では透過光線が減少した。そして、可視光全域で同様の集光性能を発揮することが分かった。
【0169】
(実施例6)
Cプレート層の厚みおよび位相差値を変える以外は実施例5と同様にして偏光素子を作製し、さらに実施例5と同様に集光性能を評価した。本実施例では、Cプレートの厚みは、4μmとし、その位相差を測定したところ、正面位相差1nm、30°傾斜時の位相差100nm(>λ/8)であった。
【0170】
図16に、実施例5および6の偏光素子をそれぞれ拡散光源と組み合せて偏光光源とした場合、および前記拡散光源のみを用いた場合のそれぞれにおける出射光線の出射角度と相対輝度との関係を併せて示す。同図から、いずれの偏光素子も優れた集光性能を示しはするが、実施例5の方がより集光角度がシャープで正面の輝度上昇も大きいと分かる。
【0171】
(実施例7)
実施例5の偏光素子を液晶表示装置に組み込み、その表示性能を評価した。具体的には以下の通りである。まず、液晶表示装置としては、東芝製DynabookSS3430(商品名)から得たTFT液晶表示装置(対角11.3インチ)を準備した。この装置は、サイドライト型導光体の光源を用い、プリズムシートにより正面に集光するタイプである。次に、この液晶表示装置からプリズムシートを除去し、装置裏面側偏光子に対し、偏光軸に45°の角度で1/4波長板(日東電工製NRF−140(商品名))を接着し、さらにその上に実施例5で得られた偏光素子を接着した。接着は、透光性粘着剤(日東電工製No.7)を厚み25μmに塗布して行なった。このようにして市販の液晶表示装置を加工し、実施例5の偏光素子が組み込まれた目的の液晶表示装置を得た。得られた偏光素子付き液晶表示装置の性能を加工前(プリズムシート使用時)と比較したところ、正面への集光特性はプリズムシート使用時と同等であり、さらに、加工前よりも正面輝度が20%向上していることが分かった。この結果は、プリズムシート等の従来技術に対する本発明の偏光素子の優位性を示す。
【0172】
(比較例1)
Cプレート層を用いず、2層の反射円偏光子を直接貼り合せる以外は実施例1と同様にして偏光素子を作製した。この偏光素子の性能を評価したところ、単一の反射円偏光子と同様の光学機能しか得られず、斜め方向での選択的な反射率の向上や透過率の低下のような現象は見られなかった。
【0173】
(比較例2)
Cプレート層の代わりに1/4波長板を用いる以外は実施例1と同様にして偏光素子を作製した。前記1/4波長板としては、ポリカーボネート製フィルムの延伸フィルムからなる正面位相差λ/4、Nz係数=1.0のAプレート(日東電工製NRF−140フィルム(商品名)、厚み50μm)を用いた。得られた偏光素子の性能を評価したところ、正面透過率が実施例1と比べて約1/2に低下する他、斜め入射方向の透過率が下がらず、集光や平行光化の機能は有さなかった。
【0174】
(比較例3)
市販のヨウ素系吸収2色性偏光子(日東電工製、NPF−EG1425DU(商品名))を反射偏光子Bに代えて用いる以外は実施例3と同様にして偏光素子を得た。この偏光素子の性能を評価したところ、正面方向の透過特性と斜め方向の吸収特性による視野角制限効果は得られるが、吸収損失が著しく、正面の明るさは向上しなかった。
【0175】
(ライトテーブルを用いた輝度評価)
実施例1〜6および比較例1〜3の各偏光素子を、市販のライトテーブル(ハクバ製、3波長蛍光灯、直下型拡散光源)上に配置し、鉛直上方における輝度(2°視野)を輝度計(トプコン製、BM7(商品名))を用いて測定した。測定値はライトテーブルのみで測定した時の値を100として規格化した。測定結果を表2に示す。
【0176】
【0177】
表2から分かる通り、実施例の偏光素子は、ライトテーブルに用いた場合も正面方向に対する優れた輝度向上効果を示した。なお、実施例の偏光素子は、図16および17に示した通り、液晶表示装置用の直下型バックライトに用いた場合は正面の相対輝度が100(元のバックライトの正面輝度)を上回っていたが、表2での相対輝度は100をやや下回っていた。これは、市販ライトテーブルでは前記直下型バックライトの場合と比較して反射偏光子で反射された戻り光が再び法線方向へ戻る効率がやや悪いためである。しかし、比較例の偏光素子と比べれば著しく優れた正面方向の輝度向上効果を有していることが分かる。
【0178】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の偏光素子によれば、正面輝度に寄与する垂直入射光の透過偏光特性を害することなく斜め透過光を効率的に光源側へ反射できることができる。また、前記光源側へ反射した斜め透過光(反射偏光)を正面輝度の向上に寄与しうる光に変換することでさらに輝度を向上させることも可能である。そして、反射偏光子の選択反射波長帯域を調整することにより、前記の効果を広い波長領域で波長依存性が少なく発揮することもできる。さらに、本発明の偏光素子は、従来技術の干渉フィルターと輝線発光光源の組み合わせによる平行光化および集光システム等と比べて光源の特性に対する依存性が少ないため、あらゆる偏光光源および画像表示装置に使用することができる。例えば、液晶表示素子のバックライト側の偏光子として利用した場合には、明るい視認性に優れた表示を得ることが可能である。また、光源から出射された拡散光の光利用効率に優れるため、高輝度の偏光光源装置、有機EL表示装置、PDP、CRT等の画像表示装置を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光素子において、反射円偏光子とCプレートとを組み合わせた一実施形態の集光性と輝度向上の同時発現のメカニズムを示す図である。
【図2】本発明における自然光、円偏光および直線偏光を表す記号について説明した図である。
【図3】直線偏光子と1/4波長板の組み合わせによる円偏光化の模式図である。
【図4】本発明の偏光素子において、反射直線偏光子とCプレートと1/4波長板とを組み合わせた一実施形態の集光性と輝度向上の同時発現のメカニズムを示す図である。
【図5】図4の偏光素子における各層がなす角度を示す模式図である。
【図6】本発明の偏光素子において、反射直線偏光子とNz≧2である1/4波長板とを組み合わせた一実施形態の集光性と輝度向上の同時発現のメカニズムを示す図である。
【図7】図6の偏光素子における各層がなす角度を示す模式図である。
【図8】本発明の偏光素子において、反射直線偏光子とNz≧1.5である1/2波長板とを組み合わせた一実施形態の集光性と輝度向上の同時発現のメカニズムを示す図である。
【図9】図8の偏光素子における各層がなす角度を示す模式図である。
【図10】ネガティブCプレートの光学特性の一例を示す模式図である。
【図11】ホメオトロピック配向した液晶分子を含む位相差層の模式図である。
【図12】ディスコチック液晶を含む位相差層の模式図である。
【図13】無機層状化合物を含む位相差層の模式図である。
【図14】本発明の偏光素子において、反射直線偏光子とCプレートと1/4波長板とを組み合わせた場合の各層の貼り合せ角度の一例を示す図である。
【図15】図14の偏光素子における光の変換経路をポアンカレ球で示した説明図である。
【図16】実施例1の偏光素子の集光および輝度向上性能を示す図である。
【図17】実施例5および6の偏光素子の集光および輝度向上性能を示す図である。
【符号の説明】
1〜58 自然光、円偏光または直線偏光
201、203 反射円偏光子
202 Cプレート
301 自然光
302 直線偏光子
303 直線偏光
304 1/4波長板
305 円偏光
404、408 反射直線偏光子
405、407 1/4波長板
406 Cプレート
609、612 反射直線偏光子
610、611 1/4波長板
813、815 反射直線偏光子
814 1/2波長板
1101、1201 液晶分子
1301 負の一軸性配向結晶体薄片
1401、1405 反射直線偏光子
1402、1404 1/4波長板
1403 Cプレート
Claims (21)
- 2層の反射偏光子とそれらの間に配置された位相差層とを少なくとも含み、前記2層の反射偏光子が、右回り円偏光および左回り円偏光のうち一方を選択的に透過させ他方を選択的に反射する反射円偏光子であり、前記2層の反射円偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記位相差層が下記式(I)および(II)の条件を満たす偏光素子。
R≦(λ/10) (I)
R’≧(λ/8) (II)
式(I)および(II)において、
λは前記位相差層に入射する光の波長であり、
Rは、Z軸方向(法線方向)からの入射光に対するX軸方向とY軸方向との位相差(面内位相差)の絶対値であり、前記X軸方向とは、前記位相差層の面内で屈折率が最大となる方向(面内遅相軸方向)であり、前記Y軸方向とは、前記位相差層の面内で前記X軸方向に垂直な方向(面内進相軸方向)であり、前記Z軸方向とは、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な前記位相差層の厚み方向であり、
R’は、Z軸方向に対し30°以上傾いた方向からの入射光に対するX’軸方向とY’軸方向との位相差の絶対値であり、前記X’軸方向とは、前記Z軸方向に対し30°以上傾いた入射光の入射方向に垂直な前記位相差層面内の軸方向であり、前記Y’軸方向とは、前記入射方向および前記X’軸方向に垂直な方向である。 - 前記2層の反射円偏光子を透過する円偏光の回転方向が互いに同じである請求項1に記載の偏光素子。
- 2層の反射円偏光子とそれらの間に配置された1/2波長板とを少なくとも含み、前記2層の反射円偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なる偏光素子。
- 前記2層の反射円偏光子を透過する円偏光の回転方向が互いに逆である請求項3に記載の偏光素子。
- 前記2層の反射円偏光子における選択反射波長帯域の互いに重なる領域が、540〜560nmの波長範囲を含む請求項1〜4のいずれかに記載の偏光素子。
- 2層の反射偏光子と、それらの間に配置された中間層とを少なくとも含み、前記2層の反射偏光子が、直交する直線偏光のうち一方を選択的に透過させ他方を選択的に反射する反射直線偏光子であり、前記2層の反射直線偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記中間層は、1層の光学層からなるか、または2層以上の光学層の積層構造を含み、かつ、前記中間層は、入射する直線偏光を、その入射方向に応じて偏光方向を変化させるかまたは変化させずに透過させる機能を有し、前記2層の反射直線偏光子は、その面内遅相軸方向が、入射する直線偏光のうち入光面と垂直な方向(法線方向)から入射する光を透過させ斜め方向から入射する光を効率的に反射するような角度で配置されている偏光素子。
- 2層の反射直線偏光子と、それらの間に配置された位相差層と2層の1/4波長板とを少なくとも含み、その1/4波長板のうち1層は、前記反射直線偏光子のうちの一方と前記位相差層との間に配置され、もう1層の1/4波長板は他方の反射直線偏光子と前記位相差層との間に配置され、前記2層の反射直線偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記位相差層の一方の面側に位置する1/4波長板は、その面内遅相軸が、同じ側に位置する反射直線偏光子の偏光軸と40°〜50°の角度をなし、前記位相差層の他方の面側に位置する1/4波長板は、その面内遅相軸が、同じ側に位置する反射直線偏光子の偏光軸と−40°〜−50°の角度をなし、前記2層の1/4波長板の面内遅相軸同士がなす角度は任意であり、前記位相差層が下記式(I)および(III)の条件を満たす偏光素子。
R≦(λ/10) (I)
R’≧(λ/4) (III)
式(I)および(III)において、
λは前記位相差層に入射する光の波長であり、
Rは、Z軸方向(法線方向)からの入射光に対するX軸方向とY軸方向との位相差(面内位相差)の絶対値であり、前記X軸方向とは、前記位相差層の面内で屈折率が最大となる方向(面内遅相軸方向)であり、前記Y軸方向とは、前記位相差層の面内で前記X軸方向に垂直な方向(面内進相軸方向)であり、前記Z軸方向とは、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な前記位相差層の厚み方向であり、
R’は、Z軸方向に対し30°以上傾いた方向からの入射光に対するX’軸方向とY’軸方向との位相差の絶対値であり、前記X’軸方向とは、前記Z軸方向に対し30°以上傾いた入射光の入射方向に垂直な前記位相差層面内の軸方向であり、前記Y’軸方向とは、前記入射方向および前記X’軸方向に垂直な方向である。 - 2層の反射直線偏光子とそれらの間に配置された2層の1/4波長板とを少なくとも含み、前記2層の反射直線偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記1/4波長板のうち一方の面内遅相軸が、同じ側に位置する反射直線偏光子の偏光軸と40°〜50°の角度をなし、他方の1/4波長板の面内遅相軸が、同じ側に位置する反射直線偏光子の偏光軸と−40°〜−50°の角度をなし、前記2層の1/4波長板の面内遅相軸同士がなす角度は任意であり、前記各1/4波長板がそれぞれ下記式(IV)の条件を満たす偏光素子。
Nz≧2.0 (IV)
ただしNz=(nx−nz)/(nx−ny)
式(IV)において、
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記1/4波長板におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率であり、前記X軸方向とは、前記1/4波長板の面内で屈折率が最大となる方向(面内遅相軸方向)であり、前記Y軸方向とは、前記1/4波長板の面内で前記X軸方向に垂直な方向(面内進相軸方向)であり、前記Z軸方向とは、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な前記1/4波長板の厚み方向である。 - 2層の反射直線偏光子とそれらの間に配置された1/2波長板とを少なくとも含み、前記2層の反射直線偏光子は、偏光の選択反射における選択反射波長帯域の少なくとも一部が互いに重なり、前記1/2波長板の面内遅相軸が、一方の反射直線偏光子の偏光軸と40°〜50°の角度をなし、かつ、他方の反射直線偏光子の偏光軸と−40°〜−50°の角度をなし、前記1/2波長板が下記式(V)の条件を満たす偏光素子。
Nz≧1.5 (V)
ただしNz=(nx−nz)/(nx−ny)
式(V)において、
nx、nyおよびnzは、それぞれ前記1/2波長板におけるX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の屈折率であり、前記X軸方向とは、前記1/2波長板の面内で屈折率が最大となる方向(面内遅相軸方向)であり、前記Y軸方向とは、前記1/2波長板の面内で前記X軸方向に垂直な方向(面内進相軸方向)であり、前記Z軸方向とは、前記X軸方向および前記Y軸方向に垂直な前記1/2波長板の厚み方向である。 - 前記2層の反射直線偏光子における選択反射波長帯域の互いに重なる領域が、540〜560nmの波長範囲を含む請求項6〜9のいずれかに記載の偏光素子。
- 前記位相差層が、プラナー配向状態で固定されたコレステリック液晶化合物を含み、前記位相差層の選択反射波長帯域が可視光領域(380nm〜780nm)以外の波長領域に存在する請求項1、2、5および7のいずれかに記載の偏光素子。
- 前記位相差層が、ホメオトロピック配向状態で固定された棒状液晶化合物を含む請求項1、2、5および7のいずれかに記載の偏光素子。
- 前記位相差層が、ネマチック相またはカラムナー相配向状態で固定されたディスコチック液晶化合物を含む請求項1、2、5および7のいずれかに記載の偏光素子。
- 前記位相差層が、二軸配向した非液晶ポリマーを含む請求項1、2、5および7のいずれかに記載の偏光素子。
- 前記位相差層が、負の1軸性を有する無機層状化合物を含み、前記無機層状化合物の配向状態は、前記位相差層の光軸方向が面と垂直な方向(法線方向)になるように固定されている請求項1、2、5および7のいずれかに記載の偏光素子。
- 少なくとも正面方向において1/4波長板機能を有するもう一つの層をさらに含み、この層が、前記2層の反射円偏光子のうち視認側に位置する反射円偏光子のさらに外側に配置されている請求項1〜5のいずれかに記載の偏光素子。
- 吸収2色性偏光板をさらに含み、この吸収2色性偏光板が、前記少なくとも正面方向において1/4波長板機能を有するもう一つの層のさらに外側に配置されている請求項16に記載の偏光素子。
- 前記各構成要素が、透光性の接着剤または粘着剤の層を介して積層されている請求項1〜17のいずれかに記載の偏光素子。
- 光源と、反射層と、請求項1〜18のいずれかに記載の偏光素子とを含み、この偏光素子が前記反射層を介して前記光源の上に積層されている偏光光源。
- 請求項19に記載の偏光光源を含み、その偏光素子の上にさらに液晶セルが積層されている液晶表示装置。
- 請求項1〜18のいずれかに記載の偏光素子を含む画像表示装置。
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