JP2011068772A - エポキシ樹脂組成物、および、それによる接着フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)質量平均分子量(Mw)が10,000〜20,000の二官能性直鎖状エポキシ樹脂、(B)固形エポキシ樹脂、(C)液状エポキシ樹脂、および、(D)エポキシ硬化剤を含有し、前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分および前記(C)成分をそれぞれ10〜350質量部含み、かつ、前記(B)成分および前記(C)成分の含有割合((B)成分/(C)成分)が9.5/0.5〜0.5/9.5であり、前記成分(D)を有効量含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
また、本発明は、該接着フィルムの作成に用いるエポキシ樹脂組成物に関する。
また、最近のプリント配線板における伝送信号の高速化要求に伴い、伝送信号の高周波化が顕著に進んでいる。これにより、プリント配線板に使用する材料に対して、高周波領域、具体的には、周波数1〜5GHzの領域での低誘電率化および低誘電損失化が強く求められている。
プリント配線板の層間接着剤や表面保護膜として用いる接着フィルムにもこれらを満たすことが求められる。
このような高周波領域で低誘電正接を有する硬化物を形成するエポキシ樹脂組成物、及び該エポキシ樹脂組成物を用いて得られるフィルムが特許文献1に開示されており、このフィルムは導電体(好ましくは、銅箔)及びポリイミドなどの絶縁基材に対して、十分な接着性を有するため、プリント配線板用の接着フィルムとして好適であるとされている。
また、特許文献2には、可撓性、耐熱性、低吸水性、電気的特性(特に、低誘電率・低誘電損失)、成形性、耐衝撃性及び接着性に優れた電気積層板用樹脂組成物が開示されている。但し、特許文献2では、電気積層板用樹脂組成物が高周波領域で低誘電率および低誘電損失であるとは記載されていない。
プリント配線板の層間接着剤や表面保護膜として用いる接着フィルムにもこれらを満たすことが求められることに加えて、フィルム硬化時の揮発成分の発生による積層体(接着フィルムとプリント配線板の他の構成要素とを含む積層体)の表面膨れがないことも求められるが、特許文献1に記載の樹脂組成物は、この点で不十分であった。また、常温でのタック性、フィルムの可撓性などフィルムの加工工程における作業性も良好であることが求められるが、特許文献2に記載の樹脂組成物は、これらの点で不十分であった。
(A)下記一般式(1)で示される、質量平均分子量(Mw)が10,000〜20,000の二官能性直鎖状エポキシ樹脂
(式中、Xは、同一であっても、異なっていてもよく、単結合、炭素数1〜7の炭化水素基、−O−、−S−、−SO2−、−CO−又は基:
であり(ここで、R2は、同一であっても、異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R3は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、bは、同一であっても、異なっていてもよく、0〜5の整数である。)、
R1は、同一であっても、異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、aは、同一であっても、異なっていてもよく、0〜4の整数であり、nは、平均値を表し、25〜500の整数である。)、
(B)固形エポキシ樹脂、
(C)液状エポキシ樹脂、および、
(D)エポキシ硬化剤を含有し、
前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分および前記(C)成分を合計で10〜350質量部含み、かつ、前記(B)成分および前記(C)成分の含有割合((B)成分/(C)成分)が9.5/0.5〜0.5/9.5であり、前記成分(D)を有効量含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物を提供する。
(式中、nは0または1である。)
本発明の接着フィルムは、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて作成することができる。
本発明では、予めフィルムの形態にしたものを用いる代わりに、本発明のエポキシ樹脂組成物を含むワニスをフィルム形成面に塗布した後、乾燥させてフィルム化させてもよい。
本発明の接着フィルムは、フィルム硬化時の揮発成分の発生がないため、硬化後のフィルムに気泡が残留する等の問題が生じることがない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、以下に示す(A)〜(D)成分を必須成分として含有する。
一般式(1)中、Xは、同一であっても、異なっていてもよく、単結合、炭素数1〜7の炭化水素基、−O−、−S−、−SO2−、−CO−又は基:
である。ここで、R2は、同一であっても、異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R3は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、bは、同一であっても、異なっていてもよく、0〜5の整数である。
また、一般式(1)中、R1は、同一であっても、異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、aは、同一であっても、異なっていてもよく、0〜4の整数であり、nは、平均値を表し、25〜500の整数である。
ここで、式(1)´中のXおよびnは上記で定義した通りである。
(C)成分:液状エポキシ樹脂
本発明のエポキシ樹脂組成物において、(B)成分および(C)成分は、該エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムの接着性に主として寄与する。(B)成分の固形エポキシ樹脂は、さらに、該エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムの常温でのタック低減に寄与する。一方、(C)成分の液状エポキシ樹脂は、さらに、該エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムの柔軟性および常温でのタック性に寄与する。本発明のエポキシ樹脂組成物は、(B)成分および(C)成分を後述する特定の割合で含有することにより、該エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムが柔軟性に優れ、かつ、常温でのタックが適度であることから、フィルムの加工工程における作業性が良好である。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムは、後述する実施例に記載の方法で測定される常温(25℃)でのタック強度が0.01〜10であることが好ましく、0.05〜9であることがより好ましく、0.1〜8であることがさらに好ましい。
上記(B)成分および(C)成分の合計含有量が10質量部未満の場合、該エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムの接着性が不十分となる等の問題がある。
上記(B)成分および(C)成分の合計含有量が350質量部超だと、エポキシ樹脂組成物における(A)成分の含有量が少なくなることから、該エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムの加熱硬化後における周波数1〜5GHzの領域での誘電率(ε)、および、誘電正接(tanδ)を低くすることができず、周波数1〜5GHzの領域での低誘電率化および低誘電損失化を達成することができない。また、硬化させたフィルムが、柔軟性が損なわれる等の問題がある。
上記(B)成分の含有割合が上記範囲よりも高いと、該エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムが柔軟性に劣り、接着フィルムがもろくなる。また、常温でのタックが少なくなりすぎることから、乾燥後の接着フィルムで割れが生じるおそれがある等の問題がある。
上記(C)成分の含有割合が上記範囲よりも高いと、該エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムの常温でのタックが過剰となり、フィルムの加工工程における作業性が悪化する。また、加熱時のフィルム形状安定性の低下等の問題がある。
上記(B)成分および(C)成分の含有割合((B)成分/(C)成分)が、9.3/0.7〜3/7であることが好ましく、8.7/1.3〜4.2/5.8であることがより好ましい。
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、上記の固形エポキシ樹脂のうち、いずれか1種を(B)成分として使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、又は、ノボラック型エポキシ樹脂、が低誘電率、低誘電損失及び接着性付与の理由から好ましく、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が特に好ましい。
上記(B)成分として用いる固形エポキシ樹脂は、エポキシ当量が0.01〜10であることが好ましく、0.03〜5であることがより好ましく、0.035〜1であることがさらに好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、変性フェノール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ここで、(b)成分の固形エポキシ樹脂の具体例として挙げたものと同一の種類のエポキシ樹脂を、その0℃におけるエポキシ樹脂の状態(すなわち、0℃において固形であるか液状であるか)によって、(b)成分の固形エポキシ樹脂と、(c)成分の液状エポキシ樹脂と、に使い分けてもよい。
なお、上記の液状エポキシ樹脂のうち、いずれか1種を(C)成分として使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、下記一般式(2)で示される構造のエポキシ樹脂が、フィルムへの接着性及び機械的強度の付与の理由から好ましく、下記一般式(2)で示される構造のエポキシ樹脂が特に好ましい。
上記一般式(2)中、nは0または1である。
上記(C)成分として用いる液状エポキシ樹脂は、エポキシ当量が0.001〜10であることが好ましく、0.025〜5であることがより好ましく、0.05〜1であることがさらに好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(D)成分としてエポキシ硬化剤を有効量含有する。
(D)成分として使用するエポキシ硬化剤は特に限定されず、エポキシ硬化剤としては、フェノール系エポキシ硬化剤、アミン系エポキシ硬化剤、イミダゾール系エポキシ硬化剤、酸無水物系エポキシ硬化剤等の各種エポキシ硬化剤を用いることができる。
フェノール系エポキシ硬化剤の具体例としては、フェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル(フェニレン、ビフェニレン骨格を含む)樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂等が挙げられる。
アミン系エポキシ硬化剤の具体例としては、2,4−ジアミノ−6−〔2’―メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン等のトリアジン化合物、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の第三級アミン化合物が挙げられる。
イミダゾール系エポキシ硬化剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等が挙げられる。
酸無水物系エポキシ硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ドデセニル無水コハク酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルバン酸二無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸が挙げられる。
なお、上記のエポキシ硬化剤のうち、いずれか1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、イミダゾール系エポキシ硬化剤と、フェノール系エポキシ硬化剤、アミン系エポキシ硬化剤および酸無水物系エポキシ硬化剤のうち、いずれか1種と、の併用が好ましい。
フェノール系エポキシ硬化剤の場合、その有効量は、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ樹脂(すなわち、(A)成分の二官能性直鎖状エポキシ樹脂、(B)成分の固形エポキシ樹脂、および、(C)成分の液状エポキシ樹脂)のエポキシ基1当量に対して硬化剤が0.01〜5当量であり、0.04〜1.5当量であることが好ましく、0.08〜0.8当量であることがより好ましい。
アミン系エポキシ硬化剤の場合、その有効量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤が、0.001〜1当量であり、0.005〜0.05当量であることが好ましく、0.007〜0.25当量であることがより好ましい。
イミダゾール系エポキシ硬化剤の場合、その有効量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤が0.001〜0.5当量であり、0.005〜0.1当量であることが好ましく、0.01〜0.05当量であることがより好ましい。
酸無水物系エポキシ硬化剤の場合、その有効量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して硬化剤が0.05〜10当量であり、0.1〜5当量であることが好ましく、0.5〜1.8当量であることがより好ましい。
また、イミダゾール系エポキシ硬化剤と、フェノール系エポキシ硬化剤、アミン系エポキシ硬化剤および酸無水物系エポキシ硬化剤のうち、いずれか1種と、を併用する場合、個々のエポキシ硬化剤が上記の有効量になるように添加する。
(E)成分として、フィラーを含有されることで、本発明のエポキシ樹脂組成物に、所望の電気的特性、または、物理的特性、あるいはその両方を付与することができる。
(E)成分として用いるフィラーは、エポキシ樹脂組成物を用いて作成される接着フィルムの用途に応じて適宜選択されるが、例えば、熱伝導性物質、不要輻射吸収性物質、セラミック誘電体物質などが挙げられる。
不要輻射吸収物質としては、例えば、フェライトなどの酸化鉄が挙げられる。
セラミック誘電体物質としては、例えば、チタン酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられる。
重合開始剤としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノアート等の公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤を含有させる場合、(A)成分100質量部に対して、1〜10質量部含有させることが好ましい。
また、成膜補助剤としては、例えば、ジビニルベンゼンを用いることができる。成膜補助剤を含有させる場合、(A)成分100質量部に対して、50〜150質量部含有させることが好ましい。
また、接着性を向上させるために、公知のシランカップリング剤を含有させてもよい。
シランカップリング剤を含有させる場合、(A)成分100質量部に対して、0.1〜10質量部含有させることが好ましい。
上記(A)〜(D)成分は、所定の溶剤濃度に溶解し、それらを10〜60℃に加温された反応釜に所定量投入し、回転数500〜1000rpmで回転させながら、常圧混合を30分行った後、真空下(最大1Torr)でさらに30〜60分混合攪拌することができる。ただし、上記(E)成分を他の成分と同時に攪拌する場合は、真空下での混合攪拌時間は30〜60分延長することが好ましい。
一方、接着フィルムの作成に用いるエポキシ樹脂組成物が(E)成分、すなわち、フィラーを含有する場合、接着フィルムの厚みは、(E)成分の含有量等を勘案し、用途に応じて要求される機械的強度などの特性に基づいて適宜設計されるが、一般に20〜200μmであり、好ましくは20〜90μmである。
本発明の接着フィルムを用いて接着する対象物のうち、一方の対象物の被接着面に本発明の接着フィルムを載置した後、もう一方の対象物をその被接着面が接着フィルムの露出面と接するように載置する。ここで、支持体付の接着フィルムを用いる場合、接着フィルムの露出面が一方の対象物の被接着面に接するように接着フィルムを載置して、被着面上に該接着フィルムを転写する。ここで、転写時の温度は例えば80℃とすることができる。
次に、転写時に支持体を剥離することによって露出した接着フィルムの面上にもう一方の対象物をその被接着面が接着フィルムの露出面と接するように載置する。これらの手順を実施した後、所定温度及び所定時間、具体的には180℃で60〜90分間、プレスによる熱圧着を行えばよい。なお、プレスにより熱圧着した際に本発明の接着フィルムは加熱硬化する。以下、本明細書において、接着後の本発明の接着フィルムの特性のことを、加熱硬化後の接着フィルムの特性として記載する。
また、予めフィルム化したものを使用する代わりに、本発明のエポキシ樹脂組成物を溶剤で希釈したワニスを、一方の接着対象物の被接着面に塗布し、乾燥させた後に、上記した一方の対象物を載置する手順を実施してもよい。
加熱硬化後の本発明の接着フィルムは、十分な接着強度を有している。具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定されるピール強度が15N/cm以上あることが好ましく、より好ましくは20N/cm以上あり、さらに好ましくは50N/cm以上である。
加熱硬化後の本発明の接着フィルムは、十分な機械的強度を有している。具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定される引張破断強度が60MPa以上あることが好ましく、より好ましくは80MPa以上あり、さらに好ましくは100MPa以上である。
また、後述する実施例に記載の方法で測定される引張破断伸びが105%以上あることが好ましく、より好ましくは110%以上あり、さらに好ましくは120%以上である。
また、後述する実施例に記載の方法で測定される引張弾性率が1800MPa以上あることが好ましく、より好ましくは2000MPa以上あり、さらに好ましくは2500MPa以上である。
また、本発明の接着フィルムは、後述する実施例に記載の方法で測定される80℃でのタック強度が1〜6Nであることが好ましく、1〜10Nであることがより好ましく、1〜20Nであることがさらに好ましい。ここで、80℃でのタック強度を示す理由は、本発明の接着フィルムを被着体に転写する際の一般的な温度だからである。
このようにして得られたエポキシ樹脂組成物を含むワニスを支持体(離型処理をほどこしたPETフィルム)の片面に塗布し、80℃で乾燥させることにより、支持体付の接着フィルムを得た。
なお、表中の略号はそれぞれ以下を表わす。
(A)成分
YX6954BH30:変性ビスフェノール型エポキシ樹脂(上記一般式(1)´で示される二官能性直鎖状エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社(jER)製)
(B)成分
NC3000FH−75M:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製)
(C)成分
jER152:フェノールノボラック型エポキシ樹脂ジャパンエポキシレジン株式会社(jER)製
(D)成分
DDSA(リカシッドDDSA):酸無水物系硬化剤(無水ドデシニルコハク酸)、新日本理化株式会社製
C11Z−CN(キュアゾールC11Z−CN):イミダゾール系硬化剤(1−(2−シアノエチル)−2−ウンデシルイミダゾール)、四国化成工業株式会社製
BAPS:アミン系硬化剤和歌山精化工業株式会社製
HE610C−07:フェノール系硬化剤、エア・ウォーター株式会社製
シランカップリング剤
KBM403、信越化学工業株式会社製
誘電率(ε)、誘電正接(tanδ):接着フィルムを180℃で加熱硬化させ、支持体から剥離した後、該接着フィルムから試験片(40±0.5mm×100±2mm)を切り出し、厚みを測定した。試験片を長さ100mm、直径2mm以下の筒状に丸めて、空洞共振器摂動法(2GHz)にて、誘電率(ε)および誘電正接(tanδ)を測定した。
ガラス転移点Tg:動的粘弾性測定(DMA)にて測定した。接着フィルムを180℃で加熱硬化させ、支持体から剥離した後、該接着フィルムから試験片(10±0.5mm×40±1mm)を切り出し、試験片の幅、厚みを測定した。その後、DMS6100にて測定を行った(3℃/min 25−220℃)。tanDのピーク温度を読み取り、Tgとした。
引張破断強度、引張破断伸び:接着フィルムを180℃で加熱硬化させ、支持体から剥離した後、該接着フィルムから試験片(15×150mm)をMD方向に5枚切り出し厚みを測定した。オートグラフにて引張破断強度を測定する。また、破断までのストロークを読取り、引張破断伸び(%)とする。これらの結果についてN=5の平均値を計算する。
引張弾性率:接着フィルムを180℃で加熱硬化させ、支持体から剥離した後、該接着フィルムから試験片(25±0.5mm×250mm)をMD方向に5枚切り出し厚みを測定する。オートグラフで引張弾性率を下記条件で測定する。
つかみ間隔170mm。引張速度1mm/min。
測定結果についてN=5の平均値を計算する。
ピール強度:ラミネーターを用いて、銅箔の粗化面に支持体上の接着フィルムを80℃で転写した。接着フィルムの露出面をFR4基板の面と接触させた状態でプレス機で熱圧着させた(180℃60min、10kgf)。銅箔面から、10mm幅にカットし、オートグラフで引きはがし、ピール強度を測定した。測定結果について、各N=5の平均値を計算した。
タック強度:タック試験機にて、未硬化の接着フィルムのタックを常温(20℃)または80℃で測定した。測定結果について各N=5の平均値を計算し、タック強度(N)に換算した。
Claims (8)
- (A)下記一般式(1)で示される、質量平均分子量(Mw)が10,000〜20,000の二官能性直鎖状エポキシ樹脂
(式中、Xは、同一であっても、異なっていてもよく、単結合、炭素数1〜7の炭化水素基、−O−、−S−、−SO2−、−CO−又は基:
であり(ここで、R2は、同一であっても、異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、R3は、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、bは、同一であっても、異なっていてもよく、0〜5の整数である。)、
R1は、同一であっても、異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又はハロゲン原子であり、aは、同一であっても、異なっていてもよく、0〜4の整数であり、nは、平均値を表し、25〜500の整数である。)、
(B)固形エポキシ樹脂、
(C)液状エポキシ樹脂、および、
(D)エポキシ硬化剤を含有し、
前記(A)成分100質量部に対して、前記(B)成分および前記(C)成分を合計で10〜350質量部含み、かつ、前記(B)成分および前記(C)成分の含有割合((B)成分/(C)成分)が9.5/0.5〜0.5/9.5であり、前記成分(D)を有効量含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。 - 前記(C)成分の液状エポキシ樹脂が、下記一般式(2)で示される構造のエポキシ樹脂である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
(式中、nは0または1である。) - 前記(B)成分の固形エポキシ樹脂が、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、および、ノボラック型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つである請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記(D)成分のエポキシ硬化剤が、フェノール系エポキシ硬化剤、アミン系エポキシ硬化剤、イミダゾール系エポキシ硬化剤、および、酸無水物系エポキシ硬化剤からなる群から選択される少なくとも一つのエポキシ硬化剤である請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記(D)成分のエポキシ硬化剤の含有量が、前記(B)成分の固形エポキシ樹脂および前記(C)成分の液状エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.01〜5当量である請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- (E)成分として、フィラーをさらに含有する請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を用いて得られる接着フィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を含むワニス。
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