JP5533354B2 - シールドフィルム及びシールド配線板 - Google Patents

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本発明は、電磁波シールド性に優れたシールドフィルム、及びそのシールドフィルムが貼着されたシールド配線板に関する。
パーソナルコンピューター、携帯電話等の近年の精密電子機器は電磁波の影響を受けやすいため、機器内の各種配線板の回路形成面には、回路電磁波シールド性のシールドフィルムが貼着されている。ここで、配線板の回路形成面には、オーバーコート層が設けられており、そのオーバーコート層には、グランド回路とシールドフィルムとを導通させるためのグランド開口が形成されている。
このようなシールドフィルムとしては、配線板に貼着した後に最外表面に位置する絶縁層(保護層)にシールド層が積層されたものが提案されている(特許文献1)。この特許文献1の実施例においては、シールド層として、エポキシ樹脂絶縁層に積層された銀蒸着層と、その銀蒸着層に、導電性フィラーとして銀コート銅粉20重量部を、難燃性で熱硬化性のリン含有エポキシ樹脂100重量部と、ノンハロゲン系の難燃剤10〜180重量部とのブレンド物に均一に分散させて成膜した異方性導電接着層とからなるものが提案されている。
このようなシールドフィルムを配線板に貼着する場合、配線板の回路形成面にシールドフィルムの異方性導電接着層に積層し、熱プレスすることにより、異方性導電接着層を配線板のグランド開口に押し込みつつ硬化させ、それによりグランド回路と銀蒸着層とを導通させることにより、シールドフィルムの電磁波シールド性を実現している。
特開2007−294918号公報
ところで、特許文献1に記載のシールドフィルムの製造コスト低減のために、銀蒸着層や銀コート銅粉を使用する異方性導電膜を省略することが試みられており、例えば、以下に説明するようにシールドフィルムが作成されている。
1)剥離シートに、比較的高い沸点を有するトリグライムやγ−ブチロラクトンなどを溶媒とする絶縁層(保護層)形成用塗料を塗布し、加熱乾燥し、剥離シート上に絶縁層が形成された絶縁シートを作成する。
2)エポキシ樹脂に酸無水物系の硬化剤とイミダゾール系の硬化触媒と導電粒子と比較的高い沸点を有する溶媒とを混合してなる導電性接着層形成用塗料を別の剥離シート上に塗布し加熱乾燥し、剥離シート上に導電性接着層が形成された導電性接着シートを作成する。
3)絶縁シートの絶縁層と導電性接着シートの導電接着層とを加熱して貼り合わせ、それにより2枚の剥離シートで挟持されたシールドフィルムを得ている。
しかしながら、このような2層構造のシールドフィルムの導電性接着層側の剥離シートを取り去り、露出した導電性接着層剥離を、回路基板に対し、エポキシ樹脂を硬化させながら熱接着させた場合、熱接着の際のエポキシ樹脂の硬化不足のために、その後に比較的高温のハンダリフロー処理を施すと、シールドフィルムの導電性接着層の抵抗値が急激に上昇してしまうという問題がある。
この問題の解決のために、導電性接着層にエポキシ樹脂と硬化剤との間の硬化反応を促進させる硬化触媒を導電性接着層形成用塗料に配合しておくことが考えられる。しかし、硬化触媒を導電性接着層形成用塗料に配合した場合、導電性接着層を形成する際の加熱乾燥時にエポキシ樹脂が硬化してしまい、その結果、シールドフィルムの回路基板に対する接着力が低下してしまうという問題がある。
本発明の目的は、以上の従来の技術の課題を解決しようとするものであり、絶縁層(保護層)に熱硬化性樹脂に導電粒子が分散した導電性接着層が積層された2層構造のシールドフィルムにおいて、良好な接着性とハンダリフロー後の良好な導電性とを同時に達成することである。
本発明者等は、導電性接着層形成用塗料の加熱乾燥時に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が熱硬化しないように、硬化触媒を導電性接着層形成用塗料ではなく保護層に含有させておくことにより、以下の知見:
(1)導電性接着層形成の際の加熱乾燥時にはエポキシ樹脂の熱硬化を防止することができること;
(2)シールドフィルムを回路基板に熱接着する際には、保護層の硬化触媒により導電性接着層のエポキシ樹脂と硬化剤とを熱硬化させることができること;及び
(3)導電性接着層形成用塗料に、保護層に含有させる硬化触媒よりも活性化開始温度が高く、導電性接着層形成の際の加熱乾燥時には潜在性を保持している硬化触媒を配合しておくことにより、シールドフィルムの回路基板への熱接着時に十二分に硬化させることができること
を見出し、その知見に基づき本発明を完成させた。
即ち、本発明は、熱硬化性樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂に導電性フィラーが分散してなる導電性接着層が、保護層に積層されてなるシールドフィルムにおいて、
該導電性接着層が、硬化剤による熱硬化性樹脂の硬化反応を促進するための第1の硬化触媒を含有し、
該保護層が、導電性接着層における硬化剤による熱硬化性樹脂の硬化反応を促進するための硬化触媒であって、第1の硬化触媒より活性化開始温度の低い第2の硬化触媒を含有していることを特徴とするシールドフィルムを提供する。
また、本発明は、上述のシールドフィルムの製造方法であって、以下の工程:
第1の剥離基材に第2の硬化触媒を含有する保護層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより保護層を形成する工程;
第2の剥離基材に、熱硬化型樹脂と硬化剤と第1の硬化触媒とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程;
形成された保護層と導電性接着層とを互いに貼り合わせることによりシールドフィルムを形成する工程
を有することを特徴とする製造方法を提供する。
また、本発明のシールドフィルムの別の態様の製造方法であって、以下の工程:
第1の剥離基材に第2の硬化触媒を含有する保護層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより保護層を形成する工程;
第2の剥離基材に、第1の硬化触媒溶液を塗布し、乾燥し、更に熱硬化型樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程、又は第2の剥離基材に、熱硬化型樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥し、更に第1の硬化触媒溶液を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程;
形成された保護層と導電性接着層とを互いに貼り合わせることによりシールドフィルムを形成する工程
を有することを特徴とする製造方法を提供する。
更に、本発明は、グランド配線が形成された配線板上に、グランド配線と導通するように、上述のシールドフィルムがその導電性接着層により積層されていることを特徴とするシールド配線板を提供する。
本発明のシールドフィルムの製造の際、導電性接着層形成用塗料の加熱乾燥時に、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が熱硬化しないように、硬化触媒を導電性接着層形成用塗料ではなく保護層に含有させる。このため、導電性接着層形成の際の加熱乾燥時にはエポキシ樹脂の熱硬化を防止することができ、シールドフィルムを回路基板に熱接着する際には、保護層の硬化触媒により導電性接着層を構成する熱硬化性樹脂を硬化剤で十分に熱硬化させることができる。しかも、導電性接着層形成用塗料に、保護層に含有させる硬化触媒よりも活性化開始温度が高く、導電性接着層形成の際の加熱乾燥時には潜在性を保持している硬化触媒を配合させておくことにより、シールドフィルムの回路基板への熱接着時に十二分に硬化させることができる。従って、本発明のシールドフィルムは、回路基板などの被着体に対し、良好な接着性を示すとともに、ハンダリフロー処理によって抵抗値が上昇することを防止することができる。
また、本発明のシールドフィルムの導電性接着層のバインダー樹脂に熱可塑性で難燃性の特定のシロキサン残基含有ポリイミドを使用した場合には、リン含有エポキシ樹脂を使用しなくてもよいので、ハンダリフロー時にリンが析出する可能性はない。また、配線板のグランド開口が小さい場合でも、グランド開口に押し込み易いため、グランド回路と送電接着層との間の導通信頼性が高く、良好な電磁波シールド性を実現することができる。
シールドフィルムの断面図である。 シロキサンポリイミド樹脂製造用の合成装置の全体図である。 シールド配線板の平面透視図(シールドフィルムが透視状態)である。
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のシールドフィルム10の断面図である。このシールドフィルム10は、保護層1に、導電性フィラー2が、熱可塑性樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂3に分散してなる導電性接着層4が積層された構造を有している。図示してはいないが、片面もしくは両面に剥離フィルムが積層されていてもよい。
この導電性接着層4は、熱硬化性樹脂の硬化剤による硬化反応を促進するための第1の硬化触媒を含有する。ここで、“含有”には、第1の硬化触媒が導電性接着層4全体に混合されている態様と、導電性接着層4のいずれかの表面に偏在している態様が含まれる。前者の態様の場合には、混合分散を容易に行うことができ、後者の態様の場合には、偏在している側の表面の硬化反応を早め、偏在していない側の表面の硬化反応を遅らせることができる。
また、保護層1は、導電性接着層4における熱硬化性樹脂の硬化剤による硬化反応を促進するための硬化触媒であって、第1の硬化触媒より活性化開始温度の低い第2の硬化触媒を含有する。ここで、第2の硬化触媒としては、保管時には硬化反応を促進させないものが好ましい。なお、第2の硬化触媒は、プレス時に保護層1と導電接着層4との界面で均一に硬化反応を促進させるために、保護層1全体に混合されていることが好ましい。
以下、硬化触媒について説明し、続いて導電性接着層4、保護層1、シールドフィルム10、その製造、シールド配線板について詳細に説明する。
(I)第1の硬化触媒(遅硬化系硬化触媒)と第2の硬化触媒(速硬化系硬化触媒)
これらの硬化触媒については、硬化させる熱可塑性樹脂の種類や併用する硬化剤の種類等に応じて公知の硬化触媒の中から選択することができるが、この選択の主たる基準となる要素として、潜在性を考慮して硬化触媒の活性化開始温度を選択する。ここで、活性化開始温度とは、硬化反応が活性化し始める温度という意味であり、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
導電性接着層4に含有されている第1の硬化触媒の場合、その活性化開始温度が、導電性接着層4を塗布成膜する際の乾燥温度よりも高いもの(好ましくは0〜20℃高いもの)を選択することが好ましい。活性化開始温度が乾燥温度よりも高ければ、導電性接着層4の塗布成膜乾燥時に硬化反応を触媒せず、しかも潜在性を保持することができる。従って、シールドフィルムを被着体に熱接着する際に初めて、硬化反応を触媒することができる。
他方、第2の硬化触媒としては、第1の硬化触媒よりも活性化開始温度が低いものを使用する。これにより、シールドフィルムを回路基板などの被着体に容易に熱硬化させながら接着させることができる。特に、保護層1を塗布成膜する際の乾燥温度よりも低いもの(好ましくは0〜20℃低いもの)を選択することが好ましい。
第1の硬化触媒の活性化開始温度と第2の硬化触媒の活性化開始温度の差の絶対値は、小さすぎても大きすぎても速硬化性及び潜在性が不十分となる傾向があるので、好ましくは0〜40℃、より好ましくは5〜20℃である。
第1の硬化触媒及び第2の硬化触媒の具体例としては、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂で硬化剤が酸無水物である場合、種々のイミダゾール化合物を挙げることができる。以下の表1に、ビスA型エポキシ樹脂(jER828、三菱化学(株))に4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸(70/30)を80phr添加した混合物に、イミダゾール化合物を1phr添加した場合の当該イミダゾール化合物(硬化触媒)の活性化温度領域の例を示す。それぞれの感度領域の下限が活性化開始温度に相当する。











Figure 0005533354
これらの中で、第1の硬化触媒の好ましい具体例として、2−エチル−4−メチルイミダゾールが挙げられ、第2の硬化触媒として、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジンが挙げられる。
(II)導電性接着層4
本発明のシールドフィルム10を構成する導電性接着層4は、前述したように、シールドフィルム10を配線板などの被着体に貼着させ、且つ電磁波シールド性を発揮する層である。この導電性接着層4は、導電性フィラー2が、熱可塑性樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂3に分散してなるものであり、更に、熱硬化性樹脂の硬化剤による硬化反応を促進するための第1の硬化触媒を含有する。
このような導電性接着層4の厚みは、薄すぎると導電性とシールド性とが不十分となり、厚過ぎると柔軟性と可撓性とが低下するので、好ましくは5〜20μm、より好ましくは7〜15μmである。
(IIA)バインダー樹脂3を構成する熱硬化性樹脂と硬化剤
導電性接着層4を構成するバインダー樹脂3には、シールドフィルムの導通信頼性を確保すべく、熱硬化性を導電性接着層4に付与するために、種々の熱硬化性樹脂とそのための硬化剤とを配合することができる。特に好ましい熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用することができる。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂等を使用することができる。これらは液状であっても固形状であってもよい。また、エポキシ樹脂用の硬化剤としては、公知の硬化剤(例えば、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等)を挙げることができる。中でも、硬化温度が相対的に高いものの、ポットライフが比較的長く、バランスのよい電気的特性、化学的特性及び機械的特性の硬化物を与えることできる酸無水物系硬化剤(例えば、無水フタル酸等の芳香族酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等の脂環式酸無水物、無水コハク酸等の脂肪族酸無水物)を好ましく使用することができる。中でも、室温で低粘度な液体であることから、脂環式酸無水物を好ましく使用することができる。
(IIB)バインダー樹脂3を構成するシロキサン残基含有ポリイミド
本発明では、シロキサン残基含有ポリイミドを導電性接着層4を構成するバインダー樹脂3に配合することが好ましい。この樹脂は熱可塑性であり、しかも溶融時の流動性向上に寄与するシロキサン残基を有する。また、難燃性に寄与するイミド結合とベンゼン環とを有している。従って、本発明のシールドフィルムは、ハンダリフロー処理時にリンが析出する可能性はない。また、配線板のグランド開口が小さい場合でも、グランド回路と導電接着層との間の導通信頼性を向上させることができ、良好な電磁波シールド性を実現することができる。しかも、良好な難燃性を実現することができる。
本発明において、好ましいシロキサン残基含有ポリイミドとしては、式(A)の繰り返し構造単位を有するものが挙げられる。
Figure 0005533354
式(A)中、nは1〜30の整数、好ましくは1〜20の整数であり、mは0〜20の整数、好ましくは1〜20の整数である。難燃性が特に必要ない場合には、シロキサンジアミンとしてmが0のものを使用し、難燃性が必要な場合はmが1以上のものを使用することが好ましい。
このような式(A)のシロキサン残基含有ポリイミドのシロキサン残基は、好ましくはポリイミドを製造する際のシロキサンジアミン成分に由来するものであり、具体的には式(1)のシロキサンジアミンに由来するものである。なお、式(1)中、n、mは式(A)において説明したとおりである。このようなシロキサンジアミンの具体例としては、信越化学工業製のKF−8010(m=0)、X−22−9409(m>1)を挙げることができる。なお、シロキサンジアミンとして、アミノ基がtert−ブトキシカルボニル基などのカルバメート系、フタロイル基などのイミド系、p−トルエンスルホニル基などのスルホンアミド系により保護されているものも使用できる。
Figure 0005533354
本発明のシールドフィルム10の導電性接着層4におけるシロキサン残基含有ポリイミドの含有量は、少なすぎるとグランド開口への押し込みが困難となり、多すぎると相対的に導電性フィラーの含有量が減じ、いずれも導通信頼性が低下するので、好ましくは4〜12質量%、より好ましくは6〜9質量%である。
なお、導電性接着層4を構成するバインダー樹脂3の具体的な組成として、シロキサン残基含有ポリイミド100質量部に対し、エポキシ樹脂を好ましくは65〜230質量部、より好ましくは100〜170質量部、エポキシ樹脂用硬化剤を好ましくは45〜150質量部、より好ましくは70〜130質量部、第1の硬化触媒を好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.05〜1.5質量部の割合で含有する樹脂混合物が挙げられる。
なお、エポキシ樹脂の好ましい配合量を上述の全組成中に65〜230質量部としたのは、少なすぎると接着性が不十分となり、多すぎると柔軟性や可撓性が低下する傾向があるからである。また、エポキシ樹脂用硬化剤の好ましい配合量を上述の全組成中に45〜150質量部としたのは、少なすぎるとエポキシ樹脂の硬化が不足し、ハンダリフロー後に抵抗値が上昇し、他方、多すぎると硬化剤過多となりエポキシ樹脂の硬化(架橋)が不足し、ハンダリフロー後に抵抗値が上昇する傾向があるからである。第1の硬化触媒の好ましい配合量を0.01〜2質量部としたのは、少なすぎるとエポキシ樹脂の硬化が不足し、ハンダリフロー後に抵抗値が上昇し、他方、多すぎると乾燥時の硬化が進みすぎ、熱プレス後の基材との接着性が不十分となる傾向があるからである。
(IIC)シロキサン残基含有ポリイミドの製造方法
本発明で使用することのできるシロキサン残基含有ポリイミドとしては、公知の方法で製造したものを使用することもできるが、少なくともテトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミンとを反応させてシロキサンポリイミド樹脂を製造する方法による得られたものを好ましく使用することができる。具体的には、以下の工程(a)〜(c)を有する製造方法により得られたものを好ましく使用することができる。
(a)溶媒中で第1のテトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミンとを還流条件下でイミド化反応させて酸無水物末端又はアミン末端シロキサンイミドオリゴマーを含む反応混合物を得る工程;
(b)工程(a)で得られた反応混合物を減圧濃縮して反応濃縮物を得る工程;及び
(c)工程(b)で得られた反応濃縮物に、溶媒とシロキサン非含有ジアミンとを添加し、シロキサン非含有ジアミンと反応濃縮物中の酸無水物末端シロキサンイミドオリゴマーとをイミド化反応させ、又は溶媒と第2のテトラカルボン酸二無水物とを添加し、第2のテトラカルボン酸二無水物と反応濃縮物中のアミン末端シロキサンイミドオリゴマーとをイミド化反応させ、それによりシロキサンポリイミド樹脂を得る工程。
以下に工程毎に説明するが、この製造方法の効果について付言しておく。即ち、この製造方法においては、ジアミン成分のうちシロキサンジアミンを、まず、テトラカルボン酸二無水物成分とイミド化反応させて酸無水物末端又はアミン末端シロキサンイミドオリゴマーを得ておき、その反応終了後に、減圧下で溶媒と共に環状シロキサンオリゴマー等の揮発性不純物を除去する。このため、6量体までの環状のシロキサンオリゴマーのみならず、ブリードアウトする7量体以上のシロキサンオリゴマーや遊離シロキサン化合物を除去することができる。従って、酸無水物末端又はアミン末端シロキサンイミドオリゴマーに対し、追加的にシロキサン非含有ジアミン又はテトラカルボン酸二無水物をイミド化反応させる際に、シロキサンポリイミド樹脂の特性に影響を与えるような環状シロキサンオリゴマーの開環は生じない。よって、この製造方法で得られるシロキサン残基含有ポリイミドを使用したシールドフィルムは、環状シロキサンオリゴマーのブリードアウト現象が防止され、また、再加熱の際の環状シロキサン由来のアウトガスの発生量が大きく低減されているので、様々な電子部品用の配線板の電磁波シールド用途に好適なものとなる。
工程(a)
まず、溶媒中で第1のテトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミンとを還流条件下でイミド化反応させて酸無水物末端又はアミン末端シロキサンイミドオリゴマーを含む反応混合物を得る。
酸無水物末端シロキサンイミドオリゴマーを得るためには、シロキサンジアミンよりも第1のテトラカルボン酸二無水物のモル量を多くすればよい。逆に、アミン末端シロキサンイミドオリゴマーを得るためには、シロキサンジアミンよりも第1のテトラカルボン酸二無水物のモル量を少なくすればよい。ただし、シロキサンジアミンの使用量は、全テトラカルボン酸二無水物1モルに対し、少なすぎると接着性、可撓性の維持が困難になる傾向があり、多すぎると耐熱性が低下する傾向があるので、好ましくは、0.1〜0.9モル、より好ましくは、0.3〜0.8モルである。
工程(a)において、イミド化反応を還流条件下で行う理由は、ディーンスタ−ク分離管等を用いてイミド化水を溶媒と共沸させて除くためである。従って、溶媒としては、テトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミンとの間のイミド化反応が生ずる温度で還流する溶媒であって、共沸により水を分離できる溶媒を使用する。このような溶媒としては、ジグライム、トリグライム等のグライム類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒や、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒、それらの混合物を使用することができる。また、発明の効果を損なわない限り、トルエン、キシレン、ベンゼン、メシチレン等の非極性溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等の溶媒を併用してもよい。本工程(a)では、還流温度等の点から好ましくはグライム類と非極性溶媒との混合溶媒、中でもトリグライムと、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンからなる群より選択される少なくとも一種との混合溶媒(w/w=1/(0.1〜10))を好ましく使用できる。
工程(a)における溶媒の使用量は、溶媒や反応基質の種類により異なるが、少なすぎるとモノマー分散不良や還流効率の低下を引き起こし、多すぎると溶媒の気化熱が大きくなり反応槽内の温度が上がりにくくなるので、第1のテトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミンとの合計の質量が5〜60質量%となる量で使用することが好ましい。
イミド化反応の反応温度は、溶媒や反応基質の種類や使用量により異なるが、低すぎるとイミド化反応が完結せず、高すぎるとイミド化反応以外の副反応が生じる可能性があるので、好ましくは150〜220℃、より好ましくは160〜200℃である。反応時間は、理論量のイミド化水を除去するに要した時間であり、通常0.5〜12時間、好ましくは1〜8時間である。
本発明で使用する第1のテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,4,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4′‐オキシジフタル酸二無水物、3,4,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸ニ無水物、エチレングリコールビストリメリートニ無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル)プロパン二無水物等を挙げることができる。中でも、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を好ましく使用できる。
本発明で使用するシロキサンジアミンとしては、少なくとも分子内にジメチルシリレン骨格を有する化合物であり、従来より、ポリイミド樹脂のシロキサン変性に用いられていものを使用できる。中でも、難燃性、相溶性確保の点から前述した式(1)の構造を有するものを好ましく使用できる。
なお、工程(a)におけるイミド化の際に、必要に応じてトリエチルアミン等の3級アミン、芳香族系イソキノリン、ピリジン等の塩基性触媒や、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸などの酸触媒を添加してもよい。
工程(b)
工程(a)の反応終了後、工程(a)で得られた反応混合物を減圧濃縮して反応濃縮物を得る。この工程(b)は、工程(a)で使用するシロキサンジアミン中に環状シロキサンオリゴマーが不純物として含有されていた場合に、その環状シロキサンオリゴマーを除去する工程となる。即ち、減圧濃縮することにより、溶媒と微量の水と共に、揮発性の環状シロキサンオリゴマー、更に遊離シロキサン化合物(例えば低分子量シロキサンモノアミン、低分子量シロキサン)とを効率よく除去することができる。この減圧濃縮の際の温度は、低すぎると環状シロキサンまたは遊離シロキサン化合物の除去効率が悪化するので、工程(a)のイミド化反応温度と同温または、大気圧での溶剤沸点温度とすることが好ましい。
減圧濃縮の際の圧力は、減圧度が十分でないと環状シロキサンまたは遊離シロキサン化合物の除去効率が悪化し、逆に減圧しすぎることは処理コストの過度の増大を招くので、好ましくは0.3〜91kPa、より好ましくは11〜51kPaである。
工程(c)
次に、工程(b)で得られた反応濃縮物が酸無水物末端シロキサンイミドオリゴマーである場合には、反応濃縮物に、溶媒とシロキサン非含有ジアミンとを添加し、シロキサン非含有ジアミンと酸無水物末端シロキサンイミドオリゴマーとをイミド化反応させ、それによりシロキサン残基含有ポリイミドを得る。この場合、必要に応じてシロキサン非含有ジアミンと共に第2のテトラカルボン酸二無水物を添加してもよい。
または、反応濃縮物がアミン末端シロキサンイミドオリゴマーである場合には、反応濃縮物に、溶媒と第2のテトラカルボン酸二無水物とを添加し、第2のテトラカルボン酸二無水物と反応濃縮物中のアミン末端シロキサンイミドオリゴマーとをイミド化反応させ、それによりシロキサンポリイミド樹脂を得る。この場合、必要に応じて第2のテトラカルボン酸二無水物と共にシロキサン非含有ジアミンを添加してもよい。
工程(b)の後で溶媒を添加するのは、溶剤調整のためであり、その工程によりポリイミド固形分濃度を調整する事が可能となる。溶媒としては、工程(a)で用い得るものを使用できる。特に、シロキサンポリイミド樹脂をワニスとして使用する場合には、コーティング時の吸湿によるポリイミド析出を防ぐために、比較的吸湿性の低い溶媒であるエーテル系溶媒、ラクトン系溶媒、非極性溶媒などを単独、または混合して使用することができる。特に、本工程(c)では、トリグライム(別名:トリエチレングリコールジメチルエーテル)とγ−ブチロラクトンとの混合溶媒(w/w=1/(0.1〜10))を好ましく使用できる。
工程(c)において使用する“シロキサン非含有ジアミン”としては、分子内にジメチルシリレン骨格を持たないジアミンを使用することができ、その具体例としては、3,3′−ジアミノ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)へミサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3′−ジアミノ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’−ジヒドロキシ‐4,4′−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のジアミノフェノール誘導体;p−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ジアミノベンズアニリド、5,5′−メチレン‐ビス(アントラニック酸)、9,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシフェニル)]フルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェノキシ)フルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、o−トリジンスルホン等の芳香族ジアミン;trans−1,4−シクロヘキサンジアミン、cis−1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
他方、“第2のテトラカルボン酸二無水物”としては、既に例示した第1のテトラカルボン酸二無水物と同様のものを使用することができる。ここで、第1のテトラカルボン酸二無水物と第2のテトラカルボン酸二無水物とは同一でも異なっていてもよい。
工程(b)で得られた反応濃縮が酸無水物末端シロキサンイミドオリゴマーの場合、工程(c)で使用するシロキサン非含有ジアミンの使用量は、機械特性が十分なカバーレイを得るための分子量を確保するために、シロキサンジアミンと合算したモル数が、全テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、好ましくは0.1〜0.9モル、より好ましくは0.3〜0.8モルとなる量である。
一方、工程(b)で得られた反応濃縮がアミン末端シロキサンイミドオリゴマーの場合には、工程(c)で使用する第2のテトラカルボン酸二無水物の使用量は、機械特性が十分なカバーレイを得るための分子量を確保するために、第1のテトラカルボン酸二無水物と第2のテトラカルボン酸二無水物とを合算したモル数1モルに対して、シロキサンジアミンとシロキサン非含有ジアミンとを合算した全ジアミン成分が好ましくは0.8〜1.2モル、より好ましくは0.9〜1.1モルとなる量である。
なお、工程(c)におけるイミド化の際に、工程(a)の場合と同様に、必要に応じてトリエチルアミン等の3級アミン、芳香族系イソキノリン、ピリジン等の塩基性触媒や、安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸などの酸触媒を添加してもよい。
工程(c)におけるイミド化反応温度に関し、工程(c)においては極性基を有する酸二無水物やジアミン成分を使用した場合には、ワイゼルベルグ効果により生成したシロキサンポリイミド樹脂の粘度が増大し、撹拌棒の周囲に巻き付く現象が生ずることがある。生成したシロキサンポリイミド樹脂の粘度の増大を避けるためには、反応系中に水を存在させることが好ましい。この場合、水の量が少なすぎると増粘する危険性が高まり、多すぎるとポリイミドの分子量が低下する恐れがあるので、反応混合物中に0.01〜1.1質量%の割合で水を存在させることが好ましい。
工程(c)におけるイミド化の際の反応温度は、溶媒や反応基質の種類や使用量により異なるが、低すぎるとイミド化反応が完結せず、高すぎるとイミド化反応以外の副反応が生じる可能性があるので、好ましくは、150〜220℃、より好ましくは、160〜200℃である。反応時間は、通常0.5〜12時間、好ましくは、1〜8時間である。これにより、環状シロキサンおよび遊離シロキサンの含有量が少ないシロキサン残基含有ポリイミドがワニス状態で得られる。
本発明で使用するシロキサン残基含有ポリイミドの製造方法は、図2に示す合成装置によりワンバッチで製造することが可能である。
図2はシロキサン残基含有ポリイミドを製造するための合成装置の全体図である。この合成装置は、加熱装置21で加熱可能な反応容器22と、反応容器22の上方に装着された凝縮器23と、凝縮器23で凝縮した凝縮物をトラップする凝縮トラップ槽24と、反応容器22内にガスを導入するためのガス導入管25とを有する。凝縮トラップ槽24には貯留した凝縮物を系外に排出するためのドレイン24aが設置されている。凝縮トラップ槽24と反応容器22との間は、所定量以上の凝縮物が凝縮トラップ槽24に貯留された場合に、過剰の凝縮物を反応容器22に戻すためのオーバーフロー管26で連結されている。また、ガス導入管25はオーバーフロー管26のオーバーフロー面26aよりも下方に位置するように反応容器22に設置されている。更に、反応容器22には減圧装置27が連結されている。ここで、ガス導入管25を、オーバーフロー管26のオーバーフロー面26aよりも下方に位置するように反応容器22に設置する理由は、ガス導入管25から反応容器22内の反応混合物RMの液面近くに導入されたガスが、反応混合物RMの液面から揮発した環状シロキサンオリゴマーと水と溶媒とを、ガス流に乗せて効率良く凝縮器23へ導くことができるためである。また、反応容器22には撹拌装置28が設置されている。また、図示してはいないが温度測定装置も設置されている。
図2の合成装置を構成する個々の部品は、従来の化学反応装置で用いられているものを適宜選択して利用することができる。
(IID)バインダー樹脂3の熱可塑性樹脂、硬化剤、硬化触媒及びシロキサン残基含有ポリイミド以外の成分
(IIDa)導電性フィラー
本発明において使用する導電性フィラー2としては、いわゆる導電ペーストに使用されているような導電性フィラーを使用することができる。例えば、扁平な銀、銅などの金属粉、銀コート銅粉等の金属コート金属粉、扁平スチレン粒子コアのNiコート、Auフラッシュメッキ物等の金属コート樹脂粉等を使用することができる。異方性導電接着剤において使用されているような球状の導電性粒子も使用することが可能である。両者を混合して使用してもよい。
このような導電性フィラー2の平均粒子径は、小さすぎると導電性が不十分となり、大きすぎるとグランドへの押し込み性が悪くなるので、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜8μmである。なお、導電性フィラーが扁平な場合、粒径は長径に相当し、厚みは長径の5〜40%であることが好ましい。
導電性接着層4中における導電性フィラー2の含有量は、少なく過ぎるとシールドフィルムの導通信頼性が不十分となり、多すぎると導電性接着層4自体の膜強度が低下するので、好ましくは65〜85質量%、より好ましくは70〜80質量%である。
(IIDb)その他の成分
本発明における導電性接着層4には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、着色剤、防腐剤、分散剤等を必要に応じて含有させることができる。
(III)保護層1
本発明のシールドフィルム10を構成する保護層1は、シールドフィルムを配線板などの被着体に適用した際に、外表面に位置するものであり、被着体の外部から力や湿度などから保護する機能を有するものであり、前述した導電性接着層4の支持体としても機能するものである。
保護層1は、前述したように、導電性接着層4における硬化剤による熱硬化性樹脂の硬化反応を促進するための硬化触媒であって、第1の硬化触媒より活性化温度の低い第2の硬化触媒を含有する。
このような保護層1は、第2の硬化触媒を除き、従来のシールドフィルム10における保護層と同じ構成を採用することができる。例えば、厚さ5〜15μmの樹脂フィルム、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム等を使用することができる。中でも、難燃性、柔軟性、可とう性の点から、前述した導電性接着層4のバインダー樹脂が好ましく含有するシロキサン残基含有ポリイミドを成膜したものを好ましく使用することができる。この場合、シロキサン残基含有ポリイミド単独で成膜することが好ましいが、シロキサン残基含有ポリイミドと他の熱可塑性樹脂とを含有する組成物から成膜したものでもよい。
なお、保護層1がシロキサン残基含有ポリイミドを含有している場合、シロキサン残基含有ポリイミド100質量部に対し、第2の硬化触媒を好ましくは0.1〜2質量部、より好ましくは1〜1.5質量部含有する組成物から構成されていることが好ましい。これは、第2の硬化触媒が少なすぎるとエポキシ樹脂の硬化が不足し、ハンダリフロー後に抵抗値が上昇し、他方、多すぎると経時によるエポキシ樹脂の硬化反応が著しく進み、接着性が悪化する傾向があるからである。
(IV)シールドフィルムの製造
本発明のシールドフィルムは、常法に従って製造することができる。例えば、保護層に導電接着層を直接塗布形成して製造することができる。例えば、シロキサン残基含有ポリイミド、導電性フィラー、更にエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂用の硬化剤、更に第1の硬化触媒をトルエン等の溶剤溶媒と共に、公知のミキサーを用いて均一に混合することにより導電性接着層形成用ワニスを調製し、得られたワニスを、第2の硬化助剤を含有している樹脂フィルム(保護層1に相当)に塗布・乾燥することにより製造することができる。必要に応じ、シールドフィルムの導電性接着層側に、更に、剥離シートを積層してもよい。また、保護層1となる樹脂フィルムとして、剥離PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、シロキサン残基含有ポリイミドワニスやそれにエポキシ樹脂や他の熱可塑性樹脂を混合した樹脂液を塗布・乾燥することにより得た剥離PET付き保護層フィルムを使用することもできる。
また、本発明のシールドフィルムは、剥離シート付き保護層と、剥離シート付き導電接着層とを別々に形成しておき、保護層と導電接着層とを貼り合わせて製造することもできる。例えば、本発明のシールドフィルムは、以下の工程:
第1の剥離基材に第2の硬化触媒を含有する保護層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより保護層を形成する工程;
第2の剥離基材に、熱硬化型樹脂と硬化剤と第1の硬化触媒とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程;
形成された保護層と導電性接着層とを互いに貼り合わせることによりシールドフィルムを形成する工程
を有することを特徴とする製造方法により製造することができる。
第1の剥離基材としては、例えば、公知の剥離処理されたポリエステルフィルムやポリオレフィンフィルム、ナイロンフィルム等を使用することができる。保護層形成用塗料としては、絶縁性の樹脂系塗料を広く使用することができるが、本発明を特徴づけるシロキサン残基含有ポリイミドを、トリグライムやγ−ブチロラクトンなどの溶剤に溶解した塗料を、難燃性、柔軟性及び絶縁性の点で好ましく使用することができる。なお、保護層形成用塗料の塗布、乾燥は、公知の技術、条件を採用することができる。
第2の剥離基材としては、第1の剥離基材と同様のものを使用することができる。導電性接着層形成用塗料は、シロキサン残基含有ポリイミドを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを、トリグライムやγ−ブチロラクトンなどの溶剤に溶解・分散したものである。導電性接着層形成用塗料の塗布・乾燥は、公知の技術、条件を採用することができる。
保護層と導電性接着層との貼り合わせは、好ましくは100〜130℃の熱ラミネーター、熱プレス板で行うことができる。
具体的なシールドフィルムの製造例としては、まず、シリコーン剥離処理済みPETフィルム上に、シロキサン残基含有ポリイミドワニスや他の熱可塑性樹脂と第2の硬化触媒とを混合した樹脂液を、バーコーターで塗布し、100〜150℃の乾燥炉に投入して乾燥することにより剥離PET付き保護層1を形成する。それとは別に、剥離PETフィルム上に、エポキシ樹脂、酸無水物硬化剤、シロキサン残基含有ポリイミド、第1の硬化触媒とを含有する導電性接着層形成用ワニスを塗布・乾燥することにより、剥離PET付き導電性接着層4を形成する。そして、保護層1と導電性接着層4とを互いに重ね、100〜130℃の熱ラミネーターで貼り合わせることにより両面が剥離PETフィルムで挟持されたシールドフィルムを製造することができる。このようなシールドフィルムは、導電性接着層側の剥離PETフィルムを剥離し、導電性接着層を被着体に接触させ、熱プレスすることにより使用される。
また、第1の硬化触媒が導電性接着層の表面に偏在している本発明のシールドフィルムは、以下の工程:
第1の剥離基材に第2の硬化触媒を含有する保護層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより保護層を形成する工程;
第2の剥離基材に、第1の硬化触媒溶液を塗布し、乾燥し、更に熱硬化型樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程、又は第2の剥離基材に、熱硬化型樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥し、更に第1の硬化触媒溶液を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程;
形成された保護層と導電性接着層とを互いに貼り合わせることによりシールドフィルムを形成する工程
を有することを特徴とする製造方法により製造することができる。
この態様のシールドフィルムの具体的な製造例としては、まず、シリコーン剥離処理済みPETフィルム上に、第2の硬化触媒溶液を塗布し、乾燥させ、更にシロキサン残基含有ポリイミドワニスや他の熱可塑性樹脂を含有する樹脂液を、バーコーターで塗布し、100〜150℃の乾燥炉に投入して乾燥することにより剥離PET付き保護層1を形成する。それとは別に、先に説明した剥離PET付き導電性接着層4を形成する。そして、保護層1と導電性接着層4とを互いに重ね、100〜130℃の熱ラミネーターで貼り合わせることにより両面が剥離PETフィルムで挟持されたシールドフィルムを製造することができる。このようなシールドフィルムは、導電性接着層側の剥離PETフィルムを剥離し、導電性接着層を被着体に接触させ、熱プレスすることにより使用される。
あるいは、シリコーン剥離処理済みPETフィルム上に、シロキサン残基含有ポリイミドワニスや他の熱可塑性樹脂を含有した樹脂液を、バーコーターで塗布し、100〜150℃の乾燥炉に投入して乾燥し、更に第2の硬化触媒溶液を塗布し、乾燥させることにより剥離PET付き保護層1を形成する。それとは別に、先に説明した剥離PET付き導電性接着層4を形成する。そして、保護層1と導電性接着層4とを互いに重ね、100〜130℃の熱ラミネーターで貼り合わせることにより両面が剥離PETフィルムで挟持されたシールドフィルムを製造することができる。このようなシールドフィルムは、導電性接着層側の剥離PETフィルムを剥離し、導電性接着層を被着体に接触させ、熱プレスすることにより使用される。
(V)シールド配線板
以上説明した本発明のシールドフィルムは、グランド配線が形成された配線板を電磁波シールドするために好ましく使用することができる。図3にシールド配線板30の平面透視図を示す。このシールド配線板30は、フレキシブル基板、ガラスエポキシ基板等の公知の配線板31上にグランド配線32が形成されており、更にその上にポリイミドフィルムなどの厚さ10〜37μmのカバーコート層33が積層されている。カバーコート層33には、グランド配線32まで、0.2〜1.8μm径のグランド開口34が形成されている。そして、配線板31のカバーコート33に対し、シールドフィルム35が、その導電性接着層側から熱プレスにより十分な強度で貼着され且つグランド開口34に押しこまれている。また、配線板31の端部には導通計測用開口36が形成されている。
このシールド配線板30は、ハンダリフロー処理されてもリンが析出することはなく、また、異方性導電接着剤を使用せずに、熱可塑性の特定のシロキサン残基含有ポリイミドを使用しているので、導電性接着層がグランド開口に十分に押し込みでき、良好な磁波シールド性が実現される。また、難燃性も良好なものとなる。
このようなシールド配線板30は、例えば、両面が剥離PETフィルムで挟持されたシールドフィルムを使用して製造することができる。即ち、両面が剥離PETフィルムで挟持されたシールドフィルムの導電性接着層側の剥離PETフィルムを剥離し、導電性接着層を基板のグランド配線側に重ね、剥離PET側から熱プレスすることにより製造することができる。最後に、表面の剥離PETを取り去ればよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
参考例1(酸無水物末端シロキサンオリゴマーを経由してシロキサン残基含有ポリイミドを合成する例)
図2のシロキサン残基含有ポリイミド用合成装置の反応容器(20L)に、4372.65g(3.24mol)のジアミノシロキサン(アミン当量675g/mol、X−22−9409、信越化学工業製)と、1994.54g(5.54mol)の3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(リカシッドDSDA、新日本理化製;純度99.6%)と、3000gのトリグライムと、1100gのトルエンとを投入し、混合物を2時間十分に攪拌した。その後、185℃まで昇温させ、2時間その温度を保ち、凝縮トラップ槽で水を回収しながら、反応液を還流攪拌した。
反応液の温度185℃に保持したまま、系内の圧力を11KPaまで減圧し、溶媒、水、環状シロキサンオリゴマーを含有する減圧回収物Aを取得すると共に、反応濃縮物(酸二無水物末端シロキサンイミドオリゴマー)を得た。酸化皮膜が除去されたシリコンウェハー上にオリゴマー溶液を塗布し、100℃で10分間乾燥させFT−IR透過法によって末端官能基の同定を行った。1780cm−1付近にイミドカルボニルの吸収が出現し、1860cm−1付近に環状酸無水物カルボニル伸縮振動の吸収が確認できる事から酸無水物末端シロキサンオリゴマーの生成が確認できた。
反応濃縮物を80℃まで放冷し、反応濃縮物に632.81g(2.25mol)の3,3′−ジアミノ−4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン(BSDA、小西化学工業製;純度99.7%)と、3300gのトリグライム(TriGL)と700gのγ−ブチロラクトンとを投入し、室温で12時間攪拌した。攪拌後、185℃まで昇温し、その温度で2時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、シロキサン残基含有ポリイミドのワニスを得た。本参考例では、全酸二無水物/全ジアミン比は1.01であった。合成経路については以下に示す。


































Figure 0005533354
実施例1
参考例1で調製したシロキサン残基含有ポリイミドワニスを、トリグライムとγ−ブチロラクトンとの9:1(質量比)の混合溶媒で樹脂割合が48質量%となるように希釈した。得られたシロキサン残基含有ポリイミドワニス希釈液208質量部(樹脂分100質量部相当)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(iER828、三菱化学(株))101質量部、反応性希釈剤(デナコールEX−192、ナガセケムテックス(株))14質量部、酸無水物硬化剤(リカシットMH−700、新日本理化(株))100質量部、硬化触媒(キュアゾールC11Z−A、四国化成工業(株))0.1質量部、及び導電性フィラー(銀コート銅粉、Agコート1400YP、三井金属鉱業(株))1120質量部を均一に混合することにより導電性接着層形成用塗料を調製した。得られた塗料を、剥離PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、バーコーターで乾燥厚が12μmとなるように塗布し、140℃で乾燥することにより剥離PETフィルム付き導電性接着層を形成した。
これとは別に、シロキサン残基含有ポリイミドワニス希釈液に硬化触媒(2E4MZ、四国化成工業(株))を、シロキサン残基含有ポリイミドワニス希釈液中のポリイミド固形分100質量部当たり1質量部の割合で加えて混合することにより保護層形成用塗料を調製した。得られた塗料を、別の剥離PET上に、バーコーターで乾燥厚が8μmとなるように塗布し、140℃で乾燥することにより剥離PETフィルム付き保護層を形成した。
上述したように得られた剥離PETフィルム付き保護層と剥離PETフィルム付き導電性接着層とを、それぞれの剥離PETフィルムが外側になるように重ね、120℃の熱ラミネーターを通過させ、両面が剥離PETフィルムで挟持されたシールドフィルムを得た。
比較例1
導電接着層及び保護層のいずれにも硬化触媒を配合しない以外は、実施例1と同様にしてシールドフィルムを作成した。
比較例2
保護層には硬化触媒を配合せず、且つ導電性接着層へはキュアゾールC11Z−Aに代えてキュアゾール2E4MZを1質量部使用すること以外は、実施例1と同様にしてシールドフィルムを作成した。
比較例3
保護層には硬化触媒を配合しないこと以外は、実施例1と同様にしてシールドフィルムを作成した。
導電接着層及び保護層のいずれにも硬化触媒を配合しない以外は、実施例1と同様にしてシールドフィルムを作成した。
比較例4
導電接着層には硬化触媒を配合しない以外は、実施例1と同様にしてシールドフィルムを作成した。
実施例2
実施例1シールドフィルムを、導電性接着層側の剥離PETフィルムを剥がした後に、導電性接着層側から、図3に示すような、グランド配線32に対して表1に示す大きさのグランド開口34が形成されたカバーコート層33を有する配線板31に仮貼りし、真空高温プレス(170℃、2MPa、60分)により、導電性接着層をグランド開口34内に押し込みつつ熱硬化させることにより配線板31上にシールドフィルム35を積層し、シールド配線板を得た。ここで、カバーコート層33の両端部に、導通計測用開口36を形成した。なお、各開口底部のグランド配線には、1〜6μm厚の無電解ニッケルメッキ層を形成し、更に0.03〜0.15μm厚の無電解金メッキ層を形成した。
比較例5〜8
比較例1〜4で作成したシールドフィルムを使用すること以外、実施例2と同様にして比較例5〜8のシールド配線板を作成した。
<評価>
(シールド配線板の初期導通抵抗値測定)
実施例2及び比較例5〜8で得られたシールド配線板について、初期導通抵抗を測定した。グランド径0.8〜1.8mmで測定し、平均値を表2に示す。実用上、導通抵抗値は1Ω以下であることが望ましい。
(吸湿リフロー試験後のシールド配線板の導通抵抗値測定)
初期導通抵抗値測定を行ったシールド配線板を、30℃で70%RHの雰囲気に24時間放置して吸湿させた後、予備加熱160℃±10℃で60〜90秒、220℃以上で60秒〜90秒、ピーク温度250℃〜260℃に設定されたハンダリフロー炉を通過させ、初期導通抵抗値測定の場合と同様に、導通抵抗値を測定した。平均値を表2に示す。実用上、導通抵抗値は1Ω以下であることが望ましい。
(シールドフィルムの初期接着性評価(クロスカット試験))
シールドフィルムが接着される被着面として、(a)12μm厚の銅箔に20μm厚のポリイミド層が積層されたフレキシブルプリント基板用銅張積層板(CCL)(エスパネックスM、新日鐵化学(株))の銅箔面、この積層板の銅箔面に更に30〜150nm厚の無電解金メッキを施した積層板の金メッキ面、またはこの積層板の銅箔をエッチングで除去して露出したポリイミド面に対し、シールドフィルムの導電性接着層を貼り付け、そのシールドフィルムの接着性を、15mm各のJIS K5400に準拠したクロスカット試験により評価した。シールドフィルムの剥離が全く観察されない場合を良好「G」と評価し、剥離が観察された場合を不良「NG」と評価した。得られた結果を表3に示す。
(シールドフィルムのエージング後の接着性評価(クロスカット試験)
シールドフィルムを50℃の恒温槽中に保存したものを一日に一回、初期接着性評価と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。表4中の数字は、最初に剥離が観察された保存日数である。保存は20日まで行った。従って、本試験評価では「20日」という日数がもっとも好ましい結果である。
Figure 0005533354



Figure 0005533354
Figure 0005533354
表2から、実施例1のシールドフィルムを使用した実施例5のシールド配線板の場合、初期並びに吸湿リフロー試験の導通抵抗値が実用上問題のないレベルであることがわかる。また、表3及び4から、実施例1のシールドフィルムは、初期並びにエージング後の接着性が、被着面によらず良好な接着性を示していることがわかる。
それに対し、比較例1のシールドフィルムを使用した比較例5のシールと配線板の場合、導電接着層及び保護層のいずれにも硬化触媒が配合されていないため、吸湿湿リフロー試験後には導通抵抗値が著しく上昇してしまった。また、比較例2のシールドフィルムの場合、保護層には硬化触媒を配合せず、しかも導電性接着層へ速硬化系硬化触媒を配合していたので、剥離フィルムに導電接着層を形成する際の乾燥温度によりエポキシ樹脂が硬化してしまい、初期接着性が実用に耐えるレベルではなかった。比較例3のシールドフィルムの場合、導電接着層に遅硬化系硬化触媒を配合しているが、保護層に硬化触媒を配合しなかったので、吸湿リフロー後の導通抵抗値が2Ωを超えてしまっていた。また、エージング後の接着性評価(日数)も実施例1の半分以下であった。比較例4のシールドフィルムを使用した比較例8のシールド配線板の場合、導電接着層に硬化触媒を配合していないため、吸湿リフロー後の導通抵抗値が1Ωを超えてしまっていた。
本発明のシールドフィルムは、絶縁層(保護層)に熱硬化性樹脂に導電粒子が分散した導電性接着層が積層された2層構造のシールドフィルムであるにも関わらず、良好な接着性とハンダリフロー後の良好な導電性とを同時に達成することができる。
1 保護層
2 導電性フィラー
3 バインダー樹脂
4 導電性接着層
10 シールドフィルム
30 シールド配線板
31 配線板
32 グランド配線
33 カバーコート層
34 グランド開口
35 シールドフィルム
36 導通計測用開口

Claims (17)

  1. 熱硬化性樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂に導電性フィラーが分散してなる導電性接着層が、保護層に積層されてなるシールドフィルムにおいて、
    該導電性接着層が、硬化剤による熱硬化性樹脂の硬化反応を促進するための第1の硬化触媒を含有し、
    該保護層が、導電性接着層における硬化剤による熱硬化性樹脂の硬化反応を促進するための硬化触媒であって、第1の硬化触媒より活性化開始温度の低い第2の硬化触媒を含有していることを特徴とするシールドフィルム。
  2. 第1の硬化触媒が、導電性接着層全体に混合されている請求項1記載のシールドフィルム。
  3. 第1の硬化触媒が、導電性接着層のいずれかの表面に偏在している請求項1記載のシールドフィルム。
  4. 導電性接着層のバインダー樹脂が、シロキサン残基含有ポリイミドを含有する請求項1〜3のいずれかに記載のシールドフィルム。
  5. 保護層が、シロキサン残基含有ポリイミドを含有する請求項4記載のシールドフィルム。
  6. シロキサン残基含有ポリイミドが、式(A)の繰り返し構造単位を有する請求項4又は5記載のシールドフィルム。
    Figure 0005533354
    (式中、nは1〜30の整数であり、mは0〜20の整数である。)
  7. シロキサン残基含有ポリイミドのシロキサン残基が、式(1)のシロキサンジアミン由来である請求項6記載のシールドフィルム。
    Figure 0005533354
    (式中、nは1〜30の整数であり、mは0〜20の整数である。)
  8. 導電性接着層を構成するバインダー樹脂が含有する熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂であり、硬化剤がエポキシ樹脂用硬化剤である請求項1〜7のいずれかに記載のシールドフィルム。
  9. エポキシ樹脂用硬化剤が、酸無水物系硬化剤である請求項8記載のシールドフィルム。
  10. 導電性接着層を構成するバインダー樹脂が、シロキサン残基含有ポリイミド100質量部に対し、エポキシ樹脂を65〜230質量部、エポキシ樹脂用硬化剤を45〜150質量部、第1の硬化触媒0.01〜2質量部の割合で含有する請求項6〜8のいずれかに記載のシールドフィルム。
  11. 保護層が、シロキサン残基含有ポリイミド100質量部に対し、第2の硬化触媒0.1〜2質量部の割合で含有する請求項6〜8のいずれかに記載のシールドフィルム。
  12. 第1の硬化触媒が、2−エチル−4−メチルイミダゾールであり、第2の硬化触媒が、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]−エチル−s−トリアジンである請求項8〜11のいずれかに記載のシールドフィルム。
  13. シロキサン残基含有ポリイミドが、少なくともテトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミンとを反応させてシロキサンポリイミド樹脂を製造する方法であって、以下の工程(a)〜(c):
    (a)溶媒中で第1のテトラカルボン酸二無水物とシロキサンジアミンとを還流条件下でイミド化反応させて酸無水物末端又はアミン末端シロキサンイミドオリゴマーを含む反応混合物を得る工程
    (b)工程(a)で得られた反応混合物を減圧濃縮して反応濃縮物を得る工程
    (c)工程(b)で得られた反応濃縮物に、溶媒とシロキサン非含有ジアミンとを添加し、シロキサン非含有ジアミンと反応濃縮物中の酸無水物末端シロキサンイミドオリゴマーとをイミド化反応させ、又は溶媒と第2のテトラカルボン酸二無水物とを添加し、第2のテトラカルボン酸二無水物と反応濃縮物中のアミン末端シロキサンイミドオリゴマーとをイミド化反応させ、それによりシロキサンポリイミド樹脂を得る工程
    を有する製造方法により製造されたものである請求項1記載のシールドフィルム。
  14. 請求項2記載のシールドフィルムの製造方法であって、以下の工程:
    第1の剥離基材に第2の硬化触媒を含有する保護層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより保護層を形成する工程;
    第2の剥離基材に、熱硬化型樹脂と硬化剤と第1の硬化触媒とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程;
    形成された保護層と導電性接着層とを互いに貼り合わせることによりシールドフィルムを形成する工程
    を有することを特徴とする製造方法。
  15. 請求項3記載のシールドフィルムの製造方法であって、以下の工程:
    第1の剥離基材に第2の硬化触媒を含有する保護層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより保護層を形成する工程;
    第2の剥離基材に、第1の硬化触媒溶液を塗布し乾燥し、更に熱硬化型樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程、又は第2の剥離基材に、熱硬化型樹脂と硬化剤とを含有するバインダー樹脂と導電性フィラーとを含有する導電性接着層形成用塗料を塗布し、乾燥し、更に第1の硬化触媒溶液を塗布し、乾燥することにより導電性接着層を形成する工程;
    形成された保護層と導電性接着層とを互いに貼り合わせることによりシールドフィルムを形成する工程
    を有することを特徴とする製造方法。
  16. 保護層形成用塗料及び導電性接着層形成用塗料が、シロキサン残基含有ポリイミドを含有する請求項14又は15記載の製造方法。
  17. グランド配線が形成された配線板上に、グランド配線と導通するように、請求項1〜12のいずれかに記載のシールドフィルムがその導電性接着層により積層されていることを特徴とするシールド配線板。
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