JP2001237552A - 接着材およびこれを用いた電子部品 - Google Patents

接着材およびこれを用いた電子部品

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JP2001237552A
JP2001237552A JP2000048784A JP2000048784A JP2001237552A JP 2001237552 A JP2001237552 A JP 2001237552A JP 2000048784 A JP2000048784 A JP 2000048784A JP 2000048784 A JP2000048784 A JP 2000048784A JP 2001237552 A JP2001237552 A JP 2001237552A
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Isamu Kirikihira
勇 桐木平
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子部品を構成する配線基板用の接着材の破
断伸びが3%より小さく、耐熱性・耐熱疲労性に劣る。 【解決手段】 絶縁基板4上に形成され、表面に配線導
体層6が被着される接着材層5用の接着材であって、エ
ポキシ樹脂混合物、100℃以上の温度で反応が開始する
硬化材、重量平均分子量が10000〜500000の粗化液に溶
解する熱可塑性樹脂、ガラス転移温度が−60〜−20℃の
エラストマ、フィラから成り、硬化後の破断伸びが5〜
20%であることを特徴とするものである。本発明の接着
材によれば、良好な伸縮性を有しフィルム成形性に優れ
た接着材とすることができる。また、未硬化のフィルム
は可撓性に優れ取り扱いが容易であるとともに、硬化後
のフィルムでも破断伸びが5〜20%と可撓性を維持し熱
変化による応力を吸収することができ、その結果、耐熱
性・耐熱疲労性を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面に配線導体層
が被着される接着材層を形成する接着材、およびこれを
用いた電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、現在の電子部品は、移動体通信
機器に代表されるように小型・薄型・軽量・高性能・高
機能・高品質・高信頼性が要求されており、このような
電子部品に用いられる配線基板も高密度配線が要求され
るようになってきている。
【0003】従来より、高密度配線が可能な配線基板と
して有機樹脂を主成分とする絶縁基板を具備した配線基
板が知られており、このような配線基板として、例え
ば、有機樹脂から成る接着材をガラスエポキシ樹脂等か
ら成る絶縁基板上に塗布して接着材層を形成し、この接
着材層を硬化させた後、その表面から内部にかけてヴィ
アホールを穿設し、さらに無電解めっき・電解めっきに
より接着材層の表面に配線導体層およびヴィアホール内
壁面にヴィアホール導体を被着形成するビルドアップ工
法により製作される配線基板が知られている。
【0004】このビルドアップ工法により製作される配
線基板においては、良好な耐熱性・耐熱疲労性等の高信
頼性を得るために、接着材層とその表面にめっきにより
被着形成される配線導体層との良好な密着性が重要であ
る。
【0005】良好な密着性を得るために、特許第282620
6号では接着材層の表面を粗面として接着材層と配線導
体層との接着面積を増加させることが提案されており、
さらに、より良好な密着性を得るために、接着材層の表
面を触針式表面粗さ測定器で測定した値で最大粗さがR
max=0.5〜10μmの粗面とすることが提案されてい
る。
【0006】このような接着材層の表面の粗化は、一般
には、酸化剤から成る粗化液により接着材層表面の一部
を溶解して除去する方法により行われている。ところ
が、一成分あるいは粗化液に対して耐粗化液性の均一な
複数の成分から構成されている接着材を用いて形成され
る接着材層は、その表面が比較的均一に粗化されてしま
い十分な密着強度を発現する粗化面を得られないという
問題点を有していた。
【0007】この問題点を解決するために、成分として
耐粗化液性の異なる複数の成分を混合した接着材を用い
て接着材層を形成し、この接着材層から粗化の容易な成
分を優先的に除去することにより表面に密着性の良好な
粗面を形成する方法が提案されている。
【0008】このような方法としては、例えば、主成分
に耐粗化液性のエポキシ樹脂を用い、これに粗化液に粗
化され易いアクリロニトリルブタジエンゴムを配合した
接着材を用いる方法(特開平9-121086号公報)や、主成
分のエポキシ樹脂にエポキシ当量の異なる、すなわち架
橋密度が低く耐粗化液性の異なるエポキシ樹脂を混合し
た接着材を用いる方法(特開平7-331217号公報)等が提
案されている。
【0009】なお、密着性の良否を判断する方法として
は、一般的には、ピール強度を測定してその強度で判断
する方法が用いられている。
【0010】また、上記の接着材の破断伸びは、接着材
の主成分であるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の破断伸
びが、樹脂を乾燥・硬化させるために加えられる熱や配
線基板を実装基板等に実装する際のリフロー時に加えら
れる熱により低下してしまうため、一般的には3%より
も低い値となっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、接着材
層の表面に密着性の良好な粗面を形成する方法として、
上記の主成分に耐粗化液性の良好なエポキシ樹脂を用
い、これに粗化液に粗化され易いアクリロニトリルブタ
ジエンゴムを配合した接着材を用いる方法や、主成分の
エポキシ樹脂にエポキシ当量の異なる、すなわち架橋密
度が低く耐粗化液性の異なるエポキシ樹脂を混合した接
着材を用いる方法では、粗化液が接着材層内部のアクリ
ロニトリルブタジエンゴムや架橋密度の低いエポキシ樹
脂の一部をも溶出して接着材層内部に微細な空孔を形成
してしまい、その結果、接着材層の耐熱性、特に半田耐
熱性が劣ってしまうという問題点を有していた。また、
耐マイグレーション性等の電気特性の信頼性も低くなっ
てしまい、高密度配線基板等の配線基板への適用が困難
であるという課題を有していた。
【0012】また、従来の上記成分の接着材を用いて製
作された配線基板では、一般的な信頼性試験である温度
サイクル試験(TCT)を行なった際に、温度サイクル
試験(TCT)時の熱膨張・熱収縮によって接着材の破
断伸び以上の応力が印加され、クラックが発生してしま
うという問題点も有していた。
【0013】さらに、従来、接着材層の表面粗さは触針
式表面粗さ測定器で測定されていたが、この測定器では
接着材層と配線導体層との密着性に大きく影響する 0.5
μm以下の凹凸を正確に測定することができず、配線導
体層のピール強度を精度良く管理できないという問題点
を有していた。
【0014】本発明はかかる従来技術の問題点に鑑み案
出されたものであり、その目的は、配線導体層との密着
性を向上させることができる接着材、およびこの接着材
を用いて製作した温度サイクル試験(TCT)やプレッ
シャークッカー試験(PCT)等での信頼性に優れた配
線基板を具備した電子部品を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の接着材は、エポ
キシ樹脂混合物と、100℃以上の温度で反応が開始する
硬化材と、重量平均分子量が10000〜500000の粗化液に
溶解する熱可塑性樹脂と、ガラス転移温度が−60〜−20
℃のエラストマと、フィラとから成り、硬化後の破断伸
びが5〜20%であることを特徴とするものである。
【0016】また、本発明の電子部品は、絶縁基板と、
その絶縁基板上に、上記の接着材を用いて形成された接
着材層と、絶縁基板および接着材層の各表面に形成され
た複数の配線導体層と、接着材層に穿設されたヴィアホ
ールの内壁面に形成され、複数の配線導体層間を電気的
に接続するヴィアホール導体とから成る配線基板に電子
素子を実装させた電子部品であって、原子間力顕微鏡で
測定した接着材層表面の算術平均粗さRaが0.1〜1μ
mであることを特徴とするものである。本発明の接着材
によれば、重量平均分子量10000〜500000の熱可塑性樹
脂を含有していることから、良好な伸縮性を有しフィル
ム成形性に優れた接着材とすることができる。また、ガ
ラス転移温度が−60〜−20℃のエラストマを含有してい
ることから、未硬化のフィルムは可撓性に優れ取り扱い
が容易であるとともに、硬化後のフィルムでも破断伸び
が5〜20%と可撓性を維持し熱変化による応力を吸収す
ることができ、その結果、耐熱疲労性の良好な接着材と
することができる。
【0017】また、本発明の電子部品によれば、原子間
力顕微鏡で測定した接着材層表面の算術平均粗さRaを
0.1〜1μmとしたことから、接着材層と配線導体層と
の密着性を良好としピール強度を向上させることがで
き、温度サイクル試験(TCT)やプレッシャークッカ
ー試験(PCT)等の信頼性試験に対して良好な配線基
板を具備する電子部品とすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】次に、本発明の接着材およびこれ
を用いた電子部品について詳細に説明する。
【0019】本発明の接着材は、エポキシ樹脂混合物
と、100℃以上の温度で反応が開始する硬化材と、粗化
液に溶解する重量平均分子量が10000〜500000の熱可塑
性樹脂と、ガラス転移温度が−60〜−20℃のエラストマ
と、フィラから構成されている。
【0020】本発明の接着材は、液状ワニスまたは固形
フィルム状のどちらでも使用可能であるが、表面の平坦
性や厚さ制御の容易性等の観点からはフィルム状が好ま
しい。
【0021】本発明の接着材は、エポキシ樹脂混合物を
含有していることから架橋密度を高くすることができ、
その結果、熱による樹脂の分子切断および樹脂中への水
分の侵入を抑制することができ、耐熱性・耐湿性に優れ
た接着材とすることができる。
【0022】このようなエポキシ樹脂混合物としては、
耐熱性・耐薬品性・電気特性および加工性の観点から
は、多官能エポキシ樹脂と2官能エポキシ樹脂との混合
物が好ましく、特に、多官能エポキシ樹脂と2官能エポ
キシ樹脂との比率を多官能エポキシ樹脂20〜80重量%・
2官能エポキシ樹脂80〜20重量%とすることが好まし
い。2官能エポキシ樹脂が20重量%より少ないと、接着
材の架橋密度が低くなり耐熱性・耐薬品性が低下してし
まう傾向があり、また80重量%を超えると架橋密度が高
くなり接着材の可撓性が低下して、硬化後の破断伸びが
低下してしまう傾向がある。従って、エポキシ樹脂混合
物の多官能エポキシ樹脂と2官能エポキシ樹脂との比率
は多官能エポキシ樹脂20〜80重量%・2官能エポキシ樹
脂80〜20重量%とすることが好ましい。
【0023】なお、ここで硬化後の破断伸びとは、接着
材で厚さ数10μmのフィルムを成形し完全硬化させた
後、このフィルムを一定の速度で破断するまで引張った
時のフィルムの伸び率で規定されるものであり、一般的
に破断伸びは5〜20%の範囲が好ましく、破断伸びが5
%より小さいと温度サイクル試験においてクラックが発
生する等耐熱疲労性に劣る傾向があり、20%を超えると
樹脂の架橋密度が低下して耐熱性・耐湿性に劣る傾向が
ある。
【0024】このような多官能エポキシ樹脂としては、
フェノールノボラック型エポキシ樹脂やオルソクレゾー
ルノボラック型エポキシ樹脂・ナフタレン型エポキシ樹
脂・ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂・トリグリシ
ジルイソシアヌレート・脂環式エポキシ樹脂等が用いら
れ、また、2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂
・ビスフェノールS型エポキシ樹脂・ビフェノール型エ
ポキシ樹脂等が用いられる。さらに、これらのエポキシ
樹脂に難燃性を付与するために臭素化したエポキシ樹脂
を用いることも可能である。
【0025】また、本発明の接着材は、100℃以上の温
度で反応を開始する硬化材をエポキシ樹脂混合物に対し
て2〜10重量%含有している。硬化剤の反応開始温度が
100℃よりも低いと、フィルム成形後の乾燥工程でフィ
ルムの硬化が進み過ぎて、その柔軟性が失われフィルム
の取扱いに問題が生じる傾向がある。したがって、硬化
剤の反応開始温度は100℃以上であることが好ましい。
また、硬化材の添加量が2重量%より少ないと硬化不足
となる傾向があり、さらに、10重量%を超えると硬化後
のフィルムが脆くなる傾向があり、温度サイクル試験等
での信頼性が低下する傾向がある。したがって、硬化材
の添加量はエポキシ樹脂混合物に対して2〜10重量%と
することが好ましい。
【0026】このような硬化材としては、好適には、メ
タフェニレンジアミン(反応温度130〜150℃)・ジアミ
ノジフェニルメタン(反応温度120〜180℃)・ジアミノ
ジフェニルスルフォン(反応温度110〜200℃)等の芳香
族アミン類、ジシアンジアミド(反応温度160〜180
℃)、2,4-ジアミノ-6-(2-メチル-1- イミダゾリルエチ
ル)-1,3,5-トリアジン(反応温度110〜150℃)・2,4-ジ
アミノ-6-(2-ウンデシル-1- イミダゾリルエチル)-1,3,
5-トリアジン(反応温度115〜155℃)等のトリアジン類
が用いられる。
【0027】なお、反応温度が適合すればフェノール系
硬化材および硬化促進材剤併用しても良く、例えばフェ
ノール系硬化材として、フェノールノボラック樹脂・オ
ルソクレゾールノボラック樹脂等、また、硬化促進剤と
して、イミダゾール系化合物・有機スルホン系化合物等
の反応温度が100〜200℃の硬化材および硬化促進剤を使
用しても良い。
【0028】さらに、本発明の接着材は、重量平均分子
量10000〜500000の粗化液に溶解する熱可塑性樹脂をエ
ポキシ樹脂混合物に対して5〜30重量%含有しているこ
とから、良好な伸縮性を有するとともにフィルムの成形
性に優れた接着材とすることができる。熱可塑性樹脂の
重量平均分子量が10000より小さいと、フィルムが脆く
なり成形性が悪くなる傾向があり、また、500000を超え
ると接着材の粘度が高くなり均一な膜厚のフィルムを得
られなくなる傾向がある。したがって、熱可塑性樹脂の
重量平均分子量は10000〜500000が好ましい。さらに、
熱可塑性樹脂の含有量が5重量%より少ないとフィルム
が脆くなり良好な伸縮性を得られなくなる傾向があり、
また、30重量%より多いと耐熱性に劣る傾向がある。し
たがって、熱可塑性樹脂の含有量は5〜30重量%が好ま
しい。
【0029】また、この熱可塑性樹脂は、酸化剤である
過マンガン酸塩類の水溶液やクロム酸塩類の水溶液等の
粗化液に容易に溶解することから、フィルムの成形・乾
燥後にフィルムを粗化液に浸すことにより、フィルム表
面に容易に粗面を形成することができる。なお、粗化液
としては、クロム酸塩類は毒性を有するために、一般的
には過マンガン酸塩類が使用され、好適には酸化数が大
きく酸化力の強い過マンガン酸カリウムが使用される。
【0030】このような熱可塑性樹脂としては、ポリエ
チレンフタレート(PET)・ポリブチレンフタレート
(PBT)・アジピン酸アルキルエステル等のポリエス
テル類、ポリメチルメタクリレート・ポリブチルメタク
リレート等のアクリル酸エステル類が用いられる。
【0031】また、本発明の接着材は、ガラス転移温度
が−60〜−20℃のエラストマをエポキシ樹脂混合物に対
して10〜40重量%含有していることから、未硬化のフィ
ルムは可撓性に優れており取り扱いが容易であるととも
に、硬化後でも破断伸びが5〜20%と可撓性を維持し熱
変化による応力を吸収することができ、その結果、耐熱
疲労性を向上することができる。ガラス転移温度が−60
℃よりも低いと、乾燥後の接着材のべとつきが大きなも
のとなりフィルムの取扱いが困難となる傾向があり、ま
た、−20℃よりも高いと乾燥後のフィルムの破断伸びが
小さくなる傾向がある。したがって、エラストマのガラ
ス転移温度は−60〜−20℃の範囲であることが好まし
い。さらに、エラストマの含有量が10重量%よりも少な
いと、可撓性が低下する傾向があり、また、40重量%を
超えると接着材の架橋密度が低下して耐熱性・耐湿性が
低下してしまう傾向がある。したがって、エラストマの
含有量は10〜40重量%が好ましい。
【0032】このようなエラストマとしては、アクリル
ゴム(ACM)・アクリロニトリル−ブタジエンゴム
(NBR)・スチレン−ブタジエン−スチレントリブロ
ックエラストマ(SBS)・スチレン−イソプレン- ス
チレントリブロックエラストマ(SIS)等が用いられ
る。
【0033】さらにまた、本発明の接着材は、エポキシ
樹脂混合物に対して5〜20重量%のフィラを含有してい
る。フィラはフィルムの強度を高める機能を有し、フィ
ラの含有量が5重量%より少ないとフィルムの平坦性が
悪くなる傾向があり、また、20重量%を超えるとヴィア
ホールの穿設等のフィルムの加工性が悪くなる傾向があ
る。したがって、フィラの含有量は5〜20重量%の範囲
であることが好ましい。
【0034】このようなフィラとしては、絶縁性の微粉
末が用いられ、酸化珪素・酸化アルミニウム・窒化アル
ミニウム・炭化珪素・チタン酸カルシウム・酸化チタン
・ゼオライト等の無機粉末、あるいはアラミド繊維・炭
素繊維・ガラス繊維等の繊維が用いられ、フィルム成形
性の観点からは平均粒径が20μm以下、ヴィアホールの
穿設性の観点からは平均粒径が20μm以下、フィラの充
填性の観点からは平均粒径が7μm以下の酸化珪素が好
ましい。
【0035】なお、本発明においては、フィルムを成形
する際に、良好な成形性を得るためにメチルエチルケト
ン(MEK)・プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート(PMA)・ジメチルフォルムアミド(D
MF)等の溶剤を1〜3重量%含有させても良い。
【0036】このようなフィルムは、たとえば、多官能
エポキシ樹脂・2官能エポキシ樹脂・硬化材・熱可塑性
樹脂・エラストマ・フィラに溶剤等を添加した混合物を
混練して液状ワニスを得、この液状ワニスをPET製離
型シート上に塗布して60〜100℃の温度で乾燥すること
により成形される。また、フィルムを乾燥後、フィルム
の上面にポリエチレン製保護シートを積層し、ロール状
に巻き取ることにより容易に貯蔵することができる。こ
のフィルムの厚さは自由に設定することができるが、絶
縁性の観点からは20〜100μmの範囲の厚みが好まし
い。
【0037】なお、このフィルムを所望の絶縁基板上に
真空ラミネータを用いて圧着し、オーブンで熱硬化する
ことによって、絶縁基板上に接着材層を形成することが
できる。
【0038】かくして本発明の接着材によれば、破断伸
びが5〜20%と大きく耐熱疲労性・耐熱性・耐湿性等に
優れた接着材層を形成することができる。
【0039】なお、本発明の接着材は上述の実施例に限
定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲
であれば種々の変更は可能である。たとえば、上述の接
着材に耐熱性のより向上のためにヒンダードフェノール
系酸化防止剤を、成形性のより向上のために高級脂肪酸
エステル等の滑剤を、ピール強度のより向上のために無
電解めっき触媒等を含有させることも可能である。
【0040】次に、本発明の接着材を用いた電子部品を
添付の図面に基づき詳細に説明する。
【0041】図1は本発明の接着材を用いた配線基板
に、電子素子として半導体素子を搭載した場合の電子部
品の一例を示す要部断面図であり、この図において1は
配線基板2、半導体素子3から成る電子部品である。配
線基板2は、絶縁基板4、接着材層5、配線導体層6か
ら構成されており、また、この図の例では、接着材層5
は絶縁基板4の表面に3層5a・5b・5c、裏面に3
層5d・5e・5f形成した例を示している。
【0042】絶縁基板4は、ガラスクロス−エポキシ樹
脂・ガラスクロス−ビスマレイミドトリアジン樹脂・ガ
ラスクロス−ポリフェニレンエーテル樹脂・アラミド繊
維−エポキシ樹脂等の樹脂材料から成り、接着材層5の
支持体として機能する。なお、この例では、絶縁基板4
の表裏両面に形成された銅・ニッケル・金等の薄膜から
成る配線導体層5を、ドリル等で穿設したスルーホール
7の内部に形成したスルーホール導体8により電気的に
接続した例を示している。
【0043】絶縁基板4の表裏両面には、本発明の接着
材を用いて形成した接着材層5が被着形成されており、
この接着材層5は配線基板2に搭載する半導体素子3を
支持する支持部材として機能する。
【0044】接着材層5は、本発明の接着材に溶剤等を
添加した混合物を混練して得た液状ワニスを、PETシ
ート上に乾燥後に所望の厚みとなるようにローラコータ
を用いて塗布し、60〜100℃の温度で乾燥・硬化してフ
ィルムを得、このフィルムを真空ラミネータにより絶縁
基板4の表裏両面に同時にラミネートすることにより形
成される。
【0045】接着材層5の表面には、粗化液を用いて粗
化することにより原子間力顕微鏡による測定で算術平均
粗さRa=0.1〜1μmの粗面が形成される。これは、
接着材層5と成るフィルムを製作する際に、硬化材がミ
クロ相分離を開始して0.01〜10μmの大きさとなって接
着材内部に良好に微分散するため、熱可塑性樹脂が粗化
液により溶解して除去された接着材層5表面に、原子間
力顕微鏡による測定で算術平均粗さRa=0.1〜1μm
の粗面が形成されるものである。
【0046】従来、触針式表面粗さ測定器を用いた表面
粗さの測定では径が5μmの触針を用いて測定してお
り、5μmよりも小さな凹凸を測定することができない
のに対し、原子間力顕微鏡は数10nm程度の微小な凹凸
も測定することが可能であり、接着材層5と配線導体層
6との密着性に大きく影響する、すなわちピール強度に
影響する0.5μm以下の凹凸を測定することが可能であ
る。
【0047】このような接着材層5の表面は、原子間力
顕微鏡による測定で算術平均粗さRa=0.1〜1μmの
粗面を有することから、配線導体層6との密着性が良好
となり、ピール強度を向上させることができ、温度サイ
クル試験やプレッシャークッカー試験等の信頼性試験に
対して良好な結果を得ることができる。接着材層5表面
の原子間力顕微鏡による測定の平均粗さRaが0.1μm
未満であると、接着材層5と配線導体層6間のアンカー
効果が小さくなり十分なピール強度が得られなくなる傾
向があり、1μmを超えると、ビルドアップ工法に必要
な微細な配線パターンが形成できなくなる傾向がある。
したがって、接着材層5表面の粗さは原子間力顕微鏡に
よる測定で算術平均粗さRaが0.1〜1μmの範囲であ
ることが好ましい。
【0048】なお、接着材層5表面の粗化は、次に示す
方法により行えばよい。まず、グリコールエーテル等の
有機溶剤を約10%と水酸化ナトリウム等のアルカリを約
1%とを含んだ溶液中に5分程度浸し、接着材層5表面
の接着材を膨潤させる。次に、過マンガン酸塩類等の酸
化剤約10%溶液中に10分程度浸し、接着材層5表面の熱
可塑性樹脂を溶解し、接着材層5表面の粗さが原子間力
顕微鏡による測定で算術平均粗さRaが0.1〜1μmと
なるように粗化する。最後に、硫酸の約5%水溶液に5
分程度浸し、接着材層5表面を還元すれば良い。
【0049】また、本発明における電子部品1の接着材
層5の表面には、配線導体層6が形成されている。配線
導体層6は半導体素子3等の電子素子を外部電気回路基
板(図示せず)に電気的に接続する導電路として機能
し、接着材層5の表面側の部位には半導体素子3の各電
極がフリップチップ接続等により電気的に接続され、裏
面側の部位は外部電気回路基板の配線導体に半田等を介
して電気的に接続される。
【0050】配線導体層6は、サブトラクティブ法やア
ディティブ法等により形成され、粗化された接着材層5
表面に無電解めっきで例えば銅を被着させ、ドライフィ
ルムフォトレジストでパターン加工した後に電解銅めっ
きで所定の銅厚みにし、さらにドライフィルム剥離・エ
ッチングを行い配線パターンを形成する方法によって形
成される。配線導体層6に用いられる金属としては、金
・銅・ニッケル等の抵抗値の低い金属から成り、低抵抗
化の観点からは銅が好ましい。
【0051】また、配線導体層6は、温度サイクル試験
やプレッシャクッカー試験おける接着材層5からの剥離
・配線導体層6の断線等の防止の観点からは、そのピー
ル強度は0.8〜2kg/cmであることが好ましい。ピ
ール強度が0.8kg/cm未満であると、配線導体層6
が接着材層5から剥離し易くなる傾向があり、また、2
kg/cmを超えると接着材層5と配線導体層6との密
着が強固と成り過ぎ、接着材層5が伸びた際に接着材層
5の樹脂内で破断が発生し易くなる傾向がある。したが
って、配線導体層6のピール強度は0.8〜2kg/cm
であることが好ましい。
【0052】なお、配線導体層6の厚みは、高速の信号
を伝達させるという点からは、3μm以上であることが
好ましく、配線導体層6を接着材層5に被着形成させる
際に配線導体層6に大きな応力を残留させず、配線導体
層6が接着材層5から剥離しにくいものとするために
は、50μm以下としておくことが好ましい。
【0053】このような接着材層5・配線導体層6を、
絶縁基板4上に複数層形成する場合は、接着材層5とな
るフィルムをあらかじめ複数枚形成しておき、接着材層
5のラミネートと配線導体層6の被着形成を順次行えば
よい。
【0054】また、接着材層5表面の複数の配線導体層
6は、接着材層5内部のヴィアホール9の内周壁に被着
形成されたヴィアホール導体10により電気的に接続され
ている。
【0055】ヴィアホール9の穿設は、露光・現像法に
より穿設する方法、炭酸ガスレーザ・YAGレーザ・U
Vレーザ等のレーザ法により穿設する方法等が用いられ
るが、接着材層の材料に依存せず微細加工ができ、ヴィ
アホール9径を10〜200μmの範囲に自由に設定でき、か
つ加工スピードの速い炭酸ガスレーザを使用することが
好ましい。なお、本発明の接着材によれば、接着材を構
成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が10000〜500000
と大きく酸素指数が小さいことからレーザによる熱で分
解され易く、ヴィアホール9を穿設する際に接着材の残
滓がヴィアホール9の周辺や内部に残ることはなく、配
線導体層6やヴィアホール導体10をめっきにより被着形
成した際に電気的接続性に優れたものすることができ
る。
【0056】また、ヴィアホール9の内周壁のヴィアホ
ール導体10の形成は、接着材層5の表面に配線導体層6
をめっきにより被着させる際に、配線導体層6と同時に
めっき処理を行えばよい。
【0057】さらに、半導体素子3を最外層の接着材層
5の表面に形成された配線導体層6に間に半田等の接続
部材11を介して接続することにより、半導体素子3と配
線導体層6とが電気的に接続され、また、半導体素子3
と接着材層5の間に樹脂から成るアンダフィル12を注入
することにより、半導体素子3が接着材層5表面に強固
に固定される。
【0058】かくして本発明の電子部品によれば、接着
材層と配線導体層との密着性を良好としピール強度を向
上させることができ、温度サイクル試験やプレッシャー
クッカー試験等の信頼性試験に対して良好な電子部品を
得ることができる。
【0059】なお、本発明の電子部品は上述の実施例に
限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範
囲であれば種々の変更は可能である。たとえば、上述の
実施例では、絶縁基板4の表裏両面に各3層の接着材層
5をラミネートすることにより配線基板2を製作した
が、1層や2層、あるいは4層以上の接着材層5をラミ
ネートしてもよい。また、表面あるいは裏面のみに接着
材層5をラミネートしてもよい。さらに、ヴィアホール
導体10と接着材層5との密着性を高めるために、ヴィア
ホール9の内部に本発明の接着材等の樹脂を充填するこ
とも可能である。また、絶縁基板4の内部に配線導体層
6が配設されていてもよい。さらに、上述の実施例で
は、搭載される電子素子として半導体素子3を搭載した
例を示したが、抵抗器・キャパシタ・圧電部品等の電子
素子を搭載できることは言うまでもない。
【0060】
【実施例】本発明の接着材およびこの接着材を用いた電
子部品の特性を評価するために、以下のような接着材フ
ィルムを用いた電子部品を製作した。
【0061】[接着材の実施例1]エポキシ樹脂混合物
として、多官能エポキシ樹脂であるクレゾールノボラッ
ク型エポキシ樹脂を60重量%、2官能エポキシ樹脂であ
る液状ビスフェノールA型エポキシ20重量%・臭素化ビ
スフェノールA型エポキシ20重量%の混合物を用い、エ
ポキシ樹脂混合物に対して、硬化材として2,4-ジアミノ
-6-(2-メチル-1- イミダゾリルエチル)-1,3,5-トリアジ
ンを4重量%、熱可塑性樹脂として重量平均分子量1200
00ののアジピン酸プロピオンエステルを20重量%、エラ
ストマとしてガラス転移点が−30℃のアクリルゴムを20
重量%、フィラとして微粉砕酸化珪素を8重量%、溶剤
としてMEKとDMFを添加混合してワニス状接着材を
製作した。
【0062】このワニス状接着材をPETフィルム上に
乾燥後の厚みが45μmになるようにローラーコータにて
塗布した後、60〜100℃で乾燥させ接着材フィルムを得
た(接着材フィルム1)。この接着材フィルムの可撓性
評価のため180°の折り曲げ試験を行ったが、折り曲げ
部にクラック等の異常は全く見られなかった。
【0063】また、接着材フィルム1を175℃で3時間
乾燥・硬化後、引張り測定機で5mm/分間の速度でフ
ィルムを引張った時の破断伸びは8%であった。さら
に、150℃で100時間の熱履歴を加えた結果、破断伸びは
9%となった。
【0064】[接着材の実施例2]エポキシ樹脂とし
て、多官能エポキシ樹脂であるクレゾールノボラック型
エポキシ樹脂を50重量%、2官能エポキシ樹脂である液
状ビスフェノールA型エポキシ30重量%・臭素化ビスフ
ェノールA型エポキシ20重量%の混合物を用い、エポキ
シ樹脂混合物に対して、硬化材として2,4-ジアミノ-6-
(2-メチル-1- イミダゾリルエチル)-1,3,5-トリアジン
を3重量%、熱可塑性樹脂として重量平均分子量200000
のアジピン酸ブチレンエステルを30重量%、エラストマ
としてガラス転移点が−60℃のエポキシ化NBRを20重
量%、フィラとして微粉砕酸化珪素を5重量%、溶剤と
してMEKとDMFを添加混合してワニス状接着材を製
作した。
【0065】このワニス状接着材をPETフィルム上に
乾燥後の厚みが30μmになるようにローラーコータにて
塗布した後、60〜100℃で乾燥させ接着材フィルムを得
た(接着材フィルム2)。この接着材フィルムの可撓性
評価のため180°の折り曲げ試験を行ったが、折り曲げ
部にクラック等の異常は全く見られなかった。
【0066】また、接着材フィルム2を175℃で3時間
乾燥・硬化後、引張り測定機で5mm/分間の速度でフ
ィルムを引張った時の破断伸びは12%であった。さら
に、150℃で100時間の熱履歴を加えた後の破断伸びは10
%であった。
【0067】[接着材の比較例]エポキシ樹脂として、
多官能エポキシ樹脂であるクレゾールノボラック型エポ
キシ樹脂を60重量%、2官能エポキシ樹脂である液状ビ
スフェノールA型エポキシ20重量%・臭素化ビスフェノ
ールA型エポキシ20重量%の混合物を用い、エポキシ樹
脂混合物に対して、硬化材としてジシアンジアミドを2
重量%、フィラとして微粉砕酸化珪素を8重量%、溶剤
としてMEKとDMFを添加混合してワニス状接着材を
製作した。
【0068】このワニス状接着材をPETフィルム上に
乾燥後の厚みが45μmになるようにローラーコータにて
塗布した後、60〜100℃で乾燥させ接着材フィルムを得
た(接着材フィルム3)。この接着材フィルムの可撓性
評価のため180°の折り曲げ試験を行ったところ、折り
曲げ部にクラックが発生した。
【0069】また、接着材フィルム3を175℃で3時間
乾燥・硬化後、引張り測定機で5mm/分間の速度でフ
ィルムを引張った時の破断伸びは4%であった。さら
に、150℃で100時間の熱履歴を加えた後の破断伸びは1
%となった。
【0070】以上の様に、本発明の接着材を用いて製作
したフィルムは、未硬化時には可撓性に優れ、硬化後の
破断伸びが8〜12%と良好なフィルムであることが確認
できた。
【0071】[電子部品の実施例1]ガラスエポキシ樹
脂を材料とした絶縁基板4の表裏両面に、真空ラミネー
タを使用して接着材フィルム1を同時にラミネートした
後、接着材フィルム1からPET製離型シートを剥離し
た。その後、175℃で1時間乾燥・硬化させた後、炭酸
ガスレーザで接着材フィルム1の表面から内部にかけて
ヴィアホール9を穿設した。つぎに、フィルム表面の表
面粗さRaを原子間力顕微鏡で測定して算術平均粗さR
aが0.5μmとなるように、過マンガン酸カリウム溶液
で粗化処理した。
【0072】また、上記の配線基板2をパラジウム系の
めっき触媒で処理した後、配線基板2に無電解めっきを
施した。次に、ドライフィルムフォトレジストで配線パ
ターン加工を行い、電解銅めっきで厚み18μmの配線導
体層6を形成した。その時の配線導体層6のピール強度
は0.8kg/cmであった。また、ピール強度を安定化
させるために、175℃で2時間熱処理を行った。その
後、上記の接着材フィルム1のラミネートとヴィアホー
ル9の穿設・粗化処理・めっきによる配線導体層6の形
成を複数回繰返して6層の接着材層5・配線導体層6を
絶縁基板4に形成した後、配線基板2表面の半導体素子
3との接続部にニッケル・金めっきを施し、さらに半田
バンプを形成した。そして、この配線基板2の半田バン
プに半導体素子3を載せリフロー電気接続を行った後、
半導体素子3と配線基板2の隙間にアンダーフィル12材
を注入して信頼性試験用のサンプルを得た。
【0073】このサンプルの信頼性試験項目は、温度サ
イクル試験(TCT)とプレッシャクッカー試験(PC
T)で、各試験はそれぞれ配線基板のクラック・膨れ・
剥がれ等の外観と抵抗値変化率の値で評価を行なった。
【0074】温度サイクル試験(TCT)は気相冷熱試
験機を用い、サンプルを温度が−55℃および125℃の気
相中に各30分間放置しこれを1サイクルとして1000サイ
クルの条件で行い、抵抗値変化率は、試験前の抵抗値と
試験後の抵抗値とを測定して計算により算出した。
【0075】また、プレッシャークッカー試験(PC
T)は温度可変寿命試験機を用い、配線基板2を温度12
1℃、相対湿度100%、圧力 2.1×105Paの条件下に16
8時間放置という条件で行い、抵抗値変化率は、試験前
後の抵抗値を測定して計算により算出した。本発明の配
線基板2は、TCT1000サイクル後でもクラックが発生
せず、配線導体層6の抵抗値変化率は7%と低い値とな
った。また、PCT168時間後でも膨れや剥れがなく、
配線導体層6の抵抗値変化率も9%と低い値となり良好
な電子部品1であることがわかった。
【0076】[電子部品の実施例2]ガラスエポキシ樹
脂を材料とした絶縁基板4の表裏両面に、真空ラミネー
タを使用して接着材フィルム2を同時にラミネートした
後、接着材フィルム1からPET製離型シートを剥離し
た。その後、175℃で1時間乾燥・硬化させた後、炭酸
ガスレーザで接着材フィルム1の表面から内部にかけて
ヴィアホール9を穿設した。つぎに、フィルム表面の表
面粗さRaを原子間力顕微鏡で測定して算術平均粗さR
aが0.9μmとなるように、過マンガン酸カリウム溶液
で粗化処理した。
【0077】また、上記の配線基板2をパラジウム系の
めっき触媒で処理した後、配線基板2に無電解めっきを
施した。次に、ドライフィルムフォトレジストで配線パ
ターン加工を行い、電解銅めっきで厚み20μmの配線導
体層6を形成した。その時の配線導体層6のピール強度
は1.0kg/cmであった。また、ピール強度を安定化
させるために、175℃で2時間熱処理を行った。その
後、上記の接着材フィルム2のラミネートとヴィアホー
ルの穿設・粗化処理・めっきによる配線導体層6の形成
を複数回繰返して6層の接着材層5を絶縁基板4に形成
した後、配線基板2表面の半導体素子3との接続部にニ
ッケル・金めっきを施し、さらに半田バンプを形成し
た。そして、この配線基板2の半田バンプに半導体素子
3を載せリフロー電気接続を行った後、半導体素子3と
配線基板2の隙間にアンダーフィル12材を注入して信頼
性試験用のサンプルを得た。
【0078】この電子部品の信頼性試験として、実施例
1と同様の温度サイクル試験(TCT)とプレッシャク
ッカー試験(PCT)とを行った。その結果、TCT10
00サイクル後でもクラックが生じず、配線導体層6の抵
抗変化率は8%と低い値となった。また、PCT168時
間後でも膨れや剥れがなく、配線導体層6の抵抗値変化
率も10%と低い値となった。
【0079】[電子部品の比較例1]ガラスエポキシ樹
脂を材料とした絶縁基板の表裏両面に、真空ラミネータ
を使用して接着材フィルム1を同時にラミネートした
後、接着材フィルム1からPET製離型シートを剥離し
た。その後、175℃で1時間乾燥・硬化させた後、炭酸
ガスレーザで接着材フィルム1の表面から内部にかけて
ヴィアホールを穿設した。つぎに、フィルム表面の表面
粗さRaを原子間力顕微鏡で測定した算術平均粗さは0.
05μmとなるように、フィルム表面を粗化液で粗化処理
した。
【0080】また、上記の配線基板をパラジウム系のめ
っき触媒で処理した後、配線基板に無電解めっきを施し
た。次に、ドライフィルムフォトレジストで配線パター
ン加工を行い、電解銅めっきで厚み18μmの配線導体層
を形成した。その時の配線導体層のピール強度は0.7k
g/cmであった。また、ピール強度を安定化させるた
めに、175℃で2時間熱処理を行った。その後、上記の
接着材フィルム1のラミネートとめっき処理を複数回繰
返して6層の接着材層を絶縁基板に形成した後、配線基
板表面の半導体素子との接続部にニッケル・金めっきを
施し、さらに半田バンプを形成した。そして、この配線
基板の半田バンプに半導体素子を載せリフロー電気接続
を行った後、半導体素子と配線基板の隙間にアンダーフ
ィル材を注入して信頼性試験用のサンプルを得た。
【0081】この電子部品の信頼性試験として配線基板
の実施例1と同様に温度サイクル試験(TCT)とプレ
ッシャクッカー試験(PCT)を行ったところ、TCT
200サイクル後にクラックが発生し、また、PCT96時
間後に膨れが発生した。
【0082】
【発明の効果】本発明の接着材によれば、重量平均分子
量10000〜500000の熱可塑性樹脂を含有していることか
ら、良好な伸縮性を有しフィルム成形性に優れた接着材
とすることができる。また、ガラス転移温度が−60〜−
20℃のエラストマを含有していることから、未硬化のフ
ィルムは可撓性に優れ取り扱いが容易であるとともに、
硬化後のフィルムでも破断伸びが5〜20%と可撓性を維
持し熱変化による応力を吸収することができ、その結
果、耐熱疲労性を向上することができる。
【0083】本発明の電子部品によれば、接着材層の表
面粗さを原子間力顕微鏡による測定で算術平均粗さRa
0.1〜1μmとしたことから、接着材層と配線導体層と
の密着性を良好としピール強度を向上させることがで
き、温度サイクル試験や耐熱疲労性試験等の信頼性試験
に対して良好な配線基板を具備する電子部品とすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接着材を用いた配線基板に電子素子と
して半導体素子を搭載した場合の電子部品の一例を示す
要部断面図であり、
【符号の説明】
1・・・・・電子部品 2・・・・・配線基板 3・・・・・半導体素子 4・・・・・絶縁基板 5・・・・・接着材層 6・・・・・配線導体層 7・・・・・スルーホール 8・・・・・スルーホール導体 9・・・・・ヴィアホール 10・・・・・ヴィアホール導体 11・・・・・接続部材 12・・・・・アンダーフィル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂混合物と、100℃以上の
    温度で反応が開始する硬化材と、重量平均分子量が10
    000〜500000の粗化液に溶解する熱可塑性樹脂
    と、ガラス転移温度が−60〜−20℃のエラストマ
    と、フィラとから成り、硬化後の破断伸びが5〜20%
    であることを特徴とする接着材。
  2. 【請求項2】 前記エポキシ樹脂混合物が多官能エポキ
    シ樹脂20〜80重量%と2官能エポキシ樹脂80〜2
    0重量%とから成るとともに、前記エポキシ樹脂混合物
    に対して、前記硬化材が2〜10重量%、前記熱可塑性
    樹脂が5〜30重量%、前記エラストマが10〜40重
    量%、前記フィラが5〜20重量%含有されていること
    を特徴とする請求項1記載の接着材。
  3. 【請求項3】 前記接着材はフィルム状であることを特
    徴とする請求項1乃至請求項2記載の接着材。
  4. 【請求項4】 絶縁基板と、該絶縁基板上に前記請求項
    1乃至請求項3のいずれかに記載の接着材を用いて形成
    された接着材層と、前記絶縁基板および前記接着材層の
    各表面に形成された複数の配線導体層と、前記接着材層
    に穿設されたヴィアホールの内壁面に形成され、前記複
    数の配線導体層間を電気的に接続するヴィアホール導体
    とから成る配線基板に電子素子を実装させた電子部品で
    あって、原子間力顕微鏡で測定した前記接着材層表面の
    算術平均粗さRaが0.1〜1μmであることを特徴と
    する電子部品。
  5. 【請求項5】 前記接着材層の表面に形成された前記配
    線導体層のピール強度が0.8〜2kg/cmであるこ
    とを特徴とする請求項4記載の電子部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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