JP2017179035A - 樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、及び樹脂付き金属箔 - Google Patents

樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、及び樹脂付き金属箔 Download PDF

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Abstract

【課題】高いガラス転移温度を実現すると共に、誘電率を低下させ、ピール強度を高めることができる樹脂組成物を提供する。【解決手段】樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との反応物であって、エポキシ基と反応可能な予備反応物と、(C)エポキシ樹脂用硬化剤と、を含有する。前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、前記(B)成分の含有量が5〜60質量部である。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、及び樹脂付き金属箔に関する。より詳しくは、本発明は、エポキシ樹脂と硬化剤とを含有する樹脂組成物、及びその樹脂組成物を用いて得られる、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、及び樹脂付き金属箔、に関する。
従来から電子機器に用いるプリント配線板では、ガラス転移温度(Tg)等を向上させて耐熱性を改善し、また難燃化が図られてきた。近年では、特にモバイル機器等の小型電子機器分野においては、機器の小型化、薄型化、多機能化に伴って、プリント配線板の更なる低誘電率化及び低CTE(coefficient of thermal expansion:熱膨張係数)化に対する市場の要求が高まっている。一般的にプリント配線板の絶縁材料としてエポキシ樹脂組成物が使用されており、このエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール系硬化剤やジアミン系硬化剤、シアネート系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が用いられている。そして、これら種々の硬化剤の中でも酸無水物系硬化剤が低誘電率化を図る上で有効であることが知られている。従来から用いられている酸無水物系硬化剤としては、1分子中に酸無水物基の環状構造を複数有する多官能酸無水物系化合物やスチレン・マレイン酸共重合体(SMA)等が用いられている。例えば、特許文献1においては、酸無水物系硬化剤として、スチレン及び無水マレイン酸を必須成分としてなる共重合体(SMA)を用いることが記載されている。
特開平9−194610号公報
しかし、エポキシ樹脂の硬化剤として上記の多官能酸無水物系化合物を用いた場合、低誘電率化を図る上では市場の要求レベルに十分応えられるものではなく、またピール強度等の密着力がやや劣るものであった。またSMAは、多官能酸無水物系化合物よりも低誘電率化を図る上で有効である一方、ピール強度が低いという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、高いガラス転移温度を実現すると共に、誘電率を低下させ、ピール強度を高めることができる樹脂組成物、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、及び樹脂付き金属箔を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との反応物であって、エポキシ基と反応可能な予備反応物と、(C)エポキシ樹脂用硬化剤と、を含有する。前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、前記(B)成分の含有量が5〜60質量部である。
上記の樹脂組成物にあっては、好ましくは、前記(B)成分は、前記2官能ポリフェニレンエーテル化合物の水酸基の量を1当量としたときに、前記単官能酸無水物の酸無水物基の量が1.5当量以下である。
上記の樹脂組成物にあっては、好ましくは、前記(A)成分のエポキシ基の量を1当量としたときに、前記(B)成分におけるエポキシ基と反応する官能基の量と、前記(C)成分におけるエポキシ基と反応する官能基の量との合計が、0.8〜1.2当量である。
上記の樹脂組成物にあっては、好ましくは、リン含有難燃剤をさらに含有し、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、リン含有量が1質量部以上である。
上記の樹脂組成物にあっては、好ましくは、無機充填材をさらに含有し、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、前記無機充填材の含有量が5〜50質量部である。
上記の樹脂組成物にあっては、好ましくは、前記無機充填材は、表面処理剤により処理されている無機充填材を含む。
上記の樹脂組成物にあっては、好ましくは、前記表面処理剤により処理されている前記無機充填材は、当該無機充填材の含有量を100質量部としたときに、前記表面処理剤の含有量が1〜10質量部である。
本発明の一実施形態に係るプリプレグは、上記の樹脂組成物と、前記樹脂組成物が含浸された基材と、を有する。
本発明の一実施形態に係る金属張積層板は、上記の樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層と、前記絶縁層に接した金属層と、を有する。
本発明の一実施形態に係るプリント配線板は、上記の樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層と、前記絶縁層の表面に設けられている配線と、を有する。
本発明の一実施形態に係る樹脂付き金属箔は、上記の樹脂組成物の半硬化物を含む絶縁層と、前記絶縁層に接した金属箔と、を有する。
本発明によれば、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とがあらかじめ反応した予備反応物を用いることによって、単官能酸無水物の揮発が抑制され、単官能酸無水物をエポキシ樹脂の硬化反応系に取り込むことができる。そして、エポキシ樹脂を、予備反応物とエポキシ樹脂用硬化剤とによって硬化させることで、高いガラス転移温度を実現し、かつ低誘電率化とピール強度の向上とを図ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリプレグの断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る金属張積層板の断面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る樹脂付き金属箔の断面図である。
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂と、(B)2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との反応物であって、エポキシ基と反応可能な予備反応物と、(C)エポキシ樹脂用硬化剤と、を含有する。そして、前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、前記(B)成分の含有量が5〜60質量部である。
従来、エポキシ樹脂を用いたプリント配線板において、エポキシ樹脂の硬化剤として酸無水物系化合物をそのまま用いた場合、低誘電率化を図る上では市場の要求レベルに十分応えられるものではなく、またガラス転移温度の向上も困難であった。そこで、鋭意検討が重ねられた結果、まず、低誘電率化を図りうる硬化剤として単官能の酸無水物が着目された。そして、エポキシ樹脂の硬化剤として酸無水物を用いた場合、高いガラス転移温度を実現することができると共に、低誘電率化を図ることが可能なことが分かった。その一方で、単官能の酸無水物は分子量が比較的小さいために揮発性を有している。その揮発性により、樹脂組成物を基材に含浸し乾燥させてプリプレグを製造する過程で、酸無水物の一部が揮発して消失してしまうことも分かった。酸無水物の一部が揮発してしまうと、プリプレグを製造する前と製造した後とで樹脂組成物の成分比率が大きく変化してしまう可能性がある。また、酸無水物の一部が消失すると硬化が進行しにくくなくなり、十分な硬化性が得られない可能性がある。このような硬化剤の揮発による成分比率の変化や、硬化の進行度の低下により、プリント配線板の特性に悪影響が及ぶことが懸念された。そこで、さらに検討が行われ、本発明の一実施形態に係る樹脂組成物が完成した。
以下、一実施形態に係る樹脂組成物についてさらに説明する。
(A)成分:エポキシ樹脂
(A)成分は、エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、エポキシ基を含む。エポキシ樹脂は2官能以上であることが好ましい。2官能以上のエポキシ樹脂は、反応性が高い。なお、2官能以上とは、1分子中にエポキシ基を2個以上有することを意味する。エポキシ樹脂における1分子中のエポキシ基の個数の上限は特にないが、エポキシ基の個数はたとえば5個以下であってよい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノールのジグリシジルエーテル化合物、多官能アルコールのジグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種のみを用いたり、2種以上を併用したりすることができる。
エポキシ樹脂は、リン含有エポキシ樹脂を含んでもよい。リン含有エポキシ樹脂を用いると、樹脂組成物におけるリン含有量を増加させることができ、これにより難燃性を向上させることができる。
(B)成分:予備反応物
(B)成分は、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との反応物である。この反応物は、予備反応物と定義される。この反応物は、エポキシ基と反応可能である。すなわち、(B)成分は、樹脂組成物の反応に先立って、予め反応により生じた成分である。(B)成分は、エポキシ基と反応可能であるため、(A)成分のエポキシ樹脂と反応することができる。(B)成分は、硬化成分となる。(B)成分は、エポキシ基と反応する官能基を有する。
2官能ポリフェニレンエーテル化合物は、1分子中に水酸基(OH)を2つ有するポリフェニレンエーテル化合物(PPE化合物)である。ポリフェニレンエーテル化合物は、2官能ポリフェニレンエーテル、変性2官能ポリフェニレンエーテルのいずれでもよい。2官能ポリフェニレンエーテル化合物は、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE樹脂)であってよい。2官能ポリフェニレンエーテル化合物における2官能とは、理想的に1分子中に水酸基が2個存在することを意味する。ただし、原料においては、ばらつきがあることもあるので、たとえば、1分子あたりの水酸基数が1.8〜2.2の範囲内であってよい。
2官能ポリフェニレンエーテル化合物は、たとえば、1つのコア構造にポリフェニレンエーテル構造が2つ結合した構造を有し得る。ポリフェニレンエーテル構造の末端に水酸基が配置される。2官能ポリフェニレンエーテル化合物は、2官能ポリフェニレンエーテルオリゴマーと呼ばれるものであってよい。2官能ポリフェニレンエーテル化合物の構造式の一例を下記に示す。下記式において、Yがコア構造となる。下記の構造式では、ベンゼン環への変性はない。2官能ポリフェニレンエーテル化合物は、下記式の構造をベースとして、適宜の化学修飾により変性されたものであってもよい。変性は、例えば、ベンゼン環への官能基の導入で行われ得る。
Figure 2017179035
上式において、n及びmは0以上の整数を表す。
単官能酸無水物は、1分子中に酸無水物基(−COOCO−)を1つ有する酸無水物である。酸無水物基は、分子内の2つのカルボン酸が脱水縮合した構造を有する。単官能酸無水物は、分子内で酸無水物基を形成しており、環状構造を有する。
単官能酸無水物としては、ジカルボン酸化合物等の酸無水物を挙げることができる。単官能酸無水物として、より具体的には、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。さらに単官能酸無水物としては、トリカルボン酸化合物等の酸無水物を挙げることができる。このような単官能酸無水物として、より具体的には、例えば、トリメリット酸無水物等を挙げることができる。これらの中でも、脂環式酸無水物が好ましい。脂環式酸無水物の具体例として、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。これらの脂環式酸無水物は、低誘電率化を図る上で好適である。単官能酸無水物は1種のみを用いたり、2種以上を併用したりすることができる。例えば、異なる種類の脂環式酸無水物を複数用いてもよい。
本実施形態では、単官能酸無水物は、予備反応させられる。そのため、単官能酸無水物は、沸点が150℃以下、さらに130℃以下であっても、その揮発性が効果的に抑制される。単官能酸無水物は、2官能ポリフェニレンエーテル化合物に化学結合によって取り込まれるため、もはや単官能酸無水物の構造とはなっておらず、加熱されても揮発しないからである。したがって、予備反応は、沸点がより低い単官能酸無水物を使用する際に特に有効である。また、単官能酸無水物は、通常のエポキシ樹脂用硬化剤に比べて分子量が比較的小さいことから、ワニス粘度の上昇を抑制する上で有効である。その観点から、例えば分子量が400以下の単官能酸無水物が好適である。このような単官能酸無水物を用いると、多官能酸無水物を用いる場合に比べて、硬化物の誘電率(比誘電率(Dk))を低下させることができると共に、ピール強度を高めることができる。なお、単官能酸無水物を複数用いる場合は、混合した酸無水物の重量平均分子量が400以下となることが好ましく、さらに、複数の単官能酸無水物の全てが、分子量400以下であることがより好ましい。単官能酸無水物の分子量は、300以下がさらに好ましい。
予備反応では、2官能ポリフェニレンエーテル化合物の末端の水酸基が酸無水物基に攻撃し、酸無水物基を開環させ、エステル結合を形成し得る。予備反応によって、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とに由来するエステル化合物が生成し得る。(B)成分、すなわち予備反応物は、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とのエステル化合物を含む。予備反応では、酸無水物の開環反応により、カルボキシ基が生じる。カルボキシ基が、(B)成分におけるエポキシ樹脂と反応する官能基となる。2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との反応では、理想的には2官能ポリフェニレンエーテル化合物の両末端に単官能酸無水物が開環して結合した生成物が生じる。この場合、予備反応物は、1分子中に2つのカルボキシ基を有し得る。
(B)成分は、上記の2官能ポリフェニレンエーテル化合物と、単官能酸無水物とを混合し、加熱することで、これらが反応し、予備反応物として得ることができる。
(B)成分は、2官能ポリフェニレンエーテル化合物の水酸基の量を1当量としたときに、単官能酸無水物の酸無水物基の量が1.5当量以下であることが好ましい。それにより、性能の優れた樹脂組成物及びその硬化物を得ることができる。特に、単官能酸無水物の残存による硬化の悪影響を低減することができる。前記当量比においては、予備反応のときに、水酸基1当量の2官能ポリフェニレンエーテル化合物と、酸無水物基1.5当量の単官能酸無水物とを混合し、反応させる。この当量は、反応性官能基を基準とした相対値である。2官能ポリフェニレンエーテル化合物の水酸基の量に対する単官能酸無水物の酸無水物基の量は、0.8当量以上1.2当量以下であることが好ましい。それにより、硬化性の良好な予備反応物が得やすくなる。なお、2官能ポリフェニレンエーテル化合物の水酸基の当量は、フェノール当量と定義することができる。
(B)成分は、予備反応により得られた反応物であり、厳密にいうと、実際には、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との反応物の他に、反応しなかった単官能酸無水物や、反応しなかった2官能ポリフェニレンエーテル化合物を含み得る。(B)成分は、純粋な反応物(すなわち2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とが理想量で全て反応した反応物)と、その他の成分とを含むといってもよい。そして、このような(B)成分が、(A)成分及び(C)成分を含む他の成分と混合されて、樹脂組成物が形成され得る。(B)成分は、(B)成分中の単官能酸無水物の量(すなわち反応後に残存する単官能酸無水物の量)ができるだけ少ない方がよい。(B)成分において、反応せずに残存した単官能酸無水物の量は、反応により生じた純粋な反応物中の単官能酸無水物由来の部分の量100当量に対して、20当量以下が好ましく、10当量以下が好ましい。
(C)エポキシ樹脂用硬化剤
(C)成分は、エポキシ樹脂用硬化剤である。エポキシ樹脂用硬化剤は、エポキシ基と反応可能であり、エポキシ樹脂を硬化させることができる。(C)成分は、エポキシ基と反応する官能基を有する。
エポキシ樹脂用硬化剤としては、多官能酸無水物、スチレン無水マレイン酸樹脂(SMA)、アミン系硬化剤、チオール系硬化剤、シアネート系硬化剤、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤の群の中から選ばれる少なくとも1種のものを用いることが好ましい。これらのうち、多官能酸無水物は、官能基として酸無水物基を1分子中に2つ以上有する酸無水物である。多官能酸無水物は、脂環式多官能酸無水物を含んでもよい。多官能酸無水物は、(B)成分の酸無水物の作用を補うことができる。多官能酸無水物の具体例としては、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート等を挙げることができる。またスチレン無水マレイン酸樹脂(SMA)は、スチレンと無水マレイン酸の共重合体であり、スチレンと無水マレイン酸の比は特に限定されない。たとえば、スチレン:無水マレイン酸の当量比が、1:1〜8:1の範囲内であってよい。またアミン系硬化剤の具体例としては、ジシアンジアミド等を挙げることができる。またチオール系硬化剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等を挙げることができる。またシアネート系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA型シアネート樹脂等を挙げることができる。またフェノール系硬化剤の具体例としては、ノボラック型フェノール樹脂等を挙げることができる。エポキシ樹脂用硬化剤は1種のみを用いたり、2種以上を併用したりすることができる。
エポキシ樹脂用組成物は、単官能酸無水物を含んでもよいし、含まなくてもよいが、単官能酸無水物を含まない方が好ましい。単官能酸無水物は揮発しやすい成分であるため、単官能酸無水物が樹脂組成物中にそのままの状態で存在していると、硬化に悪影響を及ぼすおそれある。本実施の形態の樹脂組成物は、単官能酸無水物を(B)成分中に含むことに利点がある。樹脂組成物に用いられる単官能酸無水物のうちの全てが、(B)成分に用いられることが好ましい。
エポキシ樹脂用硬化剤におけるエポキシ基と反応する官能基は、上述したエポキシ樹脂用硬化剤が有する適宜の官能基であり得る。この官能基としては、例えば、酸無水物基、アミノ基、チオール基、シアネート基、フェノール基などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
ここで、(B)成分及び(C)成分は、いずれも、エポキシ樹脂と反応可能であり、いわば硬化剤として機能する。そのため、(B)成分も(C)成分も硬化成分(エポキシ樹脂を硬化させる成分)であるといえる。便宜上、(B)成分を第1硬化剤といい、(C)成分を第2硬化剤といってもよい。このように、硬化成分として、(B)成分と(C)成分とを含むと、最終的に単官能酸無水物を硬化剤として使用するのと同様の作用を得ることが可能となり、硬化物の特性を向上させることができる。(C)成分だけでは、すなわち、硬化成分が予備反応物を含まないのでは、単官能酸無水物を使用することが困難なため、単官能酸無水物による有利な効果が得られにくい。また、(B)成分だけでは、すなわち、硬化成分の全部が予備反応物であるのでは、硬化性が十分に得られないおそれがある。このように、(B)成分と(C)成分とがお互いに硬化性を補完し合い、さらにそれぞれの特徴を生かすことによって、優れた硬化性を発揮することができる。
樹脂組成物は、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、(B)成分の含有量が5〜60質量部であることが好ましい。それにより、性能の優れた樹脂組成物及びその硬化物を得ることができる。特に、均一な樹脂組成物が得られやすく、また、耐アルカリ性が向上し、低誘電化が可能となって、誘電特性に優れた硬化物を得ることができる。(B)成分の含有量が60質量部を超えると、樹脂組成物が相分離しやすくなるおそれがある。一方、(B)成分の含有量が5質量部を下回ると、樹脂組成物の耐アルカリ性が低下するおそれがあり、また、比誘電率(Dk)が高くなって誘電特性が悪化するおそれがある。前記(B)成分の含有量は10〜50質量部であることがより好ましく、15〜40質量部であることがさらに好ましい。なお、(B)成分の含有量は、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との合計量と考えてよい。厳密には、予備反応により、脱水縮合が起こり得るので、単純な合計量よりも重量が減少し得るが、その量は小さいため、その合計量を予備反応物の量に近似できるからである。
また、樹脂組成物は、(A)成分のエポキシ基の量を1当量としたときに、(B)成分におけるエポキシ基と反応する官能基の量と、(C)成分におけるエポキシ基と反応する官能基の量との合計が、0.8〜1.2当量であることが好ましい。それにより、性能の優れた樹脂組成物及びその硬化物を得ることができる。特に、難燃性に優れ、ガラス転移温度が高く、ピール強度が大きく、耐アルカリ性が向上した硬化物を得ることができる。(B)成分及び(C)成分の前記反応基量の合計は、0.9〜1.1当量であることがさらに好ましい。
樹脂組成物は、さらに、難燃剤、硬化促進剤等を含有していてもよい。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系難燃剤を用いることができる。非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、リン含有難燃剤を用いることができる。リン含有難燃剤を用いる場合、良好な難燃性を得るために前記樹脂組成物の有機成分及びリン含有難燃剤の全量中のリン含有量が好適化される。樹脂組成物がリン含有難燃剤を含有する場合、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、リン含有量が1質量部以上であることが好ましい。それにより、難燃性の優れた硬化物を得ることができる。前記リン含有量は、1.5質量部以上がより好ましい。前記リン含有量の上限は特に限定されないが、他の成分との関係から、前記リン含有量は、5質量部以下であってよく、さらには、3質量部以下であってよい。難燃性を付与する上で必要十分な含有量を超えるリン含有難燃剤を用いると、電気特性や耐熱性等を低下させるおそれがあるからである。
また、リン含有難燃剤の少なくとも一部は、酸無水物基又はカルボキシ基(−COOH)と反応する官能基を有していることが好ましい。具体的にはリン含有難燃剤は、酸無水物基又はカルボキシ基(−COOH)と反応する官能基を有する反応型リン含有難燃剤であることが好ましい。この場合の酸無水物基は、例えば未反応の単官能酸無水物が有する酸無水物基であり、またカルボキシ基は、例えば2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とが反応する際に単官能酸無水物の酸無水物基が開環して形成されたカルボキシ基である。反応型リン含有難燃剤が有する官能基の具体例としては、ヒドロキシ基及びアミノ基等を挙げることができる。前記単官能酸無水物は、酸素原子を多く含むため、硬化物の難燃性を低下させる傾向にあるが、単官能酸無水物に上記のような反応型リン含有難燃剤を反応させると、酸素原子の近くにリン原子を存在させることができるので、難燃性を向上させることができる。
また、当該樹脂組成物の効果を損なわなければ、単官能酸無水物と反応しない溶融型リン含有難燃剤及び分散型リン含有難燃剤や、リンを含有しない難燃剤を用いてもよい。溶融型リン含有難燃剤は、樹脂組成物に溶け込んで均一系となるものであり、その具体例としては、ホスファゼン等を挙げることができる。分散型リン含有難燃剤は、樹脂組成物に溶け込まずに分散した分散系となるものであり、その具体例としては、リン酸金属塩であるホスフィン酸アルミニウム等を挙げることができる。
難燃剤は、リン含有難燃剤以外の難燃剤を含んでもよい。難燃剤は1種のみを用いたり、2種以上を併用したりすることができる。
硬化促進剤としては、エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進することができるものであれば特に限定されないが、イミダゾール系化合物を用いることができる。イミダゾール系化合物として、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)等が挙げられる。当該樹脂組成物の効果を損なわなければ、硬化促進剤の含有量は特に限定されない。例えば、(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、硬化促進剤の含有量が0.01〜1質量部であってよい。
樹脂組成物は、無機充填材等をさらに含有してもよい。無機充填材としては、例えば、球状シリカや破砕シリカ等のシリカや、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を用いることができる。このような無機充填材の含有量は、低誘電率化及び低CTE化等のバランスを考慮して適宜決定することができるものであり、特に限定されない。(A)成分と(B)成分と(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、無機充填材の含有量が5〜50質量部であることが好ましい。この無機充填材の含有量が5質量部以上であることによって、高CTE化を抑制することができる。無機充填材の含有量が50質量部以下であることによって、前記樹脂組成物の流動性の低下を抑制することができる。この無機充填材の含有量は10〜45質量部であることがより好ましい。
無機充填材は、表面処理剤により処理されている無機充填材を含むことが好ましい。無機充填材が表面処理されていると、無機充填材と有機成分とを強固に結び付けることができ、硬化物の特性を向上させることができる。表面処理剤は、有機官能基を含んでよい。このような表面処理剤により処理されている無機充填材は、有機官能基を有する無機充填材と呼べる。
無機充填材は、あらかじめシランカップリング剤により表面処理が施された無機充填材を含むことが好ましい。このような無機充填材は、シランカップリング無機充填材と呼べる。また、有機官能基を有する場合、有機官能基付き無機充填材と呼べる。シランカップリング剤が表面処理剤となる。
シランカップリング剤としては、例えば、エポキシシラン、イソシアネートシラン、アミノシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン、アクリルシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、スチリルシランを挙げることができる。シランカップリング剤は1種のみを用いたり、2種以上を併用したりすることができる。一般にエポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤との反応で生成する極性基の量は少ないが、このように極性基の生成量が少なくても、上記のように無機充填材が表面処理されていると、シランカップリング剤によって無機充填材と有機成分とを強固に結び付けることができ、樹脂組成物の硬化物の耐アルカリ性を向上させることができる。
シランカップリング剤により処理された無機充填材として、例えば、エポキシシラン処理破砕シリカ、エポキシシラン処理球状シリカ、イソシアネートシラン処理球状シリカ等が挙げられる。
無機充填材の表面処理の方法としては、例えば、直接処理法、インテグラルブレンド法を挙げることができる。直接処理法は、あらかじめ無機充填材を直接、シランカップリング剤で処理し、この表面処理後の無機充填材を後述のベースワニスに配合する方法である。インテグラルブレンド法は、無機充填材を配合したベースワニスにシランカップリング剤を添加する方法である。インテグラルブレンド法に比べて、直接処理法の方が、効率よく無機充填材と有機成分とを結び付けることができ、樹脂組成物の硬化物の耐アルカリ性を一層向上させることができるので好ましい。
表面処理剤により処理されている無機充填材は、無機充填材の含有量を100質量部としたときに、表面処理剤の含有量が1〜10質量部であることが好ましい。それにより、硬化物の耐アルカリ性と耐熱性とを向上させることができる。特に、インテグラルブレンド法で無機充填材をシランカップリング剤で表面処理する場合、無機充填材の含有量を100質量部としたときに、シランカップリング剤の含有量が1〜10質量部であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量が1質量部以上であることによって、樹脂組成物の硬化物の耐アルカリ性をさらに向上させることができる。シランカップリング剤の含有量が10質量部以下であることによって、耐熱性の低下を抑制することができる。このシランカップリング剤の含有量は1.5〜8質量部であることがより好ましい。
樹脂組成物は、シランカップリング剤と、無機充填材とが別々に配合されてもよい。樹脂組成物は、シランカップリング剤を含んでよい。このとき、上記のように、インテグラルブレンド法によってシランカップリング剤が表面処理剤として機能して無機充填材をカップリングしていることが好ましいが、シランカップリング剤が無機充填材をカップリングしていなくてもよい。シランカップリング剤が無機充填材とカップリングせずに樹脂組成物にそのまま含有される場合も、無機充填材と有機成分との結合を強くすることができる。これは、樹脂組成物の調製や反応の途中でカップリング(すなわち表面処理)と同様の作用が生じ得るためであると考えられる。無機充填材とシランカップリング剤との量関係は、上記と同様である。ただし、無機充填材はあらかじめシランカップ剤により表面処理されている方が好ましい。
樹脂組成物は、次のようにして樹脂ワニスとして調製することができる。
まず、(B)成分である予備反応物を調製する。予備反応物を調製する工程は、予備反応工程と定義される。具体的には、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とを少なくとも配合して溶媒に溶解させて混合物を調製する。混合物はワニス状であってよい。このとき、混合物には、硬化促進剤や非反応性の難燃剤などの予備反応に直接的に影響しない有機成分を配合してもよい。ただし、2官能ポリフェニレンエーテル化合物や単官能酸無水物との反応性を有する他の有機成分(例えば、エポキシ樹脂用硬化剤や反応性の難燃剤など)は、この混合物には加えず、予備反応の後に配合するようにすることが好ましい。より好ましくは、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とのみが溶媒で混合された混合物を調製する。混合物は固形分(非溶媒成分)濃度が60〜80質量%となるように溶媒の量が調整され得る。そして、混合物をディスパー等の攪拌機で攪拌しながら例えば60〜130℃で1〜10時間、好ましくは75〜110℃で3〜10時間、加熱することによって、予備反応を進行させる。これにより、2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とが反応した予備反応物が、ワニス(混合物)中に生成する。
予備反応の際の混合物(ワニス)の調製に用いる溶媒としては、2官能ポリフェニレンエーテル化合物や単官能酸無水物と反応性を有しない溶媒を用いることができる。例えば、溶媒として、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。一方、アルコール系溶媒のように水酸基を有する溶媒は酸無水物と反応性を有するため、好ましくは使用を避ける。
予備反応工程では、予備反応条件である加熱温度及び反応時間と、単官能酸無水物の開環率との相関関係を、サンプリング等を行って予め実験的に把握しておくことが好ましい。これにより、上記の予備反応条件を調整することで、予備反応の生成物における単官能酸無水物の開環率を調整することができる。開環率から、(B)成分で残存する単官能酸無水物の量が求められる。このようにして得た加熱温度・反応時間の条件は実生産に適用され得る。なお、上記の加熱温度及び加熱時間は一例であり、適宜調整される。
予備反応では、単官能酸無水物は、2官能ポリフェニレンエーテル化合物との反応によって開環する。単官能酸無水物の反応の進行度は、単官能酸無水物の開環率によって、確認することができる。予備反応物においては、単官能酸無水物の開環率が80%以上(上限は100%)となることが好ましい。それにより、予備反応物中の単官能酸無水物の残存が少なくなり、単官能酸無水物による悪影響を低減させることができる。単官能酸無水物の開環率が80%未満であると、未反応の単官能酸無水物が多く残存し、プリプレグの製造中に単官能酸無水物が揮発して消失しやすい。その結果、硬化成分が不足して樹脂組成物の硬化物の架橋密度が低下することが考えられ、硬化物のガラス転移温度(Tg)が低下して耐熱性が悪化したり、またピール強度が低下したりするおそれがある。
単官能酸無水物の開環率は、例えば、反応前後の混合物の赤外線吸収スペクトルの比較によって算出することができる。混合物は、反応(予備反応)の前後において、1800〜1900cm−1付近の環状の酸無水物基に起因するピークを有し得る。また、混合物は、反応に関与しない1450〜1580cm−1付近のベンゼン環に起因するピークを有し得る。そして、ベンゼン環起因のピークを内部標準として用い、反応の前後において、酸無水物基に起因するピークの量(ただし相対値)を求める。ピークの量は、内部標準を用いた面積比によって求められる。具体的には、反応前の酸無水物基起因のピークの面積(A)、反応後の酸無水物基起因のピークの面積(A)、反応前のベンゼン環起因のピークの面積(B)、及び反応後のベンゼン環起因のピークの面積(B)を用いる。すると、面積比(A/B)が反応前の酸無水物基の量となり、面積比(A/B)が反応後の酸無水物基の量となる。これらを次式に代入する。
開環率(%)={1−(A/B)/(A/B)}×100
これにより、単官能酸無水物の開環率を求めることができる。
なお、単官能酸無水物の開環率は、ワニスの調製時の加熱温度及び加熱時間により変化するので、開環率が80%以上となるように適宜に加熱条件を調整することができる。この予備反応の条件は、予備反応を行いながら反応物を経時的にサンプリングし、開環率を確認することで適切に設定することができる。
以上により、(B)成分の予備反応物が得られる。予備反応物は精製されなくてよく、そのまま次の工程(ベースワニス調製工程)に進行することが好ましい。それにより、製造効率が向上する。予備反応工程から連続してベースワニス調製工程に移行する。
ベースワニス調製工程では、予備反応によって生成した(B)成分に、(A)成分と、(C)成分と、必要に応じてその他の成分(ただし無機成分を除く)とを配合し、さらに必要に応じて溶媒を追加して混合することで、ベースワニスを調製することができる。ベースワニスとは、無機充填材等の無機成分を除く、有機成分を配合したワニスのことである。ベースワニス調製工程では、溶媒がさらに追加されてもよい。溶媒の追加により、粘度が適宜に調整され得る。
無機充填材等の無機成分を含有しない樹脂組成物を調製する場合には、ベースワニスがそのまま樹脂ワニス(樹脂組成物)となる。そしてこの樹脂ワニスをプリプレグ等の製造に用いることができる。
一方、無機成分を含有する樹脂組成物を調製する場合には、上記のベースワニスに無機成分を配合する。このとき、無機成分が加えられたベースワニスを20〜40℃で1〜3時間攪拌・混合して均一化することが好ましい。この工程は、無機成分配合工程と定義される。無機成分は、例えば無機充填材である。無機成分配合工程では、直接処理法を適用して、表面処理後の無機充填材をベースワニスに配合することができる。あるいは、無機充填材と表面処理剤とを別々に直接ベースワニスに配合して、インテグラルブレンド法により、無機充填材の表面処理を行ってもよい。この場合の表面処理は、樹脂ワニスの攪拌・混合を通して行われ得る。あるいは、表面処理を考慮せずに、無機充填材と表面処理剤とを単に別々に配合するだけでもよい。
以上により、樹脂組成物が得られる。上記の製造方法では、樹脂組成物は樹脂ワニスとして得られる。そして、樹脂組成物を用いて、プリプレグ、金属張積層板、プリント配線板、樹脂付き金属箔が製造される。
図1は、本実施の形態に係るプリプレグ1の断面図である。プリプレグ1は、未硬化の樹脂組成物2と、樹脂組成物2が含浸された基材3とを有する。樹脂組成物2として、上記で説明した樹脂組成物2が用いられる。
本実施の形態において、上記のようにして得られた樹脂組成物2の樹脂ワニスをガラスクロス等の基材3に含浸させる。そして、樹脂ワニスを含浸させた基材3を110℃以上140℃以下で加熱することにより乾燥させる。この乾燥により、樹脂ワニス中の溶媒を除去して、樹脂組成物2を半硬化させることによってプリプレグ1を製造することができる。このとき、単官能酸無水物は基本的に予備反応物となっているので、加熱乾燥時において単官能酸無水物の揮発が生じにくい。そして、単官能酸無水物に由来する部分は、プリプレグ1における半硬化状態となった樹脂組成物2中に大半が残存する。
上記の加熱乾燥は、プリプレグ1のゲルタイムが所望の時間となるように条件を適宜調整すればよく、例えばゲルタイムが60秒以上、240秒以下となるように行うことが好ましい。プリプレグ1のゲルタイムは、プリプレグ1から採取された半硬化状態の樹脂組成物2を170℃に加熱されたプレート上に置いた直後から樹脂組成物2がゲル化するまでの時間である。プリプレグ1の樹脂量は、プリプレグ1の100質量部に対して樹脂組成物2が30質量部以上、80質量部以下(30質量%以上、80質量%以下)であることが好ましい。なお、プリプレグ1の樹脂量とは、プリプレグ1中の樹脂組成物2の含有量である。
図2は、本実施の形態に係る金属張積層板11の断面図である。金属張積層板11は、樹脂組成物2の硬化物を含んだ絶縁層12と、絶縁層12に接した金属層13とを有している。
本実施の形態において、上記のようにして製造されたプリプレグ1に金属層13を積層して加熱加圧成形することで金属張積層板11を製造することができる。プリプレグ1は、たとえば、複数枚のプリプレグ1を重ねた積層体を用いる。金属層13は、たとえば銅箔等を用い、プリプレグ1の積層体の積層方向の両端に位置する面に張り合わされる。金属張積層板11において、プリプレグ1の硬化物は絶縁層12を構成する。上記プリプレグ1および金属層13は、例えば、140℃以上、200℃以下、0.5MPa以上、5.0MPa以下、40分以上、240分以下の条件で加熱および加圧される。この絶縁層12を構成する硬化した樹脂層は、樹脂組成物2の硬化物により構成されているので、ガラス転移温度を高めて耐熱性を向上させることができる。また、予備反応物とエポキシ樹脂用硬化剤とを硬化成分として併用しているので、絶縁層12の誘電率を低下させることができる。
また、本実施の形態に係る金属張積層板11は、上記プリプレグ1を用いずに製造され得る。たとえば、金属層13の表面に直接、上記ワニス状の樹脂組成物2を塗布し、金属層13および樹脂組成物2を、加熱および加圧することにより、ワニス状の樹脂組成物2から絶縁層12が得られる。加熱および加圧の条件は、プリプレグ1から絶縁層12を製造した方法と同じ条件である。以上の方法により、金属張積層板11が製造される。
図3は、本実施の形態に係るプリント配線板21の断面図である。プリント配線板21は、樹脂組成物2の硬化物を含んだ絶縁層12と、絶縁層12の表面に設けられている配線14とを有している。
上記金属張積層板11に所望のパターンを有する配線14を形成することによってプリント配線板21を製造することができる。プリント配線板21は、一例として、プリプレグ1の硬化物からなる絶縁層12を用いている。例えば、サブトラクティブ法を使用して金属張積層板11の表面に所望のパターンを有する配線14を形成することによって、プリント配線板21を製造することができる。
さらにこのプリント配線板21をコア材(内層材)として用いる場合、多層プリント配線板を製造することができる。多層プリント配線板を製造する際、コア材の配線(内層パターン)に黒色酸化処理等で粗面化処理を行う。その後、このコア材の表面にプリプレグ1を介在して金属層13が重ねられる。金属層13が重ねられたコア材を加熱および加圧して積層状に成形する。このときも、例えば、140℃以上、200℃以下、0.5MPa以上、5.0MPa以下、40分以上、240分以下の条件で加熱および加圧される。次に、ドリル加工による穴あけ及びデスミア処理を行う。その後、サブトラクティブ法を使用して金属層13から配線(外層パターン)を形成すると共に穴の内壁にめっき処理を行ってスルーホールを形成する。以上のプロセスを経て、多層プリント配線板が製造される。なお、多層プリント配線板の層数は特に限定されない。
プリント配線板21は、絶縁層12の誘電率が低下している。そのため、配線14で信号を伝達するにあたって、信号速度を高速化して大量の情報を高速で処理することができる。
図4は、本実施の形態に係る樹脂付き金属箔31の断面図である。樹脂付き金属箔31は、樹脂組成物2の半硬化物を含む絶縁層32と、この絶縁層32に接した金属箔33とを有する。
樹脂付き金属箔31を用いてプリント配線板21を製造することにより、配線14と絶縁層12の間の密着性を維持した状態で信号伝送時の損失をさらに低減したプリント配線板21を提供することができる。
樹脂付き金属箔31は、例えば、上記ワニス状の樹脂組成物2を金属箔33上に塗布し、加熱することにより製造される。ワニス状の熱硬化性の樹脂組成物2は、例えば、バーコーターを用いることにより、金属箔33上に塗布される。塗布された樹脂組成物2は、例えば、80℃以上、180℃以下、1分以上、10分以下の条件で加熱される。加熱された樹脂組成物2は、未硬化の絶縁層32として、金属箔33の表面(当接面となる)上
に形成される。
また、プリント配線板21の製造方法として、上記金属張積層板11を用いても製造される方法のほかに、樹脂付き金属箔31を用いて製造される方法が挙げられる。樹脂付き金属箔31を用いてプリント配線板21を製造する方法として、樹脂付き金属箔31を配線が形成された樹脂基板の上に張り合わせて用いる方法や、複数の樹脂付き金属箔31を重ね合わせて用いる方法が挙げられる。このとき未硬化の絶縁層32は、加熱により硬化される。そして、金属箔33で構成される層の一部取り除くことにより、金属箔33の層から配線が形成される。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
後掲の表1〜3に示す樹脂組成物の原料の詳細を以下に記載する。
[原料]
[エポキシ樹脂:(A)成分]
・ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂であるDIC株式会社製「HP−7200HHH」(エポキシ当量:280〜290g/eq、軟化点:100〜105℃)
・リン含有エポキシ樹脂である新日鉄住金化学株式会社製「FX−289−P」(エポキシ当量:390g/eq、リン含有率:3.5wt%)
[予備反応物:(B)成分]
・2官能ポリフェニレンエーテル化合物(2官能PPE化合物)であるSABIC社製「PPE樹脂 MX90」(Mn:1600g/mol)
・単官能酸無水物である新日本理化株式会社製「リカシッドMH−700」(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30)(液状脂環式酸無水物、酸無水物当量:161〜166g/eq、中和価:675〜695KOHmg/g、凝固点:20℃)
[硬化剤:(C)成分]
・多官能酸無水物である新日本理化株式会社製「リカシッドTMEG−S」(エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート)(酸無水物当量:204g/eq、軟化点:64〜76℃)
・脂環式多官能酸無水物であるDIC株式会社製「B−4500」(粉末状酸無水物、酸無水物基当量:132g/eq)
・多官能酸無水物であり、スチレン無水マレイン酸共重合体であるCRAY VALLEY社製「SMA EF−30」(スチレン:無水マレイン酸=3:1であるスチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン無水マレイン酸レジン、中和価:280KOHmg/g、重量平均分子量:9500)
・アミン系硬化剤である日本カーバイド工業株式会社製「DICY」(ジシアンジアミド)
・チオール系硬化剤である昭和電工株式会社製「カレンズMT PE1」(4官能チオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、分子量:544.8)
・シアネート系硬化剤であるLONZA社製「BADCy」(ビスフェノールA型シアネートエステル)
・活性エステル系硬化剤であるDIC株式会社製「EXB−9485」(エステル基当量204g/eq、軟化点90℃)
・フェノール系硬化剤であるDIC株式会社製「TD−2090」(フェノライトTD−2090、水酸基当量105g/eq、軟化点117〜123℃)
[難燃剤]
・溶融型リン含有難燃剤である大塚化学株式会社製「SPB−100」(ホスファゼン、リン含有量:13wt%)
・分散型リン含有難燃剤であるクラリアントジャパン株式会社製「OP−935」(ホスフィン酸アルミニウム、リン含有量:23wt%)
・反応型リン含有難燃剤であるDIC株式会社製「HPC−9100」(リン含有量:10〜11wt%、軟化点:133〜147℃)
・反応型リン含有難燃剤であるケムチュラ・ジャパン株式会社製「Emerald 2000」(リン含有量:9.8wt%)
[硬化促進剤]
・イミダゾール系硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)
[無機充填材]
・溶融破砕シリカであるシベルコ・ジャパン株式会社製「Megasil 525」
・エポキシシラン処理破砕シリカであるシベルコ・ジャパン株式会社製「Megasil 525 RCS」(あらかじめエポキシシランで表面処理された破砕シリカ、D100:<11μm)
・エポキシシラン処理球状シリカである株式会社アドマテックス製「2500−SEJ」(あらかじめエポキシシランで表面処理された球状シリカ)
・イソシアネートシラン処理球状シリカである株式会社アドマテックス製「2500−GNO」(あらかじめイソシアネートシランで表面処理された球状シリカ)
・水酸化アルミニウムである住友化学株式会社製「CL−303M」
[シランカップリング剤]
・アミノシランである信越化学工業株式会社製「KBM−903」(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)
・メルカプトシランである信越化学工業株式会社製「KBM−802」(3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン)
・エポキシシランである信越化学工業株式会社製「KBM−402」(3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン)
・イソシアネートシランである信越化学工業株式会社製「KBE−9007」(3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン)
なお、表1〜3中には記載していないが、樹脂ワニスを形成するための溶媒としてMEK(メチルエチルケトン)、またはトルエンを使用した。
[樹脂組成物]
実施例については、後掲の表1〜3に示す配合割合(質量部)で、(B)成分の原料である2官能ポリフェニレンエーテル化合物及び単官能酸無水物を配合し、これを溶媒(トルエン)で固形分(非溶媒成分)濃度が60〜80質量%となるように希釈した。これをディスパーで攪拌・混合しながら75〜110℃で3〜10時間加熱することによって、(B)成分である予備反応物を得た。予備反応での温度・時間の条件は、単官能酸無水物の開環率ができるだけ高く(少なくとも80%以上)になるように調整された。なお、開環率の算出方法は、上記で説明したとおりである。
続いて、後掲の表1〜3に示す配合割合(質量部)で、上記(B)成分である予備反応物に、(A)成分であるエポキシ樹脂、(C)成分である硬化剤、硬化促進剤、及び難燃剤を配合し、溶媒(MEKまたはトルエン)で固形分(非溶媒成分)濃度が60〜80質量%となるように希釈して、これをディスパーで攪拌・混合して均一化することによって、ベースワニスを調製した。
比較例については、予備反応のある比較例1、2、7に関しては、上記実施例と同様にして、予備反応を経て、ベースワニスを調製した。予備反応のない比較例3〜6に関しては、(B)成分中の成分を反応(予備反応)させずに添加し、それ以外は上記と同様にして、ベースワニスを調製した。
次に、後掲の表1〜3に示す配合割合(重量部)で、上記ベースワニスに、その他の成分(無機充填材及びシランカップリング剤)を配合し、これをディスパーにより室温で2時間攪拌・混合して均一化した。これにより、樹脂ワニスとなった樹脂組成物を得た。
[備考:当量比の説明]
表1〜3の「備考」欄に記載されている当量比について補足的に説明する。当量比は、反応する官能基(反応基)を基準として求められる。
(B)成分中の2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との反応基の当量比「(B)中の、PPE反応基:酸無水物反応基」は、次のようにして求まる。当量計算の例として実施例1を考える。2官能PPE化合物である「MX90」は、分子量が1600であり、水酸基(OH)が1分子あたり2個あることから、フェノール当量は、1600/2=800となる。また、単官能酸無水物基である「リカシッドMH−700」は、酸無水物基当量が163.9である。そのため、実施例1の組成では、
MX90について、 18.14/800 = 0.022
MH−700について、 3.72/163.9 = 0.022
となり、表1に示すように、1:1の当量比となる。
また、(A)成分の反応基、(B)成分の反応基、(C)成分の反応基の当量比「(A)のエポキシ当量:(B)及び(C)の反応基当量合計」は、次のようにして求まる。当量計算の例として実施例2を考える。(A)成分のエポキシ樹脂においては、エポキシ当量が反応基の当量計算に使用される。「HP−7200HHH」のエポキシ当量は286gであり、「FX−289−P」のエポキシ当量は390である。(C)成分のエポキシ樹脂用硬化剤「B−4500」においては、酸無水物であるため、酸無水物基当量132が使用される。また、(B)成分の反応基は、(B)成分中の2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物とが1:1の当量比で反応したときに、2官能ポリフェニレンエーテル化合物の両末端に酸無水物が結合したと考えることができる。すると、(B)成分の反応基当量は、(1600+164+164)/2=964と算出される。以上の情報を用いると、実施例2の組成において、(A)成分では、
HP−7200HHHについて 10.18/286=0.0356
FX−289−Pについて 49.5/390=0.1269
となり、結局、(A)成分では、反応基の量は、これらを足した0.1625となる。
また、(C)成分では、
B−4500について 18.46/132=0.1398
となり、(C)成分では、この値が反応基の量となる。
また、(B)成分では、
2成分を足したものが重量となるから
(18.14+3.72)/964=0.0227
となり、結局、(B)成分では、この値が反応基の量となる。
したがって、反応基の当量比は、
0.1625:(0.0227+0.1398)=1:1
となり、表1に示すように、1:1の当量比となる。
以上の当量比計算を行うことにより、その他の実施例の当量比も同様に算出される。なお、当量比の計算では、四捨五入などの方法によって、適宜、値が近似されてもよい。
[プリプレグ]
基材としてガラスクロス(日東紡績(株)製「7628タイプクロス」)を準備した。この基材に上記の樹脂ワニス(樹脂組成物)を含浸させ、これを非接触タイプの加熱ユニットにより110〜140℃で加熱乾燥し、樹脂ワニス中の溶媒を除去して、樹脂組成物を半硬化させた。これにより、プリプレグを製造した。プリプレグのレジンコンテント(樹脂組成物の含有量)は、プリプレグ全量に対して45〜55質量%とした。
なお、上記の乾燥条件はプリプレグのゲルタイムが40〜60秒となるように調整した。ゲルタイムは、樹脂ワニス、又はプリプレグから採取した樹脂を、170℃の熱プレート上におき、これがゲル化するまでの時間を測定することによって得られる。
[銅張積層板]
銅箔(三井金属鉱業株式会社製、厚み35μm、ST箔、片面が粗化面)を2枚準備した。また、上記のプリプレグ(340mm×510mm)を8枚準備した。次いで、8枚のプリプレグを重ねると共にこの両側に粗化面を内側にして銅箔を重ね、これを加熱加圧して積層成形した。加熱加圧の条件は、180℃、2.94MPa、60分間である。これにより、銅張積層板を得た。銅張積層板の厚みは3.2mmである。
[評価]
[ガラス転移温度]
銅張積層板から銅箔を取り除き、この積層板(絶縁体)について、セイコーインスツル株式会社製粘弾性スペクトロメータ「DMS6100」を用いて、ガラス転移温度を測定した。具体的には、曲げモジュールで周波数を10Hzとして測定を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から280℃まで昇温した際のtanαが極大を示す温度をガラス転移温度とした。
[比誘電率(Dk)]
Hewlett−Packard社製「インピーダンス/マテリアルアナライザー4291A」を用いて、1GHzにおける銅張積層板の比誘電率をIPC−TM−650 2.5.5.9に準じて測定した。
[ピール強度]
銅張積層板の表面の銅箔の引きはがし強さをJIS C 6481に準拠して測定した。すなわち、銅箔を毎分約50mmの速さではがし、そのときの引きはがし強さ(kN/m)をピール強度として測定した。
[難燃性]
板厚が0.8mm、1.2mm、1.6mmの銅張積層板をプリプレグの枚数を調整して上記と同様に製造した。各銅張積層板の表面の銅箔をエッチングにより除去した後、Underwriters Laboratoriesの“Test for Flammability of Plastic Materials−UL 94”に準じて難燃性試験を行って、難燃性を評価した。V−0を満たすものを「OK」とし、満たさないものを「NG」とした。後掲の表1〜3では、板厚とその板厚でV−0を満たすか否かを示している。
[耐アルカリ性]
板厚が0.8mmの銅張積層板を上記と同様の方法で製造した。この銅張積層板の表面の銅箔をエッチングにより除去した後、70℃の水酸化ナトリウム水溶液(10質量%)に30分間浸漬させた。そして、浸漬前後の重量から重量減少率を算出した。その結果を以下のように分けた。
「A」:重量減少率が0質量%以上0.2質量%未満;
「B」:重量減少率が0.2質量%以上0.3質量%未満;
「C」:重量減少率が0.3質量%以上0.4質量%未満;
「D」:重量減少率が0.4質量%以上。
以上の結果を、表1〜3に示す。
評価基準の目安として、ガラス転移温度(Tg)が150℃以上であると良好である。また、ピール強度が0.80kN/m以上であると良好である。また、Dkが3.4以下であると良好である。難燃性は0.8mm以上でOKであると良好である。耐アルカリ性は評価が「A」、「B」及び「C」であると良好である。
表1〜3から明らかなように、実施例は、比較例に比べて、ガラス転移温度が高く、誘電率が低く、ピール強度が高く、難燃性が総じて高く、耐アルカリ性に優れ、これら特性が良好なレベルでバランスよく得られていることが確認された。
比較例2及び7では、樹脂ワニスが相分離を生じた。比較例3は、実施例1と成分が同じであるにもかかわらず、予備反応を行っていないため、実施例1よりも性能が劣っている。比較例5では、銅張積層板の製造ができなかった。これは、単官能酸無水物が揮発したためと考えられる。
Figure 2017179035
Figure 2017179035
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1 プリプレグ
2 樹脂組成物
3 基材
11 金属張積層板
12、32 絶縁層
13 金属層
14 配線
21 プリント配線板
31 樹脂付き金属箔
33 金属箔

Claims (11)

  1. (A)エポキシ樹脂と、
    (B)2官能ポリフェニレンエーテル化合物と単官能酸無水物との反応物であって、エポキシ基と反応可能な予備反応物と、
    (C)エポキシ樹脂用硬化剤と、を含有し、
    前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、前記(B)成分の含有量が5〜60質量部である、
    樹脂組成物。
  2. 前記(B)成分は、前記2官能ポリフェニレンエーテル化合物の水酸基の量を1当量としたときに、前記単官能酸無水物の酸無水物基の量が1.5当量以下である、
    請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分のエポキシ基の量を1当量としたときに、前記(B)成分におけるエポキシ基と反応する官能基の量と、前記(C)成分におけるエポキシ基と反応する官能基の量との合計が、0.8〜1.2当量である、
    請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. リン含有難燃剤をさらに含有し、
    前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、リン含有量が1質量部以上である、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 無機充填材をさらに含有し、
    前記(A)成分と前記(B)成分と前記(C)成分との合計質量を100質量部としたときに、前記無機充填材の含有量が5〜50質量部である、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記無機充填材は、表面処理剤により処理されている無機充填材を含む、
    請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記表面処理剤により処理されている前記無機充填材は、当該無機充填材の含有量を100質量部としたときに、前記表面処理剤の含有量が1〜10質量部である、
    請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の樹脂組成物と、
    前記樹脂組成物が含浸された基材と、を有する、
    プリプレグ。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層と、
    前記絶縁層に接した金属層と、を有する、
    金属張積層板。
  10. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層と、
    前記絶縁層の表面に設けられている配線と、を有する、
    プリント配線板。
  11. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の樹脂組成物の半硬化物を含む絶縁層と、
    前記絶縁層に接した金属箔と、を有する、
    樹脂付き金属箔。
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