JP2011063727A - カチオン硬化性樹脂組成物、回路装置及びその製造方法 - Google Patents

カチオン硬化性樹脂組成物、回路装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子部品内部の電子デバイスへの水分の浸透を防止することができ、強度及び靭性に優れ、フラックス洗浄が不要なカチオン硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】カチオン硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、カチオン硬化開始剤、融点が160℃以下のはんだ粒子、及び式(1)HOCO−C(R)(R)−Y−X又は式(2)HOCO−C(R)(R)−Y−C(R)(R)−Xで示される化合物であるフラックス成分が含有されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、はんだ粒子を含有し、カチオンによって硬化するカチオン硬化性樹脂組成物、及びそれを用いた回路装置、並びに回路装置の製造方法に関するものである。
コンデンサ部品、表示装置、サイン及び照明用光源、バックライト等の電子部品は、外部からの水分の浸入によって、特性が劣化するため、これらの組み立ての際には、外装部品であるケース部を樹脂で接合・シールすることがある。その際、樹脂として紫外線(UV)硬化性のカチオン重合エポキシ樹脂が好適に用いられる。紫外線硬化性のカチオン重合エポキシ樹脂は、汎用のフェノールや酸無水物やイミダゾールの硬化に比べると、透湿防止に効果があるからであり、このエポキシ樹脂硬化物が、高密着・高耐熱・ガスバリアー性に優れていて、かつ、短時間で硬化が可能であるという理由によるものである。
しかしながら、そのようなシールされた電子部品を通常の湿度環境中に長期間放置した場合でも、エポキシ樹脂界面から微量の水分が浸入し、この水分が電子部品内部の電子デバイスを変質させたり、腐食させたりしてしまうという問題が生じていた。これは、樹脂成分が有機物である以上、透湿性をゼロにすることは不可能であるためであり、有機物の限界と言えるものである。
透湿性をさらに小さくする方法としては、はんだや溶融金属によるロウ付けや、溶融ガラスによる界面の密封が挙げられる。しかし、どちらも接着のためにはその融点以上の高温暴露が必要となり、内部の電子部品の破壊を引き起こすことになるため、現実的には実施することは難しい。
例えば、金属溶融方法では、クリームはんだと呼ばれる材料が挙げられる。クリームはんだの成分としては、通常、鉛フリーはんだである、Sn96.5Ag3.0Cu0.5(Sn96.5質量%、Ag3.0質量%、Cu0.5質量%、融点は218℃)が用いられる。このクリームはんだを用いる場合でも、リフロー炉中で融点以上の温度に曝す必要があるため、この高温によって、電子部品が破壊されたり、変形したりしてしまうおそれがある。
また、従来のクリームはんだは強度及び靭性が十分ではないため、はんだ接続だけで電子部品内部の電子デバイスを固定すると、部品の剥離が起こりやすく、また、温度変化や衝撃によりはんだ接続部にクラックが起こりやすいという問題もあった。
更に、クリームはんだは、腐食性を持つフラックスを含有しているため、溶融後に洗浄が必要となる。
本出願人は、すでに熱硬化性のはんだペーストを提案しているが(特許文献1)、ケース部などの外装部品のシールに用いるためには、さらなる耐湿性の改善や強度・靭性の向上が求められている。
特開2007−119750号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、電子部品内部の電子デバイスへの水分の浸透を防止することができ、強度及び靭性に優れ、フラックス洗浄が不要なカチオン硬化性樹脂組成物、回路装置及び回路装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係るカチオン硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、カチオン硬化開始剤、融点が160℃以下のはんだ粒子、及びフラックス成分として下記構造式(1)又は(2)で示される化合物のうちの少なくとも一方が含有されていることを特徴とするものである。
Figure 2011063727
(式中、R〜Rは水素、アルキル基又は水酸基を示し、Xは金属が配位可能な孤立電子対又は二重結合性π電子を有する原子団を示し、Yは主鎖骨格を形成する原子又は原子団を示す。)
請求項2に係る発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物において、カチオン硬化開始剤は紫外線によってカチオンが発生するものであることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物において、融点が160℃以下のはんだ粒子が、(i)Snと、(ii)Bi、In及びZnから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、を基本組成とする金属であることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物において、構造式(1)又は(2)中のXが、下記構造式(3)〜(8)で示される原子団のうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とするものである。
Figure 2011063727
(式中、Rは水素、アルキル基又は水酸基を示す。)
請求項5に係る発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物において、構造式(1)又は(2)中のYが、下記構造式(9)〜(12)で示される原子又は原子団のうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とするものである。
Figure 2011063727
(式中、R及びRは水素、アルキル基又は水酸基を示す。)
請求項6に係る発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物において、構造式(1)又は(2)で示される化合物が、レブリン酸、グルタル酸、コハク酸、リンゴ酸、4−フェニル酪酸のうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とするものである。
請求項7に係る発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物において、構造式(1)又は(2)で示される化合物が、下記構造式(13)〜(15)で示される化合物のうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とするものである。
Figure 2011063727
請求項8に係る発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物において、オキセタン樹脂を樹脂バインダー中5〜70質量%の量で含有することを特徴とするものである。
請求項9に係る発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物において、カチオン硬化性樹脂組成物全量に対して、樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が3〜50質量%であることを特徴とするものである。
請求項10に係る回路装置の製造方法の発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物3を、はんだ粒子の融点よりも20℃高い温度以下の温度で加熱してはんだ粒子と金属層2との溶融接続を形成し、室温に冷却後、紫外線照射してエポキシ樹脂をカチオン硬化する工程を含むことを特徴とするものである。
請求項11に係る回路装置の発明は、上記構成のカチオン硬化性樹脂組成物3を用いて金属層2が導電接着されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係るカチオン硬化性樹脂組成物によれば、樹脂系接合材よりも優れたガスバリアー性を有し、密着に優れ、短時間での硬化が可能であり、ケース部(外装部品)を樹脂で接合・シールする際に外部からの水分の浸入を防止することができるので、水分の浸入によって特性が劣化するおそれのあるコンデンサ部品、表示装置、サイン及び照明用光源、バックライト等の電子部品を水分侵入を防いで確実に保護することができるものである。また、強度と靭性とを備えて硬化してシールすることができ、また、フラックスの洗浄が不要となり容易に利用することができるものである。
請求項2に係る発明によれば、紫外線(UV)の光によってカチオン硬化開始剤からカチオンが発生することでエポキシ樹脂の硬化が進むことができるものであり、はんだによる溶融接着とエポキシ樹脂の光硬化との2段階工程で部材を接続することができ、水分の浸入を防ぐ密着性の高いシールが得られるものである。
請求項3に係る発明によれば、融点が160℃以下のはんだ粒子が、Snを含み、かつ、Bi、In及びZnから選ばれる少なくとも1種類以上の金属を基本組成とする金属であることにより、160℃以下の温度で金属の溶融接合ができるので、部品を破壊することなく部材を接続することができるものである。
請求項4に係る発明によれば、Xが他の原子団である場合に比べて、効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
請求項5に係る発明によれば、Yが他の原子又は原子団である場合に比べて、はんだ粒子の酸化膜を十分に除去することができるものである。
請求項6に係る発明によれば、他のフラックス成分に比べて、一層効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
請求項7に係る発明によれば、他のフラックス成分に比べて、優れた還元力を発揮することができ、一層効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
請求項8に係る発明によれば、オキセタン樹脂を併用することで、さらに優れたカチオン硬化性を発揮することができるものである。
請求項9に係る発明によれば、熱硬化性樹脂組成物全量に対して、カチオン硬化性樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が3〜50質量%であることで、優れた密着特性を発揮するができるものである。
請求項10に係る発明によれば、上記のカチオン硬化性樹脂組成物を用い、はんだによる溶融接着とエポキシ樹脂の光硬化との2段階工程で部材を接続するので、水分の浸入を防ぐ密着性の高い回路装置を製造することができるものである。
請求項11に係る発明によれば、上記のカチオン硬化性樹脂組成物を用いて金属層が導電接着されているので、水分の浸入を防ぐ密着性の高い回路装置が得られるものである。
(a)〜(c)は、本発明の回路装置の製造方法の実施の形態の一例を示す概略断面図である。 本発明の回路装置の実施の形態の一例であり、(a)は一部の概略断面図、(b)は平面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係るカチオン硬化性樹脂組成物には、エポキシ樹脂、カチオン硬化開始剤、融点が160℃以下のはんだ粒子、及びフラックス成分として構造式(1)又は(2)で示される化合物のうちの少なくとも一方が必須成分として含有されている。
エポキシ樹脂硬化物は、一般的に、アニオンを反応起点とするフェノールや酸無水物やイミダゾール硬化剤の硬化物に比べて、接着力が高く、溶剤や湿度などに対する耐久性が高いという特徴がある。最近では、エポキシ樹脂を低温・短時間で硬化させたい場合や、硬化物の透明性が求められる場合に、光あるいは熱でカチオン種を発生させることができる開始剤を用いたカチオン硬化を利用するものが増加している。このカチオンによる硬化システムは、光硬化の代表例であるビニル基のラジカル重合に比べて、酸素による硬化阻害がないこと、硬化収縮が小さいこと、高密着・高Tgであること、ガスバリアー性に優れていることなどの利点がある。本発明ではこのような利点を利用する。
カチオン硬化開始剤は、光や熱によりルイス酸あるいはブレンステッド酸を発生してカチオン硬化を開始させるものであり、具体例としては、陰イオンとしてPF 、AsF 、SbF 、SbCl 2−、BF 、SnCl 、FeCl 、BiCl 2−などを持つアリールジアゾニウム塩、また、陰イオンとしてPF 、AsF 、SbF 、SbCl 2−、BF 、ClO 、CFSO 、FSO 、FPO 、B(C などを持つジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、更に、陰イオンとしてPF 、AsF 、SbF などを持つジアルキルフェナシルスルホニウム塩、ジアルキル−4−ヒドロキシフェニルスルフォニウム塩、また、α−ヒドロキシメチルベンゾインスルホン酸エステルや、N−ヒドロキシイミドスルホネート、α−スルホニロキシケトンやβ−スルホニロキシケトンなどのスルホン酸エステル、更に、鉄のアレン化合物、シラノール−アルミニウム錯体、o−ニトロベンジル−トリフェニルシリルエーテルなどを例示することができる。
カチオン硬化開始剤としては、熱カチオンは発生し難く、光カチオンが優先的に発生するタイプである光カチオン開始剤が好ましい。カチオン硬化性樹脂組成物の硬化は、後述するように、はんだ粒子の溶融(ステップ1)とエポキシ樹脂の硬化(ステップ2)との二段階で進行するが、熱カチオンが優先的に発生するタイプのカチオン硬化開始剤では、融点以上の温度ではんだ粒子を溶融した際に、熱カチオンによりエポキシ樹脂の硬化も進んでしまって系が増粘するために、溶融したはんだ粒子の凝集が阻害されるおそれがある。また、熱カチオン開始剤は非常に反応が速いため、フラックスの作用で酸化膜が除去されたはんだ粒子の凝集よりも、系の増粘が先に進行し、はんだ粒子が凝集することができずにバラバラで存在してしまい、シール効果が得られなくなるおそれがある。また、熱硬化の場合、シールした内部の空間の気体が熱膨張するために、内圧が上がり、樹脂の部分に孔を開けてしまうおそれもある。よって、本発明では光カチオンを発生するタイプが好ましいのである。なお、光カチオンとは光によって発生するカチオンであるが、光としては紫外線(UV)であることが好ましい。
光カチオンを優先的に発生するカチオン硬化開始剤としては、特に限定されるものではないが、具体的には、陰イオンとしてPF 、SbF などを持つアリールジアゾニウム塩、また、陰イオンとしてPF 、SbF などを持つジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールセレノニウム塩、などを例示することができる。
なお、カチオン硬化開始剤が光によって硬化を開始するタイプの場合、開始剤が最も効率よく酸を発生する光の波長よりも長い波長の光でも硬化開始するよう、いわゆる増感剤を併用してもよい。増感剤の一例としては、ベンゾフェノン、アクリジンオレンジ、ペリレン、アントラセン、フェノチアジン、2,4−ジエチルチオキサントンなどを例示することができる。
フラックス成分である上記構造式(1)及び(2)で示される化合物は、末端にカルボキシル基及び各種の官能基を有しており、室温でのフラックス活性はさほど大きくないが、これらの化合物が100℃以上の温度に加熱されると、下記構造式(16)及び(17)に示すようなキレートを形成してはんだ粒子(M)表面に局在化し、優れた活性力(還元力)が顕在化して、効率よくカルボキシル基とはんだ粒子表面の金属酸化物の膜(酸化膜)との反応が促進され、はんだ粒子から酸化膜を効果的に除去することができるようになる。
Figure 2011063727
なお、上記構造式(16)及び(17)中、Mははんだ粒子であって、Ag、Bi、Cu、In、Sn等の金属を示し、またR〜Rは省略している。
ここで、上記構造式(1)及び(2)中のXは、金属が配位可能な孤立電子対又は二重結合性π電子を有する原子団を示すが、具体的には、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等の孤立電子対を持ちキレートの形成が可能な基、カルボニル基、カルボキシル基、チオカルボニル基、イミノ基等の炭素/ヘテロ原子間二重結合性π電子を持つ有機基、フェニル基、ピリジル基、イミダゾイル基等の芳香族基、さらには炭素−炭素二重結合を有するビニル基、共役二重結合を有する有機基などを例示することができる。
特に、上記構造式(1)又は(2)中のXは、上記構造式(3)〜(8)で示される原子団のうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、Xが他の原子団である場合に比べて、効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
また、上記構造式(1)及び(2)中のYは、主鎖骨格を形成する原子又は原子団を示すが、上記構造式(9)〜(12)で示される原子又は原子団のうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、Yが他の原子又は原子団である場合に比べて、はんだ粒子の酸化膜を十分に除去することができるものである。
そして具体的には、上記構造式(1)又は(2)で示される化合物は、レブリン酸、グルタル酸、コハク酸、リンゴ酸、4−フェニル酪酸のうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。これにより、他のフラックス成分に比べて、一層効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
なお、カルボキシル基を両末端に有する化合物としては、一般的には脂肪族骨格を有するアジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、コルク酸等が挙げられる。しかし、これらは金属表面の酸化膜に対する十分な還元作用を期待することができず、その還元力は、上記構造式(1)及び(2)で示される化合物に比べて、十分に満足できるレベルではない。これは、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸、コルク酸等の分子量が大きいことによって、上記構造式(16)及び(17)に示すようなキレートを形成する能力に劣っているためである、と推察される。
また、上記構造式(1)又は(2)で示される化合物は、上記構造式(13)で示される化合物(ジグリコール酸)、上記構造式(14)で示される化合物(チオジグリコール酸)、上記構造式(15)で示される化合物(ジチオジグリコール酸)のうちの少なくとも1種類以上であることが好ましい。上記構造式(13)〜(15)で示されるように、主骨格に酸素原子又は1個若しくは2個の硫黄原子が結合した構造の化合物は、脂肪族骨格の化合物と比べて、優れた還元力を発揮することができる。その理由は、主骨格の酸素原子及び硫黄原子が電子供与性の原子であるため、金属との配位結合性が高くなり、その結果、脂肪族骨格の化合物と比べて優れた還元力を発揮することができる、と推察される。よって、上記構造式(1)又は(2)で示される化合物が、上記構造式(13)〜(15)で示される化合物のうちの少なくとも1種類以上であることによって、他のフラックス成分に比べて、優れた還元力を発揮することができ、一層効果的にはんだ粒子の酸化膜を除去することができるものである。
なお、本発明においては、上記構造式(1)又は(2)で示される化合物のうちの少なくとも一方を用いているが、これ以外に一般に用いられている他のフラックス成分を併用しても差し支えない。
はんだ粒子としては、融点が160℃以下のものであればよい。はんだ粒子の融点の下限は特に限定されないが、80℃以上であることが好ましい。このような条件を満たす限り、はんだ粒子の組成は特に限定されないが、例えば、(i)Snと、(ii)Bi、In及びZnから選ばれる少なくとも1種類以上の金属とを基本組成とする金属を挙げることができる。すなわち、SnをベースとするBi、Zn、In等の金属との合金である。具体的には、Sn42Bi58(融点139℃)や、Sn40Bi56Zn4(融点130℃)や、Sn48In52(融点117℃)や、Sn17.3Bi57.5 In25.2(融点79℃)を例示することができる。なお、前記の各合金では、金属原子の後ろの数値が質量組成比を表している。
また、はんだ粒子の含有量は、樹脂組成物全量に対して、50〜97質量%であることが好ましい。はんだ粒子の含有量が50質量%未満であると、はんだ粒子が溶融一体化して形成された接合部分(はんだ接続部)が小さくなりすぎ、導通性や強度が低下するおそれがある。逆に、はんだ粒子の含有量が97質量%を超えると、エポキシ樹脂などが形成する樹脂層による補強効果が低下するおそれがある。
エポキシ樹脂は、カチオン硬化性樹脂バインダーとして用いられるものである。その種類としては、カチオン硬化性のエポキシ樹脂であればよいが、脂環式エポキシ樹脂を使用することが好ましく、この脂環式エポキシ樹脂とともにビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂のうちの少なくとも1種を併用して使用することが好ましい。これによって樹脂組成物の硬化後の透明性と耐熱性を高めると共に屈折率を適度な範囲で制御することができるものである。また、エポキシ樹脂として、ペースト状の組成物を得るために液状エポキシ樹脂を好適に用いることができる。
さらに、エポキシ樹脂とともにオキセタン樹脂を併用することが好ましい。オキセタン樹脂とは、エポキシ環よりも炭素が1つ多い、飽和炭素原子3個と酸素原子1個からなる4員環を有する化合物のことである。具体的には、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(製品名:OXT−212)や、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン(製品名:OXT−101)や、あるいは1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(製品名:OXT−121)や、オキセタニル−シルセスキオキサン(製品名:OX−SQ)等を例示することができる(製品名はいずれも東亜合成株式会社が供給している名称)。オキセタン樹脂をエポキシ樹脂と併用すると、透明性の高い硬化物を得ることができるとともに、エポキシ基の硬化開始速度の速さと、オキセタン基の重合成長速度の速さという良い面が発現して、硬化性の更に優れた組成物を得ることができる。
オキセタン樹脂を含有させる場合、その含有量は、樹脂バインダー中5〜70質量%であることが好ましい。ここで、本発明において、樹脂バインダーとは、カチオン硬化性樹脂バインダーのことであり、エポキシ樹脂やオキセタン樹脂などの樹脂基体成分の他、カチオン硬化開始剤や硬化剤や硬化促進剤も含まれるものである。オキセタン樹脂の含有量がこの範囲より多いとエポキシ樹脂の硬化開始特性を阻害するおそれがある。一方、オキセタン樹脂の含有量がこの範囲より少ないとオキセタン樹脂の作用が十分に得られない可能性がある。
カチオン硬化開始剤の含有量は、カチオン硬化性樹脂バインダー全量に対して、0.5〜5質量%であることが好ましく、1.0〜2.0質量%であることがさらに好ましい。カチオン硬化開始剤の量がこの範囲より少ないと、十分な量のカチオンを発生することができず、硬化することができなくなるおそれがある。一方、カチオン硬化開始剤の量がこの範囲より多くてもそれ以上の硬化開始作用を得られなくなりかえって不経済となるおそれがある。
樹脂バインダーに対して、フラックス成分は1〜50PHR含有されていることが好ましい。これにより、フラックス成分の作用を十分に発揮させることができると共に、硬化性樹脂組成物の硬化後における補強性を高く得ることができるものである。フラックス成分の含有量が1PHR未満であると、濃度が薄すぎてフラックス成分として十分な作用を発揮させることができない場合があり、そのためはんだ粒子の溶融一体化が阻害され、接続抵抗が高くなってしまうおそれがある。逆に、フラックス成分の含有量が50PHRを超えると、カチオン硬化性樹脂組成物の硬化後においてタック性が残ったり、補強性を十分に高く得ることができなくなったりするおそれがある。なお、フラックス成分(PHR)は、次式、
{(フラックス成分の質量/樹脂バインダーの質量)×100}
によって算出することができる。
また、カチオン硬化性樹脂組成物全量に対して、樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が3〜50質量%であることが好ましい。これにより、流動可能なカチオン硬化性樹脂組成物を得ることができるものである。また、はんだ粒子が溶融一体化して形成されたはんだ接続部の周囲に、ボイドが存在しないカチオン硬化性樹脂バインダーの硬化物からなる樹脂層が形成され、この樹脂層によって十分な補強性を得ることができるものである。さらに、はんだ粒子の溶融一体化が阻害されるのを防止することができ、十分に低い接続抵抗と強度を得ることができるものである。カチオン硬化性樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が3質量%未満であると、パテ状又は粉状となって、流動可能なカチオン硬化性樹脂組成物を得ることができないおそれがある。また、はんだ粒子が溶融一体化した後、このはんだ接続部の周囲には熱硬化性樹脂バインダーの硬化物からなる樹脂層が形成されるが、この樹脂層にボイドが多く含まれることとなり、このような樹脂層によっては十分な補強性を得ることができなくなるおそれがある。逆に、カチオン硬化性樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が50質量%を超えると、はんだ粒子の割合が少なすぎてこれらの溶融一体化が阻害されたり、十分に低い接続抵抗を得ることができなくなったり、接続強度が低下したりするおそれがある。
なお、カチオン硬化性樹脂組成物には、上記の必須成分のほか、通常用いられる改質剤、添加剤等が含有されていてもよい。また、カチオン硬化性樹脂組成物の粘度を低減し、流動性を付与する目的で、低沸点の溶剤や可塑剤を加えることもできる。さらに、印刷形状を保持するためのチクソ性付与剤として、硬化ヒマシ油やステアリン酸アミド等を添加することも有効である。
そして、カチオン硬化性樹脂組成物は、液状エポキシ樹脂、カチオン硬化開始剤、融点が160℃以下のはんだ粒子、フラックス成分、及び必要に応じてその他の成分をディスパー等を用いて均一に混合・混練することによって製造することができる。
このようにして得られたカチオン硬化性樹脂組成物にあっては、外部からの水分が浸入すると特性が劣化するようなコンデンサ部品、表示装置、サイン及び照明用光源、バックライト等の電子部品を保護するために、ケース部(外装部品)を樹脂で接合・シールする際の組み立て材料として用いれば、このカチオン硬化性樹脂硬化物が、樹脂系接合材よりも優れたガスバリアー性を有しており、密着性に優れていて、かつ、短時間硬化が可能となるものであるので、耐湿性の高い回路装置を簡単に製造することができるものである。また、カチオン硬化性樹脂組成物を導電接合のための導電ペーストや、はんだペーストとしても用いることができるものである。
図1により、カチオン硬化性樹脂組成物3を用いて回路装置を製造する方法について説明する。
まず、ガラス板などの基板1の表面に、金属層2を所定のパターンで、例えばガラス板の周辺部の全体に内側を囲むように平面視ロ字状で形成する。これを2枚準備する。なお、金属層2があらかじめ形成された基板1を用いてもよい。この金属層2としては電極として使用することができるものであることが好ましく、例えばNiやAu、Cuなどの導電性の高い金属材料をメッキ等することによって形成することができる。金属層2が電極金属のメッキ等で電極として形成されていれば、樹脂組成物中で溶融したはんだ粒子と金属溶融接合することが容易になるものである。
次に、図1(a)のように、カチオン硬化性樹脂組成物3を一方の基板1(1a)の金属層2の上側に金属層2を覆うように塗布し、他方の基板1(1b)を、金属層2がカチオン性樹脂組成物3に接触して覆われるように金属層2を対向させて配置する。その際、カチオン性樹脂組成物3が金属層2を確実に覆うように両方の基板1をカチオン性樹脂組成物3を挟み込む方向(基板1aを上方向、基板1bを下方向)に軽く押圧してもよい。
そして、加熱すると、図1(b)のようにカチオン硬化性組成物3中のはんだ粒子が溶融し凝集してはんだ接合部5が形成される。加熱温度としては、はんだの融点以上であって、かつ、はんだ粒子の融点よりも20℃高い温度以下の温度であることが好ましい。それにより、はんだ粒子を確実に溶融させて接合することができ、また、加熱によって電子部品等が破壊されるのを防止することができる。また、電子部品等の破壊を防止するために加熱温度は160℃以下であることが好ましい。加熱によってはんだ粒子が凝集して形成されたはんだ接合部5の周囲には、はんだ粒子から分離したカチオン硬化性樹脂バインダーを主成分とする未硬化樹脂層4がはんだ接合部5と金属層2の周辺部を覆って存在している。すなわち、カチオン硬化性組成物3に用いたカチオン硬化性樹脂バインダーは、紫外線の光によって硬化するものであり、上記の加熱温度では硬化しないものであるので、樹脂組成物は未硬化のままである。また、はんだ接合部5は、塗布されたカチオン硬化性樹脂組成物3の内側に向けてはんだ粒子が凝集して形成されおり、両方の基板1の金属層2に接触している。このように、はんだ粒子が溶融して金属層2に接合しているので、各金属層2間の導電性を得ることができ、また、密着性が向上して強力な接合を得ることができる。
次に、図1(c)のように、室温に冷却後、紫外線を照射すると、光カチオン硬化開始剤が光カチオンを発生させてエポキシ樹脂などのカチオン硬化性樹脂バインダーが重合して硬化(カチオン硬化)し、樹脂層6が形成される。樹脂層6は未硬化樹脂層4が硬化して形成されるものであり、金属層2の周囲を覆ってはんだ接合部5の周辺を取り囲むように形成される。このように、周囲を樹脂層6によって覆ってはんだ接合部5を保護することができ、シール強度をさらに向上することができるものである。なお、フラックスの洗浄工程は行っても行わなくてもよいが、カチオン硬化性樹脂組成物3では腐食性のあるフラックスを用いていないので、特に行わなくてもよい。
図2は、図1のようにしてカチオン硬化性樹脂組成物3を用いて形成された回路装置の一例である。ガラス板などの材料からなる2枚の矩形状の基板1,1は、その周辺部に平面視ロ字状に形成された金属層2を内側に向けて対向して配置している。そして、対向する金属層2,2の間には、その中央部にカチオン硬化性樹脂組成物3中のはんだ粒子が溶融固着して形成したはんだ接合部5が、各金属層2,2に接触して形成されている。このように、はんだ接合部5が各金属層2,2と接触して導通接着することにより、一方の金属層2と他方の金属層2とが導通されている。そして、カチオン硬化性樹脂組成物3中の樹脂バインダーが硬化してできる樹脂層6が、金属層2の周囲を覆ってはんだ接合部5の周辺を取り囲むように形成されている。このように、回路装置は、はんだ接合部5と樹脂層6とで形成されたシール部によって、対向する基板1,1の内部を密閉してシールすることができるものである。図示の例では、基板1の内部には回路や電子部品等を示していないが、このシール部で囲まれた空間(基板1の中央部)に、回路や電子部品を形成・搭載することができる。なお、図2(b)では、基板1、金属層2、樹脂層6が透明なため、各層の外縁が示されている。
このようにして形成された回路装置にあっては、強度及び靭性に優れたシール部(はんだ接合部5及び樹脂層6)で基板1,1が接着されるものであり、外装部品内部にある電子デバイスへの水分の浸透を防止することができるものである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1)
はんだ粒子として、Sn42Bi58(Sn42質量%、Bi58質量%)を用いた。このはんだ粒子の平均粒径は20μmであり、融点は139℃であった。そして、はんだ粒子を80質量部、カチオン硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を17.8質量部、光カチオン開始剤として「アデカオプトマー SP−170」[下記の構造式(18)の化学物質]を0.2質量部、フラックス成分としてレブリン酸を2質量部混合し、遮光雰囲気下にて、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状のカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
Figure 2011063727
(実施例2)
フラックス成分としてグルタル酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例3)
フラックス成分としてコハク酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例4)
フラックス成分として4−フェニル酪酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例5)
フラックス成分としてジグリコール酸を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例6)
カチオン硬化性樹脂バインダーとして、液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を10.0質量部と、オキセタン樹脂 1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン(東亜合成株式会社製、商品名:OXT−121)7.8質量部、とを用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例7)
はんだ粒子として、Sn42Bi58を90質量部、液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を7.4質量部、光カチオン開始剤として「アデカオプトマー SP−170」を0.1質量部、フラックス成分としてグルタル酸を2.5質量部、で混合するようにした以外は、実施例1と同様にしてカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
(実施例8)
光カチオン開始剤として「アデカオプトマー SP−172」[下記の構造式(19)の化学物質]を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
Figure 2011063727
(比較例1)
はんだ粒子として、Sn42Bi58(Sn42質量%、Bi58質量%)を用いた。このはんだ粒子の平均粒径は20μmであり、融点は139℃であった。そして、はんだ粒子を80質量部、硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を14質量部、硬化促進剤(味の素ファインテクノ株式会社製、品番「アミキュアPN23」)を3質量部、フラックス成分としてレブリン酸を3質量部混合し、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状の熱硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例2)
はんだ粒子の代わりに、銀粉末(融点:950℃)を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
(比較例3)
はんだ粒子は含まず、硬化性樹脂バインダーとして液状エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD128」)を89質量部、光カチオン開始剤として「アデカオプトマー SP−170」を1質量部、フラックス成分としてレブリン酸を10質量部混合し、遮光雰囲気下にて、ディスパーを用いて均一に混合・混練することによって、ペースト状のカチオン硬化性樹脂組成物を得た。
(評価試験)
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物を用いて、次のような評価試験を行った。なお、評価試験で作製した回路パターンは、図2のものである。
(1)はんだ溶融性
基板1であるガラス板(50x20x0.7mm)の表面の周辺部に、Niメッキの上にAuメッキが施された回路(幅500μm、厚み;Ni:5μm,Au:0.1μm)を金属層2として形成し、その回路上に、カチオン硬化性樹脂組成物3をスクリーン印刷法で塗布した。塗布後のカチオン硬化性樹脂組成物の厚みは、約70μmであった。この印刷塗布したガラス板を150℃、5分加熱して、はんだ成分を溶融させ、Auメッキ上に溶融固着させて、はんだ接合部5を形成した。固着したはんだ接合部5の外観を顕微鏡で観察し、はんだの溶融固着状態を下記判定基準で評価した。
「◎」:全てのはんだ粒子が一体化して球体となっており、この球体の周りの樹脂層(未硬化樹脂層4)にははんだ粒子は全く観察されない
「○」:ほとんどのはんだ粒子が一体化して球体となっているが、この球体の周りの樹脂層(未硬化樹脂層4)に若干のはんだ粒子が観察される
「△」:かなりのはんだ粒子が一体化して球体となっているが、この球体の周りの樹脂層(未硬化樹脂層4)に多くのはんだ粒子が観察される
「×」:一体化したはんだ粒子が観察されない。
(2)表面タック性
評価(1)のはんだ粒子が溶融接続したガラス板に、超高圧水銀ランプで、光エネルギー2400mJ/cmの紫外線を照射して未硬化樹脂層4を硬化させ、硬化した樹脂層6について指触にて粘着性(タック性)を評価した。なお、比較例1は、熱硬化性の樹脂組成物であるが、評価(1)の加熱条件では樹脂は硬化せず、紫外線照射によっても樹脂は硬化しなかった。そのため、比較例1については、金属溶融接合が形成されるものの樹脂は固まっておらず、樹脂がべたべたで硬化していない状態のまま評価した。
硬くて粘着性が全く無く指が容易に滑るものを「◎」、粘着性が無いが指の摩擦に対して抵抗を示すものを「○」、樹脂に指紋が付くものを「△」、指に樹脂が付着するものを「×」とした。
(3)内部腐食性
評価(1)と同様にして、ガラス板の周辺部に回路を金属層2として施し、同じ回路パターンを描いたガラス板を各試験につき2枚一組で準備した。そのうち一方のガラス板を真空蒸着装置にセットし、ガラス板の中央部に、Alを5Å/sの蒸着速度にて厚み1000Åで蒸着し、評価用のAl蒸着膜を形成した(10x10mm)。次に、評価(1)と同様の方法で、中央にAl蒸着膜が形成されたガラス板の金属層2の上面に樹脂組成物を印刷した後、他方のもう一枚のガラス板を、この樹脂を塗布したガラス板と対になる様に位置合わせし、樹脂組成物がシール剤となるように張り合わせた。
この張り合わせたガラス板を150℃、5分加熱の後、室温に冷却し、超高圧水銀ランプで、光エネルギー2400mJ/cmの紫外線を照射して樹脂を硬化させて、評価素子を得た。そして、この評価素子(Al蒸着膜形成ガラス板のエポキシ樹脂挟み込み部品)を50℃、90%RHの恒温恒湿槽に500時間放置した時の、Al蒸着膜の腐食度合いを次の基準で判定し比較した。
全く腐食のないものを「○」、端部に微小な腐食があるものを「△」、端部及び内部に大きな腐食があるものを「×」とした。
結果を下記の表に示す。表に示すように実施例のカチオン硬化性樹脂組成物は、はんだ溶融性、表面タック性、内部腐食性(腐食防止性)のすべてに優れるものであった。
Figure 2011063727
1 基板
2 金属層
3 カチオン硬化性樹脂組成物
4 未硬化樹脂層
5 はんだ接合部
6 樹脂層

Claims (11)

  1. エポキシ樹脂、カチオン硬化開始剤、融点が160℃以下のはんだ粒子、及びフラックス成分として下記構造式(1)又は(2)で示される化合物のうちの少なくとも一方が含有されていることを特徴とするカチオン硬化性樹脂組成物。
    Figure 2011063727
    (式中、R〜Rは水素、アルキル基又は水酸基を示し、Xは金属が配位可能な孤立電子対又は二重結合性π電子を有する原子団を示し、Yは主鎖骨格を形成する原子又は原子団を示す。)
  2. カチオン硬化開始剤は紫外線によってカチオンが発生するものであることを特徴とする請求項1に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  3. 融点が160℃以下のはんだ粒子が、(i)Snと、(ii)Bi、In及びZnから選ばれる少なくとも1種類以上の金属と、を基本組成とする金属であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  4. 構造式(1)又は(2)中のXが、下記構造式(3)〜(8)で示される原子団のうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
    Figure 2011063727
    (式中、Rは水素、アルキル基又は水酸基を示す。)
  5. 構造式(1)又は(2)中のYが、下記構造式(9)〜(12)で示される原子又は原子団のうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
    Figure 2011063727
    (式中、R及びRは水素、アルキル基又は水酸基を示す。)
  6. 構造式(1)又は(2)で示される化合物が、レブリン酸、グルタル酸、コハク酸、リンゴ酸、4−フェニル酪酸のうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  7. 構造式(1)又は(2)で示される化合物が、下記構造式(13)〜(15)で示される化合物のうちの少なくとも1種類以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
    Figure 2011063727
  8. オキセタン樹脂を樹脂バインダー中5〜70質量%の量で含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  9. カチオン硬化性樹脂組成物全量に対して、樹脂バインダー及びフラックス成分の合計量が3〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物を、はんだ粒子の融点よりも20℃高い温度以下の温度で加熱してはんだ粒子と金属層との溶融接続を形成し、室温に冷却後、紫外線照射してエポキシ樹脂をカチオン硬化する工程を含むことを特徴とする回路装置の製造方法。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のカチオン硬化性樹脂組成物を用いて金属層が導電接着されていることを特徴とする回路装置。
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