JP2004179101A - 導電性ペースト及び電子回路用品 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性フィラーを有機バインダーで結着させる塗膜を形成する導電性接着剤、導電性塗装材料の導電性ペーストにおいて、導電性フィラーの含有量を高めることなく導電性を向上させる。
【解決手段】(A)樹脂、(C)希釈剤、(D)昇華性有機化合物及び(E)導電性フィラーを含有する導電性ペースト。これらにさらに(B)硬化剤を含有し、(A)成分として熱硬化性樹脂又は活性エネルギー硬化性樹脂を使用した導電性ペースト。その導電性ペーストを使用した電子回路用品。
【選択図】なし
【解決手段】(A)樹脂、(C)希釈剤、(D)昇華性有機化合物及び(E)導電性フィラーを含有する導電性ペースト。これらにさらに(B)硬化剤を含有し、(A)成分として熱硬化性樹脂又は活性エネルギー硬化性樹脂を使用した導電性ペースト。その導電性ペーストを使用した電子回路用品。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子部品等に用いられる導電性接着剤、導電性塗布材料等の導電性ペースト及びこれを用いた電子回路用品に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI等の半導体素子その他の各種電子部品の組み立てや、これらの回路基板への搭載、さらには回路基板における配線等には、はんだペーストを用いたはんだ付けのようには金属を溶融しないで、金属粉末をバインダーに結着させた導電体を形成することができる塗膜型の導電性ペーストが接着剤や塗布材料として用いられている。
これらの分野には、早くからSn−Pb系の共晶はんだがはんだ付材料として用いられ、その導電性と接着強度等の点からは高い信頼性が得られているが、近年、野外に投棄された電子機器の廃棄物からは酸性雨等によりそのはんだ付に使用したはんだから有害な鉛が溶出するという環境汚染問題がクローズアップされてきた。その改善のために鉛を含まない、いわゆる鉛フリーのはんだ合金が種々開発され、導入されはじめている。しかし、これらの鉛フリーのはんだ合金の融点は、従来から使用されてきたSn−Pb系の共晶はんだの融点に比較して、30〜40℃も高いことから、その材料を含有するはんだペーストを用いて例えばチップ部品を回路基板にリフローはんだ付した場合には、耐熱性の弱い基板や電子部品に対する熱的影響が大きく、所定の性能が得られないことがあるという信頼性に対する別の問題が生じる。
これらの場合はいずれも、最終的にははんだを溶融することにより、接合材料として使用しようとするものであるが、これに代わって、導電材料として含有させた金属粉末(導電性フィラー)を溶融せず、その金属粉末のままバインダーにより結合した塗膜を形成し、導電性が得られるようにした塗膜型の導電性ペーストが用いられるようになり、これによればその塗膜の硬化温度は150〜200℃とSn−Pb系の共晶はんだを用いた場合よりも低い温度で接合等を行うことができるので、上記のような基板や電子部品に対する熱的影響もないようにすることができる。
【0003】
ところで、塗膜型の導電性ペーストの塗膜は、主に有機バインダーと導電性フィラーから構成されており、導電材料の導電性フィラーが絶縁材料の有機バインダーにより結着されることが通常であるので、例えば接着剤として使用した場合には、接合部における導電性ははんだによる接合部に比べればまだ低い。その導電性を向上させるために、導電性フィラーの含有量を高くした製品も販売されているが、例えば銀フィラーのように導電性フィラーは高価であるので、コスト高になるという問題がある。
また、エポキシ樹脂、メラミン樹脂及びアクリル樹脂の混合系と導電性フィラーからなる接着剤において、その塗布膜の硬化時における樹脂の体積収縮作用を利用して導電性を向上させることも知られている(例えば特開2002−184236号公報)。また、熱可塑性樹脂と溶剤の系に鱗片状と球状の導電性フィラーを混合して導電性を向上しようとした例もある(例えば特開平11−66956号公報)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−184236号公報
【特許文献2】
特開平11−66956号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特開2002−184236号公報に記載されたものは導電性は十分とはいえず、後者の特開平11−66956号公報に記載されたものは、溶剤を含んでおり、製造時あるいは使用時においてその溶剤の揮発にともなう大気汚染による環境への影響が懸念されるという問題がある。
このことから、有機バインダーを使用しても導電性が十分であって高性能の導電体を形成でき、これにより電子部品の性能を高めることができるとともに、溶剤を使用しないでもよいような導電性接着剤や塗装材料に適合する導電性ペーストが求められている。
本発明の第1の目的は、塗布物において十分な導電性が得られるような導電性ペーストを提供することにある。
本発明の第2の目的は、電子部品の接合や配線等において電気抵抗による発熱が少なく、電子部品その他の電子回路の性能を向上させ、電子製品自体の信頼性を大幅に高めることができる導電性ペーストを提供することにある。
本発明の第3の目的は、高価な導電性フィラーの含有量を高くしないですみコスト高にならないような導電性ペーストを提供することにある。
本発明の第4の目的は、製造時や使用時に大気汚染による環境への影響が懸念されることがないような導電性ペーストを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、導電性ペースト中に昇華性有機化合物を含有させておくと、その塗布物の硬化時にこの昇華性有機化合物が昇華し、その昇華した跡を埋めるように体積収縮が起こり、それだけ導電性フィラーの粒子も接触し易くなり、塗膜が緻密になることにより導電性が向上し、導電性フィラーの含有量が少なくても所定の導電性が得られることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、(1)、(A)樹脂、(C)希釈剤、 (D)昇華性有機化合物及び(E)導電性フィラーを含有する導電性ペーストを提供するものである。
また、本発明は、(2)、(A)樹脂が熱硬化性樹脂及び活性エネルギー線硬化型樹脂の少なくとも1種であり、(B)硬化剤を含有し、(C)希釈剤が反応性希釈剤であり、揮発性溶剤を含まない上記(1)の導電性ペースト、(3)、(D)成分の含有量が(E)成分を除く(A)〜(D)中に5〜40質量%、(E)成分の含有量が(A)〜(E)中に60〜90質量%である上記(1)又は(2)の導電性ペースト、(3)、(C)希釈剤が反応性希釈剤であり、揮発性溶剤を含まない上記(1)又は(2)の導電性ペースト、(4)、(D)昇華性有機化合物がハロゲンを分子中に有しない有機化合物である上記(1)ないし(3)のいずれかにの導電性ペースト、(5)、(A)熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群のうちより選択される少なくとも1種又は2種以上の混合系である上記(2)ないし(4)のいずれかの導電性ペースト、(6)、導電性接着剤として使用する上記(1)ないし(5)のいずれかの導電性ペースト、(7)、上記(1)ないし(5)のいずれかの導電性ペーストを使用した電子回路用品をを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、「(A)樹脂」は有機バインダーとなるものであり、硬化性樹脂が挙げられるが、熱可塑性樹でもよく、両者は単独又は併用することができる。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂が挙げられるが、紫外線等の活性エネルギー線により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂でもよく、両者は単独又は併用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられ、これらのグループから選択される少なくとも1種、すなわち1種もしくは2種以上の混合系で使用することができる。導電性ペーストに使用した場合の粘性、硬化反応性の点からは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が特に好適である。エポキシ樹脂としては、常温で固体状態のものでもよく、液体状体のものでもよく、その中間のものでもよく、これらはを併用してもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば上記のエポキシ樹脂に(メタ)アクリレートのような不飽和一塩基酸を反応させてエポキシ(メタ)アクリレートを得、これに飽和もしくは不飽和の多塩基酸又はその無水物を反応させた光硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂の使用あるいは他の樹脂との併用は、低温で硬化あるいは半硬化させることができ、熱により塗布物が平坦化( レベリング) することを防止することができ、そのだけ幅の狭い、精度のよい細い線を形成できる。熱硬化性樹脂を併用するときはその後に熱硬化させればよい。
熱可塑性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリビニルエーテル、ポリサルホン、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、アイオノマー樹脂などが挙げられる。
【0008】
本発明において、「(A)樹脂」が熱可塑性樹脂だけを使用する場合には、「(B)硬化剤」は使用しないが、「(A)樹脂」が硬化性樹脂を使用する場合にはこれを使用する。この硬化剤は、熱硬化性樹脂の場合には熱作用により硬化剤としての機能をよりよく発揮するが、活性エネルギー線硬化樹脂の場合には活性エネルギー線の照射により重合開始剤として機能し、例えば紫外線の照射により光重合開始剤として機能する。
熱硬化性樹脂とともに使用される硬化剤としては、エポキシ硬化剤としては、従来から一般的に使用されている脂肪族ポリアミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、第三級アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤及び各種イミダゾール系硬化剤が挙げられるが、これに限らない。加熱により硬化剤としての機能を発揮する潜在性硬化剤は好ましく、硬化剤の反応基等を他の化合物でブロックし、加熱したときにそのブロックがはずれ、反応基等が再生される型のもののほかに、各硬化剤の粒子を非反応性の膜で包み加熱したときや適合する溶剤を添加したときにその膜が破れ、中の硬化剤が出ててくるようなタイプのカプセル化した潜在性硬化剤の使用はより好適である。
活性エネルギー線硬化樹脂とともに使用される光重合開始剤としては、従来感光性樹脂とともに使用されているものはいずれも使用でき、ベンゾイン系、アセトフェノン系、ケトン系、アントラキノン系等の化合物の少なくとも1種が挙げられる。
潜在性硬化剤として、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものは、具体的には、例えば、ノバキュアHX−3722、HX−3721、HX−3748、HX−3088、HX−3741、HX−3742、HX−3613、HX−3921HP、HX−3941HP(旭化成エポキシ社製、商品名)、フジキュアFXR−1020、FXR−1030、FXR−1050、FXR−1080(富士化成工業社製、商品名)、アミキュアPN−23、MY−24、VDH、UDH、PN−31、PN−40(味の素ファインテクノ社製、商品名)、EH−3615S、EH−3293S、EH−3366S、EH−3842、EH−3670S、EH−3636AS(旭電化工業社性、商品名)等が挙げられる。
【0009】
本発明において、「(C)希釈剤」はビヒクルの一成分となるが、溶剤としての機能も有するものであり、揮発性溶剤は使用してもよいが、これを使用しない、いわゆる無溶剤型の導電性ペーストは、製造時や使用時に大気汚染等による環境汚染の問題を回避できる点では好ましい。無溶剤型の導電性ペーストには、上記各樹脂等の配合成分を溶解し低粘度化するために、非揮発性の溶剤を希釈剤として使用してもよいが、反応性希釈剤を使用することも好ましい。
反応性希釈剤としては、分子に反応基を有し、硬化剤の存在下に自らの分子同志や、樹脂と反応をしてより非揮発性になり、導電性ペーストの塗膜に残留し、樹脂とともにバインダーとしての機能を有するものも挙げられる。好ましい反応性希釈剤としては、1官能反応型タイプや、2官能反応型タイプその他の多官能反応型タイプのいずれも使用でき、C12、C13混合系のアルキルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルなどの低分子エポキシ樹脂などを使用することもできる。また、グリシジルメタクリレート、クレジルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル等も挙げることができる。これらは単独もしくは2種類以上を混合して使用することができる。
【0010】
光重合性樹脂とともに用いる反応性希釈剤としては、多価アルコールのジ又はトリその他の(メタ)アクリレートが挙げられ、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、プロピオンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等も、非揮発性溶剤も兼ねて光重合性樹脂を光硬化させる成分として使用でき、これが好ましいが、揮発性溶剤も兼ねて使用してもよい。
【0011】
本発明において、「(D)昇華性有機化合物」は加熱によって液体状態を経ずに揮発する物質をいう。昇華性有機化合物は常温では固体であり、昇華し切れないものは固体として残存するが、塗布物の加熱時に昇華した分は空隙になるので、塗膜はその跡を埋めるように体積収縮をする。通常の液状の揮発性有機溶媒を使用しても塗布物の加熱時に、その有機溶媒の蒸発により塗布物の体積収縮は起こるが、揮発時におけるガスによる体積の膨張度合が大きいので、体積収縮では埋めきれない空孔が残り、いわゆるボイドの発生を増加させるが、昇華性有機化合物の場合には昇華時におけるガスの体積膨張度合は小さく、ボイドの発生を最小限に抑えることができる。
具体的には、昇華性有機化合物としては、2−アミノ−p−クレゾール、p−イソプロピル安息香酸、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、2−キノリルアルコール、クロモン、サリチルアルコール、1,4−シクロヘキサンジオン、1−シクロヘキセン−1−カルボン酸、ジ−1−ナフチルケトン、2,4−ジニトロアニソール、3,5−ジニトロトルエン、2,6−ジニトロフェノール、3,5−ジメチルピラゾール、NN−ジフェニルアセトアミド、2,3−ジメチル−p−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−p−ベンゾキノン、2,6−ジメチル−p−ベンゾキノン、1,2,4,5−テトラジン、2,3,4,5−テトラメチルピロール、テルペニル酸、テレフタル酸ジメチル、1,3,5−トリメトキシベンゼン、3,4−トルエンジアミン、2,5−トルエンジオール、メチル−1,4−ベンゾキノン、1,6−ナフタレンジオール、1,4−ナフトキノン、5−ニトロキノリン、7−ニトロキノリン、p−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンゾニトリル、4−ニトロレゾルシノール、ヒドロキシイミノアセトン、p−ヒドロキシベンゾアルデヒド、2−ピリジンエルボン酸、フェニルプロピオール酸、ペンタエリスリトールテトラアセテート、メチル−1,4−ベンゾキノン等を挙げることができる。特に、2,6−ジメチル−p−ベンゾキノン、テレフタル酸ジメチル、1,3,5−トリメトキシベンゼンが好適に使用できる。これらの昇華性化合物は、単体もしくは2種以上を混合してもよい。昇華性の効果及び導電性は変わらないことから、混合系でも使用可能である。
【0012】
本発明において、「(E)導電性フィラー」は、塗布物が導電性を示すための導電材料であり、従来から導電性接着剤や導電性塗装材料に使用されているものは特に制限なく使用できる。例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、錫等の導電性金属粉末や、それらの合金粉末、例えば銀銅、錫銀、錫銀銅等が挙げられるが、特に無鉛系でなくてもよい場合には、はんだ、錫鉛等も一部又は全部に使用できる。また、アルミナ等の粉状無機絶縁体やポリスチレン等の有機物の表面を導電性物質であるニッケル、金等の金属でコーティングしたもの、あるいはカーボンブラックやグラファイト等の炭素質の粉状物、カーボンファイバー等も用いることができる。これらは単独又は2種類以上を混合して使用することができる。また、導電性を有する粉末であれば、金属粉末に限定されることはなく、例えば、粒子の表面のみに金属層を備えたプラスチックビーズ、セラミックビーズ等の導電性フィラーでもよい。
導電性フィラーの形状について特に限定するものではないが、球状や鱗片状のものが好ましく、その混合系は特に好ましい。球状の場合には、その平均粒径が0.5〜50μm程度のもの、特に好ましくは1.0〜10μmのものが好ましい。このような形状の導電性フィラーを使用すると、上記樹脂等のバインダーとの組み合わせにより、上述した塗布物の加熱時の体積収縮によりその内部構造を緻密にすることができるが、これは導電性フィラーの粒子の相互接触面積をより増大させる効果があり、導電性を向上させることができる。
【0013】
本発明の導電性ペーストには、上述した樹脂、硬化剤、場合によっては希釈剤や昇華性有機化合物を含む有機バインダーや、これらを含むビヒクルに含有される導電性フィラーのほかに、硬化促進剤、レベリング剤、沈降防止剤、カップリング剤、消泡剤、基板の銅箔等の腐食防止剤等を添加することができる。なお、溶剤を添加してもよく、非揮発性の溶剤が好ましいが、揮発性溶剤も使用できる。
本発明の導電性ペーストは、導電性接着剤や塗装材料として用いることができるが、各成分は、上記昇華性有機化合物((D)成分)の含有量が導電性フィラー((E)成分)を除く、樹脂((A)成分)、希釈剤((C)成分)及び昇華性有機化合物((D)成分)、あるいはこれらに硬化剤((B)成分)を加えた成分中に5〜40質量%、導電性フィラー((E)成分)の含有量がこれらの(A)〜(E)中に60〜90質量%であることが好ましい。
導電性フィラーの含有量が60〜90質量%であるということは、その他のビヒクルともいえる成分は10〜40質量%であるが、導電性フィラーの含有量が60質量%未満では加熱処理した塗布物、特に硬化物は十分な導電性が得られないことがあり、また、その含有量が90質量%より多くなると、導電性ペーストの粘度が高くなり過ぎ、十分な流動性が得られず、塗布性が十分でないことがあり、特に樹脂分が少な過ぎる場合には導電性フィラーの粒子の結着力が十分でなかったり、導電性ペーストの塗布物の塗布面に対する接着力が不足し、導電性接着剤の場合には接合力が十分でなく、その高い信頼性が得られないことがある。
【0014】
また、上記の昇華性有機化合物の含有量が5質量%未満であると、この化合物の昇華により導電性ペーストの塗布物の体積収縮を起こして導電性を上げるという効果が上がらず、十分な導電性が得られないことがあり、逆に、その含有量が40質量%を超えるとその導電性は向上するが、相対的にその他の樹脂分等の配合比率が低下するので、特に樹脂分が低下する場合には、導電性ペーストの塗布物の塗布面に対する接着力が不足し、その塗布物のピール強度(剥離試験による剥離強度)が低下し、導電性接着剤の場合には接合力が十分でなく、その高い信頼性が得られないことがあるのみならず、昇華性有機化合物がその他の成分に対する溶解力が十分でなく、その結晶が析出し易く、その結晶が混在する塗布物はこれが存在しない系より不均一系になるので好ましくないことがある。
樹脂と希釈剤の比率は、質量比で65/5〜20/50が好ましく、その多寡が過ぎると昇華性有機化合物の場合と同様なことがいえるし、樹脂と硬化剤の比率は、質量比で40/5〜40/40が好ましく、硬化剤が少な過ぎると塗布物の硬化度が十分でないことがあり、多過ぎると昇華性有機化合物や希釈剤が多過ぎる場合と同様のことがあり得る。
【0015】
本発明の導電性ペーストの製造方法は特別な操作を必要とするものではなく、上記の導電性フィラーと、予め混合しておいた樹脂成分、硬化剤、昇華性有機化合物、希釈剤や必要に応じて上記の添加剤から選択した成分からなるビヒクルと、必要に応じて上記の添加剤から選択した成分(特に固形のもの)とを、典型的にはらいかい機、3本ロールミルやプラネタリーミキサー等の各種攪拌・混練装置を用いて混合・分散すればよい。
得られた導電性ペーストは、さらに真空下で脱泡処理することが好ましい。
【0016】
このようにして得られた導電性ペーストは、導電性接着剤や塗装材料として使用されるが、従来のエポキシ樹脂ベースの導電性接着剤や塗装材料と同様に取り扱うことができる。例えは電子部品を基板に接合したり、基板上に配線の導線を塗布により形成したり、あるいは電子部品に電極を形成するためのメッキの下地の導電膜として塗布したり、さらには多層プリント配線板の層間接続用のビアホール( 貫通孔、非貫通孔) に埋め込んで使用するには、一般的なスクリーン印刷法やディスペンサー塗布法、あるいは浸漬法等により、所望の形状になるように電子部品あるいは基板に塗布する。ついで、オーブンあるいはリフロー炉中で、導電性ペースト中に樹脂成分として熱可塑性樹脂成分のみを使用した場合には、昇華性有機化合物がその少なくとも一部を昇華できる温度で加熱し、あるいは導電性ペースト中に樹脂成分とし熱硬化性成分を使用した場合にはその温度以上になることもある温度で導電性ペーストの塗布物を硬化させ、あるいは導電性ペースト中に紫外線のような活性エネルギー線照射により硬化する光硬化性成分を使用した場合には、その照射後に昇華性有機化合物の少なくとも一部の昇華に不足があれば、さらにその昇華温度で加熱する。典型的には、例えばエポキシ樹脂硬化性成分を使用した場合には、加熱温度は120〜220℃、好ましくは150〜200℃であり、その加熱時間は5分〜30分であり、これらの条件で昇華性有機化合物が100質量%昇華してもよいが、90質量%以上昇華できればよい
。
【0017】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各成分の配合割合は「質量部」とする。
昇華性有機化合物の昇華性試験
表1に示す各昇華性有機化合物 0.10gをアルミ箔で作った皿に採取し、これをオーブン中150℃で10分加熱したときの重量減少(「加熱後の重量減少」として、採取したaが加熱後にbとなったときの(a−b)/a ×100%を求める。)を求め、その結果を各物質の分子量、融点とともに同表に示す。
【0018】
実施例1
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)40部、反応性希釈剤(共栄化学社製、エポライトM−1230(アルキルモノグリシジルエーテル))30部、潜在性硬化剤A(旭化成エポキシ社製、ノバキュアHX−3722(マイクロカプセル化アミン))10部、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン(表1の2,6−ジメチル−p−ベゾキノンの別名) 20部を攪拌機により攪拌して混合し、その20部に銀フィラー(テクニカルジャパン社製、No.519(球状、平均粒径2.1μm):福田金属箔粉工業社製、ナノメルト XF−301(フレーク状、平均粒径5.2μm)=40:60(質量比))80部を加え、らいかい機で攪拌・混練し、導電製ペーストを得た。その配合を表2に示す。
【0019】
実施例2〜5
実施例1において、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン 20部の代わりに、表2に示すように、各化合物を単独で20部又は各化合物の2者を等分に10部づつ用いたこと以外は同様にして導電性ペーストを得た。その配合を表2に示す。
【0020】
参考例1、2
実施例1において、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン 20部の代わりに、表2に示すように、各化合物を単独で2部、50部用い、その差額分は前者では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)13部、反応性希釈剤(共栄化学社製、エポライトM−1230)5部を用い、後者ではビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)について18部減らすとともに、反応性希釈剤(共栄化学社製、エポライトM−1230)も10部減らしたこと以外は同様にして導電性ペーストを得た。その配合を表2に示す。
【0021】
比較例1
実施例1において、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン 20gを使用せず、表2に示すように、その代わりにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)12部、反応性希釈剤(共栄化学社製、エポライトM−1230)8部を用いたこと以外は同様にして導電性ペーストを得た。その配合を表2に示す。
【0022】
上記実施例、参考例、比較例で得られた導電性ペーストについて以下の評価試験を行った。その結果を表2に示す。
(a) 体積固有抵抗の測定
導電性ペーストを銅箔ランドが50mmの間隔で形成されたガラスエポキシ樹脂基板上に膜厚50μmを保って、幅10mm、長さ50mmの短冊状に各ランドを被覆するようにしてスクリーン印刷した。これを150℃、10分間加熱して塗膜を硬化させた。その硬化後の塗膜(導電膜)の膜厚を表面粗さ測定機で測定するとともに、ランド間の電気抵抗値をデジタルマルチメータで測定し、体積固有抵抗値を次式によって算出した。そして、同じことを3回(繰り返し数n=3)行ってその平均値を表2に示す。
体積固有抵抗(Ω・cm)=R×t×W/L
(式中、Rは抵抗値、tは導電膜の膜厚(50μm)、Wは導電膜の幅(10mm)、Lは導電膜の長さ(50mm)を示す。)
(b) ピール強度の測定
開口寸法3×3mm(縦横各3mm)、厚さ150μmのメタルマスクを用いて、30×30mm(縦横各30mm)の銅板上に導電性ペーストを印刷した。その塗膜上に0.4mm(厚さ)×3mm(横)×20mm(縦)の銅試験片の一端側を載せて、150℃、10分間加熱し、塗膜を硬化させた。
その後、銅板、塗膜、試験片が常温(20℃)になった段階で、銅試験片の他端側を垂直(90度)に折り曲げて起立させ、その先端を引張り試験機の治具に固定し、引張速度10mm/分で引張り試験を行ってそのピール強度(剥離強度)を測定する。繰り返し数n=10で行ない、その平均値を表2に示す。
なお、上記の試験片はチップ部品と見做せば、チップ部品の電極を基板の銅箔ランドに接合するものに相当し、ソルダーペーストを用いたリフローはんだ付と対比することができる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】表1から明らかのように、本実施例で使用した昇華性有機化合物は150℃、10分の加熱条件によって、ほとんどが昇華していることがわかる。また、表1に示した3種の各昇華性有機化合物を用いた導電性ペーストについては、表2から明らかのように、体積固相抵抗値は実施例1〜5のものは比較例1に対してはいうまでもなく、参考例1に対しても顕著に優れ、ピール強度は実施例1〜5のものは比較例1に対しては実質的には同程度ということができ、参考例2に対しては顕著に優れる。また、参考例1は比較例1に対して、体積固相抵抗値が何倍もよく顕著に優れ、参考例2はそれよりもよく、これも顕著に優れることがわかる。比較例1は従来のエポキシ樹脂ベースの導電性接着剤と見做せるので、本実施例のものはいうまでもなく、参考例1、2のもの(実施例に準ずるものとして本発明に含まれる。)も、体積固相抵抗についてはこの従来のものより顕著に優れることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、昇華性有機化合物を含有させた導電性ペーストを提供できるので、塗布物において十分な導電性が得られ、これにより電子部品の接合や配線等において電気抵抗による発熱が少なく、電子部品その他の電子回路の性能を向上させ、電子製品自体の信頼性を大幅に高めることができる。
また、高価な導電性フィラーの含有量を高くしないですみコスト高にならず、製造時や使用時に大気汚染による環境への影響が懸念されることがないような導電ペーストを提供することができ、有鉛金属材料を使用しないでもよいことと相まって、コスト高にならず、環境にもやさしい電子製品及びその製造方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子部品等に用いられる導電性接着剤、導電性塗布材料等の導電性ペースト及びこれを用いた電子回路用品に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI等の半導体素子その他の各種電子部品の組み立てや、これらの回路基板への搭載、さらには回路基板における配線等には、はんだペーストを用いたはんだ付けのようには金属を溶融しないで、金属粉末をバインダーに結着させた導電体を形成することができる塗膜型の導電性ペーストが接着剤や塗布材料として用いられている。
これらの分野には、早くからSn−Pb系の共晶はんだがはんだ付材料として用いられ、その導電性と接着強度等の点からは高い信頼性が得られているが、近年、野外に投棄された電子機器の廃棄物からは酸性雨等によりそのはんだ付に使用したはんだから有害な鉛が溶出するという環境汚染問題がクローズアップされてきた。その改善のために鉛を含まない、いわゆる鉛フリーのはんだ合金が種々開発され、導入されはじめている。しかし、これらの鉛フリーのはんだ合金の融点は、従来から使用されてきたSn−Pb系の共晶はんだの融点に比較して、30〜40℃も高いことから、その材料を含有するはんだペーストを用いて例えばチップ部品を回路基板にリフローはんだ付した場合には、耐熱性の弱い基板や電子部品に対する熱的影響が大きく、所定の性能が得られないことがあるという信頼性に対する別の問題が生じる。
これらの場合はいずれも、最終的にははんだを溶融することにより、接合材料として使用しようとするものであるが、これに代わって、導電材料として含有させた金属粉末(導電性フィラー)を溶融せず、その金属粉末のままバインダーにより結合した塗膜を形成し、導電性が得られるようにした塗膜型の導電性ペーストが用いられるようになり、これによればその塗膜の硬化温度は150〜200℃とSn−Pb系の共晶はんだを用いた場合よりも低い温度で接合等を行うことができるので、上記のような基板や電子部品に対する熱的影響もないようにすることができる。
【0003】
ところで、塗膜型の導電性ペーストの塗膜は、主に有機バインダーと導電性フィラーから構成されており、導電材料の導電性フィラーが絶縁材料の有機バインダーにより結着されることが通常であるので、例えば接着剤として使用した場合には、接合部における導電性ははんだによる接合部に比べればまだ低い。その導電性を向上させるために、導電性フィラーの含有量を高くした製品も販売されているが、例えば銀フィラーのように導電性フィラーは高価であるので、コスト高になるという問題がある。
また、エポキシ樹脂、メラミン樹脂及びアクリル樹脂の混合系と導電性フィラーからなる接着剤において、その塗布膜の硬化時における樹脂の体積収縮作用を利用して導電性を向上させることも知られている(例えば特開2002−184236号公報)。また、熱可塑性樹脂と溶剤の系に鱗片状と球状の導電性フィラーを混合して導電性を向上しようとした例もある(例えば特開平11−66956号公報)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−184236号公報
【特許文献2】
特開平11−66956号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特開2002−184236号公報に記載されたものは導電性は十分とはいえず、後者の特開平11−66956号公報に記載されたものは、溶剤を含んでおり、製造時あるいは使用時においてその溶剤の揮発にともなう大気汚染による環境への影響が懸念されるという問題がある。
このことから、有機バインダーを使用しても導電性が十分であって高性能の導電体を形成でき、これにより電子部品の性能を高めることができるとともに、溶剤を使用しないでもよいような導電性接着剤や塗装材料に適合する導電性ペーストが求められている。
本発明の第1の目的は、塗布物において十分な導電性が得られるような導電性ペーストを提供することにある。
本発明の第2の目的は、電子部品の接合や配線等において電気抵抗による発熱が少なく、電子部品その他の電子回路の性能を向上させ、電子製品自体の信頼性を大幅に高めることができる導電性ペーストを提供することにある。
本発明の第3の目的は、高価な導電性フィラーの含有量を高くしないですみコスト高にならないような導電性ペーストを提供することにある。
本発明の第4の目的は、製造時や使用時に大気汚染による環境への影響が懸念されることがないような導電性ペーストを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、導電性ペースト中に昇華性有機化合物を含有させておくと、その塗布物の硬化時にこの昇華性有機化合物が昇華し、その昇華した跡を埋めるように体積収縮が起こり、それだけ導電性フィラーの粒子も接触し易くなり、塗膜が緻密になることにより導電性が向上し、導電性フィラーの含有量が少なくても所定の導電性が得られることを見出し、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、(1)、(A)樹脂、(C)希釈剤、 (D)昇華性有機化合物及び(E)導電性フィラーを含有する導電性ペーストを提供するものである。
また、本発明は、(2)、(A)樹脂が熱硬化性樹脂及び活性エネルギー線硬化型樹脂の少なくとも1種であり、(B)硬化剤を含有し、(C)希釈剤が反応性希釈剤であり、揮発性溶剤を含まない上記(1)の導電性ペースト、(3)、(D)成分の含有量が(E)成分を除く(A)〜(D)中に5〜40質量%、(E)成分の含有量が(A)〜(E)中に60〜90質量%である上記(1)又は(2)の導電性ペースト、(3)、(C)希釈剤が反応性希釈剤であり、揮発性溶剤を含まない上記(1)又は(2)の導電性ペースト、(4)、(D)昇華性有機化合物がハロゲンを分子中に有しない有機化合物である上記(1)ないし(3)のいずれかにの導電性ペースト、(5)、(A)熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群のうちより選択される少なくとも1種又は2種以上の混合系である上記(2)ないし(4)のいずれかの導電性ペースト、(6)、導電性接着剤として使用する上記(1)ないし(5)のいずれかの導電性ペースト、(7)、上記(1)ないし(5)のいずれかの導電性ペーストを使用した電子回路用品をを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、「(A)樹脂」は有機バインダーとなるものであり、硬化性樹脂が挙げられるが、熱可塑性樹でもよく、両者は単独又は併用することができる。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂が挙げられるが、紫外線等の活性エネルギー線により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂でもよく、両者は単独又は併用することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられ、これらのグループから選択される少なくとも1種、すなわち1種もしくは2種以上の混合系で使用することができる。導電性ペーストに使用した場合の粘性、硬化反応性の点からは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が特に好適である。エポキシ樹脂としては、常温で固体状態のものでもよく、液体状体のものでもよく、その中間のものでもよく、これらはを併用してもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば上記のエポキシ樹脂に(メタ)アクリレートのような不飽和一塩基酸を反応させてエポキシ(メタ)アクリレートを得、これに飽和もしくは不飽和の多塩基酸又はその無水物を反応させた光硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂の使用あるいは他の樹脂との併用は、低温で硬化あるいは半硬化させることができ、熱により塗布物が平坦化( レベリング) することを防止することができ、そのだけ幅の狭い、精度のよい細い線を形成できる。熱硬化性樹脂を併用するときはその後に熱硬化させればよい。
熱可塑性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリビニルエーテル、ポリサルホン、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリ酢酸ビニル、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、アイオノマー樹脂などが挙げられる。
【0008】
本発明において、「(A)樹脂」が熱可塑性樹脂だけを使用する場合には、「(B)硬化剤」は使用しないが、「(A)樹脂」が硬化性樹脂を使用する場合にはこれを使用する。この硬化剤は、熱硬化性樹脂の場合には熱作用により硬化剤としての機能をよりよく発揮するが、活性エネルギー線硬化樹脂の場合には活性エネルギー線の照射により重合開始剤として機能し、例えば紫外線の照射により光重合開始剤として機能する。
熱硬化性樹脂とともに使用される硬化剤としては、エポキシ硬化剤としては、従来から一般的に使用されている脂肪族ポリアミン系硬化剤、芳香族アミン系硬化剤、第三級アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤及び各種イミダゾール系硬化剤が挙げられるが、これに限らない。加熱により硬化剤としての機能を発揮する潜在性硬化剤は好ましく、硬化剤の反応基等を他の化合物でブロックし、加熱したときにそのブロックがはずれ、反応基等が再生される型のもののほかに、各硬化剤の粒子を非反応性の膜で包み加熱したときや適合する溶剤を添加したときにその膜が破れ、中の硬化剤が出ててくるようなタイプのカプセル化した潜在性硬化剤の使用はより好適である。
活性エネルギー線硬化樹脂とともに使用される光重合開始剤としては、従来感光性樹脂とともに使用されているものはいずれも使用でき、ベンゾイン系、アセトフェノン系、ケトン系、アントラキノン系等の化合物の少なくとも1種が挙げられる。
潜在性硬化剤として、エポキシ樹脂の硬化剤として用いられるものは、具体的には、例えば、ノバキュアHX−3722、HX−3721、HX−3748、HX−3088、HX−3741、HX−3742、HX−3613、HX−3921HP、HX−3941HP(旭化成エポキシ社製、商品名)、フジキュアFXR−1020、FXR−1030、FXR−1050、FXR−1080(富士化成工業社製、商品名)、アミキュアPN−23、MY−24、VDH、UDH、PN−31、PN−40(味の素ファインテクノ社製、商品名)、EH−3615S、EH−3293S、EH−3366S、EH−3842、EH−3670S、EH−3636AS(旭電化工業社性、商品名)等が挙げられる。
【0009】
本発明において、「(C)希釈剤」はビヒクルの一成分となるが、溶剤としての機能も有するものであり、揮発性溶剤は使用してもよいが、これを使用しない、いわゆる無溶剤型の導電性ペーストは、製造時や使用時に大気汚染等による環境汚染の問題を回避できる点では好ましい。無溶剤型の導電性ペーストには、上記各樹脂等の配合成分を溶解し低粘度化するために、非揮発性の溶剤を希釈剤として使用してもよいが、反応性希釈剤を使用することも好ましい。
反応性希釈剤としては、分子に反応基を有し、硬化剤の存在下に自らの分子同志や、樹脂と反応をしてより非揮発性になり、導電性ペーストの塗膜に残留し、樹脂とともにバインダーとしての機能を有するものも挙げられる。好ましい反応性希釈剤としては、1官能反応型タイプや、2官能反応型タイプその他の多官能反応型タイプのいずれも使用でき、C12、C13混合系のアルキルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAグリシジルエーテルなどの低分子エポキシ樹脂などを使用することもできる。また、グリシジルメタクリレート、クレジルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル等も挙げることができる。これらは単独もしくは2種類以上を混合して使用することができる。
【0010】
光重合性樹脂とともに用いる反応性希釈剤としては、多価アルコールのジ又はトリその他の(メタ)アクリレートが挙げられ、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、プロピオンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等も、非揮発性溶剤も兼ねて光重合性樹脂を光硬化させる成分として使用でき、これが好ましいが、揮発性溶剤も兼ねて使用してもよい。
【0011】
本発明において、「(D)昇華性有機化合物」は加熱によって液体状態を経ずに揮発する物質をいう。昇華性有機化合物は常温では固体であり、昇華し切れないものは固体として残存するが、塗布物の加熱時に昇華した分は空隙になるので、塗膜はその跡を埋めるように体積収縮をする。通常の液状の揮発性有機溶媒を使用しても塗布物の加熱時に、その有機溶媒の蒸発により塗布物の体積収縮は起こるが、揮発時におけるガスによる体積の膨張度合が大きいので、体積収縮では埋めきれない空孔が残り、いわゆるボイドの発生を増加させるが、昇華性有機化合物の場合には昇華時におけるガスの体積膨張度合は小さく、ボイドの発生を最小限に抑えることができる。
具体的には、昇華性有機化合物としては、2−アミノ−p−クレゾール、p−イソプロピル安息香酸、2−エチル−2−ヒドロキシ酪酸、2−キノリルアルコール、クロモン、サリチルアルコール、1,4−シクロヘキサンジオン、1−シクロヘキセン−1−カルボン酸、ジ−1−ナフチルケトン、2,4−ジニトロアニソール、3,5−ジニトロトルエン、2,6−ジニトロフェノール、3,5−ジメチルピラゾール、NN−ジフェニルアセトアミド、2,3−ジメチル−p−ベンゾキノン、2,5−ジメチル−p−ベンゾキノン、2,6−ジメチル−p−ベンゾキノン、1,2,4,5−テトラジン、2,3,4,5−テトラメチルピロール、テルペニル酸、テレフタル酸ジメチル、1,3,5−トリメトキシベンゼン、3,4−トルエンジアミン、2,5−トルエンジオール、メチル−1,4−ベンゾキノン、1,6−ナフタレンジオール、1,4−ナフトキノン、5−ニトロキノリン、7−ニトロキノリン、p−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンゾニトリル、4−ニトロレゾルシノール、ヒドロキシイミノアセトン、p−ヒドロキシベンゾアルデヒド、2−ピリジンエルボン酸、フェニルプロピオール酸、ペンタエリスリトールテトラアセテート、メチル−1,4−ベンゾキノン等を挙げることができる。特に、2,6−ジメチル−p−ベンゾキノン、テレフタル酸ジメチル、1,3,5−トリメトキシベンゼンが好適に使用できる。これらの昇華性化合物は、単体もしくは2種以上を混合してもよい。昇華性の効果及び導電性は変わらないことから、混合系でも使用可能である。
【0012】
本発明において、「(E)導電性フィラー」は、塗布物が導電性を示すための導電材料であり、従来から導電性接着剤や導電性塗装材料に使用されているものは特に制限なく使用できる。例えば銀、銅、金、ニッケル、パラジウム、錫等の導電性金属粉末や、それらの合金粉末、例えば銀銅、錫銀、錫銀銅等が挙げられるが、特に無鉛系でなくてもよい場合には、はんだ、錫鉛等も一部又は全部に使用できる。また、アルミナ等の粉状無機絶縁体やポリスチレン等の有機物の表面を導電性物質であるニッケル、金等の金属でコーティングしたもの、あるいはカーボンブラックやグラファイト等の炭素質の粉状物、カーボンファイバー等も用いることができる。これらは単独又は2種類以上を混合して使用することができる。また、導電性を有する粉末であれば、金属粉末に限定されることはなく、例えば、粒子の表面のみに金属層を備えたプラスチックビーズ、セラミックビーズ等の導電性フィラーでもよい。
導電性フィラーの形状について特に限定するものではないが、球状や鱗片状のものが好ましく、その混合系は特に好ましい。球状の場合には、その平均粒径が0.5〜50μm程度のもの、特に好ましくは1.0〜10μmのものが好ましい。このような形状の導電性フィラーを使用すると、上記樹脂等のバインダーとの組み合わせにより、上述した塗布物の加熱時の体積収縮によりその内部構造を緻密にすることができるが、これは導電性フィラーの粒子の相互接触面積をより増大させる効果があり、導電性を向上させることができる。
【0013】
本発明の導電性ペーストには、上述した樹脂、硬化剤、場合によっては希釈剤や昇華性有機化合物を含む有機バインダーや、これらを含むビヒクルに含有される導電性フィラーのほかに、硬化促進剤、レベリング剤、沈降防止剤、カップリング剤、消泡剤、基板の銅箔等の腐食防止剤等を添加することができる。なお、溶剤を添加してもよく、非揮発性の溶剤が好ましいが、揮発性溶剤も使用できる。
本発明の導電性ペーストは、導電性接着剤や塗装材料として用いることができるが、各成分は、上記昇華性有機化合物((D)成分)の含有量が導電性フィラー((E)成分)を除く、樹脂((A)成分)、希釈剤((C)成分)及び昇華性有機化合物((D)成分)、あるいはこれらに硬化剤((B)成分)を加えた成分中に5〜40質量%、導電性フィラー((E)成分)の含有量がこれらの(A)〜(E)中に60〜90質量%であることが好ましい。
導電性フィラーの含有量が60〜90質量%であるということは、その他のビヒクルともいえる成分は10〜40質量%であるが、導電性フィラーの含有量が60質量%未満では加熱処理した塗布物、特に硬化物は十分な導電性が得られないことがあり、また、その含有量が90質量%より多くなると、導電性ペーストの粘度が高くなり過ぎ、十分な流動性が得られず、塗布性が十分でないことがあり、特に樹脂分が少な過ぎる場合には導電性フィラーの粒子の結着力が十分でなかったり、導電性ペーストの塗布物の塗布面に対する接着力が不足し、導電性接着剤の場合には接合力が十分でなく、その高い信頼性が得られないことがある。
【0014】
また、上記の昇華性有機化合物の含有量が5質量%未満であると、この化合物の昇華により導電性ペーストの塗布物の体積収縮を起こして導電性を上げるという効果が上がらず、十分な導電性が得られないことがあり、逆に、その含有量が40質量%を超えるとその導電性は向上するが、相対的にその他の樹脂分等の配合比率が低下するので、特に樹脂分が低下する場合には、導電性ペーストの塗布物の塗布面に対する接着力が不足し、その塗布物のピール強度(剥離試験による剥離強度)が低下し、導電性接着剤の場合には接合力が十分でなく、その高い信頼性が得られないことがあるのみならず、昇華性有機化合物がその他の成分に対する溶解力が十分でなく、その結晶が析出し易く、その結晶が混在する塗布物はこれが存在しない系より不均一系になるので好ましくないことがある。
樹脂と希釈剤の比率は、質量比で65/5〜20/50が好ましく、その多寡が過ぎると昇華性有機化合物の場合と同様なことがいえるし、樹脂と硬化剤の比率は、質量比で40/5〜40/40が好ましく、硬化剤が少な過ぎると塗布物の硬化度が十分でないことがあり、多過ぎると昇華性有機化合物や希釈剤が多過ぎる場合と同様のことがあり得る。
【0015】
本発明の導電性ペーストの製造方法は特別な操作を必要とするものではなく、上記の導電性フィラーと、予め混合しておいた樹脂成分、硬化剤、昇華性有機化合物、希釈剤や必要に応じて上記の添加剤から選択した成分からなるビヒクルと、必要に応じて上記の添加剤から選択した成分(特に固形のもの)とを、典型的にはらいかい機、3本ロールミルやプラネタリーミキサー等の各種攪拌・混練装置を用いて混合・分散すればよい。
得られた導電性ペーストは、さらに真空下で脱泡処理することが好ましい。
【0016】
このようにして得られた導電性ペーストは、導電性接着剤や塗装材料として使用されるが、従来のエポキシ樹脂ベースの導電性接着剤や塗装材料と同様に取り扱うことができる。例えは電子部品を基板に接合したり、基板上に配線の導線を塗布により形成したり、あるいは電子部品に電極を形成するためのメッキの下地の導電膜として塗布したり、さらには多層プリント配線板の層間接続用のビアホール( 貫通孔、非貫通孔) に埋め込んで使用するには、一般的なスクリーン印刷法やディスペンサー塗布法、あるいは浸漬法等により、所望の形状になるように電子部品あるいは基板に塗布する。ついで、オーブンあるいはリフロー炉中で、導電性ペースト中に樹脂成分として熱可塑性樹脂成分のみを使用した場合には、昇華性有機化合物がその少なくとも一部を昇華できる温度で加熱し、あるいは導電性ペースト中に樹脂成分とし熱硬化性成分を使用した場合にはその温度以上になることもある温度で導電性ペーストの塗布物を硬化させ、あるいは導電性ペースト中に紫外線のような活性エネルギー線照射により硬化する光硬化性成分を使用した場合には、その照射後に昇華性有機化合物の少なくとも一部の昇華に不足があれば、さらにその昇華温度で加熱する。典型的には、例えばエポキシ樹脂硬化性成分を使用した場合には、加熱温度は120〜220℃、好ましくは150〜200℃であり、その加熱時間は5分〜30分であり、これらの条件で昇華性有機化合物が100質量%昇華してもよいが、90質量%以上昇華できればよい
。
【0017】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各成分の配合割合は「質量部」とする。
昇華性有機化合物の昇華性試験
表1に示す各昇華性有機化合物 0.10gをアルミ箔で作った皿に採取し、これをオーブン中150℃で10分加熱したときの重量減少(「加熱後の重量減少」として、採取したaが加熱後にbとなったときの(a−b)/a ×100%を求める。)を求め、その結果を各物質の分子量、融点とともに同表に示す。
【0018】
実施例1
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)40部、反応性希釈剤(共栄化学社製、エポライトM−1230(アルキルモノグリシジルエーテル))30部、潜在性硬化剤A(旭化成エポキシ社製、ノバキュアHX−3722(マイクロカプセル化アミン))10部、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン(表1の2,6−ジメチル−p−ベゾキノンの別名) 20部を攪拌機により攪拌して混合し、その20部に銀フィラー(テクニカルジャパン社製、No.519(球状、平均粒径2.1μm):福田金属箔粉工業社製、ナノメルト XF−301(フレーク状、平均粒径5.2μm)=40:60(質量比))80部を加え、らいかい機で攪拌・混練し、導電製ペーストを得た。その配合を表2に示す。
【0019】
実施例2〜5
実施例1において、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン 20部の代わりに、表2に示すように、各化合物を単独で20部又は各化合物の2者を等分に10部づつ用いたこと以外は同様にして導電性ペーストを得た。その配合を表2に示す。
【0020】
参考例1、2
実施例1において、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン 20部の代わりに、表2に示すように、各化合物を単独で2部、50部用い、その差額分は前者では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)13部、反応性希釈剤(共栄化学社製、エポライトM−1230)5部を用い、後者ではビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)について18部減らすとともに、反応性希釈剤(共栄化学社製、エポライトM−1230)も10部減らしたこと以外は同様にして導電性ペーストを得た。その配合を表2に示す。
【0021】
比較例1
実施例1において、2,6−ジメチル−1,4−ベンゾキノン 20gを使用せず、表2に示すように、その代わりにビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)12部、反応性希釈剤(共栄化学社製、エポライトM−1230)8部を用いたこと以外は同様にして導電性ペーストを得た。その配合を表2に示す。
【0022】
上記実施例、参考例、比較例で得られた導電性ペーストについて以下の評価試験を行った。その結果を表2に示す。
(a) 体積固有抵抗の測定
導電性ペーストを銅箔ランドが50mmの間隔で形成されたガラスエポキシ樹脂基板上に膜厚50μmを保って、幅10mm、長さ50mmの短冊状に各ランドを被覆するようにしてスクリーン印刷した。これを150℃、10分間加熱して塗膜を硬化させた。その硬化後の塗膜(導電膜)の膜厚を表面粗さ測定機で測定するとともに、ランド間の電気抵抗値をデジタルマルチメータで測定し、体積固有抵抗値を次式によって算出した。そして、同じことを3回(繰り返し数n=3)行ってその平均値を表2に示す。
体積固有抵抗(Ω・cm)=R×t×W/L
(式中、Rは抵抗値、tは導電膜の膜厚(50μm)、Wは導電膜の幅(10mm)、Lは導電膜の長さ(50mm)を示す。)
(b) ピール強度の測定
開口寸法3×3mm(縦横各3mm)、厚さ150μmのメタルマスクを用いて、30×30mm(縦横各30mm)の銅板上に導電性ペーストを印刷した。その塗膜上に0.4mm(厚さ)×3mm(横)×20mm(縦)の銅試験片の一端側を載せて、150℃、10分間加熱し、塗膜を硬化させた。
その後、銅板、塗膜、試験片が常温(20℃)になった段階で、銅試験片の他端側を垂直(90度)に折り曲げて起立させ、その先端を引張り試験機の治具に固定し、引張速度10mm/分で引張り試験を行ってそのピール強度(剥離強度)を測定する。繰り返し数n=10で行ない、その平均値を表2に示す。
なお、上記の試験片はチップ部品と見做せば、チップ部品の電極を基板の銅箔ランドに接合するものに相当し、ソルダーペーストを用いたリフローはんだ付と対比することができる。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】表1から明らかのように、本実施例で使用した昇華性有機化合物は150℃、10分の加熱条件によって、ほとんどが昇華していることがわかる。また、表1に示した3種の各昇華性有機化合物を用いた導電性ペーストについては、表2から明らかのように、体積固相抵抗値は実施例1〜5のものは比較例1に対してはいうまでもなく、参考例1に対しても顕著に優れ、ピール強度は実施例1〜5のものは比較例1に対しては実質的には同程度ということができ、参考例2に対しては顕著に優れる。また、参考例1は比較例1に対して、体積固相抵抗値が何倍もよく顕著に優れ、参考例2はそれよりもよく、これも顕著に優れることがわかる。比較例1は従来のエポキシ樹脂ベースの導電性接着剤と見做せるので、本実施例のものはいうまでもなく、参考例1、2のもの(実施例に準ずるものとして本発明に含まれる。)も、体積固相抵抗についてはこの従来のものより顕著に優れることがわかる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、昇華性有機化合物を含有させた導電性ペーストを提供できるので、塗布物において十分な導電性が得られ、これにより電子部品の接合や配線等において電気抵抗による発熱が少なく、電子部品その他の電子回路の性能を向上させ、電子製品自体の信頼性を大幅に高めることができる。
また、高価な導電性フィラーの含有量を高くしないですみコスト高にならず、製造時や使用時に大気汚染による環境への影響が懸念されることがないような導電ペーストを提供することができ、有鉛金属材料を使用しないでもよいことと相まって、コスト高にならず、環境にもやさしい電子製品及びその製造方法を提供することができる。
Claims (7)
- (A)樹脂、(C)希釈剤、 (D)昇華性有機化合物及び(E)導電性フィラーを含有する導電性ペースト。
- (A)樹脂が熱硬化性樹脂及び活性エネルギー線硬化型樹脂の少なくとも1種であり、(B)硬化剤を含有し、(C)希釈剤が反応性希釈剤であり、揮発性有機溶剤を含まない請求項1に記載の導電性ペースト。
- (D)成分の含有量が(E)成分を除く(A)〜(D)中に5〜40質量%、(E)成分の含有量が(A)〜(E)中に60〜90質量%である請求項1又は2に記載の導電性ペースト。
- (D)昇華性有機化合物がハロゲンを分子中に有しない有機化合物である請求項1ないし3のいずれかに記載の導電性ペースト。
- (A)熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群のうちより選択される少なくとも1種又は2種以上の混合系である請求項2ないし4のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 導電性接着剤として使用する請求項1ないし5のいずれかに記載の導電性ペースト。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の導電性ペーストを使用した電子回路用品。
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- 2002-11-29 JP JP2002346782A patent/JP2004179101A/ja active Pending
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