JP4725373B2 - 電子部品実装構造体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子に代表される電子部品を配線基板等に実装するための導電性材料、およびこれを用いた電子部品実装構造体と配線基板ならびにそれらの製造方法に関する。
近年、携帯電話に代表されるように携帯電子機器の普及と機能の向上が著しく、複数の半導体素子を配線基板に高密度に実装することが要求されている。さらに、これらの携帯電子機器は機能の向上だけでなく、低コスト化も要求されており、より安価な実装構造や配線基板の製造方法が要求されている。
従来、半導体素子を配線基板にフリップチップ実装する場合には、半導体素子の電極端子上に金バンプあるいはハンダバンプを形成し、配線基板の接続端子と金属接合、導電性樹脂等による接合、または直接接触による接続等が行われている。しかしながら、金バンプは一般にメッキ法またはワイヤバンプ法で形成されているが、メッキ法は狭ピッチに対応することは可能であるが製造コストが高いという課題を有している。一方、ワイヤバンプ法は低コストであるが、狭ピッチに対応できないという課題を有している。
また、ハンダバンプは一般にハンダメッキにより形成されるが、金メッキによるバンプの場合と同様に製造コストが高いという課題を有している。
さらに、狭ピッチの突起電極を形成した場合でも、安価で、かつ狭ピッチの配線電極を有する配線基板が実現されなければ、全体として低コスト化が困難である。このような点から、半導体素子を高密度に実装可能とするために突起電極の形成法や狭ピッチで、かつ低コストで作製可能な配線基板の開発が進められている。
例えば、突起電極の製造方法として、以下のような方法が示されている(例えば、特許文献1参照)。これは、導電性樹脂を半導体素子の全面に塗布し、この導電性樹脂をレジストとしてフォトリソグラフィー技術によって、半導体素子の所定の位置以外の部分をエッチングによって除去して形成する方法である。この製造方法によると、突起電極は導電性樹脂で形成されているので弾力性を有しており、製造上、高さのばらつきが生じても、それを弾力性で吸収することができる。したがって、実装時、接続の信頼性が向上する。また、設備や技術等の点で、従来の方法に比べ簡略化を図れるのでコストの低減化も可能であるとしている。
さらに、狭ピッチの突起電極の形成方法として、レーザメッキ法も示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法は、少なくとも基板のバンプを形成する部位に、メッキ溶液を接触させるメッキ溶液接触工程と、少なくとも上記基板上の上記部位にメッキ溶液が接触しているときに、レーザ光を照射して金属を析出させることにより突起電極を形成するレーザ光照射工程とを有し、レーザ光照射工程では少なくとも基板の突起電極を形成する部位の上にレーザ光を透過でき、金属の析出を制限するバンプ形成制限手段を設ける方法からなる。
このような方法により、突起電極を任意の形状とすることができ、かつそれぞれの突起電極の高さをすべてそれぞれの目的の高さとすることができるとしている。
一方、半導体素子を実装する配線基板を簡単なプロセスで作製することも検討されている。その方法の1つとして、光造形法を用いて電気的絶縁層と配線層とを形成することが示されている(例えば、特許文献3参照)。この方法による配線基板の製造方法は、以下のようである。すなわち、光硬化樹脂として絶縁性液状樹脂を用いる光造形法により電気的絶縁層を形成する工程と、光硬化樹脂として導電性液状樹脂を用いる光造形法により導電性液状樹脂に光照射して配線パターンとなる部位を光硬化させ、光硬化した部位以外の導電性液状樹脂を除去して配線層の配線パターンを形成する工程とを備える方法からなる。
このような光造形法において、液晶マスクを用いて三次元構造物を形成する方法も示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平05−067617号公報 特開2002−164368号公報 特開2004−022623号公報 特開2001−252986号公報
上記第1の例に示された突起電極の製造方法は、感光性を有する導電性樹脂を半導体素子上に塗布した後、フォトリソグラフィー技術により露光して硬化させ、露光されなかった不要領域をエッチングして除去することで突起電極を形成する方法である。このため、導電性樹脂層を厚く形成すると、エッチングにおいてテーパ形状となり狭ピッチ化が困難である。また、導電性樹脂であることから接続抵抗が高く、小電流にしか対応できない。
また、上記第2の例に示されたレーザメッキ法では、狭ピッチで、かつ高さのそろった突起電極を形成することができるが、ビーム状にしたレーザ光をスキャンして照射する必要があるため生産性に課題があり、かつメッキ液や洗浄液等の廃水処理のためのコストが高くなり、安価に作製することが困難である。さらに、メッキできる材料には制約があり、導電性樹脂のように柔らかい材料を用いることができないので熱応力等が作用した場合の信頼性を改善することが比較的困難である。
また、上記第3の例では、光造形法により電気的絶縁層と配線層とを形成しているが、配線層となる導電性樹脂は感光性の液状樹脂中にアルミニウム等の金属粉末を添加したものを光照射により硬化させたものである。このため、光硬化した時点では、半導体素子を実装するような配線基板の配線電極として充分小さな抵抗とすることができないという課題を有していた。
本発明は上記の課題を解決するもので、感光性樹脂と低融点金属からなる導電性フィラーとを含む感光性液状樹脂に対して光照射を行い硬化させた後、感光性樹脂を加熱して収縮させるとともに導電性フィラー相互間の接合を生じさせることで低抵抗を実現できる導電性材料と、接続信頼性の高い電子部品実装構造体および低コストの配線基板ならびにこれらの製造方法とを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明の製造方法に用いる導電性材料は、低融点金属からなる導電性フィラーと感光性樹脂とからなる材料であって、導電性フィラーが分散された液状の感光性樹脂に光照射を行うことで一部架橋させ、さらに加熱または加熱と加圧を行うことで硬化(架橋)した感光性樹脂を収縮させて、導電性フィラー相互間の接合を生じさせる構成からなる。
この構成において、感光性樹脂は、少なくとも可視光に感光する材料であってもよい。さらに、感光性樹脂は、ピーク感度が可視光領域に調節されたアクリレート系樹脂を主剤とするものであってもよい。なお、加熱温度は感光性樹脂の熱硬化が充分な速さで生じ、かつ導電性フィラーが軟化あるいは溶融する温度とすることが望ましい。
また、導電性フィラーは球状であってもよい。さらに、この導電性フィラーは、Sn−Ag−In系合金、Sn−Ag−Bi系合金、Sn−Ag−Bi−Cu系合金、Sn−Ag−In−Bi系合金、Zn−In系合金、Ag−Sn−Cu系合金、Sn−Zn−Bi系合金、In−Sn系合金、In−Bi−Sn系合金およびSn−Bi系合金から選択された少なくとも1種類のハンダ合金からなる構成であってもよい。
このような構成とすることにより、微細で、かつアスペクト比の大きなパターン形状も容易にでき、かつ加熱させて収縮させることで導電性を大幅に改善できるので、突起電極の形成や配線基板の配線電極等の製造工程を簡略化できる。また、可視光に感度を有する感光性樹脂を用いることにより、液晶セルが二次元的に配置された透過式の液晶パネルをフォトマスクとして用いることができる。このフォトマスクの場合には、開口部の大きさを液晶セルに印加する電圧により電気的に制御できるので、開口部が異なるパターンを重ねて露光する場合であっても、それぞれの液晶セルの開口を電気的に制御することで必要な開口部形状を容易に実現でき、複雑なパターンを簡単な工程で作製することができる。
また、導電性フィラーを球状としているので、光照射時に深い領域まで光が到達して厚い突起電極を形成できる。この導電性フィラーの平均粒子径は、3μm未満であることが好ましく、1μm未満であることがさらに好ましい。導電性フィラーの平均粒子径を3μm未満とすることにより、解像度が良好で、微細形状とすることができる。さらに、導電性フィラーの平均粒子径を1μm未満とすることにより、より微細な形状が可能となる。なお、導電性フィラーの平均粒子径を3μm以上とした場合には、解像度の低下だけでなく、硬化物の表面粗さが大きくなり、パターン精度や寸法精度が低下する。
なお、感光性樹脂は光硬化性モノマーおよび光重合開始剤を含むものであってもよく、その光硬化性モノマーは複数の光重合性基を有する多官能性モノマーと光重合性基を1つだけ有する単官能性モノマーの両方を含むことが好ましい。複数の光重合性基を有する多官能性モノマーとしては、例えば1分子中に炭素−炭素二重結合重結合のような重合可能な官能基を2つ以上有する化合物が用いられる。多官能性モノマーに含まれる重合可能な官能基の数は、3個〜10個であることが好ましいが、必ずしもこの範囲に限定されることはない。なお、重合可能な官能基の数が3個より少ない場合、硬化性が低下する傾向がある。その官能基の数が10個より多くなると、分子サイズが大きくなり、粘度が大きくなる傾向がある。
また、本発明の電子部品実装構造体の製造方法は、電子部品の一方の面上に複数の電極端子が形成された電子部品の電極端子の面上に、低融点金属からなる導電性フィラーと感光性樹脂とを含む感光性液状樹脂を設定した厚みに配置する配置工程と、電極端子上の感光性液状樹脂に対して選択的に光照射を行い感光性液状樹脂を一部硬化させて、電極端子上に突起部を形成する突起部形成工程と、電子部品を感光性液状樹脂から取り出し、突起部以外の感光性液状樹脂を除去する除去工程と、突起部を介して電子部品の電極端子と実装基板の接続端子とを位置合せする位置合せ工程と、電子部品および実装基板の少なくとも一方を押圧するとともに加熱して、突起部の感光性樹脂を収縮させ、導電性フィラー相互間の接合と、電極端子および接続端子と導電性フィラーとの接続を行う導電性接続部材を形成する接続部材形成工程とを備えた方法からなる。
この場合において、感光性樹脂は、少なくとも可視光に感光する材料を用いる方法としてもよい。この感光性樹脂は、ピーク感度が可視光領域に調節されたアクリレート系樹脂を主剤とするものであってもよい。また、導電性フィラーは球状であってもよい。この導電性フィラーは、Sn−Ag−In系合金、Sn−Ag−Bi系合金、Sn−Ag−Bi−Cu系合金、Sn−Ag−In−Bi系合金、Zn−In系合金、Ag−Sn−Cu系合金、Sn−Zn−Bi系合金、In−Sn系合金、In−Bi−Sn系合金およびSn−Bi系合金から選択された少なくとも1種類のハンダ合金からなるものであってもよい。
このような方法とすることにより、電子部品の電極端子が狭ピッチで、かつ多数形成されていても、アスペクト比が大きく、しかも狭ピッチに対応する突起部を容易に形成できる。そして、この突起部を収縮させながら電極端子と接続端子とを接続することで、接続抵抗を小さくすることもできる。この結果、高性能で、かつ高機能の電子部品実装構造体を簡略な工程で実現できる。なお、接続肯定における加熱温度は感光性樹脂の熱硬化が充分な速さで生じ、かつ導電性フィラーが軟化あるいは溶融する温度とすることが望ましい。
本発明の導電性材料は、簡単な工程でパターンを形成することができ、かつ加熱することで低抵抗化できるので、突起電極をこの導電性材料とした電子部品実装構造体や配線電極をこの導電性材料とした配線基板が可能となり、高性能で、かつ高機能の電子部品実装構造体や配線基板を実現できるという大きな効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素については、同じ符号を付しており説明を省略する場合がある。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる導電性材料を用いて作製した電子部品実装構造体10の構成を説明するための図で、(a)は断面図、(b)は接続部の拡大断面図である。また、図2から図4までは、本実施の形態の電子部品実装構造体10の製造方法を説明するための図である。図2は、電子部品11の電極端子12上に突起部24を形成する工程を示す図であり、図3は突起部24を設けた電子部品を用いて実装基板13の接続端子14と接続する工程を示す図である。また、図4は、加熱と加圧により突起部24が収縮して導電性接続部材15となる状態を模式的に示す図である。なお、本実施の形態では、本発明の導電性材料についての詳細な説明と電子部品実装構造体10の構成および製造方法について一緒に説明する。
本実施の形態の電子部品実装構造体10は、複数の電極端子12が同一表面に設けられた電子部品11と、これらの電極端子12と対応する位置に接続端子14が設けられた実装基板13と、これらの電極端子12と接続端子14とを接続するための導電性接続部材15とを備えている。また、本実施の形態では、電子部品11は半導体素子であり、電極端子12は半導体素子の周辺領域および回路形成領域の両方に配置されている場合を例とする。なお、以降の説明では、電子部品11を半導体素子11として説明する。
導電性接続部材15は、感光性樹脂22と低融点金属からなる導電性フィラー16とを含む感光性液状樹脂21に対して光照射を行うことで硬化し、さらに硬化した感光性樹脂(以下、半硬化樹脂とよぶ)25に対して加熱と加圧を行うことで収縮するとともに導電性フィラー16相互間の接合を生じたものである。また、この感光性樹脂22として、本実施の形態ではピーク感度が可視光領域に調節されたアクリレート系樹脂を主剤として用いるが、紫外光に感光する材料であってもよい。なお、導電性フィラー16は球状であることが好ましい。さらに、この導電性フィラー16は、Sn−Ag−In系合金、Sn−Ag−Bi系合金、Sn−Ag−Bi−Cu系合金、Sn−Ag−In−Bi系合金、Zn−In系合金、Ag−Sn−Cu系合金、Sn−Zn−Bi系合金、In−Sn系合金、In−Bi−Sn系合金およびSn−Bi系合金から選択された少なくとも1種類のハンダ合金からなるものが好ましく、本実施の形態ではSn−Bi合金(融点:約140℃)の場合を例とする。
図1に示す電子部品実装構造体10は、半導体素子11の電極端子12と実装基板13の接続端子14とを、上記導電性接続部材15により接続して構成されているが、さらに補強と信頼性向上のために封止樹脂18が半導体素子11と実装基板13との隙間に充填されている。このような構成とすることにより、接続抵抗が小さく、かつ熱応力等によっても接続不良が生じ難い電子部品実装構造体を得ることができる。
以下、図2から図4を用いて本実施の形態の電子部品実装構造体10の製造方法を説明する。
最初に、図2(a)に示すように、電極端子12が周辺領域および回路形成領域の両方に配置されている半導体素子11を準備する。なお、電極端子12は周辺領域にのみ形成されているものでもよい。
つぎに、図2(b)に示すように、この半導体素子11を感光性液状樹脂21が入れられた容器20中に浸漬する。この場合に、図2(b)に示すように電極端子12上の感光性液状樹脂21の厚みが突起部24として要求される厚みに設定する。すなわち、加熱後の収縮により導電性接続部材15となる厚みに対して、さらに収縮量を加えた厚みに設定する。そして、感光性液状樹脂21上にフォトマスク23を配置する。このフォトマスク23には、電極端子12に対応した位置に開口部23aが設けられている。
つぎに、図2(c)に示すように、可視光2を照射する。この可視光2の照射により、開口部23aを介して照射された領域の感光性液状樹脂21は硬化し、半硬化樹脂25を含む突起部24が形成される。すなわち、突起部24は、半硬化樹脂25中に導電性フィラー16が分散して閉じ込められて固体状となった構成である。この後、半導体素子11を容器20から取り出し、不要な感光性液状樹脂21を洗浄、除去する。この洗浄により、半導体素子11の電極端子12上に突起部24が形成された状態が得られる。
つぎに、図3(a)に示すように、半導体素子11に形成された突起部24が実装基板13の接続端子14に対応するように位置合せする。
つぎに、図3(b)に示すように、半導体素子11を図示しない加圧・加熱プレートにより矢印3で示すように加熱、加圧する。この加熱により、半硬化樹脂25中の未硬化領域の感光性樹脂(図示せず)の架橋反応が生じることも含めて架橋が充分に行われるので、半硬化樹脂25が硬化済樹脂17となり、かつ収縮する。この収縮に伴い、導電性フィラー16相互間が接触する割合が増加し、かつ加熱に伴い溶融または軟化した状態となっているので、導電性フィラー16相互間で結合が生じる。また、導電性フィラー16の一部は、電極端子12および接続端子14とも結合を生じる。この結果、電極端子12と接続端子14との間の接続抵抗を小さくすることができる。なお、加圧することにより、さらに導電性フィラー16相互間の接触割合を増加することができるので、より接続抵抗を小さくすることができる。
なお、この場合の加熱温度は150℃程度でよく、この温度ではSn−Bi系合金からなる導電性フィラー16は溶融し、接触すると互いに結合する。ただし、加熱温度は導電性フィラー16が完全に溶融する温度まで加熱する必要はなく、例えば表面層のみが溶融する温度、あるいは全体が軟化する程度の温度まで加熱しても同様に結合させることができる。
この後、図3(c)に示すように、半導体素子11と実装基板13との隙間に封止樹脂18を充填すれば、本実施の形態の電子部品実装構造体10が得られる。なお、封止樹脂18は必ずしも必須ではないが、長期的な信頼性を確保するためには封止樹脂18を設けることが好ましい。
図4は、この導電性材料を用いて接続する場合の導電性材料の変化の状態を説明するための模式図である。図4(a)は、図2(b)に示す状態の部分拡大図であり、半導体素子11の電極端子12を含む面上に感光性液状樹脂21が設けられている状態である。感光性液状樹脂21は、感光性樹脂22と導電性フィラー16とを含み、導電性フィラー16は感光性樹脂22中に均一に分散している。
図4(b)は、図3(a)に示す状態の部分拡大図であり、突起部24を接続端子14に位置合せした状態を示す図である。この状態では、突起部24は半硬化樹脂25中に導電性フィラー16が分散された状態で、かつ全体としては固化しているが、光照射を受けない領域等で未硬化部分が存在する。
図4(c)は、図3(b)に示す状態の部分拡大図であり、半硬化樹脂25は加熱により、この中に含まれる未硬化領域の感光性樹脂(図示せず)の架橋反応が生じることも含めて架橋が充分に行われるので、半硬化樹脂25が硬化済樹脂17となり、かつ収縮する。この収縮に伴い、導電性フィラー16相互間が接触する割合が増加し、かつ加熱に伴い溶融した状態となっているので、導電性フィラー16相互間で結合が生じる。また、導電性フィラー16の一部は、電極端子12および接続端子14とも結合を生じる。ただし、全体としては硬化しているので、突起部24の形状が大きく変化することがなく、微細ピッチであってもショート等の不良が生じることはない。また、半硬化樹脂25の架橋反応に伴い、電極端子12および接続端子14との接着も行われる。
以上説明したように、本発明の導電性材料は低融点金属からなる導電性フィラー16を用いることで、導電性フィラー16相互間の結合を生じさせるとともに電極端子12および接続端子14とも結合を生じるので、接続抵抗の小さな導電性接続部材15が得られる。このように、本実施の形態の電子部品実装構造体10の場合には、突起部24が厚み方向に容易に収縮するので加圧力を小さくすることもできる。したがって、本実施の形態で用いている半導体素子11のように回路形成領域にも電極端子12を設けた場合であっても、実装工程中で回路領域に損傷を与えることがなくなり、電極端子12の配置位置の自由度をより向上させることができる。
つぎに、この導電性材料について説明する。導電性材料のための感光性液状樹脂21は、感光性樹脂22として光硬化性モノマーおよび光重合開始剤を含む感光性成分と、導電性フィラー16とを含有する。光硬化性モノマーは、複数の光重合性基を有する多官能性モノマーと光重合性基を1つだけ有する単官能性モノマーの両方を含むことが好ましい。複数の光重合性基を有する多官能性モノマーとしては、例えば1分子中に、炭素−炭素二重結合重結合のような重合可能な官能基を2つ以上有する化合物が用いられる。多官能性モノマーに含まれる重合可能な官能基の数は、3個〜10個であることが好ましいが、この範囲には限定されない。なお、重合可能な官能基の数が3個より少ない場合、硬化性が低下する傾向がある。その官能基の数が10個より多くなると、分子サイズが大きくなり、粘度が大きくなる傾向がある。
複数の光重合性基を有する多官能性モノマーの具体的な例としては、例えば、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレートが挙げられる。また、上記化合物に含まれるアクリル基の一部またはすべてを、例えばメタクリル基に置換した化合物を用いることもできる。
光重合性基を1つだけ有する単官能性モノマーは、かぶり現象を防止するために、上記組成物に添加される。単官能性モノマーを含有しない場合には、光硬化が進みやくなるため、露光部分だけでなく、非露光部分まで光硬化が進み、パターンの境界がぼける、いわゆるかぶり現象が発生しやすくなる。
また、単官能性モノマーは比較的低粘度であるため、上記組成物の粘度を低くするために上記組成物に添加してもよい。
光重合性基を1つだけ有する単官能性モノマーとしては、例えば、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレートが挙げられる。また、上記化合物に含まれるアクリル基を、例えばメタクリル基に置換した化合物を、単官能性モノマーとして用いることもできる。
光重合開始剤としては、市販の光開始剤を好適に使用できる。光重合開始剤としては、例えば光還元性の色素と還元剤との組み合わせが用いられる。なお、光重合開始剤はこれらに限定されるものではない。
光還元性の色素としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノアセトフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、1−フェニル−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシープロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイル、エオシン、メチレンブルーが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
還元剤としては、例えばアスコルビン酸、トリエタノールアミンが挙げられる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電性フィラー16は球状で、Sn−Ag−In系合金、Sn−Ag−Bi系合金、Sn−Ag−Bi−Cu系合金、Sn−Ag−In−Bi系合金、Zn−In系合金、Ag−Sn−Cu系合金、Sn−Zn−Bi系合金、In−Sn系合金、In−Bi−Sn系合金およびSn−Bi系合金から選択された少なくとも1種類のハンダ合金を用いる。このようなハンダ合金を用いることで、半硬化樹脂25を加熱する温度でハンダ合金が溶融または軟化するので、ハンダ合金同士が接触したときに結合しやすくなる。例えばSn−Bi系合金の融点は約140℃であるが、このようなハンダ合金を用いた場合、150℃に加熱すれば溶融し、導電性フィラー16同士が容易に結合する。また、130℃程度に加熱しても軟化が生じるので、相互の接触が生じれば結合する。
なお、導電性フィラー16の平均粒子径は、3μm未満であることが好ましく、1μm未満であることがさらに好ましい。導電性フィラー16の平均粒子径が3μm未満であれば、120℃〜250℃の加熱により結合が生じ、かつ半硬化樹脂25の架橋反応も速やかに進行させることができる。
また、感光性液状樹脂21の粘度は10Pa・s以下が好ましく、1Pa・s以下がさらに好ましい。さらに、感光性樹脂22中への導電性フィラー16の添加量は多いほど導電性を良好にできるが、多くなるほど光照射時に光が深くまで到達し難くなり、一度に形成できる厚みに制約が生じる。また、未硬化領域が増加するので、後工程での加熱による収縮変形が大きくなる。
例えば、感光性液状樹脂21に含まれる感光性樹脂22について、多官能性モノマー、単官能性モノマーおよび光重合開始剤の適正な配合量は、導電性フィラー100重量部あたり、多官能性モノマーは5重量部〜30重量部、単官能性モノマーは0.5重量部〜10重量部、光重合開始剤は0.1重量部〜5重量部であることが望ましい。なお、導電性フィラー16の平均粒径は、例えば0.08μmと0.9μmの2種類を用いることが好ましい。
図5は、本発明の第1の実施の形態の電子部品実装構造体10を作製する場合の突起部26の変形例の構造と、この変形例の突起部26を用いた場合の接続構成を示す拡大図である。電子部品実装構造体10としての構造は、図1に示すものと同じである。この変形例の突起部26は、図5(a)に示すように電極端子12を底面として円錐台形状であることが特徴である。この突起部26は、半硬化樹脂27と、この半硬化樹脂27中に分散されている導電性フィラー16とを含み構成されている。
このような円錐台形状の突起部26の形成は、以下のようにして行う。すなわち、図2(b)に示すように、半導体素子11を感光性液状樹脂21中に浸漬する場合に、突起部26の厚みの、例えば1/3の厚み分だけ浸漬して露光し、この厚み分の感光性液状樹脂21を硬化させる。
つぎに、半導体素子11をさらに浸漬するか、あるいは感光性液状樹脂21を補充して、さらに突起部26の厚みの1/3の厚み分だけの感光性液状樹脂21を半硬化樹脂上に配置する。この状態で、最初のフォトマスク23の開口部23aより小さな開口部(図示せず)を有する第2のフォトマスク(図示せず)を用いて、同様に可視光を照射して露光し、硬化させる。
さらに、同様に半導体素子11をさらに浸漬するか、あるいは感光性液状樹脂21を補充して、さらに突起部26の厚みの1/3の厚み分だけの感光性液状樹脂21を半硬化上に配置する。この状態で、第2のフォトマスクの開口部より小さな開口部(図示せず)を有する第3のフォトマスク(図示せず)を用いて、同様に可視光を照射して露光し、硬化させる。この3回の露光により、3段形状で、全体として円錐台形状の突起部26が得られる。
突起部26を形成した後、図5(a)に示すように実装基板13の接続端子14に位置合せする。このような露光を行う場合には、液晶パネルをフォトマスクとして用いれば、1枚のフォトマスクで上記の開口部の形状を任意に設定できるので好ましい。
つぎに、図5(b)に示すように、半導体素子11を図示しない加圧・加熱プレートにより矢印3で示すように加熱、加圧する。この加熱により、半硬化樹脂27中の未硬化領域の感光性樹脂(図示せず)の架橋反応が生じることも含めて架橋が充分に行われるので、半硬化樹脂27が硬化済樹脂29となり、かつ収縮する。この収縮に伴い、導電性フィラー16相互間が接触する割合が増加し、かつ加熱に伴い溶融または軟化した状態となっているので、導電性フィラー16相互間で結合が生じる。また、導電性フィラー16の一部は、電極端子12および接続端子14とも結合を生じる。この結果、電極端子12と接続端子14との間の接続抵抗を小さくすることができる導電性接続部材28が得られる。本変形例の場合には、加熱と同時に印加する加圧力を大きくしている。これにより、図3(b)に示す場合よりも収縮量を大きくできる。この結果、さらに導電性フィラー16相互間の接触が促進され、結合する割合を大きくできる。したがって、より接続抵抗を低減することができる。なお、加圧力を大きくすることにより、突起部26が一部変形するが、接続端子14側の形状を小さくしているので、隣接間でショート等が発生することはない。一方、加圧力を大きくすることにより、さらに導電性フィラー16相互間の接触割合を増加することができるので、より接続抵抗を小さくすることができる。
また、半導体素子11と実装基板13との隙間に封止樹脂を充填してもよい。封止樹脂を充填することで長期的な信頼性を確保することができる。
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態にかかる配線基板30の構成を説明するための図で、(a)は全体構成の断面図、(b)は配線電極部分の拡大断面図である。また、図7は、本発明の第2の実施の形態の配線基板30の製造方法を説明するための図である。さらに、図8は、加熱により樹脂配線パターン36が収縮して配線電極32となる状態を模式的に示す図である。
本実施の形態の配線基板30は、基材31上に感光性樹脂と低融点金属からなる導電性フィラーとからなる配線電極32が形成された構成であって、配線電極32は本発明の導電性材料を用いたことを特徴とする。なお、配線基板30の基材31は樹脂材料、ガラス材料、セラミック材料またはシリコン材料からなる平板状であってもよいが、本実施の形態ではポリイミドを主体とする樹脂基材を用いる場合を例として説明する。以下では、基材31を樹脂基材31として説明する。
また、本実施の形態の配線電極32として用いる導電性材料は、低融点金属からなる導電性フィラー33と感光性樹脂とを含む感光性液状樹脂35に対して光照射を行うことで硬化し、さらに硬化した感光性樹脂(以下、半硬化樹脂とよぶ)37に対して加熱を行うことで収縮するとともに導電性フィラー33相互間の接合を生じる材料構成からなる。そして、感光性樹脂は、少なくとも可視光に感光する材料であり、ピーク感度が可視光領域に調節されたアクリレート系樹脂を主剤としてもよい。
また、導電性フィラー33は球状であることが好ましい。さらに、この導電性フィラーは、Sn−Ag−In系合金、Sn−Ag−Bi系合金、Sn−Ag−Bi−Cu系合金、Sn−Ag−In−Bi系合金、Zn−In系合金、Ag−Sn−Cu系合金、Sn−Zn−Bi系合金、In−Sn系合金、In−Bi−Sn系合金およびSn−Bi系合金から選択された少なくとも1種類のハンダ合金からなるものであってもよい。ところで、本実施の形態では、Sn−Ag−Bi合金(融点:約180℃)の場合を例とする。
本実施の形態の配線基板30は、配線電極32の形成が容易で、かつその配線幅も小さくでき、しかも配線抵抗も小さくできるので、狭ピッチが必要な実装基板等であっても低コストで製造することができる。
以下、図7および図8を用いて本実施の形態の配線基板30の製造方法を説明する。なお、本実施の形態では、樹脂基材31上に1層の配線電極32を形成する場合を例として説明する。
最初に、図7(a)に示すように、ポリイミドを主体とする樹脂基材31を準備する。そして、この樹脂基材31上に感光性液状樹脂35を所定の厚みに塗布する。なお、感光性液状樹脂35の粘度が小さい場合には、容器に感光性液状樹脂35を入れ、樹脂基材31の表面の感光性液状樹脂35の厚みが所定の厚みとなるように樹脂基材31を浸漬するようにしてもよい。
つぎに、図7(b)に示すように、感光性液状樹脂35上にフォトマスク38を配置する。このフォトマスク38には、配線電極32のパターン形状に対応した開口部38aが設けられているので、この開口部38aを介して可視光2を照射する。この可視光2の照射により、開口部38aを介して照射された領域の感光性液状樹脂35は硬化し、半硬化樹脂37となり樹脂配線パターン36が形成される。半硬化樹脂37は固体状であり、その中には導電性フィラー33が分散して閉じ込められている。
つぎに、樹脂基材31上の不要な感光性液状樹脂35を洗浄、除去する。この洗浄により、図7(c)に示すように、樹脂基材31の表面上に樹脂配線パターン36が形成された状態が得られる。
つぎに、図7(d)に示すように、樹脂配線パターン36に対して図示しない加熱プレートからの熱線4により加熱する。この加熱により、樹脂配線パターン36中の半硬化樹脂37は、未硬化領域の感光性樹脂(図示せず)の架橋反応が生じることも含めて架橋が充分に行われるので硬化済樹脂34となり、かつ収縮する。この収縮に伴い、導電性フィラー33相互間が接触する割合が増加し、かつ加熱に伴い溶融または軟化した状態となっているので、導電性フィラー33相互間で結合が生じる。この場合、樹脂配線パターン36は、厚み方向に収縮するが、幅方向は樹脂基材31に接着されているのでほとんど収縮は生じない。したがって、厚み方向に存在していた導電性フィラー33が樹脂配線パターン36の収縮により、相互の間隔が小さくなり互いに接触する状態となり、結合が生じる。これにより、配線電極32の配線抵抗を小さくすることができる。
なお、この場合の加熱温度は160℃以上とすることが好ましい。例えば、160℃に加熱した場合、この温度ではSn−Ag−Bi系合金からなる導電性フィラー33は軟化するが、溶融はしない。しかし、これらが互いに接触すると結合する。ただし、加熱温度は導電性フィラー33が完全に溶融する温度まで加熱してもよい。
また、このようにして配線電極32を形成した後、配線電極32の表面を含む樹脂基材31の表面上に絶縁保護膜(図示せず)を、例えばスクリーン印刷で形成してもよい。このように絶縁保護膜を形成すれば、配線電極32を耐熱性の絶縁保護膜で保護することができるので、導電性フィラー33が軟化あるいは溶融する程度の温度まで配線基板30が加熱されても配線電極32のパターン形状を確実に保持することができる。
図8は、この導電性材料を用いて配線電極32を形成する場合の導電性材料の変化の状態を模式的に示す図である。図8(a)は、図7(c)に示す状態の部分拡大図であり、樹脂配線パターン36を形成し、不要な感光性液状樹脂35を除去した状態である。そして、図8(b)は、図7(d)に示す状態の部分拡大図である。
図8(a)の状態とした後、加熱すると樹脂配線パターン36の半硬化樹脂37は、未硬化領域の感光性樹脂(図示せず)の架橋反応が生じることも含めて架橋が充分に行われるので硬化済樹脂34となり、かつ収縮する。この収縮に伴い、特に厚み方向の導電性フィラー33相互間が接触する割合が増加し、かつ加熱に伴い軟化した状態となっているので、導電性フィラー33相互間で結合が生じる。ただし、全体としては硬化しているので、樹脂配線パターン36の形状が大きく変化することがなく、微細ピッチであっても配線電極32相互間でショート等の不良が生じることはない。
なお、本実施の形態に用いる導電性材料については、第1の実施の形態で説明した導電性材料を用いることができるので説明を省略する。また、本実施の形態では、片面1層配線構成の配線基板を作製する場合を例として説明したが、本発明はこれに限定されない。基材には、少なくとも一方の面にあらかじめ配線電極が形成されていてもよい。
さらに、図9に示すように多層配線構成の最上層の配線電極を、本実施の形態で説明した方法により作製してもよい。図9は、本発明の第2の実施の形態の変形例の配線基板40の構成を説明するための断面図で、(a)は全体構成の断面図、(b)は配線電極部分の拡大断面図である。また、図10は、この変形例の配線基板40の製造方法を説明するための図である。
本変形例の配線基板40の場合、基材42には感光性樹脂と低融点金属からなる導電性フィラーとからなる配線電極45が形成されている。そして、配線電極45は本発明の導電性材料を用いている。なお、本変形例の配線基板40の場合、基材42には、少なくとも配線パターン43とこの配線パターン43上に絶縁性樹脂層44とが形成され、絶縁性樹脂層44の設定した位置に配線パターン43が露出した開口部49が形成されており、配線電極45は開口部49を含めて絶縁性樹脂層44上に形成され、配線パターン43と配線電極45とが開口部49を介して電気的に導通されている構成からなる。
この基材42は樹脂材料、ガラス材料、セラミック材料またはシリコン材料からなる平板状であってもよいが、本変形例の配線基板40の場合にはガラスエポキシ樹脂を主体とする樹脂材料を用いる場合を例として説明する。以下では、この基材42を樹脂基材42として説明する。
また、本変形例の配線基板40の場合には、配線電極45を含む樹脂基材42面上に、さらに絶縁保護膜48が形成されており、かつこの絶縁保護膜48は熱硬化性樹脂材料からなる。
また、本実施の形態の配線電極45として用いる導電性材料は、低融点金属からなる導電性フィラー46と感光性樹脂とを含む感光性液状樹脂50に対して光照射を行い、硬化させた後、少なくとも硬化した感光性樹脂(以下、半硬化樹脂とよぶが図示していない。)に対して加熱を行うことで収縮するとともに導電性フィラー46相互間の接合を生じる材料構成からなる。そして、感光性液状樹脂50は、少なくとも可視光に感光する材料であり、ピーク感度が可視光領域に調節されたアクリレート系樹脂を主剤としてもよい。
また、導電性フィラー46は球状であることが好ましい。さらに、この導電性フィラーは、Sn−Ag−In系合金、Sn−Ag−Bi系合金、Sn−Ag−Bi−Cu系合金、Sn−Ag−In−Bi系合金、Zn−In系合金、Ag−Sn−Cu系合金、Sn−Zn−Bi系合金、In−Sn系合金、In−Bi−Sn系合金およびSn−Bi系合金から選択された少なくとも1種類のハンダ合金からなるものであってもよい。ところで、本変形例の配線基板40の場合においても、Sn−Ag−Bi合金の場合を例とする。
本変形例の配線基板40は、配線電極45の形成が容易で、かつその配線幅も小さくでき、しかも配線抵抗も小さくできるので、狭ピッチが必要な実装基板等であっても低コストで製造することができる。さらに、この変形例の配線基板40の場合には、多層配線構成とすることができるので、さらに高機能の配線基板を作製することができる。
以下、図10を用いて本変形例の配線基板40の製造方法を説明する。
最初に、図10(a)に示すように、ガラスエポキシ樹脂を主体とする樹脂基材42上に、配線パターン43とこの配線パターン43上に絶縁性樹脂層44とを形成し、絶縁性樹脂層44の設定した位置に配線パターン43が露出した開口部49を形成する。
これらは、例えば以下のようにして形成する。すなわち、樹脂基材42上に、例えばスクリーン印刷方式で銀(Ag)ペーストを所定のパターン形状に印刷し、加熱して硬化させて配線パターン43を形成する。つぎに、絶縁性樹脂層44を全面に形成した後、例えばフォトリソプロセスとエッチングプロセスにより開口部49を設ける。あるいは、絶縁性樹脂層44をスクリーン印刷方式で形成し、絶縁性樹脂層44の形成と同時に開口部49を形成してもよい。なお、絶縁性樹脂層44についても、加熱して硬化させる。
上記の方法により、樹脂基材42上に開口部49が露出した形状を作製できるので、図10(b)に示すように、この樹脂基材42の表面の感光性液状樹脂50の厚みが所定の厚みとなるように、感光性液状樹脂50が入れられている容器中に樹脂基材42を浸漬する。この場合、絶縁性樹脂層44の面上の感光性液状樹脂50が所定の厚みになるように設定する。
つぎに、感光性液状樹脂50上にフォトマスク52を配置する。このフォトマスク52には、配線電極45のパターン形状に対応した開口部52aが設けられているので、この開口部52aを介して可視光2を照射する。この可視光2の照射により、開口部52aを介して照射された感光性液状樹脂50は硬化し、半硬化樹脂(図示せず)となり、樹脂配線パターン51が形成される。樹脂配線パターン51は固体状であり、その中には導電性フィラー46が分散して閉じ込められている。
つぎに、樹脂基材42上の不要な感光性液状樹脂50を洗浄、除去する。この洗浄により、樹脂基材42の最表面に樹脂配線パターン51が形成された状態が得られる。
つぎに、図10(c)に示すように、樹脂配線パターン51に対して図示しない加熱プレートからの熱線4により加熱する。この加熱により、樹脂配線パターン51の半硬化樹脂は、未硬化領域の感光性樹脂(図示せず)の架橋反応が生じることも含めて架橋が充分に行われるので硬化済樹脂47となり、かつ収縮する。この収縮に伴い、導電性フィラー46相互間が接触する割合が増加し、かつ加熱に伴い溶融または軟化した状態となっているので、導電性フィラー46相互間で結合が生じる。この場合、樹脂配線パターン51は、厚み方向に収縮するが、幅方向は樹脂基材42の絶縁性樹脂層44に接着されているのでほとんど収縮は生じない。したがって、厚み方向に存在していた導電性フィラー46が樹脂配線パターン51の収縮により、相互の間隔が小さくなり互いに接触する状態となり、結合が生じる。これにより、配線電極45の配線抵抗を小さくすることができる。
なお、この場合の加熱温度は160℃以上とすることが好ましい。例えば、160℃に加熱すると、この温度ではSn−Ag−Bi系合金からなる導電性フィラー46は軟化するが、溶融はしない。しかし、これらが互いに接触すると結合する。ただし、加熱温度は導電性フィラー46が完全に溶融する温度まで加熱してもよい。
また、このようにして配線電極45を形成した後、配線電極45の表面を含む絶縁性樹脂層44の表面上に絶縁保護膜48を、例えばスクリーン印刷方式で形成する。このように絶縁保護膜48を形成すれば、配線電極45を耐熱性の絶縁保護膜48で保護することができるので、導電性フィラー46が軟化あるいは溶融する程度の温度まで配線基板40が加熱されても配線電極45のパターン形状を確実に保持することができる。
なお、この変形例の配線基板40の場合についても、図8に示した模式図と同じようにして配線電極45が形成されるので、この説明については省略する。なお、図10(b)に示すように、樹脂配線パターン51を形成した時点では凹部はほとんど生じないが、加熱すると樹脂配線パターン51が収縮するので開口部49の領域では凹部が生じる。しかし、このような凹部が発生しても配線基板40としては特に問題は生じない。
なお、本変形例の配線基板40に用いる導電性材料についても、第1の実施の形態で説明した導電性材料を用いることができるので説明を省略する。また、本変形例の配線基板40では、他方の面には配線パターンを形成しない構成としたが、本発明はこれに限定されない。他方の面にも配線パターンが形成されていてもよい。さらに、配線電極を一方の面と他方の面の両方の面に形成してもよい。
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、可視光で感光する感光性樹脂と導電性フィラーとを含む感光性液状樹脂を用いたが、紫外光で感光する液状樹脂であってもよい。さらに、フォトマスクとしては、液晶セルを用いたフォトマスクや一般的に用いられているフォトマスクを用いてもよい。また、縮小投影露光方式で露光してもよい。このような縮小投影露光方式を用いれば、より微細な配線電極を形成することができる。
本発明の導電性材料およびこれを用いた電子部品実装構造体と配線基板は、感光性樹脂と導電性フィラーとを含む感光性液状樹脂を用いて所定箇所を露光することで固体状の突起電極あるいは配線パターンを形成した後、加熱または加熱と加圧とによりこの樹脂を収縮させるとともに導電性フィラー相互間を結合させるため、接続抵抗あるいは配線抵抗を小さくできる。したがって、半導体素子等を接続して構成する電子部品実装構造体やこれらに用いる配線基板の低コスト化を実現できるので、種々の電子機器分野に有用である。
(a)は本発明の第1の実施の形態にかかる導電性材料を用いて作製した電子部品実装構造体の構成を説明するための断面図、(b)は接続部の拡大断面図 同実施の形態の電子部品実装構造体の製造方法を説明するための図で、電子部品の電極端子上に突起部を形成する工程を示す図 同実施の形態の電子部品実装構造体の製造方法を説明するための図で、突起部を設けた電子部品を用いて実装基板の接続端子と接続する工程を示す図 同実施の形態の電子部品実装構造体の製造方法を説明するための図で、加熱と加圧により突起部が収縮して導電性接続部材となる状態を模式的に示す図 同実施の形態の電子部品実装構造体を作製する場合における突起部の変形例の構造と、この変形例の突起部を用いた場合の接続構成を示す拡大図 (a)は本発明の第2の実施の形態にかかる配線基板の構成を説明するための全体構成の断面図、(b)は配線電極部分の拡大断面図 同実施の形態の配線基板の製造方法を説明するための図 同実施の形態の配線基板の製造方法において、加熱により配線パターンが収縮して配線電極となる状態を模式的に示す図 (a)は同実施の形態の変形例の配線基板の構成を説明するための全体構成の断面図、(b)は配線電極部分の拡大断面図 同実施の形態の変形例の配線基板の製造方法を説明するための図
符号の説明
2 可視光
3 矢印
4 熱線
10 電子部品実装構造体
11 電子部品(半導体素子)
12 電極端子
13 実装基板
14 接続端子
15,28 導電性接続部材
16,33,46 導電性フィラー
17,29,34,47 硬化済樹脂
18 封止樹脂
20 容器
21,35,50 感光性液状樹脂
22 感光性樹脂
23,38,52 フォトマスク
23a,38a,49,52a 開口部
24,26 突起部
25,27,37 硬化した感光性樹脂(半硬化樹脂)
30,40 配線基板
31,42 基材(樹脂基材)
32,45 配線電極
36,51 樹脂配線パターン
43 配線パターン
44 絶縁性樹脂層
48 絶縁保護膜

Claims (3)

  1. 電子部品の一方の面上に複数の電極端子が形成された前記電子部品の前記電極端子の面上に、感光性樹脂と低融点金属からなる導電性フィラーとを含む感光性液状樹脂を設定した厚みに配置する配置工程と、
    前記電極端子上の前記感光性液状樹脂に対して選択的に光照射を行い、前記電極端子上の前記感光性樹脂一部架橋させ、突起部を形成する突起部形成工程と、
    前記電子部品を前記感光性液状樹脂から取り出し、前記突起部以外の前記感光性液状樹脂を除去する除去工程と、
    前記突起部を介して前記電子部品の前記電極端子と実装基板の接続端子とを位置合せする位置合せ工程と、
    前記電子部品および前記実装基板の少なくとも一方を押圧するとともに加熱して、前記突起部の前記フィラーを溶融し、前記導電性フィラー相互間の接合をし、かつ、前記一部架橋させた感光性樹脂の残りの未架橋領域を架橋し収縮させ、前記電極端子前記接続端子との接続を行う導電性接続部材を形成する接続部材形成工程とを備えたことを特徴とする電子部品実装構造体の製造方法。
  2. 前記感光性液状樹脂の粘度は、1Pa・s以下である請求項1記載の電子部品実装構造体の製造方法。
  3. 前記感光性液状樹脂は、光硬化性モノマーと光重合開始材からなる請求項1または2記載の電子部品実装構造体の製造方法。
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